JP5862106B2 - 顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 - Google Patents
顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 Download PDFInfo
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Description
カラーフィルタに関しては、色純度、彩度、光透過量の向上が求められており、光透過量の向上を目的として、顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以下にまで微分散する方法が知られているが(非特許文献1)、顔料の粒径を小さくすると、顔料が凝集し易くなる。その為、組成物の増粘による製造工程上での歩留まり低下が問題としてあった。
しかしながら、スリット・アンド・スピン法やダイコート法では、ディスペンスノズルの先端での乾きにより発生した凝集異物が、塗布膜上に剥離片異物となって歩留まりを低下させる問題が深刻になっている。
また特許文献2では、ノズル先端を清掃する装置が開示されている。
また、特許文献2では、実際の製造プロセスでは鋭利な形状のノズル先端の異物を完全に除去することは困難であって、かつ塗布動作をノズル清掃のために中断する必要が生じ、製造タクトを阻害するという問題があった。また清掃が完全でないとノズル先端に拭き残りの液溜りが生じるため、むしろ塗布の不均一性(ムラ)をまねくという問題があった。
させつつ、粘度の経時安定性に優れ、凝集異物や組成物の粘度が高いことによる歩留まり低下の抑制、つまり長時間保存後の粘度が小さい顔料分散液及び着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
即ち、本発明は、(A)顔料、(B)溶剤及び(D)分散剤を含む顔料分散液において、該(A)顔料が、カラーインデックスピグメントバイオレット23を含有し、該(D)分散剤として重合体を含有し、該重合体が、1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有し、該1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を有する単量体の含有割合が、重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であり、更に、顔料分散液中の水分量が0.4重量%以上、1.2重量%以下であることを特徴とする顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
つまり、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は粘度の経時安定性に優れる為、製造上の歩留まり悪化がし難い。
また本発明の液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質である。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
又、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
又、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
本発明の顔料分散液は、(A)顔料、(B)溶剤及び(D)分散剤を含む顔料分散液において、該(A)顔料が、カラーインデックスピグメントバイオレット23(以下、「P.V.23」と称する場合がある)を含有し、該(D)分散剤として、1〜3級アミノ基
及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有し、且つ該1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を有する単量体の含有割合が、重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上含み、更に、顔料分散液中の水分量が0.3重量%以上、1.2重量%以下の顔料分散液である。
まず、(D)分散剤について説明する。
本発明の顔料分散液は、(D)分散剤として重合体を含み、該重合体は1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有し、該1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を有する単量体の含有割合が、重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上の重合体(以下、「特定重合体」と称する場合がある)である。
該共重合体としては、親溶媒性を有する繰り返し単位と、1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有する繰り返し単位とを含む、ブロック共重合体であることが好ましい。
中でも、(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましい。
先ず、(メタ)アクリル系ブロック共重合体における、1〜3級アミノ基を側鎖に有する繰り返し単位について説明をする。
1〜3級アミノ基としては、好ましくは−NR41R42(但し、R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表わされ、これを含む部分構造(繰返し単位)は、例えば下記式で表される。
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、エチレン基が好ましく、R44は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。このような部分構造としては下記式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタアクリレート由来の構造などが、特に好適に用いられる。
(4級アンモニウム基を側鎖に有する繰り返し単位について)
4級アンモニウム基を有する繰り返し単位としては、当該4級アンモニウム基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。又、このような4級アンモニウム基としては、特に下記式(VI)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
X1は、2価の連結基を表す。
又、R31〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素環基、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル基等が好ましい。
又、上記式(VI)において、2価の連結基X1としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基を表す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
3COO−、PF6 −等が挙げられる。
(親溶媒性を有する繰り返し単位について)
一方、分散剤のブロック共重合体を構成する、親溶媒性を有する繰り返し単位は、1〜3級アミノ基及び4級アンモニウム基を有さず、上述した1〜3級アミノ基及び4級アンモニウム基を有するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。
これら共重合モノマー由来の部分構造の中でも、特に下記式(VIII)で表される部分構造が好ましい。
上記式(VIII)で表される部分構造は、重合体を構成する共重合モノマー全体に対して、通常5重量%以上、好ましくは7重量%以上、通常40重量%以下である。
このような(メタ)アクリル系ブロック共重合体を合成するに際しては、特開昭60−
89452号公報、特開平9−62002号公報、P. Lutz, P. Masson et al, Polym. Bull. 12, 79 (1984)、B. C. Anderson, G. D. Andrews et al, Macromolecules, 14, 1601 (1981)、K. Hatada, K. Ute, et al, Polym. J. 17, 977 (1985)、K. Hatada, K. Ute, et al, Polym. J.18, 1037 (1986)、右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36、366(1987)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46、189(1989)、M. Kuroki, T. Aida, J. Am. Chem. Sic, 109, 4737 (1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43,300(1985)、D. Y. Sogoh, W. R. Hertler et al, Macromolecules, 20, 1473 (1987)、K. Matyaszewski et al, Chem. Rev. 2001, 101, 2921-2990などに記載の公知の方法を採
用することができる。
上記範囲内であると、顔料表面への吸着力が十分で、分散安定性が良好である点で好ましい。
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常50mg−KOH/g以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
(酸価)
1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有する重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mg−KOH/g以下であり、好ましくは50mg−KOH/g以下、より好ましくは40mg−KOH/g以下、最も好ましくは30mg−KOH/g以下である。
本発明における1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有する重合体の分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、また通常100,000以下の範囲である。
又、本発明において、上述のものと同様の構造を有する市販の(メタ)アクリル系ブロック共重合体も使用することができる。
(含有量)
本発明における(D)分散剤は、顔料分散液中の顔料全量に対して、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、また好ましくは200重量%以下、更に好ましくは100重量%以下である、
更に、1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有する重合体の含有量は、全分散剤中、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上である。尚、分散剤として1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有する重合体のみを用いることが特に好ましいため、上限は理想的には100重量%である。
(D)分散剤の含有量を上記範囲に制御することにより、必要且つ十分な量の分散剤が顔料表面に付着するため、後述する着色樹脂組成物の着色力を低下させずに、凝集を効果的に防ぐことが可能となり、また高粘度化ないしゲル化を避けることができるため、高い分散安定性を確保することができる。
尚、本発明における分散剤は、1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有する重合体の1種を単独で用いてもよく、異なる2種以上を併用して用いてもよい。
(D)分散剤としては、例えば、下記(D−1)分散剤(以下、「(D−1)分散剤」と称することがある。)を含有していてもよい。
(D−1)分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、(A)顔料がカラーインデックスピグメントバイオレット23を含む。
また、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、P.V.23以外のその他の顔料を含んでいてもよい。
青色顔料としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられが、中でもフタロシアニン系が好ましく、安価で入手が容易であることから銅フタロシアニン系顔料が特に好ましい。
(青色顔料の具体例)
C.I.ピグメントブルー15:6、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、1、1:2、9、14、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
又、本発明における顔料の平均一次粒径は、通常100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは20nm以上70nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径20nm以上60nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
尚、顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。
先ず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。但し、有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
また、青色顔料以外の顔料としては、赤色顔料、緑色顔料、P.V.23以外の紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
各種顔料の化学構造としては、例えばアゾ系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。これらの他に種々の無機顔料等も利用可能である。
先ず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1
、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58等である。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物においては、色度調整の為に併用する顔料として、紫色顔料が好ましい。併用するのに好ましい該紫色顔料の具体例は、前記の通りである。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物における、P.V.23の全顔料中の含有量は、通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、また通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
また、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物に含まれる、青色顔料の全顔料中の含有量は、通常60重量%以上、好ましくは65重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、また通常100重量%以下である。
上記範囲内であると、得られる画素の青色純度が良好である点で好ましい。
また、本発明の着色樹脂組成物における顔料の全含有量は、通常3重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、また通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
本発明で用いる(B)溶剤は、(A)顔料、及び(D)分散剤、更に場合により混合されるその他の成分を良好に溶解又は分散させる機能を有するものであれば、特に制限がないだ、溶剤としては、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチルセロソルブのような1価又は多価アルコール類(アルコール系溶剤);
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル
、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
又、これら溶剤に該当する市販のものとしては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の顔料分散液において、前記アルコール系溶剤を、通常10重量%以上、好ましくは20重量%、また通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
また、本願の顔料分散液に占める溶剤の含有量は、特に制限はないが、通常99重量%以下、また通常60重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上である。
上記範囲内であると、塗布膜を形成するのに、適当な濃度で、且つ塗布に適した粘度である点で好ましい。
本発明の顔料分散液の水分量は、下記(顔料分散液の含水量の測定方法)で測定した値で、通常0.3重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、又通常1.2重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、更に好ましくは0.8重量%以下である。
尚、水分量を上記範囲内とするための添加する水は、本発明の効果を損わない限り特に制限はないが、例えば、超純水のほか、上水、蒸留水、イオン交換水が挙げられる。
(顔料分散液の含水量の測定方法)
本発明において、顔料分散液の水分量の測定は、カールフィッシャー法により、下記の条件で測定を行う。
・注入量 :1mL
・滴定溶剤:アクアミクロン滴定剤SS−Z3mg
力価2.5〜3.5mgH2O/ml
・脱水溶剤:アクアミクロン脱水溶剤 GEX
尚、本発明を特定する測定機器については、上記装置と同様の測定が可能であれば特に制限されないが、上記装置を用いることが好ましい。
本発明の構成とすることで、溶剤に対する再溶解性が良好になる理由について下記の通り推測する。
特定重合体は、1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有し、且つその含有割合が多い。
ここに、極性溶剤として水が存在すると、重合体が凝集し難くなり、且つ側鎖に有するアミノ基やアンモニウム基がより良好に顔料と吸着し易くなる。
また、極性溶剤として水が多量に含有されていると、後述するバインダー樹脂が凝集し、顔料分散液の粘度が増加してしまう傾向がある。
更に、(A)顔料がP.V.23を含むことによって、顕著な効果を奏する理由については下記の通り推測する。
P.V.23は、下記構造式で表される顔料である。
[顔料分散液の調製方法]
本発明の顔料分散液の製造方法としては種々の方法を採用することができるが、以下にその一例を示す。
は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。なお、分散時間は、顔料分散液の組成(色材、溶剤、分散剤等)、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
具体的には、水を顔料分散液に添加しながら、適宜顔料分散液の水分量を測定し、本発明の範囲内となるように調製すればよい。
水の添加時期は、上記分散処理工程前に添加してもよく、また分散処理後に添加してもよい。
また、水を添加し過ぎた場合は、各種手段を用いて脱水を行えばよい。
脱水する時期も、特に制限はなく、水添加を分散処理前に行った場合は、引き続き脱水してもよく、分散処理後に脱水してもよい。
脱水の手段としては、例えば、モレキュラーシーブ等の多孔質材料や、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、塩化カルシウム等の脱水剤を用いる方法が挙げられる。この場合、これらの多孔質材料や脱水剤を混合前の各成分や混合後の顔料分散液に加え、攪拌等の手法により混合し、脱水を行なった上で、多孔質材料や脱水剤を濾過等の手段により取り除けばよい。
[分散助剤]
本発明の顔料分散液又は着色樹脂組成物には、分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001−220520号公報、特開2001−271004号公報、特開2002−179976号公報、特開2007−113000号公報、及び特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
上記範囲内であると、分散助剤としての効果が有効に得られ、分散性及び分散安定性が良好である点で好ましい。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物には、後述する(C)バインダー樹脂もしくはその他のバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
具体的には、後述する分散処理工程において、前述の(D)分散剤等の成分とともに、(C)バインダー樹脂を含有させることにより、該(C)バインダー樹脂が、(D)分散剤との相乗効果で(A)顔料の分散安定性に寄与する。結果として(D)分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
とがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
分散樹脂としては、後述する各種(C)バインダー樹脂を使用することができる。
分散樹脂の酸価は0.5mg−KOH/g以上が好ましく、1mg−KOH/g以上がより好ましく、5mg−KOH/g以上が最も好ましく、また300mg−KOH/g以下が好ましく、200mg−KOH/g以下がより好ましく、150mg−KOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
本発明の着色樹脂組成物は、前記顔料分散液及び(C)バインダー樹脂を含有する。更に要すれば、これらの成分以外の添加物等を含有していてもよい。その他の成分として(E)重合性モノマー、(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系等を含有することが特に好ましい。
(C)バインダー樹脂は、硬化手段により好ましい樹脂は異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との
共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
R96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
尚、該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することが
できる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
上記範囲内であると、現像液に対する溶解性が良好で、また膜荒れなどが生じ難いため好ましい。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
[(E)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(E)重合性モノマーを含有することが好ましい。(E)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
(E)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
ル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、必要に応じて(E)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。こ
の多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
また、(E)重合性モノマーの全色材に対する比率は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは150重量%以下、更に好ましくは110重量%以下である。
[(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始系を含有することが好ましい。光重合開始系は、通常、(F1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(F3)増感色素、(F2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
必要に応じて用いられる(F2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(F3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(F)光重合開始系の含有量は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。この含有量が著しく低いと、露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起することがある。
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始系(熱重合開始剤)の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の熱重合開始剤を用いることができる。
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、着色樹脂組成物は、前記[顔料分散液の調製方法]に記載の方法で調製された顔料分散液に、更に(C)バインダー樹脂、必要に応じて(E)重合性モノマー、及び(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系などのその他の成分を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解又は分散された状態である。この着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
本発明のカラーフィルタを含む有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
以下に、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[1]樹脂の合成
<合成例1:樹脂Aの合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と称する場合がある)114.0重量部を500mlの4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート96.8重量部、メタクリル酸33.3重量部、2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)4.925重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96.45重量部に溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。得られた樹脂溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを追加し、固形分濃度25重量%に調整した。
<合成例2:樹脂Bの合成>
PGMEA145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66重量部を滴下し、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。
[2]青色顔料分散液の調製
[2−1]青色顔料分散液(1)の調製
PGMEA37.42重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル24.00重量部、顔料C.I.ピグメントブルー(P.B.)15:6を8.40重量部、顔料C.I.ピグメントバイオレット(P.V.)23を3.60重量部、分散剤として、本発明における特定重合体として下記式(VIII)で表されるDB2000(固形分濃度40重量%、アミン価:2.0〜6.0mgKOH/g、4級アンモニウム基を有する単量体
の含有量:34.5モル%)を10.00重量部、樹脂A(固形分濃度25重量%)を16.00重量部、ブチルセロソルブ3.00重量部、水として超純水を0.58重量部を
混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が20重量%のミルベースを調製した。このミルベースを600重量部の0.5mmφのジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間5時間で分散処理を施し青色分散液(1)を得た。
PGMEA37.46重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」と称する場合がある)24.00重量部、顔料C.I.ピグメントブルー(P.B.)15:6を8.40重量部、顔料C.I.ピグメントバイオレット(P.V.)23を3.60重量部、分散剤としてDB2000(ビッグケミー社製、固形分濃度40重量%)を10.00重量部、及び樹脂A(固形分濃度25重量%)を16.00重量部、ブチルセロソルブ3.00重量部、水として超純水を0.54重量部を混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が20重量%のミルベースを調製した。このミルベースを600重量部の0.5mmφのジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間5時間で分散処理を施し青色分散液(2)を得た。
PGMEA37.09重量部、PGME24.00重量部、顔料C.I.ピグメントブルー(P.B.)15:6を8.40重量部、顔料C.I.ピグメントバイオレット(P.V.)23を3.60重量部、分散剤としてDB2000(ビッグケミー社製、固形分濃度40%)を10.00重量部、及び樹脂A(固形分濃度25%)を16.00重量部、ブチルセロソルブ3.00重量部、水として超純水を0.91重量部を混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が20重量%のミルベースを調製した。このミルベースを600重量部の0.5mmφのジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間5時間で分散処理を施し青色分散液(3)を得た。
PGMEA37.79重量部、PGME24.00重量部、顔料C.I.ピグメントブルー(P.B.)15:6を8.40重量部、顔料C.I.ピグメントバイオレット(P.V.)23を3.60重量部、分散剤としてDB2000(ビッグケミー社製、固形分濃度40%)を10.00重量部、樹脂A(固形分濃度25%)16.00重量部、ブチルセロソルブ3.00重量部、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が20重量%のミルベ
ースを調製した。このミルベースを600重量部の0.5mmφのジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間5時間で分散処理を施し青色分散液(4)を得た。
上記[1]青色顔料分散液の調製にて作成された青色顔料分散液(1)〜(4)について、下記方法により水分量の測定を行った。
結果を表1に纏めた。
本発明において、顔料分散液の水分量の測定は、カールフィッシャー容量滴定法により、下記の条件で測定を行った。
・装置 :カールフィッシャー水分計 KF−100(三菱化学アナリテック社製)
・注入量 :1mL
・滴定溶剤:アクアミクロン滴定剤SS−Z3mg
力価2.5〜3.5mgH2O/ml
・脱水溶剤:アクアミクロン脱水溶剤 GEX
・測定範囲:0.1〜999mg H2O
[4]青色顔料着色樹脂組成物の調製
[2]で調整した青色顔料分散液にバインダー樹脂として樹脂B、重合性モノマー、光重合開始系及び界面活性剤を下記表2の割合で混合し、PGMEAで固形分濃度20重量%に調製し、着色樹脂組成物を得た。
[2−1]〜[2−4]の青色顔料分散液を調整して、24時間後の粘度を測定した。
粘度はE型粘度計「RE−80L」(東機産業社製)を用いて、室温(23℃)、20rpmで測定した。
結果を表3に纏めた。
上記[4]で調製した着色樹脂組成物をガラス基板AN100(旭硝子社製)に、スピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行った。塗布回転数はポストベーク後、色座標y=0.120となる膜厚になるように調整した。
次に、高圧水銀灯により60mj/cm2で露光した後、0.04重量%水酸化カリウ
ム水溶液を使用し、 現像液温度23℃で0.25MPa圧で40秒スプレー現像した。
基板は現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。その後、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを行った。
C=B/A ・・・(1)
コントラストの測定結果を表3に纏めた。
表3に示すが如く、本発明の顔料分散液は、調製してから24時間後の粘度が小さい。
即ち、本発明の顔料分散液を含む着色樹脂組成物は、長時間保存しても粘度が低いため、組成物が高い粘度によるカラーフィルタ製造工程上の歩留まり低下を抑制しうるものである。
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層
Claims (13)
- (A)顔料、(B)溶剤及び(D)分散剤を含む着色樹脂組成物製造用顔料分散液において、
該(A)顔料が、カラーインデックスピグメントバイオレット23を含有し、
該(D)分散剤が、重合体を含有し、
該重合体が、1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を側鎖に有し、
該1〜3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を有する単量体の含有割合が、重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であり、
更に、顔料分散液中の水分量が0.3重量%以上、1.2重量%以下であることを特徴とする、着色樹脂組成物製造用顔料分散液。 - 前記(A)顔料が、更に青色顔料を含有することを特徴とする、請求項1に記載の着色樹脂組成物製造用顔料分散液。
- 前記(D)分散剤が、(メタ)アクリル系ブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の着色樹脂組成物製造用顔料分散液。
- (A)顔料に対する、(D)分散剤の含有量が、50重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物製造用顔料分散液。
- アルコール系溶剤を前記(B)溶剤中に、10重量%以上、40重量%以下含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物製造用顔料分散液。
- 前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物製造用顔料分散液に及び(C)バインダー樹脂を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
- 更に、(E)重合性モノマーを含有することを特徴とする、請求項6に記載の着色樹脂組成物。
- 更に、(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系を含有することを特徴とする、請求項6又は7に記載の着色樹脂組成物。
- フォトリソグラフィ法にてカラーフィルタの画素を形成するために用いることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物製造用顔料分散液に、(C)バインダー樹脂を添加し、混合する工程を有することを特徴とする、着色樹脂組成物の製造方法。
- 請求項6〜8のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
- 請求項11に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
- 請求項11に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。
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