JP5861001B2 - 非エンベロープウイルスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非エンベロープウイルスを煩雑な操作なく効率よく高純度に製造する方法に関する。
現在、遺伝子組換え分野や医療分野においては、ヒトを含む哺乳動物細胞に遺伝子を導入する方法として、電気穿孔や金属微粒子を用いる物理的方法、核酸、ポリカチオン、もしくはリポソームを用いる化学的方法等に加えて、生物学的手法としてウイルスを用いた遺伝子導入用のベクター(以下、ウイルスベクター)を用いる方法が用いられる。ウイルスを用いた遺伝子導入用のベクターとは、天然由来のウイルスを改変し、所望の遺伝子等を標的に移入することができるようにしたベクターのことで、近年技術開発が進んでいる。一般に、遺伝子組換え技術を用いて作製したベクターは、遺伝子組換えウイルスベクターと呼ばれるが、そういったベクターの由来となるウイルスとしては、レトロウイルスやレンチウイルス、センダイウイルス、並びにヘルペスウイルス等のエンベロープを持つウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(以下、AAV)等のエンベロープを持たないウイルスがよく知られている。
特にAAVはヒトを含む広範な種の細胞に感染可能で、血球、筋、神経細胞等の分化を終えた非***細胞にも感染すること、ヒトに対する病原性がないため副作用の心配が低いこと、ウイルス粒子が物理化学的に安定であること等から、先天性遺伝子疾患の治療の他、癌や感染症の治療を目的とした遺伝子治療法に用いる遺伝子導入用のベクターとしての利用価値が、近年注目されている。
遺伝子組換えウイルスベクターの製造方法としては、通常、ウイルスの粒子形成に必須な要素を核酸構築物の形で細胞に導入し、ウイルスを産生する能力を有する細胞(以下、ウイルス産生細胞)を作製し、当該細胞を培養してウイルス粒子形成に必須な要素を発現させることで行われる。一般的には、前記ウイルス粒子形成に必須な要素のうち、シス供給を要するものとトランス供給可能なものを分離してウイルス産生用の細胞に導入することで、野生型ウイルスの産生、及びウイルスの感染先での自立複製を防ぐ方法が取られる(特許文献1)。
以下、AAVを由来とした遺伝子組換えウイルスベクター(以下、rAAVベクター)を例に挙げて具体的に説明すると、1)野生型AAVゲノムの両端のITRを残し、rep、cap遺伝子を除いた核酸をプラスミドに搭載したrAAVプラスミドの導入、2)Rep、Capタンパク質をトランスに供給するためのrep、cap遺伝子発現プラスミドの導入、加えてAAVはその感染性ウイルス粒子形成にヘルパーウイルスと呼ばれる、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、又はワクシニアウイルス等のいずれかからの補助要素の供給を要することから、3)アデノウイルス感染、を用いる方法が確立されている(特許文献2)。更に、上記方法を用いると、理論上、製造されたベクター液中にアデノウイルスが混入するが、それを回避するため、上記3)に代わって3’)アデノウイルス由来要素のうち、AAVのウイルス粒子形成に必須な要素のみを発現するヘルパープラスミドの導入、を用いる製造方法(ヘルパーフリー系)が開発された(特許文献3)。
ウイルス産生が達成されたウイルス産生細胞は、その後、回収、破砕され、得られたrAAVベクターを含む細胞破砕液を適宜フィルターろ過、超遠心、クロマトグラフィー、又は限外ろ過等の工程に供することによってrAAVベクターが精製され、最終製造物となる。
現在、ウイルスベクターの利用が遺伝子治療の基礎研究又は臨床応用の分野に広がるにつれ、より高力価、高純度のウイルスベクターを取得する方法が必要とされ、各種の改良方法が開示されている。例えば、培養培地のpHを上昇させたストレス条件下でウイルス産生細胞を培養することで、ウイルスの産生とウイルスの培養上清への放出割合を促す方法(特許文献1)が知られているが、それ以外は産生されたウイルスの精製以降の工程についての工夫である。一方、ウイルスを精製に供する前に実施されるウイルス産生細胞の処理方法については、依然改善の余地が残されている。
国際公開第00/14205号パンフレット 国際公開第97/06272号パンフレット 国際公開第97/17458号パンフレット
本発明の目的は、煩雑な操作なく効率よく高純度の非エンベロープウイルスを得るための製造方法を提供することにある。
本発明者らは煩雑な操作なく効率よく高純度の非エンベロープウイルスを得るための製造方法を提供することを目的に鋭意研究の結果、ウイルス産生細胞を培養し、当該細胞と酸性の溶液とを接触させることで、煩雑な操作なく効率よく高純度の非エンベロープウイルスが得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明を概説すれば、本発明は
[1]非エンベロープウイルスの製造方法であって、
(a)非エンベロープウイルスを産生する能力を有する細胞を培養する工程、
(b)前記細胞と酸性の溶液とを接触させる工程、及び
(c)非エンベロープウイルスを取得する工程、
を含む、方法、
[2]酸性の溶液が、pH3.0〜6.9である[1]に記載の方法、
[3]酸性の溶液が、更にナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の方法、
[4](c)の工程が、非エンベロープウイルスを精製する工程を含む[1]〜[3]のいずれか1つに記載の方法、
[5]非エンベロープウイルスを精製する工程が、超遠心、クロマトグラフィー、及び限外ろ過から選択される操作により実施される[4]に記載の方法、
[6]非エンベロープウイルスがアデノ随伴ウイルスベクターである[1]〜[5]のいずれか1つに記載の方法、
[7]酸性の溶液がカチオン、及びクエン酸を含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1つに記載の方法、
に関する。
本発明により、煩雑な操作なく効率的に高純度の非エンベロープウイルス液を得るための製造方法が提供される。更に、当該製造方法に使用される酸性の溶液、当該製造方法を用いて製造した非エンベロープウイルスが提供される。本発明の酸性の溶液を用いて得られたウイルス粗抽出液は、従来の非エンベロープウイルス精製方法にも適用可能である。
実施例2における、超遠心精製の各画分を泳動したポリアクリルアミドゲルを蛍光検出した写真である。 実施例3における、陽イオン交換クロマトグラフィー精製の各画分を泳動したポリアクリルアミドゲルを蛍光検出した写真である。 実施例7における、ヘパリンカラムクロマトグラフィー精製の各画分を泳動したポリアクリルアミドゲルを蛍光検出した写真である。 実施例10における、ゲノム力価のグラフである。 実施例10における、タンパク質濃度(A280)のグラフである。 実施例10における、AAV純度のグラフである。
本明細書において非エンベロープウイルスとは、エンベロープウイルス以外のウイルスを指す。ここでエンベロープウイルスとは、ウイルス表面に脂質層もしくは脂質2重層を持つウイルスを指す。エンベロープは、ウイルスが核、小胞体、ゴルジ装置、原形質膜、細胞膜等の膜を貫通して出芽する際に形成され、通常宿主由来のタンパク質又は宿主の細胞膜上に発現したウイルスのタンパク質を伴っており、標的細胞への感染に重要な役割を担っている。そして非エンベロープウイルスとは、前述のとおり、エンベロープウイルス以外のウイルスを指し、代表的なものとしては、DNAをゲノムとするウイルスについては、アデノウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、ヒトパピローマウイルス等、RNAをゲノムとするウイルスについては、ロタウイルス、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、サポウイルス、ノロウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ライノウイルス、アストロウイルス等が例示される。
本発明の製造方法で製造される非エンベロープウイルスに特に限定はなく、既に産生方法が知られた非エンベロープウイルスでも、天然から新たに取得された非エンベロープウイルス、又はそれらを由来とする組換えウイルスベクターでもよい。本発明の製造方法で製造される非エンベロープウイルスには、好適にはアデノウイルス、又はパルボウイルス科のAAVが例示される。
本明細書においてウイルスを産生する能力を有する細胞(ウイルス産生細胞)とは、ウイルス産生に必要な要素を発現し、ウイルス粒子を産生する細胞のことを指す。本発明の製造方法で用いられるウイルス産生細胞に特に限定はなく、環境中や、感染症の患者の臨床検体等から得られたウイルス産生細胞でもよく、人為的に作製したウイルス産生細胞でもよい。好適には、本発明には人為的に作製したウイルス産生細胞が使用され、例えば所望の非エンベロープウイルスの粒子形成に必須な要素を供給する核酸、及び非エンベロープウイルスの粒子に封入される核酸を任意の細胞に導入することにより作製した非エンベロープウイルス産生細胞や、所望の細胞に人為的に非エンベロープウイルス、及び/又は当該ウイルスを産生させるために必要なヘルパーウイルスを感染させたウイルス産生細胞が使用される。
本明細書において、ウイルスベクターとは、カプシド(capsid)と呼ばれるタンパク質の殻から構成された粒子、いわゆるウイルス粒子を意味する場合、及び前記のウイルス粒子に包含されているウイルスゲノム(核酸形状)を意味する場合の両方が含まれる。例えば、AAVの場合、rAAVベクターはカプシドを備えたrAAV粒子もしくはrAAV粒子内に存在するウイルスゲノムDNAのいずれかを意味する。また、本発明は、ウイルス様粒子(例えばAAV中空粒子:国際公開第2012/144446号パンフレット)の場合にも適用できる。ゆえに、ウイルス粒子の態様には、ウイルス様粒子、あるいはウイルス中空粒子の場合も含む。
以下、rAAVベクターを例に挙げて説明すると、rAAV粒子形成に必須な要素として、(A)AAV由来Repタンパク質、Capタンパク質、(B)アデノウイルス由来要素、例えばE1aタンパク質、E1bタンパク質、E2タンパク質、E4タンパク質、VARNAを供給する核酸配列、等が例示される。
前記任意の細胞としては、特に限定はなく、ヒト、サル、げっ歯類等の哺乳動物細胞、好適にはトランスフェクション効率が高い293細胞(ATCC CRL−1573)や293T細胞(ATCC CRL−11268)、293F細胞、293FT細胞(いずれもライフテクノロジーズ社製)、G3T−hi細胞(国際公開第06/035829号パンフレット)、Sf9細胞、市販のウイルス産生用細胞株、AAV293細胞(Stratagene社製)が例示される。また、例えば、前記293細胞等はアデノウイルスE1タンパク質を恒常的に発現するが、このような、rAAV産生に必要なタンパク質の1つ又はいくつかを一過的もしくは恒常的に発現するように改変した細胞であってもよい。
前記rAAV粒子形成に必須な要素を供給する核酸として、(a)Repタンパク質をコードする核酸、Capタンパク質をコードする核酸、(b)アデノウイルス由来要素をコードする核酸が例示される。これらの核酸の形態には限定はなく、それぞれの要素を供給可能な1又は複数の核酸構築物として、プラスミドやウイルスベクターに搭載して、細胞に導入することができる。(a)の核酸構築物としては、例えば市販のプラスミドであるpRC2−mi342 Vector、pHelper Vector(タカラバイオ社製)が例示される。また、バキュロウイルスベクターを利用して(a)、及び(b)の核酸構築物を導入する場合は、Bac−RepやBac−Cap等のベクターを利用することができる。本明細書において、Capタンパク質をコードする核酸は、Capタンパク質をコードする以外に、Capタンパク質をコードするものとは異なる読取り枠でAAV粒子の形成に必要なAssembly−Activating Protein(AAP)をもコードしている[プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ジ USA(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第107巻、第10220−10225頁(2010)]。特に断らない限り、本明細書に記載された「Capタンパク質をコードする核酸」はAAPをもコードしている核酸を指す。Capタンパク質をコードする核酸においてAAPの機能が失われるような変異が(自然発生的に、もしくは人為的に)生じている場合には、更にAAPをコードする核酸を導入すればよい。(b)について、E1aタンパク質、E1bタンパク質をコードする核酸は、293細胞等においてはゲノム中に挿入されて恒常発現しているため、導入する必要はない。E1aタンパク質、E1bタンパク質をコードする核酸は、使用する細胞に応じて必要であれば導入すればよい。
前記のrAAV粒子に封入される核酸は、AAV由来のITR配列とrAAVベクターに搭載することが望まれる核酸で構成される。rAAVベクターに搭載することが望まれる核酸としては、任意の外来遺伝子、例えばポリペプチド(酵素、成長因子、サイトカイン、レセプター、構造タンパク質等)、アンチセンスRNA、リボザイム、デコイ、RNA干渉を起こすRNA等を供給する核酸が例示される。加えて外来遺伝子の発現の制御のため、適当なプロモーター、エンハンサー、ターミネーターやその他の転写調節要素が前記の核酸に挿入されていてもよい。例えば、rAAV粒子に封入される核酸は、2つのITR配列の間にrAAVベクターに搭載することが望まれる任意の外来遺伝子を含んでいてもよく、または、2つのITR配列の間に、rAAVベクターに搭載することが望まれる任意の外来遺伝子および該外来遺伝子の発現の制御のための1以上の要素を含んでいてもよい。ウイルス粒子に封入される核酸は核酸構築物として、プラスミドの形態で細胞に導入することができる。前記のプラスミドは、例えば市販のrAAVベクタープラスミドであるpAAV−CMV Vector等(タカラバイオ社製)を使用して構築することができる。
核酸構築物の導入の方法としては、一過性、又は恒常的な導入方法が例示される。
一過性に導入する方法には特に限定はなく、公知の一過性導入方法、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、ポリエチレンイミン法、エレクトロポレーション法等が使用可能である。また市販の試薬、例えばTransIT(登録商標)−293 Reagent、TransIT(登録商標)−2020(以上、Mirus社製)、Lipofectamine 2000 Reagent、Lipofectamine 2000CD Reagent(以上、ライフテクノロジーズ社製)、FuGene(登録商標)Transfection Reagent(プロメガ社製)等を用いてもよい。また、バキュロウイルスを用いた昆虫細胞を利用した導入法を利用することもできる。
また恒常的に導入する方法には特に限定はなく、公知の恒常的導入方法、例えばレトロウイルスベクターを用いる方法、プラスミドの一過性導入方法と同様の方法で導入し、染色体に組み込まれた細胞を選択する方法等が使用可能である。レトロウイルスベクターを用いる方法においては、市販の試薬、例えばRetorovirus Constructive System(タカラバイオ社製)を用いてもよい。
以上、rAAVベクターを例に挙げて説明したが、このようにして作製された非エンベロープウイルス産生細胞を培養することが、本発明の非エンベロープウイルス製造の第一の工程である。非エンベロープウイルス産生細胞の培養は公知の培養条件で行うことができる。例えば温度30〜37℃、湿度95%、CO濃度5〜10%での培養が例示されるが、本発明はこのような条件に限定されるものではない。所望の非エンベロープウイルス産生細胞の増殖、非エンベロープウイルスの産生が達成できるのであれば前記の範囲以外の温度、湿度、CO濃度で実施してもよい。また、培養期間は特に限定はなく、例えば12〜150時間、好適には48〜120時間である。非エンベロープウイルス産生細胞の培養に使用される培地としては、細胞の培養に必要な成分を含んでいればよく、例えば、DMEM、IMDM、DMEM:F−12等の基本合成培地(以上、シグマ社などから販売)、また必要に応じてこれらの基本合成培地にウシ胎児血清、成長因子類、ペプチド類を添加したり、アミノ酸類を増量したりしたものが挙げられる。
上記のように培養された非エンベロープウイルス産生細胞を、第二の工程として、酸性の溶液と接触させる。当該工程は、培養後に遠心分離やろ過によって培養液を除去して回収された非エンベロープウイルス産生細胞のペレットを酸性の溶液に懸濁する操作、もしくは非エンベロープウイルス産生細胞の培養液に培養液を酸性とし得る成分を添加する操作、により実施される。酸性の溶液と接触させる時点での非エンベロープウイルス産生細胞は、既にウイルス産生が達成された状態であり、酸性の溶液と接触している間にはウイルスの産生や細胞の増殖は見られない。酸性の溶液と接触している際の温度と時間は特に限定はなく、温度としては例えば0〜40℃、好適には4〜37℃、時間としては例えば1分〜48時間、好適には5分〜24時間が例示される。更に酸性の溶液と接触させた状態で、−80℃等の超低温フリーザーにおいて長期に保存することも可能である。この接触操作により非エンベロープウイルスは産生細胞外に放出される。本発明の方法は、従来法として一般的な超音波破砕、凍結融解等の物理的な細胞破砕方法を含んでもよいし、含まなくてもよい。
本明細書における酸性の溶液とは酸性を示す溶液のことを指す。本発明の酸性の溶液は、非エンベロープウイルス産生細胞の培養時のpHより低いpHを示し、かつウイルス産生が達成された非エンベロープウイルス産生細胞を処理して非エンベロープウイルスを含む粗抽出液を取得できる溶液であれば限定はない。本発明に使用される酸性の溶液としては、例えば、pH3.0〜6.9、好ましくはpH3.0〜6.0、更に好ましくはpH3.0〜5.0の溶液が例示される。本発明に使用される酸性の溶液としては、例えば、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸、スルホサリチル酸、ギ酸、及びそれらの塩等、更に、MES、Bis−Tris等の緩衝域がpH7以下のグッドバッファーから選択される化合物を含有する溶液が例示される。本発明には、好適にはクエン酸、酢酸、リン酸、及びそれらの塩を含有する酸性の溶液が使用される。当該酸性の溶液における前記化合物の濃度としては、好ましくは濃度5mM〜1M、より好ましくは10〜500mMが例示される。また、本発明の酸性の溶液の溶媒には特に限定はなく、水、緩衝液、細胞培養用培地等、適宜選択可能である。また、溶媒は引き続いての操作に応じて各種イオンを含んでいてもよい。このようなイオンとしては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンなどのカチオンが挙げられる。本発明の酸性の溶液の溶媒としては、好適には水や、塩化ナトリウム溶液、塩化カリウム溶液、塩化マグネシウム溶液、生理的食塩水等のナトリウムイオン、カリウムイオン、及び/又はマグネシウムイオンを含む水溶液、もしくはブドウ糖溶液、ショ糖溶液等の糖類を含む水溶液等が例示される。当該溶液中のナトリウムイオン、及び/又はカリウムイオン濃度としては、特に限定はないが、例えば、5mM〜2.7M、好ましくは、5mM〜1M、より好ましくは20〜800mMが例示される。なお、これらのイオン濃度については、後述する第三の工程の実施内容に応じて適宜設定することが可能である。例えば、本発明の酸性の溶液を使用して取得した非エンベロープウイルスの粗抽出液を用いてクロマトグラフィーにより非エンベロープウイルスを精製する場合は、適切な塩濃度に調整された本発明の酸性の溶液を使用することが好ましく、例えば、ナトリウムイオン濃度を3M以下、好ましくは50mM〜2Mにすることが好ましい。特に限定はされないが例えば、30〜40mMのクエン酸緩衝液で200〜500mMのナトリウムイオンを含有する酸性の溶液を用いてもよい。さらに、40〜60mMのクエン酸緩衝液で300mM〜2.5Mのナトリウムイオンを含有する酸性の溶液であってもよい。
非エンベロープウイルス産生細胞の培養液に添加して培養液を酸性とし得る成分は、該培養液のpHを非エンベロープウイルス産生細胞の培養時のpHより低いpHにする成分であり、かつ、ウイルス産生が達成された非エンベロープウイルス産生細胞から非エンベロープウイルスを含む粗抽出液を取得できる成分であれば限定はない。本発明に使用される培養液を酸性とし得る成分としては、例えば、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸、スルホサリチル酸、ギ酸、及びそれらの塩等、ならびに上記の酸性の溶液と同様の溶液が挙げられる。培養液を酸性とし得る成分の添加量としては、ウイルス産生が達成された非エンベロープウイルス産生細胞から非エンベロープウイルスを含む粗抽出液を取得できる量であれば特に限定されず、当業者により適宜決定される。さらに、該培養液を酸性とし得る成分と共に、各種イオン成分を添加してもよく、例えば、上記の酸性の溶液について記載されたのと同様のイオン溶液を使用できる。
上記の工程を経て得られた、細胞外に非エンベロープウイルスが放出されたウイルスの粗抽出液は、第三の工程として非エンベロープウイルスの取得に供される。例えば、第二の工程により得られた粗抽出液を遠心分離やフィルターろ過して上清又はろ液を取得して、細胞やその残渣とは分離された非エンベロープウイルスベクター粗精製物を調製することにより、非エンベロープウイルスを取得することができる。また、本発明の方法においては、当該方法で得られた非エンベロープウイルスベクター粗精製物そのまま、あるいは別途中和液を添加することにより安定して保存することができる。当該中和液は、前記粗精製物の溶液のpHが中性に調整できるものであれば特に限定はされないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性溶液やpH8.5〜10.0の高濃度の緩衝液が例示される。さらに例えば、1〜3Mの濃度のトリス塩酸(Tris−HCl)緩衝液、TAPS緩衝液、Bisin緩衝液、グリシン緩衝液等を使用して粗精製物の中和を実施することができる。また、本発明の方法においては、引き続き前記粗精製物を超遠心、クロマトグラフィー、限外ろ過、その他公知の方法による精製に供し、濃縮もしくは精製した非エンベロープウイルスを最終製造物として取得することができる。前記クロマトグラフィーによる非エンベロープウイルスの精製は、イオン交換カラム(例えば、ムスタングQ(pall社製))やアフィニティカラム(例えば、AVB Sepharose(GE社製)やヘパリンカラム等)、ハイドロキシルアパタイトカラム等によって実施することができる。また、非エンベロープウイルスベクター粗精製物または、第二の工程により得られた粗抽出液をさらに高濃度の酸で処理することにより前記の粗精製物または粗抽出液中に含まれる夾雑物を沈殿させることができる。粗精製物または粗抽出液をさらに高濃度の酸で処理する工程は、例えば、第二の工程において使用される酸性の溶液または酸性とし得る成分について例示されたのと同様の溶液または成分を添加する操作が挙げられる。前記の「さらに高濃度の酸」の濃度としては、粗精製物または第二の工程により得られた粗抽出液の酸濃度より高い濃度の酸であればよく、特に限定はされない。特に限定はされないが例えば、30〜40mMのクエン酸緩衝液で細胞を処理して得られた粗抽出液に、クエン酸の終濃度が50〜200mMに上昇するようにクエン酸またはクエン酸緩衝液を添加することにより、粗抽出液中の夾雑タンパク質を沈殿させることができる。こうして得られたウイルスは、適切な方法、例えば凍結して所望の用途に使用するまで保存される。
本明細書では、非エンベロープウイルスの取得の程度は非エンベロープウイルスの力価等を用いて示される。前記非エンベロープウイルスの力価は、特に限定はないが、一定量の試料中のa)非エンベロープウイルスのゲノムの個数(ゲノム力価)、b)実験的に測定される非エンベロープウイルスの細胞への感染能力(感染力価)、又はc)非エンベロープウイルスを構成するタンパク質量(あるいはタンパク質純度)を測定する方法のいずれかであり、必要に応じて明示される。
ゲノム力価の測定方法としては、例えば非エンベロープウイルス含有試料中のウイルスゲノムのコピー数をPCR法で測定する方法が例示される。
感染力価の測定方法としては、例えば非エンベロープウイルスの系列希釈液を適当な標的細胞に感染させ、細胞の形状変化(細胞変性)を検出する方法、導入遺伝子の発現を検出する方法、細胞に導入されたウイルスゲノムのコピー数を測定する方法等が例示される。
非エンベロープウイルスを構成するタンパク質量(あるいはタンパク質純度)を測定する方法としては、例えば当該タンパク質を免疫的手法で定量する方法等が例示される。
本発明の方法は、耐酸性を有する非エンベロープウイルスに対して好適であり、特に限定はされないが1型〜6型AAV等が例示される。
本発明により、非エンベロープウイルスの製造方法の他、当該製造方法に使用される酸性の溶液、及び当該製造方法で製造した非エンベロープウイルスも提供される。また、本発明の製造方法を用いて取得した非エンベロープウイルスを有効成分とする医薬組成物も提供される。当該医薬組成物は、遺伝子治療用のウイルス製剤の製造技術に従って適宜調製することができる。例えば、本発明の製造方法により得られた非エンベロープウイルスを公知の方法で更に濃縮、精製、加工して得られた非エンベロープウイルスを医薬組成物とすることができる。当該医薬組成物は、患者由来の細胞に体外で使用するか、もしくは患者へ直接投与することもできる。
さらに、本発明の一の態様として、非エンベロープウイルスを製造するためのキットであって、
非エンベロープウイルスの粒子形成に必須な要素を供給する核酸を含むベクター、
非エンベロープウイルスの粒子に封入される核酸を含むベクター、および
酸性の溶液、
を含むキットが提供される。前記キットは、得られた非エンベロープウイルス含有溶液を中和するための中和液をさらに含んでいてもよい。
また、本発明のキットの別態様としては、
酸性の溶液、および
中和用の溶液、
を含むキットであってもよい。
さらに別態様として、
酸性の溶液、
中和用の溶液、
ウイルス精製用カラム、および
カラム精製操作に使用される各種の緩衝液、
を含むキットであってもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 粗抽出液の取得工程における酸性の溶液による処理の効果
(1)rAAVベクター製造用細胞の播種
細胞培養用10cmディッシュ(コーニング社製)2枚に、10%FBS(ニチレイバイオサイエンス社製)を含むDMEM/F12(ギブコ社製)に懸濁した293細胞を播種した。その後、37℃のCOインキュベーターで終夜培養し、細胞がおよそ70%コンフルエントになっていることを確認した。
(2)rAAVベクター製造用プラスミドのトランスフェクション
実施例1−(1)で得られた細胞に、リン酸カルシウム法を用いて、2型AAV(以下、AAV2)のRepタンパク質、及びCapタンパク質をコードするpRCプラスミド(Cell Bio Labs社製)、アデノウイルスのE2A、VA、V4配列を含むpHLPプラスミド(Cell Bio Labs社製)、AAV2の2つのITRの間に蛍光タンパク質AcGFP1の発現カセットとして「CMVプロモーター配列、AcGFP1をコードする配列、PolyA配列」を含むpAAV−AcGFPプラスミドをそれぞれ23.1μgずつトランスフェクションした。トランスフェクション7時間後、培地を完全に除去し、DMEM/F12をディッシュ1枚当たり15mL添加し、37℃のCOインキュベーターで2日間培養した。
(3)rAAVベクター産生細胞の回収
実施例1−(2)で得られたディッシュから培地を完全に除去した後、20mM EDTA(和光純薬社製)を含むPBS(ギブコ社製)3mLを各ディッシュへ添加し、室温で数分間反応させることで細胞を剥離させた。その後、溶液ごと細胞を回収し、1,750×g、4℃、10分間遠心後、上清を除去した。細胞ペレットを4mLのPBSで再懸濁し、2mLずつ2本の遠心管に分注した。それぞれの遠心管を1,750×g、4℃、10分間遠心後、上清を除去した。
(4)超音波破砕法による粗抽出液の取得
実施例1−(3)で得られた遠心管の一方にPBSを1mL添加し、超音波破砕装置(ビーエム機器社製)で破砕、休止のサイクルを5回繰り返し、rAAVベクターを含む破砕液を調製した。破砕液を14,000×g、4℃、10分間遠心後、その上清を回収してrAAVベクターの粗抽出液とした。
(5)酸性の溶液(ACD−A液)処理による粗抽出液の取得
実施例1−(3)で得られた遠心管のもう一方に酸性の溶液としてACD−A液(テルモ社製)を1mL添加し、15秒間ボルテックスミキサーで混和を行い、37℃ウォーターバスで5分間静置、再び15秒間ボルテックスミキサーで混和を行った。その後、14,000×g、4℃、10分間遠心した。得られた上清を粗抽出液とした。なお、ACD−A液の組成は、2.2w/v% クエン酸ナトリウム水和物、0.8w/v% クエン酸水和物、2.2w/v% ブドウ糖であり、pHは4.5〜5.5である。
(6)粗抽出液のゲノム力価測定、及びタンパク質濃度(A280)測定
実施例1−(4)、及び実施例1−(5)で調製した粗抽出液2μLをDNaseIバッファー(タカラバイオ社製)で50倍希釈した後、説明書に記載の濃度のDNaseI(タカラバイオ社製)で処理し、遊離のゲノムDNAやプラスミドDNAを除去した。その後、DNaseIを不活化するために75℃、30分間の熱処理を行って、DNaseI処理済みのrAAVベクター含有溶液を得た後、4℃あるいは−20℃にて保存した。このDNaseI処理済みのrAAVベクター含有溶液100μLに、buffer AL(キアゲン社製)を100μL添加し、56℃、10分間処理した。この溶液を注射用水(大塚製薬社製)で100倍希釈し、この希釈液2μLをrAAVベクターのゲノム力価測定に使用した。ゲノム力価測定にはSYBR Premix ExTaqII(タカラバイオ社製)を使用し、反応液の調製等の操作はキット添付の説明書に従った。標準品としては、pAAV−AcGFPプラスミドを制限酵素EcoRI(タカラバイオ社製)で消化し、線状化したDNAを用いた。なお、リアルタイムPCRに用いたプライマー配列は、AcGFP1発現カセットに搭載されたCMVプロモーター配列にアニーリングする配列とした。更に、実施例1−(4)、及び実施例1−(5)で調製した粗抽出液のタンパク質濃度をNanoDrop1000(Thermo Fisher Scientific社製)のタンパク質濃度測定モードにてA280を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005861001
VG=vector genome
表1より、粗抽出液のゲノム力価は、ACD−A液処理条件の方が超音波破砕条件よりも2.8倍、高値を示した。また、粗抽出液のA280測定値は、ACD−A液処理条件の方が超音波処理条件より低かった。このことは、ACD−A液処理によって得られた粗抽出液にはrAAVベクターが効果的に抽出され、かつ夾雑タンパク質が少ないことを示す。
実施例2 精製工程における酸性の溶液による粗抽出の効果(超遠心精製)
(1)rAAVベクターの産生とACD−A液による粗抽出液の取得
実施例1−(1)〜(3)と同様の方法でrAAVベクター産生細胞を回収した。ただし本実施例では、培養容器をCellBIND(登録商標)T225フラスコ(コーニング社製)に変更し、付随する反応系をこれに合わせてスケールアップした。回収した細胞ペレットに10mLのACD−A液を加え、15秒間ボルテックスミキサーで混和を行い、37℃ウォーターバスで5分間静置、再び15秒間ボルテックスミキサーで混和を行い、その後、14,000×g、4℃、10分間遠心した。得られた上清を粗抽出液とした。また、比較対照として、同じ条件で培養したrAAVベクター産生細胞より一般的なrAAVベクターの抽出法である凍結融解法を用いて粗抽出液を調製し、それをベンゾナーゼ(登録商標)(メルクミリポア社製)処理(終濃度250U/mL)した後、2回超遠心を行って精製したrAAVベクター液を用いた。
(2)粗精製処理
実施例2−(1)で得られた粗抽出液を14,000×g、4℃、20分間遠心し、上清を回収した。回収した上清をポアサイズ0.2μmのポジダインフィルター(ポール社製)でろ過し、これを粗精製物とした。
(3)超遠心精製
実施例2−(2)で得られた粗精製物をウルトラクリアチューブ(ベックマン・コールター社製)に入れ、塩化セシウムを用いた密度勾配超遠心法にて常法により精製を行った。
(4)画分の回収と屈折率(RI)測定
実施例2−(3)で得られた超遠心後のチューブの最下部を注射針で穿孔し、流出してくる液を3〜6滴ずつ回収した。目視できる浮遊物が混入した時点で回収を終了し、それぞれの画分の屈折率(RI)を屈折率計(Reichert社製)で測定した。
(5)回収画分のゲノム力価測定
実施例2−(4)で得られた画分のゲノム力価を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。結果を2−(4)で測定した屈折率とともに表2に示す。
Figure 0005861001
表2より、rAAVベクターは、画分4〜10にかけて集積がみられた。
(6)回収画分のタンパク質純度測定
実施例2−(4)で得られた画分の中でrAAVベクター集積が特に高かった画分5〜10を透析膜(Thermo社製)に入れ、PBSにて透析を行った。得られた各画分のそれぞれ10μLに2×サンプルバッファー(タカラバイオ社製)を10μL加えて混合し、95℃、5分間処理を行った。比較対照として、実施例2−(1)で示した凍結融解法にて精製したrAAVベクター液を用いた。各処理液10μLを12.5%ポリアクリルアミドゲル(アトー社製)にアプライし電気泳動を行った。泳動終了後、ゲルを適当量のOriole蛍光ゲルステイン溶液(バイオラッド社製)に浸し、遮光して90分間振とうした。振とう後のゲルをLuminoshot400(タカラバイオ社製)にて撮影した。その結果を図1に示す。
図1より、ACD−A液処理を含む精製法は比較対照よりも超遠心精製後のrAAVベクター液(画分5〜10)中の夾雑タンパク質が少なく、rAAVベクターの純度が高いことが示された。なお、表2より、ACD−A液処理を含む精製法の回収率((画分5〜10の総ゲノム力価合計×100)/超遠心前の総ゲノム力価)は57.7%であった。
(7)回収画分のdsDNA混入量測定
実施例2−(1)で得られたACD−A液処理による粗抽出液、実施例2−(2)で得られた超遠心精製前の粗精製物、実施例2−(6)の透析後の画分6と画分10、及び比較対照として、実施例2−(1)で得られた凍結融解法精製rAAVベクター液のdsDNA量をPicoGreen dsDNA Quantitation Kit(インビトロジェン社製)に記載のプロトコルに従って測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005861001
表3の結果より、画分6と画分10のdsDNA量は、超遠心前にベンゾナーゼ処理を行わないにもかかわらず、比較対照(ベンゾナーゼ処理有り)よりも低い結果となった。このことは、ACD−A液処理で得られた粗抽出液を超遠心精製に用いることで、従来法よりも高純度のrAAVベクター液が得られることを示す。
実施例3 精製工程における酸性の溶液による粗抽出の効果(陽イオン交換クロマトグラフィー精製)
(1)クロマトグラフィー用粗抽出液の調製
実施例2−(1)及び(2)と同様の方法で粗精製物を調製した。この粗精製物を注射用水(大塚製薬社製)にて5倍希釈しアプライ用サンプルとした。
(2)陽イオン交換クロマトグラフィー精製
シリンジ(テルモ社製)、ポアサイズ0.2μmのポジダインフィルター、陽イオン交換膜(Mustang S;ポール社製)の順で接続し、陽イオン交換クロマトグラフィー装置とした。注射用水で5倍希釈したACD−A液をシリンジに5mL充てんし、1分間におよそ4mLの流速になるよう通液した。次にシリンジを交換し、実施例3−(1)で調製したアプライ用サンプル10mLを同様に通液した。この時の透過液をフロースルーとして回収した。シリンジを交換し、注射用水5倍希釈したACD−A液5mLを同様に通液した。この時の透過液をウォッシュ液として回収した。更にシリンジを交換しそれぞれ(1)50mM グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9)、(2)PBS、(3)2M NaClを3mLずつ同様の流速で通液した。この時の透過液を(1)溶出液1、(2)溶出液2、(3)溶出液3とした。
(3)各画分のゲノム力価測定
実施例3−(2)で得られた各画分のゲノム力価を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005861001
表4より、溶出液2(PBS)にアプライされたrAAVベクターの大部分(71.3%)が溶出されたことが示された。
(4)各画分のタンパク質純度測定
実施例3−(2)で得られた各溶出液を透析膜(Thermo社製)に入れ、PBSにて透析を行い、実施例2−(6)と同様の方法でタンパク質純度の測定を行った。比較対照として、実施例2−(4)にて酸性の溶液で抽出後、超遠心精製されたrAAVベクター(画分10)も同様に純度測定を行った。結果を図2に示す。
図2より、大半の夾雑タンパク質は溶出液1に溶出していた。表4の通り、溶出液1にはrAAVベクターはほとんど検出されなかったことと合わせると、ACD−A液処理によって得られた粗抽出液は、従来と同様の方法で陽イオン交換カラムクロマトグラフィー精製に適用可能であり、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー装置によってrAAVベクターと夾雑タンパク質の分画が可能であることが示された。
実施例4 酸性の溶液の処理温度の検討
(1)rAAVベクター産生細胞の回収
実施例1−(1)〜(3)と同様の方法でrAAVベクター産生細胞を回収した。ただし本実施例では培養容器をCellBIND(登録商標)T75フラスコ(コーニング社製)に変更し、付随する反応系をこれに合わせてスケールアップした。
(2)各温度でのACD−A液処理
実施例4−(1)で得られたrAAVベクター産生細胞にACD−A液1mLを加えた。15秒間ボルテックスミキサーで混和した後、(1)37℃、(2)21℃、(3)4℃にて5分間静置し、更に15秒間ボルテックスミキサーで混和した後、14,000×g、4℃、10分間遠心した。得られた上清を粗抽出液とした。
(3)粗抽出液のゲノム力価測定
実施例4−(2)で得られた各粗抽出液のゲノム力価を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。結果を表5に示す。
Figure 0005861001
表5より、粗抽出液のゲノム力価は、処理温度4℃、21℃、37℃間で顕著な差はなかった。このことから、ACD−A液処理は、幅広い温度域でrAAVベクターの抽出が可能であることが示された。
実施例5 293T細胞での粗抽出検討
(1)rAAVベクター産生細胞の回収
実施例4−(1)と同様の方法でrAAVベクター産生細胞を回収した。ただし本実施例では宿主とする細胞を293T細胞に変更した。
(2)粗抽出液の取得
実施例5−(1)で得られたrAAVベクター産生細胞から以下の3条件で粗抽出液を取得した。超音波破砕については実施例1−(4)と同様の方法で抽出を行った。ACD−A液処理については実施例1−(5)と同様の方法で抽出を行った。凍結融解に関しては300μLのPBSに細胞ペレットを再懸濁し、「ドライアイス・エタノール溶液で5分間静置、37℃ウォーターバスで3分間静置、ボルテックスミキサーで1分間混和」の処理を3回繰り返すことで、rAAVベクターを含む細胞破砕液を調製した。この細胞破砕液を14,000×g、4℃、20分間遠心後、その上清を回収して700μLのPBSを添加し、粗抽出液とした。
(3)粗抽出液のゲノム力価測定
実施例5−(2)で得られた各粗抽出液のゲノム力価を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。結果を表6に示す。
Figure 0005861001
表6より、293T細胞を用いたrAAVベクター産生細胞においても、ACD−A液処理によるrAAVベクターの抽出効率は高く、超音波破砕と比較して1.5倍、凍結融解と比較して3.8倍高いことが示された。
実施例6 酸性の溶液の塩濃度検討−1
(1)ACD−A液と等価のクエン酸バッファー調製、及び各塩濃度のクエン酸バッファー調製
ACD−A液の添付文書を参考に、38.1mMのクエン酸と74.8mMのクエン酸ナトリウムを含む38.1mMのクエン酸バッファー(pH4.9)を調製した。このバッファーのクエン酸イオン濃度はACD−A液と同じである。このバッファーに、更に終濃度50mM、又は200mMとなるように塩化ナトリウムを加えたバッファーも用意し、粗抽出液の取得に用いた。
(2)各種酸性の溶液での粗抽出液取得
実施例5−(1)と同様の方法でrAAVベクター産生細胞を回収した。回収した細胞に実施例6−(1)で調製した各バッファー、及びACD−A液を加え、実施例1−(5)と同様の方法で粗抽出液を取得した。比較対照として、実施例1−(4)と同様の方法で、超音波破砕による粗抽出液も調製した。
(3)粗抽出液のゲノム力価測定
実施例6−(2)で得られた各粗抽出液のゲノム力価を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。結果を表7に示す。
Figure 0005861001
表7より、酸性の溶液(ACD−A液、及び各種クエン酸バッファー)を用いることにより超音波破砕(比較対象)と比較して粗抽出液のゲノム力価が高くなった。また、クエン酸バッファーのナトリウムイオン濃度が高いほどゲノム力価が高くなった。このことは、酸性の溶液を用いることで効果的にrAAVベクターを抽出可能であること、また、酸性の溶液中のナトリウムイオン濃度が高いほど、rAAVベクターの抽出効率が高いことを示す。
(4)粗抽出液を用いたHT1080細胞への感染力価測定
HT1080細胞を5×10^4cells/wellとなるよう10%FBSを含むDMEM(シグマ社製)に懸濁し、24ウェルプレート(コーニング社製)に1mLずつ播種し37℃のCOインキュベーターで培養した。翌日、実施例6−(2)で得られた各rAAVベクターを含む粗抽出液を各ウェルに2μLずつ添加し、感染させた。2日後、トリプルセレクト(インビトロジェン社製)で細胞を分散した後、FACS CantoII(ベクトン・ディッキンソン社製)を用いて、rAAVベクター感染によって導入された蛍光タンパク質(AcGFP1)を発現している細胞を検出し、AcGFP1陽性細胞の割合(%)を算出した。この値は各粗抽出液中のrAAVベクターの感染力価とみなすことができる。結果を表8に示す。
Figure 0005861001
表8より、酸性の溶液(ACD−A液、及び各種クエン酸バッファー)を用いることにより、超音波破砕(比較対照)よりもrAAVベクターの感染効率が高かった。また、クエン酸バッファーのナトリウムイオン濃度が高いほど感染力価は高くなった。このことは、酸性の溶液を用いることで効果的にrAAVベクターを抽出可能であること、また酸性の溶液中のナトリウムイオン濃度が高いほど、rAAVベクターの抽出効率が高いことを示す。
実施例7 ヘパリンカラムを用いたrAAVベクター精製
(1)rAAVベクター産生細胞の培養
実施例1−(1)〜(2)と同様の方法でrAAVベクター産生細胞を培養した。ただし本実施例では、培養容器をCellBIND(登録商標)T225フラスコ(コーニング社製)に変更し、付随する反応系をこれに合わせてスケールアップした。
(2)各種酸性の溶液での粗抽出液取得
トランスフェクション48時間後のrAAVベクター産生細胞に0.5M EDTA(pH8.0)を添加し、10分間静置した後にrAAVベクター産生細胞を回収した。回収した細胞を1,750×g、4℃、10分間遠心を行い、遠心後に上清を完全に除いた。その後、細胞ペレットに2mLの実施例6−(1)で調製したクエン酸バッファー+50mM NaClを添加し、ボルテックスミキサーで混和後に5分間静置させ、再度ボルテックスミキサーで混和を行った後に1,750×g、4℃、10分間遠心を行い、上清を回収した。回収した上清に、中和を目的に1/13量の2M Tris−Cl(pH9.5)を添加し、更に1/100量の1M MgClを添加した溶液を粗抽出液とした。また、上記細胞ペレットに2mLのDMEMを添加し、液体窒素と37℃ウォーターバスで3回の凍結融解を行うことにより得た溶液を粗抽出液(比較対照)として用いた。
(3)アプライ用サンプルの取得
実施例7−(2)で得られた各粗抽出液にCold−active Nuclease(タカラバイオ社製)を終濃度0.2unit/μLになるように添加して、37℃、30分間反応させた。反応後2,380×g、4℃、10分間遠心を行い、上清を回収した。回収した上清に1/10量の5%デオキシコール酸ナトリウムを添加し、37℃で30分間反応させた。反応後、2,380×g、4℃、10分間遠心し、上清をアプライ用サンプルとした。
(4)ヘパリン樹脂カラムクロマトグラフィー精製
0.7mLのヘパリン樹脂(日本ポール社製)50% スラリーをHisTALON Gravity Columns(クロンテック社製)へ添加し、ヘパリン樹脂カラムを作製した。その後、ヘパリン樹脂カラムを3.5mLのPBSで平衡化し、上記のアプライ用ウイルスサンプルを2.8mLアプライした。3.5mLの終濃度0.1M NaClを追加添加したPBSで樹脂を洗浄し、洗浄後に1mLの終濃度0.4M NaClを追加添加したPBSを通液した。この時の透過液を、rAAVベクターを含む溶出液として回収した。rAAVベクターを含む溶出液を、アミコンウルトラ(Amicon Ultra)−0.5遠心式フィルターユニット ウルトラセル(Ultracel)−100メンブレン(ミリポア社製)に添加後、2,000×g、4℃、5分間遠心し、脱塩、濃縮を行った。同様の操作を繰り返し、すべての溶出液を脱塩、濃縮した後、0.5%ソルビトールを含むPBS200μLでメンブレン上のrAAVベクターを回収した。回収したrAAVベクター液はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で純度を確認した。結果を図3に示す。
図3より、クエン酸バッファー+50mM NaCl処理による粗抽出液を出発としたヘパリン樹脂カラムクロマトグラフィー精製rAAVベクターは、比較対照よりも夾雑タンパク質が少なく、rAAVベクターの純度が高いことが示された。
実施例8 酸性の溶液の塩濃度検討−2
(1)酸性バッファーの調製
rAAVベクター粗抽出液の取得用バッファーとして53.4mMのクエン酸と53.4mMのクエン酸ナトリウムを含むクエン酸バッファー(pH4.2)を調製した。このバッファーに、更に終濃度200mM、400mM、600mM、800mM、1.0M、1.5M、2.0M、2.5Mとなるように塩化ナトリウムを加えたバッファーも用意し、粗抽出液の取得に用いた。
(2)各種酸性の溶液での粗抽出液取得
実施例5−(1)と同様の方法でrAAVベクター産生細胞を回収した。回収した細胞に実施例8−(1)で調製した各バッファー、及びACD−A液を加え、実施例1−(5)と同様の方法で粗抽出液を取得した。
(3)粗抽出液のゲノム力価測定
実施例8−(2)で得られた各粗抽出液のゲノム力価を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。結果を表9に示す。
Figure 0005861001
表9より、クエン酸バッファーのナトリウムイオン濃度が高い場合(特に760〜1660mMの範囲)にゲノム力価が高くなった。このことは、酸性の溶液中に0.6〜2M程度のナトリウムイオン濃度を含有させることで、rAAVベクターの抽出効率が上昇することを示す。
実施例9 クエン酸添加による夾雑タンパク質の除去−1
(1)クエン酸バッファーによる粗抽出液の取得
実施例6−(2)と同様の方法でrAAVベクターを含む粗抽出液を取得した。ただし本実施例では、抽出バッファーとして実施例6−(1)の方法で調製したクエン酸バッファー+200mM NaClを用いた。
(2)クエン酸沈殿
実施例9−(1)で得られたrAAVベクターを含む粗抽出液に1/10量の1Mクエン酸溶液を加えてよく懸濁し、4℃で60分間静置した。静置後、1,750×g、4℃、20分間遠心を行い、その上清を回収し、クエン酸沈殿後液とした。
(3)クエン酸沈殿前後のゲノム力価測定、及びタンパク質濃度(A280)測定
粗抽出液とクエン酸沈殿後液のゲノム力価、及びタンパク質濃度(A280)を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。結果を表10に示す。
Figure 0005861001
表10より、クエン酸沈殿の前後でゲノム力価はほぼ変化がないが、クエン酸沈殿後はタンパク質濃度(A280)が減少していた。このことは、酸性の溶液処理で得られた粗抽出液をクエン酸沈殿することで、高純度のrAAVベクター液が得られることを示す。
実施例10 クエン酸添加による夾雑タンパク質の除去−2
(1)各種酸性の溶液での粗抽出液の取得
実施例6−(2)と同様の方法でrAAVベクターを含む粗抽出液を取得した。ただし本実施例では、抽出バッファーとして実施例6−(1)の方法で調製した「クエン酸バッファー+200mM NaCl((i)、及び(ii))」、又は「クエン酸バッファー+200mM NaClにあらかじめ1/10量の1Mクエン酸を添加した溶液((iii))」を用いた。比較対照として、実施例1−(4)と同様の方法で、超音波破砕による粗抽出液も調製した((iv))。
(2)クエン酸沈殿
実施例10−(1)で得られた粗抽出液(i)〜(iv)の一部を分取し、Before液(i)〜(iv)とした。粗抽出液(ii)の残りには、1/10量の1Mクエン酸溶液を加えてよく懸濁し、4℃で60分間静置した。一方、粗抽出液(i)、粗抽出液(iii)、及び粗抽出液(iv)の残りには、それぞれの抽出時に用いた溶液1/10量を加えてよく懸濁し、4℃で60分間静置した。静置後、1,750×g、4℃、20分間遠心し、その上清を回収し、After液(i)〜(iv)とした。
(3)ゲノム力価測定、タンパク質濃度(A280)測定、及びAAV純度算出
Before液(i)〜(iv)とAfter液(i)〜(iv)のゲノム力価、及びタンパク質濃度(A280)を実施例1−(6)と同様の方法で測定した。更に、「ゲノム力価/A280測定値」を算出し、AAV純度とした。結果を図4−1〜図4−3に示す。
図4−3より、After液(ii)のAAV純度が最も高かった。このことは、酸性の溶液処理で得られた粗抽出液をクエン酸沈殿することで、高純度のrAAVベクター液が得られることを示す。
本発明の非エンベロープウイルスの製造方法により、煩雑な操作なく効率的に高純度の非エンベロープウイルス液を得ることができる。本発明の方法により製造された非エンベロープウイルスや当該非エンベロープウイルスを有効成分とする組成物は、遺伝子治療の基礎研究又は臨床応用の分野における遺伝子導入方法として非常に有用である。

Claims (5)

  1. アデノ随伴ウイルスの製造方法であって、
    (a)アデノ随伴ウイルスを産生する能力を有する細胞を培養する工程、
    (b)培地を除去後、前記細胞と酸性の溶液とを接触させる工程、及び
    (c)アデノ随伴ウイルスを取得する工程、
    を含み、前記酸性の溶液がpH3.0〜6.9である、方法。
  2. 酸性の溶液が、更にナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. (c)の工程が、アデノ随伴ウイルスを精製する工程を含む請求項1または2に記載の方法。
  4. アデノ随伴ウイルスを精製する工程が、超遠心、クロマトグラフィー、及び限外ろ過から選択される操作により実施される請求項3に記載の方法。
  5. 酸性の溶液がカチオン、及びクエン酸を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
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