JP5859182B2 - 圧電体モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、圧電トランスや圧電アクチュエータ、圧電モータ等の用途に適した圧電体モジュールに関するものである。
従来、圧電トランスや圧電アクチュエータ、圧電モータ等に用いられる圧電体(圧電素子)の周囲温度が変化すると、いわゆる焦電効果が働いて電極間に電荷が発生したり、放電が起こりやすくなったりするという問題が知られている。この焦電対策として、例えば圧電トランス素子の入力端子間に、圧電トランス素子の共振周波数における駆動部電極間インピーダンス値以上で、その絶縁抵抗値未満の大きさを有するインピーダンスを並列に接続する先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
上記の先行技術は、圧電体(素子)を圧電トランスとして使用した際の周囲温度の変化に着目し、そのときに生じる焦電効果に対策を施したものである。すなわち焦電対策用のインピーダンス(抵抗)は、圧電体そのものとは別に、例えば基板上に形成された回路内に組み込まれた状態で入力電極間に半田付けされるものとなっている。このため先行技術の手法は、圧電体を実用上の機器として完成させた状態で、その実際の使用環境で生じる焦電対策としてはひとまず有効であると考えられる。
特開2000−307166号公報 特開平11−330578号公報
しかしながら、焦電効果は圧電体を圧電トランス等として実用機器に適用し、実装された状態で周囲温度が変化した時だけに発生するものではなく、その前の製造過程においても発生し得る。すなわち、圧電体(圧電素子)の周囲温度が変化する状態での保管の際や、圧電体(圧電素子)をリフローやフロー技術等によって回路基板に実装する際に半田付け時の圧電体の温度変化によって焦電効果が発生することがある。このような製造過程で発生する焦電電圧は、圧電体そのものを劣化させるだけでなく、実装先の回路基板に形成された周辺回路やその回路素子に放電によるダメージを与える可能性がある。
この点、上述した先行技術の手法は、圧電体を実際に圧電トランスとして完成させた上で、既に回路基板上に実装された後でなければ役に立たないものであり、その製造過程(特に半田付けの過程)において何ら焦電対策となるものではない。
そこで本発明は、圧電体を回路基板等に実装する過程においても有効な焦電対策を施すことを課題としたものである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
解決手段1:すなわち本発明の圧電モジュールは、圧電体の外面に形成された少なくとも2つの電極間を導電性被膜によって接続(直接又は間接に接続)したものである。導電性被膜は、圧電体の外面に沿って形成されおり、電極間に付与する抵抗値が圧電体の電極間における共振抵抗値以上で、かつ、電極間の絶縁抵抗値の10%以下である。なお、上記の範囲内で電極間に抵抗値を付与するものであれば、導電性被膜が電極に対して直接に接続されていなくてもよい。
上記の「共振抵抗値」は、使用する共振モードでの圧電体(導電性被膜の形成前)の電極間における最小抵抗値に相当する。また上記の「絶縁抵抗値」は、圧電体(導電性被膜の形成前)の電極間の抵抗の値であり、ここには内部抵抗、表面抵抗をともに含む。
本発明の圧電モジュールによれば、圧電体の外面に沿って上記の導電性被膜が形成されているため、圧電体モジュール単独でみても、圧電体の電極間が他の部品を介在することなく抵抗(=導電性被膜)を介して接続された状態にある。このため、圧電体モジュールを何らかの用途(例えば圧電トランス、圧電アクチュエータ、圧電モータ)として製品に組み込む際、その製造過程で周囲温度が変化しても、その焦電効果により発生した電荷は速やかに消費され、他の回路部品等にダメージを与えることはない。
特に本発明では、導電性被膜の抵抗値を圧電体の共振抵抗値以上で、絶縁抵抗値の10%以下の範囲内で設定しているため、以下の利点がある。すなわち、導電性被膜により付与する電極間の抵抗値の下限を共振抵抗値に設定していれば、過度に抵抗が低くならないため、圧電体モジュールの使用時(入力電圧の印加時)において入力電圧が不用意に分圧されてしまうことがない。
一方で、導電性被膜により付与する電極間の抵抗値の上限を絶縁抵抗値の10%までに抑えているため、単純に「絶縁抵抗値未満」のような広い範囲内で抵抗値の上限を設定した場合に比較して、抵抗値が過度に大きくなるのを抑えることができる。もちろん、焦電対策として電極間に何らかの抵抗を接続する場合、その抵抗値が「絶縁抵抗値未満」であれば、理論上は焦電時の放電が発生しにくくなることは従来常識である。しかしながら、たとえ「絶縁抵抗値未満」であったとしても、焦電電圧に対して実際の電極間の抵抗値が過大に設定されていると、実用上はほとんどの場合に電荷の消失(消費)が得られず、実際の焦電対策として有効に機能しないことがある。
本発明の発明者等は、理論上で従来常識と考えられる範囲で抵抗値の上限を設定すると、実用上ではほとんど焦電対策として機能しない場合があることに着目し、従来常識の範囲内では見落とされていた新たな課題に着想した。そして、本発明の発明者等は鋭意研究を重ねた結果、導電性被膜により付与する電極間の抵抗値の上限を絶縁抵抗値の10%までに抑えることが課題を解決する手段として有効であることを見出したのである。
これにより本発明の圧電体モジュールは、何らかの製品としての用途に組み込まれる際の温度変化に対して実用的な焦電対策を発揮することができる。また、製品としての使用時においてその正常な圧電動作を保証するとともに、使用環境下での温度変化に対しても有効な焦電対策を発揮することができる。
解決手段2:上記の解決手段1において、導電性被膜は、樹脂と導電性材料とを混合した導電性塗料を圧電体の外面上に塗布することで形成されているものとする。このとき導電性塗料を塗布する範囲は、圧電体の外面に沿う方向でみて互いに平行に形成された電極の間を接続するのに必要な最小の距離を塗布幅としたとき、この塗布幅で単位長さ分の導電性塗料が塗布された場合に電極間に付与される単位長さあたりの初期単位抵抗値に基づいてその塗布長さが決定されていることが好ましい。圧電体の外面上で電極同士が平行に形成されていれば、その間の接続に必要な最小の距離を一定の塗布幅として規定することができる。塗布幅が一定であれば、単位長さあたりの抵抗値が一定であるため、後は導電性塗料の塗布長さを調整することで電極間に付与される抵抗値を容易に調整することができる。
上記の態様によれば、導電性被膜により付与する電極間の抵抗値を上記の最適な範囲内で設定した場合、その抵抗値を得るのに必要な導電性塗料の塗布長さは、最適抵抗値を初期単位抵抗値で除した結果から自ずと明らかになる。したがって、圧電体モジュールの製造過程では、圧電体の外面に必要な塗布長さ分だけ導電性塗料を塗布するだけの簡単な手法により、導電性被膜により電極間に付与される抵抗値を正確に管理することができる。
また導電性被膜を導電性塗料で形成した場合、圧電体の外面が立体的であっても、その外面に沿って容易に導電性被膜を形成することができる。また、導電性塗料は印刷や転写等の手法で容易に塗布することができるため、導電性被膜の形成作業が自動化に好適する。これにより、導電性被膜を形成する際の作業性を向上し、圧電体モジュールの生産効率を高めることができる。さらに導電性塗料であれば、その発色によって外観の目視検査や確認(導電性被膜が正しく形成されているか否かの検査や確認)が容易であるため、品質管理の効率化にも寄与することができる。
解決手段3:また解決手段1,2において、本発明の圧電体モジュールは、圧電体を収容した状態で保持するとともに、この保持状態にて圧電体の一部の外面を露出させる開口を有したケース体をさらに備える。この場合、導電性被膜は、圧電体がケース体に保持された状態で、開口を通じて露出する位置に形成されていることが好ましい。
通常、圧電体はその作動時の圧電効果によって振動を生じるものであることから、これを何らかの用途(例えば圧電トランス、圧電アクチュエータ、圧電モータ)に使用する場合、圧電体をケース体に保持して振動を吸収したり、圧電体を保護したりする形態が一般的である。その上で本発明では、上記のようにケース体の開口を通じて圧電体の一部の外面が露出しており、その露出する位置に導電性被膜が形成されているため、上記のような目視による検査や確認を容易に行うことができるという利点がある。
解決手段4:また本発明の圧電体モジュールは、以下の構成を有するものでもよい。すなわち圧電体モジュールは、分極された圧電体と、圧電体の外面に形成された少なくとも2つの電極と、圧電体を収容するケース体と、ケース体に設けられ、圧電体を収容した状態で電極にそれぞれ接続される少なくとも2本の端子と、これら端子間を相互に接続するべくケース体の外面に沿って形成され、端子を介して電極間に付与する抵抗値が圧電体の共振抵抗値以上で、かつ、絶縁抵抗値の10%以下である導電性被膜とを備えた構成である。
本発明の圧電モジュールにおいて圧電体をケース体に収容した構造は、上記のように作動時の振動を吸収したり、圧電体を保護したりすることで、実装部品としての適性をカバーするものである。またケース体に設けられた端子は、回路基板等への実装時に配線パターン等との接続を担うものである。その上で、ケース体の外面に沿って導電性被膜を形成していれば、圧電体の外面に導電性被膜を形成した場合(解決手段1〜3)と比較して、さらに外観による目視検査や確認を容易に行うことができる。なお、その他の利点については解決手段1〜3と共通である。
解決手段5:解決手段4において、本発明の圧電体モジュールは、ケース体に圧電体が収容された状態で、各電極と各端子とを接続する少なくとも2本の導電線をさらに備えることもできる。この場合、導電性被膜は、導電線間を相互に接続する状態でケース体の外面に沿って形成されており、端子間では、各導電線を介して各端子に導電性被膜が接続されていることが好ましい。
上記の態様であれは、各電極と各端子とを柔軟な導電線(例えば金糸線)で接続することにより、各電極と各端子とを非接触としてこれらの摩擦を解消することができる。その上で、ケース体の外面上で導電線同士が導電性被膜を通じて接続されていれば、結果的に導電性被膜から各導電線、そして各端子を通じて2つの電極間が接続された状態になるため、焦電時の電荷を確実に消失させることができる。
解決手段6:あるいは本発明の圧電体モジュールは、以下の構成であってもよい。すなわち、本発明の圧電体モジュールは、分極された圧電体と、圧電体の外面に形成された少なくとも2つの電極と、圧電体が実装された状態で、各電極を通じて圧電体の入力信号又は出力信号の少なくとも一方を伝送する回路が形成された回路基板と、回路基板上で圧電体の各電極と回路とを接続するべく少なくとも2箇所に配置された導電パターンと、回路基板上で導電パターン間を相互に接続するべく回路基板の外面に沿って形成され、導電パターンを介して電極間に付与する抵抗値が圧電体の共振抵抗値以上で、かつ、絶縁抵抗値の10%以下である導電性被膜とを備えた構成である。
上記のように圧電体モジュールに回路基板の構成を含む形態であれば、予め回路基板上の導電パターン間を導電性被膜で接続しておくことにより、圧電体をケース体に収容した状態でこれらを回路基板に実装する際に温度変化によって電荷が発生しても、これを速やかに消失させることができる。また導電性被膜は、回路基板に圧電体が実装された後も残存しているため、圧電体モジュールの使用時においても焦電対策として有効に機能する。
解決手段7:本発明(解決手段1〜6全て)において、導電性被膜は、電極間に付与する抵抗値が圧電体の電極間における共振抵抗値の10倍以上であることが好ましい。
導電性被膜により電極間に付与される抵抗値の下限を上記のように設定すれば、例えば圧電体に対して駆動用の電圧を印加する際、圧電体の方に効率よく電圧を印加してモジュールとしての効率を維持することができる。
本発明の圧電体モジュールは、圧電体やケース体、回路基板等の外面に導電性被膜を形成するだけの簡単な構成で、有効な焦電対策を実現することができる。特に、導電性被膜により電極間に付与する抵抗値を最適な範囲に設定しているため、実用上で発生し得る焦電電荷を確実に消失させることができ、焦電対策として有効に機能する。
また、電極間に付与する抵抗を導電性被膜によって形成することから、別の抵抗部品を後付けする場合に比較してコストを抑えることができるし、導電性被膜は圧電体やケース体、回路基板といった既存品の外面に付着して形成されるため、別部品を追加する形態に比較して、製品全体としての体積の増加を抑えることができる。
第1実施形態の圧電トランスを構成要素に分解して示した斜視図である。 圧電トランスの完成状態を示す斜視図である。 一次側電極間の絶縁抵抗値に対する導電抵抗値の割合と焦電時の発生電圧との関係、導電性塗料の塗布長さと抵抗値との関係をそれぞれ示した特性図である。 第2実施形態の圧電トランスの特徴部分を具体的に示す図である。 第3実施形態の圧電トランスの特徴部分を具体的に示す図である。 第4実施形態の圧電トランスの構成例を示す斜視図である。 第5実施形態の圧電トランスを構成要素に分解して示した斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では圧電体モジュールを圧電トランスに適用した実施形態を挙げて説明するが、本発明の圧電モジュールは圧電トランスの形態に限られるものではない。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の圧電トランス10を構成要素に分解して示した斜視図である。圧電トランス10は、例えば板状の圧電セラミックス12(圧電体)を樹脂製のケース体14に収容して組み立て、図1に示される向きと上下を逆さにした状態で、例えば図示しない回路基板に実装される構造である。
〔圧電体〕
ここで例に挙げている圧電セラミックス12は、例えば長細い直方体の外形を有している。そして、圧電セラミックス12の厚み方向に対向する一対の外面には、それぞれ一次側電極12a(電極)が形成されている。図1には1箇所のみ示されているが、図示の外面と反対側の面にも一次側電極12aが形成されており、圧電セラミックス12の外面には2つの一次側電極12aが形成されている。また圧電セラミックス12には、その長手方向でみて一次側電極12aと反対側に位置する端部に二次側電極12bが形成されている。なお圧電セラミックス12を長手方向でみて、一次側電極12aが形成されている部分は駆動部として機能する。また、一次側電極12aが形成されていない部分は発電部として機能する。
〔ケース体〕
ケース体14は、圧電セラミックス12よりも大きな外形をなしており、その内部には凹形状の収容部14bが形成されている。図1に示される状態(上下を逆さにした状態)では、ケース体14は上側に位置する面が開口しており、この開口からケース体14の内部に向けて収容部14bが延びている。収容部14bは圧電セラミックス12よりも一回り大きい形状を有しており、このため収容部14bには、図示のように圧電セラミックス12を小端立てした姿勢で、開口から挿入するようにして収容することができる。
またケース体14には、その両側面にそれぞれ突出部14aが一体に形成されており、これら突出部14aは、それぞれケース体14の側面からある程度の厚みをもって側方へ突出している。各突出部14aには、それぞれ導電性部材18が挿通されており、各突出部14aには、導電性部材18のための挿通穴(図1中の手前側に破線で示す。参照符号なし。)が形成されている。なお挿通穴は、各突出部14aの内部を縦方向に貫通して延びている。
〔端子〕
また導電性部材18は、それぞれ突出部14aに挿通された状態で、その一端部(図示の状態で上端部)が一次側端子18aとして形成されている。導電性部材18は、突出部14aに合わせてケース体14の両側に一対をなしており、このためケース体14には、その両側に2本の一次側端子18aが設けられていることになる。これら一次側端子18aは、いずれも図1に示される状態でケース体14の上側の面から上方に向けて突出している。
各導電性部材18は、その他端部18bが図1に示される状態でケース体14(突出部14a)の下面から下方に向けて突出するとともに、そこからケース体14の一端方向(図1中の左上方向)へ約90°に屈曲されている。なお他端部18bは、その先端がケース体14の外面(端面)から一端方向に突出している。
またケース体14には、長手方向でみて一次側端子18aと反対側の一端部に1本の二次側端子20が設けられている。この二次側端子20もまた、図1に示される状態でケース体14の上側の面から上方に向けて突出している。なおこの例では、二次側端子20の他端はケース体14の下側の面から突出しておらず、ケース体14の内部に埋設されている(突出していてもよい。)。
〔導電線〕
圧電セラミックス12の2箇所の一次側電極12aには、それぞれ略中心の位置に導電線16(例えば、金糸線)の一端が半田付けされている。また二次側電極12bにも導電線16(同じく金糸線)の一端が半田付けされている。そして、圧電セラミックス12がケース体14に収容された状態で、各導電線16の他端は一次側端子18又は二次側端子20にそれぞれ絡げ付けた状態で半田付けされるものとなっている。これにより、2箇所の一次側電極12aはそれぞれ一次側端子18と接続された状態となり、また二次側電極12bは二次側端子20と接続された状態となる。
また圧電セラミックス12は、ケース体14(収容部14b内)に収容された状態で、例えば図示しないシリコーン接着剤によって接着及び保持される。ケース体14には、例えば両側一対の突出部14aに隣接した開口の縁に2箇所の凹部14cが形成されており、これら凹部14cの位置でシリコーン接着剤が充填(又は塗布)されるものとなっている。シリコーン接着剤は、ケース体14に圧電セラミックス12を接着して保持するとともに、塗布後に定着(固着)した状態においても適度な弾性を発揮する材質である。このため圧電セラミックス12は、駆動時にケース体14の内部で自在に振動することができ、かつ、その振動がシリコーン接着剤で吸収されるものとなっている。なおシリコーン接着剤は、凹部14c以外の位置(例えば一次側電極12aと二次側電極12bとの間の振動の節)に塗布されてもよい。
〔導電性被膜〕
圧電セラミックス12には、その外面に沿って導電性被膜24が形成されている。この導電性被膜24は、例えば圧電セラミックス12の長手方向に沿う小端面を跨いでその両側に隣接する各側面(一次側電極12aが形成されている各側面)にまで回り込み、各側面において一次側電極12aに重なる(オーバーラップする)ようにして形成されている。このため図1には示されていないが、導電性被膜24は、圧電セラミックス12の反対側の側面においても一次側電極12aに重なるようにして形成されている。
このような導電性被膜24は、例えば導電性塗料(樹脂に導電性材料を混合させた塗料)を圧電セラミックス12の外面に塗布することで形成されている。なお、導電性塗料を塗布する方法としては、例えば刷毛を用いて直に塗布する方法、あるいは、導電性塗料を浸透性の担持体に浸透させた状態で、この担持体を圧電セラミックス12に対して一時的に押し付け、そこから転写するようにして塗布する方法、図示しない噴射機(エアブラシ)を用いて導電性塗料を吹き付けながら塗布する方法等がある。また導電性塗料には、上記の塗布方法の使用に適した粘度(流動性)を有するものを使用することができる。
いずれにしても、圧電セラミックス12の外面に導電性塗料を塗布することで、上記の導電性被膜24が形成される。そして導電性被膜24は、圧電セラミックス12の外面に沿って両側の一次側電極12a間を電気的に接続している。
図2は、圧電トランス10の完成状態を示す斜視図である。上記のように圧電トランス10の完成状態では、ケース体14の収容部14b内に圧電セラミックス12が収容されている。このとき圧電セラミックス12は、その全体が高さ方向でみてケース体14内に埋没しており、その長手方向に沿う小端面(図2に示される状態で上面)はケース体14の開口から突き出ていない。また上記のように各導電線16は、その他端が一次側端子18a又は二次側端子20にそれぞれ絡げ付けた状態で半田付けされている。
〔導電性被膜による焦電対策〕
完成した状態の圧電トランス10は、その一次側端子18a及び二次側端子20を下向きにした状態で、例えば図示しない回路基板にフロー槽等を用いて半田付けされることにより、回路基板に実装される。このとき、半田付け時の温度変化(フロー熱)によって圧電セラミックス12に焦電効果による電荷が発生するが、その電荷は主に導電性被膜24を通じて消費される。このため、焦電効果による圧電セラミックス12の劣化が抑えられるとともに、回路基板に形成されている周辺回路(例えば入力回路、出力回路、制御回路等)への放電によるダメージの発生を防止することができる。また導電性被膜24は、圧電トランス10が実装された後においても引き続き機能し、圧電トランス10の使用時における周辺温度の変化に対しても有効な焦電対策となる。
〔導電性被膜の特性〕
ここで導電性被膜24は、一次側電極12a間に付与する抵抗値が圧電セラミックス12の一次側電極12a間における共振抵抗値以上(好ましくはその10倍以上)であり、かつ、一次側電極12a間の絶縁抵抗値の10%以下の範囲内で設定されている。より好ましくは、第1実施形態の使用条件において、導電性被膜24により一次側電極12a間に付与される抵抗値は100GΩ以下とする。さらに望ましくは、その抵抗値を10MΩ〜1GΩの範囲内とする。このような範囲内であれば、圧電トランス10を実装する過程で焦電による損傷を防止することができるし、実装後に圧電トランス10の動作時において導電性被膜24が入力電圧を極端に分圧してしまうことがない。
〔塗布長さによる抵抗値の管理〕
特に第1実施形態では、導電性塗料を塗布する範囲の長さ(図中参照符号L)に基づいて導電性被膜24による抵抗値を管理(調整)することができる。すなわち、導電性塗料は、その塗布した範囲の面積に応じて全体としての抵抗値(一次側電極12a間に付与する抵抗値)が決まる性質のものであるため、塗布する範囲の幅を一定とすると、塗布する長さに応じて(略比例して)抵抗値を決定することができる。
第1実施形態において導電性塗料を塗布するべき範囲は、圧電セラミックス12の外面に沿う方向(一方の側面から小端面を跨いで他方の側面に至る方向)でみて、2つの一次側電極12a間を接続するのに必要な最小の距離を塗布幅(圧電セラミックス12の厚み+α)として考えることができる。そして、このときの塗布幅で単位長さ分の導電性塗料を塗布した場合に得られる抵抗値を「初期単位抵抗値(Ω/mm)」とすると、導電性被膜24全体として付与する抵抗値(Ω)は、「初期単位抵抗値(Ω/mm)」×「塗布長さ(mm)」によって求められる。
したがって、使用する導電性塗料の物性と必要な塗布幅から初期単位抵抗値(Ω/mm)が明らかになれば、後はその塗布長さLを調整するだけで容易に導電性被膜24による抵抗値を管理することができる。
図3は、一次側電極12a間の絶縁抵抗値に対する導電抵抗値の割合と焦電時の発生電圧との関係、そして導電性塗料の塗布長さと抵抗値との関係をそれぞれ示した特性図である。以下、具体的に説明する。
〔一次側電極間絶縁抵抗値に対する導電抵抗値の割合と焦電時の発生電圧との関係〕
図3中(A):上記の導電性被膜24により一次側電極12a間に付与する導電抵抗値が増加すると、横軸上でみて圧電セラミックス12の一次側電極12a間絶縁抵抗値に対する割合(%)が増加していく。
導電抵抗値の割合がほとんど0%に近ければ(抵抗が僅少)、一次側電極12a同士が短絡されている状態とほとんど同じであるため、焦電時に観測される発生電圧も0(Vdc)に近くなっている。ただし、このような導電抵抗値(絶縁抵抗値に対する割合0%)を設定すると、実際の圧電トランス10の使用時に入力電圧が大幅に分圧されてしまうため、実用的でない。したがって、このような極端に低い抵抗値は適切な数値範囲から除外するものとする。通常、一次側電極12a間に入力電圧の分圧を発生しない抵抗値としては、圧電セラミックス12の一次側電極12a間における共振抵抗値以上とすることが好ましい。したがってここでは、上記の共振抵抗値以上を数値範囲の下限に採用するものとする。
逆に、上記の導電抵抗値を大きくしていった場合、絶縁抵抗値に対する割合が大きくなるほど(抵抗が大)、今度は一次側電極12a同士が絶縁された状態に近くなる。この場合、導電性被膜24を形成していても、焦電による電荷が短時間ではほとんど消費されないことから、結果として観測される発生電圧は大きくなってしまう。本発明の発明者等による検証では、絶縁抵抗値に対する割合が10%を超えたあたりから顕著な発生電圧の上昇が見え始めており、そのときの発生電圧(V2より大きい値)は、周辺回路に対して何らかの損傷を与える可能性がある。
これに対し、導電抵抗値の割合が10%以下(例えばPa(%))になると、発生電圧はV2以下の値(例えばV1)に抑えられていることがわかる。以上より本発明の発明者等は、導電性被膜24により付与する抵抗値の最適な範囲として、その下限を共振抵抗値とし、かつ、その上限を絶縁抵抗値の10%以下とすることとした。なお、導電抵抗値の割合が10%であるときの発生電圧(V2)は、焦電による影響が生じることのない適正な上限値であった。
〔塗布長さと抵抗値との関係〕
図3中(B):上記のように塗布幅(及び塗膜厚)を一定として考えた場合、導電性塗料の塗布長さに略比例して導電抵抗値(この例では簡易的に導電性塗料の抵抗値を示すものとする)を決定することができる。したがって、上記の数値範囲内で予め適切な抵抗値(Ra)を定めておけば、その抵抗値(Ra)を得るのに必要な塗布長さ(La)を容易に決定することができる。
加えて第1実施形態では、図2に示されるように、圧電トランス10の完成状態でも圧電セラミックス12の小端面がケース体14の開口から露出しており、この小端面上に導電性被膜24が形成されていることから、その塗布長さLを容易に目視で検査したり、確認したりすることができる。また、導電性被膜24を導電性塗料で形成しているため、その発色(例えば白色、赤色、青色)により圧電セラミックス12の地色に対して導電性被膜24が際立つため、上記のような目視検査や確認がさらに容易になる。さらに、導電性塗料の発色に応じて抵抗値が異なる場合であっても、その発色から抵抗値が適正であるかどうかを容易に確認することもできる。なお第1実施形態では、例えば圧電セラミックス12及び導電性塗料について以下の条件を採用している。
先ず第1実施形態の圧電トランス10の使用条件は、例えば以下のものとする。
圧電セラミックス12の材料:PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)
圧電セラミックス12の長手寸法20mm程度×幅(高さ)寸法5mm程度、厚み寸法:1mm程度
共振周波数:160kHz
圧電セラミックス12の一次側電極12a間共振抵抗値:100Ω
圧電セラミックス12の一次側電極12a間絶縁抵抗値:2TΩ
次に、導電性塗料の条件は以下のものとする。
導電性塗料の導電性材料:酸化亜鉛(白色系)
塗布(定着)後の膜厚:20μm
初期単位抵抗値:10MΩ/mm
塗布長さ:1mm〜10mm
抵抗値:10MΩ〜10GΩ
〔第1実施形態のまとめ〕
上述した第1実施形態では、圧電セラミックス12をケース体14に収容して圧電トランス10を完成させているが、圧電トランス10(圧電体モジュール)としての最小構成にケース体14は必須でない。このため第1実施形態の圧電トランス10は、ケース体14を用いることなく、圧電セラミックス12に一次側電極12a及び二次側電極12bを形成し、その外面に導電性被膜24を形成しただけの最小構成であってもよい。
また第1実施形態では、圧電セラミックス12の長手方向に沿う小端面上に導電性被膜24を形成しているが、導電性被膜24の配置はその他であってもよい。例えば、圧電セラミックス12の短辺に沿う小端面(図2中で縦方向の小端面)に導電性被膜24が形成されていてもよい。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の圧電トランス10について説明する。第2実施形態の圧電トランス10もまた、上述した第1実施形態とその基本構成を共通とする。ただし第2実施形態では、導電性被膜24の配置が第1実施形態と異なっており、その点に特徴を有している。以下、第2実施形態の圧電トランス10について、第1実施形態との相違点を中心として説明する。なお、以下の説明では第1実施形態と共通する事項について図示を含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。
図4は、第2実施形態の圧電トランス10の特徴部分を具体的に示す図である。このうち図4中(A)は、圧電トランス10の部分的な平面図であり、また図4中(B)はその一側面図である。以下、具体的に説明する。
図4中(A):第2実施形態では、導電性被膜24が圧電セラミックス12の外面ではなく、ケース体14の外面(ここでは上面)に形成されている。すなわち導電性被膜24は、圧電セラミックス12を挟んで両側にそれぞれ位置する一次側端子18a同士の間を接続するようにしてケース体14の外面に沿って形成(塗布)されている。
図4中(B):また一次側端子18aに対して、導電性被膜24はケース体14の上面からその一側面に付着するようにして形成(塗布)されている。これにより、両側の一次側端子18a間が導電性被膜24を介して電気的に接続された状態となる。また、このとき導電性被膜24により一次側端子18aを介して一次側電極12a間に付与される抵抗値は、第1実施形態と同様の最適範囲内で設定されているものとする。
上述した第2実施形態の圧電トランス10によれば、導電性被膜24を介して両側の一次側端子18aが接続されていることから、圧電セラミックス12の2つの一次側電極12a間は、結果的に導電性被膜24、各一次側端子18a及び各導電線16を通じて接続された状態にある。したがって、実装時のフローによる温度変化で焦電効果が発生した場合であっても、その電荷が導電性被膜24を通じて短時間のうちに消費されるため、焦電による分極特性の劣化や周辺回路へのダメージを確実に抑えることができる。
なお、ここではケース体14の上面だけに導電性被膜24を形成した例を挙げているが、導電性被膜24はケース体14の側面に回り込むようにして形成(塗布)されていてもよいし、あるいは、収容部14bの内面に回り込むようにして導電性被膜24が形成(塗布)されていてもよい。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態の圧電トランス10について説明する。第3実施形態の圧電トランス10もまた、上述した第1実施形態及び第2実施形態とその基本構成を共通とする。ただし第3実施形態では、導電性被膜24の末端部分の配置が第2実施形態と異なっており、その点に特徴を有している。以下、第3実施形態の圧電トランス10について、第2実施形態との相違点を中心として説明する。なお、ここでも第1,第2実施形態と共通する事項について図示を含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。
図5は、第3実施形態の圧電トランス10の特徴部分を具体的に示す図である。このうち図5中(A)は、圧電トランス10の部分的な平面図であり、また図5中(B)はその一側面図である。以下、具体的に説明する。
図5中(A):第3実施形態においても、上記の第2実施形態と同様に、導電性被膜24が圧電セラミックス12の外面ではなく、ケース体14の外面(ここでは上面)に形成されている。すなわち導電性被膜24は、圧電セラミックス12を挟んで両側にそれぞれ位置する一次側端子18a同士の間を接続するようにしてケース体14の外面に沿って形成(塗布)されている。
ただし第3実施形態の場合、導電性被膜24の末端が各一次側端子18aの一側面にまで達しておらず、その末端はいずれも導電線16までで止まっている。
図5中(B):すなわち導電性被膜24は、ケース体14の上面から導電線16に接する位置でその塗布範囲が止まっており、先の第2実施形態で述べたように、一次側端子18aの一側面にまでは到達していない。ただし、一次側端子18aと導電線16とは基本的に同電位であるため、第3実施形態においても、結局は両側の一次側端子18a間が導電性被膜24を介して電気的に接続された状態となる。また導電性被膜24により一次側端子18aを介して一次側電極12a間に付与される抵抗値は、第1実施形態と同様の最適範囲内で設定されているものとする。
上述した第3実施形態の圧電トランス10によれば、導電性被膜24を介して両側の導電線16(一次側端子18a)が接続されていることから、圧電セラミックス12の2つの一次側電極12a間は、結果的に導電性被膜24、各一次側端子18a及び各導電線16を通じて接続された状態にある。したがって、実装時のフローによる温度変化で焦電効果が発生した場合であっても、その電荷が導電性被膜24を通じて短時間のうちに消費されるため、焦電による分極特性の劣化や周辺回路へのダメージを確実に抑えることができる。
なお、ここでもケース体14の上面だけに導電性被膜24を形成した例を挙げているが、導電性被膜24はケース体14の側面に回り込むようにして形成(塗布)されていてもよいし、あるいは、収容部14bの内面に回り込むようにして導電性被膜24が形成(塗布)されていてもよい。
〔第4実施形態〕
図6は、第4実施形態の圧電トランス10の構成例を示す斜視図である。なお図6では、圧電トランス10が完成状態で示されており、その姿勢が図1,図2とは上下反転した状態で示されている。なお圧電セラミックス12については、ケース体14に収容された状態あるため、ここでは示されていない。
第4実施形態の圧電トランス10もまた、上述した第1〜第3実施形態とその基本構成を共通とする。ただし第4実施形態では、導電性被膜24の配置が第2,第3実施形態と大きく異なっており、その点に特徴を有している。以下、第4実施形態の圧電トランス10について、第2,第3実施形態との相違点を中心として説明する。ここでも第1〜第3実施形態と共通する事項について図示を含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。
第4実施形態では、ケース体14の外面のうち、その実装状態でみた上面に導電性被膜24が形成(塗布)されている。すなわち導電性被膜24は、ケース体14の内部で圧電セラミックス12を挟んで両側にそれぞれ位置する導電性部材18の他端部18b同士の間を接続するようにしてケース体14の外面に沿って形成(塗布)されている。なお、ここでも導電性被膜24により導電性部材18を介して一次側電極12a間に付与される抵抗値は、第1実施形態と同様の最適範囲内で設定されているものとする。
上述した第4実施形態の圧電トランス10によれば、導電性被膜24を介して両側の導電性部材18(他端部18b)が接続されていることから、圧電セラミックス12の2つの一次側電極12a間は、結果的に導電性被膜24、各導電性部材18(他端部18bと一次側端子18a)及び各導電線16を通じて接続された状態にある。したがって、実装時のフローによる温度変化で焦電効果が発生した場合であっても、その電荷が導電性被膜24を通じて短時間のうちに消費されるため、焦電による分極特性の劣化や周辺回路へのダメージを確実に抑えることができる。
なお、ここでもケース体14の上面だけに導電性被膜24を形成した例を挙げているが、導電性被膜24はケース体14の側面に回り込むようにして形成(塗布)されていてもよい。
〔第5実施形態〕
次に図7は、第5実施形態の圧電トランス10を構成要素に分解して示した斜視図である。第5実施形態の圧電トランス10は、その完成状態で回路基板30に実装された構成を含むものである。ただし第5実施形態の場合、圧電セラミックス12及びケース体14のいずれにも導電性被膜24が形成されておらず、別の回路基板30に導電性被膜24が形成(塗布)されている点に特徴を有する。
回路基板30には、圧電トランス10を挿入実装するための挿通穴(スルーホール)30aが形成されている。このうち、例えば2本の一次側電極12aにそれぞれ対応した位置にあるスルーホール30aの周囲には、それぞれ導電パターン等による接続ランド30bが形成されている。なお回路基板30には、その他の位置にも多数の挿通穴が形成されているが、ここでは特に関係しないため省略する。圧電トランス10が挿入実装される場合、一次側端子18a及び二次側端子20を各挿通穴30aに挿通した状態で、回路基板30の裏面で図示しない配線パターンに半田付けしたり、又は熱硬化型の導電性ペーストを用いて接続したりすることができる。
ここで第5実施形態の圧電トランス10では、これを回路基板30に実装する前の段階で、2つの接続ランド30b間を接続する位置に導電性被膜24が形成(塗布)されている。すなわち導電性被膜24は、回路基板30の上面(実装面)上で接続ランド30b間を接続するようにして形成(塗布)されている。導電性被膜24は、接続ランド30bの全体を被覆して形成されていてもよいし、その一部だけにオーバーラップしていてもよい。また、ここでも導電性被膜24により接続ランド30bを介して一次側電極12a間に付与される抵抗値は、第1実施形態と同様の最適範囲内で設定されているものとする。
上述した第5実施形態の圧電トランス10によれば、その実装先(相手)である回路基板30上で2つの接続ランド30bが導電性被膜24を介して予め接続されている。このため、圧電トランス10の実装時に半田フロー槽を通過する際、例えば回路基板30の裏面にある配線パターンと各一次側端子18aとが半田付けされると、圧電セラミックス12の2つの一次側電極12a間は、結果的に導電性被膜24、各接続ランド30b、各一次側端子18a及び各導電線16を通じて接続された状態になる。したがって、半田フロー槽内での温度変化で焦電効果が発生した場合であっても、その電荷が導電性被膜24を通じて短時間のうちに消費されるため、焦電による分極特性の劣化や周辺回路へのダメージを確実に抑えることができる。
なお、ここでは回路基板30の上面(実装面)に導電性被膜24を形成した例を挙げているが、導電性被膜24は回路基板30の下面に形成(塗布)されていてもよい。また、ここでは回路基板30のスルーホール30aを通じて圧電トランス10を挿入実装する場合を例に挙げているが、圧電トランス10は表面実装タイプであってもよい。
以上のように各実施形態の圧電トランス10は、回路基板(第5実施形態において回路基板30)への実装時に半田フロー槽を通したり、リフロー装置を通したりする際、その温度変化によって圧電セラミックス12に焦電効果が発生しても、一次側電極12a間が導電性被膜24を通じて接続されているため、焦電による電荷は直ちに消失する(もしくは電荷が溜まらない)。したがって、回路基板上のその他の回路部品に過大な電荷が印加されたり、圧電トランス10の周辺に放電が起こったりすることがなく、実装作業の終了後も引き続き製品の品質を保証することができる。
また、導電性被膜24は、比較的低粘度な導電性塗料を塗布することで形成できるため、例えば導電性接着剤のような高粘度の物質と比較して、塗布後の膜厚を薄く抑えることができる。したがって、必要な抵抗値を確保しつつ、導電性被膜24の体積を最小に抑えることができるため、製品寸法が不用意に大きくなることはない。
また上記の各実施形態において、以下の変形要素を採用することができる。
導電性被膜24は、導電性塗料の他に例えば導電性接着剤を塗布することによって形成することもできるし、導電性粘着テープで形成することもできる。導電性接着剤は、例えばシリコーン接着剤等に導電性材料を混入したものであり、その定着状態においても導電性(抵抗)を有する。導電性粘着テープは、粘着材層に導電性材料を混入させたものであり、同じく貼付した状態で導電性(抵抗)を有する。また、この場合の抵抗値は、第1実施形態で挙げた範囲内で適正に設定されているものとする。
また導電性塗料の成分は、上記の例で挙げた酸化亜鉛の他に、ニッケル、銅、炭素等を含有するものであってもよい。
また本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。例えば、圧電セラミックス12の形状は図示のものに限らず、その他の形状であってもよい。またケース体14の形状は、圧電セラミックス12の外形に合わせて適宜に変形が可能である。
第1実施形態では、導電性被膜24を各一次側電極12aに接触させた状態で形成しているが、導電性被膜24を圧電セラミックス12の外面に形成した状態で一次側電極12a間に付与する抵抗値が上記の適正範囲内にあれば、導電性被膜24が一次側電極12aと直接的に接続されていなくてもよい(圧電セラミックス12の外面上で一次側電極12aと導電性被膜24とが離れて形成されていてもよい。)。
各実施形態では圧電トランス10を例に挙げているが、本発明の圧電体モジュールは、例えば圧電アクチュエータや圧電モータ(超音波モータ)にも適用することができる。
その他、各実施形態において図示とともに挙げた構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換しても本発明を好適に実施可能であることはいうまでもない。
10 圧電トランス
12 圧電セラミックス(圧電体)
12a 一次側電極
14 ケース体
18a 一次側端子
20 二次側端子
24 導電性被膜

Claims (3)

  1. 分極された圧電体と、
    前記圧電体の外面に形成された電極であって、前記圧電体に入力電圧を印加する2つの入力側電極及び前記圧電体から電圧を出力する出力側電極を含む電極と、
    電気的に前記2つの入力側電極間を相互に接続するべく前記圧電体の外面に沿って形成された導電性被膜であって、前記2つの入力側電極との接触の有無に関わらず、前記2つの入力側電極間に付与する抵抗値が前記圧電体の前記2つの入力側電極間における共振抵抗値以上で、かつ、前記2つの入力側電極間の絶縁抵抗値の10%以下である導電性被膜とを備え、
    前記導電性被膜は、
    前記圧電体の外面上に塗布された、樹脂と導電性材料とを混合した導電性塗料からなり、
    前記導電性塗料を塗布する範囲は、
    前記圧電体の外面に沿う方向でみて互いに平行に形成された前記2つの入力側電極の間を電気的に接続するのに必要な最小の距離を塗布幅としたとき、この塗布幅で単位長さ分の前記導電性塗料が塗布された場合に前記2つの入力側電極間に付与される単位長さあたりの初期単位抵抗値に基づき、その塗布長さが決定されていることを特徴とする圧電体モジュール。
  2. 請求項1に記載の圧電体モジュールにおいて、
    前記圧電体を収容した状態で保持するとともに、この保持状態にて前記圧電体の一部の外面を露出させる開口を有したケース体をさらに備え、
    前記導電性被膜は、
    前記圧電体が前記ケース体に保持された状態で、前記開口を通じて露出する位置に形成されていることを特徴とする圧電体モジュール。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電体モジュールにおいて、
    前記導電性被膜は、
    前記2つの入力側電極間に付与する抵抗値が前記圧電体の前記2つの入力側電極間における共振抵抗値の10倍以上であることを特徴とする圧電体モジュール。
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