JP5855678B2 - ピラン酸素に隣接し両方のメタ位によってパラ置換基に結合されたベンゼン環を有する、フォトクロミック縮合ナフトピラン - Google Patents

ピラン酸素に隣接し両方のメタ位によってパラ置換基に結合されたベンゼン環を有する、フォトクロミック縮合ナフトピラン Download PDF

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Description

本発明は、ピラン酸素に隣接し両方のメタ位によってパラ置換基に結合されたベンゼン環を有する、フォトクロミック縮合ナフトピラン、および、特に眼科用途の、すべての種類のプラスチックにおけるその使用に関する。
特定の波長の光(特に、日光)を照射すると可逆的に変色する種々の色素クラスについては、久しく知られている。これは、これらの色素分子が光エネルギーによって励起状態に変換され、励起状態は、エネルギー供給が中断されると、励起状態を再び離れて初期状態に戻るという事実による。これらのフォトクロミック色素には、先行技術に既に記載されている、種々の基本系および置換基を有する種々のピラン系が含まれる。
ピラン(特に、ナフトピランおよびナフトピランから誘導されたより大きな環系)は、一般に、最もよく使用されているフォトクロミック化合物のクラスである。初めて特許を受けたのは1966年であった(米国特許第3,567,605号)が、光応答性眼鏡レンズに使用するのに適している2つのピラン化合物クラスが開発されたのは1990年代になってからである。後者は、2,2‐ジアリール‐2H‐ナフト[1,2‐b]ピラン、および3,3‐ジアリール‐3H‐ナフト[2,1‐b]ピランであり、これらの開環(励起)形態は、黄色から赤紫色までの種々の暗色を有する。
大きな環系により長い波長を吸収し、このため、紫色および青色の暗色が利用可能であるので、ピラノ縮合ベンゼン環上に付加的な縮合結合を有する、2,2‐ジアリール‐2H‐ナフト[1,2‐b]ピランは、相当に関心が高い。この付加的な縮合結合は、一般に、ベンゼン環(式(I)において、置換基R2を有するベンゼン環)であり、これは、
ナフトピランのオルト位に再度架橋する(式(I)のZを参照)。
この架橋が1個の原子のみを構成する場合、生じるのはベンゾピランに縮合した5員環である。1個の炭素原子の場合の例は、米国特許第5,645,767号、米国特許第5,723,072号、および米国特許第5,955,520号にみられ、1個の酸素原子の場合の例は、米国特許第6,018,059号にみられる。
米国特許第5,723,072号では、非置換、一置換または二置換の複素環は、インデノナフトピランのg、h、i、n、oまたはp側でこの基本系に付加的に縮合し得る。したがって、非常に広範囲の考え得る置換基を有するインデノ[1,2‐f]ナフト[1,2‐b]ピランが開示されている。
国際公開公報第96/14596号、国際公開公報第99/15518号、米国特許第5,645,767号、国際公開公報第98/32037号、および米国特許第5,698,141号は、2H‐ナフト[1,2‐b]ピランから誘導されたフォトクロミックインデノ縮合ナフトピラン色素、これらを含む組成物、およびその製造方法を開示する。米国特許第5,698,141号では、非置換、一置換または二置換の複素環は、インデノナフトピランのg、h、i、n、oまたはp側でこの基本系に付加的に縮合し得る。また、非常に広範囲な置換基のリストはそれぞれ、非常に特定されたスピロ化合物、すなわち、基本系の13位にスピロ原子を含み、常に2個の酸素原子を含んだ5〜8員環が存在する、スピロ複素環基を有する系も含む。スピロ環のさらなる実施態様は、日本国出願・特開2000‐344762号にみられる。
しかしながら、先行技術において利用可能な種々のフォトクロミック色素には不都合があり、遮光レンズを使用する場合、眼鏡着用者の快適さに実質的に影響を与える。第1に、色素は、励起状態および非励起状態において十分に長波吸収をしていない。第2に、減光に対して非常に高い温度感受性があることが多いのと同時に、非常にゆっくりと増光が生じる場合がある。さらに、先行技術において利用可能な色素は、寿命が不十分であり、このため、遮光レンズの耐用年数は少ない。後者はそれ自体、急速な性能の低下、および/または顕著な黄変を示す。
ピラン酸素原子に対するオルト位の置換基は、BおよびB’のみを有する先行技術において主として引用される。これらは、主に芳香族置換基またはヘテロ芳香族置換基である。さらに、置換基BおよびB’は共に、別個の脂環系、芳香環系、ヘテロ芳香環系を形成する。置換基BおよびB’(ピラン酸素に隣接するベンゼン環上のオルト置換基以外)の適切な選択によるフォトクロミック特性に影響を及ぼすことについては、実際に、先行技術において報告されていない。フッ素、メチルまたはメトキシなどのピラン酸素に隣接するベンゼン環上の小さいオルト置換基であっても、増光速度を極度に遅くさせるので、これらは、眼鏡レンズを対象とするように使用することができない。
米国特許第3,567,605号 米国特許第5,645,767号 米国特許第5,723,072号 米国特許第5,955,520号 米国特許第6,018,059号 国際公開公報第96/14596号 国際公開公報第99/15518号 国際公開公報第98/32037号 米国特許第5,698,141号 特開2000‐344762号 米国特許第6,379,591号
本発明の目的は、先行技術に記載されている構造物と比較して、改善された特性を有する新規なフォトクロミック化合物のクラスを提供することである。これらには、とりわけ、高温でも非常に高い減光性能、迅速な増光速度、および非常に良好な光安定性が含まれる。
本課題は、特許請求の範囲で特徴付けられた主題によって解決される。
特に、次に示す一般式(I)および(II)を有するフォトクロミックナフトピランを提供する。
Figure 0005855678
式中、
基R1およびR2はそれぞれ、独立して、水素原子、(C1‐C6)‐アルキル基、(C1
‐C6)‐チオアルキル基、OもしくはSなどの1個以上のヘテロ原子を有する(C3‐C7)‐シクロアルキル基、(C1‐C6)アルコキシ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、臭素、塩素、フッ素、非置換、一置換もしくは二置換のフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ナフチルもしくはナフトキシ基からなる群αより選択される置換基であってもよく、そして置換基は群αから選択されてもよく、または、
2つの基R1および/または2つの基R2はそれぞれ、独立して、基本構造に縮合された、非置換、一置換もしくは二置換ベンゾ、ピリド、ベンゾフロもしくはベンゾチエノ環を形成し、これらの置換基は群αから選択されてもよい。
Zは、‐CR1011‐、‐O‐、‐S‐、‐NPh‐、‐N(C1‐C6)アルキル、‐O‐CR1011‐、‐CR1011‐O‐、‐S‐CR1011‐、‐CR1011‐S‐、‐CR1011‐CR1011‐、‐CR10=N‐、もしくは‐CR10=CR11‐から選択され、置換基R10およびR11は、群αから選択され、好ましくは、水素原子、(C1‐C6)‐アルキル基、(C3‐C7)‐シクロアルキル基、非置換、一置換もしくは二置換フェニル、ベンジル、もしくはナフチル基から選択されてもよいか、または、
Zは、スピロ炭素原子を包含し、群αから選択される1以上の置換基を有する場合があり、かつ1〜3つの芳香環系もしくはヘテロ芳香環系が縮合されてもよい、3員〜8員炭素単環もしくは複素単環であり、該環系は、独立して、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ピリジン、キノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、およびカルバゾールからなる群βより選択され、そして、群αから選択される1以上の置換基と置換されてもよいか、または、
Zは、スピロ炭素原子を包含し、群αから選択される1つ、2つ、3もしくは4つの置換基を有していてもよい、7員〜12員炭素二環もしくは7員〜12員炭素三環である。
Bは、次に示す群a)もしくはb)のうちの1つから選択され、
a)は、一置換、二置換および三置換アリール基であって、該アリール基は、フェニル、ナフチルもしくはフェナントリルであり、
b)は、非置換、一置換および二置換ヘテロアリール基であって、該ヘテロアリール基は、ピリジル、フラニル、チエニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、1,2,3,4‐テトラヒドロカルバゾリル、およびジュロリジニルであり、
a)およびb)におけるアリール基およびヘテロアリール基の置換基は、群α、もしくは、ヒドロキシ、アミノ、モノ‐(C1‐C6)アルキルアミノ、ジ‐(C1‐C6)-ア
ルキルアミノ、および、フェニル環上の非置換、一置換もしくは二置換フェネテニル、非置換、一置換もしくは二置換(フェニルイミノ)メチレン、非置換、一置換もしくは二置
換(フェニルメチレン)イミノ、および、非置換、一置換もしくは二置換モノフェニルアミノおよびジフェニルアミノ、ピペリジニル、N置換ピペラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、インドリニル、モルホリニル、2,6‐ジメチルモルホリニル、チオモルホリニル、アザシクロヘプチル、アザシクロオクチル、非置換、一置換もしくは二置換フェノチアジニル、非置換、一置換もしくは二置換フェノキサジニル、非置換、一置換もしくは二置換1,2,3,4‐テトラヒドロキノリニル、非置換、一置換もしくは二置換2,3‐ジヒドロ‐1,4‐ベンゾオキサジニル、非置換、一置換もしくは二置換1,2,3,4‐テトラヒドロイソキノリニル、非置換、一置換もしくは二置換フェナジニル、非置換、一置換もしくは二置換カルバゾリル、非置換、一置換もしくは二置換1,2,3,4‐テトラヒドロカルバゾリル、および、非置換、一置換もしくは二置換10,11‐ジヒドロジベンズ[b,f]アゼピニルからなる群χより選択されるものであり、そして、置換基はそれぞれ、独立して、(C1‐C6)‐アルキル、(C1‐C6)‐アルコキシ、臭素、塩素もしくはフッ素から選択されてもよいか、または、
a)およびb)におけるアリール基およびヘテロアリール基の直接隣接する2つの置換基は、V‐(CR1213)p‐W部分であり、式中、pは1、2もしくは3であり、R12およびR13は、水素、メチルもしくはフェニルであってもよく、VおよびWは、独立して、酸素、硫黄、N‐(C1‐C6)‐アルキル、N‐C65、CH2、C(CH32、もし
くはC(C652であってもよく、このV‐(CR1213)p‐W部分において2以上の
隣接する炭素原子はそれぞれ、独立して、縮合ベンゾ環系の一部でもあり得、そして、群αまたは群χから選択される1以上の置換基を有していてもよく、かつ、
ピラン環への結合点に対する2つのオルト位における基Bのアリール基もしくはヘテロアリール基は、水素以外の置換基を有さない。
Cは、次に示す構造の置換基である。
Figure 0005855678
m、nおよびoは独立して1〜4の整数であって、R9はR1およびR2と定義され、
3〜R8はそれぞれ、独立して、群αから選択される置換基であるか、または、
4と一緒にR3、もしくはR6と一緒にR5、もしくはR8と一緒にR7は、独立して、それぞれの共通する炭素原子と、3員〜8員炭素単環もしくは複素単環を形成し、該単環は、群αの1以上の置換基を有する場合があり、かつ1〜3つの芳香環系もしくはヘテロ芳香環系が縮合されてもよく、該環系は、独立して、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ピリジン、キノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、およびカルバゾールからなる群βより選択され、そして、群αから選択される1以上の置換基と置換されてもよいか、または、
4つの隣接する基R3〜R6もしくはR5〜R8は、基本構造に縮合された、非置換、一置換もしくは二置換ベンゾもしくはピリド環を形成してもよく、これらの置換基は群αから選択されてもよく、
XはNもしくはCR14(式中、R14は、水素、(C1‐C6)‐アルキル基、および非置
換、一置換および二置換フェニルからなる群より選択され、これらの置換基は群αから選択される。)であり、
Yは、O、S、NR15、CR1516、もしくはCR1516‐CR1516(式中、R15およびR16はR14と定義されるか、または、2つの基R15およびR16は、共通する炭素原子と共に、3員〜8員炭素単環もしくは複素単環を形成し、該単環は、群αから選択される1以上の置換基を有する場合があり、かつ1〜3つの芳香環系もしくはヘテロ芳香環系が縮合されてもよく、該環系は、独立して、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ピリジン、キノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、およびカルバゾールからなる群βより選択され、そして、群αから選択される1以上の置換基と置換されてもよい。)。
フォトクロミック縮合ナフトピランは、ピランに隣接し両方のメタ位によってパラ置換基に結合された、ベンゼン環が特徴である。本発明による化合物は、高温でも非常に高い減光性能、迅速な増光速度、および非常に良好な光安定性が特徴である。本発明によるフォトクロミック縮合ナフトピランは、上述の一般式(I)を有することが好ましい。
特に好ましい本発明によるフォトクロミック縮合ナフトピランは、ピラン酸素に隣接し両方のメタ位によってパラ置換基に結合された、ベンゼン環を有し、次に示す一般式(III)、(IV)および(V)を有する。
Figure 0005855678
式中、すべての基は、上に定義するとおりであり、スピロ炭素原子を包含する、式(III)のスピロ環は、群αの1以上の置換基を有する場合があり、かつ群αから選択される
1以上の置換基で置換されてもよい1〜3つのベンゼン環が縮合されてもよい、5員〜8員炭素環である。
本発明の好ましい実施態様において、基Bは、前述の群a)から選択される。さらなる実施態様において、基Cにおいて、Xは、Nであることが好ましい。基Cにおいて、Yは、CR1516またはCR1516‐CR1516であり、式中、R15およびR16は先に定義するとおりであり、水素、(C1‐C6)-アルキル基、ならびに、非置換、一置換および二置換フェニルであることが好ましく、これらの置換基は群αから選択される。基R3〜R8はそれぞれ、独立して、群αから選択される置換基であることが好ましい。
本発明の実施態様において、基R3およびR4はそれぞれ、独立して、群αから選択される置換基であり、4つの基R5〜R8は共に、基本構造に縮合された、非置換、一置換また
は二置換ベンゾまたはピリド環であり、これらの置換基は群αから選択されてもよい。
特に好ましい実施態様において、基Cは次に示す構造を有する。
Figure 0005855678
さらに、さらなる実施態様において、上述の式(I)〜(V)における2つの基R2
、基本構造に縮合された、非置換、一置換または二置換ベンゾ、ピリド、ベンゾフロまたはベンゾチエノ環を形成し、これらの置換基は群αから選択されてもよい。上述の式(I)〜(V)において共通してオルト位に存在する、2つの基R2は、縮合結合されたベン
ゾフロであることが特に好ましい。
Zは、‐CR1011‐、‐O‐CR1011‐、‐CR1011‐O‐、‐CR1011‐CR1011、または‐CR10=CR11‐から選択されることが好ましく、式中、置換基R10およびR11は、群αから選択され、水素原子、(C1‐C6)‐アルキル基、(C3‐C7)
‐シクロアルキル基、非置換、一置換または二置換フェニル、ベンジル、またはナフチル基から選択されることが好ましい。
図1は、先行技術の化合物と比較した、本発明による化合物の高温および弱い光刺激(「高温性能半日陰」)での励起状態における光減衰特性の比較を示す。
高温で、励起した(有色)形態の(熱)逆反応が非常に迅速に起こり、減光レベルが比較的低いので、従来の光応答性色素の問題は、多くの場合、不十分な高温性能である。しかしながら、現代の光応答性レンズには、高温で、すなわち、比較的少ないUV刺激による半日陰においても、十分な減光レベルも要求される。したがって、十分な日光の50
kluxの標準値の代わりに、35℃、15 kluxのみの光刺激によるキネティック
バンク(kinetikbank)測定は、光応答性色素の高温性能の十分な測定である。図1に示す
ように、具体的に選択された置換基Cを有する、本発明による化合物は、類似するナフトピランサブユニットおよび同一の色素濃度を有する最先端技術の化合物と比較して、35℃/15 kluxでおよそ10%高い光減衰(すなわち、10%低い透過)を有する。
フッ素、メチルまたはメトキシなどの小さいオルト置換基が、ピラン酸素に隣接するベンゼン環に配置される場合、励起状態におけるフォトクロミック色素の減光レベルを増加させることができることは既に知られていた。しかしながら、励起されるとこれらの化合物は非常に強く減光されるが、これによって、増光速度を非常に強く遅くさせるので、眼鏡レンズを対象とするように使用することができない。これとは対照的に、ピラン酸素に隣接したベンゼン環上に2つのメタ置換基を有する、本発明による化合物は、完全な減光後、再度非常に迅速に増光する。この理由は、最低4つの縮合環を有する置換基Cの特定構造にある。
さらに、本発明による化合物は、高い明澄度 (すなわち、非励起状態における高い透
過)、および非常に良好な光安定性を有するので、該化合物は、特に温暖な気候帯で、光応答性レンズに、または、比較的高温で減光レベルを増加させるための従来の光応答性レンズの添加剤として、使用するに適している。
図1に使用される先行技術(国際公開公報第2009/024271号)の化合物の構造、および本発明による化合物を、次の表に示す。
Figure 0005855678
先行技術(国際公開公報第2009/024271号)による化合物1および2、ならびに本発明による化合物の置換基Cを、以下に列挙する。
Figure 0005855678
本発明によるフォトクロミック色素の前述の例、および先行技術の化合物(上述を参照)の特性を測定するために、各事例において、350 ppmの色素を、アクリレートモ
ノマーマトリックス中に溶解し、重合開始剤の添加後、温度プログラムによって熱重合させた。その後、得られたプラスチックレンズ(2 mmの厚さ)の光減衰および透過特性
を、DIN EN ISO 8980‐3に準じて測定した。
表2において、励起状態における光減衰強度(それぞれの最長吸収極大波長から直接測定した)についての先行技術との比較で、2つのさらなる本発明の化合物を列挙する。式において、各事例では、置換基Cのみを示し、分子の残部は、表1に示す化合物に類似する。
Figure 0005855678
本発明の化合物はそれぞれ、先行技術の同様の化合物よりも、比較的高温、励起状態において、およそ10%高い光減衰を有する。
表1および2に列挙する式(V)の化合物の製造は、国際公開公報第2009/024271号と同様に行われ、最後の工程では、B’の代わりに本発明による選択された置換基Cを含む、2‐プロピン‐1‐オール誘導体との縮合が行われる。該化合物は、適切に置換されたベンゾフェノンから従来法によって製造することができる。式(IV)の化合物は、国際公開公報第2009/132842号に従い同様に合成することができ、式(III)の化合物は、欧州特許第0 987 260号に従って合成することができる。
本発明による化合物は、フォトクロミック挙動が関心を惹く種々の用途で、あらゆる種類および形態のプラスチック材料またはプラスチック製品に用いることができる。本発明による色素、またはかかる色素の混合物を用いることができる。たとえば、本発明によるフォトクロミックナフトピランは、レンズ、特に眼鏡レンズ、たとえば、スキーゴーグル、サングラス、オートバイゴーグル、ヘルメットのつばなどのすべての種類の眼鏡用レンズに使用することができる。さらに、本発明によるフォトクロミックナフトピランは、たとえば、窓、保護スクリーン、カバー、屋根などの形態で、車両および住居における遮光に使用することもできる。
かかるフォトクロミック製品を製造するために、本発明によるフォトクロミックナフトピランは、たとえば、国際公開第99/15518号で既に示されているような、先行技術に記載の種々の方法によって、有機プラスチック材料などの高分子材料に適用するか、または該高分子材料に埋め込むことができる。
いわゆる全着色法と表面染色法とを識別することができる。全着色法は、たとえば、重合を行う前に、フォトクロミック化合物をモノマー材料に添加することによって、本発明によるフォトクロミック化合物をプラスチック材料中に溶解するかまたは分散させること
を含む。フォトクロミック製品のさらなる製造の可能性は、プラスチック材料を本発明によるフォトクロミック色素の熱溶液中に浸漬することによる、または、たとえば熱転写工程によるプラスチック材料へのフォトクロミック化合物の浸透である。また、フォトクロミック化合物は、たとえば、プラスチック材料の隣接する層の間の別々の層の形態で、たとえば高分子膜の一部として提供することもできる。さらに、プラスチック材料の表面に存在するコーティングの一部として、フォトクロミック化合物を堆積することも可能である。本明細書における「浸透」という用語は、たとえば、溶媒の支援によるフォトクロミック化合物の高分子マトリックス中への移動、気相間移動、またはその他の表面拡散工程による、フォトクロミック化合物のプラスチック材料中への移動を意味するものとする。有利に、従来の全着色による方法だけでなく、表面染色による方法でも同様に、かかるフォトクロミック製品(たとえば、眼鏡レンズ)を製造することが可能であり、後者の変形の場合、驚くほど低い移動傾向が実現可能である。このことは、特にその後の加工工程に都合が良い。これは、たとえば反射防止膜の場合、減圧下での逆拡散が少ないことにより、層分離および同様の欠点が大幅に減少するためである。
全体として、本発明によるフォトクロミックナフトピランに基づいて、審美的側面および医療またはファッションの側面を共に満たすために、あらゆる適合性を有する(化学的観点から、また、色の点において)染色剤、すなわち色素を、プラスチック材料に適用するか、またはプラスチック材料に埋め込むことができる。したがって、具体的に選択される色素は、目的とする効果および条件に応じて異なっていてもよい。

Claims (8)

  1. 以下に示す式(VI)のフォトクロミックナフトピラン
    Figure 0005855678
    {式中、
    は、次に示す構造の置換基である。
    Figure 0005855678
    mおよびoは独立して1〜4の整数であって、
    基R 9 およびR 2 はそれぞれ、独立して、水素原子、(C 1 ‐C 6 )‐アルキル基、(C 1 ‐C 6 )‐チオアルキル基、OもしくはSなどの1個以上のヘテロ原子を有していてもよい(C 3 ‐C 7 )‐シクロアルキル基、(C 1 ‐C 6 )アルコキシ基、ヒドロキシル基、トリフ
    ルオロメチル基、臭素、塩素、フッ素、非置換、一置換基もしくは二置換フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ナフチルもしくはナフトキシ基からなる群αより選択され、そして、一置換基もしくは二置換フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ナフチルもしくはナフトキシ基の置換基は、該群αから選択されてもよいか、または、
    2つの基R 9 および/または2つの基R 2 はそれぞれ、独立して、基本構造に縮合された、非置換、一置換もしくは二置換ベンゾ、ピリド、ベンゾフロもしくはベンゾチエノ環を形成し、一置換もしくは二置換ベンゾ、ピリド、ベンゾフロもしくはベンゾチエノ環の置換基は該群αから選択されてもよい。
    3〜R8はそれぞれ、独立して、該群αから選択される置換基であるか、または、
    4と一緒にR3、もしくはR6と一緒にR5、もしくはR8と一緒にR7は、独立して、それぞれの共通する炭素原子と、3員〜8員炭素単環もしくは複素単環を形成し、該単環は該群αの1以上の置換基を有する場合があり、かつ1〜3つの芳香環系もしくはヘテロ芳香環系が縮合されてもよく、該環系は、独立して、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ピリジン、キノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、およびカルバゾールからなる群βより選択され、そして、該群αから選択される1以上の置換基置換されてもよいか、または、
    4つの隣接する基R3〜R6もしくはR5〜R8は、基本構造に縮合された、非置換、一置換もしくは二置換ベンゾもしくはピリド環を形成してもよく、一置換もしくは二置換ベンゾもしくはピリド環の置換基は該群αから選択されてもよく、
    XはNであり、
    は、C1516、もしくはCR1516‐CR1516(式中、R15およびR16独立して、水素、(C 1 ‐C 6 )‐アルキル基、および非置換、一置換および二置換フェニルからなる群より選択され、一置換および二置換フェニルの置換基は該群αから選択される)であるか、または、2つの基R15およびR16は、共通する炭素原子と共に、3員〜8員炭素単環もしくは複素単環を形成し、該単環は、該群αから選択される1以上の置換基を有する場合があり、かつ1〜3つの芳香環系もしくはヘテロ芳香環系が縮合されてもよく、該環系は、独立して、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ピリジン、キノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、およびカルバゾールからなる群βより選択され、そして、該群αから選択される1以上の置換基置換されてもよい。]}。
  2. 基R3〜R8がそれぞれ、独立して、前記群αから選択される置換基である、請求項1に記載のフォトクロミックナフトピラン。
  3. 請求項1または2に記載のフォトクロミックナフトピランであって、
    基R3およびR4がそれぞれ、独立して、前記群αから選択される置換基であり、かつ、同時に、4つの基R5〜R8は共に、基本構造に縮合された、非置換、一置換または二置換ベンゾまたはピリド環であり、一置換または二置換ベンゾまたはピリド環の置換基は前記群αから選択されてもよい、前記フォトクロミックナフトピラン。
  4. 前記基Cが次に示す構造を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のフォトクロミックナフトピラン
    Figure 0005855678
  5. 前記式(VI)における2つの基R2が、基本構造に縮合された、非置換、一置換または二置換ベンゾ、ピリド、ベンゾフロまたはベンゾチエノ環を形成し、一置換または二置換ベンゾ、ピリド、ベンゾフロまたはベンゾチエノ環の置換基は前記群αから選択されてもよい、請求項1〜のいずれか一項に記載のフォトクロミックナフトピラン。
  6. 前記式(VI)においてオルト位に存在する、2つの基R2が、縮合結合されたベンゾフロである、請求項1〜のいずれか一項に記載のフォトクロミックナフトピラン。
  7. 求項1〜のいずれか一項に記載のフォトクロミックナフトピランを含む、プラスチック材料
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフォトクロミックナフトピランを含む、眼鏡レン
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