JP5852963B2 - 複合ゼオライト膜、およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高機能化した複合ゼオライト膜、およびその製造方法に関する。
近年、ゼオライト膜は、分子篩や吸着特性による分子レベルでの分離が可能であることから、分離膜、膜反応器、化学センサー等への応用が考えられている。
ゼオライトの中でもA型ゼオライト(LTA)は強い親水性を示すことから、アルコールの脱水用分離膜としてA型ゼオライト膜が1998年頃に実用化されている(非特許文献1)。また、例えばエタノール脱水(水10wt%,温度130C)において、水透過流束50kg・m−2・h-1を超える高性能A型ゼオライト膜が開発され(非特許文献2)、実用化に至っている。
一方で、A型ゼオライト膜は、ゼオライトの中では耐性に乏しく、その適応範囲が限られている。そのため、より耐性に富む親水性FAU(フォージャサイト)型(主にY型)ゼオライト膜が開発されている(特許文献3)。
FAU型ゼオライト膜については、A型ゼオライト膜が適用できない過酷な条件でも脱水膜として高い透過分離性能を発揮することが確認されており(非特許文献3)、今後、需要が高まることが予想される。なお、結晶間空隙の少ない緻密なY型ゼオライト膜の合成法(特許文献2)など、ゼオライト膜の製膜技術は、精力的に研究されている。
また一般に、FAU型ゼオライト膜は、大きな酸素12員環細孔(約0.74nm)をもち、FAU型ゼオライトの吸着特性に由来する分離能と、拡散が容易な比較的大きな細孔構造に由来する高透過度が期待される。
例えば、水、CO(二酸化炭素)、CH(メタン)などの各種の分子の大きさは、下記の通りである。
分子名 分子サイズ
水: 0.30 nm
CO: 0.33 nm
CH: 0.38 nm
エタノール: 0.43 nm
酢酸: 0.43 nm
IPA(イソプロピルアルコール):約0.47 nm
ここで、例えば、水(0.30nm)/エタノール(0.43nm)、水/IPA(約0.47nm)、CO(0.33nm)/CH(0.38nm)などの組み合わせによる混合物における分子分離など、ゼオライト膜を透過させたくない分子の大きさが、FAU型ゼオライト細孔径よりも小さい場合、あるいはまた高温や、透過させる分子の濃度が小さい条件下では、ゼオライト膜による分離は困難であるため、吸着による分離を行う必要があるが、吸着による分離能が機能しにくいため、分離能の低下が避けられない。
上記のように吸着による分離能が低い条件では、分子篩を利用した分離が有効になることが多い。例えば水(0.30nm)のみを膜透過させてIPA(0.47nm)などの分子を透過させたくない場合、分離膜を、酸素8員環構造を有するゼオライト(細孔径0.28〜0.42 nm)によって構築することで、分子篩能が期待できる。
ここで、酸素8員環構造を有するゼオライト膜としては、近年、CHA(チャバサイト)型膜(非特許文献4)、MER(マーリノアイト)型膜(特許文献3)、PHI(フィリップサイト)型膜(特許文献4)などが開発されている。
Y. Morigami et al., Sep. Purif. Technol. 25 (2001) 251-260 Hitz技報(日立造船技報)第68巻第2号7章(2008年3月1日発行) 特許第3537908号公報 K. Sawamura et al., Proc. of the International Symposium on Zeolites and Microporous Crystals (ZMPC) 2009, RRR2-8 特開2009−11980号公報 Y. Hasegawa et al., J. Membr. Sci. 347 (2010) 193-196 特開2007−313389号公報 特開2007−313390号公報
しかしながら、細孔径の大きな酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライトに比べて、細孔径の小さな酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜では、分子の拡散が遅くなるため、その膜厚が厚い場合、十分な透過流束が得られないという問題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、FAU型ゼオライト膜などの酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面を、CHA型ゼオライト膜などの酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換させることにより、従来の合成方法に比べて、酸素8員環構造を有するゼオライト膜層の大幅な薄膜化が可能により構成され、分子分離能に優れた複合ゼオライト膜を提供すること、および該複合ゼオライト膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、酸素12員環構造を有するゼオライト粉末を添加したアルカリ水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜を浸漬し、所定の条件下で加熱加圧処理をすることで、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面の一部を、酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換させることができ、酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられた複合ゼオライト膜を形成することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の複合ゼオライト膜の発明は、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に、酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられていることを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の複合ゼオライト膜であって、酸素12員環構造を有するゼオライト膜が、FAU型ゼオライト膜により構成され、酸素8員環を有するゼオライト膜が、CHA型ゼオライト膜により構成されることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の複合ゼオライト膜であって、酸素12員環構造を有するゼオライト膜の厚さが、0.1μm〜10μmであり、酸素8員環を有するゼオライト膜の厚さが、10nm〜2μmであることを特徴としている。
請求項4の発明は、複合ゼオライト膜の製造方法であって、酸素12員環構造を有するゼオライト粉末を添加したアルカリ水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜を浸漬し、所定の条件下で加熱加圧処理することで、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面の一部を、酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換させることにより、酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられた複合ゼオライト膜を形成することを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項4に記載の複合ゼオライト膜の製造方法であって、酸素12員環構造を有するゼオライト粉末を0.01〜20wt%の割合で添加した0.01〜3mol/Lの水酸化カリウム水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜を浸漬し、温度80〜150℃、圧力0.05〜2MPaの条件下で、1〜120時間、加熱加圧処理することを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の複合ゼオライト膜の製造方法であって、酸素12員環構造を有するゼオライト膜が、FAU型ゼオライト膜により構成され、酸素8員環を有するゼオライト膜が、CHA型ゼオライト膜により構成されることを特徴としている。
請求項1の複合ゼオライト膜の発明は、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に、酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられているもので、請求項1の発明によれば、FAU型ゼオライト膜の表面の一部が酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換されるため、従来の合成方法に比べて、酸素8員環を有するゼオライト膜層の大幅な薄膜化が可能であり、分子分離能に優れた複合ゼオライト膜を得ることができるという効果を奏する。
請求項4の複合ゼオライト膜の製造方法の発明は、酸素12員環構造を有するゼオライト粉末を添加したアルカリ水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜を浸漬し、所定の条件下で加熱加圧処理することで、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面の一部を、酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換させることにより、酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられた複合ゼオライト膜を形成することを特徴とするもので、請求項4の発明によれば、酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面の一部が酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換されるため、従来の合成方法に比べて、酸素8員環を有するゼオライト膜層の大幅な薄膜化が可能であり、分子分離能に優れた複合ゼオライト膜を製造することができるという効果を奏する。
図1Aは、転換処理前後のゼオライト粉末のXRD(X線回折)パターンを示すグラフである。図1Bは、アルミナ支持体上に製膜されたFAU型ゼオライト膜の転換処理前後のXRDパターンを示すグラフである。 従来型のゼオライト膜構造と、本発明の複合ゼオライト膜構造を示す部分拡大断面図である。 水−IPA蒸気透過分離試験装置を示すフローシートである。 FAU型ゼオライト膜の表面をCHA型ゼオライト膜に転換した本発明によるCHA/FAU複合ゼオライト膜と、従来のFAU型ゼオライト膜のIPA脱水性能の比較を示すグラフで、図4Aは、水透過度とIPA濃度との関係を示すグラフ、図4Bは、水分離係数とIPA濃度との関係を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明による複合ゼオライト膜は、多孔質アルミナ等の支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に、酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられていることを特徴としている。
ここで、本発明に用いられる多孔質支持体としては、例えばアルミナ、シリカ、コージェライト、ジルコニア、チタニア、バイコールガラス、焼結金属などの多孔質体が挙げられるが、これらに限らず、種々の多孔質体を用いることができる。多孔質支持体の形状は、通常は、チューブ状もしくは板状である。多孔質支持体の孔径は、通常、0.01〜5μmであり、好ましくは0.05〜2μmである。
酸素12員環構造を有するゼオライト膜の形成は、例えば、多孔質支持体の表面にゼオライトの粉末(種結晶)の懸濁水溶液を塗布したのち、所定の温度で乾燥したのち、水熱合成させることによって行われる。
原料として用いるゼオライトの種類は、特に限定されず、例えばY型ゼオライト(FAU)、ベータ型ゼオライト(BEA)、モルデナイト(MOR)などが挙げられる。ゼオライト膜の形成のための塗布方法は、特に限定されないが、ラビング(擦り込み)法や浸漬法が好ましい。
ラビング(擦り込み)法は、多孔質支持体の表面にゼオライト粉末懸濁液を擦り込み、次いで所望により乾燥することにより、ゼオライトの粉末(種結晶)を均一塗布する方法である。
また、浸漬法は、ゼオライト粉末懸濁液内に、多孔質支持体を浸し、表面にゼオライトの粉末(種結晶)を均一塗布する方法である。
ゼオライト粉末の塗布および乾燥ののち、水熱合成させるが、この水熱合成により、多孔質支持体上に塗布したゼオライトの粉末からゼオライト膜を形成することができる。水熱合成の温度は、特に限定されないが、多孔質支持体上にゼオライト膜がより均一に生成するという観点から、80〜300℃が好ましく、反応時間は、通常2〜720時間、好ましくは6〜120時間である。
本発明の複合ゼオライト膜は、上記のように、多孔質アルミナ等の支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に、酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられているものである。
本発明の複合ゼオライトにおいて、酸素12員環構造を有するゼオライト膜が、FAU型ゼオライト膜により構成され、酸素8員環を有するゼオライト膜が、CHA型ゼオライトまたはMER型ゼオライト膜、好ましくはCHA型ゼオライトにより構成されることが好ましい。
ここで、Y型ゼオライト(FAU)は、天然ゼオライトであるホージャサイトと同じ結晶構造を有するゼオライトであり、酸素の12員環を含む多面体によって形成されているとともに、酸素12員環の細孔径は0.74nmであることが知られている。
一方、CHA型ゼオライトは、その細孔が酸素8員環を含む多面体によって形成されているとともに、酸素8員環の細孔径は0.38nmであることが知られている。このような構造上の特徴を有するCHA型ゼオライトは、ゼオライトの中では比較的細孔径が小さいものである。
また、本発明の複合ゼオライト膜において、転換処理を行う前の酸素12員環構造を有するゼオライト膜の膜厚は、高い膜透過度を維持するために、10μm以下が望ましく、0.1μm〜10μmが好ましい。また転換した酸素8員環構造を有するゼオライト層の膜厚は、耐久性の観点からは10nm以上、膜透過度の観点からは2μm以下が好ましい。
本発明による複合ゼオライト膜の製造方法は、酸素12員環構造を有するゼオライト粉末を添加したアルカリ水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜を浸漬し、所定の条件下で加熱加圧処理することで、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面の一部を、酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換させることにより、酸素12員環構造を有するゼオライト膜の表面に酸素8員環構造を有するゼオライト膜が設けられた複合ゼオライト膜を形成することを特徴とする。
本発明による複合ゼオライト膜の製造方法において、酸素12員環構造を有するゼオライト粉末を0.01〜20wt%、好ましくは1〜10wt%の割合で添加した0.01〜3mol/L、好ましくは0.1〜1mol/Lの水酸化カリウム水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するゼオライト膜を浸漬し、温度80〜150℃、好ましくは95〜125℃、圧力0.05〜2MPa、好ましくは0.1〜1MPaの条件下で、1〜120時間、好ましくは6〜36時間、加熱加圧処理することが好ましい。
本発明による複合ゼオライト膜の製造方法において、酸素12員環構造を有するゼオライト膜が、FAU型ゼオライト膜により構成され、酸素8員環を有するゼオライト膜が、CHA型ゼオライト膜により構成されることが、特に、好ましい。
本発明によれば、多孔質アルミナ管等の基体上に製膜したFAU型ゼオライト膜の表面を、酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換させることにより、従来の合成方法に比べて、酸素8員環構造を有するゼオライト膜層の大幅な薄膜化が可能であり、分子篩機能を付与した複合ゼオライト膜を合成することができる。
特に、基体上に製膜したFAU膜表面のみを、8員環ゼオライトに転換させることで、高い膜透過度を維持したまま分子篩能を維持させる。さらに高い膜透過度を維持するためには、転換処理を行う前のFAU型ゼオライト膜の膜厚は、0.1μm〜10μmが望ましい。また転換した8員環構造を有するCHA型ゼオライト層の膜厚については、耐久性の観点からは10nm以上、膜透過度の観点からは2μm以下が好ましい。
ここで、ゼオライト層の膜厚は、断面を電子顕微鏡によって観察するか、または、ゼオライト膜表面から所定の厚さの層を研削・除去した後、XRD(X線回折)パターンを調べることによって測定することができる。
つぎに、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
本実施例では、定法により、多孔質アルミナ管(基体)(Hitz日立造船社製)表面にFAU型ゼオライト粉末(種結晶)(東ソー社製)の懸濁水溶液を塗布乾燥したのち、温度100℃で4.75時間、水熱合成させることによってFAU型ゼオライト膜を合成した。転換処理を行う前の多孔質アルミナ管表面のFAU型ゼオライト膜の膜厚は、2〜6μmであった。
つぎに、本発明のゼオライト膜の転換処理により、本発明による複合ゼオライト膜を、つぎのようにして製造した。
すなわち、オートクレーブ内で、FAU型ゼオライト粉末を、10wt%の割合で添加した0.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液中に、上記多孔質アルミナ管よりなる支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜を浸漬し、温度95℃、圧力0.1MPaの条件下で、24時間、静置することで加熱加圧処理し、支持体上に製膜されたFAU型ゼオライト膜の表面を、酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜に転換させることにより、FAU型ゼオライト膜の表面にCHA型ゼオライト膜が設けられた複合ゼオライト膜を形成した。
本発明の方法によれば、多孔質アルミナ管(基体)上に製膜した酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜の表面のみを、酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜に転換させることで、高い膜透過度を維持したまま分子篩能を付与したゼオライト膜を合成することができた。なお、転換した酸素8員環構造を有するゼオライト層の膜厚は、0.01〜2μmであると推定され、酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜層の大幅な薄膜化を果たすことができた。
ここで、図1Aは、転換処理前後のFAU型ゼオライト粉末のXRD(X線回折)パターンを示すグラフである。図1Bは、アルミナ支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜表面を、酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜に転換させ、その転換処理前後のXRDパターンを示すグラフである。
同図に示すXRD測定の結果より、FAU型ゼオライト膜(細孔径0.74nm)を上記の処理条件で24時間、加熱加圧処理することで、酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜(細孔径0.74nm)の表面を、酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜(細孔径0.38nm)に転換したCHA/FAU複合ゼオライト膜を合成できることが確認された。
また、同図に示すように、同条件で処理時間を長くすると、多孔質アルミナ管上のFAU型ゼオライト膜は、最終的には、完全なCHA型ゼオライト膜に転換するが、処理条件を変えることで、MER型ゼオライト膜など他の8員環ゼオライトへの転換も可能である。
また図2は、従来型のゼオライト膜構造と、本発明の複合ゼオライト膜構造を示す部分拡大断面図である。
同図に示すように、本発明によれば、酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜の表面のみが、酸素8員環構造を有するゼオライト膜に転換されるため、従来の合成方法に比べて、酸素8員環構造を有するゼオライト膜層の大幅な薄膜化が可能である。
つぎに図3は、ゼオライト膜の透過分離性能の試験装置のフローシートであり、この装置を用いてゼオライト膜の透過分離性能の評価として、水−IPAの蒸気透過分離試験を行った。
同図に示すように、まず長さ3cmに切断した管状の膜を、ステンレス製の膜モジュールにグラファイトリングを用いて取り付けた。その後、膜モジュールを恒温槽内に設置し、所定の温度に保持した。さらに、ポンプを用いて水−IPAの混合液1ml/minにて送液し、恒温槽内にて気化した蒸気を膜の外側に供給した。膜を透過しなかった成分は、凝縮後、再度ポンプにて送液し、ゼオライト膜の外側を循環させ、1〜20時間後に、その組成をGC(ガスクロマトグラフ)により測定した。また膜の内側は真空ポンプして減圧し、膜を透過する成分を液体窒素にて冷却したトラップにて捕集し、その重量および組成を測定した。水の透過量は、単位面積、単位時間、単位圧力あたりに透過する水の物質量である水透過度[mol/(m・s・Pa)]にて評価した。
なお、分離性能の評価としては、下記式で定義する水分離係数:αにより評価した。
水分離係数:α=(P/P)/(F/F
上記式中、F,Fはそれぞれ供給蒸気中のA、Bの濃度(wt%)、P,Pはそれぞれ透過蒸気中のA,Bの濃度(wt%)を意味する。
図4に、本発明の方法により、FAU型ゼオライト膜表面をCHA型に転換したCHA/FAU複合膜の水−IPA蒸気透過分離試験の結果(膜温度130C、常圧)を示した。IPAの脱水濃縮とともに、FAU型膜ではIPAの透過量が増大することにより、水分離係数が500から100程度まで大きく低下したのに対し、膜表面をCHA型に転換したCHA/FAU複合膜では、500程度の高い水分離係数が維持された。
また水の透過性についても、CHA/FAU複合膜で、10−6mol/(m・s・Pa)を超える高い水透過度を得ることができた。これは拡散抵抗となる酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜層が非常に薄いことに加え、分子篩能付与により、水の透過阻害となるIPAが膜内部に侵入することを抑制できることなどが起因していると考えられる。

Claims (4)

  1. 支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜の表面に、酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜が設けられていることを特徴とする、複合ゼオライト膜。
  2. 酸素12員環構造を有するゼオライト膜の厚さが、0.1μm〜10μmであり、酸素8員環を有するゼオライト膜の厚さが、10nm〜2μmであることを特徴とする、請求項1に記載の複合ゼオライト膜。
  3. 酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト粉末を添加したアルカリ水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜を浸漬し、加熱加圧処理することで、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜の表面の一部を、酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜に転換させることにより、酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜の表面に酸素8員環構造を有するCHA型ゼオライト膜が設けられた複合ゼオライト膜を形成することを特徴とする、複合ゼオライト膜の製造方法。
  4. 酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト粉末を0.01〜20wt%の割合で添加した0.01〜3mol/Lの水酸化カリウム水溶液中に、支持体上に製膜された酸素12員環構造を有するFAU型ゼオライト膜を浸漬し、温度80〜150℃、圧力0.05〜2MPaの条件下で、1〜120時間、加熱加圧処理することを特徴とする、請求項に記載の複合ゼオライト膜の製造方法。
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