JP5847723B2 - 経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法 - Google Patents

経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5847723B2
JP5847723B2 JP2012536576A JP2012536576A JP5847723B2 JP 5847723 B2 JP5847723 B2 JP 5847723B2 JP 2012536576 A JP2012536576 A JP 2012536576A JP 2012536576 A JP2012536576 A JP 2012536576A JP 5847723 B2 JP5847723 B2 JP 5847723B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
skin
phospholipid
carbon number
acidic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012536576A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012043780A1 (ja
Inventor
直樹 高石
直樹 高石
西川 善弘
善弘 西川
木村 隆
隆 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Corp filed Critical Daicel Corp
Priority to JP2012536576A priority Critical patent/JP5847723B2/ja
Publication of JPWO2012043780A1 publication Critical patent/JPWO2012043780A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5847723B2 publication Critical patent/JP5847723B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/66Phosphorus compounds
    • A61K31/683Diesters of a phosphorus acid with two hydroxy compounds, e.g. phosphatidylinositols
    • A61K31/685Diesters of a phosphorus acid with two hydroxy compounds, e.g. phosphatidylinositols one of the hydroxy compounds having nitrogen atoms, e.g. phosphatidylserine, lecithin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • A23L33/115Fatty acids or derivatives thereof; Fats or oils
    • A23L33/12Fatty acids or derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/02Drugs for dermatological disorders for treating wounds, ulcers, burns, scars, keloids, or the like
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/16Emollients or protectives, e.g. against radiation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23VINDEXING SCHEME RELATING TO FOODS, FOODSTUFFS OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES AND LACTIC OR PROPIONIC ACID BACTERIA USED IN FOODSTUFFS OR FOOD PREPARATION
    • A23V2002/00Food compositions, function of food ingredients or processes for food or foodstuffs

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

本発明は、経口摂取用皮膚賦活剤、及び該経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法に関する。
リン脂質は、タンパク質と同様に、生体膜を構成するための主要な成分として知られている。より具体的には、リン脂質は、細胞膜における脂質二重層を形成したり、細胞膜内外の物質移動に用いられるリソソームを形成したりするものであり、細胞膜において特異的に存在し、脳、神経、内臓、血液、卵、種子などの部位に多く含まれている。そして、リン脂質は生命維持のために多くの機能を果たしており、近年、各種リン脂質の機能性を明らかにするため、種々の検討がなされている。
例えば、JP2004−59496号A及びJP2005−272444Aには、リン脂質の一種であるレシチンを構成するための主要成分であるホスファチジルコリンが記載されている。さらに、このホスファチジルコリンが、皮膚に対する美白効果を有することが記載されている。さらに、J.Lab.Clin.Med.,139(2002年)の第202頁−第210頁には、ホスファチジルコリンが、皮膚における炎症刺激に起因する過剰なコラーゲン産生を抑制することが記載されている。
J.Invest.Surg.,17(2004年)の第15頁−第22頁には、ホスファチジルコリンが、損傷された皮膚に発現する収縮を抑制させ、損傷された皮膚をより効果的に回復させる作用を有することが記載されている。JP2006−76967Aには、リン脂質の一種であるホスファチジン酸が、プロテインキナーゼCを活性化し、毛髪再生を促進する作用を有することが記載されている。
JP2006−143744Aには、ホスファチジン酸が、癌の治療、特に多剤耐性を得た癌の治療に有効であることが記載されている。より具体的には、ホスファチジン酸が、腫瘍細胞の細胞膜の流動性を増加させ、種々の細胞傷害性の薬剤に対する多剤耐性を阻害することにより、癌の症状を改善させることが記載されている。
さらに、Protein material,Nucleic acid, Enzime,Vol.44、No.8(1999年)の第1118頁−第1125頁には、リン脂質の一種であるリゾホスファチジン酸が、細胞を増殖させる作用を有すること、及びリン脂質の一種である環状リゾホスファチジン酸が細胞の増殖を抑制する作用を有することが報告されている。
リン脂質の機能性を検討した例として、上記の他にも、FOOD Style 21、Vol.6、No.11(2002年)の第108頁−第116頁には、リン脂質の一種であるホスファチジルセリンが、脳機能を改善させる効果を有することが記載されている。日本農芸化学 2004年大会、3A19の第23頁、「卵黄由来ホスファチジルセリンが神経突起伸張に与える影響」(“Effects on neurite elongation of phosphatidyl serine derived from egg” Proceeding of Anual Meeting 0f Japan Society for Bioscience,Biotechnology,and Agrochemistry 2004,3A19, page 23)には、ホスファチジルセリンが神経突起を伸張させる活性を有することが記載されている。
J.Lipid Research、47(2006年)の第1434頁−第1443頁には、リン脂質の一種であるホスファチジルエタノールアミンが、神経に対して栄養を付与する作用を有することが記載されている。日本国特許第2717509号明細書には、酸性リン脂質及びそのリゾ体が、苦味を低減させる作用を有することが記載されている。さらに、本発明者らは、国際公開第2009/028220号パンフレットにおいて、リン脂質の一種であるグリセロリン脂質を正常ヒト皮膚繊維芽細胞及びラットへ投与すると、コラーゲンの産生が促進されることを報告している。
しかしながら、酸性リン脂質、特にリゾホスファチジン酸やホスファチジン酸を経口摂取することにより、皮膚組織の新陳代謝が活発化されることにより、創傷治癒促進や光老化防止などといった皮膚賦活作用が発現することは全く知られていない。なお、これらの皮膚賦活作用のメカニズムは、コラーゲン産生を促進する効果だけでは説明のつかないものであり、その詳細は不明である。
経口摂取されることにより皮膚賦活作用を発現させる成分や食品としては、例えば、以下のようなものが知られている。すなわち、日本国特許第3308433号明細書には、杜仲と人参とコラーゲンを必須成分とし、これにデオキシリボ核酸、コンドロイチン硫酸及びハトムギエキスからなる群より選択される1種以上が配合された皮膚賦活食品が記載されている。JP2002−255847Aには、グリシン及び他のアミノ酸からなるトリペプチドを有効成分とするコラーゲン産生促進剤が含有された食品が記載されている。
JP2000−95701Aには、プルーンの果実若しくはその抽出物を含有する皮膚賦活剤が記載されている。JP62−6690Bには、オウレン解毒湯、サイコ、コウカ及びヨクイニンの水性エキスを有効成分として含有する経口摂取用皮膚賦活剤が記載されている。JP3−000024Bには、セリ、サンシン、シヨウキヨウ、コウカ、ウコン及びヨクイニンからなる生薬混合物を水又は水性アルコールから抽出して得られたエキスを、有効成分として含有する皮膚賦活食品が記載されている。
しかしながら、上記のような皮膚賦活作用を有する従来の成分は、生薬などの天然物由来の植物素材から得られているため、安定して品質を管理することが困難である。さらに、上記のような皮膚賦活作用を有する従来の成分は、その摂取量が少量である場合には皮膚賦活効果を十分に発現することができないため、その摂取量を多くする必要がある。なお、上記のような皮膚賦活作用を有する成分の摂取量が多くなると、下痢などの胃腸の不調症状が起こるといった問題が発生する場合がある。
また、ホスファチジン酸やリゾホスファチジン酸は、最も基本的なグリセロリン脂質であり、古くから研究の対象とされている。そして、ホスファチジン酸やリゾホスファチジン酸は、各種の生体組織から得られた脂質抽出物中において、代謝中間体又は前駆体として広く分布している。
FEBES Lett.、 531(2002年)、第65頁−第68頁には、ホスファチジン酸が、脂質性シグナル因子としての機能を有すること、及び種々のタンパク質と相互に作用しあうことが記載されている。また、Science、294(2001年)の第1942頁−第1945頁には、m―TOR(mammalian target of rapamycin)と呼ばれるタンパク質が、ホスファチジン酸により、直接的に活性化されることが記載されている。
しかしながら、ホスファチジン酸やリゾホスファチジン酸が、創傷治癒促進作用や光老化防止作用などの皮膚賦活作用を有することについては全く知られていない。
ここで、創傷が治癒する過程は、血液凝固期、炎症期、増殖期及び成熟期の4つのステージからなる。この創傷治癒過程における各々のステージについて、以下に説明する。すなわち、血液凝固期は、凝固した血液により創傷が一時的に閉鎖されるステージである。つまり、血液凝固期は、創傷部に侵入してくる外敵に対して、応急処置がほどこされるステージであるととらえられる。炎症期には、創傷部に好中球やマクロファージが遊走することにより、付着した細菌、壊死組織又は異物などが取り込まれて排除される。増殖期には、線維芽細胞がコラーゲンなどの細胞外マトリックス成分を産生したり、新生血管が形成されたりし、それにともない、肉芽組織が形成されて創傷が収縮する。そして、成熟期には、細胞外マトリックス成分の産生が充分に進み、創傷が目立たなくなる。
このような創傷治癒過程には、種々の増殖因子が関与している。そして、増殖因子のなかでも、免疫システムの一部を担うマクロファージなどの細胞が、重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。すなわち、創傷治癒は、免疫系を介する生理学的プロセスであることが明らかとなっている。
健康な患者においては、上記の創傷治癒過程が確実に進行する。しかしながら、糖尿病の患者においては、マクロファージなどの細胞の遊走が鈍くなったり、増殖因子の産生量が低下したりしている。そのため、創傷の治癒が遅れる場合や、もしくは治癒が一向に進まない場合があり、これらは臨床上の大きな問題の原因となっている。
創傷に対する治療法としては、創傷を速やかに治癒させることができる観点から、消毒がおこなわれた創傷部にガーゼを貼る治療法;ポリウレタンフィルム、ハイドロコロイド、ハイドロジェル、ハイドロポリマーなどのドレッシング剤を利用した、いわゆる湿潤療法などが広く適用されている。しかしながら、ガーゼを貼る治療法や湿潤療法を用いた場合であっても、糖尿病患者においては依然として創傷治癒の遅延が起こり、創傷の治療が十分であるとは言えなかった。
このような状況を踏まえ、Arzneimittelforschun.、46(5)、(1996年)の第547頁−第551頁、及びBasis and The medical practiceの30(9)、(1996年)の第2161頁−第2174頁には、創傷治癒促進剤である塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)が記載されている。bFGFは、線維芽細胞を増殖させたり、血管新生を促進させたりする作用を有するものであり、糖尿病患者においても十分な創傷治癒を行うことができる。
bFGF製剤は、フィブラストスプレーという商品名で市販されている。そして、患部にbFGF製剤の溶液をスプレーするという局所投与法を用いることにより優れた創傷治癒効果を発揮することができるため、bFGF製剤は外科の臨床分野で頻用されている。しかしながら、上述の局所投与法が用いられた場合は、bFGFが増殖因子であるため、創傷部付近に腫瘍がある患者に対しては腫瘍の増大を引き起こす可能性が懸念される。つまり、このような患者に対しては、上記のbFGFは適用できないため、bFGFは汎用性という観点からは必ずしも優れていないという問題がある。
その他にも、Medical Biology、63(1985年)の第73頁−第85頁;Surgery、104(1988年)の第224頁−第230頁;The Journal of veterinary medical science、67(1)(2005年)の第111頁−第114頁;JP11−116604A及びJP11−171784Aには、メシマコブから抽出した多糖類、酵母由来のβ−グルカン、又は硫酸化β−1,3−グルカンなどの有効成分を、創傷部に対して局所的に投与することにより、創傷治癒促進作用が発現されることが記載されている。しかしながら、上記のような有効成分を局所的に投与する場合は、該有効成分を直接に創傷面に付与するか、又は静脈注射により全身投与するものであるため、経口摂取により簡便に創傷治癒促進作用が発現される成分が望まれている。
経口摂取により創傷治癒促進効果を発現させる成分として、JP2009−143854Aには、ハナビラタケが記載されている。しかしながら、ハナビラタケは、比較的高価なうえ、創傷治癒促進効果を発揮するために必要な摂取量を多くしなければならないという問題があった。
ところで、皮膚においては、老化が発現することもしばしば問題となっている。一般的に皮膚老化とは、加齢に伴う自然老化と、紫外線の繰り返しの暴露による光老化とが複合されたものである。自然老化による老化が起こった皮膚は、滑らかで細かいシワが発現するのに対し、光老化による老化が起こった皮膚は、粗く深いシワが発現する。また、光老化は、太陽(紫外線)に長期間当たり続けると発現する。そして、光老化により顔、首筋などに深いシワが生じ、さらに皮膚の乾燥、肌荒れ、あるいはシミ、ソバカスなどの色素沈着を引き起こすことが知られている。近年、光老化による肌のトラブルが特に問題視されるようになった。
紫外線による光老化を防止するために、酸化チタン、酸化亜鉛、パラメトキシ経皮酸エステル、パラアミノ安息香酸エステルなどの各種の紫外線吸収物質;紫外線散乱物質;紫外線遮蔽物質などを配合した化粧料(つまり、サンスクリーン、サンプロテクト化粧品)が使用されている。また、皮膚の光老化による症状を改善する方法としては、皮膚注射によりボツリヌス菌毒素を投与することが有効であることが広く知られている。しかしながら、該皮膚注射は、肌荒れを起こすなど安全性に劣る場合があるため、医師のみによる使用に限定されており、汎用性という観点からは、好ましいものではない。また、皮膚の光老化による症状を改善するための、皮膚に直接塗布されうる外用剤として、全トランス型のレチノイン酸(トレチノイン)などが知られている。
一方、近年、体内に美容成分を摂取するという概念から、上記の外用剤を皮膚に直接塗布することに加えて、日常的に経口摂取することにより、光老化を防止したり改善したりする作用を示す食品成分が求められている。
これらの作用を示す食品成分として、JP2008−280217Aには、ハマウツボ科の植物の抽出物に含まれるフェニルエタノイド配糖体が記載されている。また、JP2010−506893Aには、グルコサミン、及び松樹皮に由来する1種以上のポリフェノール化合物を含有する経口投与用組成物が記載されている。Biosci.Biotechnol.Biochem.、73(4)(2009年)の第930頁−第932頁には、光老化を防止したり改善したりする作用を示す食品成分として、コラーゲンペプチドが記載されている。
しかしながら、これらの食品成分については、ヒトによる食経験が少ないため、安全性を保証することができないという問題がある。また、これらの食品成分は、その摂取量が少量であると効果が弱いため、大量の摂取が必要であるという問題がある。
また、J.Lipid Res.、49(2008年)の第1235頁−第1245頁において、光老化の予防や治療として、ホスファチジルセリンを創傷部に局所投与することが有効であることが報告されている。ホスファチジルセリンを局所投与することで、UV照射によって引き起こされる真皮中のタイプ1プロコラーゲンの減少、及びMMP1(コラーゲナーゼ)の増加が抑制される。しかしながら、酸性リン脂質、特に、ホスファチジン酸やリゾホスファチジン酸を経口摂取することにより、光老化が効果的に防止されたり、又は改善されたりすることは全く知られていない。
一方、J.Dermatol. Sci.、44(2006年)の第101頁−第107頁や、J.Health Sci.、54(2008年)の第559頁−第566頁に開示されているように、スフィンゴ糖脂質を経口摂取することにより皮膚のバリア機能が向上することが知られている。スフィンゴ脂質は長鎖塩基成分としてスフィンゴイド類を含む複合脂質の総称である。すなわち、スフィンゴイドに脂肪酸が酸アミド結合したセラミドを共通構造とし、それに糖がグリコシド結合したものがスフィンゴ糖脂質と称される。
しかしながら、スフィンゴ糖脂質と酸性リン脂質を併用して経口摂取することにより、コラーゲン産生促進作用、光老化防止作用、創傷治癒促進作用などの皮膚賦活作用が相乗作用的に増強されることは、今までに全く知られていなかった。
本発明の目的は、酸性リン脂質(特に、ホスファチジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸)を含有し、安価で安全性が高く、そのうえ品質管理が容易であり、少量の摂取で十分な効果が得られる経口摂取用皮膚賦活剤を提供しようとすることである。さらに、本発明の別の目的は、上記のような効果を奏する経口摂取用皮膚賦活剤を製造する方法を提供しようとすることである。
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、酸性リン脂質の含有量が40質量%以上である経口摂取用皮膚賦活剤が、特に優れた光老化防止作用及び創傷治癒促進作用などの皮膚賦活作用を有するという事実を見出し、本発明に到達した。さらに、特定の操作を行うことにより、高い作用効果を奏する経口摂取用皮膚賦活剤を製造することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)酸性リン脂質の含有量が40質量%以上であることを特徴とする経口摂取用皮膚賦活剤。
(2)酸性リン脂質がホスファチジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸であることを特徴とする(1)の経口摂取用皮膚賦活剤。
(3)コラーゲン類と併用可能であることを特徴とする(1)又は(2)の経口摂取用皮膚賦活剤。
(4)スフィンゴ糖脂質と併用可能であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの経口摂取用皮膚賦活剤。
(5)(1)〜(4)のいずれかの経口摂取用皮膚賦活剤を含有してなる飲食品。
(6)(1)〜(4)のいずれかの経口摂取用皮膚賦活剤を製造する方法であって、中性リン脂質を含有する脂質混合物にホスホリパーゼを作用させる工程と、該脂質混合物中に含まれる中性脂質を除去する工程を含むことを特徴とする経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法。
本発明によれば、安価で安全性が高く、品質管理が容易であり、かつ少量の摂取で十分な効果が得られる経口摂取用皮膚賦活剤を提供することが可能となる。これらの経口摂取用皮膚賦活剤は、古くから食用として利用されている酸性リン脂質を原料としているため、極めて安全性が高く、飲食品やサプリメントなどの経口投与剤において用いることも可能である。したがって、該経口摂取用皮膚賦活剤を経口投与する際において、対象者ごとに適した投与条件(投与量や投与回数など)を適宜に選択することができる。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の光老化防止効果(角層における水分量の減少防止効果)を表したグラフである。
以下、本発明について説明する。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、皮膚組織の新陳代謝を活発にすることによって、肌のハリやツヤの低下を防ぎ、小ジワ又はくすみなどを改善するものである。特に、紫外線が繰り返し暴露されることによる光老化を効果的に防ぐ効果を有する。さらに、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、コラーゲン産生促進効果及び美容効果以外の効果、つまり創傷の治癒を促進する効果なども有する。
なお、本明細書において創傷とは、外的、内的要因によって起こる体表組織の物理的な損傷を指す。具体的には、切創、裂創、刺創、咬創、擦過傷、銃創、挫傷、熱傷又は褥瘡などを包含する。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、経口により投与されることで体内に摂取されるものである。経口投与した場合は、皮膚の角質層を経由しないため、軟膏状やローション状に調製し皮膚に塗布したりして摂取される場合に比べると、皮膚の真皮層に到達されやすい。その結果、少量の摂取であっても、皮膚賦活効果に顕著に優れるものとなる。なお、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤を体内に摂取するためには、医薬品や飲食品などに含有されて、用いられればよい。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、酸性リン脂質を含有するものである。本明細書でいう酸性リン脂質とは、グリセリン、脂肪酸及びリン酸からなる中心骨格を有するグリセロリン脂質のうち、生理的食塩水中で分子全体として負電荷を示すリン脂質をいう。
酸性リン脂質としては、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、又はそれらから脂肪酸がはずれたリゾ体などが挙げられる。これらの中でも、高い皮膚賦活作用を有する観点から、ホスファチジン酸、又はホスファチジン酸からC1位又はC2位の脂肪酸が外れたリゾホスファチジン酸が好ましく、特にホスファチジン酸を用いることが好ましい。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤においては、酸性リン脂質の含有量が40質量%以上であることが必要である。本発明は、高い割合で酸性リン脂質を含有する皮膚賦活剤を経口摂取することで、従来技術と比較して顕著な皮膚賦活効果を発現すること、及び創傷治癒促進効果及び光老化防止効果がより効果的に奏されることを初めて見出したものである。これらの効果をより効果的に発現させる観点から、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の酸性リン脂質の含有量は、60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。酸性リン脂質の含有量が40質量%以上であることが必要である理由は明らかではないが、以下のようなものであると推測される。つまり、本発明の皮膚賦活剤は経口摂取用であるため、摂取時に、胃、腸での分解により酸性リン脂質が減量する場合がある。しかしながら、このような場合であっても、該含有量が40質量%以上であると、酸性リン脂質の減少の影響を受けずに皮膚賦活効果を発現させることができるものと推定される。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤には、中性リン脂質が含有されていてもよい。中性リン脂質とは、グリセリン、脂肪酸及びリン酸からなる中心骨格を有するグリセロリン脂質のうち、生理的食塩水中で分子全体として電荷を示さないリン脂質をいう。中性リン脂質の具体例としては、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びそれらのリゾ体などが挙げられる。
酸性リン脂質や中性リン脂質は、上述のように、グリセリン、脂肪酸及びリン酸からなる基本骨格を有する。なお、該脂肪酸は、例えば、炭素数8〜24の飽和脂肪酸であるか、又は不飽和度が1以上で炭素数4〜30の不飽和の脂肪酸であることが好ましい。
上記の脂肪酸としては、特に制限されないが、その具体例としては、以下のような直鎖不飽和脂肪酸が挙げられる。クロトン酸、イソクロトン酸などのブテン酸(炭素数:4、不飽和度:1);ペンテン酸(炭素数:5、不飽和度:1);ヘキセン酸(炭素数:6、不飽和度:1);ヘプテン酸(炭素数:7、不飽和度:1);オクテン酸(炭素数:8、不飽和度:1);ノネン酸(炭素数:9、不飽和度:1);デセン酸(炭素数:10、不飽和度:1);ウンデセン酸(炭素数:11、不飽和度:1);ラウロレイン酸などのドデセン酸(炭素数:12、不飽和度:1);トリデセン酸(炭素数:13、不飽和度:1);ミリストレイン酸やミリステライジン酸などのテトラデセン酸(炭素数:14、不飽和度:1);ペンタデセン酸(炭素数:15、不飽和度:1);パルミトレイン酸、パルミテライジン酸などのヘキサデセン酸(炭素数;16、不飽和度:1);ヘプタデセン酸(炭素数:17、不飽和度:1);ペトロセリン酸、ペトロセライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸などのオクタデセン酸(炭素数:18、不飽和度:1);ノナデセン酸(炭素数:19、不飽和度:1);ガドレイン酸、ゴンドレン酸などのエイコセン酸(炭素数:20、不飽和度:1);エルカ酸、ブラッシジン酸、セトレイン酸などのドコセン酸(炭素数:22、不飽和度:1);ネルボン酸などのテトラコセン酸(炭素数:24、不飽和度:1);ヘキサコセン酸(炭素数:26、不飽和度:1);オクタコセン酸(炭素数:28、不飽和度:1);トリアコンテン酸(炭素数:30、不飽和度:1);ペンタジエン酸(炭素数:5、不飽和度:2);ソルビン酸などのヘキサジエン酸(炭素数:6、不飽和度:2);ペプタジエン酸(炭素数:7、不飽和度:2);オクタジエン酸(炭素数:8、不飽和度:2);ノナジエン酸(炭素数:9、不飽和度:2);デカジエン酸(炭素数:10、不飽和度:2);ウンデカジエン酸(炭素数:11、不飽和度:2);ドデカジエン酸(炭素数:12、不飽和度:2);トリデカジエン酸(炭素数:13、不飽和度:2);テトラデカジエン酸(炭素数:14、不飽和度:2);ペンタデカジエン酸(炭素数:15、不飽和度:2);ヘキサデカジエン酸(炭素数:16、不飽和度:2);ヘプタデカジエン酸(炭素数:17、不飽和度:2);リノール酸、リノエライジン酸などのオクタデカジエン酸(炭素数:18、不飽和度:2);エイコサジエン酸(炭素数:20、不飽和度:2);ドコサジエン酸(炭素数:22、不飽和度:2);テトラコサジエン酸(炭素数:24、不飽和度:2);ヘキサコサジエン酸(炭素数:26、不飽和度:2);オクタコサジエン酸(炭素数:28、不飽和度:2);トリアコンタジエン酸(炭素数:30、不飽和度:2);ヘキサデカトリエン酸(炭素数:16、不飽和度:3);α−リノレン酸、γ−リノレン酸などのオクタデカトリエン酸(炭素数:18、不飽和度:3);ジホモ−γ−リノレン酸;ミード酸などのエイコサトリエン酸(炭素数:20、不飽和度:3);ドコサトリエン酸(炭素数:22、不飽和度:3);テトラコサトリエン酸(炭素数:24、不飽和度:3);ヘキサコサトリエン酸(炭素数:26、不飽和度:3);オクタコサトリエン酸(炭素数;28、不飽和度:3);トリアコンタトリエン酸(炭素数;30、不飽和度:3);ステアリドン酸などのオクタデカテトラエン酸(炭素数:18、不飽和度:4);アラキドン酸などのエイコサテトラエン酸(炭素数:20、分子量:4);アドレン酸などのドコサテトラエン酸(炭素数:22、不飽和度:4);テトラコサテトラエン酸(炭素数:24、不飽和度:4);ヘキサコサテトラエン酸(炭素数:26、不飽和度:4);オクタコサテトラエン酸(炭素数:28、不飽和度:4);トリアコンタテトラエン酸(炭素数:30、不飽和度:4);エイコサペンタエン酸(炭素数:20、不飽和度:5);クルパドノン酸などのドコサペンタエン酸(炭素数:22、不飽和度:5);テトラコサペンタエン酸(炭素数:24、不飽和度:5);ドコサヘキサエン酸(炭素数:22、不飽和度:6);ニシン酸などのテトラコサヘキサエン酸(炭素数:24、不飽和度:6)などが挙げられる。なかでも、皮膚賦活効果の観点から、オレイン酸やリノール酸が好ましい。
上記に示した直鎖不飽和脂肪酸以外にも、ルメン酸(炭素数:18、不飽和度:2)、カレンジン酸(炭素数:18、不飽和度:3)、ジャカリン酸(炭素数:18、不飽和度:3)、エレオステアリン酸(炭素数:18、不飽和度:3)、カタルピン酸(炭素数:18、不飽和度:3)、プニカ酸(炭素数:18、不飽和度:3)、ルメレン酸(炭素数:18、不飽和度:3)のような共役脂肪酸;リシノレイン酸(炭素数:18、不飽和度:1)やリシネライジン酸(炭素数:18、不飽和度:1)、ジモルフェコリン酸(炭素数:18、不飽和度:2)のような水酸化不飽和脂肪酸;ベモリン酸(炭素数:18、不飽和度:1)のようなエポキシ脂肪酸;ウロフラン酸のようなフラノイド脂肪酸;ミコリン酸のような高分子量の分岐鎖不飽和脂肪酸;その他メトキシ不飽和脂肪酸や環状不飽和脂肪酸などが挙げられる。これらの脂肪酸は、単独であるいは2種以上が組み合わせられて、酸性リン脂質や中性リン脂質を構成しうる成分である。
酸性リン脂質と中性リン脂質との含有割合は、皮膚賦活効果の観点から、酸性リン脂質を基準として、質量比で、(酸性リン脂質)/(中性リン脂質)=2/1以上(すなわち、酸性リン脂質が中性リン脂質の2倍以上)であることが好ましく、5/1以上であることがさらに好ましく、50/1以上であることが最も好ましい。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、コラーゲン類と併用されることが好ましい。コラーゲン類と併用されると、酸性リン脂質とコラーゲン類との相乗効果により、創傷治癒作用や光老化防止作用がさらに向上し、より優れた皮膚賦活効果が得られる。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤がコラーゲン類と併用されることにより、皮膚賦活の相乗効果を奏する理由は明らかではないが、以下のようなものであると推測される。すなわち、皮膚中の繊維芽細胞に酸性リン脂質及びコラーゲン類に由来するアミノ酸が供給されることにより、酸性リン脂質により繊維芽細胞が賦活化される。そして、該賦活化された繊維芽細胞が、コラーゲン類に由来するアミノ酸を原料とし、皮膚を再生させるからであると推定される。
コラーゲン類とは、例えば、以下のようなものである。つまり、牛、豚、鶏や魚類などの動物の皮膚、鱗、骨及び腱などの結合組織から抽出したコラーゲン;コラーゲンを加熱抽出して得られるゼラチン;コラーゲン構造中のテロペプチド部分のペプチド結合を酵素、あるいはアルカリによる加水分解で可溶化して得られた可溶性コラーゲン;コラーゲン又はゼラチンを加水分解して得られたコラーゲン加水分解物をいう。
コラーゲン類の中でも、体内への吸収性に優れる観点から、可溶性コラーゲン及びコラーゲン加水分解物が好適である。その中でも、体内への吸収性が特に優れる観点から、Gly−X−Yで表される分子量が400以下のペプタイドが、特に好適である。なお、ここで、Glyはグリシンを表す。X及びYはグリシン以外のアミノ酸残基、例えば、プロリンや4−ヒドロキシプロリンなどを表す。
コラーゲン類を加水分解する方法としては、コラゲナーゼ酵素を用いて加水分解する方法や、酸あるいはアルカリにより加水分解する方法などが挙げられる。コラゲナーゼ酵素としては、Clostridium histoticum、Streptomyces parvulus、Streptomyces septatusなどの細菌、放線菌あるいは真菌などに由来する酵素を使用することができる。また、コラーゲン分解能を有する、他のタンパク質加水分解酵素を使用してもよい。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤とコラーゲン類とが併用される場合、両者の併用割合は、酸性リン脂質を基準とする。すなわち、酸性リン脂質とコラーゲン類の併用割合は、質量比で、(酸性リン脂質)/(コラーゲン類)=2/1〜1/1000であることが好ましく、1/1〜1/500の範囲であることが特に好ましい。酸性リン脂質の使用量が、コラーゲン類の使用量の2倍を超えると、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤を得るための原料コストが高くなる場合がある。一方、コラーゲン類の使用量が酸性リン脂質の使用量の1000倍を超えると、酸性リン脂質による皮膚賦活効果に乏しくなる場合がある。
また、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、スフィンゴ糖脂質と併用されることも好ましい態様である。スフィンゴ糖脂質と併用されると、酸性リン脂質とスフィンゴ糖脂質との相乗効果により、創傷治癒作用や光老化防止作用などがさらに亢進し、より優れた皮膚賦活効果が得られる。酸性リン脂質とスフィンゴ糖脂質との相乗効果が奏される理由は明らかではないが、スフィンゴ糖脂質のセラミド骨格と酸性リン脂質の構造が類似しているためであると推測される。特に本発明の経口摂取用皮膚賦活剤とコラーゲン類とスフィンゴ糖脂質の3つを併用した場合、最も高い皮膚賦活効果が得られる。
スフィンゴ糖脂質は、有機溶剤を用い、動物組織由来の原料又は植物組織由来の原料から抽出することにより得られるものである。動物組織由来の原料としては、例えば、牛脳などの動物脳組織;豚の表皮などの動物皮膚組織;牛乳などのミルク類などが挙げられる。植物組織由来の原料としては、例えば、米糠、小麦胚芽、小麦粉、トウモロコシなどの穀類由来原料;大豆などの豆類由来原料;ビートなどの根菜類由来原料;馬鈴薯やその皮、蒟蒻芋や、蒟蒻トビ粉などの芋類由来原料;綿実油粕、菜種油粕などの油粕類などが挙げられる。これらの中でも、安全性及び原料の調達の容易さの点で、植物組織由来のものが好ましく、さらに、スフィンゴ糖脂質の含有量が高いという点から、蒟蒻トビ粉がより好ましい。
スフィンゴ糖脂質を得る際に、抽出溶媒として使用する有機溶剤としては、スフィンゴ糖脂質と抽出中に反応するものであって、スフィンゴ糖脂質の効果を損なうものでなければ、特に限定されない。このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、ヘキサン、ペンタン、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチルなどが挙げられる。なかでも、メタノール、エタノール、ヘキサン、アセトンが好ましく、エタノールが特に好ましい。これらの有機溶媒は、一種類を単独で用いてもよいし、複数の溶媒を混合して用いても良い。また、これらの有機溶媒で抽出する際には、抽出効率をあげるために、例えば、界面活性剤などの添加物や水などを、抽出の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤とスフィンゴ糖脂質とが併用される場合、両者の併用割合は、酸性リン脂質を基準とする。すなわち、酸性リン脂質とスフィンゴ糖脂質の併用割合は、質量比で、(酸性リン脂質)/(スフィンゴ糖脂質)=1/1〜1000/1であることが好ましく、100/1〜10/1の範囲であることが特に好ましい。酸性リン脂質の使用量が、スフィンゴ糖脂質の使用量の1000倍を超えると、スフィンゴ糖脂質の相乗効果が得られなくなる場合がある。一方、スフィンゴ糖脂質の使用量が酸性リン脂質の使用量を越える場合、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の原料コストが著しく高くなる場合がある。
次に、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法について説明する。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法は、中性リン脂質を含有する脂質混合物にホスホリパーゼを作用させる工程(以下、「酵素作用工程」と称する場合がある)と、該脂質混合物中に含まれる中性脂質を除去する工程(以下、「中性脂質除去工程」と称する場合がある)を含むものである。
酵素作用工程において、原料である脂質混合物にホスホリパーゼを作用させることで、脂質混合物に含有される中性リン脂質を酸性リン脂質へ変換し、酸性リン脂質の含有量を高めることができる。そして、中性脂質除去工程において、該脂質混合物中に含まれる中性脂質を除去することで、酸性リン脂質の含有量を高めることができる。
つまり、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の製造方法においては、原料として中性リン脂質を含む脂質混合物が用いられる。そして、該脂質混合物中の中性リン脂質に対してホスホリパーゼを作用させ、該中性リン脂質を酸性リン脂質に変換し、さらに該脂質混合物中に含まれる中性脂質を除去することにより、酸性リン脂質を高濃度(つまり、40質量%以上)で含む経口摂取用皮膚賦活剤を製造することができる。なお、原料である脂質混合物中には、上述の酸性リン脂質が含有されていてもよい。
酸性リン脂質は、例えば大豆、卵黄、菜種などの天然物に含まれている。しかしながら、このような天然物においては、酸性リン脂質の含有量が少量である。そのため、天然物である脂質混合物から酸性リン脂質を抽出する場合は、抽出量を高めるための操作が別途必要となり、その操作が煩雑となることから、実用的な抽出方法ではない。そこで、本発明においては、中性リン脂質を含む脂質混合物を原料とし、これにホスホリパーゼを作用させて、中性リン脂質を酸性リン脂質に変換する工程を含むことで、酸性リン脂質の含有量を容易に高めることができる。
原料である脂質混合物には、酸性リン脂質や中性リン脂質以外にも、脂肪酸のグリセリンエステルなどの中性脂質が含有されていてもよい。脂肪酸のグリセリンエステルとしては、例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドが挙げられる。なお、ここでいう中性脂質には、リン脂質は含まれないものとする。
原料として用いられる脂質混合物は、天然物であってもよいし、合成物であってもよい。脂質混合物の天然物としては、レシチンなどが挙げられる。レシチンは、通常、酸性リン脂質、中性リン脂質、中性脂質、及び糖脂質を主成分として含むものである。レシチンの具体例としては、大豆レシチン、菜種レシチン、卵黄レシチンなどが挙げられる。レシチンは、食品、医薬品など様々な分野で利用されている。工業的分野の利用においては、安価に提供できる観点から、大豆由来のレシチンが好適である。
工業的に利用されうるレシチンの例を、以下に挙げる。例えば、レシチンを界面活性剤として利用する場合には、大豆粗原油から分離した、クルードレシチン(大豆レシチン)と称されるものが用いられる。クルードレシチンは、一般に、中性リン脂質を主成分とするリン脂質70〜65%、トリグリセリド、ジグリセリド、及びモノグリセリドなどからなる中性脂質を含む大豆油を主成分とし(つまり、このような大豆油を33〜35質量%含有し)、その他の成分として、脂肪酸、炭水化物、蛋白質、無機質、ステロール及び色素のうちの1種以上を含有する脂質混合物である。
また、工業的に利用されうるレシチンの例として、アセトン等の溶剤を用いて、このクルードレシチンから中性脂質等を除去した脱脂レシチンも挙げられる。脱脂レシチンは、中性リン脂質を主成分とするリン脂質を90質量%以上の割合で含有する高純度レシチンであり、健康食品、医薬品などの分野においてそのまま利用されている。
また、脂質混合物の合成物としては、例えば、ジ−又はモノ−グリセリン脂肪酸エステルと、リン酸化剤との反応生成物などが挙げられる。リン酸化剤としては、五酸化二リンあるいはオキシ塩化リン等が挙げられる。
原料である脂質混合物における中性リン脂質の含有量は、特に限定されないが、酸性リン脂質を高濃度に含有する経口摂取用皮膚賦活剤を得る観点からは、20〜100質量%であることが好ましく、40〜100質量%であることがさらに好ましく、60〜100質量%であることが特に好ましい。なお、原料である脂質混合物において、酸性リン脂質の含有量、中性脂質の含有量については特に限定されない。
酵素作用工程について説明する。上述のように、酵素作用工程とは、原料となる脂質混合物にホスホリパーゼを作用させて、中性リン脂質を酸性リン脂質へ変換し、酸性リン脂質の含有量を高めた経口摂取用皮膚賦活剤を得る工程である。この酵素作用工程を経ることにより、酸性リン脂質を高い割合で含有することができ、皮膚賦活効果が顕著に向上された経口摂取用皮膚賦活剤を製造することができる。
上記酵素作用工程において用いられるホスホリパーゼは、脂質混合物中に含有される中性リン脂質に作用し、中性リン脂質を酸性リン脂質に変換し得る酵素である。ホスホリパーゼとしては、特に限定されないが、生体への安全性の観点から、微生物由来のホスホリパーゼや植物由来のホスホリパーゼが好ましく用いられる。
ホスホリパーゼの具体例としては、例えば、ホスホリパーゼD、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、併用されてもよい。本発明の酵素作用工程においては、中性リン脂質を酸性リン脂質へ変換する効率の観点から、ホスホリパーゼDを用いることが好ましい。
さらに、酸性リン脂質として、リゾホスファチジン酸を得る場合には、ホスホリパーゼDに加えて、ホスホリパーゼA1又はホスホリパーゼA2を作用させることが好ましい。なお、ホスホリパーゼD、ホスホリパーゼA1及びホスホリパーゼA2の3種を同時に作用させると、リン脂質がホスファチジルグリセロールへと変換され、得られる経口摂取用皮膚賦活剤における酸性リン脂質の含有量が低減される場合があるため、好ましくない。
ホスホリパーゼDはリン脂質加水分解酵素である。そして、細胞膜の主要構成成分であるホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミンなどを加水分解し、ホスファチジン酸及びコリンやエタノールアミンなどを産生するものである。ホスホリパーゼDは、植物を始め、藻類、哺乳類、粘菌又は細菌など、生物に広範囲に分布するものであり、いずれに分布するものを用いても良い。また、ホスホリパーゼDの反応条件については、特に限定されず、適宜選択することができる。
酵素作用工程におけるホスホリパーゼの使用量は、特に限定されないが、中性リン脂質1g当り、0.01〜1000ユニットであることが好ましく、0.05〜500ユニットであることがより好ましく、1〜200ユニットであることが特に好ましい。上記使用量が、0.01ユニット未満であると、酸性リン脂質への変換速度が非常に遅くなる場合がある。一方、上記使用量が1000ユニットを超えると、製造コストが高くなる場合がある。なお上記の使用量の単位であるユニットとは、1分間に1μmolのホスファチジルコリンを加水分解しうるホスホリパーゼの量を表す。
酵素作用工程における反応温度は、ホスホリパーゼが失活しない温度であれば特に制限されないが、製造コストや反応効率の観点から、5〜90℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。また、酵素作用工程における反応時間は、ホスホリパーゼの使用量によって適宜選択されることができるが、製造コストの観点から、2〜72時間で反応が終了するように、各種の条件を設定することが好ましい。
本発明においては、酵素作用工程の前段及び/又は後段において、溶剤分画をおこなってもよい。溶剤分画を行うことで、中性脂質の除去及び酸性リン脂質の濃縮を行うことができ、酸性リン脂質の濃度をより高めることができる。溶剤分画に用いることができる溶剤としては、例えば、アルコール、含水アルコール、アセトン、非極性有機溶剤、又はこれらの混合液などが挙げられる。
アルコールとしては、中性脂質などを良好に溶解する観点から、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましい。なかでも、安全性の観点から、エタノールが好ましい。含水アルコールとしては、中性脂質などの溶解性の観点から、30質量%以下の水分を含む低級アルコールが好ましく、5〜25質量%の水分を含む低級アルコールがより好ましい。
非極性有機溶剤は、中性脂質などを溶解し得るものであれば、特に限定されないが、人体への安全性の観点から、炭素数4〜16の液状炭化水素が好ましい。非極性有機溶剤の具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、及びヘキサデカン等のアルカンを挙げることができる。これらの非極性有機溶剤は、一種単独で用いられてもよいし、二種以上を混合して用いても良い。
上記の溶剤分画において、溶剤の使用量は、原料である脂質混合物を構成する成分などによっても異なるが、取扱い易さの観点から、脂質混合物の0.2〜100質量倍であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜30質量倍、特に好ましくは1〜10質量倍である。
上記溶剤分画を行う際において、原料となる脂質混合物中に酸性リン脂質が含まれる場合には、該酸性リン脂質を濃縮する操作が含まれることが好ましい。濃縮操作としては、脂質混合物中のPCやPEなどの中性リン脂質が溶剤に溶け易いことを利用し、該溶剤を用いて中性リン脂質を抽出し、濃縮させるという手法が挙げられる。
溶剤分画を行う手法について以下に説明する。例えば、大豆レシチンのように、中性リン脂質としてPC及び/又はPEを含有し、酸性リン脂質としてPI及び/又はPAを含有する脂質混合物を原料として用いた場合、溶剤による抽出操作を行うことにより、まず脂質混合物中のPCの含有量が減り、続いてPEの含有量が減少する。このような抽出操作を繰り返すことにより、最終的に酸性リン脂質であるPI、PAを濃縮し、これらの含有量がより高められた経口摂取用皮膚賦活剤を製造することができる。
上記の溶剤分画は、液−液系で行うことができる。例えば、非極性有機溶剤と含水低級アルコールとを用いて、液−液系における抽出を繰り返すことにより、酸性リン脂質を非極性有機溶剤側に濃縮することができる。
溶剤分画の操作の一例を以下に挙げる。すなわち、該脂質混合物を、酸性リン脂質の量に対して0.1〜100質量倍、好ましくは、0.5〜50質量倍の非極性有機溶剤に溶解する。次いで、得られた非極性有機溶剤を含む溶液に対して、5〜25質量%の含水低級アルコール溶液を0.1〜10質量倍の使用量で、好ましくは、0.5〜2.0質量倍の使用量で抽出することにより、酸性リン脂質を非極性溶剤側に濃縮することができる。
次いで、中性脂質除去工程について説明する。中性脂質除去工程とは、原料である脂質混合物に含まれている中性脂質を除去する工程である。中性脂質除去工程を経ることにより、得られる経口摂取用皮膚賦活剤中の酸性リン脂質の濃度をより高めることができ、ひいては皮膚賦活効果をより顕著に向上させることが可能となる。
中性脂質の除去は、酵素作用工程の後段に行ってもよい。又は、酵素作用工程の前段におこない、つまり、予め原料の脂質混合物から中性脂質を除去し、その後、中性脂質を除去した脂質混合物を酵素作用工程に付してもよい。あるいは、中性脂質除去工程を、酵素作用工程の前段及び後段の双方で実施してもよい。なかでも、酸性リン脂質の含有量を高める観点から、酵素作用工程の後段において、中性脂質除去工程を実施することが好ましい。
中性脂質を除去するための具体的な手段としては、アセトン処理、あるいは膜分離を挙げることができる。特に、簡易な除去操作の観点から、アセトン処理が好ましい。
アセトン処理について、以下に説明する。アセトン処理を行うことにより、中性脂質であるトリグリセリド、ジグリセリド、そしてモノグリセリドの成分、あるいは、それらに含まれる成分である脂肪酸、ステロイド又はカロチノイドなどが、アセトン中に溶解する。一方、アセトンに不溶の成分である、酸性リン脂質、中性リン脂質などはアセトン中に沈殿する。次いで、酸性リン脂質及び中性リン脂質が含まれる沈殿物をろ過により取り出すことにより、中性脂質の含有量が低減された脂質混合物を得ることができる。上記の操作を繰り返すことによって、中性脂質の含有量を低減させることができ、酸性リン脂質の含有量をさらに高めた経口摂取用皮膚賦活剤を得ることができる。
アセトン処理におけるアセトンの使用量は、特に制限はないが、取扱いの容易性の観点から、中性脂質に対して0.1〜100質量倍であることが好ましく、1〜50質量倍であることがより好ましい。
中性脂質除去工程において、膜分離法を採用する場合は、各種公知の方法を用いることが可能である。なかでも、操作の容易性の観点から、限外濾過法を利用することが好ましい。
本発明の製造方法においては、中性脂質除去工程により中性脂質の含有量を低減させる。そして、得られる経口摂取用皮膚賦活剤においては、中性脂質の含有量は、皮膚賦活効果の観点から、5質量%未満であることが好ましい。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、上記のような方法を採用し、酸性リン脂質の含有量を40質量%以上に高めることにより、少量の摂取であっても、皮膚賦活効果に優れた経口摂取用皮膚賦活剤を得ることができる。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、水又は油脂に分散させた液剤、錠剤、顆粒剤、散剤あるいはカプセル剤などの形態で用いることができる。
さらに、本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、酸性リン脂質、中性リン脂質、中性脂質以外にも、必要に応じて、デキストリン、乳糖、コーンスターチ、乳化剤、防腐剤、賦形剤、増量剤、甘味剤、香味剤、着色剤等の添加剤や、セラミド、ヒアルロン酸などの美容成分を含有することができる。このような添加剤や美容成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の段階や濃度で添加される。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤の一日あたりの摂取量は、特に制限されないが、例えば、酸性リン脂質の摂取量が、成人男性(60kg)では0.005〜10g程度となるように摂取することが好ましく、酸性リン脂質の摂取量が0.01〜1gとなるように摂取することがより好ましい。なお、摂取量は、性別、体重、体調などにより適宜増減が可能である。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤を飲食品に含有させる場合には、酸性リン脂質の含有量が、該食品の全量に対して0.001〜10質量%となるように含有させることが好ましく、0.01〜5質量%となるように含有させることがより好ましい。酸性リン脂質の含有量が0.001質量%未満であると、皮膚賦活効果に乏しくなる場合がある。一方、酸性リン脂質の含有量が10質量%を超えると、皮膚賦活効果に対して原料コストが高くなる場合がある。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤が配合される飲食品の例としては、具体的には、次のものを挙げることができる。例えば、グレープフルーツ、オレンジ、レモン等の柑橘類及びこれらを含む果汁;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス等の野菜及びこれらを含む野菜汁あるいは野菜ジュース;ソース、醤油、味噌、うま味調味料及び唐辛子等の調味料;豆腐、豆乳などの大豆食品;クリーム、ドレッシング、マヨネーズ及びマーガリン等の乳化食品;魚肉、すり身及び魚卵等の水産加工食品;ピーナツ等のナッツ類;納豆等の発酵商品;肉類及び食肉加工品;ビール、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、発酵茶、半発酵茶、清涼飲料、及び機能性飲料等の飲料;漬物類;めん類;粉末スープを含むスープ類;チーズ、牛乳等の乳製品類;パン・ケーキ類;スナック菓子、チューイングガム、チョコレートなどの菓子類;キャンディー類;美容飲食品を含む健康食品等が挙げられる。
以下、実施例によって、本発明を具体的に説明する。本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
各種リン脂質の皮膚賦活効果の比較
創傷を作製したモデル動物を用いて、以下の酸性リン脂質及び中性リン脂質(オレイン酸エステル型グリセロリン脂質)(いずれもシグマ社製)の創傷治癒促進効果を比較検討した。
(酸性リン脂質)
・1−Oleoyl−sn−glycero−3−phosphate sodium salt (以下、「O−LPA」と称する場合がある)
・1、2−Dioleoyl−sn−glycero−3−phosphate sodium salt (以下、「DOPA」と称する場合がある)
・1、2−Dioleoyl−sn−glycero−3−phosphoserine sodium salt (以下、「DOPS」と称する場合がある)
・1、2−Dioleoyl−sn−glycero−3−phosphoinositol sodium salt (以下、「DOPI」と称する場合がある)
(中性リン脂質)
・1、2−Dioleoyl−sn−glycero−3−phosphocholine (以下、「DOPC」と称する場合がある)
・1、2−Dioleoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine (以下、「DOPE」と称する場合がある))
比較検討を行うための動物として、ICRマウス(16週齢、オス)(日本クレア社製)を用いた。上記のリン脂質をそれぞれ飲料水に希釈し、リン脂質の水溶液を得た。創傷を作製する2週間前から、リン脂質の摂取量が10mg/day/kg−BWとなるように、マウスに経口投与させた。なお、各群10匹のマウスを用いた。
2週間後、シェーバーと除毛クリームを用いて、麻酔下で背部を除毛し、皮ポンチにより除毛部左右に皮膚全層欠損創(直径:8mm)を作製した。創はテガダーム(被覆保護シート)(3M社製)で覆った。3日後、7日後及び11日後の創の面積をイメージスキャナー(セイコーエプソン社製、商品名「エプソンGT−8000」)を用いて計測し、治癒の経過を観察した。なお、マウスへのリン脂質の水溶液の投与は、試験終了時まで継続した。なお、「mg/day/kg−BW」とは、マウスの体重1kg当たりの1日の摂取量を示す単位である。
生理食塩水を上記のマウスに経口投与した場合の評価を比較対照群とし、各種リン脂質の評価結果を表1に示す。なお、表1中の数値は、0日目を100%としたときの創傷部面積の相対値(%)を表す。表1から明らかなように、各種リン脂質の皮膚賦活効果は、DOPA>O−LPA>DOPS>DOPI>DOPC>DOPEの順に高いものであった。
Figure 0005847723
(実施例2)
経口摂取用皮膚賦活剤の調製
攪拌装置を備えた500ml容量の4口フラスコに、大豆レシチン(辻製油社製、商品名「SLP−ペースト」)20gを、ヘプタン及び酢酸エチルの混合溶液(ヘプタン:酢酸エチル=1:1、体積比)200mlに溶解した。この混合溶液に、0.2Mの塩化カルシウムを含む0.1Mのトリス・塩酸緩衝液(pH:8.5)100mlを加え、さらに攪拌した。次いで、微生物起源のホスホリパーゼD(名糖産業社製、商品名「Actinomadura」 SP起源)1000ユニットを加え、反応混合物の温度を30℃に保ちながら、14時間攪拌を続けて反応させた。ここまでは、酵素作用工程である。
反応後、反応生成物を静置して溶剤層を分離し、次いで、減圧下にて、溶剤層から溶剤を留去して、脂質混合物を得た。得られた脂質混合物(15g)をビーカーに移し、氷冷下で冷アセトン85mlを加え、スパテルでつぶしながら不溶成分であるリン脂質を分散させた後、静置して、アセトン液中にリン脂質を沈殿させた。この沈殿物をろ過し、得られたろ過ケーキを冷アセトン85ml中に分散させ、静置してリン脂質を沈殿させてろ過しアセトン処理を行った。これは、中性脂質除去工程である。このアセトン処理を二回繰り返し、経口摂取用皮膚賦活剤10gを得た。
実施例2で得られた経口摂取用皮膚賦活剤、及び原料の大豆レシチンの組成を以下の表2に示す。なお、表2中の組成は、質量%を単位とするものである。
Figure 0005847723
なお、上記の組成分析は、二次元薄層クロマトグラフィー(メルク社製、シリカゲルプレート、商品名「kieselgel」)を用いて行った。二次元薄層クロマトグラフィーとは、薄層クロマトグラフィーを2回連続してそれぞれ別の溶媒で展開するものである(展開角度:90度)。展開溶媒としては、一次元(1回目の展開)の溶媒として、クロロホルム、メタノール及び濃度が28質量%であるアンモニア水溶液の混合溶液(クロロホルム/メタノール/濃度が28質量%であるアンモニア水溶液=65/35/5、体積比)を用い、二次元(2回目の展開)の溶媒として、クロロホルム、メタノール、酢酸及び水の混合溶液(クロロホルム/メタノール/酢酸/水=10/4/2/2、体積比)を用いた。分離した後、各成分を掻き取り、掻き取った成分を、クロロホルムとメタノールの混合溶液(クロロホルム/メタノール=2/1、体積比)で抽出し、溶媒を除去した後、秤量して求めた。
なお、表2において、略称は以下のものを示す。
PC:ホスファチジルコリン
PE:ホスファチジルエタノールアミン
PI:ホスファチジルイノシトール
PA:ホスファチジン酸
PS:ホスファチジルセリン
LPA:リゾホスファチジン酸
(実施例3)
経口摂取用皮膚賦活剤の皮膚賦活効果I(創傷治癒促進効果)
上記実施例2で得られた経口摂取用皮膚賦活剤、及び原料の大豆レシチンを適宜混釈し、PA含量がそれぞれ20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%である5種類の経口摂取用皮膚賦活剤を得た。
実施例1と同様にして皮膚全層欠損創を作成したICRマウスに対して、上記5種類の経口摂取用皮膚賦活剤を、PA量として10mg/day/kg−BWとなるように、それぞれ経口投与し、治癒の経過を経時観察した。なお、マウスは各群10匹とした。生理食塩水を上記のマウスに経口投与した場合の評価を比較対照群とし、各経口摂取用皮膚賦活剤の評価結果を表3に示す。なお、表3中の数値は、0日目を100%としたときの創傷部面積の相対値(%)を表す。
表3より、PAの含有量が40質量%以上である経口摂取用皮膚賦活剤を用いた場合に、より高い創傷治癒効果が発現されることが分かった。
Figure 0005847723
(実施例4)
経口摂取用皮膚賦活剤の皮膚賦活効果II(光老化防止効果)
実施例3で調製したPA含量がそれぞれ20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%である5種類の経口摂取用皮膚賦活剤において、以下のような動物試験により、光老化予防効果をそれぞれ評価した。6週齢のヘアレスマウス(Hos/HR−1、オス、SLCジャパン社製)に,これらのリン脂質混合物をPA量として10mg/day/kg−BWとなるように経口投与した。なお、マウスは各群10匹とした。
さらに、経口投与するとともに、UV−Bランプ(三共電気社製)を用いて、UV−Bを照射(0.3mW/cm2)した。なお、UV−Bの照射量は、1週目は1分間を3回、2週目は2分間を3回、3週目は3分間を3回、4週目は4分間を2回、5週目及び6週目は3分間を7回とした。そして、各群において角層水分量を1週間に1回測定し、5週目に測定された角層水分量を図1に示した。角層水分量の測定方法は、マウスを恒温恒湿室(20±2℃、50±5%)に2時間置いた後、コルネオメーター(インテグラル社製、商品名「コルネオメーターCM825」)を用いて行った。また、何も摂取させず、UV−Bの照射も行わない群;何も摂取させずにUV−Bのみを照射した群についても評価した。
なお、図1中のUVB(−)は、UV−Bの照射を全く行っていないことを示す。また、図1中のアスタリスク(*)は、経口摂取用皮膚賦活剤を摂取させることなくUVBを照射させた群(図1中の「UVB」群)と比較して統計学的に有意差があることを示す(p<0.05)。
そして、6週間目にマウスをと殺し、該マウスの皮膚を2×2.5cmの長方形に皮下組織ごと摘出し、秤量した。秤量後、摘出した皮膚を氷冷した蒸留水10mLに加え、十分にホモジナイズし、遠心分離(7000rpm×20分)で沈殿を回収した。この沈殿物に、氷冷した0.1N水酸化ナトリウム10mLを加え、冷蔵下(6℃)で一晩振盪して遠心分離で沈殿物を回収し、再度同様の操作を行った。
遠心分離で回収した沈殿物を氷冷した蒸留水で洗浄し、遠心分離後に再度沈殿物を回収した。これに氷冷した0.5M酢酸15mLを加えた。これを、冷蔵下(6℃)で静置して一晩コラーゲン抽出を行ない、次いで遠心分離を行うことで、抽出された上清液を得た。得られた抽出溶液中の可溶性コラーゲンを、「Sircol Collagen Assay Kit」(フナコシ社製)を用いて定量した。この定量結果を表4に示す。
なお、図1及び表4中の、UVB(−)は、UV−Bの照射を全く行っていないことを示し、UVBはUV−Bの照射を行ったことを示す。
図1及び表4から明らかなように、PAの含量が40質量%以上である経口摂取用皮膚賦活剤を用いた場合は、UV−B照射による角層水分量の減少、及び角層のさらに下の部分である真皮層中のコラーゲン量の減少が、特に抑制されることが分かった。
Figure 0005847723
(実施例5)
コラーゲン加水分解物及び/又はスフィンゴ糖脂質を併用することによる経口摂取用皮膚賦活剤の皮膚賦活効果
上記実施例2で得られた経口摂取用皮膚賦活剤、及び原料の大豆レシチンを、質量比で、(経口摂取用皮膚賦活剤):(原料の大豆レシチン)が42:58になるように配合し、PAの含有量が40質量%である経口摂取用皮膚賦活剤を得た。この経口摂取用皮膚賦活剤に、コラーゲン加水分解物(ゼライス社製、「コラーゲン・トリペプチドHACP―01」)を、質量比で、(コラーゲン加水分解物):(経口摂取用皮膚賦活剤)が9:1になるように配合し、試料Aを得た。
また、上記のようにして得られたPAの含有量が40質量%である経口摂取用皮膚賦活剤に、コンニャクトビ粉由来のスフィンゴ糖脂質(ユニチカ社製)を、マウスへの投与量が、200μg/day/kg−BWとなるように配合し、試料Bを得た。
さらに、上記のようにして得られたPAの含有量が40質量%である経口摂取用皮膚賦活剤に、上記のコラーゲン加水分解物を、質量比で、(コラーゲン加水分解物):(経口摂取用皮膚賦活剤)が9:1になるように配合し、さらに、上記スフィンゴ糖脂質を、マウスへの投与量が、200μg/day/kg−BWになるように配合し、サンプルCを得た。
6週齢のヘアレスマウス(Hos/HR−1、オス、SLCジャパン社製)を各群10匹とし、上記のサンプルAを、経口摂取用皮膚賦活剤の摂取量が10mg/day/kg−BWとなるように摂取させた群;上記のサンプルBを、経口摂取用皮膚賦活剤の摂取量が10mg/day/kg−BWとなるように摂取させた群;上記のサンプルCを、経口摂取用皮膚賦活剤の摂取量が10mg/day/kg−BWとなるように摂取させた群;PAの含有量が40質量%である経口摂取用皮膚賦活剤を経口摂取用皮膚賦活剤の摂取量が10mg/day/kg−BWとなるように摂取させた群;コラーゲン加水分解物のみを90mg/day/kg−BWの摂取量となるように摂取させた群;スフィンゴ糖脂質を200μg/day/kg−BWの摂取量となるように摂取させた群、の各群におけるUV−B照射後におけるコラーゲン量を、実施例4の方法に従って比較した。また、何も摂取させず、UV−Bの照射も行わない群;何も摂取させずにUV−Bのみを摂取させた群についても評価した。
各々の群において、実施例4と同様にして、5週目の角層水分量及び6週後の皮膚中のコラーゲン量を測定し、さらに、マウス背部のしわの個数を評価した。なお、しわの個数の評価は、レプリカ法により行った。すなわち、UV−Bを照射して6週後のマウスの背部から、シリコン樹脂(アサヒバイオメッド社製)を用いてレプリカを作成した。そして、日本化粧品工業会のガイドラインに基づき、レプリカのイメージを、反射用レプリカ解析システムASA−03RXD(アサヒバイオメッド社製)を用いて解析し、しわの個数を求めた。しわの個数はμm2当たりの数として算出した。その結果を表5に示す。
表5から明らかなように、経口摂取用皮膚賦活剤が、コラーゲン加水分解物又はスフィンゴ糖脂質と併用された場合は、経口摂取用皮膚賦活剤を単独で用いた場合より、皮膚賦活効果が高いものであった。特に、経口摂取用皮膚賦活剤が、コラーゲン加水分解物及びスフィンゴ糖脂質と併用された場合においては、UV−照射による角層水分量の減少、及び角層のさらに下の部分である真皮層中のコラーゲン量の減少を抑制する効果、UV−照射によるしわの発生を抑制する効果が、顕著に優れるものであった。
Figure 0005847723
なお、表5中のUVB(−)は、UV−Bの照射を全く行っていないことを示す。UVBはUV−Bの照射を行ったことを示す。
表5中のアスタリスク(*)は、UVB群と比較して統計学的に有意差(p<0.05)があることを示し、アスタリスク(**)は、UVB群と比較して統計学的に有意差(p<0.01)があることを示す。
本発明の経口摂取用皮膚賦活剤は、安価で安全性が高く、品質管理が容易であり、かつ少量の摂取で十分な効果が得られるため、非常に有用である。




Claims (3)

  1. 酸性リン脂質の含有量が40質量%以上であり、コラーゲン類及びスフィンゴ糖脂質を更に含むことを特徴とする経口摂取用皮膚賦活剤。
  2. 酸性リン脂質がホスファチジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸であることを特徴とする請求項1に記載の経口摂取用皮膚賦活剤。
  3. 請求項1又は2に記載の経口摂取用皮膚賦活剤を含有してなる飲食品。
JP2012536576A 2010-09-30 2011-09-30 経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5847723B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012536576A JP5847723B2 (ja) 2010-09-30 2011-09-30 経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010220107 2010-09-30
JP2010220107 2010-09-30
JP2012536576A JP5847723B2 (ja) 2010-09-30 2011-09-30 経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法
PCT/JP2011/072507 WO2012043780A1 (ja) 2010-09-30 2011-09-30 経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012043780A1 JPWO2012043780A1 (ja) 2014-02-24
JP5847723B2 true JP5847723B2 (ja) 2016-01-27

Family

ID=45893217

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012536576A Expired - Fee Related JP5847723B2 (ja) 2010-09-30 2011-09-30 経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5847723B2 (ja)
WO (1) WO2012043780A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014162748A (ja) * 2013-02-25 2014-09-08 Kagawa Univ 皮膚の光老化抑制剤
SG11201608385YA (en) * 2014-04-10 2016-11-29 Suntory Holdings Ltd Method for masking bitterness of composition containing collagen peptide
KR102155730B1 (ko) * 2018-02-23 2020-09-14 경북대학교 산학협력단 포스파티딘산을 유효성분으로 포함하는 노화 억제용 조성물

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08332050A (ja) * 1995-06-06 1996-12-17 Kao Corp 味覚改質剤
WO2009028220A1 (ja) * 2007-08-28 2009-03-05 Unitika Ltd. コラーゲン産生促進剤
JP2009234931A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Nof Corp トランスグルタミナーゼ遺伝子発現促進剤および、その用途
JP2010195752A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 Unitika Ltd 骨形成促進剤

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08332050A (ja) * 1995-06-06 1996-12-17 Kao Corp 味覚改質剤
WO2009028220A1 (ja) * 2007-08-28 2009-03-05 Unitika Ltd. コラーゲン産生促進剤
JP2009234931A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Nof Corp トランスグルタミナーゼ遺伝子発現促進剤および、その用途
JP2010195752A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 Unitika Ltd 骨形成促進剤

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012043780A1 (ja) 2012-04-05
JPWO2012043780A1 (ja) 2014-02-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kim et al. Bioactive compounds from marine processing byproducts–a review
KR100971599B1 (ko) 혈관 관련 질환의 예방 또는 치료를 위한 조성물
TWI436774B (zh) Skin enhancers and their use
KR102358623B1 (ko) 콜라겐 펩타이드를 포함하는 피부 개선용 식품 조성물
JPWO2004091642A1 (ja) 関節炎の予防または治療剤
JP2008137998A (ja) 皮膚改善剤及び美容健康用経口組成物
KR20160137696A (ko) 콜라겐 산생 촉진 조성물
EP2027864B1 (en) Composition for improvement of lipid metabolism
JP5594819B2 (ja) 脂質代謝改善用組成物
KR100354198B1 (ko) 로이코트리엔b4(ltb4)에의한의학적증상의예방및개선제
JP2004307453A (ja) 血管新生阻害剤及びその利用
JP5847723B2 (ja) 経口摂取用皮膚賦活剤、及びその製造方法
WO2006033355A1 (ja) 皮膚の乾燥予防または改善用経口剤
US20130252923A1 (en) Skin-beautifying agent
JP2004091464A (ja) 肥満抑制剤
KR102650031B1 (ko) 반려동물 심장 기능 개선용 조성물 및 이를 포함하는 기능성 식품
EP3854226A1 (en) Method for fractionating olive pomace, its products and uses thereof
JP2009269832A (ja) カルシトニン遺伝子関連ペプチド及びインスリン様成長因子−1の産生促進組成物
JP4681801B2 (ja) 血管新生阻害剤およびその製造方法
Rabiei et al. Marine-Derived Bioactive Peptides with Pharmacological Activities-A Review.
JP2010105946A (ja) 筋タンパク質増強剤及びこれを含む医薬品または食品
KR102322269B1 (ko) Ca-콜라겐 펩타이드의 킬레이트 복합체 및 그 제조 방법
KR20220145932A (ko) 난황유의 제조방법, 이에 의해 제조된 난황유 및 이를 포함하는 제품
JP5610813B2 (ja) 経口摂取用皮膚賦活剤
Hayes et al. Seaweed and milk derived bioactive peptides and small molecules in functional foods and cosmeceuticals

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140826

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150330

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20150403

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150707

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150813

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20150811

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150904

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5847723

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees