JP5847291B2 - レーザ加工装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施の形態1によるレーザ加工装置200の構成を示すブロック図である。このレーザ加工装置200は、レーザビーム1を二次元に走査するレーザ走査装置であるガルバノスキャナ2a(X軸方向用)、2b(Y軸方向用)と、ワーク3の位置を変化させる二次元駆動装置であるXYテーブル4(二次元駆動部)を備えている。一般的に、ガルバノスキャナ2a、2bで加工可能な範囲は加工範囲全体に比べて小さいため、XYテーブル4でワーク3を移動させ、加工範囲を順次変えながら加工を行わなければならない。そのためこのような構成となっている。ガルバノスキャナ2a、2bの先端にはレーザビーム1を走査するミラー(X軸)64a、ミラー(Y軸)64bが取り付けられている。また、ガルバノスキャナ2a、2bには回転角度計測のためのガルバノエンコーダ5a、5bが取り付けられている。レーザビーム1はミラー64aで反射する角度によってX軸方向の照射位置が決まり、ミラー64bで反射する角度によってY軸方向の照射位置が決まる。高速で位置決めを行うミラー64a、64bに反射されたレーザビーム1はfθレンズ63によって集光されワーク3上に照射される。XYテーブル4上にワーク3は搭載(固定)されており、XYテーブル4によってワーク3の位置の移動が可能となっている。XYテーブル4にはリニアエンコーダ(X軸)6a、リニアエンコーダ(Y軸)6bが取り付けられており、XYテーブルのX方向、Y方向の位置情報をそれぞれ得られるようになっている。また、レーザビーム1を出力するレーザ発振器62は発振器制御装置61によって制御されている。
P’=P(n)+V(n)ΔT ・・・(1)
したがって、遅れ時間だけ先のテーブル予測位置は、X軸遅れ補償処理部16およびY軸遅れ補償処理部22において式(1)の方法で与えられる。この遅れ補償処理は、XYテーブル4の現在位置と現在速度からXYテーブル4の遅れ時間だけ先の位置を予測するので、XYテーブル4が加速度運動をする場合、予測位置とレーザ照射位置の間に加速度と遅れ時間に比例する誤差E1が生じる。加速度をaとした場合、誤差E1は次式で与えられる。
E1=aΔT2/2 ・・・(2)
P’=P(n)+V(n)ΔT+KaA(n)Z-k ・・・(3)
したがって、X軸変形補償処理部17およびY軸変形補償処理部23による補正量は、式(3)の右辺第三項で表される。
また、XYテーブル4の位置情報を取得する場合、図2および図3に示したテーブル駆動用のサーボモータ70a、70bに取り付けられたエンコーダ74a、74bを利用し、回転角からテーブル位置を算出しても良い。図2および図3では、サーボモータ70a、70bが回転することで、ボールねじ71a、71bが回転し可動部72a、72bが駆動する仕組みである。したがって、サーボモータ70a、70bの回転量をエンコーダ74a、74bで計測し、ボールねじ71a、71bのリードから移動量が算出可能である。エンコーダ74a、74bを用いた制御系を備えたレーザ加工装置201の構成を示すブロック図を図5に示す。XYテーブル4の位置情報を取得するために、本実施の形態2においては、実施の形態1のリニアエンコーダ6a、6bの代わりにエンコーダ74a、74bが用いられる。図5で新たに追加された角度-位置変換65aおよび65bは、それぞれエンコーダ74aおよび74bのX軸およびY軸方向の検出角度をXYテーブル4のX軸方向およびY軸方向の位置に変換し、XYテーブル4のX軸方向およびY軸方向の指令位置をそれぞれサーボモータ70a、70bへの指令角度に変換するものである。
また、実施の形態1におけるX軸遅れ補償処理部16およびY軸遅れ補償処理部22では、XYテーブル4の現在位置と現在速度から遅れ時間だけ後のXYテーブル4の予測位置を求めているが、XYテーブル4の位置情報だけで予測位置を求めても良い。XYテーブル4の現在位置情報とkサンプリング遅れの位置情報とから遅れ時間だけ後のXYテーブル4の予測位置を計算するようにしたX軸遅れ補償処理部16あるいはY軸遅れ補償処理部22の構成のブロック線図を図6に示す。リニアエンコーダ6aおよび6bによって計測されたXYテーブル4の位置情報と遅れ要素29をかけることで求めたkサンプリング遅れの位置情報を減算器30に入力し、その差を求める。減算器30からの信号に補正係数Cをかけ、現在のXYテーブル4の位置情報を加算器31で足し合わせることでX軸遅れ補償処理部16およびY軸遅れ補償処理部22の出力を求める。XYテーブル4の現在位置をP(n)とし、kサンプリング遅れの位置をP(n−k)とすると、ガルバノスキャナ2aおよび2bの加減速制御等の遅れ時間を考慮した予測位置P’は以下の式(4)で表される。なお、式(4)はX軸およびY軸方向それぞれについて成り立つとする。
P’=P(n)+C(P(n)−P(n−k)) ・・・(4)
E2=aΔT2 ・・・(5)
この方法は、kサンプリング遅れの位置情報を用いて、予測位置を求めるため、誤差E2は速度情報を用いて求めた誤差E1の倍となる。しかし、この誤差は加速度と遅れ時間ΔTに比例するため、X軸変形補償処理部17およびY軸変形補償処理部23で加速度を用いた補償を行うことで、誤差を低減することが可能である。
また、実施の形態3ではX軸遅れ補償処理部16およびY軸遅れ補償処理部22で図6のようにXYテーブル4の現在位置情報とkサンプリング遅れの位置情報を用いてXYテーブル4の予測位置を計算しているが、XYテーブル4の現在位置情報と2個以上の過去の位置情報を用いてXYテーブル4の予測位置を計算しても良い。図7に、XYテーブル4の現在位置、kサンプリング遅れの位置、およびk+1サンプリング遅れの位置を用いたX軸遅れ補償処理部16およびY軸遅れ補償処理部22のブロック図を示す。XYテーブル4の位置情報と遅れ要素50(Z-k)から出力されるkサンプリング遅れの位置情報の差を減算器52で求める。減算器52の出力に定数要素54(K1)をかける。さらにXYテーブル4の位置情報と遅れ要素51(Z-(k+1))から出力されるk+1サンプリング前の位置情報の差を減算器53で求める。減算器53の出力に定数要素55(1−K1)をかける。加算器56において、現在の位置情報、定数要素54(K1)を乗じた結果の出力、および定数要素55(1−K1)を乗じた結果の出力を、それぞれを足し合わせて加算器57に出力する。加算器57では、XYテーブル4の現在位置情報に加算器56からの出力を加算してX軸遅れ補償処理部16或いはY軸遅れ補償処理部22の出力を生成する。
P’=P(n)+K1(P(n)−P(n−k))
+(1−K1)(P(n)−P(n−(k+1))) ・・・(6)
ここで、K1は0から1までの実数であり、補正に使用するkサンプリング前の位置情報とk+1サンプリング前の位置情報の比によって決まるパラメータである。このような方法で位置を予測することで、制御システムのサンプリングが粗いことが原因で補正しきれなかったサンプリング周期以下の遅れ時間分の位置予測が可能となる。
また、X軸変形補償処理部17およびY軸変形補償処理部23で加速度を求める場合、カルマンフィルタのような推定を用いる方法を使用しても良い。図8に示すようにカルマンフィルタは、位置・速度・加速度推定部43と予測部44を有するシステムである。予測部44には先見情報42としてXYテーブル4の状態方程式等が予め与えられる。この方程式によって位置、速度、加速度を予測する。位置・速度・加速度推定部43には予測部44で予測した位置情報と実計測したXYテーブルの位置情報を入力し、予測した位置と計測位置から位置、速度、加速度を推定する。得られた加速度情報に定数要素35(K a)および遅れ要素36(Z-k)を乗じ補正量を求めるのは実施の形態1と同様である。
また、XYテーブル4の加速度情報を得るのに位置情報から算出するのではなく、図9に示すようにXYテーブル4に加速度センサ66a,66bを貼り付けて直接加速度情報を計測するようにしても良い。本実施の形態6においては、XYテーブル4自体に加速度センサ66a,66bを貼り付けて、加速度を直接計測することにより遅れなく加速度情報を取得することが可能であり、図4または図8の構成の場合に発生する推定部分やローパスフィルタで生じる遅れを抑えることができるという効果がある。図9に加速度センサ66a,66bを用いた場合の制御系を備えたレーザ加工装置202の構成を示すブロック図を示す。実施の形態1(図4)および実施の形態5(図8)とは異なり、加速度を位置情報から算出する必要が無いので、X軸変形補償処理部17およびY軸変形補償処理部23は、定数要素35(Ka)および遅れ要素36(Z-k)を備えるだけでよい。
また、X軸変形補償処理部17およびY軸変形補償処理部23はXYテーブル4の位置情報に応じて、定数要素(Ka)35(補償パラメータ)を可変にしても良い。例えば、トップテーブル73がX軸の−(マイナス)方向に移動したときのXYテーブル4の正面図を示す図10においては、X軸可動部72aの位置が中心から偏った位置に変化している。この状態で、Y方向にテーブルが加減速すると、図2の状態では発生しなかったXYテーブル4のヨーイング等が発生することが考えられ、定数要素(Ka)35を変化させてXYテーブル4の変形を補償する必要がある。トップテーブル73の位置X、Yによって定数要素(Ka)35を決定するパラメータテーブルを設定し、トップテーブル73がどの位置にあっても、XYテーブル4の変形を適切に補償することで、レーザ加工位置と目標位置の誤差をより低減する効果が得られる。即ち、二次元駆動部(XYテーブル4)の位置によって加減速時の二次元駆動部の機械変形量が異なるため、二次元駆動部の位置に応じて変形補償処理部の補償パラメータ(Ka)を決定する補償パラメータテーブルを設定することで、変形による位置ずれを条件に合わせて低減することが可能となる。
XYテーブル4の加速度情報を、センサからの位置情報を用いるのではなく、XYテーブル4の指令情報を用いて求めてもよい。ひとつの方法として、XYテーブル4の位置指令から加速度指令を算出し、駆動系の遅れを考慮することでXYテーブル4の加速度を求めることが可能である。図11に位置指令からXYテーブル4の加速度を求めるレーザ加工装置203の構成をブロック図で示す。テーブルX軸位置指令生成部8からの出力はX方向の位置指令なので、この信号をX軸変形補償処理部17に入力する。X軸変形補償処理部17では位置情報を二階微分することで加速度指令を生成し、定数と遅れ要素をかけることでX軸変形補償処理部17の出力として補正量を算出する。X軸だけでなくY軸でも同様にして、テーブルY軸位置指令生成部10の出力を、Y軸変形補償処理部23に入力し、補正量を求める。
正面図(図12)、側面図(図13)で示されるような構造を有するXYテーブル4を考える。ベース75上に直動案内76a、76bがY軸と平行に設置されており、サドル77は直動案内76a、76bに沿ってY方向への移動が可能である。図14に直動案内76a、76bの構造を上から見た平面図を示す。直動案内76aは、ガイドレール78aと2個のガイドブロック79a1、79a2から構成される。直動案内76bは、ガイドレール78bと2個のガイドブロック79b1、79b2から構成される。ガイドブロック79a1、79a2、79b1、79b2はサドル77に固定されており、ガイドレール78a、78bに沿って移動する仕組みである。したがって、4個のガイドブロックでサドル77から上の部分の重量を支えている。サドル77上には、直動案内76c、76dがX軸と平行に設置されており、トップテーブル73は直動案内76c、76dに沿ってX方向に移動可能である。XYテーブル4の駆動機構についてはサーボモータ70aによってボールねじ71aを回転させ、可動部72aを駆動することでトップテーブル73のX方向の移動を可能にしている。また、サーボモータ70bによってボールねじ71bを回転させ、可動部72bを駆動することでトップテーブル73のY方向への移動を可能にしている。サーボモータ70a、70bにはそれぞれエンコーダ74a、74bが取り付けられている。XYテーブル4の位置を計測するリニアエンコーダ6a、6bはそれぞれ可動部72a、72bの位置に取り付けられている。そのため、リニアエンコーダ6a、6bでトップテーブル73の位置を直接計測しているわけではない。
Fy1=−M1a ・・・(7)
静止時において、ガイドブロック79a1、79a2、79b1、79b2には、サドル77より上の部分の重量が均等にかかっており、各ガイドブロックはそれぞれM1g/4の重量が鉛直方向かかることになる。ここで、gは重力加速度である。それに対して、加減速時は慣性力が作用することでモーメントのつりあいを保つために、各ガイドブロックにかかる鉛直方向の力のバランスが変化する。図15に示すXYテーブル4の側面図に加速時に作用する力を図示し、モーメントのつりあいを考える。ガイドブロック1個あたりの荷重R、慣性力M1a、ガイドブロック間距離L、直動案内76a、76bを基準としたサドル77から上の部分の重心高さH1とする。モーメントのつりあいから慣性力によってガイドブロックが受ける荷重Rは次式で表される。
R=M1aH1/2L ・・・(8)
静止時にかかっていた重量と合わせるとガイドブロック79a1、79b1にかかる荷重F1、ガイドブロック79a2、79b2にかかる荷重F2は次のようになる。
F1=Mg/4+M1aH1/2L ・・・(9)
F2=Mg/4―M1aH1/2L ・・・(10)
加減速時は、式(9)、(10)のようにガイドブロックの位置によって荷重が異なる状態となり、荷重に応じてガイドレール78a、78bの変形が発生する。ガイドブロック79a1、79b1の位置でのガイドレールの鉛直方向変形量をδab1、ガイドブロック79a2、79b2の位置でのガイドレールの鉛直方向変形量をδab2とすると、加減速時はδab1とδab2が異なることからXYテーブル4のサドル77より上の部分が図16のようにθだけ傾く。この変形(回転)をピッチングと呼ぶ。ここで、傾きθは次の式で表される。
tanθ=(δab1―δab2)/L ・・・(11)
リニアエンコーダ6bからトップテーブル73までの高さをHとすると、ピッチングによるY方向へのトップテーブルの位置ずれΔY1は次式で表される。
ΔY1=Htanθ ・・・(12)
ここで、ピッチングによるトップテーブルの位置ずれΔY1は、ピッチング角θと高さHの関数である。高さHは定数であり、ピッチング角θは式(11)のようなガイドレールの変形量の関数となる。ガイドレールの変形量はガイドレールの剛性とガイドブロックにかかる荷重によって決定される。ガイドブロックの荷重は、式(9)、(10)のように慣性力と自重で決定されるため、結局、ピッチングによるトップテーブルの位置ずれΔY 1は加速度aの関数となる。したがって、ピッチングに対応する補正量は加速度aの関数として決定される。ここではY方向に加速する場合を例に挙げて説明したが、X方向でも同様の現象が発生し、X方向の加減速の場合、トップテーブルから上の部分がピッチングによって回転する。したがって、X方向についてもX方向の加速度に比例する位置ずれが発生することになる。
ΔY2=Ga ・・・(13)
ここでGは機械剛性に相当する比例定数である。また、X方向でもY方向と同様の原理でせん断変形が現れるため、X方向でも加速度に比例した位置ずれが発生する。
実施の形態9と同様の構造を有するXYテーブル4に関して、図19のようにトップテーブル73の位置が加工機中央ではなく偏った位置にある場合に、XYテーブル4がY方向に加速度aで加速することを考える。実施の形態9と同様に、この場合でもピッチングとせん断変形が発生する。加えて、トップテーブル位置の偏りにより、X軸及びY軸に垂直なZ軸周りの回転であるヨーイングが発生する。図20にこのとき発生する力について図示する。トップテーブル73、可動部72aとワーク3の質量の和をM2とすると、加速時に中心からXcだけ偏った位置に式(14)で表される慣性力Fy2が発生する。
Fy2=−M2a ・・・(14)
この慣性力によってZ軸周りのモーメントが発生するので、これを打ち消すように、ガイドブロック79a1、79a2、79b1、79b2においてR2という反力が発生する。ガイドブロックからガイドレール78a、78bに伝わる水平方向の反力R2はモーメントのつりあいより以下の式で表される。
R2=M2aXc/2L ・・・(15)
水平方向の反力R2によって、各ガイドブロックの位置でガイドレールが水平方向にδR2だけ変形する。これによって図21のようにZ軸周りの回転であるヨーイングを生じ、サドルから上の部分が元々の位置からφだけ回転する。ここで回転角φは、以下の式で表される。
tanφ=2δR2/L ・・・(16)
回転中心は加工機の中心であり、加工機中心からトップテーブル中心までの距離をXcとすると、ヨーイングによる、トップテーブル中心位置のY軸方向の位置ずれδcは以下の式で表される。
δc=Xctanφ ・・・(17)
トップテーブル中心を基準とした加工位置のX座標をXpとすると、加工機中心基準の加工位置のX座標はXc+Xpとなり、加工位置でのヨーイングによるY方向の位置ずれΔY3は以下の式で表される。
ΔY3=(Xc+Xp)tanφ ・・・(18)
ヨーイングによるY方向の位置ずれΔY3は、トップテーブル位置Xc、加工位置Xp、ヨーイング角度φの関数となる。ヨーイング角度φはガイドレール78a、78bの変形量に依存し、ガイドレール78a、78bの変形量は慣性力Fy2に依存する。したがって、ヨーイングによる位置ずれは加速度a、トップテーブル位置Xcと加工位置Xpの関数となる。図22にヨーイングによる位置ずれを補正量としたY軸ヨーイング補償処理部114を含んだレーザ加工装置205の構成をブロック図で示す。Y軸ヨーイング補償処理部114には、XYテーブル4のX軸、Y軸の位置情報とスキャナX軸位置指令を入力し、補正量を計算する。XYテーブル4のY軸位置情報から加速度情報を求め、加速度情報から式(16)によってヨーイング角φを求める。加工機のX軸位置情報とスキャナX軸位置指令から加工機中心を基準とした加工位置のX座標を求め、式(18)から加工位置でのヨーイングによるY方向への位置ずれを求め、Y軸ヨーイング補償処理部114の出力とする。
実施の形態10では、リニアエンコーダ6b(計測器)の配置は加工機中心であったが、リニアエンコーダの配置は図23のように中心から離れていてもよい。ヨーイングが発生する場合、加工機中心では位置ずれが起こらないが、その他の点では位置ずれが発生する。そのため、リニアエンコーダ6bの加工機中心からの距離をXe、ヨーイング角がφとするとリニアエンコーダ6bの位置での位置ずれδeは次式で表される。
δe=Xetanφ ・・・(19)
したがって、ヨーイングによってリニアエンコーダ6bで計測される位置情報も変化することになり、リニアエンコーダ6bの配置によってY軸ヨーイング補償処理部114での補正量が異なってくる。このとき、加工位置のY方向の位置ずれとリニアエンコーダ6bの位置での位置ずれから補正量ΔY4は次式で表される。
ΔY4=(Xc+Xp−Xe)tanφ ・・・(20)
リニアエンコーダ6bを任意の場所に配置する場合、式(20)で求まる値をY軸ヨーイング補償処理部114の出力として与える必要がある。ただし、リニアエンコーダ6bの位置は固定のため、Xeは定数である。
ガルバノスキャナはX方向用とY方向用の2個1組で1点を加工するため、レーザ加工装置の加工ヘッドはガルバノスキャナ2個1組で構成される。実施の形態11までのレーザ加工装置は、加工ヘッドが1個のレーザ加工装置で説明してきた。レーザ加工装置には加工ヘッドを複数有し、複数点を同時加工するものもある。例えば、図24のようにトップテーブル73R(トップテーブル73の右側)、73L(トップテーブル73の左側)に配置されたワーク3の右半分と左半分をそれぞれ同時に加工するため、2ヘッドのレーザ走査装置80a、80bがある場合を考える。レーザ走査装置80a、80bは位置決めを行うため、それぞれ上記の制御装置102を備え、各制御装置から送られる指令によって駆動する。このような構造にすることで、2点同時加工が可能となり、生産性の向上が見込まれる。
ΔY5=(Xc+Xpl―Xe)tanφ ・・・(21)
ΔY6=(Xc+Xpr―Xe)tanφ ・・・(22)
式(21)、(22)から、加工位置によってヨーイングによる位置ずれが異なり、加工位置によってヨーイングに対する補正量が異なることになる。したがって、複数個の加工ヘッドを有するレーザ加工装置の場合、各加工ヘッドの加工位置によって異なる補正量を与える必要がある。このため、各加工ヘッドの加工位置を用いて変形補償処理部で補正量を計算し、各加工ヘッド毎に異なる補正量を用いて指令位置を生成することで、各加工点の指令位置とレーザ照射位置の位置ずれを低減することが可能となる。
Claims (10)
- ワークを搭載して二次元方向に移動する二次元駆動部と、
前記ワークにレーザビームを照射して二次元方向に走査するレーザ走査部と、
前記二次元駆動部の位置を用いて、前記レーザ走査部の加減速制御における遅れ時間だけ先の前記二次元駆動部の予測位置を求める遅れ補償処理部と、
前記二次元駆動部の位置を計測する計測器とワークを搭載するトップテーブルの相対位置のずれを補正する補正量を、前記二次元駆動部の加速度を用いて求める変形補償処理部と、
を備え、
前記予測位置、および前記補正量を用いて前記レーザ走査部への位置指令を補正し、前記レーザ走査部を駆動制御する
ことを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記変形補償処理部において、前記二次元駆動部のピッチング、せん断変形もしくはヨーイング、または前記ピッチング、前記せん断変形および前記ヨーイングのうち少なくとも二つの組み合わせの機械変形によって生じる前記相対位置のずれを補正する補正量を、前記加速度を用いて求め、前記レーザ走査部への位置指令を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。 - 前記変形補償処理部において、前記加速度だけでなく、さらに前記二次元駆動部の計測器から得られる計測位置を用いてヨーイングによる前記相対位置のずれを補正する補正量を求め、前記レーザ走査部への位置指令を補正する
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。 - 前記変形補償処理部は、前記二次元駆動部に設置されたリニアエンコーダの計測位置、加速度センサの計測加速度、前記二次元駆動部の位置指令または前記二次元駆動部のサーボモータの回転角度から前記二次元駆動部の加速度を求め、前記加速度を用いて前記補正量を求める
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。 - 前記変形補償処理部において、前記二次元駆動部の位置に比例する補償パラメータを前記加速度に乗じて前記補正量を求める
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。 - 前記変形補償処理部において、前記二次元駆動部の位置を計測する計測器の配置位置に比例する補償パラメータを前記加速度に乗じて前記補正量を求める
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。 - 前記二次元駆動部が移動する二つの独立した方向毎に、それぞれ前記遅れ補償処理部、前記変形補償処理部を備える
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。 - 前記レーザ走査部が走査する二つの独立した方向毎に、前記レーザ走査部をそれぞれ独立に駆動制御する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。 - 複数の加工ヘッドを有し、前記加工ヘッド毎の加工位置と計測器で計測される前記二次元駆動部の位置と前記二次元駆動部の加速度を用いて、前記加工ヘッド毎に前記変形補償処理部で前記相対位置のずれを補正する補正量を計算し、前記加工ヘッド毎に前記レーザ走査部への位置指令を補正し、前記レーザ走査部を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。 - ワークを搭載して二次元方向に移動する二次元駆動部と、
前記ワークにレーザビームを照射して二次元方向に走査するレーザ走査部と、
前記二次元駆動部の位置を用いて、線形の予測式から前記レーザ走査部の加減速制御における遅れ時間だけ先の前記二次元駆動部の予測位置を求める遅れ補償処理部と、
前記二次元駆動部が加減速する場合に生じる前記二次元駆動部の実位置と前記予測位置のずれを補正する補正量を、前記二次元駆動部の加速度を用いて求める変形補償処理部と、
を備え、
前記予測位置、および前記補正量を用いて前記レーザ走査部への位置指令を補正し、前記レーザ走査部を駆動制御する
ことを特徴とするレーザ加工装置。
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