JP5846523B2 - βグルコシダーゼを発現する大腸菌 - Google Patents

βグルコシダーゼを発現する大腸菌 Download PDF

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Description

本発明は、バイオマス分解酵素を発現する大腸菌に関する。
大腸菌は遺伝子組換えによる有用物質生産に好適に用いられるが、培養中の生育のためにグルコースを必要とする。近年、セルロースなどのバイオマスの有効利用が探索されているが、大腸菌は、このようなバイオマスを直接資化できない。大腸菌の培養にバイオマスを利用するためには、グルコースを得るために、予めセルロースを酵素により糖化する必要がある。大腸菌にバイオマス分解能を付与し、すなわち、バイオマス分解酵素を発現させることができれば、糖化工程を省略して直接バイオマスを炭素源として大腸菌を培養できると期待される。
しかし、酵母などの真核生物では、バイオマス分解酵素の発現例があるが、大腸菌などの細菌では、バイオマス分解酵素を発現させてバイオマスを分解したという報告例はない。
また、細胞表層提示技術は、酵素などをその細胞の表層に提示できる優れた技術である。細胞自体が固定化酵素触媒として利用できる上、提示されている酵素を細胞の回収と同時に回収できる。大腸菌などの細菌の表層に酵素を提示可能なアンカータンパク質としては、PgsAおよびOmpAなどが報告されている(PgsA:特許文献1および2、非特許文献1;およびOmpA:非特許文献2)。
国際公開第03/014360号 特開2005−312426号公報
Appl. Microbiol. Biotechnol., 2006年, 70巻, 564-572頁 Protein Eng., 1996年, 9巻, 239-247頁
本発明は、バイオマス分解酵素を発現する大腸菌を提供することを目的とする。
本発明は、以下の(a)または(b)のタンパク質をコードする遺伝子を含むポリヌクレオチドを含み、該(a)または(b)のタンパク質を発現する大腸菌を提供する:
(a)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつβグルコシダーゼ活性を有する、タンパク質。
1つの実施態様では、上記ポリヌクレオチドが、以下の(1)または(2)のタンパク質をコードする遺伝子をさらに含み、上記大腸菌は、上記(a)または(b)のタンパク質を表層提示する:
(1)配列番号6、配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)配列番号6、配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ該タンパク質に融合された該(a)または(b)のタンパク質を大腸菌の表層に提示できる、タンパク質。
別の実施態様では、上記大腸菌は、BW25113株またはJCM20137株である。
本発明は、以下の(I)または(II)のタンパク質を提供する:
(I)配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(II)配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ該タンパク質に融合された目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示できる、タンパク質。
本発明はさらに、以下の(I)または(II)のタンパク質をコードする遺伝子を提供する:
(I)配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(II)配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなタンパク質であって、かつ該タンパク質に融合された目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示できる、タンパク質。
1つの実施態様では、上記遺伝子は、以下の(Ia)または(IIa)を含む:
(Ia)配列番号7、配列番号9、および配列番号11からなる群から選択される塩基配列からなるDNA;
(IIa)該(Ia)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ大腸菌で発現させた際に目的タンパク質またはペプチドを表層提示できるタンパク質をコードする、DNA。
本発明はさらに、上記(I)または(II)のタンパク質をコードする遺伝子または上記(Ia)または(IIa)を含む遺伝子を含む、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターを提供する。
1つの実施態様では、上記発現ベクターは、以下の(I)または(II)のタンパク質をコードする核酸あるいは以下の(Ia)または(IIa)のDNAを含み、該(I)または(II)のタンパク質をコードする核酸あるいは該(Ia)または(IIa)のDNAの下流に、インフレームにて該目的のタンパク質またはペプチドをコードする核酸が挿入されて用いる:
(I)配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(II)配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ該タンパク質に融合された該目的のタンパク質またはぺプチドを大腸菌の表層に提示できる、タンパク質;
(Ia)配列番号7、配列番号9、および配列番号11からなる群から選択される塩基配列からなるDNA;
(IIa)該(Ia)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ大腸菌で発現させた際に目的タンパク質またはペプチドを表層提示できるタンパク質をコードする、DNA。
別の実施態様では、上記発現ベクターは、以下の(i)または(ii)のタンパク質をコードする核酸あるいは該(ia)または(iia)のDNAを含み、該(i)または(ii)のタンパク質をコードする核酸あるいは該(ia)または(iia)のDNAの上流に、インフレームにて該目的のタンパク質またはペプチドをコードする核酸が挿入されて用いる、請求項7に記載の発現ベクター:
(i)配列番号8または配列番号10のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(ii)配列番号8または配列番号10のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ該タンパク質に融合された該目的のタンパク質またはぺプチドを大腸菌の表層に提示できる、タンパク質;
(ia)配列番号7または配列番号9の塩基配列からなるDNA;
(iia)該(ia)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ大腸菌で発現させた際に目的タンパク質またはペプチドを表層提示できるタンパク質をコードする、DNA。
本発明はまた、目的タンパク質またはペプチドをコードする遺伝子をさらに含む、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターを提供する。
本発明はまた、目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌を製造する方法を提供し、上記の目的タンパク質またはペプチドをコードする遺伝子をさらに含む、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターを大腸菌に導入する工程を含む。
本発明はさらに、上記目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌を製造する方法で製造された大腸菌を提供する。
本発明によれば、バイオマス分解酵素を発現する大腸菌が提供される。さらに、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示できる新規なタンパク質、その遺伝子、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現用ベクター、目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌を製造する方法、および目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌もまた提供される。
大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)で発現させた種々の候補タンパク質のβグルコシダーゼ活性を示すグラフである。 種々のβグルコシダーゼ候補タンパク質を表層提示させた大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)のセロビオース基質培地での増殖能を示すグラフである。 大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)におけるBglAの表層提示のために種々のアンカー候補タンパク質を用いた形質転換大腸菌のβグルコシダーゼ活性を示すグラフである。 種々のアンカー候補タンパク質を用いてBglAを表層提示させた大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)のセロビオース基質培地での増殖能を示すグラフである。 blcまたはhdeDのC末端側にTfu0937のN末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクター(blc-Tfu0937、hdeD-Tfu0937)あるいはslpまたはblcのN末端側にTfu0937のC末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクター(Tfu0937-slp、Tfu0937-blc)を用いて形質転換した大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)のセロビオース基質培地での増殖能を示すグラフである。
本発明は、βグルコシダーゼを発現する大腸菌を提供する。この大腸菌は、大腸菌によりその活性が発現されるβグルコシダーゼタンパク質をコードする遺伝子を含むポリヌクレオチドを含む。
大腸菌によりその活性が発現されるβグルコシダーゼタンパク質としては、サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)のYX株のBGL0937(単に「Tfu0937」という場合もある)およびクロストリジウム・セルロボランス(Clostridium cellulovorans)のBglAタンパク質(単に「BglA」という場合もある)が挙げられる。Tfu0937およびBglAの全長アミノ酸配列は、それぞれ配列番号2および配列番号4のアミノ酸配列で示される。
大腸菌で発現された際にβグルコシダーゼ活性が失われない程度に、アミノ酸変異(欠失、置換、付加)が起こっているタンパク質もまた用いられ得る。このような変異には、自然界において生じる変異の他に、人為的な変異も含まれる。人為的な変異を生じさせる手段としては、部位特異的突然変異誘発法(Nucleic Acids Res. 1982年, 10巻, 6487-6500頁)が挙げられるがこれに限定されるわけではない。変異(欠失、置換、付加)したアミノ酸の数は、βグルコシダーゼ活性が失われない限りその個数は制限されないが、好ましくは10アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内である。
また、βグルコシダーゼ活性が失われない程度に、配列番号2または4に対して相同性を有するタンパク質もまた挙げられる。相同性は、80%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。
本発明において「相同性」とは、2つのポリペプチドあるいはポリヌクレオチド間の配列の類似の程度を意味し、比較対象のアミノ酸配列または塩基配列の領域にわたって最適な状態(配列の一致が最大となる状態)にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。相同性の数値(%)は両方の(アミノ酸または塩基)配列に存在する同一のアミノ酸または塩基を決定して、適合部位の数を決定し、次いでこの適合部位の数を比較対象の配列領域内のアミノ酸または塩基の総数で割り、得られた数値に100をかけることにより算出される。最適なアラインメントおよび相同性を得るためのアルゴリズムとしては当業者が通常利用可能な種々のアルゴリズム(例えば、BLASTアルゴリズム、FASTAアルゴリズムなど)が挙げられる。アミノ酸配列の相同性は、例えばBLASTP、FASTAなどの配列解析ソフトウェアを用いて決定される。塩基配列の相同性は、BLASTN、FASTAなどのソフトウェアを用いて決定される。
本明細書で用いる「ポリペプチド」という用語はアミノ酸の重合体を指し、便宜的に「タンパク質」なる語を比較的長いポリペプチド、「ペプチド」なる語を比較的短いポリペプチドを示すように用いているが、これらはアミノ酸残基の数を限定するわけではない。したがって、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、いずれもポリペプチドの定義内に含まれる。「タンパク質またはペプチド」はあらゆる長さのポリペプチドを包含する概念である。
大腸菌によりその活性が発現されるβグルコシダーゼタンパク質をコードする遺伝子として、サーモビフィダ・フスカのYX株のBGL0937「Tfu0937」をコードする遺伝子およびクロストリジウム・セルロボランスのBglAタンパク質「BglA」をコードする遺伝子が挙げられる。Tfu0937をコードする遺伝子の塩基配列は、配列番号1に示されるとおりである。この塩基配列は、サーモビフィダ・フスカのYX株のゲノム配列に含まれるオープンリーディングフレーム(ORF)に由来し、米国立生物工学情報センター(NCBI)にNCBI Reference Sequence:YP_003842858.1で登録されている。BglAをコードする遺伝子の塩基配列は、配列番号3に示される。この塩基配列は、クロストリジウム・セルロボランスのゲノム配列に含まれるORFに由来し、NCBIにNCBI Reference Sequence:YP_288998.1で登録されている。
該遺伝子としては、配列番号1または3に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌で発現させた際に、β−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質をコードする、DNAもまた用いられ得る。
ここで、ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリダイゼーションのみが起こり、非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。このような条件は、通常、0.2×SSC、0.1%SDS、65℃程度である。ハイブリダイゼーションにより得られるDNAは、上記塩基配列からなるDNAと80%以上の高い相同性を有することが望ましく、さらに90%以上の相同性を有することが好ましい。ここで「相同性」については上記のとおりである。
βグルコシダーゼ活性は、機能を確認すべきタンパク質を発現するためのベクター(好ましくは、アンカータンパク質を発現する表層提示用ベクター)を構築し、これを大腸菌に導入して発現させ、例えば、pNPG法により活性の有無を確認する。例えば、機能を確認すべきタンパク質を発現させた大腸菌の生菌体を基質p-ニトロフェニル-β-D-グルコピラノシド(PNPG)と接触させ、遊離したp-ニトロフェノール量を400nmで吸光度測定することによって、βグルコシダーゼ活性が確認され得る。βグルコシダーゼの表層提示は、生菌体との接触により基質PNPGが分解されることで確認され得る。さらに、セロビオースを基質とする培地での培養による増殖能を調べることで、βグルコシダーゼの発現(好ましくは表層提示)が確認され得る。
大腸菌によりその活性が発現されるβグルコシダーゼタンパク質をコードする遺伝子は、クロストリジウム・セルロボランスまたはサーモビフィダ・フスカを含む微生物のゲノム(例えば、それぞれアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)より入手され得る;クロストリジウム・セルロボランスのゲノムDNAはATCC35296として、サーモビフィダ・フスカのゲノムDNAはATCC27730として入手可能である)から、当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはハイブリダイゼーション技術によって取得され得る。あるいはDNA合成機などを用いて人工的に合成してもよい。配列の決定は常套方法により配列決定機を用いて行われ得る。
大腸菌によりその活性が発現されるβグルコシダーゼタンパク質をコードする遺伝子の大腸菌への導入は、発現ベクターの形態で宿主に導入されてもよく、あるいは宿主の遺伝子に挿入してまたは宿主の遺伝子との相同組換えで宿主の染色体に組み込まれてもよい。
βグルコシダーゼのような目的のタンパク質またはペプチドを大腸菌に表層提示させるために、アンカータンパク質が用いられ得る。大腸菌で発現されてアンカー機能を有するタンパク質としては、大腸菌(Escherichia coli)由来のタンパク質slp、blc、およびhdeDが用いられ得る。これらのタンパク質は、膜に局在することが予測されていたのみであり、機能未知のタンパク質であった。slp、blc、およびhdeDのそれぞれの全長アミノ酸配列は、それぞれ、配列番号8、10、および12で示される。ストレプトマイセス・スブチリス(Streptomyces subtilis)のPgsA(特許文献1および2、非特許文献1)もまた用いられ得、PgsAは、プラスミドの形態で入手することができる(pHLA、非特許文献1)。PgsAの全長アミノ酸配列は、配列番号6に示される。これらのアンカータンパク質は、その末端(C末端またはN末端の少なくとも一方)に融合された目的のタンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示できる。
大腸菌で発現された際に、アンカー機能が失われない(例えば、その末端に融合されたβグルコシダーゼのような目的のタンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示できる)程度に、アミノ酸変異(欠失、置換、付加)が起こっているタンパク質もまた用いられ得る(このようなタンパク質を、「アンカー変異タンパク質」ともいう)。ここで、「変異」については上記の通りである。変異(欠失、置換、付加)したアミノ酸の数は、上記アンカータンパク質のアンカー機能が失われない限りその個数は制限されないが、好ましくは10アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内である。
また、上記アンカータンパク質のアンカー機能が失われない程度に、配列番号6、8、10、または12に対して相同性を有するタンパク質もまた用いられ得る。このような相同性タンパク質もまた、「アンカー変異タンパク質」に包含され得る。相同性は、80%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。ここで、「相同性」については上記の通りである。
大腸菌で発現されてアンカー機能を有するタンパク質をコードする遺伝子として、大腸菌由来のタンパク質slp、blc、およびhdeDのそれぞれをコードする遺伝子およびストレプトマイセス・スブチリスのPgsAをコードする遺伝子が挙げられる。slp、blc、およびhdeDのそれぞれをコードする遺伝子の塩基配列は、配列番号7、9、および11に示されるとおりである。これらの塩基配列は、大腸菌のゲノム配列に含まれるORFに由来し、それぞれNCBIに以下のNCBI Reference Sequenceで登録されている(Slp: YP_001732337.1、blc:YP_001732919.1、hdeD:YP_001732342.1)。PgsAをコードする遺伝子の塩基配列は、配列番号5に示される。
該遺伝子としては、配列番号5、7、9、および11に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌で発現させた際にアンカー機能を有する(例えば、その末端に融合されたβグルコシダーゼのような目的のタンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示できる)タンパク質をコードする、DNA(このようなDNAを、「アンカータンパク質遺伝子変異体」ともいう)もまた用いられ得る。ここで、「ストリンジェントな条件」については上記の通りである。
大腸菌で発現されてアンカー機能を有するタンパク質をコードする遺伝子は、大腸菌またはストレプトマイセス・スブチリスを含む微生物のゲノムから、当業者に周知のPCRまたはハイブリダイゼーション技術によって取得され得る。例えば、大腸菌株BW25113(国立遺伝学研究所より入手され得る)から当業者が通常用いる方法に従って調製した大腸菌のゲノムDNAから、本明細書に記載した配列情報(特に、配列番号7、9または11)に基づいて作製したプライマーまたはプローブを用いて、大腸菌で発現されてアンカー機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を調製し得る。あるいはDNA合成機などを用いて人工的に合成してもよい。配列の決定は常套方法により配列決定機を用いて行われ得る。
大腸菌によりその活性が発現されるβグルコシダーゼタンパク質、および大腸菌で発現されてアンカー機能を有するタンパク質は、大腸菌用発現カセットの構築に用いられ得る。このような発現カセットは、PgsA(配列番号6)、slp(配列番号8)、blc(配列番号10)、およびhdeD(配列番号12)のそれぞれのアンカータンパク質あるいは上述したようなアンカー変異タンパク質のC末端側に目的のタンパク質またはペプチド(例えば、βグルコシダーゼ)を融合させた融合タンパク質を発現するように構築され得る。また、slp(配列番号8)またはslc(配列番号10)あるいは上述したようなアンカー変異タンパク質のN末端側に目的のタンパク質またはペプチド(例えば、βグルコシダーゼ)を融合させた融合タンパク質を発現するように構築することもできる。
目的タンパク質またはペプチドの大腸菌の表層提示のために、上記発現カセットは、分泌シグナル配列を含み得る。分泌シグナル配列とは、一般に細胞外(ペリプラズムも含む)に分泌されるタンパク質(分泌性タンパク質)のN末端に結合している、疎水性に富んだアミノ酸を多く含むアミノ酸配列をいい、通常、分泌性タンパク質が細胞内から細胞膜を通過して細胞外へ分泌される際に除去される。分泌シグナル配列は、発現カセットにおいてN末端側に配置され得る。発現産物を細胞膜へ導くことができる分泌シグナル配列であれば、どのような分泌シグナル配列でも用いられ得、起源は問わない。例えば、分泌シグナル配列は、大腸菌にて機能し得る分泌シグナル配列を添加しても、アンカータンパク質自身のものを利用しても、あるいは目的タンパク質またはペプチド自身のものを利用してもよい。アンカータンパク質(PgsA(配列番号6)、slp(配列番号8)、blc(配列番号10)、およびhdeD(配列番号12))は、これらのタンパク質自身に分泌シグナル配列を含むと考えられ、βグルコシダーゼタンパク質であるTfu0937(配列番号2)もまた、このタンパク質自身に分泌シグナル配列を含むと考えられる。アンカータンパク質に融合している目的タンパク質またはペプチドの活性に影響を及ぼさないのであれば、大腸菌で発現される際に、アンカータンパク質と目的タンパク質またはペプチドとの融合タンパク質における分泌シグナル配列の一部または全部が該融合タンパク質のN末端に残ってもよい。
本発明は、目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌もまた提供する。このような大腸菌は、slp(配列番号8)、blc(配列番号10)、およびhdeD(配列番号12)のそれぞれのアンカータンパク質あるいは上述したようなアンカー変異タンパク質、および目的のタンパク質またはペプチドを発現し得る。目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌は、上記のような発現カセットを宿主大腸菌で発現させることによって作製され得る。また、例えば、以下に説明するような発現ベクターを、宿主大腸菌に導入することによって作製され得る。
本発明は、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターを提供する。この発現ベクターは、slp(配列番号8)、blc(配列番号10)、およびhdeD(配列番号12)のそれぞれのアンカータンパク質あるいは上述したようなアンカー変異タンパク質をコードする遺伝子(核酸)を含む。あるいは、slp(配列番号7)、blc(配列番号9)、およびhdeD(配列番号11)のDNAあるいは上述したようなアンカータンパク質遺伝子変異体を含む。目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターは、目的タンパク質またはペプチドをコードする遺伝子(核酸)をさらに含み得る。目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターは、上述したような分泌シグナル配列をコードする遺伝子を含み得る。
1つの実施態様では、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターは、slp(配列番号8)、blc(配列番号10)、およびhdeD(配列番号12)または上記のアンカー変異タンパク質(以下、まとめて「C末端側アンカータンパク質」)のC末端側に該目的タンパク質またはペプチドを融合させた融合タンパク質を発現するように配置されればよく、好ましくは、C末端側アンカータンパク質をコードする核酸の下流に、インフレームにて該目的のタンパク質またはペプチドをコードする核酸(遺伝子)が挿入される形態である。「インフレーム」とは、アンカーと目的のタンパク質またはペプチドが一続きで読めればよく、間に数アミノ酸〜数十アミノ酸でなるスペーサーを介するように連結されてもよい。この発現ベクターは、C末端側アンカータンパク質をコードする核酸を含み、C末端側アンカータンパク質をコードする核酸の下流に、インフレームにて目的タンパク質またはペプチドをコードする核酸(遺伝子)を挿入可能な、好適な制限酵素部位を有し得る。目的タンパク質またはペプチドをコードする核酸(遺伝子)を、該組換えベクター中のC末端側アンカータンパク質をコードする核酸の下流(3’末端側)に、インフレームにて挿入して得られた構築物を大腸菌に導入し、発現させるとC末端側アンカータンパク質のC末端側に目的タンパク質またはペプチドが融合した融合タンパク質が発現し、その結果、目的タンパク質またはペプチドは大腸菌の表層に提示され得る。
別の実施態様では、目的タンパク質またはペプチドを大腸菌の表層に提示させるための発現ベクターは、slp(配列番号8)およびblc(配列番号10)または上記のアンカー変異タンパク質(以下、まとめて「N末端側アンカータンパク質」)のN末端側に該目的タンパク質またはペプチドを融合させた融合タンパク質を発現するように配置されればよく、好ましくは、N末端側アンカータンパク質をコードする核酸の上流に、インフレームにて該目的のタンパク質またはペプチドをコードする核酸(遺伝子)が挿入される形態である。この発現ベクターは、N末端側アンカータンパク質をコードする核酸を含み、N末端側アンカータンパク質をコードする核酸の上流に、インフレームにて目的タンパク質またはペプチドをコードする核酸(遺伝子)を挿入可能な、好適な制限酵素部位を有し得る。目的タンパク質またはペプチドをコードする核酸(遺伝子)を、該組換えベクター中のN末端側アンカータンパク質をコードする核酸の上流(5’末端側)に、インフレームにて挿入して得られた構築物を大腸菌に導入し、発現させるとN末端側アンカータンパク質のN末端側に目的タンパク質またはペプチドが融合した融合タンパク質が発現し、その結果、目的タンパク質またはペプチドは大腸菌の表層に提示され得る。
各種DNAおよび組換えDNAの合成、結合、および発現ベクターへの挿入は、当業者が通常用い得る技法で行われ得る。
発現ベクターとしては、宿主大腸菌内で自律的に複製可能なプラスミドまたはファージから遺伝子組換え用として構築されたものが適している。ベクターは、導入されるグラム陰性細菌に適合した複製開始起点、選択可能なマーカー、プロモーター等の発現制御配列、ターミネーターを含むのが好ましい。プラスミドベクターとしては、例えば大腸菌で発現させる場合は、pET系ベクター、pET15bが挙げられる。ファージベクターとしてはλファージベクターなどが挙げられる。
選択可能なマーカーとしては、アンピシリン耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
発現ベクターは、発現制御配列を含むものが好ましい。発現制御配列とは、DNA配列に適切に連結した場合、グラム陰性細菌において、そのDNA配列を発現させることが出来る配列を意味する。発現制御配列には少なくともプロモーターが含まれる。プロモーターは構成的プロモーターであっても誘導可能なプロモーターであってもよい。さらに該発現ベクターには転写終結シグナル、即ちターミネーター領域が好ましくは含まれる。
発現ベクターは、C末端側アンカータンパク質またはN末端側アンカータンパク質と目的タンパク質またはペプチドとの融合タンパク質をコードするキメラDNAの構築を容易にするために、C末端側アンカータンパク質またはN末端側アンカータンパク質をコードする核酸の末端に、常法により適当な制限酵素認識部位を付加することにより作製することができる。
目的のタンパク質またはペプチドとしては、特に限定されず、本来大腸菌の細胞表層に局在しないタンパク質であって、大腸菌の細胞表層に固定することを目的として配置されるタンパク質が好ましい。例えば、酵素(例えば、βグルコシダーゼ)、抗体、抗原、リガンドなどが挙げられる。
目的タンパク質またはペプチドの起源は宿主として用いる大腸菌に対して異種のものであってもよいし、宿主として用いる大腸菌由来のものであってもよい。
上述したように、上記のアンカータンパク質をコードする遺伝子(核酸)に加え、目的タンパク質またはペプチドをコードする遺伝子(核酸)をさらに含む発現ベクターを作製し得る。このようなアンカータンパク質をコードする遺伝子(核酸)および目的タンパク質またはペプチドをコードする遺伝子(核酸)を含む発現ベクターを大腸菌に導入することで、目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌を製造できる。
発現ベクターの大腸菌への導入には、当業者が通常用いる方法が用いられ得る。このような方法としては、例えば、塩化カルシウム法、コンピテント法、3親接合(triparental mating)法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。発現ベクターの大腸菌への導入により得られる大腸菌形質転換体は、必要に応じて、当業者が通常用いる方法でスクリーニングされ得る。
融合タンパク質を発現させる方法は遺伝子工学の常法に基づいて行うことができる。大腸菌に用いられるベクターの情報や外来遺伝子の導入、発現、形質転換体のスクリーニングなどの方法は多くの実験書に記載されている(例えば、Sambrook, J.et al, Molecular Cloning A Laboratory Manual 3rd Edition, CSHL Press, 2001)。
用いる宿主は大腸菌であれば特に限定されない。好ましくは、BW25113(国立遺伝学研究所より入手され得る)およびJCM20137(理研BRC微生物材料開発室より入手され得る)が挙げられる。
形質転換体である宿主細菌の培養形態は、宿主の栄養生理学的性質を考慮して培養条件を適宜選択すればよく、通常液体培養で行われる。培地の炭素源としてはグルコース、グリセロールなどが挙げられるが、βグルコシダーゼを表層提示している場合はセロビオースを含んでもよい。窒素源としては硫酸アンモニウム、カザミノ酸などが挙げられる。その他、塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどを所望により使用できる。
培養温度は宿主大腸菌が生育し、目的タンパク質またはペプチドを提示する範囲で適宜変更できるが、一般に大腸菌の場合、温度37℃、12時間、pH7.2の培養条件でよい。
目的タンパク質またはペプチドを表層提示する大腸菌は、表面に提示された目的タンパク質またはペプチドの種類に応じて利用することができる。目的タンパク質またはペプチドが酵素である場合、酵素を表層提示する大腸菌を含む酵素剤として提供され得る。酵素がβグルコシダーゼの場合は、バイオマス分解に用いられ得る。
βグルコシダーゼを発現する(好ましくは表層提示する)大腸菌は、βグルコシダーゼ活性を有する。さらにセロビオースを含む培地で増殖も可能である。本発明により、バイオマスを分解しながら増殖できる大腸菌が得られた。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:大腸菌で活性を持つβグルコシダーゼの探索)
大腸菌で活性を持つβグルコシダーゼを探索するために、表層提示用プラスミドベクターpHLA(非特許文献1)を用いた。pHLAは、大腸菌表層提示のためのアンカータンパク質であるストレプトマイセス・スブチリス(Streptomyces subtilis)のPgsAを含み、PgsAのC末端側に目的のタンパク質のN末端を融合した融合タンパク質を発現させるためのものである。
クロストリジウム・セルロボランスのゲノムDNA(ATCCより入手:ATCC35296)を鋳型として、フォワードプライマー(配列番号13)およびリバースプライマー(配列番号14)を使用してPCRを行い、クロストリジウム・セルロボランスのBglA(「BglA」)の遺伝子断片を調製した。これをBamHIおよびSpeIで切断し、同じく切断したベクターpHLに連結し、BglA-pHLAを得た。得られたプラスミドを大腸菌BW25113(国立遺伝学研究所より入手)およびJCM20137(理研BRC微生物材料開発室より入手)のそれぞれにエレクトロポレーションし、形質転換体を得た。
サーモビフィダ・フスカYXのゲノムDNA(ATCCより入手:ATCC27730)を鋳型として、フォワードプライマー(配列番号15)およびリバースプライマー(配列番号16)を使用してPCRを行い、サーモビフィダ・フスカYXのBGL0937(「Tfu0937」)の遺伝子断片を調製した。これをXhoIおよびHindIIIで切断し、同じく切断したベクターpHLAに連結し、Tfu0937-pHLAを得た。得られたプラスミドを大腸菌BW25113およびJCM20137のそれぞれにエレクトロポレーションし、形質転換体を得た。
サッカロファガス・デグラダンス(Saccharophagus degradans)2−40のゲノムDNA(ATCCより入手:ATCC43961)を鋳型として、フォワードプライマー(配列番号17)およびリバースプライマー(配列番号18)を使用してPCRを行い、サッカロファガス・デグラダンス2-40 Sde0245(「Sde0245」)の遺伝子断片を調製した。これをBamHIおよびXhoIで切断し、同じく切断したベクターpHLAに連結し、Sde0245-pHLAを得た。得られたプラスミドを大腸菌BW25113およびJCM20137のそれぞれにエレクトロポレーションし、形質転換体を得た。
サッカロファガス・デグラダンス2−40のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号19)およびリバースプライマー(配列番号20)を使用してPCRを行い、サッカロファガス・デグラダンス2−40のSde2497(「Sde2497」)の遺伝子断片を調製した。これをBamHIおよびXhoIで切断し、同じく切断したベクターpHLAに連結し、Sde2497-pHLAを得た。得られたプラスミドを大腸菌BW25113およびJCM20137のそれぞれにエレクトロポレーションし、形質転換体を得た。
サイトファガ・ハチンソニ(Cytophaga hutchinsonii)のゲノムDNA(ATCCより入手:ATCC33406)を鋳型として、フォワードプライマー(配列番号21)およびリバースプライマー(配列番号22)を使用してPCRを行い、サイトファガ・ハチンソニのCHU2268(「CHU2268」)の遺伝子断片を調製した。これをBamHIおよびXhoIで切断し、同じく切断したベクターpHLAに連結し、CHU2268-pHLAを得た。得られたプラスミドを大腸菌BW25113およびJCM20137のそれぞれにエレクトロポレーションし、形質転換体を得た。
ルミノコッカス・アルブス(Ruminococcus albus)のゲノムDNA(ATCCより入手:ATCC27210)を鋳型として、フォワードプライマー(配列番号23)およびリバースプライマー(配列番号24)を使用してPCRを行い、ルミノコッカス・アルブスのR_BGL(「R.albus」)の遺伝子断片を調製した。これをBamHIおよびXhoIで切断し、同じく切断したベクターpHLAに連結し、R.albus-pHLAを得た。得られたプラスミドを大腸菌BW25113およびJCM20137のそれぞれにエレクトロポレーションし、形質転換体を得た。
さらに、PgsAをコードする核酸を取り除いたpHLAにTfu0937を導入したベクターも作製した。このベクターはTfu0937のみを発現させるために作製した。サーモビフィダ・フスカYXのゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号25)およびリバースプライマー(配列番号26)を使用してPCRを行って得られた遺伝子断片をBglIIおよびHindIIIで切断し、BglIIおよびHindIIIで切断したpHLAに連結した。これにより、PgsAをコードする核酸が切り出されて除かれ、Tfu0937が導入されたベクターTfu0937ΔPgsA-pHLAを得た。このプラスミドを大腸菌BW25113およびJCM20137のそれぞれにエレクトロポレーションし、形質転換体を得た。
これらの形質転換体をルリア−ベルタニ(LB)培地で37℃にて24時間培養して、菌体数を揃えて、培養後の液体を15000rpmにて5分間遠心して菌体と上清とを分離した後、培養上清および菌体のβグルコシダーゼ活性を測定した。βグルコシダーゼ活性の測定は、pNPG法で行った。菌体または培養上清を基質p-ニトロフェニル-β-D-グルコピラノシド(PNPG)と接触させ、遊離したp-ニトロフェノール量を400nmで吸光度測定した。この結果を図1に示す。
図1は、大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)で発現させた種々の候補タンパク質のβグルコシダーゼ活性を示すグラフである。図1の(A)および(B)とも、縦軸は、βグルコシダーゼ活性(400nmでの吸光度)を示す。横軸の「BglA」、「Sde0245」、「CHU2268」、「R.albus」、および「Tfu0937」はそれぞれ、PgsAのC末端側にこれらのタンパク質のN末端を融合した融合タンパク質を発現してこれらのタンパク質を表層提示する形質転換大腸菌の結果を表す。横軸の「Tfu0937ss」は、PgsAと融合させずにTfu0937のみを発現させた形質転換大腸菌の結果を表す。横軸の「pHLA」は、βグルコシダーゼ候補タンパク質なしでPgsAのみを導入したコントロール大腸菌の結果を表す。各結果とも、左側に菌体、右側に培養上清のβグルコシダーゼ活性を示す。
図1に示されるように、BglAおよびTfu0937で、高いβグルコシダーゼ活性が見られた。これらのタンパク質は、実験に用いた2種類の大腸菌ともに活性を示し、また菌体表層にも活性があることがわかった。また、Tfu0937を単独(アンカータンパク質なし)で発現させた大腸菌においても、菌体表層に活性を持つことが示された。
続いて、これらの菌体を初期光学濃度(OD)=0.01で、セロビオースを炭素源とする最小培地(K2HPO4 0.7%, KH2PO4 0.3%, (NH4)SO4 0.1%, MgSO4・7H2O 0.01%, セロビオース0.2%)に植菌し、37℃で培養しながら、ODの経時変化をモニターし、形質転換大腸菌の増殖能を調べた。この結果を図2に示す。
図2は、種々のβグルコシダーゼ候補タンパク質を表層提示させた大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)のセロビオース基質培地での増殖能を示すグラフである。図2の(A)および(B)とも、縦軸は大腸菌数(OD値)、横軸は培養時間(時間)を示す。図2の(A)および(B)とも、塗りつぶした菱形はpHLA、塗りつぶした四角はBglA-pHLA、白抜き三角はSde0245-pHLA、×はSde2497-pHLA、白抜き菱形はCHU2268-pHLA、白抜き丸はR.albus-pHLA、塗りつぶした丸はTfu0937-pHLAss、塗りつぶした三角はTfu0937-pHLAの発現ベクターを用いた場合の結果を示す。
図2に示されるように、セロビオースからの増殖においては、Tfu0937を用いた場合(「Tfu0937-pHLA」)に最も増殖がよかった。どちらの大腸菌においても同様の結果となった。Tfu0937単独(アンカータンパク質なし「Tfu0937-pHLAss」)発現の場合も増殖能は高かった。BglAを用いた場合(「BglA-pHLA」)も、コントロールのpHLAよりも増殖能が高められた。
(実施例2:大腸菌表層提示のためのアンカータンパク質の探索)
クロストリジウム・セルロボランスのゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号27)およびリバースプライマー(配列番号28)を使用してPCRを行って、BglAの遺伝子断片を得た。このBglA遺伝子断片をXhoIおよびBamHIで切断し、XhoIで切断したpHLAに連結した。
以下のアンカー候補タンパク質をコードする遺伝子断片を調製した。大腸菌のゲノムDNAは、国立遺伝学研究所より入手したBW25113株から調製したゲノムDNAを用いた。
大腸菌のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号29)およびリバースプライマー(配列番号30)を使用してPCRを行い、大腸菌hdeD(「hdeD」)の遺伝子断片を調製した。
大腸菌のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号31)およびリバースプライマー(配列番号32)を使用してPCRを行い、大腸菌slp(「slp」)の遺伝子断片を調製した。
大腸菌のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号33)およびリバースプライマー(配列番号34)を使用してPCRを行い、大腸菌blc(「blc」)の遺伝子断片を調製した。
コリネ菌で表層提示アンカーとして報告のあるPorBの遺伝子断片(Applied Microbiology and Biotechnology, 2009年, 84巻, 733-739頁)もまた、候補アンカータンパク質として用いた。
得られた候補アンカータンパク質遺伝子断片をBglIIおよびBamHIで切断し、このBamHI側を上記のBglA遺伝子断片のBamHI側にそしてBglII側を、BglIIで切断したpHLAに連結した。これにより、PgsAの代わりにこれらのアンカー候補タンパク質のC末端側にBglAのN末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクター(それぞれhdeD-BglA、slp-BglA、blc-BglA、およびPorB-BglA)を得た。形質転換大腸菌の調製およびβグルコシダーゼ活性および増殖能の測定は、実施例1と同様に行った。
図3は、大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)におけるBglAの表層提示のために種々のアンカー候補タンパク質を用いた形質転換大腸菌のβグルコシダーゼ活性を示すグラフである。図3の(A)および(B)とも、縦軸は、βグルコシダーゼ活性(400nmでの吸光度)を示す。横軸の「pgsA」、「hdeD」、「slp」、「blc」、および「porB」はそれぞれ、これらのタンパク質のC末端側にBglAのN末端を融合した融合タンパク質を発現させた形質転換大腸菌の結果を表す。各結果とも、左側に菌体、右側に培養上清のβグルコシダーゼ活性を示す。
図3に示されるように、hdeD、slp、およびblcで高いβグルコシダーゼ活性が見られた。既にコリネバクテリウムで表層提示アンカーとして報告のあるPorBを用いた場合、ほとんど活性を示さなかった。
図4は、種々のアンカー候補タンパク質を用いてBglAを表層提示させた大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)のセロビオース基質培地での増殖能を示すグラフである。図2の(A)および(B)とも、縦軸は大腸菌数(OD値)、横軸は培養時間(時間)を示す。図4の(A)および(B)とも、塗りつぶした菱形はpgsA、塗りつぶした四角はhdeD、塗りつぶした三角はslp、白抜き丸はblc、塗りつぶした丸はporBを表層提示アンカーとして用いた場合の結果を示す。
図4に示されるように、hdeDおよびblcが特によい増殖を示し、これらは、pgsAを用いたときよりも2倍を上回る高い増殖を示した。Slpもまたよい増殖を示した。
(実施例3)
サーモビフィダ・フスカYXのゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号35)およびリバースプライマー(配列番号36)を使用してPCRを行い、サーモビフィダ・フスカYX BGL0937(「Tfu0937」)の遺伝子断片を調製した。これをBglIIおよびHindIIIで切断し、HindIIIで切断したpHLAに連結した。
大腸菌のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号37)およびリバースプライマー(配列番号38)を使用してPCRを行い、大腸菌blc(「blc」)の遺伝子断片を調製した。
大腸菌のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号39)およびリバースプライマー(配列番号40)を使用してPCRを行い、大腸菌hdeD(「hdeD」)の遺伝子断片を調製した。
得られたblcまたはhdeDの遺伝子断片をBglIIおよびNotIで切断し、このBglII側を上記のTfu0937遺伝子断片のBglII側にそしてNotI側を、NotIで切断したpHLAに連結した。これにより、blcまたはhdeDのC末端側にTfu0937のN末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクター(blc-Tfu0937、hdeD-Tfu0937)を得た。形質転換大腸菌の調製およびβグルコシダーゼ活性および増殖能の測定は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
サーモビフィダ・フスカYXのゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号41)およびリバースプライマー(配列番号42)を使用してPCRを行い、サーモビフィダ・フスカYX BGL0937(「Tfu0937」)の遺伝子断片を調製した。これをBglIIおよびHindIIIで切断し、BglIIで切断したpHLAに連結した。
大腸菌のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号43)およびリバースプライマー(配列番号44)を使用してPCRを行い、大腸菌slp(「slp」)の遺伝子断片を調製した。
大腸菌のゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー(配列番号45)およびリバースプライマー(配列番号46)を使用してPCRを行い、大腸菌blc(「blc」)の遺伝子断片を調製した。
得られたslpまたはblcの遺伝子断片をXhoIおよびHindIIIで切断し、このHindIII側を上記のTfu0937遺伝子断片のHindIII側にそしてXhoI側を、XhoIで切断したpHLAに連結した。これにより、slpまたはblcのN末端側にTfu0937のC末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクター(Tfu0937-slp、Tfu0937-blc)を得た。形質転換大腸菌の調製およびβグルコシダーゼ活性および増殖能の測定は、実施例1と同様に行った。
実施例3および4の形質転換大腸菌のセロビオース培地での増殖能の結果を図5に示す。
図5は、blcまたはhdeDのC末端側にTfu0937のN末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクター(blc-Tfu0937、hdeD-Tfu0937)あるいはslpまたはblcのN末端側にTfu0937のC末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクター(Tfu0937-slp、Tfu0937-blc)を用いて形質転換した大腸菌BW25113(A)およびJCM20137(B)のセロビオース基質培地での増殖能を示すグラフである。PgsAのC末端側にTfu0937のN末端を融合した融合タンパク質を発現させるベクターで形質転換した大腸菌の結果もまた併せて示す。図5の(A)および(B)とも、縦軸は大腸菌数(OD値)、横軸は培養時間(時間)を示す。図5の(A)および(B)とも、白抜き三角はPgsA-Tfu、塗りつぶした丸はTfu-blc、塗りつぶした三角はTfu-slp、塗りつぶした菱形はblc-Tfu、×はhdeD-Tfuを発現ベクターとして用いた場合の結果を示す。
図5に示されるように、fu0937-blc形質転換大腸菌およびblc-Tfu0937形質転換大腸菌は、セロビオース培地での増殖能に優れていた。blcは、提示したいタンパク質をそのN末端、C末端のどちらにも融合できる。Tfu0937-slp形質転換大腸菌もまた、セロビオース培地での増殖能が良好であった。Slpもまた、提示したいタンパク質をそのN末端、C末端のどちらにも融合できる。
本発明によって、セロビオースを分解して増殖できる大腸菌の獲得に成功した。大腸菌の培養にバイオマスを利用できればバイオマスの糖化工程を省略でき、そして有用物質を生産するように組換え技術を利用した大腸菌を用いることで、バイオマスから直接有用物質を生産できるようになり、大幅なコストダウンにつながる。

Claims (3)

  1. 以下の(a)または(b)のタンパク質をコードする遺伝子を含むポリヌクレオチドを含み、該(a)または(b)のタンパク質を発現する大腸菌:
    (a)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加され、かつ90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつβグルコシダーゼ活性を有する、タンパク質。
  2. 以下の(a)または(b)のタンパク質をコードする遺伝子と、以下の(1)または(2)のタンパク質をコードする遺伝子とを含むポリヌクレオチドを含み、該(a)または(b)のタンパク質を表層提示する大腸菌:
    (a)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加され、かつ90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつβグルコシダーゼ活性を有する、タンパク質;
    (1)配列番号6、配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (2)配列番号6、配列番号8、配列番号10、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加され、かつ90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ該タンパク質に融合された該(a)または(b)のタンパク質を大腸菌の表層に提示できる、タンパク質。
  3. BW25113株またはJCM20137株である、請求項1または2に記載の大腸菌。
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