JP5843692B2 - 回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法 - Google Patents
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Description
また、空隙に面する電気鉄板(電磁鋼板)の歯部に周方向に走るスリットを形成して、渦電流損を低減した、高性能な電動機の積層鉄心が示されている(例えば、特許文献2)。
また別の積層鉄心では、空隙に面する電気鉄板の歯部に周方向に走るスリットを形成することで渦電流損は低減できるが、スリット形成により磁路が狭くなり、磁束が流れにくくなるため電動機の性能を充分に向上できないおそれがあった。さらに、小型電動機では、使用している電磁鋼板が薄いため、スリット形成には加工費が膨大となるという問題もあった。
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、価格の増大を招くことなく渦電流損を低減できる回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法を提供することを目的としている。
磁性を有し嵌合孔形成部が設けられた円板状の板材の前記嵌合孔形成部が回転軸に嵌合され積層された回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法であって、次の工程を有するものである。
・前記板材の前記嵌合孔形成部に突設部を形成する突設部形成工程。
・前記板材にその板厚方向に突出する突出部を形成する突出部形成工程。
・一の前記板材と別の前記板材とを前記一の板材の前記突設部に対して前記別の板材の前記突設部が異なる角度位置に位置するように角度位置をずらして積層する積層工程。
・積層された前記一の板材及び前記別の板材の前記嵌合孔形成部に前記回転軸を圧入し嵌合させ前記突設部の介在により前記板材を前記回転軸の径方向に変形させることにより隣接する前記板材の端部間に段差を形成するとともに前記突出部により前記板材の積層方向に間隙を確保する段差形成及び間隙確保工程。
磁性を有し嵌合孔形成部が設けられた円板状の板材の前記嵌合孔形成部が回転軸に嵌合され積層された回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法であって、次の工程を有するものである。
・前記回転軸に突設部を形成する回転軸突設部形成工程。
・前記板材にその板厚方向に突出する突出部を形成する突出部形成工程。
・一の前記板材の前記嵌合孔形成部と前記回転軸とを嵌合させ前記突設部の介在により前記板材を前記回転軸の径方向に変形させた後前記回転軸の軸方向の所定の位置に位置させる第1の嵌合工程と、別の前記板材の前記嵌合孔形成部と前記回転軸とを嵌合させ前記突設部の介在により前記別の板材を前記回転軸の径方向に変形させ変形させられた角度位置が前記一の板材が変形させられた角度方向と異なる角度位置に位置するようにして前記一の板材と隣接させて配置する第2の嵌合工程とにより前記板材を積層することにより、隣接する前記板材の端部間に段差を形成するとともに前記突出部により前記板材の積層方向に間隙を確保する段差形成及び間隙確保工程。
磁性を有し嵌合孔形成部が設けられた円板状の板材の前記嵌合孔形成部が回転軸に嵌合され積層された回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法であって、次の工程を有するものであるので、価格の増大を招くことなく渦電流損を低減できる回転電機の積層鉄心を得ることができる。
・前記板材の前記嵌合孔形成部に突設部を形成する突設部形成工程。
・前記板材にその板厚方向に突出する突出部を形成する突出部形成工程。
・一の前記板材と別の前記板材とを前記一の板材の前記突設部に対して前記別の板材の前記突設部が異なる角度位置に位置するように角度位置をずらして積層する積層工程。
・積層された前記一の板材及び前記別の板材の前記嵌合孔形成部に前記回転軸を圧入し嵌合させ前記突設部の介在により前記板材を前記回転軸の径方向に変形させることにより隣接する前記板材の端部間に段差を形成するとともに前記突出部により前記板材の積層方向に間隙を確保する段差形成及び間隙確保工程。
磁性を有し嵌合孔形成部が設けられた円板状の板材の前記嵌合孔形成部が回転軸に嵌合され積層された回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法であって、次の工程を有するものであるので、価格の増大を招くことなく渦電流損を低減できる回転電機の積層鉄心を得ることができる。
・前記回転軸に突設部を形成する回転軸突設部形成工程。
・前記板材にその板厚方向に突出する突出部を形成する突出部形成工程。
・一の前記板材の前記嵌合孔形成部と前記回転軸とを嵌合させ前記突設部の介在により前記板材を前記回転軸の径方向に変形させた後前記回転軸の軸方向の所定の位置に位置させる第1の嵌合工程と、別の前記板材の前記嵌合孔形成部と前記回転軸とを嵌合させ前記突設部の介在により前記別の板材を前記回転軸の径方向に変形させ変形させられた角度位置が前記一の板材が変形させられた角度方向と異なる角度位置に位置するようにして前記一の板材と隣接させて配置する第2の嵌合工程とにより前記板材を積層することにより、隣接する前記板材の端部間に段差を形成するとともに前記突出部により前記板材の積層方向に間隙を確保する段差形成及び間隙確保工程。
図1〜図7は、この発明を実施するための実施の形態1を示すものであり、図1は、本発明の実施の形態1である電動機の縦断面図、図2は図1における電動機の切断面A−Aにおける断面図である。図3は、電磁鋼板の平面図及び断面図、図4は回転子の構成図である。図5は、回転子の製造工程を説明するための説明図、図6は効果の説明のための従来の一般的な積層鉄心の要部の断面図である。図7は、本発明の実施の形態1である電磁鋼板の変形例を示す平面図である。これらの図において、回転電機としての電動機100は、いわゆるラジアルギャップ型のものであり、回転電機の固定子の積層鉄心としての固定子鉄心1と回転子10とを有する。固定子鉄心1は、詳細の図示を省略しているが電磁鋼板を複数枚積層して構成されている(詳細は、後の実施の形態で説明する)。固定子鉄心1は、固定子ティース2を有し、固定子ティース2には固定子巻線3が施されており、固定子鉄心1の外周部にフレーム4が設けられている。固定子鉄心1の内周部には、空隙(径方向ギャップ)を介して回転子10が配設されている。回転子10は、断面円形の回転軸としてのシャフト11とシャフト11に固着された回転電機の回転子の積層鉄心としての鉄心14とを有する。鉄心14も後述の電磁鋼板15(図3参照)を複数枚積層することで構成されている。鉄心14のスロットには、回転子巻線6(図2)が施されている。なお、鉄心14は、電磁鋼板15を予め必要枚数積層しておき、各嵌合孔形成部15gにシャフト11を順次圧入しシャフト11に締まり嵌めにて嵌合させて構成されている(詳細後述)。
本実施の形態1では、積層された電磁鋼板15,17の端部15c間の段差を電磁鋼板15あるい電磁鋼板17の嵌合孔形成部15g,17gにシャフト11を圧入するときにストレート部15eの介在による当該電磁鋼板の変形を利用して設けることができ、同時に電磁鋼板15間の間隙gも確保できるため、隣り合う電磁鋼板15の端部15c同士の接触防止、表面同士の接触防止、バリやダレの位置の重なりによる層間接触の低減が可能であるため、価格の増大を招くことなく渦電流損を低減できる回転電機の積層鉄心を得ることができる。また、価格の増大を招くことなく渦電流損を低減できる回転子の製造方法を提供することができる。
図8〜図11は、実施の形態2を示すものであり、図8は回転子の構成図、図9は図8のシャフトの要部拡大図、図10は図8のシャフトの製作工程を説明するための模式図、図11は電磁鋼板を積層する工程を説明するための説明図である。図8及び図9において、回転子30はシャフト31とシャフト31に嵌合された回転子の積層鉄心としての鉄心34を有する。シャフト31は図9に示すように突設部としてのナール31a,31bを有する。ナール31a,31bのシャフト31の径方向の突出寸法はそれぞれfで、軸方向の長さがhとされており、寸法hは電磁鋼板35(図8(b)、後述)の厚さよりも若干小さくされている。このような寸法のナール31a,31bが図8(a)及び図9(a)においてシャフト31の周方向に180度置きに電磁鋼板35の厚さをtとするときピッチ4tの弦巻線上に位置するようにして設けられている。
図12は、本発明の実施の形態3である電磁鋼板の構成図である。図12において、磁性を有する板材としての電磁鋼板45は、電磁鋼板45の中心C0に対して電磁鋼板45の中央部の円形の孔を形成する円形嵌合孔形成部としての嵌合孔形成部45gの中心C1を図12における左方へ寸法eだけ偏心させたものである。その他の構成については、図3に示した電磁鋼板15と同様のものであるので、相当するものに同じ符号を付して説明を省略する。このような電磁鋼板45を、図3の電磁鋼板15と同様にして約90度ピッチで回転させかつティース15bが重なるように位置決めしながら順次シャフト11に圧入して回転積層し固定して、鉄心が形成される。鉄心を構成する電磁鋼板45の嵌合孔形成部45gの中心C1を電磁鋼板45の中心C0と異なる位置に設けているため、シャフト11に圧入時に、電磁鋼板45はシャフト11にならい移動するため寸法eの段差が発生する。この場合は、電磁鋼板45をシャフト11に圧入するとき電磁鋼板45を図3の電磁鋼板15のように大きく塑性変形させる必要がないので、シャフト11に必要な強度で固着される程度の締まり嵌めで充分である。
図13は、本発明の実施の形態4である回転子の断面図である。図13において、回転子50は、シャフト11とシャフト11に固着された回転子の積層鉄心としての鉄心54を有する。鉄心54は、磁性を有する板材としての直径Dの電磁鋼板55と、同じく磁性を有する板材としての直径D+2eの電磁鋼板56とが交互に必要枚数積層され、その嵌合孔形成部55g,56g(後述)にシャフト11が圧入されて固定されている。電磁鋼板55,56は,同じ径の円形の嵌合孔を形成する円形嵌合孔形成部としての嵌合孔形成部55g,56gをそれぞれ有する。電磁鋼板55,56は,ティースの長さは上述のように寸法eだけ異なるが、スロットの底部を構成する根元の部分の寸法は同じ寸法にされている。また、電磁鋼板55は中央部に嵌合孔形成部55gが同心に設けられていること以外は、図3に示した電磁鋼板15と同様のものである。電磁鋼板55よりも径が2eだけ大ききい電磁鋼板56は、中央部に嵌合孔形成部56gが同心に設けられていること及びティースの長さが電磁鋼板15のティースの長さよりほぼ寸法eだけ長いこと以外は、図3に示した電磁鋼板15と同様のものである。この場合も、詳細は図示しないが、図3の電磁鋼板15に設けられたのと同様の第1突部〜第3突部により間隙が形成される。なお、電磁鋼板55と電磁鋼板56とを重ねたとき、それぞれに設けられた第1突部〜第3突部は重ならない位置に設けられている。
図14は、本発明の実施の形態5である固定子の電磁鋼板の平面図である。図14(a)において、磁性を有する板材としての電磁鋼板91は、円形の空間を形成するように上下方向に対向配置された突極部91a、この突極部91aを磁気的に連結する矩形状の連結部91bを有する。また、突極部91aの先端部に間隙確保部及び突出部としての第4突部91hが、連結部91bには第5突部91kがそれぞれ板厚方向に突出して設けられている。図14(b)において、電磁鋼板92は、円形の空間を形成するように上下方向に対向配置された突極部92a、この突極部92aを磁気的に連結する矩形状の連結部92bを有する。また、突極部92aの先端部に間隙確保部及び突出部としての第6突部92hが、連結部92bには第7突部92kがそれぞれ板厚方向に突出して設けられている。なお、電磁鋼板91と電磁鋼板92とを重ねたとき、第4突部91hと第6突部92hとは重ならず、第5突部91kと第7突部92kとは重ならない位置に設けられている。
また、電動機は、固定子鉄心1と回転子10の鉄心14が径方向に間隙を設けて対向するラジアルギャップ型のものについて説明したが、例えば本願の先行技術文献として記載した特開2010−273418号公報に示された固定子鉄心と回転子の鉄心とが回転子の軸方向に間隙を設けて対向するアキシャルギャップ型電動機であっても、同様の効果を奏する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、上述した各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変更、省略することが可能である。
15c 端部、15e ストレート部、15g 嵌合孔形成部、15h 第1突部、
17 電磁鋼板、17g 嵌合孔形成部、30 回転子、31 シャフト、
31a ナール、34 鉄心、35(351〜354) 電磁鋼板、
35g 嵌合孔形成部、45 電磁鋼板、45g 嵌合孔形成部、50 回転子、
54 鉄心、55,56 電磁鋼板、55g,56g 嵌合孔形成部、91 電磁鋼板、
91h 第4突部、92 電磁鋼板、92h 第6突部。
Claims (3)
- 磁性を有し嵌合孔形成部が設けられた円板状の板材の前記嵌合孔形成部が回転軸に嵌合され積層された回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法であって、次の工程を有する回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法。
・前記板材の前記嵌合孔形成部に突設部を形成する突設部形成工程。
・前記板材にその板厚方向に突出する突出部を形成する突出部形成工程。
・一の前記板材と別の前記板材とを前記一の板材の前記突設部に対して前記別の板材の前記突設部が異なる角度位置に位置するように角度位置をずらして積層する積層工程。
・積層された前記一の板材及び前記別の板材の前記嵌合孔形成部に前記回転軸を圧入し嵌合させ前記突設部の介在により前記板材を前記回転軸の径方向に変形させることにより隣接する前記板材の端部間に段差を形成するとともに前記突出部により前記板材の積層方向に間隙を確保する段差形成及び間隙確保工程。 - 磁性を有し嵌合孔形成部が設けられた円板状の板材の前記嵌合孔形成部が回転軸に嵌合され積層された回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法であって、次の工程を有する回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法。
・前記回転軸に突設部を形成する回転軸突設部形成工程。
・前記板材にその板厚方向に突出する突出部を形成する突出部形成工程。
・一の前記板材の前記嵌合孔形成部と前記回転軸とを嵌合させ前記突設部の介在により前記板材を前記回転軸の径方向に変形させた後前記回転軸の軸方向の所定の位置に位置させる第1の嵌合工程と、別の前記板材の前記嵌合孔形成部と前記回転軸とを嵌合させ前記突設部の介在により前記別の板材を前記回転軸の径方向に変形させ変形させられた角度位置が前記一の板材が変形させられた角度方向と異なる角度位置に位置するようにして前記一の板材と隣接させて配置する第2の嵌合工程とにより前記板材を積層することにより、隣接する前記板材の端部間に段差を形成するとともに前記突出部により前記板材の積層方向に間隙を確保する段差形成及び間隙確保工程。 - 前記突出部形成工程は、前記板材の先端部に前記突出部を形成する工程である
請求項1または請求項2に記載の回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法。
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