以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[画像形成システムの概要]
図3は、本発明の一実施の形態に係る中間搬送ユニットを備える画像形成システム10の全体構成図である。
画像形成システム10は、画像形成装置としての画像形成装置本体G、中間搬送ユニット(Relay Unit)RU、後処理装置(Finisher)Fを備える。画像形成装置本体Gは用紙に画像の印刷を行い、中間搬送ユニットRUを介して搬送される印刷後の用紙に対して、後処理装置Fが後処理を施す。
[画像形成装置本体G]
図3に示す画像形成装置本体Gは、画像読取部1と、画像処理部2と、画像書込部3と、画像形成部4と、給紙搬送手段5と、定着装置6と、を備えている。また、画像形成部4は、感光体ドラム4A、帯電手段4B、現像手段4C、転写手段4D、分離手段4E、クリーニング手段4F等から構成されている。図3における用紙の搬送方向は、右側から左側に流れる方向である。
給紙搬送手段5は給紙カセット5A、第1給紙手段5B、第2給紙手段5C、搬送手段5D、排紙手段5E、自動両面コピー給紙手段(ADU)5Fを備えている。
画像形成装置本体Gの上部前面側には、入力手段及び表示手段を有する操作表示部(タッチパネルなど)8が配置されている。画像形成装置本体Gの上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。
この画像形成装置本体Gの上流側(図3の右側)には、画像形成装置本体Gに用紙を供給可能な大容量給紙装置LTが連結されている。
また、画像形成装置本体Gの下流側(ここでは、左側面の排紙手段5E側)には、中間搬送ユニットRUが連結されている。なお、中間搬送ユニットRUの搬送方向下流側(図3における中間搬送ユニットRUの左側)には、後処理装置Fが連結されている。
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿は画像読取部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が読みとられる。読み取り後に光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2におけるアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等の処理後に、画像書込部3に送られる。この画像書込部3においては、半導体レーザからの出力光が画像形成部4の感光体ドラム4Aに照射され、潜像を形成する。画像形成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。
第1給紙手段5Bにより給送される用紙Sは転写手段4Dにより画像が用紙Sに転写される。画像を担持した用紙Sは、定着装置6により定着され、排紙手段5Eから中間搬送ユニットRUに送り込まれる。或いは、自動両面コピー給紙手段5Fに送り込まれた片面画像処理済みの用紙Sは再び画像形成部4において両面画像処理後、排紙手段5Eにより排出され、中間搬送ユニットRUに送り込まれる。
画像形成装置本体G内に配置された主制御部9Aの通信手段と、中間搬送ユニットRU内に配置された制御部9Bの通信手段とは、通信回線9Cにより接続され、入力信号、制御信号を授受する。
また、制御部9Bは、主制御部9Aとの信号の授受を介して、中間搬送ユニットRU内の各部の動作を制御する。この制御部9Bについての詳細は後述する。
なお、大容量給紙装置LTは、用紙積載手段7A、第1給紙手段7B等から成り、連続して大量の用紙Sを給送して画像形成装置本体Gに送り込む。
後処理装置Fは、中間搬送ユニットRUから排出される用紙Sを受けて、後処理を行う。この後処理としては、例えば、穴空け処理、綴じ処理、折り処理、糊付け製本処理等の少なくとも一つが挙げられる。また、後処理ユニットFは後処理を介さずに排紙できる搬送経路を備え、この搬送経路に中間搬送ユニットRUから搬入される用紙を通紙することにより、後処理を施さずに排紙することもできる。
[中間搬送ユニットRUの構成]
中間搬送ユニットRUは、画像形成装置本体Gの処理能力と後処理装置Fの処理能力との間に差がある場合に、システム全体としての効率が低下することがないように、用紙を画像形成装置本体Gから後処理装置Fに受け渡す搬送装置である。
この中間搬送ユニットRUは、画像形成装置本体Gと後処理装置Fの中間に設けられている。中間搬送ユニットRUは、画像形成装置本体Gにおいて印刷処理された用紙を一枚ずつ受け取り、そのまま後処理装置Fに搬送したり、印刷処理された用紙をスタック部12で集積し、集積した用紙を纏めて複数枚単位で後処理装置Fに搬送したりする。
図4〜図6は、本発明の実施の形態に係る中間搬送ユニットRUを示す。図4は搬送方向に直角な方向から見た中間搬送ユニットRUの要部構成を示す正面部分断面図、図5は図4のA−A線断面図、図6は図4に示す横整合部122の要部構成を示す図であり、横整合部122を上方から見た概略構成図である。
図4に示すように、中間搬送ユニットRUは、用紙搬入部11、用紙スタック部(以下、「スタック部」という)12、及び排紙部13、揺動ガイド板G5を備えている。
用紙搬入部11は、画像形成装置本体Gから排出された用紙Sを受け取ってスタック部12へと搬入する。具体的には、用紙搬入部11は、搬送ローラー対R1、R2、搬入駆動ローラーR3、一対のガイド部材120、切り替えゲート129及びガイド部材G1、G2を有する。一対のガイド部材120は、用紙Sを水平にガイドする固定のガイド部材であり、ガイド部材G1、G2は用紙を水平方向から下方の垂直方向へとガイドする固定のガイド部材である。
用紙搬入部11は、搬送ローラー対R1、R2、搬入駆動ローラーR3、一対のガイド部材120、及びガイド部材G1、G2により、画像形成装置本体Gから受け取った用紙Sを、スタック部12側に搬送(排出)する。
搬送ローラー対R1、R2は、モーターM1(図4、図7参照)の駆動により回転し、搬入駆動ローラーR3は、搬送ローラー対R2にベルト等により連結されて回転する。
一対のガイド部材120の途中には、切り替えゲート129が配設されている。この切り替えゲート129は、ソレノイドSOL2(図4、図7参照)により駆動されて、回転することによって、用紙Sを水平搬送するか、スタック部12に搬送するかを切り換える。
搬入駆動ローラーR3及び従動ローラーR4(詳細には、図5に示す従動ローラーR4b、R4c)は、ガイド部材G1、G2が形成する搬送路の下流端近傍に設けられ、揺動ガイド板G5は搬入駆動ローラーR3の更に下流側に設けられる。なお、ここで「下流」、「上流」の用語は用紙Sの搬送方向を基準として用いている。
搬入駆動ローラーR3及び従動ローラーR4から排紙されて落下する用紙Sは、揺動ガイド板G5によりガイドされてスタック部12に収納される。スタック部12に複数の用紙が収納されることで用紙は集積される。
揺動ガイド板G5は、2つの用紙ガイド部G5a、G5bを有する部材であり、用紙搬入部11とスタック部12との用紙搬送径路の合流点近傍に配設されている。また、揺動ガイド板G5は、ガイド板駆動部としてのソレノイドSOL1(図4、図7参照)により駆動され、軸Xを中心に揺動回転する。
スタック部12は、用紙搬入部11からの複数枚の用紙Sを受け取って収納でき、収納した複数枚の用紙Sを、搬送方向(表裏)を反転して排紙部13へと移動させる。
具体的には、スタック部12は、用紙Sをガイドする垂直方向に伸びる静止したガイド板としての互いに平行な一対の用紙保持板121と、用紙Sを幅方向に整合する横整合部122と、用紙Sを収納して移動する用紙ストッパー123とを有する。
用紙搬入部11から搬入された用紙Sは、用紙ストッパー123によりその用紙搬入方向先端が停止され、用紙保持板121により垂直方向に直立した状態で保持される。
横整合部122は、幅方向に用紙Sを整合する手段であり、周知のように、スタック部12の用紙保持板121間に位置する用紙Sを幅方向に挟んで、モーターM4(図6、図7参照)の駆動で往復移動することにより用紙Sを整合する。横整合は、用紙Sを用紙の幅方向で整合して、幅方向における正規位置に位置させる。この正規位置は、整合後の用紙Sが、用紙ストッパー123、搬出駆動ローラー(レジストローラー)R5及び従動ローラーR4で搬送される際に、スキューすることなく搬送される位置である。
図6に示すように横整合部122は、左右一対のCD(Cross Direction)整合板122A、モーターM4、ベルト127、及びピン128A、128B等からなる。左右一対のCD整合板122Aは、モーターM4によって回動されるベルト127に係止されたピン128A、128Bに係合して用紙幅方向に移動し、用紙Sの幅方向の整合を行う。
このようにスタック部12の用紙保持板121に配置される用紙Sは、用紙搬送手段の用紙ストッパー123によって、上下方向に移動自在となっている。
用紙ストッパー123は、モーターM3、ベルト125、及びガイド棒126とともに、用紙搬送手段を構成する。これらモーターM3、ベルト125、及びガイド棒126によって用紙ストッパー123は上下に移動自在である。この用紙ストッパー123の上下方向の移動により用紙Sは、下方から押し上げられて、用紙保持板121間を上下方向に移動する。
具体的には、用紙ストッパー123は、ベルト125に連結されるとともに、垂直なガイド棒126によりガイドされた状態で設けられている。用紙ストッパー123は、モーターM3(図4、図7参照)により駆動されるベルト125の回転に伴って上下方向に移動する。なお、モーターM3は、ステッピングモータであり、用紙ストッパー123は、モーターM3により設定された速度で、設定された移動量で移動して所定位置で停止可能である。
また、用紙ストッパー123は後に説明するように用紙搬送工程において初期停止位置P0から第1停止位置P1又は第2停止位置(整合位置)P2に移動するとともに、用紙サイズに応じてそれぞれの停止位置が変更可能に設定されている。
この用紙ストッパー123は、スタック部12(詳細には用紙保持板121間)内に収納される用紙Sを受けて、下方から上方に押し上げる。この用紙ストッパー123は、排紙部13の排出駆動ローラーR5と従動ローラーR4(詳細には、図5に示す従動ローラーR4a、R4d)とともに、用紙の搬送方向の整合、つまり、縦整合(Feed Direction整合)を行う。縦整合は、用紙Sを搬送方向で整合して、搬送方向における正規位置に位置させる。この正規位置は、整合後の用紙Sが、用紙ストッパー123、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4で搬送される際に、スキューすることなく搬送される位置である。
排紙部13は、スタック部12に収納された用紙Sを搬出する部分である。この排紙部13は、水平方向のガイド部材である一対のガイド部材120と、用紙Sを垂直方向から水平方向へとガイドする、分岐ガイド部としてのガイド部材G3、及びG4と、縦整合部としての搬出駆動ローラーR5と、搬送ローラー対R6、R7とを有する。
従動ローラーR4は、搬出駆動ローラーR5に接触して従動回転する。搬出駆動ローラーR5は、搬出ローラー駆動部としてのモーターM2に連結されて駆動回転される。縦整合機能を有する用紙搬出ローラー対としての搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4は、用紙Sを挟持してスタック部12からスイッチバックした状態で搬出する。なお、搬出駆動ローラーR5は、従動ローラーR4よりも摩擦係数μが高く、その他、搬出駆動ローラー対R1、R2の一方のローラー、搬入駆動ローラーR3はそれぞれニップ部を形成する対となるローラーよりも摩擦係数μが大きい。
図5に示すように、従動ローラーR4は、ここでは、4個の従動ローラーR4a、R4b、R4c、R4dで構成されている。
これら従動ローラーR4において、幅方向(用紙搬送方向に直角な方向、以下同じ)の中心部にある従動ローラーR4b、R4cは、搬入駆動ローラーR3に接触する。また、従動ローラーR4b、R4cの両端部にある従動ローラーR4a、R4dは、搬出駆動ローラーR5に接触してそれぞれ従動回転する。中心部にある従動ローラーR4b、R4cと、両端部にある従動ローラーR4a、R4dとは独立して回転しうるように構成されている。
図7は、中間搬送ユニットRUの制御系の要部構成を示すブロック図である。
中間搬送ユニットRUは、主制御部9Aに接続される制御部9Bを有し、この制御部9Bには、記憶部91、モーターM1〜M4、センサーSE、ソレノイドSOL1、SOL2が接続されている。
制御部9Bは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して中間搬送ユニットRUの各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部91に格納されている各種データが参照される。記憶部91は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。この記憶部91は、揺動ガイド板G5、切り替えゲート129、用紙ストッパー123、用紙搬入部11の搬送制御及び横整合部122の駆動制御などに用いられる制御テーブルを記憶する。
具体的には、制御部9Bは、画像形成装置本体Gに設けられた主制御部9Aからの情報及び用紙搬入部11に設けられたセンサーSEの用紙検知信号に基づいて、モーターM1〜M4、ソレノイドSOL1、2を駆動する。
これらモーターM1〜M4、ソレノイドSOL1、2の起動タイミングは、センサーSEの用紙検知信号に基づいて決定される。
すなわち、制御部9Bは、主制御部9Aを介して画像形成装置本体Gから送信されたジョブ情報を解析し、用紙の搬送条件を読み出す。そして、制御部9Bは、読み出した搬送条件に従って、モーターM1〜M4、ソレノイドSOL1、2を駆動制御して、画像形成装置本体Gから搬入された用紙の搬送を行う。
制御部9Bは、モーターM1を駆動制御して、ローラーR1〜R3(搬送ローラー対R1、R2及び搬入駆動ローラーR3)を回転駆動して用紙を搬送する。なお、これら搬送ローラーR1〜R3は、用搬送時において、モーターM1の駆動により連続回転する。また、モーターM1を用いて、搬送ローラー対R6、R7も同様に回転駆動制御してよい。
また、制御部9Bは、モーターM2を駆動制御して正回転することで、搬出駆動ローラーR5を正回転させて用紙を搬送方向に搬送する。制御部9Bは、モーターM3を駆動制御して正逆回転することで、用紙ストッパー123をスタック部12の上下方向で移動させる。ここでは、モーターM3の正回転により用紙ストッパー123は上昇し、モーターM3の逆回転により用紙ストッパー123は下降する。
特に、制御部9Bは、モーターM2を介して搬出駆動ローラーR5を逆回転させつつ、モーターM3を介して用紙ストッパー123を上昇させて整合位置で停止させることで、用紙の搬送方向の整合(縦整合)を行う。
さらに、制御部9Bは、ソレノイドSOL1、SOL2を駆動制御して、揺動ガイド板G5、切り替えゲート129を駆動して、用紙搬送路における位置を変更する。
特に、用紙の搬送方向の整合、つまり、縦整合を行う際には、制御部9Bは、記憶部91に格納された整合制御テーブル(図15参照)を用いて、搬出駆動ローラーR5を逆回転駆動させるとともに、用紙ストッパー123を上方に移動させる。
このように制御部9Bにより各部が駆動制御することで、画像形成装置本体Gからの搬入される用紙は、そのまま、直進させて後処理装置Fに搬送されたり、スタック部12(図3参照)で複数枚を集積した後で後処理装置Fに搬送されたりする。
〔中間搬送ユニットRUの動作〕
次に、図8〜図20を用いて、中間搬送ユニットRUの動作を説明する。
図8〜図12は中間搬送ユニットRUの正面断面図である。
図8は、中間搬送ユニットRUへの用紙搬入段階を示す。図8に示すように、画像形成装置本体Gから排出された1枚目の用紙(先行する用紙)S1は、搬送ローラー対R1、R2により用紙搬入部11を水平に搬送され、用紙S1はセンサーSEにより検知される。
この図8では、搬送ローラー対R1、R2及び搬入駆動ローラーR3はモーターM1により駆動されて回転し、搬入駆動ローラーR3は従動ローラーR4との接触により、用紙S1を挟持して搬送する。1枚目の用紙S1が用紙搬入部11からスタック部12へと搬送される過程では用紙S1はガイド部材G1、G2、揺動ガイド板G5、及び用紙保持板121にガイドされる。揺動ガイド板G5は、反時計方向に回転された状態であり、搬入駆動ローラーR3から搬入される用紙Sを用紙ガイド部G5aで受け、スタック部12へとガイドする。
図8に示す用紙搬入の結果、図9に示すように、1枚目の用紙S1は、用紙搬入方向先端が用紙ストッパー123の突き当て停止面であるFD整合板123Aに突き当たって停止する。このとき用紙ストッパー123は、モーターM3(図7参照)を介して、初期停止位置P0に位置されている。
次に、モーターM3が正回転駆動し、用紙ストッパー123は、ベルト125を介して上方に移動され、図10に示す第1停止位置P1に停止する。用紙ストッパー123の上昇時には、揺動ガイド板G5は、ソレノイドSOL1の駆動により時計方向に揺動回転して、図10に示す位置に位置している。なお、スタック部12においては、用紙S1が反転されるため、用紙搬出方向先端は用紙搬入方向後端と同一である。
このように揺動ガイド板G5が時計方向に回転され、揺動ガイド板G5の下端がガイド部材G4の壁面に近接すると、用紙S1は揺動ガイド板G5にガイドされ、ガイド部材G4の壁面に沿って搬送されるようになる。この揺動ガイド板G5の揺動により、用紙S1の搬出方向先端が、ガイド部材G4の壁面に沿うようにガイドされる。これにより、ガイド部材G3の下端部に突き当たる等によりガイド部材G3から外れてしまうような搬送不良が防止される。
また、用紙ストッパー123が第1停止位置P1に達したとき、用紙S1の搬出方向先端はガイド部材G2の下端より上方に位置している。これにより、後続の2枚目の用紙S2がガイド部材G1、G2から搬入されても、1枚目の用紙S1と2枚目の用紙S2との先端同士は干渉せず、2枚目の用紙が1枚目の用紙S1の搬出側に入り込むことが無い。
次いで、図11に示すように、2枚目の用紙(後続する用紙)S2がローラー対R2及び搬入駆動ローラーR3と従動ローラーR4とにより挟持され、ガイド部材G1、G2にガイドされて搬送される。2枚目の用紙S2は、先端が1枚目の用紙S1の先端と干渉することなく、1枚目の用紙S1の搬送ローラーR3側を進み、用紙ストッパー123のFD整合板123Aに向けて搬送され、用紙S1、S2が重なった状態で用紙ストッパー123に収納される。
次いで、モーターM3の逆回転により用紙ストッパー123が下降し、搬入される用紙S2を受ける初期停止位置P0の位置に移動して、図12に示すように、用紙ストッパー123により、初期位置で、2枚の用紙S1、S2が保持される。
次いで、モーターM3を駆動して用紙ストッパー123が上昇する。
そして、搬送ローラーR5が逆回転するとともに、用紙ストッパー123が所定の位置で停止することによって用紙の縦整合を行う。また、用紙の横整合も行い、その後、中間搬送ユニットRUでは、用紙を排紙する。
用紙の縦整合は、制御部9Bにより、搬出駆動ローラーR5を逆回転させつつ、用紙ストッパー123を上昇させて用紙を上に押し上げる。そして、逆回転する搬出駆動ローラーR5の中心位置、つまり、搬出駆動ローラーR5と従動ローラーR4とのニップ位置から所定の隙間H(図13参照)を空けた位置に用紙を位置させて停止する。この位置で、逆回転する搬出駆動ローラーR5によって、用紙SS(ここでは用紙S1、S2の用紙束)を、用紙ストッパー123のFD整合板123Aに突き当てて整合する。これにより、用紙がスキューしている場合、そのスキューが補正された状態で、用紙ストッパー123に保持される。
すなわち、制御部9Bは、モーターM2を介して搬出駆動ローラーR5を逆回転させつつ、モーターM3を介して用紙ストッパー123を上昇させて整合位置で停止させる。
この整合位置は、整合後の用紙の用紙搬出方向先端部が搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーの一方に一箇所(一点)以下、つまり、一箇所で接触する若しくは双方に接触しないような間隔の隙間H(図13参照)を形成する停止位置である。加えて、この整合位置は、停止した際の慣性力により搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4(搬送ローラー)側に飛び出す用紙の用紙搬出方向先端部が、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4に2箇所(二点)で接触するような間隔の隙間H(図13参照)を形成する位置である。
これにより、搬出駆動ローラーR5の逆回転によって用紙Sは、用紙ストッパー123側に移動して、用紙ストッパー123に突き当てられて、用紙の搬送方向の整合(縦整合)が行われる。
図13は、中間搬送ユニットRUにおける縦整合動作を説明するための模式図である。
図13に示すように、用紙ストッパー123(詳細には用紙ストッパー123のFD整合板123A)の第2停止位置(整合位置)P2は、搬出駆動ローラーR5の中心位置Nと、用紙SSの先端との間に隙間Hが形成される位置である。
すなわち、縦整合の際に、用紙ストッパー123のFD整合板123Aと、搬出駆動ローラーR5との長さを、移動する用紙SSの用紙長よりも長く設定し、搬出駆動ローラーR5が逆回転してFD整合板123Aに突き当てるときの隙間Hを形成する。
縦整合時の隙間Hを形成する用紙ストッパー123(詳細にはFD整合板123A)の第2停止位置〔整合位置〕P2は、用紙SSと、搬出駆動ローラーR5との位置関係を、図14或いは図15に示す位置関係となるように設定される。
まず、用紙ストッパー123の停止位置(整合位置P2)は、図14に示すように、整合時において、用紙ストッパー123が支持する用紙SSの先端と、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4とが隙間Hによっての用紙搬出方向先端部の一箇所で当接する位置(条件1)とする。若しくは、図15に示すように、整合時において、用紙ストッパー123が支持する用紙SSの先端と、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4とが隙間Hによって当接しない位置(条件2)とする。これらの停止位置(整合位置)は、用紙ストッパー123が停止して、慣性力により用紙が飛び出した際に、用紙の搬出方向先端部(用紙の先端辺)の2箇所で、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4に接触する間隔(隙間H)を形成する位置(条件3)である。
これにより、図16で示すような、用紙ストッパー123(123A)で用紙を移動して搬出駆動ローラー対R5、R4に突き当てることで縦整合を行う従来の縦整合手段とした構成と異なる。すなわち、本実施の形態では、用紙ストッパー123(123A)上の用紙が、逆回転する搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4の双方に接触(2点で接触)する(図16参照)ことがなく、これによる用紙ずれが発生しにくい。
また、慣性力により用紙ストッパー123から飛び出した用紙が、その先端辺の2箇所で搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4に接触する場合、搬出駆動ローラーR5の逆回転によって、スキュー補正を行うことができる。
隙間Hが形成されることによって、搬出駆動ローラーR5が逆回転しても、隙間Hが無い場合と比較して、用紙を下方に押圧することがなく、FD整合板123Aに突き当たった状態の用紙にストレスを掛けることがない。これにより、用紙のズレによるスキューを防止できる。なお、中心位置Nは、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4によるニップ位置に相当する。
また、この整合位置(第2停止位置)P2は、制御部9Bにより、用紙の厚みに対応して変更され、整合時に適正な隙間Hを形成される。この隙間Hは、上記条件1と3、或いは条件2と3のいずれかを満たす位置により形成される隙間である。また、整合位置P2は、用紙の種類、サイズ、向き、目に対応して、上記条件1と3、或いは条件2と3のいずれかを満たす位置である。なお、用紙では、種類に応じて、坪量、剛性、想定される摩擦力が異なる。
図17は、本発明の一実施の形態に係る中間搬送ユニットにおいて縦整合を行う際の制御フロー図であり、図18は、本発明の一実施の形態に係る中間搬送ユニットにおける縦整合動作を示す模式図である。なお、図18では、2枚の用紙S1、S2の用紙束を、便宜上、「用紙SS」を用いて説明する。
図17に示すように、ステップS11において、制御部9Bは、用紙ストッパー123の移動量及び用紙ストッパー123の移動速度を設定する。ここでは、制御部9Bは、記憶部91の制御テーブルを用いて、用紙ストッパー123(詳細には用紙ストッパー123のFD整合板123A)の移動量及び用紙ストッパー123の移動速度を設定する。
図19に、記憶部91に格納される整合制御テーブル95の一例を示し、用紙SS毎に対応して、それぞれ用紙ストッパー123の「移動速度Vmm/s」及び「移動量Wmm」が設定条件として設定されている。なお、用紙は、「種類」、「サイズ」、「向き」、「目(繊維配列)」等に応じてそれぞれ、異なっている。例えば、用紙の「サイズ」、「向き」の一例として、A3縦のFD長は420mm、サイズA4縦のFD長は297mm、サイズA4横のFD長は210mmとなる。なお、図19に示す紙の「目」は、タテ目を「T目」、ヨコ目を「Y目」で示している。これら用紙毎に対応した移動速度V及び移動量Wは、用紙ストッパー123が初期位置P0から整合時停止位置まで移動する速度、移動量である。これらの設定に対応して、「用紙とローラー中心間(用紙の先端と搬出駆動ローラーR5の中心との間の長さ)mm」の長さ、つまり、整合時における用紙ストッパー123の停止位置が設定される。また、これら整合制御テーブル95において、用紙の種類毎に対応して用紙ストッパー123の「移動速度Vmm/s」と、移動加速度amm/sとを対応させてもよい。制御部9Bは、縦整合を行う際に、用紙に対応した設定条件に基づいて、モーターM3を駆動して用紙ストッパー123を移動する。
なお、用紙に応じた用紙ストッパー123の「移動速度V」及び「移動量W」、「用紙とローラー中心間」は、用紙ストッパー123の初期位置P0から搬出駆動ローラーR5の中心位置(つまり、ニップ位置)までの長さ(例えば530mm)を用いて設定される。
このように、図19に示す整合制御テーブル95を用いて、制御部9Bは、用紙の種類、サイズ、向き、目に対応した移動速度V、移動量Wを設定して、ステップS12に移行する。
ステップS12では、制御部9Bは、モーターM3を駆動して、用紙ストッパー123(詳細には、FD整合板123A)を設定した移動速度V、移動量Wで上昇させる(図18A参照)。つまり、図18Aに示すように、用紙SSを移動速度V、移動量Wで矢印方向に上昇させる。
ステップS13では、制御部9Bは、モーターM2を駆動(逆回転駆動)して、搬出駆動ローラーR5を逆回転(図18B参照)させて、ステップS14に移行する。すなわち、用紙整合前に、搬出駆動ローラーR5は逆回転する。
ステップS14では、制御部9Bは、モーターM3を駆動して、設定した移動量Wとなる整合位置(所謂、第2停止位置P2)で、用紙ストッパー123(詳細にはFD整合板123A)を停止させる(図18C参照)。
すなわち、用紙ストッパー123は、用紙SSを、搬出駆動ローラーR5の手前まで押し上げて停止する。このとき、移動する用紙ストッパー123が停止した際に、慣性力により、用紙ストッパー123により押し上げられた用紙SSは移動方向に飛び出て、その用紙搬出方向先端部で搬出駆動ローラーR5と従動ローラーR4に2箇所で接触する。図18Cでは、部分Jで示すように、慣性力により用紙ストッパー123から上方に飛び出した用紙SS(詳細には用紙の搬送方向先端部)が、搬出駆動ローラーR5と従動ローラーR4とに用紙の厚み方向で離間する2箇所(2点)で接触している。
ステップS15では、逆回転している搬出駆動ローラーR5によって、用紙SSが用紙ストッパー123に突き当てられて整合される(図18D参照)。すなわち、図18Dに示すように、搬出駆動ローラーR5の逆回転D2によって、用紙SSをFD整合板123A側に戻して、用紙ストッパー123に接触する用紙の後端で整合を行う。このとき、図18Dにおける部分Kで示すように、用紙の先端側は搬出駆動ローラーR5(若しくは搬出駆動ローラーR5と従動ローラーR4)と一箇所で接する若しくは、離間する。これにより、用紙SSのずれ(ばたつき)は起こらない。このように、用紙の後端も揃えられるとともに、用紙SSの傾き(スキュー)も矯正される。なお、このとき、3枚目の用紙S3(図20参照)のローラー対R1による搬入と、モーターM4の駆動を介して横整合部122による用紙SS(S1、S2)の幅方向の整合とが行われる。
ステップS16では、制御部9Bは、モーターM2を介して、搬出駆動ローラーR5の逆回転を停止して、用紙SSの縦整合を終了する(図18E参照)。
ステップS17では、制御部9Bは、モーターM3を駆動して、用紙ストッパー123を上昇させることで、用紙SSを押し上げつつ、モーターM2を駆動(正回転駆動)して、搬出駆動ローラーR5を正回転(矢印D1方向)させる。これにより搬出駆動ローラーR5は従動ローラーR4とともに、ニップ部によるニップ位置で用紙SSを挟持して、搬送方向下流側(矢印D4方向)に搬送する(図18F参照)。
このように搬出駆動ローラーR5を正回転して、用紙を下流側に搬送する際には、制御部9Bの駆動制御によって、搬出駆動ローラーR5は、従動ローラーR4とともに、用紙S1、S2の用紙SSをニップして、排紙部13のガイド部材120に向けて搬送する。
搬入駆動ローラーR3と従動ローラーR4とが回転された後、図20に示すように、制御部9Bにより、モーターM3が作動して用紙ストッパー123を下降させ、用紙ストッパー123を初期停止位置P0に移動させる。用紙ストッパー123の下降に伴い、搬送ローラー対R2が回転され、第3の用紙S3が、ガイド部材G1、G2の間を経て、初期停止位置P0に移動する用紙ストッパー123に向けて搬送される。
図8〜図12、図20に示す状態が繰り返され、用紙Sが中間搬送ユニットRUに対して、1枚ずつ搬入され、2枚ずつ排出される、という連続搬送が行われる。
本実施の形態によれば、中間搬送ユニットRUは、1枚又は複数枚の用紙を収納するスタック部12を有する。このスタック部12の上方で搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4が正逆回転駆動自在に配置されている。搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4は、正回転することで、スタック部12に収納された1枚又は複数枚の用紙を用紙搬出方向下流側に搬送する。用紙ストッパー123は、スタック部12に収納された1枚又は複数枚の用紙を下方から上方に押し上げる。用紙ストッパー123は、用紙の用紙搬出方向先端部と、逆回転する搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4のニップ部との間に隙間H(図13参照)が形成される整合位置P2で停止する。この停止位置で用紙ストッパー123は、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4とともに用紙を搬送方向で整合する。この用紙ストッパー123は、整合後の用紙の用紙搬出方向先端部が搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4の一方に一箇所以下で接触するような間隔の隙間H(図13参照)を形成する整合位置P2で停止する。この整合位置P2は、停止した際の慣性力により搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4側に飛び出す用紙が搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4に2箇所で接触するような間隔の隙間H(図13参照)を形成する位置でもある。この位置で停止して、逆回転する搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4とともに用紙の搬送方向の整合、つまり、縦整合を行う。
よって、縦整合中に、用紙が正規位置に揃った状態では、用紙ストッパー123上の用紙は、隙間Hにより、ニップ部から離れた状態になる。具体的には、用紙は、隙間Hにより、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4の一方に、用紙搬出方向先端部の一箇所で接触した状態、若しくは、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4と接触していない状態となる。また、隙間Hは、停止した際の慣性力により用紙が飛び出した際に、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4に用紙の用紙搬出方向先端部における2箇所で接触するような間隔の隙間である。このため、搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4の逆回転により整合されても、用紙が正規位置からずれることが無い。
これにより、断裁が悪く多少バリがある用紙が搬入される場合でも、生産性を確保しつつ安定した整合性を確保できる。なお、用紙ストッパー123は、用紙の紙種、サイズ、向き、紙の目方向の少なくとも一つに対応した整合位置P2で停止する。また、用紙ストッパー123の移動速度は、用紙の紙種、サイズ、向き、紙の目方向の少なくとも一つに対応して設定されてもよい。さらに、用紙ストッパー123の移動速度及び加速度は、用紙の紙種、サイズ、向き、紙の目方向の少なくとも一つに対応して設定されてもよい。これらにより、用紙に応じて、停止位置が変更され、断裁の悪い用紙が搬入される場合でも、生産性を確保しつつ安定した整合性を確保できる。すなわち、用紙の種類(坪量、こし,摩擦力)によっては、用紙ストッパー123の押し上げる力に対して用紙の搬出駆動ローラーR5及び従動ローラーR4側への飛び出し量が異なることになる。しかしながら、用紙毎に対応して用紙ストッパー123の移動速度、移動量などが設定されることで、生産性を確保しつつ安定した整合性を確保することができる。
本実施の形態では、用紙S1、S2の2枚に対して搬送方向の整合、つまり、縦整合する場合を説明したが、これに限らない。例えば、一枚の用紙を用紙ストッパー123で押し上げて、逆回転する搬出駆動ローラーR5から適正な隙間H(図14及び図15参照)を空けた位置に用紙を位置させて、用紙の縦整合を行ってもよい。
なお、本実施の形態ではスタック部12に収納される用紙Sの枚数を2枚としたが、1枚或いは3枚以上をスタック部12に収容した後に、排出することも勿論可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。