以下、本発明の実施形態を図1〜図10を用いて説明する。以下の説明では、画像読取装置10を含む複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の構成)
まず、図1を用いて、実施形態に係る複合機100の概要を説明する。図1は、複合機100を示す図である。
本実施形態の複合機100には、上部に原稿搬送部1と画像読取部2を含む画像読取装置10が設けられる(詳細は後述)。又、複合機100の正面上方(図1に破線で示す位置)に、原稿Dの読み取りやコピーや送信等の各種設定を受け付け、複合機100の状態を表示する操作パネル3(操作部に相当)が設けられる。又、複合機100本体に、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、定着部5b等が設けられる。
又、図1に破線で示すように、複合機100の正面上方に(画像読取部2の前面に)、操作パネル3が設けられる。そして、操作パネル3は、タッチパネル部31や表示部32を含む。表示部32は、液晶表示パネルのような表示を行うパネルである。タッチパネル部31によるタッチ位置と、タッチ位置に表示された設定用キーやボタンが、操作パネル3で認識される。又、操作パネル3には、数字等の入力用のテンキー部33や、ジョブの実行開始を指示するスタートキー34等のハードキーも設けられる。このように、操作パネル3は、ソフトキーやハードキーで、通常モードと静音モードの選択や倍率設定のようなジョブの設定入力を受け付ける。
そして、複合機100の下方に、給紙部4aが設けられる。給紙部4aは、印刷に用いる用紙を収容する。給紙部4aは、印刷の時、用紙を1枚ずつ送り出す。給紙部4aのうち用紙を収容する部分をカセット41として取り外すことができる。又、給紙部4aは、最上位の用紙と接し、用紙を送り出して給紙する給紙ローラー42を含む。尚、用紙収容能力を高めるため、別の給紙部4aを更に下方に積み重ねることができる(例えば、3〜4段程度)。
次に、搬送部4bは、複合機100内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送部4bは、用紙搬送時に回転駆動する搬送ローラー対43や、搬送される用紙を画像形成部5aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を画像形成部5aに送り出すレジストローラー対44を含む。
画像形成部5aは、画像データに基づき、給紙部4aから送り出された用紙に、画像(トナー像)を形成し、トナー像を転写する。尚、画像データには、画像読取部2で取得された原稿Dの画像データや、複合機100に接続されるコンピューター200(図3参照)からの送信画像データが利用される。
画像形成部5aは、回転駆動可能に支持された感光体ドラム51や、その周囲に配設された帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55、クリーニング装置56を含む。感光体ドラム51は、所定方向に回転駆動する。そして、帯電装置52は、感光体ドラム51を所定電位に帯電させる。露光装置53は、画像データに基づき、レーザ光を出力し、帯電後の感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置54は、感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。
転写ローラー55は、感光体ドラム51に圧接し、ニップを形成する。そして、レジストローラー対44は、トナー像のニップへの到達にあわせ、用紙をニップに進入させる。用紙とトナー像のニップ進入時、転写ローラー55には、所定電圧が印加される。これにより、感光体ドラム51上のトナー像が用紙に転写される。クリーニング装置56は、転写後に感光体ドラム51に残留するトナーや汚れ等を除去する。
定着部5bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部5bは、発熱体を内蔵する加熱ローラー57と加圧ローラー58を含む。加圧ローラー58は、加熱ローラー57に圧接し定着ニップを形成する。そして、トナー像が転写された用紙が定着ニップを通過すると、トナーが溶融・加熱される。その結果、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ45に排出される。
(画像読取装置10の構成)
次に、図2を用いて、実施形態に係る画像読取装置10の一例を説明する。図2は、画像読取装置10を示す図である。
まず、原稿搬送部1は、読み取りを行う原稿Dを1枚ずつ、自動的に連続して読み取り位置(後述の搬送読取用コンタクトガラス21a)に搬送する。原稿搬送部1は、原稿搬送方向上流側から順に、原稿トレイ11、原稿供給ローラー12(原稿搬送用回転体に相当)、原稿搬送路13、複数の原稿搬送ローラー対14(原稿搬送用回転体に相当)、原稿排出ローラー対15(原稿搬送用回転体に相当)、原稿排出トレイ16を含む。又、原稿搬送部1は、画像読取部2に対して、図2の紙面奥側を支点として手前側が上下方向に開閉自在に取り付けられる。これにより、原稿搬送部1は、画像読取部2の各コンタクトガラスを上方から押さえるカバーとして機能する。
読み取りを行う複数枚の原稿Dは、原稿トレイ11に載置される。原稿トレイ11には、幅方向(主走査方向、図2の紙面に垂直な方向)でスライドし、原稿Dを挟んで規制する規制ガイド11aが設けられる。使用者は、原稿Dを載置した後、原稿Dがずれたり傾いたりしないように規制ガイド11aをスライドさせる。
そして、原稿供給ローラー12は、原稿トレイ11に載置された原稿Dのうち最上位の原稿Dに当接する。例えば、スタートキー34が押されたときなど、原稿読取を行う旨の入力が複合機100に入力されると、原稿供給ローラー12は、回転と停止を繰り返し、一定の紙間を設けつつ原稿搬送路13に原稿Dを1枚ずつ送り出す。
送り出された原稿Dは、複数の原稿搬送ローラー対14やガイドに導かれて搬送され、画像読取部2の上面に設けられた搬送読取用コンタクトガラス21aの上面を通過する。この通過の際、画像読取部2が読取を行う。そして、読取が完了した原稿Dは、原稿排出ローラー対15から原稿排出トレイ16に排出される(原稿搬送経路を2点鎖線で図示)。尚、上記の各回転体(原稿供給ローラー12、原稿搬送ローラー対14、原稿排出ローラー対15)は、第1ステッピングモーター81(図4参照)を駆動源として回転する。
次に、画像読取部2を説明する。図1や図2に示すように、画像読取部2は、箱形の筐体を有する。そして、画像読取部2の上面左側に、主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)を長手方向として、透明板状の搬送読取用コンタクトガラス21aが配される。そして、画像読取部2の上面右側に透明板状の載置読取用コンタクトガラス21bが配される。原稿搬送部1を持ち上げ、読取面を下向きにして、原稿D(例えば、書籍)を載置読取用コンタクトガラス21bに載置することもできる。
又、図2に示すように、画像読取部2の筐体内に、第1移動枠221、第2移動枠222、ワイヤー23、巻取ドラム24、レンズ25と、原稿Dに光を照射する光源部26と、原稿Dに照射された光が入射され、1ライン毎に原稿Dを読み取り、画像データを生成するためのイメージセンサー27等が配される。光源部26は、主走査方向にわたり光を照射するランプ(例えば、LEDや冷陰極管)を含む。イメージセンサー27は、主走査向でライン状に光電変換素子を並べたCCD(Charge Coupled Device)で構成され、原稿Dの反射光を元に、1ライン毎に原稿Dを読み取る(CIS方式のイメージセンサー27でもよい)。イメージセンサー27は、複数の受光素子をR、G、Bの3つのライン状に並べたラインセンサーであり、カラーでの読み取りに対応している。
光源部26から発せられた光は、搬送読取用コンタクトガラス21a上の原稿Dに当たる。第1ミラー281、第2ミラー282、第3ミラー283は、原稿Dの反射光をレンズ25に導く。レンズ25は、反射光を集光し、イメージセンサー27に入射する。このように、第1ミラー281、第2ミラー282、第3ミラー283、レンズ25は、イメージセンサー27に原稿Dの反射光を導く光学系部材である。そして、イメージセンサー27は、反射光を画像濃度に応じたアナログの電気信号に変換する。この原稿Dの主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向)にライン単位で読取が行われ、ライン単位の読取を副走査方向(原稿搬送方向)に連続して繰り返し行って、1枚の原稿Dが読み取られる。
そして、第1移動枠221は、上方に光を照射する光源部26を、下方に第1ミラー281を支持する。第2移動枠222は、上方に第2ミラー282を、下方で第3ミラー283を支持する。又、第1移動枠221は、第2移動枠222の上方に配される。又、この第1移動枠221及び第2移動枠222には、複数本のワイヤー23が取り付けられる(図2では、便宜上1本のみ図示)。ワイヤー23の他端は、巻取ドラム24に接続される。巻取ドラム24は、第2ステッピングモーター82(図4参照)を駆動源として正逆回転する。これにより、第1移動枠221と第2移動枠222を水平方向(画像読取装置10の左右方向)に自在に移動させ、光源部26の照射位置が移動する。従って、第1移動枠221、第2移動枠222、ワイヤー23、巻取ドラム24などが光源部26の照射位置を移動させる移動部として機能する。
原稿搬送部1により搬送される原稿Dの読取のとき、第2ステッピングモーター82が駆動した後、第1移動枠221と第2移動枠222は、搬送読取用コンタクトガラス21aの下方位置(読み取り位置)に固定される。そして、通過する原稿Dに対し、光源部26は、光を照射する。一方、載置読取用コンタクトガラス21b上に載置された原稿Dを読み取るとき、巻取ドラム24やワイヤー23等により、第1移動枠221及び第2移動枠222をホームポジションから図2の右方向に水平に移動させる。このように、原稿D先端から順次原稿D後端まで、副走査方向に走査動作を連続的に行うことで、原稿Dの全体が読み取られ、原稿画像が電気信号に変換される。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
まず、複合機100本体内に、複合機100の動作の制御を司る主制御部6が設けられる。主制御部6は、制御を行う部分としてCPU61を含む基板である。主制御部6は、複合機100の制御全体を統括する。例えば、全体制御を行うブロックや、通信制御を行うブロックや、画像処理を行うブロックが、主制御部6に設けられる。
主制御部6は、記憶部62を含む。記憶部62は、複合機100の制御用のプログラムやデータの他、画像データ等を記憶する。記憶部62は、RAM、ROM、HDD、フラッシュROM等の揮発性と不揮発性の記憶装置の組み合わせである。CPU61は、記憶部62に記憶されるプログラムやデータに基づき、演算処理の実行や制御信号の発信、受信を行って、複合機100の制御を行う。
又、主制御部6には、第1画像処理部9(詳細は後述)が処理した画像データに対し、コピーや送信などのための各種画像処理を行う第2画像処理部63が設けられる。第2画像処理部63は、画像読取装置10で生成された画像データの画像処理を行い、印刷用や送信用の画像データを生成する。例えば、第2画像処理部63は、ASICやメモリー等で構成され、濃度変換、拡大縮小、回転、圧縮伸張、データ形式変換などの各種画像処理を行える。尚、第2画像処理部63は、公知の画像処理を行えるものとして詳細な説明を割愛する。
又、画像形成や用紙搬送を行う上で、各種回転体を回転させるモーター等のON/OFFや給紙、用紙搬送やトナー像形成などの印刷に関する動作、処理を制御するエンジン制御部7が設けられる。エンジン制御部7は、主制御部6などと通信可能に接続され、主制御部6から印刷に関する指示(印刷内容、印刷枚数など)を受ける。エンジン制御部7は、主制御部6からの指示に基づき、印刷に関する印刷エンジン部70(給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、定着部5b)を実際に制御する。例えば、エンジン制御部7は、演算処理装置としてエンジンCPU71を含む。又、エンジン制御部7は、印刷エンジン部70に含まれる各部分を制御するためのプログラム、データを記憶するエンジン記憶部72を含む。
又、主制御部6は、原稿搬送部1、画像読取部2などと通信可能に接続され原稿Dの読み取りと画像データの生成を原稿搬送部1や画像読取部2に行わせる。又、主制御部6は、操作パネル3と通信可能に接続される。これにより、操作パネル3でなされた設定、入力の内容は、主制御部6に伝達される。主制御部6は、設定内容に合わせて複合機100に含まれる各部が動作するように、複合機100に含まれる各部に指示を与え動作させる。
更に、主制御部6は、通信部64と接続される。通信部64は、ネットワークやケーブルや通信網により、コンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)や相手方FAX装置300と通信する。これにより、複合機100は、コンピューター200から画像データ等を受け取って印刷することや(プリンタ機能)、画像読取部2で読み取られた画像データを記憶部62に蓄積し、コンピューター200に送信することや(スキャナ機能)、外部のFAX装置300と画像データの送受信を行うことができる(FAX機能)。
(画像読取装置10のハードウェア構成)
次に、図4を用いて、実施形態に係る画像読取装置10のハードウェア構成の一例を説明する。図4は、画像読取装置10の構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態の画像読取装置10に含まれる原稿搬送部1と画像読取部2には、それぞれ制御部が設けられる。原稿搬送部1には、原稿搬送部1の動作の制御を行う原稿搬送制御部1aが設けられる。一方、画像読取部2には、画像読取部2の動作の制御を行う読取制御部2aが設けられる。
まず、原稿搬送制御部1aは、上述の主制御部6や読取制御部2aと通信可能に接続され、主制御部6や読取制御部2aからの指示、信号を受け原稿搬送部1の動作制御を行う。原稿搬送制御部1aは、中央演算処理装置としてのCPUや、制御用のプログラムやデータを記憶する記憶装置としてのROM、RAMなどを含む。原稿搬送制御部1aは、主制御部6等との通信を行い、又、主制御部6等の指示を受け、原稿搬送部1の動作制御を行う。
又、原稿搬送制御部1aは、原稿搬送部1に設けられる原稿サイズセンサーS1(図2参照)の出力に基づき、原稿トレイ11に載置された原稿Dの主走査方向のサイズを認識する。原稿サイズセンサーS1は、規制ガイド11aの位置に応じて抵抗値が変化する可変抵抗を含み、規制ガイド11aの位置に合わせて出力値が変化するセンサーでもよいし、用紙の有無を検知する光センサーを主走査方向に複数並べたものでもよい。
尚、本説明では、主走査方向は、イメージセンサー27の読取ラインの方向(受光素子の配列方向)であり、原稿Dの搬送方向や光源部26の照射位置の移動方向に対して垂直な方向である。本実施形態では、複合機100の前後方向が主走査方向となる。一方、副走査方向は、イメージセンサー27の読取ラインの方向(受光素子の配列方向)と垂直な方向であり、原稿Dの搬送方向や、光源部26の照射位置の移動方向である。本実施形態では、複合機100の左右方向が副走査方向となる。
又、原稿搬送部1に設けられる載置検知センサーS2(図2参照)の出力に基づき、原稿搬送制御部1aは、原稿トレイ11に原稿Dが載置されているか否か認識する。又、載置検知センサーS2は、原稿Dが原稿トレイ11に載置されているか否かにより出力値が変化するセンサーである。載置検知センサーS2には、用紙の有無を検知する光センサーを用いてもよい。
主制御部6から原稿Dの読取指示があったとき、原稿トレイ11に原稿Dが載置されていることを検知していれば、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81を駆動させ、原稿供給ローラー12や原稿搬送ローラー対14等を回転させる。これにより、原稿搬送制御部1aは、原稿Dを読み取り位置(搬送読取用コンタクトガラス21a)に向けて搬送させる。
第1ステッピングモーター81は、パルス信号の入力を受け、パルス信号の周波数に応じた速度で回転する。図4に示すように、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81に入力するパルス信号を生成する第1信号生成部17を含む。第1信号生成部17は、第1ステッピングモーター81に供給するクロック信号のようなパルス信号を生成する。又、第1信号生成部17は、パルス信号の周波数を変化させることができる。パルス信号の周波数を変化させることにより、原稿搬送制御部1a(第1信号生成部17)は、第1ステッピングモーター81の回転速度(原稿Dの搬送速度)を変化させることができる。
又、原稿供給ローラー12から搬送読取用コンタクトガラス21aの間の原稿搬送路13には、原稿Dの到達や通過を検知するための原稿検知センサーS3(図2参照)が設けられる。原稿検知センサーS3の出力に基づき、原稿搬送制御部1aは、原稿検知センサーS3の設置位置(地点)での原稿Dの有無や、原稿Dの到達や通過を認識する。原稿検知センサーS3は、原稿Dが存在しているか否かにより出力値が変化するセンサーである。原稿検知センサーS3には、用紙の有無によりHighレベルとLowレベルが切り替わる光センサーを用いることができるし、超音波センサーなどでもよい。
尚、原稿トレイ11に載置された原稿D(読み取りを行う原稿D)の副走査方向の長さは、原稿検知センサーS3が原稿到達検知から原稿通過検知までの時間に原稿Dの搬送速度(原稿搬送ローラー対14の周速度)を乗ずることで求められる。原稿搬送制御部1aは、原稿到達検知から原稿通過検知までの時間を計り、第1ステッピングモーター81の回転速度に基づき求めた原稿搬送速度から、原稿Dの副走査方向の長さ(サイズ)を求める。
次に、画像読取部2について説明する。まず、読取制御部2aは、上述の主制御部6や原稿搬送制御部1aと通信可能に接続される。そして、読取制御部2aは、主制御部6からの指示、信号を受け、画像読取部2内各部分の動作制御を行う。読取制御部2aも中央演算処理装置としてのCPUや、画像読取装置10の制御に必要なプログラム、データを記憶する記憶装置としてのROM、RAMを含む。
そして、操作パネル3のスタートキー34が押されたなどにより主制御部6から原稿Dの読み取り指示を受けたとき、例えば、読取制御部2aは、画像読取部2の動作制御や、読取で得られた画像データの記憶部62(主制御部6)への送信制御などを行う。
読取制御部2aには、第2ステッピングモーター82が接続される。これにより、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82の回転を制御し、巻取ドラム24を回転させ、各移動枠を移動させる。原稿搬送制御部1aは、原稿Dが原稿トレイ11に載置されていることや、原稿Dが無いことを読取制御部2aに通知する。原稿トレイ11に原稿Dが載置されているときの原稿Dの読み取りでは、読取制御部2aは、各移動枠を搬送読取用コンタクトガラス21aの下方に移動させる。一方、原稿トレイ11に原稿Dが載置されていないときの原稿Dの読み取りでは、読取制御部2aは、巻取ドラム24を回転させ、光源部26の照射位置を副走査方向に移動させて、載置読取用コンタクトガラス21b上の原稿Dを読み取らせる。
第2ステッピングモーター82は、パルス信号の入力を受け、パルス信号の周波数に応じた速度で回転する。図4に示すように、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82に入力するパルス信号を生成する第2信号生成部29を含む。第2信号生成部29は、第2ステッピングモーター82に供給するクロック信号のようなパルス信号を生成する。又、第2信号生成部29は、パルス信号の周波数を変化させることができる。このように、読取制御部2a(第2信号生成部29)は、パルス信号の周波数を変化させることにより、第2ステッピングモーター82の回転速度を変化させることができる。尚、第2ステッピングモーター82には、第1ステッピングモーター81と同じ仕様のものでもよいし、違う仕様のものでもよい。
又、読取制御部2aは、光源部26の点消灯を制御する。原稿Dを読み取るとき、読取制御部2aは、光源部26を点灯させる。又、読取制御部2aは、イメージセンサー27の駆動(動作)を制御する。原稿Dを読み取るとき、読取制御部2aは、イメージセンサー27を動作させる。又、読取制御部2aは、第1画像処理部9と接続され、第1画像処理部9の動作を制御する。
第1画像処理部9は、イメージセンサー27の出力に基づき画像データを生成し、生成した画像データに対し画像処理を施す。尚、本実施形態では、第1画像処理部9を画像読取部2に、第2画像処理部63を主制御部6に設ける例を説明する。しかし、画像処理部を一つだけ設け、1つだけ設けた画像処理部に第1画像処理部9の処理と第2画像処理部63の処理を行わせるようにしてもよい。
本実施形態の複合機100のイメージセンサー27は、ライン状に配列させた複数の受光素子を含むセンサーである。イメージセンサー27は、原稿Dに照射された光を受け、各画素についてR、G、Bの3種のアナログの電気信号を出力する。そのため、本実施形態の複合機100のイメージセンサー27は、R、G、Bのそれぞれの色のラインセンサーを含む。
イメージセンサー27(各ラインセンサー)の各受光素子は、受けた光の量に応じた電荷を蓄える。そして、読取制御部2aは、一定の周期で、イメージセンサー27の各受光素子から蓄えた電荷を電気信号(アナログ信号)として出力させる。各画素から出力される電気信号の信号値の大きさは、周期中の受光量に応じ異なる。
そして、第1画像処理部9は、イメージセンサー27のアナログ出力に基づき画像データを生成する画像データ生成部91を含む。具体的に、画像データ生成部91は、A/D変換部92や補正部93を含む。A/D変換部92は、イメージセンサー27によって得られた各画素のアナログの電気信号の転送を受け、量子化を行い、ディジタル信号に変換し、画像データを生成する。例えば、A/D変換部92は、1画素あたり、R、G、Bについてそれぞれ8〜10ビット(計24〜30ビット)に量子化を行う。又、第1画像処理部9は、R、G、Bのデータから、各画素の輝度を示すデータ(白黒を示すデータ)を生成してもよい。
補正部93は、イメージセンサー27のアナログ信号や、生成された画像データに対する補正を行う。補正部93は、ガンマ補正やシェーディング補正等、光源部26やイメージセンサー27の特性など、画像読取部2の各部分に起因する歪みを補正する。
又、第1画像処理部9には、設定された読み取りの倍率に応じ、画素やラインを間引く処理を行う間引き処理部94や、画素やラインを補間する処理を行う補間処理部95を含む拡大縮小処理部96を含む。拡大縮小処理部96の処理により、使用者により指定された倍率の画像データが生成される。
そして、第1画像処理部9によって生成、処理された画像データは、画像メモリー97に蓄えられる。画像メモリー97は、ページ単位やバンド(1ページを主走査方向でのラインに沿って複数に分割した短冊状の領域)単位で順次、画像データを記憶部62(主制御部6)に転送する。第2画像処理部63は、記憶部62に蓄積された画像データに対し、ジョブに応じて必要な画像処理を施す。そして、処理後の画像データを用いて、印刷や送信などがなされる。
(通常モードでの読み取り)
次に、図4、図5を用いて、通常モードでの読み取りを説明する。図5は、通常モードでの読み取りを説明するための図である。
まず、本実施形態の画像読取装置10では、通常モードで読み取りを行うか、静音モードで読み取りを行うか選択することができる。言い換えると、本実施形態の画像読取装置10には、複数の読み取りモードが用意される。具体的には、図4に示すように、操作パネル3に、静音モードでの読み取りを選択するための静音モードキーK1と、通常モードでの読み取りを選択するための通常モードキーK2が設けられる。静音モードは通常モードよりも読み取り時に生ずる音を抑えるモードである(詳細は後述)。使用者は、操作パネル3に設けられたこれらの2つのキーをタッチして、読み取りモードを選択、設定することができる。
操作パネル3で押されたキーに応じて、選択されたモードの情報は、主制御部6や、読取制御部2aや、原稿搬送制御部1aに送信される。これにより、読取制御部2aや原稿搬送制御部1aは、選択されたモードで読み取るように、画像読取装置10内の部材の動作を制御する(詳細は後述)。
そこで、まず、通常モードでの読み取りを説明する。通常モードは、読み取りの倍率(等倍を超える倍率)に応じて、各ステッピングモーターに入力するパルス信号の周波数を変化させるモードである。尚、通常モードは、従来、画像読取装置10で行われている読み取りのモードである。又、操作パネル3は、使用者による読み取りの倍率の設定入力を受け付け、読取制御部2aや、原稿搬送制御部1aは、設定された倍率で原稿Dの読み取りが行われるように、第1ステッピングモーター81や第2ステッピングモーター82の回転速度を制御する。
イメージセンサー27は一定の周期で、アナログ信号を出力する。そのため、原稿Dの移動速度や、光源部26の照射位置の移動速度によって、1ページの読取で読み取られる副走査方向でのライン数が変化する。
図5に示すように、本実施形態の画像読取装置10では、通常モードのとき、原稿Dを搬送して倍率100%(等倍)の読み取りを行うとき、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81に、周波数faのパルス信号を入力する。又、通常モードのとき、載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82に、周波数fbのパルス信号を入力する。
尚、本実施形態の説明では、同じ倍率で原稿Dを読み取るとき、第1ステッピングモーター81と第2ステッピングモーター82(原稿Dを搬送して読み取りを行うときと載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿を読み取るとき)では、入力すべきパルス信号の周波数が異なるときを説明する。言い換えると、同じ周波数のパルス信号を第1ステッピングモーター81と第2ステッピングモーター82を入力したとき、原稿Dの搬送速度と、光源部26の照射位置の移動速度が異なるときを説明する。但し、各ステッピングモーターの駆動を伝達するギアのギア比を調整したり、第1ステッピングモーター81と第2ステッピングモーター82に同じステッピングモーターを用いたり、同じ周波数のパルス信号を入力すれば同じ倍率で原稿Dを読み取られるようにしたりして、同じ倍率では、第1ステッピングモーター81に入力するパルス信号の周波数と、第2ステッピングモーター82に入力するパルス信号の周波数が同じとなるようにしてもよい。
第1ステッピングモーター81のパルス信号の周波数faは、副走査方向での1ラインの読取幅(イメージセンサー27の出力の1周期中に読み取る幅)が、読取解像度上の副走査方向での1画素分の幅(例えば、600dpiのとき、1画素の幅は約0.042mm)と一致するような原稿搬送速度となるパルス信号の周波数である。
第2ステッピングモーター82のパルス信号の周波数fbは、副走査方向での1ラインの読取幅が、仕様上の読取解像度上の1画素分の幅と一致するようなパルス信号の周波数である。
主走査方向では、原稿Dの搬送速度や光源部26の移動速度を変化させて、1画素あたりの読取幅を変化させることができない。そのため、受光素子の1画素あたりの主走査方向での読取幅が、仕様上の読取解像度上の主走査方向の1画素分の幅となるように、レンズ25の倍率やイメージセンサー27のサイズが設定される。言い換えると、主走査方向では、常に等倍読み取りとなる。そのため、図5に示すように、等倍での読み取りでは、副走査方向と主走査方向の両方について、ラインや画素を増減させる画像処理は不要である。従って、読み取りにおいて、最もよく用いられる等倍読み取りでは、第1画像処理部9は、間引きや補間処理を行わない。
通常モードで、原稿Dを搬送して縮小倍率(等倍よりも小さい倍率)で読み取りを行うとき、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81に、周波数faのパルス信号を入力する。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、等倍読み取りと同じ原稿搬送速度となるように、第1ステッピングモーター81を回転させる。
又、通常モードで、縮小倍率(等倍よりも小さい倍率)で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82に、周波数fbのパルス信号を入力する。言い換えると、読取制御部2aは、等倍読み取りと同じ光源部26の照射位置の移動速度(第1移動枠221の移動速度、走査位置の移動速度)となるように、第2ステッピングモーター82を回転させる。
そして、図5に示すように、縮小倍率での読み取りでは、第1画像処理部9は、副走査方向と主走査方向の両方について、間引き処理を行う。具体的に、倍率50%のとき、副走査方向と主走査方向の100のライン(画素)に対し、50のライン(画素)の割合でラインや画素を間引きし、副走査方向でのライン数(画素数)と主走査方向でのライン数(画素数)を減らす。言い換えると、第1画像処理部9は、間引き処理後の画像データの主走査方向と副走査方向でのライン数が、間引き処理前の画像データの主走査方向と副走査方向でのライン数に縮小倍率を乗じたライン数となるように間引き処理を行う。
一方、通常モードで、原稿Dを搬送して拡大倍率(等倍よりも大きい倍率)で読み取りを行うとき、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81に、倍率に応じて、周波数faよりも低い周波数のパルス信号を入力する。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、等倍読み取りよりも原稿搬送速度が遅くなるように、第1ステッピングモーター81を回転させる。
具体的に、原稿搬送制御部1aは、等倍時の周波数faを、設定された拡大倍率で除して得られる周波数fxのパルス信号を生成し、第1ステッピングモーター81に入力する。例えば、倍率200%のとき、原稿搬送制御部1aは、等倍時の周波数faを2で除して得られる周波数fx(1/2fa)のパルス信号を生成し、第1ステッピングモーター81に入力する。これにより、原稿搬送速度は、等倍読取時の1/2の速度となり、1ページの原稿Dの読み取りで得られる副走査方向でのライン数は、等倍時の2倍となる(200%の拡大)。
又、通常モードで、拡大倍率(等倍よりも大きい倍率)で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82に、倍率に応じて、周波数fbよりも低い周波数のパルス信号を入力する。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、等倍読み取りよりも光源部26の照射位置の移動速度(第1移動枠221の移動速度、走査位置の移動速度)が遅くなるように、第2ステッピングモーター82を回転させる。
具体的に、読取制御部2aは、等倍時の周波数fbを設定された拡大倍率で除して得られる周波数fyのパルス信号を生成し、第2ステッピングモーター82に入力する。例えば、倍率150%のとき、読取制御部2aは、等倍時の周波数fbを1.5で除して得られる周波数fy(fb/1.5)のパルス信号を生成し、第2ステッピングモーター82に入力する。これにより、光源部26の照射位置の移動速度は、等倍読取時の1/1.5の速度となり、1ページの原稿Dの読み取りで得られる副走査方向でのライン数は、等倍時の1.5倍となる(150%の拡大)。
そして、図5に示すように、拡大倍率での読み取りでは、第1画像処理部9は、主走査方向について、補間処理を行う。具体的に、倍率200%のとき、主走査方向の100ライン(画素)につき、100ライン(100画素)を追加する補間処理を行う。言い換えると、第1画像処理部9は、補間処理後の画像データの主走査方向でのライン数が、補間処理前の画像データの主走査方向でのライン数に拡大倍率を乗じたライン数となるように補間処理を行う。
第1画像処理部9は、追加する位置の周囲の画素の画素値を参照して、追加する画素の画素値を定める。例えば、第1画像処理部9は、追加する位置の周囲8方向の画素や、周囲4方向の画素や、主走査又は副走査方向で隣接する2画素など、追加する画素に対して予め定められた位置の画素の画素値の平均値を、追加する画素の画素値と定める。尚、上記の補間処理は一例にすぎず、他の手法により、追加する画素の画素値を定めてもよい。
尚、拡大縮小処理部96内に、倍率に応じてどの位置のライン(画素)を間引くか、倍率に応じて、主走査方向のラインうち、どの位置にライン(画素)を追加(補間)するかを予め定めたデータが格納されており、拡大縮小処理部96は、当該データに基づき間引き処理や補間処理を行う。
一方、拡大倍率での読み取りでは、倍率に応じて読取速度を落として読み取りを行っているので、副走査方向について、ラインや画素を増減させる画像処理は不要である。従って、拡大倍率での読み取りでは、第1画像処理部9は、副走査方向でのライン数を補間する補間処理を行わない。
(通常モードでの原稿Dの読み取り時の流れ)
次に、図6を用いて、通常モードでの原稿Dの読み取り時の処理の流れの一例を説明する。図6は、通常モードでの原稿Dの読み取り時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6のスタートは、通常モードで原稿Dの読み取りを開始する時点である。主制御部6や原稿搬送制御部1aや読取制御部2aは、使用者がスタートキー34を押す操作や、タッチパネル部31に読み取り開始の指示入力に基づき、原稿Dの読み取りを開始する。又、原稿Dの読み取り開始前に、使用者によって、通常モードでの読み取りや、読み取りの倍率などが操作パネル3を介して設定される。
通常モードで読み取りを行うとき、原稿搬送制御部1aや読取制御部2aは、原稿Dを搬送して読み取るか否かを確認する(ステップ♯11)。
原稿Dを搬送して読み取るとき(ステップ♯11のYes)、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82を回転させて、光源部26の照射位置(各移動枠)を、搬送読取用コンタクトガラス21aの下方に移動させる(ステップ♯12)。
そして、原稿搬送制御部1aは、倍率に応じた周波数のパルス信号を生成する(ステップ♯13)。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、等倍よりも倍率が大きいほど低い周波数のパルス信号を生成する。そして、原稿搬送制御部1aは、生成したパルス信号を第1ステッピングモーター81に入力して、第1ステッピングモーター81を回転させる(ステップ♯14)。
一方、原稿Dを搬送せず、載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dを読み取るとき(ステップ♯11のNo)、読取制御部2aは、倍率に応じた周波数のパルス信号を生成する(ステップ♯15)。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、倍率が大きいほど低い周波数のパルス信号を生成する。そして、読取制御部2aは、生成したパルス信号を第2ステッピングモーター82に入力して、第2ステッピングモーター82を回転させる(ステップ♯16)。
原稿搬送や、光源部26の移動開始に伴い(ステップ♯14やステップ♯16の後)、読取制御部2aは、光源部26を点灯させ、イメージセンサー27による読み取りを開始する(ステップ♯17)。そして、第1画像処理部9は、必要に応じて間引き処理や補間処理を行い、指定された倍率に基づく画像データを生成する(ステップ♯18)。そして、原稿Dの読み取りが完了する(エンド)。例えば、生成された画像データは、記憶部62に送られ、コピーや送信などのジョブに供される。
(静音モードでの読み取り)
次に、図7を用いて、静音モードでの読み取りを説明する。図7は、静音モードでの読み取りを説明するための図である。
まず、ステッピングモーターを回転させると振動が生ずる。ステッピングモーターの回転に基づく振動の大きさは、パルス信号の周波数により異なる。一般的に、パルス信号の周波数がステッピングモーターやケースやステッピングモーターの固定部分などで固有振動(共振)が生ずるような周波数に近いほど、振動が大きくなる。尚、振動が大きくなるパルス信号の周波数は、ステッピングモーターのケースの形状や、ステッピングモーターの取り付け方法(固定する点の数や、固定具の数や、固定具のフレームに対する位置など)などの要因の影響を受ける。
そして、ステッピングモーターの回転に基づく振動が大きくなれば、振動による騒音が大きくなる。振動が大きくなると、「ビビリ音」と称されるほどの音が生ずるときがある。そのため、ビビリ音のような騒音が生ずるほどの振動が生じないような周波数のパルス信号をステッピングモーターに入力する必要がある。
しかし、通常モードのような従来の読み取り方式では、倍率に応じて、ステッピングモーターに入力するパルス信号の周波数(駆動周波数)を変化させる。このとき、倍率によっては、ステッピングモーターの回転に基づく振動が大きくなり、読み取り時に生ずる音が大きくなるときがある。
又、振動を抑えるように設計しても、読み取り速度の変更や、用いる部材(例えば、ステッピングモーターやレンズ25など)の変更などによって、頻繁に用いられる等倍読み取り時でもステッピングモーターの回転に基づく振動が大きくなり、読み取り時の発生音が大きくなってしまうことがある。
そこで、本実施形態の画像読取装置10では、静音モードのとき、設定された読み取りの倍率によらず、予め定められた静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号をステッピングモーターに入力する。静音モード周波数帯は、ステッピングモーターの回転に基づく振動が抑えられ、ビビリ音が生じないような周波数帯に設定するので、ステッピングモーターの回転に起因する振動や駆動音(発生音)が抑えられる。
具体的に、図7を用いて、静音モードでの読み取りを説明する。尚、静音モードでの読み取りでは、通常モードの等倍読み取り時の周波数よりも低い周波数のパルス信号を各ステッピングモーターに入力する。これにより、よく用いられる等倍読み取りのとき、間引き処理を行うだけで(新たにラインを生成する処理を行わないで)、設定された倍率に応じた副走査方向のライン数の画像データを生成することができる。従って、イメージセンサー27の出力に基づくディジタルデータから、情報を除去するだけでよく、画質の点で有利である。
まず、静音モードでは、原稿Dを搬送して読み取りを行うとき、どのような読み取りの倍率でも、第1ステッピングモーター81のパルス信号の周波数f1は、第1ステッピングモーター81の回転に基づく振動量(振動レベル)が第1ステッピングモーター81に対して予め定められた基準振動レベル以下となる周波数帯に含まれる周波数とされる。具体的には、生ずる振動量が、通常モードでの第1ステッピングモーター81の回転に基づき生ずる最も大きな振動量よりも、1/2〜1/3以下の振動量となるパルス信号の周波数帯を第1ステッピングモーター81に係る静音モード周波数帯と定めることが好ましい。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、通常モードで第1ステッピングモーター81の回転に基づく振動量よりも1/2〜1/3程度に振動量が抑えられる予め定められた静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成し、第1ステッピングモーター81に入力する。これにより、ビビリ音が生じないように、第1ステッピングモーター81を回転させるとともに、原稿搬送時に生ずる音を抑えることができる。
より好ましくは、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81の予め定められた静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号として、第1ステッピングモーター81の回転に基づく振動が最も小さくなる周波数のパルス信号を生成し、第1ステッピングモーター81に入力することが好ましい。
又、静音モードで、載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dを読み取るとき、どのような読み取りの倍率でも、第2ステッピングモーター82のパルス信号の周波数f2は、第2ステッピングモーター82の回転に基づく振動量(振動レベル)が第2ステッピングモーター82に対し予め定められた基準振動レベル以下となる周波数帯に含まれる周波数とされる。具体的には、生ずる振動量が、通常モードでの第2ステッピングモーター82の回転に基づき生ずる最も大きな振動量よりも、1/2〜1/3以下の振動量となるパルス信号の周波数帯を第2ステッピングモーター82に係る静音モード周波数帯と定めることが好ましい。言い換えると、読取制御部2aは、通常モードで第2ステッピングモーター82の回転に基づく振動量よりも1/2〜1/3程度に振動量が抑えられる第2ステッピングモーター82に係る静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成し、第2ステッピングモーター82に入力する。これにより、ビビリ音が生じないように、第2ステッピングモーター82を回転させるとともに、光源部26や第1移動枠221や第2移動枠222を移動させるときに生ずる音を抑えることができる。
より好ましくは、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82の静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号として、第2ステッピングモーター82の回転に基づく振動が最も小さくなる周波数のパルス信号を生成し、第2ステッピングモーター82に入力することが好ましい。
このように、第1ステッピングモーター81の静音モード周波数帯と第2ステッピングモーター82の静音モード周波数帯は、異なる周波数の範囲であってもよい。その場合、ステッピングモーターそれぞれについて、静音モード周波数帯を定め、静音モードで生成した後に各ステッピングモーターに入力するパルス信号の周波数を設定すればよい。
ここで、静音モードで入力する第1ステッピングモーター81のパルス信号の周波数f1は、通常モードで、原稿搬送による拡大読み取り時の何れかの倍率のときに第1ステッピングモーター81に入力するパルス信号の周波数に対応する。図7では、この対応する倍率をZ1で示している。
周波数f1のパルス信号を第1ステッピングモーター81に入力したときに得られる画像データに対し、第1画像処理部9で副走査方向のライン数(画素数)を増減させる必要が無い倍率が倍率Z1である。言い換えると、静音モードでの第1ステッピングモーター81のパルス信号の周波数f1は、通常モードで倍率Z1時の副走査方向のライン幅で読み取るように第1ステッピングモーター81を回転させるときのパルス信号の周波数と対応する。
同様に、静音モードで入力する第2ステッピングモーター82のパルス信号の周波数f2は、通常モードで載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dを拡大読み取りする時の何れかの倍率のときに第2ステッピングモーター82に入力するパルス信号の周波数に対応する。図7では、この対応する倍率をZ2で示している。
周波数f2のパルス信号を第2ステッピングモーター82に入力したときに得られる画像データに対し、第1画像処理部9で副走査方向のライン数(画素数)を増減させる必要が無い倍率が倍率Z2である。言い換えると、静音モードでの第2ステッピングモーター82のパルス信号の周波数f2は、通常モードで倍率Z2時の副走査方向のライン幅で読み取るように第1ステッピングモーター81を回転させるときのパルス信号の周波数と対応している。
尚、静音モード、通常モードの何れのときでも、載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、第2ステッピングモーター82は回転させる。しかし、原稿Dを搬送する各種回転体を回転させる必要はないため第1ステッピングモーター81を回転させない。
一方、静音モード、通常モードの何れのときでも、原稿Dを搬送して原稿Dの読み取りを行うとき、第1ステッピングモーター81は回転させるが、第2ステッピングモーター82は読み取りのために光源部26の照射位置や第1移動枠221を搬送読取用コンタクトガラス21aの下方に移動させた後は、読み取り完了まで第2ステッピングモーター82を回転させない。尚、読み取りが完了すると、第1移動枠221を基準位置に戻すために第2ステッピングモーター82は回転させる。
具体的に、図7に示すように、静音モードで、原稿Dを搬送して倍率Z1で読み取りを行うとき、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81の静音モード周波数帯に含まれる周波数f1のパルス信号を第1ステッピングモーター81に入力する。
又、静音モードで、載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを倍率Z2で行うとき、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82の静音モード周波数帯に含まれる周波数f2のパルス信号を第2ステッピングモーター82に入力する。
静音モードで原稿Dを搬送して倍率Z1で読み取りを行うときや、静音モードで、載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを倍率Z2で行うとき、主走査方向のライン数(画素数)に関しては、図7に示すように、主走査方向では、第1画像処理部9は、ライン(画素)を補間する補間処理を行う。例えば、倍率Z1や倍率Z2が倍率120%に相当するとき、第1画像処理部9は、主走査方向において、1ライン内の100画素に対し、20画素の割合で画素を追加する補間処理を行う。尚、副走査方向では、第1画像処理部9は、ラインや画素を増減させる画像処理は不要である。従って、倍率Z1や倍率Z2での読み取りのとき、第1画像処理部9は、主走査方向については補間処理を行い、副走査方向については間引きや補間処理を行わない。
静音モードで、原稿Dを搬送して倍率Z1よりも小さい倍率(等倍を含む)で読み取りを行うときも、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81に、周波数f1のパルス信号を入力する。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、通常モードの倍率Z1のときと同じ原稿搬送速度となるように、第1ステッピングモーター81を回転させる。
又、静音モードで、倍率Z2よりも小さい倍率(等倍を含む)で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うときも、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82に、周波数f2のパルス信号を入力する。言い換えると、読取制御部2aは、通常モードの倍率Z2のときと同じ原稿搬送速度となるように、第2ステッピングモーター82を回転させる。
そして、図7に示すように、静音モードで、原稿Dを搬送して倍率Z1よりも小さい倍率(等倍を含む)で読み取りを行うときや、倍率Z2よりも小さい倍率(等倍を含む)で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、第1画像処理部9は、副走査方向については、読み取りで得られるライン数が必要なライン数より多くなるので、間引き処理を行う。具体的に、倍率Z1、Z2を120%とし、又、等倍読み取りのとき、副走査方向のライン(画素)中、120画素のうち20画素の割合で間引きし、副走査方向でのライン数(画素数)を減らす。
又、図7に示すように、静音モードで、原稿Dを搬送して倍率Z1よりも小さい倍率(等倍を含む)で読み取りを行うときや、倍率Z2よりも小さい倍率(等倍を含む)で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、第1画像処理部9は、主走査方向でのライン数(画素数)については、倍率に応じて、間引き処理又は補間処理を行うか、若しくは、間引き処理及び補間処理を行わない。具体的に、第1画像処理部9は、設定された倍率が倍率Z1〜(等倍+1)%の範囲、あるいは、倍率Z2〜(等倍+1)%の範囲では、主走査方向では、必要なライン数(画素数)を追加する補間処理を行う。尚、本実施形態の画像読取装置10では、倍率を1%刻みで設定可能である。又、第1画像処理部9は、設定された倍率が等倍のとき、主走査方向については間引き処理や補間処理を行わない。又、第1画像処理部9は、設定された倍率が等倍よりも小さいとき、主走査方向については間引き処理を行う。
一方、静音モードで、原稿Dを搬送して倍率Z1よりも大きい倍率で読み取りを行うときも、原稿搬送制御部1aは、第1ステッピングモーター81に、周波数f1のパルス信号を入力する。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、静音モードでは、第1ステッピングモーター81に周波数f1のパルス信号を入力して、振動を抑えた状態で第1ステッピングモーター81を回転させる。
また、静音モードで、倍率Z2よりも大きい倍率で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うときも、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82に、周波数f2のパルス信号を入力する。言い換えると、読取制御部2aは、静音モードでは、第2ステッピングモーター82に周波数f2のパルス信号を入力して、振動を抑えた状態で第2ステッピングモーター82を回転させる。
そして、図7に示すように、原稿Dを搬送して倍率Z1よりも大きい倍率で読み取りを行うときや、倍率Z2よりも大きい倍率で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、第1画像処理部9は、副走査方向については、読み取りで得られるライン数(画素数)が必要数よりも少なくなるので、補間処理を行う。
又、図7に示すように、原稿Dを搬送して倍率Z1よりも大きい倍率で読み取りを行うときや、倍率Z2よりも大きい倍率で載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dの読み取りを行うとき、第1画像処理部9は、主走査方向については、倍率に応じて必要な分だけライン数(画素数)を追加する補間処理を行う。
倍率に応じたライン数(画素数)の画像データを生成するうえで、間引き処理、補間処理の処理内容は、上述した通常モードでの処理と同様である。又、拡大縮小処理部96内に、静音モードで、倍率に応じてどの位置のライン(画素)を間引くか、補間処理によりどの位置にライン(画素)を追加するかを予め定めたデータが格納されており、拡大縮小処理部96は、静音モードのとき、データに基づき間引き処理や補間処理を行う。
(静音モードでの原稿Dの読み取り時の流れ)
次に、図8を用いて、静音モードでの原稿Dの読み取り時の処理の流れの一例を説明する。図8は、静音モードでの原稿Dの読み取り時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8のスタートは、静音モードで原稿Dの読み取りを開始する時点である。原稿Dの読み取り開始条件は、通常モードと同様である。又、原稿Dの読み取り開始前に、使用者によって、静音モードでの読み取りや、読み取りの倍率などの設定が操作パネル3で受け付けられている。
静音モードでも読み取りを行うとき、原稿搬送制御部1aや読取制御部2aは、原稿Dを搬送して原稿Dを読み取るか否かを確認する(ステップ♯21)。
原稿Dを搬送して原稿Dを読み取るとき(ステップ♯21のYes)、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82を回転させて、光源部26の照射位置(各移動枠)を、搬送読取用コンタクトガラス21aの下方に移動させる(ステップ♯22)。
そして、原稿搬送制御部1aは、回転に起因する振動が予め定められた基準振動レベルを下回るようなパルス信号の周波数帯である第1ステッピングモーター81に対して予め定められた静音モード周波数帯内のパルス信号を生成する(ステップ♯23)。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、倍率によらず、予め定められた静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成する。そして、原稿搬送制御部1aは、生成したパルス信号を第1ステッピングモーター81に入力して、第1ステッピングモーター81を回転させる(ステップ♯24)。
一方、原稿Dを搬送せず、載置読取用コンタクトガラス21bに載置された原稿Dを読み取るとき(ステップ♯21のNo)、読取制御部2aは、第2ステッピングモーター82の回転に起因する振動が予め定められた基準振動レベルを下回るようなパルス信号の周波数である第2ステッピングモーター82に対して予め定められた静音モード周波数帯内のパルス信号を生成する(ステップ♯25)。言い換えると、原稿搬送制御部1aは、倍率が大きいほど低い周波数のパルス信号を生成する。そして、読取制御部2aは、生成したパルス信号を第2ステッピングモーター82に入力して、第2ステッピングモーター82を回転させる(ステップ♯26)。
原稿搬送や、光源部26の移動開始に伴い、読取制御部2aは、光源部26を点灯させ、イメージセンサー27による読み取りを開始する(ステップ♯27)。そして、第1画像処理部9は、必要に応じて間引き処理や補間処理を行い、指定された倍率に基づく画像データを生成する(ステップ♯28)。そして、原稿Dの読み取りが完了する(エンド)。例えば、生成された画像データは、記憶部62に送られ、コピーや送信などのジョブに供される。
(静音モード時の印刷)
次に、図3を用いて、静音モード時の印刷について説明する。
本実施形態の複合機100では、画像データに基づく印刷のために、印刷エンジン部70が設けられる。印刷エンジン部70には、用紙搬送やトナー像形成のため、露光装置53のポリゴンミラーや、給紙ローラー42や、搬送ローラー対43や、レジストローラー対44や、感光体ドラム51や、中間転写ベルトや、加熱ローラー57や、加圧ローラー58などの印刷を行うための回転体(以下、「印刷用回転体」と称する)が設けられる。
そして、これらの複数の印刷用回転体の一部又は全てを回転させるために、本実施形態の複合機100には、1又は複数のステッピングモーターが設けられる。以下の説明では、印刷用回転体を回転させる駆動力を供給するモーターを第3ステッピングモーター83と称する。尚、印刷用回転体を回転させるモーターには、ステッピングモーター以外のモーターを用いてもよい。言い換えると、第3ステッピングモーター83は、印刷用回転体のうち、一部の回転体のみを回転させるようにしてもよい。
第3ステッピングモーター83は、パルス信号の入力を受け、パルス信号の周波数に応じた速度で回転する。図3に示すように、エンジン制御部7は、第3ステッピングモーター83に入力するパルス信号を生成する本体側信号生成部73を含む。本体側信号生成部73は、クロック信号のような第3ステッピングモーター83に供給するパルス信号を生成する。本体側信号生成部73は、パルス信号の周波数を変化させることができる。このように、エンジン制御部7(本体側信号生成部73)は、パルス信号の周波数を変化させることにより、第3ステッピングモーター83の回転速度を変化させることができる。
通常モードでは、エンジン制御部7(本体側信号生成部73)は、1分間に60枚などのように、仕様上の印刷速度を満たすように、第3ステッピングモーター83を回転させる。
通常モードでは、単位時間あたりの印刷枚数の仕様を満たすため、用紙搬送速度や各種回転体の回転速度がかなり高く設定されているときがある。そして、搬送される用紙の搬送速度が速いほど、搬送経路上の搬送ガイドに用紙が突き当たったときや、こすれたときの音や、駆動を伝達するギアから生ずる音が大きくなる場合がある。
そこで、静音モードが選択されているとき、エンジン制御部7は、印刷時の印刷速度を通常モードでの印刷時よりも遅くする。具体的には、静音モードのとき、エンジン制御部7は、上述の印刷用回転体を回転させる第3ステッピングモーター83を含むモーターの回転速度を、通常モードよりも遅くする。これにより、静音モードでは、印刷時に生ずる音は通常モードよりも抑えやすくなる。
更に、通常モードで、仕様上の印刷速度を満たすように、第3ステッピングモーター83を回転させると、振動が大きくなるときがある。そして、振動が大きくなったために、印刷時の複合機100から生ずる音が大きくなるときがある。
そこで、静音モードでは、エンジン制御部7は、第3ステッピングモーター83の振動が予め定められた基準振動レベル以下となるような、第3ステッピングモーター83に対して予め定められた静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成する。そして、エンジン制御部7は、生成したパルス信号(通常モードとは異なる周波数のパルス信号)を第3ステッピングモーター83に入力する。
尚、第3ステッピングモーター83が複数あるとき、適切に印刷を行ううえで、1つの第3ステッピングモーター83の回転速度を定めると、他の第3ステッピングモーター83の回転速度(入力すべきパルス信号の周波数)も決まってしまうときがある。例えば、露光装置53のポリゴンミラーを回転させるステッピングモーターの回転速度に応じ、感光体ドラム51の1ライン分の走査・露光に要する時間が定まり、1ライン分の走査・露光に要する時間の間に用紙を副走査方向に1ラインの幅だけ移動するように、用紙搬送用の回転体の回転速度が定まる。
このように、全ての第3ステッピングモーター83に対して、振動量を基準振動レベル以下とできないときがある。そのときは、エンジン制御部7は、少なくとも1つの第3ステッピングモーター83の振動量が基準振動レベル以下となる周波数のパルス信号を生成し、少なくとも1つの第3ステッピングモーター83に入力する。最も好ましくは、エンジン制御部7は、各第3ステッピングモーター83の回転に起因する振動の合計量が、若しくは、各第3ステッピングモーター83の振動に基づき生ずる音が最も小さくなるような、第3ステッピングモーター83に関する予め定められた静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成し、各第3ステッピングモーター83に入力する。
(実施例)
次に、図9、図10を用いて、実施形態に係る画像読取装置10の実施例を説明する。図9は、原稿Dを搬送する第1ステッピングモーター81を回転させたときのパルス信号の周波数と振動量の関係の一例を示すグラフである。図10は、原稿Dを搬送して読み取りを行うときの通常モードと静音モードでの第1ステッピングモーター81に入力するパルス信号の周波数と、画像処理の内容の一例を示す図である。
まず、図9について説明する。図9の横軸は、第1ステッピングモーター81に入力するパルス信号の周波数(pulse per second)を示している。又、図9の縦軸は、第1ステッピングモーター81のケースの振動加速度を示している。言い換えると、測定器で測定したステッピングモーターのケースの振動加速度を示している。振動加速度は、振動の大きさの目安を示し、振動加速度が大きいほど、第1ステッピングモーター81の振動量(振動レベル)が大きい。
そして、本実施例では、第1ステッピングモーター81は、大きなトルクが得られやすい2相励磁で回転させる。尚、図9のグラフでは、実施例に係る第1ステッピングモーター81を2相励磁で回転させるときのパルス信号の周波数に対する振動加速度を実線で示している。又、参考までに、1−2相励磁のときの周波数に対する振動加速度を破線で示し、W1−2相励磁のときの周波数に対する振動加速度を2点鎖線で示している。
図9に示すように、第1ステッピングモーター81の振動加速度は、入力するパルス信号の周波数により変化する。言い換えると、ステッピングモーターの回転に基づく振動の大きさは、パルス信号の周波数により異なる。
そして、本実施例では、図10に示すように、通常モードでは、等倍以下の倍率のとき(25〜100%のとき)、原稿搬送制御部1aは、3400[pps(Hz)]のパルス信号を生成し、第1ステッピングモーター81に入力する。又、通常モードでは、等倍を超える倍率のとき、原稿搬送制御部1aは、倍率に応じ、等倍のときよりも倍率が1%大きくなるごとに17pps低い周波数のパルス信号を生成し、第1ステッピングモーター81に入力する(計算式:3400−(((設定倍率×100)−100)×17))。これにより、100%を超える倍率のとき、副走査方向でライン(画素)の補間処理を行わないで(光学ズームで)原稿Dが読み取られるように、第1ステッピングモーター81を回転させる。
又、本実施例では、図10に示すように、静音モードでは、倍率によらず、原稿搬送制御部1aは、2601[pps(Hz)]のパルス信号を生成し、第1ステッピングモーター81に入力する。2601[pps(Hz)]の周波数は、通常モードのとき、147%の倍率で(光学ズームの)読み取りを行うときに第1ステッピングモーター81に入力するパルス信号の周波数と一致している。これにより、静音モードでは、生ずる振動量を極めて抑えて、第1ステッピングモーター81を回転させることができる。従って、ビビリ音のような騒音が生じない。
具体的に、図9に示すように、2601[pps(Hz)]は、通常モードで生じ得る最も大きな振動量(振動加速度30m/s2)の1/3に振動量が抑えられる予め定められた静音モード周波数帯に属する周波数である。特に、図9に示すように、2601[pps(Hz)]は、通常モードで第1ステッピングモーター81の回転に基づき生ずる振動の振動量が最も小さくなる周波数(振動加速度10m/s2未満となる周波数)といえる。
そして、通常モード、静音モードでは、図10に示すように、第1画像処理部9は、操作パネル3で設定された倍率に応じた画像データを生成するうえで、原稿Dの読み取りでの副走査方向でのライン数が必要なライン数よりも足りないとき(静音モードでは147%を超える倍率のとき)、ライン(画素)を補間する画像処理を行い、原稿Dの読み取りでの副走査方向でのライン数が必要なライン数よりも多いとき(通常モードで等倍未満のとき、静音モードで147%未満の倍率のとき)、副走査方向でのライン数を間引く画像処理を行う。
又、通常モードと静音モードでは、第1画像処理部9は、操作パネル3で設定された倍率が100%を超えているとき、設定された倍率に応じて足りないライン数(画素数)だけ主走査方向で画素を補間する画像処理を行い、操作部で設定された倍率が100%未満であるとき、設定された倍率に応じて余分なライン(画素数)だけ、主走査方向で画素を間引く画像処理を行う。
このようにして、本実施形態に係る画像読取装置10は、原稿Dに光を照射する光源部26と、原稿Dの反射光が入射され、主走査方向の1ライン単位で画像信号を出力するイメージセンサー27と、原稿Dの反射光をイメージセンサー27に導く光学系部材(第1ミラー281、第2ミラー282、第3ミラー283、レンズ25)と、原稿Dの読み取りでの倍率の入力を受け付けるとともに、通常モードと静音モードを含む原稿Dの読み取りモードの選択を受け付ける操作部(操作パネル3)と、イメージセンサー27から出力された画像信号に基づき、原稿Dの画像データを操作部で設定された倍率に応じた画素数で生成する画像処理部(第1画像処理部9)と、原稿Dと光源部26の何れか一方、又は、両方を移動させるためのステッピングモーター(第1ステッピングモーター81、第2ステッピングモーター82)と、パルス信号を生成し、生成したパルス信号をステッピングモーターに入力し、生成したパルス信号の周波数に応じた速度でステッピングモーターを回転させる信号生成部(第1信号生成部17、第2信号生成部29)と、を含み、 静音モードでの読み取りのとき、信号生成部は、予め定められた静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成してステッピングモーターに入力し、静音モード周波数帯は、ステッピングモーターの回転に基づく振動が予め定められた基準振動レベル以下となる周波数帯であることとした。
これにより、ステッピングモーター(第1ステッピングモーター81、第2ステッピングモーター82)を回転させたときに生ずる振動のレベル(大きさ)を抑えつつ、原稿Dの読み取りを行うことができる。そして、ステッピングモーターの回転に基づく振動を抑えることができるので、原稿Dの読み取り時での振動に起因する音の発生を抑えることができる。従って、静かな画像読取装置10を提供することができる。しかも、従来のように、振動や振動による騒音を防ぐために、高価な低振動型のステッピングモーターを用いることや、振動抑制部材の追加も必要ない。従って、画像読取装置10の製造コストを上昇させることなく、原稿Dの読み取り時に生ずる振動と、振動に起因する発生音を抑えることができる。
又、信号生成部(第1信号生成部17、第2信号生成部29)は、操作部で静音モードでの原稿Dの読み取りが選択されたとき、静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成してステッピングモーター(第1ステッピングモーター81、第2ステッピングモーター82)に入力し、操作部で通常モードでの原稿Dの読み取りが選択されたとき、操作部で設定された倍率に応じた副走査方向でのライン数で原稿Dの読み取りが行われる周波数のパルス信号を生成してステッピングモーターに入力することとした。これにより、静音モードが選択されたとき、ステッピングモーターの回転に起因する振動や発生音を抑えて、原稿Dの読み取りを行うことができる。又、通常モードが選択されたとき、倍率に応じた副走査方向でのライン幅で読み取りが行われるように、副走査方向に原稿Dや光源部26を移動させることができ、画質を重視した読み取りを行うことができる。
又、本実施形態の画像読取装置10は、載置された原稿Dを一枚ずつ、光源部26が光を照射する読み取り位置(搬送読取用コンタクトガラス21a)に向けて搬送する原稿搬送部1を含み、ステッピングモーターは、原稿搬送部1に含まれ、原稿Dを搬送する第1ステッピングモーター81であり、第1ステッピングモーター81は、原稿Dを搬送する原稿搬送用回転体を回転させることとした。これにより、原稿搬送のため、第1ステッピングモーター81を回転させたときに生ずる振動や、振動に基づく発生音を抑えることができる。
又、本実施形態の画像読取装置10は、光源部26を移動させて、コンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス21b)に載置された原稿Dへの光の照射位置を移動させる移動部(第1移動枠221、第2移動枠222、巻取ドラム24、ワイヤー)を含み、ステッピングモーターは、移動部を動作させて光源部26を移動させる第2ステッピングモーター82であることとした。これにより、光源部26などを移動させるため、第2ステッピングモーター82を回転させたときに生ずる振動や、振動に基づく発生音を抑えることができる。
又、画像処理部(第1画像処理部9)は、操作部(操作パネル3)で設定された倍率に応じた画像データを生成するうえで、原稿Dの読み取りでの副走査方向でのライン数が必要なライン数よりも足りないとき、ラインを補間する画像処理を行い、原稿Dの読み取りでの副走査方向でのライン数が必要なライン数よりも多いとき、副走査方向でのライン数を間引く画像処理を行い、操作部で設定された倍率が100%を超えているとき、操作部で設定された倍率に応じて主走査方向で画素を補間する画像処理を行い、操作部で設定された倍率が100%未満であるとき、操作部で設定された倍率に応じて、主走査方向で画素を間引く画像処理を行うこととした。これにより、操作部で設定された倍率に応じた画素数(解像度)の原稿Dの画像データを生成することができる。
又、信号生成部(第1信号生成部17、第2信号生成部29)は、静音モード周波数帯の周波数のパルス信号を生成するとき、ステッピングモーター(第1ステッピングモーター81、第2ステッピングモーター82)の回転に基づく振動が最も小さくなる周波数のパルス信号を生成することとした。これにより、ステッピングモーターで生ずる振動を最も抑えた状態で原稿Dの読み取りを行うことができる。従って、ステッピングモーターを回転させても、振動により生ずる音の大きさを最低レベルに抑えることができる。
又、静音モード周波数帯は、ステッピングモーター(第1ステッピングモーター81、第2ステッピングモーター82)の回転に基づく振動が、通常モードの読み取りで生ずる最も大きな振動レベルよりも、1/3以下の振動レベルとなる周波数帯であることとした。これにより、ステッピングモーターで生ずる振動を、通常モードで生じ得る振動よりも大幅に抑えた状態で原稿Dの読み取りを行うことができる。従って、ステッピングモーターを回転させても、振動により生ずる音を小さな音に抑えることができる。
又、本実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、実施形態に係る画像読取装置10と、画像読取装置10で生成された画像データに基づき、用紙の搬送を行いつつ印刷を行う印刷エンジン部70を含み、静音モードが選択されているとき、印刷エンジン部70は、通常モードが選択されているときよりも遅い印刷速度で印刷を行うこととした。これにより、原稿Dの読み取りと、印刷を並行して行っても、画像形成装置から生ずる合計の音量を抑えることができる。従って、静音性の高い画像形成装置を提供することができる。
又、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、印刷エンジン部70に、印刷時に回転する回転体を回転させるためのステッピングモーターである第3ステッピングモーター83と、パルス信号を生成し、生成したパルス信号を第3ステッピングモーター83に入力し、生成したパルス信号の周波数に応じた速度で第3ステッピングモーター83を回転させる本体側信号生成部73を含み、静音モードが選択されているとき、本体側信号生成部73は、予め定められた第3ステッピングモーター83の静音モード周波数帯に含まれる周波数のパルス信号を生成して第3ステッピングモーター83に入力し、第3ステッピングモーター83の静音モード周波数帯は、第3ステッピングモーター83の回転に基づく振動が予め定められた基準振動レベル以下となる周波数帯であることとした。これにより、印刷のために第3ステッピングモーター83を回転させたとき、第3ステッピングモーター83から生ずる振動を抑えることができる。従って、印刷時に振動から生ずる音が小さく、静音性の高い画像形成装置を提供することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、これに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。