JP5841422B2 - C重油組成物およびその製造方法 - Google Patents

C重油組成物およびその製造方法 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明はC重油組成物およびその製造方法に関し、詳しくは、ボイラー、ディーゼル機器、ガスタービン等の燃焼機器や船舶用の燃料として用いられるC重油組成物に関する。
C重油は、ボイラー等の外燃機器燃料、大型船舶や発電用などのディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などとして広く用いられている。
様々な用途に用いられるC重油の中で、特に船舶用C重油は、諸外国などで積み込まれることもあり、燃焼障害が原因のエンジントラブルがしばしば生じており、大きな問題となっている。このため、着火性能、燃焼性能が優れ、燃焼障害を発生しないC重油の要望が高まっている(非特許文献1参照)。
このようなC重油の燃焼性を改善するものとして、特許文献1(特開平8−277396号公報)には、重質油を水および特定の非イオン性界面活性剤により水中油滴型重質油エマルジョンとして、エマルジョン粒子径および粘度を特定の範囲に制御して、さらに予備加熱後に燃焼させる方法が開示されている。
また、特許文献2(特開2003−96474号公報)には、接触分解軽質軽油(LCO)を50%以上含有し、かつセタン指数を規定することにより燃焼性の改善を図る方法が開示されている。
しかしながら、上記のように、近年、船舶用燃料油の品質は低質化が著しく、スラッジ生成や着火性および燃焼性が低下している。このために搭載する大型ディーゼル機関において燃焼障害が頻繁に発生し、発煙、排気温度の上昇、排気系の汚染、シリンダ、リングなどの異常摩耗などの原因ともなっており、これらは何れも現実的な解決策を示していない。
特開平8−277396号公報 特開2003−96474号公報
野村宏次,「舶用燃料の科学」,成山堂,1994年,p.164−166
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、スラッジが生成し難く、着火性能、燃焼性能が優れ、外燃機器、ディーゼル機器、ガスタービン機器などの燃焼機器を安定に運転することが可能で、容量発熱量が大きいC重油組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の基材を組み合わせることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]常圧蒸留軽油(直留軽油)、常圧蒸留残油、残油脱硫重油、減圧蒸留軽油、減圧蒸留残油、エキストラクト油、および接触分解軽油から選ばれる1種もしくは2種以上のC重油基材をC重油組成物全量基準で60容量%以上99容量%以下、および全芳香族分が50容量%以上、15℃における密度が0.99〜1.07g/cmである接触分解残油を組成物全量基準で1容量%以上40容量%以下配合することを特徴とする2環芳香族炭化水素含有量が10容量%以上30容量%以下であるC重油組成物の製造方法。
[2]前記接触分解残油の50℃の動粘度が15〜300mm/s、硫黄分が2.5質量%以下、窒素分が0.2質量%以下、残留炭素分が7質量%以下、容量発熱量が43.0MJ/L以上であることを特徴とする前記[1]に記載のC重油組成物の製造方法。
[3]前記接触分解残油のガスクロマトグラフ法蒸留における10容量%留出温度(T10)が300〜370℃、50容量%留出温度(T50)が380〜480℃、90容量%留出温度(T90)が400〜600℃であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のC重油組成物の製造方法。
[4]C重油組成物が、15℃における密度が0.85〜1.05g/cm、50℃の動粘度が400mm/s以下、硫黄分が3.5質量%以下、窒素分が1.0質量%以下、引火点が70℃以上であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のC重油組成物の製造方法。
本発明の方法により、スラッジが生成し難く、着火性、燃焼性に優れ、容量発熱量が大きいC重油組成物を製造することができる。従って、本発明のC重油組成物は、ボイラー等の外燃機器燃料、大型船舶や発電用などのディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などの燃料として非常に有用である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明は、常圧蒸留軽油(直留軽油)、常圧蒸留残油、残油脱硫重油、減圧蒸留軽油、減圧蒸留残油、エキストラクト油、および接触分解軽油から選ばれる1種もしくは2種以上のC重油基材をC重油組成物全量基準で60容量%以上99容量%以下、および全芳香族分が50容量%以上、15℃における密度が0.99〜1.07g/cmである接触分解残油を組成物全量基準で1容量%以上40容量%以下配合することを特徴とする2環芳香族炭化水素含有量が10容量%以上30容量%以下であるC重油組成物を製造する方法である。
接触分解残油の配合量の下限はC重油組成物全量基準で1容量%以上であることが必要であり、5容量%以上が好ましく、10容量%以上がより好ましく、15容量%以上がさらに好ましい。一方、接触分解残油の配合量の上限は40容量%以下であることが必要であり、35容量%以下が好ましく、30容量%以下がより好ましい。接触分解残油の配合割合が1容量%未満の場合には、相溶性低下によりスラッジが生成し易くなるため好ましくなく、また40容量%を超えると燃焼性が悪化するため好ましくない。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の全芳香族分は、カットバック材として相溶性確保の観点から50容量%以上であることが必要であり、60容量%以上であることが好ましく、70容量%以上であることがより好ましく、80容量%以上であることがさらに好ましく、90容量%以上であることが最も好ましい。ここで、全芳香族分とは、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」で測定される全芳香族分の含有量を意味する。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の15℃における密度は0.99g/cm以上1.07g/cm以下であることが必要であり、1.00g/cm以上1.06g/cm以下であることが好ましく、1.01g/cm以上1.05g/cm以下であることがさらに好ましい。ここで、15℃における密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られる値を表すものを意味する。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の全芳香族分および15℃における密度以外の性状に特に制限はないが、以下の性状を有することが好ましい。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の50℃における動粘度は15mm/s以上300mm/s以下であることが好ましい。C重油の良質なカットバック材の観点から50℃における動粘度の上限は250mm/s以下であることがより好ましく、200mm/s以下であることがさらに好ましく、下限は30mm/s以上であることが好ましく、50mm/s以上であることがより好ましい。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の硫黄含有量(硫黄分)は2.5質量%以下であることが好ましく、燃焼排ガス中の硫黄化合物低減の観点から1.5質量%以下がより好ましく、0.5%質量%以下がさらに好ましい。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の窒素含有量(窒素分)は0.2質量%以下であることが好ましく、燃焼排ガス中の窒素化合物低減の観点から0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の蒸留性状は初留点(IBP)は好ましくは190℃以上245℃以下、より好ましくは200℃以上230℃以下、10容量%留出温度(T10)は好ましくは300℃以上370℃以下、より好ましくは310℃以上350℃以下、50容量%留出温度(T50)は好ましくは380℃以上480℃以下、より好ましくは400℃以上450℃以下、90容量%留出温度(T90)は好ましくは400℃以上600℃以下、より好ましくは420℃以上550℃以下、終点(EP)は好ましくは450℃以上650℃以下、より好ましくは500℃以上600℃以下である。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の残留炭素分は7質量%以下であることが好ましく、燃焼排ガス中のばいじん低減の観点から5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油の容量発熱量は43.0MJ/L以上であることが好ましく、燃料消費量削減の観点から43.2MJ/L以上がより好ましく、43.5MJ/L以上がさらに好ましく、44.0MJ/L以上が最も好ましい。
なお、50℃における動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られる値を、硫黄含有量とは、JIS K
2541「原油及び石油製品―硫黄分試験方法」の「放射線式励起法」に準拠して測定される硫黄含有量を、窒素含有量とは、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に準拠して測定される窒素含有量を、蒸留性状とは、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法」に準拠して測定されるものを、残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分の求め方」に準拠して測定される残留炭素分を、容量発熱量とは、JIS K 2279「原油及び石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法」の「発熱量試験方法」に準拠して測定される単位容量当たりの総発熱量(MJ/L)を意味する。
本発明のC重油組成物に配合される接触分解残油は、重質油処理プロセスの一つである流動接触分解(FCC:Fluid Catalytic Cracking)装置から得られる残油留分である。ここで、流動接触分解とは原料油(石油系炭化水素)を流動接触分解触媒(以下、「FCC触媒」ともいう。)と接触させることによって分解し、接触分解ガソリン、液化石油ガス、アルキル化原料、接触分解軽油、接触分解残油等の生成物を得る方法である。原料、FCC触媒及び添加剤の接触方式としては、FCC触媒の流動ベッドで行う方式や、FCC触媒と原料とが共に管中を移動するライザークラッキングのような方式等があるが、本発明はいずれの方式から得られる接触分解残油を用いることができる。
接触分解の原料油は、特に限定されるものではなく、常圧蒸留装置より得られる常圧蒸留残油、重油直接脱硫装置より得られる直脱脱硫残油、減圧脱硫装置より得られる減圧脱硫軽油、水素化分解装置より得られる水素化分解残油等を用いることができる。
接触分解における反応条件は、特に限定されるものではなく、通常の反応条件が採用される。例えば、反応温度を480℃〜650℃程度、反応器内の圧力を0.1MPa〜0.3MPa程度、FCC触媒と原料油との質量比(FCC触媒/原料油)を1〜20程度、接触時間を0.1秒〜10秒程度にそれぞれ設定することができる。
本発明のC重油組成物の製造方法において、接触分解残油以外に配合するC重油基材は特に限定されないが、常圧蒸留軽油(直留軽油)、常圧蒸留残油、残油脱硫重油、減圧蒸留軽油、減圧蒸留残油、エキストラクト油、接触分解軽油等が挙げられる。本発明において、接触分解残油にこれらのC重油基材を、1種単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。ここで、常圧蒸留軽油、および常圧蒸留残油とは、常圧蒸留装置で原油を常圧において蒸留して得られる軽油、および残油である。残油脱硫重油とは、残油脱硫装置において常圧残油または減圧残油を脱硫したときに得られる重油である。減圧蒸留軽油、および減圧蒸留残油とは、減圧蒸留装置で常圧残油を減圧下で蒸留して得られる軽油、および残油である。エキストラクト油とは、潤滑油原料用減圧蒸留装置からの留分を、溶剤抽出法により抽出分離したもののうち潤滑油に適さない芳香族成分のことである。接触分解軽油とは、流動接触分解装置において減圧蒸留軽油、減圧蒸留残油等を分解して得られる軽油である。
本発明に係るC重油組成物において、かかるC重油基材の配合割合は、C重油組成物全量基準で60容量%以上99容量%以下である。好ましくは65容量%以上、より好ましくは70容量%以上、さらに好ましくは75容量%以上であり、また好ましくは95容量%以下、より好ましくは90容量%以下、さらに好ましくは85容量%以下である。
本発明に係るC重油組成物は、前述の接触分解残油を必須成分として用いて得られるJIS3種重油規格を満たすC重油組成物であることが必要である。
本発明の方法により、2環芳香族炭化水素含有量(2環芳香族分)が10容量%以上30容量%以下であるC重油組成物が製造される。2環芳香族炭化水素含有量の下限は、相溶性を確保し、スラッジ生成を抑制するため10容量%以上が好ましく、上限は燃焼性確保のため30容量%以下であることが好ましく、25容量%以下であることがより好ましく、20容量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明において2環芳香族炭化水素含有量とは、石油学会法JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィー法による組成分析法」により分取された芳香族分を、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」により測定した2環芳香族炭化水素含有量を意味する。
本発明に係るC重油組成物の2環芳香族炭化水素含有量以外の性状については特に制約はないが、以下の性状を有することが好ましい。
本発明に係るC重油組成物の15℃密度(15℃における密度)は0.85g/cm以上であることが好ましく、0.88g/cm以上であることがより好ましく、0.90g/cm以上であることが最も好ましい。また、1.05g/cm以下であることが好ましく、1.00g/cm以下であることがより好ましく、0.99g/cm以下であることが最も好ましい。15℃密度が0.85g/cm未満の場合は容量当りの発熱量が小さくなるため好ましくなく、1.05g/cmより大きい場合は、燃焼障害を発生しやすくなるため好ましくない。
本発明に係るC重油組成物の70℃密度(70℃における密度)は0.80g/cm以上であることが好ましく、0.83g/cm以上であることがより好ましい。また、1.00g/cm以下であることが好ましく、0.95g/cm以下であることがより好ましい。70℃密度が0.80g/cm未満の場合は容量当りの発熱量が小さくなるため好ましくなく、1.00g/cmより大きい場合は、燃焼障害が発生しやすくなるため好ましくない。
本発明において、密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られる値を表すものを意味する。
本発明に係るC重油組成物の50℃における動粘度は400mm/s以下であることが好ましく、380mm/s以下であることがより好ましく、360mm/s以下であることが最も好ましい。50℃における動粘度が400mm/sより高い場合は、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明に係るC重油油組成物の100℃における動粘度は50mm/s以下であることが好ましく、45mm/s以下であることがより好ましい。100℃における動粘度が50mm/sより高い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明において、動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明に係るC重油組成物の硫黄分は3.5質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。硫黄分が3.5質量%より多い場合はエンジンから排出される硫黄酸化物が増加する懸念がある。
本発明において硫黄分とは、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明に係るC重油組成物の窒素分は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。窒素分が1.0質量%より多い場合はエンジンから排出される窒素酸化物が増加する懸念がある。
本発明において窒素分とは、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明に係るC重油組成物の引火点は、取り扱い上の安全性の点から、70℃以上であることが好ましく、より好ましくは72℃以上である。
なお、本発明でいう引火点とは、JIS K 2265「引火点の求め方」のペンスキーマルテンス密閉法で測定される値を意味する。
本発明に係るC重油組成物のCCAIは900以下であることが好ましく、870以下であることがより好ましい。CCAIが900より高い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明において、CCAI(Calculated Carbon Aromaticity Index:国際燃焼機関会
議の決定に準拠)とは、芳香族含有量と着火性との関連に着目した指標であり、芳香族性を簡便的に重油の密度、粘度に代表させて次式で算出される。
CCAI=D−140.7log (log(V+0.85))−80.6
(D:15℃における密度(kg/m),V:50℃における動粘度(mm/s))
本発明に係るC重油組成物の残留炭素分は15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。残留炭素分が15質量%より多い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明において残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分の求め方」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明に係るC重油組成物の灰分は0.10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。灰分が0.10質量%より多い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明おいて、灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品−灰分及び硫酸灰分試験方法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明に係るC重油組成物のバナジウム含有量は100質量ppm以下であることが好ましく、80質量ppm以下であることがより好ましい。バナジウムの含有量が100質量ppmより多い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明おいて、バナジウム含有量とは、JPI−5S−11「重油中のバナジウム分試験方法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明に係るC重油組成物の水分は0.5容量%以下であることが好ましく、0.3容量%以下であることがより好ましい。水分が0.5容量%より多い場合、冬季では氷となって析出し、金属腐食やフィルター目詰まりを引き起こしやすくなる。
なお、本発明でいう水分とは、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」により測定される値を意味する。
本発明に係るC重油組成物の燃料着火性試験機測定による着火遅れは15ms以下であることが好ましい。ディーゼルエンジン機器を安定に運転するには、燃料が燃焼室内に噴射されて着火するまでの時間が短いことが有効であることから、燃料着火性試験機測定による着火遅れが15ms以下であることが好ましく、より好ましくは13ms以下であり、さらに好ましくは11ms以下である。
本発明に係るC重油組成物の燃料着火性試験機測定による燃焼時間は25ms以下であることが好ましい。ディーゼルエンジン機器を安定に運転するには、燃焼室内での火炎の長さが短いことが有効であることから、燃料着火性試験機測定による燃焼時間が25ms以下であることが好ましく、より好ましくは22ms以下であり、さらに好ましくは20ms以下である。
本発明において、燃料着火性試験機とは、フューエルテック社製の「Fuel Ignition Analyser:FIA−100」であり、容積1L,圧力4.5MPa,温度450℃の空気で満たした定容燃焼室内に120℃に加熱した燃料を噴射圧力20MPaで約0.1ml噴射し、燃焼室内の圧力変化より着火遅れ時間や燃焼時間を測定する。
本発明において、着火遅れとは、燃焼室内圧力が初圧から0.02MPa上昇した時の時間である。
本発明において、燃焼時間とは、最高圧力到達時間から着火遅れ時間を引いた時間である。
本発明に係るC重油組成物の熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下(100ml/分)での10%重量減少温度が400℃以下であることが好ましく、350℃以下であることがより好ましい。熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での10%重量減少温度が400℃より高い場合、燃焼障害を起こしやすくなる。
本発明において、熱重量−示差熱分析とは、試料を所定の温度条件で昇温し、気化・熱分解等に伴う重量減少と気化・酸化・熱分解等に伴う熱量の変化を同時に計測する分析方法である。具体的には、試料約10mgを内径5mmの白金製パンに秤り取り、RIGAKU社製Thermoflex TAS300にセットする。次に、試料を室温から1000℃まで100℃/分で昇温する。
本発明に係るC重油組成物の熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下(100ml/分)での50%重量減少温度が600℃以下であることが好ましく、550℃以下であることがより好ましい。熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での50%重量減少温度が600℃より高い場合、燃焼障害を起こしやすくなる。
本発明に係るC重油組成物の熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下(100ml/分)での90%重量減少温度が800℃以下であることが好ましく、750℃以下であることがより好ましい。熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での90%重量減少温度が800℃より高い場合、燃焼障害を起こしやすくなる。
本発明に係るC重油組成物は、必要に応じて低温流動性向上剤、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、識別剤、着色剤等の各種添加剤を含有することもできる。
上述の添加剤は、常法に従い合成したものを用いてもよく、また市販の添加剤を用いてもよい。なお、市販されている添加剤は、その添加剤が目的としている効果に寄与する有効成分を適当な溶剤で希釈している場合もある。有効成分が希釈されている市販添加剤を使用する場合には、C重油組成物中の性状が上記の条件を満たすように市販添加剤を添加することが好ましい。なお、添加量としては任意であるが、C重油組成物全量基準で、通常0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
実施例1〜4の試験燃料は、表1に示す接触分解残油、および減圧蒸留装置で常圧残油を減圧下で蒸留して得られる減圧蒸留残油および常圧蒸留装置で原油を常圧において蒸留して得られる直留軽油を用いて調製した。比較例1〜2として接触分解残油未使用の試料、および市場品を用意した。
これらの試料について評価した結果を表2に示す。なお、C重油組成物の性状測定は、上述の試験法、測定法に準拠して行った。
ドライスラッジの測定は、ISO 10307−1に準拠して行なった。
表2より本発明にかかるC重油組成物は、着火性、燃焼性が市場品と同等以上で、かつスラッジの生成を抑制でき、容量発熱量が大きいことが分かる。
Figure 0005841422
Figure 0005841422
本発明のC重油組成物は、スラッジが生成し難く、着火性、燃焼性に優れ、容量発熱量が大きいものである。従って、本発明のC重油組成物は、ボイラー等の外燃機器燃料、大型船舶や発電用などのディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などの燃料として非常に有用である。

Claims (4)

  1. 常圧蒸留軽油(直留軽油)、常圧蒸留残油、残油脱硫重油、減圧蒸留軽油、減圧蒸留残油、エキストラクト油、および接触分解軽油から選ばれる1種もしくは2種以上のC重油基材をC重油組成物全量基準で60容量%以上99容量%以下、および全芳香族分が50容量%以上、15℃における密度が0.99〜1.07g/cmである接触分解残油を組成物全量基準で1容量%以上40容量%以下配合することを特徴とする2環芳香族炭化水素含有量が10容量%以上30容量%以下であるC重油組成物の製造方法。
  2. 前記接触分解残油の50℃の動粘度が15〜300mm/s、硫黄分が2.5質量%以下、窒素分が0.2質量%以下、残留炭素分が7質量%以下、容量発熱量が43.0MJ/L以上であることを特徴とする請求項1に記載のC重油組成物の製造方法。
  3. 前記接触分解残油のガスクロマトグラフ法蒸留における10容量%留出温度(T10)が300〜370℃、50容量%留出温度(T50)が380〜480℃、90容量%留出温度(T90)が400〜600℃であることを特徴とする請求項1または2に記載のC重油組成物の製造方法。
  4. C重油組成物が、15℃における密度が0.85〜1.05g/cm、50℃の動粘度が400mm/s以下、硫黄分が3.5質量%以下、窒素分が1.0質量%以下、引火点が70℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のC重油組成物の製造方法。
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