JP5838046B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、多層フィルムを、タイヤサイドウォールの少なくとも一部に配置したタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤの外観、特にサイド部の外観を向上させることは、空気入りタイヤの商品価値を高める上で重要であり、従来より種々の提案がなされている。
例えば、トレッド部やサイド部等のタイヤ本体を構成するゴム組成物に、ジアミン系老化防止剤とともに、特定の紫外線吸収剤を配合することにより、経時的な変色を防止することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、製品タイヤの表面に塗布することで光沢を付与する表面保護艶だし剤も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、タイヤの外観とともに耐候性を向上させるという機能付与の観点から、サイドウォールゴム層の外側に、ナイロンフィルム層を設けた空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、耐オゾンクラック性を付与しながら、外観を向上させるといった観点から、超高分子量のポリエチレンからなる薄膜をサイドウォール表面にラミネートした空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
一方、近年のユーザーの多嗜好、パーソナル化、高級化の傾向と相俟って、例えば色味を例に挙げても、見る方向によって色味が変わったり、より彩度の高い色味を有する優美かつ高級感のある風合い等が要望されるようになってきた。そのため、染料や顔料等の色素を使わず光の反射・干渉、回折、散乱等の物理現象を積極的に使って発色する構造体や、あるいはそれらの物理現象による発色と従来の染料や顔料等による発色とを組み合わせて、両者の相乗効果により一層鮮やかに発色させる構造体の研究がなされている(例えば、特許文献5参照)。
特開2006−143889号公報 特開2002−241705号公報 特開平07−096719号公報 特開平03−292205号公報 特開平11−127434号公報
しかしながら、例えば特許文献3及び4に開示されたタイヤでは、前記のような、近年の外観意匠の多様化という観点からは十分なものでなかった。また、これらの特許文献に開示された単なる熱可塑性樹脂フィルムでは、柔軟性が乏しく、伸びにくいため、タイヤ加硫時におけるタイヤ本体の膨張及びその後の収縮に十分に追従することが難しく、そのため、タイヤ製造段階でシワが入ったり、捲れてしまうという問題があった。
さらに、特許文献5に開示の発色構造体は、自動車塗装用の塗料等に用いられるものであるため、堅くて平滑な面上に塗膜等として形成される用途としては適しているが、タイヤに用いる場合には上記と同様の問題があった。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、タイヤサイド部表面の光の反射を変えることで外観を向上させ、優れた意匠性を有するタイヤを提供するとともに、タイヤの歪変化を色相により確認可能な、日常管理性にも優れたタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、タイヤサイドウォール外面の少なくとも一部に、特定の光学特性を有する多層フィルムを配置することにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
〔1〕 多層フィルムを、タイヤサイドウォール外面の少なくとも一部に配置したタイヤであって、
前記多層フィルムが、隣接層間の屈折率差が0.01以上である薄層を交互に積層した複数の薄層からなる光学層を有し、前記薄層の平均厚みが0.01μm以上0.5μm以下であるタイヤ、
〔2〕 前記複数の薄層のうちの少なくとも1層の23℃におけるヤング率(JIS K7161−1994)が、0.1MPa以上500MPa以下である〔1〕請求項1に記載のタイヤ、
〔3〕 前記光学層が3層以上の薄層を積層してなる〔1〕または〔2〕に記載のタイヤ、
〔4〕 前記多層フィルムが、共押出工程により製膜される〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔5〕 前記複数の薄層のうちの少なくとも1層が、熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔6〕 前記熱可塑性エラストマーが、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びシリコーン系熱可塑性エラストマーの中から選ばれる少なくとも1種である〔5〕に記載のタイヤ、
〔7〕 前記複数の薄層中の隣接層における屈折率が高い方の薄層が、金属微粒子及び金属酸化物微粒子の少なくともいずれかを含む〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のタイヤ、及び
〔8〕 前記複数の薄層中の隣接層における屈折率が低い方の薄層が、中空微粒子を含む〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、タイヤサイド部表面の光の反射を変えることで外観を向上させ、優れた意匠性を有するタイヤを提供するとともに、タイヤの歪変化を色相により確認可能な日常管理性にも優れたタイヤを提供することができる。
本発明における多層フィルムの構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明における多層フィルムの構造の他の一例を示す模式的断面図である。 本発明のタイヤの構造の一例を示す概略部分断面図である。
以下、本発明に係るタイヤについて詳細に説明する。
本発明のタイヤは、多層フィルムを、タイヤサイドウォールの少なくとも一部に配置したタイヤであって、前記多層フィルムが、隣接層間の屈折率差が0.01以上である薄層を交互に積層した複数の薄層からなる光学層を有し、前記薄層の平均厚みが0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とする。
<多層フィルム>
まず、本発明における多層フィルムについて説明する。
本発明における多層フィルムは、隣接層間の屈折率差が0.01以上である薄層を交互に積層した複数の薄層からなる光学層を有する。屈折率の異なる互いに独立した薄層の交互積層体からなる光学層は、自然光の反射・干渉作用によって可視光線領域の波長の色を干渉、発色する。その発色は金属光沢のような明るさがあり、特定波長の純粋で鮮明な色(単色)を呈し、染料や顔料の光の吸収による発色とは全く異なったものである。上記光学干渉効果には、隣接する薄層間の屈折率差、各層の光学的距離(屈折率×各層の厚み)及び積層数が大きく影響するが、その中でも、優れた光学干渉効果を得るために薄層間の屈折率差は重要な因子である。
本発明において、前記隣接する薄層間の屈折率差は0.01以上であることが必要である。屈折率差が0.01に満たないと、高屈折率を得るために積層層数をかなり多くする必要があり、実用的な製造条件において実際に人間の目で色味として認知できなくなるからである。
上記隣接する薄層間の屈折率差は0.02以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。なお、該屈折率差の上限は1.0程度である。
本発明における多層フィルムの構造について、図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明における多層フィルムを、フィルム表面と垂直な面で直角に切断した場合の断面形状を模式的に示したものである。
図1は、薄層A及び薄層Bが交互に積層してなる多層構造体部10(光学層)の断面形状を示す。また、本発明における多層フィルムは光学層を有していればよく、例えば図2に示すように、多層構造体部10の外周に保護層部20が設けられたものであってもよい。図1及び図2の断面形状においては、いずれも薄層A及び薄層Bが、フィルム面の長軸方向(図面では水平方向)と平行に多数交互に積層されている。本発明における光学干渉機能を有する光学層は、図1及び図2に示したように、薄層A及び薄層Bがフィルム面の長軸方向と平行に交互に積層していて、このことによって光学干渉に有効な面積を広く構成している。そして、光学干渉機能には、特に交互積層の平行性が重要になる。
前記多層フィルムの断面において、薄層の多層構造体部10におけるそれぞれの層の平均厚みは、0.01μm以上0.5μm以下であることが必要である。平均厚みが0.01μmより薄いと、期待する干渉効果を得ることができなくなり、一方、0.5μmを超えても期待する干渉効果を得ることはできない。上記薄層の平均厚みは、0.01μm以上0.4μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。
また、薄層A及び薄層Bにおける光学距離、すなわち、層の厚みと屈折率との積が等しいとき、さらに高い干渉効果を得ることができる。特に、一次の反射に等しい2つの光学距離の和の2倍が、所望の色の波長の距離と等しいとき、最大の干渉色となる。
以上のような構成を有する本発明における多層フィルムは、交互積層された各層の光学的距離(各薄層の屈折率×各薄層の厚み)が、フィルム断面の長軸方向にも短軸方向にもより均一になり、その結果、多層フィルムの反射スペクトルの半値幅λl=1/2が0nm<λl=1/2<200nmの範囲に収束する。反射スペクトルの半値幅が200nmを超えると、多層フィルムは多重に発色し、しかも互いに相殺するので、肉眼では発色を視認できなくなる。
ここで、入射0度/受光0度の場合での多層フィルムの反射スペクトルを例にとって説明する。この場合の発光ピーク波長は、多層構造体部10の層の光学的距離(=厚み)に関係しており、また、発光強度(基準白色板を用いる場合は相対反射率)は、多層構造体部10における薄層の積層数に関係している。すなわち、反射スペクトルは、ある光学的距離を満足するような集合体の分布を表している。したがって、ピーク波長の半値幅が広い場合は、多重の発色が観測されるだけでなく、発色強度が弱まってしまうので、優れた干渉効果が得られなくなってしまう。全可視光領域の発色の場合、白に呈色し肉眼では発色を視認できないが、多層構造体部10の場合、ある波長を発色する光学的距離(厚み)を持った層の総数が減少することにより、発色強度(相対反射率)も弱まってしまう。
上記観点から、多層構造体部10(光学層)は薄層を5層以上積層してなることが好ましく、7層以上積層してなることがより好ましい。
また、本発明における多層フィルムは、後述するようにタイヤサイドウォールに設けられるが、通常黒色であるサイドウォール面に、金属光沢のような明るさがあり鮮明な色味を有する多層フィルムを設けた場合、少なくともフィルム面と垂直方向からタイヤを見たときに、ある程度サイドウォール面の黒色が確認できることがタイヤ全体の意匠的配慮から望ましく、その観点から、多層フィルムにおける全光線透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
なお、多層フィルムの全光線透過率の測定は、全自動直読ヘイズコンピューター HGM−2DP(スガ試験機株式会社製)等を用いて、多層フィルムの厚み方向の全光線透過率を測定することにより行われる。
次に、前記多層構造体(本発明における光学層)の具体的な態様についてさらに説明する。
当該多層構造体は、例えば、熱可塑性樹脂フィルム(A層)とエラストマーを含む樹脂組成物からなる層(B層)とを備えて構成される。これにより、前記多層フィルムにおける発色強度及びフィルムとしての強度を維持することができると共に、延性の高いB層を有することにより、多層フィルムが全体として柔軟性を有することとなり、タイヤにおける歪変化の追従性、耐クラック性等に優れたものとなる。
かかる観点と製造上の観点とから、A層及びB層の合計の層数としては、5層以上が好ましく、7層以上がより好ましく、17層以上が更に好ましく、25層以上が特に好ましく、48層以上がとりわけ好ましく、65層以上が極めて好ましい。当該多層構造体は、さらに多層の構造体としてもよく、A層及びB層の合計の層数として、128層以上、256層以上、512層以上、1,024層以上とすることもできる。なお、この合計層数の上限は当該多層構造体の製造コスト等によって適宜選定される。
A層及びB層の積層順としては、A層とB層とが交互に積層されていることが必要である。このようにA層とB層とが交互に積層された積層体に、活性エネルギー線を照射することにより、積層される各層間の結合性が向上し高い接着性を発現することができる。その結果、当該多層構造体の層間接着性ひいては発色性、耐屈曲性等を格段に向上させることができる。また、A層とB層とを交互に積層することで、A層が両面からB層に挟まれるため、A層の延性がより向上される。
また、この多層構造体は、このようなA層及びB層からなる積層体の両面又は片面に、支持層が積層されてもよい。この支持層としては特に限定されず、例えば、一般的な合成樹脂層、合成樹脂フィルム等も用いられる。また、A層もしくはB層について一部を必要に応じて厚くすることもできる。
この多層構造体においては、熱可塑性樹脂フィルムからなるA層と共に、エラストマーを含む樹脂組成物からなるB層が積層されているため、例えば、A層として屈折率差を調整するために延性が低い熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合でも、延性の低い樹脂組成物からなるA層の延性をより高めることができる。これは、延性に優れたB層に、延性の低い樹脂組成物からなるA層を薄く積層させることで、この延性の低い樹脂組成物が、延性の高い状態に転移するためと考えられる。本発明においては、上記事実に着目し、A層が延性が低い材料からなる場合であっても、このように各層の厚みを非常に薄くすることで、本発明における多層フィルムに求められる発色性と耐屈曲性(柔軟性)とを高度に両立できることを見出された。
また、上記観点から、本発明に用いられる多層フィルムにおいては、前記複数の薄層のうちの少なくとも1層の23℃におけるヤング率(JIS K7161−1994)が、0.1MPa以上500MPa以下であることが好ましい。このように、多層構造体を構成する複数の薄層中に低ヤング率の薄層が含まれることにより、タイヤへ貼り付ける際の柔軟性と使用中の歪に対する耐屈曲性とをより有効に発現させることができる。当該低ヤング率の薄層としては、エラストマーを含む樹脂組成物からなるB層が好適である。
上記特定の薄層の23℃におけるヤング率は、0.1MPa以上100MPa以下であることがより好ましい。
なお、多層構造体の構成は、上記熱可塑性樹脂フィルム(A層)とエラストマーを含む樹脂組成物からなる層(B層)とを備える構成だけでなく、A層及びB層間の屈折率差が0.01以上となる構成であれば、例えば、エラストマーを含む樹脂組成物からなる層のみが積層された多層構造体(A層及びB層がともにエラストマーを含む樹脂組成物からなる層)であってもよい。すなわち、本発明においては、上記多層フィルムにおける柔軟性を確保するため、多層構造体を構成する複数の薄層のうちの少なくとも1層が、エラストマーを含む樹脂組成物からなることが好ましい。
さらに、本発明においては、上記のように多層フィルムが柔軟であるため、タイヤサイドウォールに配置された場合には、タイヤの歪変化に追従してフィルムが変形することとなり、それに伴って多層フィルムに入射する光の角度、反射する光の角度が変化するため、反射光の波長(すなわち色味)が変化することとなる。したがって、例えばタイヤの内圧低下による歪変化をタイヤサイド面の色味により確認することができ、タイヤの日常管理にも有効に用いることができる。
A層一層、B層一層の平均厚みの上下限値は前述の通りであるが、平均厚みが前記下限より小さいと、均一な厚さで成形することが困難になり、当該多層構造体の発色性及びその耐屈曲性が低下するおそれがある。逆に、平均厚みが前記上限を超えると、当該多層構造体全体の厚みが同じである場合、当該多層構造体の発色性及び耐クラック性が低下するおそれがある。なお、A層一層及びB層一層の平均厚みとは、当該多層構造体に含まれる全A層及び全B層の厚みの合計を、各々A層、B層の層数で除した値をいう。
なお、B層一層の平均厚みに関しては、B層一層の平均厚みのA層一層の平均厚みに対する比(B層/A層)が1以上、すなわちB層一層の平均厚みがA層一層の平均厚みと同じ又はそれ以上であることがさらに好ましく、2以上であることが特に好ましい。A層とB層との厚みの比をこのようにすることで、当該多層構造体が全層破断に至るまでの屈曲疲労特性が向上する。
当該多層構造体の厚みとしては0.1μm以上1,000μm以下が好ましく、0.5μm以上750μm以下がより好ましく、1μm以上500μm以下がさらに好ましい。当該多層構造体の厚みを上記範囲とすることで、上記のA層及びB層の一層の平均厚みを前記範囲とすることと相まって、これを有する多層フィルムのタイヤのサイドウォール部への適用性を維持しつつ発色性、耐屈曲性、耐クラック性、耐久性、延伸性などをさらに向上させることができる。ここで、多層構造体の厚みは、多層構造体の任意に選ばれた点での断面の厚みを測定することにより得られる。
以下に、本発明に適用し得る前記熱可塑性樹脂及びエラストマーについて説明する。
熱可塑性樹脂としては、形成される多層構造体において隣接層間の屈折率差を0.01以上とすることができるものであればよく、特に制限されず、様々な材料を用いることができる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂及びビニル系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、屈折率選択性、製膜性、機械的強度などの観点から、ポリアミド系樹脂が好適である。
(ポリアミド系樹脂)
前記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10等の脂肪族ポリアミド単独重合体;ナイロン−6/12、ナイロン−6/11、ナイロン−6/9、ナイロン−6/6,6、ナイロン−6/6,6/6,12等の脂肪族ポリアミド共重合体;ポリメタキシリレンアジパミド(MX−ナイロン)、ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド共重合体(ナイロン−6T/6I)等の芳香族ポリアミドが挙げられる。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの中でも、ナイロン−6及びナイロン−6,6が好適である。
(塩化ビニリデン系樹脂)
前記塩化ビニリデン系樹脂としては、ポリ塩化ビニリデンであってもよいが、通常、塩化ビニリデン系共重合体を好適に使用できる。塩化ビニリデン系共重合体は、塩化ビニリデンと共重合性モノマーとの共重合体であり、このような共重合性モノマーとしては、例えば、ハロゲン化ビニル(塩化ビニルなど)、カルボン酸ビニルエステル(例えば、酢酸ビニルなど)、不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸など)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、(メタ)アクリル酸C1-10 アルキルエステル)、(メタ)アクリロニトリルなどが例示される。
(ポリエステル系樹脂)
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸−ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステルなどが例示される。
(フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂)
前記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチルなどのポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
前記ビニル系樹脂としては、例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体系樹脂、塩化ビニリデン−メチルアクリレート共重合体系樹脂などが挙げられる。
また、本発明における多層構造体を構成する薄層には、ガスバリア性を有する層が含まれていてもよい。このガスバリア性を有する層を構成する樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ガスバリア性に加え、溶融成形性、B層との接着性などの点からエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂が特に好ましい。
熱可塑性樹脂からなるフィルム(A層)がガスバリア性を有する場合、20℃、65%RHにおける酸素透過係数は3.0×10-10cm3/cm2・sec・cmHg以下であることが好ましく、1.0×10-10cm3/cm2・sec・cmHg以下であることが更に好ましく、5.0×10-11cm3/cm2・sec・cmHg以下であることが一層好ましい。20℃、65%RHにおける酸素透過係数が3.0×10-10cm3/cm2・sec・cmHgを超えると、この熱可塑性樹脂フィルム(A層)をガスバリア層として用いる際に、タイヤの内圧保特性を高めるために、熱可塑性樹脂フィルム(A層)を厚くせざるを得ず、タイヤの重量を十分に低減できなくなる場合がある。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂(A1)からなるマトリクス中に、−20℃における貯蔵せん断弾性率G’が熱可塑性樹脂(A1)よりも低い柔軟樹脂(A2)を分散させた樹脂組成物を用いてもよい。
上記柔軟樹脂(A2)は、水酸基と反応する官能基を有することが好ましい。上記柔軟樹脂(A2)が水酸基と反応する官能基を有することで、熱可塑性樹脂(A1)中に柔軟樹脂(A2)が均一に分散するようになる。ここで、水酸基と反応する官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。かかる水酸基と反応する官能基を有する柔軟樹脂(A2)として、具体的には、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、他の樹脂、又は前述したラジカル架橋剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、硫黄など種々の添加剤を含んだ樹脂組成物であってもよい。熱可塑性樹脂の樹脂組成物が添加剤を含む場合、その量は樹脂組成物の総量に対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
次に、本発明に用いられ得るエラストマーとしては、特に制限はなく、従来公知の熱可塑性エラストマーの中から適宜選択される。
この熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(以下、「TPU」と称することがある)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びフッ素樹脂系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。これらの中でも、成形容易性の観点から、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びシリコーン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー)
ポリスチレン系滅可塑性エラストマーは、芳香族ビニル系重合体ブロック(ハードセグメント)と、ゴムブロック(ソフトセグメント)とを有し、芳香族ビニル系重合体部分が物理架橋を形成して橋かけ点となり、一方、ゴムブロックがゴム弾性を付与する。
このポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、その中のソフトセグメントの配列様式により、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、さらにはポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリエチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体などがある。
これらの中で、機械的強度、耐熱安定性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、柔軟性、加工性などのバランスの面から、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)及びスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が好適である。
(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー)
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントにポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンを、ソフトセグメントとしてエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムなどを用いた熱可塑性エラストマーを挙げることができる。これには、ブレンド型とインプラント化型がある。また、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン−1共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、あるいはハロゲン化ブチル系ゴム、変性ポリプロピレン、変性ポリエチレンなども挙げることができる。
(ポリジエン系熱可塑性エラストマー)
ポリジエン系熱可塑性エラストマーとしては、1,2−ポリブタジエン系TPE及びトランス1,4−ポリイソプレン系TPE、水添共役ジエン系TPE、エポキシ化天然ゴムなどを挙げることができる。
1,2−ポリブタジエン系TPEは、分子中に1,2−結合を90%以上含むポリブタジエンであって、ハードセグメントとして結晶性のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを、ソフトセグメントとして無定形1,2−ポリブタジエンとからなっている。
一方、トランス1,4−ポリイソプレン系TPEは、98%以上のトランス1,4構造を有し、ハードセグメントとしての結晶性トランス1,4セグメントと、ソフトセグメントとしての非結晶性トランス1,4セグメントからなっている。
(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)
ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)は、(1)ハードセグメントとして短鎖グリコールとイソシアネートとの反応で得られるポリウレタンと、(2)ソフトセグメントとして長鎖グリコールとイソシアネートとの反応で得られるポリウレタンとの、直鎖状のマルチブロックコポリマーである。ここでポリウレタンとは、イソシアネート(−NCO)とアルコール(−OH)の重付加反応(ウレタン化反応)で得られる、ウレタン結合(−NHCOO−)を有する化合物の総称である。
このTPUは、高分子ポリオール、有機ポリイソシアネート、鎖伸張剤等から構成される。この高分子ポリオールは、複数の水酸基を有する物質であり、重縮合、付加重合(例えば開環重合)、重付加などによって得られる。高分子ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール又はこれらの共縮合物(例えばポリエステル−エーテル−ポリオール)などが挙げられる。これらの高分子ポリオールは1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中で、ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールが特に好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、例えば、常法に従い、ジカルボン酸、そのエステル、その無水物等のエステル形成性誘導体と低分子ポリオールとを直接エステル化反応若しくはエステル交換反応によって縮合させるか、又はラクトンを開環重合することにより製造することができる。
(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)
ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)は、分子中のハードセグメントとしてポリエステルを、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテルあるいはポリエステルを用いた。マルチブロックコポリマーである。TPEEは分子構造の差によって、次のようなタイプがあり、ポリエステル・ポリエーテル型とポリエステル・ポリエステル型が主流を占めている。
(1)ポリエステル・ポリエーテル型TPEE
一般的には、ハードセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとしてはポリエーテルを用いるもの。
(2)ポリエステル・ポリエステル型TPEE
ハードセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントに脂肪族系ポリエステルを用いるもの。
(3)液晶性TPEE
特別なものとして、ハードセグメントとして剛直な液晶分子をソフトセグメントに脂肪族系ポリエステルを用いた液晶型TPEEがある。
(ポリアミド系熱可塑性エラストマー)
ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)は、ハードセグメントとしてポリアミドを、ソフトセグメントとしてTgの低いポリエーテルやポリエステルを用いた、マルチブロックコポリマーである。ポリアミド成分は、ナイロン6,66,610,11,12などから選択され、ナイロン6またはナイロン12が主体を占めている。
ソフトセグメントの構成物質には、ポリエーテルジオールまたはポリエステルジオールの長鎖ポリオールが用いられる。ポリエーテルの代表例は、ジオールポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)、ポリ(オキシプロピレン)グリコールなどである。ポリエステルジオールの代表例は、ポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4アジペート)グリコールなどである。
(シリコーン系熱可塑性エラストマー)
シリコーン系熱可塑性エラストマーは、オルガノポリシロキサンを主成分としたもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものもある。具体例としては、KEシリーズ(信越化学工業(株)製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)等が挙げられる。
エラストマー層を構成する樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、エラストマー材料以外の樹脂、又は前述したラジカル架橋剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラーなど種々の添加剤を含んでいてもよい。エラストマー層の樹脂組成物が添加剤を含む場合、その量は樹脂組成物の総量に対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
本発明における多層フィルム中の隣接する薄層のうち、屈折率の高い方の薄層を構成する樹脂は、1.50以上屈折率を有していることが好ましく、1.55以上の屈折率を有していることがより好ましい。一方、上記隣接する薄層のうち、屈折率の低い方の薄層を構成する樹脂は、1.55以下の屈折率を有していることが好ましく、1.50以下の屈折率を有していることがより好ましい。
このような観点から見た場合、本発明における光学層である多層構造体を構成する積層方向に隣接する薄層(熱可塑性樹脂/エラストマー)の好適な組み合わせとしては、屈折率をnとすると、例えばナイロン6(n:1.530)/EPDM(n:1.480)、スチレン−ブタジエン−スチレンラバー(n:1.560)/アクリルゴム(n:1.460)、チオウレタン(n:1.700)/ポリブタジエン(n:1.520)などが挙げられる。また、多層構造体を構成する積層方向に隣接する薄層(エラストマー/エラストマー)の好適な組み合わせとしては、例えば 熱可塑性ウレタンエラストマー(n:1.540)/EPDM(n:1.480)、クロロプレン(n:1.560)/ポリブタジエン(n:1.520)、ポリスルフィドゴム(n:1.600)/シリコーンゴム(n:1.400)などが挙げられる。
また、本発明においては、前記多層フィルムにおける隣接する薄層の屈折率を、薄層を構成する樹脂等に微粒子を含有させることによっても調整することができる。
具体的には、隣接する薄層のうち屈折率の高い方の薄層を形成するに際しては、構成する樹脂等に対して金属微粒子及び金属酸化物微粒子の少なくともいずれかを含有させることが好ましい。
上記金属酸化物微粒子としては、TiO2、ZrO2、CeO2、Al23、Y23、La23、LaO2、Ho23、ZnO等の高屈折率金属酸化物微粒子やZr、Ti、Ce等の高屈折率金属微粒子の1種または2種以上を挙げることができる。この微粒子の粒径は0.1μm以下が好ましい。
また、金属酸化物微粒子等と樹脂等との割合は、金属酸化物微粒子等が過度に多く樹脂が不足すると高屈折率層の膜強度が低下し、逆に金属酸化物微粒子等が少ないと屈折率を十分に高めることができないことから、金属酸化物微粒子等と樹脂等との合計に対する金属酸化物微粒子等の割合が10〜60体積%の範囲、特に20〜50体積%とするのが好ましい。
一方、隣接する薄層のうち屈折率の低い方の薄層を形成するに際しては、構成する樹脂等に対して中空微粒子を含有させることが好ましい。
ここで、上記中空微粒子とは、外殻層を有し、外殻層に囲まれた内部が多孔質組織、または空洞である微粒子をいう。該多孔質組織、及び当該空洞には空気(屈折率:1)が含有されており、当該中空粒子を低屈折率層に含有させることで、該層の屈折率を低減させることができる。本発明に用い得る中空微粒子の材料としては、無機系、有機系のものを挙げることができるが、生産性や強度等を考慮し、無機材料であることが好ましい。この場合には、前記外殻層が無機材料で形成されることになる。
中空微粒子を無機材料で形成する場合、中空微粒子の材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、及び金属ハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。中空微粒子を上記材料とすれば、外殻が高強度で外圧により潰れにくい微粒子が得られる。さらに好ましいのは、中空微粒子の材料を、金属酸化物または金属ハロゲン化物で形成することであり、特に好ましいのは、中空微粒子としてポーラスシリカ(多孔質シリカ)を用いることである。
ポーラスシリカは、中空殻状のシリカ微粒子であり、その平均粒径は10〜200nmが好ましく、10〜150nmであることがより好ましい。ポーラスシリカの平均粒径が10nm未満では、ポーラスシリカの屈折率を下げることが困難であり、200nmを超えると光を乱反射し、また形成される低屈折率層の表面粗さが大きくなるなどの問題が出る。
ポーラスシリカは、中空内部に屈折率の低い空気(屈折率=1.0)を有しているため、その屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低い。ポーラスシリカの屈折率は、その中空部の体積割合により決定されるが、通常1.20〜1.40程度であることが好ましい。
なお、ポーラスシリカの屈折率:n(ポーラスシリカ)は、中空微粒子の殻部を構成するシリカの屈折率:n(シリカ)、内部の空気の屈折率:n(空気)から、下記式(1)により求められる。
n(ポーラスシリカ)=n(シリカ)×(シリカの体積分率) ・・・ (1)
n(シリカ)は約1.47であり、n(空気)は1.0と非常に低いため、このようなポーラスシリカの屈折率は非常に低いものとなる。
本発明において、低屈折率層中のポーラスシリカの含有量は、多い程、低屈折率の低屈折率層を形成することができるが、相対的にバインダー成分の含有量が減ることにより、低屈折率層の膜強度が低下し、耐擦傷性、耐久性が低下する。しかし、ポーラスシリカの配合量を増やすことによる膜強度の低下は、ポーラスシリカの表面処理で補うことが可能であり、また、配合するバインダー成分の種類を選択することによっても膜強度を補うことができる。
本発明においては、ポーラスシリカの表面処理や樹脂成分等の選択により、低屈折率層中のポーラスシリカ含有量を20〜50質量%、特に25〜50質量%として、低屈折率層の低屈折率化を図ることが好ましい。
(多層構造体の製造方法)
上記多層構造体の製造方法は、A層とB層とが良好に積層・接着される方法であれば特に限定されるものではなく、例えば共押出し、はり合わせ、コーティング、ボンディング、付着などの公知の方法を採用することができる。当該多層構造体の製造方法としては、具体的には(1)A層形成用の樹脂組成物とB層形成用の樹脂組成物とを用い、多層共押出法によりA層及びB層を有する多層構造体を製造する方法や、(2)A層形成用の樹脂組成物とB層形成用の樹脂組成物とを用い、接着剤を介して複数の積層体を重ね合わせ、延伸することでA層及びB層を有する多層構造体を製造する方法などが例示される。この中でも、生産性が高く、層間接着性に優れる観点から、(1)のA層形成用の樹脂組成物とB層形成用の樹脂組成物とを用いた多層共押出法により成形する方法が好ましい。
多層共押出法においては、A層形成用の樹脂組成物とB層形成用の樹脂組成物とは加熱溶融され、異なる押出機やポンプからそれぞれの流路を通って押出ダイに供給され、押出ダイから多層に押し出された後に積層接着することで、当該多層構造体が形成される。この押出ダイとしては、例えばマルチマニホールドダイ、フィールドブロック、スタティックミキサーなどを用いることができる。
当該多層構造体においては、このようにして得られた多層積層体に、上述のように活性エネルギー線を照射して、架橋反応を促進させ、A層とB層との層間接着性をさらに向上させることが好ましい。当該多層構造体は、このように活性エネルギー線が照射されてなるため、層間の接着性が高まる結果、多層フィルムの発色性及び耐屈曲性を高めることができる。
上記活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、具体的には、紫外線、γ線、電子線などをいう。これらの活性エネルギー線の中でも、層間接着性の向上効果の観点から、電子線が好ましい。活性エネルギー線として電子線を用いることで、層間の架橋反応がより促進され、当該多層構造体の層間接着性をさらに向上させることができる。
電子線を照射する場合、電子線源として、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用い、通常加速電圧100〜500kVで、照射線量5〜600kGyの範囲で照射するのがよい。
また、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを照射するのがよい。紫外線源としては、特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
この多層構造体は、上述のように層間接着性に優れ、高い発色性、延伸性、熱成形性及び耐久性を有している。
このようにして製造される上記多層構造体における、A層とB層との剥離抗力としては、180℃で15分間加熱後に、JIS−K6854に準拠し、23℃、50%RH雰囲気下、引張り速度50mm/分での測定において、好ましくは25N/25mm以上、より好ましくは27N/25mm以上、さらに好ましくは30N/25mm以上、特に好ましくは50N/25mm以上である。このように、A層とB層とは、非常に優れた層間接着性を有している。
またこの多層構造体は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、A層及びB層以外に他の層を含んでいてもよい。この他の層を構成する樹脂組成物の種類は、特に限定されないが、A層及び/又はB層との間の接着性が高いものが好ましい。他の層としては、A層中の例えばEVOHの有する水酸基や、B層中の例えばTPUの分子鎖中のカーバメート基又はイソシアネート基と反応して、結合を生成する官能基を有する分子鎖を有しているものが特に好ましい。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、以上説明した多層フィルムを、タイヤサイドウォール外面の少なくとも一部に配置して構成される。ここで、上記タイヤサイドウォール外面とは、タイヤにおけるサイドウォール部の外表面を意味する。まず、タイヤの構成を図面を用いて説明する。
図3は、本発明のタイヤの一例を示す空気入りタイヤの概略部分断面図である。図3において、タイヤTは、環状のトレッド1と、トレッド1の両端からタイヤ半径方向に延びる一対のサイドウォール2と、サイドウォール2の内端に形成されたビード部3と、ビード部3内に埋設された環状のビードコア4と、トレッド1及びサイドウォール2を貫通し両端がビードコア4周りに巻き上げられたカーカス5と、トレッド1においてカーカス5の外側に配設された環状のブレーカ6と、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層7と、サイドウォール2を形成するゴム層の外側(サイドウォール外面)に設けられた多層フィルム8とを備えている。
サイドウォール2のゴム層の外側に設けられた多層フィルム8は、サイドウォール2の外面の少なくとも一部に配置されていればよく、図3に示すように、サイドウォール2の外面全面に配置されていてもよいし、該外面の一部に配置されていてもよい。
多層フィルム8の厚みは、前述の好適な厚み範囲の多層構造体を含んで、1〜1000μmの範囲であることがましく、10〜200μmの範囲であることがより好ましい。多層フィルム8の厚みが1μm未満では、フィルムの柔軟性が高すぎ、例えばサイドウォール2の未加硫ゴムに貼付する際、皺になりやすく、滑らかな表面を形成することが困難となる。また厚みが1000μmを超えると、フィルムの柔軟性が低下し、使用時におけるサイドウォール2の変形に追従しきれずに、多層フィルム8の剥離或いは破損等を生じる場合がある。
本発明に係るタイヤの製造方法としては、サイドウォール2の外面に多層フィルム8を配置する工程以外は、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤを製造することができる。
多層フィルム8をサイドウォール2の外面に配置する方法としては、例えば(1)未加硫のタイヤ外表面に多層フィルム8となる樹脂フィルムを貼付し、その状態で該未加硫タイヤを加硫成形することにより、該樹脂フィルムをサイドウォール2の外面に密着させる、(2)加硫後のタイヤ外表面に、接着剤を用いて多層フィルム8となる樹脂フィルムを貼付し、該樹脂フィルムをサイドウォール2の外面に密着させる、の大きく2つの方法が挙げられる。
上記(1)の方法に関しては、詳細には、所定の形状に裁断された樹脂フィルムを、加硫前のタイヤ(即ち、グリーンタイヤ)におけるサイド部(即ち、サイドウォール部)外表面の所定位置に貼付し、樹脂フィルムの貼付状態にて、該未加硫タイヤをタイヤ加硫成形型内で加硫成形することにより、上記樹脂フィルムが多層フィルム2としてサイドウォール部の外表面に配置された空気入りタイヤが製造される。
この場合、配置された樹脂フィルムは、粘着性を有する未加硫タイヤの表面と良好な接着性を維持することができ、加硫中の樹脂フィルムの位置ズレを防止することができる。なお、未加硫タイヤへの樹脂フィルムの貼付は、加硫成形型に未加硫タイヤをセットする前に当該未加硫タイヤに対して実施してもよく、あるいはまた、加硫成形型の所定位置に樹脂フィルムをセットしておき、加硫成形型内で型閉めとともに該樹脂フィルムが未加硫タイヤに貼付されるようにしてもよい。好ましくは、前者のように加硫成形型にセットする前の未加硫タイヤに樹脂フィルムを貼付することである。
なお、未加硫タイヤの加硫成形自体は、常法に従い行うことができ、加硫成形型の構造についても特に限定されてない。加硫温度についても特に限定されないが、通常は140〜200℃にて実施される。
次に、前記(2)の方法に関しては、詳細には、所定の形状に裁断された樹脂フィルムを、加硫後のタイヤにおけるサイド部(即ち、サイドウォール部)外表面の所定位置に、接着剤を介して貼付する。
この接着層の材料としては、多層フィルム8となる樹脂フィルムとサイドウォールとを強固に接合し得るものであれば特に制限はないが、極性官能基により変性されたジエン系ポリマー(変性ジエン系ポリマー)を含むものであることが好ましい。
上記極性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イソシアネート基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基が挙げられ、特にエポキシ基が好ましい。
上記変性ジエン系ポリマーとしては、変性天然ゴム及び/又は変性合成ゴムが挙げられる。変性合成ゴムとしては、変性ポリイソプレンゴム(IR)、変性ポリブタジエンゴム(BR)、変性スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、変性スチレン-イソプレン共重合体(SIR)などが挙げられる。これら変性天然ゴム及び変性合成ゴムは、低温環境における耐久性に優れる。また、上記変性ジエン系ポリマーとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)やエポキシ化ブタジエンゴム(EBR)も好適に用いられる。
接着層は、変性率の異なる2種以上の上記変性ジエン系ポリマーを含むことが好ましい。これにより、変性度の低い変性ジエン系ポリマーでカーカスとの接着性を向上させ、変性率の高い変性ジエン系ポリマーで熱可塑性樹脂フィルムとの接着性を向上させることができる。
上記接着層の厚さは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは10〜100μmである。厚さ5μm以上であると、多層フィルムとサイドウォールとを強固に接合することができ、低温環境における耐クラック性の向上機能が良好に発揮される。200μm以下であると、空気入りタイヤの軽量化が達成される。
なお、サイドウォール2のゴム層との接着を良好にするために、多層フィルム8となる樹脂フィルムに、例えば、フィルムをレゾルシンホルムアルデヒドラテックス液に浸漬処理する方法(RFL処理)、フィルム表面をシランカップリング剤で処理する方法、フィルム表面をコロナ放電により1次処理した後、シランカップリング剤で2次処理する方法等により接着前処理を行うことが効果的である。
上記構成により、多層フィルム8となる樹脂フィルムの接着剤層を有する面をサイドウォール材料に密着させて巻き取ることにより、確実にサイドウォール材料に該樹脂フィルムを接着させることができる。また、これらの接着前処理を施すことによって、多層フィルム8の耐久性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るタイヤ1には、空気、窒素などのガスが充填される。図に示したタイヤTの構造は一例であって、図3の構造に限定されない。例えば、乗用車用タイヤ、重荷重用タイヤ、オフザロード用タイヤ、二輪車用タイヤ、航空機タイヤ、農業用タイヤなどであってもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、下記の実施例になんら限定されるものではない。
まず、実施例に係る各特性の測定方法及び評価方法について説明する。
<各特性の測定方法>
(1)薄層の屈折率(n)
各薄層の形成に用いる樹脂について、JIS K7142−2008のA法に従い測定した。
(2)ヤング率
各薄層の形成に用いる樹脂をペレット化し、これを二軸押出機(東洋精機社製)によって、下記押出条件で各々製膜し、厚さ20μmの単層フィルムを作製した。
・スクリュー:20mmφ、フルフライト シリンダー
・ダイ温度設定:C1/C2/C3/ダイ=200/200/200/200(℃)
次に、上記フィルムを用いて幅15mmの短冊状の試験片を作製し、23℃、50%RHの条件下で恒温室内に1週間放置した後、オートグラフ(株式会社島津製作所、AG−A500型)を用いて、チャック間隔50mm、引張速度50mm/分の条件で、23℃、50%RHにおけるS−Sカーブ(応力−歪み曲線)を測定し、JIS K7161−1994に準拠してヤング率(引張弾性率)を求めた。
<評価方法>
後述する製造例に従って、実施形態に用いてタイヤを製造し、下記の方法により、意匠性及びタイヤの色味変化を評価した。
(1)意匠性
タイヤサイド部を目視観察し、以下の基準により発色性を評価した。
○:サイド部が透明感のある青色あるいは緑色を示し、見る方向により色味が変わる。
△:サイド部が透明感のある青色あるいは緑色を示すが、見る方向により色味は変わらない。
×:サイド部は下地のゴム色(黒色)であり、見る方向によっても色味は変わらない。
また、顕微分光光度計(日立製作所製、モデルU−6000)を用いて反射スペクトルを評価した。なお、反射スペクトルは入射0°/受光0°の条件下で標準白色板をレファレンスにして、反射ピーク波長及び相対反射率を測定した。
(2)タイヤの色味変化の評価
後述のように得られたフィルムをサイド部に貼りあわされたタイヤについて、乗用車にタイヤを装着し、タイヤの内圧を220kPaの時と160kPaにおいて、同じ地点から観た色味の変化について観察した。特に反射色を呈している部位の周辺の虹色に変化している部位の大きさが内圧の違いにより、変化が容易にわかるものを○、明確でないものを×として評価した。
(3)ドラム走行試験によるタイヤ耐久性評価
作製したタイヤについて、−20℃の雰囲気下、空気圧140kPaで80km/hの速度に相当する回転数のドラム上に荷重6kNで押し付けて、10000km走行を実施した。ドラム走行後のタイヤのサイド面外観を目視観察して、多層フィルムの亀裂の有無を評価した。
<多層フィルムの製造>
(製造例1)多層フィルム1の製造
ナイロン(宇部興産(株)製、5033B)ペレットA1(n:1.530)及びEPDM(住友化学(株)製 エスプレン502)ペレットB1(n:1.480)を用い、それぞれペレットを構成する樹脂組成物によって交互に、図1におけるA層が16層及びB層が17層の33層の多層構造体が形成され、かつ最表面に支持層としてB層が約10μmで押し出せるように、計35層フィードブロックにて、共押出機に220℃の溶融状態として供給し、共押出を行い合流させることによって、多層の積層体とした。隣接するA層及びB層の層厚さはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。このようにして得られた計35層からなる積層体を、表面温度35℃に保たれ静電印加したキャスティングドラム上で急冷固化した。急冷固化して得られたキャストフィルムを離型紙上に圧着し巻取りを行った。なお、ペレットA1及びペレットB1の溶融物が合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約4分となるように流路形状及び総吐出量を設定した。
上記のようにして得られたキャストフィルムは、DIGITAL MICROSCOPE VHX−900(KEYENCE社製)及び電子顕微鏡VE−8800(KEYENCE製)にて断面観察を行った結果、A層及びB層それぞれの平均厚みが0.08μm、全体の厚みが23μmであった。なお、各厚みはランダムに選択された9点での測定値の平均値とした。
次いで、このフィルムに、電子線加速機(日新ハイボルテージ社製、機種名「キュアトロンEB200−100」)により、加速電圧200kV、照射線量200kGyの電子線を照射して多層フィルム1を得た。
なお、別途フィルム化して測定したペレットA1、B1の23℃におけるヤング率は各々4000MPa、10MPaであった。
(製造例2)多層フィルム2の製造
製造例1において、用いるペレットを、熱可塑性ウレタンエラストマー((株)クラレ製、クラミロン3190)ペレットA2(n:1.540)及びEPDMペレットB2(n:1.480)とし、共押出機における溶融温度を200℃とした以外は、製造例1と同様にして多層フィルム2を得た。
多層フィルム2におけるA層及びB層それぞれの平均厚みは0.08μm、全体の厚みは23μmであった。また、別途フィルム化して測定したペレットA2、B2の23℃におけるヤング率は各々15MPa、10MPaであった。
(製造例3)多層フィルム2の製造
製造例1において、用いるペレットを、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバレックスH−3000)ペレットA3(n:1.590)及びポリメチルメタアクリレート(PMMA、住友化学(株)、スミペックスMH)ペレットB3(n:1.487)とし、共押出機における溶融温度を260℃とした以外は、製造例1と同様にして多層フィルム3を得た。
多層フィルム3におけるA層及びB層それぞれの平均厚みは0.07μm、全体の厚みは23μmであった。また、別途フィルム化して測定したペレットA3、B3の23℃におけるヤング率は各々2490MPa、2900MPaであった。
(製造例4)多層フィルム4の製造
製造例1において、ペレットA1及びペレットB1を各2層とした4層の積層体が形成されるように共押出を行った以外は、製造例1と同様にして多層フィルム4を得た。
多層フィルム4におけるA層及びB層それぞれの平均厚みは0.07μm、全体の厚みは20μmであった。
(製造例5)多層フィルム5の製造
・ペレットの製造
ぺレットA2:100質量部に対し、ZrO2(屈折率n=2.2、東洋インキ(株)製)30質量部を、二軸押出機を用い190℃で溶融混合し、高屈折率のペレットA5を製造した。また、ぺレットB2:100質量部に対し、多孔質シリカ微粒子(触媒化成工業(株)製、屈折率n=1.23、平均粒径:60nm)50質量部を、二軸押出機を用い140℃で溶融混合し、低屈折率のペレットB5を製造した。
・多層フィルムの製造
製造例1において、用いるペレットを、上記ペレットA5(n:1.650)及び ペレットB5(n:1.410)とし、共押出機における溶融温度を200℃とした以外は、製造例1と同様にして多層フィルム5を得た。
多層フィルム5におけるA層及びB層それぞれの平均厚みは0.08μm、全体の厚みは22μmであった。また、別途フィルム化して測定したペレットA5、B5の23℃におけるヤング率は各々18MPa、14MPaであった。
(製造例6)多層フィルム6の製造
製造例1において、A層及びB層それぞれの平均厚みが0.55μm、全体の厚みが38μmとなるように共押出を行った以外は、製造例1と同様にして多層フィルム6を得た。
(製造例7)多層フィルム7の製造
製造例1において、ペレットA1の代わりにペレットB3(n:1.487)を用い、共押出機における溶融温度を260℃とした以外は、製造例1と同様にして多層フィルム7を得た。
多層フィルム7におけるA層及びB層それぞれの平均厚みは0.08μm、全体の厚みは23μmであった。また、別途フィルム化して測定したペレットB3の23℃におけるヤング率は、2900MPaであった。
<実施例1>
(タイヤの作製)
常法に従い、未加硫のグリーンタイヤ(195/65R15)を作製した。一方、前記多層フィルム1を所定の大きさに裁断し、該フィルムを図3に示すようにグリーンタイヤのサイド部外表面の全面に貼り付け、この状態でスチール製のタイヤ成型用金型にセットして、140℃で30分間加熱加硫して試作タイヤ1を得た。
上記試作タイヤ1を用いて、前記意匠性、タイヤの色味変化の評価を行い、その後タイヤ耐久性評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表に示す。
<実施例4、参考例1〜3、比較例1〜2>
実施例1のタイヤの作製において、多層フィルム1の代わりに多層フィルム2〜7を各々用いた以外は、実施例1と同様にしてタイヤを作製し、これらについて同様の評価を行った。
結果をまとめて第1表に示す。
Figure 0005838046

第1表の結果に示されるように、実施例1のタイヤでは、走行による歪に対して耐久性に優れ、比較例のタイヤに比べて意匠性に優れると共に、タイヤの内圧変化等の日常管理性にも優れることが判った。
1 トレッド
2 サイドウォール
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ブレーカ
7 インナーライナー層
8 多層フィルム
10 多層構造体部
20 保護層部

Claims (8)

  1. 多層フィルムを、タイヤサイドウォール外面の少なくとも一部に配置したタイヤであって、
    前記多層フィルムが、隣接層間の屈折率差が0.01以上である薄層を交互に積層した5層以上の薄層からなる光学層を有し、前記薄層の平均厚みが0.01μm以上0.5μm以下であり、前記光学層が、熱可塑性樹脂フィルムからなるA層と、エラストマーを含む樹脂組成物からなるB層とを備えて構成されるタイヤ。
  2. 前記5層以上の薄層のうちの少なくとも1層の23℃におけるヤング率(JIS K7161−1994)が、0.1MPa以上500MPa以下である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記5層以上の薄層のうちの少なくとも1層が、熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる請求項1または2に記載のタイヤ。
  4. 前記熱可塑性エラストマーが、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びシリコーン系熱可塑性エラストマーの中から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のタイヤ。
  5. 前記5層以上の薄層中の隣接層における屈折率が高い方の薄層が、金属微粒子及び金属酸化物微粒子の少なくともいずれかを含む請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ。
  6. 前記5層以上の薄層中の隣接層における屈折率が低い方の薄層が、中空微粒子を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記多層フィルムにおける全光線透過率が、30%以上である請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法であって、
    前記多層フィルムを、共押出工程により製膜するタイヤの製造方法
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