JP5837377B2 - 摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明は半芳香族ポリアミドを用いた摺動部材に関する。
ポリアミドは、機械的特性、摺動性が良好であることから、ギア、ベアリング、カムの軸受け等の摺動部材として用いられている。
例えば、特許文献1には、ポリアミド9T(テレフタル酸、2−メチルー1,8-オクタンジアミンおよび1,9−ノナンジアミンからなるポリアミド)に各種充填材を含有させた摺動部材用樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、脂環族ジカルボン酸と分岐ジアミンからなるポリアミドを含む摺動部材が開示されており、さらに充填材を含有させた樹脂からなる摺動部材が開示されている。特許文献3には、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミドに、ポリエチレン、ポリアリレート、四フッ化エチレンを含有させた摺動部材用樹脂組成物が開示されている。
特開2002−363404号公報 特開2011−68873号公報 特開2010−255005号公報
近年、摺動部材は、自動車のエンジンルームの中での使用等、高温下での使用が検討されており、その使用環境はますます厳しいものとなっている。しかしながら、特許文献1〜3に開示されたポリアミドでは耐熱性が十分とはいえなかった。
そこで、本発明者は、ポリアミドとしてポリアミド10Tを用いたところ、耐熱性が高まるだけではなく、摺動性が飛躍的に向上することを見出した。
すなわち、本発明は、優れた耐熱性を有するのみならず、摺動性が飛躍的に向上した摺動部材を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)テレフタル酸成分と1,10−デカンジアミン成分からなり、示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下であるポリアミド100質量部および摺動性改良材0.5〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物からなる摺動部材。
(2)ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下である(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)摺動性改良材が、フッ素樹脂、シリコーン、二硫化モリブデン、タルク、リン酸塩、鉱物
油、カーボン繊維およびモンタン酸塩からなる群より選ばれた1種以上である(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)(1)〜()のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、従来のポリアミド系摺動部材に比べて、耐熱性が高く、同時に摺動性もが飛躍的に向上した摺動部材を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の摺動部材は、ポリアミドと摺動性改良材を含有する樹脂組成物から構成される。
本発明で用いるポリアミドは、テレフタル酸成分と1,10−デカンジアミン成分とから構成される。これらのモノマーを用いることで、摺動性が高いポリアミドを得ることができる。
本発明で用いるポリアミドには、テレフタル酸成分以外の他のジカルボン酸成分、および/または1,10−デカンジアミン成分以外の他のジアミン成分(以下、「共重合成分」と略称する場合がある。)が共重合されていてもよい。共重合成分は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下とすることが好ましく、実質的に共重合成分を含まないことがより好ましい。
他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
他のジアミン成分としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
ポリアミドには、必要に応じて、カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸や11−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸を共重合させてもよい。
ポリアミドの重量平均分子量は、15,000〜50,000であることが好ましく、20,000〜50,000であることがより好ましく、26,000〜50,000であることがさらに好ましい。ポリアミドの重量平均分子量を15,000〜50,000とすることで、容易に成形加工をすることができる。
ポリアミドの相対粘度は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、成形加工が容易なポリアミドを得ようとすれば、相対粘度を2.0以上とすることが好ましい。
本発明で用いるポリアミドは、トリアミン量が十分に低減されていることが好ましい。ポリアミドは、重合時におけるジアミン同士の縮合反応により、トリアミン構造が副生し易い。トリアミン量が多いと、分子鎖中に架橋構造が生成し、その架橋構造は分子鎖の動きや配列を束縛するため、結晶性が低下する。また、トリアミン量が多いと、ゲルが多く発生するため、得られる成形体の表面にフィッシュアイやブツとして存在し、表面外観を損ねる原因となることがある。そのため、ポリアミド中に含まれるトリアミン単位は、ジアミン単位の0.3モル%以下であることが好ましく、0.15モル%以下であることがより好ましく、0.12モル%以下であることがさらに好ましく、0.10モル%以下であることが特に好ましい。ポリアミド中のトリアミン構造がジアミン単位の0.3モル%を超える場合には、結晶性が低下したり、ゲルが発生して得られる成形体の表面平滑性を損ねたり、色調が低下することがある。
トリアミン単位をジアミン単位の0.3モル%以下とするためには、テレフタル酸成分とジアミン成分とから塩を生成する際、水や有機溶剤の添加量を、原料モノマーの合計100質量部に対して5質量部以下とすることが好ましく、0.5質量部未満とすることがより好ましく、全く使用しないことがさらに好ましい。
本発明に用いるポリアミドは結晶化速度が高い。結晶化速度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した過冷却度を指標とすることができる。本発明において、ポリアミドの過冷却度は例えば、40℃以下とすることができる。用いるポリアミドの過冷却度を40℃以下とすることで、成形サイクルを短縮することができ、金型からの離型を容易にすることができる。
本発明で用いるポリアミドは、ポリアミドを製造する方法として従来から知られている加熱重合法や溶液重合法の方法を用いて製造することができる。中でも、工業的に有利である点から、加熱重合法が好ましく用いられる。
加熱重合法としては、モノマーから反応物を得る工程(i)と、反応物を重合する工程(ii)からなる方法が挙げられる。本発明においては、トリアミン単位がジアミン単位の0.3モル%以下であるポリアミドを得るために、工程(i)の段階を、重合系中の水分や溶媒が少ない条件、すなわち、ジカルボン酸とジアミンの合計100質量部に対して、水と有機溶剤の合計量が5質量部以下である水および/または有機溶剤の存在下で実施することが好ましい。
工程(i)としては、例えば、ジカルボン酸粉末を予めジアミンの融点以上かつジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、ジアミンの融点以上かつジカルボン酸の融点以下の温度において、ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、ジアミンをジカルボン酸粉末に添加する方法が挙げられる。あるいは、別の方法としては、溶融状態のジアミンと固体のテレフタル酸からなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成するポリアミドの融点未満の温度で、テレフタル酸とジアミンとの反応による塩の生成と、前記塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応物の形状の制御が容易な前者の方法の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応物を、最終的に生成するポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、ポリアミドを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
ポリアミドの製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いたり、重合度の調整、熱分解や着色を抑制するため末端封止剤を用いたりすることができる。
重合触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられ、重合触媒の添加量は、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モルに対して、2モル%以下で用いることが好ましい。
末端封鎖剤としては、酢酸、ラウリン酸、安息香酸等のモノカルボン酸、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン等のモノアミンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。末端封鎖剤の添加量は、通常、テレフタル酸とジアミンの総モルに対して5モル%以下で用いることが好ましい。
本発明に用いられる摺動性改良材は特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン・ポリヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂、(高分子量)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、アルコール変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン等のシリコーン、グラファイト等の層状無機化合物、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、ボロン酸ウィスカ等の無機繊維、LCP繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の有機繊維、アルミナ、タルク、シリカ等の無機粒子、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸バリウム、リン酸リチウム、メタリン酸カルシウム、ピロリン酸亜鉛等のリン酸塩、スピンドル油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱物油、モンタン酸カルシウム等のモンタン酸塩、二硫化モリブデンが挙げられる。中でも、摩擦係数や比磨耗量を低下させる効果が大きいフッ素樹脂、シリコーン、二硫化モリブデン、タルク、リン酸塩、鉱物油、カーボン繊維およびモンタン酸塩が好ましい。
摺動性改良材の含有量は、ポリアミド100質量部に対して、0.5〜60質量部とすることが好ましく、1〜50質量部とすることがより好ましく、2〜40質量部とすることがさらに好ましい。摺動性改良材の含有量が0.5質量部未満の場合、比磨耗量が低減しないので好ましくない。一方、摺動性改良材の含有量が60質量部を超える場合、得られる成形体の機械的性質が低下したり、成形時の金型内での結晶化時間が長くなり好ましくない。
本発明の摺動部材は、ポリアミド樹脂組成物は成形することにより得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法が挙げられる。中でも、本発明で用いるポリアミド樹脂組成物の機械的特性、成形性を十分に向上させることができることから、射出成形法を好ましく用いることができる。射出成形機としては、特に限定されないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、ポリアミド樹脂組成物の融点以上とする必要があり、(融点+100℃)未満とすることが好ましい。なお、ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、用いるポリアミド樹脂組成物は十分に乾燥されたものを用いることが好ましい。含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いるポリアミド樹脂組成物の水分率は、ポリアミド樹脂組成物の水分率は、0.3質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて安定剤等の添加剤を加えてもよい。添加剤は、例えば、ポリアミドの重合時または溶融混練時に添加される。添加剤としては、酸化チタン等の顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤が挙げられる。
本発明の摺動部材は、比磨耗量や摩擦係数が小さいことから、電気用品、事務機・動力機器の軸受け、各種ギア、カム、ベアリング、メカニカルシールの端面材、バルブの弁座、Vリング、ロッドパッキン、ピストンリング、圧縮機の回転軸・回転スリーブ、ピストン、インペラー、ベーン、ローター等として用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.測定方法
(1)ポリアミドの相対粘度
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
(2)ポリアミドの重量平均分子量
東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフィ装置を用い、下記条件で調整した試料溶液にてGPC分析をおこなった後、ポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として作成した検量線を用いて、重量平均分子量を求めた。
<試料調製>
ポリアミド5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mlを加えて溶解後、ディスクフィルターで濾過した。
<条件>
・検出器:示差屈折率検出器RI−8010(東ソー社製)
・溶離液:10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール
・流速:0.4ml/分
・温度:40℃
(3)ポリアミドの降温結晶化温度、融点、過冷却度
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温した際の発熱ピークのトップを与える温度を降温結晶化温度(Tcc)、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。融点と降温結晶化温度の差(Tm−Tcc)を過冷却度とした。
(4)ポリアミド中のトリアミンの定量
ポリアミド10mgに47%臭化水素酸を3mL加え、130℃で20時間加熱後、蒸発乾固し、さらに80℃2時間減圧乾燥する。これにピリジン2mL、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド1mLを加え、90℃で30分加熱する。冷却後、メンブランフィルターでろ過した溶液を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置で分析した。別に測定した標準物質のジアミンとトリアミンにより得た検量線を用いてポリアミド中のジアミンとトリアミンを定量し、ジアミンに対するトリアミンのモル比を算出した。トリアミンの標準物質は、酸化パラジウムを触媒として用いて、オートクレーブ中にてジアミンを240℃で3時間加熱撹拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
(5)メルトフローレート(MFR)
ポリアミド樹脂組成物を用いて、JIS K7210に従って、340℃、1.2kgfの荷重で測定した。実用上、0.1〜50g/10分が好ましく、1〜40g/10分がより好ましい。
(6)曲げ強度、曲げ弾性率
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC100)を用いて射出成形をおこない、127mm×12.7mm×3.2mmの成形片を作製した。シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)、射出圧力100MPa、射出時間10秒、取り出し時間5秒であった。
得られた成形片を用いて、ASTM D790に従って測定した。実用上、曲げ強度は、130MPa以上が好ましく、140MPa以上がより好ましい。また、曲げ弾性率は、2.5GPa以上が好ましく、3.0GPa以上がより好ましい。
(7)摩擦係数、比磨耗量
(6)と同様の射出成形をおこなって、外径25.6mm、内径20mm、厚み15mmの円筒形の成形片を作製した。
得られた成形片を用いて、JIS K7218 A法に従って、鈴木式摩擦磨耗試験機(東洋ボールドウィン社製EFM−III−E型)により、相手材をS45C鋼、荷重を0.25MPa、摩擦距離5kmの条件下、試験をおこなった。試験前の質量と試験後の質量との差から比磨耗量を求め、(摩擦距離に達した時の摩擦力検出器の値/荷重の値)を摩擦係数とした。比磨耗量は3mm/(km・kN)以下が好ましく、摩擦係数は0.5以下が好ましい。
(9)成形サイクル
(6)で成形体を成形する際、突出ピンで成形体に対し変形を与えないで容易に取出しが可能な最短の冷却時間を計測した。ここで成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間をいう。すなわち、一つの成形体を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。実用上、45秒以下が好ましい。
2.原料
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ジカルボン酸成分
・テレフタル酸
・イソフタル酸
(2)ジアミン成分
・1,9−ノナンジアミン
・1,10−デカンジアミン
(3)摺動性改良材
・ポリテトラフルオロエチレン(F−1) 旭硝子社製 L150J、平均粒径 9μm
・ポリジメチルシロキサン(F−2) 東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 SH200、溶液粘度 30,000cSt
・二硫化モリブデン(F−3) ダウコーニング社製 モリコート マイクロサイズパウダー、平均粒径 0.7μm
・タルク(F−4) 日本タルク社製 D−800、平均粒径 0.8μm
・リン酸塩(F−5) 太平化学産業社製 リン酸カルシウム、粉末状
・鉱物油(F−6) 東芝シリコーン社製 シリコンオイル TSF451−1M
・カーボン繊維(F−7) 東邦テナックス社製 HTA−C6−NR
・モンタン酸カルシウム(F−8) クラリアント社製 Licomont CaV102
製造例1
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン成分として粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応と破砕を同時におこなった。反応により生じた水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
[工程(ii)]
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−1)を得た。
製造例2
[工程(i)]
ジカルボン成分としてテレフタル酸粉末(4870質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム(6質量部)、末端封鎖剤としての安息香酸(72質量部)を、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、100℃に加温したデカンジアミン(5050質量部、100質量%)を、28質量部/分の速度で、3時間かけて連続的(連続液注方式)にテレフタル酸粉末に添加し反応物を得た。
[工程(ii)]
工程(i)で得られた反応物を、引き続き工程(i)で用いたリボンブレンダー式の反応装置内で、窒素気流下、230℃に昇温し、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−2)を得た。
製造例3および5
樹脂組成、製造条件を表1のように変更する以外は、実施例2と同様にしてポリアミドを得た。
製造例4
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン成分として粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水400質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して4質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応をおこないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
[工程(ii)]
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−4)を得た。
製造例4は、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を4質量部用いて重合をおこなったため、ポリアミド(P−4)は、ポリアミド(P−1)と比較して、重量平均分子量がやや低く、トリアミン量が多かった。
製造例6
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン酸成分として平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水9200質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、92質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応をおこないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
[工程(ii)]
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−6)を得た。
製造例6は、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を92質量部用いて重合をおこなった。そのため、ポリアミド(P−6)は、ポリアミド(P−1)と比較して、重量平均分子量が顕著に低く、トリアミン量が顕著に多かった。
製造例7
蒸留水の添加量を表1のように変更する以外は、製造例4と同様にしてポリアミドを得た。
製造例8、9
末端封鎖剤の添加量を変更する以外は、製造例1と同様にしてポリアミドを得た。
表1に、ポリアミドの樹脂組成、製造条件およびその特性値を示す。
実施例1
ポリアミド(P−1)100質量部、ポリテトラフルオロエチレン(F−1)5質量部をクボタ社製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)の主供給口に供給し溶融混練をおこなった。押出機のバレル温度設定は、320℃〜340℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/時間であった。その後、ストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物を得た。
実施例2〜17、比較例1〜11
表2に示すように、樹脂組成を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
実施例と比較例で得られたポリアミド樹脂組成物の樹脂組成およびその特性値を表2、3に示す。
実施例1〜17では、同じ種類の摺動性改良材を用いた場合に比べて、摩擦係数と比磨耗量が小さかった。また、用いたポリアミドの過冷却度が40℃以下であったため、射出成形時の成形サイクルが短かった。
比較例1、3は、摺動性改良材を含有させてなかったか、摺動性改良材の含有量が少なかったため、実施例1に比べて摩擦係数と比磨耗量が大きかった。
比較例2は、摺動性改良材の含有量が多かったため、曲げ強度や曲げ弾性率が低かった。
比較例4〜11は、ポリアミド9Tに、それぞれ実施例1、4〜10と同じ種類の摺動性改良材を用いたものであるが、対応する実施例に比べて、摩擦係数と比磨耗量が大きかった。

Claims (4)

  1. テレフタル酸成分と1,10−デカンジアミン成分からなり、示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下であるポリアミド100質量部および摺動性改良材0.5〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物からなる摺動部材。
  2. ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下である請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 摺動性改良材が、フッ素樹脂、シリコーン、二硫化モリブデン、タルク、リン酸塩、鉱物
    油、カーボン繊維およびモンタン酸塩からなる群より選ばれた1種以上である請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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