JP5833298B2 - 太陽電池の製造方法と該方法に用いられる電極形成用ペースト材料 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池(ソーラーセル)の受光面に微細な線状電極を形成する技術に関する。また、該技術を適用した太陽電池の製造方法と該方法に用いられる電極形成用ペースト材料に関する。
近年の環境意識の高まりや省エネの観点から太陽電池(ソーラーセル)の普及が急速に進んでおり、それにともなって従来よりも高性能なセル構造、即ち光電変換効率が良好で高出力なセル構造の太陽電池が求められている。
かかる要求を実現するための一つの方策として、太陽電池のセル単位面積あたりの受光面積を拡大することが挙げられる。例えば、受光面積を拡大するための一つの手段として、受光面に形成されている線状電極の細線化(ファインライン化)が挙げられる。
現在主流となっている所謂シリコン型太陽電池のセル受光面には、銀等の導体によって形成されている線状のバスバー(接続用)電極と、該バスバーに接続する筋状の細線からなるグリッド(集電用)電極とが設けられている。以下、これら電極を総称して受光面電極ともいう。
このような受光面電極が形成されている部分は、太陽電池の受光面における非受光部分(遮光部分)である。このため、受光面電極を従来よりも細線化(ファインライン化)すればそれだけ非受光部分(遮光部分)が低減し、セル単位面積あたりの受光面積を拡大し、セル単位面積あたりの出力を向上させることができる。このとき細線化された分だけ電極を厚くしないと電極のライン抵抗が増加してしまい、その分だけ太陽電池の出力特性が低下してしまう。従って、受光面電極のファインライン化、且つ、電極厚みの向上、即ち高アスペクト比(電極における厚みと線幅との比:厚み/線幅を大きくすること。以下同じ。)が同時に求められる。かかる受光面電極の従来技術として、以下の特許文献1が挙げられる。
かかる特許文献1にも記載されているように、従来の受光面電極は、導体成分としての銀等の金属粉末と、バインダや溶剤からなる有機ビヒクル成分とを含みペースト状(スラリー状或いはインク状)に調製された材料(以下「電極形成用ペースト」ともいう。)を用いたスクリーン印刷によって所定の配線パターンで太陽電池(セル)の受光面に形成されている。このような線状の電極をスクリーン印刷等の技法を用いて半導体基板上に所定パターンで形成する従来技術として、以下の特許文献2〜6が挙げられる。
特開2006−341547号公報 特開2004−355862号公報 特開2004−234900号公報 特開2006−302962号公報 特開2006−324590号公報 特開2009−283362号公報
従来のペースト材料を用いて行うスクリーン印刷では、例えば線幅(ライン幅)が60μm以下のような微細な集電用(グリッド)電極を所定のパターンで形成することが困難であった。例えば、一般的なスクリーンマスク(スクリーンメッシュ)を用いてスクリーン印刷を行った場合、メッシュの交点で断線をする虞があり好ましくない。かかる断線のリスクを回避すべく、メタルマスクを採用して受光用電極をスクリーン印刷して配線することが挙げられる。メタルマスクは、当該マスクの開口部にメッシュが存在しないために電極形成用ペースト材料が通過するときの抵抗が小さく、詰まりも少ないため、断線発生を防止することができる。また一般的なスクリーンマスク(スクリーンメッシュ)を使用するよりメタルマスクを使用することで、電極形成用ペースト材料の吐出量が増大するため電極の厚み(膜厚)も増大し、より高アスペクト比の微細な線状電極を形成できることが期待される。
しかしながら、メタルマスクを使用した場合には、電極形成用ペーストの吐出量が増大するが故、従来の電極形成用ペーストをそのまま工夫なく使用すると、所望する線幅を超えて大きく広がった電極が形成される虞があり好ましくない。
そこで本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、太陽電池の受光面電極のファインライン化と高アスペクト比を実現するのに好適な方法と該方法に用いられる材料を提供することである。また、該方法と材料の採用により微細な受光面電極が半導体基板上に形成された太陽電池(ソーラーセル)とその製法を提供することを他の目的とする。
上記の目的を実現するべく、本発明によって、太陽電池の受光面に線状電極(受光面電極)を形成するための好適なペースト材料が提供される。
即ち、本発明によって提供される、太陽電池の受光面に線状電極を形成するためのペーストは、
導電性粉末と、該粉末を分散させる有機ビヒクル成分とを含み、
回転速度:20rpmのときの粘度が200〜400Pa・sであり、且つ、
回転速度:5rpmのときの粘度:ηと回転速度:50rpmのときの粘度:η50との粘度比:η/η50が5.5〜7.5の範囲にあることを特徴とする電極形成用ペーストである。
ここで上記粘度は、市販の回転粘度計により測定され得る粘度である。例えば、当該分野で標準的なブルックフィールド社製の回転粘度計(ブルックフィールド回転粘度計)を使用することにより、上記のような回転速度域の条件(例えば4番スピンドルを使用する。)で容易に粘度を測定し、上記粘度比を算出することができる。
ここで開示される上記構成の電極形成用ペーストは、上記のとおりの粘度特性を有する結果、特にスクリーン印刷法の採用によって太陽電池のセルを構成する半導体基板の受光面にスクリーン印刷用のマスクを介して付与(供給)される際には、比較的高いずり速度下で良好な流動性を示して当該マスク(種々の材質から成るスクリーンマスクやメタルマスク)からのペーストの「抜け」がよい。このため、断線(即ち供給不良部位)の発生を防止することができる。また、スクリーン印刷法を実行して種々のマスクを介して所定のパターンで印刷された後(即ち受光面に塗布された後のずり速度が極めて低くなった状態)では、良好な粘性(形状維持性能)を示してライン幅の好ましくない拡がりを防止することができる。即ち、焼成するまでの間に受光面に塗布された配線パターンの形状が滲みにくいので、形状精度のよい電極パターンを形成し得る。
従って、上記構成のペースト材料によると、所望のアスペクト比の細線状の受光面電極を形成することができる。換言すれば、受光面に形成される線状電極のさらなるファインライン化を実現し、セル受光面の単位面積あたりの出力向上を図ることができる。
なお、本発明に関して「スクリーン印刷」とは、目的のパターン(即ち受光面に形成したい配線パターン)に対応するパターンで開口部が形成されたマスクの当該開口部を介して目的のパターンに電極形成用ペーストを受光面に付与(供給)する印刷技法をいう用語であり、使用するマスクの材質に限定されない。種々の合成樹脂製(例えばポリエステル製)のスクリーンマスク(メッシュ)、金属製のスクリーンメッシュ(例えばステンレスメッシュ)、エッチングやレーザ加工により金属材を加工して開口部を形成したメタルマスク、等のマスクを使用する印刷(パターニング)は、何れも本明細書における「スクリーン印刷」に包含される配線パターン形成技術である。
ここで開示される電極形成用ペーストの好ましい一態様は、上記粘度比:η/η50が6〜7の範囲にある。
このような特徴を備えるペースト材料によると、スクリーン印刷により半導体基板の受光面に受光面電極を形成するのに好適な粘度特性を示す。従って、より好適に所定の配線パターンで所望のアスペクト比の細線状の受光面電極(特に集電用のグリッド電極)を形成することができる。
ここで開示される電極形成用ペーストの好ましい他の一態様は、上記導電性粉末として平均粒子経:1〜3μmの金属粉末(典型的には銀粉末)をペースト全体の80〜90質量%の割合で含有し、有機ビヒクル成分をペースト全体の10〜20質量%の割合で含有する。
このような特徴を備えるペースト材料によると、上記のような良好な粘度特性を備えるとともに、導電性の良好な電極(換言すれば高密度な金属製電極)を形成することができる。このため、低抵抗で高出力な太陽電池を製造することができる。
特に、好ましくは、ガラス粉末をペースト全体の5質量%以下の割合で含有する。このような構成によると、基板との密着性が向上し、より機械的強度に優れる電極を受光面に形成することができる。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの電極形成用ペーストを使用して太陽電池のセル(基板)の受光面に電極を形成する方法と、該電極を形成することを一工程として包含する太陽電池の製造方法を提供する。
即ち、ここで開示される製造方法は、半導体基板と該基板の受光面に形成された所定パターンの線状の受光面電極とを備える太陽電池を製造する方法であって、
導電性粉末と該粉末を分散させる有機ビヒクル成分とを含み、
回転速度:20rpmのときの粘度が200〜400Pa・sであり、且つ、
回転速度:5rpmのときの粘度:ηと回転速度:50rpmのときの粘度:η50との粘度比:η/η50が5.5〜7.5の範囲にあることを特徴とする電極形成用ペーストを用意すること、および、
該ペーストをスクリーン印刷により上記受光面に所定パターンで塗布し、焼成することによって該所定パターンの受光面電極を形成すること、
を包含する。
かかる製造方法によると、上記構成のペースト材料を用いてスクリーン印刷を実施することにより、所望のアスペクト比の細線状の受光面電極を半導体基板上に精度よく形成することができる。即ち、受光面電極のファインライン化を実現して太陽電池のセル(受光面)の単位面積あたりの受光面積を拡大させ、セル受光面の単位面積あたりの出力向上を図ることができる。従って、本製造方法によると、高出力の太陽電池を提供することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記ペーストの粘度比:η/η50が6〜7の範囲にある。
このような特徴を備えるペースト材料を用いて受光面電極を形成することにより、より好適に所定の配線パターンで所望のアスペクト比の細線状の受光面電極(特に集電用のグリッド電極)を備える高出力な太陽電池を製造することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい他の一態様では、上記ペーストは、上記導電性粉末として平均粒子経:1〜3μmの金属粉末(典型的には銀粉末)をペースト全体の80〜90質量%の割合で含有し、有機ビヒクル成分をペースト全体の10〜20質量%の割合で含有する。
このような特徴を備えるペースト材料を用いて受光面電極を形成することにより、導電性の良好な電極(換言すれば高密度な金属製電極)を備え、低抵抗で高出力な太陽電池を製造することができる。
好ましくは、使用するペーストはガラス粉末を例えばペースト全体の5質量%以下の割合で含有する。このような構成によると、基板との密着性が向上し、より機械的強度に優れる電極を受光面に備えた太陽電池を製造することができる。
また、ここで開示される製造方法の好ましい他の一態様では、上記ペーストの受光面への塗布は、所定パターンに対応する開口部を備えたメタルマスクを用いるスクリーン印刷により行われる。
メッシュのような交点が無いメタルマスクを使用することにより、より好適に高アスペクト比の電極を形成することができる。また、メッシュの交点のようなペースト流動に対する抵抗がなくマスク開口部から受光面へのペースト移動が過剰となりやすいメタルマスクを用いても、ここで開示される電極形成用ペーストは上記の粘度特性を有するため、当該メタルマスクの開口部からの受光面への過剰なペースト移動を抑え(ひいては線幅の過大な拡がりを抑え)、所望する線幅を維持することができる。
さらに好ましい態様の製造方法では、上記スクリーン印刷は、
上記基板の受光面に上記メタルマスクを配置すること、
上記配置したメタルマスクの表面上にペーストを供給すること、
上記ペーストが供給された上記メタルマスクの表面上を100〜300mm/秒の移動速度でスキージを移動させることにより、該メタルマスクの上記開口部に該ペーストを充填すること、
を包含する。
かかる構成の製造方法によると、スムーズなスキージの移動で効率よく正確なサイズ(線幅)の受光面電極を形成し、高性能な太陽電池を効率よく製造することができる。
ここで開示される電極形成用ペーストを採用するスクリーン印刷を実施することにより、例えば線幅が70μm以下(より好ましくは65μm以下、特には60μm以下)であって厚みが少なくとも20μm(より好ましくは少なくとも25μm)であるような所定パターンの集電用電極を基板の受光面に形成することができる。従って、ここで開示される製造方法は、かかる受光面電極のファインライン化と高いアスペクト比を実現した太陽電池を製造するために好ましく採用することができる。
太陽電池の構造の一例を模式的に示す断面図である。 太陽電池の受光面に形成された電極のパターンを模式的に示す平面図である。 電極形成用ペーストを使用して行う半導体基板の受光面へのスクリーン印刷の好適な一態様を模式的に説明する図であり、(a)はスキージによるマスク開口部へのペースト材料の充填を示す図、(b)はマスク開口部を介して基板の受光面にペースト塗布物が供給されたことを示す図である。 実施例において作製した各ペーストを用いて形成した受光面電極の形成状態を模式的に示す図である。 実施例において作製した各ペーストの粘度と、該ペーストを用いて形成した受光面電極(グリッド電極)の線幅(μm)との関係を示すグラフである。 実施例において作製した各ペーストの粘度と、該ペーストを用いて形成した受光面電極(グリッド電極)の膜厚(μm)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書中において言及するペースト材料の粘度は、常温において測定された粘度の値を示している。ここで「常温」とは15〜35℃の温度範囲をいい、典型的には20〜30℃の温度範囲(例えば25℃)をいう。
ここで開示される電極形成用ペーストは、従来のこの種のペースト材料(導体ペースト)と同様に、導電性粉末と、該粉末を分散させるための有機ビヒクル成分とを主体に構成される材料である。
該ペーストの固形分の主体をなす「導電性粉末」としては、銀(Ag),白金(Pt),パラジウム(Pd),金(Au)等の貴金属の単体およびこれらの合金(Ag−Pd合金、Pt−Pd合金等)、ならびに上記貴金属と他の金属との合金等からなるものが挙げられる。コスト安や電気的抵抗の低さ等の観点から典型的には銀又は銀主体の合金からなる粉末(以下「Ag粉末」という。)が特に好ましく用いられる。
Ag粉末その他の導電性粉末としては、レーザ回折法(光散乱法)に基づく平均粒子径が5μm以下のものが適当であり、平均粒子径が3μm以下(典型的には1〜3μm、例えば1〜2μm)のものが好ましく用いられる。
導電性粉末を構成する粒子の形状は特に限定されないが、典型的には、球状、麟片状、円錐状、棒状のもの等を好適に使用することができる。充填性がよく緻密な受光面電極を形成しやすい等の理由から、球状若しくは鱗片状の粒子を用いることが好ましい。使用する導電性粉末としては、粒度分布のシャープな(狭い)ものが好ましい。例えば、粒子径10μm以上の粒子を実質的に含まないような粒度分布のシャープな導電性粉末が好ましく用いられる。この指標としてレーザー回折法に基づく粒度分布における累積体積10%時の粒径(D10)と累積体積90%時の粒径(D90)との比(D10/D90)が採用できる。粉末を構成する粒径が全て等しい場合はD10/D90の値は1となり、逆に粒度分布が広くなる程このD10/D90の値は0に近づくことになる。D10/D90の値が0.2以上(例えば0.2〜0.5)であるような比較的狭い粒度分布の粉末の使用が好ましい。
このような平均粒子径及び粒子形状を有する導電性粉末を用いたペーストは、導電性粉末の充填性がよく、緻密な電極を形成し得る。このことは、受光面上に細かい配線パターンを形状精度よく形成するにあたって有利である。
このようなAg粉末等の導電性粉末を製造する方法は特に限定されない。例えば、周知の湿式還元法、気相反応法、ガス還元法等によって製造された導電性粉末(典型的にはAg粉末)を必要に応じて分級して用いることができる。かかる分級は、例えば、遠心分離法を利用した分級機器等を用いて実施することができる。
一方、上記導電性粉末を分散させる「有機ビヒクル成分」としては、従来のこの種のペースト材料に用いられているものを特に制限なく使用することができる。典型的には、ビヒクルは、種々の組成の有機バインダと有機溶剤とから構成される。
有機バインダとしては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等をベースとする有機バインダが好適に用いられる。特にセルロース系高分子(例えばエチルセルロース)が好ましく、特に良好なスクリーン印刷を行うことができる粘度特性を実現することができる。
また、有機溶剤としては、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート)等のエステル系溶剤、ブチルカルビトール(BC:ジエチレングリコールモノブチルエーテル)等のエーテル系溶剤、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ターピネオール、メンタノール等の有機溶媒が好適に用いられる。
有機ビヒクルを構成する溶媒として好ましいものは、沸点が凡そ200℃以上(典型的にはほぼ200〜260℃)の有機溶媒である。沸点が凡そ230℃以上(典型的にはほぼ230〜260℃)の有機溶媒がより好ましく用いられる。特に好ましい溶剤成分として、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられる。
ペースト全体に占める導電性粉末の含有割合は、ペースト全体を100質量%としたときの凡そ80質量%以上(典型的には80〜90質量%)とすることが適当であり、例えば85質量%程度とすることが好ましい。導電性粉末の含有割合を高くすることは、形状精度がよく緻密な電極のパターンを形成するという観点から好ましい。一方、この含有割合が高すぎると、ペーストの取扱性やスクリーン印刷に対する適性等が低下することがあるため好ましくない。
また、上記有機ビヒクルの含有割合は、ペースト全体を100質量%としたときの5〜20質量%となる量が適当であり、10〜20質量%(特に10〜15質量%)となる量が好ましい。
また、有機ビヒクル成分のうち有機バインダは、導電性粉末100質量部に対して15質量部以下(典型的には1〜10質量部)の割合で含有されることが好ましい。特に好ましくは、導電性粉末100質量部に対して5〜10質量部の割合で含有される。
なお、各成分の含有率に係る上記数値範囲は厳密に解釈すべきでなく、本発明の目的を達成し得る限りにおいて、かかる範囲からの若干の逸脱を許容するものである。
上記主体となる導電性粉末ならびに有機ビヒクル成分の他、本発明の目的を達成し得る限りにおいて、種々の無機添加剤及び/又は有機添加剤を含ませることができる。無機添加剤の好適例として、ガラス粉末その他のセラミック粉末(ZnO、Al、SiO等)、その他種々のフィラーが挙げられる。このなかでもセラミック粉末、特にガラス粉末(ガラスフリット)の添加が好ましい。典型的には、この種の粉末(フィラー)の平均粒子経は、導電性粉末と同等かそれ以下に調整される。例えばレーザ回折法(光散乱法)に基づく平均粒子径が3μm以下、好適には2μm以下、典型的には平均粒子径が0.1〜2μm程度のガラス粉末その他の粉末(フィラー)を用いることができる。
添加されるガラス成分としては、通常の非晶質のほか結晶質ガラスであってもよい。具体例として、ケイ酸鉛ガラス、アルミノケイ酸鉛ガラス、ホウケイ酸鉛ガラス、アルミノホウケイ酸鉛ガラス等の、鉛、ホウ素、ケイ素等の酸化物を含有するものが挙げられる。ガラス軟化点は特に限定されないが、300〜600℃程度(例えば400〜500℃)であることが好ましい。このようなガラス粉末を添加すると、ペース塗布物が焼成された際、ガラス成分が基板(典型的にはシリコン基板)と溶着することにより電極との密着性に優れた電極を形成することができる。
なお、ガラス粉末その他のセラミック粉末の含有割合は、ペースト全体を100質量%としたときの10質量%以下が適当であり、典型的には5質量%以下(例えば1〜5質量%程度)である。
ここで開示される電極形成用ペーストには、上記の成分の他、必要に応じて種々の添加成分を加えることができる。例えば、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤等の添加剤が挙げられる。
ここで開示される太陽電池製造方法に好適に使用される本発明の電極形成用ペーストは、回転速度:20rpmのときの粘度(以下「η20」)が200〜400Pa・sであり、且つ、回転速度:5rpmのときの粘度:ηと回転速度:50rpmのときの粘度:η50との粘度比:η/η50が5.5〜7.5の範囲にある。好ましくは、η/η50が6〜7の範囲にある。典型的には、上記粘度は、ブルックフィールド回転粘度計により、適当なスピンドル(例えば4番のスピンドル)を用いて供試ペースト材料を上記いずれかの回転速度条件で回転させて測定した粘度である。
ここで開示される太陽電池製造方法ならびに受光面電極形成方法において使用される電極形成用ペーストは、η20が200〜400Pa・sであるような粘度であることにより、通常のスクリーン印刷を行う際に好適な粘性を示す。以下、詳細に説明する。
回転速度:5rpmにおける粘度:ηが一定であるとした場合、上記回転速度:50rpmにおける粘度η50が低くなるにつれて上記粘度比:η/η50の値は大きくなる。かかる回転速度:50rpm(即ち、ずり速度が回転数5rpmの場合よりも大きい場合)における粘度η50が低くなるということは、ペーストをスクリーン印刷する際のようなずり速度が上昇している場合には種々のスクリーン印刷用マスク(典型的にはメタルマスク)からのペーストの「抜け」即ち流出が良好であるということを示している。特にスクリーン印刷法の採用によって太陽電池のセルを構成する半導体基板の受光面にスクリーン印刷用のマスクを介してペースト材料を付与(供給)する場合(具体的にはスキージを用いてマスクの開口部にペースト材料を充填させるとき)に好ましい粘度特性である。良好な流動性を示して当該マスクからのペーストの「抜け」がよいからである。
一方、回転速度:50rpmにおける粘度:η50が一定であるとした場合、上記回転速度:5rpmにおける粘度ηが高くなるにつれて上記粘度比(η/η50)の値は大きくなる。かかる回転速度:5rpm(即ち、ずり速度が回転数50rpmの場合よりも小さい場合)における粘度ηが高くなるということは、基板の受光面に印刷されたペーストが流れ難い(ペーストの垂れが少ない)という観点から好ましい。このことにより、スクリーン印刷法を実行して種々のマスクを介して所定のパターンで基板の受光面に印刷された後(即ち受光面に塗布された後のずり速度が極めて低くなった状態)では、良好な粘性(形状維持性能)を示してライン幅の好ましくない拡がりを防止することができる。
即ち、焼成するまでの間に受光面に塗布された配線パターンの形状が滲みにくいので、形状精度のよい電極パターンを形成することができる。なお、上記粘度比(η5/η50)の値が大きすぎると、ペーストのレベリング性が全般に低下傾向となるため好ましくない。
かかる粘度(η、η20、η50)及び/又は粘度比(η/η50)は、例えば、ペーストに含まれる導電性粉末の含有割合、当該導電性粉末の平均粒子径や導電性粉末の粒度分布等によっても調整することができるが、好ましくは、上述した導電性粉末の好適な形状(外形ならびに平均粒子径や粒度分布)を維持しつつ、有機ビヒクルを構成する溶剤の種類、有機バインダの種類およびこれらの含有割合等を調整することにより設定することができる。
ここで開示される電極形成用ペーストは、従来のこの種の導体ペーストと同様、典型的には上記導電性粉末と上記有機ビヒクル成分とを混和することによって調製することができる。このとき、必要に応じて上述したような添加剤(例えばガラス粉末等の無機フィラーや粘度調整剤等の補助成分)を添加・混合するとよい。例えば、三本ロールミルその他の混練機を用いて、上記導電性粉末および各種添加剤を有機ビヒクル成分とともに所定の配合比で混合し、相互に練り合わせることにより、種々の組成の電極形成用ペーストを調製することができる。
次に、ここで開示される電極形成用ペーストを用いて太陽電池用の半導体基板の受光面に線状電極を所定のパターンで形成することを包含する太陽電池製造方法について説明する。なお、太陽電池製造方法に関し、本発明を特徴付ける材料と該材料を使用するプロセス以外については、従来の太陽電池(ソーラーセル)を製造する場合と同様であり、かかる従来と同様の製造プロセスや従来と同様の材料の使用に関する部分については、本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
図1及び図2は、本発明の実施により好適に製造され得る太陽電池(ソーラーセル)10の一例を模式的に図示したものであり、単結晶若しくは多結晶或いはアモルファス型のシリコン(Si)からなるウェハを半導体基板11として利用する所謂シリコン型ソーラーセルである。図1に示すセル10は、一般的な片面受光タイプの太陽電池10である。
具体的には、この種の太陽電池10は、シリコン基板(Siウエハ)11のp−Si層(p型結晶シリコン)18の受光面側にpn接合形成により形成されたn−Si層16を備え、その表面にはCVD等により形成された酸化チタンや窒化シリコンから成る反射防止膜14と、Ag粉末等を含む電極形成用ペーストから形成される受光面電極12,13とを備える。
一方、p−Si層18の裏面側には、受光面電極12と同様に所定のペースト材料(典型的には導電性粉末がAg粉末である導体ペースト)により形成される裏面側外部接続用電極22と、いわゆる裏面電界(BSF;Back Surface Field)効果を奏するアルミニウム電極20とを備える。アルミニウム電極20は、アルミニウム粉末を主体とするアルミニウムペーストを印刷・焼成することによって裏面の略全面に形成される。この焼成時に図示しないAl−Si合金層が形成され、アルミニウムがp−Si層18に拡散してp+層24が形成される。かかるp+層24、即ちBSF層が形成されることによって、光生成されたキャリアが裏面電極近傍で再結合することが防止され、例えば短絡電流や開放電圧(Voc)の向上が実現される。
図2に示すように、太陽電池10のシリコン基板11の受光面11A側には、受光面電極12,13として、数本の相互に平行な直線状のバスバー(接続用)電極12と、該バスバー電極12と交差するように接続する相互に平行な筋状のグリッド(集電用)電極(フィンガー電極ともいう。)13とが形成されている。
グリッド電極13は、受光により生成した光生成キャリア(正孔及び電子)を収集するため多数本形成されている。バスバー電極12はグリッド電極13により収集されたキャリアを集電するための接続用電極である。従って、上述のとおり、かかる受光面11A側に設けられるバスバー電極12とグリッド電極13(特に数の多いグリッド電極13)をできるだけファインライン化することにより、太陽電池10の光電変換効率を高め、高出力化を図ることができる。
このような図示される太陽電池10は、大まかにいって、次のようなプロセスを経て製造される。
即ち、適当なシリコンウェハを用意し、熱拡散法やイオンプランテーション等の一般的な技法により所定の不純物をドープして上記p−Si層18やn−Si層16を形成することにより、前記シリコン基板(半導体基板)11を作製する。次いで、例えばスピンコーティング等の技法により窒化シリコン等からなる反射防止膜14を形成する。
さらに、形成した反射防止膜14上に、スクリーン印刷法に基づいて図2に示すような配線パターンで電極形成用ペーストを印刷する。印刷する線幅は特に限定しないが、本発明の電極形成用ペーストを採用することによって、線幅が70μm程度若しくはそれ以下(好ましくは65μm以下、特には60μm以下)のグリッド(集電用)電極となる塗膜を形成する。次いで、適当な温度域(典型的には100〜200℃、例えば130〜150℃程度)で基板を乾燥させる。好適なスクリーン印刷法の内容に関しては後述する。
一方、上記シリコン基板11の裏面側に、先ず、受光面電極(典型的にはAg電極)12,13の場合と同様、所定のペースト材料(典型的には導電性粉末がAg粉末である導体ペースト)を用いて所定のパターンにスクリーン印刷し、乾燥することにより、焼成後に裏面側外部接続用電極22(図1参照)となる裏面側導体ペースト塗布物を形成した。次いで、裏面側の全面に、アルミニウム粉末を導体成分とするペーストをスクリーン印刷法等で塗布し、乾燥することによりアルミニウム膜を形成する。
次いで、両面にそれぞれペースト塗布物(乾燥膜状塗布物)が付与されたシリコン基板11を大気雰囲気中で例えば近赤外線高速焼成炉のような焼成炉を用いて、適当な焼成温度(例えば700〜900℃)で焼成する。
かかる焼成によって、受光面電極(典型的にはAg電極)12,13及び裏面側外部接続用電極(典型的にはAg電極)22とともに、焼成アルミニウム電極20が形成され、同時に図示しないAl−Si合金層が形成されアルミニウムがp−Si層18に拡散して上述したp+層(BSF層)24が形成され、太陽電池10が作製される。
なお、上記のように同時焼成する代わりに、例えば受光面側の受光面電極(典型的にはAg電極)12,13を形成するための焼成と、裏面側のアルミニウム電極及び外部接続用電極を形成するための焼成とを別々に実施してもよい。
ここで開示される太陽電池製造方法において実施される受光面電極の形成プロセスにおいて、所望の組成の電極形成用ペーストを使用してスクリーン印刷する場合、好ましくは、図3の(a)(b)に示すように、エッチング処理やレーザ加工によって正確な形状で配線パターンに対応する開口部51が形成されたメタルマスク50を使用し、一般的なスクリーン印刷を行うとよい。
具体的には、半導体基板(シリコン基板)11の受光面11Aに所定のメタルマスク50を配置し、該配置したメタルマスク50の表面上に所望の組成の電極形成用ペースト70を供給しておく。そして、メタルマスク50の表面上を、好ましくは100〜300mm/秒の移動速度(例えば150〜250mm/秒)で適当な形状のスキージ60を高速移動させることにより、適度なずれ速度(せん断速度)を電極形成用ペースト70に与えることができ、結果、ペーストの流動性が高くなって効率よくメタルマスク50の開口部51にペースト70を充填することができる。
好ましくは、スキージの印圧(スキージにかける圧力)は、スキージ自体の材質や構造によって適宜異なり得るために特に限定はないが、典型的には、0.05〜0.3MPa程度が適当であり、典型的には0.1〜0.2MPa程度である。また、メタルマスク表面とスキージとの間の角度(アタック角度)は、従来よりもやや立たせたほうが好ましく、70〜85度(より好ましくは75〜80度)のアタック角度が特に好ましい。
使用するメタルマスク50の開口部51の開口幅は受光面電極のファインライン化を実現し得るサイズが好ましい。例えば、線幅70μm以下のグリッド電極を形成する場合には、そのサイズに対応する開口幅、典型的には60μm以下(例えば30〜60μm)、或いは50μm以下(例えば30〜50μm)のメタルマスクを使用することができる。特に限定するものではないが、例えば目的とするグリッド電極の線幅よりも5〜20%程度狭い開口幅のマスク(例えば線幅60μm程度の電極が目的なら開口幅が48〜57μm程度のマスク)を使用するとよい。また、使用するメタルマスクとしては、グリット電極ライン形成用の開口部とバスバー電極ライン形成用の開口部の両方が形成されているものでも、或いは、グリッド電極ライン用の開口部のみ形成されているものでもよい。グリット電極ライン形成用の開口部のみ形成されているメタルマスクを使用する場合には、バスバー電極は別のスクリーン印刷版を用いて形成することができる。
ここで開示される太陽電池製造方法(即ち該方法に包含されるスクリーン印刷による電極形成方法)によると、例えば、線幅70μm以下(好ましくは65μm以下、特には60μm以下)のグリッド電極13を形成することができる。また、バスバー電極については特に制限はなく、例えば線幅1000〜3000μm程度のバスバー電極を形成することができる。
また、スキージ70の形状はスムーズな移動とペースト70のマスク開口部51への充填を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、典型的には厚みが1〜10mm程度の合成樹脂製(例えばポリウレタン製やフッ素樹脂製)の平板状のもの(典型的には硬度60〜80度、特には硬度80度)を好適に使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
なお、以下に記載の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製品:LA−920)を用いて測定した。
また、粘度は、ブルックフィールド社製の回転粘度計(HBT型 DV III+)により、4番スピンドル(スピンドル「SC−4−14」)を使用し、25℃で各回転速度(5,20,50rpm)で測定した。
<電極形成用ペーストの調製>
以下の表1及び表2に示す計17種類のペーストを調製した。
導電性粉末としては、レーザ回折法に基づく平均粒子径が2μmであるAg粉末を用いた。また、有機ビヒクル成分として、エチルセルロースとBCA(ブチルカルビトールアセテート)を使用した。また、ガラスフリットとして、電子材料分野で導体ペースト調製の際によく用いられる一般的なホウケイ酸鉛ガラス粉末(レーザ回折式に基づく平均粒子径:0.5〜1.6μm)を使用した。具体的には、これら材料を表1及び表2に記載のとおりの組成(配合比)となるように混合し、三本ロールミルを用いてよく混練した。これにより表中でサンプル1〜17として示す計17種類の電極形成用ペーストを調製した。
次いで、得られた各ペーストの回転速度5rpm、20rpm及び50rpmにおける粘度:η、η20及びη50を測定し、さらに粘度比η/η50を求めた。各測定値を表中の該当欄に示す。
表中に示す値から明らかなように、有機ビヒクル成分の組成を調整することによって、種々の粘度及び粘度比のペーストが得られた。
Figure 0005833298
Figure 0005833298
<試験用太陽電池(受光面電極)の作製>
上記得られたサンプル1〜17のペーストを受光面電極(即ちグリッド電極とバスバー電極)形成用として用いて、各サンプルに対応する太陽電池を製造した。
即ち、市販の156mm四方(□)太陽電池用p型単結晶シリコン基板(板厚200μm)を用意し、その表面をNaOH水溶液を用いてアルカリエッチング処理した。次いで、上記エッチング処理でテクスチャ構造が形成されたSi基板の受光面にリン含有溶液を塗布し、熱処理を行なうことによって当該Si基板の受光面に厚さが約0.5μmであるn−Si層(n+層)を形成した。次いで、n−Si層上にプラズマCVD(PECVD)法によって厚みが50〜100nm程度の反射防止膜(酸化チタン膜)を形成した。
その後、何れかのサンプルのペーストを用いて上記反射防止膜上に大気雰囲気中、室温条件下でスクリーン印刷法によって受光面電極(Ag電極)となる塗膜を形成した。
具体的には、図2及び後述する図4に示すような2本の相互に平行な直線状バスバー電極と、該バスバー電極に直交するようにして相互に平行に複数本のグリッド電極とからなる配線パターンを受光面にスクリーン印刷にて形成した。目標とするグリッド電極の線幅は60〜65μmに設定した。また、バスバー電極の線幅は2000μmに設定した。
而して、当該配線パターンと各電極の線幅サイズに対応する開口部が形成されたメタルマスクを基板の受光面上に配置し、ペーストを当該マスク上に供給した後、シリコンゴム(若しくはウレタンゴムでもよい。)製のスキージ(硬度80度)をアタック角度80度、印圧0.1MPaでメタルマスクに接触させ、200mm/秒の速度でスキージを高速移動させ、マスクの開口部にペーストを充填して印刷を行った。
上記スクリーン印刷の実施後、基板を150℃で乾燥させ、次いで、基板を焼成し、受光面電極を形成した。具体的には、大気雰囲気中で近赤外線高速焼成炉を用いて焼成温度域700〜800℃で焼成した。
<電極形成評価(1)>
上記のようにして試験用基板の受光面上に形成された受光面電極(グリッド電極、バスバー電極)のパターンを光学顕微鏡で観察することにより、形状精度を評価した。パターン観察は、主として(1).ライン(電極)の表面および/または外縁の意図しない凹凸(うねり)の有無およびその程度、(2).ライン上の突起の有無およびその程度、(3).ラインの滲み(ライン潰れ)の有無およびその程度、(4).ラインの断線の有無およびその程度の観点から行った。
観察結果を図4に模式的に示した。なお、図示される基板の下から上方向に上記スクリーン印刷(即ちスキージの移動方向)が行われている。図中の太字の円若しくは楕円は、顕微鏡観察により、ラインに断線や欠陥が認められた部位を示している。
この図から明らかなように、粘度比(η/η50)が3であるペースト若しくは8であるペーストを使用した場合に比較して当該粘度比が5〜7であるペーストを使用した場合には、ラインの欠陥が顕著に低減された。特に粘度比が6若しくは7であるペーストを使用して形成したライン(特にグリッド電極)には断線は認められず、僅かな突起や滲みが認められるのみであった。
<電極形成評価(2)>
次に、試験用基板の受光面上に形成された受光面電極(グリッド電極)の線幅と膜厚を顕微鏡観察(マイクロメータ)により調べ、形成されたグリッド電極の平均線幅(μm)及び平均厚み(膜厚:μm)を表1及び2の該当欄に示すとともに、図5及び図6のグラフに、それぞれ、各ペーストの粘度と該ペーストを用いて形成したグリッド電極の平均線幅(図5)或いは平均膜厚(図6)との関係を示す。
これら表やグラフから明らかなように、粘度比(η/η50)が6〜7であるペーストを使用した場合には、目標の線幅である60〜65μmのグリッド電極を好適に形成し得ることが確認できた。また、膜厚も21μm以上(典型的には23μm以上)を確保しており、高アスペクト比の高精度なグリッド電極が形成されることを示している。
一方、当該粘度比が3であるペーストを使用した場合は、著しく高い線幅(85μm以上)の電極が形成された。このことは、スクリーン印刷された塗布物の受光面上での形状維持が困難であることを示している。また、当該粘度比が5であるペーストを使用した場合も、粘度比3のペーストを使用した場合ほど顕著ではないが、電極の線幅が65μmを上回っており、スクリーン印刷された塗布物の受光面上での形状維持性能がやや劣っていることが示された。逆に、当該粘度比が8であるペーストを使用した場合は、スクリーン印刷時の粘度が高すぎて、メタルマスクの開口部に充分量のペーストが充填されない傾向にあることが認められた。このため、膜厚も相対的に低い傾向にあった。
<電極性能評価>
試験用基板の受光面上に形成された受光面電極(グリッド電極)の電極(導体)としての性能をライン抵抗値(mΩ)で評価した。
具体的には、日置電機株式会社(HIOKI)製のデジタルハイテスタを用いて受光面電極のグリッド電極にテスタのプローブを38mm間隔で接触させ、その値を測定した。測定は相互に異なる計10箇所の位置にて行い、それらの平均値をライン抵抗値(mΩ)とした。
こうして測定したライン抵抗値の平均値(mΩ)を表1及び2の該当欄に示す。表中のライン抵抗値から明らかなように、何れの電極も充分低い抵抗値を示したが、上記粘度比8のペーストを使用した電極の抵抗値は全般に高い値を示した。このことは、スクリーン印刷時の粘度が高すぎてメタルマスクの開口部に充分量のペーストが充填されない結果、ラインに断線等の欠陥が生じたことを反映する。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
10 太陽電池(ソーラーセル)
11 半導体基板(Si基板)
11A 受光面
12 バスバー電極(受光面電極)
13 グリッド電極(受光面電極)
14 反射防止膜
16 n−Si層
18 p−Si層
20 裏面アルミニウム電極
22 裏面側外部接続用電極
24 p+層
50 メタルマスク
51 開口部
60 スキージ
70 電極形成用ペースト

Claims (4)

  1. 半導体基板と該基板の受光面に形成された線幅が70μm以下であって厚みが少なくとも21μmである所定パターンの線状の受光面電極とを備える太陽電池を製造する方法であって、
    導電性粉末と該粉末を分散させる有機ビヒクル成分とを含み、回転速度:20rpmのときの粘度が200〜400Pa・sであり、且つ、回転速度:5rpmのときの粘度:ηと回転速度:50rpmのときの粘度:η50との粘度比:η/η50が5.5〜7.5の範囲にあることを特徴とする電極形成用ペーストを用意すること、および、
    前記ペーストを1回のスクリーン印刷により前記受光面に前記線幅が70μm以下であって前記厚みが少なくとも21μmである前記所定パターンとなるように塗布し、焼成することによって前記所定パターンの受光面電極を形成すること、
    を包含し、
    前記ペーストの前記受光面への塗布は、前記所定パターンに対応する開口幅60μm以下の開口部を備えたメタルマスクを用いるスクリーン印刷により行われ
    前記スクリーン印刷は、
    前記基板の受光面に前記メタルマスクを配置すること、
    前記配置したメタルマスクの表面上に前記ペーストを供給すること、
    前記ペーストが供給された前記メタルマスクの表面上を100〜300mm/秒の移動速度でスキージを移動させることにより、該メタルマスクの前記開口部に該ペーストを充填すること、
    を包含する、製造方法。
  2. 前記ペーストの前記粘度比:η/η50が、6〜7の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ペーストは、前記導電性粉末として平均粒子経:1〜3μmの銀粉末をペースト全体の80〜90質量%の割合で含有し、有機ビヒクル成分をペースト全体の10〜20質量%の割合で含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記ペーストは、ガラス粉末をペースト全体の5質量%以下の割合で含有することを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
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