JP5833298B2 - 太陽電池の製造方法と該方法に用いられる電極形成用ペースト材料 - Google Patents
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Description
かかる要求を実現するための一つの方策として、太陽電池のセル単位面積あたりの受光面積を拡大することが挙げられる。例えば、受光面積を拡大するための一つの手段として、受光面に形成されている線状電極の細線化(ファインライン化)が挙げられる。
このような受光面電極が形成されている部分は、太陽電池の受光面における非受光部分(遮光部分)である。このため、受光面電極を従来よりも細線化(ファインライン化)すればそれだけ非受光部分(遮光部分)が低減し、セル単位面積あたりの受光面積を拡大し、セル単位面積あたりの出力を向上させることができる。このとき細線化された分だけ電極を厚くしないと電極のライン抵抗が増加してしまい、その分だけ太陽電池の出力特性が低下してしまう。従って、受光面電極のファインライン化、且つ、電極厚みの向上、即ち高アスペクト比(電極における厚みと線幅との比:厚み/線幅を大きくすること。以下同じ。)が同時に求められる。かかる受光面電極の従来技術として、以下の特許文献1が挙げられる。
そこで本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、太陽電池の受光面電極のファインライン化と高アスペクト比を実現するのに好適な方法と該方法に用いられる材料を提供することである。また、該方法と材料の採用により微細な受光面電極が半導体基板上に形成された太陽電池(ソーラーセル)とその製法を提供することを他の目的とする。
即ち、本発明によって提供される、太陽電池の受光面に線状電極を形成するためのペーストは、
導電性粉末と、該粉末を分散させる有機ビヒクル成分とを含み、
回転速度:20rpmのときの粘度が200〜400Pa・sであり、且つ、
回転速度:5rpmのときの粘度:η5と回転速度:50rpmのときの粘度:η50との粘度比:η5/η50が5.5〜7.5の範囲にあることを特徴とする電極形成用ペーストである。
ここで上記粘度は、市販の回転粘度計により測定され得る粘度である。例えば、当該分野で標準的なブルックフィールド社製の回転粘度計(ブルックフィールド回転粘度計)を使用することにより、上記のような回転速度域の条件(例えば4番スピンドルを使用する。)で容易に粘度を測定し、上記粘度比を算出することができる。
従って、上記構成のペースト材料によると、所望のアスペクト比の細線状の受光面電極を形成することができる。換言すれば、受光面に形成される線状電極のさらなるファインライン化を実現し、セル受光面の単位面積あたりの出力向上を図ることができる。
このような特徴を備えるペースト材料によると、スクリーン印刷により半導体基板の受光面に受光面電極を形成するのに好適な粘度特性を示す。従って、より好適に所定の配線パターンで所望のアスペクト比の細線状の受光面電極(特に集電用のグリッド電極)を形成することができる。
このような特徴を備えるペースト材料によると、上記のような良好な粘度特性を備えるとともに、導電性の良好な電極(換言すれば高密度な金属製電極)を形成することができる。このため、低抵抗で高出力な太陽電池を製造することができる。
特に、好ましくは、ガラス粉末をペースト全体の5質量%以下の割合で含有する。このような構成によると、基板との密着性が向上し、より機械的強度に優れる電極を受光面に形成することができる。
即ち、ここで開示される製造方法は、半導体基板と該基板の受光面に形成された所定パターンの線状の受光面電極とを備える太陽電池を製造する方法であって、
導電性粉末と該粉末を分散させる有機ビヒクル成分とを含み、
回転速度:20rpmのときの粘度が200〜400Pa・sであり、且つ、
回転速度:5rpmのときの粘度:η5と回転速度:50rpmのときの粘度:η50との粘度比:η5/η50が5.5〜7.5の範囲にあることを特徴とする電極形成用ペーストを用意すること、および、
該ペーストをスクリーン印刷により上記受光面に所定パターンで塗布し、焼成することによって該所定パターンの受光面電極を形成すること、
を包含する。
このような特徴を備えるペースト材料を用いて受光面電極を形成することにより、より好適に所定の配線パターンで所望のアスペクト比の細線状の受光面電極(特に集電用のグリッド電極)を備える高出力な太陽電池を製造することができる。
このような特徴を備えるペースト材料を用いて受光面電極を形成することにより、導電性の良好な電極(換言すれば高密度な金属製電極)を備え、低抵抗で高出力な太陽電池を製造することができる。
好ましくは、使用するペーストはガラス粉末を例えばペースト全体の5質量%以下の割合で含有する。このような構成によると、基板との密着性が向上し、より機械的強度に優れる電極を受光面に備えた太陽電池を製造することができる。
メッシュのような交点が無いメタルマスクを使用することにより、より好適に高アスペクト比の電極を形成することができる。また、メッシュの交点のようなペースト流動に対する抵抗がなくマスク開口部から受光面へのペースト移動が過剰となりやすいメタルマスクを用いても、ここで開示される電極形成用ペーストは上記の粘度特性を有するため、当該メタルマスクの開口部からの受光面への過剰なペースト移動を抑え(ひいては線幅の過大な拡がりを抑え)、所望する線幅を維持することができる。
上記基板の受光面に上記メタルマスクを配置すること、
上記配置したメタルマスクの表面上にペーストを供給すること、
上記ペーストが供給された上記メタルマスクの表面上を100〜300mm/秒の移動速度でスキージを移動させることにより、該メタルマスクの上記開口部に該ペーストを充填すること、
を包含する。
かかる構成の製造方法によると、スムーズなスキージの移動で効率よく正確なサイズ(線幅)の受光面電極を形成し、高性能な太陽電池を効率よく製造することができる。
なお、本明細書中において言及するペースト材料の粘度は、常温において測定された粘度の値を示している。ここで「常温」とは15〜35℃の温度範囲をいい、典型的には20〜30℃の温度範囲(例えば25℃)をいう。
該ペーストの固形分の主体をなす「導電性粉末」としては、銀(Ag),白金(Pt),パラジウム(Pd),金(Au)等の貴金属の単体およびこれらの合金(Ag−Pd合金、Pt−Pd合金等)、ならびに上記貴金属と他の金属との合金等からなるものが挙げられる。コスト安や電気的抵抗の低さ等の観点から典型的には銀又は銀主体の合金からなる粉末(以下「Ag粉末」という。)が特に好ましく用いられる。
導電性粉末を構成する粒子の形状は特に限定されないが、典型的には、球状、麟片状、円錐状、棒状のもの等を好適に使用することができる。充填性がよく緻密な受光面電極を形成しやすい等の理由から、球状若しくは鱗片状の粒子を用いることが好ましい。使用する導電性粉末としては、粒度分布のシャープな(狭い)ものが好ましい。例えば、粒子径10μm以上の粒子を実質的に含まないような粒度分布のシャープな導電性粉末が好ましく用いられる。この指標としてレーザー回折法に基づく粒度分布における累積体積10%時の粒径(D10)と累積体積90%時の粒径(D90)との比(D10/D90)が採用できる。粉末を構成する粒径が全て等しい場合はD10/D90の値は1となり、逆に粒度分布が広くなる程このD10/D90の値は0に近づくことになる。D10/D90の値が0.2以上(例えば0.2〜0.5)であるような比較的狭い粒度分布の粉末の使用が好ましい。
このような平均粒子径及び粒子形状を有する導電性粉末を用いたペーストは、導電性粉末の充填性がよく、緻密な電極を形成し得る。このことは、受光面上に細かい配線パターンを形状精度よく形成するにあたって有利である。
有機バインダとしては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等をベースとする有機バインダが好適に用いられる。特にセルロース系高分子(例えばエチルセルロース)が好ましく、特に良好なスクリーン印刷を行うことができる粘度特性を実現することができる。
有機ビヒクルを構成する溶媒として好ましいものは、沸点が凡そ200℃以上(典型的にはほぼ200〜260℃)の有機溶媒である。沸点が凡そ230℃以上(典型的にはほぼ230〜260℃)の有機溶媒がより好ましく用いられる。特に好ましい溶剤成分として、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられる。
また、上記有機ビヒクルの含有割合は、ペースト全体を100質量%としたときの5〜20質量%となる量が適当であり、10〜20質量%(特に10〜15質量%)となる量が好ましい。
また、有機ビヒクル成分のうち有機バインダは、導電性粉末100質量部に対して15質量部以下(典型的には1〜10質量部)の割合で含有されることが好ましい。特に好ましくは、導電性粉末100質量部に対して5〜10質量部の割合で含有される。
なお、各成分の含有率に係る上記数値範囲は厳密に解釈すべきでなく、本発明の目的を達成し得る限りにおいて、かかる範囲からの若干の逸脱を許容するものである。
なお、ガラス粉末その他のセラミック粉末の含有割合は、ペースト全体を100質量%としたときの10質量%以下が適当であり、典型的には5質量%以下(例えば1〜5質量%程度)である。
ここで開示される太陽電池製造方法ならびに受光面電極形成方法において使用される電極形成用ペーストは、η20が200〜400Pa・sであるような粘度であることにより、通常のスクリーン印刷を行う際に好適な粘性を示す。以下、詳細に説明する。
即ち、焼成するまでの間に受光面に塗布された配線パターンの形状が滲みにくいので、形状精度のよい電極パターンを形成することができる。なお、上記粘度比(η5/η50)の値が大きすぎると、ペーストのレベリング性が全般に低下傾向となるため好ましくない。
具体的には、この種の太陽電池10は、シリコン基板(Siウエハ)11のp−Si層(p型結晶シリコン)18の受光面側にpn接合形成により形成されたn−Si層16を備え、その表面にはCVD等により形成された酸化チタンや窒化シリコンから成る反射防止膜14と、Ag粉末等を含む電極形成用ペーストから形成される受光面電極12,13とを備える。
一方、p−Si層18の裏面側には、受光面電極12と同様に所定のペースト材料(典型的には導電性粉末がAg粉末である導体ペースト)により形成される裏面側外部接続用電極22と、いわゆる裏面電界(BSF;Back Surface Field)効果を奏するアルミニウム電極20とを備える。アルミニウム電極20は、アルミニウム粉末を主体とするアルミニウムペーストを印刷・焼成することによって裏面の略全面に形成される。この焼成時に図示しないAl−Si合金層が形成され、アルミニウムがp−Si層18に拡散してp+層24が形成される。かかるp+層24、即ちBSF層が形成されることによって、光生成されたキャリアが裏面電極近傍で再結合することが防止され、例えば短絡電流や開放電圧(Voc)の向上が実現される。
グリッド電極13は、受光により生成した光生成キャリア(正孔及び電子)を収集するため多数本形成されている。バスバー電極12はグリッド電極13により収集されたキャリアを集電するための接続用電極である。従って、上述のとおり、かかる受光面11A側に設けられるバスバー電極12とグリッド電極13(特に数の多いグリッド電極13)をできるだけファインライン化することにより、太陽電池10の光電変換効率を高め、高出力化を図ることができる。
即ち、適当なシリコンウェハを用意し、熱拡散法やイオンプランテーション等の一般的な技法により所定の不純物をドープして上記p−Si層18やn−Si層16を形成することにより、前記シリコン基板(半導体基板)11を作製する。次いで、例えばスピンコーティング等の技法により窒化シリコン等からなる反射防止膜14を形成する。
さらに、形成した反射防止膜14上に、スクリーン印刷法に基づいて図2に示すような配線パターンで電極形成用ペーストを印刷する。印刷する線幅は特に限定しないが、本発明の電極形成用ペーストを採用することによって、線幅が70μm程度若しくはそれ以下(好ましくは65μm以下、特には60μm以下)のグリッド(集電用)電極となる塗膜を形成する。次いで、適当な温度域(典型的には100〜200℃、例えば130〜150℃程度)で基板を乾燥させる。好適なスクリーン印刷法の内容に関しては後述する。
次いで、両面にそれぞれペースト塗布物(乾燥膜状塗布物)が付与されたシリコン基板11を大気雰囲気中で例えば近赤外線高速焼成炉のような焼成炉を用いて、適当な焼成温度(例えば700〜900℃)で焼成する。
かかる焼成によって、受光面電極(典型的にはAg電極)12,13及び裏面側外部接続用電極(典型的にはAg電極)22とともに、焼成アルミニウム電極20が形成され、同時に図示しないAl−Si合金層が形成されアルミニウムがp−Si層18に拡散して上述したp+層(BSF層)24が形成され、太陽電池10が作製される。
なお、上記のように同時焼成する代わりに、例えば受光面側の受光面電極(典型的にはAg電極)12,13を形成するための焼成と、裏面側のアルミニウム電極及び外部接続用電極を形成するための焼成とを別々に実施してもよい。
具体的には、半導体基板(シリコン基板)11の受光面11Aに所定のメタルマスク50を配置し、該配置したメタルマスク50の表面上に所望の組成の電極形成用ペースト70を供給しておく。そして、メタルマスク50の表面上を、好ましくは100〜300mm/秒の移動速度(例えば150〜250mm/秒)で適当な形状のスキージ60を高速移動させることにより、適度なずれ速度(せん断速度)を電極形成用ペースト70に与えることができ、結果、ペーストの流動性が高くなって効率よくメタルマスク50の開口部51にペースト70を充填することができる。
好ましくは、スキージの印圧(スキージにかける圧力)は、スキージ自体の材質や構造によって適宜異なり得るために特に限定はないが、典型的には、0.05〜0.3MPa程度が適当であり、典型的には0.1〜0.2MPa程度である。また、メタルマスク表面とスキージとの間の角度(アタック角度)は、従来よりもやや立たせたほうが好ましく、70〜85度(より好ましくは75〜80度)のアタック角度が特に好ましい。
ここで開示される太陽電池製造方法(即ち該方法に包含されるスクリーン印刷による電極形成方法)によると、例えば、線幅70μm以下(好ましくは65μm以下、特には60μm以下)のグリッド電極13を形成することができる。また、バスバー電極については特に制限はなく、例えば線幅1000〜3000μm程度のバスバー電極を形成することができる。
また、スキージ70の形状はスムーズな移動とペースト70のマスク開口部51への充填を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、典型的には厚みが1〜10mm程度の合成樹脂製(例えばポリウレタン製やフッ素樹脂製)の平板状のもの(典型的には硬度60〜80度、特には硬度80度)を好適に使用することができる。
なお、以下に記載の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製品:LA−920)を用いて測定した。
また、粘度は、ブルックフィールド社製の回転粘度計(HBT型 DV III+)により、4番スピンドル(スピンドル「SC−4−14」)を使用し、25℃で各回転速度(5,20,50rpm)で測定した。
以下の表1及び表2に示す計17種類のペーストを調製した。
導電性粉末としては、レーザ回折法に基づく平均粒子径が2μmであるAg粉末を用いた。また、有機ビヒクル成分として、エチルセルロースとBCA(ブチルカルビトールアセテート)を使用した。また、ガラスフリットとして、電子材料分野で導体ペースト調製の際によく用いられる一般的なホウケイ酸鉛ガラス粉末(レーザ回折式に基づく平均粒子径:0.5〜1.6μm)を使用した。具体的には、これら材料を表1及び表2に記載のとおりの組成(配合比)となるように混合し、三本ロールミルを用いてよく混練した。これにより表中でサンプル1〜17として示す計17種類の電極形成用ペーストを調製した。
次いで、得られた各ペーストの回転速度5rpm、20rpm及び50rpmにおける粘度:η5、η20及びη50を測定し、さらに粘度比η5/η50を求めた。各測定値を表中の該当欄に示す。
表中に示す値から明らかなように、有機ビヒクル成分の組成を調整することによって、種々の粘度及び粘度比のペーストが得られた。
上記得られたサンプル1〜17のペーストを受光面電極(即ちグリッド電極とバスバー電極)形成用として用いて、各サンプルに対応する太陽電池を製造した。
即ち、市販の156mm四方(□)太陽電池用p型単結晶シリコン基板(板厚200μm)を用意し、その表面をNaOH水溶液を用いてアルカリエッチング処理した。次いで、上記エッチング処理でテクスチャ構造が形成されたSi基板の受光面にリン含有溶液を塗布し、熱処理を行なうことによって当該Si基板の受光面に厚さが約0.5μmであるn−Si層(n+層)を形成した。次いで、n−Si層上にプラズマCVD(PECVD)法によって厚みが50〜100nm程度の反射防止膜(酸化チタン膜)を形成した。
その後、何れかのサンプルのペーストを用いて上記反射防止膜上に大気雰囲気中、室温条件下でスクリーン印刷法によって受光面電極(Ag電極)となる塗膜を形成した。
而して、当該配線パターンと各電極の線幅サイズに対応する開口部が形成されたメタルマスクを基板の受光面上に配置し、ペーストを当該マスク上に供給した後、シリコンゴム(若しくはウレタンゴムでもよい。)製のスキージ(硬度80度)をアタック角度80度、印圧0.1MPaでメタルマスクに接触させ、200mm/秒の速度でスキージを高速移動させ、マスクの開口部にペーストを充填して印刷を行った。
上記スクリーン印刷の実施後、基板を150℃で乾燥させ、次いで、基板を焼成し、受光面電極を形成した。具体的には、大気雰囲気中で近赤外線高速焼成炉を用いて焼成温度域700〜800℃で焼成した。
上記のようにして試験用基板の受光面上に形成された受光面電極(グリッド電極、バスバー電極)のパターンを光学顕微鏡で観察することにより、形状精度を評価した。パターン観察は、主として(1).ライン(電極)の表面および/または外縁の意図しない凹凸(うねり)の有無およびその程度、(2).ライン上の突起の有無およびその程度、(3).ラインの滲み(ライン潰れ)の有無およびその程度、(4).ラインの断線の有無およびその程度の観点から行った。
観察結果を図4に模式的に示した。なお、図示される基板の下から上方向に上記スクリーン印刷(即ちスキージの移動方向)が行われている。図中の太字の円若しくは楕円は、顕微鏡観察により、ラインに断線や欠陥が認められた部位を示している。
この図から明らかなように、粘度比(η5/η50)が3であるペースト若しくは8であるペーストを使用した場合に比較して当該粘度比が5〜7であるペーストを使用した場合には、ラインの欠陥が顕著に低減された。特に粘度比が6若しくは7であるペーストを使用して形成したライン(特にグリッド電極)には断線は認められず、僅かな突起や滲みが認められるのみであった。
次に、試験用基板の受光面上に形成された受光面電極(グリッド電極)の線幅と膜厚を顕微鏡観察(マイクロメータ)により調べ、形成されたグリッド電極の平均線幅(μm)及び平均厚み(膜厚:μm)を表1及び2の該当欄に示すとともに、図5及び図6のグラフに、それぞれ、各ペーストの粘度と該ペーストを用いて形成したグリッド電極の平均線幅(図5)或いは平均膜厚(図6)との関係を示す。
一方、当該粘度比が3であるペーストを使用した場合は、著しく高い線幅(85μm以上)の電極が形成された。このことは、スクリーン印刷された塗布物の受光面上での形状維持が困難であることを示している。また、当該粘度比が5であるペーストを使用した場合も、粘度比3のペーストを使用した場合ほど顕著ではないが、電極の線幅が65μmを上回っており、スクリーン印刷された塗布物の受光面上での形状維持性能がやや劣っていることが示された。逆に、当該粘度比が8であるペーストを使用した場合は、スクリーン印刷時の粘度が高すぎて、メタルマスクの開口部に充分量のペーストが充填されない傾向にあることが認められた。このため、膜厚も相対的に低い傾向にあった。
試験用基板の受光面上に形成された受光面電極(グリッド電極)の電極(導体)としての性能をライン抵抗値(mΩ)で評価した。
具体的には、日置電機株式会社(HIOKI)製のデジタルハイテスタを用いて受光面電極のグリッド電極にテスタのプローブを38mm間隔で接触させ、その値を測定した。測定は相互に異なる計10箇所の位置にて行い、それらの平均値をライン抵抗値(mΩ)とした。
こうして測定したライン抵抗値の平均値(mΩ)を表1及び2の該当欄に示す。表中のライン抵抗値から明らかなように、何れの電極も充分低い抵抗値を示したが、上記粘度比8のペーストを使用した電極の抵抗値は全般に高い値を示した。このことは、スクリーン印刷時の粘度が高すぎてメタルマスクの開口部に充分量のペーストが充填されない結果、ラインに断線等の欠陥が生じたことを反映する。
11 半導体基板(Si基板)
11A 受光面
12 バスバー電極(受光面電極)
13 グリッド電極(受光面電極)
14 反射防止膜
16 n−Si層
18 p−Si層
20 裏面アルミニウム電極
22 裏面側外部接続用電極
24 p+層
50 メタルマスク
51 開口部
60 スキージ
70 電極形成用ペースト
Claims (4)
- 半導体基板と該基板の受光面に形成された線幅が70μm以下であって厚みが少なくとも21μmである所定パターンの線状の受光面電極とを備える太陽電池を製造する方法であって、
導電性粉末と該粉末を分散させる有機ビヒクル成分とを含み、回転速度:20rpmのときの粘度が200〜400Pa・sであり、且つ、回転速度:5rpmのときの粘度:η5と回転速度:50rpmのときの粘度:η50との粘度比:η5/η50が5.5〜7.5の範囲にあることを特徴とする電極形成用ペーストを用意すること、および、
前記ペーストを1回のスクリーン印刷により前記受光面に前記線幅が70μm以下であって前記厚みが少なくとも21μmである前記所定パターンとなるように塗布し、焼成することによって前記所定パターンの受光面電極を形成すること、
を包含し、
前記ペーストの前記受光面への塗布は、前記所定パターンに対応する開口幅60μm以下の開口部を備えたメタルマスクを用いるスクリーン印刷により行われ、
前記スクリーン印刷は、
前記基板の受光面に前記メタルマスクを配置すること、
前記配置したメタルマスクの表面上に前記ペーストを供給すること、
前記ペーストが供給された前記メタルマスクの表面上を100〜300mm/秒の移動速度でスキージを移動させることにより、該メタルマスクの前記開口部に該ペーストを充填すること、
を包含する、製造方法。 - 前記ペーストの前記粘度比:η5/η50が、6〜7の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ペーストは、前記導電性粉末として平均粒子経:1〜3μmの銀粉末をペースト全体の80〜90質量%の割合で含有し、有機ビヒクル成分をペースト全体の10〜20質量%の割合で含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記ペーストは、ガラス粉末をペースト全体の5質量%以下の割合で含有することを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
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