JP5831435B2 - 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上述の方向性電磁鋼板の製造工程では、1300℃を超える高温でのスラブ加熱が必要であったため、その製造コストは極めて高くなり、近年の製造コスト低減の要求には応えることができないという問題を残していた。
すなわち、一つは、小径ワークロールを適用する多段圧延機であって、なかでもゼンジミア圧延機が多く使用されている。また、もう一つは、タンデム圧延機であって、これは特許文献5に開示されているように、電磁鋼板を高能率で製造することができるものである。
これは、タンデム圧延による高速圧延によって、圧延油のロールバイトへの導入量が増大し、圧延油が鋼板とロールとの間に封入されて、圧延時に鋼板表面を押しつぶすという現象が生じることによって、鋼板表面にはオイルピットと呼ばれる局所的な凹凸が発生して、鋼板の表面性状を劣化させるため、引続き行われる一次再結晶焼鈍で鋼板表面に形成されるファイアライトとシリカを主体としたサブスケール性状に大きな影響を及ぼすことから発生する問題であると推定されている。
従って、電磁鋼板を製造する際の冷間圧延段階において、生産性向上のためにタンデム圧延を行う場合には、圧延板の表面粗さや集合組織形成の課題があり、磁気特性がゼンジミア圧延を用いた小径圧延に比べて劣っているという問題があった。
質量%または質量ppmで、C:250ppm、Si:3.40%、Mn:0.08%、S:15ppm、Se:8ppm、Al:50ppm、N:30ppmおよびSb:0.02%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、連続鋳造後、1200℃に加熱したのち、熱間圧延によって2.6mm厚の熱延板とし、ついで1000℃にて熱延板焼鈍を施したのち、酸洗して冷間圧延により0.30mmの厚みに仕上げた。
この時、タンデム圧延機とゼンジミア圧延機と二つの圧延機を用い、かつクーラント量を増やして鋼板表面に噴射することで、圧延温度を80℃前後に抑えた冷間圧延と、加工発熱またはパス間時効により最終圧延時に、200℃前後まで温度上昇した温間圧延と、をそれぞれ行い、計4条件を実施した。
本発明は上記知見に立脚するものである。
1.質量%で、Si:2〜8%、Mn:0.5%以下含有し、Al量を0.01%以下、N量を0.005%以下で、かつS、SeおよびOをそれぞれ50質量ppm未満、Cを400質量ppm以下とし、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる1300℃以下の鋼スラブに熱間圧延を施し、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、一回の圧延による冷間圧延(ロール周方向に対して2°以上90°未満傾斜した研磨目と、上記研磨目とは逆向きに0°以上90°未満傾斜した研磨目とからなるクロス研磨目を有するワークロールによる冷間圧延を除く)で最終板厚の冷間圧延板とし、ついで一次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶焼鈍を施す、一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記冷間圧延時のワークロール径を250mm以上とし、かつ上記一次再結晶焼鈍後から上記二次再結晶完了までの間に、鋼板中のSが100質量ppm以上400質量ppm以下となる増硫処理を施すことを特徴とする磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
S量については、100ppm以上の浸硫を施すことにより磁気特性の向上効果が現れる。一方、上限値については二次再結晶焼鈍中に形成されるフォルステライト膜の形成に対しては、増硫し過ぎると追加酸化がすすみ被膜品質が劣化するので、400ppm以下が望ましい。
まず、本発明の溶鋼成分について、説明する。
本発明では、鋼溶製時に、Al量を、0.01%以下に抑制する。というのは、本発明は、AlNをインヒビタとして利用しないプロセスを前提として1300℃以下のスラブ加熱温度を想定しているので、100ppmより多い場合にはAlN等として完全固溶できずに、粗大な析出物として二次再結晶の撹乱要因となるからである。従って、Al量は0.01%以下に抑制する必要がある。
また、O量は、50ppm(0.005%)以下とする必要がある。これは介在物としての酸化物が磁気特性に悪影響を及ぼすためである。
なお、上記成分以外の残部は、不可避的不純物およびFeとする。
上記の好適成分組成範囲に調整した鋼スラブを、再加熱することなくあるいは再加熱したのち、熱間圧延に供する。なお、スラブを再加熱する場合には、再加熱温度は1000℃以上、1300℃以下程度とすることが望ましい。
熱間圧延により得られた熱延板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回の冷間圧延を施して、最終冷延板とする。この冷間圧延は、常温で行ってもよいし、常温より高い温度、たとえば250℃程度に鋼板温度を上げて圧延する温間圧延としてもよい。しかしながら、本発明で行われる冷間圧延については、250mm以上のワークロール径で行うことが肝要である。好ましくは、320mm以上のワークロール径である。
すなわち、ワークロール径が大きいほど、鋼板は剪断変形を起こしにくく、単純圧縮に近づき、増硫処理時のSの浸入挙動が異なってくるため、結果的に磁束密度が高くなるものと考えられる。
なお、ワークロール径の上限値については、特に設けないが、圧延ミルの構造上タンデム圧延機においては800mm以下である。
その後、二次再結晶焼鈍を行う。この二次再結晶焼鈍により、ゴス方位に高度に集積した結晶組織となり、良好な磁気特性が得られる。
連続処理の観点からはH2Sガス中で焼鈍処理を行うガス増硫法が有利である。この場合キャリアガスとしてはH2かNH3分解ガスが用いられる。FeとH2Sは極めて反応しやすく、低温でも硫化鉄を生成するため、増硫処理に適している。NH3分解ガスをキャリアガスとして使用すると増硫とともに窒化も起こってしまうが、本発明ではAlを100ppm以下としているため、インヒビタ効果を発現するのに十分なAlNは生成しない。
なお、二次再結晶焼鈍において、焼鈍雰囲気はN2,Arあるいはこれらの混合ガスのいずれもが有利に適合する。二次再結晶後の純化のためにはH2が望ましい。
表1に示される鋼塊記号1〜5の成分組成になるスラブを、1200℃に加熱後、熱間圧延し、2.6mm厚みの熱延コイルとした。次に、この熱延コイルを1000℃で焼鈍した後、酸洗し、ゼンジミア圧延機またはタンデム圧延機により0.30mm厚みに仕上げるとともにコイルを、磁性評価用と仕上げ焼鈍中の増硫量調査用に2分割した。冷間圧延は、クーラント量の調整により60℃〜90℃の冷間条件と175℃〜205℃の温間条件とした。また、ワークロール径の影響についても併せて評価した。
かくして得られた製品より、圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り出し、1.7Tの磁束密度における50Hz交流励磁での鉄損値W17/50および磁束密度B8を測定した。表2に、上記圧延条件、Al,Cの含有量、増硫量(増加S)と得られた磁気特性をまとめた。
表3に示す鋼塊記号2−1〜2−6の成分組成になるスラブを1200℃に加熱熱間圧延し、2.6mm厚みの熱延コイルとした。次に熱延コイルを1000℃で焼鈍した後、酸洗後、タンデム圧延機により0.30mm厚みに仕上げた。冷間圧延はクーラント量の調整により75℃の冷間条件で、かつ、ワークロール径を350mmとした。
脱脂処理後、850℃の湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を施した後、MgOを主体とする焼鈍分離剤100質量部に、硫酸マグネシウムを10質量部添加して塗布した。ついで、1075℃までArとN2の混合雰囲気で加熱し、1200℃の純化焼鈍は、H2雰囲気で行った。その後、未反応分離剤を除去してから、コロイダルシリカとリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーティングを800℃で形成した。
かくして得られた製品より、圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り出し、1.7Tの磁束密度における50Hz交流励磁での鉄損値W17/50および磁束密度B8を測定した。表3に、上記成分組成と併せて、磁気特性の測定結果を示した。
Claims (3)
- 質量%で、Si:2〜8%、Mn:0.5%以下含有し、Al量を0.01%以下、N量を0.005%以下で、かつS、SeおよびOをそれぞれ50質量ppm未満、Cを400質量ppm以下とし、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる1300℃以下の鋼スラブに熱間圧延を施し、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、一回の圧延による冷間圧延(ロール周方向に対して2°以上90°未満傾斜した研磨目と、上記研磨目とは逆向きに0°以上90°未満傾斜した研磨目とからなるクロス研磨目を有するワークロールによる冷間圧延を除く)で最終板厚の冷間圧延板とし、ついで一次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶焼鈍を施す、一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記冷間圧延時のワークロール径を250mm以上とし、かつ上記一次再結晶焼鈍後から上記二次再結晶完了までの間に、鋼板中のSが100質量ppm以上400質量ppm以下となる増硫処理を施すことを特徴とする磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。 - 前記冷間圧延をタンデム圧延機で行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記鋼スラブが、さらに質量%で、Ni:0.03〜1.50%、Sn:0.01〜1.50%、Sb:0.005〜1.50%、Cu:0.03〜3.0%、P:0.03〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%およびCr:0.03〜1.50%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
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