発明の詳細な説明
1. 序論
IaIpは、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、汎発性血管内凝固症、及び腺維増殖を含む数種のヒトの病状及び疾患の状態に対する可能性のある治療薬として検討されている。IaI及びPaIのビクニンサブユニットはトリプシン、トロンビン、キモトリプシン、カリクレイン、プラスミン、エラスターゼ、カテプシン、第IXa、Xa、XIa及びXIIa因子を含む血液中に認められる多くのセリンプロテアーゼを阻害するセリンプロテアーゼである。従って、多くのIaIpタンパク質のビクニンサブユニットは、感染(特に敗血症)、炭疽中毒、癌転移、術中組織傷害、腎臓疾患、血管疾患、凝固、糖尿病、及び全身性炎症の間に観察されるような、炎症カスケードの促進の間の上記セリンプロテアーゼの活性を調節する機能を有する(Pugia等、Adv Clin Chem. 2007;44:223-45)。特に、重鎖及びビクニンサブユニットの両方を含有するIaIpファミリーメンバーはビクニンサブユニット単独よりも長い血管中半減期を有する。
IaIpは比較的豊富に存在する血漿タンパク質(0.6〜1.2mg/mL血漿)であるが、これらのタンパク質は、ヒト血漿の分画に特化されている種々の製造の操作から現在は廃棄されている。種々の態様のうち、本発明は、種々の分画プロセス、例えばコーン(Cohn)、オンクレイ(Oncley)、コーン−オンクレイ、ドイッチュ(Deutsch)、ニッチェマン(Nitschmann)、キストラー(Kistler)及び同様の分画プロセスの廃棄画分から、他の血漿由来産物の製造のために使用される血漿の通常又は確立された処理に影響したり、損壊を与えたり、又はこれを改変することなく、IaIpを単離するための方法を提供する。即ち、1つの態様において、本発明は、敗血症及び他の障害の治療のために有用な医薬の製造のための廃棄血漿画分を使用する。
従って、ある特定の実施形態においては、血漿原料、例えばプールされた血漿からIaIpの水性組成物、凍結乾燥組成物及び医薬組成物を製造する方法を提供することが本発明の目的である。好都合には、本明細書においては、IgGガンマグロブリン及びアルブミンのような他の血液産物の製造の間に生じる未使用の血漿画分からIaIp組成物を調製するための方法を提供する。
1つの実施形態において、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(i)血漿試料から画分II+III沈殿物を形成するステップ;(ii)画分II+III懸濁液を形成するために、画分II+III沈殿物を再懸濁するステップ;(iii)画分II+III懸濁液を固相に接触させて画分II+III懸濁液からIaIpを除去するステップ;及び、(iv)固相からIaIpを抽出して濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。特定の実施形態においては、固相は超微粒子状二酸化ケイ素(SiO2)を含む。別の特定の実施形態においては、固相は濾過助剤を含む。
1つの実施形態において、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製する方法を提供し、方法は、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物を形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;(c)懸濁液を形成するために第2の沈殿物を再懸濁するステップ;(d)超微粒子状二酸化ケイ素(SiO2)をステップ(c)の懸濁液と混合するステップ;(e)懸濁液をフィルタープレスで濾過することにより濾過ケーク及び上澄みを形成するステップ;並びに、(f)IaIp抽出緩衝液で濾過ケークからIaIpを抽出することにより濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
別の実施形態においては、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)沈殿物を得るために血漿試料からIaIpを沈殿させるステップ;(b)IaIp抽出緩衝液で沈殿物からIaIpを抽出することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含み、沈殿物は画分I、画分I+II+III、画分II+III、画分IV−I、沈殿物A、又は沈殿物Bの沈殿物である。
濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための特定の実施形態においては、画分Iの沈殿物を形成するステップは、第1の沈殿ステップにおいて、画分Iの沈殿物を得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からIaIpを沈殿させることを含む。
IaIpを画分IV−1の沈殿物から抽出する濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法の1つの特定の実施形態においては、方法は、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物及び第2の上澄みを形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからタンパク質を沈殿させるステップステップ;(c)第3の沈殿ステップにおいて、第3の沈殿物及び第3の上澄みを形成するために、約5.0〜約5.5のpHで約18%〜約23%アルコールを用いて第2の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;並びに、(d)IaIp抽出緩衝液で第3の沈殿物からIaIpを抽出することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
IaIpを画分IV−1の沈殿物から抽出する濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法の別の特定の実施形態においては、方法は、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約6.7〜約7.2のpHで約18%〜約23%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物及び第2の上澄みを形成するために、約5.0〜約5.5のpHで約18%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;並びに、(c)IaIp抽出緩衝液で第2の沈殿物からIaIpを抽出することにより濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法の1つの実施形態においては、IaIpは複数の血漿画分から抽出される。ある特定の実施形態においては、血漿画分は画分II+III濾過ケーク、画分I、画分I+II+III、画分II+III、画分IV−1、沈殿物A、又は沈殿物Bの沈殿物から選択される。1つの実施形態において、方法は、(a)血漿の単一のアリコートを分画してIaIp以外の少なくとも2つの血液産物の濃縮組成物を得るステップ;(b)1つ以上の抽出緩衝液で血漿分画の間に生じた少なくとも2つの異なる廃棄画分からIaIpを抽出するステップ;及び、(c)抽出されたIaIp画分をプールすることにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。1つの実施形態において、2つの他の血液製剤はIgGガンマグロブリン(例えばIVIG)及びアルブミンである。更に他の実施形態において、血漿はIaIp以外の少なくとも3種の血液製剤を得るために分画される。この方法で得ることができ得る血液製剤の非限定的な例は、IgGガンマグロブリン(例えばIVIG)、アルブミン、第8因子阻害剤バイパス活性(FEIBA)、第IX因子複合体、第VII因子濃縮物、抗トロンビンIII複合体、第VIII因子、プロトロンビン(第II因子)、プロトロンビン複合体(第VII因子存在下又は非存在下)、フォン・ビルブラント因子(vWF)、補体因子H(CFH)等を含む。
濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法のいくつかの実施形態においては、IaIpは抽出されたIaIp組成物から不純物を沈殿排除することにより更に濃縮される。1つの実施形態において、不純物は約6.0〜約8.0のpHにおいて約10%〜約19%アルコール(例えばエタノール)を用いて沈殿させる。他の実施形態において、IaIpは抽出されたIaIp組成物からIaIpを沈殿させることにより更に濃縮される。1つの実施形態において、IaIpは約6.0〜約8.0のpHにおいて約20%〜約25%アルコールを用いて抽出物から沈殿させる。
濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法のある特定の実施形態において、血漿画分から回収されたIaIpは、濃縮IaIp組成物由来のIaIpをアニオン交換樹脂に結合させるステップ;及び、溶離緩衝液を用いてアニオン交換樹脂からIaIpを溶離させることにより、IaIpを含有する第1の溶離液を形成するステップにより更に精製されてよい。他の実施形態において、血漿画分から回収されたIaIpは、IaIpをヘパリン親和性樹脂に結合させるステップ;及び溶離緩衝液を用いてヘパリン親和性樹脂からIaIpを溶離させるステップにより更に精製されてよい。更に他の実施形態においては、アニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーの両方によりIaIpを更に濃縮してよい。1つの実施形態において、IaIpは先ずアニオン交換樹脂に結合させ、そして次にヘパリン親和性樹脂に結合させる。他の実施形態において、IaIpを先ずヘパリン親和性樹脂に結合させ、そして次にアニオン交換樹脂に結合させる。
更に別の実施形態において、本発明は、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)抽出物がIaIp及びH因子を含有する、脱クリオ血漿の分画の間に形成した沈殿物からIaIpを抽出するステップ;(b)アニオン交換樹脂にIaIp及びH因子を結合させるステップ;(c)第1の溶離緩衝液で樹脂からH因子を溶離させるステップ;並びに、(d)第2の溶離緩衝液で樹脂からIaIpを溶離することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。関連の実施形態において、本発明は、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)抽出物がIaIp及びH因子を含有する、脱クリオ血漿の分画の間に形成した沈殿物からIaIpを抽出するステップ;(b)アニオン交換樹脂にH因子が結合しない条件下でアニオン交換樹脂にIaIpを結合させるステップ;並びに、(c)溶離緩衝液で樹脂からIaIpを溶離することにより濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。ある特定の実施形態においては、IaIp組成物はヘパリン親和性クロマトグラフィーにより更に濃縮される。
ある特定の実施形態においては、IaIpを生産するための方法は、単一のインターα阻害タンパク質(IaIp)種の単離を含む。1つの実施形態において、IaIp種はインターαトリプシン阻害剤(IaI)である。別の実施形態においては、IaIp種はプレα阻害剤(PaI)である。ある特定の実施形態においては、単一のIaIp種は親和性ステップ、例えば抗体又はアプタマー親和性方法により単離される。
他の態様においては、本明細書において提供される方法に従って調製される例えばプールされた血漿のような血漿原料からIaIpの水性組成物、凍結乾燥組成物、及び医薬組成物を提供することが、本発明の目的である。
更に別の態様において、本明細書において提供されるIaIp組成物の治療有効量を投与することによる、低下IaIp機能又はIaIp機能不全に関連する障害及び疾患の治療の方法を提供することが、本発明の目的である。1つの実施形態において、低IaIp機能又はIaIp機能不全に関連する疾患又は障害は敗血症である。
別の態様においては、本明細書において提供されるIaIp組成物の治療有効量を投与することによる、増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患及び障害の治療の方法を提供することが、本発明の目的である。1つの実施形態において、増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患又は障害は、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、汎発性血管内凝固症、腺維増殖、炭疽中毒、癌転移、術中組織傷害、腎臓疾患、血管疾患、凝固、糖尿病、及び全身性炎症から選択される。
II.定義
本明細書において使用する場合、「インターα阻害タンパク質」又は「IaIp」とは、α−1−マイクログロブリン/ビクニン前駆体遺伝子(AMBP;UniGene ID:231948、ビクニンポリペプチド)、インターα(グロブリン)阻害H1遺伝子(ITIH1;UniGeneID:224173、H1ポリペプチド)、インターα(グロブリン)阻害H2遺伝子(ITIH2;Unigene ID:139782、H2ポリペプチド)、インターα(グロブリン)阻害H3遺伝子(ITIH3;UniGene ID:140017、H3ポリペプチド)、又はインターα(グロブリン)阻害H4(血漿中カリクレイン感受性糖タンパク質、H4ポリペプチド)遺伝子(ITIH4;UniGene ID:3321613)の1つ以上によりコードされるポリペプチドよりなる血漿中プロテアーゼ阻害剤のファミリーを指す。例示的なIaIpプロテアーゼ阻害剤は限定しないが、IaI(ビクニン、H1及びH2ポリペプチド);PaI(ビクニン及びH3ポリペプチド)、IaLI(ビクニン及びH2ポリペプチド)、IaIH4P(H4ポリペプチド)、及びビクニン(Salier、J.等、上出)を含む。
本明細書において使用する場合、「脱クリオ血漿」とは凍結温度付近、例えば約10℃未満の温度での、血漿又はプールされた血漿の低温沈殿(クリオプレシピテーション)の後に形成される上澄みを指す。本発明の文脈においては、血漿とは、回収された血漿(即ちエクスビボの全血から分離されている血漿)、又は原料血漿(即ち血漿瀉血により収集された血漿)を互換的に指し得る。クリオプレシピテーションは例えば安全性及び品質の問題に関して既にアッセイされている予め凍結されたプール血漿を解凍することにより一般的には実施されるが、新鮮血漿を使用してもよい。ある特定の実施形態においては、解凍は典型的には6℃を超えない温度で実施される。低温における凍結血漿の完全な解凍の後、低温(例えば6℃以下)で遠心分離を行うことにより、液体上澄みから固体のクリオプレシピテートを分離する。或いは、分離は遠心分離ではなくろ過により実施することができる。
本明細書において使用する場合、「コーンプール」とは血漿試料又は血漿試料のプールの分画のために使用される出発物質をさす。コーンプールは予備処理ステップに供されていてもいなくてもよい、全血漿、脱クリオ血漿試料、及び脱クリオ血漿試料のプールを含む。ある特定の実施形態においては、コーンプールは、予備処理ステップ、例えば固相(例えば水酸化アルミニウム、超微粒子状二酸化ケイ素等)への吸着、又は、クロマトグラフィーステップ(例えばイオン交換又はヘパリン親和性クロマトグラフィー)において1つ以上の血液因子が除去されている脱クリオ血漿試料である。種々の血液因子、例えば限定しないが、第8因子阻害剤バイパス活性(FEIBA)、第IX因子複合体、第VII因子濃縮物、又は抗トロンビンIII複合体を脱クリオ血漿試料から分離することによりコーンプールを形成してよい。
本明細書において使用する場合、「画分II+III濾過ケーク」とは吸着材によるコーン−オンクレイ又は等価な画分II+IIIの懸濁液の処理の後に回収される固相を指す。一般に、画分II+III懸濁液は、脂質、フィブリノーゲン、アミド分解活性、プレカリクレイン活性及びリポタンパク質のような不純物を除去するために、吸着材、例えば、超微粒子状二酸化ケイ素で処理される。清浄化した画分II+IIIの上澄みの分離により、回収された固相物質は画分II+III濾過ケークと称される。
本明細書において使用する場合、「超微粒子状二酸化ケイ素」又は「超微粒子状シリカ」とは、自身の表面へのIaIpの吸着を可能にする様式で製造された式SiO2を有するケイ素の酸化物を指す。本発明の方法における使用に適する超微粒子状二酸化ケイ素の例示的な形態はヒュームドシリカ、焼成シリカ、Aerosil(登録商標)Cab−O−Sil(商標)、コロイド状シリカ、珪藻土などを含むがこれらに限定されない。好ましい実施形態においては、市販の親水性ヒュームドシリカ製品を血漿画分からのIaIpの吸着のために使用する。これらの製品の非限定的な例は、Aerosil(登録商標)の商品名の下にEvonik Industriesから販売されているもの(例えばAerosil 90、Aerosil 130、Aerosil 150、Aerosil 200、Aerosil 300、Aerosil 380、Aerosil OX 50、Aerosil EG 50、Aerosil TT 600、Aerosil 200 SP、Aerosil 300 SP及びAerosil 300/30)を含む。
本明細書において使用する場合、「IaIp機能不全又は調節不全に関連する疾患又は障害」とは、対象におけるIaIp活性の低下したレベルによりもたらされるか、それにより強化されるか、それを特徴とするか、又はそれをもたらす、対象における何れかの疾患、障害、又は状態を指す。いくつかの例においては、IaIp機能不全又は調節不全に関連する疾患又は障害はIaIpサブユニットをコードする遺伝子の何れかにおける突然変異及び多形によりもたらされるか又はそれに関連している症状を含む。同様に、「IaIp機能に関連する疾患又は障害」とは、対象におけるIaIp活性の低下したレベルによりもたらされるか、それにより強化されるか、それを特徴とするか、又はそれをもたらす、対象における何れかの疾患、障害、又は状態を指す。IaIp機能不全又は低下したIaIp機能に関連する疾患及び障害は、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、汎発性血管内凝固症、及び腺維増殖を含むがこれらに限定されない。
本明細書において使用する場合、「増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患又は障害」とは、血液中で観察されるセリンプロテアーゼ活性の増大によりもたらされるか、それにより強化されるか、それを特徴とするか、又はそれをもたらし、そして、それに対するビクニン又はビクニン含有タンパク質(例えばIaIpタンパク質)の投与が血漿中セリンプロテアーゼ活性の低下をもたらす、対象における何れかの疾患、障害、又は状態を指す。種々のセリンプロテアーゼが増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に寄与している可能性があり、例えばトリプシン、トロンビン、キモトリプシン、カリクレイン、プラスミン、エラスターゼ、カテプシン、第IXa、Xa、XIa及びXIIa因子が挙げられるがこれらに限定されない。増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患及び障害は、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、汎発性血管内凝固症、腺維増殖、炭疽中毒、癌転移、術中組織傷害、腎臓疾患、血管疾患、凝固、糖尿病、及び全身性炎症を含むがこれらに限定されない。
本明細書において使用する場合、「限外濾過(UF)」という用語は、流体静力学的圧力が液体を半透膜に対抗させる種々の膜濾過方法を包含する。高分子量の懸濁固体又は溶質が保持され、そして水及び低分子量の溶質は膜を通過する。この分離プロセスは巨大分子(103〜106Da)の溶液、特にタンパク質溶液を精製及び濃縮するために頻繁に使用される。多くの限外濾過膜が、それらが保持する分子のサイズに応じて入手可能である。限外濾過は典型的には1〜1000kDaの膜孔径及び0.01〜10barの操作圧力を特徴とし、そして糖類及び塩類のような小型分子からタンパク質のようなコロイド類を分離するために特に有用である。
本明細書において使用する場合、「透析濾過」という用語は限外濾過と同じ膜を用いて実施され、そして接線流濾過である。透析濾過の間、緩衝液をリサイクルタンク内に導入し、その間濾液は装置運転から除去される。生成物が残余分中にある(例えばH因子)プロセスにおいては、透析濾過は生成物プールから濾液中に成分を洗い出し、これにより緩衝液を交換し、そして望まない分子種の濃度を低下させる。
本明細書において使用する場合、「約」という用語は特定の値から±10%の概ねの範囲を指す。例えば「約20%」という表現は18〜22%の範囲を含む。
本明細書において使用する場合、「混合する」という用語は、何れかの形態の攪拌により、溶液又は懸濁液中に2種以上の異なる化合物又は物質の等しい分布をもたらす作業を指す。溶液又は懸濁液中の全ての成分の完全な等しい分布は、用語を本出願において使用する場合の「混合」の結果として必要とされない。
本明細書において使用する場合、「溶媒」という用語は1つ以上の他の物質を溶解又は分散させることができる何れかの液体物質を包含する。溶媒は無機の性質のもの、例えば水であってよいか、又は、それは有機性の液体、例えばエタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、石油エーテル等であってよい。「溶媒洗浄剤処理」という用語において使用される場合、溶媒とは、溶液中の脂質エンベロープウィルスを不活性化するために使用される溶媒洗浄剤混合物の部分である有機溶媒(例えばトリ−N−ブチルホスフェート)を指す。
本明細書において使用する場合、「洗浄剤」という用語は「界面活性剤」又は「表面作用剤」という用語と互換的に本出願中で使用する。界面活性剤は典型的には両親媒性、即ち有機溶媒及び水の両方において界面活性剤を可溶性とする、疎水性の基(「テール」)及び親水性の基(「ヘッド」)の両方を含有する有機化合物である。界面活性剤はそのヘッドにおける形式上荷電している基の存在により分類できる。非イオン系界面活性剤はそのヘッドに荷電基を有さず、そしてイオン系界面活性剤はそのヘッド部に実質電荷を担持している。両性イオン系界面活性剤は2つの逆に荷電した基を有するヘッドを含有する。一般的な界面活性剤のいくつかの例は、アニオン系(スルフェート、スルホネート又はカルボキシレートのアニオン系である):パーフルオロオクタノエート(PFOA又はPFO)、パーフルオロオクタンスルホネート(PFOS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、及び他のアルキルスルフェート塩、ラウレス硫酸ナトリウム(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、即ちSLESとしても知られている)、アルキルベンゼンスルホネート;カチオン系(第4アンモニウムカチオン系):臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、別名臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、及び他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシル化タローアミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT);長鎖脂肪酸及びその塩:例えば、カプリレート、カプリル酸、ヘプタノエート、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ノナン酸、デカン酸等;両性イオン系(両性):ドデシルベタイン;コカミドプロピルベタイン;ココアンホグリシネート;ノニオン系:アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルフェノールポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)の共重合体(商品名Poloxamer又はPoloxamine)、アルキルポリグルコシド、例えばオクチルグルコシド、デシルマルトシド、脂肪アルコール(例えばセチルアルコール及びオレイルアルコール)、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート(Tween20、Tween80、等)、トリトン洗浄剤、及びドデシルジメチルアミンオキシドを含む。
本明細書において使用する場合、「治療有効量又は用量」又は「十分/有効量又は用量」という用語は、その投与の目的である作用を生じさせる用量を指す。厳密な用量は治療目的に応じたものとなり、そして知られた手法を用いて当業者が確認できるものである(例えばLieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3、1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Pickar, Dosage Calculations (1999);及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkins参照)。
本出願で用いる場合、「噴霧」という用語は、液体物質の微細液滴又は霧状物の形態における、例えば変性コーン画分I又はII+IIIの沈殿ステップのようなアルコール沈殿ステップの間、系内に液体物質を送達する手段を指す。噴霧はスプレーヘッド又はノズルを有し、そして手動又は自動により操作することにより液体から微細きり状物を発生させる、容器(例えば噴霧瓶)のような何れかの加圧装置により達成してよい。典型的には、液体物質を受容している系を連続的に攪拌又は別様に混合することにより系内の液体の急速で等しい分布を確保しつつ噴霧を実施する。
III.インターα阻害剤(IaIp)の製造のための方法
一般に、本発明によるIaIp調製は何れかの適当な出発物質、例えば回収された血漿又は原料血漿から調製できる。典型的な例においては、血液又は血漿は健常者ドナーより収集される。通常は、IaIp調製物を投与する対象と同じ種の動物(典型的には「相同」IaIpと称される)から血液を収集する。IaIpは適当な操作法、例えば沈殿(アルコール分画又はポリエチレングリコール分画)、クロマトグラフィー法(イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー等)、超遠心分離及び電気液銅による調製等により血液又は血漿から単離される。(例えばCohn等、J. Am. Chem. Soc. 68:459-75 (1946); Deutsch等、J. Biol. Chem. 164:109-118; Oncley等、J. Am. Chem. Soc. 71:541-50 (1949); Cohn等、J. Am. Chem. Soc. 72:465-474 (1950); Cohn等、Blood Cells and Plasma Proteins: Their State in Nature (J.L. Tullis, ed), pp. 1-58, Academic Press, NewYork and London (1953); Nischmann等、Helv. Chim. Acta 37:866-873; Kistler and Nischmann, Vox Sang. 7:414-424 (1962); Barundern等、Vox Sang. 7:157-74 (1962); Koblet等、Vox Sang. 13:93-102 (1967);米国特許第5,122,373号及び同第5,177,194号を参照でき;これらの開示内容は全ての目的のために参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
ある特定の実施形態においては、IaIpは、血漿分画による他の商業的に重要な血液産物の製造の間にそれ以外では廃棄される物質から回収される。例えば、例示される実施形態においては、IaIpはコーン画分I又は画分IV−1の沈殿物(Cohn等(1946)、上出)、コーン−オンクレイ画分II+III沈殿物(Oncley等、上出)、キストラー及びニッチェマンの沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物(Kistler and Nischmann、上出)から抽出されるか、又はIgGガンマグロブリンの工業的製造の間に形成されるコーン−オンクレイ画分II+III懸濁液(Oncley等、上出)から吸着される。好都合には、本明細書に提供される方法によれば、IaIpの工業規模調製は、追加の投入血漿、又は、他の商業的に重要な血漿由来血液産物、例えば静脈内(IVIG)又は皮下投与のためのIgGガンマグロブリン又はアルブミンに関する既存の製造プロセスの再設計及び法制上の再認可を必要とすることなく、達成することができる。
1つの態様において、本発明は、IaIp含有沈殿物を形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップこと;及び(c)IaIp含有沈殿物からIaIpを抽出することにより濃縮IaIp組成物を形成することによる、濃縮IaIp組成物を調製するための方法を提供する。好ましい実施形態においては、IaIp含有沈殿物は画分II+III濾過ケーク、画分I沈殿物、画分I+II+III沈殿物、画分II+III沈殿物、画分IV−1、キストラー−ニッチェマン沈殿物A、及びキストラー−ニッチェマン沈殿物Bよりなる群から選択される。
特定の実施形態においては、方法は、画分II+III沈殿物を形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップ、及び、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップを含む。1つの実施形態において、方法は、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させること(即ち「IaIp沈殿4」ステップにおいて)及び沈殿した不純物をIaIp含有上澄みから分離することによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の実施形態においては、方法は、組成物からIaIpを沈殿させること(即ち「IaIp沈殿5」ステップにおいて)によりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。特定の実施形態においては、方法はアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の特定の実施形態においては、方法は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。1つの実施形態において、方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、並びに、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、並びに、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
特定の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークを形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップ、及び、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップを含む。1つの実施形態において、方法は、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させること(即ち「IaIp沈殿4」ステップにおいて)及び沈殿した不純物をIaIp含有上澄みから分離することにより、IaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の実施形態においては、方法は、組成物からIaIpを沈殿させること(即ち「IaIp沈殿5」ステップにおいて)によりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。特定の実施形態においては、方法は、アニオン交換クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の特定の実施形態においては、方法は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。1つの実施形態において、方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、並びに、得られた上澄みからアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップ含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
特定の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークを形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップ、及び、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップを含む。1つの実施形態において、方法は、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させること(即ち「IaIp沈殿4」ステップにおいて)及び沈殿した不純物をIaIp含有上澄みから分離することにより、IaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の実施形態においては、方法は、組成物からIaIpを沈殿させること(即ち「IaIp沈殿5」ステップにおいて)によりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。特定の実施形態においては、方法は、アニオン交換クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の特定の実施形態においては、方法は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。1つの実施形態において、方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップ含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、並びに、得られた上澄みからアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
特定の実施形態においては、方法は、画分I+II+II沈殿物を形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップ、及び、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップを含む。1つの実施形態において、方法は、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させること(即ち「IaIp沈殿4」ステップにおいて)及び沈殿した不純物をIaIp含有上澄みから分離することによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の実施形態においては、方法は、組成物からIaIpを沈殿させること(即ち「IaIp沈殿5」ステップにおいて)によりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。特定の実施形態においては、方法は、アニオン交換クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の特定の実施形態においては、方法は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。1つの実施形態において、方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。
1つの実施形態において、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、並びに、得られた上澄みからアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分I+II+II沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
特定の実施形態においては、方法は、画分IV−1沈殿物を形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップ、及び、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップを含む。1つの実施形態において、方法は、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させること(即ち「IaIp沈殿4」ステップにおいて)及び沈殿した不純物をIaIp含有上澄みから分離することによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の実施形態においては、方法は、組成物からIaIpを沈殿させること(即ち「IaIp沈殿5」ステップにおいて)によりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。特定の実施形態においては、方法は、アニオン交換クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の特定の実施形態においては、方法は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。1つの実施形態において、方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。
1つの実施形態において、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、並びに、得られた上澄みからアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
特定の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物Aを形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップ、及びキストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップを含む。1つの実施形態において、方法は、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させること(即ち「IaIp沈殿4」ステップにおいて)及び沈殿した不純物をIaIp含有上澄みから分離することによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の実施形態においては、方法は、組成物からIaIpを沈殿させること(即ち「IaIp沈殿5」ステップにおいて)によりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。特定の実施形態においては、方法は、アニオン交換クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の特定の実施形態においては、方法は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。1つの実施形態において、方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、並びに、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物AからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
特定の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物Bを形成するために、少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿又はそれに由来する画分からIaIpを沈殿させるステップ、及びキストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップを含む。1つの実施形態において、方法は、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させること(即ち「IaIp沈殿4」ステップにおいて)及び沈殿した不純物をIaIp含有上澄みから分離することによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の実施形態においては、方法は、組成物からIaIpを沈殿させること(即ち「IaIp沈殿5」ステップにおいて)によりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。特定の実施形態においては、方法は、アニオン交換クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。別の特定の実施形態においては、方法は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。1つの実施形態において、方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIp組成物を濃縮するステップを更に含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、及び、得られた上澄みからヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、並びに、得られた上澄みからアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
別の実施形態においては、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物からIaIpを沈殿させるステップ、並びに、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からアニオン交換クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、及び、得られた沈殿物からヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの実施形態において、方法は、キストラー−ニッチェマン沈殿物BからIaIpを抽出するステップ、組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、得られた上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、並びに、得られた沈殿物からアニオン交換及びヘパリン親和性クロマトグラフィーによりIaIpを濃縮するステップを含む。
1つの態様において、本発明は、画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出することにより血漿から濃縮IaIp組成物を調製するための方法を提供する。
特定の実施形態においては、濃縮されたIaIp組成物は更に、画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークからの抽出の後に、精製されてよい。IaIpを更に精製するために種々の方法が使用でき、限定しないが例えば、追加の沈殿ステップ又は分画、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、溶媒/洗浄剤(S/D)処理、ナノ濾過、限外濾過、透析濾過等を含む。
1つの実施形態において、方法は、濃縮されたIaIp組成物から不純物を沈殿させるステップを更に含む。特定の実施形態においては、このステップは、組成物から少なくとも1つの不純物、例えば脂質又はタンパク質を沈殿させること、そして次にIaIpを含有する上澄みから沈殿物を分離することを含む。任意で、次にIaIpを別の沈殿において上澄みから沈殿させることができる。
好都合には、濃縮組成物からのIaIpの沈殿及びその後の再懸濁は、クロマトグラフィー又はナノ濾過のような追加的な精製ステップの前に体積の減少を可能にする。1つの実施形態において、濃縮IaIp組成物は、濃縮組成物からIaIpを沈殿排除することにより、画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークからの抽出の後に更に精製してよい。特定の実施形態においては、濃縮IaIp組成物は上記の通り組成物から少なくとも1つの不純物を除去するための第1の沈殿ステップ、そして次に、IaIpを沈殿及び回収するための第2の沈殿ステップに供されてよい。
特定の実施形態においては、濃縮IaIp組成物を調製するための方法は、組成物の純度を更に濃縮するために少なくとも1つ、好ましくは2つのクロマトグラフィーステップを更に含む。一般に、何れかの適当なクロマトグラフィー方法を使用して画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークから抽出されたIaIp組成物を更に濃縮してよい。ある特定の実施形態においては、クロマトグラフィー濃縮の前に、抽出されたIaIp組成物を上記の通り1つ以上の追加の沈殿ステップに供することにより、組成物中に存在する不純物を低減し、クロマトグラフィーのステップのための負荷量を低減し、及び/又は、組成物の緩衝液を交換する。
ある特定の実施形態においては、クロマトグラフィーステップは、アニオン交換クロマトグラフィー(AEC)、カチオン交換クロマトグラフィー(CEC)、ヘパリン親和性クロマトグラフィー、疎水***換クロマトグラフィー(HIC)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAP)、免疫親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー(即ちゲル濾過)、又は他の適当なクロマトグラフィーのステップを含んでよい。クロマトグラフィーステップはバッチ又はカラムモードの何れかで実施してよい。
好ましい実施形態においては、方法はアニオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン親和性クロマトグラフィーの使用を含む。
ある特定の実施形態においては、濃縮IaIp組成物の調製のための本明細書において提供される方法は少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは少なくとも3つのウィルス不活性化又は除去のステップを更に含む。本明細書において提供される方法と共に使用してよいウィルス不活性化又は除去のステップの非限定的な例は、溶媒洗浄剤処理(Horowitz等、Blood Coagul Fibrinolysis 1994 (5 Suppl 3):S21-S28及びKreil等、Transfusion 2003 (43):1023-1028、これら両方は全ての目的のために参照により全体が明示的に本明細書に組み込まれる)、ナノ濾過(Hamamoto等、Vox Sang 1989 (56)230-236 及びYuasa等、J Gen Virol. 1991 (72 (pt 8)):2021-2024、これら両方は全ての目的のために参照により全体が明示的に本明細書に組み込まれる)、高温における低pHインキュベーション(Kempf等、Transfusion 1991 (31)423-427及びLouie 等、Biologicals 1994 (22):13-19)、及び凍結乾燥H因子組成物の熱処理(Piszkiewicz等、Thromb Res. 1987 Jul 15;47(2):235-41; Piszkiewicz等、Curr Stud Hematol Blood Transfus. 1989;(56):44-54; Epstein and Fricke, Arch Pathol Lab Med. 1990 Mar;114(3):335-40)を含む。
1つの実施形態において、本発明は、(i)画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、(ii)第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び(iv)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製する方法を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、(i)画分I沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び(iv)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製する方法を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、(i)画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び(iv)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製する方法を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、(i)画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び(iv)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製する方法を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、(i)沈殿物Aの沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び(iv)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製する方法を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、(i)沈殿物Bの沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、及び(iv)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む、ウィルス的に安全な濃縮IaIp組成物を調製する方法を提供する。
1つの態様において、血漿分画により他の商業的に重要な血液産物の製造の間に、それ以外では廃棄される物質から単離されたIaIp、例えば画分I、画分IV−1、又は沈殿物Bの沈殿物又は画分II+III濾過ケークは、大規模製造プロセスに適合しやすい一連の段階的溶離によるクロマトグラフィーにより更に濃縮されてよい。1つの実施形態において、DEAEセファロース及びヘパリンセファロースクロマトグラフィー樹脂を適当な緩衝液系、例えば25mM Tris及び5mM EDTA(pH8)を含有するものとともに使用する。
IaIp組成物のクロマトグラフィー濃縮はpH8.0におけるTris/EDTA以外の緩衝液系を使用するように変更することができる。これらのプロセスは生物製剤の製造において一般に使用されている緩衝液及び溶液に対して適応させることができる。一例はpH7.0においてリン酸緩衝液を用いる精製スキームである。精製を良好に行うための重要なパラメーターは所望の化合物の分離を達成するための伝導度又はイオン強度の操作である。緩衝液系のpHがpH8.0に維持されている場合、溶離緩衝液の伝導度は本明細書に記載した精製プロセスにマッチさせなければならない。緩衝液計のpHが変化する場合、クロマトグラフィープロセスの最適化において使用される標準的手法を用いて行えるイオン強度の何らかの調節が必要となる。
A.アルコール沈殿及びクロマトグラフィー分画の方法
1つの態様において、本発明は、第2の血液因子の製造プロセスの間に、それ以外では廃棄される物質からのIaIpの濃縮組成物の調製のための方法を提供する。例示の実施形態においては、IaIpは静脈内(即ちIVIG)、皮下、及び/又は、筋肉内の投与のために製剤化されるIgG組成物のような血漿由来IgG組成物のための製造方法により生じる画分から回収できる。第2の例示の実施形態においては、IaIpは血漿由来アルブミンのための製造プロセスにより生じる画分から回収できる。
好ましい実施形態においては、H因子の濃縮組成物の調製のための方法を提供すし、方法は、(i)画分Iの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1の沈殿物、沈殿物Aの沈殿物、沈殿物Bの沈殿物、画分II+IIIの懸濁液、及び/又は画分II+IIIの濾過ケークからH因子を抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;並びに(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施するステップを含む。
1つの実施形態において、IgG又はアルブミンの製造プロセスの間に、それ以外では廃棄される物質からのIaIpの濃縮組成物の調製のための方法は、以下のステップのうちの1つ以上を含む。
1.脱クリオ血漿の調製
ある特定の実施形態においては、IaIp、H因子及びIgG組成物の調製のために使用される出発物質は、一般に、回収された血漿(即ちエクスビボで全血から分離されている血漿)又は原料血漿(即ち血漿瀉血を介して収集された血漿)の何れかよりなる。精製プロセスは典型的には、安全性及び品質の問題に関して既にアッセイされている予め凍結されたプール血漿を解凍することにより開始されるが、新鮮血漿を使用してもよい。ある特定の実施形態においては、解凍は典型的には6℃を超えない又は約6℃を超えない温度で実施される。低温における凍結血漿の完全な解凍の後、低温(例えば6℃以下)で遠心分離を行うことにより、液体上澄みから固体のクリオプレシピテートを分離する。或いは、分離ステップは遠心分離ではなく濾過により実施することができる。液体上澄み(新たに解凍した血漿から遠心分離による低温不溶性タンパク質除去の後は「脱クリオ血漿」とも称される)を次いで、次ステップにおいて処理する。この分岐点において種々の追加的ステップをとることにより、他の血液凝固因子及び阻害剤、例えば第8因子阻害剤バイパス活性(FEIBA),第IX因子複合体、第VII因子又は抗トロンビンIII複合体の単離を行うことができる。
2.第1の沈殿ステップ−画分Iの沈殿
脱クリオ血漿の調製の後、溶液は典型的には0±1℃又は約0±1℃に冷却され、そしてpHは7.0〜7.5又は約7.0〜7.5、好ましくは7.1〜7.3又は7.1〜7.3、最も好ましくは約7.2に調節される。1つの実施形態において、脱クリオ血漿のpHは7.1〜7.3又は約7.2のpHに調節される。次に血漿を攪拌しながら6%〜10%又は約6%〜10%の目標濃度となるまで予冷エタノールを添加する。好ましい実施形態においては、エタノールは7%〜9%又は約7%〜9%の目標濃度となるように添加される。より好ましい実施形態においては、エタノールは8%(v/v)又は約8%(v/v)の目標濃度となるように添加される。同時に、温度を更に低下させて−4℃〜0℃又は約−4℃〜0℃とする。好ましい実施形態においては、温度を−2℃又は約−2℃まで低下させることによりフィブリノーゲンのような成分を沈殿させる。典型的には、沈殿事象は少なくとも1時間または少なくとも約1時間の保持時間を含むが、より短いかまたはより長い保持時間も使用してよい。その後、理想的には脱クリオ血漿中に存在するIgG含有量の全てを含有している上澄み(上澄みI)を次に遠心分離、濾過、又は他の適切な方法により沈殿物(画分I沈殿物)から分離する。
典型的には、画分I沈殿ステップはIgG及びアルブミンのような血漿由来血液因子の製造プロセスにおいて不純物を除去するために実施される。好都合なことに、IaIpの意味ある画分が製造プロセスの間に通常は廃棄されるこの沈殿物中に存在することがわかった。従って、1つの実施形態において、IaIpを画分I沈殿物から抽出する。画分I沈殿物からのIaIpの抽出のための適当な緩衝液及び方法を本明細書において提供される。
脱クリオ血漿のための第1の分画ステップとして使用される従来の方法(Cohn等、上出; Oncley等、上出)と比較して、本発明は幾つかの実施形態において血漿因子(例えばIaIp、H因子、IgG、アルブミン等)の向上した収量をもたらす方法を提供する。1つの実施形態において、沈殿用のアルコールは添加時点においてアルコールを細密に分散させるか急速に分散させる様式で添加する。1つの実施形態において、アルコールは噴霧により添加される。第2の実施形態において、アルコールは攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。これらの機序の何れかによるアルコールの添加は、例えば流し込みの時点において生じ、そしてタンパク質の非可逆的変性及び/又は、それ以外では上澄み中に回収されるはずのタンパク質の沈殿をもたらすであろうアルコールの局所的過剰濃度を回避する。
別の実施形態においては、1つ以上のpH調整剤が添加時点においてpH調整剤を細密に分散させるか急速に分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、pH調整剤は噴霧により添加される。第2の実施形態において、pH調整剤は攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。第3の実施形態において、pH調整剤は脱局所的領域に渡って固体のpH調節剤を散布することにより添加される。
更に別の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加後に調節される。関連の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加の間に調節される。1つの実施形態において、溶液のpHは溶液のpHを連続的に調節することにより沈殿保持又はインキュベーションの時間の間に所望のpHに維持される。好ましい実施形態においては、アルコールはエタノールである。
特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加後に7.0〜7.5又は約7.0〜7.5に調節される。他の実施形態において、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加後に7.1〜7.3又は約7.1〜7.3に調節される。更に他の実施形態において、溶液のpHは、沈殿用アルコールの添加後に7.0又は約7.0、あるいは7.1、7.2、7,3、7.4、又は7.5、又は約7.1、約7.2、約7,3、約7.4、あるいは約7.5に調節される。特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加後に7.2又は約7.2に調節される。従って、ある特定の実施形態においては、溶液のpHが沈殿用アルコールの後ではなく前に調節される類似の沈殿ステップと比較して、タンパク質変性により第1の沈殿ステップの間に非可逆的に失われる血液因子の量が低減される。
他のある特定の実施形態においては、沈殿用アルコール及び/又はpHを調節するために使用する溶液は流し込みによる添加ではなく、噴霧により添加する。したがって、特定の実施形態においては、アルコール及び/又はpH調節用溶液を流し込みにより導入する類似の沈殿ステップと比較して、タンパク質変性による第1の沈殿ステップの間に非可逆的に失われる血液因子の量が低減される。
更に他の実施形態において、溶液のpHは、沈殿用アルコールの添加の後、および、流し込みによる添加によるのではなく噴霧により沈殿用アルコール及び/又はpH調節用溶液を添加することにより、調節される。特定の実施形態においては、溶液のpHは、沈殿用アルコールの添加の後、および、流し込みによる添加によるのではなく噴霧により沈殿用アルコール及び/又はpH調節用溶液を添加することにより、7.2又は約7.2に調節される。
3.第2の沈殿ステップ−画分II+IIIの沈殿
画分Iの上澄み中に存在する関連の血液因子(例えばIaIp、H因子、IgG、アルブミン)の含有量及び純度を富化するために、画分上澄みIを、コーン−オンクレイ画分II+III分画である第2の沈殿ステップに供する。一般に、溶液のpHは6.6〜7.2又は約6.6〜7.2のpHに調節される。好ましい実施形態においては、溶液のpHは6.6〜6.8又は約6.6〜6.8に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは6.7又は約6.7のpHに調節される。次にアルコール、好ましくはエタノールを、攪拌しながら、20%〜25%(v/v)又は約20%〜25%(v/v)の最終濃度となるように溶液に添加することにより、アルブミンの大半を上澄み中に保持しつつ、画分中に存在するIaIp、H因子及びIgGを沈殿させる。好ましい実施形態においては、アルコールを終濃度25%(v/v)又は約25%(v/v)となるように添加することにより画分中のIaIp、H因子及びIgGを沈殿させる。
好都合なことにIgGの大部分は画分II+III沈殿物中に存在するが、アルブミンはこれらの条件下には沈殿しないことが見出された。従って画分II+III沈殿物はIgGガンマグロブリンの製造のために処理することができ、一方上澄みはアルブミンの製造のために利用できる。残存するIaIp血漿の内容物は画分II+III沈殿物と上澄みとの間に分布しているため、IaIp精製プロセスはこのステップにおいて分岐する。第1の経路(本明細書においてはIgG経路と称する)においては、画分II+III沈殿物は、IaIpが画分II+III懸濁液及び/又は画分II+III濾過ケークから回収できるように処理される。第2の経路(本明細書においてはアルブミン経路と称する)では画分II+III上澄みの処理を行い、そして、画分IV−1沈殿物からのIaIpの回収を可能にする。
画分I上澄みへのアルコール添加の前又はそれと同時に、溶液を−5℃〜−9℃又は約−5℃〜−9℃まで更に冷却する。好ましい実施形態においては、溶液を−7℃又は約−7℃に冷却する。アルコール添加終了後、即座に溶液のpHを6.6〜7.2又は約6.6〜7.2に調節する。好ましい実施形態においては、溶液のpHは6.6〜6.8又は約6.6〜6.8に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは6.9又は約6.9に調節される。典型的には、沈殿事象は少なくとも10時間又は約10時間の保持時間を含むが、より短いか長い保持時間も使用してよい。その後、脱クリオ血漿のIaIp含有分の大画分及びH因子とIgG含有分の大部分を含有する沈殿物(画分II+III)を、遠心分離、濾過、又は他の適切な方法により上澄みから分離し、収集する。脱クリオ血漿のための第2の分画ステップとして使用されている従来の方法(Cohn等、上出; Oncley等、上出)と比較して、本発明の方法は幾つかの実施形態において修飾された画分II+III沈殿物の進歩した血液因子収量をもたらす方法を提供する。
脱クリオ血漿のための第2の分画ステップとして使用されている従来の方法(Cohn等、上出; Oncley等、上出)と比較して、本発明の方法は幾つかの実施形態において画分II+III沈殿物の改善した血液因子収量をもたらす方法を提供する。1つの実施形態において、沈殿用アルコールは添加時点においてアルコールを微細分散させるか、又はアルコールを急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、アルコールは噴霧により添加される。第2の実施形態において、アルコールは攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。
別の実施形態においては、1つ以上のpH調整剤が添加時点においてpH調整剤を微細分散させるか急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、pH調整剤は噴霧により添加される。第2の実施形態において、pH調整剤は攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。第3の実施形態において、pH調整剤は脱局所的領域に渡って固体のpH調整剤を散布することにより添加される。
更に別の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加後に調節される。関連の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加の間に調節される。1つの実施形態において、溶液のpHは溶液のpHを持続的に調節することにより沈殿保持又はインキュベーションの間に所望のpHに維持される。好ましい実施形態においては、アルコールはエタノールである。
1つの実施形態において、画分II+III沈殿ステップの温度は−7℃〜−9℃又は約−7℃〜−9℃である。関連の実施形態において、画分II+III沈殿ステップにおいて使用するアルコール(例えばエタノール)の濃度は25%(v/v)又は約25%(v/v)であり、そして温度は−7℃〜−9℃又は約−7℃〜−9℃である。比較すると、Cohn等及びOncley等の両方は−5℃で沈殿を実施し、そしてOncley等は沈殿中の夾雑物のレベルを低減するために20%アルコールを使用している。好都合には、本明細書において提供される方法は最終産物中の高レベルの夾雑物を伴うことなく最高のIaIp、H因子、及び/又はIgGの収量を可能にする。
別の実施形態においては、沈殿ステップは−7℃〜−9℃又は約−7℃〜−9℃の温度で実施される。1つの実施形態において、沈殿ステップは−7℃又は約−7℃の温度で実施される。別の実施形態においては、沈殿ステップは−8℃又は約−8℃の温度で実施される。別の実施形態においては、沈殿ステップは−9℃又は約−9℃の温度で実施される。
特定の実施形態においては、沈殿ステップのアルコール濃度は、20%又は約20%〜30%又は約30%の間であり、好ましくは23%又は約23%〜27%又は約27%の間である。好ましい実施形態においては、アルコール濃度は、24%又は約24%〜26%又は約26%の間である。別の好ましい実施形態においては、アルコール濃度は、25%又は約25%である。他の実施形態において、アルコール濃度は、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%あるいは30%、又は約20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%あるいは30%であってよい。特定の実施形態においては、第2の沈殿ステップは25%又は約25%のアルコール濃度で、−7℃又は約−7℃の温度で実施される。1つの実施形態において、アルコールはエタノールである。
沈殿用アルコールの添加の前に約6.9のpHに溶液のpHを調節する場合、溶液のpHは、部分的にはタンパク質沈殿のために、6.9から約7.4〜約7.7にシフトすることを発見した。溶液のpHが6.9からシフトして離れるほど、IgGの沈殿が優先されなくなり、そして特定の夾雑物の沈殿がより優先される。好都合なことに、本発明者等は、沈殿用アルコールの添加後に溶液のpHを調節することによりそのような高いパーセンテージのIgGが画分II+III沈殿物中に回収されることを発見した。1つの実施形態において、溶液のpHは溶液のpHを持続的に調節することにより沈殿保持又はインキュベーションの間に所望のpHに維持される。好ましい実施形態においては、アルコールはエタノールである。
特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加の直後又はその間に6.6〜7.2又は約6.6〜7.2に調節される。別の実施形態においては、溶液のpHは沈殿インキュベーション期間の間連続的に6.6〜7.2又は約6.6〜7.2に維持される。他の実施形態において、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加の直後又はその間に6.8〜7.0又は約6.8〜7.0に、又は沈殿用アルコールの添加の直後又はその間に6.7、6.8、6.9、7.0あるいは7.1、又は約6.7、約6.8、約6.9、約7.0あるいは約7.1のpHに調節される。特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加の直後又はその間に6.9又は約6.9に調節される。特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿インキュベーション期間の間連続的に6.8〜7.0又は約6.8〜7.0に、又は沈殿インキュベーション期間の間連続的に6.9又は約6.9のpHに維持される。別の実施形態においては、沈殿用アルコール及びpH調節用溶液の両方は流し込みによる添加ではなく、噴霧により添加される。
別の実施形態においては、溶液のpHはアルコール及びpH調整剤の何れか又は両方の噴霧添加により、沈殿用アルコールの添加の直後又はその間に6.7〜7.1又は約6.7〜7.1に、あるいは、6.9又は約6.9に調節される。1つの実施形態において、溶液のpHは流し込みによる添加ではなく噴霧により、沈殿用アルコール及び/又はpH調節用溶液の添加により、沈殿インキュベーション期間の間、連続的にpHを調節することにより6.7〜7.1又は約6.7〜7.1、あるいは6.9又は約6.9に維持される。別の特定の実施形態において、沈殿ステップは、23%〜27%又は約23%〜27%、あるいは、25%又は約25%のアルコール濃度で、−7℃〜−9℃又は約−7℃〜−9℃、あるいは、−7℃又は約−7℃の温度で実施される。1つの実施形態において、沈殿は噴霧により25%又は約25%のエタノールを添加しながら−7℃又は約−7℃の温度で実施され、その場合、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加後に6.9又は約6.9に調節される。更に別の実施形態において、溶液のpHは沈殿インキュベーション又は保持時間全体未渡って6.9又は約6.9に維持される。
4.IgG経路
(a)画分II+III沈殿物の抽出
画分II+III沈殿物のIaIp、H因子及びIgGの含有分を可溶化するために、冷温抽出緩衝液を用いて沈殿物1又は約1に対して抽出緩衝液15の典型的な比において画分II+III沈殿物を再懸濁させる。別の態様において、冷温抽出緩衝液を用いて沈殿物1又は約1に対して抽出緩衝液20の典型的な比において画分II+III沈殿物を再懸濁させる。他の適当な再懸濁比、例えば1:4〜1:40又は約1:4〜1:40、あるいは1:8〜1:30又は約1:8〜1:30、あるいは1:10〜1:20又は約1:10〜1:20、あるいは1:12〜1:18又は約1:12〜1:18、あるいは1:13〜1:17又は約1:13〜1:17、あるいは1:14〜1:16又は約1:14〜1:16を使用してよい。ある特定の実施形態においては、再懸濁比は、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:38、1:39、1:40もしくはそれ以上、又は約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:11、約1:12、約1:13、約1:14、約1:15、約1:16、約1:17、約1:18、約1:19、約1:20、約1:21、約1:22、約1:23、約1:24、約1:25、約1:26、約1:27、約1:28、約1:29、約1:30、約1:31、約1:32、約1:33、約1:34、約1:35、約1:36、約1:37、約1:38、約1:39、約1:40もしくはそれ以上であってよい。好ましい実施形態においては、画分II+IIIペーストは沈殿物1又は約1に対して抽出緩衝液15の比で再懸濁される。別の好ましい実施形態においては、画分II+IIIペーストは沈殿物1又は約1に対して抽出緩衝液20の比で再懸濁される。
II+III沈殿物の抽出のための適当な溶液は一般的に4.0〜5.5又は約4.0〜5.5のpHを有する。ある特定の実施形態においては、溶液は4.3〜4.7又は約4.3〜4.7のpHを有し、別の実施形態においては、抽出溶液は、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4もしくは5.5、又は約4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4もしくは5.5のpHを有する。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液のpHは4.3又は約4.3である。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液のpHは4.5又は約4.5である。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液のpHは4.7又は約4.7である。一般に、これらのpHは、例えばアセテート、シトレート、1塩基性のホスフェート、2塩基性のホスフェート、これらの混合物等から選択される緩衝剤を用いて達成できる。適当な緩衝液濃度は典型的には約2.5〜約100mM、又は約5〜約50mM、又は約2.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100mMの緩衝液の範囲となる。
抽出緩衝液は好ましくは、0.5mS・cm−1〜2.0mS・cm−1又は約0.5mS・cm−1〜2.0mS・cm−1の伝導度を有する。例えばある特定の実施形態においては抽出緩衝液の伝導度は、0.5mS・cm−1又は約0.5mS・cm−1であるか、あるいは0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9であるか、あるいは2.0mS・cm−1又は約2.0mS・cm−1となる。当業者であれば、適切な伝導度を有する抽出緩衝液を形成するための方法を知っているであろう。
1つの特定の実施形態において、例示される抽出緩衝液は4.5±0.2又は約4.5±0.2のpH及び0.7〜0.9mS/cm又は約0.7〜0.9mS/cmの伝導度において、5mM又は約5mMの1塩基性リン酸ナトリウム及び5mM又は約5mMのアセテートを含有してよい。
一般に、抽出は0℃〜20℃又は約0℃〜20℃、好ましくは2℃〜8℃又は約2℃〜8℃で実施される。特定の実施形態においては、抽出は0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃又は20℃又は約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃又は約20℃で実施してよい。ある特定の実施形態においては、抽出は2℃〜10℃又は約2℃〜10℃で実施される。典型的には、抽出プロセスはII+IIIペーストの全ての可溶性成分が溶液となるまで連続的攪拌下で実施される。特定の実施形態においては、抽出は60〜300分又は約60〜300分、あるいは120〜240分又は120〜240分、あるいは150〜210分又は約150〜210分進行させ、その間、懸濁液を連続的に攪拌する。特定の実施形態においては、抽出プロセスは60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290分又は約60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290分、あるいは300分又は約300分進行させる。好ましい実施形態においては、抽出プロセスは連続的に攪拌しながら少なくとも60分間進行させる。
1つの実施形態において、抽出緩衝液は、5mM又は約5mMの1塩基性リン酸ナトリウム、5mMのアセテート、及び0.051%〜0.06%の氷酢酸(v/v)を含有する。好ましい実施形態においては、画分II+III沈殿物は4.5±0.2又は約4.5±0.2のpHにおいて1:15又は約1:15のペースト対緩衝液の比で抽出される。
1つの実施形態において、溶液のpHは抽出プロセスの持続時間に渡り維持される。1つの実施形態において、溶液のpHは4.1〜4.9又は約4.1〜4.9に抽出プロセスの持続時間に渡り維持される。好ましい実施形態においては、溶液のpHは4.2〜4.8又は約4.2〜4.8に抽出プロセスの持続時間に渡り維持される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは4.3〜4.7又は約4.3〜4.7に抽出プロセスの持続時間に渡り維持される。別の好ましい実施形態においては、溶液のpHは4.4〜4.6又は約4.4〜4.6に抽出プロセスの持続時間に渡り維持される。更に別の好ましい実施形態においては、溶液のpHは4.5又は約4.5に抽出プロセスの持続時間に渡り維持される。
(b)前処理及び画分II+III懸濁液からのIaIpの回収
好都合なことに、可溶化画分II+III沈殿物を超微粒子状二酸化ケイ素(SiO2)で前処理することにより、IgG製造プロセスから、脂質、フィブリノーゲン、アミド溶解活性、プレカリクレイン活性、及びリポタンパク質のような不純物が有意に低下することがわかった。意外にも、本発明者等は、画分II+III懸濁液中に見出されるIaIpの大部分が画分II+III濾過ケーク中に取り込まれることを発見した。例えば、実施例1はIaI及びPaIは画分II+III沈殿物及び濾過ケーク中に検出することができるが、二酸化ケイ素処理後の清澄化された画分II+III懸濁中には存在しないことを示している(図3)。更に、実施例2はIaIpが二酸化ケイ素処理後に非可逆的に失われる事は無く、そして画分II+III濾過ケークから抽出できることを示している。
従って、1つの実施形態において、IaIpは画分II+III懸濁液を超微粒子状二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標))で処理した後に画分II+III濾過ケークから抽出できる。
ある特定の実施形態においては、適当な溶解緩衝液で抽出されている画分II+III沈殿物を、懸濁された画分II+III沈殿物のグラム当たり5mg〜100mg又は約5mg〜100mgの超微粒子状二酸化ケイ素で処理する。好ましい実施形態においては、画分II+III懸濁液は懸濁された画分II+III沈殿物のグラム当たり20mg〜80mg又は約20mg〜80mgの超微粒子状二酸化ケイ素で処理される。より好ましい実施形態においては、画分II+III懸濁液は懸濁された画分II+III沈殿物のグラム当たり40mg〜60mg又は約40mg〜60mgの超微粒子状二酸化ケイ素で処理される。別の好ましい実施形態においては、画分II+III懸濁液は懸濁された画分II+III沈殿物のグラム当たり50mg又は約50mgの超微粒子状二酸化ケイ素で処理される。特定の実施形態においては、超微粒子状二酸化ケイ素は20g/kgII+IIIペースト〜100g/kg又は約20g/kgII+IIIペースト〜100g/kgII+IIIペーストの濃度において添加される(即ち、1:15の比で抽出される画分II+III沈殿物の場合、超微粒子状二酸化ケイ素は20g/16kgII+III懸濁液〜100g/16kg又は約20g/16kgII+III懸濁液〜100g/16kgII+III懸濁液の濃度において、又は0.125%(w/w)〜0.625%(w/w)又は約0.125%(w/w)〜0.625%(w/w)の最終濃度において、添加しなければならない)。特定の実施形態においては、超微粒子状二酸化ケイ素は、5 g/kg又は約5 g/kgII+IIIペースト、あるいは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100g/kg、又は約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100g/kgII+IIIペーストの濃度で添加してよい。1つの特定の実施形態において、超微粒子状二酸化ケイ素は40 g/16 kg又は約40 g/16 kgII+III懸濁液の終濃度となるように画分II+III懸濁液に添加する。好ましい実施形態においては、使用する超微粒子状二酸化ケイ素はAerosil(登録商標) 380又は同等品である。
一般に、超微粒子状二酸化ケイ素処理は0℃〜20℃又は約0℃〜20℃、好ましくは2℃〜8℃又は約2℃〜8℃の温度で実施される。特定の実施形態においては、処理は、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃又は20℃、あるいは約0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃又は20℃で実施されてよい。典型的には、画分II+III懸濁液は超微粒子状二酸化ケイ素と共に少なくとも15分間攪拌される。特定の実施形態においては、画分II+III懸濁液は超微粒子状二酸化ケイ素と共に少なくとも10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110分間、あるいは少なくとも1、2、3、4、5、6時間又はそれ以上、攪拌される。好ましい実施形態においては、画分II+III懸濁液は超微粒子状二酸化ケイ素と共に30〜60分間又は約30〜60分間攪拌される。別の好ましい実施形態においては、画分II+III懸濁液は超微粒子状二酸化ケイ素と共に少なくとも30分間攪拌される。
特定の実施形態においては、濾過助剤、例えばCelpure C300(Celpure)又はHyflo−Supper−Cel(World Minerals)がデプス濾過を促進するために添加されることになる。濾過助剤は約0.1kg/kg画分II+III沈殿物〜約0.7kg/kg画分II+III沈殿物、又は約0.2kg/kg画分II+III沈殿物〜約0.6kg/kg画分II+III沈殿物、又は約0.3kg/kg画分II+III沈殿物〜約0.5kg/kg画分II+III沈殿物の終濃度で添加されることができる。特定の実施形態においては、濾過助剤は約0.1kg/kg画分II+III沈殿物、又は約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6又は0.7kg/kg画分II+III沈殿物の終濃度で添加される。
二酸化ケイ素処理後に画分II+III沈殿物の非可溶化吸着画分(即ち、画分II+III濾過ケーク)を除去するために、典型的にはデプス濾過を用いて上澄みを濾過する。本明細書において提供される方法において使用してよいデプスフィルターは金属、ガラス、セラミック、有機物(例えば珪藻土)のデプスフィルター等を含む。適当なフィルターの例はCuno 50SA、Cuno 90SA及びCuno VR06フィルター(Cuno)を含むがこれらに限定されない。或いは、分離ステップを濾過ではなく遠心分離により実施することができる。好ましい実施形態においては、超微粒子状二酸化ケイ素処理画分II+IIIペースト懸濁液は、フィルタープレス内に所在するデプスフィルターを通して濾過される。
5.アルブミン経路
(a)第3の沈殿ステップ−画分IV−1の沈殿物
画分II+III上澄みからIaIpを回収するために、溶液は典型的には−1℃〜−9℃又は約−1℃〜−9℃に冷却され、pHは5.0〜5.5又は約5.0〜5.5に調節され、そしてアルコール濃度は18%〜25%(v/v)又は約18%〜25%(v/v)に調節される。次に溶液を少なくとも4時間又は少なくとも約4時間−1℃〜−9℃又は約−1℃〜−9℃に維持することにより、完全な沈殿を可能とする。好ましい実施形態においては、溶液の温度は完全な沈殿のために−3℃〜−7℃又は約−3℃〜−7℃に維持される。別の好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.2〜5.3又は約5.2〜5.3に調節される。更に別の好ましい実施形態においては、アルコール濃度は20%±1%(v/v)又は約20%±1%(v/v)に調節される。1つの好ましい実施形態においては、沈殿は少なくとも8時間又は少なくとも約8時間進行させる。
1つの実施形態において、画分IV−1沈殿物は、溶液を−3℃〜−7℃又は約−3℃〜−7℃にまで冷却し、溶液のpHを5.2〜5.3又は約5.2〜5.3に調節し、アルコール濃度を20%±1%又は約20%±1%に調節し、そして溶液の温度を少なくとも8時間又は少なくとも約8時間維持することにより形成される。
画分IV−1上澄み及び沈殿物を次に、遠心分離又は濾過のような適切な方法により分離する。好ましい実施形態においては、画分IV−1上澄みの温度は分離プロセスの間−1℃〜−7℃又は約−1℃〜−7℃に維持される。沈殿物と上澄みを分離するために濾過を使用する場合は、濾過助剤(例えばCelpure300、Celite501、Celite505又は同等品)を濾過前に添加することが好ましい。
画分VI−1沈殿物を形成する従来の方法(Cohn等、上出)と比較して、本発明は、幾つかの実施形態において、改善した血液因子収量をもたらす方法を提供する。1つの実施形態において、沈殿用アルコールは添加時点においてアルコールを微細分散させるか、又はアルコールを急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、アルコールは噴霧により添加される。第2の実施形態において、アルコールは攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。
別の実施形態においては、1つ以上のpH調整剤は添加時点においてpH調整剤を微細分散させるか急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、pH調整剤は噴霧により添加される。第2の実施形態において、pH調整剤は攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。第3の実施形態において、pH調整剤は脱局所的領域に渡って固体のpH調整剤を散布することにより添加される。
更に別の実施形態において、沈殿用アルコール及びpH調節用溶液の両方は添加時点においてpH調整剤を微細分散させるか急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、沈殿用アルコール及びpH調節用溶液の両方は流し込みによる添加ではなく、噴霧により添加される。
更に別の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加後に調節される。関連の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加の間に調節される。1つの実施形態において、溶液のpHは溶液のpHを持続的に調節することにより沈殿保持又はインキュベーションの間に所望のpHに維持される。好ましい実施形態においては、アルコールはエタノールである。
特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコール濃度の調節の直後又はその間に5.2〜5.3又は約5.2〜5.3とされる。別の実施形態においては、プロセスの改善は沈殿インキュベーション期間の間、連続して溶液のpHを5.2〜5.3又は約5.2〜5.3に維持することにより実現される。他の実施形態において、溶液のpHは沈殿用アルコール濃度の調節の直後又はその間に5.2〜5.3又は約5.2〜5.3に、又は沈殿用アルコール濃度の調節の直後又はその間に4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0又はそれ以上、あるいは約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0又はそれ以上のpHに調節される。特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコール濃度の調節の直後又はその間に5.2〜5.3又は約5.2〜5.3に調節される。特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコール濃度の調節の間、連続して5.2〜5.3又は約5.2〜5.3に維持される。1つの実施形態において、pHは溶液のpHを持続的に調節することにより沈殿保持又はインキュベーションの間に所望のpHに維持される。1つの実施形態において、アルコールはエタノールである。
(b)代替のアルブミン経路−画分I+II+III沈殿物
或いは、画分IV−1沈殿物は異なる血漿画分、例えば画分I+II+III上澄みから形成されてもよい。典型的には、画分I+II+IIIの沈殿は脱クリオ血漿画分のpHを約6.5〜7.5に調節すること、画分の温度を−1℃〜−9℃又は約−1℃〜−9℃に調節すること、及び、15%〜25%(v/v)又は約15%〜25%(v/v)の終濃度までアルコールを添加することにより実施される。好ましい実施形態においては、脱クリオ血漿画分のpHは6.7〜7.1又は約6.7〜7.1、あるいは6.9±0.2に調節される。別の好ましい実施形態においては、血漿画分の温度は−3℃〜−7℃又は約−3℃〜−7℃に調節される。更に別の好ましい実施形態においては、アルコール(好ましくはエタノール)は20%〜25%(v/v)又は約20%〜25%(v/v)の終濃度となるように添加される。特定の実施形態においては、アルコールは20%(v/v)又は約20%(v/v)の終濃度となるように添加される。1つの実施形態において、沈殿を進行させつつ、溶液を少なくとも2時間又は少なくとも約2時間、あるいは少なくとも4、6、8、10もしくは12時間、又は少なくとも約4、6、8、10又は12時間混合する。好ましい実施形態においては、溶液を2時間又は約2時間混合し、溶液のpHを必要に応じて確認し、そしてpHの調節後少なくとも10時間又は約10時間、沈殿を進行させる。
好ましい実施形態においては、画分I+II+IIIの沈殿は、脱クリオ血漿画分のpHを6.7〜7.1又は約6.7〜7.1に調節し、画分の温度を−3℃〜−7℃又は約−3℃〜−7℃に調節し、そしてアルコールを20%〜25%(v/v)又は約20%〜25%(v/v)の終濃度となるように添加することにより実施する。
画分I+II+IIIの上澄み及び沈殿物を次に、遠心分離又は濾過のような適切な方法により分離する。沈殿物と上澄みを分離するために濾過を使用する場合は、濾過助剤(例えばCelpure 300、Celite 501、Celite 505又は同等品)を濾過前に添加することが好ましい。回収された画分I+II+III上澄みは、次に例えば画分IV−1沈殿によりIaIpを回収するために処理される。
画分I+II+III沈殿物を形成する従来の方法(Newman等、J Biol Chem. (1955) Nov;217(1):31-41)と比較して、本発明は幾つかの実施形態において、改善した血液因子収量を与える方法を提供する。1つの実施形態において、沈殿用アルコールは添加時点においてアルコールを微細分散させるか、又はアルコールを急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、アルコールは噴霧により添加される。第2の実施形態において、アルコールは攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。
別の実施形態においては、1つ以上のpH調整剤が添加時点においてpH調整剤を微細分散させるか急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、pH調整剤は噴霧により添加される。第2の実施形態において、pH調整剤は攪拌器具、例えばプロペラの下方又は直接的隣接部から添加される。第3の実施形態において、pH調整剤は脱局所的領域に渡って固体のpH調整剤を散布することにより添加される。
更に別の実施形態において、沈殿用アルコール及びpH調節用溶液の両方は添加時点においてpH調整剤を微細分散させるか急速分散させる様式で添加される。1つの実施形態において、沈殿用アルコール及びpH調節用溶液の両方は流し込みによる添加ではなく、噴霧により添加される。
更に別の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加後に調節される。関連の実施形態において、溶液のpHはアルコールの添加の間に調節される。1つの実施形態において、溶液のpHは溶液のpHを持続的に調節することにより沈殿保持又はインキュベーションの間に所望のpHに維持される。好ましい実施形態においては、アルコールはエタノールである。
特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加の後に6.5〜7.5又は約6.5〜7.5に調節される。他の実施形態において、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加の後に6.7〜7.1又は約6.7〜7.1に調節される。更に他の実施形態において、溶液のpHは、沈殿用アルコールの添加の後に6.5又は約6.5、あるいは6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4もしくは7.5、又は約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4もしくは約7.5に調節される。特定の実施形態においては、溶液のpHは沈殿用アルコールの添加の後に6.9又は約6.9に調節される。従って、ある特定の実施形態においては、溶液のpHが沈殿用アルコールの後ではなく前に調節される類似の沈殿ステップと比較して、タンパク質変性により沈殿画分において非可逆的に失われる血液因子の量が低減される。1つの実施形態において、pHは溶液のpHを持続的に調節することにより沈殿保持又はインキュベーションの間に所望のpHに維持される。好ましい実施形態においては、アルコールはエタノールである。
6.IaIpの抽出
IaIpは、上記の画分I、画分II+III及び画分IV−1沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークのような適当な血漿分画沈殿物から、1:1〜1:40又は約1:1〜1:40(沈殿物1に対する抽出緩衝液)の比で沈殿物又は濾過ケークを再懸濁するために使用できるIaIp抽出緩衝液の添加により抽出してよい。好ましい実施形態においては、1:20〜1:30又は約1:20〜1:30の比で抽出緩衝液を添加することによりIaIpを抽出してよい。例えば、1つの好ましい実施形態においては、1:20又は約1:20の比で抽出緩衝液を添加することによりIaIpを抽出してよい。第2の好ましい実施形態においては、1:25又は約1:25の比で抽出緩衝液を添加することによりIaIpを抽出してよい。更に第3の好ましい実施形態においては、1:30又は約1:30の比で抽出緩衝液を添加することによりIaIpを抽出してよい。他の適当な再懸濁の比、例えば1:1又は約1:1あるいは1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:28、1:39、1:40又はそれ以上も使用してよい。
1つの実施形態において、抽出緩衝液中に沈殿物又は濾過ケークを再懸濁することにより沈殿物又は濾過ケークからIaIpを抽出できる。ある特定の実施形態においては、沈殿物又は濾過ケークを、例えば1:25又は約1:25あるいは1:30又は約1:30において抽出緩衝液の容量中に再懸濁させ、そして沈殿物又は濾過ケークのIaIp含有分が可溶化するのに十分な時間、懸濁液を攪拌する。
別の実施形態においては、沈殿物又は濾過ケーク又はペレットを通してIaIp抽出緩衝液を再循環させることにより沈殿物又は濾過ケークからIaIpを抽出できる。沈殿物又は濾過ケークを濾過又はフィルタープレスにより上澄みから分離する好ましい実施形態においては、沈殿物からIaIpを抽出するために十分な時間、フィルタープレスを通過させながら抽出緩衝液を再循環させる。
例えば、1つの実施形態において、IaIp抽出緩衝液は、沈殿物1に対して抽出緩衝液30の比において、画分I沈殿物(例えば、画分I濾過ケーク又は遠心分離ペレット)を通して再懸濁又は再循環させるために使用される。他の適当な再懸濁比も使用してよく、例えば、約1:1又は1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:28、1:39、1:40等が挙げられる。好ましい実施形態においては、画分I濾過ケークは抽出プロセスの間上澄みから沈殿物を濾過するために使用されるフィルタープレス中に残存する。
別の実施形態においては、IaIp抽出緩衝液は、沈殿物1に対して抽出緩衝液30の比において、画分II+III沈殿物(例えば、画分II+III沈殿物濾過ケーク又は遠心分離ペレット)を通して再懸濁又は再循環させるために使用される。他の適当な再懸濁比も使用してよく、例えば、約1:1又は1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:28、1:39、1:40等が挙げられる。好ましい実施形態においては、画分II+III濾過ケークは、抽出プロセスの間上澄みから沈殿物を濾過するために使用されるフィルタープレス中に残存する。
別の実施形態においては、IaIp抽出緩衝液は沈殿物1に対して抽出緩衝液30の比において、画分II+III懸濁液濾過ケークを通して再懸濁又は再循環させるために使用される。他の適当な再懸濁比も使用してよく、例えば、約1:1又は1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:28、1:39、1:40等が挙げられる。好ましい実施形態においては、画分II+III濾過ケークは、抽出プロセスの間上澄みから沈殿物を濾過するために使用されるフィルタープレス中に残存することになる。
別の実施形態においては、IaIp抽出緩衝液は、沈殿物1に対して抽出緩衝液30の比において、画分IV−1沈殿物(例えば、画分IV−1沈殿物濾過ケーク又は遠心分離ペレット)を通して再懸濁又は再循環させるために使用される。他の適当な再懸濁比も使用してよく、例えば、約1:1又は1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:28、1:39、1:40等が挙げられる。好ましい実施形態においては、画分IV−1濾過ケークは、抽出プロセスの間上澄みから沈殿物を濾過するために使用されるフィルタープレス中に残存することになる。
別の実施形態においては、IaIp抽出緩衝液は、沈殿物1に対して抽出緩衝液30の比において、キストラー及びニッチェマン沈殿物Aの沈殿物(例えば、沈殿物Aの沈殿物、濾過ケーク又は遠心分離ペレット)を通して再懸濁又は再循環させるために使用される。他の適当な再懸濁比も使用してよく、例えば、約1:1又は1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:28、1:39、1:40等が挙げられる。好ましい実施形態においては、沈殿物Aの濾過ケークは、抽出プロセスの間上澄みから沈殿物を濾過するために使用されるフィルタープレス中に残存することになる。
別の実施形態においては、IaIp抽出緩衝液は、沈殿物1に対して抽出緩衝液30の比において、キストラー及びニッチェマン沈殿物Bの沈殿物(例えば、沈殿物Bの沈殿物、濾過ケーク又は遠心分離ペレット)を通して再懸濁又は再循環させるために使用される。他の適当な再懸濁比も使用してよく、例えば、約1:1又は1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:28、1:39、1:40等が挙げられる。好ましい実施形態においては、沈殿物B濾過ケークは、抽出プロセスの間上澄みから沈殿物を濾過するために使用されるフィルタープレス中に残存することになる。
好ましい実施形態においては、濾過ケーク又は沈殿物からIaIpを抽出するステップは、IaIp濾過ケーク又は沈殿物を含有するフィルタープレスを通るIaIp抽出緩衝液の再循環を含む。1つの実施形態において、濾過ケーク又は沈殿物からIaIpを抽出するステップは少なくとも10分間のIaIp濾過ケークを含有するフィルタープレスを通るIaIp抽出緩衝液の再循環を含む。他の実施形態において、濾過ケーク又は沈殿物からIaIpを抽出するステップは10〜60分間又は約10〜60分間のIaIp濾過ケークを含有するフィルタープレスを通るIaIp抽出緩衝液の再循環を含む。好ましい実施形態においては、濾過ケーク又は沈殿物からIaIpを抽出するステップは20〜40分間又は約20〜40分間のIaIp濾過ケークを含有するフィルタープレスを通るIaIp抽出緩衝液の再循環を含む。更に他の実施形態において、濾過ケーク又は沈殿物からIaIpを抽出するステップは、10分間又は少なくとも約10分間、あるいは少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85もしくは90分又は約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85もしくは90分、又はそれ以上(例えば少なくとも2、3、4、5もしくは6時間又は約2、3、4、5もしくは6時間)のIaIp濾過ケークを含有するフィルタープレスを通るIaIp抽出緩衝液の再循環を含む。
一般に、抽出は、0℃〜20℃又は約0℃〜20℃、好ましくは2℃〜8℃又は約2℃〜8℃において実施される。特定の実施形態においては、抽出は、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、又は10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、又は20℃、あるいは約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、8℃、約9℃、又は約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、又は約20℃において実施してよい。特定の実施形態においては、抽出は2℃〜10℃又は約2℃〜10℃で実施される。
何れかの適当な緩衝液を沈殿物又は濾過ケークからのIaIpの抽出のために用いてよい。典型的な抽出緩衝液は少なくとも緩衝剤及び塩を含有する。ある特定の実施形態においては、抽出緩衝液は10〜250mM又は約10〜250mMの緩衝剤を含有する。ある特定の実施形態においては、緩衝剤は、10mM又は約10mM、あるいは20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250mMもしくはそれ以上、又は約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250mMもしくはそれ以上の緩衝剤の濃度で存在する。ある特定の実施形態においては、抽出緩衝液は5〜100mS/cm又は約5〜100mS/cmのイオン強度を有する。特定の実施形態においては、抽出緩衝液は50〜500mM又は約50〜500mMの塩を含有する。ある特定の実施形態においては、塩は50mM又は約50mM、あるいは75、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500mMもしくはそれ以上、又は約75、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500mMもしくはそれ以上の塩の濃度で存在する。
IaIp抽出緩衝液は一般に6.0〜9.0又は約6.0〜9.0のpHを有する。特定の実施形態においては、H因子抽出緩衝液は6.0又は約6.0、あるいは6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9もしくは9.0、又は約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9もしくは約9.0のpHを有する。好ましい実施形態においては、IaIp緩衝液は7.0〜8.0又は約7.0〜8.0のpHを有する。特定の実施形態においては、抽出緩衝液は7.0又は約7.0のpHを有する。別の特定の実施形態においては、抽出緩衝液は7.5又は約7.5のpHを有する。別の特定の実施形態においては、抽出緩衝液は8.0又は約8.0のpHを有する。IaIp抽出緩衝液の処方のために使用してよい緩衝剤の非限定的な例は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、カコジル酸、イミダゾール、ホウ酸、ビシン、ACES、BES、BIS−Tris、BIS−Tris−プロパン、CAPS、CHES、グリシンアミド、グリシルグリシン、MES、MOPS、PIPES、HEPES、TAPS、TES、トリシン、トリエタノールアミン、及びTrisを含む。
好ましい実施形態においては、IaIp抽出緩衝液は、25mM Tris(pH8.0);5mM EDTA;200mM NaClを含むか又はこれよりなる。より好ましい実施形態においては、IaIp抽出緩衝液は、100mMリン酸ナトリウム(pH7.5);150mM塩化ナトリウムを含むか又はこれよりなる。
7.第4の沈殿ステップ−不純物の除去
1つの実施形態において、方法は、沈殿物(本明細書においては「IaIp沈殿物4」と称する)及び上澄み(本明細書においては「IaIp上澄み4」と称する)を形成するために、濃縮IaIp組成物から不純物を沈殿させるステップを更に含む。ある特定の実施形態においては、本ステップは組成物から少なくとも1つの不純物、例えば脂質又はタンパク質を沈殿させること、そして次にIaIpを含有する上澄みから沈殿物を分離することを含む。血漿由来画分から不純物を沈殿させる場合に適する沈殿剤は当該分野で良く知られており、アルコール(例えばエタノール、メタノール等)、水溶性重合体(例えばPEG,、デキストラン等)、塩類(例えばリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)、短鎖脂肪酸(例えばヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸等)等を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態においては、沈殿は溶液のpHを目的成分の等電点に合致させること、即ち等電点沈殿により促進することができる。
好ましい実施形態においては、方法は、pH7.0〜9.0又は約7.0〜9.0において10%〜20%又は約10%〜20%エタノールを用いて濃縮IaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップを含む。好ましい実施形態においては、方法は、pH7.3〜8.7又は約7.3〜8.7において12%〜18%又は約12%〜18%エタノールを用いて濃縮IaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップを含む。より好ましい実施形態においては、方法は、pH7.5〜8.5又は約7.5〜8.5において14%〜16%又は約14%〜16%エタノールを用いて濃縮IaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップを含む。より好ましい実施形態においては、方法は、pH7.8〜8.2又は約7.8〜8.2において14%〜16%又は約14%〜16%エタノールを用いて濃縮IaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップを含む。最も好ましい実施形態においては、方法は、15%又は約15%のエタノール及び8.0又は約8.0のpHを用いて濃縮IaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップを含む。
沈殿剤、例えばエタノールの濃度は、1つ以上の不純物の沈殿を最大限にし、及び/又は、H因子の沈殿を最小限にするように調節し得る。特定の実施形態においては、沈殿は、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%、あるいは約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%又は約20%エタノールの添加により実施してよい。好ましい実施形態においては、沈殿は12%〜18%又は約12%〜18%エタノールの添加により実施してよい。より好ましい実施形態においては、沈殿は13%〜17%又は約13%〜17%エタノールを用いて実施してよい。より好ましい実施形態においては、沈殿は14%〜16%又は約14%〜16%エタノールを用いて実施してよい。最も好ましい実施形態においては、沈殿は15%又は約15%エタノールを用いて実施してよい。
溶液のpHは、1つ以上の不純物の沈殿を最大限にし、及び/又は、IaIpの沈殿を最小限にするように調節することができる。特定の実施形態においては、溶液のpHは、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9又は9.0、あるいは約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9又は約9.0に調節される。好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.2〜8.8又は約7.2〜8.8に調節される。別の好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.3〜8.7又は約7.3〜8.7に調節される。別の好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.4〜8.6又は約7.4〜8.6に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.5〜8.5又は約7.5〜8.5に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.6〜8.4又は約7.6〜8.4に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.7〜8.3又は約7.7〜8.3に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.8〜8.2又は約7.8〜8.2に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは7.9〜8.1又は約7.9〜8.1に調節される。最も好ましい実施形態においては、溶液のpHは8.0又は約8.0に調節される。
8.第5の沈殿ステップ−IaIp沈殿
1つの実施形態において、濃縮IaIp組成物は、沈殿物(本明細書においては「IaIp沈殿物5」と称する)及び上澄み(本明細書においては「IaIp上澄み5」と称する)を形成するために、画分I沈殿物、画分II+III沈殿物、画分IV−1沈殿物、沈殿物Aの沈殿物、沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークからの抽出の後に、濃縮組成物からIaIpを沈殿させることにより、更に精製してよい。ある特定の実施形態においては、濃縮IaIp組成物を、上記の通り、少なくとも1つの不純物を組成物から除去するための上記した第3の沈殿ステップに供し、そして次にIaIpを沈殿させ、回収するための第4の沈殿ステップに供してよい。
好ましい実施形態においては、濃縮組成物からのIaIpの沈殿は、pH5.0〜7.0又は約5.0〜7.0における20%〜30%又は約20%〜30%エタノールの添加を含む。好ましい実施形態においては、方法はpH5.5〜6.5又は約5.5〜6.5で22%〜28%又は約22%〜28%エタノールを用いてIaIpを沈殿させるステップを含む。より好ましい実施形態においては、方法はpH5.8〜6.2又は約5.8〜6.2で24%〜26%又は約24%〜26%エタノールを用いてIaIpを沈殿させるステップを含む。最も好ましい実施形態においては、方法は25%又は約25%エタノール及び6.0又は約6.0のpHを用いてIaIpを沈殿させるステップを含む
沈殿剤、例えばエタノールの濃度は、IaIp沈殿物を最大限にし、及び/又は、1つ以上の不純物の沈殿を最小限にするように調節することができる。ある特定の実施形態においては、沈殿は、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%又は30%、あるいは約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%又は約30%エタノールの添加により実施してよい。好ましい実施形態においては、沈殿は、22%〜28%又は約22%〜28%エタノールの添加により実施される。より好ましい実施形態においては、沈殿は23%〜27%又は約23%〜27%エタノールを用いて実施される。より好ましい実施形態では、沈殿は24%〜26%又は約24%〜26%エタノールを用いて実施される。最も好ましい実施形態においては、沈殿は25%又は約25%エタノールを用いて実施される。
溶液のpHは、IaIp沈殿を最大限にし、及び/又は、1つ以上の不純物の沈殿を最小限にするように調節することができる。ある特定の実施形態においては、溶液のpHは、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、又は7.0、あるいは約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、又は約7.0に調節される。好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.2〜6.8又は約5.2〜6.8に調節される。別の好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.3〜6.7又は約5.3〜6.7に調節される。別の好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.4〜6.6又は約5.4〜6.6に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.5〜6.5又は約5.5〜6.5に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.6〜6.4又は約5.6〜6.4に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.7〜6.3又は約5.7〜6.3に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.8〜6.2又は約5.8〜6.2に調節される。より好ましい実施形態においては、溶液のpHは5.9〜6.1又は約5.9〜6.1に調節される。最も好ましい実施形態においては、溶液のpHは約6.0に調節される。
9.クロマトグラフィー法
ある特定の実施形態においては、濃縮IaIp組成物を調製するための方法は更に、組成物の純度を更に濃縮するための少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のクロマトグラフィーステップを含む。一般に、何れかの適当なクロマトグラフィー法を用いて、画分I沈殿物、画分II+III沈殿物、画分IV−1沈殿物、沈殿物Aの沈殿物、沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークから抽出されたIaIp組成物を更に濃縮してよい。
特定の実施形態においては、クロマトグラフィーステップは、アニオン交換クロマトグラフィー(AEC)、カチオン交換クロマトグラフィー(CEC)、ヘパリン親和性クロマトグラフィー、疎水***換クロマトグラフィー(HIC)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAP)、免疫親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー(即ちゲル濾過)、又は他の適当なクロマトグラフィーステップを含んでよい。クロマトグラフィーステップはバッチ又はカラムモードの何れかで実施してよい。
好ましい実施形態においては、方法は、アニオン交換樹脂にIaIpを結合させるステップ;溶離緩衝駅を用いてアニオン交換樹脂からIaIpを溶離することにより、IaIpを含有する第1の溶離液を形成するステップを含む。より好ましい実施形態においては、方法は、アニオン交換溶離液のIaIpをヘパリン親和性樹脂に結合させるステップ;及び溶離緩衝液を用いてヘパリン親和性樹脂からIaIpを溶離することにより、IaIpを含有する第2の溶離液を形成するステップを更に含む。ある特定の実施形態においては、クロマトグラフィー法はIaIpの溶離の前にクロマトグラフィー樹脂から弱く結合している不純物を除去するための洗浄ステップを更に含んでよい。特定の実施形態においては、IaIpは例えば塩勾配を用いた勾配溶離により、又は漸増イオン強度を有する緩衝液を用いた段階的溶離により、クロマトグラフィー樹脂から溶離させてよい。
一般に、IaIp溶液の伝導度はクロマトグラフィー樹脂上にIaIpを結合させる前に適切なイオン強度に調節される。イオン強度はIaIpと樹脂の間の相互作用を促進するのに十分低いが、溶液中のタンパク質の安定性を維持するのに十分高いものでなければならない。溶液のイオン強度の必要条件は使用される樹脂が何であるか(例えば強アニオン交換樹脂対弱アニオン交換樹脂)及び溶液の初期純度のような要因に応じて変動する。種々の方法を用いてIaIp組成物のイオン強度を低減して良く、例えば限定しないが、低イオン強度を有する溶液を用いた組成物の希釈、出発組成物からのIaIpの沈殿及びより低いイオン強度を有する緩衝液中への再懸濁、限外濾過/透析濾過、脱塩及び/又は緩衝液交換クロマトグラフィー、透析等が挙げられる。
(a)アニオン交換
何れの適当なアニオン交換樹脂も本明細書において提供される方法において使用してよい。使用に適するアニオン交換樹脂の非限定的な例は、ジエチルアミノエチル(DEAE)、第4アミノエチル(QAE)及び第4アンモニウム(Q)樹脂を含む。好ましい実施形態においては、使用するアニオン交換樹脂はDEAE−セファロース(ジエチルアミノエチルセファロース)である。
好ましい実施形態においては、IaIpは低イオン強度ローディング緩衝液の存在下にDEAEセファロース樹脂に結合させる。典型的には、カラムは同じローディング緩衝液又はローディング緩衝液と同じイオン強度を有する適合する緩衝液を用いて平衡化させる。特定の実施形態においては、ローディング及び/又は平衡化緩衝液は12mS/cm未満又は約12mS/cm未満のイオン強度を有する。好ましい実施形態においては、ローディング及び/又は平衡化緩衝液は10mS/cm未満又は約10mS/cm未満のイオン強度を有する。最も好ましい実施形態においては、ローディング及び/又は平衡化緩衝液は9mS/cm又は約9mS/cmのイオン強度を有する。好ましい実施形態においては、ローディング及び/又は平衡化緩衝液は100mM未満又は約100mM未満 NaClの塩濃度又は100mM NaCl溶液のものよりも低値に相当するイオン強度を有する。より好ましい実施形態においては、ローディング及び/又は平衡化緩衝液は75mM未満又は約75mM未満のNaClの塩濃度、又はこれに相当するイオン強度を有する。より好ましい実施形態においては、塩濃度又は相当するイオン強度は30〜70mM又は約30〜70mM NaClである。最も好ましい実施形態においては、塩濃度又は相当するイオン強度は50mM又は約50mM NaClである。
任意で、IaIpを結合させた後、アニオン交換樹脂を、ローディング緩衝液と溶離緩衝液の中間のイオン強度を有する1つ以上の緩衝液で洗浄してもよい。特定の実施形態においては、洗浄緩衝液は3mS/cm〜20mS/cm又は約3mS/cm〜20mS/cmのイオン強度を有してよい。好ましい実施形態においては、洗浄緩衝液は3mS/cm〜20mS/cm又は約5mS/cm〜20mS/cmのイオン強度を有してよい。別の好ましい実施形態においては、洗浄緩衝液は10mS/cm〜20mS/cm又は約10mS/cm〜20mS/cmのイオン強度を有してよい。ある特定の実施形態においては、洗浄緩衝液は30〜200mM又は約30〜200mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。好ましい実施形態においては、洗浄緩衝液は30〜200mM又は約70〜200mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。ある特定の実施形態においては、洗浄緩衝液は30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210又は220mM、あるいは約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210又は220mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。
1つの実施形態において、アニオン交換樹脂は、樹脂からのIaIpの溶離の前に、樹脂からH因子を溶離させるのに十分なイオン強度を有する第1の緩衝液、及び樹脂から補体成分3(C3)のような不純物を溶離させるのに十分なイオン強度を有する第2の緩衝液で洗浄される。別の実施形態においては、アニオン交換樹脂は、樹脂からのIaIpの溶離の前に、樹脂からH因子及び少なくとも第2の不純物、例えばC3を溶離させるのに十分なイオン強度を有する少なくとも第1の緩衝液で洗浄される。
特定の実施形態においては、IaIpは樹脂とIaIpの間の相互作用を妨げるための適当なイオン強度を有する溶離緩衝液を用いてアニオン交換樹脂(例えばDEAEセファロース)から溶離させる。一部の実施形態においては、溶離緩衝液は、樹脂と、IaIpよりも高い親和性で樹脂に結合する夾雑物との間の相互作用を妨げるのに適当なイオン強度を有さない。特定の実施形態においては、溶離緩衝液は少なくとも18mS/cm又は少なくとも約18mS/cm、好ましくは少なくとも20mS/cm又は少なくとも約20mS/cmのイオン強度を有する。1つの実施形態において、溶離緩衝液は少なくとも25mS/cm又は少なくとも約25mS/cmのイオン強度を有する。特定の実施形態においては、溶離緩衝液は少なくとも155mM又は少なくとも約155mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。特定の実施形態においては、溶離緩衝液は少なくとも160mM又は少なくとも約160mMのNaCl、あるいは少なくとも約170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300又はそれ以上のNaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。
(b)ヘパリン親和性
何れかの適当なヘパリン親和性樹脂を本明細書において提供される方法において使用してよく、例えばヘパリンリガンドにコンジュゲートした樹脂、ヘパリンリガンドの誘導体又はミメティック、又はヘパリン様リガンド(例えば硫酸化グリコサミノグリカン)が挙げられる。好ましい実施形態においては、使用するヘパリン親和性樹脂はヘパリンセファロースである。
1つの実施形態において、IaIpはヘパリン親和性クロマトグラフィーにより更に精製される。好ましい実施形態においては、アニオン交換クロマトグラフィーステップの溶離液に由来するIaIpは、ヘパリン親和性クロマトグラフィー、例えば、ヘパリンセファロース樹脂により更に精製される。1つの実施形態において、IaIp溶離液のイオン強度は適切な方法、例えば希釈、緩衝液交換、透析等により低減され、そしてIaIpはヘパリン親和性樹脂に結合する。ある特定の実施形態においては、アニオン交換溶離液のイオン強度は10mS/cm未満又は約10mS/cm未満に低減される。好ましい実施形態においては、イオン強度は8mS/cm未満又は約8mS/cm未満に低減される。別の実施形態においては、イオン強度は6mS/cm未満又は約6mS/cm未満に低減される。ある特定の実施形態においては、イオン強度は4mS/cm未満又は約4mS/cm未満、あるいは5、6、7、8、9、10、11もしくは12mS/cm未満又は約5、6、7、8、9、10、11もしくは12mS/cm未満に低減されてよい。ある特定の実施形態においては、アニオン交換溶離液の塩濃度、又は相当するイオン強度は80mM未満又は約80mM未満 NaClに低減される。好ましい実施形態においては、塩濃度、又は相当するイオン強度は70mM未満又は約70mM未満 NaClに低減される。より好ましい実施形態においては、塩濃度、又は相当するイオン強度50mM未満又は約50mM未満 NaClに低減される。ある特定の実施形態においては、塩濃度、又は相当するイオン強度は、20mM未満又は約20mM未満 NaCl、あるいは25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80mM、又は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75もしくは80mM未満 NaClに低減される。
任意で、IaIp結合の後、ヘパリン親和性樹脂をローディング緩衝液と溶離緩衝液の中間のイオン強度を有する1つ以上の緩衝液で洗浄してよい。特定の実施形態においては、洗浄緩衝液は4mS/cm〜10mS/cm又は約4mS/cm〜10mS/cmのイオン強度を有する。好ましい実施形態においては、洗浄緩衝液6mS/cm〜8mS/cm又は約6mS/cm〜8mS/cmのイオン強度を有してよい。ある特定の実施形態においては、洗浄緩衝液は40〜80mM又は約40〜80mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。好ましい実施形態においては、洗浄緩衝液は50〜70mM又は約50〜70mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。ある特定の実施形態においては、洗浄緩衝液は25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80mM、あるいは約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。
ある特定の実施形態においては、IaIpは樹脂とIaIpの間の相互作用を妨げるための適当なイオン強度を有する溶離緩衝液を用いてヘパリン親和性樹脂(例えばDEAEセファロース)から溶離させる。いくつかの実施形態においては、溶離緩衝液は、樹脂と、IaIpよりも高い親和性で樹脂に結合する夾雑物との間の相互作用を妨げるのに適当なイオン強度を有さない。ある特定の実施形態においては、溶離緩衝液は、少なくとも8mS/cm又は少なくとも約8mS/cm、あるいは少なくとも9mS/cm又は少なくとも約9mS/cm、あるいは少なくとも10mS/cm又は少なくとも約10mS/cmのイオン強度を有する。ある特定の実施形態においては、溶離緩衝液は、少なくとも80mM又は少なくとも約80mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。別の実施形態においては、溶離緩衝液は少なくとも100mM又は少なくとも約100mM NaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。ある特定の実施形態においては、溶離緩衝液は、少なくとも約70mM NaCl、あるいは少なくとも75、80、85、90、95、100、105、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200mMもしくはそれ以上、又は少なくとも約75、80、85、90、95、100、105、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200mMもしくはそれ以上のNaClに相当する塩濃度又はイオン強度を有する。
(c)追加の樹脂
特定の実施形態においては、血漿由来IaIpを精製するための本明細書において提供される方法は、追加のクロマトグラフィーステップ、例えば限定しないが、カチオンクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィーの使用を更に含んでよい。
何れの適当なカチオン交換樹脂も本明細書において提供される方法において使用してよい。使用に適するカチオン交換樹脂の非限定的な例は、カルボキシメチル(CM)、スルホプロピル(SP)、メチルスルホネート(S)樹脂を含む。
何れの適当なヒドロキシアパタイト又は他のカルシウム系樹脂も本明細書において提供される方法において使用してよい。適当な樹脂の非限定的な例はヒドロキシアパタイト樹脂、フルオロアパタイト樹脂、フルオロヒドロキシアパタイト樹脂等を含む。
何れの適当な疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂も本明細書において提供される方法において使用してよい。適当な樹脂の非限定的な例はフェニル樹脂、メチル樹脂、ブチル樹脂、オクチル樹脂等を含む。
ある特定の実施形態においては、例えば、IaI又はPaIのような1つ以上のIaIpタンパク質に高度に特異的な抗体、アプタマー又は他の結合分子にコンジュゲートされた樹脂を用いた免疫親和性クロマトグラフィーによりIaIpを更に濃縮してよい。
(d)緩衝系
ある特定の実施形態においては、個々又は全てのクロマトグラフィーステップは、塩濃度のみが平衡、洗浄、及び溶離用の緩衝液の間で変動する共通の緩衝系に依存する。何れの適当な緩衝剤、例えばTris緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等も使用してよい。1つの実施形態において、ローディング緩衝液のpHは6.0〜9.0又は約6.0〜約9.0の範囲となる。好ましい実施形態においては、緩衝液系のpHは7.0〜9.0又は約7.0〜約9.0である。より好ましい実施形態においては、緩衝液系のpHは7.5〜8.5又は約7.5〜約8.5である。1つの好ましい実施形態においては、緩衝液系のpHは8.0又は約8.0となる。
10.ウィルスの不活性化及び除去
ある特定の実施形態においては、濃縮IaIp組成物の調製のための本明細書において提供される方法は少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは少なくとも3つのウィルス不活性化又は除去のステップを更に含む。本明細書において提供される方法と共に使用してよいウィルスの不活性化又は除去のステップの非限定的な例は、溶媒洗浄剤処理(Horowitz等、Blood Coagul Fibrinolysis 1994 (5 Suppl 3):S21-S28及びKreil等、Transfusion 2003 (43):1023-1028、これらは両方とも全ての目的のために参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる)、ナノ濾過(Hamamoto等、Vox Sang 1989 (56)230-236 and Yuasa等、J Gen Virol. 1991 (72 (pt 8)):2021-2024、これらは両方とも全ての目的のために参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる)、及び高温下の低pHインキュベーション(Kempf等、Transfusion 1991 (31)423-427 及びLouie 等、Biologicals 1994 (22):13-19)を含む。
ウィルスの不活性化又は除去のステップは、製造プロセスの間に生じる何れの中間的IaIp画分に対しても行ってよい。例えば、1つの実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップは、画分I上澄み、画分II+III懸濁液、画分II+III濾過ケーク抽出物、上澄み3、沈殿物4懸濁液、画分II+III上澄み、画分IV−1懸濁液、キストラー及びニッチェマン沈殿物A懸濁液、キストラー及びニッチェマン沈殿物B懸濁液、アニオン交換溶離液、ヘパリン親和性溶離液等に対して実施してよい。
1つの実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップは画分II+III濾過ケーク抽出物に対して実施される。好ましい実施形態においては、画分II+III濾過ケーク抽出物は溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。
第2の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップは画分II+III上澄みに対して実施される。好ましい実施形態においては、画分II+III上澄みは溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。
第3の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップは画分IV−1懸濁液に対して実施される。好ましい実施形態においては、画分IV−1懸濁液は溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。
第4の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップはキストラー及びニッチェマン沈殿物A懸濁液に対して実施される。好ましい実施形態においては、キストラー及びニッチェマン沈殿物A懸濁液は溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。
第5の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップはキストラー及びニッチェマン沈殿物B懸濁液に対して実施される。好ましい実施形態においては、キストラー及びニッチェマン沈殿物B懸濁液は溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。
第6の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップは沈殿物3上澄み(上澄み3)に対して実施される。好ましい実施形態においては、沈殿物3上澄みは溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。
第7の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップは沈殿物4懸濁液に対して実施される。好ましい実施形態においては、沈殿物4懸濁液は溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。
第8の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップはアニオン交換溶離液に対して実施される。好ましい実施形態においては、アニオン交換溶離液は溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。別の好ましい実施形態においては、アニオン交換溶離液はナノ濾過に供される。
第9の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップはヘパリン親和性溶離液に対して実施される。好ましい実施形態においては、ヘパリン親和性溶離液は溶媒及び洗浄剤(S/D)処理に供される。別の好ましい実施形態においては、ヘパリン親和性溶離液はナノ濾過に供される。
第10の実施形態において、ウィルスの不活性化又は除去のステップは濃縮IaIpバルク溶液に対して実施される。好ましい実施形態においては、濃縮IaIpバルク溶液はナノ濾過に供される。別の好ましい実施形態においては、濃縮IaIpバルク溶液は低pH及び/又は高温におけるインキュベーションに供される。
第11の実施形態において、凍結乾燥されたIaIp組成物を熱処理してウィルスを不活性化する。
1つの実施形態において、2つのウィルスの不活性化又は除去のステップを含む血漿由来IaIpの製造プロセスを提供する。別の実施形態においては、プロセスはウィルス粒子の不活性化及び除去のための溶媒及び洗浄剤による処理及びナノ濾過のステップの両方を含む。更に別の実施形態において、製造プロセスは沈殿物3上澄みをS/D処理に、そしてヘパリン溶離液をナノ濾過に供することを含む。1つの実施形態において、製造プロセスは、沈殿物4懸濁液又はその清澄化された濾液をS/D処理に、そしてヘパリン溶離液をナノ濾過に供することを含む。別の実施形態においては、製造プロセスは、延長された期間、低pHにおいて最終バルクIaIp組成物をインキュベートすることを含むウィルス不活性化ステップを更に含む。
(a)溶媒及び洗浄剤(S/D)処理
血漿由来産物中に存在し得る種々のウィルス性夾雑物を不活性化するために、1つ以上のIaIp中間溶液を溶媒洗浄剤(S/D)処理に供してよい。血漿由来因子の洗浄剤処理のための方法は当該分野で良く知られている(考察に関してはPelletier JP等、Best Pract Res Clin Haematol. 2006;19(1):205-42を参照のこと)。一般に何れの標準的なS/D処理をも本明細書において提供される方法と組み合わせて使用してよい。例えば、S/D処理に関する例示となるプロトコルを以下に示す。
1つの実施形態において、TritonX−100、Tween−20及びトリ(n−ブチル)ホスフェート(TNBP)をそれぞれ約1.0%、0.3%、及び0.3%の終濃度でIaIp中間溶液に添加する。次に混合物を少なくとも約1時間約18℃〜約25℃の温度で攪拌する。
1つの実施形態において、プロセスの改善は流し込み添加によるのではなく噴霧によりS/D試薬(例えばTritonX−100、Tween−20及びTNBP)を添加することで実現される。他の実施形態において、洗浄剤試薬を固体としてIaIp中間溶液に添加してよく、その際これはS/D成分の急速な分布を確保するために混合される。ある特定の実施形態においては、流し込み添加の場合のように局所的な過剰濃度が生じないように濾液の脱局所区域に渡って固体を散布することにより固体試薬を添加することが好ましい。別の実施形態においては、プロセスの改善は、SD試薬が既に濃縮又は希釈された形態で存在しているタンク中にIaIp含有溶液をポンプで注入することにより実現される。
(b)ナノ濾過及び限外/透析濾過
本明細書において提供されるIaIp組成物のウィルス負荷を更に低減するために、IaIp画分、例えばヘパリン親和性溶離液を適当なナノ濾過装置を用いてナノ濾過してよい。ある特定の実施形態においては、ナノ濾過装置は15nm〜200nm又は約15nm〜200nmの平均孔径を有する。この使用に適するナノフィルターの例は、DVD、DV50、DV20(Pall)、ViresolveNFP、ViresolveNFR(Millipore)、Planova15N、20N、35N及び75N(Planova)を含むがこれらに限定されない。特定の実施形態においては、ナノフィルターは、15nm〜72nm又は約15nm〜72nm、あるいは19nm〜35nm又は約19nm〜35nm、あるいは15nm、19nm、35nmもしくは72nm、又は約15nm、約19nm、約35nmもしくは約72nmの平均孔径を有してよい。好ましい実施形態においては、ナノフィルターはAsahiPLANOVA35Nフィルター又は同等品のように35nm又は約35nmの平均孔径を有する。
任意で、限外濾過/透析濾過はナノ濾液を更に濃縮することにより実施される。1つの実施形態においては、生産プロセスの終了時付近で特に設計された後洗浄及び製剤と共にオープンチャンネルの膜を使用することにより高濃度のIaIp組成物を得る。
濾過の後、限外濾過により濾液を更に濃縮してよく、及び/又は緩衝液組成を透析濾過により調節してよい。1つの実施形態において、ナノ濾液は0.5%〜10%(w/v)又は約0.5%〜10%(w/v)のタンパク質濃度まで限外濾過により濃縮することができる。ある特定の実施形態においては、限外濾過は、オープンチャンネルのスクリーンを有するカセット中で実施され、そして限外濾過膜は150kDa未満又は約150kDa未満、あるいは140、130、120、100、90、80、70、60、50、40、30kDaもしくはそれ以下、又は約140、約130、約120、約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30kDaもしくはそれ以下の名目分子量カットオフ(NMWCO)を有する。1つの実施形態において、限外濾過膜は50kDaを超えないNMWCOを有する。
限外濾過ステップの終了時に、静脈内、筋肉内、眼内、皮下、又は他の適切な投与のために適する溶液に対する透析濾過により、緩衝液交換を実施してよい。ある特定の実施形態においては、透析濾過溶液は安定化及び/又は緩衝剤、例えば塩類、糖類及び/又は非イオン系洗浄剤(例えばPolysorbate80)を含んでよい。
典型的には、最小交換体積は元の濃縮液の体積の少なくとも約3倍、又は、元の濃縮液の容量の少なくとも4、5、6、7、8、9倍又は少なくとも約4、5、6、7、8、9倍、あるいはそれ以上である。IaIp溶液は、0.5%〜25%(w/v)又は約0.5%〜25%(w/v)、あるいは1%〜25%(w/v)又は約1%〜25%(w/v)、あるいは2%〜20%(w/v)又は約2%〜20%(w/v)、あるいは3%〜15%(w/v)又は約3%〜15%(w/v)、あるいは5%〜10%(w/v)又は約5%〜10%(w/v)、あるいは9%〜12%又は約9%〜12%、あるいは3%〜7%(w/v)又は約3%〜7%(w/v)、あるいは8%〜14%(w/v)又は約8%〜14%(w/v)、あるいは4%〜6%又は約4%〜6%、の最終タンパク質濃度まで、あるいは0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、又は6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、もしくはそれ以上、又は約0.1%、約0.25%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、もしくは約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、もしくはそれ以上の最終濃度まで濃縮してよい。
(c)低pHにおけるインキュベーション
特定の実施形態においては、IaIp含有溶液を組成物のウィルス負荷を低減又は不活性化するために処理してよい。1つの実施形態において、これは組成物のpHを低pH、例えば6.0未満又は約6.0未満に調節すること、及び組成物の放出前少なくとも約1週間インキュベートすることにより達成される。好ましい実施形態においては、バルク溶液のpHをインキュベーションの前に5.5未満又は約5.5未満に調節する。より好ましい実施形態においては、溶液のpHはインキュベーション前に5.0未満又は約5.0未満にまで低下させる。特定の実施形態においては、インキュベーションの前に溶液のpHを、6.0未満又は約6.0未満、あるいは5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0もしくはそれ未満、又は約5.9、約5.8、約5.7、約5.6、約5.5、約5.4、約5.3、約5.2、約5.1、約5.0、約4.9、約4.8、約4.7、約4.6、約4.5、約4.4、約4.3、約4.2、約4.1、約4.0もしくはそれ未満にまで低下させる。
特定の実施形態においては、次に溶液を少なくとも1週間又は少なくとも約1週間、あるいは少なくとも2、3、4週もしくはそれ以上又は少なくとも約2、3、4週もしくはそれ以上、あるいは少なくとも約1、2、3ヶ月もしくはそれ以上、又は少なくとも約1、2、3ヶ月もしくはそれ以上インキュベートする。好ましい実施形態においては、組成物を約20℃より高温、あるいは25℃より高温又は約25℃より高温、あるい」は約30℃より高温又は約30℃より高温でインキュベートする。特定の実施形態においては、組成物は、20℃又は約20℃、あるいは21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、もしくはそれ以上、又は約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、もしくはそれ以上の温度でインキュベートされる。
(d)凍結乾燥及び熱処理
更に他の実施形態において、本発明は凍結乾燥されたIaIp組成物を提供する。S/D処理又はナノ濾過のような別のウィルス不活性化又は除去のステップに以前に供されている場合があるこれらの凍結乾燥組成物のウィルス活性は、凍結乾燥組成物(即ちH因子リオケーク)の熱処理により更に低減され得る。血液因子のウィルス負荷の不活性化のための熱処理は当該分野で良く知られている(例えばPiszkiewicz等、Thromb Res. 1987 Jul 15;47(2):235-41; Piszkiewicz等、Curr Stud Hematol Blood Transfus. 1989;(56):44-54; Epstein and Fricke, Arch Pathol Lab Med. 1990 Mar;114(3):335-40を参照のこと)。
11.製剤
IaIp濃縮プロセスの終了時、例えば最終透析濾過ステップの後に、溶液のタンパク質濃度を、緩衝液、例えば透析濾過緩衝液を用いて、0.1%〜20%(w/v)又は約0.1%〜20%(w/v)、あるいは1%〜25%(w/v)又は約1%〜25%(w/v)、あるいは2%〜20%(w/v)又は約2%〜20%(w/v)、あるいは3%〜15%(w/v)又は約3%〜15%(w/v)、あるいは5%〜10%(w/v)又は約5%〜10%(w/v)、あるいは9%〜12%又は約9%〜12%、あるいは3%〜7%(w/v)又は約3%〜7%(w/v)、あるいは8%〜14%(w/v)又は約8%〜14%(w/v)、あるいは4%〜6%又は約4%〜6%の終濃度に、あるいは0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%もしくはそれ以上、又は約0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%もしくはそれ以上の終濃度に調節する。
ある特定の実施形態においては、製剤化されたバルク溶液を、0.22マイクロメートルより大きくないか又は約0.22マイクロメートルより大きくない、例えば0.1もしくは0.2マイクロメートル又は約0.1あるいは0.2マイクロメートルの絶対孔径を有するメンブレンフィルターを通して濾過することにより更に滅菌してよい。ある特定の実施形態においては、溶液は、試験用に採取された試料と共に、適切な密封のための最終容器内に無菌的に分注してよい。
B.アルコール添加
好都合には、血漿由来の血液産物(例えばIaIp、H因子、IgG、アルブミン)を分画する目的のためには、添加の時点においてアルコールを微細分散させるか又は急速分散させる方法によるアルコールの添加がIgG収量の損失を減少させることが見出された。理論に制約されるものではないが、血漿画分の流し込みによる添加の間、流体侵入部におけるアルコールの一過性の局所的過剰濃度が、血液因子が上澄み中に残存すべきであるステップの間に、タンパク質の変性及び非可逆的損失及び/又は血液因子の沈殿をもたらし得る。更に又、これらの作用は、少なくとも100Lのプール血漿の分画を行う工業的規模の精製の場合のように、大容量のアルコールを添加する必要がある場合に、増幅される可能性がある。
1つの実施形態において、アルコールは、脱局所的領域に渡ってアルコールを微細分散させる方法により1つ以上の沈殿ステップにおいて添加される。例えば血漿画分を含有する器又はタンクの表面上に噴霧することにより、アルコールを分画ステップに添加することができる。従って本明細書において提供される方法の1つの態様において、1つ以上の沈殿ステップをアルコールの噴霧添加により実施する。ある特定の実施形態においては、スプレーヘッド又はノズルを有し、そして手動又は自動的に液体から微細霧状物を発生させる容器(例えばスプレーボトル)のような何れかの加圧装置を用いて噴霧添加を実施してよい。ある特定の実施形態においては、噴霧添加は、系内の液体の急速及び等しい分布が確保されるように系を連続的に攪拌又は別様に混合している間に、実施される。
別の実施形態においては、アルコールは、添加の時点においてアルコールを急速に分散させる方法により1つ以上の沈殿ステップにおいて添加される。例えば、攪拌器具(例えばプロペラ)に直ぐ隣接する血漿画分を含有する器又はタンクの下方からアルコールを添加することができる。特定の実施形態においては、攪拌器具に直接隣接する進入部における流し込み添加は、系内の液体の急速及び等しい分布が確保されるように系を連続的攪拌又は別様に混合しつつ、実施される。
C.pHの調節
血漿画分のタンパク質沈殿プロファイルは、血漿タンパク質を沈殿させる溶液のpHに高度に依存している。この事実はそれぞれ1946年及び1949年のCohn及びOncleyの方法の導入以来、血漿タンパク質を分画している研究者により利用されている。伝統的には血漿画分のpHは目的の成分に関わる最も高い回収率を向上させるためにアルコールの添加の前に調節される。好都合なことに、今回、アルコールの添加の直後、又はアルコール添加と同時に溶液のpHを調節することにより、より画定され再現性のある沈殿が可能となることがわかった。血漿画分へのエタノールの添加は、一般的には溶液のpHを上昇させることにより溶液のpHの変動をもたらすことが解った。従って、アルコールの添加後ではなく前に、血漿画分のpHを予め決まったpHに調節することにより、沈殿反応が非最適pHにおいて起こる。
同様に、血漿画分からのタンパク質の沈殿は、静電気的環境に影響することになり、そしてこのため溶液のpHを改変する。従って、沈殿事象が進行するに従い、溶液のpHは、目的のタンパク質物質種の最大回収を可能にする所定pHから偏位し始める。このことはタンパク質の大画分が沈殿し始める沈殿事象、高いアルコール含有量を使用する事象、及び長いインキュベーション期間を必要とする沈殿事象に特に当てはまる。
従って、本明細書において提供される方法の1つの態様において、血漿画分のpHアルコール添加の直後に調節される。関連の実施形態において、pHは、アルコール添加の前及びその後に、又はアルコール添加の間及びその後に、又はアルコール添加の前、その間及びその後に調節してよい。関連の実施形態において、溶液のpHは、1つ以上のアルコール沈殿事象又はインキュベーションの間に連続的に調節される。ある特定の実施形態においては、溶液のpHは、系内のpH調節剤の急速及び等しい分布が確保されるように系を連続的に攪拌又は別様に混合しつつ、連続的に調節又は維持される。
流し込みによるアルコールの添加の場合と同様に、大容量のpH調節剤の流し込み添加は一過性の局所的なpH変動をもたらす場合があり、これにより望ましくないタンパク質の変性又は沈殿が起こることが今回わかった。従って、本明細書において提供される方法の1つの実施形態において、pH調整剤は、添加の時点においてアルコールを微細分散させるか又は急速分散させる方法により、1つ以上の血漿分画ステップに導入され得る。
1つの実施形態において、pH調整剤は、脱局所的領域に渡ってpH調整剤を微細分散させる方法により1つ以上のステップにおいて添加される。例えば、pH調整剤は、血漿画分の入った器又はタンクの表面上に噴霧することにより、あるステップに対して添加することができる。本明細書において提供される方法の別の実施形態においては、血漿画分又は沈殿ステップのpHはpH調節剤の噴霧添加により調節されてよい。ある特定の実施形態においては、スプレーヘッド又はノズルを有し、そして手動又は自動的に液体から微細霧状物を発生させる容器(例えばスプレーボトル)のような何れかの加圧装置を用いて噴霧添加を実施してよい。ある特定の実施形態においては、噴霧添加は系内の液体の急速及び等しい分布が確保されるように系を連続的に攪拌又は別様に混合しつつ、実施される。
別の実施形態においては、pH調節剤は、添加の時点においてpH調節剤を急速に分散させる方法により1つ以上の沈殿ステップにおいて添加される。例えば、攪拌器具(例えばプロペラ)に直ぐ隣接する血漿画分を含有する器又はタンクの下方からpH調整剤を添加することができる。特定の実施形態においては、攪拌器具に直接隣接する進入部における流し込み添加は、系内の液体の急速及び等しい分布が確保されるように系を連続的に攪拌又は別様に混合しつつ、実施される。
更に別の実施形態において、pH調整剤は、血漿画分の表面上に、脱局所的領域に渡って固体のpH調整剤を散布することにより1つ以上のステップにおいて添加される。ある特定の実施形態においては、この手段による添加は、系内のpH調節剤の急速及び等しい分布が確保されるように系を連続的に攪拌又は別様に混合している間に、実施される。
IV.インターα阻害剤(IaIp)組成物
1つの態様において、本発明は、本明細書に記載した方法に従って調製されたIaIp組成物を提供する。1つの実施形態において、IaIp例えばIgG又はアルブミンのような商業的な血漿由来血液産物の製造の間に、それ以外では廃棄される物質から調製される。1つの実施形態において、IaIpが画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークから抽出されるIaIp組成物が提供される。
本明細書において記載されるIaIpは治療用途のための医薬調製物に製剤化されることができる。精製されたタンパク質を、任意で、医薬用賦形剤を添加してよい従来の生理学的に適合する水性緩衝溶液中に溶解することにより医薬調製物を得てよい。
そのような医薬用の単体及び賦形剤、並びに適当な医薬製剤は当該分野で良く知られている(例えば"Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins", Frokjaer等、Taylor & Francis (2000)又は"Handbook of Pharmaceutical Excipients", 3rd edition, Kibbe等、Pharmaceutical Press (2000)を参照のこと)。特に、本発明のポリペプチド変異体を含む医薬組成物は凍結乾燥された、又は安定な可溶性形態において製剤化されてよい。ポリペプチド変異体は当該分野で知られている種々の操作法により凍結乾燥されてよい。凍結乾燥された製剤は注射用滅菌水又は滅菌生理食塩水のような医薬的に許容しうる1つ以上の希釈剤の添加により使用前に戻される。
組成物の製剤は、何れかの薬学的に適する投与手段により個体に送達される。種々の送達系が知られており、そして何れかの好都合な経路により組成物を投与するために使用できる。1つの実施形態において、本発明の組成物は全身投与される。全身使用のためには、本発明のIaIpを、従来の方法に従って、非経腸(例えば静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、大脳内、肺内又は鼻内)又は経腸(例えば経口、経膣又は経肛門)の送達のために製剤化する。1つの実施形態において、IaIpは皮下蓄積送達のために製剤化される。更に他の実施形態において、IaIpは鼻内投与又は吸入による投与のために製剤化される。製剤は、注入により連続的に、又は瞬時注射により投与できる。いくつかの製剤は緩徐放出系を包含する。投与の好ましい経路は治療、維持、又は防止すべき適応症に応じて変動する。例えば、IaIpを敗血症の治療のために投与する1つの実施形態においては、好ましい投与経路は非経腸となる。IaIpを敗血症の治療のために投与する特定の実施形態においては、投与経路は静脈内となる。当業者であれば、治療、維持又は防止すべき特定の苦痛に対する好ましい投与経路を容易に決定できる。
A.水性組成物
1つの態様において、本発明は血漿分画による他の商業的に重要な血液産物の製造中に、それ以外では廃棄される物質から調製された血漿由来IaIpの水性組成物を提供する。本明細書において提供される方法により調製された水性IaIP組成物は高いIaIp含有量及び純度を有する。例えば、本明細書において提供されるIaIp組成物は、少なくとも約3%(w/v)のタンパク質濃度及び約90%純度超のIaIp含有量を有し得る。
1つの実施形態において、画分II+III濾過ケークから調製されたIaIpの水性組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)任意で、少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、水性IaIp組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの水性組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物を形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;(c)懸濁液を形成するために第2の沈殿物を再懸濁するステップ;(d)超微粒子状二酸化ケイ素(SiO2)をステップ(c)の懸濁液と混合するステップ;(e)懸濁液をフィルタープレスで濾過することにより、濾過ケーク及び上澄みを形成するステップ;並びに、(f)IaIp抽出緩衝液を用いて濾過ケークからIaIpを抽出することにより、IaIpの水性組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIp組成物が提供される。
ある特定の実施形態においては、濾過ケークを含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより濾過ケークからIaIpを抽出する。一般に、抽出緩衝液は、約5分〜約2時間、濾過ケークを通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、濾過ケークを通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、濾過ケークを通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、濾過ケークを通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上濾過ケークを通して再循環される。
別の実施形態においては、画分I沈殿物から調製されたIaIpの水性組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)画分I沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、水性IaIp組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの水性組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、画分I沈殿物から調製されたIaIpの水性組成物が提供される。特に好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からIaIpを沈殿させるステップ;並びに、(b)IaIp抽出緩衝液を用いて沈殿物からIaIpを抽出することにより、IaIpの水性組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIp組成物が提供される。
ある特定の実施形態においては、画分I沈殿物を含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより画分I沈殿物からIaIpを抽出する。一般に、抽出緩衝液は約5分〜約2時間、画分I沈殿物を通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、画分I沈殿物を通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、画分I沈殿物を通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、画分I沈殿物を通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上画分I沈殿物を通して再循環される。
別の実施形態においては、画分IV−1沈殿物から調製されたIaIpの水性組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、水性IaIp組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの水性組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、画分IV−1沈殿物から調製したIaIpの水性組成物が提供される。特に好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物及び第2の上澄みを形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の沈殿物からタンパク質を沈殿させるステップ;(c)第3の沈殿ステップにおいて、第3の沈殿物及び第3の上澄みを形成するために、約5.0〜約5.5のpHで約18%〜約23%アルコールを用いて第2の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;並びに、(d)IaIp抽出緩衝液を用いて第3の沈殿物からIaIpを抽出することにより、IaIpの水性組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIp組成物が提供される。
ある特定の実施形態においては、画分IV−1沈殿物を含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出する。一般に、抽出緩衝液は約5分〜約2時間、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上画分IV−1沈殿物を通して再循環される。
1つの実施形態においては、画分II+III沈殿物から調製されたIaIpの水性組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、水性IaIp組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの水性組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物を形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;並びに(c)IaIp抽出緩衝液を用いて第2の沈殿物からIaIpを抽出することにより、IaIpの水性組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIp組成物が提供される。
特定の実施形態においては、画分II+III沈殿物を含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより画分II+III沈殿物からIaIpを抽出する。一般に、抽出緩衝液は約5分〜約2時間、画分II+III沈殿物を通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、画分II+III沈殿物を通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、画分II+III沈殿物を通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、画分II+III沈殿物を通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上画分II+III沈殿物を通して再循環される。
1つの実施形態において、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又はBの沈殿物から調製されたIaIpの水性組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)沈殿物A又はBの沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)任意で、少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、水性IaIp組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIPの水性組成物が提供される。
特定の実施形態においては、沈殿1に対して抽出緩衝液約25〜約30の比で画分I、画分IV−1、又は画分II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークを再懸濁するために使用できるIaIp抽出緩衝液の添加により、画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出する。他の実施形態において、再懸濁比は1:4〜約1:40又は約1:4〜約1:40、又は約1:8〜約1:30、又は約1:10〜約1:20、又は約1:12〜約1:18、又は約1:13〜約1:17、又は約1:14〜約1:16である。特定の実施形態においては、比は約1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:38、1:39、1:40、又はそれ以上であってよい。好ましい実施形態においては、画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークを含有するフィルター又はフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることによりIaIpを抽出する。
ある特定の実施形態においては、添加の時点において溶液を微細分散させるか又は急速分散させる方法により、それ以外では流し込み添加により血漿画分に導入されるであろう1つ以上の溶液の添加を含む、本明細書に記載した精製方法を用いてIaIp組成物を調製するIaIpの水性組成物が提供される。例えば、ある特定の実施形態においては、方法は噴霧による血漿画分中へのアルコール(例えばエタノール)の導入を含む。他の実施形態において、噴霧により血漿画分に添加してよい溶液は、pH調整溶液、溶媒溶液、洗浄剤溶液、希釈緩衝液、伝導度調整溶液等を含むがこれらに限定されない。1つの実施形態において、噴霧による血漿画分へのアルコールの添加により、1つ以上のアルコール沈殿ステップを実施する。第2の好ましい実施形態においては、噴霧による血漿画分へのpH調整溶液の添加により、1つ以上のpH調節ステップを実施する。
ある特定の実施形態においては、本明細書に記載する精製方法により調製される水性IaIp組成物が提供され、方法は、沈殿剤(例えばアルコール又はポリエチレングリコール)の添加の後及び/又はそれと同時に沈殿される血漿画分のpHを調節するステップを含む。いくつかの実施形態においては、能動的に沈殿される血漿画分のpHはpHの連続的なモニタリング及び調節により全ての沈殿インキュベーション又は保持ステップを通して維持される。1つの実施形態においては、pH調整溶液の噴霧添加により溶液のpHの調節を実施する。
1つの実施形態において、本発明は約0.1g/L〜約250g/Lのタンパク質濃度を含む水性IaIp組成物を提供する。ある特定の実施形態においては、IaIp組成物のタンパク質濃度は約0.1g/L〜約50g/L、又は約0.5g/L〜約25g/L、又は約1g/L〜約10g/L、又は約50g/L〜約200g/L、又は約70g/L〜約150g/L、又は約90g/L〜約120g/L、又は約30g/L〜約70g/L、又は約40g/L〜約60g/L又はこれらの範囲内の何れかの適当な濃度、例えば約0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、0.6g/L、0.7g/L、0.8g/L、0.9g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、6g/L、7g/L、8g/L、9g/L、10g/L、又は約15g/L、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L、80g/L、85g/L、90g/L、95g/L、100g/L、105g/L、110g/L、115g/L、120g/L、125g/L、130g/L、135g/L、140g/L、145g/L、150g/L、155g/L、160g/L、165g/L、170g/L、175g/L、180g/L、185g/L、190g/L、195g/L、200g/L、205g/L、210g/L、215g/L、220g/L、225g/L、230g/L、235g/L、240g/L、245g/L、250g/L、又はそれ以上である。好ましい実施形態においては、高いタンパク質濃度を有するIaIp組成物は高いレベルの純度も有する。1つの実施形態において、組成物中のタンパク質の少なくとも90%がIaIpとなる。好ましい実施形態においては、組成物中のタンパク質の少なくとも95%がIaIpとなる。
本明細書において提供される方法は、極めて高いレベルの純度を有するIaIp組成物の調製を可能とする。1つの実施形態において、本明細書において提供される組成物における総タンパク質の少なくとも約90%がIaIpとなる。好ましい実施形態においては、本明細書において提供される組成物における総タンパク質の少なくとも約95%がIaIpとなる。他の実施形態において、組成物の総タンパク質の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はそれ以上がIaIpとなる。1つの好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも96%がIaIpとなる。好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも97%がIaIpとなる。別の好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも98%がIaIpとなる。別の好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも99%がIaIpとなる。
B.医薬組成物
1つの態様において、本発明は、血漿分画による他の商業的に重要な血液産物の製造中に、それ以外では廃棄される物質から調製された血漿由来IaIpの医薬組成物を提供する。本明細書において提供される方法により調製される医薬IaIp組成物は高いIaIp含有量及び純度を有する。例えば、本明細書において提供されるIaIp組成物は少なくとも約1%(w/v)のタンパク質濃度、及び、約90%純度より高いIaIp含有量を有し得る。このような高純度のIaIp医薬組成物及び製剤は治療投与に適している。ある特定の実施形態においては、本明細書において提供される医薬組成物は治療投与のために製剤化されたIaIpの水性製剤よりなるものとなる。他の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、注射用水(WFI)又は生物学的に適合する液体、例えば食塩水又は緩衝溶液を用いて戻した後の治療投与のために製剤化されたIaIpの凍結乾燥された製剤よりなるものとなる。
1つの実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、本明細書において提供される方法を用いて単離された水性IaIp組成物を製剤化することにより調製される。一般に、製剤化された組成物への製造経路は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは少なくとも3つのウィルス不活性化又は除去のステップを含む。本明細書において提供される方法と共に使用してよいウィルスの不活性化又は除去のステップの非限定的な例は、溶媒洗浄剤処理(Horowitz等、Blood Coagul Fibrinolysis 1994 (5 Suppl 3):S21-S28及びKreil等、Transfusion 2003 (43):1023-1028、これらは両方とも全ての目的のために参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる)、ナノ濾過(Hamamoto等、Vox Sang 1989 (56)230-236及びYuasa等、J Gen Virol. 1991 (72 (pt 8)):2021-2024、これらは両方とも全ての目的のために参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる)、及び高温下の低pHインキュベーション(Kempf等、Transfusion 1991 (31)423-427及び Louie等、Biologicals 1994 (22):13-19)を含む。
1つの実施形態において、画分II+III濾過ケークから調製されるIaIpの医薬組成物が提供される。1つの実施形態において、 (i)画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施するステップ;及び(vii)任意で、IaIp組成物を凍結乾燥することにより、IaIp医薬組成物を調製するステップを含む方法により調製されるIaIpの医薬組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物を形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;(c)懸濁液を形成するために第2の沈殿物を再懸濁するステップ;(d)超微粒子状二酸化ケイ素(SiO2)をステップ(c)の懸濁液と混合するステップ;(e)フィルタープレスで懸濁液を濾過することにより濾過ケーク及び上澄みを形成するステップ(f)IaIp抽出緩衝液で濾過ケークからIaIpを抽出するステップ;(g)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施するステップ;並びに(h)任意で、組成物を凍結乾燥することによりIaIpの医薬組成物を調製するステップ含む方法により調製された医薬IaIp組成物が提供される。
特定の実施形態においては、濾過ケークを含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより濾過ケークからIaIpを抽出する。一般に、抽出緩衝液は約5分〜約2時間、濾過ケークを通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、濾過ケークを通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、濾過ケークを通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、濾過ケークを通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上濾過ケークを通して再循環される。
別の実施形態においては、画分I沈殿物から調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)画分I沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施して、IaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施するステップ;及び(vii)任意で、IaIp組成物を凍結乾燥することにより、IaIp医薬組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、画分I沈殿物から調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。特に好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からIaIpを沈殿させるステップ;並びに(b)IaIp抽出緩衝液を用いて沈殿物からIaIpを抽出するステップ;並びに(c)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、IaIpの医薬組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIp組成物が提供される。
特定の実施形態においては、画分I沈殿物を含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより画分I沈殿物からIaIpを抽出する。一般に、抽出緩衝液は約5分〜約2時間、画分I沈殿物を通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、画分I沈殿物を通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、画分I沈殿物を通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、画分I沈殿物を通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上画分I沈殿物を通して再循環される。
別の実施形態においては、画分IV−1沈殿物から調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、IaIp医薬組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、画分IV−1沈殿物から調製したIaIpの医薬組成物が提供される。特に好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、
第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物及び第2の上澄みを形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の沈殿物からタンパク質を沈殿させるステップ;(c)第3の沈殿ステップにおいて、第3の沈殿物及び第3の上澄みを形成するために、約5.0〜約5.5のpHで約18%〜約23%アルコールを用いて第2の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;及び、(d)IaIp抽出緩衝液を用いて第3の沈殿物からIaIpを抽出することにより、IaIpの医薬組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIp組成物が提供される。
特定の実施形態においては、画分IV−1沈殿物を含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより画分IV−1沈殿物からIaIpを抽出する。一般に、抽出緩衝液は約5分〜約2時間、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、画分IV−1沈殿物を通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上画分IV−1沈殿物を通して再循環される。
1つの実施形態においては、画分II+III沈殿物から調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)画分II+III沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、医薬IaIp組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。
好ましい実施形態においては、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物を形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;並びに(c)IaIp抽出緩衝液を用いて第2の沈殿物からIaIpを抽出することにより、IaIpの水性組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIp組成物が提供される。
特定の実施形態においては、画分II+III沈殿物を含有するフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることにより画分II+III沈殿物からIaIpを抽出する。一般的に、抽出緩衝液は約5分〜約2時間、画分II+III沈殿物を通して再循環される。好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約10分間〜約60分間、画分II+III沈殿物を通して再循環される。より好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約20分間〜約40分間、画分II+III沈殿物を通して再循環される。別の好ましい実施形態においては、抽出緩衝液は約30分間約、画分II+III沈殿物を通して再循環される。他の実施形態において、抽出緩衝液は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120分間、又はそれ以上画分II+III沈殿物を通して再循環される。
1つの実施形態において、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又はBの沈殿物から調製されたIaIpの医薬組成物が提供される。1つの実施形態において、(i)沈殿物A又はBの沈殿物からIaIpを抽出するステップ、(ii)任意で、第1の沈殿ステップを実施してIaIp組成物から少なくとも1つの不純物を沈殿させるステップ、(iii)任意で、第2の沈殿ステップを実施して組成物からIaIpを沈殿させるステップ、(iv)任意で、少なくとも1つのイオン交換クロマトグラフィーステップを実施するステップ、(v)任意で、少なくとも1つヘパリン親和性クロマトグラフィーステップを実施するステップ;及び(vi)任意で、少なくとも1つのウィルス不活性化又は除去のステップを実施することにより、医薬IaIp組成物を調製するステップを含む方法により調製されたIaIpの水性組成物が提供される。
ある特定の実施形態においては、沈殿物1に対して抽出緩衝液約25〜約30の典型的な比で画分I、画分IV−1、又は画分II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークを再懸濁するために使用できるH因子抽出緩衝液の添加により、画分I、画分IV−1、画分II+III、又は画分I+II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出する。他の実施形態において、再懸濁比は1:4〜約1:40又は約1:4〜約1:40、あるいは約1:8〜約1:30、あるいは約1:10〜約1:20、あるいは約1:12〜約1:18、あるいは約1:13〜約1:17、あるいは約1:14〜約1:16である。ある特定の実施形態においては、比は約1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:38、1:39、1:40、又はそれ以上であってよい。好ましい実施形態においては、画分I、画分IV−1、又は画分II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークを含有するフィルター又はフィルタープレスを通して抽出緩衝液を再循環させることによりIaIpを抽出する。好ましい実施形態においては、IaIpは、画分I、画分IV−1、又は画分II+III沈殿物、キストラー及びニッチェマン沈殿物A又は沈殿物Bの沈殿物、又は画分II+III濾過ケークを含有するフィルター又はフィルタープレスを通した抽出緩衝液の再循環により抽出される。
ある特定の実施形態においては、添加の時点において溶液を微細分散させるか又は急速分散させる方法により、それ以外では流し込み添加により血漿画分に導入される1つ以上の溶液の添加を含む、本明細書に記載した精製方法を用いてIaIp組成物を調製するIaIpの医薬組成物が提供される。例えば、ある特定の実施形態においては、方法は噴霧による血漿画分中へのアルコール(例えばエタノール)の導入を含む。他の実施形態において、噴霧により血漿画分に添加してよい溶液は、pH調整溶液、溶媒溶液、洗浄剤溶液、希釈緩衝液、伝導度調整溶液等を含むがこれらに限定されない。好ましい実施形態において、噴霧による血漿画分へのアルコールの添加により、1つ以上のアルコール沈殿ステップを実施する。第2の好ましい実施形態においては、噴霧による血漿画分へのpH調節溶液の添加により、1つ以上のpH調節ステップを実施する。
ある特定の実施形態においては、本明細書に記載する精製方法により調製されるIaIpの医薬組成物が提供され、方法は、沈殿剤(例えばアルコール又はポリエチレングリコール)の添加の後及び/又はそれと同時に沈殿される血漿画分のpHを調節するステップを含む。いくつかの実施形態においては、能動的に沈殿される血漿画分のpHはpHの連続的なモニタリング及び調節により全ての沈殿インキュベーション又は保持ステップを通して維持される。1つの実施形態においては、pH調整溶液の噴霧添加により溶液のpHの調節を実施する。
1つの実施形態において、本発明は約10g/L〜約250g/Lのタンパク質濃度を含む医薬IaIp組成物を提供する。ある特定の実施形態においては、IaIp組成物のタンパク質濃度は、約50g/L〜約200g/L、又は約70g/L〜約150g/L、又は約90g/L〜約120g/L、又は約30g/L〜約70g/L、又は約40g/L〜約60g/L、又はこれらの範囲内の何れかの適当な濃度、例えば約10g/L、15g/L、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L、80g/L、85g/L、90g/L、95g/L、100g/L、105g/L、110g/L、115g/L、120g/L、125g/L、130g/L、135g/L、140g/L、145g/L、150g/L、155g/L、160g/L、165g/L、170g/L、175g/L、180g/L、185g/L、190g/L、195g/L、200g/L、205g/L、210g/L、215g/L、220g/L、225g/L、230g/L、235g/L、240g/L、245g/L、250g/L、又はそれ以上である。好ましい実施形態においては、高いタンパク質濃度を有するIaIp組成物は高いレベルの純度も有する。1つの実施形態において、組成物中のタンパク質の少なくとも90%がIaIpとなる。好ましい実施形態においては、組成物中のタンパク質の少なくとも95%がIaIpとなる。
本明細書において提供される方法は極めて高いレベルの純度を有するIaIp組成物の調製を可能とする。1つの実施形態において、本明細書において提供される組成物における総タンパク質の少なくとも約90%がIaIpとなる。好ましい実施形態においては、本明細書において提供される組成物における総タンパク質の少なくとも約95%がIaIpとなる。他の実施形態において、組成物の総タンパク質の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はそれ以上がIaIpとなる。1つの好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも96%がIaIpとなる。好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも97%がIaIpとなる。別の好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも98%がIaIpとなる。別の好ましい実施形態においては、組成物の総タンパク質の少なくとも99%がIaIpとなる。
本明細書において提供される医薬組成物は典型的には静脈内、皮下及び/又は筋肉内投与に適する1つ以上の緩衝剤又はpH安定化剤を含む。本明細書において提供されるIaIp組成物を製剤化するために適する緩衝剤の非限定的な例は、グリシン、ヒスチジン、又は他のアミノ酸、塩類、例えば、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、グルタミン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、炭酸塩、又は適切なpHに調節されたこれらの何れかの組み合わせを含む。一般的に緩衝剤は長期間製剤中で安定なpHを維持するのに十分なものとなる。
いくつかの実施形態においては、製剤中の緩衝剤の濃度は約5mM〜約500mMとなる。製剤中の緩衝剤の濃度は約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500mM、又はそれ以上となる。
ある特定の実施形態においては、製剤のpHは約pH4.0〜pH8.0となる。
いくつかの実施形態においては、本明細書において提供される医薬組成物は任意で、組成物の浸透圧を調節するための剤を更に含んでよい。浸透圧調節剤の非限定的な例は、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、スクロース、グルコース、デキストロース、レブロース、フラクトース、ラクトース、ポリエチレングリコール、ホスフェート、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グルコノグルコヘプトン酸カルシウム、ジメチルスルホン等を含む。
いくつかの実施形態においては、本明細書において提供される製剤は、生理浸透圧と同程度の浸透圧、すなわち約285〜295mOsmol/kgを有する(Lacy等、Drug Information Handbook−Lexi-Comp 1999:1254)。ある特定の実施形態においては、製剤の浸透圧は、約200mOsmol/kg〜約350mOsmol/kg、好ましくは約240〜約300mOsmol/kgとなる。特定の実施形態においては、製剤の浸透圧は、約200mOsmol/kg、又は210mOsmol/kg、220mOsmol/kg、230mOsmol/kg、240mOsmol/kg、245mOsmol/kg、250mOsmol/kg、255mOsmol/kg、260mOsmol/kg、265mOsmol/kg、270mOsmol/kg、275mOsmol/kg、280mOsmol/kg、285mOsmol/kg、290mOsmol/kg、295mOsmol/kg、300mOsmol/kg、310mOsmol/kg、320mOsmol/kg、330mOsmol/kg、340mOsmol/kg、340mOsmol/kg、又は350mOsmol/kgとなる。更に他の実施形態において、製剤の浸透圧はより高値、例えば約200mOsmol/kg〜約1000mOsmol/kg、又は約400mOsmol/kg、450mOsmol/kg、500mOsmol/kg、550mOsmol/kg、600mOsmol/kg、650mOsmol/kg、700mOsmol/kg、750mOsmol/kg、800mOsmol/kg、850mOsmol/kg、900mOsmol/kg、950mOsmol/kg、1000mOsmol/kg、又はそれ以上となる。
本明細書において提供されるIaIp製剤は一般的に長期間に渡り液体形態において安定である。ある特定の実施形態においては、製剤は、室温で少なくとも約3ヶ月、又は室温で少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48ヶ月、又はそれ以上安定である。製剤は又、一般的に、冷蔵条件下(典型的には約2℃〜約8℃)で少なくとも約18ヶ月、又は冷蔵条件下で少なくとも約21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60ヶ月、又はそれ以上安定である。
他の実施形態において、本明細書において提供されるIaIp製剤は一般に長期間に渡り凍結乾燥された形態で安定である。ある特定の実施形態においては、製剤は、室温で少なくとも約3ヶ月、又は室温で少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、又は48ヶ月安定である。製剤は又、一般に、冷蔵条件下(典型的には約2℃〜約8℃)で少なくとも約18ヶ月、又は冷蔵条件下で少なくとも約21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、又は60ヶ月安定である。
1つの態様において、本発明は本発明に従って精製されたIaIpを含有する組成物に関し、全身又は局所眼内投与のための医薬的に許容しうる担体を、それを必要とする哺乳類に投与する。組成物は、敗血症の治療において有用であり得る追加の治療用化合物、例えば抗生物質を更に含んでよい。治療用組成物は所望の投与の特定の経路に関して当該分野で知られている方法に従って製剤化される。
本発明の方法によれば、本明細書に記載した方法に従って精製されたIaIp、及び全身又は局所投与用の医薬的に許容しうる担体を含む組成物を、それを必要とする哺乳類に投与する。
V.治療の方法
更に別の態様において、本発明の目的は、本明細書において提供されるIaIp組成物の治療有効量を投与することにより、低下したIaIp機能又はIaIp機能不全に関連する障害及び疾患を治療するための方法を提供することである。1つの実施形態において、低下したIaIp機能又はIaIp機能不全に関連する疾患又は障害は敗血症である。
1つの実施形態において、本発明は、それを必要とする対象において低下したIaIp機能又はIaIp機能不全に関連する疾患又は障害を治療するための方法における使用のための本明細書に開示した方法により調製されたIaIp組成物の治療有効量を提供する。1つの実施形態において、低下したIaIp機能又はIaIp機能不全に関連する疾患又は障害は敗血症である。
別の態様において、本発明の目的は、本明細書において提供されるIaIpの治療有効量を投与することによる増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患及び障害を治療するための方法を提供することである。1つの実施形態において、増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患及び障害は敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、汎発性血管内凝固症、腺維増殖、炭疽中毒、癌転移、術中組織傷害、腎臓疾患、血管疾患、凝固、糖尿病、及び全身性炎症から選択される。
1つの実施形態において、本発明は、それを必要とする対象において増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患又は障害を治療するための方法における使用のための本明細書に開示した方法により調製されたIaIp組成物の治療有効量を提供する。1つの実施形態において、増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患又は障害は敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、汎発性血管内凝固症、腺維増殖、炭疽中毒、癌転移、術中組織傷害、腎臓疾患、血管疾患、凝固、糖尿病、及び全身性炎症から選択される。
A.投与
本発明によれば、治療の行程を完了するために必要な時間は医師により決定されることができ、そして1日もの短期から1ヶ月超までの範囲となり得る。ある特定の実施形態においては、治療の行程は1〜6ヶ月であることができる。
IaIp調製物の有効量を疾患又は障害を治療するための何れかの適当な手段により対象に投与する。例えば、ある特定の実施形態においては、IaIpを静脈内、皮下及び/又は筋肉内の手段で投与してよい。好ましい実施形態においては、患者へのIaIp組成物の静脈内(IV)投与を含む、それを必要とする患者において敗血症を治療するための方法が提供される。
特定の実施形態においては、本明細書において提供されるIaIp組成物は全身投与又は局所投与できる。全身投与は経口、真皮下、腹腔内、皮下、経鼻、舌下、又は肛門経路の投与を含む。局所投与は、表面投与、皮下、筋肉内、及び腹腔内の経路の投与を含む。
ある特定の実施形態において、「有効量」という用語は対象における疾患又は状態の改善又は緩和をもたらすIaIp調製物の量を指す。対象に投与すべき有効量は、年齢、体重、治療すべき疾患又は状態、疾患の重症度及び治療への応答における個体差を考慮しながら医師により決定される。ある特定の実施形態においては、投与当たり、約5mg/キログラム〜約2000mg/キログラムの用量で対象にIaIp調製物を投与することができる。特定の実施形態においては、用量は、少なくとも約5mg/kg、又は少なくとも約10mg/kg、又は少なくとも約20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、175mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、1000mg/kg、1100mg/kg、1200mg/kg、1300mg/kg、1400mg/kg、1500mg/kg、1600mg/kg、1700mg/kg、1800mg/kg、1900mg/kg、又は少なくとも約2000mg/kgであってよい。IaIp治療の用量及び頻度は、種々の要因のうち、とりわけ、治療すべき疾患又は状態及び患者における疾患又は状態の重症度に依存する。
VI.特定の実施形態
1つの態様において、本発明は、血漿から濃縮IaIp組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)IaIp含有沈殿物を形成するために、脱クリオ血漿画分を供給するステップ;(b)少なくとも第1のエタノール沈殿反応において脱クリオ血漿画分からIaIpを沈殿させるステップ;及び、(c)IaIp含有沈殿物からIaIpを抽出することにより、濃縮IaIp組成物を形成するステップを含み、IaIp沈殿物は、画分II+III濾過ケーク、画分I沈殿物、画分I+II+III沈殿物、画分II+III沈殿物、画分IV−1、キストラー−ニッチェマン沈殿物A、及びキストラー−ニッチェマン沈殿物Bよりなる群から選択される。
1つの態様において、本発明は、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(i)血漿試料から画分II+III沈殿物を形成するステップ;(ii)画分II+III懸濁液を形成するために、画分II+III沈殿物を再懸濁するステップ;(iii)画分II+III懸濁液を固相に接触させて、画分II+III懸濁液からIaIpを除去するステップ;及び、(iv)固相からIaIpを抽出することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、固相は超微粒子状二酸化ケイ素(SiO2)を含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物を形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;(c)懸濁液を形成するために第2の沈殿物を再懸濁するステップ;(d)超微粒子状二酸化ケイ素(SiO2)をステップ(c)の懸濁液と混合するステップ;(e)懸濁液をフィルタープレスで濾過することにより、濾過ケーク及び上澄みを形成するステップ;及び、(f)IaIp抽出緩衝液で濾過ケークからIaIpを抽出することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
1つの態様において、本発明は、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)沈殿物を得るために血漿試料からIaIpを沈殿させるステップ;(b)IaIp抽出緩衝液で沈殿物からIaIpを抽出することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含み、沈殿物は、画分I、画分I+II+III、画分II+III、画分IV−1、沈殿物A、又は沈殿物Bの沈殿物である。
上で提供される方法の1つの実施形態において、画分I沈殿物を形成するステップは、第1の沈殿ステップにおいて、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からIaIpを沈殿させることにより画分I沈殿物を得ることを含む。
IaIpを画分IV−1沈殿物から抽出する、上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約7.0〜約7.5のpHで約6%〜約10%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物及び第2の上澄みを形成するために、約6.7〜約7.3のpHで約20%〜約25%アルコールを用いて第1の沈殿物からタンパク質を沈殿させるステップ;(c)第3の沈殿ステップにおいて、第3の沈殿物及び第3の上澄みを形成するために、約5.0〜約5.5のpHで約18%〜約23%アルコールを用いて第2の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ、;及び、(d)IaIp抽出緩衝液で第3の沈殿物からIaIpを抽出することにより濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
IaIpを画分IV−1沈殿物から抽出する上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(a)第1の沈殿ステップにおいて、第1の沈殿物及び第1の上澄みを得るために、約6.7〜約7.2のpHで約18%〜約23%アルコールを用いて脱クリオ血漿画分からタンパク質を沈殿させるステップ;(b)第2の沈殿ステップにおいて、第2の沈殿物及び第2の上澄みを形成するために、約5.0〜約5.5のpHで約18%〜約25%アルコールを用いて第1の上澄みからIaIpを沈殿させるステップ;及び、(c)IaIp抽出緩衝液で第2の沈殿物からIaIpを抽出することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIpは複数の沈殿画分から抽出される。
1つの態様において、本発明は、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)血漿の単一のアリコートを分画してIaIp以外の少なくとも2つの血液産物の濃縮組成物を得るステップ;(b)1つ以上の抽出緩衝液で血漿分画の間に生じた少なくとも2つの異なる廃棄画分からIaIpを抽出すステップ;及び、(c)抽出されたIaIp画分をプールすることにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、血漿を分画することによりIgG免疫グロブリン及びアルブミンの濃縮組成物を得る。
上で提供される方法の1つの実施形態において、血漿を分画することによりIaIp以外の少なくとも3種の血液産物を得る。
上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(g)追加の沈殿ステップにおいて濃縮IaIp組成物から不純物を沈殿させることにより、IaIpを含有する上澄みを形成するステップを更に含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、追加の沈殿ステップが、約6.0〜約8.0のpHにおける約10%〜約19%アルコールを用いた沈殿を含む。
1つの態様において、本発明は、血漿から濃縮IaIp組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)画分II+III濾過ケーク、画分I沈殿物、画分I+II+III沈殿物、画分II+III沈殿物、画分IV−1沈殿物、沈殿物Aの沈殿物、又は沈殿物Bの沈殿物よりなる群から選択される血漿画分からIaIpを抽出するステップ;及び(b)追加の沈殿ステップにおいて、濃縮IaIp組成物から不純物を沈殿させることにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(h)追加の沈殿ステップにおいて、IaIpを沈殿させるステップを更に含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、約6.0〜約8.0のpHにおいて約20%〜約25%アルコールを用いてIaIpを沈殿させる。
上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(g)濃縮IaIp組成物由来のIaIpをアニオン交換樹脂に結合させるステップ;及び、(h)溶離緩衝液を用いてアニオン交換樹脂からIaIpを溶離させることにより、IaIpを含有する第1の溶離液を形成するステップを更に含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(i)第1の溶離液由来のIaIpをヘパリン親和性樹脂に結合させるステップ;及び、(j)溶離緩衝液を用いてヘパリン親和性樹脂からIaIpを溶離することにより、IaIpを含有する第2の溶離液を形成するステップを更に含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、第1又は第2の溶離液中の何れかに存在するIaIpを更に濃縮する。
上で提供される方法の1つの実施形態において、沈殿ステップの少なくとも1つはアルコールの噴霧添加を含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、沈殿ステップの全てがアルコールの噴霧添加を含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、溶液のpHは、pH調整剤の添加により、第1の沈殿ステップ、第2の沈殿ステップ、又は第3の沈殿ステップの少なくとも1つにおいて、アルコールの添加の後に調整される。
上で提供される方法の1つの実施形態において、溶液のpHは、pH調整剤の添加により、全ての沈殿ステップにおいて、アルコールの添加の後に調整される。
上で提供される方法の1つの実施形態において、pH調整剤の添加はpH調整溶液の噴霧添加を含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、沈殿ステップのpHは、アルコール添加の前及びその後に、又はアルコール添加の間及びその後に、又はアルコール添加の前、その間及びその後に調節される。
上で提供される方法の1つの実施形態において、沈殿ステップのpHはpHの連続的調節により全沈殿ステップに渡って維持される。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIpを抽出するステップは、画分II+III濾過ケーク、画分I、画分I+II+III、画分II+III、画分IV−1、沈殿物A、又は沈殿物Bの沈殿物よりなる群から選択される血漿画分を含有するフィルタープレスを通してIaIp抽出緩衝液を再循環させることを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIp抽出緩衝液は少なくとも約10分間フィルタープレスを通して再循環される。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIp抽出緩衝液は少なくとも約30分間フィルタープレスを通して再循環される。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIp抽出緩衝液は少なくとも1つのIaIpタンパク質の等電点とは少なくとも約0.3単位異なるpHを含み有する。
1つの態様において、本発明は、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)抽出物がIaIp及びH因子を含有する、脱クリオ血漿の分画の間に形成した沈殿物からIaIpを抽出するステップ;(b)アニオン交換樹脂にIaIp及びH因子を結合させるステップ;(c)第1の溶離緩衝液で樹脂からH因子を溶離させるステップ;並びに、(d)第2の溶離緩衝液で樹脂からIaIpを溶離することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
1つの態様において、本発明は、血漿から濃縮インターα阻害剤(IaIp)組成物を調製するための方法を提供し、方法は、(a)抽出物がIaIp及びH因子を含有する、脱クリオ血漿の分画の間に形成した沈殿物からIaIpを抽出するステップ;(b)アニオン交換樹脂にH因子が結合しない条件下でアニオン交換樹脂にIaIpを結合させるステップ;並びに、(c)溶離緩衝液で樹脂からIaIpを溶離することにより、濃縮IaIp組成物を調製するステップを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、方法は、(e)濃縮IaIp組成物中のIaIpをヘパリン親和性カラムに結合させるステップ;及び、(f)ヘパリン親和性カラムからIaIpを溶離させるステップを更に含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、濃縮IaIp組成物は更に、少なくとも1つのウィルス不活性化ステップに供される。
上で提供される方法の1つの実施形態において、ウィルス不活性化ステップは溶媒及び/又は洗浄剤による処理、ナノ濾過、熱処理、又は低pHにおけるインキュベーションを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、単一のインターα阻害タンパク質(IaIp)種を単離する。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIp種はインターαトリプシン阻害剤(IaI)である。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIp種はプレα阻害剤(PaI)である。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIp種は抗体親和性方法により単離される。
1つの態様において、本発明は請求項1〜40の何れか1項に記載の方法により調製されるIaIpの水溶液を提供する。
上で提供されるIaIp溶液の1つの実施形態において、溶液のタンパク質含有分の少なくとも90%がIaIpである。
1つの態様において、本発明は請求項1〜40の何れか1項に記載の方法により調製されるIaIpの医薬組成物を提供する。
上で提供されるIaIp医薬組成物の1つの実施形態において、溶液のタンパク質含有分の少なくとも95%がIaIpである。
上で提供されるIaIp医薬組成物の1つの実施形態において、組成物は静脈内投与のために製剤化される。
上で提供されるIaIp医薬組成物の1つの実施形態において、組成物はIaIpの凍結乾燥された製剤を含む。
1つの態様において、本発明は、それを必要とする対象において、IaIp機能不全に関連する疾患又は障害を治療するための方法を提供し、方法は、請求項1〜40の何れか1項に記載の方法により調製されたIaIp組成物の治療有効量を投与するステップを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、IaIp機能不全に関連する疾患又は障害は敗血症である。
1つの態様において、本発明は、それを必要とする対象において増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患又は障害を治療するための方法を提供し、方法は、請求項1〜40の何れか1項に記載の方法により調製されたIaIp組成物の治療有効量を投与するステップを含む。
上で提供される方法の1つの実施形態において、増大した血漿中セリンプロテアーゼ活性に関連する疾患又は障害は敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、汎発性血管内凝固症、腺維増殖、炭疽中毒、癌転移、術中組織傷害、腎臓疾患、血管疾患、凝固、糖尿病、及び全身性炎症よりなる群から選択される。
以下の実施例は、説明の手段としてのみ提示しており、限定の手段としてではない。当業者であれば、本質的に同じか同様の結果をもたらすために変更又は修正できる重要ではない種々のパラメーターを容易に認識する。
同じ血漿試料からの追加的な血液因子の回収を可能にする血漿試料からのインターα阻害剤(IaIp)の製造のための経済的に有利なスキームを決定するために、多くのプールされたヒト血漿を、図2に示すフローダイアグラムに概説したスキームに従って工業的分画に供した。工業的分画プロセスにおけるIaIpの運命は、小型サブユニットビクニンに対して特異的な抗体を用いたウエスタンブロットにより追跡した。IaIとPaIとの間のサイズの相違により、抗ビクニン抗体は、SDS−PAGEゲル上の自身の移動に基づいて識別できる分画プロセス中の両方のタンパク質の特定を可能にした(図3)。
図3から解るとおり、プールされた血漿試料中に存在するIaIpの大部分が3つの主要画分、即ち画分I沈殿物、画分II+III沈殿物濾過ケーク、及び画分IV−1沈殿物中に分画された。好都合には、これらの画分の3つ全てが典型的にはIgG(画分I沈殿物及び画分II+III濾過ケーク)及びアルブミン(画分I及び画分IV−1沈殿物)の製造の間に廃棄される。従って、IgG及びアルブミンの製造プロセスを修正することなくこれらの画分からIaI及びPaIを精製でき得ることが想定された。
本実施例は、画分II+III濾過ケークからIaIpを抽出することの実現可能性を調べるために実施した実験を記載するものである。手短に言えば、実施例1において実施した血漿分画で得られた画分II+III濾過ケークをIaIp抽出緩衝液(25mM Tris(pH8.0);5mM EDTA;200mM NaCl)中に25:1の比(mL緩衝液:g濾過ケーク)で溶解した。溶解したタンパク質溶液を遠心分離及び0.45μmフィルターを通して濾過することにより清澄化した。次に得られた懸濁液の伝導度を低塩抽出緩衝液(25mM Tris(pH8.0);5mM EDTA)を用いて3:1に溶液を希釈することにより調節した。
清澄化された画分II+III濾過ケーク懸濁液を次に低塩緩衝液(25mM Tris;5mM EDTA;50mM NaCl;pH8.0)で平衡化されたDEAEセファロースクロマトグラフィーカラム上に負荷した。次に50mM NaClから500mM NaCl(25mM Tris;5mM EDTA;NaCl;pH8.0)の直線勾配を用いてIaIpをDEAEセファロースカラムから溶離し、その溶離液を図4Aのクロマトグラフに示す通り分画収集した。溶離液画分の試料をウエスタンブロット分析(図4B及び4C)により分析することによって、3つの主要ピークの3つ目においてアニオン交換カラムからIaIpが溶離されたことを判定した。
IaIpを含有するDEAEセファロースクロマトグラフィー溶離で得られた3つ目の溶離ピークを、実施したクロマトグラフィー及びゲル分析に基づいてプールし、濃縮し、そして緩衝液交換により伝導度を低下させた。次にIaIp溶液を、低塩緩衝液(25mM Tris(pH8.0);5mM EDTA;50mM NaCl)で平衡化させたヘパリン−セファロースクロマトグラフィーカラム上に負荷した。次に50mM NaClから500mM NaCl(25mM Tris(pH8.0);5mM EDTA;NaCl)の直線勾配を用いてIaIpをDEAEセファロースカラムから溶離し、その溶離液を図5Aのクロマトグラフに示す通り分画収集した。溶離液画分の試料をウエスタンブロット分析により分析した。図5Bから明らかな通り、IaIpは単一のピークとしてヘパリン−セファロースカラムから溶離し、これは純粋なIaIp組成物を与えている。
抽出後のIaIp精製に関する工業的スケールアップを促進するために、クロマトグラフィーカラムの塩勾配溶離を、大規模製造プロセスにより適合した一連の段階的溶離と置き換えた代替精製スキームを考案した。手短に言えば、実施例2に記載の通り画分II+III濾過ケークから抽出したIaIp組成物を低塩緩衝液(25mM Tris;5mM EDTA;65mM NaCl;pH8.0)で平衡化させたDEAEセファロースクロマトグラフィーカラム上に負荷した。負荷物の伝導度は平衡化緩衝液のものと同様であった(約9mS/cm)。負荷後、カラムを5カラム容量(CV)分65mM NaClを含有する緩衝液で洗浄することにより未結合のタンパク質不純物を除去した。素通り画分は、図7Cに示すウエスタンブロットの結果により解るとおり、IaIpを殆ど含有していない。
第1段階溶離において、緩衝液(25mM Tris(pH8.0);5mM EDTA;NaCl)の塩濃度を5CV分100mM NaCl(伝導度12.6mS/cm)まで増加させることによりカラムに結合しているH因子を溶離させた。次に緩衝液の塩濃度を6CV分155mM NaCl(伝導度18mS/cm)にまで増加させることによりカラムから結合タンパク質不純物を溶離させた。ウエスタンブロット分析によればこの中間洗浄画分は殆どIaIpを含有していない(図7C)。次にカラムの塩濃度を230mM NaCl(伝導度約25mS/cm)まで増加させることによりカラムからIaIpを溶離させた。IaIpは、図7Aに示すクロマトグラフにおいて観察される通り鋭いピークと、その後のショルダーとしてカラムから排出された。対応するクーマシー染色SDS−PAGEゲル(図7B)及びウエスタンブロット(図7C)によれば、H因子の大部分はピーク中にある。230mM NaCl溶離の主要IaIp画分をまとめてプールした。
プールされたIaIp画分の塩濃度を低減するために、試料を低塩緩衝液に対して透析することにより伝導度を約8mS/cm(約50mM NaCl)まで低下させた。次に試料を0.45μmフィルターを通過させて、存在する粒状物を除去した。次に濾過された試料を、低塩緩衝液(25mM Tris(pH8.0);5mM EDTA;50mM NaCl)で平衡化させたヘパリン−セファロースクロマトグラフィーカラム上に負荷した。負荷後、カラムを5カラム容量(CV)分50mM NaClを含有する緩衝液で洗浄することにより未結合のタンパク質不純物を除去した。素通り画分は、図8Cに示すウエスタンブロットの結果により解るとおり、IaIpを殆ど含有していない。
第1段階溶離において、緩衝液(25mM Tris;5mM EDTA;NaCl;pH8.0)の塩濃度を80mM NaClにまで増加させることによりカラムからIaIpを溶離させた。SDS−PAGE(図8B)及びウエスタンブロット(図8C)分析によれば、得られたIaIpプールは、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過/透析濾過、及び当該分野で良く知られている他の方法により除去され得る低分子量不純物を幾らか含有している。第2溶離段階は、107mM NaClを含有する緩衝液を用いて実施し、そしてIaIpピークをカラムから溶離させた。この画分は如何なる検出不純物も有していなかった。この方法はプロセスを最適化するために変更できる。1つの実施形態において、IaIpの全てが、例えば80mM超のNaClを含有する緩衝液を用いた単一の溶離により単一段階で溶離され得る。負荷及び洗浄はなお50mM NaClで実施してよく、そしてH因子溶離は例えば107mM NaClを含有する緩衝液を用いて行ってよい。IaIpプールからより弱く結合している不純物を除去しようとする場合は50mM NaClにおける、又は80mM未満 NaClの塩濃度における延長された洗浄を負荷後に追加してよい。
上記のクロマトグラフィーステップは、pH8のTris/EDTA以外の緩衝液系を使用するように変更できる。これらのプロセスは、生物製剤の製造において一般的に使用される緩衝液及び溶液に対して適合させることができる。一例はpH7のリン酸緩衝液を使用する精製スキームである。精製を良好に行うための重要なパラメーターは、所望の化合物の分離を達成するための伝導度又はイオン強度の操作である。緩衝液系のpHをpH8に維持する場合、溶離緩衝液の伝導度は本明細書に記載した精製プロセスに合わせなければならない。緩衝液系のpHを変える場合、クロマトグラフィープロセスの最適化において使用される標準的な手法を用いて行うことができるイオン強度の何らかの調節が必要になる。
本明細書に記載した実施例及び実施形態は説明のみを目的としており、それを鑑みながら、種々の修正又は変更が当業者には示唆され、それらは本出願の精神及び領域及び添付請求項の範囲の内に包含されることが理解される。本明細書において引用した全ての公報、特許、及び特許出願は全ての目的のために参照により全体が本明細書に組み込まれる。