JP5827526B2 - 不織布 - Google Patents

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Description

本発明は不織布に関する。
種々の目的で織物や不織布などの繊維からなるシート材の表面を起毛処理することがある。特許文献1には、ニードルパンチングフェルトを作成したのち、サンドペーパーでバッフィングして表面の繊維を起毛させた立毛シートが開示されている。ここでは、さらにそののち、パターンロールによりエンボス加工を施している。その結果、上記布材に、立体感に富み、深みのある色彩が付与され、良好な触感を付与することができるとされる。また、これとは逆に、特許文献2には、所定の不織布にエンボス加工を施したのちにバフ仕上げした不織布が開示されている。これにより、従来の織物に近似した柔軟な風合いの不織布が得られるとされる。
特開昭62−141182号公報 特開昭50−64580号公報
本発明は、上述した従来のもとは異なる特有の構造を有し、その表面の少なくとも一部を起毛させた不織布の提供を課題とする。特に、その起毛した表面を利用し清掃用シート等のワイピングシートとして用いたときに良好なふき取り性を示し、おしり拭き等のように肌面に当てて使用するときにはさらに良好な触感をも実現しうる不織布の提供を課題とする。また、上述した良好な特性を実現しつつ、起毛加工による不織布強度の低下や繊維の脱落を抑制・防止した不織布の提供を課題とする。
上記の課題は、第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がったシート状の不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記壁部は、前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的にいずれの箇所においても、不織布シートに対する垂線方向に沿った繊維配向性を有しており、前記第1面側及び/又は第2面側の表面の少なくとも一部に起毛した起毛繊維群がある不織布により解決された。
本発明の不織布は、特有の構造を有し、その表面の少なくとも一部が起毛されており、その構造に基づく作用効果を奏する。特に、その起毛した表面を利用し清掃用シート等のワイピングシートとして用いたときに良好なふき取り性を示し、おしり拭き等のように肌面に当てて使用するときにはさらに良好な触感をも実現することができる。また、上述した良好な特性を実現しつつ、起毛加工による不織布強度の低下や繊維の脱落を抑制ないし防止することができる。
本発明の不織布の一実施形態(実施形態1)における表面シートを一部断面により模式的に示す斜視図である。 図1の不織布における領域IIを拡大して示す断面図である。 図1の不織布におけるIII−III線断面を拡大して示す断面図である。 図1の不織布におけるIV−IV線断面を拡大して示す断面図である。 第1突出部と第2突出部との関係を平面視により模式的に示す説明図である。 壁部を展開して繊維の配向状態を模式的に示す説明図である。 本発明の第1実施形態の加工手順及び形態的特徴を断面図により模式化して示す説明図である。 本発明の第2実施形態の加工手順及び形態的特徴を断面図により模式化して示す説明図である。 本発明の第3実施形態の加工手順及び形態的特徴を断面図により模式化して示す説明図である。 第1実施形態の不織布のふき取り機能を説明する断面模式図である。 第2実施形態の不織布のふき取り機能を説明する断面模式図である。 第3実施形態の不織布のふき取り機能を説明する断面模式図である。 実施例で採用した繊維配向性の測定位置を模式的に示す不織布の一部断面図である。
図1は本発明の不織布の好ましい実施形態(第1実施形態)である清掃用シートに好適な不織布の要部を模式的に示す一部断面斜視図である。図2は図1の不織布における領域IIを拡大して示し、図3及び図4はそれぞれそのIII−III線断面及びIV−IV線断面を示す拡大断面図である(図3,4においては、起毛繊維群の図示を省略している。)。この不織布10は例えば清掃用シートやおしりふき等のふき取り布として適用することが好ましく、第1面側z(図2参照)をふき取り面側に向けて用いることが好ましい。以下、上記図面に示した不織布10の上記のとおり第1面側を清掃面に向けて用いる実施態様を考慮して、第1実施形態を中心に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
本実施形態の不織布10は面方向に連続した構造を有している。この「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。ただし、繊維間細孔のような微細孔は前記小孔には含まれない。これを区別していうときには、例えば小孔をその円相当直径で1mm以上のものと定義することができる。上記の「連続」の語には、積層シートであることも含まれるが、本実施形態においては積層していない単層のシートをその好ましい実施形態として示している。また、この「連続」という語の意味を、不織布の第1面側zの面と第2面側zの面とが実質的に連なっていると表現することもできる。ここでの実質的に連なるとは、上記のとおりに、本発明の効果を損なわない範囲で小孔を有さずそれより小さな微細孔を有していてもよい意味である。
本実施形態の不織布10の第1面側には、多数の第1突出部1が縦横の2つの方向に面内で斜交する関係で延び配列されている(以下、この配列を斜交格子状配列ということがある。)。この格子状配列が直交(90°)する関係でもよく、そのときには直交格子状の配列として区別していうことがある。本実施形態においては、その面内における第1方向(x)と第2方向(y)(図5−1参照)が、30°〜90°の角度で交差していることが好ましい。さらに本実施形態においては、不織布の第2面側に突出する多数の第2突出部2が形成されている。この第2突出部2も斜交格子状配列になっているが、直交格子状配列であってよい。その交差角度の好ましい範囲は、第1突出部1に伴って定まるため、上記と同様である。この第1突出部1と第2突出部2とは、シート面に対して互いに反対方向に突出している。そして、平面視においても側面視においても同一位置にない、つまり重なりのない関係で両者が交互に配置するようにされている。
上記のようにして面内の第1方向(x方向)及び第2方向(y方向)にそれぞれ延び配列された第1突出部1と第2突出部2とは、面状に矛盾無く連続し、不織布10を構成している。ここで、矛盾無く連続するとは、特定の形状部分が連なって面状になるとき、屈折したり不連続になったりせず、緩やかな曲面で全体が連続した状態になることをいう。なお、上記第1突出部と第2突出部との配列形態は上記に限定されず、矛盾無く連続しうる配列で配置しうる形態であればよく、例えば、第1突出部を中心に6角形の頂点に6つの第2突出部が配置し、そのパターンが面内に広がる配列であってもよい。なお、この場合、第2突出部の数が第1突出部の数を上回るため、第2突出部同士が隣接する状態が生じるが、全体において連続したシート状態が構成される限りにおいて、このような形態の配列も第1突出部と第2突出部とが「交互」に配列したという意味に含まれる。
本実施形態において第1突出部1及び第2突出部2は頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。より詳細にみれば、第1突出部の突出形状は尖鋭ではなくどちらかというと半球状であり、他方、第2突出部の突出形状はより尖鋭であり頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。なお、本実施形態において突出部は上記形状に限定されず、どのような突出形態でもよく、例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。本実施形態において第1突出部及び第2突出部はその外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の内部空間1k、2kを保持している。それぞれの内部空間1k及び2kは、尾根6を介して隔てられており実質的に連続しない空間として形成されている。他方、第1突出部1と第2突出部2のシート厚み方向(図2のz方向を参照。シート面に対する垂線の方向であることから、この方向を「垂線方向」とも言う。)における間には、壁部3が構成されており、この壁部3ないし上記尾根部6を介して両突出部が連続するシート構造とされている。
本実施形態における繊維配向性を含め本実施形態の不織布のより詳細な特徴について、その形状をモデルとして簡略化して示した図5−1に基づいて説明する。本実施形態の不織布には第1突出部1と第2突出部2(破線で示した)とがあり、図5−1ではそれらがそれぞれ単純な円として示されている。それらの円の大きさは、区別のため若干異なるものとしており、図1等に示した形態とその寸法等において一致するものではない。本実施形態の不織布においては、第1突出部1と第2突出部2とが格子状配列になって配置されている。これを、別の言い方で示すと、所定方向に第1列k、第2列k、第3列k、としてみたとき、各列の第1突出部1と第2突出部2とは交互に配置されており、各列の突出部をシート面内で各列に斜交する方向(y方向)に投影したときに、隣接する列において第1突出部と第2突出部とが重なる関係となる。さらに言うと、第n列と第n+2列において、第1突出部1と第2突出部2とがそれぞれ重なる状態とされている。つまり、本実施形態においては、列kの第1突出部及び第2突出部がy方向に平行移動したとき、列kの第1突出部及び第2突出部と重なる関係とされている。ただし、本発明がこれに限定して解釈されるものではなく、上記隣接する第1突出部と第2突出部とにずれがあってもよい。
第1突出部1と第2突出部2との間には、壁部3が形成されている。図5−1に示した中央の第1突出部1でみると、四方の第2突出部2から連続してくる4つの壁部部分31、32、33、34が形成されている。そして、その4つの壁部部分31〜34はシート面内方向で壁部部分31’、32’、33’、34’で連繋されており、一連になり環状の壁部3が構成されている。前記壁部部分31’、32’、33’、34’の第1面側で隣接する第1突出部との間には馬の背になった稜線部分が存在し、その部分が尾根部(連結部)6となり上記壁部部分31’〜34’のそれぞれに対応して、尾根部61〜64が形成されている。なお、本発明において「環状」とは平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円又は楕円が好ましい。さらに、「環状」を立体形状としていえば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する上では、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
図5−2(a)は図5−1に示した壁部3を展開して長方形のモデルで示したものであり、そこに図示された線g1a、g1bは繊維の配向方向を示している。壁部部分の位置を表すために、さらに、上記環状の壁部を円柱として、その母船に直交する面で切断した横断面でみたときに中心からみて90°ごとに異なる位置として31〜34の符号を加入して示している。図5−2(a)に示したように、本実施形態の壁部3内部の繊維は前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的にいずれの箇所においても垂線方向に配向している。ここで実質的にとしたのは、一部において配向性のないところを含んでいてもよく、上述したような各作用を好適に示す範囲で全体におよんでいればよいことを示す。典型的には、後述する従来例のように、MD方向とCD方向とで異なる配向性を有するものではないことをいい、少なくともMD方向とCD方向とで上記垂線方向の繊維配向性を有することが好ましい。なお、本実施形態において壁部内部の繊維の配向は第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向に延びると言え、本実施形態においてこれは垂線方向とは異なるがそれに沿った方向に含まれる。
なお、「MD」は不織布等のシート材が製造時に流れる方向をいい、「Machine Direction」の略語である。流れ方向ともいう。「CD」は上記MDに直交する方向であり、「Cross Direction」の略語である。
本実施形態においては、0°位置(壁部部分31)と180°位置(壁部部分33)は第2面側(z2)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1b)を示す部分が位置しており、他方、90°位置(壁部部分32)と270°位置(壁部部分34)は第1面側(z1)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1a)を示す部分が位置している。同図では図が混み合うため図示していないが、壁部部分31’〜34’においても同様であり、全面的に同様の繊維配向性を有している。ただし、強い配向性を示す壁部部分は31、32、33、34と変化するその中間位置で全体において漸次変化する環状の壁部の配向性の構造を構成している。これにより本実施形態において特有のクッション性を生じることは前述のとおりである。
一方、例えば、繊維ウェブを賦形する前に融着した不織布にエンボス加工等によりくぼみを与えた場合は、くぼみを与えるときにはすでに繊維同士が融着しているため、繊維の配向性に変化が生じず、通常図5−2(b)のように環状の壁部(またはメルカルト図法のように環状に投影した壁部)を平面視において90°ごとに分割してみると、融着された時のシートの繊維配向性が残り、その分割位置ごとに繊維配向性が変わることとなる。具体的には同図に示したとおり壁部部分31、33ではその垂線方向に沿った起立方向(線g1c)に繊維が配向するが、壁部部分32、34ではそれと直交する方向(線g2)に繊維が配向する。これは、通常不織布を製造するときに、そのMD方向に繊維が配向しそのまま融着されるため、MD方向段権における壁部の繊維はその起立方向に繊維が配向するものの、CD方向断面においては、起立方向とは直行する方向に繊維が配向することとなる。
上記の尾根部(連結部)6により第1突出部同士は繋がっており、第2突出部同士は隔てられている。図5−1に基づいて具体的にいうと、尾根部(連結部)61〜64により第1突出部同士は繋がっていて、独立したカップ状構造である内部空間2kを形成する。他方、尾根部(連結部)61〜64により第2突出部同士はそれぞれ隔てられ、連続した内部空間1kを形成する。これにより、掻き取られた埃等は第2突出部の内部に形成された空間2kに格納されるため、極めて高い埃等の収容性を示す。なお、本発明において尾根もしくは尾根状とは第1突出部の内部空間1kもしくは第2突出部の内部空間2kを谷としてみたときに、谷と谷との間の山地突起状部の連続した部分をいい、通常不織布シートの面方向とほぼ同一方向の面を有している。
さらに図2に戻って本実施形態(第1実施形態)の特徴について説明する。
本実施形態の不織布10は、第1面側に突出する第1突出部1の頂部11から垂線方向(z)に向け、不織布表面10aを越えて起毛した頂部起毛繊維群81がある。さらに、第1突出部の側方から壁部にかけて縮れた形状で起毛した壁部起毛繊維群82がある。ここで、本発明の起毛について説明すると、その形態の表現として「起毛」の語を用いているが、従来のバッフィング等により不織布等が成形された後に強制的に起毛されるものとは異なる意味である。つまり、後述するように、本発明の起毛形態は不織布が構成される前あるいはその途中で、典型的には通常のエアスルー不織布製造時よりも強い熱風によりウェブ中の繊維が揺曳して構成されるものである。その製造方法が限定されるものではないが、従来のサンドペーパーや針により起毛ないし立毛させた状態とは特徴が異なるものである。
[頂部起毛繊維の配向性:D
本発明において繊維が起毛しているかどうかは、後述する繊維配向性の測定方法を用いて、不織布内部と異なる配向性を有する繊維が不織布表面10a上に存在するかによって判断することができる。異なる配向性を有する繊維が不織布表面上に存在するとは、後述する繊維配向性の測定方法により、不織布の断面において層厚み方向に沿った配向角が、不織布内部(好ましくは中央)とその不織布表面上に存在する繊維において、30°以上異なる場合をいう。また、本願においては、起毛繊維が5本/mm以上存在する場合を起毛繊維群という。典型的には、図2に示した断面において、起毛した起毛繊維群81の繊維の層厚み方向に対する配向性(D)と、その部分の不織布内部中央の繊維の垂線方向に対する配向性(D1P)(層厚み方向に沿った配向性と同義)とを対比して前記繊維群81の起毛状態を評価することができる。
前記第1突出部頂部の起毛した頂部起毛繊維群81は、いずれも不織布の表面10aを越え起毛し、かつ不織布の層厚み方向(突出部の突出方向と同じ)に配向している。ここで、配向しているとは、各繊維が同一方向にむけ並列した形態のほか、多少曲がったり、縮れたり、交わったりしながらも、全体として一定方向に向いていればよい。この配向性の確認は、後述する繊維配向性の測定方法を用いて行う。ここで、繊維配向性の意味について触れておくと、これは繊維の配向角と配向強度とからなる概念である。繊維の配向角は、色々な方向性を有する複数の繊維が全体としてどの方向に配向しているかを示す概念である。不織布の面方向が0°(180°)方向に延びているとして、配向角は、0°以上50°未満又は130°超180°以下では、不織布の層厚み方向にはほとんど配向しておらず、50°〜130°で配向しているといえる。繊維の配向強度は、配向角を示す繊維の量を示す概念であり、配向強度は、1.05未満では、ほとんど配向しておらず、1.05以上で配向を有しているといえる。
本実施形態において、第1突出部で起毛した頂部起毛繊維群81の不織布の層厚み方向に沿った配向性(D)は、配向角(D )50°〜130°であり、配向強度(D )1.05以上である。これにより、厚み方向での耐圧縮性が高まり、埃や汚物などを清掃面から取り除きやすくなり、ワイピング性が高まる。
不織布内部中央Caの垂線方向に沿った配向性(D1P)は、配向角(D 1P)0°以上50°未満又は130°超180°以下であり、配向強度(D 1P)1.05以上である。これは、一般的な不織布と同程度の値であり、これにより、不織布シートのMD方向及びCD方向の引張強度を高く保つことができ、製造時にシートが破断したり、引き伸ばされたりするのを防ぐことができる。また、本実施形態において、不織布表面10a近傍の配向角と繊維群81の配向角は、30°以上異なるようにされている。
[壁部起毛繊維の配向性:D
本実施形態においては、第1突出部の突出方向に向け起毛した頂部起毛繊維群81があり、さらにそこから壁部にかけて起毛した壁部起毛繊維群82がある。そして、その第1突出部で起毛した頂部起毛繊維群81の不織布の層厚み方向に沿った配向性(D)が、前記壁部の側で起毛した壁部起毛繊維群82の不織布の層厚み方向に沿った配向性(D)より高められている。これは、後述する繊維配向性の測定方法を用い、起毛した頂部起毛繊維群の繊維の方が起毛した壁部起毛繊維群の繊維より層厚み方向に対し90°に近い配向角を有し、前者が後者に対してより高い配向強度値を有することにより確認できる。好ましくは配向角の差(ΔD=D −D )で5°以上であり、より好ましくは10°以上である。その配向強度の差(ΔD=D −D )は好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上である。なお、本実施形態においては、前記起毛した繊維群を不織布の片面にのみ有している。
次に上記第1実施形態及びその変形例である第2及び第3実施形態について、その加工手順の概略と形態上の特徴を説明する(製造方法の詳細については後で詳しく述べる。)。
まず第1実施形態について図6−1に基づいて説明すると、不織布素材を突起9を有する台座に載せ、逆方向からエアーを吹き付ける(図6−1(a))。このとき台座Dには穴Hが開けられており、エアーが吹き抜けるようにされている。これにより、第1突出部1、第2突出2、壁部3からなる不織布10の全体的に波打つ構造が形成されるとともに、第1突出部1にはその外方に向け起毛した頂部起毛繊維群81が形成される(図6−1(b))。また、頂部起毛繊維群81の周囲で壁部にわたる部分において壁部起毛繊維群82が形成されている。この壁部起毛繊維群82は、上述のとおり頂部起毛繊維群81に比し、エアーの送り方向に向かう配向性が低い。なお、図6−1(a)と図6−1(b)とでは不織布の表裏を逆にして示している。このことは以下の図6−2、図6−3についても同様である。
次に、第2実施形態について図6−2に基づき説明する。ここでは、上記第1実施形態に比し、低めかつ太めの突起9を適用している。これにより、不織布の第2突出部2が形成される、その内方となる第2突出部内部空間2kをなす部分は突起9に密着した状態なる(図6−2(a)参照)。その結果壁部起毛繊維群82が形成されず、第1突出部1の外方に向け起毛する頂部起毛繊維群81を有する不織布20が構成される(図6−2(b)参照)。
最後に、第3実施形態について図6−3に基づき説明する。この実施形態では第1実施形態と同様にまず第1突出部の頂部起毛繊維群81と壁部の壁部起毛繊維群82とを有する不織布を形成する(図6−3(a)参照)。その後、第1突起部から起毛した繊維群81と通気性を有するメッシュベルト19を接触させ、第2突起部側から垂直に熱風を吹きつけることで構成できる。これは起毛した繊頂部維群81が熱風により軟化し、メッシュベルトに押さえつけられることで、起毛部81と表面10aが再融着し、起毛した頂部起毛繊維群81が消失するためである。また、メッシュベルトとして12メッシュから60メッシュであることが好ましい。
ここで上述した本実施形態の不織布の基本構造に基づく作用について実施形態ごとに説明する。
・ワイピング性
ワイピング性とは、埃や汚物など清掃面から取り除きたいもの(捕集物)を少ない動作で効率的に捕集する性質を意味する。典型的には、机や棚の埃を1度の拭き取り動作でサッと捕集し清掃面から除去したり、赤ちゃんのおしりに付着した便を速やかに取り除いたりする性質が挙げられる。本実施形態(第1実施形態)の不織布によれば、その第1突出面側を拭き取り面として清掃面にあて使用することで、極めて高いワイピング性が得られる。
その作用原理を模式的に示した図7で説明する。同図では本実施形態の不織布を左右に移動させた状態を想定している。このとき、不織布10の第1突出部の頂部には起毛した頂部起毛繊維群81があるので、これがあたかもほうきのように機能して、塵や埃、場合によっては軟便等の固形物を掻き取る(矢印w)。掻き取られた埃等は第2突出部の内部に形成された空間2kに格納されるため、極めて高い埃等の収容性を示す。しかも、本実施形態の不織布においては、第1突出部1から壁部3にかけて縮れて起毛した壁部起毛繊維群82があるため、1度捕集したものの散逸を防ぐことができる。つまり、上記壁部起毛繊維群82の機能により、この部分があたかもちりとりの役割を果たす。このような観点から、塵や埃等の拭き取った後に散逸しやすい捕集物の清掃に特に高い効果を発揮する。
図8にはその変形例(第2実施形態)として、縮れた壁部起毛繊維群82のない構成の不織布20を示している。この作製方法については後で述べるが、不織布20は縮れた壁部起毛繊維群82がないため、不織布10よりも1度捕集した塵や埃等の固形物の散逸を防ぐ効果は低いが、第1突出部の頂部にある繊維群で掻き取られた捕集物が空間2kにより抵抗なく捕集されやすく、例えば軟便や液状の捕集物の清掃に好適に利用することができる。
図9にはその変形例(第3実施形態)として、繊維群81のない構成の不織布30を示している。この作製方法については後で述べるが、不織布30は第1突出部の頂部に起毛した繊維群81がないため、不織布10よりも塵や埃等の固形物の掻き取り効果は低いが、対象物が高粘性のものや嵩高いものの場合、繊維群81に対象物が付着し、表面的な広がりを起こすことを防ぐため好ましい。
・クッション性
第1施形態の不織布は表裏の片面だけではなく、両面において突出した部分を有するため、その構造に特有のクッション性を発現する。例えば筋状の突起や片面の突起ではどうしても線ないし面としての弾力性を発現することとなるが、本実施形態によれば三次元的な動きに対してもよく追従して両面において点(圧力変化によって面で接触しその接触面積が増減する)で支持された立体的なクッション性を奏する。また、詳細については後述するが、壁部3においてはその壁の起立する方向に向け配向した繊維の配向性を有する。そのため、ここにしっかりとしたコシが生まれ、繊維が厚み方向に潰れてしまうことのない適度のクッション性を実現する。さらに、上述した壁部の繊維配向性により、押圧力を受けて不織布が潰されても、その形状復元力が大きく、梱包状態や着用が継続されても初期のクッション力を喪失しにくい。そのため、例えば、埃や汚物などを拭き取る際にシートがつぶれにくいため、上記ワイピング性を損なわない。また、埃や汚物などを拭き取った後に、使用者の手に埃や汚物などが接触するのを防ぎ、清潔感が高く好ましい。このことは第1実施形態から第3実施形態まで同様である。
・肌触り
第1実施形態から第3実施形態に共通の点として、これらの不織布には両面方向に第1及び第2の突出部があり、その頂部は丸みを帯びている。そのため、例えばおしりふきとして使用した場合、そのどちらの面を肌面側にしても、表面シートが肌に対して点で柔らかく接触する良好な肌触りが実現される。また、装着時の圧力に対しても接触する点が面状に増減することで肌触りを良好としながら、圧力に対する表面シート全体の形状変形を少なく抑えることができ、また、圧力変形からの形状復元も容易とすることができる。上記の良好なクッション性に起因する作用もあり、点接触による動的な作用と相俟って、独特の良好な肌触りが得られる。そのため、例えば、軟便や下痢便の付着した赤ちゃんのおしりを拭くときにも、違和感なくふき取ることができる。
この点、第3の実施形態においては、上述のとおり、第1突出部頂部に起毛した頂部起毛繊維群81のない構成の不織布30が構成されている。この作製方法については後で述べるが、不織布30は第1突出部頂部に起毛した頂部起毛繊維群81がないため、不織布10よりも塵や埃、軟便等の固形物を掻き取る効果は低いものの、さらに肌に刺激を与え難く、お尻ふきシート等の肌に触れる製品に好適に利用することができる。
なお、本発明において起毛された繊維群の形態は必ずしも上述したものに限定されず、多様な形態のものとして様々な清掃等の用に供することができる。
本実施形態の不織布における寸法諸元について以下に説明する。
シートの厚さについては、不織布10の全体としてみたときの微小加圧時(0.05×10Pa)の厚さをシート厚み(T)といい、その凹凸に湾曲したシートの局部的な厚さを層厚み(S)として区別する(図2参照)。シート厚み(T)は用途によって適宜調節すればよいが、ワイピングシートとして用いることを考慮すると、2mm〜10mmが好ましく、3mm〜8mmがより好ましい。その範囲とすることによりクッション性を生じ、ワイピング性が高まると共に、使用者の手に埃や汚物などが接触するのを防ぐことができる。層厚みは、シート内の各部位において異なっていてよく、用途によって適宜調節すればよい。ワイピングシートとして用いることを考慮すると、第1突出部頂部の層厚み(S)は0.2mm〜3mmであることが好ましく、0.6mm〜2mmがより好ましい。好ましい層厚みの範囲としては第2突出部頂部の層厚み(S)及び壁部の層厚み(S)も同様である。各層厚み(S)、(S)、(S)の関係は、S>S>Sであることが好ましい。これにより、第1突出部においては繊維密度が低く、繊維融着点数が少なくなり、押圧に対して適度に潰れ肌に刺すような感じを与えず良好な肌当たりを実現することができる。一方、壁部、第2突出部は繊維密度が高く、繊維融着点数が多くなり、潰れにくく、埃や汚物などを捕集した後の保形成に優れ、ワイピング性が高まる。
本実施形態においては、第1突出部1、第2突出部2、壁部3がシート厚み(T)において3等分されており、各部の区分は特に断らない限りこのようにして定義する。したがって、これらの厚みはシート厚み(T)によって自ずと定まる(P=P=P)。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部の尖度ないし曲率が異なるときには、断面において直線状になった比較的狭い部分を壁部3とし、そこから湾曲しし丸みを帯びいく領域をそれぞれ第1突出部1及び第2突出部2としてもよい(P,P’,P’参照)。後者の定義によるなら、本実施形態の不織布10においては、第2突出部2の厚み(P’)が第1突出部1の厚み(P)より大きく、全体において厚み方向に偏倚のある形態とされている。換言すれば、本実施形態においては、第1突出部頂部1の頂部11の曲率半径が第2突出部頂部2の頂部21の曲率半径より大きくされている。
第1面側の半身厚み(t)及び第2面側の半身厚み(t)も上記と同様であり、基本的には、シート厚み(T)を2等分した線を中央線(中央面)mとし、両半身厚み(t,t)が等しいものとしてみる。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部における尖度もしくは曲率半径に差がある場合には、壁部の断面直線状部分の中央と評価される位置m’で区分し定義することができる。本実施形態の不織布は、後者の定義によるならば、第1面側の半身厚みt<第2面側の半身厚みtとされている。
第1突出部1及び第2突出部2がなす列の間隔n(図5−1参照)は、用途によって適宜調節すればよいが、ワイピングシートとして用いることを考慮すると、3mm〜20mmが好ましく、5mm〜17mmがより好ましい。
本実施形態の不織布のもつ坪量は特に限定されないが、シート全体の平均値でいうと、15〜100g/mであることが好ましく、20〜80g/mであることがより好ましい。
本実施形態の不織布10の製造方法はこの種の製品に一般的な方法を適宜採用すればよい。一例を挙げると、下記のような態様が挙げられる。融着する前の繊維ウェブを、所定の厚みとなるようカード機からウェブ賦形装置に供給する。ウェブ賦形装置では、まず温風の空気を供給して、多数の突起9を有し通気性を有する台座の上に上記繊維ウェブを定着させる。このときの温風の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウェブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0〜70℃低いことが好ましく、5〜50℃低いことがより好ましい。次いでウェブの台座上の繊維ウェブに熱風h(図2参照)を各繊維が適度に融着可能な温度で吹きつけて、前記台座上の突起9にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各繊維を融着させる。このときの熱風の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウェブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0〜70℃高いことが好ましく、5〜50℃高いことがより好ましい。熱可塑性繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系、ポリアクリルニトリル系等、またはこれら2種類以上からなる芯鞘型、サイドバイサイド型の複合繊維等を挙げることができる。熱可塑性繊維として、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維を用いる場合、繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点+0℃〜高融点成分の融点−10℃であることがより好ましく、低融点成分の融点+5℃〜高融点成分の融点−20℃であることが更に好ましい。繊維ウェブ及び不織布は、熱可塑性繊維を、30〜100質量%含んでいることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%である。繊維ウェブ及び不織布は、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を含んでいてもよい。
繊維ウェブを賦形する際の温風の風速は、賦形性と起毛繊維の発生量、風合いの観点から30〜170m/秒とすることがより好ましく、より好ましくは55〜150m/秒である。風速がこの下限値以上であると立体感と起毛繊維の発生量が十分となり、クッション性とワイピング性の効果が十分に発揮できる。風速がこの上限値以下であるとシートが開孔せず、耐圧縮性が良好に維持されるため、クッション性とワイピング性の効果が十分に発揮でき好ましい。連続生産を考慮すると、上記台座を搬送可能なコンベア式またはドラム式のものとし、搬送されてくる型付けされた不織布を、ロールで巻き取っていく態様が挙げられる。なお、本実施形態の不織布についてMD方向及びCD方向をどちらに向けてもよいが、図5−1に示したモデル図でいうとx方向に対して45°の方向をMD方向とすることが好ましい。
ここで起毛の形態について説明する。上述した温風によりウェブ中の繊維は吹き付けられ、図示したもののように、第1突出部の突出方向へと立ち上がったようになる。その結果、不織布表面10aから前記突出部の突出方向に起毛した頂部起毛繊維群81が構成される。他方、第1突出部の肩のあたりから壁部3にかけて起毛する繊維82もあるが、これは突起9に妨げられ、あるいは温風の巻き込みにより捲縮した状態になる。
他方、図7に示した変形例の不織布20を構成するには、図2に示した台座の突起9をより幅広のもの、あるいは高さの低いものにする。これにより、不織布のへ壁部ないし頂部の壁部側部分との距離u(図2)が小さくなり、縮れて起毛された壁部起毛繊維群82は突起9により押さえつけられる。そのため起毛することができず、この壁部起毛繊維群82も生じないこととなる。
台座の高さは、0.5mm〜10mmにすることが好ましく、不織布10、不織布30を構成する場合は、4mm〜10mmが好ましく、不織布20を構成する場合は、0.5mm〜4mmが好ましい。台座の高さがこの下限値以上であると立体感が十分となり、クッション性と埃や汚物等の捕集性の効果が十分に発揮され好ましい。この上限値以下であるとシートが開孔せず、耐圧縮性が良好に維持されるため、クッション性と埃や汚物等の捕集性の効果が十分に発揮でき好ましい。
本発明の不織布に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維などが挙げられる。ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維、例えば鞘成分がポリエチレン又は低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられ、該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維。更に具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレート/低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)/PE(鞘)、PET(芯)/低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の不織布は、上述したように清掃用シートやおしり拭きシートとして用いることができるが、その他、おむつ外装シート、おむつ表面シート、おむつポリマー担持体、フィルター、マジッククテープメス材、保温材、吸音材などとして好適に利用することができる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
(実施例1)・・・第1実施形態(図7)
芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を坪量40g/mとなるようカード機からウェブ賦形装置に供給した。ウェブ賦形装置では、温度130℃、風速80m/秒の温風を供給して、多数の突起を有し通気性を有する台座(MD方向ピッチ15mm、CD方向ピッチ7.5mm、高さ7.5mm)の上に上記繊維ウェブを定着させた。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風(温度145℃、風速5m/s)を吹きつけて、前記台座上の突起にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各芯鞘構造の繊維を融着させた。このように熱融着して賦形した繊維シートを取り出し、繊維シート試験体1とした。
(実施例2)・・・第2実施形態(図8)
多数の突起を有し通気性を有する台座を(MD方向ピッチ15mm、CD方向ピッチ7.5mm、高さ3mm)変更した以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体2を作成した。
(実施例3)・・・第3実施形態(図9)
実施例1と同様にして不織布試験体1を作成した後、第1突起部から起毛した頂部起毛繊維群81と通気性を有するメッシュベルト(18メッシュ)を接触させ、第2突起部側から垂直に熱風(139℃、1.5m/sec)を吹きつけることで不織布試験体3を作成した。
(比較例1)
実施例1に対して、突起のついた台座を用いず通常の台座により熱風処理を行って、平坦な不織布を作製した。これを#100サンドペーパーでバッフィングし、表面の繊維を起毛させ、起毛不織布を作製した。さらに形状が1.0mm×1.0mmの四角形、凹部間距離が3mmに等間隔で配列されたパターンロールと超音波発生ホーンの間を通し、立体加工を行った。これを不織布試験体c1とした。
(比較例2)
実施例1に対して、突起のついた台座を用いず通常の台座により熱風処理を行って、平坦な不織布を作製した。これを多数の針(断面直径0.5mm)を2mmの間隔で縦横に多数配置した器具を用いて不織布表面をバッフィングし、表面の繊維を起毛させ、起毛不織布を作製した。さらに形状が1.0mm×1.0mmの四角形、凹部間距離が3mmに等間隔で配列されたパターンロールと超音波発生ホーンの間を通し、立体加工を行った。これを不織布試験体c2とした。
上記の不織布試験体を用い、下記の測定試験を行った。
Figure 0005827526
上記の結果より、本発明の好ましい実施形態に係る不織布(試験体1,2,3)は、風合いがよく、起毛した繊維群を有するにもかかわらず繊維の脱落量が抑えられており、しかも埃の捕集性に優れることが分かる。
上記実施例で行ったものを含め各評価項目の測定方法は下記のとおりである。
<繊維配向性の測定>
1.サンプルを
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、測定方向(例えば、不織布層厚み方向)が上下となるようにCD方向で切断したサンプルを静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する繊維が30から60本計測できる倍率に調整;50〜300倍)を印刷し、透明PET性上に繊維をなぞった。前記の画像をパソコン内に取り込み、株式会社ネクサス社製のnexusNewQube[商品名](スタンドアロン版)画像処理ソフトウエアを使用し、前記画像を二値化した。次いで、維配向解析プログラムである、Fiber Orientation Analysis 8.13 Single(ソフト名)を用い、前記二値化した画像から、配向角と配向強度を得た。配向角は繊維が最も配向している角度を示し、配向強度はその配向角における強度を示している。配向角が90°に近い値ほど、不織布層厚み方向に繊維が配向していることを示す。また、配向強度の値が大きいほど繊維の向きがそろっていることをあらわす。配向強度が1.05以上の場合を配向しているとする。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの配向角と配向強度とした。なお測定位置は測定部位の中点(半分の厚みの位置)付近とした。具体的な壁部、第1突出部頂部の表面10a、第1突出部頂部の繊維群81、壁部頂部の繊維群82の繊維配向性測定位置、および測定方向を下記に示す(図10参照)。
(i)第1突出部頂部の層内の繊維配向性(D1P=D1Q
測定位置;繊維群81が起毛している第1突出部頂部における、不織布層厚みの中点[Ca]
測定方向:不織布の層厚み方向
算定方法:図10の配向測定角度(試験体c1は任意の箇所、試験体c2は針孔の近傍を測定)
(ii)壁部の層内の繊維配向性(D2P
測定位置;繊維群82が起毛している壁部における、不織布層厚みの中点[Cb]
測定方向:垂線方向(シート厚み方向)
算定方法:図10の配向測定角度
試験体c1,c2は壁部に相当する部分がないため測定不能(−)とした
(iii)壁部の層内の繊維配向性(D2Q
測定位置;繊維群82が起毛している壁部における、不織布層厚みの中点[Cb]
測定方向:不織布の層厚み方向
算定方法:図10の配向測定角度から壁部の起立角度θ(70°)を控除
試験体c1,c2は壁部に相当する部分がないため測定不能(−)とした
(iv)第1突出部頂部の繊維群81の配向性
測定位置;繊維群81における、繊維層厚みの中点[Csa]のある位置
測定方向:不織布層厚み方向
試験体c1は任意の箇所、試験体c2は針孔の近傍を測定
(v)壁部頂部の繊維群82の配向性
測定位置;繊維群82における、繊維層厚みの中点[Csb]のある位置
測定方向:不織布層厚み方向
試験体c1,c2は壁部に相当する部分がないため測定不能(−)とした
<肌触り>
20人のモニターに試験体の表面をシートが見えない状態で触ってもらい、ソフト感、クッション感等の感触を総合的にシートの肌触りとして評価してもらった。評価は下記の5段階の数値で行い、20人の平均値をとった。
5;非常に良い、4;良い、3;普通、2;悪い、1;非常に悪い
数値は大きい程良好な肌触りを示す。
評価結果で4以上であれば、ユーザーに認識され高い評価が得られるレベルである。
<繊維脱落量>
下記の不織布試験法に準じて繊維脱落量を測定した。
(1)試験片の第1層を上向きにして台座に、ガムテープで四辺を止める。
(2)スポンジ(モルトフィルターMF−30)を巻き付けた摩擦板を試験片上にセットする。試験片を押さえプレート(摩擦板)で13g/cmで押圧する。
(3)摩擦板を回転させる。
(正転3回+逆転3回)×15回 (但し、3秒/1回転)
(4)摩擦板を取り外し、スポンジに付着している繊維を粘着テープに付着させる。
(5)繊維の脱落の度合いを下記の3段階で評価した。
A 繊維の脱落が見られない。
B 繊維の脱落がやや見られる。
C 繊維の脱落が多く、綿のかたまり状となっている。
評価結果でB以上であれば、ユーザーに認識され高い評価が得られるレベルである。
<埃の捕集量>
各実施例及び比較例の試験体を清掃具(花王株式会社製のクイックル(登録商標
)ワイパー)のヘッド部に装着した状態で用いて、綿埃モデルダスト(アクリル100%
素材の黒色毛糸を3mm長にカット)を1.0g散布してある12畳のフローリング部屋に対して清掃を行い、清掃後において下記の評価方法によって、捕集性能を評価した。
〔捕集率〕
綿埃についての散布量に対する捕集量の質量比を捕集率とする。
A:捕集率が70%以上
B:捕集率が50%以上、70%未満
C:捕集率が50%未満
なお、複数回の評価においてA,B,Cが混在し決しがたい場合には、ABなどとして評価結果とした。評価結果でAB以上であれば、ユーザーに認識され高い評価が得られるレベルである。
1 第1突出部
11 第1突出部頂部
11a 第1突出部頂部 第1面側
11b 第1突出部頂部 第2面側
1k 第1突出部 内部空間
2 第2突出部
21 第1突出部頂部
21a 第1突出部頂部 第1面側
21b 第1突出部頂部 第2面側
2k 第1突出部 内部空間
3 壁部
6 尾根部
9 突起
10、20、30 清掃用シート
10a 清掃用シート(不織布)表面
19 平板
T シート厚み
S(S,S,S) 層厚み
81、82 起毛した繊維群(起毛繊維群)

Claims (9)

  1. 第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がったシート状の不織布であって、前記壁部は環状構造を形成しており、前記壁部は、前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的にいずれの箇所においても、不織布シートに対する垂線方向に沿った繊維配向性を有しており、前記第1面側及び/又は第2面側の表面の少なくとも一部に起毛した起毛繊維群があり、該起毛繊維群は、不織布シートの、不織布層の厚み方向に沿った繊維配向性を有する不織布。
  2. 前記起毛した起毛繊維群として、前記第1突出部において起毛した頂部起毛繊維群がある請求項1に記載の不織布。
  3. 前記頂部起毛繊維群は不織布の層厚み方向に配向している請求項2に記載の不織布。
  4. 前記起毛した起毛繊維群として、前記壁部において起毛した壁部起毛繊維群がある請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記第1突出部の頂部もしくは壁部においてのみ起毛した頂部起毛繊維群もしくは壁部起毛繊維群がある請求項1に記載の不織布。
  6. 前記頂部起毛繊維群の不織布の層厚み方向に沿った配向性(D1)が、前記壁部起毛繊維群の不織布の層厚み方向に沿った配向性(D2)より高い請求項3に記載の不織布。
  7. 前記起毛した起毛繊維群を不織布の前記第1面側及び第2面側のいずれか一方の表面にのみ有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 前記頂部起毛繊維群の層厚み方向に沿った配向性(D1)について、その配向角(Da1)が50°〜130°であり、配向強度(Dm1)が1.05以上であり、他方、前記頂部起毛繊維群が存在する不織布内部の繊維の垂線方向に沿った配向性(D1P)について、その配向角(Da1P)が0°以上50°未満又は130°超180°以下であるか、あるいはその配向強度(Dm1P)が1.05未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 前記頂部起毛繊維群の繊維の配向角(Da1)が前記壁部起毛繊維群の繊維の配向角(Da2)より5°以上大きく、前記頂部起毛繊維群の繊維の配向強度(Dm1)と前記壁部起毛繊維群の繊維の配向強度(Dm2)の差が0.2以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布。
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