以下の説明では、本発明の様々な実施形態の十分な理解のために、特定の具体的な詳細を記載する。しかし当業者は、これらの詳細なしに本発明が実施され得ることを理解されよう。
状況によって別段必要とされない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という用語及び「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などのその変形は、オープンであり包括的な意味として、すなわち「それに限定されるものではないが、含む(including)」と解釈されるべきである。
本明細書を通して、「一つの実施形態」又は「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特性、構造又は特徴が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所に出現する句「一つの実施形態では」又は「一実施形態では」は、必ずしもすべて同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特性、構造又は特徴は、一つ又は複数の実施形態において、任意の適切な方式で組み合わせることができる。
「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、飽和又は不飽和であり(すなわち、一つ又は複数の二重結合及び/又は三重結合を含有する)、1〜12個の炭素原子を有し、遊離基によって分子の残りに連結している、炭素及び水素だけからなる直鎖又は分岐の二価の炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレン等を指す。アルキレン鎖は、単結合又は二重結合を介して分子の残りに結合しており、単結合又は二重結合を介して遊離基に結合している。アルキレン鎖と分子の残り及び遊離基との結合点は、鎖中の一つの炭素又は任意の二つの炭素を介していてもよい。本明細書で別段具体的に記載されない限り、アルキレン鎖は、場合により置換されていてよい。
「アリール」は、水素、6〜18個の炭素原子及び少なくとも一つの芳香族環を含む炭化水素環系基を指す。本発明の目的では、アリール基は、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であってよく、これには、縮合環又は架橋環系が含まれ得る。アリール基には、それに限定されるものではないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン及びトリフェニレン由来のアリール基が含まれる。本明細書で別段具体的に記載されない限り、用語「アリール」又は接頭辞「ar-」(「アラルキル」にみられるような)は、場合により置換されているアリール基を含むことを意味する。
「シクロアルキル」又は「炭素環式環」は、3〜15個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子を有する縮合環又は架橋環系を含むことができ、飽和又は不飽和であり、単結合によって分子の残りに結合している、炭素原子及び水素原子だけからなる安定な非芳香族単環式又は多環式炭化水素基を指す。単環式基には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれる。多環式基には、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル等が含まれる。本明細書で別段具体的に記載されない限り、シクロアルキル基は、場合により置換されていてよい。
「縮合」は、本発明の化合物における既存の環構造に縮合している、本明細書に記載の任意の環構造を指す。縮合環が、ヘテロシクリル環又はヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環又は縮合ヘテロアリール環の一部になっている既存の環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子で置き換えることができる。
「ハロアルキル」は、先に定義した一つ又は複数のハロ基によって置換されている、先に定義したアルキル基、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチル等を指す。本明細書で別段具体的に記載されない限り、ハロアルキル基は、場合により置換されていてよい。
「ヘテロシクリル」又は「複素環式環」は、2〜12個の炭素原子、並びに窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子からなる安定な3〜18員の非芳香族環基を指す。本明細書で別段具体的に記載されない限り、ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であってよく、これには、縮合環又は架橋環系が含まれ得る。ヘテロシクリル基の窒素、炭素又は硫黄原子は、場合により酸化されていてよく、窒素原子は、場合により四級化されていてよく、ヘテロシクリル基は、部分的又は完全に飽和であってよい。かかるヘテロシクリル基の例には、それに限定されるものではないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキザゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキザゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが含まれる。本明細書で別段具体的に記載されない限り、ヘテロシクリル基は、場合により置換されていてよい。
「N-ヘテロシクリル」は、少なくとも一つの窒素を含有する先に定義したヘテロシクリル基を指し、ヘテロシクリル基と分子の残りの結合点は、そのヘテロシクリル基の窒素原子を介している。本明細書で別段具体的に記載されない限り、N-ヘテロシクリル基は、場合により置換されていてよい。
「ヘテロアリール」は、水素原子、1〜13個の炭素原子、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子、並びに少なくとも一つの芳香族環を含む5〜14員環系の基を指す。本発明の目的では、ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であってよく、これには、縮合環又は架橋環系が含まれ得る。ヘテロアリール基の窒素、炭素又は硫黄原子は、場合により酸化されていてよく、窒素原子は、場合により四級化されていてよい。例には、それに限定されるものではないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル及びチオフェニル(すなわち、チエニル)が含まれる。本明細書で別段具体的に記載されない限り、ヘテロアリール基は、場合により置換されていてよい。
「N-ヘテロアリール」は、少なくとも一つの窒素を含有する先に定義したヘテロアリール基を指し、ヘテロアリール基と分子の残りの結合点は、そのヘテロアリール基の窒素原子を介している。本明細書で別段具体的に記載されない限り、N-ヘテロアリール基は、場合により置換されていてよい。
本明細書で使用される用語「置換されている」は、先の基のいずれかを意味し(すなわち、アルキル、アルキレン、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキル)、この場合、少なくとも一つの水素原子は、それに限定されるものではないが、F、CI、Br及びIなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基及びエステル基などの基における酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基及びスルホキシド基などの基における硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド及びエナミンなどの基における窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基及びトリアリールシリル基などの基におけるケイ素原子;並びに様々な他の基における他のヘテロ原子などの水素ではない原子との結合によって置き換えられている。「置換されている」はまた、一つ又は複数の水素原子が、オキソ、カルボニル、カルボキシル及びエステル基における酸素、並びにイミン、オキシム、ヒドラゾン及びニトリルなどの基における窒素などのヘテロ原子との高次結合(例えば、二重又は三重結合)によって置き換えられている先の基のいずれかを意味する。例えば、「置換されている」は、一つ又は複数の水素原子が、-NRgRh、-NRgC(=O)Rh、-NRgC(=O)NRgRh、-NRgC(=O)ORh、-NRgSO2Rh、-OC(=O)NRgRh、-ORg、-SRg、-SORg、-SO2Rg、-OSO2Rg、-SO2ORg、=NSO2Rg及び-SO2NRgRhで置き換えられている先の基のいずれかを含む。「置換されている」はまた、一つ又は複数の水素原子が、C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-C(=O)NRgRh、-CH2SO2Rg、-CH2SO2NRgRh、-(CH2CH2O)2〜10Rgで置き換えられている先の基のいずれかを意味する。先において、Rg及びRhは、同じか又は異なっており、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキルである。「置換されている」は、一つ又は複数の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキル基との結合によって置き換えられている先の基のいずれかをさらに意味する。水素ではない先の基は、一般に、本明細書では「置換基」と呼ばれる。さらに、先の置換基のそれぞれは、先の置換基の一つ又は複数で場合により置換されていてもよい。
「プロドラッグ」は、生理的条件下で、又は本発明の生物学的に活性な化合物への加溶媒分解によって変換することができる化合物を指すことを意味する。したがって、用語「プロドラッグ」は、薬学的に許容される本発明の化合物の代謝前駆体を指す。プロドラッグは、それを必要としている対象に投与されるときは不活性であり得るが、インビボで本発明の活性な化合物に変換される。プロドラッグは、一般に、例えば血中での加水分解によってインビボで急速に変換され、本発明の親化合物をもたらす。プロドラッグ化合物は、しばしば、哺乳動物において可溶性、組織適合性又は遅延放出の利点をもたらす(Bundgard, H.、Design of Prodrugs(1985年)、7〜9、21〜24頁(Elsevier、Amsterdam)参照)。プロドラッグの議論は、Higuchi, T.ら、A.C.S. Symposium Series、第14巻、及びBioreversible Carriers in Drug Design、Ed. Edward B. Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年に提供されている。
用語「プロドラッグ」はまた、共有結合によって結合した任意の担体を含むことを意味し、この担体は、かかるプロドラッグが哺乳動物の対象に投与されると、インビボで本発明の活性な化合物を放出する。本発明の化合物のプロドラッグは、通例の操作又はインビボのいずれかで、修飾部位が本発明の親化合物へと開裂するようなやり方で、本発明の化合物中に存在する官能基を修飾することによって、調製することができる。プロドラッグは、本発明の化合物のプロドラッグが哺乳動物の対象に投与されると開裂して、それぞれ遊離ヒドロキシ、遊離アミノ又は遊離メルカプト基を形成する任意の基に、ヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基が結合している本発明の化合物を含む。プロドラッグの例には、それに限定されるものではないが、本発明の化合物のアルコールの酢酸、ギ酸及び安息香酸誘導体、又はアミン官能基のアミド誘導体等が含まれる。
本明細書に開示の本発明はまた、開示の化合物のインビボ代謝産物を包含することを意味する。かかる産物は、主に酵素的過程に起因して、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化等から生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物の代謝産物を得るのに十分な期間にわたって、哺乳動物に本発明の化合物を投与するステップを含む方法によって産生された化合物を含む。かかる産物は、一般に、本発明の放射標識化合物を、ラット、マウス、モルモット、サルなどの動物又はヒトに検出可能な用量で投与し、代謝が生じるのに十分な時間を確保し、尿、血液又は他の生物学的試料からその変換産物を単離することによって同定される。
「哺乳動物」には、ヒト、並びに実験動物及び家庭用ペットなどの飼育動物(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)と、野生動物などの非飼育動物の両方が含まれる。
「任意選択の」又は「場合により」は、それに続いて述べられる事象又は環境が生じても生じなくてもよく、前記事象又は環境が生じる場合と、生じない場合を、その記載が含むことを意味する。例えば、「場合により置換されているアリール」は、そのアリール基が置換されていても、置換されていなくてもよく、置換されているアリール基と、置換されていないアリール基の両方を、その記載が含むことを意味する。
「薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤」には、それに限定されるものではないが、ヒト又は飼育動物における使用が許可されるものとして米国食品医薬局によって承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、香味強化剤(flavor enhancer)、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒又は乳化剤が含まれる。
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にも他の方法でも望ましい塩を指し、それらの塩は、それに限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及びそれに限定されるものではないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、ショウノウ-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロット酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸を用いて形成される。
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にも他の方法でも望ましい塩を指す。これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を、遊離酸に付加することによって調製される。無機塩基由来の塩には、それに限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等が含まれる。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。有機塩基由来の塩には、それに限定されるものではないが、第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
しばしば結晶化によって、本発明の化合物の溶媒和物が生成される。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物の一つ又は複数の分子と、溶媒の一つ又は複数の分子を含む凝集体を指す。溶媒は水であってよく、その場合、溶媒和物は水和物であり得る。或いは、溶媒は有機溶媒であり得る。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物等を含む水和物、並びに対応する溶媒和物形態として存在することができる。本発明の化合物は、真の溶媒和物であってよく、他の場合には、本発明の化合物は、偶発的に生じる水だけを保持することができ、又は水と、偶発的に生じるいくらかの溶媒との混合物であってよい。
「医薬組成物」は、本発明の化合物と、哺乳動物、例えばヒトに生物学的に活性な化合物を送達するのに当技術分野で一般に許容されている媒体の製剤を指す。かかる媒体には、製剤用の薬学的に許容されるすべての担体、希釈剤又は賦形剤が含まれる。
「有効量」又は「治療有効量」は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与されると、リン酸輸送を阻害し、ナトリウム媒介性リン酸取込みを阻害し、血清PTH、カルシウム、カルシトリオール及びリン酸の濃度又はレベルを低減し、哺乳動物、好ましくはヒトにおける腎疾患を治療し、又は高リン酸血症を治療するのに十分な、本発明の化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する本発明の化合物の量は、化合物、状態及びその重症度、投与方式、並びに治療を受ける哺乳動物の年齢に応じて決まることになるが、当業者自身の知識及び本開示を考慮して、当業者によって通例的に決定され得る。
「治療する」又は「治療」は、本明細書で使用される場合、対象となる疾患又は状態を有する哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、対象となる疾患又は状態を治療することを包含し、それには、
(i)特に哺乳動物が、ある状態を有していると診断されていなくても、その状態に罹患しやすい場合に、かかる哺乳動物において疾患若しくは状態が生じるのを防止すること、
(ii)疾患若しくは状態を阻害する、すなわちその発生を抑止すること、
(iii)疾患若しくは状態を軽減する、すなわち疾患若しくは状態の退行を引き起こすこと、又は
(iv)疾患若しくは状態から生じる症状を軽減する、すなわち根本的な疾患若しくは状態に対処することなく疼痛を軽減すること
が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「疾患」及び「状態」は、交換可能に使用することができ、又は特定の病弊若しくは状態が、公知の原因因子を有しておらず(したがって、その病因がまだ解明されていない)、したがって疾患としてはまだ認識されていないが、望ましくない状態若しくは症候群としてのみ認識されている(一連の多少の具体的な症状が、臨床医によって既に同定されている)という点で異なっていてもよい。
本発明の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩は、一つ又は複数の不斉中心を含有することができ、したがって鏡像異性体、ジアステレオマー、並びに絶対立体化学については(R)-若しくは(S)-として、又はアミノ酸については(D)-若しくは(L)-として定義され得る他の立体異性体を生じ得る。本発明は、すべてのかかる可能な異性体、並びにそれらのラセミ形態及び光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学的に活性な(+)及び(-)、(R)-及び(L)-、又は(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製することができ、又は従来技術、例えばクロマトグラフィー及び分別結晶化を使用して分解することができる。個々の鏡像異性体の調製/単離に関する従来技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(又は塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。本明細書に記載の化合物が、オレフィン二重結合又は幾何学的不斉の他の中心を含有する場合、別段特定されない限り、化合物は、E及びZ幾何異性体の両方を含むものとする。同様に、すべての互変異性体の形態も含まれるものとする。
「立体異性体」は、同じ結合によって結合した同じ原子から構成されているが、相互変換不可能な異なる3次元構造を有する化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体及びその混合物を企図し、「鏡像異性体」を含み、この鏡像異性体とは、分子が互いに重ね合わせることができない鏡像になっている二つの立体異性体を指す。
本開示によれば、高いリン酸血清レベルを有する患者の腸からのリン酸吸収は、腸内のリン酸取込みを媒介する腸管輸送系を阻害することによって制限され、好ましくは実質的に防止され得ることが発見された。この阻害は、有利には、化合物が血流にほとんど又は実質的に全く吸収されないように設計され得る(すなわち、化合物は、全身性ではなく、又は実質的に全身性ではないように設計される)、特定の化合物及び/又はそれらの化合物を含む医薬組成物を投与することによって達成され得る。かかる化合物は、一般に「Ardelyx Rules」に従うものと説明される。これに関して、該化合物は、全身利用能をほとんど生じず、又は実質的に全く生じない特徴を有する。換言すれば、該化合物は、血流内に有意義なレベルまでは吸収されず、したがって血流では活性をもたないが、その代わりに実質的にGI管内にそれらの活性が局在化する。
したがって、本明細書にさらに記載の特定の例示的な実施形態では、本発明の化合物は、一般に、GI管におけるそれらの活性及び/又はそれらの実質的な非全身性生体利用能に関係又は寄与する構造的及び/又は機能的特徴の組合せを必要とする。かかる特徴には、例えば、(i)具体的なtPSA及び/若しくはMW値(例えば、それぞれ少なくとも約190Å2及び/若しくは少なくとも約736ダルトン)、(ii)投与後の化合物及び/若しくはその代謝産物の糞便回収による具体的なレベル(例えば、72時間で50%超)、(iii)NH及び/若しくはOH及び/若しくは潜在的な水素結合供与体部分の具体的な数(例えば、約5超)、(iv)回転可能な結合の具体的な数(例えば、約5超)、(iv)具体的な透過性の特徴(例えば、Papp約100×10-6cm/s未満)の一つ若しくは複数;並びに/又は本明細書に記載のいくつかの他の特性及び特徴のいずれかが含まれ得る。
本発明の化合物は、GI管及び他の障害の治療に数々の利点をもたらす。例えば、本化合物は、腸内の頂端に位置するリン酸輸送体に対して活性であり、他の組織及び器官において発現する他のリン酸輸送体には本質的に及ばない。例えば、NaPi2b輸送体は、腸管の腸細胞の頂端膜において主に発現するが、唾液腺、乳腺、肺、腎臓、膵臓、卵巣、前立腺、精巣及び肝臓にも見出される(Feildら、1999年、Biochem Biophys Res Commun、v. 258、no. 3、578〜582頁;Baiら、2000年、Am J Physiol Cell Physiol、v. 279、no. 4、C1135〜C1143頁;Virkkiら、2007年、Am J Physiol Renal Physiol、v. 293、no. 3、F643〜F654頁)。肺胞微石症(PAM)を有する患者における、ゲノムワイド単一ヌクレオチド多型分析によって、変異NaPi2b遺伝子と、微小石灰が肺胞空間内に形成される障害との間の関連が明らかになった。肺のNaPi2bのホモ接合性の不活化変異も、PAMの病態生理学に関与するとされた(Huqunら、2007年、Am J Respir Crit Care Med、v. 175、no. 3、263〜268頁)。このヒト研究と一致して、NaPi2bコンディショナルノックアウトマウスにおいて石灰化小結節が明らかとなったが、NaPi2b欠失後の野生型動物では、明らかにならなかった。それとは対照的に、腎臓及び回腸試料の分析では、Npt2bの欠失に関連する病理学的異常は明らかにならなかった(Sabbaghら、2009年、J Am Soc.Nephrol.、20:2348〜2358頁)。
本発明の本質的に非全身性のNaPi2b阻害剤は、NaPi2bの肺機能を妨害せず、したがって、潜在的な肺毒性は最小限に抑えられる。さらに、本発明の化合物を投与することができる特定の患者集団は、腎機能低下に続発する腎臓クリアランス率の制限を有していると予期される。したがって、化合物の排出経路に腎臓クリアランスがいくらか寄与する全身性化合物は、血漿内に蓄積し、慢性腎疾患の患者において望ましくない副作用をもたらすおそれがある(Sica、2008年、J Clin Hypertens.(Greenwich.)、v. 10、no. 7、541〜548頁)。本発明の化合物は、それらの全身利用能が制限されているため、これらの問題を生じることはない。
以下にさらに詳説する通り、腸上部におけるリン酸吸収は、リン酸吸収をナトリウム吸収と結びつける運搬体媒介型機構によって少なくとも部分的に媒介される。したがって、腸管のリン酸輸送を阻害することは、身体のリン過負荷を低減することになる。進行腎疾患(例えばステージ4及び5)の患者では、身体のリンの過負荷は、正常レベルを超える血清リン酸濃度、すなわち高リン酸血症をそれ自体呈する。高リン酸血症は、死亡率及び罹患率に直接関係している。腸管のリン酸輸送を阻害することによって、血清リン酸濃度が低下し、したがってその患者の予後が改善される。ステージ2及び3の慢性腎疾患の患者では、身体のリンの過負荷は、必ずしも高リン酸血症には至らず、すなわち患者は正常リン酸血性のままであるが、その初期段階であっても、関連する骨及び血管の障害を回避し、最終的には死亡率を改善するために、身体のリンの過負荷を低減する必要がある。同様に、腸管のリン酸輸送の阻害は、腸からのリン酸の取込みを阻害することによって治療できる疾患を有する患者において、特に有用になる。腎臓内の糸球体濾液からのリン酸吸収を阻害することも、慢性腎不全を治療するのに有用となり得る。さらに、リン酸輸送を阻害することによって、腎不全の進行を緩徐し、心血管事象の危険性を低減することもできる。
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、一般に脊椎動物では、リン酸(Pi)輸送体は、Na/K ATPase輸送体によって確立されるNa+イオンの内向き方向の電気化学的勾配を使用して、Piの流入を推進すると考えられる。これらの輸送体は、名称I型、II型及びIII型の三つの別個の無関係なPi輸送体タンパク質に分類される。NaPiのI型輸送体は、主に近位及び遠位腎尿細管に発現するNaPi-Iを含む。NaPiのII型輸送体は、NaPi2a、NaPi2b及びNaPi2cを含む。NaPi2aは、近位腎尿細管の頂端膜に局在化するが、ラット脳、破骨細胞及び骨芽細胞様の細胞にも検出されている。NaPi2bは、腸細胞の頂端膜に発現するが、肺、結腸、精巣及び肝臓にも見出されている(例えば、Virkki, L.V.ら、Phosphate Transporters:A Tale of Two Solute Carrier Families、Am. J. Physiol. Renal. Physiol.、293(3):F643〜54頁(2007年)参照)。III型のNaPi輸送体は、PiT-1及びPiT-2を含み、これらは現在、骨のPi代謝及び血管石灰化において重要な役割を果たすものとして浮上している。
NaPi2aは、腎近位尿細管におけるPiの再吸収を制御することによって、リンの恒常性において非常に重要な役割を果たすと思われる。このことは、高リン酸尿症及び低リン酸血症を発症するNaPi2aのKOマウスで例証される。NaPi2bは、小腸内の経上皮吸収に関与すると思われ、食事性のPi及びビタミンD(カルシトリオール(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール))によって調節される。NaPi2cは、腎尿細管及び他の組織に発現する(例えば、Virkki、L.V.ら、Id.参照)。
NaPi2a及びNaPi2bの基本的な輸送機構は、同じであり(例えば、Murer, H.ら、Proximal Tubular Phosphate Reabsorption:Molecular Mechanisms、Physiol. Rev.、80(4):1373〜409頁(2000年)参照)、共に約3:1の化学量論のNa+:HPO4 2-で起電性があり、このことは、3個のNa+が、1個のリン酸アニオンと共に輸送されることを意味する。転位置したさらなるNaカチオンは、K/Na ATPase活性輸送体を介して側底膜上に排出されて、細胞の極性化を保存する。腎臓Pi輸送体NaPi2aの活性は、食事性のPiが低いことに応答して腎臓内で増大する(例えば、Murerら、Id.参照)。このことは、腎尿細管の頂端膜上の輸送体の発現が増大することから生じる。組織化学的分析では、「動員」現象が示唆されている。それとは対照的に、I型Na-Pi輸送体は、食事性のPの変化に応答しないことに留意すべきである。NaPi2aの発現の変化に並行して、副甲状腺ホルモンPTHの血漿濃度の変化が生じるが、その逆も同じである(例えば、ラットへのPTHの注射は、刷子縁膜輸送体の含量を数分以内に低減する)。酸-塩基の変化も、NaPi2aの発現を変え得る。ラットにおける慢性の代謝的アシドーシスは、NaPi2aタンパク質及びmRNA含量を著しく低減する。同じことが、5/6th腎摘除によって誘発されたCKDラットで観測される。頂端のNaPi2a輸送体の調節には、複合膜修復及び再挿入機構が含まれる。輸送活性の制御は、管内及び細胞内のpH、膜電位差、並びに翻訳後修飾の変化によっても制御され得る。
「実質的に全身的に生体利用不可能な」及び/又は「実質的に不透過性である」(並びにその変形)は、本明細書で使用される場合、一般に、本開示の化合物の統計的に有意な量が、いくつかの実施形態では本質的にすべてが、胃腸管腔内に残存する状況を指す。例えば、本開示の一つ又は複数の実施形態によれば、化合物の好ましくは少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%又はさらには約99.5%が、胃腸管腔内に残存する。かかる場合、胃腸管腔への局在化とは、例えば経細胞及び傍細胞輸送の両方、並びに能動及び/又は受動輸送によって上皮細胞の胃腸管層を横切る正味の移動が低下することを指す。かかる実施形態の化合物は、例えば、小腸の上皮細胞の頂端膜を介する、経細胞輸送における胃腸管上皮細胞層の正味の透過が妨害される。これらの実施形態の化合物は、管腔内側に並ぶ胃腸管上皮細胞間の、傍細胞輸送の「密着結合」を介する正味の透過も妨害される。
これに関して特定の一実施形態では、本化合物は、本質的にGI管又は胃腸管腔によって全く吸収されないことに留意すべきである。本明細書で使用される場合、用語「実質的に不透過性である」又は「実質的に全身的に生体利用不可能な」は、検出可能な化合物の吸収又は透過又は全身曝露の量が、一般に当技術分野で公知の手段を使用しても検出されない実施形態を指す。
しかしこれに関して、代替の実施形態では、「実質的に不透過性である」又は「実質的に全身的に生体利用不可能な」は、GI管、より具体的には腸上皮において、いくらか制限された吸収をもたらすか、又は生じさせる(例えば、少なくとも約0.1%、0.5%、1%又はそれ以上、及び約30%、20%、10%、5%未満などのいくらか検出可能な吸収量であり、吸収の範囲は、例えば約1%及び30%の間、又は5%及び20%の間である)ことにさらに留意すべきであり、換言すれば、「実質的に不透過性である」又は「実質的に全身的に生体利用不可能な」は、投与した化合物の約20%未満(例えば、約15%、約10%、又はさらには約5%未満であり、例えば0.5%又は1%を超える)が、GI管の細胞上皮層に対していくらか検出可能な透過性を示すが、後に肝臓(すなわち、肝抽出)及び/又は腎臓(すなわち、腎排出)によって除去される化合物を指す。
これに関して、特定の実施形態では、本発明の化合物の実質的な不透過性及び/又は実質的な全身性の非生体利用能に起因して、本発明の化合物の約50%、60%、70%、80%又は90%超が、例えば、本化合物を必要としている患者に投与された後、24、48又は72時間にわたって糞便から回収可能であることに、さらに留意すべきである。これに関して、回収される化合物は、親化合物、及びその親化合物から、例えば加水分解、共役、還元、酸化、N-アルキル化、グルクロン酸抱合、アセチル化、メチル化、硫酸化、リン酸化、又は親化合物に原子を付加するか、若しくは親化合物から原子を除去する任意の他の修飾によって導出される代謝産物のすべてを含み得ることが理解され、この場合、代謝産物は、消化環境に存在するときに、任意の酵素作用、又はpH、温度、圧力若しくは食物との相互反応を含む任意の生理的環境への曝露によって発生する。化合物及び代謝産物の糞便回収の測定は、標準の方法を使用して実施することができる。例えば、化合物は、適切な用量(例えば、10mg/kg)で経口投与することができ、次に、投与後の所定の時間(例えば、24時間、48時間、72時間)に糞便を収集する。親化合物及び代謝産物は、有機溶媒で抽出し、質量分析を使用して定量的に分析することができる。親化合物及び代謝産物の質量平衡分析(親=M、代謝産物1[M+16]及び代謝産物2[M+32]を含む)を使用して、糞便における回収率(%)を決定することができる。
特定の好ましい実施形態では、本発明のリン酸輸送阻害剤は、Na/リン酸共輸送のリン酸に対する競合阻害剤ではない。他の特定の好ましい実施形態では、本発明のリン酸輸送阻害剤は、非競合阻害剤である。非競合阻害剤は、局所的リン酸濃度に関わらず、それらの阻害度を維持する。この特徴は、食事性リン酸の局所的濃度が10mMもの高濃度に達し得る食後状態において、腸管輸送を効率的に遮断する上で重要な側面である。競合阻害剤は、局所的リン酸濃度に対して感度が高すぎ、高リン含量の食事後のリン酸の取込みを遮断することができないと思われる。リン酸輸送阻害剤が非競合的であるか、又は競合的であるかを決定するために、様々な方法が利用可能である。例えば、リン酸取込みアッセイを実施することができ、異なるリン酸濃度における化合物のIC50値を決定することができる(例えば、「Enzyme kinetics」、I.Segel、1975年、John-Wiley & Sons、123頁)。非競合阻害剤のIC50値は、リン酸濃度に対して同じ又は類似したままであるが、競合阻害剤のIC50値は、リン酸濃度が増大するにつれて増大する(すなわち効力を喪失する)。
いくつかの実施形態では、例えば、本開示の実質的に不透過性であるか、又は実質的に全身的に生体利用不可能なリン酸輸送阻害化合物は、以下の特徴の一つ又は複数を特徴とするように構築することができる。(i)約500Da、約1000Da、約2500Da、約5000Da、約10,000Da若しくはそれを超えるMW(化合物の非塩形態)、(ii)約5、約10、約15若しくはそれを超えるNH及び/若しくはOH及び/若しくは他の潜在的な水素結合供与体の総数、(iii)約5、約10、約15若しくはそれを超えるO原子及び/若しくはN原子及び/若しくは他の潜在的な水素結合受容体の総数、(iv)約105を超えるMoriguchi分配係数(すなわち、約5、約6、約7等を超えるLog P)、若しくは約10未満のMoriguchi分配係数(すなわち1未満、又はさらには0未満のLog P)、並びに/又は(v)約5、約10若しくは約15若しくはそれを超える回転可能な結合の総数。
(Ertlら、J. Med. Chem.、2000年、43:3714〜3717頁より)。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の化合物が実質的に不透過性であるか、又は実質的に全身的に生体利用不可能である(本明細書の他所に定義される通り)ように、約100Å2、約120Å2、約130Å2又は約140Å2、ある場合には約150Å2、約160Å2、約170Å2、約180Å2、約190Å2、約200Å2、約225Å2、約250Å2、約270Å2、約300Å2、約350Å2、約400Å2、約450Å2、約500Å2、約750Å2、又はさらには約1000Å2を超えるtPSAを示すように、該化合物を構築することができる。
リピンスキーの「法則」又はtPSAモデルには例外があるので、本開示の化合物の透過特性を実験的にスクリーニングすることができる。例えば、Caco-2細胞透過性アッセイ、及び/又は胃腸管上皮細胞のモデルとして人工膜を使用することを含む当業者に公知の方法によって、透過係数を決定することができる。胃腸管粘膜の正味の透過特性を模倣する、例えばレシチン及び/又はドデカンを含浸させた合成膜を、胃腸管粘膜のモデルとして利用することができる。この膜を使用して、本開示の化合物を含有する区画を、浸透速度がモニタされる区画から分離することができる。また、平行人工膜透過性アッセイ(PAMPA)を実施することができる。かかるインビトロ測定法は、インビボでの実際の透過性を合理的に示すことができる(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Wohnslandら、J. Med. Chem.、2001年、44:923〜930頁;Schmidtら、Millipore Corp. Application Note、2002年、n°AN1725EN00及びn°AN1728EN00参照)。
上記の通り、本開示によれば、リン酸輸送阻害剤を改変して、腸上皮細胞層を介するそれらの正味の吸収を阻害して、実質的に全身的に生体利用不可能にすることができる。いくつかの特定の実施形態では、本開示の化合物は、化合物全体を実質的に不透過性にするか、又は実質的に全身的に生体利用不可能にするオリゴマー部分、ポリマー部分、疎水性部分、親水性部分、及び/又は荷電部分であり得る非吸収性部分に連結、カップリング又は別の方法で結合しているリン酸輸送阻害剤を含む。いくつかの好ましい実施形態では、得られる分子が実質的に不透過性であるか、又は実質的に全身的に生体利用不可能であるように、リン酸輸送阻害剤を、マルチマー又はポリマー部又は部分にカップリングさせる。マルチマー又はポリマー部又は部分は、約500ダルトン(Da)、約1000Da、約2500Da、約5000Da、約10,000Da又はそれを超える分子量のものであってよく、特に約1000ダルトン(Da)〜約500,000Da、好ましくは約5000〜約200,000Daの範囲の分子量を有することができ、より好ましくは、該化合物の腸上皮細胞層を介する任意の正味の吸収を本質的に防止するのに十分高い分子量を有することができる。これら又は他の特定の実施形態では、リン酸輸送阻害剤は、腸上皮細胞層を介するその正味の吸収を実質的に妨害するように改変される。
この効果は、腸上皮細胞の腸管頂端側におけるリン酸輸送タンパク質への化合物の密な結合の結果と解釈することができる。この結合は、化合物を腸上皮細胞と接触させ、次いで前記腸上皮細胞を洗浄除去した後もまだ、リン酸輸送のフラックスが化合物なしの対照よりも著しく低い程度まで準不可逆的であるとみなすことができる。この持続的阻害効果は、上部GI管における活性物質の滞留時間が短い場合でも、また腸-胆管再循環過程が作用部位の近くで化合物濃度を補充するのに有効でない場合でも、GI管内の薬物活性を維持するという明確な利点を有する。
持続的効果を、インビトロ法を用いて決定することができる。ある例では、リン酸輸送因子を発現する細胞株を、異なるバイアルに分割し、リン酸輸送阻害化合物及びリン酸溶液で処理して、リン酸取込み速度を測定する。一組のバイアル中の細胞を、異なる時間にわたって洗浄して、阻害剤を除去し、洗浄後にリン酸取込みの測定を反復する。複数回/長時間の洗浄ステップ後でも阻害効果を維持する化合物(洗浄を行わないバイアル中で測定された阻害効果と比較する)は、持続的阻害剤である。持続的効果は、反転腸管技術を使用し、それによって阻害剤を含有する溶液で灌流させたGIの切除断片を使用してリン酸輸送をモニタし、その直後に阻害剤を含まないバッファー溶液で浴液を洗い流すことによって、エクスビボで特徴付けることもできる。また、阻害剤処理を中断した場合にリン酸の均衡が正常に戻るのに要する時間を観察することによって、持続的効果をインビボで特徴付けることもできる。該方法の限界は、頂端細胞(したがって、頂端リン酸輸送因子)が、腸上皮細胞の一般的な代謝回転時間である3〜4日間後に剥がれ落ちるということにある。腸上皮細胞の頂端表面における活性化合物の滞留時間を増大することによって、持続的効果を達成することができる。このことは、小分子又はオリゴマー内に構築されるいくつかのリン酸輸送阻害部分(「いくつか」は、本明細書で使用される場合、一般に少なくとも約2個、約4個、約6個又はそれ以上を意味する)を用いてリン酸輸送阻害剤を設計することによって得ることができる。抗生物質であるバンコマイシンの類似体の状況におけるかかる構造の例は、Griffinら、J. Am. Chem. Soc、2003年、125、6517〜6531頁に記載されている。或いは、該合物は、腸上皮細胞表面との接触時間を延長するために、腸上皮細胞に対する親和性を増大するのに寄与する基を含む。かかる基は、「粘膜付着性」と呼ばれる。より具体的には、コア又はL部分を、ポリアクリレート、部分的に脱アセチル化されたキトサン又はポリアルキレングリコールなどのかかる粘膜付着性基によって置換することができる(Patil、S.B.ら、Curr. Drug. Deliv.、2008年、Oct. 5(4)、312〜8頁参照)。
本開示の方法において利用される化合物はまた、好ましくは、腸の細菌叢による代謝に対して抵抗性がある。すなわち、該化合物は、細菌叢により産生される酵素の基質ではない。さらに、本開示の方法に従って投与される化合物は、胃腸管細菌叢に対して実質的に不活性であってよく、細菌の増殖又は生存を中断しない。結果として、本明細書の様々な実施形態では、GI細菌叢に対する最小阻害濃度(又は「MIC」)は、望ましくは約15μg/ml、約30μg/ml、約60μg/ml、約120μg/ml、又はさらには約240μg/mlを超え、様々な実施形態では、MICは、例えば約16〜約32μg/ml又は約64〜約128μg/ml又は約256μg/mlを超える。
医薬品化学の当業者にとって、代謝安定性はいくつかの方法で達成され得る。P450媒介性の酸化を受けやすい官能基は、例えば、ハロゲン又は他の官能基を用いて代謝点を遮断することによって保護することができる。或いは、電子求引基を共役系に付加して、化合物の求電子性を低下することによって酸化に対する保護を一般に提供することができる。二次アミド結合を回避することによって、又は立体化学の変化を組込むことによって、若しくはそうでなければ薬物が代謝酵素により基質と認識されることを防止する他の改変によって、タンパク質分解性安定性を達成することができる。
さらに又は或いは、本開示の様々な実施形態では、本明細書に詳述される化合物の一つ又は複数は、それを必要としている患者に、単独で、又は一つ若しくは複数のさらなる薬学的に活性な化合物若しくは作用物質と組み合わせて投与される場合、約10ng/ml、約7.5ng/ml、約5ng/ml、約2.5ng/ml、約1ng/ml又は約0.5ng/ml未満のCmaxを有することができ、そのCmaxは、例えば約1ng/ml〜約10ng/ml又は約2.5ng/ml〜約7.5ng/mlの範囲にあることにも留意すべきである。
さらに又は或いは、本開示の様々な実施形態では、本明細書に詳述される化合物の一つ又は複数は、それを必要としている患者に、単独で、又は一つ若しくは複数のさらなる薬学的に活性な化合物若しくは作用物質と組み合わせて投与される場合、約10μM、約7.5μM、約5μM、約2.5μM、約1μM又は約0.5μM未満のIC50を有することができ、そのIC50は例えば0.5μM〜約10μM又は約0.5μM〜約7.5μM又は約0.5μM〜約5μM又は約0.5μM〜約2.5μMの範囲にあることにも留意すべきである。
さらに又は或いは、本開示の様々な実施形態では、本明細書に詳述される化合物の一つ又は複数は、それを必要としている患者に投与される場合、少なくとも約10、約50、約100、約250、約500、約750又は約1000のIC50:Cmax比(IC50及びCmaxは同じ単位で表される)を有し得ることにも留意すべきである。
さらに又は或いは、本明細書に詳述される化合物の一つ又は複数が、それを必要としている患者に治療上の範囲又は濃度内で経口投与される本開示の様々な実施形態では、Cmaxと定義される、血清中に検出される最大化合物濃度は、前記化合物のNaPi2b阻害濃度IC50より低いことにも留意すべきである。前述の通り、本明細書で使用される場合、IC50は、細胞系アッセイにおいてNaPi2b輸送活性の50%を阻害するのに必要な化合物の濃度を示す定量的尺度と定義される。
本発明の化合物又は組成物は、胃腸管においてリン酸の取込みを阻害することによって利益が得られる患者の任意の疾患又は他の状態を本質的に治療する方法において、使用することができる。
例えば説明として、それに限定されるものではないが、腎臓の損傷は、腎臓1-アルファヒドロキシラーゼの産生及び活性を低下させ、1,25-ジヒドロキシビタミンDを低減する。ビタミンDレベルが低下すると、胃腸管のカルシウム吸収が制限され、血清カルシウムレベルが低下する。1,25-ジヒドロキシビタミンDの低下及び血清カルシウムレベルの低下の組合せによって、副甲状腺組織が相乗的に刺激されて、PTHが産生され、分泌される。ネフロンの喪失も、Piの排出を損なうが、血清Pレベルは、PTH及びFGF-23の作用によって、並びにより高い血清Pレベルによって活発に防御され、これによって尿中PO4排出がかなり増強される。しかし、PTH及びFGF-23の尿細管作用は、継続的なネフロン喪失に直面すると、血清Pレベルを維持することができない。腎機能の約40〜50%が喪失するまで腎不全が進行すると、機能する腎臓組織の量の減少によって、恒常性を維持するのに必要な、経口摂取されたリン酸の全量の排出が行われなくなる。結果として、高リン酸血症が発症する。さらに、血清Pレベルの上昇は、腎臓1-アルファヒドロキシラーゼ活性を妨害し、活性化ビタミンDレベルをさらに抑制し、PTHをさらに刺激し、二次性副甲状腺機能亢進症(sHPTH)をもたらす。
しかしリンの不均衡は、必ずしも高リン酸血症と同一ではない。実際、まだ透析していないCKD患者のほとんどは、正常リン酸血性であるが、リンの均衡が正となり、過剰のリンが、異所性石灰化、例えば内膜に局在化する血管石灰化の形態で脈管構造内に廃棄される。臨床的には、CKDの患者は、腎機能の悪化及びカルシトリオールレベルの低下に著しく関連する高レベルのFGF-23を有し、FGF-23の合成は、腎不全に続く体内の過剰のPの存在によって誘発されると仮定された。
さらに、心血管疾患に対する認識されていない効果が、食後のリン酸血症、すなわち食事の摂取に続く血清Pの可動域である。またさらに、いくつかの研究では、インビトロ及びインビボでの内皮機能に対するリンの負荷の急性効果が調査されている。大動脈内皮細胞をリンの負荷に曝露すると、活性酸素種の生成が増大し、公知の血管拡張物質である一酸化窒素が低下した。前述の健康なボランティアにおけるPの急性負荷研究では、流量依存性拡張が、食後の血清Pと逆相関していることが見出された(Shutoら、2009b、J.Am.Soc.Nephrol.、v. 20、No. 7、1504〜1512頁)。
したがって、特定のより具体的な実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、(a)高リン酸血症を治療する方法、(b)腎疾患(例えば、慢性腎疾患又は末期腎疾患)を治療する方法、(c)透析する時間を遅延する方法、(d)内膜に局在化する血管石灰化を減弱する方法、(e)活性ビタミンDの高リン酸血作用を低減する方法、(f)FGF23レベルを低減する方法、(g)副甲状腺機能亢進症を減弱する方法、(h)食後の血清リン酸によって誘発される内皮機能障害を改善する方法、(i)尿中リン酸を低減する方法、(j)血清リンレベルを正常化する方法、(k)タンパク尿を治療する方法、並びに(l)血清PTH、カルシウム、カルシトリオール及び/又はリン酸濃度又はレベルを低減する方法からなる群から選択される方法で使用することができる。
本発明の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、純粋形態で又は適切な医薬組成物で投与することは、類似の有用性をもたらすための、作用物質の許容される投与方法のいずれかによって実施することができる。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を、適切な薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせることによって調製することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒、軟膏、溶剤、坐剤、注射、吸入剤、ゲル、ミクロスフェア及びエアロゾルなどの、固体、半固体、液体又は気体形態の調製物に製剤化することができる。かかる医薬組成物の一般的な投与経路には、それに限定されるものではないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、直腸、膣内及び鼻腔内が含まれる。本明細書で使用される場合、この非経口という用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術が含まれる。本発明の医薬組成物は、この組成物を患者に投与する際に生体利用可能となる活性成分を含有するように製剤化される。対象又は患者に投与されることになる組成物は、一つ又は複数の投与単位の形態をとり、例えば、錠剤は、単回投与単位であってよく、エアロゾル形態の本発明の化合物の容器は、複数の投与単位を保持することができる。かかる剤形の実際の調製方法は、当業者に公知であり、又は明らかとなろう。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science、2000年)参照。投与される組成物は、本発明の教示に従って対象となる疾患又は状態を治療するために、いずれにしても治療有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含有する。
本発明の医薬組成物は、固体又は液体の形態であってよい。一態様では、組成物が、例えば錠剤又は散剤形態となるように、担体(複数可)は微粒子である。担体(複数可)は液体であってもよく、その場合、該組成物は、例えば経口シロップ、注射可能な液体、又は例えば吸入投与に有用なエアロゾルである。
経口投与が企図される場合、医薬組成物は、好ましくは固体又は液体形態のいずれかであり、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態は、本明細書で固体又は液体のいずれかとしてみなされる形態に含まれる。
経口投与用の固体組成物として、医薬組成物は、散剤、顆粒、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、ウェーハ等の形態に製剤化することができる。かかる固体組成物は、一般に、一つ又は複数の不活性希釈剤又は食用担体を含有する。さらに以下の、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントガム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトース又はデキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、トウモロコシデンプンなどの崩壊剤等;ステアリン酸マグネシウム又はSterotexなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香味などの香味剤、並びに着色剤の一つ又は複数が存在することができる。
医薬組成物がカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態である場合、該医薬組成物は、先の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコール又は油などの液体担体を含有することができる。
医薬組成物は、液体、例えばエリキシル、シロップ、溶液、エマルション又は懸濁液の形態であり得る。液体は、二つの例として、経口投与用、又は注射による送達用であり得る。経口投与が企図される場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、保存剤、色素/着色剤及び香味強化剤の一つ又は複数を含有する。注射投与を企図される組成物では、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤及び等張剤の一つ又は複数が含まれ得る。
本発明の液体医薬組成物は、溶液、懸濁液又は他の類似の形態であろうとなかろうと、以下のアジュバントの一つ又は複数を含むことができる。注射用の水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンガー溶液、等張塩化ナトリウムなどの滅菌希釈剤、溶媒又は懸濁化媒体として働くことができる合成モノ又はジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの緩衝剤、並びに塩化ナトリウム又はデキストロースなどの浸透圧調整剤。非経口調製物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は複数用量のバイアルに封入することができる。生理食塩水が、好ましいアジュバントである。注射可能な医薬組成物は、好ましくは滅菌されている。
本発明の医薬組成物は、局所投与を企図することができ、この場合、担体は、適切には溶液、エマルション、軟膏又はゲル基剤を含むことができる。基剤は、例えば以下の、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水及びアルコールなどの希釈剤、並びに乳化剤及び安定剤の一つ又は複数を含むことができる。増粘剤は、局所投与用の医薬組成物中に存在することができる。経皮投与を企図される場合、該組成物は、経皮パッチ又はイオン導入装置を含むことができる。
本発明の医薬組成物は、例えば直腸で溶融し、薬物を放出することになる坐剤の形態で、直腸投与を企図することができる。直腸投与用の組成物は、油性基剤を、適切な非刺激性の添加剤として含有することができる。かかる基剤には、それに限定されるものではないが、ラノリン、カカオバター及びポリエチレングリコールが含まれる。
本発明の医薬組成物は、固体又は液体投与単位の物理的形状を改変する様々な材料を含むことができる。例えば、該組成物は、活性成分の周りにコーティングシェルを形成する材料を含むことができる。コーティングシェルを形成する材料は、一般に不活性であり、例えば糖類、セラック及び他の腸溶コーティング剤から選択することができる。或いは、活性成分は、ゼラチンカプセル剤で包み込むことができる。
固体又は液体形態の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合し、それによって該化合物の送達の一助となる作用物質を含むことができる。この能力を発揮することができる適切な作用物質には、モノクローナル若しくはポリクローナル抗体、タンパク質又はリポソームが含まれる。
本発明の医薬組成物は、エアロゾルとして投与することができる投与単位からなり得る。このエアロゾルという用語は、コロイド性の性質のものから、加圧パッケージからなる系にわたる様々な系を示すために使用される。送達は、液化ガス若しくは圧縮ガスによって、又は活性成分を分注する適切なポンプ系によって行うことができる。本発明の化合物のエアロゾルは、活性成分(複数可)を送達するための単相、二相又は三相系で送達することができる。エアロゾルの送達は、必要な容器、活性化物質、弁、サブコンテナ等を含み、これらは一緒になってキットを形成することができる。当業者は、過度の実験方法なしに好ましいエアロゾルを決定することができる。
本発明の医薬組成物は、調剤分野で周知の方法論によって調製することができる。例えば、注射投与を企図される医薬組成物は、溶液を形成するために、本発明の化合物を滅菌蒸留水と混合することによって調製され得る。界面活性剤を添加して、均一な溶液又は懸濁液の形成を容易にすることができる。界面活性剤は、水性送達系への化合物の溶解又は均一な懸濁を容易にするために、本発明の化合物と非共有結合により相互作用する化合物である。
本発明の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩は、治療有効量で投与されるが、この治療有効量は、使用される具体的な化合物の活性;化合物の代謝安定性及び作用時間の長さ;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び食事;投与の方法及び時間;排出速度;薬物の組合せ;特定の障害又は状態の重症度;並びに療法を受ける対象を含む様々な因子に応じて変わる。
特定の実施形態では、実質的に不透過性であるか、又は実質的に全身的に生体利用不可能な化合物の一般的な投与量は、1日約0.2mg及び約2gの間、又は1日約1mg及び約1gの間、又は約5mg及び約500mgの間、又は約10mg及び1日約250mgの間であってよく、これが、治療を必要としている対象に投与される。
本明細書に記載の化合物及び組成物の投与頻度は、1日1回(QD)から1日2回(BID)又は1日3回(TID)等で変わり得、正確な投与頻度は、例えば患者の状態、投与量等に伴って変わる。
本発明の化合物又は薬学的に許容されるその誘導体は、一つ又は複数の他の治療剤の投与と同時、その前又はその後に投与することもできる。かかる併用療法は、本発明の化合物及び一つ又は複数のさらなる活性剤を含有する単一の医薬投与製剤の投与、並びにそれ自体別個の医薬投与製剤としての本発明の化合物及び各活性剤の投与を含む。例えば、本発明の化合物及び他の活性剤は、錠剤若しくはカプセル剤などの単回経口投与組成物として、患者に一緒に投与することができ、又は各作用物質を、別個の経口投与製剤として投与することもできる。別個の製剤が使用される場合、本発明の化合物及び一つ又は複数のさらなる活性剤は、本質的に同じ時間に、すなわち同時に、又は別個に交互に、すなわち逐次的に投与することができ、併用療法は、これらすべてのレジメンを含むと理解される。
他の具体的な実施形態では、本発明の医薬組成物(又は方法)に含まれるさらなる生物学的に活性な作用物質は、Renvela、Renagel、Fosrenol、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム(例えば、Phoslo)、MCI-196、Zerenex(商標)、Fermagate、APS1585、SBR-759、PA-21などのリン酸結合剤である。
本発明の化合物は、単独で投与されるNaPi2b阻害剤の効率及びリン酸結合剤の効率の合計よりも高い効率を提供することによって、リン酸結合剤と相乗的に作用することが見出された。いかなる理論にも拘泥するものではないが、この相乗作用は、リン酸輸送阻害剤及びリン酸結合剤の別個の作用機序から生じると考えられる。より具体的には、リン酸輸送阻害剤は、リン酸イオンの上皮内側の輸送を遮断し、リン酸結合剤は、腸管腔内の遊離リン酸イオンを隔絶する。
リン酸結合剤の効率は、そのビボ結合能によって測定される通り(結合剤1グラム当たり結合したリン酸イオンのモル)、i)結合部位(すなわちRenvela/Sevelamerにおけるアミン基、ポリマー性アミン材料、又はPhoslo(酢酸カルシウム)若しくはFosrenol(炭酸ランタン)におけるカルシウム若しくはランタンなどの多価カチオン)の密度、及びii)リン酸イオンに対する前記結合部位の親和性によって本質的に左右される。特に、胆汁酸及び脂肪酸などの他のアニオンが結合部位を競合するので、結合部位の一部の画分しか、インビボでのリン酸結合に利用できなくなり、したがって効率が低下する。結合したリン酸イオンは、腸管腔内の遊離リン酸と平衡状態になり、上皮の上に並ぶリン酸輸送タンパク質から著しく汲み出される。実験は、リン酸の腸管での取込み効率が、上皮に提示されるリン酸の95%を超え、著しく高いことを示した。リン酸の活性な輸送は、管腔の遊離リン酸濃度を下げ、したがってリン酸結合剤の結合平衡が結合能を下げるように寄与すると考えられる。リン酸輸送阻害剤を使用してリン酸の腸管輸送を低下することによって、リン酸隔絶剤のより高いインビボ結合能が回復することも考えられる。相乗効果は、例えば、NaPi2bの発現を促進する因子であるビタミンDによる治療の結果、活性なリン酸輸送の寄与が増大する場合に、さらにより顕著になると考えられる。
本明細書に記載の方法では、中間体化合物の官能基は、適切な保護基で保護する必要があり得ることも、当業者は理解されよう。かかる官能基には、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト及びカルボン酸が含まれる。ヒドロキシに適した保護基には、トリアルキルシリル又はジアリールアルキルシリル (例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル等が含まれる。アミノ、アミジノ及びグアニジノに適した保護基には、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が含まれる。メルカプトに適した保護基には、-C(O)-R''(R''は、アルキル、アリール又はアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチル等が含まれる。カルボン酸に適した保護基には、アルキル、アリール又はアリールアルキルエステルが含まれる。保護基は、当業者に公知であり、本明細書に記載の標準技術に従って付加又は除去することができる。保護基の使用は、Green、T.W. and P.G.M. Wutz、Protective Groups in Organic Synthesis(1999年)、第3編、Wileyに詳説されている。当業者に理解され得る通り、保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂又は2-クロロトリチルクロリド樹脂などのポリマー樹脂であってもよい。
かかる本発明の化合物の保護された誘導体は、それ自体は薬理学的活性を有することができないが、哺乳動物に投与することができ、その後、体内で代謝して、薬理学的に活性な本発明の化合物を形成し得ることも、当業者は理解されよう。したがって、かかる誘導体は、「プロドラッグ」と記載することができる。本発明の化合物のすべてのプロドラッグは、本発明の範囲に含まれる。
さらに、遊離塩基又は遊離酸の形態で存在する本発明のすべての化合物は、適切な無機又は有機塩基又は酸を用いる処理によって、当業者に公知の方法によってそれらの薬学的に許容される塩に変換することができる。本発明の化合物の塩は、標準技術によってそれらの遊離塩基又は遊離酸の形態に変換することができる。
以下の実施例は、本発明の化合物、すなわち構造(I)の化合物、又はその立体異性体、プロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩の様々な生成方法を例示するものである。当業者は、類似の方法によって、又は当業者に公知の他の方法を組み合わせることによって、これらの化合物を生成し得ることを理解されよう。当業者は、必要に応じて適切な出発成分を使用し、合成パラメータを改変することによって、以下に具体的に例示されていない構造(I)の他の化合物を、下記と同様にして生成し得ることも理解されよう。一般に、出発成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis、Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI及びFluorochem USAなどの供給源から得ることができ、又は当業者に公知の供給源に従って合成することができ(例えば、Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure、第5版(Wiley、2000年12月)参照)、又は本発明に記載の通り調製することができる。
実施例1
N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド
中間体1a:メチル3-(クロロカルボニル)ベンゾエート。ジクロロメタン(50mL)中3-(メトキシカルボニル)安息香酸(6.2g、34.44mmol、1.00当量)に、二塩化オキサリル(8.74g、69.37mmol、2.00当量)及びN,N-ジメチルホルムアミド(触媒)を添加し、得られた溶液を、油浴中40℃で1時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮して、メチル3-(クロロカルボニル)ベンゾエート6.6g(87%)を褐色油として得た。
中間体1b:tert-ブチル(2-モルホリノエチル)カルバメート。2-モルホリノエタンアミン(10g、76.92mmol、1.00当量)のジクロロメタン(50mL)溶液に、トリエチルアミン(5.83g、57.72mmol、0.50当量)を添加した後、ジ-tert-ブチルジカーボネート(18.44g、84.59mmol、1.10当量)を0〜5℃で添加し、得られた溶液を、25℃で終夜撹拌した。反応物を、ジクロロメタン200mLで希釈し、10%重炭酸ナトリウム1×30mL及び飽和食塩水1×30mLで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、tert-ブチル2-モルホリノエチルカルバメート16g(81%)をオフホワイト色の固体として得た。
中間体1c:N-メチル-2-モルホリノエタンアミン。LiAlH
4(7.72g、208.65mmol、3.00当量)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に、0〜5℃でtert-ブチル2-モルホリノエチルカルバメート(16g、62.61mmol、1.00当量、90%)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液を滴下添加した。次に、得られた溶液を、油浴中70℃で2時間撹拌した。次に、水7.7mL、15%水酸化ナトリウム7.7mL及び水23.1mLを添加することによって反応をクエンチした。固体を濾過して除去した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、ジクロロメタン:メタノール(0.5%トリエチルアミン)(20:1)で溶出して、N-メチル-2-モルホリノエタンアミン4.2g(42%)を褐色油として得た。
中間体1d;メチル3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾエート。N-メチル-2-モルホリノエタンアミン(2.1g、13.12mmol、1.00当量、90%)のジクロロメタン(20mL)溶液に、0〜5℃でトリエチルアミン(1.47g、14.55mmol、1.00当量)を添加した後、メチル3-(クロロカルボニル)ベンゾエート(3.3g、15.00mmol、1.20当量、90%)のジクロロメタン(10mL)溶液を滴下添加した。次に、得られた溶液を室温で3時間撹拌した。混合物を、ジクロロメタン100mLで希釈し、10%重炭酸ナトリウム1×30mL及び飽和食塩水1×30mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次に真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール(20:1)を用いてシリカゲルカラム上に適用して、メチル3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾエート4.4g(99%)を褐色固体として得た。
中間体1e:3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)安息香酸。メチル3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾエート(4.4g、13.66mmol、1.00当量、95%)のテトラヒドロフラン/水(15/10mL)溶液に、水酸化リチウム水和物(1.77g、43.17mmol、3.00当量)を添加し、得られた溶液を、25℃で1時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮し、水10mLで希釈し、次に塩酸でpH2〜3に調整した。得られた混合物を、酢酸エチル2×30mLで洗浄した。水層を真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、酢酸エチル:メタノール(4:1)で溶出して、3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)安息香酸2.7g(65%)を白色固体として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ 8.17 (m, 2H), 7.78 (m, 1H), 7.61 (m, 1H), 3.98 (m, 6H), 3.56 (m, 5H), 3.47 (m, 1H), 3.10 (s, 3H). MS (ES, m/z): 293 [M+H]
+.
中間体1f:3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾイルクロリド。ジクロロメタン(17mL)中3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)安息香酸(1.37g、4.69mmol、1.00当量)に、N,N-ジメチルホルムアミド2滴を添加した後、二塩化オキサリル(3.63g、28.14mmol、6.00当量)を添加した。得られた溶液を、油浴中50℃で1時間撹拌し、次に真空下で濃縮して、3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾイルクロリド1.41g(87%)を灰黄色固体として得た。
中間体1g:メチル3-(トリフルオロメチル)ベンゾエート。3-(トリフルオロメチル)安息香酸(5g、26.30mmol、1.00当量)のメタノール(25mL)溶液に、塩化チオニル(9.39g、78.93mmol、3.00当量)を滴下添加し、得られた溶液を、油浴中75℃で2時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮して、酢酸エチル100mLで希釈し、次に炭酸ナトリウム2×30mL及び飽和食塩水2×30mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、メチル3-(トリフルオロメチル)ベンゾエート4.6g(86%)を黄色油として得た。
中間体1h:5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-アミン。ナトリウムメタノラート(1.05g、19.44mmol、4.00当量)のメタノール(40mL)溶液に、0℃で、重炭酸アミノグアニジン(2.66g、19.54mmol、4.00当量)をいくつかのバッチに分けて添加した。これに、メチル3-(トリフルオロメチル)ベンゾエート(1g、4.90mmol、1.00当量)のメタノール(10mL)溶液を、撹拌しながら0℃で滴下添加した。次いで、得られた溶液を、油浴中75℃で終夜撹拌した。次に、反応物を水/氷10mLでクエンチし、溶液を塩酸(1mol/L)でpH3〜4に調整し、固体を濾過によって収集して、5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-アミン150mg(13%)を黄色固体として得た。
中間体1i:5-クロロ-2-ニトロ-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-ベンズアミド。5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-アミン(100mg、0.44mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液に、水素化ナトリウム(35mg、0.88mmol、2.00当量、60%)を添加した後、5-クロロ-2-ニトロベンゾイルクロリド(96.49mg、0.44mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を滴下添加し、得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。混合物を、酢酸エチル50mLで希釈し、飽和食塩水2×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、黄色固体120mg(67%)を得た。
中間体1j:2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド。5-クロロ-2-ニトロ-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド(120mg、0.29mmol、1.00当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、ピペリジン(1mL)を添加し、得られた溶液を、油浴中100℃で2時間撹拌した。混合物を、酢酸エチル50mLで希釈し、飽和食塩水2×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、生成物130mg(97%)を黄色油として得た。
中間体1k:2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド。2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド(130mg、0.28mmol、1.00当量)のメタノール(3mL)溶液に、Pd/C(130mg、10%)を添加し、懸濁液を水素雰囲気下で2時間、室温で撹拌した。固体を濾過して除去し、得られた混合物を真空下で濃縮して、生成物50mg(41%)を黄色固体として得た。
実施例1:N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-イルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド。2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド(50mg、0.12mmol、1.00当量)のジクロロメタン(3mL)溶液に、ピリジン(73mg、0.92mmol、8.00当量)を添加した後、3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾイルクロリド(54mg、0.17mmol、1.50当量)のジクロロメタン(2mL)溶液を滴下添加し、得られた溶液を、室温で30分間撹拌した。混合物を、酢酸エチル50mLで希釈し、NH
4Cl2×20mL及び飽和食塩水2×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次に真空下で濃縮した。粗生成物(50mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体12mg(10%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.34(m, 3H), 8.17(t, J=7.8Hz, 2H), 7.73(m, 5H), 7.42 (m, 1H), 3.98(s, 2H), 3.55(m, 3H), 3.40(m, 5H), 3.29(m, 1H), 3.09(m, 3H), 1.86(d, J=4.8Hz, 4H), 1.71(t, J=5.1Hz, 2H). MS (ES, m/z): 705 [M+H]
+.
実施例2
N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド
中間体2a:3-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール。250mLの丸底フラスコに、3-ニトロ-1H-1,2,4-トリアゾール(2g、17.54mmol、1.00当量)のジクロロメタン(100mL)溶液、3-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(6.66g、35.05mmol、2.00当量)、Cu(OAc)
2(4.79g、26.32mmol、1.50当量)、ピリジン(2.77g、35.06mmol、2.00当量)及びモレキュラーシーブ(5.2g)を入れた。得られた溶液を、30℃で終夜撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:20〜1:10)で溶出して、生成物2.2g(49%)を白色固体として得た。
中間体2b:1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-アミン。100mLの丸底フラスコに、3-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール(1g、3.88mmol、1.00当量)のメタノール(20mL)溶液を入れた。混合物をPd/C(1g)で処理し、水素雰囲気下で3時間、油浴中25℃で撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を真空下で濃縮して、粗生成物900mgを白色固体として得た。
中間体2c:5-クロロ-2-ニトロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-アミン(1g、4.39mmol、1.00当量)のジクロロメタン(20mL)溶液及びピリジン(1.15g、14.56mmol、3.00当量)を入れた。この後、5-クロロ-2-ニトロベンゾイルクロリド(1.04g、4.75mmol、1.10当量)のジクロロメタン(5mL)溶液を、撹拌しながら0〜5℃で滴下添加した。得られた溶液を0〜5℃で2時間撹拌した。得られた溶液を、ジクロロメタン50mLで希釈した。得られた混合物を、塩酸水溶液2×50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、粗生成物2gを白色-黄色固体として得た。
中間体2d:2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、5-クロロ-2-ニトロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド(500mg、1.21mmol、1.00当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)溶液及びピペリジン(500mg、5.88mmol、4.84当量)を入れた。得られた溶液を、90℃で終夜撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル30mLに溶解した。得られた混合物を、飽和食塩水2×50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物500mg(90%)を、白色油として得た。
中間体2e:2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド(500mg、1.09mmol、1.00当量)のメタノール(20mL)溶液を入れた。溶液をPd/C(500mg)で処理し、水素雰囲気下で2時間、室温で撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を真空下で濃縮して、生成物450mg(96%)を褐色固体として得た。
実施例2:N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド。100mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ベンズアミド(150mg、0.35mmol、1.00当量)のジクロロメタン(20mL)溶液及びピリジン(83mg、1.05mmol、3.01当量)を入れた。この後、3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾイルクロリド(130mg、0.42mmol、1.20当量)のジクロロメタン(10mL)を、撹拌しながら0〜5℃で滴下添加した。得られた溶液を、室温で3時間撹拌した。得られた溶液を、ジクロロメタン30mLで希釈した。得られた混合物を、NH
4Cl1×20mL及び飽和食塩水2×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗生成物(200mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体36.7mg(15%)として得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO, ppm): δ11.43-11.33(m, 2H), 9.70(s, 1H), 9.43(s, 1H), 8.77(s, 1H), 8.26-8.18 (m, 3H), 8.06-7.93 (m, 2H), 7.86-7.79(m, 2H), 7.68-7.62(m, 2H), 7.52(s, 1H), 7.30-7.28(d, J=6.9Hz, 1H), 4.59-4.57(m, 1H), 4.18-3.83(m, 27H), 3.44(s, 3H), 3.27-3.26 (m, 5H), 3.18 (s, 3H), 2.96(s, 4H), 1.69(s, 4H), 1.59-1.52(m, 3H). MS (ES, m/z): 705 [M+H]
+.
実施例3
N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド
中間体3a:2-ブロモ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン。250mLの丸底フラスコに、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(5g、26.57mmol、1.00当量)のエーテル(80mL)溶液を入れた。これに、Br
2(4.26g、26.66mmol、1.00当量)のエーテル(20mL)溶液を、撹拌しながら1時間かけて滴下添加し、得られた溶液を室温でさらに1時間撹拌した。混合物を、NaHSO
32×30mL及び飽和食塩水1×30mLで洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、2-ブロモ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン5.2g(粗生成物)を黄色油として得た。
中間体3b:5-(3-(トリフルオロメチルフェニル)チアゾール-2-アミン。100mLの丸底フラスコに、2-ブロモ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(2.5g、9.40mmol、1.00当量)のメタノール(50mL)溶液及びチオ尿素(710mg、9.33mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中75℃で終夜撹拌した。反応混合物を水/氷浴で冷却した。固体を濾過によって収集した。残渣を、酢酸エチル200mLに溶解した。得られた混合物を、水酸化ナトリウム(1N)1×50mL及び飽和食塩水2×50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-アミン2.2g(96%)を白色固体として得た。
中間体3c:5-クロロ-N-(5-クロロ-2-ニトロベンゾイル)-2-ニトロ-N-(4-(3-(トリフルオロメチル)-フェニル)チアゾール-2-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-アミン(2g、8.19mmol、1.00当量)のジクロロメタン(20mL)溶液及びジイソプロピルエチルアミン(4.22g、32.65mmol、4.00当量)を入れた。この後、5-クロロ-2-ニトロベンゾイルクロリド(3.967g、18.03mmol、2.20当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を撹拌しながら滴下添加した。得られた溶液を、室温で4時間撹拌した。得られた溶液を、酢酸エチル50mLで希釈した。得られた混合物を、飽和食塩水2×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物4.5g(90%)を黄色油として得た。
中間体3d:5-クロロ-2-ニトロ-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、5-クロロ-N-(5-クロロ-2-ニトロベンゾイル)-2-ニトロ-N-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)ベンズアミド(4.5g、7.36mmol、1.00当量)のメタノール(50mL)溶液及び炭酸カリウム(3.05g、22.07mmol、3.00当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中40℃で4時間撹拌した。得られた溶液を、酢酸エチル200mLで希釈した。得られた混合物を、飽和食塩水2×50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物2.6g(83%)を黄色固体として得た。
中間体3e:2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)-ベンズアミド。5-クロロ-2-ニトロ-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)ベンズアミド(2.6g、6.08mmol、1.00当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)溶液に、ピペリジン(20mL)を添加し、得られた溶液を、油浴中100℃で3時間撹拌した。混合物を、酢酸エチル200mLで希釈し、飽和食塩水2×50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次に真空下で濃縮して、生成物2.2g(76%)を黄色固体として得た。
中間体3f:2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)-ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)ベンズアミド(2.2g、4.62mmol、1.00当量)のメタノール(30mL)溶液を入れた。溶液をPd/C(2g、10%)で処理し、水素雰囲気下で2時間、室温で撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(7:1)で溶出した。これによって、生成物1.2g(58%)を黄色固体として得た。
実施例3:N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド。50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-2-イル)ベンズアミド(287mg、0.64mmol、1.00当量)のジクロロメタン(3mL)溶液及びピリジン(406mg、5.13mmol、8.00当量)を入れた。この後、3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾイルクロリド(300mg、0.97mmol、1.50当量)のジクロロメタン(2mL)溶液を、撹拌しながら滴下添加した。得られた溶液を、室温で1時間撹拌し、次に酢酸エチル50mLで希釈した。得られた混合物を、塩化水素(1N)1×20mL及び飽和食塩水2×20mLで洗浄した。混合物を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗生成物(300mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体120mg(20%)として得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO, ppm): δ12.89(s, 1H), 10.93(s, 1H), 9.79(s, 1H), 8.26 (m, 2H), 8.00(m, 4H), 7.69(m, 4H), 7.53(s, 1H), 7.27(d, J=8.7Hz, 1H), 4.01(s, 2H), 3.85(s, 2H), 3.63(s, 4H), 3.44(s, 2H), 3.17(m, 6H), 2.99(s, 3H), 1.70(m, 6H). MS (ES, m/z): 721 [M+H]
+.
実施例4
3-((3-((4-クロロ-2-((1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)プロパン酸
中間体4a:3-(アセチルチオメチル)安息香酸。250mLの丸底フラスコに、3-(ブロモメチル)安息香酸(7g、32.56mmol、1.00当量)のエタノール(80mL)溶液及びチオ酢酸カリウム(9.65g、84.65mmol、2.60当量)を入れた。得られた溶液を、終夜室温で撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。得られた溶液を、水80mLで希釈し、10%塩酸でpH3〜4に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル3×50mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、飽和食塩水1×50mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、3-(アセチルチオメチル)安息香酸4.4g(64%)を褐色固体として得た。
中間体4b:3-(メルカプトメチル)安息香酸。500mLの丸底フラスコに、3-(アセチルチオメチル)安息香酸(16.4g、78.10mmol、1.00当量)のメタノール(150mL)溶液及び炭酸カリウム(26.9g、194.93mmol、2.50当量)の水(70mL)溶液を入れた。得られた溶液を、60℃で4時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。得られた溶液を、水200mLで希釈し、10%塩酸でpH3に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル/テトラヒドロフランで3回(100/20mL)抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、飽和食塩水1×100mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、3-(メルカプトメチル)安息香酸12g(91%)を褐色固体として得た。
中間体4c:3-((3-tert-ブトキシ-3-オキソプロピルチオ)メチル)安息香酸。500mLの丸底フラスコに、3-(メルカプトメチル)安息香酸(12g、71.43mmol、1.00当量)のアセトニトリル(200mL)溶液、tert-ブチルアクリレート(60mL)及びDBU(21.7g、142.76mmol、2.00当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中80℃で終夜撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。得られた溶液を、水200mLで希釈し、10%塩酸でpH2〜3に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル3×200mLで抽出し、有機層を混合した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(50:1)で溶出して、3-((3-tert-ブトキシ-3-オキソプロピルチオ)メチル)安息香酸10.5g(47%)を赤色油として得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl
3, ppm): δ8.08 (s, 1H), 8.04 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.62 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.46 (t, 1H), 3.81 (s, 2H), 2.68 (t, 2H), 2.50 (t, 2H), 1.48 (s, 9H). MS (ES, m/z): 295 [M-H]
-.
中間体4d:tert-ブチル3-((3-(クロロカルボニル)ベンジル)チオ)プロパノエート。100mLの丸底フラスコに、3-((3-tert-ブトキシ-3-オキソプロピルチオ)メチル)安息香酸1.1c(3.00g、10.14mmol、1.00当量)のジクロロメタン(50mL)溶液を入れた。この後、二塩化オキサリル(4.50g、35.43mmol、3.00当量)を撹拌しながら0℃で滴下添加した。これに、N,N-ジメチルホルムアミド(1滴)を添加した。得られた溶液を、室温で1.5時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮して、tert-ブチル3-(3-(クロロカルボニル)ベンジルチオ)プロパノエート3.18g(99%)を赤色油として得た。
中間体4e:1-(3,4-ジメチルフェニル)-3-ニトロ-1H-ピラゾール。パージし、窒素の不活性雰囲気で維持した250mLの丸底フラスコに、3-ニトロ-1H-ピラゾール(6g、53.10mmol、1.00当量)のDMSO(80mL)溶液、4-ブロモ-1,2-ジメチルベンゼン(11.8g、64.13mmol、1.21当量)、CuI(1.6g、8.42mmol、0.16当量)、L-プロリン(1g、8.70mmol、0.16当量)及び炭酸カリウム(14.6g、105.80mmol、1.99当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中85℃で終夜撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた溶液を、水300mLで希釈した。得られた溶液を、酢酸エチル4×100mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、水3×100mL及び飽和食塩水1×100mLで洗浄した。混合物を、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶出して、1-(3,4-ジメチルフェニル)-3-ニトロ-1H-ピラゾール1g(9%)を黄色固体として得た。
中間体4f:1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン。100mLの丸底フラスコに、1-(3,4-ジメチルフェニル)-3-ニトロ-1H-ピラゾール(900mg、4.15mmol、1.00当量)のメタノール/酢酸エチル(20/10mL)溶液を入れた。溶液をPd/C(500mg)で処理し、水素雰囲気下、終夜室温で撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。固体を濾過して除去した。得られた混合物を真空下で濃縮して、1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン750mg(97%)を黄色固体として得た。
中間体4g:5-クロロ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-ニトロベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン(408mg、2.18mmol、1.00当量)のジクロロメタン(10mL)溶液、ピリジン(518mg、6.56mmol、3.00当量)及び5-クロロ-2-ニトロベンゾイルクロリド(575mg、2.61mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。溶液を、塩酸(1mol/L)でpH7に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル3×50mLで抽出し、有機層を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、5-クロロ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-ニトロベンズアミド600mg(59%)を黄色固体として得た。
中間体4h:2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、5-クロロ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-ニトロベンズアミド(300mg、0.81mmol、1.00当量)の酢酸(10mL)溶液及び亜鉛(527mg、8.11mmol、9.96当量)を入れた。得られた溶液を、70℃で1時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。溶液を、アンモニア(2mol/L)でpH8に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル4×50mLで抽出し、有機層を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。生成物を、固体200mg(73%)として得た。
中間体4i:tert-ブチル3-(3-(4-クロロ-2-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル-カルバモイル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパノエート。50mLの丸底フラスコに、tert-ブチル3-(3-(クロロカルボニル)ベンジルチオ)プロパノエート(185mg、0.59mmol、1.00当量)のジクロロメタン(10mL)溶液及びピリジン(140mg、1.77mmol、3.00当量)を入れた。この後、2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド(200mg、0.59mmol、1.00当量)のジクロロメタン(2mL)溶液を撹拌しながら滴下添加した。得られた溶液を、室温で1時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(10:1)で溶出して、生成物150mg(33%)を黄色固体として得た。
実施例4:3-(3-(4-クロロ-2-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパン酸。50mLの丸底フラスコに、tert-ブチル3-(3-(4-クロロ-2-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパノエート(150mg、0.24mmol、1.00当量)のジクロロメタン(4mL)溶液及び2,2,2-トリフルオロ酢酸(2mL)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物(100mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、白色固体36.3mg(27%)として得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO, ppm): δ11.82(s, 1H), 11.48(s, 1H), 8.52(d, J=8.70Hz, 1H), 8.41(s, 1H), 8.11(s, 1H), 7.92(s, 1H), 7.79(m, 1H), 7.67(m, 1H), 7.57(m, 4H), 7.26(m, 1H), 6.92(d, J=1.8Hz, 1H), 3.86(s, 2H), 2.60(m, 2H), 2.29(m, 6H). MS (ES, m/z): 563 [M+H]
+.
実施例5
3-((3-((2-((1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)-4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)プロパン酸
中間体5a:N-(1-3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-ベンズアミド。50mLの丸底フラスコに、5-クロロ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-ニトロベンズアミド4g(300mg、0.81mmol、1.00当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)溶液、炭酸カリウム(330mg、2.39mmol、3.00当量)及びピペリジン(200mg、2.35mmol、3.00当量)を入れた。得られた溶液を、110℃で4時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル50mLに溶解した。得られた混合物を、飽和食塩水2×30mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物300mg(88%)を黄色固体として得た。
中間体5b:2-アミノ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)-ベンズアミド。50mLの丸底フラスコに、N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンズアミド(400mg、0.95mmol、1.00当量)の酢酸(8mL)溶液及び亜鉛(600mg、9.23mmol、9.96当量)を入れた。得られた溶液を、70℃で1時間撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。溶液を、アンモニア(2mol/L)でpH8に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル2×50mLで抽出し、有機層を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、2-アミノ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンズアミド300mg(81%)を緑色固体として得た。
中間体5c:tert-ブチル3-(3-(2-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)-4-(ピペリジン-1-イル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパノエート。100mLの丸底フラスコに、3-((3-tert-ブトキシ-3-オキソプロピルチオ)メチル)安息香酸(167mg、0.56mmol、1.10当量)のジクロロメタン(10mL)溶液、EDC.HCl(148mg、0.77mmol、1.50当量)、4-ジメチルアミノピリジン(95mg、0.77mmol、1.50当量)及び2-アミノ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンズアミド(200mg、0.51mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を、室温で4時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(10:1)で溶出して、生成物150mg(44%)を緑色固体として得た。
実施例5:3-(3-(2-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)-4-(ピペリジン-1-イル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパン酸。50mLの丸底フラスコに、tert-ブチル3-(3-(2-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)-4-(ピペリジン-1-イル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパノエート(150mg、0.22mmol、1.00当量)のジクロロメタン(4mL)溶液及びトリフルオロ酢酸(2mL)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物(100mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、白色固体85.3mg(62%)として得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO, ppm): δ11.70(s, 1H), 11.44(s, 1H), 8.41(m, 2 H), 7.91(s, 1H), 7.78(m, 1H), 7.68(m, 1H), 7.62(m, 1H), 7.58(m, 3H), 7.40(m, 1H), 7.23(m, 1H), 6.92(s, 1H), 3.86(s, 2H), 3.36(m, 4H), 2.62(m, 2H), 2.29(m, 6H), 1.60(m, 6H). MS (ES, m/z): 612 [M+H]
+.
実施例6
3-((3-((4-クロロ-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)プロパン酸
中間体6a:3-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール。250mLの丸底フラスコに、3-ニトロ-1H-ピラゾール(10g、88.50mmol、1.00当量)のDMSO(100mL)溶液、1-ヨード-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(29g、106.62mmol、1.20当量)、炭酸カリウム(24g、173.91mmol、1.97当量)、ヨウ化銅(I)(2.6g、13.68mmol、0.15当量)及びL-プロリン(2.5g、21.74mmol、0.25当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中85℃で終夜撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた溶液を、水500mLで希釈し、酢酸エチル7×200mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、水3×200mL及び飽和食塩水2×200mLで洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(10:1〜5:1)で溶出して、3-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール14g(62%)を淡黄色固体として得た。
中間体6b:1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン。100mLの丸底フラスコに、3-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール(7g、27.24mmol、1.00当量)のメタノール(30mL)溶液を入れた。混合物をPd/C(3g)で処理し、水素雰囲気下、終夜室温で撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を真空下で濃縮して、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン6g(97%)を白色固体として得た。
中間体6c:5-クロロ-2-ニトロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン(520mg、2.29mmol、1.00当量)のジクロロメタン(5mL)溶液、ピリジン(540mg、6.84mmol、3.00当量)及び5-クロロ-2-ニトロベンゾイルクロリド(500mg、2.27mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を、室温で1時間撹拌した。得られた混合物を水2×50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(10:1)で溶出した。これによって、生成物800mg(85%)を黄色固体として得た。
中間体6d:2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、5-クロロ-2-ニトロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド(400mg、0.98mmol、1.00当量)の酢酸(5mL)溶液及びZn(640mg、9.85mmol、10.00当量)を入れた。得られた溶液を、70℃で1時間撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。溶液をアンモニア(2mol/L)でpH8に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル2×50mLで抽出し、有機層を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物300mg(81%)を黄色固体として得た。
中間体6e:tert-ブチル3-(3-(4-クロロ-2-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパノエート。50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド(191mg、0.50mmol、1.00当量)のジクロロメタン(5mL)溶液、ピリジン(120mg、1.50mmol、3.00当量)及びtert-ブチル3-(3-(クロロカルボニル)ベンジルチオ)プロパノエート(158mg、0.50mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を、室温で1時間撹拌した。得られた混合物を、水2×50mLで洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(20:1)で溶出して、生成物100mg(30%)を黄色油として得た。
実施例6:3-(3-(4-クロロ-2-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)-フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパン酸。50mLの丸底フラスコに、tert-ブチル3-(3-(4-クロロ-2-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)フェニルカルバモイル)ベンジルチオ)プロパノエート(150mg、0.23mmol、1.00当量)のジクロロメタン(4mL)溶液、トリフルオロ酢酸(2mL)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物(100mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、白色固体48.9mg(36%)として得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO, ppm): δ12.21(s, 1H), 11.73(s, 1H), 11.56(s, 1H), 8.68(m, 1H), 8.49(m, 1H), 8.10(m, 3H), 7.92(s, 1H), 7.73(m, 7H), 7.01(d, J=3Hz, 1H), 3.86(s, 2H), 2.59(m, 2H). MS (ES, m/z): 625 [M+Na]
+.
実施例7
3-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)プロパン酸
この化合物を、5-クロロ-N-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-ニトロベンズアミド4gからの3-(3-(2-(1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルカルバモイル)-4-(ピペリジン-1-イル)フェニルカルバモイル)-ベンジルチオ)プロパン酸5の調製について記載した手順を使用して、5-クロロ-2-ニトロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド6cから調製した。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.715(d, J=6.9Hz, 1H), 8.390-8.397(m, 1H), 8.180(s, 1H), 8.057-8.077(m, 1H), 8.020(s, 2H), 7.894-7.914(m, 1H), 7.679-7.719(m, 2H), 7.591-7.642(m, 2H), 7.520-7.558(m, 1H), 7.147-7.154(m, 1H), 3.889(s, 2H), 3.614-3.640(m, 4H), 2.690-2.725(m, 2H), 2.563-2.598(m, 2H), 2.002-2.055(m, 4H), 1.804-1.818(m, 2H). MS (ES, m/z): 652 [M+H]
+.
実施例9
2-メチル-1-(6-((4-ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1Hピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ピリジン-2-イル)-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-酸
中間体8a:tert-ブチル3-(2-(2-(2-(トシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート。250mLの丸底フラスコに、tert-ブチル3-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート(10g、35.97mmol、1.00当量)のピリジン(40mL)溶液を入れた。この後、トルエンスルホニルクロリド(6.8g、35.79mmol、1.00当量)を、分けて0℃で添加した。得られた溶液を、0℃で4時間撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン30mLに溶解した。得られた混合物を、3%塩酸(水溶液)3×20mL及び飽和食塩水20mLで洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、tert-ブチル3-(2-(2-(2-(トシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート14g(90%)を黄色油として得た。
中間体8b:tert-ブチル3-(2-(2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート。封止した250mLの瓶に、tert-ブチル3-(2-(2-(2-(トシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート(14g、32.41mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液及びCH
3NH
2(66.9g、712.16mmol、21.98当量、エタノール中33%)を入れた。得られた溶液を、50℃で終夜撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン150mLに溶解した。得られた混合物を、水2×150mL及び飽和食塩水1×150mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物8.2g(87%)を黄色油として得た。
中間体8c:2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。250mLの丸底フラスコに、2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)安息香酸(5g、20.00mmol、1.19当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)溶液、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン(3.8g、16.74mmol、1.00当量)、HATU(9.5g、25.00mmol、1.49当量)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.3g、25.58mmol、1.53当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中50℃で終夜撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた溶液を、水200mLで希釈し、酢酸エチル4×50mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、水2×50mL及び飽和食塩水2×50mLで洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、石油エーテル/酢酸エチル(5:1)で溶出して、生成物2.8g(36%)を黄色固体として得た。
中間体8d:2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。50mLの丸底フラスコに、2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド(900mg、1.96mmol、1.00当量)のメタノール(15mL)溶液及び酢酸エチル(15mL)を入れた。混合物をPd/C(500mg)で処理し、水素雰囲気下で1時間、油浴中室温で撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。固体を濾過して除去した。得られた混合物を真空下で濃縮して、生成物600mg(71%)を褐色固体として得た。
中間体8e:6-(クロロメチル)-N-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)ピコリンアミド。50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド(100mg、0.23mmol、1.00当量)のジクロロメタン(3mL)溶液、6-(クロロメチル)ピコリン酸(50mg、0.29mmol、1.25当量)、EDC.HCl(67mg、0.35mmol、1.50当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(43mg、0.35mmol、1.51当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中25℃で終夜撹拌した。混合物を真空下で濃縮して、生成物170mg(75%)を
として得た。
中間体8f:tert-ブチル3-(2-(2-(2-(((6-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)-フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ピリジン-2-イル)メチル)(メチル)-アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート。50mLの丸底フラスコに、6-(クロロメチル)-N-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)ピコリンアミド(170mg、0.29mmol、1.00当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)溶液、tert-ブチル3-(2-(2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-プロパノエート(255mg、0.88mmol、3.00当量)、ヨウ化カリウム(24.2mg、0.15mmol、0.50当量)及び炭酸カリウム(79.5mg、0.58mmol、1.97当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中70℃で2.5時間撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた溶液を、水50mLで希釈した。得られた溶液を、酢酸エチル3×50mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、飽和食塩水3×50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、
を得た。
実施例8:2-メチル-1-(6-((4-ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ピリジン-2-イル)-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-酸。50mLの丸底フラスコに、tert-ブチル3-(2-(2-(2-(((6-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)-フェニル)カルバモイル)ピリジン-2-イル)メチル)(メチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート(210mg、0.25mmol、1.00当量)のジクロロメタン(4mL)溶液及びトリフルオロ酢酸(2mL)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、褐色固体32.9mg(13%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.81-8.78(d, J=9.3Hz, 1H), 8.48-8.47(d, J=2.7Hz, 1H), 8.33-8.31(d, J=7.5Hz, 1H), 8.21-8.16(d, J=7.5Hz, 2H), 7.87-7.86(d, J=2.4Hz, 1H), 7.79-7.72(m, 2H), 7.64-7.62(d, J=6.9Hz, 2H), 6.98-6.97(d, J=2.4Hz, 1H), 4.75(s, 2H), 3.80-3.77(t, J=4.5Hz, 2H), 3.66-3.47(m, 16H), 3.11-3.09(d, J=6.3Hz, 3H), 2.49-2.45(d, J=6Hz, 2H), 1.94-1.75(m, 6H). MS (ES, m/z): 782 [M+H]
+.
実施例9
2-(4-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド
中間体9a:4-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)安息香酸。1000mLの丸底フラスコに、Nl,N1-ジエチル-N2-メチルエタン-1,2-ジアミン(10g、69.23mmol、1.20当量、90%)のN,N-ジメチルホルムアミド(500mL)溶液、4-(クロロメチル)安息香酸(11.5g、67.65mmol、1.00当量)、炭酸カリウム(10g、71.94mmol、3.00当量)及びヨウ化カリウム(1.95g、11.75mmol、0.20当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中90℃で2時間撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物(10g)を、逆相クロマトグラフィーによって、水/メタノール勾配で溶出して精製した。これによって、4-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)安息香酸5g(27%)を白色固体として得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl
3, ppm): δ8.00(d, J=8.4Hz, 2H), 7.39(d, J=8.1Hz, 2H), 3.68(s, 2H), 3.23-3.15(m, 6H), 2.91(m, 2H), 2.33(s, 3H), 1.33-1.27(m, 6H). MS (ES, m/z): 265 [M+H]
+.
実施例9:2-(4-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。5mLのバイアルに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド8d(100mg、0.23mmol、1.00当量)のジクロロメタン(5mL)溶液、4-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)安息香酸(74mg、0.28mmol、1.20当量)、EDC.HCl(90mg、0.47mmol、2.00当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(43mg、0.35mmol、1.50当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中30℃で終夜撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた混合物を、水3×10mL及び飽和食塩水1×10mLで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗生成物(150mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、淡黄色固体57.8mg(31%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.684(d, J=9Hz, 1H), 8.392-8.400(m, 1H), 8.179(s, 1H), 8.047-8.075(m, 3H), 7.991-7.999(m, 1H), 7.589-7.727(m, 5H), 7.078-7.087(m, 1H), 4.007(s, 2H), 3.556-3.615(m, 4H), 3.393-3.436(m, 2H), 3.171-3.263(m, 4H), 3.052-3.095(m, 2H), 2.538-2.560(m, 3H), 1.998(m, 4H), 1.788-1.804(m, 2H), 1.286-1.334(m, 6H). MS (ES, m/z): 676 [M+H]
+.
実施例10
N1-(2-(2-ヒドロキシエチル)エチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド
中間体10a:メチル3-((2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバモイル)ベンゾエート。1000mLの丸底フラスコに、3-(メトキシカルボニル)安息香酸(20g、111.11mmol、1.00当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(500mL)溶液、HATU(63.2g、166.32mmol、1.50当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(21.5g、166.67mmol、1.50当量)及び2-(2-アミノエトキシ)エタノール(23.3g、221.90mmol、2.00当量)を入れた。得られた溶液を、25℃で終夜撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。得られた溶液を、酢酸エチル200mLに溶解した。得られた混合物を、飽和食塩水10×200mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、ジクロロメタン:メタノール(100:1)で溶出した。これによって、メチル3-((2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバモイル)ベンゾエート15g(51%)を赤色油として得た。
中間体10b:3-((2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸。500mLの丸底フラスコに、メチル3-((2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバモイル)ベンゾエート(10g、37.45mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液及び水酸化リチウム水和物(23.4g、558.33mmol、15.00当量)の水(30mL)溶液を入れた。得られた溶液を、終夜室温で撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。溶液を、塩酸(2mol/L)でpH3〜4に調整し、酢酸エチル3×10mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、飽和食塩水2×10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、ジクロロメタン:メタノール(50:1)で溶出した。これによって、3-((2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸5g(53%)を黄色がかった固体として得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO, ppm): δ13.25(s, 1H), 8.71(m, 1H), 8.48(d, J=8.5Hz 1H), 8.06(m, 2H), 7.62(m, 1H), 4.59(s, 1H), 3.41-3.60 (m, 8H). MS (ES, m/z): 254 [M+H]
+.
中間体10c:4-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール。500mLの丸底フラスコに、4-ニトロ-1H-イミダゾール(10g、88.50mmol、1.00当量)のDMSO(50mL)溶液、1-ヨード-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(24g、88.24mmol、1.00当量)、炭酸カリウム(25g、181.16mmol、2.00当量)、ヨウ化銅(I)(2.5g、13.16mmol、0.15当量)及びL-プロリン(1.53g、13.30mmol、0.15当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中85℃で終夜撹拌した。得られた溶液を、酢酸エチル1000mLで希釈した。固体を濾過して除去した。濾液を、飽和食塩水2×500mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:3)で溶出して、4-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール6.7g(28%)を、淡い色の固体として得た。
中間体10d:1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-アミン。100mLの丸底フラスコに、4-ニトロ-1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール(1.5g、5.54mmol、1.00当量、95%)のメタノール(30mL)溶液を入れた。混合物をPd/C(1.5g)で処理し、水素雰囲気下で4時間、室温で撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。これによって、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-アミン1.2g(88%)を褐色油として得た。
中間体10e:2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)ベンズアミド。250mLの丸底フラスコに、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-アミン(1.2g、4.49mmol、1.00当量、85%)のジクロロメタン(30mL)溶液、2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)安息香酸(1.32g、5.07mmol、1.00当量、96%)、EDC.HCl(2g、10.42mmol、2.00当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(1.29g、10.57mmol、2.00当量)を入れた。得られた溶液を、28℃で終夜撹拌した。得られた溶液を、ジクロロメタン200mLで希釈した。得られた混合物を、10%重炭酸ナトリウム1×30mL及び飽和食塩水1×30mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶出して、生成物600mg(22%)を褐色油として得た。
中間体10f:2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)ベンズアミド。100mLの丸底フラスコに、2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)ベンズアミド(600mg、1.11mmol、1.00当量、85%)のメタノール/ジクロロメタン(10/5mL)溶液を入れた。混合物をPd/C(600mg)で処理し、水素雰囲気下で終夜、室温で撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を真空下で濃縮して、生成物450mg(85%)を褐色固体として得た。
実施例10:N1-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロ-メチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミドN1-(2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)エチル-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド。50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)ベンズアミド(150mg、0.32mmol、1.00当量、92%)のジクロロメタン(8mL)溶液、3-((2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸(133mg、0.45mmol、1.50当量、85%)、EDC.HCl(134mg、0.70mmol、2.00当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(85mg、0.70mmol、2.00当量)を入れた。得られた溶液を、25℃で終夜撹拌した。得られた溶液を、ジクロロメタン100mLで希釈した。得られた混合物を、10%重炭酸ナトリウム1×20mL及び飽和食塩水1×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、ジクロロメタン/メタノール(20:1)で溶出した。粗生成物(120mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、淡黄色固体67.8mg(22%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.74 (d, J=9Hz, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.35(s, 1H), 8.01 (m, 6H), 7.74 (m, 3H), 7.44 (m, 1H), 3.66 (m, 12H), 2.06 (m, 4H), 1.83 (m, 2H). MS (ES, m/z): 665 [M+H]
+.
実施例11
N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド
50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド8d(100mg、0.23mmol、1.00当量)、3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)安息香酸(130mg、0.45mmol、1.91当量)、EDC.HCl(67mg、0.35mmol、1.50当量)、4-ジメチルアミノピリジン(43mg、0.35mmol、1.51当量)及びジクロロメタン(5mL)を入れた。得られた溶液を、油浴中25℃で4時間撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた混合物を、水3×10mL及びNH
4Cl水溶液3×10mLで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗生成物を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、白色固体108.6mg(66%)として得た。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD, ppm): δ8.66-8.64(d, J=8.8Hz, 1H), 8.39(s, 1H), 8.16 (s, 3H), 8.07-8.05(d, J=7.6Hz, 1H), 7.99(s, 1H), 7.79(s, 1H), 7.16-7.68 (m, 3H), 7.61(s, 1H), 7.07(s, 1H), 4.11-4.10(d, J=3.2 Hz, 2H), 3.98 (s, 3H), 3.80-3.77(m, 4H), 3.59-3.54 (m, 6H), 3.14(m, 4H), 1.99-1.79(m, 6H). MS (ES, m/z): 704 [M+H]
+.
実施例12
2-(3-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド
中間体12a:3-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)安息香酸。1000mLの丸底フラスコに、N1,N1-ジエチル-N2-メチルエタン-1,2-ジアミン(9.1g、63.00mmol、1.50当量、90%)のN,N-ジメチルホルムアミド(500mL)溶液、3-(ブロモメチル)安息香酸(10g、46.51mmol、1.00当量)、炭酸カリウム(7.8g、56.12mmol、1.20当量)及びヨウ化カリウム(1.55g、9.34mmol、0.20当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中90℃で2時間撹拌した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物(10g)を、逆相HPLCによって、水/CH
3CN勾配中0.05%TFAで溶出して精製した。生成物を、白色固体6g(46%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl
3, ppm): δ8.01(m, 1H), 7.89-7.87(m, 1H), 7.28-7.22(m, 2H), 3.99(s, 2H), 2.97-2.72(m, 8H), 2.28(s, 3H), 1.13-1.01(m, 6H). MS (ES, m/z): 265 [M+H]
+.
実施例12:2-(3-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド8d(100mg、0.23mmol、1.00当量)のジクロロメタン(5mL)溶液、3-(((2-(ジエチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)安息香酸(74mg、0.28mmol、1.20当量)、EDC.HCl(90mg、0.47mmol、2.01当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(43mg、0.35mmol、1.51当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中30℃で終夜撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた混合物を、水3×10mL及び飽和食塩水1×10mLで洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物(150mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体58.5mg(32%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.502-8.532(d, J=9.0Hz, 1H), 8.277-8.286(m, 1H), 8.060(s, 1H), 7.851-7.966(m, 4H), 7.475-7.610(m, 5H), 6.949-6.958(m, 1H), 3.922(s, 2H), 3.450-3.485(m, 4H), 3.273-3.316(m, 2H), 3.035-3.108(m, 4H), 2.957-2.998(m, 2H), 2.449-2.475(m, 3H), 1.857-1.872(m, 4H), 1.666-1.683(m, 2H), 1.139-1.200(m, 6H). MS (ES, m/z): 676 [M+H]
+.
実施例13
N1-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド
2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド8dを、N1-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)カルバモイル)フェニル)-イソフタルアミド10の調製について記載した手順を使用して、N1-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)-N3-(4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)イソフタルアミド13に変換した。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.683(d, J=9Hz, 1H), 8.498(s, 1H), 8.382-8.391(m, 1H), 8.151-8.171(m, 2H), 8.039-8.086(m, 3H), 7.655-7.715(m, 3H), 7.592(d, J=7.8Hz, 1H), 7.128-7.136(m, 1H), 3.579-3.710(m, 12H), 2.002-2.016(m, 4H), 1.803-1.818(m, 2H). MS (ES, m/z): 665 [M+H]
+.
実施例14
N1-(4-クロロ-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)-N3-メチル-N3-(2-モルホリノエチル)イソフタルアミド2,2,2-トリフルオロアセテート
50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド6d(150mg、0.39mmol、1.00当量)のジクロロメタン(6mL)溶液及びピリジン(93.6mg、1.18mmol、3.00当量)を入れた。これに、3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)ベンゾイルクロリド1f(147mg、0.47mmol、1.20当量)のジクロロメタン(2mL)溶液を、10分かけて撹拌しながら0℃で滴下添加した。得られた溶液を、室温で1時間撹拌した。得られた溶液を、水2mLで希釈し、NH
3.H
2O(2mol/L)でpH8に調整した。得られた溶液を、ジクロロメタン2×5mLで抽出し、有機層を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗生成物(150mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、白色固体67.2mg(22%)として得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO, ppm): δ11.67 (s, 1H) , 11.54 (s, 1H), 9.62 (s, 1H), 8.68-8.67 (d, J=2.7Hz, 1H), 8.71-8.38 (d, J=9.0Hz, 1H), 8.16-8.02 (m, 5H), 7.79-7.65 (m, 5H), 6.968-6.960 (d, J=2.4Hz, 1H), 4.01(s, 2H), 3.84 (s, 2H), 3.42 (s, 6H), 3.18 (s, 2H), 2.98(s, 3H). MS (ES, m/z): 655 [M +H]
+.
実施例15
2-メチル-1-オキソ-1-(3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)フェニル-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-酸
中間体15a:メチル3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンゾエート。100mLの三つ口丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド(260mg、0.61mmol、1.00当量)のジクロロメタン(20mL)溶液及びトリエチルアミン(123mg、1.22mmol、2.01当量)を入れた。この後、メチル3-(クロロカルボニル)ベンゾエート(144mg、0.73mmol、1.20当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を、撹拌しながら0℃で滴下添加した。得られた溶液を、室温で2時間撹拌し、反応の進行をLCMSによってモニタした。得られた混合物を、水3×20mL及び飽和食塩水20mLで洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を真空下で濃縮して、粗生成物300mgを褐色固体として得た。
中間体15b;3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)安息香酸。100mLの丸底フラスコに、メチル3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンゾエート(300mg、0.51mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液、水(5mL)及び水酸化リチウム水和物(300mg、12.50mmol、24.62当量)を入れた。得られた溶液を、終夜室温で撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた混合物を、真空下で濃縮した。溶液を、塩酸(1mol/L)でpH2に調整した。得られた溶液を、酢酸エチル3×30mLで抽出し、有機層を混合し、飽和食塩水1×30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾過して除去した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。これによって、粗生成物300mgを灰色固体として得た。
実施例15:2-メチル-1-オキソ-1-(3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)フェニル)-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-酸。50mLの丸底フラスコに、3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)安息香酸8d(150mg、0.26mmol、1.00当量)、tert-ブチル3-(2-(2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート8b(75mg、0.26mmol、0.99当量)、EDC.HCl(75mg、0.39mmol、1.51当量)、4-ジメチルアミノピリジン(48mg、0.39mmol、1.52当量)及びジクロロメタン(5mL)を入れた。得られた溶液を、油浴中25℃で3時間撹拌し、反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた溶液を、ジクロロメタン10mLで希釈した。得られた混合物を、水3×10mL及びNH
4Cl水溶液3×10mLで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、生成物190mg(86%)を黄色固体として得た。50mLの丸底フラスコに、この固体(170mg、0.20mmol、1.00当量)のジクロロメタン(3mL)溶液及びトリフルオロ酢酸(1.5mL)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体67.2mg(42%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.74-8.71(d, J=9Hz, 1H), 8.40-8.39(d, J=2.4Hz, 1H), 8.17(s, 1H), 8.09-8.05(m, 4H), 7.76-7.58(m, 5H), 7.11-7.10(d, J=2.7Hz, 1H), 3.79(s, 2H), 3.68-3.53(m, 17H), 3.15-3.12(d, J=11.1Hz, 3H), 2.52-2.48(t, J=6.3Hz, 2H), 2.04-1.81(m, 6H). MS (ES, m/z): 795 [M+H]
+.
実施例16
2-(3-(((3-((2-メトキシエチル)アミノ)-3-オキソプロピル)(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド
中間体16a:2-(3-(ブロモメチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。50mLの丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(5mL)中2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド8d(100mg、0.23mmol、1.00当量)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(60mg、0.47mmol、2.00当量)を入れた。これに、3-(ブロモメチル)ベンゾイルクロリド(75mg、0.32mmol、1.39当量)を、0℃で分けて添加した。得られた溶液を、室温で2.5時間撹拌した。反応の進行を、LCMS/TLCによってモニタした。得られた混合物を、真空下で濃縮した。得られた溶液を、水10mLで希釈し、酢酸エチル3×10mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、飽和食塩水3×10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物160mg(88%)を褐色固体として得た。
実施例16:2-(3-(((3-((2-メトキシエチル)アミノ)-3-オキソプロピル)(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。50mLの丸底フラスコに、中間体16a-2(160mg、0.26mmol、1.00当量)、(123mg、0.77mmol、3.01当量)、ヨウ化カリウム(21.2mg、0.13mmol、0.50当量)、炭酸カリウム(70.1mg、0.51mmol、1.99当量)及びN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)を入れた。得られた溶液を、油浴中70℃で1.5時間撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた溶液を、水20mLで希釈した。得られた溶液を、酢酸エチル3×20mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、飽和食塩水3×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗生成物を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体88.2mg(42%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.66-8.63(d, J=9.3Hz, 1H), 8.39-8.38(d, J=2.7Hz, 1H), 8.16-8.05(m, 3H), 7.98-7.97(d, J=2.4Hz, 1H), 7.82-7.75(m, 1H), 7.73-7.59(m, 5H), 7.07-7.06 (d, J=2.4Hz, 1H), 4.54-4.49(m, 2H), 3.60-3.57(t, J=5.1Hz, 4H), 3.46-3.43(m, 3H), 3.39-3.36 (t, J=5.1Hz, 2H), 2.88(s, 3H), 2.79-2.74(t, J=6.6Hz, 2H), 1.99-1.78(m, 6H). MS (ES, m/z): 706 [M+H]
+.
実施例17
2-メチル-1-(3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)-フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)フェニル)-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-酸
50mLの丸底フラスコに、2-(3-(ブロモメチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド16a(120mg、0.19mmol、1.00当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)溶液、tert-ブチル3-(2-(2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート8b(168mg、0.58mmol、3.01当量)、ヨウ化カリウム(18mg、0.11mmol、0.57当量)及び炭酸カリウム(54mg、0.39mmol、2.04当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中70℃で終夜撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた溶液を、水20mLで希釈した。得られた溶液を、酢酸エチル3×20mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、飽和食塩水3×20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。これによって、生成物220mg(96%)を黄色固体として得た。
50mLの丸底フラスコに、この固体206mgのジクロロメタン(4mL)溶液及びトリフルオロ酢酸(2mL)を入れた。得られた溶液を、室温で1時間撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体58.1mg(26%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.61-8.59(d, J=8.7Hz, 1H), 8.40-8.39(d, J=2.4Hz, 1H), 8.16-8.12(m, 3H), 8.08-8.05(d, J=8.4Hz, 1H), 7.90(s, 1H), 7.81-7.67(m, 3H), 7.61-7.59(d, J=7.8Hz, 2H), 7.05-7.04(d, J=2.4Hz, 1H), 4.53(s, 2H), 3.89-3.85(t, J=4.8Hz, 2H), 3.69-3.53(m, 15H), 3.41(s, 2H), 2.92(s, 3H), 2.51-2.47(t, J=6Hz, 2H), 1.95-1.76(m, 6H). MS (ES, m/z): 781 [M+H]
+.
実施例18
3-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)安息香酸
250mLの丸底フラスコに、2-(3-(クロロメチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド21a(1.6g、2.56mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液、3-メルカプト安息香酸(390mg、2.53mmol、0.99当量)、ヨウ化カリウム(21.2mg、0.13mmol、0.05当量)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(660mg、5.12mmol、2.00当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中40℃で24時間撹拌した。反応の進行を、TLC/LCMSによってモニタした。得られた混合物を、真空下で濃縮した。得られた溶液を、H
2O20mLで希釈し、酢酸エチル3×20mLで抽出し、有機層を混合した。得られた混合物を、塩酸(1mol/L)1×20mL及び飽和食塩水3×20mLで洗浄した。混合物を、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:20〜1:1)で溶出した。これによって、生成物1.12g(63%)を黄色から緑色の固体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3, ppm): δ11.68(s, 1H), 9.75(s, 1H), 8.60-8.56(d, J=9.2Hz, 1H), 8.00(s, 1H), 7.91(s, 3H), 7.88-7.81(m, 2H), 7.80-7.79(d, J=2.1Hz, 1H), 7.66-7.65(d, J=2.4Hz, 4H), 7.53-7.38(m, 2H), 7.33-7.25(m, 1H), 7.10-7.08(m, 1H), 4.20(s, 2H), 3.17(s, 4H), 1.69-1.54(m ,6H). MS (ES, m/z): 700 [M+H]
+.
実施例19
3-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)プロパン酸
50mLの丸底フラスコに、2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)ベンズアミド10f(140mg、0.26mmol、1.00当量、80%)のジクロロメタン(6mL)溶液、3-((3-tert-ブトキシ-3-オキソプロピルチオ)メチル)安息香酸(97mg、0.29mmol、1.00当量、90%)、EDC.HCl(125mg、0.65mmol、2.00当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(80mg、0.66mmol、2.00当量)を入れた。得られた溶液を、28℃で終夜撹拌した。得られた溶液を、酢酸エチル60mLで希釈した。得られた混合物を、10%重炭酸ナトリウム1×20mL及び飽和食塩水1×20mLで洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上に適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶出した。これによって、生成物140mg(64%)を褐色油として得た。
50mLの丸底フラスコに、この固体(140mg)のジクロロメタン(5mL)溶液及び2,2,2-トリフルオロ酢酸(1mL)を入れた。得られた溶液を、終夜室温で撹拌した。得られた混合物を、真空下で濃縮した。粗生成物(100mg)を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製した。生成物を、黄色固体61.2mg(51%)として得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl
3, ppm): δ12.30 (s, 1H), 11.98 (s, 1H), 8.97 (d, J=9Hz, 1H), 8.19 (m, 3H), 7.91 (s, 1H), 7.74 (m, 1H), 7.60 (m, 6H), 7.47 (m, 2H), 3.82 (s, 2H), 3.49 (m, 4H), 2.70 (m, 2H), 2.49 (m, 2H), 2.02 (m, 4H), 1.69 (m, 2H). MS (ES, m/z): 652 [M+H]
+
実施例20
4-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)安息香酸
中間体21a:2-(3-(クロロメチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド。1:1のTHF/ジクロロメタン2mL中2-アミノ-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)ベンズアミド100mg及びDIPEA119mgの混合物を、0℃に冷却し、3-(クロロメチル)ベンゾイルクロリド48mgで処理した。30分後、溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタンに溶解し、溶液を3N塩酸で洗浄し、次に重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。溶液を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を蒸発させた。
実施例21:4-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)安息香酸。丸底フラスコに、中間体21a(0.0580mmol、1当量)、4-メルカプト安息香酸(11mg、0.0696mmol、1.2当量)、炭酸カリウム(24mg、3当量)及びDMF(1mL)の溶液を入れた。溶液を、終夜室温で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を、ジクロロメタンと水に分離した。有機相を乾燥した(Na
2SO
4)。溶媒を蒸発させ、残渣を、逆相HPLCによって、水/アセトニトリル勾配中0.05%TFAで溶出して精製して、生成物34mgを得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO, ppm): δ11.55(s, 1H), 11.48(s, 1H), 8.67(d, J=2.6Hz, 1H), 8.32(d, J=8.3Hz, 1H), 8.19(S, 1H), 8.16(d, J=7.8Hz, 1H), 8.01(s, 1H), 7.85-7.71(m, 5H), 7.65(d, J=7.5Hz, 3H), 7.52(t, J=7.7Hz, 1H), 7.44(d, J=8.7Hz, 2H), 7.04(d, J=2.7Hz, 1H), 4.46(s, 2H), 3.30(s, 4H), 1.70(s, 4H), 1.59(s, 2H). MS (ES, m/z) 700 [M+H]
+.
実施例21
N1-メチル-N1-(2-モルホリノエチル)-N3-(2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)チオフェン-3-イル)イソフタルアミド
中間体22a:2-ニトロ-N-(5-フェニル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンズアミド。2-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)安息香酸100mg、2-アミノ-5-フェニル-1,3,4-チアジアゾール(thiazdiazole)78mg及びDIPEA153μLのDMF0.8mL溶液を、HATU182mgで処理した。60℃で16時間撹拌した後、混合物を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水で3回洗浄した。有機抽出物を、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒を蒸発させ、残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにかけ、ジクロロメタン中0%〜10%勾配の酢酸エチルで溶出して、生成物137mgを得た。MS(ES、m/z)410.0[M+H]+。
中間体22b:2-アミノ-N-(5-フェニル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンズアミド。中間体22a130mgのメタノール2mL及び酢酸エチル6mL溶液を、10%Pd/C(50重量%の水)50mgで処理し、水素雰囲気下で3時間撹拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、濾過した。溶媒を蒸発させて、黄色粉末116mgを得た。MS(ES、m/z)380.2[M+H]
+。
実施例22:N1-メチル-N1-(2-モルホリノメチル)-N3-(2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール)-3-イル)カルバモイル)チオフェン-3-イル)イソフタルアミド。丸底フラスコに、アニリン22b(10mg)及び3-(メチル(2-モルホリノエチル)カルバモイル)安息香酸1e(9mg)のDMF(0.8μL)及びDIEA(17μL)溶液を入れた。これに、HATUを室温で添加した。得られた溶液を終夜撹拌した。反応の進行を、TLC/LCMSによってモニタした。混合物を濃縮した。粗生成物を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH
3CN勾配で溶出して精製して、生成物8.6mgを得た。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD, ppm): δ8.46-8.30 (m, 1H), 8.081-8.035(m, 2H), 7.97-7.92(b, 1H), 7.876-7.849(m, 2H), 7.711-7.692(m, 1 H), 7.619(t, J= 8 Hz, 1H), 7.522-7.470(m, 1H), 7.460-7.435(m, 3H), 3.873-3.859(m, 3H), 3.82-3.49(b, 4H), 3.431-3.378(m, 6H), 3.051(s, 3H), 1.837-1.825(m, 4H), 1.668, 1.639(m, 2H). MS (ES, m/z): 654 [M+H]
+.
実施例22
2-(3-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)フェニル)酢酸
丸底フラスコに、2-(3-(クロロメチル)ベンズアミド)-5-(ピペリジン-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド21b(0.23mmol、1当量)のDMF(1.2mL)溶液、炭酸カリウム(127.1mg、0.92mmol、4当量)及び(3-メルカプトフェニル)酢酸(42.6mg、0.253mmol、1.1当量)を入れた。溶液を、終夜室温で撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。16.5時間後、さらなる(3-メルカプトフェニル)酢酸(7mg)を溶液に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。溶媒を除去した。残渣をDCMに溶解し、H2O及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。生成物を、逆相HPLCによって、水/アセトニトリル勾配中0.05%TFAで溶出して精製した。MS(ES、m/z)714[M+H]+。
実施例23
2-(3-((3-((4-クロロ-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)フェニル)酢酸
中間体24a:2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-ベンズアミド。丸底フラスコに、2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド6d(250mg)のジクロロメタン(2mL)及びテトラヒドロフラン(2mL)溶液、並びにDIPEA(378mg)を入れた。溶液を0℃に冷却した。これに、3-(クロロメチル)ベンゾイルクロリド(726mg)を滴下添加した。溶液を室温に温め、30分間撹拌し、次にジクロロメタンで希釈した。得られた溶液を、5%塩酸、NaHCO
3水溶液及びH
2Oで洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、粗生成物を次のステップで直接使用した。
実施例24:2-(3-((3-((4-クロロ-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)フェニル)酢酸。丸底フラスコに、中間体24a(195mg)のDMF(4mL)溶液、炭酸カリウム(152mg)及び(3-メルカプトフェニル)酢酸(68mg)を入れた。溶液を、終夜室温で撹拌した。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を、逆相HPLCによって、水/アセトニトリル勾配中0.05%TFAで溶出して精製して、生成物84mg(35%)を得た。MS(ES、m/z)663[M+H]+。
実施例24
1-(3-((4-クロロ-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)フェニル)-1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-酸
中間体25a:3-((14,14-ジメチル-12-オキソ-3,6,9,13-テトラオキサペンタデシル)カルバモイル)安息香酸。50mLの丸底フラスコに、イソフタル酸(1.7g、10.24mmol、2.98当量)のジクロロメタン(10mL)溶液、EDC.HCl(660mg、3.44mmol、1.00当量)、4-ジメチルアミノピリジン(420mg、3.44mmol、1.00当量)及びtert-ブチル3-(2-(2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート8b(1g、3.44mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物を、水2×20mL及びNH
4Cl(水溶液)1×20mLで洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗生成物(1g)を、逆相クロマトグラフィーによって、水/メタノール勾配で溶出して精製して、3-((14,14-ジメチル-12-オキソ-3,6,9,13-テトラオキサペンタデシル)カルバモイル)安息香酸500mg(33%)を黄色油として得た。
1H-NMR (300MHz, CD
3OD, ppm): δ8.087(s, 2H), 7.664-7.560(m, 2H), 3.785-3.499(m, 14H), 3.144-3.705(m, 3H), 2.489-2.448(m, 2H), 1.469-1.456(s, 9H). MS (ES, m/z): 440 [M+H]
+.
中間体25b:tert-ブチル1-(3-(クロロカルボニル)フェニル)-1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-オエート。中間体25a68mg及びジイソプロピルエチルアミン35μLのジクロロメタン1mL溶液を、塩化オキサリル18μLで処理した後、DMF5μLで処理した。混合物を30分間撹拌し、次に溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をトルエンに溶解し、溶媒を減圧下で蒸発させた。
中間体25c:tert-ブチル1-(3-((4-クロロ-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)フェニル)-1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-オエート。先のステップからの残渣を、ジクロロメタン及びTHFの1:1混合物1mLに溶解した。この溶液を、2-アミノ-5-クロロ-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)ベンズアミド6d57mgで処理した後、ジイソプロピルエチルアミン78μLで処理した。1時間後、混合物を、ジクロロメタンと重炭酸ナトリウム水溶液に分離した。溶液を乾燥し(Na
2SO
4)、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン中0%〜100%勾配の酢酸エチルで溶出して精製した。これによって生成物37mgを得た。
実施例25:1-(3-((4-クロロ-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-カルバモイル)フェニル)カルバモイル)フェニル)-1-オキソ-5,8,11-トリオキサ-2-アザテトラデカン-14-酸。丸底フラスコに、中間体25c(96mg)のジクロロメタン(0.5mL)溶液を入れた。これに、トリフルオロ酢酸(0.5mL)を添加した。溶液を30分間撹拌し、次にジクロロメタンで希釈した。溶媒を蒸発させ、残渣を、逆相HPLCによって、水/アセトニトリル勾配中0.05%TFAで溶出して精製して、生成物93mgを得た。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD, ppm): δ 8.59 (d, J=9.2 Hz, 1H), 8.33 (d, J=2.5 Hz, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.04 (d, J=8.2 Hz, 3H), 7.97 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.67-7.54 (m, 5H), 7.03 (d, J=2.4 Hz, 1H), 3.76 (s, 2H), 3.64-3.46 (m, 14H), 3.12-3.09 (m, 3H), 2.46 (t, J=6.3 Hz, 2H). MS (ES, m/z) 768 [M+Na]
+.
実施例25
2-オキソ-1-(3-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)フェニル)-6,9,12-トリオキサ-3-アザペンタデカン-15-酸
丸底フラスコに、2-(3-((3-((4-(ピペリジン-1-イル)-2-((1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)ベンジル)チオ)-フェニル)酢酸23(0.119mmol、1当量)のアセトニトリル(0.5mL)溶液及びDIPEA(78.9mg、0.612mmol、4当量)を入れた。これに、tert-ブチル3-(2-(2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート8b(33.08mg、0.127mmol、1.1当量)のアセトニトリル(0.5mL)溶液を添加した後、HATU(57.9mg、0.153mmol、1.2当量)を添加した。混合物を室温で撹拌した。反応の進行を、LCMSによってモニタした。1時間後、さらなる8b(15mg)を溶液に添加し、溶液をさらに30分間撹拌した。溶媒を、減圧下で蒸発によって除去した。残渣をDCM(1mL)に溶解した。これにTFA(0.5mL)を添加した。溶液を1時間撹拌し、次に溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を、逆相HPLCによって、0.05%TFAを含有する水/CH3CN勾配で溶出して精製した。凍結乾燥することによって、生成物37mgを得た。1H NMR (400 MHz, dmso) δ 11.55 (s, 1H), 11.46 (s, 1H), 8.65 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.33 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 8.12 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.05 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.78 - 7.67 (m, 3H), 7.61 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.45 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.17 (d, J = 4.9 Hz, 3H), 7.01 (s, 3H), 4.30 (s, 3H), 3.54 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 3.43 (s, 14H), 3.41 - 3.16 (m, 15H), 3.16 - 3.09 (m, 3H), 2.39 (t, J = 6.4 Hz, 3H), 1.76 - 1.66 (m, 4H), 1.61 - 1.52 (m, 2H).MS (ES, m/z) 917 [M+H]+.
実施例26
NaP2b媒介性Pi輸送の測定手順
材料。HEK293細胞を、American Type Culture collectionから得、その指示に従って繁殖させた。ラット及びヒトNaP2b(SLC34A2)の発現クローンを、Open Biosystemsから得た(それぞれカタログ番号MRN1768-9510282及びMHS1010-99823026)。ヒトタンパク質の配列を変異させて、残基37の後にスレオニンを挿入し、N39D変異を導入した。
Pi輸送の阻害。HEK293細胞へのリン酸(Pi)取込み率を、Mohrmannら(Mohrmann, I.、Mohrmann, M.、Biber, J.及びMurer, H.(1986年)Am. J. Phys. 250(3 Pt l):G323〜30頁)によって記載の方法の改変を使用して測定した。トランスフェクトしたHEK293細胞を、薬理学的作用物質で処理して、内因性のPiT媒介性リン酸輸送活性を最小限にして、残る唯一のナトリウム依存性リン酸輸送活性が、NaP2b遺伝子の導入によってもたらされる活性になるようにした。
細胞を、96ウェルプレートに細胞25,000個/ウェルで播種し、終夜培養した。リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用して、NaP2bのcDNAを導入し、細胞を、第2の終夜にわたるインキュベーション中に、ほぼコンフルエンスになるようにした。培地を、培養物から吸引し、細胞をコリン取込みバッファー(14mMトリス、137mM塩化コリン、5.4mM KCl、2.8mM CaCl2、1.2mM MgSO4、100uM KH2PO4、1mg/mLウシ血清アルブミン、pH7.4)で1回洗浄した。次に、細胞を、6〜9uCi/mL33Pオルトリン酸(Perkin Elmer)及び試験化合物を含有する、コリン取込みバッファー又はナトリウム取込みバッファー(14mMトリス、137mM塩化ナトリウム、5.4mM KCl、2.8mM CaCl2、1.2mM MgSO4、100uM KH2PO4、PiTサイレンシング剤、1mg/mLウシ血清アルブミン、pH7.4)のいずれかで覆った。各化合物を、0.1nM〜30uMの範囲の12種類の濃度で試験した。アッセイを二重に実施した。
室温で3〜30分間インキュベーションした後、アッセイ混合物を除去し、細胞を氷冷した停止溶液(137mM塩化ナトリウム、14mMトリス、pH7.4)で2回洗浄した。20μLの0.1%Tween 80を添加した後、シンチレーション液100μLを添加することによって細胞を溶解し、TopCount(Perkin Elmer)を使用して計数した。
試験化合物のpIC50(IC50値の負の対数)を、GraphPad Prismを使用して算出した。予備研究では、これらの条件下で、ナトリウム依存性のPiの取込みが、少なくとも30分間線形となり、有害作用なしに0.6%(v/v)DMSOに認容性を有することが示された。
阻害剤がリン酸との結合を競合するかどうかを確認するために、アッセイ混合物中の基質濃度を0.1mMから2.1mMリン酸に増大して、手順を反復した。2.1mM対0.1mMリン酸の存在下で、NaPi2bの阻害に対して効力を維持していた化合物は、リン酸に対して競合的でないとみなした。
実施例27
インビボアッセイ:リンの大量瞬時投与チャレンジ
単回経口用量のリンに対する高リン酸血応答は、Nap2b遺伝子が欠損しているマウスでは著しく弱まることが実証されている(Sabbaghら、J. Am Soc Nephrol.、20(11):2348〜58頁(2009年))。低リン含量の食餌で動物を予め処理し、その後リンの大量瞬時投与を行うことによって、血清リンレベルを、腸によるリン吸収の代わりとして30分後にモニタした。本発明の研究者らは、Np2bが欠失した結果として、血清リン上昇が約40%低下したことを示した。これによって、Nap2b阻害剤がマウスにおいて有し得る、リンの吸収に対する理論的な最大効果は、血清Piによって示される通り40%であることが示される。ここで使用したリンのインビボ大量瞬時投与によるチャレンジモデルは、ラットのこのモデルを模倣する。
7週齢の雄性Sprague-Dawleyラット(Charles-River laboratories international、Hollister、CA)を、最小3日間、気候順応させた後、0.1%リン及び0.6%カルシウムを含有する低リン含量の合成食(TD.85010、Harlan Teklad、Madison、WI)に切り替えた。5日目に、試験化合物又はビヒクルだけ(示されている通り)を、体積5ml/kgの指示用量で経口投与し、その後、化合物を投与した15分後に、一塩基リン酸ナトリウム(1ml中1mmol)を強制投与により大量瞬時投与した。リン酸を大量瞬時投与した30分後に、後眼窩の出血により血清を収集し、ACE ALERA血液化学分析器(Alfa Wassermann Diagnostic Technologies、West Caldwell、NJ)を利用してリン酸レベルを決定した。
リン酸の大量瞬時投与への応答において、血清リン酸レベルの上昇に対する試験化合物による阻害度を、表3に示す(データは、各データ点につき6〜10匹の動物を用いて阻害%として表す)。各群の間の差異を、Dunnett事後試験を用いて一元配置分散分析によって評価した。
実施例28
インビボ評価手順:固形飼料による併用投与
7週齢の雄性Sprague-Dawleyラット(Charles-River laboratories international、Hollister、CA)を、最小3日間、気候順応させた。4日間、動物を合成食(0.6%リン及び0.6%カルシウム、Harlan Teklad TD.84122)に切り替えることによって、実験を開始した。この後、食餌及び水の消費、並びに尿及び糞便の収集を1日1日モニタするために、動物を代謝ケージに入れた。3%チョコレート香味剤(w/w、BioServ #7345)を含有する前述の粉末食に、食餌1グラム当たり試験化合物1.3mgで試験化合物を組み込んで、1日当たりの名目上の平均用量が100mg/kg/日になるようにした。後に、各動物に投与された実際の用量を、準備した食餌の消費及び体重を測定することによって決定した。薬物投与の24〜48、48〜72及び72〜96時間後の3回、各24時間の間に尿試料を収集した。これら3回の24時間間隔を平均することによって、各動物の排尿、糞便排出、食餌消費及び水摂取をより忠実に表す測定値を得る。尿中リン酸レベルを、アニオン交換クロマトグラフィーによって、Dionex ICS-3000イオンクロマトグラフィー系を使用して決定した。尿試料を、1:500又は1:1000に希釈し、水酸化カリウム溶出液を使用してIonPac AS18分析カラム(2×250mm)上に注入した。尿中リン酸イオンの溶出を、伝導率検出器によってモニタし、リン酸を含有する標準イオン溶液に対してppmとして報告した。各動物について、準備した食餌において消費されたPに対する毎日の尿中P排出量を算出した。リン吸収阻害の百分率を、対照群(固形飼料中に薬物を含まなかった動物)と比較して、この比率の低下を決定付けることによって推定した。対照群及び治療群の平均の間の差異を、t検定によって評価した。すべての実験において、用量750mg/kgを標的として固形飼料にRenvela粉末を0.9%ブレンドした1群が、常に含まれていた。一般にこれにより、尿中P排出/消費Pが約15%阻害された。
実施例29
人工胃液及び腸管液における化合物の安定性
試験化合物を、人工胃液(simulated gastric fluid)(SGF;3mg/mLのペプシンを含む標準USP溶液)又は人工腸管液(SIF;3mg/mLのパンクレアチンを含む標準USP溶液)中1〜20μMで、3時間又は6時間インキュベートした。HPLC-UV又はHPLC-MSを使用して、ピーク面積%を使用して試験化合物のレベルを決定した。結果(表5)を、t=0において所与の条件下で存在する試験化合物に対して、インキュベーションした後、同じ条件における残りの試験化合物の百分率として報告した。
実施例30
化合物のCmax及びAUCの決定
Sprague-Dawleyラットに、名目上の用量2.5mg/kg又は10mg/kgで試験物質を強制経口投与し、0.5、1、2及び4時間目に採血した。血液試料を、K
2EDTAを抗凝固剤(anticoaglulant)として使用して処理して、血漿を得た。血漿試料を、内部標準を含有するアセトニトリルで処理し、沈殿したタンパク質を遠心分離によって除去した。上清をLC-MS/MSによって分析し、化合物濃度を、血漿において準備した標準曲線から補間することによって決定した。表6は、選択した実施例化合物の薬物動態プロファイリングからのデータを示す。すべての化合物を、示した投与量で経口投与し、薬物動態パラメータを決定した。
実施例31
経口投与した化合物の糞便の回収
経口強制投与後の糞便における試験化合物レベルの定量的な決定を、血漿における試験化合物の濃度を決定するために使用したのと同じ組の動物(実施例30)を使用して実施した。動物を、代謝ケージで維持し、投与時から投与の48時間後までの糞便を収集した。収集時に、凍結乾燥によって糞便を乾燥させ、視覚的に均質な粉末に粉砕した。各個々の動物から得た粉砕した糞便の二重試料を秤量し、有機溶媒を使用して抽出した。次に、抽出した試料を移動相に希釈し、標準曲線を糞便マトリックスにおいて準備したことを除き、「実施例30」に記載の通り、試験化合物のレベルをLC-MS/MS分析によって定量的に決定した。抽出条件は、個々の化合物に合わせて最適化しなかったので、最小レベルの回収率を表し得る。
本明細書において参照した米国特許、米国特許公開出願、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物のすべては、本説明に矛盾しない程度まで、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
前述のことから、本発明の具体的な実施形態は、例示目的で本明細書に記載されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な改変を加え得ることを理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって制限される以外に制限されることはない。