JP5822225B2 - 炭化水素系共重合体およびその製造方法、並びに成形体 - Google Patents
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〔1〕一般式(1)で示されるノルボルネン誘導体と一般式(2)で示されるN−置換型マレイミドとを共重合してなる数平均分子量が5×104〜5×106の範囲である炭化水素系共重合体。
〔3〕上記[1]または[2]の炭化水素系共重合体からなる成形体。
〔4〕一般式(1)で示されるノルボルネン誘導体と一般式(2)で示されるN−置換型マレイミドとを、含フッ素アルコール、含フッ素ジオールおよびハロゲン化炭化水素から選ばれるルイス酸またはブレンステッド酸の存在下にラジカル共重合することを含む上記〔1〕または〔2〕に記載の炭化水素系共重合体の製造方法。
本発明で用いられるノルボルネン誘導体は、式(1)で表される化合物である。式(1)中のR1〜R12は、それぞれ独立して水素原子または炭化水素基を示す。かかる炭化水素基としては、炭素数1〜8の飽和炭化水素基が好ましい。炭素数1〜8の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。R1〜R12はそれぞれ1種であっても複数種であってもよい。
かかるR9またはR10とR11またはR12とが環を形成しているノルボルネン誘導体の具体例としては、ジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4,8−ジエン)やトリシクロ[4.3.12,5.0]デカ−3−エンが挙げられる。
フッ素不含で且つ炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
R13は1種であっても複数種であってもよい。
本発明の炭化水素系共重合体の製造において使用し得る他のモノマーとしては、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロへキサジエン、1,4−シクロへキサジエン、5−エチル−1,3−シクロへキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、1,3−シクロオクタジエンなどの脂環式不飽和炭化水素;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン;スチレンなどの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどのエチレン性カルボン酸化合物またはその誘導体などが挙げられる。
また、溶媒はルイス酸またはブレンステッド酸として機能するものであってもよい。ルイス酸またはブレンステッド酸として機能する溶媒としては、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノールなどの含フッ素アルコール;2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールなどの含フッ素ジオールなどが挙げられる。また、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素を溶媒としてもよい。これらの溶媒は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ルイス酸またはブレンステッド酸は添加剤として溶媒に添加してもよい。
反応開始前の反応液0.05mLをそれぞれ重クロロホルム溶液0.45mLに溶解させ、1H−NMR測定を行い、ノルボルネンのビニルプロトンに由来するピーク(6.0〜6.1ppm)およびマレイミドのビニルプロトンに由来するピーク(6.7〜6.9ppm)の積分値と、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノールのフェニルプロトンに由来するピーク(7.1〜7.5ppm)の積分値との比率(rn0、rm0)をそれぞれ算出した。次に反応後の反応液について同様に1H−NMR測定を行い、ノルボルネンのビニルプロトンに由来するピークおよびマレイミドのビニルプロトンに由来するピークの積分値と1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノールのフェニルプロトンに由来するピークの積分値との比率(rn1、rm1)をそれぞれ算出し、反応開始前の前記比率(rn0、rm0)に対する減少率((rn0−rn1)/rn0、(rm0−rm1)/rm0)を百分率で表し、反応率とした。
各実施例および比較例で得られた炭化水素系共重合体1mgを、1mLのテトラヒドロフランに溶解させて試料を得た。この試料を、昭和電工社製ポリスチレンゲルカラムShodex K-805L (内径:8.0mm長さ:30cm)を2本直列に接続したものがセットされた高速液体クロマトグラフ(日本分光社製「HPLC LC−2000Plus」)に、溶離液としてのテトラヒドロフランを流速1.0mL/分で流し、測定温度40℃にて、示差屈折計(日本分光社製RI−2031)を検出器として用いて標準ポリスチレン換算した重量平均分子量および数平均分子量を算出した。
各実施例および比較例で得られた炭化水素系共重合体を、示差走査熱量測定(DSC)装置(ティー・エイ・インスツルメント社製Q200)にセットし、320℃まで10℃/分で昇温させ、10分間保持し、−50℃まで10℃/分で降温させ、−50℃で5分間保持し、320℃まで10℃/分で昇温させ、5分間保持し、次いで40℃まで10℃/分で降温させた。その間の熱量変化を測定した。2度目昇温時の転移挙動における中間温度をガラス転移温度とした。
各実施例および比較例で得られた炭化水素系共重合体を、熱示差測定(TG−DTA)装置(ティー・エイ・インスツルメント社製Q500)にセットし、40℃から500℃まで5℃/分で昇温させた。セットした重合体の重量が5%減少した時点の温度を熱分解開始温度とした。
十分乾燥させたガラス製コック付フラスコに、2−ノルボルネン(東京化成工業製)1.41g(15mmol)、N−シクロヘキシルマレイミド(東京化成工業製)1.34g(7.5mmol)、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN:和光純薬工業製)16mgおよび脱水した1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール(東京化成製)を窒素気流下で加え全量を5mLとした。この混合物を撹拌して均一に溶解させた。
脱水した1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノールの量を変えて全量が15mLになるようにしたこと、及び反応液を滴下するメタノールの量を150mLとしたこと以外は実施例1と同じ方法で炭化水素系共重合体を得た。
2−ノルボルネンおよびN−シクロヘキシルマレイミドの反応率は、それぞれ32%および65%であった。得られた炭化水素系共重合体のサイズ排除クロマトグラムには単峰性のピークが観測され、Mnが82,600、Mw/Mnが2.3であった。また、1H−NMRによる測定から、2−ノルボルネン単位とN−シクロヘキシルマレイミド単位の比率が1:1であることがわかった。また当該炭化水素系共重合体は、熱分解開始温度が402℃、ガラス転移温度が306℃であった。
前記の炭化水素系共重合体をテトラヒドロフランに溶解させて濃度5質量%の溶液を得た。これをアルミ箔上に塗布し、25℃で3時間乾燥させた。これをさらに70℃にて5時間減圧乾燥したのち、常圧にしてアルミ箔から剥がし、フィルムを得た。得られたフィルムは厚さ30μmで無色透明であった。
脱水した1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノールの代わりにトルエン(和光純薬工業製)を用いた以外は実施例1と同じ方法で炭化水素系共重合体を得た。
2−ノルボルネンおよびN−シクロヘキシルマレイミドの反応率は、それぞれ20%および81%であった。得られた炭化水素系共重合体のサイズ排除クロマトグラムには単峰性のピークが観測され、Mnが4,600、Mw/Mnが2.2であった。また、当該飽和炭化水素系共重合体をテトラヒドロフランに溶解させて濃度5質量%の溶液を得た。これをアルミ箔上に薄く塗布し、室温で3時間乾燥させた。これを70℃にて5時間減圧乾燥したが、アルミ箔から剥がそうとすると粉々に割れてしまい、フィルムを単離することができなかった。
N−シクロヘキシルマレイミドの代わりにN−フェニルマレイミド(東京化成工業製)1.29g(7.5mmol)を用いた以外は実施例1と同じ手法で無色透明の炭化水素系共重合体を得た。
2−ノルボルネンおよびN−フェニルマレイミドの反応率は、それぞれ43%および90%であった。得られた炭化水素系共重合体のサイズ排除クロマトグラムには単峰性のピークが観測され、Mnが172,000、Mw/Mnが1.6であった。また、1H−NMRによる測定から、2−ノルボルネン単位とN−メチルマレイミド単位の比率が1:1であることがわかった。また当該炭化水素系共重合体は、熱分解開始温度が404℃、ガラス転移温度が284℃であった。
N−シクロヘキシルマレイミドの代わりにN−メチルマレイミド(東京化成工業製)0.83g(7.5mmol)を用いた以外は実施例1と同じ方法で無色透明の炭化水素系共重合体を得た。
2−ノルボルネンおよびN−メチルマレイミドの反応率は、それぞれ45%および88%であった。得られた炭化水素系共重合体のサイズ排除クロマトグラムには単峰性のピークが観測され、Mnが159,000、Mw/Mnが2.3であった。また、1H−NMRによる測定から、2−ノルボルネン単位とN−メチルマレイミド単位の比率が1:1であることがわかった。また当該炭化水素系共重合体は、熱分解開始温度が392℃、ガラス転移温度が253℃であった。
N−シクロへキシルマレイミドの代わりにN−エチルマレイミド(東京化成工業製)0.94g(7.5mmol)を用いた以外は実施例1と同じ方法で無色透明の炭化水素系共重合体を得た。
2−ノルボルネンおよびN−エチルマレイミドの反応率は、それぞれ44%および87%であった。得られた炭化水素系共重合体のサイズ排除クロマトグラムには単峰性のピークが観測され、Mnが161,000、Mw/Mnが2.4であった。また、1H−NMRによる測定から、2−ノルボルネン単位とN−エチルマレイミド単位の比率が1:1であることがわかった。また当該炭化水素系共重合体は、熱分解開始温度が395℃、ガラス転移温度が284℃であった。
Claims (4)
- 一般式(1)で示されるノルボルネン誘導体と一般式(2)で示されるN−置換型マレイミドとを共重合してなる数平均分子量が5×104〜5×106の範囲である炭化水素系共重合体。
(式(1)中、R1〜R12は、それぞれ独立して水素原子または炭化水素基を示す。R9またはR10とR11またはR12とは互いに繋がって環を形成していてもよい。nは0または1である。)
(式(2)中、R13はフッ素不含の炭素数1〜12のアルキル基、1つ以上のアルキル基を有していてもよい炭素数3〜8の環状アルキル基、またはアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる1つ以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基を示す。) - ガラス転移温度が250〜400℃の範囲である、請求項1に記載の炭化水素系共重合体。
- 請求項1または2に記載の炭化水素系共重合体からなる成形体。
- 一般式(1)で示されるノルボルネン誘導体と一般式(2)で示されるN−置換型マレイミドとを、含フッ素アルコール、含フッ素ジオールおよびハロゲン化炭化水素から選ばれるルイス酸またはブレンステッド酸の存在下にラジカル共重合することを含む請求項1または2に記載の炭化水素系共重合体の製造方法。
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