JP5821885B2 - 点検用試験片および分析装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1の分析装置においては、被検物質によって呈色反応を生ずる反応領域を一面の一部に有する試験片(以下、「分析用試験片」ともいう。)を用いて分析が行われる。この分析用試験片は、例えば図4に示すように、ケース(以下、「分析用ケース」ともいう。)63に収容された状態で用いられるものである。この分析用ケース63には、分析用試験片61の反応領域Rを外部に露出させるための開口64Aと、分析用試験片61における反応領域Rと離間した位置に分析液を滴化するための開口64Bとが並設されている。
具体的に、特許文献1の分析装置は、分析用試験片61における反応領域Rに光を照射する光照射部と、当該光照射部によって光が照射されている状態の反応領域Rを撮影する撮影部とを備えている。そして、撮影部において得られた反応領域Rの撮影データ情報に基づいて、当該反応領域Rにおける呈色の程度によって被検物質を検出する。
図4において、分析用試験片61には、便宜上斜線が付されている。
そこで発明者らは、例えば、ニトロセルロースよりなる矩形平板状の基材の一面の一部に、呈色状態の金コロイドよりなるカラー標識が、当該基材の短手方向に伸びるように帯状に形成されてなる構成の点検用試験片を用いて分析装置の点検を行うことを検討した。すなわち、点検用試験片を、分析用試験片の構成材料を用いて形成することを検討した。
具体的な点検手法としては、分析装置によって点検用試験片におけるカラー標識の呈色の程度、すなわちカラー標識の既知の色濃度(呈色濃度)を測定し、得られた測定値が、予め定めた基準値の範囲内であれば装置が正常な状態であり、一方、当該基準値の範囲外であれば装置に異常があると判断する。
具体的に説明すると、ニトロセルロースなどの多孔質体が、毛細管現象を利用して液体を移動させることのできる特性を有しており、よって高い吸湿性を有するものである。そのため、点検用試験片をそのままの状態で大気環境下において保管した場合には、基材の吸湿に伴って経時的に基材の色、あるいは基材上に形成されたカラー標識の色が変化することから、正確な点検結果を得ることができなくなる。従って、未使用の点検用試験片であっても、例えばアルミニウム製の密閉袋内に乾燥剤と共に入れるなどして、大気に晒されることのないように厳重に保存したものでなければ、使用することができない。勿論、点検用試験片を再利用することはできない。
また、基材におけるカラー標識が形成された一面において、カラー標識の呈色の程度(カラー標識の色濃度)が測定されるため、保管の際だけでなく、点検動作中においても取り扱いには注意が必要である。すなわち、点検動作中において、点検用試験片のカラー標識が形成された一面、特にカラー標識および当該カラー標識の周囲に汚れが付着した場合には、その汚れを取り除くことができないことから、正確な点検結果を得ることができなくなるおそれがある。
また、本発明の他の目的は、点検用試験片を用いて容易に点検を行うことのできる分析装置を提供することにある。
非吸湿性材料よりなる光透過性基板を備えており、
前記光透過性基板には、当該光透過性基板の一面の一部にカラー標識が形成されており、当該カラー標識を含む当該光透過性基板の一面に、当該カラー標識とは異なる色の基準領域が形成されており、
前記光透過性基板の他面において当該カラー標識の色濃度が測定されることを特徴とする。
前記ケースには、前記カラー標識の色濃度に係る基準値の情報を含むコードが表示されるコード領域が設けられていることが好ましい。
前記点検用試験片におけるカラー標識および基準領域に光を照射する光照射部と、当該光照射部によって光が照射されている状態のカラー標識および基準領域を撮影する撮影部と、当該光照射部と当該撮影部とを制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、前記撮影部において得られた前記点検用試験片の撮影データ情報に基づいて、当該点検用試験片におけるカラー標識と基準領域との光学濃度差を得て、当該光学濃度差を、予め定めた基準値と比較する機能を有することを特徴とする。
従って、本発明の点検用試験片によれば、点検に際して利用される面が大気に晒された状態であってもカラー標識および基準領域の色が経時的に変化することが抑制されると共に、カラー標識および基準領域における点検に際して利用される面に汚れが付着することが防止されることから、取扱容易性が得られ、また分析装置の点検を高い信頼性をもって行うことができる。
この点検用試験片10は、例えば血液や尿などの被検査液中の被検物質によって呈色反応を生ずる反応領域を有する試験片(分析用試験片)を用い、当該分析用試験片の反応領域における呈色の程度によって被検物質を検出する分析装置を点検するために用いられる。この分析装置において、分析用試験片61は、図4に示すように、略矩形平板状の外観形状を有するケース(分析用ケース)63に収容された状態で用いられる。この分析用ケース63には、分析用試験片61の反応領域Rを外部に露出させるための開口64Aと、反応領域Rにおいて生じる呈色反応に関連する情報を含むコード(例えば、二次元コード)65が表示されるコード領域Cとが並設されている。
この図の例において、点検用試験片10は、点検対象である分析装置において用いられる分析用試験片61と略同様の外観形状を有している。また、カラー標識14は、分析用試験片61の反応領域Rに対応する位置に形成されている。
また、光透過性基板11の下面においては、当該下面の全域にわたって被覆層18が形成されている。すなわち、被覆層18は、光透過性基板11の下面において、カラー標識14を覆うと共に、このカラー標識14が形成されておらず、当該光透過性基板11の下面が露出されている領域全域を覆うように形成されている。
また、光透過性基板11においては、上面(図2における上面)側から、下面に形成されたカラー標識14と基準領域との色の違いを視認できることが必要とされる。
ここに、本明細書中において、「非吸湿性材料」とは、容易に水分を取り込んで保持することがなく、実質的に吸湿性を有さない材料を示す。
光透過性基板11の上面が平坦でなくて起伏がある場合には、光透過性基板11の上面に汚れや水分が付着した際に、その汚れや水分が吸着するおそれがある。
光透過性基板11の厚みが1mmを超える場合には、分析装置における撮影部(図7参照)において、光照射部によって光が照射された状態の点検用試験片10の撮影を行う際に、その撮影環境が、光の屈折により分析用試験片61の撮影環境と異なってしまう。そのため、適切な点検を行うことができなくなるおそれがある。一方、光透過性基板11の厚みが0.5mm未満である場合には、破損するおそれがある。
そして、光透過性基板11は、上面側からのカラー標識14と基準領域との視認性、耐環境性および製造上必要とされる耐熱性などの観点から、ガラスからなることが好ましい。
そして、カラー標識14は、図1〜図3に示されているように、同一の標識形成材料よりなり、当該標識形成材料の濃度、すなわち色の濃淡が異なる2つ以上(図の例においては2つ)の帯状層15,16により構成されていることが好ましい。
この図の例において、2つの帯状層15,16は、光透過性基板11の下面において、当該光透過性基板11の短手方向に直線状に伸びるように形成されている。また、2つの帯状層15,16は、光透過性基板11の長手方向において、互いに離間して形成されている。
具体的に説明すると、カラー標識14が1つの帯状層よりなるものである場合には、分析装置において、当該1つの帯状層における標識形成材料の濃度(以下、「標識色濃度」ともいう。)を正常に測定(検出)できるか否かのみが確認される。すなわち、標識色濃度が既知である点検用試験片10を用いて点検を行うことによれば、点検用試験片10の帯状層における標識色濃度と同等の呈色を示す分析用試験片61についてのみ、正常な測定(検出)を行うことができるか否かが確認されるだけである。そのため、分析用試験片61の反応領域Rにおける呈色の程度が、点検用試験片10の帯状層における標識色濃度と異なるときに、正常な測定(検出)できるか否かを確認することができない。このように、分析装置の状態判断(正常状態にあるか異常状態にあるかの判断)を、1つの点検データ、すなわち1つの帯状層における標識色濃度を正常に測定(検出)できるか否かのみで行うこととなる。
而して、カラー標識14が同一の標識形成材料による濃度の異なる2つ以上の帯状層15,16よりなるものである場合には、分析装置において、当該2つ以上の帯状層15,16における標識色濃度、およびその帯状層15,16における標識色濃度以外の濃度を正常に測定(検出)できるか否かを確認することができる。すなわち、2つ以上の帯状層15,16における標識色濃度の各々を正常に測定(検出)できるか否かを確認することができる。その上、得られた複数の点検データに基づいて、点検用試験片10の2つ以上の帯状層15,16における標識色濃度と異なる推定データを得ることができるので、標識色濃度が既知である点検用試験片10を用いて点検を行うことによれば、点検用試験片10の2つの帯状層における標識色濃度と同等の呈色を示す分析用試験片61についてだけでなく、異なる呈色を示す分析用試験片61についても、正常な測定(検出)ができるか否かを推定することができる。このように、複数の点検データおよび当該複数の点検データから得られる推測データに基づいて分析装置の状態判断を行うことができる。具体的には、例えば、2つ以上の帯状層15,16の全てに関して正常な測定(検出)ができるという点検データが得られた場合に、分析装置の測定範囲全域において正常に測定(検出)ができると推定し、その推定データに基づいて分析装置の状態判断が行われる。また、複数の点検データに基づいて推定データを得、この推定データを、予め定めた基準値と比較することにより、分析装置の状態判断が行われる。
従って、カラー標識14を同一の標識形成材料による濃度の異なる2つ以上の帯状層15,16により構成することによれば、複数の点検データから推定データを得ることができることから、分析装置の測定範囲全域の精度を確認することができるため、分析装置の点検を高い信頼性で行うことができる。そのため、点検用試験片10は、定期的に行われる分析装置の日常点検だけでなく、製造時やメンテナンス時の校正にも好適に用いることができるものとなる。
この図の例において、一方の帯状層(以下、「高濃度帯状層」ともいう。)15は、他方の帯状層(以下「低濃度帯状層」ともいう。)16に比して標識色濃度が高いものであり、その標識色濃度は、分析装置の測定範囲の上限値に係る濃度とされている。また、低濃度帯状層16における標識色濃度は、分析装置の測定範囲の下限値に係る濃度とされている。
具体的には、2つの帯状層15,16は、各々、幅が例えば1mmである。また、2つの帯状層15,16の離間距離は、例えば3〜4mmである。
この標識形成材料の具体例としては、例えば金コロイドおよび青色ラテックスなどが挙げられる。
この点検用試験片10において、基準領域の色は、白色であることが好ましい。
基準領域の色を白色とすることにより、当該基準領域の色が一般的な分析用試験片61の基材と略同等の色となる。すなわち、分析用試験片61の反応領域Rにおける呈色の程度を検出するための基準とされる色と略同等の色となる。そのため、分析装置の制御部において、点検動作を制御するための点検動作プログラムの一部を、分析動作を制御するための分析プログラムと共有化することができることから、点検用プログラムを簡素化することができる。
被覆層18が非吸湿性を有することにより、被覆層18が大気に晒された状態であっても、カラー標識14および基準領域の色が経時的に変化することを防止、または抑制することができる。
具体的には、例えば、先ず、矩形平板状のガラス平板の一面に、金コロイドからなるカラー標識形成材料の塗布液を、当該ガラス平板の短手方向に伸びるように直線状に塗布することにより、2つの金コロイド塗膜を形成する。次いで、2つの金コロイド塗膜が形成されたガラス平板の一面全面に、当該ガラス平板の一面における露出面(金コロイド塗膜が形成されていない領域)および2つの金コロイド塗膜の表面を被覆するように、スクリーン印刷法によって白色顔料インクの被覆膜を形成する。このようにして、ガラスからなる光透過性基板11の下面に、金コロイドからなる帯状層15,16により構成されるカラー標識14と、白色顔料インクからなる被覆層18により構成される基準領域とが形成されてなる点検用試験片10が得られる。
また、点検用試験片10を大量に作製する場合には、例えば図5に示すように、長尺な矩形状のガラス平板11Aを用意し、この長尺なガラス平板11Aに金コロイド塗膜15A,16Bを形成した後、白色顔料インクよりなる被覆膜18Aを形成し、その後、分断する手法を用いることもできる。
具体的に説明すると、先ず、図5(A)に示すように、長尺な矩形状のガラス平板11Aの一面に、金コロイドからなるカラー標識形成材料の塗布液を、当該ガラス平板11Aの長手方向に伸びるように直線状に塗布することにより、金コロイド塗膜15A,16Aを形成する。次いで、2つの金コロイド塗膜15A,16Aが形成されたガラス平板11Aの一面全面に、当該ガラス平板11Aの一面における露出面(金コロイド塗膜15A,16Aが形成されていない領域)および2つの金コロイド塗膜15A,16Aの表面を被覆するように、スクリーン印刷法によって白色顔料インクの被覆膜18Aを形成する。更に、図5(B)に示すように、金コロイド塗膜15A,16Aおよび被覆膜18Aが形成されたガラス平板11Aを、各分断片が所望の大きさとなるように分断する。このようにして、ガラスからなる光透過性基板11の下面に、金コロイドからなる帯状層15,16により構成されるカラー標識14と、白色顔料インクからなる被覆層18により構成される基準領域とが形成されてなる点検用試験片10が得られる。
ここに、前述の手法によれば、得られる点検用試験片10において、カラー標識14を構成する2つの帯状層15,16の表面全面を被覆層18によって被覆された状態とすることができる。一方、後述の手法においては、得られる点検用試験片10において、2つの帯状層15,16の端面17A,17Bが露出した状態となることがある。
点検用試験片10を点検用ケース30に収容することにより、光透過性基板11がガラスよりなるものであっても、点検用試験片10の取扱が容易となる。
また、点検用ケース30が点検用試験片10よりも表面積が大きなものであることから、点検に必要とされる情報を含むコードを表示するためのコード領域Cの設計の自由度が大きくなる。具体的には、コード領域Cに種々の情報を表示することができる。
更に、点検用試験片10の大部分を点検用ケース30によって覆われた状態とすることができるため、点検用試験片10の設計の自由度が大きくなる。具体的には、例えば被覆層18が非吸湿性を有さないものであっても、あるいは、点検用試験片10において、カラー標識14を構成する帯状層15,16の端面17A,17Bが露出された状態であっても、点検用試験片10における被覆層18および露出された状態の帯状層15,16の端面17A,17Bが大気に晒されないようにすることができる。
また、点検用ケース30において、上ケース部31の中央部分には、点検用試験片10における光透過性基板11の上面の一部分(具体的には、下面においてカラー標識14および基準領域が形成されている一部分である。以下、「上面露出部分」ともいう。)を外部に露出させるための開口31Aが形成されている。このようにして、点検用ケース30は、点検用試験片10における上面露出部分以外の部分を覆い、この上面露出部分以外の部分が大気に晒されることのない構造とされている。
そして、点検用ケース30に収容された点検用試験片10においては、点検用ケース30の開口31Aを介して外部に露出される上面露出部分により、標識領域Sが構成されている。
この図の例において、点検用ケース30は、分析用試験片61を収容するための分析用ケース63と略同様の外観形状を有している。具体的には、分析装置に対して、試験片挿入口(図6参照)から挿入して装着することのできる形状を有している。
また、点検用ケース30において、開口31Aは、矩形状であり、分析用ケース63の開口64Aに対応する位置に形成されている。
また、点検用試験片10において、標識領域Sは、光透過性基板11の上面の中央部分によって構成されており、当該上面の周縁部分は含まれていない。そのため、点検用試験片10が点検用ケース30に収容されることにより、カラー標識14を構成する2つの帯状層15,16の端面17A,17Bが露出された状態であっても、この端面17A,17Bは点検用ケース30に覆われ、よって大気に晒されることはない。
二次元コード36に含まれる情報としては、例えば点検用の試験片であることの識別情報、ロット番号などの点検用試験片10の基本情報、および、例えば基準領域とカラー標識14との光学濃度差の基準値(以下、「光学濃度差基準値」ともいう。)などの点検用試験片10に固有のカラー標識の色濃度に係る基準値の情報などを例示することができる。
この図の例において、二次元コード36は、分析用ケース63のコード領域Cに対応する位置に形成されている。具体的には、開口31Aと点検用ケース30の長手方向に並ぶようにして、一端側部分(図1および図2における右端側部分)に位置されている。
また、点検用ケース30は、分析装置における光照射部からの光が反射することを抑制する観点から、黒色であることが好ましい。特に、点検用ケース30の表面は、分析装置における光照射部からの光が散乱するように拡散面を有していることが好ましい。
従って、点検用試験片10によれば、点検に際して利用される一面が大気に晒された状態であっても、カラー標識14および基準領域の色が経時的に変化することが抑制されると共に、カラー標識および基準領域における点検に際して利用される面に汚れが付着することが防止されることから、取扱容易性が得られ、また分析装置の点検を高い信頼性をもって行うことができる。
この分析装置40は、試験片(具体的には、分析用試験片61および点検用試験片10)によって分析あるいは点検を行うための分析点検機構50が筺体41内に収容されてなるものである。この筺体41には、ケースに収容された状態の試験片(具体的には、分析用ケース63に収容された分析用試験片61、および点検用ケース30に収容された点検用試験片10)を挿入するための試験片挿入口42が設けられている。この試験片挿入口42において、点検用ケース30に収容された点検用試験片10は、標識領域Sおよびコード領域Cを有する面が上方を向いた状態で、水平な姿勢で挿入される。また、分析用ケース63に収容された分析用試験片61は、反応領域Rおよびコード領域Cを有する面が上方を向いた状態で、水平な姿勢で挿入される。
図6において、43は電源スイッチであり、44は、分析に係る情報および点検に係る情報などを入力すると共に動作指令信号を入力するタッチパネルである。
試験片検出用センサ51としては、例えばフォトインタラプタなどを用いることができる。
この撮影装置54は、試験片の分析点検領域による反射光を受光して試験片の分析点検領域全体における光強度分布像を撮影するものであり、例えばCMOS(Complementary Metal- Oxide Semiconductor)イメージセンサ41よりなる撮影素子を具えてなるものにより構成されていることが好ましい。
この照明装置52としては、例えば、点検用試験片10が標識形成材料として金コロイドが用いられたものである場合には、カラー標識14の帯状層15,16の色がピンク色となることから、例えば発光ピーク波長が525nm付近にある緑色光を発するLED53を光源として備えてなるものであることが好ましい。ここに、照明装置52における光源としては、試験片における呈色部分(具体的には、分析用試験片61における反応領域Rの呈色部分、および点検用試験片10におけるカラー標識14)の呈色濃度とのコントラストが大きくなる色光を照射するものであればよく、例えば半導体レーザや、ランプとバンドパスフィルターとが組み合わされたものなどにより構成されていてもよい。
照明領域Lの大きさは、例えば照明装置52の試験片の表面に対する配置位置(離間距離)によって調整することができる。
コード読み取り画像データ、被検物質検出用画像データおよび装置状態判断用画像データは、例えば0〜255の256階調の濃淡画像で表現されるものであって、例えば、点検用試験片10において、標識領域Sおよびコード領域Cに係る最大階調部が、それぞれ、例えば200から250の範囲内であれば、コード領域Cにおいて表示される情報の読み取り、および、標識領域Sの呈色状態の読み取りを適正に行うことができる。
この図の例において、カラー標識14の光学濃度情報としては、カラー標識14を構成する2つの帯状層15,16の光学濃度の値が得られる。そして、カラー標識14と基準領域との光学濃度差としては、2つの帯状層15,16の各々についての光学濃度差の値、具体的には、高濃度帯状層15と基準領域との光学濃度差の値、および低濃度帯状層16と基準領域との光学濃度差の値が得られる。また、光学濃度差基準値としては、2つの帯状層15,16の各々についての光学濃度差に係る基準値が定められている。
第2の撮影条件におけるCMOSイメージセンサ55に対する露光量は、第1の撮影条件におけるCMOSイメージセンサ55に対する露光量の例えば1.3倍程度である。
また、LED53の発光量の調整は、例えばLED53に対する供給電流の大きさを変更することにより行うことができる。
分析装置40の電源スイッチ43が投入されると、タッチパネル44にメニュー画面が表示されて測定可能な状態とされる。
図8に示すように、タッチパネル44おいて測定ボタンを押すと(S1)、分析点検機構50における照明装置52のLED53が点灯状態とされる(S2)。その後、点検用ケース30に収容された状態の点検用試験片10を試験片挿入口42にコード領域C側から挿入する。
なお、制御部によって試験片として分析用試験片61がセットされたことが検出された場合(S5)には、動作モードが、点検動作モードから分析動作モードに変更される(S7)。
その後、取得された光学濃度差基準値と、標識領域Sにおける光学濃度差とが比較され、その比較の結果に基づいて、分析装置の状態が判断される。
具体的には、先ず、光学濃度差基準値と高濃度帯状層15に係る光学濃度差とが比較され(S9)、高濃度帯状層15に係る光学濃度差が光学濃度差基準値の範囲内にあることが確認されると、次いで、光学濃度差基準値と低濃度帯状層16に係る光学濃度差とが比較される(S10)。そして、低濃度帯状層16に係る光学濃度差が光学濃度差基準値の範囲内にある確認された場合には、分析装置40が正常状態である判断され、その結果が点検結果としてタッチパネル44に表示される(S11)。一方、低濃度帯状層16に係る光学濃度差が光学濃度差基準値の範囲内にないことが確認された場合には、分析装置40が異常状態であると判断され、その結果が点検結果としてタッチパネル44に表示される(S13)。
また、光学濃度差基準値と高濃度帯状層15に係る光学濃度差との比較により(S9)、高濃度帯状層15に係る光学濃度差が光学濃度差基準値の範囲内にないことが確認された場合には、更に光学濃度差基準値と低濃度帯状層16に係る光学濃度差とが比較される(S12)。そして、低濃度帯状層16に係る光学濃度差が光学濃度差基準値の範囲内にある場合、および光学濃度差基準値の範囲内にない場合のいずれの場合であっても、分析装置40が異常状態であると判断され、その結果が点検結果としてタッチパネル44に表示される(S13)。
例えば、点検用試験片において、基準領域は、光透過性基板におけるカラー標識が形成されてなる一面に形成されていればよい。具体的には、光透過性基板におけるカラー標識が形成されてなる一面全面に形成されたものでなくてもよく、また、カラー標識を覆うように形成されたものでなくてもよい。
また、点検用試験片は、カラー標識の色濃度に係る基準値の情報を含むコードが表示されるコード領域が設けられてなるものであってもよい。このコード領域は、点検用試験片において、光透過性基板の上面側から認識することができるように形成されていることが好ましい。
また、分析装置全体の構造は、図6および図7に示すものに限定されず、種々の構成を採用することができる。
図1〜図3の構成に従って、ガラスよりなる光透過性基板(11)の一面に、金コロイドよりなるカラー標識(14)と、白色顔料インクよりなる被覆層(18)とが形成されてなる試験片(以下、「試験片(1)」ともいう。)を作製した。
具体的には、先ず、矩形平板状のガラス平板の一面に、金コロイドからなるカラー標識形成材料の塗布液を、当該ガラス平板の短手方向に伸びるように直線状に塗布することにより、2つの金コロイド塗膜を形成した。次いで、2つの金コロイド塗膜が形成されたガラス平板の一面全面に、当該ガラス平板の一面における露出面(金コロイド塗膜が形成されていない領域)および2つの金コロイド塗膜の表面を被覆するように、スクリーン印刷によって白色顔料インクの被覆膜を形成した。このようにして、ガラスからなる光透過性基板(11)の下面に、金コロイドからなる帯状層(15,16)により構成されるカラー標識14と、白色顔料インクからなる被覆層18により構成される基準領域とが形成されてなる試験片(1)を得た。
また、カラー標識(14)を構成する2つの帯状層(15,16)の表面全面が被覆層18によって被覆された状態とされている。すなわち、2つの帯状層(15,16)の端面(17A,17B)が露出することなく、被覆層18に覆われている。
この比較用試験片(1)は、ガラス製の光透過性基板(11)に代えてニトロセルロース製の基材を用い、このニトロセルロール製の基材の一面に被覆層(18)が設けられていないこと以外は、試験片(1)と同様の構成を有するものである。この比較用試験片(1)においては、ニトロセルロース製の基材によって基準領域が構成されている。
一方、比較用試験片(1)においては、アルミニウム製の袋に入れた状態で保管をしたものの、カラー標識を構成する帯状層に係る吸光度(基準領域との光学濃度差)が経時的に大きく変化した。
従って、本発明に係る試験片(1)によれば、大気環境下において保管した場合であっても、分析装置の点検を高い信頼性をもって行うことができることが確認された。
11 光透過性基板
11A ガラス平板
14 カラー標識
15,16 帯状層
15A,16A 金コロイド塗膜
17A,17B 端面
18 被覆層
18A 被覆膜
30 ケース(点検用ケース)
31 上ケース部
31A 開口
33 下ケース部
34 ヒンジ部
36 二次元コード
40 分析装置
41 筺体
42 試験片挿入口
43 電源スイッチ
44 タッチパネル
50 分析点検機構
51 試験片検出用センサ
52 照明装置
53 LED
54 撮影装置
55 CMOSイメージセンサ
61 試験片(分析用試験片)
62 呈色部分
63 ケース(分析用ケース)
64A,64B 開口
65 コード(二次元コード)
Claims (9)
- 被検物質によって呈色反応を生ずる反応領域を有する試験片を用い、当該試験片の反応領域における呈色の程度によって当該被検物質を検出する分析装置を点検するための点検用試験片において、
非吸湿性材料よりなる光透過性基板を備えており、
前記光透過性基板には、当該光透過性基板の一面の一部にカラー標識が形成されており、当該カラー標識を含む当該光透過性基板の一面に、当該カラー標識とは異なる色の基準領域が形成されており、
前記光透過性基板の他面において当該カラー標識の色濃度が測定されることを特徴とする点検用試験片。
- 前記基準領域は、前記カラー標識を覆う被覆層により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の点検用試験片。
- 前記カラー標識は、金コロイドからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の点検用試験片。
- 前記光透過性基板は、ガラスからなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の点検用試験片。
- 前記基準領域は、白色であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の点検用試験片。
- 前記カラー標識は、同一の標識形成材料による色濃度の異なる2つ以上の帯状層により構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の点検用試験片。
- 前記光透過性基板に、前記カラー標識の色濃度に係る基準値の情報を含むコードが表示されるコード領域が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6に記載の点検用試験片。
- ケースに収容された状態で用いられるものであり、
前記ケースには、前記カラー標識の色濃度に係る基準値の情報を含むコードが表示されるコード領域が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の点検用試験片。 - 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の点検用試験片を用いて点検される分析装置において、
前記点検用試験片におけるカラー標識および基準領域に光を照射する光照射部と、当該光照射部によって光が照射されている状態のカラー標識および基準領域を撮影する撮影部と、当該光照射部と当該撮影部とを制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、前記撮影部において得られた前記点検用試験片の撮影データ情報に基づいて、当該点検用試験片におけるカラー標識と基準領域との光学濃度差を得て、当該光学濃度差を、予め定めた基準値と比較する機能を有することを特徴とする分析装置。
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