JP5821883B2 - テンプレートアセンブリ及びテンプレートアセンブリの製造方法 - Google Patents
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Description
リテーナーリングを使用した研磨ヘッドは、リテーナーリングがワークの周辺において研磨布を押圧し、ワーク自体による研磨布の圧縮変形を防止することにより、ワークの外周ダレ等を防止するという機能を有する。しかしながら、研磨ヘッド構造が複雑になるため、高コストとなる。
そこで、凹部の深さばらつきを改善するため、成膜後のバッキングパッドの表面をバフィング加工したり、テンプレート部の研削やラップが行われている(特許文献1参照)。
テンプレート部を研削・研磨した後の狙い厚さに対する厚さばらつきは±3μm、厚さの面内ばらつきは3μm以下に改善することが可能である。しかし、このテンプレート部をバッキングパッドに接着した後のテンプレートアセンブリの凹部の深さ精度は、、狙い値に対し±10μmのばらつきがあり、深さの面内ばらつきも10μm程度まで悪化してしまう。
このようなものであれば、テンプレート部とバッキングパッドの間に隙間ができることもなく、また、切欠部の厚さがバッキングパッドの狙い厚さより小さければ、ワーク外周部の研磨圧力を低下させることができ、ワーク外周部の研磨量を低減できるので、外周ダレを抑制できるものとなる。
このようなものであれば、機械的特性に優れたものとなるし、ワークへの金属汚染やキズを防止できるものとなる。
このようなものであれば、研磨後のワークの平坦度を確実に向上できるものとなる。
このようにすれば、切欠部を有した環状のテンプレート部を容易に準備できる。
このようにすれば、テンプレート部の内面とバッキングパッドの下面とで形成される凹部の深さの面内ばらつきを確実に低減できる。
まず、本発明のテンプレートアセンブリについて図1、2を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明のテンプレートアセンブリ1は、PET(ポリエチレンテレフタレート)基材2と、環状のテンプレート部3と円盤状のバッキングパッド4とを有する。PET基材2の厚さや形状は特に限定されず、例えば、形状については円盤状とすることができる。
テンプレート部3の内面とバッキングパッド4の下面とで凹部6が形成される。ワークWの研磨時には、この凹部6にワークWが収容され、ワークWのエッジ部がテンプレート部3の内面に、ワークWの上面がバッキングパッド4の下面に保持される。
ワークの外周部のダレをより抑制したい場合、図3のように、切欠部5の厚さdをバッキングパッド4の狙い厚さより小さくすれば良い。こうすることで、テンプレート部3で挟み込まれたバッキングパッド4の周縁部は環状に圧縮されるため、ワーク外周部の研磨圧力が低下し、ワーク外周部の研磨量を下げてワーク外周部のダレを抑制できる。
また、この構造であれば、バッキングパッド4を環状に溝切削する方法との併用が可能である。
まず、図1に示すような、内面上部に環状の切欠部5が形成された環状のテンプレート部3を準備する。この工程は、例えば以下のようにして実施できる。
テンプレート部用の、例えばガラスエポキシ樹脂基板のような基板を用意する。この基板に対してラッピング及び/又は研磨を行い、基板の厚さが狙い値となるように加工する。
ここで、ラッピングを行う場合、砥粒には例えばアルミナ系、SiC系の砥粒を使用することができる。研磨を行う場合、例えばコロイダルシリカを含有するアルカリ溶液を使用することができる。
次に、例えば、NC加工などによって基板を環状のテンプレート部3に切り出した後、環状のテンプレート部3の内面上部を研削することによって切欠部5を形成する。このとき、上記したように切欠部5の厚さをバッキングパッド4の狙い厚さ以下の所定の厚さにする。
図1に示すような本発明のテンプレートアセンブリを本発明の製造方法に従って製造し、凹部の深さの精度を評価した。凹部の深さの精度は、狙い深さに対するズレと面内ばらつきを評価した。
ガラスエポキシ樹脂基板を狙い厚さ付近までラッピングした後、約1μmの酸化セリウムパウダーを含むスラリーにて基板を研磨し、所定のサイズで環状に加工した。その後、旋盤によりバッキングパッドの厚さと同じ厚さで、内周から5mmの位置まで環状に研削して切欠部を形成した。
このテンプレートアセンブリの凹部の深さを測定したところ、表1に示すように、狙い深さに対するズレの平均値(Ave)は−0.51μm、最大値はプラス側(Max)4.8μm、マイナス側(Min)6.5μmであった。深さの面内ばらつきは、表2に示すように、8点のレンジの平均値(Ave)として5.3μm、レンジの最大値(Max)で7μmであった。この結果により、後述の比較例1、2の結果と比べ凹部の深さ精度が大幅に改善されていることが分かった。
凹部の深さ=テンプレート部厚さ−(ワーク部厚さ−ワーク厚さ)
尚、厚さ測定は、ミツトヨ製ハイトゲージHDF−300Nを使用した。
各点のロールオフの平均値を表3に示す。また、表1の凹部の深さの狙い値からのズレと表3のロールオフの関係を図4に示す。図4に示すように、凹部の深さの狙い値からのズレは、狙い値からマイナス側(凹部の深さが浅くなる)にズレており、ズレ量が大きくなるにしたがって、テンプレート部によるワーク外周部の研磨圧力の低減効果が低下し、特に凹部の深さの影響を受け易い外周から0.5mmの位置でのロールオフの変化が顕著となっている。
実施例1では、ほぼ狙い深さに等しい凹部深さが得られているため、図5、6に示すように、ロールオフは後述する比較例1−2よりも改善し、面内ばらつきも大きく改善した。
また、図6に示すように、レーダーチャートはほぼ同心円となっており、ロールオフの面内変動が抑えられていることが分かった。
尚、表面欠陥は、レーザーテック社のMagics 350を用いて評価し、比較例1の総欠陥数を1.0として評価した。
テンプレート部の厚さを実施例1と比べて10μm薄くし、切欠部の厚さをバッキングパッドの厚さより20μm薄くした以外実施例1と同様の方法で本発明のテンプレートアセンブリを製造し、同様に評価した。尚、実施例1よりも10μm薄い厚さのテンプレート部を用いているが、テンプレート部によりバッキングパッドの周縁部を圧縮しているため、ワークに100g/cm2の荷重をかけた状態での凹部の深さは実施例1とほぼ等しくなるような切欠部の厚さとした。
実施例2では、上記のように、実施例1と異なる厚さのテンプレート部を用いているが、凹部の深さはほぼ同等であるため、研磨したウェーハのロールオフも同等の結果となった。図6に示すレーダーチャートから、実施例1同様、ロールオフの面内変動が抑えられていることが分かった。
図7にウェーハ表面欠陥の結果を示す。図7に示すように、ウェーハ表面欠陥は後述する比較例3の結果と比べ抑制できていることが分かった。
図9に示すような、テンプレート部がバッキングパッドの下面の外周部に接着された従来の市販のテンプレートアセンブリを用い、テンプレート部のラッピングや研磨を行うことなく、実施例1と同様に評価した。
このテンプレートアセンブリの凹部の深さを測定したところ、表1に示すように、狙い深さに対するズレの平均値は−4.46μm、最大値はプラス側11.0μm、マイナス側16.9μmであった。深さの面内ばらつきは、表2に示すように、8点のレンジの平均値として15.63μm、レンジの最大値で26μmであった。この結果により、上記の実施例1、2の結果と比べ凹部の深さ精度が大幅に悪化していることが分かった。
比較例1では、表1、表2に示すように、実施例1−2に比べ、凹部の深さの狙い値からのズレが大きいため、ロールオフも大きく、面内のばらつきも大きい。図6のレーダーチャートからは、面内にロールオフの偏りがあるウェーハがあることが分かった。
テンプレート部のラッピングを行った以外、比較例1と同様のテンプレートアセンブリを用い、同様に評価した。
このテンプレートアセンブリの凹部の深さを測定したところ、表1に示すように、狙い深さに対するズレの平均値は−3.04μm、最大値はプラス側8.9μm、マイナス側10.9μmであった。深さの面内ばらつきは、表2に示すように、8点のレンジの平均値として9.77μm、レンジの最大値で16μmであった。
比較例2では、表1、表2に示すように、比較例1に比べ、凹部の深さの狙い値からのズレが小さいため、ロールオフ及び面内ばらつきは比較例1よりは改善しているものの、実施例1−2に比べ、大幅に悪化していた。図6のレーダーチャートから、比較例1同様面内にロールオフの偏りが見られ、外周のロールオフ変動を抑えることができていないことが分かった。
表1に、実施例1−2、比較例1−2における凹部の深さの狙い深さに対するズレの結果をまとめたものを示す。表2に、実施例1−2、比較例1−2における凹部の深さの面内ばらつきの結果をまとめたものを示す。
図10に示すような、テンプレート部に切欠部を有さない従来のテンプレートアセンブリを具備した図8に示すような研磨装置を用い、直径300mmのシリコンウェーハを研磨し、実施例1と同様に凹部深さの面内ばらつき及びウェーハ表面欠陥を評価した。
その結果、実施例1−2と同等の凹部深さの面内ばらつきが得られたものの、実施例1−2、比較例1と比べウェーハ表面欠陥が悪化してしまった。この表面欠陥は、テンプレート部とバッキングパッド間の隙間にスラリーが入り込むことによる研磨中の発塵に起因するものと考えられる。
4…バッキングパッド、 5…切欠部、 6…凹部。
Claims (7)
- ワークを研磨する際に該ワークを保持するためのテンプレートアセンブリであって、
PET基材と、該PET基材の下面の外周部に接着された環状のテンプレート部と、前記PET基材の下面の中央部に接着された円盤状のバッキングパッドとを有し、
前記テンプレート部の内面と前記バッキングパッドの下面とで、研磨時に前記ワークを収容して保持する凹部が形成され、
前記テンプレート部の内面上部に環状の切欠部が形成され、該切欠部に前記バッキングパッドの周縁部が係合したものであることを特徴とするテンプレートアセンブリ。 - 前記切欠部の厚さは、前記バッキングパッドの狙い厚さ以下であることを特徴とする請求項1に記載のテンプレートアセンブリ。
- 前記テンプレート部の材質はガラスエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテンプレートアセンブリ。
- 前記凹部の深さの面内ばらつきが10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテンプレートアセンブリ。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のテンプレートアセンブリの製造方法であって、
内面上部に環状の切欠部が形成された環状のテンプレート部を準備する工程と、
円盤状のバッキングパッドをPET基材の中央部に接着する工程と、
前記バッキングパッドの周縁部を前記テンプレート部の切欠部に係合させるようにして、前記テンプレート部を前記PET基材の下面の外周部に接着する工程を有することを特徴とするテンプレートアセンブリの製造方法。 - 前記テンプレート部を準備する工程において、テンプレート部用の基板を用意し、該用意した基板を環状に切り出した後、該環状の基板の内面上部を研削することによって前記切欠部を形成することを特徴とする請求項5に記載のテンプレートアセンブリの製造方法。
- 前記テンプレート部を準備する工程において、前記切欠部を形成する前に、前記テンプレート部をラッピング及び/又は研磨することによって、前記テンプレート部の厚さの面内ばらつきを10μm以下とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のテンプレートアセンブリの製造方法。
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