以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
以下の実施の形態においては、画像形成装置がMFPである場合について説明する。なお、画像形成装置はMFPである場合の他、ファクシミリ装置、複写機、またはプリンターなどであってもよい。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の概略的な構成を示す断面図である。
図1を参照して、MFP100(画像形成装置の一例)は、用紙を折り曲げて通紙することにより、最大通紙幅を超える幅を有する用紙に印刷することが可能である。MFP100の最大通紙幅は、A4サイズの用紙の短辺の幅(210mm)であり、MFP100は、A3サイズの用紙を折り曲げた状態で印刷可能である。
以降、折り曲げられた用紙に対して印刷を行うことを、拡張用紙印刷と呼ぶことがある。なお、画像形成装置の最大通紙幅や、拡張用紙印刷を行う用紙のサイズは任意に設定することができ、上記以外であってもよい。本実施の形態では、拡張用紙印刷で片面印刷(広げた状態の用紙の片面への印刷)を行う場合について説明するが、MFP100は拡張用紙印刷で両面印刷(広げた状態の用紙の両面への印刷)を行ってもよい。MFP100が片面印刷する場合に、広げた状態の用紙における画像を形成する側の面を用紙の表面と呼び、広げた状態の用紙における画像を形成しない側の面を用紙の裏面と呼ぶことがある。
MFP100は、画像形成部1と、給紙カセット2と、給紙トレイ3と、定着部4と、排紙ローラー5と、反転ローラー6と、排紙トレイ7などを主に備えている。給紙カセット2または給紙トレイ3から排紙トレイ7へ向かって用紙搬送経路16aが設けられており、用紙搬送経路16aの図1中右側には両面搬送経路16bが設けられている。用紙搬送経路16aの上流側では、給紙カセット2からの用紙搬送経路16aと、給紙トレイ3からの用紙搬送経路16aとが合流しており、この合流地点から下流側へ向かう用紙搬送経路16aにおいて、画像形成部1および定着部4がこの順で配置されている。用紙搬送経路16aの下流側では用紙搬送経路16aが分岐しており、それぞれの分岐路には排紙ローラー5および反転ローラー6の各々が設けられている。
画像形成部1は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成される。画像形成部1は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナー像を形成する作像ユニット10Y、10M、10C、および10Kと、作像ユニット10Y、10M、10C、および10Kの各々で形成されたトナー像が転写(1次転写)される中間転写ベルト11と、中間転写ベルト11上のトナー像を用紙に転写する2次転写ローラー12などで構成される。作像ユニット10Y、10M、10C、および10Kの各々は、トナー像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラムを一様に帯電させる帯電チャージャと、感光体ドラムの表面にレーザー光を照射することにより、静電潜像を形成する露光部と、静電潜像を現像する現像器などを含んでいる。
給紙カセット2は、最大通紙幅以下の幅を有する用紙(たとえばA4サイズの用紙)が収納される。給紙カセット2は、給紙ローラー21と、分離ローラー(捌きローラー)22とを含んでいる。給紙ローラー21は、折り曲げられた用紙を給紙カセット2から用紙搬送経路16aへ給紙する。分離ローラー22は、給紙ローラー21とは逆の方向に回転し、給紙ローラー21にて用紙を給紙する際に、重送された別の用紙を分離する。
給紙トレイ3は、手差しの用紙が配置されるトレイであり、最大通紙幅を超える幅を有する用紙(ここではA3サイズの用紙)が配置される。給紙トレイ3は、給紙ローラー31と、分離ローラー32(分離部材の一例)とを含んでいる。給紙ローラー31は、折り曲げられた用紙を給紙トレイ3から用紙搬送経路16aへ給紙する。分離ローラー32は、給紙ローラー31とは逆の方向に回転し、給紙ローラー31にて用紙を給紙する際に、重送された別の用紙を分離する。
拡張用紙印刷を行う場合には、用紙を積載する用紙積載部として給紙カセット2および給紙トレイ3のいずれを用いてもよいが、常に給紙トレイ3を用いることが好ましい。用紙積載部として常に給紙トレイ3を用いることで、MFP100の機械的寸法(給紙カセット2の寸法)や、給紙ローラー31および分離ローラー32などの給紙機構などを、最大通紙幅よりも大きな幅を有する用紙のサイズに合わせて変更することなく、最大通紙幅よりも大きな幅を有する用紙をMFP100にセットすることができる。
定着部4は、加熱ローラー13と加圧ローラー14とを含んでいる。定着部4は、加熱ローラー13と加圧ローラー14とで挟みながら用紙を搬送し、用紙を搬送する際に加熱ローラー13と加圧ローラー14とによって用紙に対して加熱および加圧を行うことにより、用紙に付着したトナーを熱に溶融させて用紙に定着させる。
拡張用紙印刷を行う場合、所定の折り曲げ位置で折り曲げられた用紙が、予め給紙トレイ3に配置される。拡張用紙印刷の実行の指示を受け付けると、MFP100は、給紙トレイ3から用紙を給紙し、矢印T1で示す用紙搬送方向に用紙搬送経路16aに沿って用紙を搬送する。MFP100は、用紙搬送経路16aを搬送中の用紙に対して、画像形成部1によってトナー画像を転写し、定着部4によってトナー像を熱定着する。これにより、一回目の印刷が完了する。一回目の印刷では、折り曲げられた用紙の2つの部分のうち一方の部分に画像が形成される。
一回目の印刷後に、MFP100は用紙を反転ローラー6へ搬送し、反転ローラー6によってスイッチバックし、矢印T2で示す反転用紙搬送方向に両面搬送経路16bに沿って用紙を搬送する。これにより用紙は、両面搬送経路16bを経て再び用紙搬送経路16aに給紙される。MFP100は、用紙搬送経路16aを搬送中の用紙に対して、画像形成部1によってトナー画像を転写し、定着部4によってトナー像を熱定着する。これにより、二回目の印刷が完了する。二回目の印刷では、折り曲げられた用紙の2つの部分のうち他方の部分に画像が形成される。その後、MFP100は用紙を排紙ローラー5によって排紙トレイ7に排出する。これにより、拡張用紙印刷が完了する。
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の内部構成を示すブロック図である。
図2を参照して、MFP100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、記憶部104と、印刷処理部105と、画像処理部106と、操作パネル107と、スキャナー部108と、ネットワーク接続部109と、用紙折り部110と、用紙積載検知部111と、スピーカー112などを備えている。CPU101には、ROM102、RAM103、記憶部104、印刷処理部105、画像処理部106、操作パネル107、スキャナー部108、ネットワーク接続部109、用紙折り部110、用紙積載検知部111、およびスピーカー112の各々がバスを介して接続されている。
CPU101は、スキャンジョブ、コピージョブ、メール送信ジョブ、および印刷ジョブなどの各種ジョブについて、MFP100全体の制御を行う。またCPU101は、ROM102に記憶された制御プログラムを実行する。CPU101は、所定の処理を行うことにより、ROM102、RAM103からのデータの読み込みや、ROM102、RAM103へのデータの書き込みを行う。
ROM102は、たとえばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM102には、MFP100の動作を行うための各種プログラムと、各種固定データとが格納されている。ROM102は、書換え不可能なものであってもよい。
RAM103は、CPU101のメインメモリである。RAM103は、CPU101が制御プログラムを実行するときに必要なデータや画像データを一時的に記憶するためなどに用いられる。
記憶部104は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)よりなっており、装置の設置情報、またはMFP100の動作に関わる各種データなどを記憶する。
印刷処理部105は、画像処理部106にて処理された画像データに基づいて用紙などへの印刷処理を行う。
画像処理部106は、印刷データに対するRIP(Raster image processing)処理や、データを外部へ送信する際にそのデータの形式を変換する変換処理などを行う。
操作パネル107は、テンキーやスタートキーなどからなるキー入力部と、タッチパネルディスプレイなどからなる表示部とを含んでおり、MFP100での各種ジョブの実行などの各種入力操作をユーザーから受け付ける。また操作パネル107は、MFP100に関する各種設定項目やメッセージなどをユーザーに対して表示する。
スキャナー部108は、原稿画像の読み取りを行う。
ネットワーク接続部109は、CPU101からの指示に従って、TCP/IPなどの通信プロトコルによって、外部機器(図示無し)との通信を行う。
用紙折り部110は、広げた状態の用紙のサイズに基づいて、用紙の折り曲げ位置を決定する。また用紙折り部110は、MFP100が用紙折り装置50(図12)を備えている場合に、決定した位置で用紙を折る。
用紙積載検知部111は、給紙トレイ3へ用紙が積載されたことを検知する。
スピーカー112は、所定の場合に、ユーザーに対して音声で案内を行う。
次に、用紙の折り曲げ方法および給紙トレイ3への用紙のセット方法について説明する。
図3は、A3サイズの用紙とA4サイズの用紙とを模式的に示す図である。
図3を参照して、A3サイズの矩形状の用紙SH1の短辺L1の長さは297mmであり、長辺L2の長さは420mmである。A4サイズの矩形状の用紙SH2の短辺L101の長さは210mmであり、長辺L102の長さは297mmである。MFP100の最大通紙幅は、用紙SH2の短辺L101の長さ(210mm)に等しい。用紙SH1は、MFP100の最大通紙幅よりも長い短辺および長辺を有しているので、そのまま(広げた状態)ではMFP100内へ通紙させることはできない。このため、用紙SH1は折り曲げた状態でMFP100内へ通紙される。
図4は、従来における用紙の折り曲げ方法を模式的に示す図である。
図4を参照して、最大通紙幅がA4サイズの用紙の短辺の幅である画像形成装置が、A3サイズの用紙SH1に拡張用紙印刷を行う場合、従来においては、(a)に示すように、短辺L1が完全に重なるように用紙の長辺L2のちょうど中央の位置PT101で用紙SH1が2つ折りにされ、この2つ折りの用紙SH1が給紙トレイ3に配置されていた。画像形成装置はこの用紙を給紙トレイ3から給紙して印刷していた。
従来のように2つ折りにした場合、(b)に示すように、2枚の用紙が重なった重なり部分OR101が用紙SH1の幅方向全体にわたって生じる。このため、給紙時には、重なり部分OR101が、給紙ローラー31と分離ローラー32とのニップ部NP1(点線で囲まれた部分)と接触する。重なり部分OR101は、ニップ部NP1と接触すると、ニップ部NP1から2枚の用紙を分離しようとする力を受ける。このため、用紙SH1をうまく給紙することができず、重なり部分OR101がずれないように用紙SH1を給紙するためには、粘着層を設けた専用の用紙を使用しなければならなかった。
図5は、本発明の第1の実施の形態における用紙の折り曲げ方法の一例を示す図である。
図5を参照して、本実施の形態では、(a)に示すように、位置PT1で折り曲げられた用紙SH1が給紙トレイ3に配置される。MFP100はこの用紙を給紙トレイ3から給紙して印刷する。
位置PT1は、(b)に示すように、折り曲げられた用紙SH1における重なり部分OR1が、給紙ローラー31と分離ローラー32とのニップ部NP1に接触しないように、用紙折り部110によって決定される。位置PT1は、用紙SH1が折り曲げられた場合に、用紙SH1の長辺(言い換えれば、用紙SH1の短辺L1の端部)L2がニップ部NP1に達しないように(かからないように)、用紙SH1の短辺L1上に決定される。ニップ部NP1の位置は、たとえばROM103などに記憶されている。このように位置PT1を決定することで、給紙時に用紙の重なりがずれなくなるため、用紙SH1を確実に給紙することができる。連続給紙を行う場合の給紙の信頼性も通常の場合と変わらない。
なお、用紙の重なり部分の幅を大きくとるために、給紙ローラー31と分離ローラー32とのニップ部NP1を、用紙搬送方向に対して平行な中央線CLよりも図5中上下方向のどちらかに偏った位置に配置してもよい。
なお、用紙の折り曲げ位置は、用紙が折り曲げられた場合に用紙の長辺がニップ部に達しないように、用紙の短辺上に決定される場合の他、用紙が折り曲げられた場合に用紙の短辺がニップ部に達しないように、用紙の長辺上に決定されてもよい。
用紙の折り曲げ方法としては、図5に示す方法の代わりに、図6に示す方法が用いられてもよい。
図6は、本発明の第1の実施の形態における用紙の折り曲げ方法の変形例を示す図である。
図6を参照して、本変形例では、用紙は両側から折り曲げられる。この例では、(a)に示すように、位置PT2およびPT3で折り曲げられた用紙SH1が給紙トレイ3に配置される。MFP100はこの用紙を給紙トレイ3から給紙して印刷する。
位置PT2およびPT3は、(b)に示すように、折り曲げられた用紙SH1における重なり部分OR1が、給紙ローラー31と分離ローラー32とのニップ部NP1に接触しないように、用紙折り部110によって決定される。位置PT2は、用紙SH1が折り曲げられた場合に、用紙SH1の一方の長辺L2がニップ部NP1に達しないように、用紙SH1の短辺L1上に決定される。位置PT3は、用紙SH1が折り曲げられた場合に、用紙SH1の他方の長辺L2がニップ部NP1に達しないように、用紙SH1の短辺L1上に決定される。図6のように用紙SH1の両側から折り曲げることにより、用紙の重心が中央線付近になるので、用紙を安定的に通紙することができる。用紙SH1は、短辺の両側から折り曲げられてもよいし、長辺の両側から折り曲げられてもよい。用紙SH1が両側から折り曲げられる場合、折り曲げによって生じる2つの重なり部分の大きさは等しいことが好ましい。
なお、用紙の折り曲げ位置は、用紙に形成する画像にさらに基づいて決定することが好ましい。特に用紙の折り曲げ位置は、用紙に形成する画像における文字が存在しない位置や、濃度差が比較的小さい位置であることが好ましい。これにより、用紙の折り曲げ位置での画像のずれが生じた場合に、画像のずれを目立ちにくくすることができる。
用紙の折り曲げ位置を決定した後で、MFP100は、用紙の折り曲げ位置をユーザーに対して案内(通知)し、案内した位置で折り曲げた用紙を用紙積載部(ここでは給紙トレイ3)にセットするように、ユーザーに案内をしてもよい。MFP100は、操作パネル107(表示部)を有する場合には、操作パネル107へ案内する内容を表示してもよいし、スピーカー112を用いて音声にて案内してもよい。表示部への表示および音声の両方で案内してもよい。操作パネル107へ案内する内容を表示する場合、たとえば「用紙の短辺の右端部から3cmだけ中央側の位置を折り曲げて下さい」などのメッセージを表示してもよい。また、用紙の折り曲げ位置は、用紙のサイズに応じたデフォルトの折り曲げ位置としてMFP100の取扱説明書などに記載されてもよい。この場合ユーザーは、拡張用紙印刷を行う用紙の折り曲げ位置を、取扱説明書を参照することで把握する。
図7は、本発明の第1の実施の形態において、給紙トレイ3への用紙のセット方法の一例を示す図である。
図7を参照して、給紙トレイ3は、2つのサイド規制板33と、配置台34とを含んでいる。サイド規制板33の各々は、矢印T1で示す用紙搬送方向に対して平行に延在するように、配置台34上に配置されている。サイド規制板33のうち少なくとも一方のサイド規制板33aは、用紙搬送方向に対して垂直な方向に移動可能である。サイド規制板33同士の間隔は、折り曲げられた用紙SH1の幅に合わせてユーザーによって調節される。
用紙SH1は、ユーザーによって積載方向および表裏の方向が所定の方向に合わせられた状態で、配置台34上に配置される。具体的には、位置PT1で折り曲げられた用紙SH1は、位置PT1で分けられた2つの部分のうち小さい方の部分SH1aが上、大きい方の部分SH1bが下になるように配置される。また用紙SH1は、一方の短辺L1aが、矢印T1で示す用紙搬送方向の最上流側に位置するように配置される。
用紙のセット方法としては、図7に示す方法の代わりに、図8に示す方法が用いられてもよい。
図8は、本発明の第1の実施の形態において、給紙トレイ3への用紙のセット方法の変形例を示す図である。
図8を参照して、本変形例では、位置PT1で折り曲げられた用紙SH1は、位置PT1で分けられた2つの部分のうち小さい方の部分SH1aが下、大きい方の部分SH1bが上になるように配置される。また用紙SH1は、他方の短辺L1bが、矢印T1で示す用紙搬送方向の最上流側に位置するように配置される。このように配置した場合には、位置PT1で分けられた2つの部分のうち大きい方の部分SH1bの重さにより、部分SH1aが給紙トレイ3上で部分SH1bと密着した状態となり、用紙SH1を給紙し易くなる。
MFP100は、用紙のセット方法をユーザーに対して案内してもよい。MFP100は、操作パネル107を有する場合には、操作パネル107へ案内する内容を表示してもよいし、スピーカー112を用いて音声にて案内してもよい。操作パネル107への表示および音声の両方で案内してもよい。また、用紙のセット方法は、MFP100の取扱説明書などに記載されてもよい。この場合ユーザーは、拡張用紙印刷を行う用紙のセット方法を、取扱説明書を参照することで把握する。
続いて、画像の分割方法について説明する。
図9は、画像の分割方法を模式的に示す図である。なお、図9および図10では、用紙SH1上に実際に形成された状態で画像を示している。
図9(a)を参照して、用紙の表面に対して形成される画像IMAは、「A」というアルファベットであるものとする。
画像処理部106は、(b)に示すように、画像IMAを位置PT1で第1の画像IM1と、第2の画像IM2とに左右に分割する。
第1の画像IM1は、画像IMAの一部分よりなっている。第1の画像IM1は、具体的には、用紙を位置PT1で折った場合に、位置PT1で分けられた2つの部分のうち大きい方の部分SH1bに形成する画像IMAの部分よりなっている。
第2の画像IM2は、画像IMAの残りの部分よりなっている。第2の画像IM2は、具体的には、用紙を位置PT1で折った場合に、位置PT1で分けられた2つの部分のうち小さい方の部分SH1aに形成する画像IMAの部分よりなっている。
図10は、MFP100内を搬送される用紙SH1に形成される画像を模式的に示す図である。
図10を参照して、用紙SH1は、ユーザーによって図5に示す方法で折り曲げられ、図7に示す方法で、短辺L1aを最上流側にして給紙トレイ3にセットされる。MFP100は、給紙ローラー31を用いて用紙SH1をMFP100内に給紙し、矢印T1で示す用紙搬送方向に用紙搬送経路16aに沿って用紙SH1を搬送する。MFP100は、搬送中の用紙SH1の部分SH1bの表面に対して、(a)に示すように、「A」というアルファベットの上下の向きが正方向になる向きで画像IM1を印刷する(一回目の印刷)。次にMFP100は、両面搬送経路16bに沿って搬送することにより用紙SH1を反転させ、短辺L1aを最下流側にして用紙搬送経路16aに沿って再度搬送する。MFP100は、搬送中の用紙SH1の部分SH1aの表面に対して、(b)に示すように、「A」というアルファベットの上下の向きが逆方向になる向きで画像IM2を印刷する(二回目の印刷)。その結果、(c)に示すように、用紙SH1を広げた場合に、用紙の表面に「A」というアルファベットが印刷される。(c)では、二回目に印刷された部分が図中右上から左下へ向かう細線のハッチングにて示されている。
次に、拡張用紙印刷を行う場合のMFP100の動作を示すフローチャートについて説明する。
図11は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図11を参照して、拡張用紙印刷モード(折り曲げ印刷モード)が選択された状態で、印刷の実行開始の指示を操作パネル107などを通じてユーザーから受け付けると(S1)、MFP100のCPU101は、印刷する用紙のサイズ(MFP100内に通紙する用紙の広げた状態のサイズ)を、操作パネル107などを通じて取得する(S3)。拡張用紙印刷モードで印刷可能な用紙のサイズが1つのサイズ(ここではA3サイズ)のみである場合、ステップS3は省略されてもよい。続いてCPU101は、印刷を行う画像を取得する(S5)。ステップS5において、CPU101は、たとえばスキャナー部108が読み取った画像を取得してもよいし、PC(Personal Computer)などの外部機器から受信した画像や記憶部104に記憶されている画像を取得してもよい。
次にCPU101は、用紙のサイズに基づいて、折り曲げられた用紙における重なり部分が、給紙ローラー31と分離ローラー32とのニップ部に接触しないように、折り曲げ位置を決定する(S7)。続いてCPU101は、折り曲げ位置を基準として左右に(第1の画像と第2の画像とに)画像を分割する(S9)。次にCPU101は、用紙の折り曲げ位置をユーザーに対して提示し、指定した用紙積載部に折り曲げた用紙をセットするようにユーザーに案内する(S11)。ユーザーは、案内に従って用紙を折り曲げ、折り曲げた用紙を用紙積載部へセットする。続いてCPU101は、用紙積載部に用紙がセットされたか否かを、用紙積載検知部111を用いて判別する(S13)。
ステップS13において、用紙がセットされたと判別した場合(S13でYes)、CPU101は、用紙積載方向および表裏の向きが正しいかをユーザーに確認するよう案内する(S15)。MFP100は、操作パネル107を有する場合には、操作パネル107へ案内する内容を表示してもよいし、スピーカー112を用いて音声にて案内してもよい。操作パネル107への表示および音声の両方で案内してもよい。ステップS15の処理を行うことにより、用紙の誤積載による印刷のミスを防止することができる。また、給紙トレイ3のサイド規制板33の間隔をセンサーにより検出することで、用紙の幅サイズが適切であるかを自動で確認してもよい。
ステップS13において、用紙がセットされないと判別した場合(S13でNo)、CPU101は、ステップS11の処理へ進む。
ステップS15に続いて、CPU101は、操作パネル107において印刷開始ボタンが押下されたか否かを判別する(S17)。
ステップS17において、印刷開始ボタンが押下されたと判別した場合(S17でYes)、CPU101は、給紙ローラー31を用いて、折り曲げられた用紙を用紙積載部から給紙し(S19)、印刷処理部105を用いて第1の画像を用紙に印刷する(S21)。続いてCPU101は、両面搬送経路16bを使って用紙を反転させ(S23)、印刷処理部105を用いて第2の画像を用紙に印刷し(S25)、処理を終了する。
ステップS17において、印刷開始ボタンが押下されないと判別した場合(S17でNo)、CPU101は、ステップS13の処理へ進む。
本実施の形態によれば、MFP100の最大通紙幅を超える幅を有する用紙を、折り曲げた状態でMFP100内部へ通紙するので、MFP100の最大通紙幅を超える幅を有する用紙への印刷が可能となる。加えて、専用の用紙を用いることなく、最大通紙幅よりも大きい幅を有する用紙を確実に(詰まらせることなく)給紙し、画像を形成することができ、連続給紙性を向上することができる。その結果、MFPの利便性を向上することができる。
[第2の実施の形態]
図12は、本発明の第2の実施の形態におけるMFP100の概略的な構成を示す断面図である。
図12を参照して、本実施の形態におけるMFP100は、MFP100に付属して用紙折り装置50が装着されている点において、図1に示す第1の実施の形態のMFPと異なっている。
用紙折り装置50は、位置PT1で用紙SH1を折り曲げる。用紙折り装置50は、CPU101により電子的に制御されるものであってもよいし、MFP100とは独立した装置であってもよい。また用紙折り装置50は、能動的に用紙を折り曲げるものであってもよいし、ユーザーが自ら用紙を折る際に用いる工具であってもよい。さらに、スキャナー部108が、A3サイズの原稿を搬送可能なADF(Auto Document Feeder)を備えている場合、スキャナー部108が用紙折り装置50を含んでおり、ADFによって搬送されたA3サイズの用紙に対してスキャナー部108が折り曲げ処理を行ってもよい。
図13は、本発明の第2の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図13を参照して、本フローチャートは、ステップS9の処理とステップS13の処理との間にステップS101、S103、S105、およびS107の処理を行う点で、図11に示す第1の実施の形態のフローチャートと異なっている。
ステップS9において折り曲げ位置を基準として左右に画像を分割した後で、CPU101は、用紙折り装置の給紙部に用紙をセットするようにユーザーに対して案内し(S101)、用紙がセットされたか否かを判別する(S103)。
ステップS101において、MFP100が操作パネル107を有する場合には、操作パネル107へ案内する内容を表示してもよいし、スピーカー112を用いて音声にて案内してもよい。表示部への表示および音声の両方で案内してもよい。さらに、用紙折り装置50内にA3サイズの用紙を予め積載することができ、用紙折り装置50がその用紙を用紙折り装置50内に自動的に給紙することができる場合には、ステップS101およびS103の処理は省略されてもよい。
ステップS103において、用紙がセットされたと判別した場合(S103でYes)、CPU101は、用紙折り装置50を用いて、決定した折り曲げ位置で用紙を折り曲げ(S105)、用紙積載部に用紙をセットするようにユーザーに案内する(S107)。ユーザーは、用紙折り装置50によって折り曲げられた用紙を、MFP100の案内に従って用紙積載部(ここでは給紙トレイ3)にセットする。MFP100は、操作パネル107を有する場合には、操作パネル107へ案内する内容を表示してもよいし、スピーカー112を用いて音声にて案内してもよい。表示部への表示および音声の両方で案内してもよい。
ステップS103において、用紙がセットされないと判別した場合(S103でNo)、CPU101は、ステップS101の処理へ進む。
ステップS107に続いて、CPU101は、用紙積載部に用紙がセットされたか否かを、用紙積載検知部111を用いて判別する(S13)。ステップS13において、用紙がセットされたと判別した場合(S13でYes)、CPU101は、ステップS15の処理へ進む。一方、ステップS13において、用紙がセットされないと判別した場合(S13でNo)、CPU101はステップS107の処理へ進み、用紙積載部に用紙をセットするようにユーザーに案内する(S107)。
本実施の形態によれば、用紙折り装置にて用紙をより正確に折り曲げることができ、画像品質を向上することができる。また、用紙折り装置が能動的に用紙を折り曲げるものである場合には、ユーザーが用紙を折り曲げる必要がなくなり、ユーザーの負担を減らすことができる。
[その他]
上述の実施の形態では、拡張用紙印刷で片面印刷(広げた状態の用紙の一方の面への印刷)を行う場合について説明したが、画像形成装置は、拡張用紙印刷で両面印刷(広げた状態の用紙の両面への印刷)を行ってもよい。
図14は、拡張用紙印刷で両面印刷を行う場合の用紙の折り曲げ位置を模式的に示す図である。なお図14において、(a)は用紙SH1の一方の面を示しており、(b)は、(a)に示す用紙SH1を、矢印AR1で示す方向に裏返した場合の用紙SH1の他方の面を示している。
図14を参照して、ここでは、A3サイズの用紙SH1の一方の面に「A」というアルファベットよりなる画像IMAを形成し、他方の面に「B」というアルファベットよりなる画像IMBを形成する場合を想定する。この場合MFP100は、始めに(a)に示すように、用紙SH1の一方の面から見て山折りとなるように位置PT1で折り曲げられた用紙に対して、一回目および二回目の印刷を行う。これにより、用紙SH1の一方の面に画像IMAが形成される。次にMFP100は、(b)に示すように、用紙SH1の他方の面から見て山折り(用紙SH1の一方の面から見て谷折り)となるように位置PT1で折り曲げられた用紙に対して、三回目および四回目の印刷を行なう。これにより、用紙SH1の他方の面に画像IMBが形成される。
上述のように、画像IMAを印刷する場合と画像IMBを印刷する場合とで、同じ位置PT1で用紙SH1を折り曲げることにより、折り曲げにより用紙に生じるしわを最小限に留めることができる。
上述の実施の形態では、画像形成装置が両面印刷機能を有している場合について示したが、画像形成装置は両面印刷機能を有していなくてもよい。この場合、画像形成装置は、第1の画像を形成した用紙を排紙トレイに排出する。排紙トレイに排出された用紙がユーザーによって給紙トレイにセットされ、印刷開始の指示をユーザーから受け付けると、画像形成装置は第2の画像を用紙に形成する。
上述の実施の形態では、分離部材が分離ローラーである場合について示したが、分離部材は分離ローラー以外のものであってもよく、たとえば摩擦係数が比較的高い材料よりなる非回転の分離パッドなどであってもよい。
画像形成装置が第1および第2の画像を印刷する順序は任意であり、第2の画像を印刷した後で第1の画像を印刷してもよい。
折り曲げ位置はユーザーが決定し、それを画像形成装置に入力してもよい。この場合、画像形成装置は、その入力値に基づいて折り曲げ位置を決定する。
上述の実施の形態は適宜組み合わせることができる。たとえば両面印刷機能を有していない画像形成装置に対して用紙折り装置が設けられてもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。