JP5821753B2 - 軸受部材の取付構造、定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
通常、定着装置は、定着ニップで十分に記録シート上のトナー像を加熱して定着不良が発生しないように、加熱ローラーと加圧ローラー間のニップ圧(定着ニップにおける押圧力)が十分大きく取られており、定着動作を実行しないときには、各ローラーの塑性変形を防止するため、カム機構などを介して加圧ローラーと定着ローラーを離間させている。
しかし、この場合には、カラーが全周に亘って強い力で圧縮され、径方向の密度が非常に高くなっているため、回転軸に加わった衝撃が、ほとんど減衰されないまま、支持枠に伝搬されることになる。その結果、支持枠が振動して異音を発生したり、その振動がさらに画像形成部における支持枠に伝搬して画像形成動作に悪影響を及ぼすおそれすらある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、回転体の回転軸の軸受部材を、その支持枠にガタが生じない状態で位置決めして取り付けることを可能にしつつ、回転軸に生じた機械的振動を減衰させて支持枠に伝搬しにくくする軸受部材の取付構造および当該取付構造を利用した定着装置ならび画像形成装置を提供することを目的とする。
また、各突部の180°反対側の位置には他の突部が存在していないので、その部分において取付穴の内周面と軸受部外周面間に隙間などが介在し、回転軸に加わった衝撃が吸収されやすい。これにより回転軸に加えられた機械的振動が支持枠へ伝搬されるにくくなる。
また、ここで、前記突部が形成される位置は3箇所であることが望ましい。
また、前記突部は、少なくとも前記軸受部材の外周面に形成されており、前記カラーの外周は、装着前には円筒状の表面であって、当該カラーを前記軸受部材の外周に装着したときに、内周側から前記軸受部材の突部に押圧されて、その表面が***することによりカラーの外周に突部が形成される構成としてもよい。
また、前記カラーは、枠体よりも弾性率の低い樹脂材料により構成されていることとしてもよい。
また、本発明の別の態様は、定着回転体と加圧回転体が、接離機構によって接離可能なように構成された定着装置であって、当該定着回転体の回転軸、加圧回転体の回転軸、接離機構における回転軸の少なくとも一つの回転軸の軸受部材が、上述の軸受部材の取付構造によって、当該回転体の支持枠体に取り付けられていることを特徴とする。
また、さらに本発明の別の態様として、上述の軸受部材の取付構造により、一または複数の回転体の軸受部材が支持枠体に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置としてもよい。
(1)プリンターの構成
図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置を備える画像形成装置の一例として、タンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」という。)の構成を示す図である。
同図に示すように、このプリンター1は、中間転写部2、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5などを備えている。
また、従動ローラー22の近傍には、中間転写ベルト上に残留するトナーを除去するためのクリーナー24が配置されている。
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部30などを有している。作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
露光部30は、レーザーダイオードなどの発光素子を備え、制御部(不図示)からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザー光Lを発し、上記作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
タイミングローラー44は、中間転写ベルト23上の同じ位置で重ね合わされるように中間転写ベルト23上に一次転写されたトナー像が二次転写位置46に搬送されるタイミングに合わせて、記録シートを二次転写位置46に搬送する。そして、二次転写位置46において、二次転写ローラー45により中間転写ベルト23上のカラートナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
不図示の制御部により中間転写部2、画像プロセス部3、給紙部4は、統一的に制御され、上記円滑なプリント動作が実行される。
図2は、定着装置5の要部の構成を示す側面図である。
同図に示すように、定着装置5は、定着ローラー51の周面に加圧ローラー52の周面を当接させてなる。なお、本明細書において、定着ローラー51の周面に加圧ローラー52を「離間」させるとは、定着ローラー51と加圧ローラー52の周面を完全に離す場合だけではなく、そのニップ圧を各定着ローラー51、52の塑性変形させない程度に低減する場合も含むものとし、図2では後者の離間状態を示している。
加圧ローラー52は、回転軸521を介して支持フレーム53に回転可能に軸支されている。加圧ローラー52の外周部には、圧接時に十分な定着ニップ幅を得るため、シリコーンゴムなどの耐熱性の弾性材料からなる弾性層(不図示)が形成されている。
圧接レバー54は、支軸541により本体フレームに揺動可能に軸支されており、そのバネ係止ピン542が立設されている端部と反対側の端部には長穴543が形成され、当該長穴543の内周縁部には、カム板562に立設されたピン561が係合している。
これにより、引っ張りバネ55を介して支持フレーム53に時計回りに揺動させ加圧ローラー52を定着ローラー51に所定の圧接力で圧接させるように構成される。
図3(a)は、軸受構造体60の定着ローラー51の駆動軸511の軸心における縦断面であり、図3(b)は、図3(a)をB方向から見たときの図である。
駆動軸511は、焼結軸受61により回転可能に保持されている。
焼結軸受61は、金属粉末を圧縮成型し焼結して製造されるものであって、無数の気孔があり、この気孔に潤滑油を含浸させて自己潤滑性を持たせている。
当該焼結軸受61は、樹脂カラー62を介して本体フレーム58の取付穴581に圧入されて取り付けられている。
また、樹脂カラー62は、取付穴581への圧入時の変形を吸収すると共に、後述するように加圧ローラー52圧接時の衝撃を緩和するため、本体フレーム58よりも柔らかい(弾性率が低い)樹脂で、かつ、耐熱性、耐衝撃性に優れ樹脂が望ましく、本実施の形態ではPOM(ポリアセタール)を使用している。
図4(a)、(b)は、それぞれ組立て前の焼結軸受61、樹脂カラー62の形状を示す図であって、左から順に正面図、側面図、背面図を示す。
頂部612の曲率半径は、円筒状の基部61aの半径と等しく、基部61aの外周面と丸み612の外周面が連なって形成されており、両者が同一半径の円筒の表面に含まれるような形状になっている。後述するように、本実施の形態では、この頂部612が、圧入箇所を形成するための「突部」として位置づけられる。
そして、樹脂カラー62の第1嵌合穴62a側から焼結軸受61を図4(c)の矢印方向に嵌挿して軸受構造体60を形成する。
図6は、この軸受構造体60の焼結軸受61の軸穴に駆動軸511を挿入して組立てたときの斜視図を示している。
このように組立てた状態で、図7(a)に示すように本体フレーム58の内側から駆動軸511の先端部511bを先にして取付穴581に差し込んでいく。なお、同図における符号「63」は、Eリングであり、駆動軸511の円周溝511a(図3(a)参照)に嵌め込んで、軸受構造体60が、挿入する方向と反対方向に移動しないように規制している。
図7(b)は、図7(a)における上側の溝582を当該溝の伸びる方向と直交する平面で切断して、上方から見たときの図であり、同図に示すように示すように溝582の開口側の幅が溝幅よりも広くなるテーパー部582aを有している。
取付穴581の半径は、軸受構造体60の中心から各突部までの距離よりも若干小さくなるように設計されており、軸受構造体60を取付穴581に押し込むと、当該突部622a〜622c(図5)を介して軸受構造体60が圧入された形になる。
図8(a)(b)および図9(a)(b)は、本実施の形態における軸受構造体60の取付構造により、衝撃が緩和される原理を示す模式図である。
各図において、破線の楕円で囲んだ部分は、樹脂カラー62の周囲に形成された突部622a〜622c(図5)を介して圧入状態となっている箇所(以下、「圧入箇所」という。)を示すものである。
圧入された状態で当該隙間の大きさが、5μm〜100μm程度となるように上記取付穴581の半径と、軸受構造体60の中心から各突部までの距離が設計や試作の段階で決定されている。
各反力F13、F14は、分力F11、F12の反作用として同じ圧入箇所から各分力F11、F12と逆方向に加えられるが、その対向位置においては、樹脂カラー62と取付穴581との間にやはり隙間が介在するので、この隙間と低弾性率部で各反力が吸収・減衰されると共に、各反力の残余の部分はさらに、当該隙間部を挟んで存する圧入箇所に分かたれて加えられ、上記と同じような減衰動作を繰り返すことになり、衝撃力の減衰が早い。
また、図9(a)に示すように圧入箇所に、駆動軸511に衝撃力F2が加えられた場合には、その部分では樹脂カラー62が既に圧縮されているため、1次的な衝撃の吸収力が、上記の図8(a)ほど大きくないが、図9(b)に示すように、取付穴581からの反力F21は、その対向部における隙間部および低弾性率部とで吸収されると共に、残余の反力がF22、F23に分力されて、以降は図8(a)(b)と同じ減衰動作を繰り返すため、やはり衝撃が素早く減衰される。
図10(a)(b)は、それぞれ、実際に振動センサーで、定着ローラー51と加圧ローラー52の圧接時に発生する振動の大きさを測定したものであり、図10(a)は本実施の形態に係る軸受構造を採用した場合を、図10(b)が従来の樹脂カラーの外周面の全周で、取付穴の内周に圧入されている場合の測定結果を示している。同図において横軸は時間(秒)、縦軸は上記センサーの出力電圧(V)をそれぞれ示している。
なお、本発明者は、比較品として、図11に示すように樹脂カラー62の外周面の、各突部622a〜622cの、駆動軸511の軸心Oを挟んで対向する位置に、リブ状の突部623a〜623cを形成して、図10(a)(b)と同じ実験を行ったところ、従来の図10(b)に近い結果しか得られなかった。
上記実施の形態では、図2における定着装置5の定着ローラー51の駆動軸511の軸受部材の取付構造のみについて説明したが、他の加圧ローラー52の回転軸521、カムギア56の駆動軸563、駆動ギア57の駆動軸571などの各軸の各取付構造も同様に構成してもよいし、少なくともこれらのうち一つの回転体の軸受部材の取付構造として適用すれば、3個の圧入個所において取付穴の内周面に係合することにより、軸受部材の位置決めをガタつきなく正確にできると共に当該回転軸の振動をすばやく吸収・減衰させて従来よりも騒音の大きさを低減することができるものである。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明の内容が、上記実施の形態に限定されないことは勿論であり、以下のような変形例を考えることができる。
(5−1)上記実施の形態では、図4(a)(b)に示すように樹脂カラー62の第2嵌合穴62bにおける焼結軸受61の頂部612の高さh1に相当する部分の寸法h2をh1よりも小さくして、図5に示すように樹脂カラー62の、焼結軸受61の3つの頂部612に相当する周面を強制的に***させることにより、樹脂カラー62の周面に突部を形成させた。これにより樹脂カラー62に二重圧入部を容易に形成できるという利点がある。
もっとも、軸受構造体60を安定して取付穴581内に保持すると共に、全方向からの衝撃をできるだけ等しく分散して緩和するという観点からは、各圧入個所において均等な力で取付穴581内周面へ圧入されるのが望ましく、そのためには各突部の相互になす角度(回転中心と各突部の周方向における中心を結んだ線分のうち、周方向に隣接する線分同士のなす角度)は、全て等しいのが望ましい。
図13は、焼結軸受161の形状を正5角形状にし、その頂部161aにより樹脂カラー162の周面に5個の***突部を放射状に形成して、取付穴581に圧入した例を示すものである。このような場合でも、上記実施の形態と同様、ガタつきの防止と衝撃音の緩和という効果が得られる。
その意味では、上記の実施の形態のように突部が3個であることが一番望ましいといえる。等間隔に配された3個の突部により、位置決めが確実にできると共に、突部との対向部の隙間の周方向の範囲も最大限に取れ、かつ低弾性率部の径方向の厚みも十分取れるからである。
また、樹脂カラー262の外周面に突部625a〜625cを設ける代わりに、図15(a)に示すように、本体フレーム58の取付穴581内周面の、上記突部625a〜625cと対応する位置に同じくリブ状の突部583a〜583cを設け、図15(b)に示すように樹脂カラー362の装着された焼結軸受361を取付穴581に圧入することによっても二重圧入部が生じ、図14と同様の効果が得られる。
(5−4)上記実施の形態では、焼結軸受61と取付穴581との間に樹脂カラー62を介在させて、二重圧入部を形成し、対向位置に隙間を設けることにより、位置決めと衝撃の吸収を達成していた。
(5−5)なお、上記実施の形態では、定着装置5の回転軸の軸受部材の取付構造について説明したが、このような取付構造による効果は、画像形成装置の他の回転体(感光体ドラム、中間転写ベルトを張架する駆動ローラー、従動ローラー、現像装置における現像ローラー)など、軸心の位置決め精度が要求され、かつ、振動が望ましくない箇所における回転体の軸受部にも適用可能である。これらは、ギアなどを介して駆動されて、何らかの機械的振動が回転軸に伝達され、その振動が騒音のみならず画像の劣化にもつながる可能性があるからである。
2 中間転写部
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着装置
51 定着ローラー
52 加圧ローラー
53 支持フレーム
54 圧接レバー
55 引っ張りバネ
56 カムギア
57 駆動ギア
58 本体フレーム
60 軸受構造体
61、161、261、361 焼結軸受
62、162、262、362 樹脂カラー
511 駆動軸
512 頂部(突部)
513 直線部
581 取付穴
583a〜583c 突部
615a〜615c 突部
622a〜622c 突部
624 回転防止用突起
625a〜625c 突部
Claims (11)
- 回転軸の軸受部材を枠体の取付穴に取り付ける取付構造であって、
前記軸受部材の外周面における、回転軸の軸心から放射状に伸びる3以上の複数の箇所に突部が形成され、当該突部を介して軸受部材が取付穴に圧入される構成であり、
各突部をそれぞれ回転軸の軸心を中心に180°回転させた位置に、他の突部が存在しないように、各突部の周方向における形成位置が決定されており、
前記軸受部材と前記取付穴の間には、樹脂製のカラーが介在すると共に、
前記カラーの外周面であって、前記突部と同じ位相の位置にも突部が形成されている
ことを特徴とする軸受部材の取付構造。 - 前記突部は、3以上の奇数箇所に設けられており、回転軸に平行な方向から見て、各突部の周方向における中心と回転軸の軸心を結ぶ線分を想定したとき、周方向に隣接する2つの線分のなす角度が、いずれも等しくなるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の軸受部材の取付構造。 - 前記突部が形成される位置は3箇所である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の軸受部材の取付構造。 - 前記枠体は樹脂材料からなる
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の軸受部材の取付構造。 - 前記突部は、前記軸受部材の外周面と前記取付穴の内周面における同位相の位置に向かい合うようにして設けられている
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の軸受部材の取付構造。 - 前記カラーの外周は、装着前には円筒状の表面であって、当該カラーを前記軸受部材の外周に装着したときに、内周側から前記軸受部材の突部に押圧されて、その表面が***することによりカラーの外周に突部が形成される構成である
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の軸受部材の取付構造。 - 前記カラーは、枠体よりも弾性率の低い樹脂材料により構成されている
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の軸受部材の取付構造。 - 前記カラーの外周部の、前記取付穴に嵌挿されない部位に、径方向に突出する少なくとも1個の突起が形成されており、この突起が、前記枠体の取付穴の開口部入口に設けられた係合溝に係合することにより、カラーの回転方向における位置決めがなされる
ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の軸受部材の取付構造。 - 定着回転体と加圧回転体が、接離機構によって接離可能なように構成された定着装置であって、
当該定着回転体の回転軸、加圧回転体の回転軸、接離機構における回転軸の少なくとも一つの回転軸の軸受部材が、請求項1から8までのいずれか1項に記載の軸受部材の取付構造によって、当該回転体の支持枠体に取り付けられている
ことを特徴とする定着装置。 - 請求項9の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1から8までのいずれか1項に記載の軸受部材の取付構造により、一または複数の回転体の軸受部材が支持枠体に取り付けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
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