(画像処理装置の構成)
図1に示される如く、本実施の形態に係る画像処理装置10は、インターネット等のネットワーク通信回線網20に接続されている。図1では、2台の画像処理装置10が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。
また、このネットワーク通信回線網20には、情報端末機器としての複数のPC(パーソナルコンピュータ)21が接続されている。図1では、2台のPC21が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。また、情報端末機器としては、PC21に限定されるものではない。さらに、接続は有線接続である必要もない。すなわち、ネットワーク通信回線網20は、一部又は全部を無線によって情報を送受信する通信回線網であってもよい。
図1に示される如く、画像処理装置10では、PC21から当該画像処理装置10に対して、遠隔で、例えばデータを転送して画像形成(プリント)指示操作を行なう場合、或いは使用者(ユーザー)が画像処理装置10の前に立ち、各種操作によって、例えば、複写(コピー)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送受信等の処理を指示する場合がある。
図2には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。
画像処理装置10は、筐体10Aによって覆われており、適宜個所に開閉可能な扉が設けられている。一例として、図2の前面の扉10Bを図示するが、例えば、左右の側面にも扉が存在する場合がある。この扉10Bは、例えば、紙詰まり、消耗品の交換、定期点検等、装置内部に作業者が手を差し延べて作業する場合に開放されるものであり、通常処理中は閉止されている。
この扉10Bの開閉動作軌跡上には、当該扉10Bの開閉状態を検出する開閉検出スイッチ14Aが設けられている。
画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部240と、原稿画像を読み取る画像読取部238と、ファクシミリ通信制御回路236を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ200を備えており、画像形成部240、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を制御して、画像読取部238で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部240又はファクシミリ通信制御回路236へ送出したりする。
メインコントローラ200にはインターネット等のネットワーク通信回線網20が接続され、ファクシミリ通信制御回路236には電話回線網22が接続されている。メインコントローラ200は、例えば、ネットワーク通信回線網20を介してホストコンピュータと接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路236を介して電話回線網22を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
画像読取部238は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
画像形成部240は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、現像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
画像処理装置10には、入力電源線244の先端にコンセント245が取り付けられており、壁面Wまで配線された商用電源242の配線プレート243に、当該コンセント245を差し込むことで、画像処理装置10は、商用電源242から、電力の供給を受けるようになっている。
(画像処理装置の制御系ハード構成)
図3は、画像処理装置10の制御系のハード構成の概略図である。
ネットワーク通信回線網20は、メインコントローラ200に接続されている。メインコントローラ200には、それぞれ、データバスやコントロールバス等のバス33A〜33Dを介して、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216が接続されている。すなわち、このメインコントローラ200が主体となって、画像処理装置10の各処理部が制御されるようになっている。なお、UIタイッチパネル216には、UIタッチパネル用バックライト部(図4参照)が取り付けられている場合がある。
また、画像処理装置10は、電源装置202を備えており、メインコントローラ200とはバス33Eで接続されている。電源装置202は、商用電源242から電力の供給を受けている。電源装置202では、メインコントローラ200、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216のそれぞれに対して独立して電力を供給する電力供給線35A〜35Dが設けられている。このため、メインコントローラ200では、各処理部(デバイス)に対して個別に電力供給(電力供給モード)、或いは電力供給遮断(スリープモード)し、所謂部分節電制御を可能としている。
また、メインコントローラ200には、2個の人感センサ(第1の人感センサ28、第2の人感センサ30)が接続されており、画像処理装置10の周囲の人の有無を監視している。この第1の人感センサ28、第2の人感センサ30については後述する。
(部分節電構成を主体とした機能ブロック図)
図4は、前記メインコントローラ200によって制御される処理部(「負荷」、「デバイス」、「モジュール」等と称する場合もある)、並びにメインコントローラ200、並びに各デバイスへ電源を供給するための電源装置202の電源ラインを主体とした概略構成図である。本実施の形態では、画像処理装置10が処理部単位で電力供給又は非供給が可能でとなっている(部分節電)。
なお、処理部単位の部分節電は一例であり、処理部をいくつかのグループに分類しグループ単位で節電の制御を行ってもよいし、処理部を一括して節電の制御を行ってもよい。
[メインコントローラ200]
図4に示される如く、メインコントローラ200は、CPU204、RAM206、ROM208、I/O(入出力部)210、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス212を有している。I/O210には、UI制御回路214を介してUIタッチパネル216(バックライト部216BLを含む)が接続されている。また、I/O210には、ハードディスク(HDD)218が接続されている。ROM208やハードディスク218等に記録されているプログラムに基づいて、CPU204が動作することによって、メインコントローラ200の機能を実現する。なお、該プログラムを格納した記録媒体(CD、DVD、BD(ブルーレイディスク)、USBメモリ、SDメモリ等)から該プログラムをインストールし、これに基づいてCPU204が動作することにより画像処理機能を実現してもよい。
I/O210には、タイマ回路220、通信回線I/F222が接続されている。さらに、I/O210には、ファクシミリ通信制御回路(モデム)236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスに接続されている。
なお、前記タイマ回路220は、前記ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240を節電状態(電源非供給状態)とするための契機として、計時を行うものである(以下、「システムタイマ」という場合がある)。
メインコントローラ200及び各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)は、電源装置202から電源が供給される(図4の点線参照)。なお、図4では、電源線を1本の線(点線)で示しているが、実際には2本〜3本の配線である。
[電源装置202]
図4に示される如く、商用電源242から引き込まれた入力電源線244は、メインスイッチ246に接続されている。メインスイッチ246がオンされることで、第1の電源部248及び第2の電源部250へ電力供給が可能となる。
第1の電源部248は、制御用電源生成部248Aを備え、メインコントローラ200の電源供給制御回路252に接続されている。電源供給制御回路252は、メインコントローラ200に電源供給すると共に、I/O210に接続され、メインコントローラ200の制御プログラムに従って、前記各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)への電源供給線を導通/非導通させるためのスイッチング制御を行う。
一方、第2の電源部250へ接続される電源線254には、第1のサブ電源スイッチ256(以下、「SW−1」という場合がある。)が介在されている。このSW−1は、接点切り替え動作に機械的動作を伴うリレースイッチであることが好ましく、前記電源供給制御回路252で、オン・オフが制御されるようになっている。
また、第2の電源部250は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を備えている。24V電源部250H(LVPS2)は主としてモーター等で使用される電源である。
第2の電源部250の24V電源部250H(LVPS2)及び5V電源部250L(LVPS1)は、選択的に、画像読取部電源供給部258、画像形成部電源供給部260、ファクシミリ通信制御回路電源供給部264、UIタッチパネル電源供給部266に接続されている。
画像読取部電源供給部258は、24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第2のサブ電源スイッチ268(以下、「SW−2」という場合がある。)を介して、画像読取部238に接続されている。
画像形成部電源供給部260は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第3のサブ電源スイッチ270(以下、「SW−3」という場合がある。)を介して、画像形成部240に接続されている。
ファクシミリ通信制御回路電源供給部264は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第4のサブ電源スイッチ274(以下、「SW−4」という場合がある。)を介して、ファクシミリ通信制御回路236及び画像形成部240に接続されている。
UIタッチパネル電源供給部266は、5V電源部250L(LVPS1)と24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第5のサブ電源スイッチ276(以下、「SW−5」という場合がある。)を介して、UIタッチパネル216(バックライト部216BLを含む)に接続されている。なお、UIタッチパネル216の本来の機能(バックライト部216BLを除く機能)へは、節電中監視制御部24から電源を供給可能としてもよい。
前記第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第4のサブ電源スイッチ274、第5のサブ電源スイッチ276は、それぞれ前記第1のサブ電源スイッチ256と同様に、メインコントローラ200の電源供給制御回路252からの電源供給選択信号に基づいて、オン・オフ制御される。図示していないが、24V電源部250Hと5V電源部250Lが供給されるスイッチや配線は、2系統で構成されている。また電源スイッチ268〜276は電源装置202でなく、電源供給先の各デバイス内に配置されても良い。
上記構成では、機能別に各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)を選択した電源を供給し、指示された機能に不要なデバイスへの電源を供給しないため、必要最小限の電力で済む。
(画像処理装置の状態遷移のための監視制御)
ここで、本実施の形態のメインコントローラ200は、必要最小限の電力消費となるように、部分的にその機能を停止させる場合がある。或いは、メインコントローラ200の大部分を含め、電力の供給を停止させる場合がある。これらを総称して「スリープモード(節電モード)」という場合がある(図5参照)。
スリープモードは、例えば、画像処理が終了した時点でシステムタイマを起動させることで移行可能である。すなわち、前記システムタイマが起動してから所定時間経過することで電力供給を停止させている。なお、予め定められた一定時間(例えば、図9のステップ104に相当)が経過するまでに、何らかの操作(ハードキーの操作等)があれば、当然、スリープモードへのタイマカウントは中止され、次の画像処理終了時からシステムタイマが起動される。
一方、上記スリープモード中において、常に電力の供給を受ける素子として、節電中監視制御部24がI/O210に接続されている。この節電中監視制御部24は、例えば、ASICと称される、自身で動作プログラムが格納され、当該動作プログラムで処理されるCPU,RAM,ROM等を備えたICチップ等で構成することができる。
ところで、前記節電中の監視において、例えば、通信回線検出部からプリント要求などが来たり、FAX回線検出部からFAX受信要求が来ることで、節電中であったデバイスに対して、節電中監視制御部24では、電源供給制御回路252を介して、第1のサブ電源スイッチ256、第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第4のサブ電源スイッチ274、第5のサブ電源スイッチ276を制御することで、電力の供給を行なうことが前提である。
また、メインコントローラ200のI/O210には、節電制御ボタン26が接続されており、節電中に使用者がこの節電制御ボタン26を操作することで、節電が解除可能となっている。なお、この節電制御ボタン26には、処理部に電力が供給されているときに操作されることで、当該処理部の電力供給を強制的に遮断し、節電状態にする機能を持たせてもよい。
ここで、スリープモードで監視するためには、節電中監視制御部24以外に、節電制御ボタン26や各検出部には節電中に必要最小限の電力を供給しておくことが好ましい。すなわち、電力非供給状態であるスリープモードであっても、予め定めた電力以下(例えば、0.5W以下)であり電力供給を行うか否かの判別制御に必要な電力の供給を受ける場合がある。このときの電力供給元は、商用電源242に限定されるものではなく、蓄電池、ソーラー電池や、商用電源242から電力が供給されているときに充電される充電器等であってもよい。
なお、スリープモードの特定の期間(図5に示すアウェイクモード(awk)において、UIタッチパネル216やICカードリーダー217等の入力系を主体とした必要最小限の電力供給を含む(バックライト部216BLを除く、或いは照度を通常よりも減らすことが好ましい)。
ところで、スリープモード時に使用者が画像処理装置10の前に立ち、その後に節電制御ボタン26を操作して、電力供給を再開した場合、画像処理装置10が立ち上がるまでに時間を要する場合があった。
そこで、本実施の形態では、前記節電中監視制御部24に、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を設置すると共に、スリープモードでは、使用者が節電制御ボタン26を操作(押圧等)する前に人感センサ(第1の人感センサ28、第2の人感センサ30)で検知して早期に電力供給を再開して、使用者が、節電制御ボタン26を操作して使用を開始するよりも早く使えるようにした。
図4に示される如く、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、検出部28A、30Aと回路基板部28B、30Bとを備えており、回路基板部28B,30Bは、検出部28A、30Aで検出した信号の感度を調整したり、出力信号を生成する。
なお、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、「人感」としているが、これは、本実施の形態に則した固有名詞であり、少なくとも人が検知(「検出」と同義である)できればよく、言い換えれば、人以外の移動体の検知も含むものである。従って、以下において、人感センサの検出対象を「人」に言及する場合があるが、将来的には、人に代わって実行するロボット等も検知対象範囲である。なお、逆に、人と特定して検知できる特殊センサが存在する場合は、当該特殊センサを適用可能である。以下では、移動体、人、使用者等は、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30が検出する対象として同義として扱い、必要に応じて区別することとする。
(第2の人感センサ30)
一方、本実施の形態に係る第2の人感センサ30の仕様は、画像処理装置10の周囲において、移動体の有無、形状(輪郭)、並びに時系列的な移動情報等を検出するものであり、例えば、イメージセンサ(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ)が適用可能である。
この第1の人感センサ28に適用された焦電素子の焦電効果を用いたセンサの最大の特徴は、例えば、投光部と受光部とを備えた反射型センサ等に比べて、消費電力が小さく、かつ検出領域が広いことである。また、移動体の動きを検知するため、検出領域内であって、人が静止していると、人の存在を検出しない。例えば、人の移動時にハイレベル信号が出力されている場合、検出範囲内の人が静止すると、当該信号がローレベル信号になるものである。
なお、第1の実施の形態における「静止」とは、スチルカメラ等で撮影した静止画のように完全静止も当然含まれるが、例えば、人が画像処理装置10の前に操作を目的として立ち止まることを含むものとする。従って、予め定めた範囲の微動(呼吸に伴う動き等)や、手足、首等を動かすといった場合を静止の範疇とする。
但し、人が画像処理装置10の前で、例えば画像形成や画像読取等の処理を待つ間、その場でストレッチ運動等を行うと、人感センサ28では、人の存在を検出する場合もある。
従って、当該「静止」を定義して第1の人感センサ28の感度を調整するのではなく、感度は、比較的おおまか、かつ標準的に調整し、当該第1の人感センサ28の感度特性に依存するようにしてもよい。すなわち、第1の人感センサ28が二値信号の内の1つ(例えば、ハイレベル信号)を出力しているときは人が動いていることを示し、第2の第1の人感センサ28の検出領域内に人が存在し、かつ二値信号の内の他の1つ(例えば、ローレベル信号)が出力された場合を静止とすればよい。
(第2の人感センサ30)
一方、本実施の形態に係る第2の人感センサ30の仕様は、画像処理装置10の周囲において、移動体の有無、形状(輪郭)、並びに時系列的な移動情報等を検出するものであり、例えば、イメージセンサ(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ)が適用可能である。
イメージセンサは、動画の撮像手段として適用される一般的なセンサであるので、ここでの詳細な説明は省略するが、簡略的に示すと以下のような構成となっている。
イメージセンサは主にシリコン単結晶による半導体で作られており、光電効果によって生じた自由に動ける電子(信号電荷)の数を計り、受けた光の量を認識する。発生した信号電荷を逃がさず溜めておく仕組みとして、主にフォトダイオードが使用される。
カラーイメージセンサの場合、フォトダイオードの信号電荷量だけでは、明るさの違いはわかっても色の違いはわからないので、特定の色の光だけを透すカラーフィルタが画素ごとに取り付けられている。
例えば、デジタルカメラ用のイメージセンサでは、カラーフィルタはベイヤー配列と呼ばれる色と画素配置になっている。光の三原色といわれる赤・緑・青のフィルタで、緑のフィルタが赤や青の2倍使われている。これは人の目が、緑光に対して感度が高いためで(同じエネルギの光でも、緑が最も明るく感じられる)、撮影した画像の解像度を高めている。
これに対して本実施の形態の第2の人感センサ30として適用されるイメージセンサ(CCDカメラ等)は、人の目の感度に合わせる必要はなく、言い換えれば、第2の人感センサ30としてイメージセンサを適用する場合に、当該第2の人感センサ30からの出力信号に基づいて解析する内容等に応じて、カラーフィルタの配列を設定するようにしてもよい。
一例としては、ICカード認証に代えて、装置に近づいてくる人の顔認証を行い、認証された場合に、スリープモードの画像処理装置10をアウェイクモードへ遷移させるような場合、顔認証に適したフィルタ構成(主として、顔の輪郭、目、鼻、口等が明確に検出されるようなフィルタ構成)とする。
本実施の形態では、顔認証を主たる目的として第2の人感センサ30からの出力情報を解析するようにしたが、近年、定常的に用いられ各自が所持している(首からぶら下げている、胸ポケットにクリップ留めしている等を含む)身分証明カードを検出し得るフィルタ構成としたり、さらには、当該身分証明カードに付与されているバーコードを読み取り易くするフィルタ構成としてもよい。
また、他の例として、画像処理装置10に近づいてくる人が所持する原稿の種類に応じて、立ち上げるデバイスを判別する場合に、当該原稿の種類を見分け易いフィルタ構成としてもよい。例えば、ファクシミリ送信表のフォーマットを認識した場合は、ファクシミリ送信に必要なデバイスを立ち上げる、原稿が白黒/カラーを見分けて、UIタッチパネルの表示形態を決定する等が考えられる。
また、本実施の形態では、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30により、2つの領域(図6の第1の領域Fと第2の領域N)を設定した。
相対的に遠い検出領域である図6の第1の領域F(単に、「領域F」という場合がある)は、第1の人感センサ28による検出領域であり、相対的に遠隔の移動体を検出する手段としての機能を有する。また、相対的に近い検出領域である図6の第2の領域N(単に、「領域N」という場合がある)は、第2の人感センサ30による検出領域であり、相対的に近接の移動体を検出する手段としての機能を有する。
第1の人感センサ28の検出領域(図6の第1の領域F参照)は、画像処理装置10が設置されている場所の環境にもよるが、目安として2〜5m程度である。一方、第2の人感センサ30の検出領域(図6の第2の領域N)参照)は、画像処理装置10のUIタッチパネル216やハードキーの操作が可能な範囲であり、目安として0〜2m程度である。なお、第1の検出領域F、第2の検出領域Nは、上記数値に限定されるものではなく、ここで明示したのは、相対的に第1の領域Fの方が第2の領域Nよりも広いことを示すための目安である。従って、画像処理装置10が設置される環境に応じて、相対的に広い領域(第1の領域F)を対象として第1の人感センサ28の感度等を設定し、相対的に狭い領域(第2の領域N)を対象として第2の人感センサの感度等を設定すればよい。
図6に示される如く、移動体(使用者)と画像処理装置10との関係は、大きく分けて3形態あり、第1の形態は、人が画像処理装置10に対して、使用目的で操作可能位置まで近づいてくる形態(図6のA線矢視の動向(Aパターン)参照)、第2の形態は、人が処理装置を使用目的ではないが、操作可能位置まで近づいてくる形態(図6のB線矢視の動向(Bパターン)参照)、第3の形態は、人が処理装置の操作可能位置まで近づかないが、第1の形態、第2の形態に移行する可能性のある距離まできている形態(図6のC線矢視の動向(Cパターン)参照)である。
本実施の形態では、人の動向を少なくとも上記Aパターン〜Cパターンに区別することで、画像処理装置10の状態、特にスリープモードからの電力供給状態へ立ち上げ、或いは電力供給状態からスリープモードへの立ち下げを制御する。
ところで、本実施の形態では、第2の人感センサ30は、常時、電力供給を受けていない構成としている。第2の人感センサ30は、第1の人感センサ28が管轄する図6の第1の領域Fに移動体(使用者)が進入した時点で電力が供給されて動作を開始し、その後、この第2の人感センサ30が管轄する図6の第2の領域Nに移動体(使用者)が進入した時点でスリープモードからスタンバイモードへの立ち上げを指示する構成となっている。
すなわち、検出領域の異なる2つの人感センサ(第1の人感センサ28と第2の人感センサ30)が互いに連携しあって、必要最小限の電力供給を受けるようになっている。
一方、第2の人感センサ30の電力供給の遮断に関しては、前記第1の人感センサ28の移動体検出状況に加え、前記節電中監視制御部24に設けられたタイマ機能が併用されるようになっている。このタイマ機能は、前述したシステムタイマと区別するため、「センサタイマ」という場合がある。
センサタイマは、節電中監視制御部24の機能の1つである。すなわち、制御系は当然動作クロックを備えており、このクロック信号からタイマを生成してもよいし、一定時間毎処理毎にカウントするカウンタプログラムを生成してもよい。
本実施の形態の監視制御部24には、小電力で動作する集積回路150(ASIC(「Application Specific Integrated Circuit」/電子部品の種別の1つで、特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路)を具備しており、集積回路150は、最も大きい消費電力で動作する第2の人感センサに対して電力が供給されることに同期して起動され(電力が供給され)、当該第2の人感センサ30の検出結果に基づいて、前記電力供給状態遷移制御手段による遷移時期等を判定する。
図7は、監視制御部24の一部を構成する前記集積回路150による、遷移先のモード、電力を供給するデバイスを選択するための制御を機能的に示したブロック図である。なお、この図7の各ブロックは、各制御を機能的に分類したものであり、ハード構成を限定するものではない。
(センサの段階的電力供給制御)
監視制御部24には、前述したように電源供給制御回路252から電力が供給されており、前記第1の人感センサ28、検出情報解析部152、並びに電力供給制御部154は、この電源供給制御回路252から直接かつ常時、電力の供給を受けている。
このため、スリープモード(図5参照)時においても、第1の人感センサ28はその検出領域(図6に示す第1の領域F)の範囲内の検出情報を常に検出情報解析部152へ出力している。
検出情報解析部152では、前記第1の領域Fの範囲内で移動体の移動があったか否かを解析し、移動体の移動を認識すると、電力供給制御部154へ供給指示信号を送出するようになっている。
電力供給制御部154は、前記供給指示信号を受けると、電力供給制御回路252と、第1の人感センサ28及び集積回路150へ電力を供給する。
また、電力供給制御部154には、センサタイマ156が接続されており、第2の人感センサ30等に電力供給を開始してから、予め定めた時間経過しても、第2の人感センサ30による検出領域(図5に示す第2の領域N)で移動体の検出がない場合に、電力供給制御部154からの第2の人感センサ30及び集積回路150への電力供給を遮断するようになっている。
なお、第2の人感センサ30に基づくスリープモードからの立ち上げ後、予め定めた時間経過しても、デバイスの動作がない場合においても、電力供給制御部154からの第2の人感センサ30及び集積回路150への電力供給を遮断する
(集積回路による個体認証制御)
図7に示される如く、第2の人感センサ30は、集積回路150の信号受付部158に接続されている。
信号受付部158は、前記第2の人感センサ30から信号を受け付けると、当該信号を信号処理部160に送出する。
信号処理部160は、特徴領域画素抽出部162及び特徴領域部位別基準データ記憶部164に接続されている。信号処理部160が第2の人感センサ30からの信号で、移動体を検出すると、前記特徴領域画素抽出部162へ、第2の人感センサ30による検出情報を送出すると共に、特徴領域部位別基準データ記憶部164に基準データ出力指示信号を送出する。
特徴領域部位別基準データ記憶部164には、本実施の形態では、人間の顔の輪郭、目、鼻、口のそれぞれの基準データが格納されており、前記基準データ出力指示信号を受けることで、当該基準データを、特徴領域画素抽出部162へ送出する。
特徴領域画素抽出部162では、前記信号処理部160から第2の人感センサ30による検出情報から、前記基準データに基づいて、特徴領域(ここでは、輪郭画像領域、目画像領域、鼻画像領域、口画像領域)を抽出する。なお、特徴領域部位は、前述した顔の輪郭、目、鼻、口に限らず、顔の色、しわ、頭髪の形等の他の特徴領域部位であってもよいし、服装、所持している書類の種類、首からぶら下げているIDカード等、顔に限定されるものではない。
本実施の形態では、特徴領域画素抽出部162に、4種類(輪郭、目、鼻、口)の特徴部位照合部(輪郭)166、特徴部位照合部(目)168、特徴部位照合部(鼻)170、特徴部位照合部(口)172が接続されている。
特徴部位照合部(輪郭)166には、輪郭データベース174が接続され、前記抽出した輪郭と、予め輪郭データベース174に登録されている複数人の輪郭と照合を実行する。
特徴部位照合部(目)168には、目画像データベース176が接続され、前記抽出した目画像と、予め目画像データベース176に登録されている複数人の目画像と照合を実行する。
特徴部位照合部(鼻)170には、鼻画像データベース178が接続され、前記抽出した鼻画像と、予め鼻画像データベース178に登録されている複数人の鼻画像と照合を実行する。
特徴部位照合部(口)172には、口画像データベース180が接続され、前記抽出した口画像と、予め口画像データベース180に登録されている複数人の口画像と照合を実行する。
特徴部位照合部(輪郭)166、特徴部位照合部(目)168、特徴部位照合部(鼻)170、特徴部位照合部(口)172は、それぞれ個体認証部182に接続され、それぞれで照合した情報を、この個体認証部182へ送出するようになっている。
個体認証部182では、それぞれの照合情報に基づいて個体認証を行い、例えば、予め登録が許可されている使用者の個人情報を特定する。この特定の可否、並びに特定された場合の使用者の個人情報は、認証結果出力部184を介して、モード判定部186及び処理デバイス選択部188へ送出されるようになっている。
モード判定部186では、特定の可否情報及び使用者の個人情報に基づいて、画像処理装置10の最適なモードを判定し、情報出力部190を介して、メインコントローラ200へ立ち上げトリガを出力する。この立ち上げトリガに基づいて、メインコントローラ200に電力供給がなされ、立ち上げトリガに基づくモード遷移制御が実行される。
また、処理デバイス選択部188では、特定の可否情報及び使用者の個人情報に基づいて、当該特定された使用者が行おうとしているジョブ(プリント、コピー、スキャン、ファクシミリ送受信等)に基づいて必要は処理デバイスを選択し、当該選択した情報を情報出力部190を介して、前記立ち上げトリガと共にメインコントローラ200へ出力する。
以下、本実施の形態の作用を説明する。
(画像処理装置10(デバイス)の電力供給制御のモード遷移)
まず、図5に基づき、画像処理装置10における、各モード状態と、当該モード状態の移行の契機となる事象を示したタイミングチャートを示す。
画像処理装置10は、処理がなされていないと動作状態は、スリープモードとなり、本実施の形態では、節電中監視制御部24にのみ電力が供給されている。
ここで、立ち上げ契機(立ち上げトリガの検出、或いはUIタッチパネル216等の操作入力(キー入力))があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
なお、この立ち上げトリガ契機後は、依然としてスリープモードと定義し、UIタッチパネル216のみを起動するようにしてもよいし、或いは、UIタッチパネル216の起動によって、節電中監視制御部24のみの電力供給よりも電力供給量が増加するので、アウェイクモード「awk」(目覚めモード)として定義してもよい(図5の遷移図における、スリープモード範囲の括弧{ }内参照)。このアウェイクモードでUIタッチパネル216等の操作入力(キー入力))があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
前記立ち上げトリガとは、主として、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。なお、操作者による節電解除操作も立ち上げトリガとしてもよい。
ウォームアップモードは画像処理装置10を迅速に処理可能状態にもっていくため、各モードの内最大の電力消費量となるが、例えば、定着部におけるヒータとしてIHヒータを利用することによって、ハロゲンランプを用いたヒータよりもウォームアップモード時間は、比較的短い時間とされている。
ウォームアップモードによる暖機運転が終了すると、画像処理装置10はスタンバイモードに遷移するようになっている。
スタンバイモードは、文字通り「事に備えて準備が完了している」モードであり、画像処理装置10においては、画像処理の動作が即実行できる状態となっている。
このため、キー入力としてジョブ実行操作があると、画像処理装置10の動作状態は、ランニングモードに遷移し、指示されたジョブに基づく画像処理が実行されるようになっている。
画像処理が終了すると(連続した複数のジョブが待機している場合は、その連続したジョブの全てが終了したとき)、待機トリガによって画像処理装置10の動作状態はスタンバイモードへ遷移する。なお、画像処理後、システムタイマによる計時を開始し、予め定めた時間経過した後に待機トリガを出力し、スタンバイモードへ遷移するようにしてもよい。
このスタンバイモード中にジョブ実行指示があれば、再度ランニングモードへ遷移し、立ち下げトリガの検出がある、或いは予め定めた時間が経過したとき、スリープモードへ遷移するようになっている。
なお、立ち下げトリガとは、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。なお、システムタイマを併用してもよい。
また、画像処理装置10における実際の動作におけるモード状態の遷移が、全てこのタイミングチャートのとおり時系列で進行するものではない。例えば、ウォームアップモード後のスタンバイモードで処理が中止され、スリープモードへ移行する場合もある。
ここで、電力の供給を受けて動作する各デバイスは、図5におけるスリープモードからアウェイクモード、ウォームアップモードを経てスタンバイモードへ遷移することで、それぞれの処理を即時に実行可能となる。
このように、本実施の形態の画像処理装置10は、モードの間を相互に遷移しており、各モード毎に電力供給量が異なっている。
本実施の形態の画像処理装置10では、予め定められた条件(例えば、人感センサ30による移動体(使用者)立ち去り情報、或いはシステムタイマのタイムアップによる立ち下げトリガ出力)が揃うと、スリープモードへ移行する。このスリープモードでは、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスのみならず、節電中監視制御部24を除くメインコントローラ200、並びにUIタッチパネル216に対しても電力供給を遮断する。この場合、メインコントローラ200に接続されている節電制御ボタン26の機能も停止されることが好ましい。このため、周囲から画像処理装置10を見ると、メイン電源スイッチが切られている状態とほぼ同等の状態となる。すなわち、スリープモードが確実に実行されていることが、周囲から確認可能な状態となる(「見える化」の実現)。
(人感センサを対象とする節電)
本実施の形態では、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30とを相互に連携し、検出系への電力供給制御を実行している。具体的には、第1の人感センサ28は常時電力を供給しているが、第2の人感センサ30は第1の人感センサ28の検出情報に基づいて電力を供給する制御を行っており、デバイスに対する電力供給制御に加え、さらなる省エネ性向上を確立している。
より具体的には、画像処理装置10のデバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)に関しては、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30に基づき、省エネ性及び利便性という二律背反の目的を相互に考慮し、適正なモード遷移(特に、スリープモードからの立ち上げ、並びにスリープモードへの立ち下げ)を行っている。この場合、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30等の検出系については、常時、電力が供給される前提となっていた。
これに対して、本実施の形態では、図5に示されるスリープモード中は、第1の人感センサ28には電力が供給されているが、第2の人感センサ30には電力が供給されておらず、図6に示す第1の領域Fへの移動体(使用者)の進入を監視する。この第1の領域Fの範囲で、第1の人感センサ28が移動体(使用者)を検出することで、第2の人感センサ30に電力を供給するようにした。
さらに、本実施の形態では、第2の人感センサ30として、イメージセンサを適用し、撮影した画像を解析して移動体の顔認証を行うことで、デバイスの電力供給制御の精度を高めている。すなわち、移動体として検出したが人ではない、或いは人ではあるが素通りするだけの人(非使用者)等の誤検知を防止している。
また、イメージセンサで撮影した画像を解析し、かつ予め登録した個人情報データベースに基づく個体認証により、使用者の個人情報を許容される範囲内で特定し、画像処理装置10の使用目的等を予測することも可能である。
以下、図8のフローチャートに従い、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30との連携による、検出系の電力供給制御ルーチンを説明する。
図8は、監視制御部主体の監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ100では、第1の人感センサ28で移動体(使用者)を検出したか否かが判断され、否定判定されると、ステップ102へ移行して、第2の人感センサ30がオン、すなわち、電力が供給されているか否かが判断される。このステップ102で否定判定された場合は、ステップ100へ戻り、ステップ100又はステップ102で肯定判定されるまで、ステップ100及びステップ102を繰り返す。
ステップ100で肯定判定されると、ステップ104へ移行して第2の人感センサ30をオン、すなわち、電力の供給を開始し、次いでステップ106へ移行してセンサタイマをリセットスタートし、ステップ108へ移行する。
また、前記ステップ102で肯定判定されると、既に、第2の人感センサ30に電力が供給されている状態であるので、ステップ108へ移行する。
ステップ108では、第2の人感センサ30で移動体(使用者)を検出したか否かが判断され、否定判定されると、ステップ110へ移行してセンサタイマがタイムアップしているか否かが判断される。このステップ110で否定判定されると、ステップ108へ戻り、ステップ108又はステップ110で肯定判定されるまで、ステップ108及びステップ110を繰り返す。
前記ステップ110で肯定判定されると、ステップ112へ移行して、センサタイマをストップし、次いでステップ113へ移行して、第2の人感センサ30をオフ、すなわち電力の供給を遮断して、ステップ100へ戻り、上記工程を繰り返す。
また、ステップ108で肯定判定されると、ステップ114へ移行して、第2の人感センサ30(イメージセンサ)による検出信号に基づき画像解析処理を実行する(図9参照)。
次のステップ115では、画像解析の結果、ジョブ、すなわち処理内容を認識できたか否かが判断される。
このステップ115で肯定判定された場合は、ステップ116へ移行して、メインコントローラ200(図4参照)に対してアウェイクモードへの立ち上げトリガを出力し、ステップ118へ移行する。この立ち上げトリガにより、画像処理装置10の必要最小限の一部に対して、電力が供給されスリープモードからアウェイクモードへ遷移する。その後は、使用者にUIタッチパネル216の操作等に基づいて、必要なデバイスを立ち上げ、ジョブ実行キー入力等によって、ランニングモードへ遷移し、画像処理が実行可能となる。
ステップ118では、前記ステップ106でスタートさせたセンサタイマがタイムアップしたか否かが判断される。このステップ118で否定判定された場合は、ステップ120へ移行して、システムタイマの動作が開始されているか否かが判断され、否定判定されると、ステップ118へ戻り、ステップ118又はステップ120で肯定判定されるまで、ステップ118及びステップ120を繰り返す。
ステップ118で肯定判定されると、ステップ122へ移行してセンサタイマをストップし、次いでステップ124へ移行して第2の人感センサ30をオフ、すなわち、電力供給を遮断して、このルーチンは終了する。また、ステップ120で肯定判定された場合は、待機トリガによってスタンバイモードに遷移していると判断し、ステップ121へ移行して、制御主体をメインコントローラ200へ移し、このルーチンは終了する。
また、ステップ115において肯定判定された場合は、処理内容を認識しているため、ステップ126へ移行してジョブ内容に即した立ち上げトリガを出力する。すなわち、処理に必要なデバイスのみを立ち上げてスタンバイモードとする。
ステップ126での立ち上げトリガの出力が終了すると、ステップ128へ移行して、制御主体をメインコントローラ200へ移し、このルーチンは終了する。
以上が、画像処理装置10のモードがスリープモードにあり、第2の人感センサ30に電力が供給されていない状態から電力を供給することを主体とした制御の流れである。基本的に、第2の人感センサ30は、第1の人感センサ28が管轄する第1の領域Fに移動体(使用者)が進入しないかぎり電力は供給されないので、デバイスの節電に加え、さらに省エネ効果を高めることになる。
図9は、図8のステップ114における解析処理サブルーチンを示す制御フローチャートである。
ステップ130では、第2の人感センサ30から画像情報を取得する。
画像情報を取得すると、ステップ130からステップ132へ移行して、特徴領域部位別基準データを読み出し、次いでステップ134へ移行して特徴領域画像を抽出する。本実施の形態では、特徴領域画像として、顔の輪郭、目、鼻、口等を選択している。
次のステップ136では、部位別に抽出した特徴領域をデータベースに格納された個人の特徴領域と照合し、ステップ138へ移行して個体認証処理を実行する。この個体認証処理により、第2の人感センサ30で検出した人物を特定する。
ステップ140では、個体認証で特定された人物の情報等に基づいて、モード判定(デバイスの適正な遷移モードの判定)を行い、次いでステップ142へ移行して処理デバイスを選択して、ステップ144へ移行する。ステップ144では、判定したモード、選択した処理デバイスに関する情報を出力して、このルーチンは終了する。
以上説明したように本実施の形態では、第1の人感センサ28として焦電型センサを用い、第2の人感センサ30としてCCDカメラ等のイメージセンサを用い、第1の人感センサ28はモードの種類に関わらず常時電力供給するが、第2の人感センサ30はスリープモード時は電力の供給を遮断することで、消費電力を抑制している。また、第1の人感センサ28で移動体を検出した時点で、第2の人感センサ30に電力を供給し、第2の人感センサ30による撮影情報に基づいて個体認証を行い、第1の人感センサ28による検出精度よりも高い精度で、使用者に関する情報を得て、利便性を損なうことなく、かつ、必要最小限の電力消費を実現した。
(変形例)
「赤外線アレイセンサ」
なお、本実施の形態では、第1の人感センサ28として焦電型センサを適用したが、この第1の人感センサ28として、熱源を検出する素子を縦横に二次元状に複数個配列した二次元配列型熱源検出手段(赤外線アレイセンサ28IR(図7参照))を適用してもよい。また、本実施の形態に係る第1の人感センサ28と第2の人感センサ30の中間的な位置付けとして、赤外線アレイセンサ28IRを適用してもよい。消費電力は、約0.015Wdcである。
「中間的な位置付け」とは、消費電力による分類で、消費電力が焦電型センサよりも大きく、CCDカメラよりは小さいため、まず、焦電型のセンサで常時監視し、移動体を検出したら赤外線アレイセンサ28IRに電力を供給し、その後、CCDカメラに電力を供給するようにしてもよい。
以下、図10及び図11に基づき、赤外線アレイセンサ28IRの構成について詳述する。なお、図10(B)に示す制御機能系のブロック図はハード構成を限定するものではなく、赤外線アレイセンサ28IRから出力される信号処理を機能別にブロックしたものである。
図10(A)に示される如く、赤外線アレイセンサ28IRは、検出部28Aと、この検出部28Aが中央に取り付けられた回路基板部28B(以下、「解析部28B」という場合がある)とを備えている。
検出部28Aは、熱源を検出する素子を有している。熱源を検出する素子は、サーモパイル素子であり、このサーモパイル素子を8(縦)×8(横)(=64素子)に二次元マトリックス状に多画素化したものである。市販品としては、商品名:Grid−Eye(グリッドアイ)「登録商標」/パナソニック電工製がある。
前記市販の赤外線アレイセンサの仕様としては、前記センサ部28Aとしてのサーモパイル素子(アレイ状)と、集光用シリコンレンズと、解析部28BとしてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサと、IC等が組み込まれた実装用モジュールとされ、視野角が60度、最大5〜10m先の領域を検知し、本実施の形態の第1の人感センサ28として適用可能である。
なお、MEMSとは、機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイスを指す。
赤外線アレイセンサ28IRは、検出部28A(サーモパイル素子)で検出する熱画像に応じた検出信号により、温度分布を解析することで、特定空間にいる人や熱源の温度変化を非接触で検知すると共に、人等の移動方向が検知可能である。
図10(B)に示される如く、検出部28Aからの電気信号は、解析部28Bの電気信号受付部50で受け付けられ、画素毎データ格納部52にそれぞれのサーモパイル素子で検出した信号が格納されるようになっている。なお、ここでは、解析部28Bの機能の全てが図4に示す回路基板部28Bに具備することとして説明するが、解析部28Bが当該機能の全てを備える必要はなく、一部が図4に示す監視制御部24の機能であってもよい。
この画素毎データ格納部52には、データ抽出部54が接続されており、例えば、1画素単位でデータが抽出され、温度レベル決定部56に送出される。温度レベル決定部56には、電気信号−温度レベル特性テーブル記憶部58が接続されており、受け付けた電気信号に基づく温度レベル(本実施の形態では、図11(C)に示す4段階)の何れかを決定する。
決定した温度レベル情報は、検出結果判定部60へ送出されるようになっている。
検出結果判定部60には、温度分布−状態照合テーブル記憶部62が接続されている。検出結果判定部60では、この温度分布−状態照合テーブル記憶部62に記憶されている温度分布−状態照合テーブルに基づいて、例えば、基本パターンとして、図11(A)に示すように、検出部28Aの検出領域に人が存在する場合に、その検出結果(温度分布)から状態(ここでは、「人が存在する」「人が移動する」)を判定する(図11(B)参照)。
「反射型センサ」
また、本実施の形態に係る第1の人感センサ28と第2の人感センサ30の中間的な位置付けとなるセンサとして、反射型センサを適用してもよい。
反射型センサは、移動体の有無(存在・不存在)を検出可能であり、投光部と受光部とを備えている。なお、投光部と受光部とが分離された形態であってもよい。
この反射型センサの最大の特徴は、受光部に入る光を遮断する/しないによって移動体の有無を確実に検出することである。また、投光部から投光される光量等により、受光部へ入射する光量に制限があるため、比較的近距離が検出領域である。
「ジェスチャーセンサ」
さらに、本実施の形態に係る第1の人感センサ28又は、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30の中間的な位置付けとなる中間的センサとして、ジェスチャーセンサを適用してもよい。
ジェスチャーセンサは、例えば、マイクロ波ドップラーセンサを用い、動作をドップラーの差として検出するものであり、センサ検出信号をフーリエ変換し、ジェスチャーを検出する。消費電力は、約0.25Wdcである。
図12は、本実施の形態の第1の人感センサ28として適用した焦電型センサ、第2の人感センサ30として適用したイメージセンサ(CCD、CMOS)、並びにその中間的な位置付けとして適用可能な赤外線アレイセンサ、反射型センサ、ジェスチャーセンサに対する仕様(消費電力及び検出距離)の相関関係を示した特性図である。この図12に示されるセンサから、選択的に第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30として適用可能であるが、第2の人感センサ30としては、イメージセンサのような個体認証可能なセンサであることが好ましい。言い換えれば、個体認証可能なセンサであれば、イメージセンサは、CCDやCMOSに限定されるものではなく、例えば、高密度画素化された赤外線アレイセンサ等であってもよい。
(電力供給制御装置の適用例)
上記実施の形態では、電力供給制御装置を、画像処理装置10のモード遷移、特に、スリープモードからスタンバイモードへ遷移させる制御装置として適用したが、電力のほとんどを遮断しておき、必要に応じて、段階的に負荷の電力供給(下位のセンサで上位のセンサに電力を供給する場合を含む)を実行する機器の電力供給制御にも適用可能である。
「自動販売機」
自動販売機は、飲料水の販売が代表されるように、路上、店頭、駅構内等に設置されている。さらに、飲料水に限らず、軽食、書籍、新聞、さらには花束やおもちゃ等も販売されている。駅に関しては切符も自動販売機の一種である。
このような自動販売機は、何時購入者が操作するかが不明であるため、利便性を重視して、常時全電力供給状態で待機していることが多い。しかしながら、頻繁に利用される自動販売機もあれば、散発的に利用される自動販売機も存在するため、省エネ性を考慮した場合、人が近づいたときに電力が供給されればよいが、人通りが激しい路上では、購入者なのか否かの判別がつきにくい。
そこで、例えば、購入がない状態が予め定めた時間が経過した場合に、自動販売機の操作部の主たる機能への電力の供給を遮断し、第1の人感センサ28に電力を供給しておく。この場合の第1の人感センサ28としては、頻繁に素通りする人と、自動販売機に対峙する人を見分けるため、比較的検出範囲の狭い反射型センサが好ましい。或いは、焦電型センサの検出面にアパーチャー等の仕切り板を配置して検出範囲を調整してもよい。
第2の人感センサ30は、この第1の人感センサ28により自動販売機を使用する可能性があると判断した時点で、電力が供給され、個体認証を行う。
例えば、国籍判定用データベースを作成しておき、前記個体認証によって国籍を判別し、行き先等の案内表示を日本語、英語、フランス語等多数の国の母国語を選択的に表示するといったサービスが可能となる。また、身長(目の高さ)によって、表示画面や操作面を法線上に向けるサービスも可能である。
さらには、図13(A)に示される如く、自動販売機300に第1の人感センサ28と第2の人感センサ30を取り付けると共に、高位置排出口302と、低位置排出口304を設けておき、第2の人感センサ30の個体認証によって、購入者306A、306Bの身長(目の高さ)を判別して、排出口を選択するといったサービスも可能である。図13(B)に示される如く、購入者306Aの背が低いことを判別して、低位置排出口304から購入品が排出され、図13(C)に示される如く、購入者306Bの背が高いことを判別して、高位置排出口302から購入品が排出される。
「オートロックシステム」
図14は、オートロックシステムがマンション等の共同エントランスの正面図である。エントランスには、玄関扉310が設けられ、モータ等の駆動手段312の駆動力で開閉する構造となっている。駆動手段312は、オートロックシステムのコントローラ314によって制御される。
コントローラ314は、各居室に設けられたインターホンの信号線316が集結されると共に、操作パネル318が接続されている。居住者は、操作パネル318からそれぞれの居室毎の識別番号を操作することで玄関扉310が開放可能である。また、訪問者は、訪問先の部屋番号等を操作することで、インターホンからの操作で玄関扉310が開放可能である。
このような周知のオートロックシステムでは、常時電力が供給されており、利便性は確立している反面、省エネ性が犠牲となっている。このため、このようなオートロックシステムに、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30とを設置して、タイマ等で第1の人感センサ28以外の電力の供給を遮断する。
その後は、第1の人感センサ28での監視を継続し、人を検出した時点で、第2の人感センサ30に電力を供給する。
このとき、データベースに、居住者の個人情報(顔の輪郭、目、鼻、口等の画像を含む)を登録しておき、個体認証で居住者であることが認証されれば、操作パネル318に電力を供給しなくても、玄関扉310を開放する。
一方、居住者でない場合は、操作パネル318に電力を供給して、部屋番号等の入力操作を可能とする。
さらには、本実施の形態の第2の人感センサ30を適用することで、最寄りの警察等との連携で、データベースに指名手配者の画像を登録しておき、居住者ではないが前記指名手配者に一致(或いは、予め定めた確率で合致)した場合に、警報するといった防犯対策も可能となる。なお、警報には、警告音や警告ランプの動作に加え、或いは当該動作に代えて、前記操作パネル318に電力を供給しない、警察や軽微会社等に自動的に通報する等が含まれる。
上記では、画像処理装置10を主体として第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を設けた実施の形態を説明し、適用例として自動販売機、オートロックシステムを説明したが、消費電力の低い方から段階的に電力を供給し、最終的には個体認証によって、その後の動作を予測して電力を供給する装置の全てに適用可能であり、適用することで、利便性と省エネ性の両立が可能となる。
なお、電力のほとんどを遮断しておき、必要に応じて、段階的に負荷の電力供給(下位のセンサで上位のセンサに電力を供給する場合を含む)を実行する機器は、オフィス、工場、倉庫、店舗、ホテル、駅、飛行場、駐車場、道端、通路、市場、観光施設、イベント会場、学校、図書館、役所、その他の公共施設、私営施設等に設置されており、これらに対して、本実施の形態に係る第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30を主体として電力供給制御装置を設けることで、利便性と省エネ性との両立を図ることが可能となる。
また、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30は、必ずしも装置に内蔵する必要はない。例えば、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30、或いは制御系機器の一部又は全部を、監視する装置とは別の装置とし、例えば、有線又は無線で接続してもよい。