JP5817605B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明はスクロール型圧縮機に関する。
特許文献1に従来のスクロール型圧縮機が開示されている。このスクロール型圧縮機は、図48に示すように、固定スクロール90と可動スクロール80とを備えている。固定スクロール90は、固定基板91と、固定基板91から渦巻状に突設された固定渦巻壁92とを有している。可動スクロール80は、図示しない可動基板と、可動基板から渦巻状に突設された可動渦巻壁82とを有している。可動スクロール80は固定スクロール90との間に圧縮室Cを形成する。
可動スクロール80が固定スクロール90に対して公転中心(駆動中心)O回りで公転すれば、圧縮室Cが容積を縮小する。圧縮室Cは、固定渦巻壁92の外側に形成される外側圧縮室C1と、固定渦巻壁92の内側に形成される内側圧縮室C2とからなる。
外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2は、吸入行程終了時に、固定渦巻壁92と可動渦巻壁82とが当接する外周側に位置する一対の第1シール線L1a、L1bと、固定渦巻壁92と可動渦巻壁82とが当接する内周側に位置する一対の第2シール線L2a、L2bとにより、初めて閉鎖される。このため、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2はこの状態まで低圧ガスが吸入される。
そして、可動スクロール80の公転が進むことにより、第1シール線L1a、L1b及び第2シール線L2a、L2bが固定渦巻壁92及び可動渦巻壁82の図示しない基礎円の中心に近づく。これにより、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2は容積を縮小する。可動スクロール80の公転がさらに進むことにより、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2は互いに連通し、単一の圧縮室Cとされる。固定基板91には、圧縮室Cが連通し、高圧ガスを吐出するための吐出ポート91aが貫設されている。
また、このスクロール型圧縮機では、外側圧縮室C1が連通する外側インジェクションポート91bと、内側圧縮室C2が連通する内側インジェクションポート91cとが固定基板91に貫設されている。外側インジェクションポート91b及び内側インジェクションポート91cには、外部の冷凍回路内における中間圧ガスが存在する部位が接続される。このため、外側圧縮室C1や内側圧縮室C2には中間圧ガスが導入される。これにより、このスクロール型圧縮機を用いた冷凍回路の効率が向上する。
特開2002−13491号公報
しかし、上記従来のスクロール型圧縮機では、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートが固定渦巻壁に沿って延びている。このため、固定スクロールに対して可動スクロールが移動する際、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの一部が可動渦巻壁によって隠蔽され易い。
また、このスクロール型圧縮機では、外側インジェクションポートと内側インジェクションポートとが駆動軸心に対して互いに略180°の位置に形成されている。このため、固定スクロールに対して可動スクロールが移動する際、外側インジェクションポートと内側インジェクションポートとが可動渦巻壁によって同時に隠蔽される。
このため、このスクロール型圧縮機では、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの開口面積がともに十分でない場合があり、その場合には、外側圧縮室や内側圧縮室に中間圧ガスが安定的に導入され難く、冷凍回路の効率が向上し難い。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、冷凍回路の効率を確実に向上させることができるスクロール型圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のスクロール型圧縮機は、固定基板と、該固定基板から渦巻状に突設された固定渦巻壁とを有する固定スクロールと、
可動基板と、該可動基板から渦巻状に突設された可動渦巻壁とを有し、該固定スクロールとの間に圧縮室を形成する可動スクロールとを備え、
該可動スクロールが該固定スクロールに対して公転することにより、該圧縮室が容積を縮小し、該圧縮室は、該固定渦巻壁の外側に形成される外側圧縮室と、該固定渦巻壁の内側に形成される内側圧縮室とからなり、
該固定基板及び該可動基板の一方には、該圧縮室が連通する吐出ポートと、該外側圧縮室が連通する外側インジェクションポートと、該内側圧縮室が連通する内側インジェクションポートとが貫設され、
該外側圧縮室及び該内側圧縮室は、吸入行程終了時に、該固定渦巻壁と該可動渦巻壁とが当接する外周側に位置する一対の第1シール線と、該固定渦巻壁と該可動渦巻壁とが当接する内周側に位置する一対の第2シール線とにより初めて閉鎖されるスクロール型圧縮機において
該外側インジェクションポート及び該内側インジェクションポートの少なくとも一方は、前記吸入行程終了時における前記可動渦巻壁に沿って前記可動渦巻壁の外端側を始点とし、前記可動渦巻壁の内端側へ延びる湾曲した略長穴であり、
該外側インジェクションポートの始点が該吸入行程終了時における前記第2シール線から前記可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされているか、又は該内側インジェクションポートの始点が該吸入行程終了時における該第2シール線から該可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされ
前記固定渦巻壁又は前記可動渦巻壁は、前記吸入行程終了時において、前記外側インジェクションポート上及び前記内側インジェクションポート上に配置されることを特徴とする。
本発明のスクロール型圧縮機では、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの少なくとも一方が吸入行程終了時における可動渦巻壁に沿って、可動渦巻壁の外端側を始点とし、可動渦巻壁の内端側へ延びる湾曲した略長穴である。このため、固定スクロールに対して可動スクロールが移動することにより、その略長穴が直ちに大きく開口する。
ここで、外側インジェクションポートが湾曲した略長穴である場合、外側インジェクションポートの始点とは、可動渦巻壁の外端側に位置する点であり、その外側インジェクションポートが可動渦巻壁の内端側に延び始める点である。内側インジェクションポートが湾曲した略長穴である場合、内側インジェクションポートの始点とは、可動渦巻壁の外端側に位置する点であり、その内側インジェクションポートが可動渦巻壁の内端側に延び始める点である。
また、このスクロール型圧縮機では、外側インジェクションポートの始点が吸入行程終了時における第2シール線から可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされているか、又は内側インジェクションポートの始点が吸入行程終了時における第2シール線から可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされている。このため、外側インジェクションポートと内側インジェクションポートとが駆動軸心に対して非対称に形成されている。このため、固定スクロールに対して可動スクロールが移動する際、外側インジェクションポートが可動渦巻壁によって隠蔽される速度と、内側インジェクションポートが可動渦巻壁によって隠蔽される速度とが異なり、同じタイミングでも外側インジェクションポートの開口面積と内側インジェクションポートの開口面積とに差が生じる。
このため、このスクロール型圧縮機では、圧縮開始後の早いタイミングで外側インジェクションポート又は内側インジェクションポートの開口面積を十分に確保でき、外側圧縮室又は内側圧縮室により多くの中間圧ガスを導入することができる。
したがって、本発明のスクロール型圧縮機では、冷凍回路の効率を確実に向上させることができる。
本発明のスクロール型圧縮機では、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの少なくとも一方が湾曲した略長穴である。湾曲した略長穴は、ドリルを平行移動させて得られるいわゆる長穴であってもよく、丸穴を複数連続して配置した穴、楕円の穴、スリット等であってもよい。略長穴の幅は可動渦巻壁に隠蔽され得る最大値であることが好ましい。略長穴の長さは、固定渦巻壁及び可動渦巻壁の渦巻角によって適宜選択され得る。
吸入行程終了時は固定渦巻壁及び可動渦巻壁の渦巻角によって適宜選択され得る。なお、内周側とは、渦巻壁を形成する基礎円に近い側を意味し、外周側とは、その基礎円から離れた側を意味する。また、可動渦巻壁の外端とは、可動渦巻壁を形成する基礎円から最も離れた可動渦巻壁の端部を意味し、可動渦巻壁の内端とは、その基礎円に最も近い可動渦巻壁の端部を意味する。
外側インジェクションポートは外側インジェクションポートの始点から延びる湾曲した略長穴であり、内側インジェクションポートは内側インジェクションポートの始点から延びる湾曲した略長穴であることが好ましい。この場合、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの開口面積を大きくし易く、本発明の効果を奏し易い。
固定渦巻壁は固定渦巻外面及び固定渦巻内面によって形成され得る。可動渦巻壁は可動渦巻外面及び可動渦巻内面によって形成され得る。第1シール線は、固定渦巻外面と可動渦巻内面とが当接する外周側の第1外側シール線と、固定渦巻内面と可動渦巻外面とが当接する外周側の第1内側シール線とからなり得る。第2シール線は、固定渦巻外面と可動渦巻内面とが当接する内周側の第2外側シール線と、固定渦巻内面と可動渦巻外面とが当接する内周側の第2内側シール線とからなり得る。第1外側シール線と第2外側シール線とにより外側圧縮室が初めて閉鎖され、第1内側シール線と第2内側シール線とにより内側圧縮室が初めて閉鎖され得る。そして、外側インジェクションポートの始点は第2外側シール線の外側に位置し、内側インジェクションポートの始点は第2内側シール線の内側から可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされていることが可能である。発明者はこの構成によって本発明の効果を確認している。なお、内側とは、公転中心(駆動軸心)に近い側を意味し、外側とは、公転中心(駆動軸心)から離れた側を意味する。
固定基板及び可動基板の一方には、外側圧縮室と内側圧縮室とを連通する連通路が形成されていることが好ましい。この場合、外側圧縮室と内側圧縮室とが均圧化され、混合損失、振動又は騒音が低減される。特に、本発明のスクロール型圧縮機は外側圧縮室と内側圧縮室とに中間圧ガスが導入されるタイミングが異なるため、外側圧縮室と内側圧縮室とが均圧化される効果が大きく、より多くの中間圧ガスを導入することができる。
連通路は、圧縮途中における可動渦巻壁に沿って延びる湾曲した長溝であることが好ましい。この場合、圧縮途中で固定スクロールに対して可動スクロールが移動することにより、その長溝が直ちに大きく開口するため、外側圧縮室と内側圧縮室とが均圧化され易い。
湾曲した長溝は、丸形の凹部を平行移動させて得られる溝であってもよく、楕円形の凹部や湾曲させた矩形の凹部等であってもよい。長溝の幅は可動渦巻壁に隠蔽され得る最大値であることが好ましい。長溝の本数や長さは、固定渦巻壁及び可動渦巻壁の渦巻角によって適宜選択され得る。一般的な車両用空調装置に使用されるスクロール型圧縮機であれば、長溝は1本で足り、長溝の長さは外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを連通可能な最小値であることが好ましい。
本発明のスクロール型圧縮機は、可動スクロールを駆動するモータ機構を備えていることが好ましい。このスクロール型圧縮機はヒートポンプの暖房用に用いて好適である。
本発明のスクロール型圧縮機は、冷凍回路の効率を確実に向上させることができる。
実施例1〜3のスクロール型圧縮機の断面図である。 実施例1〜3のスクロール型圧縮機を用いた暖房冷凍回路の構成図である。 実施例1〜3のスクロール型圧縮機を用いた暖房冷凍回路の構成図である。 実施例1〜3のスクロール型圧縮機に係り、固定渦巻壁及び可動渦巻壁の拡大断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、吸入行程終了時の固定スクロール及び可動スクロールを示す要部説明図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角0°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角30°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角60°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角90°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角120°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角150°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角180°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角210°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角240°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角270°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角300°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角330°における要部断面図である。 実施例1のスクロール型圧縮機に係り、公転角360°における要部断面図である。 図(A)は、実施例1のスクロール型圧縮機に係り、駆動軸の回転角と、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの合計の開口面積とを示すグラフである。図(B)は、実施例3のスクロール型圧縮機に係り、駆動軸の回転角と、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの合計の開口面積とを示すグラフである。図(C)は、従来のスクロール型圧縮機に係り、駆動軸の回転角と、外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの合計の開口面積とを示すグラフである。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、吸入行程終了時の固定スクロール及び可動スクロールを示す要部説明図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角0°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角30°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角60°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角90°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角120°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角150°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角180°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角210°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角240°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角270°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角300°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角330°における要部断面図である。 実施例2のスクロール型圧縮機に係り、公転角360°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、吸入行程終了時の固定スクロール及び可動スクロールを示す要部説明図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角0°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角30°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角60°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角90°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角120°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角150°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角180°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角210°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角240°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角270°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角300°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角330°における要部断面図である。 実施例3のスクロール型圧縮機に係り、公転角360°における要部断面図である。 従来のスクロール型圧縮機に係り、吸入行程終了時の固定スクロール及び可動スクロールを示す要部説明図である。
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の電動スクロール型圧縮機1は、ハウジング10を備えている。ハウジング10は、後端側が開口する有底筒状のフロントハウジング11と、蓋状をなしてフロントハウジング11の後端側を塞ぐリヤハウジング12とからなる。なお、図1において、右側が前方を示し、左側が後方を示す。
フロントハウジング11内には、軸支部材15が設けられているとともに、軸支部材15の後方に固定スクロール16が設けられている。軸支部材15と固定スクロール16との間には、円環形状をなすプレート60が介在されている。フロントハウジング11とリヤハウジング12とは、軸支部材15、プレート60及び固定スクロール16を互いに当接させた状態で収納しながら、フロントハウジング11の後端とリヤハウジング12の前端とが互いに突き合わされ、複数本のボルト13によって相互に固定されている。
固定スクロール16は、固定基板16aと、固定基板16aと一体をなし、固定基板16aから軸前方向に突設された渦巻状の固定渦巻壁16bと、固定基板16aと一体をなし、固定渦巻壁16bを周囲から覆う外周壁16cとからなる。
固定スクロール16には、可動スクロール22が噛み合わされている。可動スクロール22は、固定基板16aと対面する円板状の可動基板22aと、可動基板22aと一体をなし、可動基板22aから軸後方向に突設された渦巻状の可動渦巻壁22bとからなる。可動基板22aの前面中央には、円筒状のボス22cが前方に向かって突設されている。また、可動基板22aの前面外周域には複数個の自転防止孔14aが凹設されている。各自転防止孔14aには自転防止リング14bが固定されている。
フロントハウジング11の前壁の内面中央には、円筒状のボス11aが後方に向かって突設されている。一方、軸支部材15の中央には軸孔15aが貫通して形成されている。軸支部材15の後面には、複数本の自転防止ピン14cが後方に向けて突設されている。各自転防止ピン14cはそれぞれ自転防止リング14b内を転動するようになっている。全ての自転防止孔14a、自転防止リング14b及び自転防止ピン14cによって自転防止機構14が構成されている。
軸支部材15の軸孔15aには軸受装置25が設けられ、フロントハウジング11のボス11aには軸受装置26が設けられ、軸受装置25、26には前後方向に延びる駆動軸24が回転可能に支持されている。また、軸支部材15と駆動軸24との間には封止用のシール材30がサークリップ31によって介装されている。
駆動軸24の後端には、円柱状の偏心ピン32が突出して形成されている。偏心ピン32にはバランサ付きブッシュ33が設けられている。バランサ付きブッシュ33の円柱部と可動スクロール22のボス22cとの間には軸受装置34が設けられている。
また、フロントハウジング11内には、軸支部材15より前方に低圧の冷媒ガスを貯留する吸入室42が形成されている。吸入室42内には、ステータ44がフロントハウジング11の内周面に固定して設けられている。ステータ44の内側には、駆動軸24に固定されたロータ45が設けられている。ロータ45、ステータ44及び駆動軸24によってモータ機構40が構成されている。
フロントハウジング11の内周面の後端側には、吸入室42内の冷媒を後述する外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2に導く吸入ポート43が凹設されている。また、フロントハウジング11の外周壁の前端側には、外部と吸入室42とを連通させる吸入口46が貫設されている。
固定スクロール16の固定基板16aの後面には、円筒状のボス16dが後方に向かって突設されている。ボス16dの先端とリヤハウジング12との間にはOリング48が設けられ、ボス16d内とリヤハウジング12との間には、高圧の冷媒ガスを貯留する吐出室47が形成されている。固定基板16aの中央には、吐出ポート49が軸方向に貫設されている。吐出室47内の固定基板16aには、吐出ポート49を開閉可能な吐出リード弁55と、この吐出リード弁55の開度を規制するリテーナ56とがボルト57によって固定されている。
図4に示すように、固定渦巻壁16bは固定渦巻外面161及び固定渦巻内面162によって形成されている。可動渦巻壁22bも可動渦巻外面221及び可動渦巻内面222によって形成されている。固定渦巻外面161、固定渦巻内面162、可動渦巻外面221及び可動渦巻内面222は中心がObである基礎円Bによってインボリュート曲線等で形成されている。
吸入行程終了時の固定スクロール16及び可動スクロール22を図5に示す。図5に示すように、固定スクロール16及び可動スクロール22は圧縮室Cを形成する。可動スクロール22が固定スクロール16に対して駆動軸心O回りで公転すれば、圧縮室Cが容積を縮小する。圧縮室Cは、固定渦巻壁16bの外側に形成される外側圧縮室C1と、固定渦巻壁16bの内側に形成される内側圧縮室C2とからなる。なお、固定渦巻壁16bの外側とは、固定渦巻壁16bの固定渦巻外面161側であり、固定渦巻壁16bの内側とは、固定渦巻壁16bの固定渦巻内面162側である。
外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2は、吸入行程終了時に、固定渦巻壁16bと可動渦巻壁22bとが可動スクロール22の公転後に当接する外周側に位置する一対の第1シール線(L1a、L1b)と、固定渦巻壁16bと可動渦巻壁22bとが当接する内周側に位置する一対の第2シール線(L2a、L2b)とにより、初めて閉鎖される。内周側とは、基礎円Bに近い側を意味し、外周側とは、基礎円Bから離れた側を意味する。
第1外側シール線L1a及び第1内側シール線L1bが第1シール線である。第1外側シール線L1aにおいて、固定渦巻外面161と可動渦巻内面222とが当接する。第1内側シール線L1bにおいて、固定渦巻内面162と可動渦巻外面221とが当接する。
第2外側シール線L2a及び第2内側シール線L2bが第2シール線である。第2外側シール線L2aにおいて、固定渦巻外面161と可動渦巻内面222とが当接する。第2内側シール線L2bにおいて、固定渦巻内面162と可動渦巻外面221とが当接する。
第1外側シール線L1aでの当接と第2外側シール線L2aでの当接とにより外側圧縮室C1が初めて閉鎖される。また、第1内側シール線L1bでの当接と第2内側シール線L2bでの当接とにより内側圧縮室C2が初めて閉鎖される。このため、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2はこの状態まで低圧ガスが吸入される。
そして、可動スクロール22の公転が進むことにより、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2は容積を縮小し、互いに連通して単一の圧縮室Cとされる。吐出ポート49はこの圧縮室Cに連通している。
また、固定基板16aには、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62が軸方向に貫設されている。外側インジェクションポート61は外側圧縮室C1と連通するようになっており、内側インジェクションポート62は内側圧縮室C2と連通するようになっている。
より詳細には、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62は、吸入行程終了時における可動渦巻壁22bに沿って延びる湾曲した長穴である。外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bの外端側を外側インジェクションポート61の始点S1とし、可動渦巻壁22bの内端側へ延びる湾曲した長穴である。内側インジェクションポート62は可動渦巻壁22bの外端側を内側インジェクションポート62の始点S2とし、可動渦巻壁22bの内端側へ延びる湾曲した長穴である。外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62はドリルを平行移動させて得られる穴である。外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62の幅は可動渦巻壁22bに隠蔽され得る最大値である。外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62の長さは、インジェクション必要流量やインジェクションポートを設けるための許容体積等によって定まるものであり、本実施例では、幅の約3.5倍となっている。可動渦巻壁22bの外端側とは、可動渦巻壁22bを形成する基礎円Bから最も離れた可動渦巻壁22bの端部側を意味する。可動渦巻壁22bの内端側とは、その基礎円Bに最も近い可動渦巻壁22bの端部側を意味する。
外側インジェクションポート61の始点S1及び内側インジェクションポート62の始点S2は、吸入行程終了時における可動渦巻壁22bの壁幅の中心線上に位置する。また、始点S1は第2外側シール線L2aの外側近傍に位置している。
始点S2は第2内側シール線L2bの内側から可動渦巻壁22bの外端側に向かって渦巻角α(約80°)だけ進んだ位置とされている。このため、外側インジェクションポート61と内側インジェクションポート62とが駆動軸心Oに対して非対称である。シール線L2a及びシール線L2bの内側とは、駆動軸心Oに近い側を意味し、外側とは、駆動軸心Oから離れた側を意味する。
なお、図5と図48とを対比すれば明らかなように、従来の内側インジェクションポート91の始点S0は第2内側シール線L2bの内側近傍に位置している。本実施例の外側インジェクションポート61は従来の外側インジェクションポート91bと同様である。
図1に示すように、固定基板16aには、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62と連通するバルブ室53、54が凹設されている。バルブ室53、54内には、外側インジェクションポート61や内側インジェクションポート62からの逆流を防止する逆止弁53a、53bが収納されている。
リヤハウジング12には、一端側が吐出室47と連通し、他端側がリヤハウジング12の外周面上方に開口する吐出口58が貫設されている。
図2及び図3に示すように、吸入口46には配管63が接続され、吐出口58には配管64が接続されている。配管63は切替弁65の第1流入口65aに接続され、配管64は切替弁65の第2流入口65bに接続されている。切替弁65には第1流出口65c及び第2流出口65dが形成されており、第1流出口65cには配管66が接続され、第2流出口65dには配管67が接続されている。
配管66には第1熱交換器71、膨張弁72及びレシーバ73が設けられている。第1熱交換器71は車外の空気との間で熱交換が可能になっている。レシーバ73の底部には配管68が接続され、配管68と配管67との間には膨張弁76及び第2熱交換器74が設けられている。第2熱交換器74はブロア75によって車内の空気との間で熱交換が可能になっている。また、レシーバ73の上部には配管69が接続されている。配管69は分岐管69a、69bに分岐し、分岐管69aは逆止弁53aに接続され、分岐管69bは逆止弁53bに接続されている。
これら配管63、64、66、67、68、69、切替弁65、電動スクロール型圧縮機1、第1熱交換器71、膨張弁72、レシーバ73、膨張弁76及び第2熱交換器74は冷媒を循環させる暖房冷凍回路を構成している。この暖房冷凍回路は車両用の空調装置として採用されている。
この空調装置では、車両の運転者が操作を行うことにより、図1に示す電動スクロール型圧縮機1のモータ機構40がロータ45を回転させる。これにより、駆動軸24が回転駆動され、可動スクロール22が偏心ピン32、バランサ付きブッシュ33、軸受装置34及び自転防止機構14との協働により、駆動軸24の周りを公転する。このため、外側圧縮室C1、内側圧縮室C2及び圧縮室Cが徐々に容積を縮小する。
これらの間、図2に示すように、切替弁65が第2流入口65bと第1流出口65cとを連通し、第1流入口65aと第2流出口65dとを連通しておれば、第2熱交換器74は蒸発器として機能し、車室内が冷房される。なお、第1熱交換器71は凝縮器として機能し、冷媒の温熱を車外に放出する。
一方、図3に示すように、切替弁65が第1流入口65aと第1流出口65cとを連通し、第2流入口65bと第2流出口65dとを連通しておれば、第2熱交換器74は凝縮器として機能し、車室内が暖房される。なお、第1熱交換器71は蒸発器として機能し、冷媒の冷熱を車外に放出する。
また、これらの間、まず、図6に示すように、公転角0°において、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2が初めて閉鎖され、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2はこの状態まで低圧ガスが吸入される。この状態では、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62は可動渦巻壁22bによって隠蔽され、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2には中間圧ガスが導入されない。
そして、可動スクロール22の公転が30°進むことにより、図7に示すように、第1外側シール線L1a、第1内側シール線L1b、第2外側シール線L2a及び第2内側シール線L2bが図4に示す固定渦巻壁16b及び可動渦巻壁22bの基礎円Bの中心Obに近づく。なお、可動スクロール22が公転すると、図5に示す第1外側シール線L1aと第2外側シール線L2aとを接続する面F1と、第1内側シール線L1bと第2内側シール線L2bとを接続する面F2とは、基礎円Bの中心Ob回りに回転する。これにより、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2は容積を縮小する。図7に示すように、この状態では、内側インジェクションポート62が可動渦巻壁22bから大きく開口し始め、内側圧縮室C2に少量の中間圧ガスが導入される。他方、外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bによって未だ隠蔽されており、外側圧縮室C1には中間圧ガスが導入されない。
可動スクロール22の公転が60°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図8に示す状態となる。この状態では、内側インジェクションポート62が可動渦巻壁22bから完全に開口し、内側圧縮室C2に大量の中間圧ガスが導入される。他方、外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bから少しずつ開口し始め、外側圧縮室C1に少量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が90°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図9に示す状態となる。この状態では、内側インジェクションポート62が可動渦巻壁22bから完全に開口し、内側圧縮室C2に大量の中間圧ガスが導入されている。他方、外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bからやや大きく開口し、外側圧縮室C1に中間量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が120°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図10に示す状態となる。この状態では、内側インジェクションポート62及び外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bから完全に開口し、内側圧縮室C2及び外側圧縮室C1に大量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が150°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図11に示す状態となる。また、可動スクロール22の公転が180°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図12に示す状態となる。これらの状態も公転角120°の状態と同様である。
可動スクロール22の公転が210°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図13に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bから完全に開口し、外側圧縮室C1に大量の中間圧ガスが導入される。他方、内側インジェクションポート62は可動渦巻壁22bによってやや閉塞され、内側圧縮室C2に中間量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が240°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図14に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bから完全に開口し、外側圧縮室C1に大量の中間圧ガスが導入されている。他方、内側インジェクションポート62は可動渦巻壁22bによって大きく隠蔽され、内側圧縮室C2に少量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が270°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図15に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bによってやや閉塞され、外側圧縮室C1に中間量の中間圧ガスが導入される。他方、内側インジェクションポート62は可動渦巻壁22bによって大きく閉塞され、内側圧縮室C2に少量の中間圧ガスが導入されている。
可動スクロール22の公転が300°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図16に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62が可動渦巻壁22bによって大きく隠蔽され、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2に少量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が330°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図17に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62が可動渦巻壁22bによってほとんど隠蔽され、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2にごく少量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が360°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図18に示す状態となる。この状態は図6と同じである。この状態において、新たに第1外側シール線L1a及び第1内側シール線L1bが形成され、先ほどまで第1外側シール線L1aであった第2外側シール線L2aと、先ほどまで第1内側シール線L1bであった第2内側シール線L2bとともに、外側圧縮室C3及び内側圧縮室C4が形成される。
こうして、この電動スクロール型圧縮機1では、固定スクロール16に対して可動スクロール22が移動する際、外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bによって隠蔽される速度と、内側インジェクションポート62が可動渦巻壁22bによって隠蔽される速度とが異なり、同じタイミングでも外側インジェクションポート61の開口面積と内側インジェクションポート62の開口面積とに差が生じる。
このため、この電動スクロール型圧縮機1では、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62の開口面積が常に十分となり、外側圧縮室C1や内側圧縮室C2に中間圧ガスが安定的に導入される。
駆動軸の回転角(deg)と外側インジェクションポート及び内側インジェクションポートの合計の開口面積(mm2)との関係を図19に示す。図(A)が実施例1の電動スクロール型圧縮機の結果を示し、図(C)が図48に示す従来の電動スクロール型圧縮機の結果を示す。
図19(C)に示すように、従来の電動スクロール型圧縮機では、内側インジェクションポート91cが回転角θ1で全開となり、続いて外側インジェクションポート91bが回転角θ2で全開となる。この場合、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2への中間圧ガスの導入量が少なくなる。
これに対し、図19(A)に示すように、実施例1の電動スクロール型圧縮機では、初めに内側インジェクションポートが回転角θ1より小さい回転角θ3で全開となり、続いて外側インジェクションポートが回転角θ2で全開となる。また、内側圧縮室C2、外側圧縮室C1の内圧は、圧縮開始直後から旋回運動(公転)によって圧縮が進むにつれて上昇するので、同じ開口面積でも回転角が小さい程、大量の中間圧ガスが導入できる。このため、外側圧縮室及び内側圧縮室への中間圧ガスの導入量が従来よりも多くなる。
したがって、この電動スクロール型圧縮機1では、暖房冷凍回路の効率を確実に向上させることができる。
(実施例2)
実施例2の電動スクロール型圧縮機は、図20〜図33に示すように、実施例1の電動スクロール型圧縮機の固定基板16aに1本の連通路70を設けたものである。連通路70は、図29に示すように、公転角240°の圧縮途中において、可動渦巻壁22bに沿って延びる湾曲した長溝である。連通路70は丸形の凹部を平行移動させて得られる長溝である。連通路70の幅は可動渦巻壁22bに隠蔽され得る最大値である。連通路70の長さは外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを連通可能な最小値である。他の構成は実施例1と同様である。
この電動スクロール型圧縮機においては、まず、図21に示すように、公転角0°において、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2が初めて閉鎖され、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2はこの状態まで低圧ガスが吸入される。この状態では、連通路70が外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを連通していない。
そして、可動スクロール22の公転が30°進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図22に示す状態となる。この状態では、連通路70が外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを連通し始め、外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とが均圧化される。
可動スクロール22の公転が60°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図23に示す状態となる。また、可動スクロール22の公転が90°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図24に示す状態となる。これらの状態でも、連通路70が外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを連通し、外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とが均圧化される。
可動スクロール22の公転が120°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図25に示す状態となる。この状態では、連通路70による外側圧縮室C1と内側圧縮室C2との連通が終了する。
可動スクロール22の公転が150°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図26に示す状態となる。また、可動スクロール22の公転が180°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図27に示す状態となる。さらに、可動スクロール22の公転が210°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図28に示す状態となる。これらの状態でも、連通路70が外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを連通していない。
可動スクロール22の公転が240°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図29に示す状態となる。この状態では、連通路70が完全に可動渦巻壁22bによって隠蔽される。
可動スクロール22の公転が270°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図30に示す状態となる。可動スクロール22の公転が300°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図31に示す状態となる。また、可動スクロール22の公転が330°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図32に示す状態となる。これらの状態でも、連通路70が外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを連通していない。
可動スクロール22の公転が360°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図33に示す状態となる。この状態は図21と同じである。
こうして、この電動スクロール型圧縮機では、公転角30〜90°において、外側圧縮室C1と内側圧縮室C2とを均圧化することができる。このため、この電動スクロール型圧縮機では、公転角30〜90°において、内側圧縮室C2の内圧が低下し、開口の大きいインジェクションポートからより大量の中間圧ガスを導入できる。また、混合損失、振動又は騒音が低減される。他の作用効果は実施例1と同様である。
(実施例3)
実施例3の電動スクロール型圧縮機は、図34〜図47に示すように、実施例1と異なる位置に内側インジェクションポート63が貫設されている。内側インジェクションポート63は、吸入行程終了時より公転が30°進んだ時における可動渦巻壁22bに沿って延びる湾曲した長穴である。内側インジェクションポート63は可動渦巻壁22bの外端側を内側インジェクションポート63の始点S3とし、可動渦巻壁22bの内端側へ延びる湾曲した長穴である。内側インジェクションポート63の始点S3は第2内側シール線L2bの内側から可動渦巻壁22bの外端側に向かって渦巻角β(約40°)だけ進んだ位置とされている。このため、実施例3においても、外側インジェクションポート61と内側インジェクションポート63とが駆動軸心Oに対して非対称である。他の構成は実施例1と同様である。
この電動スクロール型圧縮機では、図35に示すように、公転角0°において、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2が初めて閉鎖され、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2はこの状態まで低圧ガスが吸入される。この状態では、外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bによって隠蔽され、内側インジェクションポート63は可動渦巻壁22bからやや開口している。このため、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2、C4には中間圧ガスが導入されないが、外側圧縮室C3には少量の中間圧ガスが導入される。
そして、可動スクロール22の公転が30°進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図36に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート63は可動渦巻壁22bによって隠蔽され、外側圧縮室C1、C3及び内側圧縮室C2、C4には中間圧ガスが導入されない。
可動スクロール22の公転が60°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図37に示す状態となる。この状態では、内側インジェクションポート63が可動渦巻壁22bから再びやや開口し、内側圧縮室C2に中間量の中間圧ガスが導入される。他方、外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bから少しずつ開口し始め、外側圧縮室C1に少量の中間圧ガスが導入される。外側圧縮室C3及び内側圧縮室C4には中間圧ガスが導入されない。
可動スクロール22の公転が90°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図38に示す状態となる。この状態では、内側インジェクションポート63が可動渦巻壁22bから完全に開口し、内側圧縮室C2に大量の中間圧ガスが導入されている。他方、外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bからやや大きく開口し、外側圧縮室C1に中間量の中間圧ガスが導入される。外側圧縮室C3及び内側圧縮室C4には中間圧ガスが導入されない。
可動スクロール22の公転が120°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図39に示す状態となる。この状態では、内側インジェクションポート63及び外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bから完全に開口し、内側圧縮室C2及び外側圧縮室C1に大量の中間圧ガスが導入される。外側圧縮室C3及び内側圧縮室C4には中間圧ガスが導入されない。
可動スクロール22の公転が150°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図40に示す状態となる。また、可動スクロール22の公転が180°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図41に示す状態となる。これらの状態も公転角120°の状態と同様である。
可動スクロール22の公転が210°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図42に示す状態となる。この状態においても、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート63が可動渦巻壁22bから完全に開口し、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2に大量の中間圧ガスが導入される。なお、外側圧縮室C3及び内側圧縮室C4は単一の圧縮室Cとなる。
可動スクロール22の公転が240°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図43に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bから完全に開口し、外側圧縮室C1に大量の中間圧ガスが導入されている。他方、内側インジェクションポート63は可動渦巻壁22bによってやや隠蔽され、内側圧縮室C2に中間量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が270°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図44に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61が可動渦巻壁22bによってやや閉塞され、外側圧縮室C1に中間量の中間圧ガスが導入される。他方、内側インジェクションポート63は可動渦巻壁22bによって大きく閉塞され、内側圧縮室C2に少量の中間圧ガスが導入されている。
可動スクロール22の公転が300°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図45に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61及び内側インジェクションポート62が可動渦巻壁22bによって大きく隠蔽され、外側圧縮室C1及び内側圧縮室C2に少量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が330°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図46に示す状態となる。この状態では、外側インジェクションポート61は可動渦巻壁22bによってほとんど隠蔽され、外側圧縮室C1には中間圧ガスがほとんど導入されない。一方、内側インジェクションポート63は可動渦巻壁22bによって隠蔽され、内側圧縮室C2に中間量の中間圧ガスが導入される。
可動スクロール22の公転が360°まで進むことにより、固定スクロール16及び可動スクロール22は図47に示す状態となる。この状態は図35と同じである。
図19(B)に示すように、この電動スクロール型圧縮機では、初めに内側インジェクションポートが回転角θ1より大きい回転角θ4で全開となり、続いて外側インジェクションポートが回転角θ2で全開となる。
こうして、この電動スクロール型圧縮機においても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、実施例3の電動スクロール型圧縮機1において、実施例2と同様の連通孔を設けることもできる。
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、本発明では、外側インジェクションポート、内側インジェクションポート及び連通路の少なくとも一つを可動基板に形成してもよい。また、本発明は、固定渦巻壁と可動渦巻壁との渦巻角が等しいスクロール型圧縮機に限られず、固定渦巻壁と可動渦巻壁との渦巻角が不等であるスクロール型圧縮機にも適用可能である。
本発明は、冷凍回路、暖房回路、暖房冷凍回路等に利用可能である。
16…固定スクロール
16a…固定基板
16b…固定渦巻壁
22…可動スクロール
22a…可動基板
22b…可動渦巻壁
C1…外側圧縮室
C2…内側圧縮室
C…圧縮室
49…吐出ポート
61…外側インジェクションポート
62、63…内側インジェクションポート
L1a、L1b…第1シール線(L1a…第1外側シール線、L1b…第1内側シール線)
L2a、L2b…第2シール線(L2a…第2外側シール線、L2b…第2内側シール線)
1…電動スクロール型圧縮機
S1…始点
S2…始点
161…固定渦巻外面、可動渦巻外面
162…固定渦巻内面、可動渦巻内面
70…連通路
40…モータ機構

Claims (6)

  1. 固定基板と、該固定基板から渦巻状に突設された固定渦巻壁とを有する固定スクロールと、
    可動基板と、該可動基板から渦巻状に突設された可動渦巻壁とを有し、該固定スクロールとの間に圧縮室を形成する可動スクロールとを備え、
    該可動スクロールが該固定スクロールに対して公転することにより、該圧縮室が容積を縮小し、該圧縮室は、該固定渦巻壁の外側に形成される外側圧縮室と、該固定渦巻壁の内側に形成される内側圧縮室とからなり、
    該固定基板及び該可動基板の一方には、該圧縮室が連通する吐出ポートと、該外側圧縮室が連通する外側インジェクションポートと、該内側圧縮室が連通する内側インジェクションポートとが貫設され、
    該外側圧縮室及び該内側圧縮室は、吸入行程終了時に、該固定渦巻壁と該可動渦巻壁とが当接する外周側に位置する一対の第1シール線と、該固定渦巻壁と該可動渦巻壁とが当接する内周側に位置する一対の第2シール線とにより初めて閉鎖されるスクロール型圧縮機において
    該外側インジェクションポート及び該内側インジェクションポートの少なくとも一方は、前記吸入行程終了時における前記可動渦巻壁に沿って前記可動渦巻壁の外端側を始点とし、前記可動渦巻壁の内端側へ延びる湾曲した略長穴であり、
    該外側インジェクションポートの始点が該吸入行程終了時における前記第2シール線から前記可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされているか、又は該内側インジェクションポートの始点が該吸入行程終了時における該第2シール線から該可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされ
    前記固定渦巻壁又は前記可動渦巻壁は、前記吸入行程終了時において、前記外側インジェクションポート上及び前記内側インジェクションポート上に配置されることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 前記外側インジェクションポートは前記外側インジェクションポートの始点から延びる湾曲した略長穴であり、
    前記内側インジェクションポートは前記内側インジェクションポートの始点から延びる湾曲した略長穴である請求項1記載のスクロール型圧縮機。
  3. 前記固定渦巻壁は固定渦巻外面及び固定渦巻内面によって形成され、
    前記可動渦巻壁は可動渦巻外面及び可動渦巻内面によって形成され、
    前記第1シール線は、該固定渦巻外面と該可動渦巻内面とが当接する外周側の第1外側シール線と、該固定渦巻内面と該可動渦巻外面とが当接する外周側の第1内側シール線とからなり、
    前記第2シール線は、該固定渦巻外面と該可動渦巻内面とが当接する内周側の第2外側シール線と、該固定渦巻内面と該可動渦巻外面とが当接する内周側の第2内側シール線とからなり、
    該第1外側シール線と該第2外側シール線とにより前記外側圧縮室が初めて閉鎖され、
    該第1内側シール線と該第2内側シール線とにより前記内側圧縮室が初めて閉鎖され、
    前記外側インジェクションポートの始点は該第2外側シール線の外側に位置し、
    前記内側インジェクションポートの始点は該第2内側シール線の内側から前記可動渦巻壁の外端側に向かって進んだ位置とされている請求項2記載のスクロール型圧縮機。
  4. 前記固定基板及び前記可動基板の一方には、前記外側圧縮室と前記内側圧縮室とを連通する連通路が形成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載のスクロール型圧縮機。
  5. 前記連通路は、圧縮途中における前記可動渦巻壁に沿って延びる湾曲した長溝である請求項4記載のスクロール型圧縮機。
  6. 前記可動スクロールを駆動するモータ機構を備えている請求項1乃至5のいずれか1項記載のスクロール型圧縮機。
JP2012061302A 2012-03-17 2012-03-17 スクロール型圧縮機 Active JP5817605B2 (ja)

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