JP5817365B2 - 通信システム、中継通信装置、電磁誘導通信装置、情報記憶媒体 - Google Patents
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Description
非接触ICカードを用いた通信方式としては、通信周波数帯域に応じて、電磁結合方式、静電結合方式、電磁誘導方式、電波方式が用いられており、カード形態の非接触IC通信システムでは電磁誘導方式が主流となっている。
しかし、電磁誘導方式の通信システムのループアンテナは、良好な通信性能を得るために、通信周波数やICチップに適合したアンテナ形状を形成する必要がある。このため、ループアンテナは、複雑な形状を有するとともに、複雑な形成を行うために、Cu、Al等の導電性材料がラミネートされた基材のエッチング加工、導電性インキの印刷形成、被覆付き導線を巻きつけ、蒸着形成等の特殊技術を用いて形成する必要がある。また、通信特性を向上させるために、抵抗値の低い導電性材料を用いる必要があるため、高コストであった。
一方、利用者が所持するICカード及びリーダライタにそれぞれ設けたコンデンサプレートを静電結合させ、静電結合方式によって読み取る(又は書き込む)通信システムがあった(例えば特許文献2)。静電結合方式は、構造が比較的シンプルな静電結合用の導電性プレートを用いるので、ループアンテナの製造コストに比べれば、低コストである。
しかし、静電結合方式のICカードのICチップは、電磁誘導方式のICチップとは仕様が異なるため、電磁誘導方式の通信システムを静電結合方式の通信システムに入れ替えるためには、ICチップを新たに開発する必要があり、高コストになってしまう。
また、静電結合方式のICカードは、ICカードに設けられた2つの導電性プレートと、リーダライタに設けられた2つの導電性プレート(導電部材)を向かい合わせて静電結合を行うため、リーダライタに対するICカードの位置ずれが生じた場合には、ICカードの一方の導電性プレートが、リーダライタに設けられた2つの導電性プレート(導電部材)に静電結合してしまうため、通信安定性が低減するという問題があった。
また、本発明の課題は、リーダライタに対するICカードの位置ずれ許容度を大きくできる通信システムを提供することである。
・第2の発明は、情報記憶媒体と電磁誘導通信装置との間に中継通信装置を介在させ、前記情報記憶媒体と前記電磁誘導通信装置との間で通信する通信システムであって、前記情報記憶媒体(40,540B,1040)は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップ(41)と、前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B,1042A,1042B)とを備え、前記中継通信装置(230,330,430A,430B,930)は、中継ループアンテナ(31)と、前記中継ループアンテナの一端に接続され、導電性を有する中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)とを備え、前記中継ループアンテナの他端がアース(GND)に接続され、前記電磁誘導通信装置(21,920)は、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する通信装置側ループアンテナと、通信処理をする制御部(27,927)とを備え、前記制御部は、前記通信装置側ループアンテナが、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信し、前記中継ループアンテナの一端に接続された前記中継導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合し、前記中継ループアンテナの他端が、前記アースに接続され、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、を特徴とする通信システムである。
・第4の発明は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップ(41)と前記ICチップに接続され導電性を有する一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B,1042A,1042B)とを備える情報記憶媒体(40,540B,1040)と、電磁誘導通信装置との間に介在する中継通信装置であって、前記電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナ(31)と、前記中継ループアンテナの一端に接続され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合する中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732−1,732−2)と、この中継通信装置のケース部材である中継筐体(233,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C,733,933)とを備え、前記中継ループアンテナの他端がアースに接続され、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体(5)が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、を特徴とする中継通信装置である。
・第5の発明は、第3又は第4の発明の中継通信装置において、前記中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)は、前記中継ループアンテナ(31)を介してのみ前記中継筐体(33,233,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C)に対して電気的に接続されていること、を特徴とする中継通信装置である。
・第6の発明は、第3から第5までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記中継導電部材(632A〜632C,732,732−1,732−2)は、前記中継筐体(633A〜633C,733)から突出するように設けられていること、を特徴とする中継通信装置である。
・第7の発明は、第3から第6までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記中継筐体(333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C,733,833,933)に設けられ、前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに対応した領域を挿入可能な凹部(334,834)、スリット(434A,534A,534B,934)又はポケット(434B,634B,634C)を備え、前記中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体(40,540B,1040)の一方の前記導電プレート(42A,542A,1042A、又は42B,542B)に静電結合すること、を特徴とする中継通信装置である。
・第8の発明は、第7の発明の中継通信装置において、前記凹部(334,834)、前記スリット(434A,534A,534B,934)又は前記ポケット(434B,634B,634C)は、挿入された前記情報記憶媒体(40,540B,1040)を、前記中継導電部材に対して位置決めし、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットは、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートと同等以下の奥行を有しており、前記中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに対応した大きさであること、を特徴とする中継通信装置である。
・第9の発明は、第7又は第8の発明の中継通信装置において、前記スリット(434A,534A,534B,934)は、前記情報記憶媒体(434A,534A,534B,934)における前記一方の前記導電プレート(42A,542A,1042A、又は42B,542B)に対応した領域を挿入した状態のまま、スライド可能な大きさであり、前記中継導電部材(32,532A,532B)は、スライドしている前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに静電結合可能な大きさであること、を特徴とする中継通信装置である。
・第10の発明は、第7から第9までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記情報記憶媒体(40,540B,1040)は、前記一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B)が同等の大きさであり、かつ前記一対の導電プレートが前記情報記憶媒体の中心線(CL)に対して対称に配置されており、前記情報記憶媒体の挿入方向において、前記凹部(334,834)、前記スリット(434A,534A,534B,934)又は前記ポケット(434B,634B,634C)の大きさは、前記情報記憶媒体をいずれの前記導電プレート側から挿入しても、挿入された前記導電プレートに対応した範囲まで挿入する長さであること、を特徴とする中継通信装置である。
・第11の発明は、第7から第9までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記情報記憶媒体(1040)は、前記人体(5)に静電結合又は導通する前記他方の導電プレート大きさ(1040B)が、前記中継導電部材に静電結合する前記一方の導電プレート(1040A)よりも小さいこと、を特徴とする中継通信装置である。
・第12の発明は、第3から第11までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記情報記憶媒体(40)を挟みこむように配置され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレート(40A)の両面から同時に静電結合する少なくとも2つの中継導電部材(732−1,732−2)を備えること、を特徴とする中継通信装置である。
・第14の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、前記通信装置側ループアンテナと、前記制御部とを備えること、を特徴とする電磁誘導通信装置である。
・第15の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、前記ICチップと、前記一対の導電プレートとを備えること、を特徴とする情報記憶媒体である。
・第17の発明は、情報記憶媒体と通信装置との間で通信する通信システムであって、前記情報記憶媒体は、静電結合方式で通信可能なICチップと、前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、前記通信装置は、導電性を有する導電部材と、前記導電部材及びアースに接続され、通信処理をする制御部とを備え、前記制御部は、前記導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合又は導通し、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合することにより、前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、を特徴とする通信システムである。
・第1、第3の発明は、通信装置側ループアンテナが、中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式により通信し、中継ループアンテナの一端の中継導電部材が、情報記憶媒体の一方の導電プレートに静電結合し、中継ループアンテナの他端の中継筐体が、利用者の人体に静電結合又は導通し、利用者の人体が、情報記憶媒体の他方の導電プレートに静電結合又は導通することにより、情報記憶媒体に駆動電力が供給されるとともに、電磁誘導通信装置から発せられる電磁波信号が情報記憶媒体に伝達され、電磁誘導通信装置の制御部が情報記憶媒体のICチップとの間で通信処理できる。
また、本発明は、情報記憶媒体にループアンテナを形成する必要がなく、2つの導電プレートを設ければよいので、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストで情報記憶媒体を製造できる。このため、情報記憶媒体の発行量が多くなる程、従来のシステムと比較してコスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
さらにまた、情報記憶媒体の一方の導電プレートのみが中継導電部材に静電結合するので、情報記憶媒体が位置ずれした場合であっても、通信安定性を向上できる。例えば、本発明とは異なり、中継通信装置が2つの中継導電部材を備え、情報記憶媒体の2つの導電プレートが2つの中継導電部材にそれぞれ静電結合する場合には、情報記憶媒体が位置ずれしたときに、1つの導電プレートが2つの中継導電部材に重なって配置される可能性がある。この場合には、1つの導電プレートが2つの中継導電部材に静電結合して接続されてしまうため、通信安定性が低減する。これに対して、本発明は、情報記憶媒体の一方の導電プレートのみが中継導電部材に静電結合するので、情報記録媒体の位置ずれが生じた場合には、重なって配置される面積が小さくなるだけであり、位置ずれ許容度を向上できる。
さらに、本発明は、市場で多く流通している電磁誘導方式の電磁誘導通信装置を流用してシステムを構築できるので、低コストで導入できる。すなわち、情報記憶媒体のICチップとして、市場に多く流通している既存の電磁誘導方式の非接触ICカードに用いられるICチップを流用でき、かつ、電磁誘導通信装置として、既存の非接触ICカード用のリーダライタを流用して装置を構成できる。これにより、静電結合方式の特殊なICチップと、リーダライタとを新たに開発する必要なく、システムを構築できる。
加えて、本発明は、情報記憶媒体に一対の導電プレートを設ければよいので、情報記憶媒体にループアンテナを設ける場合と比較すると、情報記憶媒体の外形を小さくできる。これにより、情報記録媒体をさらに低コストで製造できる。
・第5の発明は、中継導電部材が、中継ループアンテを介してのみ中継筐体に対して電気的に接続されているので、中継導電部材及び中継筐体の短絡を抑制でき、通信安定性を向上できる。
・第7の発明は、情報記憶媒体の一方の導電プレートに対応した部分を挿入可能な凹部、スリット、又はポケットを備えるので、情報記憶媒体をこれらに挿入することにより、一方の導電プレートと中継導電部材とを静電結合できる。
・第9の発明は、情報記憶媒体をスリット部に挿入してスライドさせて、情報記憶媒体の一方の導電プレートに静電結合できるので、スライドさせて使用する操作態様にできるため、必然的にスライドしている時間を設けて、通信可能な時間を確保できる。
・第11の発明は、他方の導電プレートが一方の導電プレートよりも小さいので、情報記憶媒体を小さくできるため、より低コストでシステムを構築できる。
・第12の発明は、中継導電部材が、情報記録媒体を挟みこむように配置されているので、中継導電部材と情報記録媒体に具備される導電プレートとの静電結合度を高める事が可能となるため、情報記録媒体の位置づれ、反りが生じた場合や、情報記録媒体の導電プレートを小さくした場合にも、安定通信が可能であるため、より低コストで通信安定性の優れたシステムを構築できる。
・第13の発明は、第3から第12までのいずれかの発明の電磁誘導通信装置と、第3から第12までのいずれかの発明の中継通信装置と、を備える中継通信装置及び電磁誘導通信装置の組み合わせであるので、第3から第12の発明と同様な効果を奏する。
・第14の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、通信装置側ループアンテナと、制御部とを備える電磁誘導通信装置であるので、第1又は第2の発明と同様な効果を奏する。
・第15の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、ICチップと、一対の導電プレートとを備える情報記憶媒体であるので、第1又は第2の発明と同様な効果を奏する。
・第16の発明は、中継通信装置を用いることなく、通信装置に接続される導電部材が、情報記憶媒体の一方の導電プレートに静電結合し、通信装置に接続される筐体が、利用者の人体に静電結合又は導通し、利用者の人体が情報記憶媒体の他方の導電プレートに静電結合又は導通することにより、情報記憶媒体駆動に駆動電力が供給されるとともに、通信装置から発せられる信号が情報記憶媒体に伝達され、通信装置の制御部が情報記憶媒体のICチップとの間で通信処理できるため、より低コストでシステムを構築できる。
また、本発明は、第1の発明と同様に、情報記憶媒体が位置ずれした場合の通信安定性を向上でき、さらに、情報記憶媒体の外形を小さくできる。
・第17の発明は、中継通信装置を用いることなく、通信装置がアースに導通され、利用者の人体がアースに導通され、利用者の人体が情報記憶媒体の他方の導電プレートに静電結合又は導通するので、第16の発明とは異なり人体が筐体に接触しなくても通信できるので、操作性を向上できる。
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の通信システム1の通信方法を説明する図である。
図1(a)は、通信システム1の通信方法を説明する概念図である。
図1(b)は、リーダライタ21、中継通信装置30、ICカード40の通信方法を説明する斜視図である。
図2は、第1実施形態のICカード40の平面図(カード表面を法線方向から見た図)、及び断面図である。
図2(a)は、ICカード40の平面図である。
図2(b)は、ICカード40の断面図(図2(a)のB−B部矢視断面図)である。
リーダライタ21は、本来、電磁誘導方式のICカード4(図13参照)との間で、情報を送受信可能な装置であるが、本実施形態では、中継通信装置30を介して、電磁結合方式のICカード40との間で情報を送受信できる。
リーダライタ21は、制御部27を備え、制御部27によって制御されることにより、ICカード40の情報の読み出し及び更新をする電磁誘導通信装置として機能する。なお、リーダライタ21は、他の電磁誘導通信装置に対して電気ケーブル等によって接続され、その制御部によって制御されてもよい(第9実施形態参照)。
制御部27は、リーダライタ21を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。制御部27は、記憶部(図示せず)に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本発明に係る各種機能を実現している。
R/Wループアンテナ21aは、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。R/Wループアンテナ21aは、例えば、エッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。R/Wループアンテナ21aの両端の端子は、制御部27に接続される。
中継ループアンテナ31は、R/Wループアンテナ21aとの間で電磁誘導方式により通信(結合)するアンテナである。中継ループアンテナ31は、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。中継ループアンテナ31は、例えば、エッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。
中継ループアンテナ31の一方の端部31aは、電気ケーブルによって、中継導電部材32に対して電気的に接続されている。また、他方の端部31bは、電気ケーブルによって、筐体33に対して電気的に接続されている。電気ケーブル及び筐体33の接続部31cの接続手段は、例えばねじ止めである。
中継ループアンテナ31は、R/Wループアンテナ21aに対向配置される。
後述するように、中継導電部材32は、ICカード40の導電プレート42Aにほぼ密着し(例えば、中継導電部材32及び導電プレート42Aの距離L1=2mm程度)、かつ、導電プレート42Aに対向配置されることにより、導電プレート42Aに静電結合(静電容量結合)する。
ICチップ41は、電磁誘導方式で通信可能な集積回路であり、従来の電磁誘導方式のICカード4(図13参照)に内蔵されているものと、同種のものである。ICチップ41は、ICカード40の動作に必要なプログラム、情報等を記憶する記憶部と、この記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することによりICカード40を統括的に制御する制御部を備える。
ICチップ41の入出力部(リードフレーム等)は、導電プレート42A,42Bに対して、異方性導電性ペースト、異方性導電性フィルム、導電性接着剤等の接続部材46によって、それぞれ電気的及び機械的に接続されている。なお、ICチップ41が電磁誘導方式のものであるため、この入出力部は、本来、ループアンテナに接続されるものである。
下層43は、ICカード40の基材である。下層43は、例えば、厚さ180μm、短辺×長辺が25.0mm×57.5mmのPET、PET−G、PVC、ポリイミド等の絶縁性フィルム基材である。
上層44は、例えば、厚さ200μmの紙、樹脂等である。上層44は、ICチップ41、導電プレート42A,42Bを覆うように、粘着剤45等によって下層43に貼り付けられている。
(リーダライタ21及び中継通信装置30間の接続)
図1に示すように、R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の間は、電磁誘導方式により非接触で接続され、情報の送受信をすることができる。電磁誘導方式を用いたICカード40の通信方式は、ISO/IEC14443,ISO/IEC15693,ISO/IEC18092にて規格化されており、13.56MHzの信号周波数が用いられる。R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の間の通信方式も、これに準ずる。
なお、R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の巻数は、3巻程度である例を説明したが、これに限定されない。巻数は、両者の間が電磁誘導方式により非接触で接続される巻数であればよく、例えば1巻以上であればよい。
(1)一方の手5a(若しくは他方の手5b)でICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持する。
(2)導電プレート42Aに対応した領域を中継導電部材32に近付ける(中継導電部材32及び導電プレート42Aの距離L1=2mm程度)。
(3)他方の手5b(若しくは一方の手5a)で筐体33に触れる。
(中継通信装置30及びICカード40間の接続)
・中継ループアンテナ31の端部31aに接続された中継導電部材32及び導電プレート42Aは、コンデンサプレートとして機能して、両者の間が静電結合方式により非接触で接続される。
・中継ループアンテナ31の端部31bに接続された筐体33及び利用者の人体5は、利用者の手5bが筐体33に触れることにより、接続される。また、人体5及び導電プレート42Bは、利用者が手5a(若しくは他方の手5b)でICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持することにより、静電結合する。つまり、中継ループアンテナ31の端部31b及び導電プレート42Bは、人体5を介して接続される。
これにより、中継通信装置30及びICカード40間は、静電結合方式(静電容量結合方式)により接続され、情報の送受信をすることができる。
図3は、カード表面を法線方向から見たときの第1実施形態の導電プレート42Aの中継導電部材32に対する位置ずれ、比較例の導電プレート142Aの中継導電部材132Aに対する位置ずれを説明する図である。
図3(a−1)は、第1実施形態の導電プレート42Aが正位置に配置された状態を示し、図3(a−2)は、導電プレート42Aが位置ずれした状態を示す。
図3(b−1)は、比較例の導電プレート142Aが正位置に配置された状態を示し、図3(b−2)は、導電プレート142Aが位置ずれした状態を示す。
これに対して、実施形態のICカード40は、前述したように、位置ずれしても電気的に安定し、位置ずれの許容度を大きくできる。
これにより、実施形態の通信システム1は、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストでICカード40を製造できる。また、ICカード40の発行枚数が多くなる程、コスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
さらに、通信システム1は、ICカード40に一対の導電プレート42A,42Bを設ければよいので、ループアンテナを設ける場合と比較すると、ICカード40の外形を小さくできる。これにより、ICカード40をさらに低コストで製造できる。
なお、新たにシステムを導入する場合であっても、電磁誘導方式のICカード40に用いられるICチップ41を流用でき、かつ、既存の非接触IC用のリーダライタ21を流用できる。これにより、静電結合方式の特殊なICチップ41と、リーダライタ21とを開発する必要なく、システムを構築できる。
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図4は、第2実施形態の通信システム201の通信方法を説明する図である。
図4(a)は、通信システム201の通信方法を説明する概念図である。
図4(b)は、リーダライタ21、中継通信装置230、ICカード40の通信方法を説明する斜視図である。
グランドGNDは、基準電位となる面であり、リーダライタ21、中継通信装置230の設置面等である。
中継ループアンテナ31の端子31bとグランドGNDとの接続は、いずれの構成でもよい。例えば、端子31bと筐体233とを接続部31cで接続して、以下の方法を用いることができる。
・筐体233をグランドGNDに直接設置して、グランドGNDに電気的に接続する。
・筐体233をリーダライタ21の筐体を介して、グランドGNDに電気的に接続する。
・筐体233及びグランドGNDを、電気ケーブルによって接続する。
また、筐体233は、グランドGNDに接続できる形態であれば、第1実施形態の筐体33と同一のものでもよい。
(1)利用者がグランドGNDに位置する(例えば、利用者がグランドGNDである床面等に立つ)。
(2)一方の手5bでICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持する。
(3)導電プレート42Aに対応した領域を中継導電部材32に近付ける(中継導電部材32及び導電プレート42Aの距離L1=2mm程度)。
すなわち、第2実施形態の人体及びアース介在方式は、第1実施形態の人体介在方式とは異なり、利用者は、筐体233を手5bで触れる必要がない。
(中継通信装置230及びICカード40間の接続)
・導電部材32及び導電プレート42Aは、第1実施形態と同様に、静電結合する。
・中継ループアンテナ31の端部31bに接続された筐体233は、グランドGNDに接続されている。
人体5及び導電プレート42Bは、利用者がICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持することにより、静電結合する。利用者は、グランドGNDに位置しているので、導電プレート42Bは、人体5を介してグランドGNDに接続される。このため、導電プレート42Bと中継ループアンテナ31の端部31bとは、人体5、グランドGND、筐体233を介して接続され、「中継ループアンテナ31→中継導電部材32→導電プレート42A→ICチップ41→導電プレート42B→人体5→グランドGND→筐体233→中継ループアンテナ31」のループが形成される。
なお、グランドGNDである床面等の設置面は、導電性を有する部材(例えば、金属板、導電性ゴム、導電性絨毯等)が好適である。グランドGNDの安定性を向上できるので、導電プレート2と中継ループアンテナ31の端部31bとの導通性能が向上し、より安定した通信処理ができるからである。
次に、本発明を適用した第3実施形態について説明する。
第3実施形態の通信システム301は、中継通信装置330の筐体333を第1実施形態、第2実施形態から変更したものである。なお、通信方法は、第1実施形態の人体介在方式、第2実施形態の人体及びアース介在方式のいずれを用いてもよい。
図5は、第3実施形態の通信システム301の三面図である。
図5(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図5(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図5(a)のB−B部矢視断面図)、図5(c)は、正面(手前側Y1)から見た断面図(図5(a)のC−C部矢視断面図)である。
カード配置凹部334は、利用者がICカード40を挿入するための窪みである。カード配置凹部334は、筐体333の上面の手前側Y1に設けられ、上側Z2及び手前側Y1が開口している。カード配置凹部334の平面形状は、奥行方向Yの長さL32yが、ICカード40の長辺(導電プレート42A,42Bが配列されている方向の辺)の半分以下であり、また左右方向Xの長さL32xが、ICカードの短辺(導電プレート42A,42Bが配列されている方向に直交する辺)よりも少し大きい程度である。カード配置凹部の深さL32zは、ICカード40の厚みより大きい。
これにより、導電プレート42Aは、中継導電部材32に対して位置決めされ、ICカード40を挿入凹部334の奥壁に当接させても、導電プレート42Bは、中継導電部材32に対向しないので、通信システム301は、中継通信装置330及びICカード40間の通信安定性を向上できる。
次に、本発明を適用した第4実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、リーダライタの構成は、図示及び説明を適宜省略するが、前述した実施形態の構成と同様である。
第4実施形態の通信システム401A,401Bは、中継通信装置430A,430Bの筐体433A,433Bを第3実施形態から変更したものである。
図6は、第4実施形態の通信システム401Aの三面図である。
図6(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図6(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図6(a)のB−B部矢視断面図)、図6(c)は、正面(手前側Y1)から見た断面図(図6(a)のC−C部矢視断面図)である。
カード挿入スリット434Aは、利用者がICカード40を挿入するためのスリットである。カード挿入スリット434Aは、筐体433Aの手前側Y1の面に左右方向Xに延在するように設けられ、左右方向Xが開口している。
カード挿入スリット434Aの奥行方向の長さL434yは、ICカード40の長辺の半分以下であり、カード挿入スリット434Aの左右方向Xの長さL434xは、ICカード40の短辺と同程度である。
また、カード挿入スリット434Aの幅(鉛直方向の長さ)L434zは、ICカード40の厚みより少し大きい程度であり、収容しているICカード40の導電プレート42Aと、中継導電部材42との距離L1が、2mm以内を維持できるようになっている。つまり、ICカード40の上面がカード挿入スリット434Aの上側Z2の内壁434aに当接した場合であっても、中継導電部材42の上面と、導電プレート42Aの下面との距離L1が2mm以内を維持できるようになっている。
これにより、中継通信装置430A及びICカード40間の通信安定性を向上できる。
通信システム401Bは、通信システム401Aのカード挿入スリット434Aの左右方向Xを閉じて、カード挿入スリット434Aの代わりに、筐体433Bにカード挿入ポケット434Bを設けたものである。
この場合には、カード挿入ポケット434Bの左右方向Xの長さを、カードの短辺よりも少し大きい程度にすれば、左右方向Xにおいても、導電プレート42Aが中継導電部材32に対して位置決めできるので、中継通信装置430B及びICカード40間の通信安定性を一層向上できる。
次に、本発明を適用した第5実施形態について説明する。
第5実施形態の通信システム501A,501Bは、筐体533A,筐体533Bのカード挿入スリット534A,534Bを、第4実施形態のカード挿入スリット434Aよりも左右方向Xに長く形成したものである。
図8は、第5実施形態の通信システム501Aの上面図及び正面図である。
図8(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図8(b)は、正面(手前側Y1)から見た断面図(図8(a)のB−B部矢視断面図)である。
通信システム501Aの中継導電部材532Aは、カード挿入スリット534Aに対応して左右方向Xに長く形成されている。
これにより、通信システム501Aは、ICカード40をカード挿入スリット534Aに挿入した状態で左右方向Xにスライドさせることにより、ICカード40及び中継通信装置530A間で安定した通信処理をしながら、通信処理をできる。また、ICカード40をスライドさせる操作態様にできるため、必然的にスライドしている間は、通信可能な時間を確保できる。
通信システム501Bは、ICカード540Bの導電プレート542A,542Bを、導電プレート542A,542Bの短辺方向に配列したものであり、また、ICカード540Bを短辺方向が、導電プレート542A,542Bの短辺方向になるように形成されている。
また、中継導電部材532Bは、奥行方向Yの長さが導電プレート542Aの短辺に対応した大きさであり、またカード挿入スリット534Bに対応して左右方向Xに長く形成されている。
このため、ICカード540を、導電プレート542A側からカード挿入スリット534Bに挿入し、左右方向Xにスライドすることにより、通信システム501Aと同様に通信できる。
つまり、カード挿入スリット及び中継導電部材の形状は、ICカードの形態に応じて、適宜設定でき、また、ICカードの形態は、カード挿入スリット及び中継導電部材との形状に応じて適宜設定できる。
次に、本発明を適用した第6実施形態について説明する。
図10は、第6実施形態の通信システム601A〜601Cの断面図である。
図10(a)に示すように、通信システム601Aの中継導電部材632Aは、筐体633Aから突出するように設けられている。
このため、中継導電部材632Aの上面及び下面の周囲には空気のみが存在し、中継導電部材632A及び筐体633Aの静電結合を抑制できるため、通信安定性を向上できる。
これにより、中継導電部材632Cを銅箔のような薄板により形成しても、保持部材635によって中継導電部材632Cを保持できる。
次に、本発明を適用した第7実施形態について説明する。
図11は、第7実施形態の通信システム701の通信方法について説明する概念図である。
通信システム701は、中継導電部材732が2つの中継導電部材732−1,732−2から構成される。中継導電部材732−1,732−2は、表面同士が向かい合うように配置された板材である。中継ループアンテナの端部31aは、中継導電部材732−1,732−2の両方に対して、電気ケーブルにより電気的に接続されている。
そして、ICカード40が中継導電部材732−1,732−2間に挿入されることにより、導電プレート42Aが中継導電部材732−1,732−2の両方に対して静電結合するので、静電結合度が増加する。これにより、導電プレート42Aのサイズを小さくできるので、さらに安価なICカード40を提供できる。
また、ICカード40が中継導電部材732−1,732−2間内で厚み方向に移動した場合には、導電プレート42Aは、一方の中継導電部材732−1(又は732−2)との間隔が大きくなり静電結合度が減少するが、一方で、他方の中継導電部材732−2(又は732−1)との間隔が小さくなり静電結合度が増加する。このため、通信システム701は、安定した通信処理を行うことが可能となる。
なお、図11は、人体及びアース介在方式の例であるが、人体介在方式であってもよい。また、中継導電部材732は、3つ以上の中継導電部材から構成してもよく、さらに、導電性を有する部材でれば、材質、形状、厚みは限定されない。また、中継導電部材732−1,732−2は、導電性を有する板を、第6実施形態の保持部材635のような絶縁部材に貼り付けて構成してもよい。
図12(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図12(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図12(a)のB−B部矢視断面図)、図12(c)は、正面図(手前側Y1から見た図)である。
通信システム701は、前述した第5実施形態のカード挿入スリット534Aと同様なカード挿入スリット734を、2つの中継導電部材732−1,732−2により設けた。2つの中継導電部材732−1,732−2は、それぞれ、材質をアルミニウム板、5mm厚、サイズを20mm×70mmとした。
カード挿入スリット734は、左右方向Xの長さ70mm×高さ(鉛直方向Zの開口長さ)3mm×奥行(奥行方向Yの深さ)20mm×とした。
筐体733は、電気ケーブルを介してグランドGNDに接続して、中継ループアンテナ31の端部31bを、グランドGNDに接続してアース処理を施した。
また、2つの中継導電部材732−1,732−2は、第6実施形態と同様に、筐体733から突出するように配置した。
中継ループアンテナ31は、配線材質を銅箔35μm厚とし、サイズを40mm×40mmとした。また、中継ループアンテナ31及びR/Wループアンテナ21aを向かい合うように配置して、両者の間隔L31を5mmとした。
上記構成の通信システム701を用いて、ICカード40をカード挿入スリット734に挿入して、左右方向Xに手動でスライドして通過させて、ICカード40を正常に認証処理できることを確認した。またこのとき、ICカード40を素手で把持した場合、手袋をはめて把持した場合の両方について、正常に認証処理できた。
さらに、ICカード40をカード挿入スリット734の奥まで挿入した場合、奥から10mm手前まで挿入した場合の両方について、正常に認証処理できた。
次に、本発明を適用した第8実施形態について説明する。
第8実施形態の通信システムは、店舗等で利用される電子マネーに係るレジスタシステム801である。また、以下の説明において、レジスタシステム801は、人体介在方式を利用した例を説明するが、人体及びアース介在方式を利用してもよい。
図13は、第8実施形態のレジスタシステム801のブロック図である。
レジスタシステム801は、サーバ802及び複数の電磁誘導レジスタ803が接続された従来のシステムに、さらに、中継レジスタ810がサーバ802に接続されて構成される。レジスタシステム801で用いられるICカードは、ICチップが内蔵されたICカード4,40である。
サーバ記憶部802aは、サーバ802の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
サーバ記憶部802aは、例えば、ICカード4,40の情報(残金、利用者の氏名等)を記憶する。サーバ記憶部802aの情報は、ICカード4,40の情報を更新する場合(残金の補充等)に適宜参照される。
サーバ制御部802bは、サーバ802を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。サーバ制御部802bは、サーバ記憶部802aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して処理を実行する。
電磁誘導レジスタ803は、従来の電磁誘導方式のリーダライタが設けられたレジスタであり、電磁誘導方式のICカード4との間で、情報の送受信をすることができる。
なお、レジスタシステム801は、電磁誘導レジスタ803を利用せずに、複数の中継レジスタ810のみから構成してもよい。また中継レジスタ810は、従来の電磁誘導レジスタ820を利用するものではなく、新たに専用に設けた装置でもよい。
図14は、第8実施形態の中継レジスタ810の斜視図(図14(a))、中継通信装置830近傍の拡大図(図14(b))である。
中継レジスタ810は、従来の電磁誘導レジスタ820と、電磁誘導レジスタ820に載置された中継通信装置830とを備える。
電磁誘導レジスタ820は、リーダライタ21、操作部822、表示部823を備える。
リーダライタ21は、電磁誘導レジスタ820の筐体上部に電磁誘導レジスタ820に一体的に組み込まれている。なお、リーダライタ21は、電磁誘導レジスタ820に対して電気ケーブル等によって接続してもよい。
表示部823は、操作画面を出力する液晶表示装置等の表示装置である。
カード配置凹部834は、筐体833の上面の手前側Y1に設けられ、上側Z2及び手前側Y1が開口している。
電磁誘導レジスタ820は、レジスタ記憶部826、レジスタ制御部827(通信結果判定制御部)を備える。
レジスタ記憶部826は、電磁誘導レジスタ820の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
レジスタ制御部827は、電磁誘導レジスタ820を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。レジスタ制御部827は、レジスタ記憶部826に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
なお、電磁誘導レジスタ820は、電磁誘導レジスタ803と同様な構成であるので、レジスタ記憶部826、レジスタ制御部827は、電磁誘導レジスタ803に設けられている記憶部、制御部(図示せず)と、基本的な構成が同様である。
ICチップ記憶部41aは、ICカード40の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための記憶回路である。ICチップ記憶部41aは、例えば、ICカード40の所有者の名前、残金等を記憶する。
ICチップ制御部41bは、ICカード40を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。ICチップ制御部41bは、ICチップ記憶部41aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本発明に係る各種機能を実現している。
アナログ回路部41cは、整流回路、変調回路、復調回路、CLK抽出回路により構成されており、ICチップ入出力端子を介して入力された信号よりAD変換、クロック生成を行い、ICチップ制御部41bへの電圧供給、クロック供給、データ入出力を行う。
図15は、第8実施形態の中継レジスタ810の動作のフローチャートである。
S1において、利用者が買物を終了すると、店舗の店員等が中継レジの操作部822を操作して、料金を算出する。算出した料金は、表示部823に表示される。
S2において、利用者がICカード40の導電プレート42B側を手に持って(把持して)、導電プレート42A側をカード配置凹部834に挿入すると、導電プレート42A及び中継導電部材32が静電結合する。
S3において、レジスタ制御部827は、ICカード40との通信を開始する。なお、レジスタ制御部827は、ポーリングコマンドを継続して送信しており、ICカード40がカード配置凹部834に挿入されることによって、ICカード40の応答を得て、ICカード40との通信処理を開始する。
次に、本発明を適用した第9実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第8実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第9実施形態の通信システムは、室内へ入室する扉6(図17参照)の施錠の開閉を制御する施錠システム901である。また、以下の説明において、施錠システム901は、人体及びアース介在方式を利用した例を説明するが、人体介在方式を利用してもよい。
施錠システム901は、サーバ902及び複数の電磁誘導施錠装置903が接続された従来のシステムに、中継施錠装置910がサーバ902に接続されて構成される。施錠システム901で用いられるICカードは、ICチップが内蔵されたICカード4,40(情報記憶媒体)である。ICカード4,40は、例えば社員証と兼用したものであり、各利用者(従業員等)が携行している。ICカード4,40の記憶部は、各利用者にそれぞれ付与された識別番号を記憶している。
サーバ902は、サーバ記憶部902a、サーバ制御部902bを備える。
サーバ記憶部902aは、全ての利用者の識別番号を記憶している。
サーバ制御部902bは、サーバ902を統括的に制御するための制御部である。
電磁誘導施錠装置903は、従来の電磁誘導方式のリーダライタが設けられた施錠装置であり、電磁誘導方式のICカード4との間で、情報の送受信をすることができる。
図18は、第9実施形態の中継施錠装置910の三面図である。
図18(a)は、中継施錠装置910の正面図(手前側Y1から見た図)、図18(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図18(a)のB−B部矢視断面図)、図18(c)は、下側Z1から見た断面図(図18(a)のC−C部矢視断面図)である。
中継施錠装置910は、従来の電磁誘導施錠装置920、中継通信装置930を備える。
電磁誘導施錠装置920は、リーダライタ21、施錠駆動部922を備える。
リーダライタ21は、制御部を備えずに、R/Wループアンテナ21aが直接、電磁誘導施錠装置920の施錠装置制御部927に接続されている。
施錠駆動部922は、扉6の施錠装置の駆動装置である。施錠駆動部922は、モータ、レバー等を備えており、これらを駆動して、扉6の施錠及びその解除を行う。
筐体933は、第5実施形態と同様なカード挿入スリット934を備えている。カード挿入スリット934は、筐体933の手前側Y1の面に、鉛直方向Zに延在するように設けられている。利用者は、ICカード40を導電プレート42A側からカード挿入スリット934に挿入した状態で、鉛直方向Zにスライドできるようになっている。
図19は、第9実施形態の中継施錠装置910の動作のフローチャートである。
S101において、利用者が床面7bに位置し、ICカード40の導電プレート42B側を手5bに持って(把持して)、導電プレート42A側をカード挿入スリット934に挿入すると、導電プレート42B及び手5bが静電結合する。
また、壁部7a及び床面7bは、連続しているので、グランドGNDとして機能する。このため、「中継ループアンテナ31→中継導電部材32→導電プレート42A→ICチップ41→導電プレート42B→人体5→壁部7a及び床面7b(グランドGND)→筐体933→中継ループアンテナ31」のループが形成される。
これにより、導電プレート42B及び中継ループアンテナ31の端部31bが人体及びアース介在方式によって接続され、中継通信装置930及びICカード40間が接続される。
そして、ICカード40がカード挿入スリット934を通り抜けることにより、導電プレート42A及び中継導電部材32が静電結合方式による結合が切断される(S109)。
S103において、施錠装置制御部927は、識別番号をサーバ902に送信する。
S104において、サーバ制御部902bは、施錠装置制御部927から送信された識別番号が、サーバ記憶部902aに存在するかを判定して、S105において、その判定結果を中継施錠装置910に送信する。
一方、施錠装置制御部927は、サーバ902から送信された判定結果が、サーバ記憶部902aに利用者の識別番号が存在しないものであった場合には(S106:NO)、施錠駆動部922を開駆動することなく、処理を終了し(S108)、扉6の施錠状態を維持する。この場合、利用者は、扉6を開くことができず、入室することはできない。
次に、本発明を適用した第10実施形態について説明する。
図20は、第10実施形態の通信システム1001の通信方法を説明する斜視図である。
本実施形態のICカード1040は、人体5に静電結合する導電プレート1042Bの大きさが、中継導電部材32に静電結合する導電プレート1042Aよりも小さい。導電プレート1042Bは、導電プレート1042Aよりも小さくても、手5a(人体5)に静電結合できるためである。これにより、通信システム1001は、ICカード1040をより小さくできるので、より低コストにシステムを構築できる。
(1)実施形態において、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁誘導方式により通信する例を示したが、これに限定されない。例えば、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁結合方式によって通信してもよい。この場合には、ICカードに設けるICチップを、電磁結合方式によって通信できるタイプにすればよい。
また、第2実施形態の人体及びアース介在方式についても、同様に構成を変更して、通信処理できる。
5 人体
21 リーダライタ
21a R/Wループアンテナ
27 制御部
30,230,330,430A,430B,830,930 中継通信装置
31 中継ループアンテナ
32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2 中継導電部材
33,233,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C,733,833,933 筐体
40,540B,1040 ICカード
41 ICチップ
42A,42B,542A,542B,1042A,1042B 導電プレート
334,834 カード配置凹部
434A,534A,534B,934 カード挿入スリット
434B,634B カード挿入ポケット
634B,634C ポケット
635 保持部材
801 レジスタシステム
810 中継レジスタ
820 電磁誘導レジスタ
827 レジスタ制御部
901 施錠システム
910 中継施錠装置
920 電磁誘導施錠装置
927 施錠装置制御部
Claims (17)
- 情報記憶媒体と電磁誘導通信装置との間に中継通信装置を介在させ、前記情報記憶媒体と前記電磁誘導通信装置との間で通信する通信システムであって、
前記情報記憶媒体は、
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと、
前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、
前記中継通信装置は、
中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、導電性を有する中継導電部材と、
前記中継ループアンテナの他端に接続され、前記情報記憶媒体の利用者の人体の一部が接触可能な中継筐体とを備え、
前記電磁誘導通信装置は、
前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する通信装置側ループアンテナと、
通信処理をする制御部とを備え、
前記制御部は、
前記通信装置側ループアンテナが、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信し、
前記中継ループアンテナの一端に接続された前記中継導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合し、
前記中継ループアンテナの他端に接続された前記中継筐体が、前記利用者の人体に静電結合又は導通し、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、
前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、
を特徴とする通信システム。 - 情報記憶媒体と電磁誘導通信装置との間に中継通信装置を介在させ、前記情報記憶媒体と前記電磁誘導通信装置との間で通信する通信システムであって、
前記情報記憶媒体は、
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと、
前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、
前記中継通信装置は、
中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、導電性を有する中継導電部材とを備え、
前記中継ループアンテナの他端がアースに接続され、
前記電磁誘導通信装置は、
前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する通信装置側ループアンテナと、
通信処理をする制御部とを備え、
前記制御部は、
前記通信装置側ループアンテナが、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信し、
前記中継ループアンテナの一端に接続された前記中継導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合し、
前記中継ループアンテナの他端が、前記アースに接続され、
利用者の人体が前記アースに接続され、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、
前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、
を特徴とする通信システム。 - 電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続され導電性を有する一対の導電プレートとを備える情報記憶媒体と、電磁誘導通信装置との間に介在する中継通信装置であって、
前記電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合する中継導電部材と、
前記中継ループアンテナの他端に接続され、利用者の人体に静電結合又は導通し、前記情報記憶媒体の前記利用者の人体の一部が接触可能な中継筐体とを備え、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、
を特徴とする中継通信装置。 - 電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続され導電性を有する一対の導電プレートとを備える情報記憶媒体と、電磁誘導通信装置との間に介在する中継通信装置であって、
前記電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合する中継導電部材と、
この中継通信装置のケース部材である中継筐体とを備え、
前記中継ループアンテナの他端がアースに接続され、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、
を特徴とする中継通信装置。 - 電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナと、
中継ループアンテナの一端に接続され、情報記憶媒体の一対の導電プレートのうち一方に静電結合する中継導電部材と、
前記中継ループアンテナの他端に接続され、利用者の人体に静電結合又は導通し、前記情報記憶媒体の前記利用者の人体の一部が接触可能な中継筐体とを備え、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、
を特徴とする中継通信装置。 - 電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、情報記憶媒体の一対の導電プレートのうち一方に静電結合する中継導電部材と、
この中継通信装置のケース部材である中継筐体とを備え、
前記中継ループアンテナの他端がアースに接続され、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記中継導電部材は、前記中継ループアンテナを介してのみ前記中継筐体に対して電気的に接続されていること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記中継導電部材は、前記中継筐体から突出するように設けられていること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項3から請求項8までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記中継筐体に設けられ、前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに対応した領域を挿入可能な凹部、スリット又はポケットを備え、
前記中継導電部材は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合すること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項9に記載の中継通信装置において、
前記凹部、前記スリット又は前記ポケットは、挿入された前記情報記憶媒体を、前記中継導電部材に対して位置決めし、
前記凹部、前記スリット又は前記ポケットは、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートと同等以下の奥行を有しており、
前記中継導電部材は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに対応した大きさであること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項9又は請求項10に記載の中継通信装置において、
前記スリットは、前記情報記憶媒体における前記一方の前記導電プレートに対応した領域を挿入した状態のまま、スライド可能な大きさであり、
前記中継導電部材は、スライドしている前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに静電結合可能な大きさであること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記情報記憶媒体は、前記一対の導電プレートが同等の大きさであり、かつ前記一対の導電プレートが前記情報記憶媒体の中心線に対して対称に配置されており、
前記情報記憶媒体の挿入方向において、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットの大きさは、前記情報記憶媒体をいずれの前記導電プレート側から挿入しても、挿入された前記導電プレートに対応した範囲まで挿入する長さであること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記情報記憶媒体は、前記人体に静電結合又は導通する前記他方の導電プレート大きさが、前記中継導電部材に静電結合する前記一方の導電プレートよりも小さいこと、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項3から請求項13までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記情報記憶媒体を挟みこむように配置され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートの両面から同時に静電結合する少なくとも2つの中継導電部材を備えること、
を特徴とする中継通信装置。 - 請求項3から請求項14までのいずれか1項に記載の前記電磁誘導通信装置と、
請求項3から請求項14までのいずれか1項に記載の前記中継通信装置と、
を備える中継通信装置及び電磁誘導通信装置の組み合わせ。 - 請求項1又は請求項2に記載の通信システムに使用され、
前記通信装置側ループアンテナと、前記制御部とを備えること、
を特徴とする電磁誘導通信装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の通信システムに使用され、
前記ICチップと、前記一対の導電プレートとを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体。
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