JP5812101B2 - 燃料電池用膜・電極接合体 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜への導電性ナノ柱状体の埋め込みを防ぎ、触媒を有効に利用できる燃料電池用膜・電極接合体に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
燃料電池のアノード及びカソードにおける電気化学的な反応は、燃料ガス及び酸化剤ガス等の気体が、導電体である担体に担持された触媒粒子及びイオン伝導路を確保する高分子電解質との接面である三相界面まで導入されることにより進行する。
アノード側触媒層及びカソード側触媒層における電極反応は、カーボンブラック等のカーボン粒子に担持させる触媒の量が多い方が活発となり、電池の発電性能が上がる。しかしながら、燃料電池に使用される触媒は白金等の貴金属であるため、触媒の担持量を増やすと燃料電池の製造コストが増大するという問題がある。
また、カーボン粒子に触媒を担持させた反応電極では、カーボン粒子間、及び、カーボン粒子と集電体であるセパレータとの間において電子伝導の損失が生じる。この電子の損失は、発電性能を頭打ちにする原因の一つとされている。
そこで、このような製造コスト及び電子の損失の問題点を回避する技術として、カーボンナノチューブ(以下、CNTと称する場合がある。)を電極に用いた燃料電池が提案されている。CNTを用いた電極は電気的抵抗が低いため、カーボン粒子に触媒を担持させる場合と比較して電子の損失は抑制され、発電効率が向上すること、及び担持された高価な貴金属触媒の電極反応への有効利用を目的としている。
上記利点から、CNTを用いた電極の技術開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1には、基板の表面に対して垂直に配向するとともに、所定の波長の波型形状を有する複数のCNTを基板上に成長させるCNT成長工程、複数のCNTに触媒金属塩溶液を滴下して乾燥・焼成還元することにより、複数のCNTに触媒金属を担持させる触媒金属担持工程、及び、触媒金属を担持した複数のCNTにアイオノマ分散溶液を滴下して乾燥させることにより、触媒金属を担持した複数のCNTの表面をアイオノマによって被覆するアイオノマ被覆工程を備える、燃料電池用膜電極接合体に用いられる触媒電極の製造方法が開示されている。
一方、CNTを用いた電極の技術とは別に、補強材を含む電解質膜を設けることにより電解質膜の伸長収縮により生じるストレスを緩和する技術が知られている。特許文献2には、固体高分子電解質膜が、カソード電極側に配置されたカソード側電解質膜と、アノード電極側に配置されたアノード側電解質膜とを接合して構成されており、カソード側電解質膜が補強材を含むイオン交換樹脂であり、アノード側電解質膜は、補強材を含まないか、又はカソード側電解質膜よりも補強材の含有量が少ないイオン交換樹脂であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用膜電極接合体が開示されている。
特開2010−272437号公報 特開2009−070675号公報
特許文献1には、基板上に製造されたCNT電極を、電解質膜の表面に転写する旨が記載されている(特許文献1の請求項4)。しかし、本発明者らが特許文献1に開示されたCNT電極の製造方法について検討したところ、CNTを電解質膜に転写する際にCNTの先端が電解質膜に埋め込まれることにより、CNTに担持された触媒金属の利用率が低下する問題が生じることが明らかとなった。
特許文献2の明細書の段落[0012]には、カソード電極側とアノード電極側にそれぞれ異なるイオン交換樹脂を含む電解質膜を用いることにより、乾燥湿潤に起因する電解質膜の伸長伸縮により生じるストレスを緩和し、電解質膜の薄膜化による劣化を防止できる旨が記載されている。
しかし、特許文献2に記載されたようなカーボン担体を用いた従来の電極は空隙率が低く、触媒層内の電極材料が湿潤時に流動するため、触媒層の伸長収縮が生じる。一方、CNT電極は空隙率が高いため、乾燥湿潤による電解質膜の伸長収縮は起こらない。したがって、CNT電極は電解質膜の膨潤を抑制する働きを本来有すると考えられることから、CNT電極の技術と、特許文献2に記載されたような電解質膜に関する技術とを単に組み合わせたのみでは、特許文献2に記載された作用がCNT電極では起こりにくいため、CNT電極が本来有する電解質膜の伸長収縮抑制の効果以上の効果は期待できない。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、カーボンナノチューブ等の導電性ナノ柱状体の電解質膜への埋め込みを防ぎ、触媒を有効に利用できる燃料電池用膜・電極接合体を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体は、少なくとも、電解質膜、並びに、当該電解質膜の少なくとも一方の面に配設され且つ当該電解質膜の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体、及び当該導電性ナノ柱状体に担持された触媒を備える少なくとも1つの電極、を備える燃料電池用膜・電極接合体であって、前記電解質膜は、少なくとも1つのプロトン伝導層、及び少なくとも1つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、プロトン伝導性電解質樹脂、及び、当該プロトン伝導性電解質樹脂よりも硬質な多孔質樹脂を含有し、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占めることを特徴とする。
本発明においては、少なくとも、前記電解質膜、及び、1つの前記電極を備え、前記電解質膜は、1つの前記プロトン伝導層、及び1つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電極と前記電解質膜との界面に設けられ、前記プロトン伝導層は、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層を挟んで前記電極の反対側に設けられていてもよい。
本発明においては、少なくとも、前記電解質膜、及び、1つの前記電極を備え、前記電解質膜は、2つの前記プロトン伝導層、及び1つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、2つの前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占めていてもよい。
本発明においては、少なくとも、前記電解質膜、及び、2つの前記電極を備え、前記電解質膜は、1つの前記プロトン伝導層、及び2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜と一方の前記電極との界面、及び、前記電解質膜と他方の前記電極との界面にそれぞれ設けられ、前記プロトン伝導層は、2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層により挟持されていてもよい。
本発明においては、少なくとも、前記電解質膜、及び、2つの前記電極を備え、前記電解質膜は、2つの前記プロトン伝導層、及び2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、一方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、一方の前記電極と前記電解質膜との界面に設けられ、他方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、他方の前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、2つの前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占めていてもよい。
本発明においては、少なくとも、前記電解質膜、及び、2つの前記電極を備え、前記電解質膜は、3つの前記プロトン伝導層、及び2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、一方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、一方の前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、他方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、他方の前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、3つの前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占めていてもよい。
本発明においては、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の厚さは1〜10μmであることが好ましい。
本発明においては、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の目付量は0.05〜1.0mg/cmであることが好ましい。
本発明においては、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の全体積を100体積%としたときの、前記プロトン伝導性電解質樹脂の体積が10〜90体積%であることが好ましい。
本発明においては、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電極との界面から前記電解質膜の厚さ方向に向かって0〜5μmまでの厚さの部分に設けられていることが好ましい。
本発明においては、前記導電性ナノ柱状体はカーボンナノチューブであることが好ましい。
本発明においては、カソード電極が前記導電性ナノ柱状体を含むことが好ましい。
本発明においては、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の空隙率が50%以上であり、且つ、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の厚さと目付量との積が1.8×10−4mg/cm以下であることが好ましい。
本発明によれば、電解質膜の内部又は表面に導電性ナノ柱状体埋め込み防止層を設けることにより、転写時において導電性ナノ柱状体が電解質膜に埋没しにくくなる結果、導電性ナノ柱状体に担持された触媒のほぼ全量を電極反応に有効に活用することができる。
本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第1の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第2の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第3の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第4の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第5の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 実施例6の膜・電極接合体の積層方向に切断した断面のSEM画像である。 実施例6及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。 実施例6及び比較例1の面積抵抗(mΩ・cm)又は短絡抵抗(Ω)を比較した棒グラフである。 実施例1及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。 実施例1及び比較例1の膜・電極接合体の、電流密度が2.0A/cmにおける面積抵抗を比較した棒グラフである。 実施例2、実施例3、及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。 実施例4−実施例6、及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。 参考例2、参考例3、及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。 CNT電極を用いた従来の膜・電極接合体の断面模式図である。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体は、少なくとも、電解質膜、並びに、当該電解質膜の少なくとも一方の面に配設され且つ当該電解質膜の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体、及び当該導電性ナノ柱状体に担持された触媒を備える少なくとも1つの電極、を備える燃料電池用膜・電極接合体であって、前記電解質膜は、少なくとも1つのプロトン伝導層、及び少なくとも1つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占めることを特徴とする。
CNT電極において、白金利用率が減少する原因としては、主に、(1)アイオノマがCNTに被覆されていないことによるプロトン伝導路の欠落、(2)CNT電極と多孔質層等との接触不良による導電経路の切断、及び(3)電解質膜に触媒金属が埋没することによる触媒金属へのガス伝導路の切断の3つが考えられる。
上述したように、基材表面に成長させたCNT電極を電解質膜に転写し、燃料電池用膜・電極接合体を製造する方法については、盛んに研究開発が行われている。しかし、従来は、上記(3)の原因、特に、転写時に触媒が担持されたCNTを電解質膜中に埋め込むデメリットについては着目されていなかった。むしろ、転写性を良好にし、電解質膜とCNT電極との界面の抵抗を低減するために、従来は、CNTを電解質膜に埋め込む方が好ましいと考えられていた。
図14は、CNT電極を用いた従来の膜・電極接合体の断面模式図である。電解質膜1には、CNT2aが略垂直方向に配向している。CNT2aには、触媒3が担持され、且つ、電解質樹脂4が被覆しており、CNT2a、触媒3、及び電解質樹脂4により触媒層5が形成されている。従来の膜・電極接合体600は、触媒層5を挟んで電解質膜1と反対側に多孔質層6及びガス拡散層7を順に備える。
従来の膜・電極接合体600においては、触媒層の一部5aが電解質膜1に埋め込まれている。これにより、電解質膜側のCNT2aの先端と、触媒3の一部が電解質膜1中に埋没している。
本発明者らは、熱転写の際に、CNTの先端が1〜2μm程度電解質膜に埋め込まれ、CNTに担持された触媒が一部電解質膜に埋没することにより、埋没した触媒に燃料ガス又は酸化剤ガスが到達しない結果、当該埋没した触媒が電極反応に関与できず、触媒活性が3割程度低減する課題を発見した。本発明者らは、鋭意努力の結果、電解質膜の内部又は表面にCNT等の導電性ナノ柱状体の埋め込みを防止する層を設けることにより、当該課題を解決し、白金等の触媒利用率が向上することを見出し、本発明を完成させた。
CNTにより電解質膜への埋め込みが発生するメカニズムについて、球状カーボンを用いた従来の電極と比較しながら、以下に説明する。
球状カーボンを用いた従来の電極の製造方法としては、白金が担持された球状カーボンとアイオノマのインクをペースト状にして電解質膜に転写する方法、当該インクを電解質膜に直接スプレーする方法、当該インクを電解質膜にダイ塗工する方法等が例示できる。製造された電極中の触媒層の固形分比は約40〜50%程度である。したがって、転写時における電解質膜と触媒層との接触面積は比較的大きいため転写時の局所面圧が小さく、球状カーボンは電解質膜に埋め込まれにくい。
一方、CNT電極は、20nm程度の細いCNTの集合構造体にアイオノマが付着した構造であり、固形分比が約20%以下である。さらに、CNTの先端は20nm程度と細いため、電解質膜に転写する際のCNTの有効接地面積は小さく、転写時の局所面圧が、球状カーボンを用いた従来の電極を転写する際の局所面圧よりも大きい。そのため、球状カーボンを用いた電極の製造方法と同じ転写圧力でも、CNTは電解質膜に埋め込まれやすい。
上記課題を解決するために、面圧、温度、時間等の転写条件を最適化することが考えられる。しかし、転写温度及び圧力の条件範囲は非常に狭く、一般性に乏しい。また、転写温度を上げると転写性は向上するものの、電解質膜が変質したり、電解質膜に埋没する白金量が増えたりするおそれがある。一方、転写圧力を上げると転写性は向上するものの、触媒層の空隙が減って電極反応が進行する三相界面が減ったり、電解質膜に埋没する白金量が増えたりするおそれがある。
このように、常に背反が生じるため転写温度及び圧力の最適化が困難であることから、本発明者らは、抜本的な改善策として、電解質膜の内部又は表面に、導電性ナノ柱状体の埋め込みを防止するための層を設けることに着想した。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体は、少なくとも、電解質膜及び電極を備える。以下、本発明に用いられるこれらの電池部材について順に説明する。
1.電解質膜
本発明に用いられる電解質膜は、少なくとも1つのプロトン伝導層、及び少なくとも1つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなる。本発明に用いられる電解質膜は、プロトン伝導層及び導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が積層してなる膜である。
以下、プロトン伝導層及び導電性ナノ柱状体埋め込み防止層について順に説明する。
1−1.プロトン伝導層 本発明に用いられる電解質膜中のプロトン伝導層は、燃料電池において使用できるプロトン伝導性電解質を含んでいれば特に限定されない。プロトン伝導層に用いられるプロトン伝導性電解質としては、例えば、燃料電池において使用されるプロトン伝導性高分子電解質であり、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質等が挙げられる。
プロトン伝導層は、電解質膜中において、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占める。すなわち、電解質膜において、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層でない部分は全てプロトン伝導層である。
1−2.導電性ナノ柱状体埋め込み防止層
導電性ナノ柱状体埋め込み防止層(以下、埋め込み防止層と称する場合がある。)とは、導電性ナノ柱状体を電解質膜へ転写する際に、導電性ナノ柱状体の一部が電解質膜内部に埋め込まれるのを防止する働きを有する層である。埋め込み防止層の具体的な物性は、導電性ナノ柱状体表面の触媒までプロトン伝導路を確保できるプロトン伝導性と、電解質膜内部への導電性ナノ柱状体の埋め込みを防止できる機械的強度との背反(トレードオフ)により決定される。
埋め込み防止層は、プロトン伝導性電解質樹脂、及び、当該プロトン伝導性電解質樹脂よりも硬質な多孔質樹脂を含有することが好ましい。この態様においては、プロトン伝導性電解質樹脂が主にプロトン伝導性を司り、上記硬質な多孔質樹脂が主に機械的強度を司る。したがって、埋め込み防止層中のプロトン伝導性電解質樹脂と多孔質樹脂の含有割合を決定することにより、埋め込み防止層の最適な物性が決まる。
埋め込み防止層は、上記硬質な多孔質樹脂を基材として、当該基材にプロトン伝導性電解質樹脂を配合する層であってもよいし、プロトン伝導性電解質樹脂を基材として、当該基材に上述したより硬質な多孔質樹脂を配合する層であってもよい。
埋め込み防止層に使用できるプロトン伝導性電解質樹脂としては、上述したプロトン伝導層に用いられるプロトン伝導性電解質と同様のものが使用できる。プロトン伝導性電解質樹脂のイオン交換量は、IEC 1.0meq/g以上であることが好ましく、IEC 1.35meq/g以上であることがより好ましく、IEC 1.5meq/g以上であることがさらに好ましい。また、IEC 2.2meq/g以下であってもよい。
本発明でいう「硬質」とは、硬度が高い性質のことを指す。ここで、「硬度」とは、機械的強度のことを指す。したがって、いわゆるモース硬度やビッカース硬度等の、一般的に硬度(いわゆるひっかき強度)として知られるものに限らず、破壊強度(破壊エネルギー)やせん断応力、降伏応力等も、ここでいう「硬度」に含まれる。
本発明における硬度の指標としては、例えば、上述したモース硬度が挙げられる。下記表1は、モース硬度と、対応する代表的な材料の種類を列挙した表である。例えば、モース硬度2の欄に記載されたPTFEは、モース硬度2の標準物質である石膏によりひっかくと傷がつかず、モース硬度3の標準物質である方解石によりひっかくと傷がつく。
Figure 0005812101
上記表1によれば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のモース硬度は1.0〜1.9である。したがって、埋め込み防止層に使用できる多孔質樹脂のモース硬度は1.9よりも高いことが好ましい。例えば、PTFEのモース硬度は2であるため、PTFE多孔質樹脂とパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の組み合わせは、本発明の埋め込み防止層に用いる材料の組み合わせとして好ましい。
本発明に使用できる硬質な多孔質樹脂としては、PTFEの他に、ポリオレフィン樹脂、強度及び形状安定性に優れたフッ素系樹脂であるポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリブロモトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−ブロモトリフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
また、本発明に用いられる硬質な多孔質樹脂は、延伸多孔質膜であることが好ましい。
多孔質樹脂を基材とし、当該多孔質樹脂の細孔にプロトン伝導性電解質樹脂を導入して埋め込み防止層を形成する場合、埋め込み防止層中のプロトン伝導性電解質樹脂と多孔質樹脂の含有割合は、例えば、多孔質樹脂中の空隙率によって決まる。多孔質樹脂の空隙率は、空隙中のプロトン伝導性電解質樹脂の充填率に相当するからである。
多孔質樹脂の材料を具体的に決定し、所望の埋め込み防止層の目付量と厚さを決めることにより、空隙率、すなわち、プロトン伝導性電解質樹脂の充填率は自動的に決まる。
本発明者らは、埋め込み防止層の物性を探索するうちに、埋め込み防止層の空隙率、厚さ、及び目付量を調節することにより、膜・電極接合体の出力性能を向上させることが可能となることを見出した。埋め込み防止層のこれらの物性を変えることによって、埋め込み防止層の水蒸気交換機能及びプロトン伝導度を調節することができ、さらに、埋め込み防止層へのCNTの転写不良を防ぐことができる。
下記表2は、比重が約2.2g/cmのPTFE延伸多孔質膜を含み、0.05〜1.0mg/cmの範囲の目付量、及び、1〜10μmの範囲の厚さを有する埋め込み防止層について、各空隙率をまとめた表である。なお、下記表2中にハイフンで示した欄は、目付量が高すぎるため空隙が無いことを示す。
Figure 0005812101
上述したように、上記表2に記載された空隙率は、プロトン伝導性電解質樹脂の充填率に相当する。したがって、プロトン伝導性の観点から、埋め込み防止層の全体積を100体積%としたときのプロトン伝導性電解質樹脂の体積、すなわちプロトン伝導性電解質樹脂の充填率は、10〜90体積%であることが好ましい。この場合、埋め込み防止層の空隙率も10〜90体積%となる。当該充填率が10体積%未満である場合(すなわち、埋め込み防止層の空隙率が10体積%未満である場合)には、電解質膜と導電性ナノ柱状体との間のプロトン伝導性に支障が生じるおそれがある。一方、当該充填率が90体積%を超える場合(すなわち、埋め込み防止層の空隙率が90体積%を超える場合)には、プロトン伝導性向上の背反として、埋め込み防止層の機械的強度に劣るおそれがある。
埋め込み防止層の空隙率は50体積%以上であることがより好ましく、60体積%以上であることがさらに好ましい。
上記表2から分かるように、少なくともPTFE延伸多孔質膜を用いた場合、目付量は0.05〜1.0mg/cm、厚さは1〜10μmであることが機械的強度の観点から好ましい。埋め込み防止層の目付量が0.05mg/cm未満、又は、厚さが1μm未満である場合には、機械的強度が弱すぎるため、転写の際に導電性ナノ柱状体が埋め込み防止層を貫通して電解質膜に埋め込まれるおそれがある。一方、埋め込み防止層の目付量が1.0mg/cmを超える場合には、埋め込み防止層と導電性ナノ柱状体との界面の密着性が損なわれるおそれがある。また、埋め込み防止層の厚さが10μmを超える場合には、電解質膜と導電性ナノ柱状体との間のプロトン伝導性に支障が生じるおそれがある。
埋め込み防止層の厚さと埋め込み防止層の目付量との積(以下、「埋め込み防止層の厚さ×目付量の値」と称する場合がある。)が、1.8×10−4mg/cm以下であることが好ましい。埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、埋め込み防止層のプロトン伝導性の尺度の1つであり、この値が小さいほどプロトン伝導性に優れることとなる。すなわち、埋め込み防止層の目付量が等しい場合には、埋め込み防止層の厚さが薄いほど、プロトン伝導性に優れることとなる。また、埋め込み防止層の厚さが等しい場合には、埋め込み防止層の目付量が少ないほど、プロトン伝導性に優れることとなる。埋め込み防止層の厚さ×目付量の値が1.8×10−4mg/cmを超える場合には、埋め込み防止層がプロトン伝導性に劣り、膜・電極接合体の出力性能が低下するおそれがある。
埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は1.2×10−4mg/cm以下であることがより好ましく、1.0×10−4mg/cm以下であることがさらに好ましい。また、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は0.5×10−5mg/cm以上であってもよく、1.0×10−5mg/cm以上であってもよい。
本発明においては、埋め込み防止層の空隙率が50%以上であり、且つ、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値が1.8×10−4mg/cm以下であることがより好ましい。
下記表3は、埋め込み防止層の厚さ及び目付量を決定したときの物性を5段階で示したものである。太枠部は、実施例1−実施例6及び参考例1−参考例3に使用された埋め込み防止層の物性を示す。
各記号の意味は以下の通りである。
◎:空隙率が60%以上80%未満の範囲内
○:空隙率が80%以上99%以下の範囲内
□:空隙率が50%以上60%未満の範囲内
△:埋め込み防止層の厚さ×目付量の値が1.8×10−4mg/cm以上の範囲
▲:空隙率が0以上50%以下の範囲内
Figure 0005812101
後述する実施例において示すように、埋め込み防止層の空隙率を50%以上60%未満の範囲内に収めた場合(実施例2−実施例3、表3中の□)、0.6Vにおける電流密度が1.9mA/cm以上と、出力性能を高く維持できることが明らかとなった。これは、埋め込み防止層の空隙率をできるだけ低くし、且つ、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値を低くすることにより、埋め込み防止層におけるプロトン伝導性が向上するためであると考えられる。しかし、埋め込み防止層の空隙率を50%以上60%未満の範囲内とした場合、空隙率が低いため、電極間における水蒸気交換能が低下するおそれがある。
後述する実施例において示すように、埋め込み防止層の空隙率を80%以上99%以下の範囲内に収めた場合(参考例2−参考例3、表3中の○)、0.6Vにおける電流密度が2.1mA/cm以上と、出力性能を高く維持できることが明らかとなった。これは、埋め込み防止層の空隙率をできるだけ高くすることにより、電極間における水蒸気交換能が向上するためであると考えられる。しかし、埋め込み防止層の空隙率を80%以上99%以下の範囲内とした場合、空隙率が高いため、CNTに対する電解質膜への埋め込み防止効果が低くなるおそれがある。
後述する実施例において示すように、埋め込み防止層の空隙率を60%以上80%未満の範囲内に収めた場合(実施例4−実施例6、表3中の◎)、0.6Vにおける電流密度が2.3mA/cm以上と、出力性能をより高く維持できることが明らかとなった。これは、埋め込み防止層の空隙率がほど良い高さのため、電解質膜にCNTが埋め込まれることを防ぎ、電解質膜中に埋没する電極触媒の量を低減できる効果、電極間における水蒸気交換能を高く維持できる効果、及びCNTが良好に転写される効果をいずれも両立できるためであると考えられる。
埋め込み防止層の空隙率を60%以上80%未満の範囲内とした場合には、電解質膜のプロトン伝導性を高めることにより、より出力性能を向上させることができる。
なお、後述する実施例において示すように、空隙率を0以上50%以下の範囲内とした場合(参考例1、表3中の▲)、埋め込み防止層上へのCNTの転写に若干のムラが生じる場合がある。
また、後述する実施例において示すように、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値が1.8×10−4mg/cm以上の場合(実施例1、表3中の△)、プロトン伝導性に劣る場合がある。
2.導電性ナノ柱状体及び触媒を備える電極
本発明に用いられる導電性ナノ柱状体とは、ナノオーダーの柱径を有する柱状体であり、且つ、当該柱状体の両端に電位差をかけることによって、電流を導通させることができるものをいう。導電性ナノ柱状体は、前記電解質膜の面方向に対して略垂直方向に配向している必要がある。
本発明に用いられる導電性ナノ柱状体としては、導電性ナノ柱状体の代表的な材料である、CNTを用いることが好ましい。これは、CNTの電気的抵抗が低いため、カーボンブラック等の炭素系粒子に触媒を担持させる場合と比較して電子の損失を抑えることができるからである。
CNTのチューブ径やチューブ長さ等の形状は特に限定されないが、担持できる触媒量の点から、チューブ長さは10〜200μmが好ましい。チューブ長さが10μmより小さいと、担持できる触媒量が少なくなる。一方、チューブ長さが200μmより大きいと、ガス拡散が阻害されるおそれがある。
また、CNTの構造は、一枚のグラフェンシートを丸めた単層CNTであってもよいし、複数のグラフェンシートが入れ子状に積層された多層CNTであってもよい。
また、CNT以外の導電性ナノ柱状体としては、柱径が1〜50nm程度、長さが10〜200μm程度、アスペクト比が200〜200,000程度の細長い導電性材料であれば特に限定されず、例えば、カーボンナノファイバーが挙げられる。
導電性ナノ柱状体に担持される触媒としては、アノードにおける水素の酸化反応又はカソードにおける酸素の還元反応に触媒作用を有するものであればよく、例えば、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスニウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、又はそれらの合金等が挙げられる。好ましくは、白金、及び白金と例えばルテニウムなど他の金属とからなる合金である。
触媒は、導電性ナノ柱状体の柱径よりも小さい粒径を有する粒子であることが好ましく、具体的には、1〜10nm、特に2〜6nmの粒径を有するものが好ましい。
本発明においては、導電性ナノ柱状体が電解質膜に埋設されない。したがって、導電性ナノ柱状体と電解質膜との接合部のプロトン伝導性を確保するために、導電性ナノ柱状体の一端を電解質膜に接触させるか、接触しない場合、例えば、導電性ナノ柱状体と電解質膜との界面に後述する導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられている場合には、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の厚さを500nm〜10μmとし、且つ、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層がプロトン伝導性を十分有していることが好ましい。
導電性ナノ柱状体同士の間隔は50〜300nmが好ましい。当該間隔が50nm未満の場合には燃料電池用電極として十分なガス拡散性を有することができない。また、当該間隔が300nmを超える場合には単位面積当たりに十分な数の導電性ナノ柱状体を電極内に有することができず、したがって電解質膜と電極とのプロトンの授受が効率よく起きないからである。
本発明に用いられる触媒が担持された導電性ナノ柱状体は、さらに電解質樹脂により被覆されていることが好ましい。本発明に好適に用いられる電解質樹脂は、一般的な燃料電池に用いられているものを用いることができ、例えば、上述した電解質膜に用いられる電解質樹脂が挙げられる。
導電性ナノ柱状体への電解質樹脂の被覆量は、特に限定されず、電極のプロトン伝導性やガス拡散性を考慮して適宜決定すればよい。通常は、導電性ナノ柱状体に対する電解質樹脂の質量比(電解質樹脂の質量/導電性ナノ柱状体の質量)が1〜5程度であることが好ましく、特に2〜3の範囲であることが好ましい。導電性ナノ柱状体に対する電解質樹脂の質量比が大きすぎると、プロトン伝導性が高くなるが、ガス拡散性が低下しやすい。一方、導電性ナノ柱状体に対する電解質樹脂の質量比が小さすぎると、ガス拡散性が高くなるが、プロトン伝導性が低下しやすい。このとき、導電性ナノ柱状体表面に略垂直方向の電解質樹脂の厚みは5〜15nmであることが好ましい。
本発明の膜・電極接合体において、上記のような電極構造を備えるのは、アノード及びカソードのうちどちらか一方のみでもよいし、アノード及びカソードの両方が上記のような構造を有していてもよい。
本発明においては、カソード電極が導電性ナノ柱状体を含むことが好ましい。カソード側の反応は、特に酸素の拡散律速となり易く、そのため、カソード側に導電性ナノ柱状体、好ましくはCNTを用いることが特に好ましい。またアノード側も従来型の電極でもよいが、導電性ナノ柱状体、好ましくはCNTを用いることにより、性能向上の効果、及び、従来よりも白金量を低減できる効果等も期待できる。さらに、燃料として純水素ではなく、炭化水素系の燃料を改質した改質ガスを用いる場合には、水素濃度が下がり、水素の拡散律速となる可能性が高くなるため、アノード側に導電性ナノ柱状体、好ましくはCNTを用いることはより効果的である。
以下、本発明の燃料電池用膜・電極接合体の典型例について、図を用いて説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第1の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。
本第1の典型例100は、電解質膜1、並びに、触媒層5、多孔質層6、及びガス拡散層7からなる電極を備える。電解質膜1は、1つのプロトン伝導層1a、及び1つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bからなり、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bは、電極と電解質膜1との界面に設けられている。一方、プロトン伝導層1aは、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bを挟んで電極の反対側に設けられている。触媒層5は、電解質膜1の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体2、当該導電性ナノ柱状体2に担持された触媒3、及び好適には当該導電性ナノ柱状体2に被覆された電解質樹脂4からなる。
このように、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bが電解質膜1の表面に設けられていることにより、導電性ナノ柱状体2が電解質膜1に埋め込まれるおそれがない。
なお、電解質膜1を挟んで電極の反対側には、球状カーボンを用いた従来の電極が設けられていてもよい。
図2は、本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第2の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。
本第2の典型例200は、電解質膜1、並びに、触媒層5、多孔質層6、及びガス拡散層7からなる電極を備える。電解質膜1は、2つのプロトン伝導層1a、及び1つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bからなり、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bは、電解質膜1の内部であり、且つ、電極と電解質膜1との界面から、電解質膜の厚さ方向中央1cまでの間に設けられている。一方、2つのプロトン伝導層1aは、電解質膜1中の導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1aが設けられた部分以外の他の部分を占める。すなわち、2つのプロトン伝導層1aの一方は導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bと電極との間に設けられており、他方は導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bを挟んで電極の反対側に設けられている。触媒層5は、電解質膜1の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体2、当該導電性ナノ柱状体2に担持された触媒3、及び好適には当該導電性ナノ柱状体2に被覆された電解質樹脂4からなる。
このように、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bが電解質膜の厚さ方向中央よりも電極側に設けられていることにより、導電性ナノ柱状体2が電解質膜の厚さ方向中央1cまで埋め込まれるおそれがない。
なお、電解質膜1を挟んで電極の反対側には、球状カーボンを用いた従来の電極が設けられていてもよい。
埋め込み防止層は、電極との界面から電解質膜の厚さ方向に向かって0〜5μmまでの厚さの部分に設けられていることが好ましい。埋め込み防止層が5μmよりも深い厚さ方向に設けられると、導電性ナノ柱状体がより深く電解質膜に埋め込まれてしまう結果、触媒の埋没を防止できないおそれがあるからである。
第1の典型例のように電解質膜の最表面に埋め込み防止層を設ける態様や、第2の典型例のように電解質膜の内部に埋め込み防止層が設けられる態様でも、埋め込み防止層に必要とされる物性は特に変わらず、上述したように、機械的強度とプロトン伝導性の観点から決まる。
ただし、本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体が、高温条件下における放電に用いられる場合を想定すると、電解質膜内部の水分量を増やし電解質膜の乾燥を抑制する観点から、電解質膜の最表面に埋め込み防止層が設けられた態様(第1の典型例)よりも、電解質膜の内部に埋め込み防止層が設けられた態様(第2の典型例)の方が、埋め込み防止層に含まれるプロトン伝導性電解質樹脂の含有割合が多いことが好ましい。
図3は、本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第3の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。
本第3の典型例300は、電解質膜1、並びに、触媒層5、多孔質層6、及びガス拡散層7からなる電極を2つ備える。電解質膜1は、1つのプロトン伝導層1a、及び2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bからなり、2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bは、電解質膜1と2つの電極とのそれぞれの界面に設けられている。一方、プロトン伝導層1aは、2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bにより挟持されている。2つの触媒層5は、それぞれ、電解質膜1の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体2、当該導電性ナノ柱状体2に担持された触媒3、及び好適には当該導電性ナノ柱状体2に被覆された電解質樹脂4からなる。
このように、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bが電解質膜1の両面に設けられていることにより、導電性ナノ柱状体2が電解質膜1に埋め込まれるおそれがない。
図4は、本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第4の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。
本第4の典型例400は、電解質膜1、並びに、触媒層5、多孔質層6、及びガス拡散層7からなる電極を2つ備える。電解質膜1は、2つのプロトン伝導層1a、及び2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bからなる。一方の導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bは、一方の電極と電解質膜1との界面に設けられている。もう一方の導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bは、電解質膜1の内部、且つ、もう一方の電極と電解質膜1との界面から、電解質膜1の厚さ方向中央1cまでの間に設けられている。一方、2つのプロトン伝導層1aは、電解質膜1中の2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1aが設けられた部分以外の他の部分を占める。すなわち、2つのプロトン伝導層1aの一方は、もう一方の導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bと電極との間に設けられており、他方は2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bにより挟持されている。2つの触媒層5は、それぞれ、電解質膜1の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体2、当該導電性ナノ柱状体2に担持された触媒3、及び好適には当該導電性ナノ柱状体2に被覆された電解質樹脂4からなる。
このように、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bの一方が電解質膜1の表面に設けられ、且つ、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bのもう一方が電解質膜の厚さ方向中央1cよりも触媒層5側に設けられていることにより、導電性ナノ柱状体2が少なくとも電解質膜の厚さ方向中央1cまで埋め込まれるおそれがない。
図5は、本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体の第5の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。
本第5の典型例500は、電解質膜1、並びに、触媒層5、多孔質層6、及びガス拡散層7からなる電極を2つ備える。電解質膜1は、3つのプロトン伝導層1a、及び2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bからなる。一方の導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bは、電解質膜1の内部、且つ、一方の電極と電解質膜1との界面から、電解質膜1の厚さ方向中央1cまでの間に設けられている。もう一方の導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bは、電解質膜1の内部、且つ、もう一方の電極と電解質膜1との界面から、電解質膜1の厚さ方向中央1cまでの間に設けられている。一方、3つのプロトン伝導層1aは、電解質膜1中の2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1aが設けられた部分以外の他の部分を占める。すなわち、3つのプロトン伝導層1aの内の2つは、電解質膜1と2つの電極とのそれぞれの界面に設けられており、3つのプロトン伝導層1aの内の残りの1つは、2つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bにより挟持されている。2つの触媒層5は、それぞれ、電解質膜1の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体2、当該導電性ナノ柱状体2に担持された触媒3、及び好適には当該導電性ナノ柱状体2に被覆された電解質樹脂4からなる。
このように、導電性ナノ柱状体埋め込み防止層1bがいずれも電解質膜の厚さ方向中央1cよりも触媒層5側に設けられていることにより、導電性ナノ柱状体2が電解質膜の厚さ方向中央1cまで埋め込まれるおそれがない。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体は、導電性ナノ柱状体を含む触媒層を挟んで電解質膜と反対側に、多孔質層及びガス拡散層を順に備えていてもよい。
本発明に用いられる多孔質層(撥水層)は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。多孔質層は必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
多孔質層をガス拡散層上に形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層インクを、ガス拡散層の少なくとも触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。多孔質層の厚さは、通常、1〜50μm程度でよい。多孔質層インクをガス拡散層に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
本発明に用いられるガス拡散層としては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するタス拡散シートが使用できる。ガス拡散シートとしては、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
また、ガス拡散層は、触媒層と面する側に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂をバーコーター等によって含浸塗布することによって、触媒層内の水分がガス拡散層の外へ効率良く排出されるように加工されていてもよい。
以下、本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法について詳しく説明する。なお、本発明の燃料電池用膜・電極接合体を得る方法は、以下に記載の方法に限定されるものではない。
まず、導電性ナノ柱状体を基材上で成長させることにより、導電性ナノ柱状体を準備する。基材上に成長させる導電性ナノ柱状体としては、CNTを用いることができる。
CNTの成長には、まず、金属微粒子を担持した基材を準備する。基材としては、シリコン基材やガラス基材、石英基材等を用いることができる。基材は、必要に応じて表面の洗浄を行う。基材の洗浄方法としては、例えば、真空中における加熱処理等が挙げられる。基材は導電性ナノ柱状体の層を平坦に形成できるものであれば特に限定されず、板状やシート状であってもよい。
以下、導電性ナノ柱状体としてCNTを用いる場合について主に説明する。
金属微粒子は、CNTが成長する際の核となるものであり、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン、パラジウム等を用いることができる。これら金属又はこれら金属の錯体を含む溶液を塗布、或いは、電子ビーム蒸着法等によって、基材上に金属薄膜を形成し、不活性雰囲気下又は減圧下、700〜750℃程度に加熱すると、上記金属薄膜が微粒子化し、基材上に金属微粒子を担持させることができる。金属微粒子は、通常、5〜20nm程度の粒径を有していることが好ましく、このような粒径を有する金属微粒子を担持させるためには、上記金属薄膜の膜厚は3〜10nm程度とすることが好ましい。
次に、上記基材上にCNTを成長させる。このCNT成長工程では、金属微粒子担持基材を、CNTの成長に適した所定温度(通常、700〜750℃程度)、不活性雰囲気の空間内に配置した状態で、上記基材上の金属微粒子に原料ガスを供給する。原料ガスとしては、例えば、アセチレン、メタン、エチレン等の炭化水素系ガス等を用いることができる。
原料ガスの流量、供給時間、総供給量等は特に限定されず、CNTのチューブ長さやチューブ径を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、供給する原料ガスの濃度[原料ガス流量/(原料ガス流量+不活性ガス流量)]によって、成長するCNTの長さが異なってくる。すなわち、供給する原料ガスの濃度が高いほどCNTの長さは短くなる。
また、CNTの成長の際には煤が生成し、この煤が金属微粒子の周囲に堆積することによって、金属微粒子への原料ガス供給が妨げられる場合がある。CNTの成長は、基材上の金属微粒子を核として進行するため、金属微粒子への原料ガスの供給が妨げられると、チューブ長さ方向へのCNTの成長は停止し、チューブ径の方向への成長が中心となると考えられている。
CNTの長さは10〜200μm、チューブ径は1〜50nm、CNT同士の間隔は50〜300nmであるのが好ましい。これは、後述する触媒の担持において、CNTに触媒を十分量担持できるからである。
以上のようにして、基材上に当該基材の面方向に対して実質上垂直配向したCNTが得られる。なお、ここでいう基材の面方向に対して実質上垂直配向したCNTとは、チューブ長さ方向の形状が直線状及び/又は直線状でないCNTを含むものであり、チューブ長さ方向の形状が直線状の場合には当該直線と基材の面方向との角度、チューブ長さ方向の形状が直線状でないCNTの場合には両端面の中心部を結ぶ直線と基材の面方向との角度が、ほぼ直角となっているものである。
以上説明したCNTを成長させる方法は、金属微粒子(触媒金属)と原料ガスを高温条件下、共存させることによってCNTを生成するCVD法(化学気相成長法)を用いたものであるが、CNTを生成する方法はCVD法に限定されず、例えば、アーク放電法やレーザー蒸着法などの気相成長法、或いはその他の公知の合成法を利用して生成することができる。
CNTに触媒を担持する方法は特に限定されず、湿式法、乾式法のいずれの方法によっても行うことができる。湿式法としては、金属塩を含む溶液をCNT表面に塗布した後、水素雰囲気中で200℃以上に加熱して還元処理する方法が挙げられる。金属塩は、上記触媒として例示した金属のハロゲン物、金属酸ハロゲン物、金属の無機酸塩、金属の有機酸塩、金属錯塩等が挙げられる。これら金属塩を含む溶液は、水溶液でも有機溶媒溶液でもよい。CNT表面への金属塩溶液の塗布は、例えば、金属塩溶液中にCNTを浸漬する、或いはCNTの表面に金属塩溶液を滴下、噴霧(スプレー)する等の方法がある。
例えば、触媒として白金を用いる場合、湿式法としては、エタノールやイソプロパノール等のアルコール中に塩化白金酸や白金硝酸溶液(例えば、ジニトロジアミン白金硝酸溶液など)等を適量溶解させた白金塩溶液を用いることができる。CNT表面に白金を均一に担持できるという点から、特に、アルコール中にジニトロジアミン白金硝酸溶液を溶解させた白金塩溶液を用いることが好ましい。
乾式法としては、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法、静電塗装法等が挙げられる。
触媒を担持したCNTに電解質樹脂を塗布する方法は特に限定されない。例えば、重合体である電解質樹脂をCNTに塗布する方法の他、電解質樹脂前駆体(電解質樹脂を構成する単量体)と必要に応じて各種重合開始剤等の添加物とを含む重合組成物を、CNT表面に塗布し、必要に応じて乾燥させた後、紫外線などの放射線の照射又は加熱により重合させる方法を採用してもよい。
電解質膜に埋め込み防止層を設ける方法は、特に限定されない。
上記第1又は第3の典型例のように、電解質膜の表面に埋め込み防止層を設ける場合には、プロトン伝導層の片面又は両面に埋め込み防止層を貼り合わせればよい。
上記第2、第4又は第5の典型例のように、電解質膜の内部に埋め込み防止層を設ける場合には、適宜埋め込み防止層を2枚以上のプロトン伝導層で挟んで貼り合わせればよい。埋め込み防止層は、プロトン伝導層の片面又は両面に埋め込み防止層の原料を塗布、噴霧等することによって形成してもよい。その逆に、プロトン伝導層は、埋め込み防止層の片面又は両面にプロトン伝導層の原料を塗布、噴霧等することによって形成してもよい。
電解質膜にCNTを転写する方法は特に限定されず、公知の方法を利用できる。転写方法としては、例えば、熱転写等が挙げられる。以下、熱転写による方法について説明する。
熱転写における加熱温度は、電解質膜及びCNTに塗布されたアイオノマの軟化温度以上とする。ただし、電解質膜及びアイオノマの劣化やプロトン伝導性の低下が生じないよう、過度な加熱は避ける方が好ましい。用いる電解質膜や電解質樹脂によって熱転写の適正加熱温度は異なるが、通常は、110〜160℃程度、好ましくは140〜150℃程度でよい。電解質膜及び電解質樹脂として、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を用いる場合には、120〜140℃が好ましい。
加圧力は、加熱温度が上記範囲内である場合、通常、2〜12MPa程度、好ましくは4〜8MPa程度である。電解質膜及び電解質樹脂として、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を用いる場合には、8〜10MPaが好ましい。
上記加熱温度及び加圧力を保持する時間(転写時間)は、通常、5〜20分間程度、好ましくは10〜15分間程度である。電解質膜及び電解質樹脂として、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を用いる場合には、10〜15分間が好ましい。
多孔質層及び/又はガス拡散層を設ける場合には、触媒層の上からさらに多孔質層及び/又はガス拡散層を積層させればよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.略垂直配向CNT付き基材の作製
[製造例1]
まず、シリコン製の基板上に、触媒金属として鉄触媒をスパッタし、成膜した。触媒金属を成膜した基板を、CVD炉内に配置した。
次に、CVD炉内に水素25%ガス(キャリア:窒素)を供給し、炉内の温度を室温(15〜25℃)から800℃へ5分間かけて昇温し、触媒金属を活性化させた。
続いて、CVD炉内に、水素25%ガス(キャリア:窒素)に加えて、炭素源としてアセチレン8%ガス(キャリア:窒素)を供給し、炉内の温度を800℃に保持し、10分間CNTを成長させた。
最後に、CVD炉内に窒素100%ガスを供給し、炉内の温度を800℃から室温(15〜25℃)へ5分間かけて冷却し、CNTの成長を止め、製造例1の略垂直配向CNT付き基材を作製した。
2.アイオノマが被覆され、且つ白金が担持された略垂直配向CNT付き基材の作製
[製造例2]
まず、アイオノマ溶液の原液を、テフロン(登録商標)製フィルターを用いてろ過し、凝集した粗大なアイオノマ粒子を除去した。続いて、得られたろ液に、有機溶媒を適宜加えて適宜希釈した。適宜希釈した溶液について、超音波処理により溶液中にアイオノマを高分散させた後、遠心攪拌等を行って、得られた上澄みをアイオノマ溶液とし、CNTの被覆に供した。
製造例1の略垂直配向CNT付き基材に、適宜白金を担持させた後、上記アイオノマ溶液中に触媒担持CNTを浸漬させた。アイオノマが被覆され、且つ白金が担持された略垂直配向CNT(以下、アイオノマ被覆白金担持CNTと称する。)を取り出し、基材の面方向を鉛直方向と同方向に傾けた状態で、室温(15〜25℃)下放置した。続いて、エタノール中にアイオノマ被覆白金担持CNTを浸漬させた。所定の時間経過後、アイオノマ被覆白金担持CNTを取り出し、基材の面方向を鉛直方向と同方向に傾けた状態で、室温(15〜25℃)下放置した。
アイオノマ被覆白金担持CNTを、アイオノマ溶液から取り出した後、減圧容器内で減圧し、適宜脱泡した。脱泡後、減圧容器内にて80℃に加熱し、乾燥させ、製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材を作製した。
3.膜・電極接合体の製造
[実施例1]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。
パーフルオロカーボンスルホン酸高分子電解質膜(登録商標:ナフィオン)をプロトン伝導層とし、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは6.0μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.30mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さと目付量との積の値(埋め込み防止層の厚さ×目付量の値)は、1.8×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は77.3%と算出された。
上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、実施例1の膜・電極接合体を製造した。なお、転写条件は、温度140℃、圧力10MPaとし、転写時間は30分間とした。
[実施例2]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは3.0μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.30mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、0.90×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は54.5%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、実施例2の膜・電極接合体を製造した。
[実施例3]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは2.0μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.18mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、0.36×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は59.1%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、実施例3の膜・電極接合体を製造した。
[実施例4]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは4.0μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.30mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、1.2×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は65.9%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、実施例4の膜・電極接合体を製造した。
[実施例5]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは3.25μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.225mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、0.73×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は68.5%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、実施例5の膜・電極接合体を製造した。
[実施例6]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは3.0μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.20mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、0.60×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は69.7%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、実施例6の膜・電極接合体を製造した。
[参考例1]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは2.5μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.30mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、0.75×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は45.5%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、参考例1の膜・電極接合体を製造した。なお、参考例1においては、埋め込み防止層上へのCNTの転写に若干のムラが生じた。
[参考例2]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは3.25μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.10mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、0.33×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は86.0%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、参考例2の膜・電極接合体を製造した。
[参考例3]
埋め込み防止層は以下のように準備した。まず、基材として、PTFE製の延伸多孔質膜を準備した。当該延伸多孔質膜に、電解質樹脂(IEC 1.54meq/g)を含浸させた。実施例1と同様のプロトン伝導層を用い、当該プロトン伝導層の両面に、電解質樹脂を含浸させたPTFE延伸多孔質膜を貼り付け、プロトン伝導層の両面に埋め込み防止層を形成した。埋め込み防止層の厚さは4.25μmであり、埋め込み防止層の目付量は0.125mg/cmであった。したがって、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値は、0.53×10−4mg/cmであった。また、埋め込み防止層の厚さ及び目付量から、埋め込み防止層の空隙率は86.6%と算出された。
あとは、実施例1と同様の転写条件で、上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、埋め込み防止層上にCNTを転写し、参考例3の膜・電極接合体を製造した。
[比較例1]
電解質膜のプロトン伝導層として、実施例1と同様のものを用いた。
上記製造例2のアイオノマ被覆白金担持CNT付き基材から、電解質膜の両面にCNTを転写し、比較例1の膜・電極接合体を作製した。転写条件及び転写時間は実施例1と同様とした。
すなわち、比較例1の電解質膜には、埋め込み防止層がないものを用いた。
4.膜・電極接合体の評価
4−1.膜・電極接合体の断面のSEM観察
実施例6及び比較例1の膜・電極接合体の断面について、SEM観察を行った。SEM観察条件は以下の通りである。すなわち、走査型電子顕微鏡(日立製、S−5500)を用いて、加速電圧5kVにて、倍率約1500倍でSEM観察を行った。
図6は、実施例6の膜・電極接合体の積層方向に切断した断面のSEM画像である。図6から、実施例6の膜・電極接合体においては、電解質膜の表面に埋め込み防止層が設けられていることが確認できる。また、図6から、埋め込み防止層とCNTとの界面がほぼ平坦であることが分かる。したがって、このような界面においては、電解質膜中にCNTが埋め込まれることはない。また、上述した表2の空隙率(厚さ3μm、目付量0.2mg/cmのとき、69.7%)から考えて、埋め込み防止層にCNTの一部が埋没することも考えられない。以上より、実施例6においては、電解質膜へのCNTの埋め込みが抑制できる結果、白金微粒子も電解質膜中に埋没することがなく、白金触媒の利用率が向上することが示唆される。
一方、比較例1の膜・電極接合体の積層方向に切断した断面のSEM画像においては、電解質膜とCNTとの界面が波打っていることが確認された。したがって、このような界面においては、電解質膜中にCNTの一部が埋設され、白金触媒粒子の一部が電解質膜に埋没する結果、白金触媒の利用率が低下することが示唆される。
4−2.膜・電極接合体の発電性能評価
実施例6及び比較例1の膜・電極接合体(Pt量:0.1mg/cm)を、面積20cmの短冊形に加工して、発電性能評価に供した。評価条件は以下の通りである。
評価装置:水バランス解析装置(東陽テクニカ製)
加湿条件:アノード及びカソードともに無加湿条件
測定温度:70℃
測定電位:0.2〜1.0V
測定電流密度:0〜3.0A/cm
図7は、実施例6及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。図7は、縦軸にセル電圧(V)を、横軸に電流密度(A/cm)を、それぞれとったグラフである。図7中、黒のプロットは実施例6のデータを、白のプロットは比較例1のデータを、それぞれ示す。
図7から分かるように、0〜0.5A/cmの範囲の、いわゆる低負荷電流域から、実施例6と比較例1との電圧の差が確認された。例えば、0.25A/cmにおける比較例1の電圧は0.776Vであるのに対し、0.25A/cmにおける実施例6の電圧は0.784Vである。したがって、実施例6と比較例1とでは、0.25A/cmにおいて8mVの電圧の差があることが分かる。このような低負荷電流域での性能の差は白金利用率の差を示している。すなわち、0.25A/cmにおける実施例6の電圧が、0.25A/cmにおける比較例1の電圧よりも8mV高いということは、実施例6の白金利用率は、比較例1の白金利用率の1.3倍であることを示す。
また、実施例6の膜・電極接合体は、0.6Vにおいて2.3A/cmという高い電流密度を示した。
以上より、埋め込み防止層を設けた実施例6の膜・電極接合体は、埋め込み防止層を設けていない比較例1と比較して、電解質膜に埋没する白金の量が減ったことが証明された。
図8(a)は、実施例6及び比較例1の面積抵抗(mΩ・cm)を比較した棒グラフである。図8(a)より、比較例1の面積抵抗が18.4mΩ・cmであるのに対し、実施例6の面積抵抗は18.6mΩ・cmであり、両データの面積抵抗にほぼ差はない。したがって、実施例6においては、埋没する白金の量が減る効果の背反として考えられる、埋め込み防止層とCNTとの界面の密着性の低下が生じていないことが分かる。
図8(b)は、実施例6及び比較例1の短絡抵抗(Ω)を比較した棒グラフである。図8(b)より、比較例1の短絡抵抗が2.6Ωであるのに対し、実施例6の短絡抵抗は8.1Ωである。したがって、実施例6の短絡抵抗は比較例1の短絡抵抗の3倍であることから、実施例6の放電効率が比較例1の放電効率よりも優れていることが確認できた。
以上より、CNTを用いた従来の膜・電極接合体(比較例1)においては、白金粒子の一部が電解質膜に埋没するため、発電性能に劣るのに対し、CNTと併せて埋め込み防止層を用いた本願発明の膜・電極接合体(実施例6)においては、白金粒子が電解質膜に埋没することがないため、優れた放電性能を発揮し、且つ、埋め込み防止層とCNTとの界面の密着性の低下も生じないことが分かる。また、実施例6の結果は、白金量が0.1mg/cmの触媒層を用いた膜・電極接合体のチャンピオン性能に相当すると考えられる。
実施例1−実施例6及び参考例1−参考例3の膜・電極接合体(Pt量:0.1mg/cm)を、面積20cmの短冊形に加工して、発電性能評価に供した。評価条件は以下の通りである。
評価装置:水バランス解析装置(東陽テクニカ製)
アノードの加湿条件:アノードの露点45℃
カソードの加湿条件:無加湿
測定温度:70℃
アノードガス量(アノードストイキ比):1.2
カソードガス量(カソードストイキ比):1.5
測定電位:0.2〜1.0V
測定電流密度:0〜3.0A/cm
図9は、実施例1及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。図9の縦軸及び横軸は、図7と同様である。図9中、横棒のプロットは実施例1のデータを、黒丸のプロットは比較例1のデータを、それぞれ示す。図9から分かるように、実施例1の膜・電極接合体は、0.5A/cm以上の範囲の、いわゆる高負荷電流域において、比較例1の膜・電極接合体よりも低い電圧を示した。また、図9より、0.6Vにおける実施例1の電流密度は、1.6mA/cmである。
図10は、実施例1及び比較例1の膜・電極接合体の、2.0A/cmの電流密度における面積抵抗を比較した棒グラフである。図10から分かるように、実施例1の膜・電極接合体の面積抵抗値は37.5mΩ・cmであるのに対し、比較例1の膜・電極接合体の面積抵抗値は22.5mΩ・cmである。
図11は、実施例2、実施例3、及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。図11の縦軸及び横軸は、図7と同様である。図11中、X印のプロットは実施例2のデータを、*印のプロットは実施例3のデータを、黒丸のプロットは比較例1のデータを、それぞれ示す。
図11から分かるように、2.0A/cm以上の範囲の、いわゆる高負荷電流域においては、実施例3は比較例1よりも高いセル電圧を示し、また、実施例2は比較例1と同程度のセル電圧を示した。なお、図11から分かるように、0〜0.5A/cmの範囲の、いわゆる低負荷電流域においては、実施例2及び実施例3のセル電圧は、比較例1のセル電圧よりも若干低かった。これらの結果は、実施例2及び実施例3の膜・電極接合体において、CNTが電解質膜へ埋没することは防止できたものの、埋め込み防止層の空隙率が低いため、水蒸気交換能が若干低いことを示す。しかし、実施例2及び実施例3の膜・電極接合体においては、埋め込み防止層の機能が発揮され、CNTの電解質膜への埋没防止が抑制されたため、性能が向上したと推測される。
また、図11より、0.6Vにおける実施例2の電流密度は1.9mA/cmであり、0.6Vにおける実施例3の電流密度は2.8mA/cmである。
図12は、実施例4−実施例6、及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。図12の縦軸及び横軸は、図7と同様である。図12中、白菱形のプロットは実施例4のデータを、黒四角のプロットは実施例5のデータを、黒菱形のプロットは実施例6のデータを、黒丸のプロットは比較例1のデータを、それぞれ示す。
図12から分かるように、実施例4−実施例6は、ほぼ全ての負荷電流域において、比較例1よりも高いセル電圧を示した。すなわち、0.6Vにおける実施例4の電流密度は2.3mA/cmであり、0.6Vにおける実施例5の電流密度は2.5mA/cmであり、0.6Vにおける実施例6の電流密度は2.7mA/cmである。これらの結果は、埋め込み防止層を設けることで一定以上のCNTの埋め込み防止効果があれば、埋め込み防止層におけるプロトン伝導度が高いほど発電性能が向上することを示す。
図13は、参考例2、参考例3、及び比較例1の膜・電極接合体の放電曲線である。図13の縦軸及び横軸は、図7と同様である。図13中、十字のプロットは参考例2のデータを、横棒のプロットは参考例3のデータを、黒丸のプロットは比較例1のデータを、それぞれ示す。
図13から分かるように、参考例2及び参考例3は、ほぼ全ての負荷電流域において、比較例1以上のセル電圧を示した。また、図13より、0.6Vにおける参考例2の電流密度は2.2mA/cmであり、0.6Vにおける参考例3の電流密度は2.1mA/cmである。参考例2及び参考例3の結果は、埋め込み防止層の空隙率が80%を超えて高く、若干量のCNTが埋め込み防止層に埋め込まれたため、実施例4−実施例6の結果よりも低くなったことを示唆する。
下記表4は、実施例1−実施例6及び参考例1−参考例3の膜・電極接合体について、埋め込み防止層の厚さ、目付量、厚さ×目付量の値、及び空隙率、並びに、膜・電極接合体の出力性能をまとめた表である。なお、表4中の「−」は、測定の未実施を示す。
Figure 0005812101
上述したように、埋め込み防止層の空隙率が50%未満の参考例1においては、埋め込み防止層上へのCNTの転写に若干のムラが生じた。一方、埋め込み防止層の空隙率が50%以上であり、且つ、埋め込み防止層の厚さ×目付量の値が1.8×10−4mg/cm以下である実施例1−実施例6及び参考例1−参考例2は、0.6Vにおける電流密度が1.9〜2.8mA/cmと高い。
1 電解質膜
1a プロトン伝導層
1b 導電性ナノ柱状体埋め込み防止層
1c 電解質膜の厚さ方向中央
2 導電性ナノ柱状体
2a CNT
3 触媒
4 電解質樹脂
5 触媒層
5a 触媒層の一部
6 多孔質層
7 ガス拡散層
100 本発明に係る膜・電極接合体の第1の典型例
200 本発明に係る膜・電極接合体の第2の典型例
300 本発明に係る膜・電極接合体の第3の典型例
400 本発明に係る膜・電極接合体の第4の典型例
500 本発明に係る膜・電極接合体の第5の典型例
600 従来の膜・電極接合体

Claims (13)

  1. 少なくとも、
    電解質膜、並びに、
    当該電解質膜の少なくとも一方の面に配設され且つ当該電解質膜の面方向に対して略垂直方向に配向している導電性ナノ柱状体、及び当該導電性ナノ柱状体に担持された触媒を備える少なくとも1つの電極、
    を備える燃料電池用膜・電極接合体であって、
    前記電解質膜は、少なくとも1つのプロトン伝導層、及び少なくとも1つの導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、
    前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、プロトン伝導性電解質樹脂、及び、当該プロトン伝導性電解質樹脂よりも硬質な多孔質樹脂を含有し、
    前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、
    前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占めることを特徴とする、燃料電池用膜・電極接合体。
  2. 少なくとも、前記電解質膜、及び、1つの前記電極を備え、
    前記電解質膜は、1つの前記プロトン伝導層、及び1つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、
    前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電極と前記電解質膜との界面に設けられ、
    前記プロトン伝導層は、前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層を挟んで前記電極の反対側に設けられる、請求項1に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  3. 少なくとも、前記電解質膜、及び、1つの前記電極を備え、
    前記電解質膜は、2つの前記プロトン伝導層、及び1つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、
    前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、
    2つの前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占める、請求項1に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  4. 少なくとも、前記電解質膜、及び、2つの前記電極を備え、
    前記電解質膜は、1つの前記プロトン伝導層、及び2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、
    2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜と一方の前記電極との界面、及び、前記電解質膜と他方の前記電極との界面にそれぞれ設けられ、
    前記プロトン伝導層は、2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層により挟持される、請求項1に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  5. 少なくとも、前記電解質膜、及び、2つの前記電極を備え、
    前記電解質膜は、2つの前記プロトン伝導層、及び2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、
    一方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、一方の前記電極と前記電解質膜との界面に設けられ、
    他方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、他方の前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、
    2つの前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占める、請求項1に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  6. 少なくとも、前記電解質膜、及び、2つの前記電極を備え、
    前記電解質膜は、3つの前記プロトン伝導層、及び2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層からなり、
    一方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、一方の前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、
    他方の前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電解質膜の内部、且つ、他方の前記電極と前記電解質膜との界面から、前記電解質膜の厚さ方向中央までの間に設けられ、
    3つの前記プロトン伝導層は、前記電解質膜中の2つの前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層が設けられた部分以外の他の部分を占める、請求項1に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  7. 前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の厚さは1〜10μmである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  8. 前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の目付量は0.05〜1.0mg/cmである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  9. 前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の全体積を100体積%としたときの、前記プロトン伝導性電解質樹脂の体積が10〜90体積%である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  10. 前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層は、前記電極との界面から前記電解質膜の厚さ方向に向かって0〜5μmまでの厚さの部分に設けられている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  11. 前記導電性ナノ柱状体はカーボンナノチューブである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  12. カソード電極が前記導電性ナノ柱状体を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
  13. 前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の空隙率が50%以上であり、且つ、
    前記導電性ナノ柱状体埋め込み防止層の厚さと目付量との積が1.8×10−4mg/cm以下である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
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