JP5811311B2 - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 - Google Patents
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Description
特許文献1〜3では、シクロヘキシルベンゼン等の各種芳香族化合物を、電解液に添加する方法が提案され、過充電時安全性向上と耐久性の問題をある程度解決した。
本発明は上記問題に鑑み、電池の初期効率が高く、かつ過充電時安全性に優れた非水系電解液電池、及びそれを与える非水系電解液を提供することを目的とする。更に、本発明は、高温連続充電特性といった高温耐久特性に優れた非水系電解液電池、及びそれを与える非水系電解液を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、下記に示すとおりである。
本発明1は、電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、更に式(I):
(式中、
R1〜R5は、独立して、水素、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、
R6及びR7は、独立して、炭素数1以上12以下の炭化水素基であるが、
R1〜R7のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成していてもよく、
ただし、式(I)は、(A)及び(B):
(A)R1〜R5のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R1〜R7の炭素数の合計は、3以上20以下である、
のうち少なくとも一方の条件を満たす)
で表される芳香族化合物を含有することを特徴とする非水系電解液に関する。
本発明2は、前記式(I)におけるR1、R6及びR7のうち2つが一緒になって環を形成している、本発明1の非水系電解液に関する。
本発明3は、前記式(I)におけるR1とR6が一緒になって環を形成している、本発明2の非水系電解液に関する。
本発明4は、前記式(I)におけるR1〜R5のうち少なくとも1つが、炭素数1以上5以下の炭化水素基であることを特徴とする、本発明1〜3のいずれかの非水系電解液に関する。
本発明5は、前記式(I)で表される芳香族化合物が、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンである、本発明3又は4の非水系電解液に関する。
本発明6は、前記式(I)におけるR6とR7が一緒になって環を形成している、本発明2の非水系電解液に関する。
本発明7は、前記式(I)で表される芳香族化合物が、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニルシクロペンタン又は1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサンである、本発明6の非水系電解液。
本発明8は、前記非水系電解液が、式(I)で表される芳香族化合物を、0.001質量%以上10質量%以下で含有する、本発明1〜7のいずれかの非水系電解液に関する。
本発明9は、前記非水系電解液が、2種以上の電解質を含む、本発明1〜8のいずれかの非水系電解液に関する。
本発明10は、2種以上の電解質が、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、本発明9の非水系電解液に関する。
本発明11は、前記非水系電解液が、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、本発明10の非水系電解液に関する。
本発明12は、前記非水系電解液が、更に、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、環状エーテル及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、本発明1〜11のいずれかの非水系電解液に関する。
本発明13は、前記非水系電解液が、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素‐炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル環状エーテル及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、本発明1〜11のいずれかの非水系電解液に関する。
本発明14は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、ならびに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が本発明1〜13のいずれかの非水系電解液である、非水系電解液電池に関する。
本発明に係る非水系電解液を用いた非水系電解液電池が、過充電時の安全性に優れ、更に高温耐久特性にも優れる理由は明らかではないが、次のように推察される。ただし、本発明は下記作用原理等によって制限されるものではない。
特に、本発明で用いられる芳香族環に結合している炭化水素基の炭素数が一定以上である化合物は、ベンゼン環の安定化効果が高く、活性の高い正極との副反応を更に抑制することができ、同時に置換基の特性を適切に設定することで、過充電のように高いエネルギー状態では反応するようになる。よって、この化合物を電解液に使用することにより、電池の過充電時の安全性を高めながら、高温耐久特性を確保することができると考えられる。また、高温保存後の電池特性の低下を抑制する効果が高いと考えられる。
特許文献4〜9等に記載されているような、芳香族環に直接結合した炭素が第4級炭素以外である化合物は、酸化耐性が高いものの、過充電時の反応性が低いため安全性が低下してしまう。
本発明者らは、式(I)で表される芳香族化合物を非水系電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出した。式(I)で表される芳香族化合物は、第4級炭素に直接芳香族環が2つ結合し、更に芳香族環に結合している炭化水素基の炭素数が一定数であることで、電池の通常動作範囲では反応しにくいが、通常動作範囲より高い電位では容易に反応する。通常動作範囲では、特に正極上酸化を抑制できると考えられる。その結果、このような化合物を電解液に含有させることにより、優れた初期効率のみならず、過充電時安定性に加えて、更には良好な高温耐久特性を有する、より優れた電池特性を有する電池を与えることができる。
1−1 式(I)で表される芳香族化合物
本発明の非水系電解液は、式(I)で表される芳香族化合物を含有することを特徴とする。なお、式(I)で表される芳香族化合物においては光学異性体の区別はつけないものとし、異性体単独又はこれらの混合として適用することもできる。
(式中、
R1〜R5は、独立して、水素、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、
R6及びR7は、独立して、炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
R1〜R7のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成していてもよく、
ただし、式(I)は、(A)及び(B):
(A)R1〜R5のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R1〜R7の炭素数の合計は、3以上20以下である、
のうち少なくとも一方の条件を満たす)
で表される芳香族化合物である。R1〜R7のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成している場合、R1〜R7のうち2つが一緒になって環を形成していることが好ましい。
(A)R1〜R5のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R1〜R7の炭素数の合計は、3以上20以下である、
のうち少なくとも一方の条件を満たす。
式(I)は、通常の電池動作電圧範囲内における正極上での酸化抑制の点から、(A)を満たしていることが好ましく、電解液への溶解性の点から、(B)を満たしていることが好ましい。式(I)は、(A)と(B)の両方を満たしていてもよい。
(B)について、R1〜R7の炭素数の合計は3以上20以下であれば、R1〜R7のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成していてもよい。R1〜R7のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成している場合、炭素数の合計の算出にあたっては、環を形成する炭素のうち、R1〜R7に相当しない炭素(R1〜R5については、これらが結合しているベンゼン環を構成する炭素、R6及びR7については、ベンジル位の炭素)はカウントしないこととする。また、R1〜R7のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成している場合、環を構成する炭素鎖は構造式に矛盾しない限り任意の位置で分けて、環を構成するR1〜R7に適宜振り分けて炭素数をカウントすることができる。炭素数の合計は、電解液への溶解度の点から、好ましくは3以上14以下であり、より好ましくは3以上10以下である。例えば、R7がメチル基で、R1とR6が一緒になって環を形成している化合物として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン、2,3−ジヒドロ1,3−ジメチル−1−(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3−フェニル−1H−インダン等が挙げられるが、これは(B)の条件を満たす。
R6及びR7が、独立して、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり(ただし、R6及びR7の合計は炭素数3以上20以下である)、R1〜R5が水素である化合物((B)を満たす)。
2,2−ジフェニルブタン、3,3−ジフェニルペンタン、3,3−ジフェニルヘキサン、4,4−ジフェニルヘプタン、5,5−ジフェニルオクタン、6,6−ジフェニルノナン、1,1−ジフェニル−1,1−ジ−tert−ブチル−メタン。
1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニルシクロペンタン、1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサン。
1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン。
1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン。
2,2−ジフェニルブタン、3,3−ジフェニルペンタン、1,1−ジフェニル−1,1−ジ−tert−ブチル−メタン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニルシクロペンタン、1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンである。
2,2−ジフェニルブタン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンである。
本発明の非水系電解液は、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、環状エーテル及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことができる。
中でも、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が、初期特性と高温耐久後特性のバランスの観点から正極上に良質な複合被膜を形成するため好ましい。
フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、及びフッ素非含有カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が、より好ましい。理由としては、比較的低分子量の被膜を負極上に形成するこれら添加剤は、形成される負極被膜が緻密であることから、効率良く式(I)で表される芳香族化合物の副反応による劣化を抑制することが挙げられ、副反応を効果的に抑制しまた抵抗上昇を抑制し、初期や高温耐久時の副反応抑制による体積変化抑制と高温耐久後安全性確保、またレート特性を向上させるためである。
特にフッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、及びフッ素非含有カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が、負極上に形成する添加剤由来の被膜と式(I)で表される芳香族化合物が静電反発を起こし、副反応が特異的に抑制されるので更に好ましい。
本発明の電解液は、更にフッ素含有環状カーボネートを含むことができる。フッ素含有環状カーボネートは、フッ素原子を有する環状カーボネートであれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(I)で表される芳香族化合物とフッ素含有環状カーボネートは、相互に作用して、負極上に複合的な界面保護被膜を形成し、これにより、電池の高温保存特性の向上を図ることができると考えられる。また、同時に、電池に優れた初期レート特性も付与することができる。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
本発明の電解液は、更に硫黄含有有機化合物を含むことができる。硫黄含有有機化合物は、分子内に硫黄原子を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは分子内にS=O基を有している有機化合物であり、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル及び環状亜硫酸エステルが挙げられる。ただしフルオロスルホン酸塩に該当するものは、1−2−2.硫黄含有有機化合物ではなく、後述する電解質であるフルオロスルホン酸塩に包含されるものとする。
これらのエステルは、置換基を有していてもよい。ここで置換基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1以上の原子で構成された基であり、好ましくは、炭素原子、水素原子、酸素原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1以上の原子で構成された基であり、より好ましくは、炭素原子、水素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1以上の原子で構成された基である。置換基としては、ハロゲン原子;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアルコキシ基;シアノ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;カルボキシ基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アルキルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジアルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、好ましくはハロゲン原子;アルコキシ基;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基;イソシアナト基;シアノ基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、非置換アルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;アルコキシカルボニル基又はアシルオキシ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、非置換アルキル基及びアルコキシカルボニル基である。これらの置換基に関する例示及び好ましい例は、後述する式(2−1)におけるA12及びA13、ならびに式(2−2)におけるA14の定義中の置換基に適用される。
(式中、
A12は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下のn21価の炭化水素基であり、
A13は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
n21は、1以上4以下の整数であり、
n21が2の場合、A12及びA13は、同一であっても、異なっていてもよい。)
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基等の1価の炭化水素基;
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の2価の炭化水素基;
アルカントリイル基、アルケントリイル基、アルキントリイル基及びアレーントリイル基等の3価の炭化水素基;
アルカンテトライル基、アルケンテトライル基、アルキンテトライル基及びアレーンテトライル基等の4価の炭化水素基;
等が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基;ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数2以上5以下のアルケニレン基;エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等の炭素数2以上5以下のアルキニレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1〜5のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3以上5以下のアルキレン基である。
3価及び4価の炭化水素基としては、上記1価の炭化水素基に対応する、3価及び4価の炭化水素基が挙げられる。
炭素数1以上12以下の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1〜5のアルキレン基;ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数2〜5のアルケニレン基;
エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等の炭素数2〜5のアルキニレン基等が挙げられる。
これらのうち、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1〜5のアルキレン基ならびにビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数2〜5のアルケニレン基であり、より好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3〜5のアルキレン基ならびに1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数3〜5のアルケニレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基である。
なお、A14における置換基を有していいる炭素数1以上12以下の2価の炭化水素基とは、上記置換基と上記炭素数1以上12以下の2価の炭化水素基を組み合わせた基のことを意味する。A14は、好ましくは置換基を有さない炭素数1以上5以下の2価の炭化水素基である。
フルオロスルホン酸メチル及びフルオロスルホン酸エチル等のフルオロスルホン酸エステル;
メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸2−プロピニル、メタンスルホン酸3−ブチニル、ブスルファン、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸メチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸エチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸3−ブチニル、メタンスルホニルオキシ酢酸メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−プロピニル及びメタンスルホニルオキシ酢酸3−ブチニル等のメタンスルホン酸エステル;
ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニルスルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルスルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギル及び1,2−ビス(ビニルスルホニロキシ)エタン等のアルケニルスルホン酸エステル;
メタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、メタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,2−エタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,2−エタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−プロパンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−ブタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,3−ブタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル等のアルキルジスルホン酸エステル;
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン及び1,5−ペンタンスルトン等のスルトン化合物;
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネート等のジスルホネート化合物;
ジメチルスルフェート、エチルメチルスルフェート及びジエチルスルフェート等のジアルキルスルフェート化合物。
1,2−エチレンスルフェート、1,2−プロピレンスルフェート、1,3−プロピレンスルフェート、1,2−ブチレンスルフェート、1,3−ブチレンスルフェート、1,4−ブチレンスルフェート、1,2−ペンチレンスルフェート、1,3−ペンチレンスルフェート、1,4−ペンチレンスルフェート及び1,5−ペンチレンスルフェート等のアルキレンスルフェート化合物。
ジメチルスルファイト、エチルメチルスルファイト及びジエチルスルファイト等のジアルキルスルファイト化合物。
1,2−エチレンスルファイト、1,2−プロピレンスルファイト、1,3−プロピレンスルファイト、1,2−ブチレンスルファイト、1,3−ブチレンスルファイト、1,4−ブチレンスルファイト、1,2−ペンチレンスルファイト、1,3−ペンチレンスルファイト、1,4−ペンチレンスルファイト及び1,5−ペンチレンスルファイト等のアルキレンスルファイト化合物。
本発明の電解液は、更にリン含有有機化合物を含むことができる。リン含有有機化合物は、分子内に少なくとも1つリン原子を有している有機化合物であれば、特に制限されない。リン含有有機化合物を含有する本発明の電解液を用いた電池は、高温保存後のガス発生が抑制され、回復率も良好であり、かつ良好な初期充放電効率を有する。
(式中、
A6、A7及びA8は、独立して、置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であるが、ただし、A6〜A8のうち少なくとも1つは炭素−炭素不飽和結合を有することとする。)
<炭素−炭素不飽和結合を1つ有する化合物>
ジメチルビニルホスフェート、ジエチルビニルホスフェート、ジプロピルビニルホスフェート、ジブチルビニルホスフェート及びジペンチルビニルホスフェート等のビニル基を有する化合物;
アリルジメチルホスフェート、アリルジエチルホスフェート、アリルジプロピルホスフェート、アリルジブチルホスフェート及びアリルジペンチルホスフェート等のアリル基を有する化合物;
プロパルギルジメチルホスフェート、プロパルギルジエチルホスフェート、プロパルギルジプロピルホスフェート、プロパルギルジブチルホスフェート及びプロパルギルジペンチルホスフェート等のプロパルギル基を有する化合物;
2−アクリロイルオキシメチルジメチルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジプロピルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジブチルホスフェート及び2−アクリロイルオキシメチルジペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシメチル基を有する化合物;
2−アクリロイルオキシエチルジメチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジプロピルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジブチルホスフェート及び2−アクリロイルオキシエチルジペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシエチル基を有する化合物;
メチルジビニルホスフェート、エチルジビニルホスフェート、プロピルジビニルホスフェート、ブチルジビニルホスフェート及びペンチルジビニルホスフェート等のビニル基を有する化合物;
ジアリルメチルホスフェート、ジアリルエチルホスフェート、ジアリルプロピルホスフェート、ジアリルブチルホスフェート及びジアリルペンチルホスフェート等のアリル基を有する化合物;
ジプロパルギルメチルホスフェート、ジプロパルギルエチルホスフェート、ジプロパルギルプロピルホスフェート、ジプロパルギルブチルホスフェート及びジプロパルギルペンチルホスフェート等のプロパルギル基を有する化合物;
ビス(2−アクリロイルオキシメチル)メチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)エチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)プロピルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)ブチルホスフェート及びビス(2−アクリロイルオキシメチル)ペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシメチル基を有する化合物;
ビス(2−アクリロイルオキシエチル)メチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)エチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)プロピルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ブチルホスフェート及びビス(2−アクリロイルオキシエチル)ペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシエチル基を有する化合物;
トリビニルホスフェート、トリアリルホスフェート、トリプロパルギルホスフェート、トリス(2−アクリロイルオキシメチル)ホスフェート及びトリス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート等
これらのうち、電池特性向上の観点から炭素−炭素不飽和結合を3つ有する化合物が好ましく、トリアリルホスフェート及びトリス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェートがより好ましい。
(式中、
A9、A10及びA11は、独立して、非置換又はハロゲン置換の、炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、
n32は、0〜6の整数である。)
トリメチル ホスホノフォルメート、メチル ジエチルホスホノフォルメート、メチル ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ジブチルホスホノフォルメート、トリエチル ホスホノフォルメート、エチル ジメチルホスホノフォルメート、エチル ジプロピルホスホノフォルメート、エチル ジブチルホスホノフォルメート、トリプロピル ホスホノフォルメート、プロピル ジメチルホスホノフォルメート、プロピル ジエチルホスホノフォルメート、プロピル ジブチルホスホノフォルメート、トリブチル ホスホノフォルメート、ブチル ジメチルホスホノフォルメート、ブチル ジエチルホスホノフォルメート、ブチル ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、プロピル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、ブチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート等。
トリメチル ホスホノアセテート、メチル ジエチルホスホノアセテート、メチル ジプロピルホスホノアセテート、メチル ジブチルホスホノアセテート、トリエチル ホスホノアセテート、エチル ジメチルホスホノアセテート、エチル ジプロピルホスホノアセテート、エチル ジブチルホスホノアセテート、トリプロピル ホスホノアセテート、プロピル ジメチルホスホノアセテート、プロピル ジエチルホスホノアセテート、プロピル ジブチルホスホノアセテート、トリブチル ホスホノアセテート、ブチル ジメチルホスホノアセテート、ブチル ジエチルホスホノアセテート、ブチル ジプロピルホスホノアセテート、メチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、プロピル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、ブチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、アリル ジメチルホスホノアセテート、アリル ジエチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジメチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジエチルホスホノアセテート等。
トリメチル 3−ホスホノプロピオネート、メチル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリエチル 3−ホスホノプロピオネート、エチル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリプロピル 3−ホスホノプロピオネート、プロピル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリブチル 3−ホスホノプロピオネート、ブチル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート等。
トリメチル 4−ホスホノブチレート、メチル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、メチル 4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート、メチル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリエチル 4−ホスホノブチレート、エチル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、エチル 4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート、エチル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリプロピル 4−ホスホノブチレート、プロピル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、プロピル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、プロピル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリブチル 4−ホスホノブチレート、ブチル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート等。
本発明の電解液は、シアノ基を有する有機化合物を含むことができる。シアノ基を有する本発明の電解液を用いた電池は、初期容量ロスが小さく、高温保存後のガス発生が抑制される。シアノ基を有する有機化合物としては、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは式(4−1)、式(4−2)及び式(4−3)で表される化合物であり、より好ましくは式(4−1)及び式(4−2)で表される化合物であり、更に好ましくは、式(4−2)で表される化合物である。
A1−CN (4−1)
(式中、Aは炭素数2以上20以下の炭化水素基を示す。)
中でも、分子全体に対するシアノ基の割合が多く、電池特性向上効果が高いという観点から、炭素数2以上15以下の直鎖又は分岐状のアルキル基及び炭素数2以上4以下のアルケニル基がより好ましく、炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐状のアルキル基が更に好ましく、炭素数4以上11以下の直鎖又は分岐状のアルキル基が特に好ましい。
中でも、化合物の安定性、電池特性、製造面の観点から、ペンタンニトリル、オクタンニトリル、デカンニトリル、ドデカンニトリル及びクロトノニトリルが好ましく、ペンタンニトリル、デカンニトリル、ドデカンニトリル及びクロトノニトリルがより好ましく、ペンタンニトリル、デカンニトリル及びクロトノニトリルが好ましい。
NC−A2−CN (4−2)
(式中、
A2は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上10以下の有機基である。)
(式中、
A3は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であり、n43は0以上5以下の整数である。)
上記n43は0以上5以下、好ましくは0以上3以下、より好ましくは0以上1以下の整数であり、特に好ましくは0である。
また、上記A3は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であることが好ましく、水素原子、炭素原子及び酸素原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
ここで置換基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子で構成された基のことを表す。
置換基としては、ハロゲン原子;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アルキルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジアルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子;アルコキシ基又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、更に好ましくは非置換のアルキル基である。
上記脂肪族炭化水素基は、特に制限されないが、炭素数は1以上であることができ、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、12以下であることができ、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。
脂肪族炭化水素基としては、n43に応じて、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、アルカンペンタイル基、アルカンテトライル基、アルケントリイル基、アルケンテトライル基、アルケンペンタイル基、アルケンテトライル基、アルキントリイル基、アルキンテトライル基、アルキンペンタイル基及びアルキンテトライル基等が挙げられる。
これらのうち、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、アルカンペンタイル基及びアルカンテトライル基等の飽和炭化水素基がより好ましく、アルカントリイル基が更に好ましい。
(式中、A4及びA5は、上記A3と同義である。)
また、上記A4及びA5は、置換基を有していていもよい炭素数1以上5以下の炭化水素基であることがより好ましい。
炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラエチレン基、ペンタメチレン基、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等が挙げられる。
これらのうち、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラエチレン基、ペンタメチレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基がより好ましい。
上記A4及びA5は、互いに同一でなく、異なることが好ましい。
本発明の電解液は、イソシアネート基を有する有機化合物を含むことができる。イソシアネート基を有する有機化合物は、分子内に少なくとも1つのイソシアネート基を有する有機化合物であれば、特に制限されない。イソシアネート基の数は、一分子中、好ましくは1以上4以下、より好ましくは2以上3以下、更に好ましくは2である。
等が挙げられる。
本発明の電解液は、ケイ素含有化合物を含むことができる。ケイ素含有化合物は、分子内に少なくとも1つのケイ素原子を有する化合物であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、式(I)で表される芳香族化合物とケイ素含有化合物を併用することによって、初期体積変化率を一層小さくし、高温保存後のレート容量率及び過充電時安全性を向上させることができる。
R61、R62及びR63は、独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数10以下の炭化水素基であり、
X61は、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子からなる群より選ばれる少なくとも1個の原子を含む有機基である。)
ケイ素含有化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメトキシシリル)、ホウ酸トリス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエトキシシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルビニルシリル)及びホウ酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のホウ酸化合物; リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(トリプロピルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)、リン酸トリス(トリメトキシシリル)、リン酸トリス(トリエトキシシリル)、リン酸トリス(トリフエノキシシリル)、リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)及びリン酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のリン酸化合物;
メタンスルホン酸トリメチルシリル、テトラフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のスルホン酸化合物;
ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン及び1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等のジシラン化合物;
等が挙げられる。
本発明の電解液は、式(I)以外の芳香族化合物を含むことができる。
式(I)以外の芳香族化合物としては、分子内に芳香族環を有している式(I)以外の有機化合物であれば特にその種類は限定されないが、好ましくは下記式(7)で表される少なくとも1つの置換基を有する芳香族化合物である。本発明の電解液に、式(I)以外の芳香族化合物を含有させることによって、電解液を用いた電池の過充電時安全性を一層向上させ、良好な高温保存特性を付与することができる。
(式中、
置換基X71はハロゲン原子、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい有機基とは、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基、カルボン酸エステル構造を有する基、カーボネート構造を有する基、リン原子を有する基、硫黄原子を有する基、ケイ素原子を有する基を示す。また、それぞれの置換基は更にハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、ハロゲン含有炭化水素基、ハロゲン含有芳香族基などで置換されていてもよい。また置換基X71の数n71は1以上6以下であり、複数の置換基を有する場合それぞれの置換基は同一でも異なっていてもよく、また環を形成していてもよい。)
置換基X71の数n71は好ましくは1以上5以下であり、より好ましくは1以上3以下であり、更に好ましくは1以上2以下であり、特に好ましくは1である。
ハロゲン原子として、塩素、フッ素等が挙げられ、好ましくはフッ素である。
ヘテロ原子を有さない有機基として、炭素数3以上12以下の直鎖状、分岐状、環状の飽和炭化水素基が挙げられ、直鎖状、分岐状のものは環構造を持つものも含まれる。炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状、環状の飽和炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、等が挙げられる。炭素数は好ましくは3以上12以下、より好ましくは3以上10以下、更に好ましくは3以上8以下、更により好ましくは3以上6以下、最も好ましくは3以上5以下である。
ヘテロ原子を有する有機基を構成するヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等が挙げられる。酸素原子を有するものとして、カルボン酸エステル構造を有する基、カーボネート構造を有する基等が挙げられる。硫黄原子を有するものとして、スルホン酸エステル構造を有する基等が挙げられる。リン原子を有するものとして、リン酸エステル構造を有する基、ホスホン酸エステル構造を有する基等が挙げられる。ケイ素原子を有するものとして、ケイ素―炭素構造を有する基等が挙げられる。
X71がハロゲン原子又はハロゲン原子を有していてもよい有機基であるものとして、
クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等が挙げられ、好ましくはフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼンである。より好ましくはフルオロベンゼンである。
2,2−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルシクロヘキサン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン等が挙げられ、好ましくは2,2−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルシクロヘキサン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンであり、より好ましくは2,2−ジフェニルプロパン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンであり、更に好ましくはシクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンである。
酢酸フェニル、酢酸ベンジル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、酢酸4−フェニルブチル、プロピオン酸フェニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸2−フェニルエチル、プロピオン酸3−フェニルプロピル、プロピオン酸4−フェニルブチル、酪酸フェニル、酪酸ベンジル、酪酸2−フェニルエチル、酪酸3−フェニルプロピル、酪酸4−フェニルブチル、2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパン等が挙げられ、好ましくは酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、プロピオン酸2−フェニルエチル、プロピオン酸3−フェニルプロピル、2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパンであり、より好ましくは酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピルである。
2,2−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)シクロヘキサン、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、
2−tert−ブチルフェニルメチルカーボネート、2−tert−ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(2−tert−ブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニルメチルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ベンジルメチルカーボネート、ベンジルエチルカーボネート、ジベンジルカーボネート等が挙げられ、好ましくは2,2−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)シクロヘキサン体、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、より好ましくはジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、更に好ましくはメチルフェニルカーボネートである。
メチルフェニルスルホネート、エチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、
フェニルメチルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネート等が挙げられ、好ましくはメチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネートであり、より好ましくはメチルフェニルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネートである。
トリメチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルテトラメチルジシラン等が挙げられ、好ましくはトリメチルフェニルシランである。
トリフェニルホスフェート、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、ジエチル(4−メチルベンジル)ホスホネート等が挙げられ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、であり、より好ましくはトリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェートである。
ジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、メチルフェニルフェニルホスホネート、エチルフェニルフェニルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロフェニル)−ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、メチルフェニルベンジルホスホネート、エチルフェニルベンジルホスホネート、ジフェニルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート等が挙げられ、好ましくはジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロフェニル)-ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネートであり、より好ましくはジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネートである。
トリフルオロメチルベンゼン、2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、トリフルオロメチルベンゼン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルベンゼン、2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン2−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等であり、より好ましくは2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン、2−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等である。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」ともいう)としては、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はない。芳香環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。不飽和環状カーボネートを含有する本発明の電解液を用いた電池は、初期不可逆容量及び放電保存後OCVに優れている。フッ素化された炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートは、フッ素含有環状カーボネートに包含されることとする。
炭素−炭素不飽和結合を有し、かつ五員環構造を有する環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環もしくは炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、カテコールカーボネート類が挙げられ、炭素−炭素不飽和結合を有し、かつ六員環構造を有する環状カーボネートとしては、4H−1,3−ジオキシン−2−オン類、等が挙げられる。
4H−1,3−ジオキシン−2−オン類の具体例としては、
4H−1,3−ジオキシン−2−オン、4−メチル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、5−メチル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、6−メチル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、4、5−ジメチル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、4、6−ジメチル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、5、6−ジメチル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、4−フェニル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、5−フェニル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン、6−フェニル−4H−1,3−ジオキシン−2−オン等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたトリメチレンカーボネート類の具体例としては、
4−ビニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,5−ジビニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−5−ビニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−アリル−5−ビニル−1,3−ジオキサン−2−オン、エチニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,5−ジエチニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−5−エチニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−ビニル−5−エチニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−アリル−5−エチニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−フェニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,5−ジフェニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−フェニル−5−ビニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−アリル−5−フェニル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−アリル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,5−ジアリル−1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−5−アリル−1,3−ジオキサン−2−オン等が挙げられる。
本発明の電解液は、フッ素非含有カルボン酸エステルを含むことができる。本発明の電解液において、式(I)で表される芳香族化合物とフッ素非含有カルボン酸エステルを併用することにより、電池の高温保存特性を改善することができる。フッ素非含有カルボン酸エステルは、分子内にフッ素原子を有さないカルボン酸エステルであれば、特に制限されないが、好ましくはフッ素非含有の鎖状カルボン酸エステルである。フッ素非含有の鎖状カルボン酸エステルの総炭素数は、好ましくは3以上7以下、より好ましくは4以上6以下、更に好ましくは5である。
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−tert−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル。
環状エーテルとしては、分子内に環状構造を有するエーテルであれば、特に限定されないが、好ましくは式(10)で表される化合物である。環状エーテルは、電池の高温保存特性の向上に寄与するものであり、本発明の電解液においては、式(I)で表される芳香族化合物と併用することで、良好な初期特性をも保持することができる。
(式中、
A15〜A20は、独立して、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下の炭化水素基を表す。n101は1以上4以下の整数であり、n101が2以上の整数の場合は、複数のA17及びA18は同一であっても異なっていてもよい。)
尚、A15〜A20から選ばれる2つが互いに結合して環を形成してもよい。この場合、A17及びA18で環構造を形成することが好ましい。また、A15〜A20の炭素数の総和が、好ましくは0以上8以下、より好ましくは0以上4以下、更に好ましくは0以上2以下、特に好ましくは0以上1以下である。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の2価の炭化水素基;等が挙げられる。これらのうち、アルキル基、アルキレン基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
炭素数1以上5以下の炭化水素基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1以上5以下のアルキル基;
ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等の炭素数2以上5以下のアルケニル基;
エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の炭素数2以上5以下のアルキニル基;
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基;
ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数2以上5以下のアルケニレン基;
エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等の炭素数2以上5以下のアルキニレン基等が挙げられる。これらのうち、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3以上5以下のアルキレン基である。
R111〜R113は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基を表す。)
なお、R111〜R113は互いに結合して環を形成しない。
また、R111〜R113は、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下の炭化水素基である。
上記炭化水素基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基である。
上記炭素数1以上10以下の炭化水素基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;
ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等のアルキニル基;
フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基;
等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、又は、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等のアルケニル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基であり、更に好ましくは、エチル基、n−プロピル基、2−プロペニル基(アリル基)である。
なお、置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基とは、上記置換基と上記炭素数1以上10以下の炭化水素基を組み合わせた基のことを表し、例えば、2−メチルアリル基(メタリル基)、2−シアノエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基、2−メタクリロイルオキシエチル基などが挙げられ、好ましくは、2−メチルアリル基(メタリル基)、2−アクリロイルオキシエチル基であり、より好ましくは、2−プロペニル基(アリル基)である。ただし、置換基を有さない炭素数1以上10以下の炭化水素基が好ましい。
電解質は特に制限なく、電解質として公知のものを任意に用いることができる。リチウム二次電池の場合は、通常リチウム塩が用いられる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiTaF6、LiWF7等の無機リチウム塩;LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;FSO3Li、CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li等のスルホン酸リチウム塩類;LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート等のリチウム(マロナト)ボレート塩類;リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート等のリチウム(マロナト)ホスフェート塩類;その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;等が挙げられる。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩は、それぞれ、分子内に少なくとも1つのモノフルオロリン酸又はジフルオロリン酸構造を有する塩であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(I)で表される芳香族化合物とモノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩から選ばれる1種以上とを併用することにより、電池の初期充放電後の体積変化を著しく抑制し、過充電時安全性の一層の向上を図ることができる。また、併用によって、電池の初期不可逆容量を小さくし、放電保存特性を向上させることもできる。これと同時に、電池は優れた高温サイクル特性を有することができる。
ホウ酸塩は、分子内にホウ素原子を少なくとも1つ有している塩であれば、特に制限されない。ただしシュウ酸塩に該当するものは、1−3−2.ホウ酸塩ではなく、後述する1−3−3.シュウ酸塩に包含されるものとする。
本発明の電解液において、式(I)で表される芳香族化合物とホウ酸塩とを併用することによって、初期充放電後の体積変化が抑制され、良好な高温サイクル特性を有する電池が得られる。これと同時に、電池は良好な過充電時安全性を有することができる。
シュウ酸塩は、分子内に少なくとも1つのシュウ酸構造を有する化合物であれば、特に制限されない。シュウ酸塩を含有する本発明の電解液を用いた電池は、初期充放電体積変化率が小さく、高温サイクル後の電池の膨れが抑制される
(式中、
M1は、周期表における1族、2族及びアルミニウム(Al)からなる群より選ばれる元素であり、
M2は、遷移金属、周期表の13族、14族及び15族からなる群より選ばれる元素であり、
R91は、ハロゲン、炭素数1以上11以下のアルキル基及び炭素数1以上11以下のハロゲン置換アルキル基からなる群より選ばれる基であり、
a及びbは正の整数であり、
cは0又は正の整数であり、
dは1〜3の整数である。)
M2は、リチウム二次電池に用いる場合の電気化学的安定性の点で、ホウ素及びリンが特に好ましい。
R91としては、フッ素、塩素、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、フッ素、トリフルオロメチル基が好ましい。
リチウムジフルオロオキサラトボレート及びリチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;
これらのうち、リチウムビス(オキサラト)ボレート及びリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートが好ましく、リチウムビス(オキサラト)ボレートがより好ましい。
フルオロスルホン酸塩としては、分子内に少なくとも1つのフルオロスルホン酸構造を有している塩であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(I)で表される芳香族化合物とフルオロスルホン酸塩とを併用することにより、電池の初期不可逆容量を小さくし、高温サイクル特性を向上させることができる。この電池は、過充電時安全性も確保されている。
本発明における非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。具体的には、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル系化合物、スルホン系化合物等が挙げられる。
また、本明細書において、非水溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有する環状カーボネートが挙げられる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7の鎖状カーボネートが好ましく、炭素数3〜7のジアルキルカーボネートがより好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、tert−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、tert−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と記載する場合がある)も好適に用いることができる。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
環状カルボン酸エステルとしては、炭素数が3〜12のものが好ましい。
具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲であれば、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルの配合量は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。このように上限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていてもよい炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、
ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
エーテル系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上、また、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、更に好ましくは50体積%以下である。この範囲であれば、鎖状エーテルのリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質が炭素質材料の場合、鎖状エーテルがリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
炭素数3〜6の環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;
ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と記載する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、tert−ブチルメチルスルホン、tert−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−tert−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−tert−ブチルスルホン等が挙げられる。
スルホン系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは5体積%以上であり、また、好ましくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは30体積%以下である。この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
本発明の非水溶媒として、上記例示した非水溶媒1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、非水溶媒の好ましい組合せの1つとして、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せが挙げられる。
例えば、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組み合わせとしては、
エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
これらのエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは2体積%以上、また、好ましくは20体積%以下、より好ましくは8体積%以下、更に好ましくは5体積%以下である。
非水溶媒中にジメチルカーボネートを含有する場合は、全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートの割合が、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは25体積%以上、特に好ましくは30体積%以上であり、また、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは75体積%以下、特に好ましくは、70体積%以下となる範囲で含有させると、電池の負荷特性が向上することがある。
全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、電解液の電気伝導度の向上と保存後の電池特性を向上させる点で、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。上記体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、低温での電池特性を向上の点で、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。
本発明の電解液電池において、上記化合物以外に、目的に応じて適宜助剤を用いてもよい。助剤としては、以下に示される助剤等が挙げられる。
本発明の電解液電池は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、例えばリチウム
二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の電解液を用いた非水系電解液電池について説明する。
本発明の電解液電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能な負極及び正極と、上記の本発明の電解液とを備える。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が
挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質ならびに人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処
理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ
/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性を有する炭素質からなり、かつ
/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。また、(1)〜(4)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記金属酸化物が、式(A)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、式(A)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
[式(A)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
上記の式(A)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下が更に好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることが更に好ましい。
炭素質材料の質量基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
ラマンR値及びラマン半値幅は、炭素質材料表面の結晶性を示す指標であるが、炭素質材料は、化学的安定性の観点から適度な結晶性が有し、かつ充放電によってLiが入り込む層間のサイトを消失しない、即ち充電受入性が低下しない程度の結晶性であることが好ましい。なお、集電体に塗布した後のプレスによって負極を高密度化する場合には、電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなるため、それを考慮することが好ましい。ラマンR値又はラマン半値幅が上記範囲であると、負極表面に好適な被膜を形成して保存特性やサイクル特性、負荷特性を向上させることができるとともに、非水系電解液との反応に伴う効率の低下やガス発生を抑制することができる。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上が更に好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下が更に好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど、充填性が向上し、粒子間の抵抗を抑えることができるため、高電流密度充放電特性は向上する。従って、円形度が上記範囲のように高いほど好ましい。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上が更に好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、粒子間の抵抗の増大を抑制することができる。
(配向比)
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲であると、優れた高密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下が更に好ましい。上記範囲であると、極板化時のスジ引きを抑制し、更に均一な塗布が可能となるため、優れた高電流密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
集電体の厚さは、電池容量の確保、取扱い性の観点から、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上が更に好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、高電流密度充放電時における集電体の発熱を抑制することができる。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、ならびに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下が更に好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲であると、負極活物質粒子の破壊を防止して、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を抑制することができる一方、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
また、上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
(形状)
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成していてもよい。
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、更に好ましくは1.0g/cm3以上である。該正極活物質のタップ密度が上記範囲であると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量及び導電材や結着剤の必要量を抑えることができ、結果正極活物質の充填率及び電池容量を確保することができる。タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.7g/cm3以下、更に好ましくは3.5g/cm3以下である。上記範囲であると負荷特性の低下を抑制することができる。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、更に好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記範囲であると、高タップ密度品が得られ、電池性能の低下を抑制できる一方、電池の正極作製、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化して薄膜状に塗布する際に、スジ引き等の問題を防止することができる。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種以上混合することで、正極作製時の充填性を更に向上させることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記範囲であると、粉体充填性及び比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制することができる一方、適度な結晶性が得られることによって、充放電の可逆性を確保することができる。
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.2m2/g以上、更に好ましくは0.3m2/g以上であり、上限は50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、更に好ましくは30m2/g以下である。BET比表面積が上記範囲であると、電池性能を確保できるとともに、正極活性物質の塗布性を良好に保つことができる。
なお、本発明では、BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、ならびに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることにより正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。上記範囲であると、十分な導電性と電池容量を確保することができる。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤、ならびに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系媒体としては、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、下限は、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。上記範囲であると、高電流密度充放電時の集電体の発熱を抑制し、電池容量を確保することができる。
本発明の電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、更に好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用したり、積層されたものを使用してもよい。2種以上を任意の組み合わせで積層したものの具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンの順で積層された三層セパレータなどが挙げられる。
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上が更に好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下が更に好ましい。空孔率が、上記範囲であると、絶縁性及び機械的強度を確保できる一方、膜抵抗を抑え良好なレート特性を得ることができる。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の質量が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲であると、電池容量を確保できるとともに内部圧力の上昇に伴う充放電繰り返し性能や高温保存等の特性低下を抑制し、更にはガス放出弁の作動を防止することができる。
集電構造は、特に制限されないが、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。電極群が上記の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。一枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が上記の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(PositiveTemperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
実施例1−1〜1−4及び比較例1−1〜1−7の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[初期特性評価]
シート状非水系電解液二次電池を、エタノール浴中に浸して浮力を測定した。電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.3Cに相当する定電流で4.1Vまで充電した後、0.3Cの定電流で3Vまで放電した。この時の充電容量と放電容量の差を初期不可逆容量、充電容量と放電容量の比を初期効率とした。充放電を3サイクル行って電池を安定させた後、また0.3Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.3Cの定電流で3Vまで放電したときの放電容量を初期0.3C容量とした。次に同様に充電後、3.0Cの定電流で3Vまで放電して、初期3C容量とした。更に同様に充電後、5.0Cの定電流で3Vまで放電し初期5C容量とした。1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.3Cとはその0.3倍の電流値を表す。
上記の方法で作成したシート状非水系電解液二次電池を0.3Cの定電流で4.2Vまで充電後、電流値が0.05Cになるまで充電を実施しこの電池を45℃の恒温槽中で3時間温度が安定するまで放置した後、1.0Cに相当する電流値で48分過充電した。20分放置後、電池のOCVを測定し、電池を取り出して再びエタノール浴中に浸して浮力を測定し、初期特性評価前の電池と過充電後電池の体積変化を測定し、過充電ガス量とした。
過充電試験後の電池のOCVが低い方が、過充電深度が低く、過充電時の安全性が高い。また、過充電後のガス発生量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができるので好ましい。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比3:4:3)に非水系電解液中の含有量として2.99質量%となるようにジフェニルシクロヘキサンを添加し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わり1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)―ベンゼンを2.6質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例1−3)
実施例1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わり1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)―ベンゼンを2.6質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例1−4)
実施例1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わり1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを3.0質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1−1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンを添加しなかった以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1−2)
実施例1−1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わりシクロヘキシルベンゼンを2.0質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1−3)
実施例1−1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わり2,2−ジフェニルプロパンを2.5質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1−4)
実施例1−1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わり2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパンを2.0質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1−5)
実施例1−1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わりジフェニルメタンを2.5質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1−6)
実施例1−1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わり水素化ターフェニル(水素化率52.8%)
(内訳 1,3−ジシクロヘキシルベンゼン 28.3質量%
3−フェニルジシクロヘキシル 30.7質量%
1,3−ジフェニルシクロヘキサン 22.8質量%
3−シクロヘキシルビフェニル 18.2質量%)
を3.0質量%添加した以外、実施例1−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1−7)
実施例1−1の電解液において、ジフェニルシクロヘキサンに代わり2,2−ビス−(4−tert−ブチルフェニル)−プロパンを3.9質量%添加した以外、実施例1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、過充電特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1−5及び比較例1−8〜1−10の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.05Cに相当する定電流で6時間充電を行い、その後0.2Cの定電流で4.1Vまで充電し、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。更に0.2Cで4.4Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
上述のように電池を安定させた後、25℃において0.2Cで4.4Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、60℃において0.2Cで4.4Vの定電流−定電圧充電を68時間行った。68時間時点での電流値を高温連続充電の電流値として評価した。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(MEC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比3:4:3)に非水系電解液中の含有量として4質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、高温連続充電特性評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1−5の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンに代わりシクロヘキシルベンゼン(CHB)を添加した以外、実施例1−5と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例1−9)
実施例1−5の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンに代わりtert−アミルベンゼン(TAB)を添加した以外、実施例1−5と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例1−10)
実施例1−5の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例1−5と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例2−1〜2−2及び比較例2−1〜2−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%を添加して実施例2−1の非水系電解液を調製した。
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液電池を作製した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。その後、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(以下適宜「CC−CV充電」という)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.35VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電した。これを二度繰り返し、二度目の放電容量を初期0.2C容量とした。更に、0.2Cで4.35VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3Vまで再度放電し、初期0.5C容量を求めた。そして、(初期0.5C容量)÷(初期0.2C容量)×100の計算式から、初期レート特性を求めた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、25℃において、0.2Cで4.35VまでCC−CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3Vまで放電させ、高温保存特性評価後に残存している容量を測定し、初期容量に対する容量の割合を求め、これを残存率(%)とした。更に、0.2Cで4.35VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期容量に対する容量の割合を求め、これを回復率(%)とした。
上記作製した非水系電解液電池を用いて、初期容量評価ならびに高温保存特性評価を実施した。評価結果を、比較例2−1を100.0%としたときの相対値で表3に示す。以下も同様とする。
実施例2−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0量%及びモノフルオロエチレンカーボネート5.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例2−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。
(比較例2−1)
実施例2−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例2−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。
(比較例2−2)
実施例2−2の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例2−2と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。
実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で1時間半充電を行い、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。この時の充電容量と放電容量の差を初期不可逆容量とした。更に0.2Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.5Cとはその1/2倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[放電保存特性評価]
上述のように電池を安定させた後、25℃において、3Vまで定電流−定電圧充電(2時間カット)を行った後、60℃で140時間保存し、開回路電圧(OCV)を測定した。
[正極の製造]
正極活物質としてのリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック5質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合物(容量比3:7)に非水系電解液中の含有量として1.5質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと1質量%となるようにジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)を添加し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、放電保存特性評価を行った。評価結果を表4に示す。
実施例1の電解液において、LiPO2F2を添加しなかった以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。
(比較例3−1)
実施例3−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。
(比較例3−2)
実施例3−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンとLiPO2F2ともに添加しなかった以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。
実施例4−1〜4−2及び比較例4−1の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、エタノール浴中に浸して浮力を測定した。次に電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、0.3Cの定電流で3Vまで放電した。この時の充電容量と放電容量の比を初期充放電効率とした。更に0.3Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.3Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を、0.3Cとはその3/10の電流値を表す。
[高温サイクル特性評価]
上述のように電池を安定させた後、60℃において2Cの定電流で4.2Vまでの充電と3Vまでの放電を300サイクル繰り返した。その後、25℃で電池をエタノール浴中に浸して浮力を測定した。初期充放電前と300サイクル後の浮力の差を300サイクルガス量とした。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片側に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比3:3:4)に非水系電解液中の含有量として3.0質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと、0.5質量%となるようにリチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)を添加した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、高温サイクル特性評価、過充電評価を行った。評価結果を表5に示す。
実施例4−1の電解液において、LiBF4を添加しなかった以外、実施例4−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
(比較例4−1)
実施例4−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンとLiBF4を添加しなかった以外、実施例4−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価、過充電評価を行った。評価結果を表5に示す。
実施例5−1〜5−3及び比較例5−1〜5−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、0.3Cの定電流で3Vまで放電した。更に0.3Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.3Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。この電池を、エタノール浴中に浸して浮力を測定した。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を、0.3Cとはその3/10の電流値を表す。
[高温サイクル特性評価]
上述のように電池を安定させた後、60℃において2Cの定電流で4.2Vまでの充電と3Vまでの放電を300サイクル繰り返した。その後、25℃で電池をエタノール浴中に浸して浮力を測定した。初期充放電後と300サイクル後の浮力の変化率を300サイクル後体積変化率とした。
[過充電特性評価]
上述の評価後の電池を4.2Vに充電した後、電池をエタノール浴中に浸して浮力を測定した。その後、45℃において0.5Cの定電流で1.6時間の過充電を行った。その後、25℃で電池をエタノール浴中に浸して浮力を測定した。初期充放電後の浮力と過充電後の浮力の差を過充電ガス量とした。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比3:3:4)に非水系電解液中の含有量として3.0質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと、0.5質量%となるようにフルオロスルホン酸リチウム(LiFSO3)を添加した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、高温サイクル特性評価、過充電評価を行った。評価結果を表6に示す。
実施例5−1の電解液において、LiFSO3に代わりリチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を添加した以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
(実施例5−3)
実施例5−1の電解液において、LiFSO3を添加しなかった以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
(比較例5−1)
実施例5−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンとLiFSO3を添加しなかった以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
(比較例5−2)
実施例5−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
実施例6−1〜6−2及び比較例6−1〜6−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、エタノール浴中に浸して浮力を測定した。次に電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.05Cに相当する定電流で6時間充電を行い、その後0.2Cの定電流で4.1Vまで充電し、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。更に0.2Cで4.25Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。再び電池をエタノール浴中に浸して浮力を測定した。初期充放電前後の浮力の差を初期膨れとした。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[高温保存特性評価]
上述のように電池を安定させた後、25℃において0.2Cで4.25Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、60℃の恒温槽において10日間高温保存を行った。高温保存試験後の電池を、25℃においてエタノール浴中に浸して浮力を測定した。初期充放電前と高温保存試験後の浮力の差を保存膨れとした。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比28:5:38:29)に非水系電解液中の含有量として0.5質量%となるようにビニレンカーボネートを添加した。
次いで、非水系電解液中の含有量として2.0質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと、0.5質量%となるように1,4−ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチルを添加した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、高温保存特性評価を行った。評価結果を表7に示す。
実施例6−1の電解液において1,4−ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチルを添加しなかった以外、実施例6−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例6−1)
実施例6−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと1,4−ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチルを添加しなかった以外、実施例6−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例6−2)
実施例6−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例6−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表7に示す。
実施例6−3〜6−4及び比較例6−3〜6−4の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。更にかかる電解液に対して、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC」という)5.0質量%を添加し基本電解液とした。この基本電解液に対して、添加剤として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%を添加して実施例6−3の非水系電解液を調製した。
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液電池を作製した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。この時の充電容量と放電容量の差分を初回充放電ロスとした。その後、0.2Cに相当する電流で4.1VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置しエージングを実施した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。この時のエージング前充電容量とエージング後放電容量の差分をエージングロスとし、上記初回充放電ロスとの和分を初期容量ロスとした。次いで、0.2Cで4.40VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電した。これを二度繰り返し、二度目の放電容量を初期0.2C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[高温保存特性評価]
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、25℃において、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3Vまで放電させた。更に、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.052Cで3Vまで再度放電し、初期容量に対する容量の割合を求め、これを回復率(0.05C)(%)とした。
[過充電特性評価試験]
高温保存特性評価を行った後の非水系電解液電池を、再度25℃において1/3Cの定電流で4.4VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸して体積を測定した。その後、45℃において0.5Cで7Vまでまで定電流放電を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電特性評価試験の前後の体積変化から発生した過充電ガス量を求めた。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
上記作製した非水系電解液電池を用いて、初期特性評価、高温保存特性評価ならびに過充電特性評価試験を実施した。評価結果を、比較例6−3を100.0%としたときの相対値で表8に示す。以下も同様とする。
実施例6−3の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0量%及び1,3−プロパンスルトン2.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例6−3と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表8に示す。
(比較例6−3)
実施例6−3の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例6−3と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表8に示す。
(比較例6−4)
実施例6−4の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例6−4と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表8に示す。
実施例7−1〜7−2及び比較例7−1〜7−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(以下、適宜、「EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。更にかかる電解液に対して、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)5.0質量%を添加し基本電解液とした。この基本電解液に対して、添加剤として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%を添加して実施例7−1の非水系電解液を調製した。
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液電池を作製した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。その後、0.2Cに相当する電流で4.1VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置しエージングを実施した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.40VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電した。これを二度繰り返し、二度目の放電容量を初期容量とした。また、この時の充電容量に対する放電容量の割合を初期充放電効率(%)とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[高温保存特性評価]
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、25℃において、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前後の体積変化から発生ガス量を求めた。次に25℃において0.2Cで3Vまで放電させた。更に、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.05Cで3Vまで再度放電し、初期容量に対する容量の割合を求め、これを回復率(%)とした。
上記作製した非水系電解液電池を用いて、初期特性評価ならびに高温保存特性評価を実施した。評価結果を、比較例7−1を100.0%としたときの相対値で表9に示す。以下も同様に相対値で示す。以下も同様とする。
実施例7−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0量%及びジエチルホスホノ酢酸エチル0.5質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例7−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表9に示す。
(比較例7−1]
実施例7−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例7−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表9に示す。
(比較例7−2)
実施例7−2の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例7−2と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表9に示す。
実施例8−1〜8−3及び比較例8−1〜8−3の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。更にかかる電解液に対して、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)5.0質量%を添加し基本電解液とした。この基本電解液に対して、添加剤として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%を添加して実施例8−1の非水系電解液を調製した。
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液電池を作製した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。この時の充電容量と放電容量の差分を初回充放電ロスとした。その後、0.2Cに相当する電流で4.1VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置しエージングを実施した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。この時のエージング前充電容量とエージング後放電容量の差分をエージングロスとし、上記初回充放電ロスとの和分を初期容量ロスとした。次いで、0.2Cで4.40VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電した。これを二度繰り返し、二度目の放電容量を初期容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[高温保存特性評価]
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、25℃において、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前後の体積変化から発生ガス量を求めた。
上記作製した非水系電解液電池を用いて、高温保存特性評価を実施した。評価結果を、比較例8−1を100.0%としたときの相対値で表10に示す。以下も同様とする。
実施例8−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0量%及びスクシノニトリル3.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例8−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表10に示す。
(実施例8−3)
実施例8−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0量%及び1,2,3−プロパントリカルボニトリル3.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例8−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表10に示す。
(比較例8−1)
実施例8−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例8−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表10に示す。
(比較例8−2)
実施例8−2の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例8−2と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表10に示す。
(比較例8−3)
実施例8−3の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例8−3と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表10に示す。
実施例9−1及び比較例9−1〜9−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、0.3Cの定電流で3Vまで放電した。更に0.3Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.3Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。この時の、2回目の充電電流と放電電流の比を高温サイクル前0.3C充放電効率とした。この後、エタノール浴中に浸して浮力を測定し、初期充放電後の浮力とした。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を、0.3Cとはその3/10の電流値を表す。
[高温サイクル特性評価]
上述のように電池を安定させた後、60℃において2Cの定電流で4.2Vまでの充電と3Vまでの放電を300サイクル繰り返した。
[過充電特性評価]
上述の高温サイクル特性評価後の電池を4.2Vに充電した後、45℃において0.5Cの定電流で1.6時間の過充電を行った。その後、25℃で電池をエタノール浴中に浸して浮力を測定した。初期充放電後の浮力と過充電後の浮力の差を高温サイクル後過充電ガス量とした。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比3:3:4)に非水系電解液中の含有量として3.0質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと、0.5質量%となるようにリチウム ビスオキサラートボレート(LiBOB)を添加した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、高温サイクル特性評価、過充電評価を行った。評価結果を表11に示す。
実施例9−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンとLiBOBを添加しなかった以外、実施例9−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表11に示す。
(比較例9−2)
実施例9−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例9−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表11に示す。
実施例10−1〜10−2及び比較例10−1〜10−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
正極活物質としてリチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)85質量%と、導電材としてアセチレンブラック10質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ21μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
平均粒子径0.2μmのSi微粒子50gを平均粒径35μmの鱗片状黒鉛2000g中に分散させ、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)に投入し、ローター回転数7000rpm、180秒装置内を循環又は滞留させて処理し、Siと黒鉛粒子の複合体を得た。得られた複合体を、焼成後の被覆率が7.5%になるように炭素質物となる有機化合物としてコールタールピッチを混合し、2軸混練機により混練・分散させた。得られた分散物を、焼成炉に導入し、窒素雰囲気下1000℃、3時間焼成した。得られた焼成物は、更にハンマーミルで粉砕後、篩(45μm)を実施し、負極活物質を作製した。上記測定法で測定した、珪素元素の含有量、平均粒径d50、タップ密度、比表面積はそれぞれ、2.0質量%、20μm、1.0g/cm3、7.2m2/gであった。
上記負極活物質を97.5質量部、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、負極活物質:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1:1.5の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合物(体積容量比3:7)に、十分に乾燥させたLiPF6を1モル/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に、ビニレンカーボネート(VC)とフルオロエチレンカーボネート(MFEC)をそれぞれ2.0質量%添加した(これを基準電解液1と呼ぶ)。実施例10−1〜1−2、比較例10−1〜10−2は基準電解液1全体に対して、下記表12に記載の割合で化合物を加えて電解液を調製した。ただし、比較例10−1は基準電解液1そのものである。
[非水系電解液電池(ラミネート型)の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素をアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
[高温保存試験]
25℃の恒温槽中、ラミネート型セルの非水系電解液二次電池を0.05Cに相当する電流で4.0Vまで定電流−定電圧充電を行った。その後、0.05Cで2.5Vまで放電した。続いて0.2Cで4.0VまでCC−CV充電した後、0.2Cで2.5Vまで放電し、0.2Cで4.2VまでCC−CV充電した後、0.2Cで2.5Vまで放電し非水系電解液二次電池を安定させた。その後、0.2Cで4.3VまでCC−CV充電を行った後、0.2Cで2.5Vまで放電させ初期のコンディショニングを行った。続いて0.2Cで4.2VまでCC−CV充電した後、0.2C・0.5Cで2.5Vまで放電し、得られた0.2C・0.5C容量の比(0.5C/0.2C)の百分率を「0.5C/0.2C負荷」とした。
下記表12に、比較例10−1の値で規格化した、0.5C/0.2C負荷を示す。
初期コンディショニング後のセルを0.2Cで4.3VまでCC−CV充電を行った後、60℃、168時間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、保存試験前後の体積変化から発生ガス量を求め、これを「保存ガス量」とした。
下記表12に、比較例10−1の値で規格化した、保存ガス量を示す。
上述の評価後の電池を4.2Vに充電した後、45℃において0.5Cの定電流で1.6時間の過充電を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電試験前後の体積変化から発生ガス量を求め、これを「過充電ガス量」とした。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
下記表12に、比較例10−1の値で規格化した、過充電ガス量を示す。
実施例10−3〜10−4及び比較例10−3〜10−4の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.05Cに相当する定電流で10時間充電を行い、その後0.2Cの定電流で4.1Vまで充電し、0.3Cの定電流で3Vまで放電した。更に0.3Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.3Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。この時の2回目の放電容量を初期容量とした。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を、0.3Cとはその3/10の電流値を表す。
[高温サイクル特性評価]
上述のように電池を安定させた後、60℃において2Cの定電流で4.2Vまでの充電と3Vまでの放電を100サイクル繰り返した。その後、0.3Cの定電流で3Vまで放電し、0.3Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.3Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、2回目の放電容量を高温サイクル後容量として評価した。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比3:3:4)に非水系電解液中の含有量として0.5質量%となるようにビニレンカーボネートと、0.5質量%となるようにジフルオロリン酸リチウムを添加した。
更に0.5質量%となるようにトリアリルイソシアヌレート(TAIC)と、3.5質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、高温サイクル特性評価を行った。評価結果を表13に示す。
実施例10−3の電解液において、TAICを添加しなかった以外、実施例10−3と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表13に示す。
(比較例10−3)
実施例10−3の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例10−3と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表13に示す。
(比較例10−4)
実施例10−3の電解液において、TAICと1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例10−3と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表13に示す。
また、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと共にイソシアヌル酸骨格を有する化合物を添加した実施例10−4の電池は、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンのみを添加した実施例10−3の電池と比べて、初期容量に優れながら、高温サイクル後容量を劣化させない点で優れていることが明らかである。
実施例11−1〜11−2及び比較例11−1〜11−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、エタノール浴中に浸して浮力を測定した。次に電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.05Cに相当する定電流で6時間充電を行い、その後0.2Cの定電流で4.1Vまで充電し、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。更に0.2Cで4.25Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。再び電池をエタノール浴中に浸して浮力を測定した。初期充放電前後の浮力の変化率を初期体積変化率とした。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[高温保存特性評価]
上述のように電池を安定させた後、25℃において0.2Cで4.25Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、60℃の恒温槽において10日間高温保存を行った。その後、25℃において0.3Cの定電流で3Vまで放電し、0.3Cで4.25Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.3Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、2回目の放電容量を高温保存後0.3C容量として評価した。次に0.3Cで4.25Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、1Cの定電流で3Vまで放電し、放電容量を高温保存後1C容量とした。高温保存後の0.3C容量に対する1C容量を高温保存後1Cレート容量率とした。
[過充電特性評価]
上述の評価後の電池を0.3Cで4.25Vに定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、45℃において0.5Cの定電流で1.6時間の過充電を行い、過充電終了後の電池電圧を過充電後OCVとした。
なお、過充電後OCVが低いほど、過充電等の異常により電圧が異常に上昇したときに正極が自己崩壊する電位に到達しにくく、その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比28:5:38:29)に非水系電解液中の含有量として0.5質量%となるようにビニレンカーボネートを添加した。次いで、非水系電解液中の含有量として2質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと、0.5質量%となるようにヘキサメチルジシランを添加した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、高温保存特性評価を行った。評価結果を表14に示す。
実施例11−1の電解液においてヘキサメチルジシランを添加しなかった以外、実施例11−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表14に示す。
(比較例11−1)
実施例11−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンとヘキサメチルジシランを添加しなかった以外、実施例11−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表14に示す。
(比較例11−2)
実施例11−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例11−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表14に示す。
実施例12−1〜12−6及び比較例12−1〜12−6の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%を添加して実施例12−1の非水系電解液を調製した。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液電池を作製した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(以下適宜「CC−CV充電)(0.05Cカット)した後、1/3Cで3.0Vまで定電流放電を行った。その後、1/3Cに相当する電流で4.1VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、60℃、12時間の条件下で放置した。電池を十分に冷却させた後、1/3Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、1/3Cで4.2VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、1/3Cで3Vまで再度放電し、電池の初期コンディショニングを行った。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[過充電特性評価試験]
初期コンディショニングの終了した電池を、再度25℃において1/3Cの定電流で4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸して体積を測定した。その後、45℃において1C電流を0.8時間印加した。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電特性評価試験の前後の体積変化から発生した過充電ガス量を求めた。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、過充電特性評価試験を実施した。評価結果を、比較例12−1を100.0%としたときの相対値で表15に示す。以下も同様とする。
実施例12−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0量%及びシクロヘキシルベンゼン(CHB)1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例12−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(実施例12−3)
実施例12−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0量%及び酢酸2−フェニルエチル1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例12−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(実施例12−4)
実施例12−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0量%及び酢酸3−フェニルプロピル1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例12−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(実施例12−5)
実施例12−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0量%及びジフェニルカーボネート1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例12−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(実施例12−6)
実施例12−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0量%及びジフルオロベンゼン1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例12−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(比較例12−1)
実施例12−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(比較例12−2)
実施例12−2の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−2と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(比較例12−3)
実施例12−3の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−3と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(比較例12−4)
実施例12−4の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−4と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(比較例12−5)
実施例12−5の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−5と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
(比較例12−6)
実施例12−6の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−6と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表15に示す。
また、式(I)以外の芳香族化合物が単独で添加されている場合(比較例12−2〜12−6)には、過充電ガス量の増加は見られるものの、その量は少なく、過充電特性としては不十分であることがわかる。なお、実施例12−1〜12−6の結果より、式(I)で表される芳香族化合物と式(I)以外の芳香族化合物を併用することで、顕著な過充電特性向上効果を確認することができ、電池安全性を著しく向上することがわかる。
実施例12−7〜12−9及び比較例12−7〜12−9の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、EC、EMC及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。更にかかる電解液に対して、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)5.0質量%を添加し基本電解液とした。この基本電解液に対して、添加剤として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%を添加して実施例12−7の非水系電解液を調製した。
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液電池を作製した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。その後、0.2Cに相当する電流で4.1VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.35VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、これを初期0,2C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、25℃において、0.2Cで4.35VまでCC−CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3Vまで放電させ、更に、0.2Cで4.35VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期容量に対する容量の割合を求め、これを回復率(%)とした。
上記作製した非水系電解液電池を用いて、初期容量評価ならびに高温保存特性評価を実施した。評価結果を、比較例12−7を100.0%としたときの相対値で表16に示す。以下も同様とする。
実施例12−7の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0量%及びCHB1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例12−7と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表16に示す。
(実施例12−9)
実施例12−7の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0質量%の代わりに、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン3.0量%及び酢酸2−フェニルエチル1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例12−7と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表16に示す。
(比較例12−7)
実施例12−7の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−7と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表16に示す。
(比較例12−8)
実施例12−8の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−8と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表16に示す。
(比較例12−9)
実施例12−9の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例12−9と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表16に示す。
実施例13−1及び比較例13−1〜13−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で1時間半充電を行い、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。この時の充電容量と放電容量の差を初期不可逆容量とした。更に0.2Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.5Cとはその1/2倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[放電保存特性評価]
上述のように電池を安定させた後、25℃において、3Vまで定電流−定電圧充電(2時間カット)を行った後、60℃で140時間保存し、開回路電圧(OCV)を測定した。
[正極の製造]
正極活物質としてのリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック5質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比3:7)に非水系電解液中の含有量として1.5質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと1質量%となるようにビニレンカーボネート(VC)を添加し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価、放電保存特性評価を行った。評価結果を表17に示す。
実施例13−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかったこと以外、実施例13−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表17に示す。
(比較例13−2)
実施例13−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンとビニレンカーボネートをともに添加しなかった以外、実施例13−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表17に示す。
実施例14−1〜14−2及び比較例14−1〜14−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。更にかかる電解液に対して、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)5.0質量%を添加し基本電解液とした。この基本電解液に対して、添加剤として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン1.0質量%を添加して実施例14−1の非水系電解液を調製した。
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液電池を作製した。
[初期特性評価]
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。この時の充電容量と放電容量の差分を初回充放電ロスとした。その後、0.2Cに相当する電流で4.1VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置しエージングを実施した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。この時のエージング前充電容量とエージング後放電容量の差分をエージングロスとし、上記初回充放電ロスとの和分を初期容量ロスとした。次いで、0.2Cで4.40VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、これを初期容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、25℃において、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3Vまで放電させた。更に、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期容量に対する容量の割合を求め、これを回復率(0.2C)(%)とした。次いで、0.2Cで4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3Vまで再度放電し、初期容量に対する容量の割合を求め、これを回復率(0.5C)(%)とした。
上記作製した非水系電解液電池を用いて、初期特性評価ならびに高温保存特性評価を実施した。評価結果を、比較例14−1を100.0%としたときの相対値で表18に示す。以下も同様とする。
実施例14−1の電解液において、EMCの代わりに、プロピオン酸エチル(EP)を溶媒として基本電解液を作成した以外、実施例14−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表18に示す。
(比較例14−1)
実施例14−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例14−1と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表18に示す。
(比較例14−2)
実施例14−2の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを含まない電解液を用いた以外、実施例14−2と同様にして非水系電解液電池を作製し、評価を実施した。評価結果を表18に示す。
実施例15−1〜15−2及び比較例15−1〜15−2の電池の製造方法及び評価方法を以下に示す。
シート状非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.05Cに相当する定電流で6時間充電を行い、その後0.2Cの定電流で4.1Vまで充電し、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。この時の充電容量と放電容量の差を初期不可逆容量とした。更に0.2Cで4.25Vまで定電流−定電圧充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電することを2回繰り返して、電池を安定させた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[正極の製造]
正極活物質としてリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
[負極の製造]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合物(容量比28:5:38:29)に非水系電解液中の含有量として0.5質量%となるようにビニレンカーボネートを添加した。
次いで、非水系電解液中の含有量として2.0質量%となるように1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと、0.5質量%となるように1,3−ジオキサンを添加した。
次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、非水系電解液二次電池を作製し、初期特性評価を行った。評価結果を表19に示す。
実施例15−1の電解液において1,3−ジオキサンを添加しなかった以外、実施例15−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表19に示す。
(比較例15−1)
実施例15−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンと1,3−ジオキサンを添加しなかった以外、実施例15−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表19に示す。
(比較例15−2)
実施例15−1の電解液において、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンを添加しなかった以外、実施例15−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表19に示す。
Claims (14)
- 電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、更に式(I):
(式中、
R1〜R5は、独立して、水素、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、
R6及びR7は、独立して、炭素数1以上12以下の炭化水素基であるが、
R1〜R7のうち少なくとも2つは一緒になって環を形成していてもよく、
ただし、式(I)は、(A)及び(B):
(A)R1〜R5のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R1〜R7の炭素数の合計は、3以上20以下である、
のうち少なくとも一方の条件を満たす)
で表される芳香族化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。 - 前記式(I)におけるR1、R6及びR7のうち2つが一緒になって環を形成している、請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記式(I)におけるR1とR6が一緒になって環を形成している、請求項2に記載の非水系電解液。
- 前記式(I)におけるR1〜R5のうち少なくとも1つが、炭素数1以上5以下の炭化水素基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記式(I)で表される芳香族化合物が、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンである、請求項3又は4に記載の非水系電解液。
- 前記式(I)におけるR6とR7が一緒になって環を形成している、請求項2に記載の非水系電解液。
- 前記式(I)で表される芳香族化合物が、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニルシクロペンタン又は1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサンである、請求項6記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、式(I)で表される芳香族化合物を、0.001質量%以上10質量%以下で含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、2種以上の電解質を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 2種以上の電解質が、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項9に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、請求項10に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、更に、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、環状エーテル及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(I)以外の芳香族化合物、炭素‐炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、環状エーテル及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、ならびに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1〜13のいずれか1項に記載の非水系電解液である、非水系電解液電池。
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