JP5809444B2 - フォトレジスト用剥離液 - Google Patents

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Description

本発明は、フォトレジスト用剥離液に関する。特に、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)のCu又はCu合金配線基板製造に好適に使用されるフォトレジスト用剥離液に関する。
ICやLSI等では、半導体素子の高集積化とチップサイズの縮小化に伴い、配線回路の微細化及び多層化が進み、半導体素子で用いる金属膜の抵抗(配線抵抗)と配線容量に起因する信号の遅延などが問題視されている。そのため、配線抵抗をより小さくするためにアルミニウム(Al)よりも抵抗の少ない銅(Cu)が用いられるようになっている。
一方、液晶ディスプレイ等のFPDでも、従来配線材料としてAlが採用されてきたが、近年の基板大型化や高精細化および有機ELへの対応のため、半導体素子同様に、配線抵抗を下げる必要があり、Alよりも抵抗の少ないCu若しくはCu合金等を配線材料として用いられることが試みられている。
CuはAlに比べ、表面に生成する酸化被膜の保護性が弱いため、水溶液中では腐食しやすい。従って、配線パターンを安定して形成できないという課題がある。そこで、半導体の製造では、プラズマを使ったドライプロセスで腐食を防止している。しかし、FPDは半導体よりも基板サイズが大きく、プラズマを使ったドライプロセスの適用が困難である。そのため、ウェットエッチング工法を用いた配線形成の開発が不可欠である。
配線材料としてCuを用いた場合の課題は、上記に示したようにウェットエッチングによるCu膜面の腐食である。よく知られているように、ウェットエッチングによるフォトリゾグラフィでは、基材上に形成したCu膜にレジストで配線パターンを形成し、Cuを溶解するエッチャントによって不要な部分のCu膜を除去し、最後にレジストを除去することで、所望の配線パターンを得る事ができる。
ここで、Cu膜が腐食されるのは、最後のレジスト膜の剥離工程である。この工程では、Cu膜表面に付着していたレジストが無くなるため、Cu膜表面が剥離液に直接曝される。特にレジストの剥離液は、アルカリ性を示し、また水も混在されている。そのため、Cu膜は容易に腐食される。そこで、フォトレジストを剥離する事と、Cu膜の腐食を防止する事をバランス良く達成するフォトレジスト剥離液の開発が行われている。その主たる手法は、剥離液中にCu膜の腐食防止剤を混入させることである。
特許文献1では、(a)含窒素有機ヒドロキシ化合物が10〜65重量%、(b)水溶性有機溶媒が10〜60重量%、(c)水が5〜50重量%、防食剤として(d)ベンゾトリアゾール系化合物が0.1〜10重量%からなるフォトレジスト用剥離液が開示されており、(a)含窒素有機ヒドロキシ化合物としては25℃の水溶液における酸解離定数(pKa)が7.5〜13のアミン類が好ましいとされている。
しかし、このような組成ではフォトレジスト剥離液のpHは10以上の強アルカリとなる。したがって、銅配線は、液中の溶存酸素によって、HCuO やCuO イオンを生成して容易に溶解、すなわち腐食する。また、防食剤の(d)ベンゾトリアゾール系化合物は強アルカリ溶液中では重合度の高いポリマー皮膜を作れず、防食性が弱い。そのため、添加量を増やさなければならず、過剰に添加されたベンゾトリアゾール系化合物がCu膜配線上に残留し、異物として残ってしまうおそれがある。
特許文献2では、(a)一級または二級のアルカノールアミンを5〜45重量%、(b)極性有機溶剤及び水を50〜94.95重量%、(c)マルトールやウラシルや4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロンなどからなる群から選択される少なくとも1種の複素環式化合物を0.05〜10重量%からなるフォトレジスト用剥離液が提案されている。このような組成の場合でも、フォトレジスト剥離液のpHは10以上の強アルカリであり、銅配線は腐食しやすい。したがって、過剰に防食剤(c)を添加すると、防食剤(c)がCu配線上に残留し、異物として残ってしまうおそれがある。
特許文献3では基板上に銅配線パターンを形成した後、その銅配線パターンをベンゾトリアゾールを2×10−6〜10−1mol・dm−3含有する水溶液により洗浄する半導体装置の製造方法が提案されている。
さらに、ウェットエッチングによる工法では、剥離液を含め、さまざまな溶液が大量に使用される。これらは、そのまま廃棄すると環境汚染となるおそれが大きい。また、比較的高価な材料でもある。したがって、使用した剥離液等はリサイクルの処理を行い、再生しながら繰り返し使用できるのが好ましい。
このような観点から特許文献4では、多価アルコールとアルカノールアミンと水とグリコールエーテルと、防食剤からなる剥離液が開示されている。特に水はリサイクルの観点から30質量%以下であり、グリコールエーテルは主たる再生用材料として60質量%以上とすることが望ましいとされている。
特許第3514435号公報 特開2008−216296号公報 特許第3306598号公報 特開2007−114519号公報
特許文献1では、Cuのエッチングにはドライエッチング処理を行って評価されている。CuのエッチャントとAlのエッチャントが異なるものであることは知られており、特にCuをウェットエッチングする酸化剤系のエッチング液では、レジスト層は変質され、剥離しにくくなる。すなわち、特許文献1で開示されたフォトレジストの剥離液は、Cu若しくはCu合金をウェットエッチング処理する工程で用いるフォトレジストの剥離液としては単純には適用できない。
特許文献2は、この点考慮されており、まさに、大面積の基板上のCu若しくはCu合金をウェットエッチングする際に用いるフォトレジストの剥離液を開示している。しかし、剥離液の主剤として用いている一級又は二級のアルカノールアミンは強アルカリを示すため、腐食防止剤として添加する複素環式化合物はその作用が弱まる。そのため、複素環式化合物は0.05〜10wt%とかなり多い組成となっている。
特許文献2が検討していないのは、腐食防止剤として添加するこれらの複素環式化合物は、Cu膜との間に不溶性の化合物を形成して、腐食を防止するが、同時にCu膜の上に成膜処理される層との間の接着性を低下させる点である。つまり、0.05〜10wt%の量の腐食防止剤は、Cu膜の上に形成される膜との接着性を低下させるという問題を生じさせる。
特許文献3は、Cu膜上のフォトレジストを剥離する際の洗浄過程でCu膜が洗浄剤と接触させた際に腐食されるのを防止するのにBTA(ベンゾトリアゾール)がCu膜との間に不溶性の化合物を形成する点を開示している。しかし、基本的にCu膜はドライエッチングにおける処理である。また、特許文献2同様、Cu膜上に形成する次の層との接着性まで考慮したものではない。
さらに、剥離液のリサイクルという観点からは次のような課題が生じる。剥離液を構成する材料の中で、アミン系材料と溶剤および腐食防止剤は、沸点が近接しており、その分離は容易ではない。つまり、アミン系材料と溶剤と腐食防止剤は、まとめて分離されることになる。まとめて分離された分離液は、その材料の構成比を検査することで、不足分を追加し再生される。
ここで、上記のようにCu膜の上に形成される膜との接着性を考慮すると、腐食防止剤は微量しか添加できない。そうすると、蒸留等によって剥離液の排液から分離された液中の腐食防止剤の含有量を検査するのは困難になる。含有量が少ない上、アミン系材料や溶剤と沸点が近いため、判別も弁別もできないからである。
このような状況で再生(リサイクル)処理が繰り返されると、剥離液中では、微量な含有量であるものの、腐食防止剤が濃縮される。腐食防止剤は、微量で腐食防止効果を示す。つまりCu膜上に不動体を形成する。そのため、わずかでも濃縮されると、Cu膜上に形成される膜の接着性に確実に影響を及ぼす。結果、剥離液を再生使用していると、ある時、突然Cu膜上に形成される膜にピンホールやCu膜からの剥離といった問題が発生することとなる。
本発明は、大面積の基板上のCu若しくはCu合金層をウェットエッチングすることによって配線等とする際に、露光され、変質し剥離しにくくなったフォトレジストをCu膜にダメージを与えないように剥離し、なおかつ、Cu膜の上に形成させる膜との間の接着力を低下させないフォトレジストの剥離液であって、リサイクルを繰り返してもレジストの剥離性とCu膜の腐食防止性とCu膜およびCu膜上に形成膜との接着性を維持し続けることができるフォトレジスト剥離液を提供することである。
上記の課題を解決するためには、剥離剤の構成成分と容易に分離できる腐食防止剤を使用することが必要である。本発明の発明者は、鋭意検討を重ねた結果、露光され、剥離液で剥離されたフォトレジスト自体と、Cu膜の腐食性の低い剥離液との組合せが、Cu膜を腐食せず、なおかつレジスト膜をも溶解させることができることを確認するに至って、本発明を完成するに至った。
本発明のフォトレジスト剥離液は、主剤として三級アミン、腐食防止剤としての効果を奏すると考えられる成分としてレジスト成分を用いることを特徴とする。また、本発明はベンゾトリアゾール系化合物に代表される微量添加される腐食防止剤を含まない。
より具体的には、本発明のフォトレジスト用剥離液は、
Cu膜上に塗布されたフォトレジストを剥離し繰り返し使用する剥離液であって、三級アルカノールアミンが1〜9質量%、極性溶媒を10〜70質量%、水を10〜40質量%および繰り返し使用する剥離液中のレジスト成分が500ppm以上〜3000ppm以下のみからなり、前記極性溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、プロピレングリコールの混合溶媒であることを特徴とする。
また、上記フォトレジスト用剥離液では、
前記三級アルカノールアミンは、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)であることを特徴とする。
また、上記フォトレジスト用剥離液では、前記レジスト成分は露光されたポジ型フォトレジストからの成分であることを特徴とする。
また、上記フォトレジスト用剥離液では、前記剥離液は、Cu膜上に塗布されたポジ型フォトレジストを剥離するための剥離液であることを特徴とする。
本発明では、Cu膜の腐食防止性があり、Cu膜の上に形成される層との接着性も良好である。また、安定して剥離液をリサイクルすることができる。また、レジスト成分をCu膜の腐食防止剤として使用する。そして、レジスト成分は三級アルカノールアミン、極性溶媒、水といった溶液成分より沸点が高いため、完全に分離することができる。したがって、剥離液の排液を何度再生しても、再生した液中にレジスト成分は残留せず、腐食防止剤が濃縮されるというおそれがない。
また、腐食防止剤やレジスト溶解補助剤はレジスト側に存在するという見方もできる。従って、微量添加剤のない三級アルカノールアミン、極性溶媒、水の成分比率を管理すれば、再生された剥離液を調製することができる。そのため再生剥離液の管理が容易である。
本発明のフォトレジスト剥離液は、Cu膜上に塗布されたフォトレジストを剥離し繰り返し使用する剥離液であって、三級アルカノールアミンが1〜9質量%、極性溶媒を10〜70質量%、水を10〜40質量%、および繰り返し使用する剥離液中のレジスト成分が500ppm以上〜3000ppm以下のみからなり、前記極性溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、プロピレングリコールの混合溶媒である。なお、本明細書および特許請求の範囲を含め、三級アルカノールアミンと極性溶媒と水を便宜上溶液成分と呼ぶ。また、三級アルカノールアミンはアミン類、若しくは三級アミンとも呼ぶ。
三級アルカノールアミンとしては、具体的に以下のものが好適に利用できる。トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等である。これらは、複数種類を混合して用いてもよい。
極性溶媒としては、水と親和性のある有機溶媒であればよい。また上記の三級アルカノールアミンとの混合性が良好であればより好適である。
このような水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテル(アルキルは炭素原子数1〜6の低級アルキル基)等の多価アルコール類、およびその誘導体が挙げられる。これらの中で、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの中から選ばれる少なくとも1種が、より一層の剥離性、基板に対する防食性等の点から好ましく用いられる。中でも、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。これらの成分は複数種類を混合して用いてもよい。
水は、純水であることが好ましいが、工業的に利用できる範囲内で、不純物が含まれていてもよい。すなわち、RO膜を通過させた純水を用いなくてもよい。数μm以上の配線を形成する場合は、多少の不純物は許容できる場合もあるからである。
本発明では、溶液成分(三級アルカノールアミンと極性溶媒と水)に加え、レジスト成分が3000ppm以下で含まれていてもよい。レジスト成分は本発明の剥離液が剥離するフォトレジストの成分である。より詳しくは、フォトリゾグラフィの工程において、露光され、エッチャント(酸性)に曝されて、剥離液によってCu膜表面から剥離されたレジスト成分である。
したがって、本発明において「レジスト成分」とは露光される前のフォトレジストの成分が変化した成分であってもよい。言い換えると、露光される前のフォトレジストに含まれていない成分であっても、露光されたフォトレジストに含まれる若しくは露光されたフォトレジストから溶液成分中に溶けだした成分、剥離液に会合することで変化し溶けだした成分であればよい。
本発明の発明者は、Cu膜上に塗布され、露光されたフォトレジストを溶液成分(三級アルカノールアミンと極性溶媒と水)によって溶解すると、Cu膜の腐食が実質的に問題のない程度に押さえられ、なおかつレジストの溶解性も維持できることを確認することで、本発明を完成するに至った。この理由は明確ではないが1つの説明として次のように考えられる。
ポジ型フォトレジストは、アルカリ溶液に溶解する樹脂と、感光剤の混合物であり、感光剤が樹脂の溶解点を保護していると考えられている。樹脂はノボリック樹脂が使われることが多い。感光剤はポジ型フォトレジストの場合は、ジアゾナフトキノン(DNQ)が使用される場合が多い。このDNQは、感光すると、インデンケテンに変化する。インデンケテンは、水と出会うと加水分解反応し、インデンカルボン酸に変化する。
インデンカルボン酸は、アルカリ溶液に可溶であるので溶けだす。結果、樹脂の溶解点がアルカリ溶液に曝され、フォトレジストが剥離する。ここで、このインデンカルボン酸がCu膜の表面に付着することで、溶液成分(三級アルカノールアミンと極性溶媒と水)からCu膜の腐食を防止しているものと考えられる。また、このインデンカルボン酸は融点が200℃以上であるので、剥離液の溶液成分との分離は極めて容易である。従って、レジスト成分はポジ型フォトレジストからの成分であるのが好ましい。
また、これらの成分が含まれた剥離液は、露光されたレジスト自体の溶解を阻害しない。これは後述する実施例によって示されるが、もともと露光されたレジスト膜から溶解してきた成分であるので、膜の溶解箇所に再付着若しくは再結合などを起こさないためであると考えられる。
また、本発明の剥離液は、露光されたフォトレジストが形成されたCu膜に対して使用する場合は、最初に投入する剥離液中にレジスト成分がなくてもよい。レジスト成分は露光されたレジストから得る事ができるからである。
本発明の剥離液では、明確ではないものの、Cu膜表面の腐食防止はレジスト成分が担っていると考えられる。したがって、使い始めの剥離液は、レジスト成分を含まなくても、Cu膜上の露光されたフォトレジストから供給される。しかし、逆に言うと、繰り返し使用していると、剥離液中のレジスト成分の濃度が上がる。レジスト成分には、レジストを構成する樹脂も含まれるため、レジスト成分の濃度の上昇はデブリ(レジスト膜の破片)の増加にもつながる。また、レジスト成分が多くCu膜表面に残留すると、Cu膜の上に形成される膜との接着性が低下する。
つまり、剥離液を効果的に利用するためのレジスト成分の濃度には上限が存在する。本発明の剥離液では、繰り返し使用する剥離液中のレジスト成分は剥離液中3000ppm以下であるのが好ましい。レジスト成分が、この濃度以上になると、Cu膜上に形成する膜にピンホールなどの接着不良の箇所が発生するからである。言い換えると、本発明の剥離液は、レジスト成分がゼロから3000ppmまで濃度が上昇するまで、再生することなく繰り返し使用することができる。
本発明の剥離液は、レジスト成分から腐食防止剤を得ていると考えられるので、Cu膜表面の腐食は抑制される。しかし、腐食防止剤でも保護できないほど剥離液中の他の成分の腐食力が強いとCu膜表面は腐食を受ける。したがって、本発明の剥離液における三級アルカノールアミンと、極性溶媒と水の比率は、露光されたレジストを溶解させられる程度のアルカリ性であって、レジスト成分の存在下で実質的にCu膜が残存する程度の腐食力であることが必要である。なお、ここで実質的にCu膜が残存するとは、剥離液によってCu膜上の露光されたレジストを除去しても、製品として支障ない程度にCu膜が残ることをいう。
そのために本発明のフォトレジスト剥離液での三級アルカノールアミンの配合量としては、剥離液全量に対して1〜9質量%、より好ましくは2〜7質量%、最も好ましくは4〜6質量%が好適である。9質量%以上含まれると、レジスト成分が含まれていたとしてもCu膜に腐食が生じてしまうからである。また1質量%以下では、フォトレジストを剥離することができなくなるからである。
後述する実施例でも示されるが、一級および二級のアルカノールアミンと比較して三級アルカノールアミンは、pH値はあまり変わりが無い。しかし、酸解離定数(pKa)は、一級アルカノールアミンであるMEA(モノエタノールアミン)が9.55であるのに対して、三級アルカノールアミンであるMDEA(N−メチルジエタノールアミン)は8.52である。つまり、アルカリの程度がMDEAの方が低い。このため、三級アルカノールアミンの方がCu膜表面に対する腐食力が低いと考えられる。
また、違う見方としては、以下のような考え方もできる。一級および二級のアミンでは、窒素に水酸基がまだ残っている。この水酸基は、上述したインデンカルボン酸を容易にトラップすると考えられる。一方、三級アミンでは窒素に結合していた水酸基は他の官能基と置き換わっており、インデンカルボン酸の動きを阻害しない。そのため、一級および二級のアミンでは、レジスト膜から生成したインデンカルボン酸がCu膜表面に結合することができず、Cu膜の表面が腐食される。一方、三級アミンの存在下では、溶液中で出来上がったインデンカルボン酸は、三級アミンから阻害されることなくCu膜上に保護層を形成する。
また、いずれの反応も共に生じているとも考えられる。いずれにしても、三級アルカノールアミンと極性溶媒と水の組み合わせでは、露光されたレジスト膜が形成されたCu膜からレジスト膜を除去する際に、Cu膜をほとんど腐食しない。
極性溶媒の比率は剥離液全量に対して10〜70質量%、より好ましくは30〜70質量%、最も好ましくは50〜70質量%が好適である。また水は10〜40質量%、より好ましくは20〜40質量%、最も好ましくは30〜40質量%が好適である。なお、上記の組成範囲内で、極性溶媒と水は使用する温度において、三級アルカノールアミンとの混合液である剥離液の粘度が好適になるように調製してよい。
また、フォトレジスト中の樹脂や感光剤と、剥離液の反応は温度が非常に関係する。そのため、剥離液を使用する際の温度管理は厳格に行われる。本発明の剥離液および被処理対象は35℃から45℃が好適な範囲であり、38℃から42℃であればより好適な使用範囲である。また、被処理対象物および剥離液ともに同一温度で処理されるのが望ましい。FPDの基材は非常に大きいため、剥離液が使用される空間は大きな空間となる。そのような空間を化学反応が安定して行え、なおかつ温度管理に大きなエネルギーを要しないで保持できるのが35℃から45℃の温度範囲であるからである。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。まず、サンプルの準備および評価方法を説明する。
<評価基板の作製方法>
本発明のフォトレジスト剥離液の効果を示すために、以下の手順で評価基板を作製した。これは通常6インチウエハーを用いた処理であり、スピンプロセッサと呼ばれる。まず、6インチウエハー形状のガラス基板(厚さ1mm)にITO(Indium Tin Oxide:透明電極)をスパッタ法により成膜した。厚みは0.2μm(2,000オングストローム)とした。
次にITO膜の上にゲート線用のCu膜を蒸着法で約0.3μmの厚みに成膜した。次にポジ型のレジストを厚さ1μmの厚みにスピナーで塗布した。レジスト膜を成膜後、100℃の環境下で2分のプリベークを行った。
次にフォトマスクを使って露光した。フォトマスクは幅5μmの直線状のパターンを用いた。そして、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を使って現像を行った。これで、感光した部分のフォトレジストが除去された。
40℃に昇温させた酸化剤系のエッチャントを用いて、1分間エッチングした。この処理で、フォトレジストが残った部分以外のCu膜は除去された。処理が終わった基板は純水の流水で1分間洗浄を行った。洗浄後の基板は8,000rpmのスピン乾燥装置で1分間乾燥させ保管した。なお、この際にフィルタを通した0.5m/sの流速の窒素ガスを回転中心から吹き付けた。
<Cu膜腐食防止性>
Cu膜の腐食防止性は、以下のような手順で評価を実施した。まず、ゲート線(Cu膜で作ったもの)が長手方向となるように基板を10mm×60mmの短冊状に割断した。表1で示す組成で調製した剥離液20mlをバイアル瓶(30ml)に分注した。そして剥離液をバイアル瓶に入ったままウォーターバスにて40℃に昇温させた。そして40℃になった剥離液中に用意した評価基板を入れ30分浸漬させた。なお、この評価は、剥離液がCuをどの程度腐食するかを調べるための実験であるので、30分と長い時間浸漬させた。
浸漬後剥離液から評価基板を引き上げて、純水の流水で1分間洗浄した。洗浄後はドライエアにて乾燥した。ドライエアはフィルタを通してあるが、温度は室温であった。処理後の基板はSEM(Scanning Electron Microscope)で表面および断面を観察し、バイアル瓶に残った剥離液は原子吸光分析によってCu濃度を分析した。
SEMでの観察には以下のような基準で評価を行った。SEMによる800倍の平面観察および3,000倍の断面観察で、腐食が見られなかったものを「腐食なし」として丸印とした。また線幅、膜厚ともに減少したが、配線は残っている状態のものを「腐食あり」として三角印とした。また、配線が無くなっているものは、激しい「腐食あり」としてバツ印とした。それぞれの印は表1に示した。
<レジスト剥離性>
フォトレジストの剥離性は、Cu膜の腐食防止性と同じ手順で評価を行った。具体的には以下のように行った。まず、ゲート線(Cu膜で作ったもの)が長手方向となるように基板を10mm×60mmの短冊状に割断した。表1で示す組成で調製した剥離液20mlをバイアル瓶(30ml)に分注した。そして剥離液をバイアル瓶に入ったままウォーターバスにて40℃に昇温させた。そして40℃になった剥離液中に用意した評価基板を入れ30秒浸漬させた。
浸漬後剥離液から評価基板を引き上げて、純水の流水で1分間洗浄した。洗浄後はドライエアにて乾燥した。ドライエアはフィルタを通してあるが、温度は室温であった。処理後の基板はSEMで表面を観察した。
SEMでの観察では以下のような基準で剥離性を評価した。SEMによる800倍の平面観察によって評価基板全長(60mm)に渡ってレジストの残渣がなかった場合は、「残渣無し」として丸印とした。また、残渣がある場合、若しくはCu膜の腐食が激しく評価する意味がない場合は「評価せず」としてマイナス記号(「−」)とした。
<レジスト溶解性>
剥離液に対してレジスト溶解性を以下のように評価した。本実施例では、フォトレジストは酸化剤系のエッチャントに曝されているので、変性しており、容易には剥離できない。まず、ゲート線(Cu膜で作ったもの)が長手方向となるように基板を20mm×60mmの短冊状に割断した。表1で示す組成で調製した剥離液50mlをバイアル瓶(50ml)に分注した。そして剥離液をバイアル瓶に入ったままウォーターバスにて40℃に昇温させた。そして40℃になった剥離液中に用意した評価基板を入れ、レジストが浮き上がってくるまでの時間をストップウォッチで測定した。
レジスト溶解性は以下の基準で評価を行った。評価基板を剥離液に浸漬させてから30秒以内にレジストが溶解した場合は、「十分な溶解力を有している」として丸印とした。また30秒以上かかった場合は、「フォトレジストの溶解度は十分でない」としてバツ印とした。
<膜剥がれ>
酸化剤系エッチャントに曝されて変性したフォトレジストを十分に溶解し、Cu膜を腐食させなかったとしても、Cu膜表面に腐食防止剤が残留して、その上に形成した膜との接着性が悪いと、実用的とは言えない。そこで、Cu膜の表面に腐食防止剤が実用上問題ない程度に少ない、言い換えると、実用上問題なくCu膜の上に膜を形成することができる程度を膜剥がれとして以下の評価を行った。
まず、ゲート線(Cu膜で作ったもの)が長手方向となるように基板を10mm×60mmの短冊状に割断した。表1で示す組成で調製した剥離液20mlをバイアル瓶(30ml)に分注した。そして剥離液をバイアル瓶に入ったままウォーターバスにて40℃に昇温させた。そして40℃になった剥離液中に用意した評価基板を30秒間浸漬させた。次に剥離液から取り出し、純水の流水で1分間洗浄した。洗浄後、室温で0.8m/sの流速のドライエアにて2分間乾燥した。
そして、基板のCu膜が形成されている面に絶縁膜(SiO)をスパッタ法で、0.1μm成膜した。そして絶縁膜上に金を0.01μm程度さらにスパッタで成膜し、1,000倍の倍率でSEM観察した。膜剥がれは以下のような基準で評価を行った。Cu膜上に一体となって成膜出来ている場合は、「膜剥がれなし」として丸印とした。またCu膜のエッジ部分や平坦な部分の一部にでもSiOの剥がれや孔と認められるものがあった場合は「膜剥がれあり」としてバツ印とした。Cu膜上の絶縁膜は、完全に絶縁できていないと、ショートの原因となり、すぐに不良に繋がるため、厳しく評価を行う必要がある。
以上の評価に加え、剥離液の組成、pHを含めて表1に示す。アミン類としては、比較のために、一級アルカノールアミンであるモノエタノールアミン(MEA)と、三級アルカノールアミンであるN−メチルジエタノールアミン(MDEA)を用いた。また、比較例として腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール(BTA)、ピロカテコール、ビタミンC、ソルビトールを用いた。以下に実施例および各比較例の組成および評価結果を説明する。
参考例1)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEA(N−メチルジエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)を40質量%、PG(プロピレングリコール)を24質量%、水を31質量%とした。pHは10.6であった。
Cu膜の腐食防止性は評価として三角であったが、レジストの剥離性、レジストの溶解性、銅層の上に積層する絶縁膜の膜剥がれともに評価は丸であった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.79ppmであったが、実用上まったく問題なかった。なお、比較例には入れていないが、レジスト膜を形成していないCu膜だけのサンプルに対して、実施例1の剥離液はCu膜腐食防止性の評価がバツになることを確認している。
参考例2)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEA(N−メチルジエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)を40質量%、PG(プロピレングリコール)を24質量%、水を30.99質量%とした。これらを溶液成分と呼ぶ。
レジスト成分は以下のようにして用意した。まず、ガラス基板上にスピナーで1μmの膜厚にポジ型レジストを塗布した。ここで用いたポジ型レジストは評価基板を作製する際に用いたレジストと同じレジストである。次に、このレジスト膜を露光した。露光の条件も評価基板を作製する際に用いた条件と同じである。ガラス基板上に形成した露光されたレジスト膜を溶液成分で溶解し、レジスト膜溶解前後の基板重量の差から、ガラス基板上に形成されていたレジスト膜の重量を割り出した。つまり同じようにして作製した「露光されたレジスト膜付きガラス基板」は、溶液成分中でレジスト膜を溶解すると、所定のレジスト成分を含有する剥離液を得る事ができる。以後これを「露光レジスト膜片」と呼ぶ。
露光レジスト膜片は、溶液成分中に溶けた段階でレジスト成分となる。露光レジスト膜片を0.01質量%分用意し、40℃に温めた溶液成分中に混入した。露光レジスト膜片は容易に溶解した。MDEA、BDG、PG、水および露光レジスト膜片の混合物を、本実施例の剥離液とした。pHは10.4であった。
Cu膜の腐食防止性は評価として三角であったが、レジストの剥離性、レジストの溶解性、Cu膜の上に形成する絶縁膜の膜剥がれともに評価は丸であった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.77ppmであったが、実用上まったく問題なかった。
(実施例3)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEA(N−メチルジエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)を40質量%、PG(プロピレングリコール)を24質量%、水を30.95質量%露光レジスト膜片を0.05質量%とした。pHは10.2であった。
Cu膜の腐食防止性、レジストの剥離性、レジストの溶解性、Cu膜の上に形成する絶縁膜の膜剥がれの全ての評価が丸であった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.35ppmであったが、実用上まったく問題なかった。
(実施例4)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEA(N−メチルジエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)を40質量%、PG(プロピレングリコール)を24質量%、水を30.9質量%露光レジスト膜片を0.1質量%とした。pHは10.0であった。
Cu膜の腐食防止性、レジストの剥離性、レジストの溶解性、Cu膜の上に形成する絶縁膜の膜剥がれの全ての評価が丸であった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.30ppmであったが、実用上まったく問題なかった。
(実施例5)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEA(N−メチルジエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)を40質量%、PG(プロピレングリコール)を24質量%、水を30.8質量%露光レジスト膜片を0.2質量%とした。pHは9.9であった。
Cu膜の腐食防止性、レジストの剥離性、レジストの溶解性、Cu膜の上に形成する絶縁膜の膜剥がれの全ての評価が丸であった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.26ppmであったが、実用上まったく問題なかった。
(実施例6)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEA(N−メチルジエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)を40質量%、PG(プロピレングリコール)を24質量%、水を30.7質量%露光レジスト膜片を0.3質量%とした。pHは9.8であった。
Cu膜の腐食防止性、レジストの剥離性、レジストの溶解性、Cu膜の上に形成する絶縁膜の膜剥がれの全ての評価が丸であった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.23ppmであったが、実用上まったく問題なかった。
(比較例1)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEAを5質量%、極性溶媒としてBDGを40質量%、PGを24質量%、腐食防止剤としてBTAを0.1質量%、水は30.9質量%とした。pHは10.0であった。
Cu膜の腐食防止性および、レジストの剥離性は評価が丸となった。しかし、レジストの溶解性および、Cu膜の上に形成する絶縁膜の膜剥がれともに評価はバツであった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.05ppm未満であった。これはレジスト溶解性が悪かったためにCu膜の表面を剥離液が浸食しなかったためである。Cu膜腐食防止性は向上したが、Cu膜の上部に形成した絶縁膜が剥がれた。
(比較例2)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMEA(モノエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDGを42質量%、PGを18質量%、腐食防止剤としてBTAを0.1質量%、水を34.9質量%とした。pHは10.7であった。
Cu膜の腐食防止性が評価バツとなった。Cu膜の表面は激しく腐食してCu膜が無くなっており、剥離性の評価はできなかった。レジストの溶解性は評価が丸となった。もちろん、Cu膜自体が無くなっているので、絶縁膜の剥離性の評価はするに値しなかった。
(比較例3)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMEA(モノエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDGを42質量%、PGを18質量%、腐食防止剤としてBTAを0.49質量%、水を34.51質量%とした。pHは10.5であった。
Cu膜の腐食防止性が評価バツとなった。Cu膜の表面は激しく腐食してCu膜が無くなっており、剥離性の評価はできなかった。レジストの溶解性は評価が丸となった。もちろん、Cu膜自体が無くなっているので、絶縁膜の剥離性の評価はするに値しなかった。
(比較例4)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMEA(モノエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDGを42質量%、PGを18質量%、腐食防止剤としてBTAを0.98質量%、水を34.02質量%とした。pHは10.5であった。
Cu膜の腐食防止性が評価バツとなった。Cu膜の表面は激しく腐食して銅層が無くなっており、剥離性の評価はできなかった。レジストの溶解性は評価が丸となった。もちろん、Cu膜自体が無くなっているので、絶縁膜の剥離性の評価はするに値しなかった。
(比較例5)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMEA(モノエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDGを42質量%、PGを18質量%、腐食防止剤としてピロカテコールを5質量%、水を30質量%とした。pHは10.3であった。
Cu膜の腐食防止性が評価バツとなった。Cu膜の表面は激しく腐食してCu膜が無くなっており、剥離性の評価はできなかった。レジストの溶解性は評価が丸となった。もちろん、Cu膜自体が無くなっているので、絶縁膜の剥離性の評価はするに値しなかった。
(比較例6)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMEA(モノエタノールアミン)を20質量%、極性溶媒としてBDGを60質量%、腐食防止剤としてピロカテコールを5質量%、水を15質量%とした。pHは11.2であった。
Cu膜の腐食防止性が評価バツとなった。Cu膜の表面は激しく腐食してCu膜が無くなっており、剥離性の評価はできなかった。レジストの溶解性は評価が丸となった。もちろん、Cu膜自体が無くなっているので、絶縁膜の剥離性の評価はするに値しなかった。
(比較例7)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMEA(モノエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDGを42質量%、PGを18質量%、腐食防止剤としてBTAを1質量%、ビタミンCを1質量%、水を33質量%とした。pHは10.3であった。
Cu膜の腐食防止性が評価バツとなった。Cu膜の表面は激しく腐食してCu膜が無くなっており、剥離性の評価はできなかった。レジストの溶解性は評価が丸となった。もちろん、Cu膜自体が無くなっているので、絶縁膜の剥離性の評価はするに値しなかった。
(比較例8)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMEA(モノエタノールアミン)を5質量%、極性溶媒としてBDGを42質量%、PGを18質量%、腐食防止剤としてBTAを1質量%、ソルビトールを1質量%、水を33質量%とした。pHは10.5であった。
Cu膜の腐食防止性が評価バツとなった。Cu膜の表面は激しく腐食してCu膜が無くなっており、剥離性の評価はできなかった。レジストの溶解性は評価が丸となった。もちろん、Cu膜自体が無くなっているので、絶縁膜の剥離性の評価はするに値しなかった。
(比較例9)
剥離液の組成を以下のように調製した。アミン類としてMDEAを5質量%、極性溶媒としてBDGを40質量%、PGを24質量%、腐食防止剤としてBTAを1質量%、ソルビトールを1質量%、水を29質量%とした。pHは9.1であった。
Cu膜の腐食防止性および、レジストの剥離性は評価が丸となった。しかし、レジストの溶解性および、Cu膜の上に形成する絶縁膜の膜剥がれともに評価はバツであった。なお、剥離液中の銅の溶出量は0.05ppm未満であった。これはレジスト溶解性が悪かったためにCu膜の表面を剥離液が浸食しなかったためである。Cu膜腐食防止性は向上したが、Cu膜の上部に積層した絶縁膜が剥がれた。
比較例1は、実施例と同じ溶液構成であり、腐食防止剤がレジスト成分かBTAとの違いである。MDEA(N−メチルジエタノールアミン)を主成分とする溶液成分は、Cu膜への腐食作用が元々ある。しかし、BTAやレジスト成分によって、実用許容範囲で腐食を押さえる事ができる。ここで、実施例ではレジスト溶解性が丸評価であるのに対して、比較例1(BTA)ではバツであった。
参考例1は腐食防止剤が含まれていないことを考えると、実施例および比較例1の溶液成分自体はレジストを溶解することができると考えられる。すると、比較例1でレジストが溶解しなかったのは、腐食防止剤であるBTAの影響と考えられた。すなわち、腐食防止剤として添加される成分は、レジスト膜自体の溶解性もある程度抑制していると考えられる。
一方、露光されたレジスト成分から溶液成分中に溶けだしたレジスト成分は、腐食防止剤の機能を有し、剥離液の溶液成分が露光されたレジストを溶解するのを妨げない効果を果たしていると言える。
比較例2乃至8は溶液成分の主成分をMEA(モノメチルエーテル)に変更したサンプルである。一級アミンであるMEAは、腐食性が強く、腐食剤としてBTAやピロカテコール、ビタミンC、ソルビトールを相当量入れても腐食力を抑制することはできなかった。
比較例9は、溶液成分の主成分をMDEAに戻し、BTAおよびソルビトールを合わせて2質量%入れたものである。しかし、Cu膜への腐食防止効果は認められたものの、比較例1同様レジスト溶解性はバツ評価であった。
以上の結果より、本発明の剥離液は、Cu膜への腐食効果が極めて弱く、なおかつレジストを溶かすこともでき、Cu膜の上に形成される層との接着性も良好であることがわかった。また、既述しているように、このレジスト成分は、感光剤(若しくはこれが変化したもの)および樹脂からなるので、剥離液中の溶液成分とは容易に分離することができる。したがって、繰り返し使用し、廃液となっても、溶液成分だけを分離回収することができる。
より具体的には、アミン類と極性溶媒はまとめて分離回収することができる。これらは検量線等を予め作成しておくことで、その成分比率を容易に知ることができる。したがって、予め決められた成分構成比に対する不足分を補充し、さらに水を追加すれば、剥離液を再生することができる。しかも、この再生剥離液中には、微量な添加物が存在しないので、何度再生を行っても、微量成分が濃縮されるおそれがない。すなわち、安定して剥離液をリサイクルすることができる。
本発明の剥離液は、ウェットエッチングによって、Cu膜を導線とし製造するもの、特に大面積で、なおかつ微細な加工が必要となる、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELなどFPD一般に好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. Cu膜上に塗布されたフォトレジストを剥離し繰り返し使用する剥離液であって、三級アルカノールアミンが1〜9質量%、極性溶媒を10〜70質量%、水を10〜40質量%および繰り返し使用する剥離液中のレジスト成分が500ppm以上〜3000ppm以下のみからなり、前記極性溶媒はジエチレングリコールモノブチルエーテルとプロピレングリコールの混合溶媒であるフォトレジスト用剥離液。
  2. 前記三級アルカノールアミンは、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)である請求項1に記載されたフォトレジスト用剥離液。
  3. 前記レジスト成分は露光されたポジ型フォトレジストからの成分である請求項1または2の何れかの請求項に記載されたフォトレジスト用剥離液。
  4. 前記剥離液は、Cu膜上に塗布されたポジ型フォトレジストを剥離するための剥離液である請求項1乃至3の何れか一項に記載されたフォトレジスト用剥離液。
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