JP5806478B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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近年の消費者の傾向として、みずみずしく、軽い使用感のO/W型、あるいは高含水のW/O型の皮膚外用剤が好まれている。日々欠かさず使用するものとして、使用感が軽く良好であり、かつ油のべたつきを抑えてみずみずしい感触であることの必要性が高まってきている。
しかしながら、寒天成分を配合すると、使用時に多糖類特有のべたつきやぬめりが生じ、寒天によるひんやりとしたみずみずしさを十分に発揮させることができなくなる。
(A)寒天 0.1〜1質量%、
(B)アクリル酸系ポリマー 0.1〜2質量%、
(C)糖類 0.3〜3質量%、
(D)エタノール 3〜20質量%、
(E)水 50〜96.5質量%
を含有し、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を含む水相に、成分(A)の略球形状のゲル状粒子が分散されてなる皮膚外用剤を提供するものである。
本発明で用いられる寒天としては、特に限定されないが、寒天のゼリー強度(日寒水式法)は、皮膚に適用した場合の使用時の感触の観点から、147kPa(1500g/cm2)以下であることが好ましく、19.6kPa(200g/cm2)〜127kPa(1300g/cm2)であることがより好ましい。ゼリー強度は、寒天の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルに、日寒水式ゼリー強度測定器(木屋製作所社製)により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm2当たりの最大質量(g)として求めることができる。
成分(A)の寒天としては、例えば、伊那寒天PS−84、Z−10、AX−30、AX−100、AX−200、T−1、S−5、M−7、UP−16、CS−16A、CS−420、CS−670(以上、伊那食品工業社製)等の市販品を用いることができる。これらのうち、AX−200、UP−16、CS−16Aが好ましい。
まず、寒天を水と混合し、その溶解温度以上の温度に加熱して十分に溶解させる。ゲル状粒子中に油性成分や粉体等を含有させる場合には、別途、油性成分等を含む水溶液を調製し、これと添加混合する。これらの溶液(混合液)から、一般的な滴下法、噴霧法、或いは、攪拌法等により、ゲル状粒子を得ることができる。
例えば、天然カロチノイドを包含した多芯型構造のマイクロカプセルをスプレークーリング法で製造すること、より詳しくは、O/W型乳化物のゲル化温度以下の雰囲気を設けた塔中に、ゲル化温度以上のO/W型乳化物を、粒子が50〜3000μmの平均粒子径となるよう噴霧し、冷却固化後、捕集することにより、マイクロカプセルを得ることができる(特開平9−302379号公報)。また、ゲル化点が30℃以上である非架橋型ハイドロゲルのゲル剤を溶解させた水性成分水溶液に油性成分を分散させた分散液を気相中に噴霧して形成された液滴を冷却固化させる場合には、噴霧によって生じた液滴を冷却するための冷却設備を必ずしも必要とせず、ハイドロゲル粒子を製造することができる(特開2007−160277号公報)。
例えば、内油相と、加熱冷却により固化する親水性高分子ゲル化剤を含む水相とからO/Wエマルジョンを調製し、このO/Wエマルジョンをさらに外油相中に分散乳化してO/W/Oエマルジョンとし、水相を固化させてカプセル化することにより、マイクロカプセルを製造することができる(特開2001−97818号公報)。また、剪断ゲルを利用し、ゲル粒子の活性物質の捕捉を強化し、分散性を向上させることもできる(特許第3949580号公報)。
ゲル状粒子に含有される油性成分としては、通常化粧料に用いるものであれば特に制限されず、固体脂、半固体油、液状油等のいずれでも良い。例えば、油脂、ロウ類、セラミド類、炭化水素油、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油等が挙げられる。また、紫外線吸収剤等も含有させることができる。
更に、粉体についても、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄等の無機粉体や、有機粉体などが挙げられる。
また、寒天のゲル状粒子は、皮膚外用剤中に10〜70質量%含有するのが、皮膚外用剤中に均一に分散させる上で好ましい。
本発明で用いられるアクリル酸系ポリマーは、水相を増粘させることによって、ゲル状粒子(寒天)を分散させる役割を担う。
また、アクリル酸系ポリマーは、その乳化能によって各種油性成分を乳化し、独特のテクスチャーを生み出す機能を有する。さらに、寒天などの増粘多糖類と併用した場合には、塗布後のべたつきを抑制する効果を発揮する。
市販品として、例えば、カーボポール(CARBOPOL)980、981、1342、ETD2020、ペムレン(PEMULEN)TR-1、ペムレン(PEMULEN)TR-2(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)、アキュリン(Aculyn)22(ローム&ハース社製)、アリストフレックス(Aristoflex)AVC、HMB(クラリアントジャパン社製)等を用いることができる。
これらのうち、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
本発明で用いる糖類としては、例えば、スクロース、トレハロース、ガラクトシルフルクトース、スクラロース、メリビオース、ラフィノース、ラクトース等の2糖又は3糖;マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコールが挙げられる。
これらのうち、スクロース、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトールが好ましく、更にキシリトールが好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、エタノールを比較的多量に含有することにより、みずみずしさや、清涼感を向上させることができる。
エタノールと成分(B)のような増粘剤を含有する系では、増粘剤の種類によっては形状が劣化し、経時の粘度安定性および外観・性状が損なわれる場合がある。しかし、本発明のように糖類と寒天を組み合わせることにより、みずみずしく、清涼感があり、使用感が軽く、さらに経時安定性に優れた皮膚外用剤を得ることができる。
また、成分(B)と成分(D)の質量割合は、(B)/(D)=0.006〜0.55、更に0.01〜0.33、特に0.034〜0.067であるのが、皮膚外用剤の粘度を保ち、安定性を高める観点から好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、更に、寒天以外の多糖類を含有することができ、安定性により優れるとともに、塗布時に伸ばしやすいなど、良好な感触を得ることができる。
かかる多糖類としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアーガム、マンナン、澱粉などが挙げられる。これらのうち、キサンタンガム、ローカストビーンガムが好ましい。
油性成分の配合量は、皮膚外用剤の安定性及び使用感を損なわない限り、特に制限されるものではないが、通常0.1〜20質量%であるのが好ましい。
かかる紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、ルチン及びその誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量は、特に制限されるものではないが、皮膚外用剤中、合計で0.1〜20質量%であるのが好ましい。
すなわち、本発明の皮膚外用剤は、成分(A)を水と混合し、寒天の溶解温度以上の温度に加熱し、寒天を溶解した後、これを冷却し、体積基準平均粒径が10〜10,000μmとなる略球形状のゲル状粒子を形成させ、一方、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を混合して水相を調製し、この水相に成分(A)の寒天のゲル状粒子を分散させる。
また、成分(F)を含む場合には、成分(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)を混合して水相を調製し、この水相に成分(A)の寒天のゲル状粒子を分散させる。
本発明の皮膚外用剤の粘度は、25℃において、500〜100,000mPa・sであるのが好ましい。
化粧料として使用する場合は、化粧料成分として通常用いられる油性成分、保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素、香料などを任意に組み合わせて配合することができる。
これらの成分は、前記のように、ゲル状粒子中に含有させることもでき、また、水相(外層)中に配合することもできる。
固体脂として、ステアリン酸モノグリセライド(花王社製、商品名:レオドールMS−60)、及び結晶性有機系紫外線吸収剤として、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(BASFジャパン社製、商品名:ユビナールAplus)、液体油として、パラメトキシケイ皮酸オクチル(BASFジャパン社製、商品名:ユビナールMC80)を含む分散相成分液を調製した。このとき、得られるハイドロゲル粒子における含有量が、ステアリン酸モノグリセライド3.0質量部、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル4.5質量部、及びパラメトキシケイ皮酸オクチル10.5質量部となるように配合を行い、80℃で加熱溶解を行った。
寒天ゲル状粒子の粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、型番:LA−920)を用いたレーザー回折散乱法により測定された。得られた寒天ゲル状粒子は、体積基準平均粒径120μmの略球形状であり、寒天を1.5質量%含有する。
分散相成分液を水に代える以外は製造例1と同様にして、寒天ゲル状粒子を製造し、これを製造例2とした。製造例2は、油性成分を含まない寒天ゲル状粒子である。
得られた寒天ゲル状粒子は、体積基準平均粒径140μmの略球形状であり、寒天を1.5質量%含有する。
表1に示す組成のジェルを製造し、経時安定性及び使用感を評価した。結果を表1に併せて示す。
成分(1)〜(6)及び(8)を成分(11)に加えて溶解させる。これに、成分(9)を加えて中和した後、撹拌し、成分(10)を加え、最後に成分(7)を添加してジェルを得る。
(1)経時安定性:
各ジェルをガラス容器(容量:50mL)に50gずつ充填し、密閉して、温度サイクル試験に供した。これは40℃の温度変化を6時間で1サイクルとするものである。1サイクル目は0℃〜40℃で始まり、2サイクル目は−1℃〜39℃、3サイクル目は−2℃〜38℃…というように、1サイクル毎に1℃ずつ上下の温度が変化する。168時間後に、下限温度−28℃を迎え、そこから下限温度が0℃に向かうように1℃ずつ上がっていくものである。2週間後(336時間後)、各試料を取り出し、試料表面での離水の有無を目視評価し、以下の基準で判定した。
A:目視確認により、組成物表面に水の遊離がない。
B:目視確認により、組成物表面にやや水の遊離がある。
C:目視確認により、組成物表面に水の遊離がある。
各ジェルについて、専門パネラー3名が前腕部に塗布し、肌のみずみずしさに関する実使用試験を行った。使用感(みずみずしさ)を、スコア5をみずみずしい、スコア3をどちらともいえない、スコア1をみずみずしくない、として0.1刻みで評価し、3人の評価から平均スコアを求めた。
25℃において、B8L型粘度計(東機産業)、ローターNo.4、30rpmにて測定した。
一方、比較例1及び2のジェルは、温度サイクル試験によって組成物表面に水の遊離が顕著に現れ、安定性が悪いものであった。
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 1.0(質量%)
(2)エタノール 10.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 5.5
(4)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
(5)ジメチコン 3
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.35
(7)製造例1の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):15,000mPa・s)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 1.0(質量%)
(2)エタノール 8.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 6.5
(4)(4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)
−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジン
プロピオン酸 2−エチルヘキシル) 0.7
(5)ジメチコン 1.0
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.36
(7)製造例1の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):13,000mPa・s)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 0.5(質量%)
(2)エタノール 6.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7.0
(4)(2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキソロキシ)
−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−
メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン) 1.5
(5)ジメチコン 2.0
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.38
(7)製造例1の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):12,000mPa・s)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)キシリトール 1.0(質量%)
(2)エタノール 10.0
(3)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 5.5
(4)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
(5)ジメチコン 3.0
(6)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR-1、Lubrizol Advanced Materials社製) 0.34
(7)製造例2の寒天ゲル状粒子 30.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)香料 適量
(10)精製水 バランス
合計 100
(粘度(25℃):14,000mPa・s)
成分(1)〜(6)を成分(10)に加えて溶解させる。これに、成分(8)を加えて中和した後、成分(9)を添加し、最後に成分(7)を添加して撹拌し、ジェルを得る。
Claims (9)
- 次の成分(A)〜(E):
(A)寒天 皮膚外用剤中0.1〜1質量%、
(B)水相の、ポリアクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及びメタクリル酸アルキルエーテル共重合体から選ばれるアクリル酸系ポリマー 0.1〜2質量%、
(C)キシリトール 皮膚外用剤中0.3〜3質量%、
(D)エタノール 皮膚外用剤中3〜20質量%、
(E)水 皮膚外用剤中50〜96.5質量%
を含有し、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を含む水相に、成分(A)の略球形状のゲル状粒子が分散されてなり、ゲル状粒子は、寒天を0.1〜3質量%含有する、皮膚外用剤。 - 成分(A)と成分(C)の質量割合が、(A)/(C)=0.033〜3.33である請求項1記載の皮膚外用剤。
- 成分(A)と成分(D)の質量割合が、(A)/(D)=0.006〜0.3である請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
- 成分(B)と成分(D)の質量割合が、(B)/(D)=0.006〜0.55である請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
- 成分(A)と成分(C)の質量割合が、(A)/(C)=0.1〜1.4である請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
- 成分(A)と成分(D)の質量割合が、(A)/(D)=0.01〜0.16である請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
- 成分(B)と成分(D)の質量割合が、(B)/(D)=0.01〜0.33である請求項1〜6のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
- さらに、(F)キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアーガム、マンナン及び澱粉から選ばれる多糖類を0.03〜0.08質量%含有する請求項1〜7のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
- 次の成分(A)〜(E):
(A)寒天 皮膚外用剤中0.1〜1質量%、
(B)水相の、ポリアクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及びメタクリル酸アルキルエーテル共重合体から選ばれるアクリル酸系ポリマー 0.1〜2質量%、
(C)キシリトール 皮膚外用剤中0.3〜3質量%、
(D)エタノール 皮膚外用剤中3〜20質量%、
(E)水 皮膚外用剤中50〜96.5質量%
を含有し、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を含む水相に、成分(A)の略球形状のゲル状粒子が分散されてなり、ゲル状粒子は、寒天を0.1〜3質量%含有する、皮膚外用剤の製造方法であって、
成分(A)を水と混合し、寒天の溶解温度以上の温度に加熱し、寒天を溶解した後、これを冷却し、体積基準平均粒径が10〜10,000μmとなる略球形状のゲル状粒子を形成させ、一方、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を混合して水相を調製し、この水相に成分(A)の寒天のゲル状粒子を分散させる
皮膚外用剤の製造方法。
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