JP5804598B2 - 超伝導フラーレンナノ材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、超伝導フラーレン細線が現実に製造されたとの報告はなかった。
本発明は、以下の構成を有する。
前記金属イオンが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び希土類金属イオンの群から選択される1又は2以上の金属イオンであり、
前記金属イオンの添加量がフラーレン分子1個に対して金属イオン6個未満の濃度であり、
前記空孔部の直径が1nm以上200nm未満であり、
遮蔽体積分率(超伝導体積分率)が80%以上であることを特徴とする超伝導フラーレンナノ材料。
(3)前記超伝導フラーレンナノ材料の臨界電流密度Jcが2×10 5 A/cm 2 以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
(4)前記フラーレン分子結晶がC60、C70以上の高次フラーレン及びそれらの誘導体並びにそれらの元素内包体の群から選択される1又は2以上のフラーレン分子により構成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の超伝導フラーレンナノ材料。
(5)前記フラーレン分子結晶がフラーレンナノチューブ又はフラーレンナノウィスカーであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の超伝導フラーレンナノ材料。
(7)フラーレン分子結晶の厚さが1μm未満であり、かつ、厚さ/直径のアスペクト比が1未満のフラーレン薄膜であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の超伝導フラーレンナノ材料。
(8)フラーレン分子結晶の長さ及び直径が1μm未満であり、かつ、長さ/直径のアスペクト比が1以上3未満のフラーレン微結晶であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の超伝導フラーレンナノ材料。
前記フラーレン分子結晶をアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び希土類金属元素の群から選択される1又は2以上の金属元素とともにガラス管に封入してから、前記ガラス管を加熱して発生させた金属蒸気にフラーレン分子結晶を曝して、金属元素をフラーレン分子結晶に添加する工程と、
前記金属イオンの添加されたフラーレン分子結晶の遮蔽体積分率を飽和させる熱処理を行う工程と、
を有することを特徴とする超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
(11)前記2層溶液に超音波を照射することを特徴とする(9)又は(10)に記載の超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
(12)前記フラーレン良溶媒がトルエンであり、前記フラーレン貧溶媒がイソプロピルアルコールであることを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載の超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
(13)前記拡散混合液を静置することを特徴とする(9)〜(12)のいずれかに記載の超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料、その製造方法、超伝導フラーレン細線、超伝導フラーレン薄膜及び超伝導フラーレン微結晶について説明する。
超伝導フラーレンナノ材料は、直径、厚さ又は長さのいずれかが1μm未満であって、フラーレン分子からなり、超伝導特性を発現する材料である。
具体的には、直径が1μm未満の超伝導フラーレン細線、厚さが1μm未満の超伝導フラーレン薄膜及び直径及び厚さ(長さ)、すなわち、粒径が1μm未満の超伝導フラーレン微結晶が該当する。
まず、本発明の第1の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料について説明する。
図1は、本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料の一例を示す図であって、超伝導フラーレン細線を示す図である。
図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線における断面図であり、図1(c)は図1(b)のB部における拡大模式図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料1は、超伝導フラーレン細線10であり、針状のフラーレン分子結晶11と、フラーレン分子結晶11中に添加された金属イオンMと、を有する。
金属イオンMの添加量が、フラーレン分子1個に対して金属イオン6個未満の濃度である。
なお、フラーレンの直径が1000nm未満の針状結晶又は非晶質針状晶はフラーレンナノファイバーとも呼ぶ。なお、フラーレンナノウィスカーは直径1000nm未満の単結晶状のフラーレンナノファイバーである。
フラーレン分子結晶11は、結晶成長方向に対して平行な方向に延伸する中空構造を有するフラーレンナノチューブでもよい。なお、フラーレンナノチューブは直径1000nm未満のフラーレンチューブである。
フラーレン分子がひとつずつリニアにつながり、長さk11が3nm以上のものはフラーレンナノファイバーである。長さk11が5μm以下のものは極短フラーレンナノウィスカーと呼ばれる。
図1(b)に示すように、フラーレン分子結晶11は、多孔質コア部11aと緻密質表層部11bのコア−シェル構造をとっている。前記結晶成長方向に対する垂直断面で、多孔質コア部11aには1つ以上の空孔部11cが設けられている。
空孔部11cは、1つ以上あればよい。これにより、内部表面が増えるので金属元素をより速く拡散できる。
空孔部11cは、直径1nm以上200nm未満である。C60分子1個が抜けても空孔ができ、この小さい空孔も拡散を助ける。そこで、空孔部11cの直径は1nm以上であればよい。
フラーレン分子結晶11として、C60、C70、C76、C80、C60−C70複合体等を挙げることができる。
また、フラーレン分子結晶11として、例えば、(C60[C(COOC2H5)2]、C60(2−methoxycarbonyl−N−methylpyrrolidine)、C60C3H7N)等のフラーレン誘導体等を挙げることができる。
また、フラーレン分子結晶11として、C60誘導体−C80の複合体、C60誘導体−C70−C80の複合体等を挙げることができる。
更にまた、フラーレン分子結晶11として、Sc、N、Gd、Li、及び、He、Ne、Kr、Xeなどの希ガス等の群から選択される1又は2以上の元素を内包するC60元素内包体、C70の元素内包体又はC80、C82の元素内包体等を挙げることができる。Sc3Nのようなクラスターとして包含してもよい。
前記アルカリ金属イオンは、Naイオン、Kイオン、Rbイオン、Csイオンの群から選択され、前記アルカリ土類金属イオンは、Caイオン、Srイオン、Baイオンの群から選択され、前記希土類金属イオンは、Ybイオン、Smイオンの群から選択されることが好ましい。
金属イオンMは1又は2以上添加される。すなわち、2以上の異なる金属イオンMを添加してもよい。
図1(c)に示すように、フラーレン分子1個に対して金属イオン3個にしたときに、fcc結晶構造の4面体空隙(Tetrahedral−site)2個及び8面体空隙(Octahedral−site)1個の配列ナノ空間の半分を埋める。このとき、C60の3重縮退しているt1u軌道に電子が半分充填され、Fermiレベルの状態密度NEFが高くなる。C60のfcc構造のphonon frequencyが高くなり、BCS理論による超伝導転移温度を上げる。このようにして、超伝導特性を発現させることができる。
図2(a)は無添加の結晶構造であり、絶縁体である。
図2(b)はC60分子1個に対してK+イオン3個にしたときの結晶構造である。この結晶構造では、超伝特性が発現する。
図2(c)はC60分子1個に対してK+イオン6個にしたときの結晶構造である。この結晶構造では、超伝特性が発現しない。
図3に示すように、C60は超伝導に関与できる電子がないので、絶縁体となる。一方、K3C60は超伝導に関与できる電子が多く、エネルギーを得するので、超伝導になる。逆に、K6C60は超伝導に関与できる電子がほとんどなく、エネルギーを得しないので、超伝導にならない。
本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料の製造方法は、フラーレン分子結晶作製工程S1と、金属イオン添加工程S2と、を有する。
図4は、本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料の製造方法を示すフローチャートである。
フラーレン分子結晶作製工程S1は、フラーレン良溶媒にフラーレンを分散させたフラーレン溶液に、フラーレン貧溶媒からなる溶液を重層して液−液界面を形成した2層溶液を調製し、これを拡散混合した拡散混合液を調製してから、前記拡散混合液を濾別・乾燥して、フラーレン分子結晶を作製する工程である。
なお、溶媒の種類と組成、添加物の種類、温度、及び、超音波照射条件を変えることにより、直径、厚さ又は長さのいずれかが1μm未満のフラーレンナノ材料(フラーレン分子結晶)を任意のアスペクト比で作製でき、直径が1μm未満のフラーレン細線、厚さが1μm未満のフラーレン薄膜及び直径、厚さがともに1μm未満のフラーレン微結晶を作製できる。また、フラーレン細線は、フラーレンナノチューブ又はフラーレンナノウィスカー(針状結晶又は非晶質針状晶)として作製できる。
例えば、前記2層溶液に超音波を10分照射することによりフラーレン薄膜を作製でき、前記2層溶液に超音波を0〜10分照射することにより微結晶を作製できる。
しかし、拡散混合液中の溶媒和結晶(典型的には六方晶)は、柔らかい状態であり、たやすく変形する。そのため、これを濾別・乾燥すると、典型的にはより固い立方晶に変態する。このとき、1つ以上の空孔部が結晶内に生成される。
空孔部は、直径1nm以上200nm未満とされる。空孔部及びその連結部は、次の金属イオン添加工程S2において、金属イオンの拡散パスとして機能する。
金属イオン添加工程S2は、前記フラーレン分子結晶をアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び希土類金属元素から選択される1又は2以上の金属とともにガラス管に封入してから、前記ガラス管を加熱して発生させた金属蒸気にフラーレン分子結晶を曝して、金属イオンをフラーレン分子結晶に添加する工程である。
フラーレン分子結晶は直径、厚さ又は長さのいずれかが1μm未満であるので、表面からだけでも、短時間に、金属イオンを均一に拡散させることができる。
更に、フラーレン分子結晶は複数の空孔部を有しているので、これを金属元素の拡散パスに利用して、より短時間に、金属イオンを均一に拡散させることができる。
空孔部はそれぞれ分離して形成されているが、複数の空孔部を連結する結晶部分の距離が短いので、この結晶部分において金属イオンは容易に隣接する空孔部に移動できる。そのため、空孔部を連結する結晶部分の移動と、空孔部内の移動を繰り返すことにより、結晶全体により均一に金属イオンを拡散させることができると考えられる。
ガラス管としては、例えば、石英ガラスが用いられる。
<超伝導フラーレンナノ材料:超伝導フラーレン薄膜>
まず、本発明の第2の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料について説明する。
図5は、本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料の一例を示す図であって、超伝導フラーレン薄膜を示す図である。
図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のC−C’線における断面図である。
本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料2(超伝導フラーレン薄膜20)は、フラーレン分子結晶21の厚さk21が1μm未満であり、長さk21/直径d21のアスペクト比が1未満であるフラーレン分子結晶21と、フラーレン分子結晶21中に添加された金属イオンと、を有する。
なお、シート状のフラーレン分子結晶であるフラーレンシートのうち厚さk21が1μm未満のものはフラーレンナノシートと呼ぶ。
直径d21は限定されない。
通常、直径d21が1μm以上100μm以下で、厚さk21が10nm以上600nm以下のものが作られる。
これにより、超伝導フラーレンナノ材料2(超伝導フラーレン薄膜20)を製造できる。
<超伝導フラーレンナノ材料:超伝導フラーレン微結晶>
まず、本発明の第3の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料について説明する。
図6は、本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料の一例を示す図であって、超伝導フラーレン微結晶を示す図である。
図6(a)は平面図であり、図6(b)は図6(a)のD−D’線における断面図である。
本発明の実施形態である超伝導フラーレンナノ材料3(超伝導フラーレン微結晶30)は、フラーレン分子結晶31の直径d31及び長さk31、すなわち、粒径が1μm未満であり、長さk31/直径d31のアスペクト比が1以上3未満である微粒子状のフラーレン分子結晶31と、フラーレン分子結晶31中に添加された金属イオンと、を有する。
なお、粒子状のフラーレン分子結晶であるフラーレン粒子のうち直径d31及び長さk31が1μm未満のものはフラーレン微粒子と呼ぶ。
これにより、超伝導フラーレンナノ材料3(超伝導フラーレン微結晶)30を製造できる。
(フラーレン分子結晶作製工程S1:C60FNWの作製)
まず、C60粉末(99.5%、MTR、アメリカ)を飽和させたトルエン(特級、99.5%、和光純薬工業)溶液に、2−プロパノール(特級、99.7%、和光純薬工業(株))を重層して液−液界面を形成した。
次に、10秒間の超音波照射により、2液を強制的に拡散混合した後、10℃で24時間静置して、拡散混合液を調製した。
次に、前記拡散混合液をフィルター(No.5B、(有)桐山製作所)で濾別したものを自然乾燥して、C60NWを得た。このC60NWの直径は540±160nm、平均長は4.4±2.6μmであった。このC60NWを比較例1サンプルとした。
次に、C60NWに対してモル比1.6となるカリウム(K)を、C60NWとともに、石英チューブ(内径5.5mm)内に封入した。KとC60NWは、石英チューブ中で近接配置した。封入は、Kの酸化を防ぐためにアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で行い、さらに3×10−3Paの減圧下で真空封入した。
次に、真空封入した石英チューブを電気炉中で24時間、200℃で加熱した。
以上の工程により、C60NW中にKをモル比1.6(K濃度(仕込み組成))で拡散させた実施例1サンプルを作製した。
次に、C60NWに対するカリウム(K)のモル比を2.3(実施例2)、3.0(実施例3)、3.3(実施例4)、4.0(実施例5)、4.6(実施例6)、6.0(実施例7)とした他は実施例1と同様にして、実施例2〜7サンプルを作製した。
次に、C60粉末(99.5%、MTR、アメリカ)を用意した。これを比較例2サンプルとした。
次に、C60粉末にカリウムドープを行った。なお、非特許文献6で示したように、液−液界面析出法でC60NWを形成する際にKOHを用いてC60NWへカリウムをドープする方法は、Kを高濃度添加しようとすると、C60NWを生成できず、適当でない。そのため、フラーレンに金属を添加するために一般に用いられているアルカリ金属の直接反応法により、C60粉末にモル比3.3のKを添加して、K3.3C60粉末(比較例3サンプル)を作製した。
まず、走査電子顕微鏡(SEM、Hitachi SU−70)を用いて微細構造観察を行った。
Kドープ前のC60粉末は、大気中で安定であった。
しかし、図7(b)に示すように、Kドープ後は、K3.3C60粉末にはクラックが発生した。このK3.3C60粉末は、24時間大気暴露により、クラックがより多数発生して崩壊した。
C60NW及びK3.3C60NWの断面形状は6角形が多かった。
Kドープ前のC60NWは、大気中で安定であった。
また、図8(b)に示すように、Kドープ後でも、K3.3C60NW(実施例4サンプル)にはクラックは発生せず、大気中で安定であった。
磁化率測定は、ゼロ磁場で冷却してから20Oeで保持した(ゼロフィールドクーリング(Zero Field Cooling、ZFC))後、行った。
図9に示すように、Kドープ前(Before heat)のサンプル(比較例1サンプル)の磁化率M/Hは温度によらずほとんど0で一定であった。
一方、Kドープ後のサンプル(実施例1〜7サンプル)は、超伝導転移開始温度TcのK組成によるサンプル間の差異はほとんど無く、17Kであった。超伝導転移開始温度Tc以下の温度領域では、特性が大きく変化し、K3.3C60NW(実施例4サンプル)が最も大きな磁化率を示した。
遮蔽体積分率は、完全反磁性磁化率(−1/4π)に対する測定磁化率である。図10に示すように、K濃度(仕込み組成)x=3.3で遮蔽体積分率が最大値約80%となった。
図11に示すように、約24時間で、K3.3C60NW(実施例4サンプル)の2Kの遮蔽体積分率は飽和して、約80%となった。
これらの結果を比較すると、K3.3C60NW(実施例4サンプル)は、K3.3C60粉末(比較例3サンプル)に比べて、良質な超伝導体であることが分かった。
図12は、C60粉末(下)とC60NW(上)のX線回折図形である。C60とC60NWはいずれも面心立方晶が主体であった。
図13の断面TEM像に示すように、C60NWは、複数の空孔部が存在する多孔質なコア部分と、緻密質な表面層(シェル部分)から成るコア−シェル構造をとっていた。この構成は、非特許文献4にも同様の記載がある。
空孔部は、微小な空隙(ポア)、積層欠陥、転位等の格子欠陥により生成されたものであり、空孔部がKの拡散を助けて、熱力学的に安定なK3C60NWの生成を促進したと考えた。
図14に示すように、磁化測定結果より、K3.3C60NWの臨界電流密度Jcは2×105A/cm2以上であった。また、印加磁場を増大してもJcの減少が小さかった。更に、10kOe以上の高磁場印加において、Jcの変化は小さかった。
これにより、KxC60NW(x=1.6〜6.0:実施例1〜7サンプル)は、軽い超伝導材料という新規な製品とすることができる可能性があることが分かった。
Claims (13)
- フラーレン分子結晶と、前記フラーレン分子結晶中に添加された金属イオンと、を有し、前記フラーレン分子結晶の直径、厚さ又は長さのいずれかが1μm未満とされ、かつ、前記フラーレン分子結晶には当該結晶の成長方向に対する垂直断面の多孔質コア部に1つ以上の空孔部が設けられていると共に、
前記金属イオンが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び希土類金属イオンの群から選択される1又は2以上の金属イオンであり、
前記金属イオンの添加量がフラーレン分子1個に対して金属イオン6個未満の濃度であり、
前記空孔部の直径が1nm以上200nm未満であり、
遮蔽体積分率(超伝導体積分率)が80%以上であることを特徴とする超伝導フラーレンナノ材料。 - 前記金属イオンがKイオンであり、前記金属イオンの添加量がフラーレン分子1個に対して金属イオン3個の濃度であることを特徴とする請求項1に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
- 前記超伝導フラーレンナノ材料の臨界電流密度Jcが2×10 5 A/cm 2 以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
- 前記フラーレン分子結晶がC60、C70以上の高次フラーレン及びそれらの誘導体並びにそれらの元素内包体の群から選択される1又は2以上のフラーレン分子により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
- 前記フラーレン分子結晶がフラーレンナノチューブ又はフラーレンナノウィスカーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
- フラーレン分子結晶の直径が1μm未満であり、かつ、長さ/直径のアスペクト比が3以上のフラーレン細線であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
- フラーレン分子結晶の厚さが1μm未満であり、かつ、厚さ/直径のアスペクト比が1未満のフラーレン薄膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
- フラーレン分子結晶の長さ及び直径が1μm未満であり、かつ、長さ/直径のアスペクト比が1以上3未満のフラーレン微結晶であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超伝導フラーレンナノ材料。
- フラーレン良溶媒にフラーレンを分散させたフラーレン溶液に、フラーレン貧溶媒からなる溶液を重層して液−液界面を形成した2層溶液を調製し、これを拡散混合した拡散混合液を調製してから、前記拡散混合液を濾別・乾燥して、直径、厚さ又は長さのいずれかが1μm未満のフラーレン分子結晶を作製する工程と、
前記フラーレン分子結晶をアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及び希土類金属元素の群から選択される1又は2以上の金属元素とともにガラス管に封入してから、前記ガラス管を加熱して発生させた金属蒸気にフラーレン分子結晶を曝して、金属イオンをフラーレン分子結晶に添加する工程と、
前記金属イオンの添加されたフラーレン分子結晶の遮蔽体積分率を飽和させる熱処理を行う工程と、
を有することを特徴とする超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。 - 前記加熱温度が、封入する金属元素の昇華温度以上であることを特徴とする請求項9に記載の超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
- 前記2層溶液に超音波を照射することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
- 前記フラーレン良溶媒がトルエンであり、前記フラーレン貧溶媒がイソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
- 前記拡散混合液を静置することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の超伝導フラーレンナノ材料の製造方法。
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