JP5800987B2 - 電子写真用トナー - Google Patents
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Description
[1]エチレンから導かれる構成単位(a)を80〜99.5モル%、および、炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)を0.5〜20モル%〔(a)+(b)=100モル%とする。〕含み、下記要件(i)および(ii)を満たすエチレン共重合体を含むことを特徴とする電子写真用トナー。
(i)極限粘度〔η〕が0.01〜0.50dl/gの範囲にある。
(ii)結晶化度が50〜90%の範囲にある。
[2]前記エチレン共重合体が、さらに下記要件(iii)および(iv)を満たすことを特徴とする、[1]に記載の電子写真用トナー。
(iii)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が50〜100℃の範囲にある。
(iv)GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲にある。
[3]前記炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)が二重結合を2個以上含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の電子写真用トナー。
[4]前記炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)が、下記一般式(V)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の電子写真用トナー。
[5]前記炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)がエチリデンノルボルネン(ENB)、またはビニルノルボルネン(VNB)であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の電子写真用トナー。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の電子写真用トナーが、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂、またはスチレン系重合体を含んでなることを特徴とする電子写真用トナー。
本発明の電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合もある。)を構成するエチレン共重合体は、エチレンから導かれる構成単位(a)を80〜99.5モル%、炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)を0.5〜20モル%〔(a)+(b)=100モル%とする。〕含み、(i)極限粘度〔η〕が0.01〜0.50dl/gの範囲、および、(ii)結晶化度が50〜90%の範囲にある共重合体である。
なお、本明細書において、構成単位の量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
これらのことから、後述する本発明のトナーは、低融点のエチレン重合体を含みながらも、トナー製造時や印刷時の加熱環境下において、分子量低下が少なく、ブロッキングや臭気等の原因となりうる低分子量の生成が少なくなるため、前述の優れた効果、すなわち、トナーの保存性、印刷時の耐オフセット性、低温定着性を向上させるとともに、トナーから発生する臭気や経時汚染を低減できると考えられる。
(iii)および(iv)を満たす共重合体であることが好ましい。
本発明に係るエチレン共重合体を構成する炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)は、炭素数8以上の環状オレフィンを共重合することにより導かれる。
上記一般式(V)で表される繰り返し単位の原料としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式で表される環状非共役ジエンを挙げることができる。
本発明に係る炭素数8以上の環状オレフィンを除く炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位(c)は、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを共重合することにより導かれる。
本発明に係るエチレン共重合体は、種々公知の製造方法、例えば、エチレンと炭素数8以上の環状オレフィン、必要に応じて炭素数8以上の環状オレフィンを除く炭素原子数3〜20のα−オレフィンをチーグラー/ナッタ触媒、メタロセン系触媒により重合して製造し得る。
本発明のトナーは、上記エチレン共重合体を含んでなる。
本発明に係るトナー用バインダー樹脂としては、種々公知のバインダー樹脂を使用し得る。具体的には、例えば、スチレン系重合体、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、および脂肪族・芳香族ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の樹脂があげられる。
本発明のトナー中には、トナー用バインダー樹脂100質量部に対して、前記エチレン共重合体が0.1〜40質量部の範囲で含まれることが一般的である。好ましいエチレン共重合体の下限値は0.5質量部、より好ましくは1.0質量部、更に好ましくは1.5質量部、特に好ましくは2.0質量部である。好ましい上限値は35質量部、より好ましくは20質量部、更に好ましくは10質量部、特に好ましくは6質量部である。
本発明のトナーに含まれる着色剤としては、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、マグネタイト等の黒色顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、ハンザイエローG、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、モリブデンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレン、ブリリアントオレンジGK、ベンガラ、ブリリアントカーミン6B、フリザリンレーキ、メチルバイオレットレーキ、ファストバイオレットB、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、酸化チタン、亜鉛華等の公知の有機顔料が挙げられる。着色剤の含有量は、通常トナー用バインダー樹脂100質量部に対して5〜250質量部である。
本発明のトナーには、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲に於いて、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリアミド、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族石油樹脂、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス〔本発明のエチレン系重合体を除く〕、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、脂肪酸アミドワックス、塩ビ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、クロマン−インデン樹脂、メラミン樹脂等の従来公知の離型剤を一部添加使用してもよい。その量は通常トナー用バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部である。
本発明のトナーは、前記各成分を、従来公知のいかなる方法、例えば、接触分散、溶融分散、溶液分散等を採用することにより製造することができる。
本発明のトナーは、前記エチレン系重合体を含有することにより、保存性、耐オフセット性と印刷の定着性、耐ブロッキング性、現像耐久性および低温印刷性に優れる理由については、明らかではないが、発明者らは以下のように推定している。
また、本発明に係るエチレン共系重合体は前述の通り熱安定性に優れているので、トナー製造時や印刷時の加熱環境下でも熱分解しにくい。従って得られるトナーは保存安定性に優れ、かつ、プリンター機内の汚染やダストを高レベルに防止できることが期待される。
本発明のトナーの用途は特に限定されないが、キャリアと混合して二成分または一.五成分現像剤としても用いることができるし、トナー中に磁性粉を含有させた、キャリアを用いない磁性一成分現像剤、もしくはキャリアや磁性粉を使用しない一成分現像剤、あるいはマイクロトーニング現像剤としても用いることができる。本発明のトナーが二成分または一.五成分現像剤として用いられる場合、キャリアとしては、従来公知のキャリアがいずれも使用できる。
(1)構成単位の含有量の測定方法
エチレン共重合体の環状オレフィンからの構成単位の含有量は、13C−NMRによる不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積とを比較することにより得た。
エチレン共重合体約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この、デカリン溶媒5mlを追加する希釈操作をさらに2回繰り返し、下記式(Eq-6)に示すように濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位;dl/g)として求めた。
(3)結晶化度の測定方法
測定サンプルをホットプレス180℃×5minの後、コールドプレス水冷×5minすることにより、1mm厚のプレスシートを作製した。得られたプレスシートについて、回転試料台を有するX線回折装置(リガク製RINT2500)を用い、50kV−300mAの条件で、透過法にてX線プロファイルを測定した。得られたX線プロファイルより、結晶部分と非結晶部分とを分離して、結晶化度を求めた。
エチレン共重合体の融点は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgをアルミパンに封じ、−20℃から200℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブの吸熱ピークを融点として求めた。この昇温測定の前に、一旦、試料(共重合体)を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分で−20℃まで降温する操作を行い、試料(共重合体)の熱履歴を統一した。
エチレン共重合体の数平均分子量Mn、および重量平均分子量Mwは、GPC測定から求めた。測定は以下の条件で行った。また、数平均分子量Mn、および重量平均分子量Mwは、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。
溶剤:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速:1.0 ml/分
試料:0.15mg/mL、o−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算:PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリエチレン(PE)の係数 : KPE=5.06×10−4, aPE=0.70。
トナーバインダー中のエチレン共重合体の耐熱性を把握するために5%減量温度を測定した。エチレン共重合体10mgを量り取り、熱重量測定装置(TG−DTA320、SII社製)により測定される、重量が5%減少したときの温度である。ここで、TGAによる測定は、空気雰囲気下:200mL/分、昇温速度:20℃/分、温度範囲:30℃〜700℃の条件下で行った。
(1)酸価
本実施例における酸価は、以下の通り算出した。キシレン:n―ブタノール=1:1質量比の混合溶媒に精秤した試料を溶解した。予め標定されたN/10水酸化カリウムのアルコール(特級水酸化カリウム7gにイオン交換水5gを添加し、1級エチルアルコールで1L(リットル)とし、N/10塩酸と1%フェノールフタレイン溶液にて力価=Fを標定したもので滴定し、その中和量から次式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)=(N/10 KOH滴定量(ml)×F×5.61)/(試料(g)×0.01)
(2)ピーク分子量
本実施例におけるピーク分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求めたもので、単分散標準ポリスチレンで検量線を作成した換算分子量である。また、本実施例におけるピークとは、ショルダーピークも含む。測定条件は下記の通りである。サンプル溶液は、測定直前にフィルターによってTHFに不溶な成分を除去した。
DETECTOR; SHODEX RI SE-31 (Showa Denko K.K.)
COLUMN; SHODEX GPC KF-807Lを3本とGPC KF-800Dを1本(Showa Denko K.K.)
溶 媒; THF
流 速; 1.2ml/min.
サンプル濃度;0.002g-resin/ml-THF
注入量;100μL
トナーの分子量を測定する際には、トナー10質量%をTHF90質量%に十分溶解させた後、シムゴンタルク50質量部、チタン(CR−95)50質量部を添加し、遠心分離を行い、得られた上澄み液を所定の濃度に調整し測定した。
(1)低温定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した。その後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて、熱ローラーの定着速度を190mm/秒とし、130℃の温度で定着させた。得られた定着画像を砂消しゴム(株式会社トンボ鉛筆製)により、1.0kgfの荷重をかけ、6回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。摩擦後の画像濃度÷摩擦前の画像濃度×100をその温度での変化率とした。130℃での変化率の平均値を定着率として算出した。なお、ここに用いた熱ローラー定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものであった。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃、相対湿度55%)とした。
(評価基準)
◎ ; 42% ≦ 定着率
○ ; 39% ≦ 定着率 < 42%
△ ; 35% ≦ 定着率 < 39%
× ; 定着率 < 35%
(2)低温オフセット性
上記最低定着温度の測定に準じて行った。すなわち、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行った。その後、非画像部分にトナー汚れが生ずるか否かを観察した。前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を150℃より順次降下させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた設定温度をもってオフセット発生温度とし、低温側のオフセット発生温度を低温オフセット性とした。また、上記複写機の雰囲気は、温度22℃、相対湿度55%とした。
(評価基準)
◎ ; オフセット発生温度 < 130℃
○ ; 130℃ ≦ オフセット発生温度 < 135℃
△ ; 135℃ ≦ オフセット発生温度 < 140℃
× ; 140℃ ≦ オフセット発生温度
(3)高温オフセット性
上記最低定着温度の測定に準じて行った。すなわち、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行った。その後、非画像部分にトナー汚れが生ずるか否かを観察した。前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を190℃より順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、上記複写機の雰囲気は、温度22℃、相対湿度55%とした。
(評価基準)
◎ ; 220℃ ≦ オフセット発生温度
○ ; 210℃ ≦ オフセット発生温度 < 220℃
△ ; 200℃ ≦ オフセット発生温度 < 210℃
× ; オフセット発生温度 < 200℃
(4)保存性
温度50℃、相対湿度60%の環境条件下に24時間放置したトナー5gを150メッシュのふるいにのせ、パウダーテスター(細川粉体工学研究所)の加減抵抗機の目盛りを3にして、1分間振動を加えた。振動後の150メッシュのふるいの上に残った質量を測定し、残存質量比を求めた。
(評価基準)
◎ ; 残存質量比 < 45%
○ ; 45% ≦ 残存質量比 < 65%
△ ; 65% ≦ 残存質量比 < 75%
× ; 75% ≦ 残存質量比
(5)臭気
トナーから発生する臭気を以下基準に従って評価した。
トナー1gを18mlの試験管に採取し、150℃に昇温したアルミブロックヒーターDRY THRMOUNIT T−543(大洋科学工業)に30分間静置した。ニオイセンサーXP−329(新コスモス電機)のセンサー部を試験管口に近付け、1分間後の安定した数値を測定値とした。なお、臭気センサー指示値は、ニオイセンサーによる大気中の値(基準値)と上述測定値の差(増加分)である。
○: 145 ≦ 臭気センサー指示値 < 155
△: 155 ≦ 臭気センサー指示値 < 170
×: 170 ≦ 臭気センサー指示値
<トナーバインダーの製造例>
[低分子量ビニル樹脂(L−1)の製造例]
[製造例L−1]
混合キシレン100質量部を窒素置換したフラスコに仕込み昇温し、キシレン還流下において、スチレン93質量部、アクリル酸n−ブチル6質量部、メタクリル酸1質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続する。その後内温 98℃に保ち、更にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて1時間反応を継続し、更にt− ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、ピーク分子量4600、酸価6.5mgKOH/gを有する低分子量ビニル樹脂L−1の重合液を得た。
[製造例H−1]
スチレン74質量部、アクリル酸n−ブチル23.5質量部、メタクリル酸2.5質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、内温120℃に昇温後同温度に保ち、バルク重合を8時間行った。ついで、混合キシレン50質量部を加え、テトラエチレングリコールジアクリレート0.2質量部を加えた後、110℃に昇温した。予め混合溶解しておいた1、1−ビス(t- ブチルパーオキシ)シクロヘキサンの0.35質量部、混合キシレン60質量部を110℃に保ちながら9時間かけて連続添加した後、1時間反応を継続し、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.21質量部を加え2時間反応を継続し、更に1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを0.52質量部を加え2時間反応を継続して重合を完結し、ピーク分子量300000、酸価16.3mgKOH/gを有する高分子量ビニル樹脂H−1の重合液を得た。
[製造例C−1]
高分子量ビニル樹脂(H−1)50質量部と低分子量ビニル樹脂(L−1)50質量部となるように各重合液を混合した後、これを190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して、第一ピークの分子量4600、第二ピークの分子量300000、酸価11.4mgKOH/gを有するバインダー樹脂C−1を得た。
[合成例1]
0.95Lの撹拌機付連続式重合器を用いて重合を行った。なお、このオートクレーブは満液式である。単位時間当たり、ヘキサン:1060g、水素:8NL、エチレン:100NL、5−エチリデン−2−ノルボルネンを15.4g、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル:0.0004g、N,N‐ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロジフェニル)ボレート:0.0026g、トリイソブチルアルミニウム:0.0185gを連続的に供給し、温度は150℃、圧力は3.6MPa、撹拌回転数は800rpmに保持した。重合溶液を連続的に1時間排出した。得られた重合溶液にメタノールを加えることにより重合を停止した。ポリマー溶液を取り出し、ポリマー溶液を窒素流通下で乾燥させ、重合体70gを得た。
合成例1において、薄膜蒸留の温度を240℃、重合体の供給速度を2.7g/minとした以外は、合成例1と同様の方法で、低分子量成分を除去した48gの留分〔エチレン共重合体(E−2)〕を得た。物性測定結果を表1に示す。
合成例1と同様の方法で重合を行い、窒素流通下での乾燥と薄膜蒸留は行わずに、得られたポリマー溶液をアセトンに入れ撹拌し、混合溶液を真空ろ過して得られた固体部(重合体)を乾燥させ、エチレン共重合体(E−3)65gを得た。物性測定結果を表1に示す。
合成例1の重合において、単位時間当たりのヘキサンを1010g、水素を6NL、5−エチリデン−2−ノルボルネンを81.4gに変更した以外は合成例1と同様に重合、停止反応を行った。重合体115gを得た。
充分に窒素置換した内容積1.0Lのガラス製フラスコに、トルエン:0.6Lと2−ノルボルネン:10.0gを装入し、攪拌速度800rpmで攪拌しながら、系内を85℃まで昇温した。その後、エチレンを120L/h、水素を24L/hで流通させた。続いて、トリイソブチルアルミニウムを0.6ミリモル添加し、さらにビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルを0.025ミリモル、N,N‐ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロジフェニル)ボレートを0.05ミリモル添加して重合を開始した。エチレンを連続的に供給しながら、常圧下85℃、攪拌速度800rpmで攪拌しながら30分間重合を行った。少量のイソブチルアルコールを系内に添加し重合を停止させた後、得られた重合溶液を大量のアセトン中に注ぐことによりポリマーを析出させた。得られたポリマーをろ過により回収し、80℃減圧下で一晩乾燥させた。その結果、6.0gのエチレン共重合体(E−5)を得た。物性測定結果を表1に示す。
[実施例1]
100質量部のバインダー樹脂C−1に対し、カーボンブラック(MA100;三菱化成製)6質量部、合成例1で得られたエチレン共重合体2.5質量部、荷電調整剤(T−77;保土ヶ谷化学工業社製)0.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、2軸混練機(PCM−30型、池貝機械製)にて 2軸混錬機吐出部樹脂温度120℃、滞留時間30秒で混練させた。ついで冷却・粉砕・分級してトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたエチレン共重合体に替えて、合成例2〜4で得られたエチレン共重合体を用いる以外は、実施例1と同様に行いトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたエチレン共重合体に替えて、炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位を有さない、商品名:ハイワックス110P(三井化学社製、エチレン:93.6モル%、プロピレン:6.4モル%)を用いる以外は、実施例1と同様に行いトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたエチレン共重合体に替えて、炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位を有さない、商品名:ハイワックスNP105(三井化学社製、プロピレン:97.3モル%、エチレン:2.7モル%)を用いる以外は、実施例1と同様に行いトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたエチレン共重合体に替えて、合成例5で得られたエチレン共重合体を用いる以外は、実施例1と同様に行いトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- エチレンから導かれる構成単位(a)を80〜99.5モル%、および、分子中に二重結合を2個以上有する炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)を0.5〜20モル%〔(a)+(b)=100モル%とする。〕含み、下記要件(i)および(ii)を満たすエチレン共重合体を含むことを特徴とする電子写真用トナー。
(i)極限粘度〔η〕が0.01〜0.50dl/gの範囲にある。
(ii)結晶化度が50〜90%の範囲にある。 - 前記エチレン共重合体が、さらに下記要件(iii)および(iv)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の電子写真用トナー。
(iii)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が50〜100℃の範囲にある。
(iv)GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲にある。 - 前記分子中に二重結合を2個以上有する炭素数8以上の環状オレフィンから導かれる構成単位(b)が、下記一般式(V)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
- 前記分子中に二重結合を2個以上有する炭素数8以上の環状オレフィンがエチリデンノルボルネン(ENB)、またはビニルノルボルネン(VNB)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用トナー。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーが、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂、またはスチレン系重合体を含んでなることを特徴とする電子写真用トナー。
- バインダー樹脂を含み、バインダー樹脂100質量部に対して、前記エチレン共重合体が0.1〜40質量部の範囲で含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用トナー。
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