JP5800215B2 - 金型鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造の際に溶湯に振動を加えながら鋳造を行う金型鋳造法に係り、鋳造品の金属組織を微細化し、引け巣を低減できる金型鋳造方法に関するものである。
金型鋳造法は、金型に形成されたキャビティに、金属材料を溶解した溶湯を充填し、冷却・凝固させて鋳造品を得る鋳造法である。金型鋳造法には、溶湯の充填圧力が数kPa〜1000kPa程度の重力鋳造法や低圧鋳造法、溶湯の充填圧力が10MPaを超えて高圧となるダイカスト法などがある。金型鋳造法は、砂型鋳造法に比較して、寸法精度が高く、金属組織が細かく、機械的特性に優れた鋳造品が得られ、しかも生産性が高いことから、アルミニウム合金鋳物などの製造に広く適用されている。一方、例えば、自動車の軽量化ニーズ等から鋳造品には機械的特性の一層の向上が望まれている。一般に鋳造品の機械的特性を向上させるためには、金属組織の微細化、引け巣の低減などが有効と言われている。金属組織の微細化や引け巣の低減のためには、鋳造時の溶湯の冷却速度や凝固速度を制御する必要がある。
冷却速度や凝固速度の制御のためには、金型に冷却機構を設けて金型の温度分布を変更したり、大きな押湯の設置や塗型剤により指向性凝固を図るといった手法があるが、鋳造品の厚肉部や金型温度が高くなる部分では十分な効果が得られない。また、金型に冷却機構を設けた場合には、金型の熱歪が増大し、金型寿命が低下するといった問題がある。金属組織の微細化としては、一般的に溶湯に微細化剤を添加する方法が用いられるが、材料のリサイクル性の悪化や原料コストの上昇などの問題がある。上記の手法の他に、金属組織の微細化や引け巣を低減する手法の一つとして、従来より鋳造の際に振動を加える鋳造法が提案されている。
鋳造の際に溶湯に振動を加えると、初晶自体の発生や生長が抑制されるとともに、初晶は等軸晶の微粒子を結晶核として多数発生して等軸晶へ成長する。また、初晶が樹枝状晶として晶出したとしても、振動により樹枝状晶が破壊・分断される。その結果、鋳造品は、微細化・粒状化した結晶から構成された金属組織を有して機械的特性を向上させることができる。また、振動により固相が微細粒状の結晶となるので、固液共存状態での液相の流動性が改善されることから、凝固収縮にともなう最終凝固部への溶湯の補充をより促進できる。その結果、引け巣などの鋳造欠陥の発生を抑制することが期待できるので、鋳造品の機械的特性を向上させることができる。
振動を加えながら鋳造を行う鋳造法として、例えば、特許文献1にはダイカストマシン等を用いた鋳造加工において、金型内へ溶融金属を充填する際に、流入する溶融金属等に対し、直接又は間接的に超音波振動等の振動を付与する鋳造法が開示されている。特許文献1の鋳造法によれば、金型内に充填する溶融金属に直接又は間接的に超音波振動等の振動を付与することにより、金型内に充填、固化される金属の結晶を均一化すると共に、残留応力を緩和させ、内部に生じる巣の発生を抑制し、金型との密着性を向上させて、鋳造品の品質を向上できるとしている。
しかしながら、従来の手法により単純に振動を加えるだけでは、溶湯に振動が十分に伝達せず、金属組織の微細化や引け巣の低減などの所望の効果を必ずしも得ることがでない。特許文献1の鋳造法のように、溶湯に直接又は間接的に振動を与える場合、金型に取設又は溶湯に浸漬した振動手段から近い位置にある溶湯は比較的容易に振動を付与できるが、振動手段から離れた位置にある溶湯を効率的に振動させることは難しい。特に、鋳造品が大物及び/又は複雑形状の場合には、十分に振動が伝達しない箇所が生じ易く、そのような箇所では振動の効果が得られない。一方、振動の効果を得るために、強力な振動を加えたり多数の振動手段を取設しようとすると、振動子や振動装置が大型化或は複雑化して製造コストが高くなるばかりか、振動による負荷が金型本体、鋳造装置、抜型装置などの周辺装置等に蓄積され、装置の故障を招くという問題がある。
さらに、振動を加える鋳造法では、如何なる種類(タイプ)の振動(超音波振動、電磁振動、機械振動等、機械振動であれば回転運動、往復運動等)を、如何なる振動の条件(パラメータ)(周波数、変位、速度、加速度等)で、どれだけ加えれば、金属組織の微細化や引け巣の低減の効果が得られるのか明確に提案、開示したものはない。このため適切な振動条件を見出すために試行錯誤を繰り返しているのが実状である。特許文献1の鋳造法では、実施例として溶湯に周波数28KHzの超音波を照射するとの記載はあるが、本発明者らが検討したところ28KHzの周波数の超音波を加えただけでは、金属組織の微細化や引け巣の低減について、必ずしも十分な効果は期待できなかった。
特開平5−329613号公報
本発明の目的は、上記のような従来技術に鑑み、鋳造の際に溶湯に振動を加えながら鋳造を行う金型鋳造法において、鋳造品の金属組織を微細化し、引け巣を低減し、以って機械的特性を向上できる方法を提供することにある。
上記目的に鑑み、本発明者らは、振動付与による金属組織の微細化や引け巣低減などの効果を得るために必要な振動条件などについて、冷却速度への影響に着目して鋭意検討した。その結果、加える振動の加速度及び溶湯が接触するキャビティの表面粗さが冷却速度に顕著に影響を及ぼすことを見出し、同時に目的とする効果を得るために好適な前記加速度と前記表面粗さの範囲が存在することを見出して本発明に想到した。
すなわち、本発明の金型鋳造方法は、鋳造の際に溶湯に振動を加えながら鋳造を行う金型鋳造法において、振動を加えない場合の固液共存域にある溶湯の冷却速度(A)と、振動を加えた場合の固液共存域にある溶湯の冷却速度(B)と、の冷却速度の比を(B/A)としたときに、振動の加速度を(B/A)>1.0が得られる加速度以上とし、かつ溶湯が接触するキャビティの表面粗さを(B/A)>1.0が得られる表面粗さ以上としたことを特徴とする。
ここで、振動の効果は、振動により溶湯とキャビティとの密着性が向上して、両者の接触面積が増加することで、振動の波動が溶湯に伝播し易くなるとともに、溶湯からキャビティへの熱伝達(熱移動)が促進されることによって、結晶の微細化・粒状化が達成されるものと推測される。溶湯とキャビティとの密着性の向上や熱伝達の促進は、溶湯の冷却速度の増加として現れると考えられるので、溶湯の冷却速度を振動の評価指標とした。しかし、冷却速度は、金属材料、溶湯や金型の温度などの鋳造条件等によって変化するため、その絶対値の大小をもって振動の効果は評価できないと考えた。そこで、振動を加えない場合の冷却速度(A)に対する振動を加えた場合の冷却速度(B)の比(B/A)をもって振動の効果の評価指標とした。そして、冷却速度の比(B/A)が少なくとも1.0を超えれば、振動を加えない場合に対して、振動を加えたことによって、溶湯の凝固の際の冷却速度が大きく(速く)なって、振動の効果が得られるものと考えて、冷却速度の比(B/A)>1.0が得られる振動条件などを検討した。
本発明者らは、振動の周波数、変位、加速度などの各種振動条件について検討の結果、これら振動条件のうち、加速度が冷却速度の比(B/A)に及ぼす影響が大きいとの知見を得て、振動の加速度は、(B/A)>1.0が得られる加速度以上とすることを規定した。また、振動条件の他に、溶湯とキャビティとが接触する界面での、キャビティ側の接触面の表面粗さが冷却速度の比(B/A)に及ぼす影響が大きいとの知見を得て、溶湯が接触するキャビティの表面粗さは、(B/A)>1.0が得られる該表面粗さ以上とすることを規定した。
また、本発明の金型鋳造方法において、溶湯をアルミニウム合金からなる溶湯として、振動の加速度を100〜2000m/s2、かつキャビティの表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で1〜20μmとすることが好ましい。本発明の金型鋳造方法に適用される金属材料は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の従来から鋳造品に使用可能な各種の金属又は合金を対象にできる。このうち、アルミニウム合金は自動車、鉄道車両、建築等の構成部材として汎用されている。従って、本発明の金型鋳造方法を適用してアルミニウム合金の機械的特性の向上効果を享受すれば、軽量化や省資源に繋がって社会的にも貢献度が大きい。アルミニウム合金の溶湯に振動を加える場合には、振動の加速度を100〜2000m/s2に、キャビティの表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で1〜20μmに夫々規定する。
また、本発明の金型鋳造方法において、振動は直線の往復運動を行う機械振動式の振動手段によって振動を加えることが好ましい。振動手段として直線の往復運動を行う機械振動式の振動手段を用いれば、振動の加速度として、冷却速度の比(B/A)が1.0を超える加速度を、また溶湯がアルミニウム合金の場合には100m/s2以上の加速度を得やすい。
本発明の金型鋳造方法は、鋳造の際に溶湯に振動を加えながら鋳造を行う金型鋳造法において、冷却速度に顕著に影響を及ぼす振動条件等として、振動の加速度と溶湯が接触するキャビティの表面粗さを見出し、その適正な条件を規定したので、鋳造品の金属組織を微細化し引け巣を低減し、以って機械的特性を向上できる。
振動の加速度と冷却速度の比との関係を示すグラフである。 溶湯が接触するキャビティの表面粗さと冷却速度の比との関係を示すグラフである。 本実施の形態の金型鋳造方法に係る鋳造装置の構成の一例を示す概略図である。 本実施の形態の金型鋳造方法に係るアルミニウム合金の冷却曲線を示す図である。 振動の加速度が相違するアルミニウム合金のミクロ組織を示す光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態の一例としての金型鋳造方法を、図1〜図5に基づいて説明する。図3は、本実施の形態の金型鋳造方法に係る鋳造装置の構成の一例を示す概略図である。図3で鋳造装置1は、二つに分離可能に形成された金型2と、金型2に形成された鋳造品を成形するキャビティ3と、キャビティ3に溶湯を注入する湯口、ランナー及び堰からなる方案部4と、金型2の一部に取設され鋳造の際に金型2を振動させて溶湯に振動を加える振動手段5と、金型2を載置するベース6と、鋳造前に金型2を離間状態から当接状態とするための図示しない型締め手段と、鋳造後に鋳造品を取り出すための図示しない抜型手段と、を有している。鋳造装置1の金型2には、後述する振動条件などによる冷却速度への影響を検討評価するために、振動の加速度を計測するための振動計測装置7と、キャビティ3に注入された溶湯が冷却・凝固する過程の温度を計測するための熱電対8と、熱電対8に接続された図示しない記録計と、が取設されている。また、キャビティ3及び方案部4には塗型が施されている。
次に、図3に示す鋳造装置1を用いて鋳造品を鋳造して、溶湯への振動付与の有無による溶湯の冷却速度の変化を調査した。まず、溶湯へ振動を加えた場合の鋳造について説明すると、鋳造品となるJIS AC4Cのアルミニウム合金を溶製し、一方、金型2を昇温してその温度を420±5℃に調整し、型締め手段により二つに分離して形成された金型2を当接した後、鋳造装置1に取設した振動手段5及び振動計測装置7を動作させた。次に、振動手段5及び振動計測装置7を動作させた状態で、注湯温度を720±5℃に調整した溶湯を方案部4の湯口から注入してキャビティ3を充填した。溶湯の冷却・凝固後に、振動手段5及び振動計測装置7を停止し、更に鋳造品を自然空冷させた後、抜型手段により金型2から鋳造品を取り出した。鋳造に当っては、熱電対8により冷却・凝固する溶湯の温度の経時変化を計測して記録計に記録した。一方、溶湯へ振動を加えない場合の鋳造については、振動手段5及び振動計測装置7を動作させない以外は、溶湯へ振動を加えた場合と同一の条件で鋳造を行って、熱電対8により冷却・凝固する溶湯の温度の経時変化を計測、記録した。
図4に、上述の実施の形態で、冷却・凝固する溶湯の温度を計測して得られた、本実施の形態の金型鋳造方法に係るアルミニウム合金の冷却曲線を示す。図4で、夫々、実線は振動を加えた場合の、破線は振動を加えない場合の、液相から固相に至るアルミニウム合金の冷却曲線である。図4から液相から固相に至るまでの全温度域で、溶湯に振動を付与しなかた場合に較べて、振動を付与した場合の方が同一の温度に到達するまでの時間が短いことが分かる。このことから、溶湯へ振動を加えることで、冷却速度が大きくなることが確認できた。なお、冷却速度は、冷却曲線から、溶湯が固液共存域にある605℃から580℃までの温度差25℃だけ冷却する間の時間差から冷却速度(℃/sec)として算出した。また、鋳造及び振動の条件を同一としたときの、振動を加えた場合の冷却速度(B)を、振動を加えない場合の冷却速度(A)で除して冷却速度の比(B/A)として算出した。
次に、振動の周波数、変位、加速度などの各種振動条件や、溶湯とキャビティとが接触する界面でのキャビティ側の接触面の表面粗さについて、冷却速度への影響に着目して検討した結果について説明する。
(振動の加速度)
上述の実施の形態において、振動条件のうち加速度を変化させて振動を付与して鋳造して、振動計測装置7により加速度を計測し、一方、同一の鋳造条件で振動を付与しないで鋳造した。振動付与の有無に関わらず、何れの鋳造も計測、記録した冷却曲線から冷却速度を得て、冷却速度の比(B/A)を算出した。図1に、振動の加速度と冷却速度の比との関係をグラフで示した。図1から分かるように、振動の加速度が100m/s2未満では冷却速度の比(B/A)は、ほぼ1.0で変化せず、加速度が100m/s2以上になると、冷却速度の比(B/A)が1.0を超えて変化が現れる。加速度が100m/s2以上では、加速度の増加につれて、冷却速度の比(B/A)が大きくなることが分かる。
ここで、冷却速度の比(B/A)が1.0前後の鋳造品の金属組織を観察して振動の効果を確認した。図5は上述の実施の形態で得られた、振動の加速度が相違するアルミニウム合金のミクロ組織を示す光学顕微鏡写真である。図5(a)は加えた振動の加速度80m/s2、冷却速度の比(B/A)1.0の鋳造品のミクロ組織を、図5(b)は加速度170m/s2、冷却速度の比(B/A)1.3の鋳造品のミクロ組織を示す。なお、図5(a)(b)のミクロ組織を示す何れの鋳造品も溶湯が接触するキャビティが塗型され、塗型面の表面粗さが7.5μmの金型により鋳造した。図5(a)及び(b)より、冷却速度の比(B/A)が1.0以下となる振動の加速度を与えた(a)の組織は、振動を付与したにも関わらず、初晶9の結晶粒の大きさや形状が振動を付与しなかたものと相違がなく、結晶の微細化・粒状化といった振動の効果が得られなかった。一方、冷却速度の比(B/A)が1.0を越える振動の加速度を与えた(b)の組織は、初晶9の結晶の微細化や粒状化が見られ、振動の効果が確認された。以上のことから、鋳造の際に溶湯に振動を加えながら鋳造を行う金型鋳造法において、振動付与の有無による固液共存域にある溶湯の冷却速度の比を(B/A)としたときに、振動の加速度は、(B/A)>1.0が得られる加速度以上とすればよいことが確認された。(B/A)>1.0が得られる加速度は、鋳造する金属材料の、溶湯の比重、表面張力、粘性などの物性値により変化する。本実施の形態によれば、鋳造対象の金属材料について、振動の加速度と冷却速度の比との関係を把握して適切な振動の加速度を求めことができる。
ここで、本実施の形態のアルミニウム合金においては、冷却速度の比(B/A)が1.0を超えるためには、振動の加速度は100m/s2以上とする。図1から分かるように、加速度に比例して冷却速度の比(B/A)も増大するので、振動の効果をより顕著とするには加速度を増加することが有効である。しかし、加速度を大きくするにつれて、鋳造装置等へ与える加速度も大きくなることから、例えば抜型装置の摺動面の損傷、鋳造装置のボルト・ナットの弛み、バルブ等の各種装置の寿命低下や破損といった、振動による負荷が金型本体、鋳造装置、抜型装置などの周辺装置等に蓄積され、装置の故障などの問題が発生する。また、加速度を増加するには、強力な振動を加えるために、振動手段が大型化して製造コストの上昇を招く。従って、鋳造装置等への負荷を勘案すると、振動の加速度は2000m/s2を上限とすることが安定して鋳造を行なう上で必要となる。加速度が2000m/s2以下であれば、鋳造装置等の故障などの問題はほとんど発生せず、鋳造装置等の点検整備を定期的に行なうことにより、安定した操業が可能である。なお、振動に対する耐久性の低い装置や機器類については、可能な範囲で振動手段から離れた位置に取設するか、緩衝手段を設ける等の処置を施すことが望ましい。以上のことから、本発明の金型鋳造方法において、溶湯をアルミニウム合金からなる溶湯としたときには、振動の加速度は、100〜2000m/s2とすることが好ましく、105〜1000m/s2とすることがより好ましい。
(溶湯が接触するキャビティの表面粗さ)
本実施の形態のアルミニウム合金において、振動の加速度を100m/s2以上の任意の値で一定として、溶湯とキャビティとが接触する界面でのキャビティ側の接触面の表面粗さを変化させて、前述の振動の加速度と同様に、振動付与の有無による冷却速度の比(B/A)を算出した。図2に、振動の加速度を、一例として、420m/s2(破線)及び860m/s2(実線)としたときの、溶湯が接触するキャビティの表面粗さと冷却速度の比との関係をグラフで示した。なお、表面粗さとは算術平均粗さ(Ra)とした。図2から分かるように、溶湯が接触するキャビティの表面粗さが1μm未満では冷却速度の比(B/A)は、ほぼ1.0で変化せず、該表面粗さが1μm以上になると、冷却速度の比(B/A)が1.0を超えて変化が現れる。該表面粗さが1μm以上では、該表面粗さが大きくなるにつれて、冷却速度の比(B/A)が大きくなることが分かる。また、該表面粗さが同じであれば、振動の加速度が大きいほうが冷却速度の比(B/A)が大きくなることが分かる。以上のことから、鋳造の際に溶湯に振動を加えながら鋳造を行う金型鋳造法において、振動付与の有無による固液共存域にある溶湯の冷却速度の比を(B/A)としたときに、溶湯が接触するキャビティの表面粗さは、(B/A)>1.0が得られる該表面粗さ以上とすればよいことが分かる。本実施の形態のアルミニウム合金においては、冷却速度の比(B/A)が1.0を超えるためには、溶湯が接触するキャビティの表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で1μm以上とする。
図2から分かるように、溶湯が接触するキャビティの表面粗さに比例して冷却速度の比(B/A)も増大するので、振動の効果をより顕著とするには該表面粗さを大きくすることが有効である。該表面粗さの上限は、特に限定されないが、鋳造品に要求される鋳肌面の表面粗さに基づいて決定すればよい。なお、一般に金型鋳造法では、金型のキャビティや方案部など溶湯と接触する金型の表面には、ガス抜き性の向上、断熱・被覆による溶湯からの金型の保護、溶湯からの抜熱抑制による湯流れ性の向上、抜型時の離型抵抗低減によるカジリ防止、等の目的で塗型を施す。金型を塗型した場合、溶湯が接触するキャビティの表面粗さとは塗型面の表面粗さとなる。塗型した金型に振動を加えた場合、塗型面の表面粗さ、即ち本発明でいう溶湯が接触するキャビティの表面粗さが大きいほど、液相から固相となった鋳物と塗型との摩擦力が増大する。この摩擦力の増大により、塗型の損耗や金型からの剥離を生じ易くなる。塗型の損耗や剥離は、溶湯と金型との焼付きや抜型時のカジリの原因となって、安定した連続鋳造が困難となる。本実施の形態のアルミニウム合金において、振動の加速度100m/s2以上として塗型した場合には、溶湯が接触するキャビティの表面粗さ(即ちこの場合には、塗型面の表面粗さ)が20μmを超えると、塗型の損耗や剥離が顕著となって好ましくない。以上のことから、本発明の金型鋳造方法において、溶湯をアルミニウム合金からなる溶湯として、金型に塗型を施したときには、溶湯が接触するキャビティの表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で1〜20μmとすることが好ましく、2〜10μmとすることがより好ましい。
該表面粗さの下限値1μmでは、塗型があっても鋳物と塗型との摩擦力は小さいため、その損耗や剥離は問題とならない。従って該表面粗さの下限値は塗型の有無とは無関係に規定される。また、塗型に替えて、金型に表面処理や凹凸の形成(例えばシボ加工)等を施して塗型と同様の機能を金型に付与することも可能である。金型自体に表面処理や凹凸形成を施せば塗型と比較して損耗や剥離が発生し難いので、溶湯が接触するキャビティの表面粗さを大きくできる。その場合、上述したアルミニウム合金においても該表面粗さの上限値を20μm以上に規定することが可能である。
(直線の往復運動を行う機械振動式の振動手段)
振動手段としては、振動の発生源によって超音波振動式、電磁振動式及び機械振動式などのタイプがある。超音波振動式や電磁振動式のタイプは装置自体が高価であり、また鋳造用の金型のような重量物を振動させるには大型の電源装置が必要となるなど振動子や振動装置が大型化して、設備費用が嵩み製造コストが高くなる。一方、機械振動式のタイプでは、超音波振動式や電磁振動式のタイプに較べ、振動装置の構造が比較的単純なので、安価でかつ耐久性に優れ、採用して有利である。機械振動式の振動装置としては、偏心したウエイトをモータで回転運動させるタイプ、偏心したウエイトやボールを圧縮エアにより回転運動させるタイプ、シリンダ内のウエイトを圧縮エアにより直線の往復運動させるタイプなどがある。これらのうち、金型のような重量物に対して大きな加速度を与えるためには、直線の往復運動させるタイプの振動装置が有利である。従って、本発明の金型鋳造方法において、振動は直線の往復運動を行う機械振動式の振動手段によって振動を加えることが好ましい。
以上、本発明の典型的な実施の形態の一例について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。特に、振動手段において、振動装置のタイプやその取設する部位については、上述した振動装置のタイプや図3に例示した部位に限定されず、要は本発明で規定した振動の加速度が得られる構成であればよい。例えば、本実施の形態では、金型全体に振動を加える構成としたが、金型の一部を入れ子方式として、入子のみに振動を加える構成としてもよい。入子のみに振動を加えれば、固液共存域にある溶湯の冷却速度を局所的に変化させることが可能であることから、引け巣の発生防止により効果的である。
1:鋳造装置
2:金型
3:キャビティ
4:方案部
5:振動手段
6:ベース
7:振動計測装置
8:熱電対
9:初晶

Claims (3)

  1. 鋳造の際に溶湯に振動を加えながら鋳造を行う金型鋳造法において、振動を加えない場合の固液共存域にある溶湯の冷却速度(A)と、振動を加えた場合の固液共存域にある溶湯の冷却速度(B)と、の冷却速度の比を(B/A)としたときに、振動の加速度を(B/A)>1.0が得られる加速度以上とし、かつ溶湯が接触するキャビティの表面粗さを(B/A)>1.0が得られる表面粗さ以上としたことを特徴とする金型鋳造法。
  2. 前記溶湯がアルミニウム合金からなる溶湯であって、前記振動の加速度が100〜2000m/s2、キャビティの表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で1〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の金型鋳造法。
  3. 前記振動は直線の往復運動を行う機械振動式の振動手段によって振動を加えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金型鋳造法。
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