以下、添付図面に従って本発明に係る超音波診断装置及び超音波診断装置の作動方法の好ましい実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
図1に示す超音波診断装置10は、超音波探触子300から被検体OBJに超音波ビームを送信して、被検体OBJによって反射された超音波ビーム(超音波エコー)を受信し、超音波エコーの検出信号から超音波画像を作成・表示する装置である。
CPU(Central Processing Unit)100は、操作入力部200からの操作入力に応じて超音波診断装置10の各ブロックの制御を行う。
操作入力部200は、オペレータからの操作入力を受け付ける入力デバイスであり、操作卓202とポインティングデバイス204とを含んでいる。操作卓202は、文字情報(例えば、患者情報)の入力を受け付けるキーボードと、振幅画像(Bモード画像)を単独で表示するモードと局所音速値の判定結果を表示するモードとの間で表示モードを切り替える表示モード切り替えボタンと、ライブモードとフリーズモードとの切り替えを指示するためのフリーズボタンと、シネメモリ再生を指示するためのシネメモリ再生ボタンと、超音波画像の解析・計測を指示するための解析・計測ボタンとを含んでいる。ポインティングデバイス204は、表示部104の画面上における領域の指定の入力を受け付けるデバイスであり、例えば、トラックボール又はマウスである。なお、ポインティングデバイス204としては、タッチパネルを用いることも可能である。
格納部102は、CPU100に超音波診断装置10の各ブロックの制御を制御するための制御プログラムが格納する記憶装置であり、例えば、ハードディスク又は半導体メモリである。
表示部104は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ又は液晶ディスプレイであり、超音波画像(動画及び静止画)の表示、及び各種の設定画面を表示する。
超音波探触子300は、被検体OBJに当接させて用いるプローブであり、1次元又は2次元のトランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサ302を備えている。超音波トランスデューサ302は、送信回路402から印加される駆動信号に基づいて超音波ビームを被検体OBJに送信すると共に、被検体OBJから反射される超音波エコーを受信して検出信号を出力する。
超音波トランスデューサ302は、圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極が形成されて構成された振動子を含んでいる。上記振動子を構成する圧電体としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb (lead) zirconate titanate)のような圧電セラミック、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)のような高分子圧電素子を用いることができる。上記振動子の電極に電気信号を送って電圧を印加すると圧電体が伸縮し、この圧電体の伸縮により各振動子において超音波が発生する。例えば、振動子の電極にパルス状の電気信号を送るとパルス状の超音波が発生し、振動子の電極に連続波の電気信号を送ると連続波の超音波が発生する。そして、各振動子において発生した超音波が合成されて超音波ビームが形成される。また、各振動子により超音波が受信されると、各振動子の圧電体が伸縮して電気信号を発生する。各振動子において発生した電気信号は、超音波の検出信号として受信回路404に出力される。
なお、超音波トランスデューサ302としては、超音波変換方式の異なる複数種類の素子を用いることも可能である。例えば、超音波を送信する素子として上記圧電体により構成される振動子を用いて、超音波を受信する素子として光検出方式の超音波トランスデューサを用いるようにしてもよい。ここで、光検出方式の超音波トランスデューサとは、超音波信号を光信号に変換して検出するものであり、例えば、ファブリーペロー共振器又はファイバブラッググレーティングである。
次に、ライブモード時における超音波診断処理について説明する。ライブモードは、被検体OBJに超音波探触子300を当接させて超音波の送受信を行うことによって得られた超音波画像(動画)の表示、解析・計測を行うモードである。
超音波探触子300が被検体OBJに当接されて、操作入力部200からの指示入力により超音波診断が開始されると、CPU100は、送受信部400に制御信号を出力して、超音波ビームの被検体OBJへの送信、及び被検体OBJからの超音波エコーの受信を開始させる。CPU100は、超音波トランスデューサ302ごとに超音波ビームの送信方向と超音波エコーの受信方向とを設定する。
更に、CPU100は、超音波ビームの送信方向に応じて送信遅延パターンを選択するとともに、超音波エコーの受信方向に応じて受信遅延パターンを選択する。ここで、送信遅延パターンとは、複数の超音波トランスデューサ302から送信される超音波によって所望の方向に超音波ビームを形成するために駆動信号に与えられる遅延時間のパターンデータであり、受信遅延パターンとは、複数の超音波トランスデューサ302によって受信される超音波によって所望の方向からの超音波エコーを抽出するために検出信号に与えられる遅延時間のパターンデータである。上記送信遅延パターン及び受信遅延パターンは予め格納部102に格納されている。CPU100は、格納部102に格納されているものの中から送信遅延パターン及び受信遅延パターンを選択し、選択した送信遅延パターン及び受信遅延パターンに従って、送受信部400に制御信号を出力して超音波の送受信制御を行う。
送信回路402は、CPU100からの制御信号に応じて駆動信号を生成して、該駆動信号を超音波トランスデューサ302に印加する。このとき、送信回路402は、CPU100によって選択された送信遅延パターンに基づいて、各超音波トランスデューサ302に印加する駆動信号を遅延させる。ここで、送信回路402は、複数の超音波トランスデューサ302から送信される超音波が超音波ビームを形成するように、各超音波トランスデューサ302に駆動信号を印加するタイミングを調整する(遅延させる)。なお、複数の超音波トランスデューサ302から一度に送信される超音波が被検体OBJの撮像領域全体に届くように、駆動信号を印加するタイミングを調節するようにしてもよい。
受信回路404は、各超音波トランスデューサ302から出力される超音波検出信号を受信して増幅する。上記のように、各超音波トランスデューサ302と被検体OBJ内の超音波反射源との間の距離がそれぞれ異なるため、各超音波トランスデューサ302に反射波が到達する時間が異なる。受信回路404は遅延回路を備えており、CPU100によって選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速(以下、仮定音速という。)又は音速の分布に従って、反射波の到達時刻の差(遅延時間)に相当する分、各検出信号を遅延させる。次に、受信回路404は、遅延時間を与えた検出信号を整合加算することにより受信フォーカス処理を行う。超音波反射源XROIと異なる位置に別の超音波反射源がある場合には、別の超音波反射源からの超音波検出信号は到達時刻が異なるので、加算回路で加算することにより、別の超音波反射源からの超音波検出信号の位相が打ち消し合う。これにより、超音波反射源XROIからの受信信号が最も大きくなり、フォーカスが合う。上記受信フォーカス処理によって、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号(以下、RF信号という。)が形成される。
A/D変換器406は、受信回路404から出力されるアナログのRF信号をデジタルRF信号(以下、RFデータという。)に変換する。ここで、RFデータは、受信波(搬送波)の位相情報を含んでいる。A/D変換器406から出力されるRFデータは、信号処理部502とシネメモリ602にそれぞれ入力される。
シネメモリ602は、A/D変換器406から入力されるRFデータを順次格納する。また、シネメモリ602は、CPU100から入力されるフレームレートに関する情報(例えば、超音波の反射位置の深度、走査線の密度、視野幅を示すパラメータ)を上記RFデータに関連付けて格納する。
信号処理部502は、上記RFデータに対して、STC(Sensitivity Time gain Control)によって、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正をした後、包絡線検波処理を施し、Bモード画像データ(超音波エコーの振幅を点の明るさ(輝度)により表した画像データ)を生成する。
信号処理部502によって生成されたBモード画像データは、通常のテレビジョン信号の走査方式と異なる走査方式によって得られたものである。このため、DSC(Digital Scan Converter)504は、上記Bモード画像データを通常の画像データ(例えば、テレビジョン信号の走査方式(NTSC方式)の画像データ)に変換(ラスター変換)する。画像処理部506は、DSC504から入力される画像データに、各種の必要な画像処理(例えば、階調処理)を施す。
画像メモリ508は、画像処理部506から入力される画像データを格納する。D/A変換器510は、画像メモリ508から読み出された画像データをアナログの画像信号に変換して表示部104に出力する。これにより、超音波探触子300によって撮影された超音波画像(動画)が表示部104に表示される。
なお、本実施形態では、受信回路404において受信フォーカス処理が施された検出信号をRF信号としたが、受信フォーカス処理が施されていない検出信号をRF信号としてもよい。この場合、複数の超音波トランスデューサ302から出力される複数の超音波検出信号が、受信回路404において増幅され、増幅された検出信号、即ち、RF信号が、A/D変換器406においてA/D変換されることによってRFデータが生成される。そして、上記RFデータは、信号処理部502に供給されるとともに、シネメモリ602に格納される。受信フォーカス処理は、信号処理部502においてデジタル的に行われる。
次に、シネメモリ再生モードについて説明する。シネメモリ再生モードは、シネメモリ602に格納されているRFデータに基づいて超音波診断画像の表示、解析・計測を行うモードである。
操作卓202のシネメモリ再生ボタンが押下されると、CPU100は、超音波診断装置10の動作モードをシネメモリ再生モードに切り替える。シネメモリ再生モード時には、CPU100は、オペレータからの操作入力により指定されたRFデータの再生をシネメモリ再生部604に指令する。シネメモリ再生部604は、CPU100からの指令に従って、シネメモリ602からRFデータを読み出して、画像信号生成部500の信号処理部502に送信する。シネメモリ602から送信されたRFデータは、信号処理部502、DSC504及び画像処理部506において所定の処理(ライブモード時と同様の処理)が施されて画像データに変換された後、画像メモリ508及びD/A変換器510を経て表示部104に出力される。これにより、シネメモリ602に格納されたRFデータに基づく超音波画像(動画又は静止画)が表示部104に表示される。
ライブモード又はシネメモリ再生モード時において、超音波画像(動画)が表示されているときに操作卓202のフリーズボタンが押下されると、フリーズボタン押下時に表示されている超音波画像が表示部104に静止画表示される。これにより、オペレータは、着目領域(ROI:Region of Interest)の静止画を表示させて観察することができる。
操作卓202の計測ボタンが押下されると、オペレータからの操作入力により指定された解析・計測が行われる。データ解析計測部106は、各動作モード時に計測ボタンが押下された場合に、A/D変換器406又はシネメモリ602から、画像処理が施される前のRFデータを取得し、当該RFデータを用いてオペレータ指定の解析・計測(例えば、組織部の歪み解析(硬さ診断)、血流の計測、組織部の動き計測、又はIMT(内膜中膜複合体厚:Intima-Media Thickness)値計測)を行う。データ解析計測部106による解析・計測結果は、画像信号生成部500のDSC504に出力される。DSC504は、データ解析計測部106による解析・計測結果を超音波画像の画像データに挿入して表示部104に出力する。これにより、超音波画像と解析・計測結果とが表示部104に表示される。
また、表示モード切り替えボタンが押下されると、Bモード画像を単独で表示するモード、Bモード画像に局所音速値の判定結果を重畳して表示するモード(例えば、局所音速値に応じて色分け又は輝度を変化させる表示、又は局所音速値が等しい点を線で結ぶ表示)、Bモード画像と局所音速値の判定結果の画像を並べて表示するモードの間で表示モードが切り替わる。これにより、オペレータは、局所音速値の判定結果を観察することで、例えば、病変を発見することができる。
なお、局所音速値の判定結果に基づいて、送信フォーカス処理及び受信フォーカス処理の少なくとも一方を施すことにより得られたBモード画像を表示部104に表示してもよい。
[局所音速値の演算処理]
図2は、本発明の第1の実施形態に係る局所音速値の演算処理を模式的に示す図である。
図2(b)に示すように、被検体OBJ内の着目領域ROIを代表する格子点をXROI、格子点XROIよりも浅い(即ち、超音波トランスデューサ302に近い)位置にXY方向に等間隔で配置された格子点をA1,A2,…とし、少なくとも格子点XROIと各格子点A1,A2,…との間の音速はそれぞれ一定と仮定する。
本実施形態では、格子点A1,A2,…からの受信波(それぞれWA1,WA2,…)の(T及び遅延時間ΔT)が既知として、格子点XROIと格子点A1,A2,…の位置関係から格子点XROIにおける局所音速値を求める。具体的には、ホイヘンスの原理により、格子点XROIからの受信波WXと格子点A1,A2,…からの受信波を仮想的に合成した受信波WSUMが一致することを利用する。
ここで、格子点XROIにおける局所音速値を求めるときの演算に使用する格子点A1,A2,…の範囲及び個数は予め決めておく。ここで、局所音速値演算に使用する格子点の範囲が広いと局所音速値の誤差が大きくなり、狭いと仮想受信波との誤差が大きくなるため、格子点の範囲はこれらの兼ね合いで決める。
格子点A1,A2,…のX方向の間隔は、分解能と処理時間の兼ね合いで決定される。格子点A1,A2,…のX方向の間隔は、一例で1mmから1cmである。
格子点A1,A2,…のY方向の間隔が狭いと誤差計算における誤差が大きくなり、広いと局所音速値の誤差が大きくなる。格子点A1,A2,…のY方向の間隔は、超音波画像の画像分解能の設定に基づいて決定される。格子点A1,A2,…のY方向の間隔は、一例で1cmである。
なお、格子点A1,A2,…の間隔が広い場合、合成波の演算(後述)が困難になるため、補間によって細かい格子点を生成するようにすればよい。
以下、本実施形態に係る局所音速値の演算処理について、図3及び図4のフローチャートを参照して具体的に説明する。
本実施形態では、まず、図3に示すように、事前に被検体OBJ内に設定されたすべての格子点における最適音速値を判定する(ステップS10)。ここで、最適音速値とは、画像のコントラスト、シャープネスが最も高くなる音速値であり、各格子における実際の局所音速値とは必ずしも一致しない。ステップS10における最適音速値の判定方法としては、例えば、画像のコントラスト、スキャン方向の空間周波数、分散などから判定する方法(例えば、特開平8-317926号公報)を適用することができる。
次に、各格子点における最適音速値に基づいて、各格子における局所音速値を判定する(ステップS12)。
最適音速値に基づいて局所音速値を判定する方法を説明する。まず、図4に示すように、格子点XROIにおける最適音速値に基づいて、格子点XROIを反射点とした時の仮想的な受信波WXの波形が算出される(ステップS20)。
次に、格子点XROIにおける仮定音速の初期値が設定される(ステップS22)。そして、仮定音速が1ステップ変更されて(ステップS24)、仮想的な合成受信波WSUMが算出される(ステップS26)。格子点XROIにおける局所音速値をVと仮定すると、格子点XROIから伝播した超音波が格子点A1,A2,…に到達するまでの時間はそれぞれXROIA1/V,XROIA2/V,…となる。ここで、XROIA1,XROIA2,…は、それぞれ格子点A1,A2,…と格子点XROIとの間の距離である。格子点A1,A2,…における最適音速値はステップS10により既知のため、各格子点A1,A2,…からの受信波は予め求めることができる。従って、格子点A1,A2,…からそれぞれ遅延XROIA1/V,XROIA2/V,…で発した反射波(超音波エコー)を合成することにより、仮想合成受信波WSUMを求めることができる。
なお、実際には、素子データ(RF信号)上で上記処理を行うため、格子点XROIから格子点A1,A2,…に到達するまでの時間(それぞれT1,T2,…)は下記の式(2)により表される。ここで、XA1,XA2,…は、それぞれ格子点A1,A2,…と格子点Xとの間のスキャン方向(X方向)の距離である。また、Δtは格子点のY方向時間間隔である。
上記T1,T2,…に、格子点XROIと同音線の格子点Anから格子点XROIに到達するまでの時間(Δt/2)を足した遅延で各格子点A1,A2,…からの受信波を合成することにより、仮想合成受信波WSUMを求めることができる。
ここで、格子点をY方向に時間軸で等間隔(Δt)に設定する場合、空間上での間隔は必ずしも等間隔にはならない。従って、各格子点に超音波が到達するまでの時間を計算するときに、式(2)においてΔt/2の代わりに補正したΔt/2を用いてもよい。ここで、補正したΔt/2は、例えば、格子点XROIと同音線の格子点Anに比べたA1,A2,…の深さ(Y方向の距離)の差をVで除算した値をΔt/2から加算・減算した値である。各格子点A1,A2,…の深さはそれより浅い格子点において局所音速が既知であることから求められる。
また、仮想合成受信波WSUMの算出は、実際に格子点A1,A2,…から遅延XROIA1/V,XROIA2/V,…で発した既定のパルス波(それぞれWA1,WA2,…)を重ね合わせることにより行う。
次に、仮想受信波WXと仮想合成受信波WSUMの誤差が算出される(ステップS28)。仮想受信波WXと仮想合成受信波WSUMの誤差は、互いの相互相関をとる方法、仮想受信波WXに仮想合成受信波WSUMから得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法、又は逆に仮想合成受信波WSUMに仮想受信波WXから得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法により算出される。ここで、仮想受信波WXから遅延を得るには、格子点XROIを反射点とし、音速Vで伝播した超音波が各素子に到着する時刻を遅延とすればよい。また、仮想合成受信波WSUMから遅延を得るには、隣り合う素子間での合成受信波の位相差から等位相線を抽出し、その等位相線を遅延とするか、又は単に各素子の合成受信波の最大(ピーク)位置の位相差を遅延としてもよい。また、各素子からの合成受信波の相互相関ピーク位置を遅延としてもよい。位相整合加算時の誤差は、整合加算後の波形のpeak to peakとする方法、又は包絡線検波した後の振幅の最大値とする方法により求められる。
次に、ステップS24からS30が繰り返されて、全ての仮定音速の値での演算が終了すると(ステップS30のYes)、格子点XROIにおける局所音速値が判定される(ステップS32)。ホイヘンスの原理を厳密に適用した場合、上記ステップS26において求めた仮想合成受信波WSUMの波形は、格子点XROIにおける局所音速値をVと仮定した場合の仮想受信波(反射波)WXの波形と等しくなる。ステップS32では、仮想受信波WXと仮想合成受信波WSUMとの差が最小になる仮定音速の値を格子点XROIにおける局所音速値と判定する。
本実施形態によれば、Bモード画像を生成するときに得られる振幅画像、RFデータ又は各超音波トランスデューサ素子により受信した受信波のデータを用いることにより、被検体内の局所音速値を高精度で判定することができる。上記のようにして求めた局所音速値を用いることにより、被検体内の病変の検出をより正確に行うことができる。また、本実施形態によれば、局所音速値を測定するために、超音波の送信、受信専用の構成を必要としない。
なお、上記の方法(仮想合成受信波形算出、仮想受信波形との誤差算出、音速判定)の代わりに、格子点XROIの最適音速と格子点A1,A2,…の最適音速値を入力として格子点XROIにおける音速値を出力とするテーブルを利用してもよい。
また、異なる間隔、異なる範囲の格子点を用いて、局所音速値の判定を複数回行うようにしてもよい。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図5及び図6に示すように、本実施形態は、浅い層の格子点から順に(A10,A20,…,A11,A21,…,A1N,A2N,…の順に)局所音速値を判定することにより、着目領域(格子点XROI)における局所音速値を判定するようにしたものである。ここで、ある深さの格子点(A1N,A2N,…)から1段浅い層の格子点(A1N−1,A2N−1,…)までの局所音速値はそれぞれ一定と仮定する。また、一番浅い層の格子点(A10,A20,…)から超音波探触子300までの局所音速値はそれぞれ一定と仮定する。
以下、本実施形態に係る局所音速値の演算処理について、図7のフローチャートを参照して具体的に説明する。
本実施形態では、図7に示す局所音速値の演算処理を浅い層の格子点から順に実施してゆく。局所音速値の演算するときには、ある深さの格子点の音速値判定のために、それより浅い深さの格子点からの受信波が必要である。従って、深さNの格子点(A1N,A2N,…)における局所音速値を判定するために深さN−1の全格子点(A1N−1,A2N−1,…)からの受信波をメモリ(格納部102)に保持しておく。深さNの全格子点の処理終了した後に深さN−1の受信波を破棄し、代わりに深さNの全格子点の受信波を保持する。
なお、一番浅い層の格子点(A10,A20,…)における受信波及び局所音速値は単純な方法で求められる。
局所音速値の演算に用いる格子点の範囲、及び格子点のXY方向の間隔は、上記第1の実施形態と同様に予め決めておく。なお、異なる間隔、異なる範囲の格子点を用いて、局所音速値の判定を複数回行うようにしてもよい。
次に、図7に示すように、格子点XROIにおける仮定音速の初期値が設定される(ステップS50)。そして、仮定音速が1ステップ変更されて(ステップS52)、格子点A1,A2,…からの受信波と、仮定音速から得られる遅延から格子点XROIからの仮想合成受信波WSUMが算出される(ステップS54)。
次に、仮想合成受信波WSUMから格子点XROI周辺の遅延カーブが設定される(ステップS56)。仮想合成受信波WSUMから遅延カーブを設定する方法としては、例えば、仮想合成受信波の等位相線を抽出する方法、最大振幅位置を抽出する方法、相互相関ピーク位置を抽出する方法を適用することができる。
なお、仮想合成受信波WSUMを計算しないで、各格子点A1,A2,…における遅延の下での受信波をそのまま遅延カーブとして、全ての遅延カーブについて整合加算してもよい。
また、各格子点A1,A2,…における受信波をそのまま遅延カーブとして整合加算した各格子点A1,A2,…の信号について、格子点XROIから格子点A1,A2,…の距離に基づく遅延に従って更に整合加算してもよい。本実施形態では、格子点A1,A2,…を仮想素子と見なして、各仮想素子における受信信号を各仮想素子からの受信波を整合加算した結果として求めた後、格子点XROIから各仮想素子への反射波が均一音速媒質を伝播した波との仮定の下、当該反射波の受信時刻及び遅延を求めることにより、格子点XROIにおける局所音速値を判定する。
次に、遅延カーブに基づいて格子点XROI周辺の超音波画像(Bモード画像)が生成され(ステップS58)、格子点XROI周辺の画像から音速判定指数が算出される(ステップS60)。ここで、音速判定指数とは、画像のコントラスト、スキャン方向空間周波数及び分散のうち少なくとも1つ基づいて求めた音速を判定するための指数である。なお、音速判定指数の計算は、全仮定音速の画像生成後(ステップS62の後)に行ってもよい。
次に、ステップS52からS62が繰り返されて、全ての仮定音速の値での演算が終了すると(ステップS62のYes)、上記音速判定指数に基づいて格子点XROIにおける局所音速値が判定される(ステップS64)。
本実施形態によれば、被検体OBJ内の浅い層から順に局所音速値を判定することにより、被検体内の局所音速値を高精度で判定することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る被検体内の局所音速値の演算手順を模式的に示す図である。
以下の説明では、超音波トランスデューサ302が配置された素子面S2に平行な方向をX方向とし、X方向に垂直な方向(被検体OBJの深さ方向)をY方向とする。
図8に示すように、被検体OBJ内の領域A内の着目領域ROIを代表する格子点をXROIとし、被検体OBJ内の格子点XROIよりも浅い(即ち、超音波トランスデューサ302に近い)位置にX方向に等間隔に配置された格子点をA1,A2,…,An,…とする。格子点A1,A2,…,An,…を結ぶ直線(以下、境界面S1)と被検体OBJ内の格子点XROIとの間の領域を領域Aとし、境界面S1と超音波探触子300の素子面S2との間の領域を領域Bとする。領域Aと領域Bの中における音速はそれぞれ一定と仮定する。
本実施形態では、格子点A1,A2,…から超音波探触子300の素子面S2に至る領域の局所最適音速(環境音速)が略同じ場合、又は格子点A1,A2,…からの受信波が互いに同じ場合、又は該受信波が近似的に同じと見なせる場合、又は該受信波がゆるやかに変化する場合に、各格子点A1,A2,…からの受信波を重ね合わせて仮想的な受信波を合成して各素子の受信時刻を求める代わりに、図8に示すように、格子点XROIと格子点A1,A2,…との間の領域Aにおける音速(仮定音速)と領域Bにおける環境音速に基づいて、スネル(Snell)の法則に従って領域AとBとの境界面で屈折する音線を追跡することにより各素子における受信時刻を求める。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る被検体内の局所音速値の演算処理を示すフローチャートである。
まず、被検体OBJ内に設定された格子点A1,A2,…,An,…から受信される受信波に基づいて領域Bにおける最適音速値(環境音速)VBが算出される(ステップS70)。そして、超音波トランスデューサ302から+Y方向に送信された超音波が領域AとBとの間の境界面S1で−Y方向に反射されて超音波トランスデューサ302に戻るまでの時間(受信時刻)TBが測定されて、下記の式(3)により、上記環境音速VBと受信時刻TBから領域Bの深さDBが算出される。
DB=TB×VB/2 …(3)
ここで、最適音速値とは、画像のコントラスト、シャープネスが最も高くなる音速値であり、各格子における実際の局所音速値とは必ずしも一致しない。ステップS70におけ
る最適音速値の判定方法としては、例えば、画像のコントラスト、スキャン方向の空間周波数、分散などから判定する方法(例えば、特開平8-317926号公報)を適用する
ことができる。
次に、領域Aにおける局所音速値(仮定音速)の初期値VAが設定される(ステップS72)。そして、仮定音速VAが1ステップ変更される(ステップS74)。そして、格子点XROIとY方向に並ぶ(X座標が同じ)格子点Anから+Y方向に送信された超音波が格子点XROIで−Y方向に反射されて格子点Anに戻るまでの時間(受信時刻)TAが測定されて、下記の式(4)により、上記仮定音速VAと受信時刻TAから領域Aの深さDAが算出される。
DA=TA×VA/2 …(4)
次に、上記仮定音速VA及び環境音速VBに基づいて、格子点XROIにおいて反射されて超音波トランスデューサ302に到達する受信波の音線追跡が実行され、上記受信波の受信時刻が算出される(ステップS76)。なお、ステップS76の音線追跡の処理については後述する。
次に、ステップS70においてA1,A2,…,An,…から受信される受信波W1と、ステップS76の音線追跡により算出された受信波W2との誤差が算出される(ステップS78)。ステップS78において、受信波W1とW2の誤差を算出する方法としては、互いの相互相関をとる方法、A1,A2,…,An,…から受信される受信波W1に音線追跡により算出された受信波W2から得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法、又は逆に音線追跡により算出された受信波W2にA1,A2,…,An,…から受信される受信波W1から得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法がある。ここで、A1,A2,…,An,…から受信される受信波W1から遅延を得るには、格子点XROIを反射点とし、音速Vで伝播した超音波が各素子に到着する時刻を遅延とすればよい。また、音線追跡により算出された受信波W2から遅延を得るには、隣り合う素子の受信波を合成して得られた合成受信波の位相差から等位相線を抽出し、その等位相線を遅延とするか、又は単に各素子の合成受信波の最大(ピーク)位置の位相差を遅延としてもよい。また、各素子からの合成受信波の相互相関ピーク位置を遅延としてもよい。位相整合加算時の誤差は、整合加算後の波形のpeak to peakとする方法、又は包絡線検波した後の振幅の最大値とする方法により求められる。
次に、ステップS74からS80が繰り返されて、すべての仮定音速の値での演算が終了すると(ステップS80のYes)、格子点XROIにおける局所音速値が判定される(ステップS82)。ステップS82では、ステップS70においてA1,A2,…,An,…から受信される受信波W1と、ステップS76の音線追跡により算出された受信波W2との受信時刻の差(差の絶対値)が最小になる仮定音速VAの値が格子点XROIにおける局所音速値と判定される。
以下、ステップS76の音線追跡による受信波の受信時刻の算出処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
まず、格子点XROIからの超音波の出射角Θの初期値が設定されるとともに、パラメータnがn=0に設定される(ステップS90)。そして、出射角Θが1ステップ変更されてΘ=Θ+ΔΘ(ΔΘ:所定の角度)に更新され、パラメータnがn=n+1に更新される(ステップS92)。
次に、格子点XROIから更新後の出射角Θで出射した超音波が領域Aと領域Bとの間の境界面S1に到達するまでの超音波の伝播時間TARと、境界面S1上の超音波の到達位置X′が算出される(ステップS94)。
格子点XROIにおけるX座標をX0、点X′におけるX座標をX′とすると、格子点XROIと点X′との間のX方向の距離XAは、下記の式(5)により求められる。
XA=|X′−X0|=DA×tanΘ …(5)
また、格子点XROIから出射した超音波が境界面S1上の点X′に到達するまでの伝播時間TARは、下記の式(6)により求められる。
TAR=DA/VA/cosΘ …(6)
次に、格子点XROIから出射角Θで出射して境界面S1上の点X′に到達した超音波が、点X′から領域Bに出射するときの出射角Θ′がスネルの法則により算出される。そして、点X′から出射角Θ′で出射した超音波が超音波探触子300の素子面S2に到達するまでの超音波の伝播時間TBRと、素子面S2上の超音波の到達位置X″が算出される(ステップS96)。
ここで、点X′からの出射角度Θ′は、下記の式(7)により求められる。
Θ′=arcsin(VB×sinΘ/VA) …(7)
また、点X″におけるX座標をX″とすると、点X′と点X″との間のX方向の距離XBは、下記の式(8)により求められる。
XB=|X″−X′|=DB×tanΘ′ …(8)
また、点X′から出射した超音波が境界面S2上の点X″に到達するまでの伝播時間TBRは、下記の式(9)により求められる。
TBR=DB/VB/cosΘ′ …(9)
次に、素子面S2から出射された超音波が格子点XROIで反射されて素子面S2に戻るまでの時間TSUM(=TAT+TBT+TAR+TBR)が算出され、上記超音波の到達位置X″とともにn番目の受信時刻データDnとして格納される(ステップS98)。
ここで、TAT及びTBTは、超音波トランスデューサ302から+Y方向に送信された超音波が領域それぞれA及びBを伝播するのに要する時間である。送信時間TAT及びTBTは、それぞれ下記の式(10)及び(11)により求められる。
TAT=TA/2 …(10)
TBT=TB/2 …(11)
次に、ステップS92からS100が繰り返されて、すべての出射角Θ(例えば、超音波探触子300の素子面S2で受信可能な範囲の角度。|Θ|<90°)の値での演算が実行される(ステップS100)。
次に、上記ステップS90からS100までの処理により、各出射角Θに求められた受信時刻データDn(n=1,2,…)の中から超音波到達位置(受信位置)X″が素子面S2上の素子(超音波トランスデューサ302)の位置に最も近い(例えば、点X″のX座標と最も近い素子のX座標との間の差の絶対値が所定値以下となる)受信時刻データDnが抽出される。そして、抽出された受信時刻データDnが当該素子(受信波の到達位置X″に最も近い超音波トランスデューサ302)における受信時刻データとしてメモリ(格納部102)に格納される(ステップS102)。
図9の処理では、ステップS102において格納された受信時刻データを用いて領域A(格子点XROI)おける局所音速値の判定が行われる。
本実施形態では、各格子点からの受信波が重ね合わされた結果、受信波が互いに打ち消し合う経路を省き、強めあう経路についてのみ、超音波の伝播時間TSUMを算出する。具体的には、被検体OBJ内の着目領域ROIの格子点XROIで反射される超音波の音線追跡を行って、超音波探触子300の各素子に直接到達する(又は最も近い位置に到達する)受信波の受信時刻のみを、格子点XROIにおける局所音速値の判定に使用する。本実施形態によれば、被検体OBJ内の格子点XROIにおける局所音速値を、より少ない処理で、精確に算出することが可能になる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態は、上記図9のステップS76の音線追跡において、超音波探触子300から送信された超音波が格子点XROIで反射されて超音波探触子300の素子面S2に到達するまでの時間(受信時刻)を、素子面S2上のすべての素子Cn(n=1,2,…)について算出するようにしたものである。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る被検体内の局所音速値の演算手順を模式的に示す図である。
本実施形態では、まず、図11に示すように、着目領域ROIの格子点XROIと超音波探触子300の各素子Cn(n=1,2,…)とを結ぶ直線の音線Lを仮定し、超音波がこの音線Lに沿って素子Cnに到達した場合の伝播時間TRを算出する。
次に、音線Lと境界面S1との交点X′を±X方向に所定量ΔX移動させることにより音線(それぞれL(+)及びL(−))を設定し、超音波が音線L(+)及びL(−)に沿って素子Cnに到達した場合の伝播時間TR+及びTR−をそれぞれ算出する。
次に、上記伝播時間TRとTR+及びTR−とを比較することにより、超音波の伝播時間TRが減少するような点X′の移動方向を判定する。
次に、伝播時間TRが減少する方向に点X′を移動させることにより得られた音線(L(+)又はL(−))について同様の演算を繰り返すことにより、格子点XROIから超音波探触子300の各素子Cn(n=1,2,…)に到達する超音波の音線を特定する。そして、超音波探触子300から+Y方向に送信された超音波が、上記の処理により特定された音線に沿って各素子Cn(n=1,2,…)に到達するまでの受信時刻TSUMを算出する。
上記のように、本実施形態では、超音波探触子300のすべての素子Cn(n=1,2,…)について音線を求めることができ、局所音速値の判定をより高精度に行うことが可能になる。
以下、本発明の第4の実施形態に係る音線追跡処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、演算対象の素子位置CnがC0に設定される(ステップS110)。次に、演算対象の素子位置CnがCn+1に更新される(ステップS112)。
次に、格子点XROIから超音波探触子300の素子Cnに至る直線の音線Lが設定される。そして、格子点XROIから出力された超音波が上記音線Lに沿って素子面S2に到達するまでの伝播時間TRが算出される(ステップS114)。
格子点XROIのX座標をX0、素子CnのX座標をXCn、領域AとBとの境界面S1と音線Lとの交点X′のX座標をX′とすると、格子点XROIと点X′との間のX方向の距離XAと、点X′と素子Cnとの間のX方向の距離XBは、下記の式(12)及び(13)により求められる。
XA=|X′−X0| =|XCn−X0|×DA/(DA+DB) …(
12)
XB=|XCn−X′|=|XCn−X0|×DB/(DA+DB) …(13)
また、伝播時間TRは、下記の式(14)により求められる。
次に、点X′を+X方向に所定量ΔXずらした点X′(+)と、点X′を−X方向に所定量ΔXずらした点X′(−)がそれぞれ設定される。格子点XROIから点X′(+)を通って素子Cnに至る音線L(+)に沿って格子点XROIから素子Cnに到達する超音波の伝播時間TR+と、格子点XROIから点X′(−)を通って素子Cnに至る音線L(−)に沿って格子点XROIから素子Cnに到達する超音波の伝播時間TR−とが算出される。
ここで、伝播時間TR+は、上記の式(14)に、XA=XA+ΔX,XB=XB−ΔXをそれぞれ代入することにより求められる。一方、伝播時間TR−は、上記の式(14)に、XA=XA−ΔX,XB=XB+ΔXをそれぞれ代入することにより求められる。
次に、上記のようにして算出された伝播時間TRとTR+及びTR−とが比較されて、伝播時間TRが減少するような点X′の移動方向の判定が行われる(ステップS116)。ステップS116では、TR−≧TR>TR+の場合には点X′の移動方向が+X方向に設定される。一方、TR−<TR≦TR+の場合には点X′の移動方向が−X方向に設定される。
なお、±X方向のどちらの方向に移動しても伝播時間TRが減少しない場合(即ち、TR≦TR−かつTR≦TR+の場合)には(ステップS118のYes)、超音波探触子300の素子面S2から送信された超音波が格子点XROIで反射されて上記音線Lに沿って素子Cnに到達するまでの伝播時間TSUMが算出され、素子Cnにおける受信時刻データとしてメモリ(格納部102)に格納される(ステップS126)。
ステップS118のNoの場合、伝播時間TRが減少すると判定された方向(以下、減少方向という。)に点X′が所定量ΔXずらされる(ステップS120)。また、格子点XROIから出射した超音波が、ステップS120においてずらされた点X′と格子点XROI及び素子Cnとを結んで得られる音線に沿って素子Cnに至るときの伝播時間(具体的には、ステップS116のTR−とTR+のうち小さい方の値)が伝播時間TRとして保持される。
次に、点X′を減少方向に更にΔXずらした点X′(2)と格子点XROI及び素子Cnとを結んで得られる音線L(2)が設定される。そして、格子点XROIから出射した超音波が、音線L(2)に沿って素子Cnに至るときの伝播時間TR′が算出される(ステップS122)。なお、図8に示す例では、+X方向を減少方向として示している。
次に、伝播時間TR′とステップS120において保持されたTRとが比較される(ステップS124)。TR′<TRの場合には(ステップS124のYes)、ステップS120に戻る。
一方、TR′≧TRの場合には(ステップS124のNo)、超音波探触子300から送信された超音波が、格子点XROIで反射されて、ステップS120において設定された音線に沿って素子Cnに到達する間での時間TSUMが算出され、素子Cnにおける受信時刻データとしてメモリ(格納部102)に格納される(ステップS126)。
ステップS112からS128の処理が繰り返されて、超音波探触子300上のすべての素子Cn(n=1,2,…)に対して上記の演算が実行される。
なお、点X′を動かしたときの素子面S2上における到達位置XCの位置を随時計算してゆき、求める素子位置に最も近づいたときのX′及びXCを採用してもよい。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態は、上記図10又は図12に示した方法により求めた受信時刻データを遅延カーブとして使用して、浅い層の格子点から順に局所音速値の演算処理を実施することにより、被検体OBJ内の所望の着目領域における局所音速値を求めるものである(図5参照)。
図13は、本発明の第5の実施形態に係る被検体内の局所音速値の演算処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、浅い層の格子点から順に局所音速値の演算処理を実施してゆく。局所音速値を演算するときには、格子点XROIにおける局所音速値判定のために、格子点XROIよりも浅い深さの格子点からの受信波が必要である。従って、深さNの格子点(A1N,A2N,…)における局所音速値を判定するために深さN−1の全格子点(A1N−1,A2N−1,…)からの受信波をメモリ(格納部102)に保持しておく。深さNの全格子点の処理終了した後に深さN−1の受信波を破棄し、代わりに深さNの全格子点の受信波を保持する。
最も浅い層の格子点A10,A20,…における最適音速値(環境音速)は、被検体OBJ内に設定された格子点A10,A20,…から受信される受信波に基づいて求められる。
局所音速値の演算に用いる格子点の範囲、及び格子点のXY方向の間隔は、上記第1の実施形態と同様に予め決めておく。なお、異なる間隔、異なる範囲の格子点を用いて、局所音速値の判定を複数回行うようにしてもよい。
次に、図13に示すように、格子点XROIにおける仮定音速の初期値VAが設定される(ステップS130)。そして、仮定音速が1ステップ変更されて(ステップS132)、上記仮定音速VA及び環境音速(即ち、最も浅い層の環境音速)VBに基づいて、格子点XROIにおいて反射されて超音波トランスデューサ302に到達する受信波の音線追跡が実行され、上記受信波の受信時刻が算出される(ステップS134)。なお、ステップS134の音線追跡の処理は、上記図10又は図12と同様である。
次に、上記ステップS134において求められた受信波の受信時刻から格子点XROI周辺の遅延カーブが設定される(ステップS136)。
次に、上記遅延カーブに基づいて格子点XROI周辺の超音波画像(Bモード画像)が生成され(ステップS138)、格子点XROI周辺の画像から音速判定指数が算出される(ステップS140)。ここで、音速判定指数とは、画像のコントラスト、スキャン方向空間周波数及び分散のうち少なくとも1つ基づいて求めた音速を判定するための指数である。なお、音速判定指数の計算は、全仮定音速の画像生成後(ステップS142の後)に行ってもよい。
次に、ステップS132からS142が繰り返されて、すべての仮定音速の値での演算が終了すると(ステップS142のYes)、上記音速判定指数に基づいて格子点XROIにおける局所音速値が判定される(ステップS144)。
次に、上記図13の処理が最も浅い層から順に繰り返し実行されて、より深い層の格子点(A11,A21,…,A12,A22,…,A1N,A2N,…)における局所音速値を順次求めることにより、被検体OBJ内の所望の着目領域ROI(格子点XROI)における局所音速値を算出する。
本実施形態によれば、被検体OBJ内の浅い層から順に音線追跡を繰り返して、局所音速値を判定することにより、被検体OBJ内の局所音速値を高精度で判定することが可能になる。
なお、上記の各実施形態では、格子点のXY方向の間隔を等間隔としたが、音速がほぼ均一な領域の境界に格子点を配置するために、非等間隔でもよい。音速がほぼ均一な領域は、振幅画像において輝度が等しい領域に略一致していると考えられることから、平均輝度が閾値以上変化する境界に沿って格子点を配置してもよい。また、音響インピーダンスが異なる組織境界にて輝度が大きくなることから、輝度が周りより閾値以上大きくなる箇所に沿って格子点を配置してもよい。また、微分フィルタ等によって(Bモード画像における輝度の)エッジを検出し、そのエッジに沿って格子点を設定してもよい。また、ユーザがBモード画像を見ながらポインティングデバイス204等を用いて領域AとBの境界及び境界上の格子点の配置を設定できるようにしてもよい。
上記の各実施形態は超音波トランスデユーサが2次元に配置されている場合や、超音波トランスデューサが平面でなく任意の曲面状に配置されている場合にも適用できる。
また、上記の各実施形態によって求めた各領域(格子点)の最適音速、又は受信波形、又は遅延カーブに従って、送信フォーカス及び受信フォーカスのうちの少なくとも一方の処理を施すことによりBモード画像を再構築しても良い。
また、上記の各実施形態では、単位面積当りの格子点数が所定数以上となるように、又は横方向に所定以上の密度で格子点が並ぶように、格子点設定のための閾値を調整する。
なお、上記の実施形態において、格子点A1,A2,…及び格子点XROIにおける環境音速を求めるとき、又は格子点A1,A2,…からの受信波から格子点XROIにおける局所音速を求めるときに、単に環境音速のみ又は局所音速のみに基づいて受信波を決定するのではなく、隣り合う素子によって検出された超音波検出信号の相互相関をとることにより、遅延を調整しながら、コントラスト及びシャープネスの判定を行って受信波を決定するようにしてもよい。これにより、受信波の波形を滑らかにすることができ、音速判定の精度をより向上させることができる。
また、環境音速判定処理又は局所音速判定処理において、受信フォーカスだけでなく、送信フォーカスも変化させるようにしてもよい。格子点XROIに対して仮定された局所音速値によって決定される仮想合成受信波から遅延を求め、該遅延に従って受信フォーカスを行ったり、又は格子点XROIに対して仮定された環境音速によって決定される遅延に従って受信フォーカスを行うだけでなく、送信フォーカスも実施することにより、音速の判定精度をより向上させることができる。例えば、格子点XROIに実際に超音波を送信するときの各素子からの超音波の送信タイミングに加える遅延を変更するようにしてもよいし、超音波ビーム(送信波)の開口合成時の仮想的な送信遅延を変更するようにしてもよい。
(付記)
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(付記1)超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波探触子と、前記超音波検出信号に基づいて、前記被検体内の着目領域よりも浅い領域に設定された格子点と、前記着目領域における最適音速値を判定する最適音速値判定手段と、前記着目領域における最適音速値に基づいて、前記超音波を前記着目領域に送信したときに前記着目領域から受信される受信波を演算する第1の演算手段と、前記着目領域における仮定音速を仮定して、前記仮定音速と前記格子点における最適音速値に基づいて、前記超音波を前記着目領域に送信したときに前記各格子点から受信される受信波を求め、前記各格子点の受信波を合成して合成受信波を得る第2の演算手段と、前記受信波と前記合成受信波に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定する局所音速値判定手段とを備える超音波診断装置。
付記1記載の発明によれば、Bモード画像を生成するときに得られる振幅画像、RFデータ又は各超音波トランスデューサ素子により受信した受信波のデータを用いることにより、被検体内の局所音速値を高精度で判定することができる。上記のようにして求めた局所音速値を用いることにより、被検体内の病変の検出をより正確に行うことができる。また、付記1記載の発明では、局所音速値を測定するために、超音波の送信、受信専用の構成を必要としない。
(付記2)前記局所音速値判定手段が、前記受信波と前記合成受信波の間の誤差が最小になる受信波の演算に使用した仮定音速を、前記着目領域における局所音速値と判定する、付記1記載の超音波診断装置。
(付記3)超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波探触子と、前記超音波検出信号に基づいて、前記被検体内の着目領域よりも浅い領域に設定された複数の格子点と前記超音波探触子の間の領域における最適音速値を判定する最適音速値判定手段と、前記複数の格子点から受信される受信波を求め、前記求めた受信波を合成して第1の合成受信波を得る合成受信波取得手段と、前記着目領域における仮定音速を仮定して、前記仮定音速と前記複数の格子点における最適音速値に基づいて、前記超音波探触子から前記着目領域に送信された超音波の音線を追跡し、前記着目領域で反射されて前記複数の格子点を通って前記複数の超音波トランスデューサに到達する受信波をそれぞれ求め、前記求めた受信波を合成して第2の合成受信波を得る演算手段と、前記受信波と前記合成受信波に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定する局所音速値判定手段とを備える超音波診断装置。
付記3記載の発明によれば、被検体内の着目領域で反射される超音波の音線追跡を行って、超音波探触子の各素子に直接到達する受信波を用いて、着目領域における局所音速値を行うことにより、局所音速値をより少ない処理で、正確に算出することが可能になる。
(付記4)前記局所音速値判定手段が、前記第1の合成受信波と前記第2の合成受信波の間の誤差が最小になる受信波の演算に使用した仮定音速を、前記着目領域における局所音速値と判定する、付記3記載の超音波診断装置。
(付記5)超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波探触子と、前記被検体内のある着目領域における仮定音速を仮定して、前記超音波探触子から前記着目領域に超音波を送信したときに前記着目領域よりも浅い領域に設定された複数の格子点から受信される受信波を前記仮定音速に基づいて求め、前記格子点からの受信波を合成して合成受信波を得る演算手段と、前記格子点からの受信波から遅延を求めて前記遅延に基づいて前記着目領域における画像を生成し、該画像に基づいて音速判定指数を求める音速判定指数演算手段と、前記音速判定指数に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定し、前記局所音速値の判定を、浅い領域の格子点から順に繰り返すことにより、前記被検体内の局所音速値を判定する局所音速値判定手段とを備える超音波診断装置。
付記5記載の発明によれば、被検体内の浅い層から順に局所音速値を判定することにより、被検体内の局所音速値を高精度で判定することができる。
(付記6)前記音速判定指数演算手段が、画像のコントラスト、スキャン方向空間周波数及び分散のうち少なくとも1つに基づいて前記音速判定指数を求める、付記5記載の超音波診断装置。
(付記7)超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波探触子と、前記被検体内のある着目領域における仮定音速を仮定して、前記超音波探触子から前記着目領域に送信された超音波の音線を追跡し、前記着目領域で反射され、前記着目領域よりも浅い領域に設定された複数の格子点を通って前記複数の超音波トランスデューサに到達する受信波を前記仮定音速に基づいてそれぞれ求める演算手段と、前記複数の格子点からの受信波から遅延を求め、前記遅延に基づいて前記着目領域における画像を生成し、該画像に基づいて音速判定指数を求める音速判定指数演算手段と、前記音速判定指数に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定し、前記局所音速値の判定を、浅い領域の格子点から順に繰り返すことにより、前記被検体内の局所音速値を判定する局所音速値判定手段とを備える超音波診断装置。
付記7記載の発明によれば、被検体内の浅い層から順に音線追跡を繰り返して、局所音速値を判定することにより、被検体内の局所音速値を高精度で判定することが可能になる。
(付記8)前記被検体内の音速が略一様な領域の境界に格子点を設定する格子点設定手段を更に備える付記1から7のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
(付記9)前記被検体内の局所音速値の判定結果に基づいて、送信フォーカス及び受信フォーカスの少なくとも一方の処理を施すことによって、前記受信波の振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成手段を更に備える付記1から8のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
(付記10)前記局所音速値の判定結果を表示する表示手段を更に備える付記1から8のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
(付記11)前記超音波検出信号に基づいて、前記受信波の振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成手段を更に備え、前記表示手段が、前記局所音速値の判定結果を、前記振幅画像に重畳させるか、又は前記振幅画像と並べて表示する付記10記載の超音波診断装置。
(付記12)前記超音波検出信号に基づいて、前記超音波エコーの振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成手段を更に備え、前記表示手段が、前記振幅画像の輝度又は色を変化させることにより、前記局所音速値の判定結果を表示する付記10記載の超音波診断装置。
(付記13)前記振幅画像を単独で表示する第1の表示モードと、前記被検体内の局所音速値の判定結果を表示する第2の表示モードとの間で表示モードを切り替える表示モード切替手段を更に備える付記11又は12記載の超音波診断装置。
付記10から13記載の発明によれば、上記した効果に加え、オペレータが局所音速値の判定結果を観察するための手段を提供することができる。
(付記14)超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波探触子から得られた超音波検出信号に基づいて、前記被検体内の着目領域よりも浅い領域に設定された格子点と、前記着目領域における最適音速値を判定する最適音速値判定工程と、前記着目領域における最適音速値に基づいて、前記超音波を前記着目領域に送信したときに前記着目領域から受信される受信波を演算する第1の演算工程と、前記着目領域における仮定音速を仮定して、前記仮定音速と前記格子点における最適音速値に基づいて、前記超音波を前記着目領域に送信したときに前記各格子点から受信される受信波を求め、前記各格子点の受信波を合成して合成受信波を得る第2の演算工程と、前記受信波と前記合成受信波に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定する局所音速値判定工程とを備える超音波診断装置の作動方法。
(付記15)前記局所音速値判定工程で、前記受信波と前記合成受信波の間の誤差が最小になる受信波の演算に使用した仮定音速を、前記着目領域における局所音速値と判定する、付記14記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記16)超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波探触子から得られた前記超音波検出信号に基づいて、前記被検体内の着目領域よりも浅い領域に設定された複数の格子点と前記超音波探触子の間の領域における最適音速値を判定する最適音速値判定工程と、前記複数の格子点から受信される受信波を求め、前記求めた受信波を合成して第1の合成受信波を得る合成受信波取得工程と、前記着目領域における仮定音速を仮定して、前記仮定音速と前記複数の格子点における最適音速値に基づいて、前記超音波探触子から前記着目領域に送信された超音波の音線を追跡し、前記着目領域で反射されて前記複数の格子点を通って前記複数の超音波トランスデューサに到達する受信波をそれぞれ求め、前記求めた受信波を合成して第2の合成受信波を得る演算工程と、前記受信波と前記合成受信波に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定する局所音速値判定工程とを備える超音波診断装置の作動方法。
(付記17)前記局所音速値判定工程で、前記第1の合成受信波と前記第2の合成受信波の間の誤差が最小になる受信波の演算に使用した仮定音速を、前記着目領域における局所音速値と判定する、付記16記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記18)被検体内のある着目領域における仮定音速を仮定して、超音波探触子から前記着目領域に超音波を送信したときに前記着目領域よりも浅い領域に設定された複数の格子点から受信される受信波を前記仮定音速に基づいて求め、前記格子点からの受信波を合成して合成受信波を得る演算工程と、前記格子点からの受信波から遅延を求めて前記遅延に基づいて前記着目領域における画像を生成し、該画像に基づいて音速判定指数を求める音速判定指数演算工程と、前記音速判定指数に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定し、前記局所音速値の判定を、浅い領域の格子点から順に繰り返すことにより、前記被検体内の局所音速値を判定する局所音速値判定工程とを備える超音波診断装置の作動方法。
(付記19)前記音速判定指数演算工程で、画像のコントラスト、スキャン方向空間周波数及び分散のうち少なくとも1つに基づいて前記音速判定指数を求める付記18記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記20)被検体内のある着目領域における仮定音速を仮定して、超音波を前記被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の超音波トランスデューサを含む超音波探触子から前記着目領域に送信された超音波の音線を追跡し、前記着目領域で反射され、前記着目領域よりも浅い領域に設定された複数の格子点を通って前記複数の超音波トランスデューサに到達する受信波を前記仮定音速に基づいてそれぞれ求める演算工程と、前記複数の格子点からの受信波から遅延を求め、前記遅延に基づいて前記着目領域における画像を生成し、該画像に基づいて音速判定指数を求める音速判定指数演算工程と、前記音速判定指数に基づいて前記着目領域における局所音速値を判定し、前記局所音速値の判定を、浅い領域の格子点から順に繰り返すことにより、前記被検体内の局所音速値を判定する局所音速値判定工程とを備える超音波診断装置の作動方法。
(付記21)前記被検体内の音速が略一様な領域の境界に格子点を設定する格子点設定工程を更に備える付記14から20のいずれか1つに記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記22)前記被検体内の局所音速値の判定結果に基づいて、送信フォーカス及び受信フォーカスの少なくとも一方の処理を施すことによって、前記受信波の振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成工程を更に備える付記14から21のいずれか1つに記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記23)前記局所音速値の判定結果を表示手段に表示する表示工程を更に備える付記14から21のいずれか1つに記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記24)前記超音波検出信号に基づいて、前記受信波の振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成工程と、前記局所音速値の判定結果を、前記振幅画像に重畳させるか、又は前記振幅画像と並べて前記表示手段に表示する工程とを更に備える付記23記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記25)前記超音波検出信号に基づいて、前記超音波エコーの振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成工程と、前記振幅画像の輝度又は色を変化させることにより、前記局所音速値の判定結果を前記表示手段に表示する工程とを更に備える付記23記載の超音波診断装置の作動方法。
(付記26)前記振幅画像を単独で表示する第1の表示モードと、前記被検体内の局所音速値の判定結果を表示する第2の表示モードとの間で表示モードを切り替える指示入力をオペレータから受け付けて、前記表示モードを切り替える表示モード切替工程を更に備える付記24又は25記載の超音波診断装置の作動方法。