JP2013102959A - 超音波診断装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波探触子から送受信される超音波の走査線方向を精度よく、かつ少ない処理時間で算出可能にする。
【解決手段】超音波探触子からの超音波検出信号に基づいて超音波の走査線n,m上の3つ以上の異なる深さの格子点(上格子点B1n,B2n及び下格子点An)からの受信信号を取得し、各格子点間の伝播時間(Δt1,Δt1b,Δt2,Δt2b等)を算出する。これらの算出した伝播時間に基づいて走査線n,mのなす角度を算出する。
【選択図】 図6

Description

本発明は超音波診断装置及び方法に係り、特に超音波の走査線方向を算出し、被検体内の一部(診断部位)における音速(以下、「局所音速」という)を精度よく算出する技術に関する。
音速が一定の媒質からなる被検体OBJ1内の音速Vは、下記のようにして算出することができる。図13(a)に示すように、被検体OBJ内の反射点(領域)X1ROIから超音波探触子300Aまでの距離をLとすると、反射点X1ROIで超音波が反射されてから反射点X1ROIの直下の超音波トランスデューサ(素子)302A0で受信されるまでの経過時間Tは、T=L/Vである。素子302A0からX方向(素子302Aの配列方向)に距離X離れた位置にある素子302Aiで受信されるまで経過時間をT+ΔTとすると、素子302A0と302Aiとの間の遅延時間ΔTは、下記の[数1]式により表される。
Figure 2013102959
従って、超音波が送波されて反射点X1ROIで時間T後に反射された後、各素子により受信されるまでの経過時間[2T,2T+ΔT]を測定することにより、反射点X1ROIまでの距離Lと速度Vを一意に求めることができる。
上記のように、被検体内の音速が一定の場合には、音速Vを求めることが可能であるが、図13(b)に示す被検体OBJ2のように、内部の音速が一定でない場合には、上記の方法では、反射点(領域)X2ROIまでの距離L及び音速V,V´を求めることは困難である。
これに対し、被検体内の音速が一定でない場合であっても、局所音速を精度よく算出することができる超音波診断方法が提案されている(特許文献1)。
この超音波診断方法は、超音波探触子から超音波走査線を所定の間隔で被検体に出射し、被検体によって反射される。
超音波を受信して得た受信信号のうち、着目する走査線上の着目領域に設定された格子点(上格子点)での反射の受信信号に基づいて上格子点から超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速および受信時刻を算出するとともに、前記上格子点と前記超音波探触子との間に設定された各走査線上の格子点(下格子点)での反射の受信信号に基づいて、各下格子点から超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速および受信時刻を算出し、一方、前記着目領域における仮定音速を仮定し、上格子点から各下格子点までの伝播時間を算出する。
また、スネルの法則により前記上格子点から各下格子点に入射する超音波の入射角と、前記着目領域の仮定音速と前記下格子点での反射に関連して算出した環境音速とに基づいて各下格子点から出射する超音波の出射角を算出し、前記下格子点から前記算出した出射角で出射する超音波が入射する前記超音波探触子の素子の位置と該素子に入射するまでの伝播時間とを算出する。
そして、超音波探触子の素子の位置における超音波の受信時刻を、前記2つの伝播時間を加算することにより算出し、この算出した受信時刻と前記上格子点での反射の超音波探触子の素子の位置における受信時刻との誤差が最小になるように前記仮定音速を修正し、その修正した仮定音速を着目領域における局所音速として判定するようにしている。
また、特許文献2には、超音波画像におけるフォーカス精度に基づき、浅い領域から局所的な音速を順次決定することにより音速分布を求める方法が開示されている。
特許文献3には、超音波送波振動子と受波振動子とを所定距離離間して配置し、これらの振動子の送波及び受波角度を変えながら、送波振動子から受波振動子までの超音波の伝播時間を計測し、この計測した伝播時間と、別途仮想音速分布に基づいて計算した送波振動子から受波振動子までの超音波の伝播時間との誤差を求め、この誤差が最小となるように仮想音速分布を修正することにより被検体内の音速分布を求める方法が開示されている。
特開2010−99452号公報 特開2009−56140号公報 特開平5−95946号公報
特許文献1に記載の超音波診断方法は、局所音速の測定の前提として、着目領域に設定される上格子点に対し、浅い領域に設定される各下格子点の相対的な空間位置が既知でなければならない。
しかしながら、各格子点は走査線位置と受信時刻とによりその位置が定義され、空間位置は未知である。これに対し、特許文献1においては、各走査線の空間位置を既知とし、また、同一の受信時刻を同一深さと近似する事で、空間位置を与えている。
したがって、走査線方向が屈折により変化すると、各格子点の空間位置が方位方向にも、深さ方向にも変化してしまい、算出される局所音速に誤差が生じるという問題がある。
例えば、測定対象が肝臓の場合、それよりも浅い腹壁における屈折により各走査線方向が変化する。
また、特許文献2に記載の方法においても、超音波画像におけるフォーカスは音速のみでなく屈折にも依存するため、屈折を求めずに音速分布を求めることはできない。
特許文献3に記載の方法は、以下の課題がある。
(1)所望の角度で送波・受波できるための専用の装置構成が必要である。
(2)多大な送波・受波回数、及び仮想音速分布を探索するための多大な処理時間が必要になる。着目領域のみの音速を求めるためでも、他の全領域を伝播した結果の時間の計測値と計算値とを比較する原理のため、多大な送・受回数及び処理時間が必要なことに変わりない。
(3)伝播経路を算出するために、音速場を線型近似した三角形に展開するモデルにて与えているが、実際の音速場はより複雑であり、特許文献3に記載のような近似モデルにて解を得ることは困難である。また、もし複雑な音速場を再現できるモデルを与えたとしても、特許文献3に記載の発明のように限られた送波・受波データから解を得ることは困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、超音波探触子の各素子の受信信号を活用する新規手段により、通常の装置構成によって超音波の走査線方向を精度よく、かつ少ない処理時間で算出することを目的とする。また、これによって着目領域における音速を精度よく算出することができる超音波診断装置及び方法を提供することを目的とする。
尚、走査線方向の情報は、横波音速計測や横方向のスペックルトラッキング、画像歪み補正など、方位方向の変位情報を要する何れの機能に対しても精度改良に有効であり、これら機能の精度改良も目的とする。
前記目的を達成するために本発明の一の態様に係る超音波診断装置は、超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の素子を含む超音波探触子と、前記超音波検出信号に基づいて前記超音波の3つ以上の異なる深さからの各反射の受信信号を取得する受信信号取得手段と、前記取得した受信信号に基づいて走査線方向を算出する走査線方向算出手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明の一の態様によれば、前記3つ以上の異なる深さからの各反射の受信信号から各反射点の位置を求め、これらの位置関係から走査線方向を算出するようにしている。
本発明の他の態様に係る超音波診断装置において、前記受信信号は、前記超音波探触子の複数の素子において受信された信号であることを特徴としている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記走査線方向算出手段は、前記超音波探触子から送受信される走査線のうちの着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点と、前記第1の走査線と異なる第2の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点との各格子点間の超音波の伝播時間を、前記受信信号取得手段により取得した受信信号に基づいて算出する伝播時間算出手段と、前記第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする第1の時間座標上で、前記第2の走査線上の第2の格子点の第2の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する第1の位置算出手段と、前記第2の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第2の格子点を原点とし、前記第2の走査線を基準とする第2の時間座標上で、前記第1の走査線上の第1の格子点の第1の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する第2の位置算出手段と、前記第1の位置算出手段により算出した前記第2の位置を原点とし、前記第1の時間座標に対して任意の角度だけ回転した第3の時間座標上で、前記第1の走査線上の第1の格子点の第3の位置を座標変換により算出する第3の位置算出手段と、前記第2の位置算出手段により算出された前記第1の格子点の第1の位置と、前記第3の位置算出手段により算出された前記第1の格子点の第3の位置との誤差が最小となるときの前記第3の時間座標の回転角を、前記第1の走査線と第2の走査線とのなす角度として算出する角度算出手段と、からなることを特徴としている。
本発明の他の態様によれば、前記第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第1の格子点を原点とし、該第1の走査線を基準とする第1の時間座標上で、前記第2の走査線上の第2の格子点の第2の位置を算出し、同様に前記第2の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第2の格子点を原点とし、該第2の走査線を基準とする第2の時間座標上で、前記第1の走査線上の第1の格子点の第1の位置を算出し、前記算出した前記第2の位置を原点とし、前記第1の時間座標に対して任意の角度だけ回転した第3の時間座標上で、前記第1の走査線上の第1の格子点の第3の位置を座標変換により算出し、前記算出された前記第1の格子点の第1の位置と、前記座標変換した前記第1の格子点の第3の位置との誤差が最小となるときの、前記第3の時間座標の回転角を前記第1の走査線と第2の走査線とのなす角度として算出するようにしている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記走査線方向算出手段は、n(n:3以上の整数)本の走査線から前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度を(n−1)個算出し、これらの算出した角度の平均を前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度とすることを特徴としている。これにより、走査線方向の算出精度を上げることができる。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記走査線方向算出手段は、n(n:3以上の整数)本の走査線から前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度を(n−1)個算出し、これらの算出した角度の平均を前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度とするとともに、前記第1の走査線上の第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする第1の時間座標上で、前記第2の走査線上の第2の格子点の第2の位置を(n−1)個算出し、これらの算出した第2の位置の平均を前記第2の走査線の第2の格子点の位置とすることを特徴としている。これにより、走査線方向の算出精度、及び各格子点の位置の算出精度を上げることができる。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記走査線方向算出手段は、前記超音波探触子から送受信される走査線のうちの着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点と、前記第1の走査線と異なる複数本の第2の走査線上の第2の格子点との各格子点間の超音波の伝播時間を、前記受信信号取得手段により取得した受信信号に基づいて算出する伝播時間算出手段と、前記第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする時間座標上で、前記第2の走査線上の複数の第2の格子点の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する位置算出手段と、前記複数の第2の格子点の位置を結んだ曲線に対して直角に交わる直線の方向を、前記第1の走査線に対する前記第2の走査線の方向とすることを特徴としている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記伝播時間算出手段は、着目する走査線上の上格子点から前記超音波探触子の各素子までの第1の伝播時間を算出する第1の伝播時間算出手段と、前記上格子点と前記超音波探触子との間の領域に設定された下格子点から前記超音波探触子の各素子までの第2の伝播時間を算出する第2の伝播時間算出手段と、前記超音波探触子の各素子上で、前記算出された第1の伝播時間と第2の伝播時間との時間差が最大となる素子上の時間差を、前記上格子点から下格子点までの超音波の伝播時間として算出する手段と、からなることを特徴としている。これによれば、前記上格子点から前記超音波探触子の各素子までの第1の伝播時間と前記下格子点から前記超音波探触子の各素子までの第2の伝播時間とに基づいて、前記上格子点から下格子点までの超音波の伝播時間を簡単に算出することができる。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記走査線方向算出手段により算出された複数の走査線方向に基づいて屈折のない2本以上の走査線を抽出する抽出手段と、前記抽出した2本以上の走査線の同一の深さの格子点の時間間隔と所定の音速とを乗算して前記2本上の走査線間の空間的な距離を算出する距離算出手段と、前記超音波探触子から送信される走査線のうちの屈折のない走査線の前記格子点における走査線間隔と前記距離算出手段により算出された距離とが一致するように前記所定の音速を算出し、この算出した音速に基づいて前記時間座標上の各格子点の位置から空間座標上の位置に変換する変換手段と、を備えたことを特徴としている。
前記超音波探触子から送信される走査線のうちの屈折のない走査線の、前記格子点における走査線間隔は既知である。例えば、超音波探触子がリニアプローブの場合には、素子の物理的な間隔により走査線間隔が決定され、超音波探触子がコンベックプローブの場合には、素子の間隔、走査線の広がり角度、及び格子点の深さにより算出することができる。そして、この既知の走査線の間隔と、前記抽出した屈折のない2本以上の走査線上の同一の深さの格子点の時間間隔と所定の音速とを乗算して求めた前記2本上の走査線間の空間的な距離とが一致するように前記所定の音速を決定する。この決定した音速により時間座標上の格子点の位置を空間座標上の位置に変換するようにしている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記超音波探触子から送受信される走査線のうちの着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点と、前記第1の走査線と異なる複数本の第2の走査線上の第2の格子点との各格子点間の超音波の伝播時間を、前記受信信号取得手段により取得した受信信号に基づいて算出する伝播時間算出手段と、前記第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする時間座標上で、前記第2の走査線上の複数の第2の格子点の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する位置算出手段と、前記第1の格子点及び第2の格子点の前記時間座標上の位置を所定の音速に基づいて空間座標上の位置に変換する座標変換手段と、前記超音波探触子から送信される前記第1及び第2の走査線に対応する走査線であって屈折する前の走査線上の同一深さの複数の端点と、前記第1及び第2の格子点の前記空間座標上の位置とを接続し、各端点における方向変化の大きさ、又は隣り合う走査線の各端点における方向変化の差の大きさを全走査線に関して積分する積分手段と、前記積分手段による積分値が最小となる前記所定の音速を算出し、この算出した音速に基づいて前記時間座標上の各格子点の位置から空間座標上の位置に変換する変換手段と、を備えたことを特徴としている。
前記第1の走査線を基準とする時間座標上で、前記第2の走査線上の複数の第2の格子点の位置を算出し、前記第1の格子点及び第2の格子点の前記時間座標上の位置を所定の音速に基づいて空間座標上の位置に変換する。一方、前記第1及び第2の走査線に対応する走査線であって屈折する前の走査線上の同一深さの複数の端点の位置は、屈折していないため既知である。そして、上記複数の端点の位置と、前記算出した第1及び第2の格子点の前記空間座標上の位置とを接続し、各端点における方向変化の大きさ、又は隣り合う走査線の各端点における方向変化の差の大きさを全走査線に関して積分し、その積分値が最小となるときの所定の音速を求め、この音速に基づいて時間座標上の各格子点の位置から空間座標上の位置に変換するようにしている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの着目領域に設定される上格子点と、前記上格子点と前記超音波探触子との間に設定される下格子点と、前記第1の走査線と異なる第2の走査線上の下格子点とを、前記算出された空間座標上の位置に基づいて設定する格子点設定手段と、前記下格子点での反射の受信信号に基づいて、該下格子点から前記超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速を算出する環境音速算出手段と、前記着目領域における仮定音速を仮定し、前記上格子点から下格子点までの第1の伝播時間を算出する手段と、スネルの法則により前記上格子点から下格子点に入射する超音波の入射角と、前記着目領域の仮定音速と前記下格子点と前記超音波探触子との間の領域の環境音速とに基づいて前記下格子点から出射する超音波の出射角を算出する手段と、前記下格子点から前記算出した出射角で出射する超音波が入射する前記超音波探触子の素子の位置と該素子に入射するまでの第2の伝播時間とを算出する手段と、前記超音波探触子の素子の位置における超音波の受信時刻を、前記第1の伝播時間と第2の伝播時間とを加算して算出する手段と、前記上格子点での反射の前記超音波探触子の素子の位置における受信時刻と前記算出した受信時刻との誤差が最小となる前記仮定音速を、前記着目領域における局所音速として判定する局所音速判定手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明の更に他の態様は、着目領域に上格子点を設定するとともに、前記上格子点と前記超音波探触子との間に下格子点を設定し、着目領域の音速(仮定音速)を仮定することにより、上格子点から下格子点までの第1の伝播時間を算出する。一方、前記仮定音速と、格子点から超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速とから、上格子点から所定の入射角で下格子点に入射する超音波の出射角(屈折角)をスネルの法則により算出する。尚、スネルの法則は、2つの媒質中における音波のそれぞれの伝播速度と2つの媒質の境界面での入射角・出射角とは一定の関係にあることを表した法則であり、屈折の法則とも呼ばれている。このようにして下格子点での屈折角を求めることができるため、下格子点から超音波が入射する前記超音波探触子の素子の位置と該素子に入射するまでの第2の伝播時間とを算出することができる。そして、前記第1の伝播時間と第2の伝播時間とを加算することにより求めた前記超音波探触子の素子の位置における受信時刻と、前記上格子点での反射の前記超音波探触子の素子の位置における実際の受信時刻との誤差が最小となるときの仮定音速を、前記着目領域における局所音速として判定するようにしている。尚、上記格子点の空間座標上の位置は精度よく算出されているため、上記のようにして求めた局所音速も精度の高いものとなる。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの着目領域に設定される上格子点と、前記上格子点と前記超音波探触子との間に設定される下格子点と、前記第1の走査線と異なる第2の走査線上の下格子点とを、前記算出された空間座標上の位置に基づいて設定する格子点設定手段と、前記上格子点及び下格子点での反射の受信信号に基づいて、各格子点から前記超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速を算出する環境音速算出手段と、前記上格子点を反射点としたときの第1の受信波を、該上格子点に対応して算出した環境音速に基づいて算出する第1の算出手段と、前記着目領域における仮定音速を仮定し、前記上格子点から下格子点までの伝播時間を算出する手段と、前記下格子点からの第2受信波を、該下格子点に対応して算出した環境音速及び前記算出した伝播時間に基づいて算出する第2の算出手段と、前記第1の算出手段により算出された第1の受信波と前記第2の算出手段により算出された第2の成受信波との誤差が最小となる前記仮定音速を、前記着目領域における局所音速として判定する局所音速判定手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明の更に他の態様は、着目領域に上格子点を設定するとともに、前記上格子点と前記超音波探触子との間に下格子点を設定し、着目領域の音速(仮定音速)を仮定し、また、上格子点及び下格子点での反射の受信信号に基づいて各格子点から前記超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速を算出する。そして、前記上格子点を反射点としたときの第1の受信波を該上格子点に対応した算出した環境音速に基づいて演算する。一方、前記着目領域における仮定音速を仮定し、前記上格子点から各下格子点までの伝播時間を算出し、この伝播時間と下格子点に対応して算出した環境音速とに基づいて、下格子点からの第2の受信波を算出する。そして、前記算出された第1の受信波と第2の受信波との誤差が最小となるときの仮定音速を、前記着目領域における局所音速として判定するようにしている。これは、ホイヘンスの原理により、上格子点からの受信波と、下格子点からの受信波とが一致することを利用している。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記算出された所定の音速を、前記第1の格子点と第2の格子点との間の着目領域における局所音速として取得することを特徴としている。即ち、格子点の空間座標上の位置を算出するときに使用した音速を局所音速として取得するようにしている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記超音波の走査線上の深さの異なる第1の格子点及び第2の格子点からの各反射の受信信号に基づいて前記第1の格子点と第2の格子点との間の超音波の伝播時間を算出する伝播時間算出手段と、前記変換手段により変換された空間座標上の前記第1の格子点及び第2の格子点の位置と、前記伝播時間算出手段により算出した前記第1の格子点と第2の格子点との間の超音波の伝播時間とに基づいて前記第1の格子点と第2の格子点との間の着目領域における局所音速を算出する局所音速算出手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明の更に他の態様は、前記第1の格子点と第2の格子点の空間座標上の位置から超音波の伝播距離を求めることができるため、この伝播距離と第1の格子点と第2の格子点との間の超音波伝播時間とから前記第1の格子点と第2の格子点との間の着目領域における局所音速を算出するようにしている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、各走査線についてそれぞれ求めた前記局所音速を平均して前記着目領域の局所音速を算出することを特徴としている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記走査線方向算出手段により算出された複数の走査線方向に基づいて屈折のない複数の走査線を抽出する抽出手段を備え、前記抽出された屈折のない複数の走査線についてそれぞれ求めた前記局所音速を平均して前記着目領域の局所音速を算出することを特徴としている。尚、前記抽出手段により抽出される屈折のない複数の走査線は、これらの走査線の元々の走査線方向から変化の小さい(例えば、1度以下)走査線を含んでいてもよい。そして、屈折のない走査線群の格子点の情報のみを用いて、上記と同様にして着目領域の局所音速を算出するようにしている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記超音波検出信号の振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成手段を更に備えたことを特徴としている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記走査線方向算出手段により算出した走査線方向を表示する表示手段を更に備えたことを特徴としている。
本発明の更に他の態様に係る超音波診断装置において、前記変換手段により変換された空間座標上の前記格子点の位置、又は格子点の位置を接続した線を表示する表示手段を更に備えたことを特徴としている。
本発明の更に他の態様に係るに超音波診断装置おいて、前記超音波探触子から送受信される走査線のステア角を調整するステア角調整手段を備え、前記走査線方向算出手段は、前記ステア角調整手段によりステア角が調整される毎に前記取得した受信信号に基づいて前記走査線方向を算出することを特徴としている。走査線が異なる媒質の境界面に対して略直交するように入射する場合には、その走査線の屈折は小さくなる。従って、走査線のステア角を調整し、走査線の屈折が小さくなるステア角で走査線を送信して着目領域における局所音速を求めることができる。
本発明の他の態様に係る超音波診断方法は、複数の素子を含む超音波探触子から超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を取得する工程と、前記取得した超音波検出信号に基づいて前記超音波の走査線上の3つ以上の異なる深さからの各反射の受信信号を取得する受信信号取得工程と、前記取得した受信信号に基づいて前記走査線方向を算出する走査線方向算出工程と、を含むことを特徴としている。
本発明によれば、超音波探触子の各素子の受信信号であって、超音波の3つ以上の異なる深さからの各反射の受信信号を活用する新規手段により、通常の装置構成によって超音波の走査線方向を精度よく算出することができるとともに、簡単な演算処理により算出することができ、これにより、着目領域における音速(局所音速)も精度よく算出することができるという効果、また横波音速計測や横方向のスペックルトラッキングなどの機能において方位方向の変位検出精度を改良できるという効果がある。
本発明に係る超音波診断装置の実施形態を示すブロック図 超音波探触子から出射される超音波ビームのステア角等を説明するために用いた図 被検体の着目領域における局所音速を算出する処理手順の第1の実施形態を示すフローチャート 被検体の着目領域に設定される各格子点の一例を示す図 上格子点から下格子点への伝播時間の算出方法を説明するために用いた図 下格子点の位置及び走査線方向の算出方法を説明するために用いた図 下格子点の位置の時間座標から空間座標への変換を説明するために用いた図 特許文献1に開示された屈折モデル計算により局所音速を算出する方法を模式的に示した図 特許文献1に開示されたホイヘンスの原理を利用して局所音速を算出する方法を模式的に示した図 被検体の着目領域における局所音速を算出する処理手順の第2の実施形態を示すフローチャート ある走査線iと隣接する走査線i+1の下格子点の位置及び走査線方向の算出方法の他の実施形態を示すフローチャート 図11に示した下格子点の位置及び走査線方向の算出方法を説明するために用いた図 被検体の媒質(音速)が均一な場合と不均一の場合の超音波探触子での受信時刻を示す図
以下、添付図面に従って本発明に係る超音波診断装置及び方法の好ましい実施の形態について説明する。
[装置構成]
図1は本発明に係る超音波診断装置の実施形態を示すブロック図である。
図1に示す超音波診断装置10は、超音波探触子300から被検体OBJに超音波ビームを送信して、被検体OBJによって反射された超音波ビーム(超音波エコー)を受信し、超音波エコーの検出信号から超音波画像を作成・表示する装置である。
CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)100は、操作入力部200からの操作入力に応じて超音波診断装置10の各ブロックの制御を行う。
操作入力部200は、オペレータからの操作入力を受け付ける入力デバイスであり、操作卓202とポインティングデバイス204とを含んでいる。操作卓202は、文字情報(例えば、患者情報)の入力を受け付けるキーボードと、振幅画像(Bモード画像)を単独で表示するモードと局所音速の判定結果を表示するモードとの間で表示モードを切り替える表示モード切り替えボタンと、ライブモードとフリーズモードとの切り替えを指示するためのフリーズボタンと、シネメモリ再生を指示するためのシネメモリ再生ボタンと、超音波画像の解析・計測を指示するための解析・計測ボタンとを含んでいる。ポインティングデバイス204は、表示部104の画面上における領域の指定の入力を受け付けるデバイスであり、例えば、トラックボール又はマウスである。尚、ポインティングデバイス204としては、タッチパネルを用いることも可能である。
格納部102は、CPU100により超音波診断装置10の各ブロックの制御を制御するための制御プログラム、パラメータ及び本発明に係る走査線方向等を算出するためのプログラムを格納する記憶装置であり、例えば、ハードディスク又は半導体メモリである。
表示部104は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ又は液晶ディスプレイであり、超音波画像(動画及び静止画)の表示、本発明に係る走査線方向、局所音速マップ、及び各種の設定画面を表示する。
超音波探触子300は、被検体OBJに当接させて用いるプローブであり、1次元又は2次元の超音波トランスデューサアレイを構成する複数の素子302を備えている。複数の素子302は、送信回路402から印加される駆動信号に基づいて超音波ビームを被検体OBJに送信するとともに、被検体OBJから反射される超音波エコーを受信して検出信号を出力する。
超音波探触子300の各素子302は、圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極が形成されて構成された振動子を含んでいる。上記振動子を構成する圧電体としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb (lead) zirconate titanate)のような圧電セラミック、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)のような高分子圧電素子を用いることができる。上記振動子の電極に電気信号を送って電圧を印加すると圧電体が伸縮し、この圧電体の伸縮により各振動子において超音波が発生する。例えば、振動子の電極にパルス状の電気信号を送るとパルス状の超音波が発生し、振動子の電極に連続波の電気信号を送ると連続波の超音波が発生する。そして、各振動子において発生した超音波が合成されて超音波ビームが形成される。また、各振動子により超音波が受信されると、各振動子の圧電体が伸縮して電気信号を発生する。各振動子において発生した電気信号は、超音波の検出信号として受信回路404に出力される。
尚、超音波探触子300の素子302としては、超音波変換方式の異なる複数種類の素子を用いることも可能である。例えば、超音波を送信する素子として上記圧電体により構成される振動子を用いて、超音波を受信する素子として光検出方式の超音波トランスデューサを用いるようにしてもよい。ここで、光検出方式の超音波トランスデューサとは、超音波信号を光信号に変換して検出するものであり、例えば、ファブリーペロー共振器又はファイバブラッググレーティングである。
次に、ライブモード時における超音波診断処理について説明する。ライブモードは、被検体OBJに超音波探触子300を当接させて超音波の送受信を行うことによって得られた超音波画像(動画)の表示、解析・計測を行うモードである。
超音波探触子300が被検体OBJに当接されて、操作入力部200からの指示入力により超音波診断が開始されると、CPU100は、送受信部400に制御信号を出力して、超音波ビームの被検体OBJへの送信、及び被検体OBJからの超音波エコーの受信を開始させる。CPU100は、素子302毎に超音波ビームの送信方向と超音波エコーの受信方向とを設定する。
また、CPU100は、超音波ビームの送信方向に応じて送信遅延パターンを選択するとともに、超音波エコーの受信方向に応じて受信遅延パターンを選択する。ここで、送信遅延パターンとは、複数の素子302から送信される超音波によって所望の方向に超音波ビームを形成するために駆動信号に与えられる遅延時間のパターンデータであり、受信遅延パターンとは、複数の素子302によって受信される超音波によって所望の方向からの超音波エコーを抽出するために検出信号に与えられる遅延時間のパターンデータである。上記送信遅延パターン及び受信遅延パターンは予め格納部102に格納されている。CPU100は、格納部102に格納されているものの中から送信遅延パターン及び受信遅延パターンを選択し、選択した送信遅延パターン及び受信遅延パターンに従って、送受信部400に制御信号を出力して超音波の送受信制御を行う。
送信回路402は、CPU100からの制御信号に応じて駆動信号を生成して、該駆動信号を素子302に印加する。また、送信回路402は、図2に示すように素子302毎に遅延回路τ〜τを有し、CPU100によって選択された送信遅延パターンに基づいて、各素子302に印加する駆動信号を遅延させる。ここで、送信回路402は、複数の素子302から送信される超音波が超音波ビームを形成するように、各素子302に駆動信号を印加するタイミングを調整(遅延)したり、図2に示すように超音波ビームの方向(ステア角α)を調整するように、各素子302に駆動信号を印加するタイミングを調整(遅延)する。尚、複数の素子302から一度に送信される超音波が被検体OBJの撮像領域全体に届くように、駆動信号を印加するタイミングを調節するようにしてもよい。
受信回路404は、超音波探触子300の各素子302から出力される超音波検出信号を受信して増幅する。上記のように、各素子302と被検体OBJ内の超音波反射源との間の距離がそれぞれ異なるため、各素子302に反射波が到達する時間が異なる。受信回路404は遅延回路を備えており、CPU100によって選択された音速(以下、「仮定音速」という)又は音速の分布に基づいて設定される受信遅延パターンに従って、反射波の到達時刻の差(遅延時間)に相当する分、各検出信号を遅延させる。
次に、受信回路404は、遅延時間を与えた検出信号を整合加算することにより受信フォーカス処理を行う。超音波反射源XROIと異なる位置に別の超音波反射源がある場合には、別の超音波反射源からの超音波検出信号は到達時刻が異なるので、上記加算回路で加算することにより、別の超音波反射源からの超音波検出信号の位相が打ち消し合う。これにより、超音波反射源XROIからの受信信号が最も大きくなり、フォーカスが合う。上記受信フォーカス処理によって、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号(以下、「RF信号」という)が形成される。
A/D変換器406は、受信回路404から出力されるアナログのRF信号をデジタルRF信号(以下、「RFデータ」という)に変換する。ここで、RFデータは、受信波(搬送波)の位相情報を含んでいる。A/D変換器406から出力されるRFデータは、信号処理部502とシネメモリ602にそれぞれ入力される。
シネメモリ602は、A/D変換器406から入力されるRFデータを順次格納する。また、シネメモリ602は、CPU100から入力されるフレームレートに関する情報(例えば、超音波の反射位置の深度、走査線の密度、視野幅を示すパラメータ)を上記RFデータに関連付けて格納する。
信号処理部502は、上記RFデータに対して、STC(Sensitivity Time gain Control)によって、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正をした後、包絡線検波処理を施し、Bモード画像データ(超音波エコーの振幅を点の明るさ(輝度)により表した画像データ)を生成する。
信号処理部502によって生成されたBモード画像データは、通常のテレビジョン信号の走査方式と異なる走査方式によって得られたものである。このため、DSC(Digital Scan Converter)504は、上記Bモード画像データを通常の画像データ(例えば、テレビジョン信号の走査方式(NTSC方式)の画像データ)に変換(ラスター変換)する。画像処理部506は、DSC504から入力される画像データに、各種の必要な画像処理(例えば、階調処理)を施す。
画像メモリ508は、画像処理部506から入力される画像データを格納する。D/A変換器510は、画像メモリ508から読み出された画像データをアナログの画像信号に変換して表示部104に出力する。これにより、超音波探触子300によって撮影された超音波画像(動画)が表示部104に表示される。
尚、本実施形態では、受信回路404において受信フォーカス処理が施された検出信号をRF信号としたが、受信フォーカス処理が施されていない検出信号をRF信号としてもよい。この場合、複数の素子302から出力される複数の超音波検出信号が、受信回路404において増幅され、増幅された検出信号、即ち、RF信号が、A/D変換器406においてA/D変換されることによってRFデータが生成される。そして、上記RFデータは、信号処理部502に供給されるとともに、シネメモリ602に格納される。受信フォーカス処理は、信号処理部502においてデジタル的に行われる。
次に、シネメモリ再生モードについて説明する。シネメモリ再生モードは、シネメモリ602に格納されているRFデータに基づいて超音波診断画像の表示、解析・計測を行うモードである。
操作卓202のシネメモリ再生ボタンが押下されると、CPU100は、超音波診断装置10の動作モードをシネメモリ再生モードに切り替える。シネメモリ再生モード時には、CPU100は、オペレータからの操作入力により指定されたRFデータの再生をシネメモリ再生部604に指令する。シネメモリ再生部604は、CPU100からの指令に従って、シネメモリ602からRFデータを読み出して、画像信号生成部500の信号処理部502に送信する。シネメモリ602から送信されたRFデータは、信号処理部502、DSC504及び画像処理部506において所定の処理(ライブモード時と同様の処理)が施されて画像データに変換された後、画像メモリ508及びD/A変換器510を経て表示部104に出力される。これにより、シネメモリ602に格納されたRFデータに基づく超音波画像(動画又は静止画)が表示部104に表示される。
ライブモード又はシネメモリ再生モード時において、超音波画像(動画)が表示されているときに操作卓202のフリーズボタンが押下されると、フリーズボタン押下時に表示されている超音波画像が表示部104に静止画表示される。これにより、オペレータは、着目領域(ROI:Region of Interest)の静止画を表示させて観察することができる。
操作卓202の計測ボタンが押下されると、オペレータからの操作入力により指定された解析・計測が行われる。データ解析計測部106は、各動作モード時に計測ボタンが押下された場合に、A/D変換器406又はシネメモリ602から、画像処理が施される前のRFデータを取得し、当該RFデータを用いてオペレータ指定の解析・計測(例えば、組織部の歪み解析(硬さ診断)、血流の計測、組織部の動き計測、又はIMT(内膜中膜複合体厚:Intima-Media Thickness)値計測)を行う。データ解析計測部106による解析・計測結果は、画像信号生成部500のDSC504に出力される。DSC504は、データ解析計測部106による解析・計測結果を超音波画像の画像データに挿入して表示部104に出力する。これにより、超音波画像と解析・計測結果とが表示部104に表示される。
また、表示モード切り替えボタンが押下されると、Bモード画像を単独で表示するモード、Bモード画像に局所音速の判定結果を重畳して表示するモード(例えば、局所音速に応じて色分け又は輝度を変化させる表示、又は局所音速が等しい点を線で結ぶ表示)、Bモード画像と局所音速値の判定結果の画像を並べて表示するモードの間で表示モードが切り替わる。これにより、オペレータは、局所音速の判定結果を観察することで、例えば、病変を発見することができる。尚、局所音速の判定結果に基づいて、送信フォーカス処理及び受信フォーカス処理の少なくとも一方を施すことにより得られたBモード画像を表示部104に表示してもよい。
また、超音波診断装置10は、上記局所音速を精度よく算出するための前提として、超音波探触子300の各素子302での受信信号に基づいて、複数の超音波ビーム(以下、「走査線」という)の走査線方向を算出する。尚、走査線方向の算出方法については、後述する。表示部104には、算出した走査線方向を表示することができる。
[局所音速測定の第1の実施形態]
図3は、被検体の着目領域における局所音速を算出する処理手順の第1の実施形態を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず被検体の着目領域を設定する(ステップS1)。この着目領域は、表示部104に表示される超音波画像の静止画上で、オペレータがポインティングデバイスにより設定してもよいし、制御プログラムが自動的に所定位置、所定サイズにて設定してもよいし、超音波画像を二値化処理するとともに、白の部分(又は黒の部分)が連続した画素に同じ番号を割り振るラベリング処理を行い、ラベリングした番号順に自動的に設定してもよい。
続いて、前記設定した着目領域内に上格子点及び下格子点を設定し、各格子点における環境音速を求める(ステップS2)。各格子点は、走査線位置と受信時刻によって、その位置が定義される。即ち、図4に示すように、超音波探触子300から被検体OBJの着目領域に出射される、所定の間隔の走査線1,2,…,n上の深さの異なる反射点を格子点として設定する。ここで、下格子点A1,A2,A3,…,Anは、各走査線1,2,…,n上の受信時刻が同一の反射点であり、同様に上格子点B11,B12,B13,…,B1n及び上格子点B21,B22,B23,…,B2nもそれぞれ各走査線1,2,…,n上の受信時刻が同一の反射点である。
尚、図4上では、下格子点A、上格子点B1,B2は、同じ深さの格子点として図示されているが、実際には各格子点と超音波探触子300との間の領域の音速は均一でないため、空間上では異なる深さの反射点となり、また、リニア走査される各走査線1,2,…,nも走査線の伝播領域の音速の違いにより屈折するため、全ての走査線は必ずしも平行にはならない。
また、各格子点の範囲及び個数は予め決めておく。ここで、局所音速演算に使用する格子点の範囲が広いと局所音速値の誤差が大きくなり、狭いと仮想受信波との誤差が大きくなるため、格子点の範囲はこれらの兼ね合いで決める。各格子点のx方向の間隔は、分解能と処理時間の兼ね合いで決定される。格子点のx方向の間隔は、一例で1mmから1cmである。また、下格子点と上格子点のy方向の間隔が狭いと誤差計算における誤差が大きくなり、広いと局所音速の誤差が大きくなる。格子点のy方向の間隔は、超音波画像の画像分解能の設定に基づいて決定され、一例で1cmである。
次に、上記のように設定した各格子点における環境音速を以下のようにして算出する。
<環境音速の算出>
図13(a)に示したように、ある反射点(格子点)X1ROIから超音波探触子300Aまでの距離をLとすると、格子点x1ROIで超音波が反射されてから格子点X1ROIの直下の素子302Aで受信されるまでの経過時間Tは、T=L/Vである。素子302AからX方向(素子302Aの配列方向)に距離X離れた位置にある素子302Aで受信されるまで経過時間をT+ΔTとすると、素子302Aと302Aとの間の遅延時間ΔTは、下記の式(1)により表される。
Figure 2013102959
従って、超音波が送波されて格子点x1ROIで時間T後に反射された後、各素子により受信されるまでの経過時間[2T,2T+ΔT]を測定することにより、格子点x1ROIまでの距離Lと速度Vを一意に求めることができる。
ここで、ある格子点の環境音速とは、その格子点から超音波探触子までの領域の平均音速であり、画像のコントラスト、シャープネスが最も高くなる音速である。従って、環境音速の判定方法としては、例えば、画像のコントラスト、スキャン方向の空間周波数、分散などから判定する方法(例えば、特開平8-317926号公報)を適用することができる。また、環境音速を十分な精度で求められるように、着目領域内にて細密深度間隔にて送信焦点を形成するようにフォーカスをかけることが好ましい。
この様にして求めた環境音速から、その格子点からの反射の各素子の受信時刻を得る事ができる。つまり、その格子点からの反射の各素子受信信号に対して、ある音速を仮定して遅延を決定し、その遅延を使用して生成した画像のコントラスト、シャープネスが最も高くなる場合、その遅延が各素子受信時刻に最も近づく事を意味しているため、その音速(環境音速)、つまり遅延を以って各素子受信時刻と見做す事ができる。環境音速の代わりに、位相収差解析などの手法により、各素子の受信時刻を求めて、以降に使用してもよい。
<下格子位置及び走査線方向の算出並びに局所音速の算出>
次に、各下格子点A1,A2,A3,…,An(及び上格子点B11,B12,B13,…,B1n, B21,B22,B23,…,B2n,)を通る各走査線1,2,…,nについて、周囲走査線の下格子点の位置および走査線方向を求め、それに基づいて局所音速を求める(ステップS3)。
(i)上格子点から下格子点への伝播時間の算出
まず、着目する走査線、及びその周囲走査線に対し、上格子点から下格子点への伝播時間を求める。
図5に示すように、着目する走査線上の格子点(上格子点)Bから周囲走査線上の格子点(下格子点)A1,A2,A3への伝播時間ΔT1,ΔT2,ΔT3は、次式により算出することができる。
[数2]
ΔTn=max(TBi-TAni)
上記[数2]式において、
ΔTn:格子点Bから格子Anまでの伝播時間
TBi:格子点Bから超音波探触子の素子iまでの伝播時間(格子点B反射の素子iでの受信時刻)
TAni:格子点Anから超音波探触子の素子iまでの伝播時間(格子点An反射の素子iでの受信時刻)
である。
但し、TBi及びTAniは、伝播経路の片道の伝播時間を示しており、超音波探触子の各素子の受信時刻又は環境音速から往路分の伝播時間(着目走査線上の素子における受信時刻または最短受信時刻の半分)を引くことにより求められる。
図5には、格子点Bの反射の超音波探触子の各素子iでの受信時刻を示す曲線と、格子点A1,A2,A3の反射の超音波探触子の各素子iでの受信時刻を示す曲線とが示されている。ホイヘンスの原理によれば、格子点Bからの受信波(受信時刻を示す曲線)と、格子点A1,A2,A3…からの受信波を、格子点Bからそれぞれの格子点までの伝播時間だけ遅延させて仮想的に合成した仮想合成受信波(各受信時刻を示す曲線の包絡線)とは一致する。上記[数2]式により算出されるΔTnは、格子点Bからの受信波と、格子点A1,A2,A3…からの仮想合成受信波とが一致するために必要な格子点Bから格子点Anまでの伝播時間を示す。又は、[数2]式の様に各伝播時間ΔTnを独立に求める代わりに、下格子点A1,A2,A3・・・の位置を仮想的に既知として、特許文献1に開示されている方法によって上格子点Bと下格子点A1,A2,A3・・・との間の局所音速を仮想的に求めても良い。仮想的に決めた下格子点A1,A2,A3・・・の位置および求めた局所音速に基き、各伝播時間ΔTnを求める事ができる。
(ii)下格子点の位置及び走査線方向の算出
次に、着目する走査線に対し、周囲走査線のなす角度を求める。
図6に示すように、ある走査線n上の下格子点Anに対して、別の走査線m上の下格子点Aの位置(Δx,Δy)は、走査線n上の異なる深さの2つの上格子点B1n,B2nと下格子点An, Aとの間の伝播時間(Δt1,Δt1b,Δt2,Δt2b)から、次式により求めることができる。
Figure 2013102959
但し、下格子点Aの位置(Δx,Δy)は、走査線nをy軸、下格子点Anを原点とする座標上の位置である。また、Δy’は、上格子点B1nと下格子点Aのy方向の距離を示し、Vは下格子点An, A及び上格子点B1n,B2n間の局所音速を示す。ここで、Δxの符号はx軸方向と逆の場合は負とする。
上記の例では、下格子点Anに対して、2つの異なる深さの上格子点B1n,B2n(合計、3つの異なる深さの格子点)の伝播時間を使用しているが、更に異なる深さの上格子点B3n,B4n,…を使用することにより下格子点Aの位置(Δx,Δy)の精度を向上させることができる。
例えば、上格子点B1nとB2n,B3n,…それぞれの伝播時間から下格子点Aの位置(Δx12,Δy12),(Δx13,Δy13),…を求め、上格子点B2nとB3n,B4n,…それぞれの伝播時間から下格子点Aの位置(Δx23,Δy23),(Δx24,Δy24),…を求め、上格子点B3nとB4n,B5n,…それぞれの伝播時間から下格子点Aの位置(Δx34,Δy34),(Δx35,Δy35),…を求め、これを繰り返し、下格子点Aの位置(Δxij,Δyij)(i=1〜N,j=2〜N+1,但し、i<j)を求めた後に、その平均値を下格子点Aの位置(Δx,Δy)としてもよい。
以上の方法により、走査線nをy軸、下格子点Anを原点とする座標上の走査線m上の下格子点Aの位置(Δx,Δy)を求めることができる。但し、この段階では、局所音速Vが未知数であるため、時間座標系における位置である。
次に、上記と同様にして、走査線mをy軸、下格子点Aを原点とする座標上の走査線n上の下格子点Anの位置(Δx’,Δy’)を求める。
一方、走査線mをy軸、下格子点Aを原点とする座標を、その原点を中心に角度θだけ回転させたときの走査線n上の下格子点Anの位置(Δx”,Δy”)は、次式で表すことができる。
[数4]
Δx”=−Δx・cosθ+Δy・sinθ
Δy”=−Δx・sinθ−Δy・cosθ
但し、ここでは角度θの正方向を時計回りとしている。
尚、上記[数4]式は、座標を回転した場合の公知の座標変換式と符号が異なっている。これは、走査線nをy軸、下格子点Anを原点とする座標上で算出した下格子点Aの位置(Δx,Δy)に対し、この位置(Δx,Δy)を原点する座標上における下格子点Anの位置は、前記位置(Δx,Δy)の符号を逆にしたものになるからである。
そして、上記のようにして求めた下格子点Anの位置(Δx’,Δy’)と位置(Δx”,Δy”)とが一致し、又は誤差が最小となるときの角度θを、走査線nと走査線mとのなす角度として採用すればよい。
また、走査線nと走査線mとのなす角度を簡易的に求める方法として、下格子点Aの位置(Δx,Δy)を求めた時点で、arctan(Δy/Δx)を求め、その2倍をθと見てもよい。
一方、下格子点A1,A2,A3…の位置を滑らかに結んだ曲線(スプライン補間法等による近似曲線を含む)に対して、直交する直線の方向を走査線の方向としてもよい。
(iii)下格子点の位置の時間座標から空間座標への変換
次に、着目する走査線に対して算出した周囲走査線のなす角度に基づいて下格子点の時間座標上の位置を空間座標上の位置に変換する。
各走査線のなす角度は、超音波探触子300がリニアプローブのように各走査線が平行に出射される場合には、各走査線が屈折しなければ0°であり、コンベックスプローブのように各走査線が拡がるように出射される場合には、各走査線が屈折しなければ、元々の拡がり角度となる。
このことを踏まえて、周囲の各走査線のなす角度のうち、元々の角度(屈折しない場合の角度)に近い走査線群を屈折の小さい走査線群と判定して抽出し、この走査線群の走査線間隔の平均値が、元々の走査線間隔(屈折しない場合の間隔)に等しいとする。
例えば、超音波探触子300から出射される元々の走査線の間隔は、ステア角が0°でリニア走査される場合、図2に示すように素子302のピッチpから決められる。
屈折の小さい走査線群の走査線間隔の平均値をΔxave、元々の走査線の間隔をWrefとすると、次式が成立する。
[数5]
Δxave≒Wref
ここで、屈折の小さい走査線群は、各着目走査線に対して(ii)で求めた周囲走査線のなす角度θに基づいて抽出される。例えば、着目する走査線に対する角度の差分をとって隣接する走査線間の角度に変換した後に、隣接する各走査線間の角度と屈折しない場合の角度(リニア走査の場合、0°)との差分の絶対値を求める。そして、隣接する所定数の走査線について差分の絶対値の総和をとった値が閾値以下の走査線群を屈折の小さい走査線群と判定して抽出する。Δxaveは、抽出した走査線群に対して、(ii)で求めた着目走査線の下格子点を原点とした時の各走査線の下格子点位置に基づいて求められる。例えば、着目走査線の下格子点を原点とした座標(Δxi、Δyi)から、隣接する走査線の下格子点を原点とした座標(Δxri、Δyri)に変換した後に、抽出した走査線群における各Δxriの平均をとって求められる。ここで添え字iはi番目の走査線を表す。
Δxaveは[数3]式によって与えられる各走査線の下格子点位置(Δxi、Δyi)に基いて求められる変数であり、局所音速Vを未知数として含むが、上記[数5]式により局所音速を求めることができる。結果、局所音速Vを共通の未知数として[数3]式によって時間座標として与えられている各下格子点位置(Δxi、Δyi)を、屈折の大きい走査線も含めて、時間座標から空間座標に変換する事ができる。
上記のようにリニアプローブの場合、屈折していない走査線は平行で間隔が既知であるため、それにより対応する下格子点のΔxを空間的に求めることができる。一方、コンベックスプローブの場合、下格子点の深さ(プローブ面からの走査線方向の距離)によって走査線間隔は大きくなっていくが、対応する下格子点の時間深さから、標準的な音速により空間深さに変換し、その深さに対応する走査線間隔を基準にして、Δxを空間的に求めることができる。
また、時間座標から空間座標への変換を可能にする他の条件として、走査線の屈折による走査線方向の変化を最小とする条件、又は隣り合う走査線方向の差を最小とする条件(隣り合う走査線が元々平行な場合のみ)がある。
そのために、まず、図7に示すように屈折前の走査線と屈折後の走査線とを、中心軸を合わせて適当な距離だけ離して配置し、各走査線の端点を接続する。屈折前の走査線の間隔は既知であるため、その端点の位置も既知である。一方、屈折後の走査線の端点としては、下格子点を使用する。ここで[数3]式において、局所音速Vを仮定する事により下格子点位置を空間座標によって与える。
次に、各端点における方向変化の大きさ、又は隣り合う走査線の端点における方向変化の差の大きさを、全走査線に関して積分する。
図7に示すように各端点における方向変化を、θ11、θ12、…、θ1n、θ21、θ22、…、θ2nとすると、次式に示す積分を行う。
[数6]
Σ|θij|
又はΣ|θij−θij-1
但し、i=1,2、j=1〜n
上記[数6]による積分値は、仮定する局所音速により変動するが、その積分値が最小となるときの仮定する局所音速を真値と判定し、また、そのときの下格子点の位置を真値と判定する。
(iv)局所音速の算出
最後に、着目走査線に対して周囲走査線の下格子点の空間座標に基づいて局所音速を求める。具体的には、特許文献1に開示されている手法において、(iii)で算出した各下格子点の相対的な空間座標を与えた上で、着目走査線上の各上格子点について演算を繰り返して局所音速を求めることができる。
<局所音速の第1の算出方法>
図8は、特許文献1に開示された屈折モデル計算により局所音速を算出する方法を模式的に示した図である。
以下の説明では、超音波探触子300の各素子302が配置された素子面S2に平行な方向をX方向とし、X方向に垂直な方向(被検体OBJの深さ方向)をY方向とする。
図8に示すように、被検体OBJJ内の領域A内の着目領域ROIを代表する上格子点をBROIとし、下格子点をA1,A2,…,An,…とする。これらの格子点の空間座標は、前述した手法により与えられている。つまり、図8においては、模式的に各下格子点のy座標を一致させ、またx方向に等間隔に設置してあるが、与えられる空間座標に応じてx方向、y方向にずれている。
下格子点A1,A2,…,An,…を連結した境界面S1と被検体OBJ内の上格子点BROIとの間の領域を領域Aとし、境界面S1と超音波探触子300の素子面S2との間の領域を領域Bとする。領域Aと領域Bの中における音速はそれぞれ一定と仮定する。尚、境界面S1は、走査線の屈折により必ずしも直線にはならない。
下格子点A1,A2,…から超音波探触子300の素子面S2に至る領域の音速(環境音速)が略同じ場合、又は格子点A1,A2,…からの受信波が互いに同じ場合、又は該受信波が近似的に同じと見なせる場合、又は該受信波がゆるやかに変化する場合に、図8に示すように、上格子点BROIと下格子点A1,A2,…との間の領域Aにおける音速(局所音速)と領域Bにおける環境音速に基づいて、スネルの法則に従って領域AとBとの境界面で屈折する音線を追跡することにより各素子302における受信時刻を求める。
具体的には、着目領域の仮定音速をVとし、上格子点BROIから或る下格子点X’に入射する音線の入射角をΘとすると、下格子点X’を通る音線の出射角(屈折角)Θ’は、スネルの法則により、次式で表すことができる。
[数7]
sinΘ/sinΘ’=V/V
各格子点の空間座標は既知であるため、入射角Θも既知であり、仮定音速Vを仮定することにより、下格子点X’を通る音線の屈折角Θ’を、上記[数7]式により求めることができる。
これにより、下格子点X’を通る音線が入射する、超音波探触子300上の素子302の位置X”と、下格子点X’から素子302の位置X”までの音線の伝播時間を算出することができる。
また、上格子点BROIから下格子点A1,A2,…までの伝播時間を算出する。この伝播時間は、各格子点間の距離を求めることができるため、仮定音速Vを仮定することにより算出することができる。また、(i)で算出した値を採用してもよい。
上記のように音線を追跡することにより、上格子点BROIから各下格子点A1,A2,…を通過し、超音波探触子300のどの素子の位置に、どの伝播時間(受信時刻)で受信されるかをそれぞれ算出することができる。
一方、格子点BROIでの反射の超音波探触子300の各素子302の位置における実際の受信時刻は、ステップS2で測定してあるため、前記算出した受信時刻と測定した受信時刻との誤差が最小となるときの仮定音速を、着目領域における真の音速(局所音速)として判定する。
<局所音速の第2の算出方法>
図9は、特許文献1に開示されたホイヘンスの原理を利用して局所音速を算出する方法を模式的に示した図である。
図9(b)に示すように下格子点A1,A2,…からの受信波(それぞれWA1,WA2,…)の(伝播時間T及び遅延時間ΔT)を既知として、格子点BROIと格子点A1,A2,…の位置関係から格子点BROIにおける局所音速を求める。具体的には、ホイヘンスの原理により、上格子点BROIからの受信波Wと下格子点A1,A2,…からの受信波を仮想的に合成した受信波WSUMとが一致することを利用する。
ここで、上格子点BROI、下格子点A1,A2,…の空間座標は、前述した手法により与えられている。
図9に示すように、上格子点BROIにおける環境音速Vに基づいて上格子点BROIを反射点としたときの受信波Wの波形を算出する。また、上格子点BROIから各下格子点A1,A2,…までの伝播時間をそれぞれ算出する。これらの伝播時間は、各格子点間の距離を求めることができるため、仮定音速Vを仮定することにより算出することができる。
各格子点A1,A2,…における環境音速に基づいて下格子点A1,A2,…を反射点としたときの受信波WA1,WA2,…を算出する。そして、これらの受信波WA1,WA2,…を、各格子点A1,A2,…毎に算出した伝播時間だけ遅延させて合成することにより、仮想的な合成受信波WSUMを算出する。
次に、上記受信波Wと合成受信波WSUMの誤差を算出する。受信波Wと合成受信波WSUMの誤差は、互いの相互相関をとる方法、受信波Wに合成受信波WSUMから得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法、又は逆に合成受信波WSUMに受信波Wから得られる遅延を掛けて位相整合加算する方法により算出される。ここで、受信波Wから遅延を得るには、格子点BROIを反射点とし、音速Vで伝播した超音波が各素子に到着する時刻を遅延とすればよい。また、合成受信波WSUMから遅延を得るには、隣り合う素子間での合成受信波の位相差から等位相線を抽出し、その等位相線を遅延とするか、又は単に各素子の合成受信波の最大(ピーク)位置の位相差を遅延としてもよい。また、各素子からの合成受信波の相互相関ピーク位置を遅延としてもよい。位相整合加算時の誤差は、整合加算後の波形のpeak to peakとする方法、又は包絡線検波した後の振幅の最大値とする方法により求められる。
上記受信波Wと合成受信波WSUMの誤差は、仮定音速Vによって変化する。そして、誤差が最小となるときの仮定音速を、着目領域における真の音速(局所音速)として判定する。
<局所音速の他の算出方法>
(iii)において、下格子点の空間座標を算出する際に局所音速Vを求めているため、この局所音速Vを採用してもよい。
また、(i)において、着目走査線上の各上格子点から周囲走査線の各下格子点までの伝播時間が求められているため、その伝播時間と各格子点間の空間座標上の距離とに基づいて局所音速Vを求めてもよい。
また、周囲走査線のうち、走査線方向が元々の走査線方向から変化の小さい(屈折の小さい)走査線群として、例えば、(ii)で求めた走査線の角度θと元々の走査線角度(例えばリニア走査の場合0°)との差分が小さい走査線群、または隣接する走査線間の角度に変換した後に、元々の隣接走査線間の角度(例えばリニア走査の場合0°)との差分が小さい走査線群を抽出し、その走査線群の下格子点のみを用い、着目走査線上の各上格子点について、特許文献1に開示されている演算を繰り返し、又は伝播時間から求めてもよい。このときの下格子点の位置としては、既に求めた空間座標を用いてもよいし、屈折しない前提の下での空間座標を用いてもよい。
<着目領域の局所音速算出>
上記のようにして着目領域の各走査線について求めた局所音速を平均して、その着目領域の局所音速を求める(図3のステップS4)。ここで、各走査線のうち、周囲走査線の屈折が小さかった走査線群を抽出し、その走査線群について求めた局所音速のみを平均してもよい。また、屈折が小さかった走査線群の上格子点及び下格子点からの受信時刻や環境音速に基づいて改めて局所音速を求めてもよい。
このとき、屈折の小さかった走査線群に対し、下格子点の位置として理想条件(屈折しない前提)での座標を使用し、特許文献1に開示された手法に従い、又は伝播時間から局所音速を求めてもよい。又は、屈折の小さかった各走査線の環境音速を平均化し、平均化した環境音速と各上格子位置、下格子位置に基づいて特許文献1に開示された手法に従い局所音速を求めてもよい。又は、屈折の小さかった各走査線の受信信号又はフォーカス指標を平均化し、それに基づいて環境音速を求め、求めた環境音速と各上格子位置、下格子位置に基づいて特許文献1に開示された手法に従い局所音速を求めてもよい。
屈折の小さい走査線の判定方法として、周囲走査線に対して屈折のない走査線方向に対する差分の絶対値や2乗値を求め、その各周囲走査線についての積分値や、閾値以下となる周囲走査線数を指標としてもよい。
[局所音速測定の第2の実施形態]
図10は、被検体の着目領域における局所音速を算出する処理手順の第2の実施形態を示すフローチャートである。尚、図3に示した第1の実施形態と共通する部分には、同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10に示すように、第2の実施形態は、ステップS3’、S4’の処理が、第1の実施形態のステップS3、S4の処理と相違する。
ステップS3’では、着目領域内に設定した各下格子点の空間座標上の位置、及び各下格子点を通る走査線の走査線方向を求め、ステップS4’では、特許文献1に開示されている局所音速を求める手法において、各格子点に対して、ステップS3’で求めた空間座標上の位置を与えた上で、各上格子点について演算を繰り返し着目領域の局所音速を求める。また、各下格子点の空間座標上の位置を算出する過程で局所音速も求めているため、この値を局所音速として採用してもよい。又は、各上格子点から下格子点までの伝播時間及び空間座標上の各格子点間の距離に基づいて局所音速を求めるようにしてもよい。
更に、ステップS3’で求めた各走査線方向のうち、屈折の小さい走査線群のみを抽出し、屈折の小さい走査線群の各格子点について、特許文献1に開示されている演算を繰り返し着目領域の局所音速を求め、又は各上格子点から各下格子点までの伝播時間及び空間座標上の各格子点間の距離に基づいて局所音速を求めるようにしてもよい。このとき、下格子点の空間座標上の位置としては、既に求めた空間座標を用いてもよいし、走査線が屈折しない前提の下での空間座標を用いてもよい。
図11は、上記ステップS3’の処理において、ある走査線iと隣接する走査線i+1の下格子点の位置及び走査線方向の算出方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
この実施形態は、走査線iの下格子点Aを基準とした走査線i+1の下格子点Ai+1の座標、及び走査線iと走査線i+1とのなす角度を、他の走査線上の上格子点からの伝播時間も使用して精度よく算出するようにしている。
図11において、まず、着目領域内の各上格子点から下格子点への伝播時間を求める(ステップS10)。この伝播時間の算出は、図5に示した方法により行うことができる。
次に、図12に示すように着目領域内に設定された走査線を示す変数をi(i=0〜N)とし、走査線iを含む所定範囲内の走査線を示す変数をj(j=−n〜+n)とする(ステップS12、S14)。
続いて、走査線i上の上格子点B1i,B2iから走査線i+jの下格子点Ai+jまでの伝播時間、及び走査線i+jの上格子点B1i+j,B2i+jから走査線i上の下格子点Aまでの伝播時間に基づいて走査線iをy軸、下格子点Aを原点としたときの下格子点Ai+jの座標および走査線iと走査線i+jとのなす角度を求めて、それぞれ下格子点[i][j]、角度[i][j]に格納する(ステップS16)。尚、下格子点Ai+jの座標及び走査線iと走査線i+jとのなす角度の算出方法は、図6を使用して説明した方法により行うことができる。
そして、ステップS18で、変数jを1だけインクリメントし、ステップS14からステップS18の処理を、変数jが−nから+nに変化するまで繰り返す。
変数jが−nから+nに変化すると、ステップS20で変数iを1だけインクリメントし、ステップS12からステップS20の処理を、変数iが0からNに変化するまで繰り返す。
上記ステップS12からステップS20の処理が終了すると、全ての下格子点[i][j]、角度[i][j]を取得することができる。
次に、再び走査線を示す変数をi(i=0〜N)とし、走査線iを含む所定範囲内の走査線を示す変数をj(j=−n+1〜+n)とする(ステップS22、S24)。
続いて、前記求めた下格子点[i][j]から、ステップS22、24にて設定された変数i,jに対応する下格子点[i+j][-j+1]と下格子点[i+j][-j]とを抽出し、これらの差分を走査線iをy軸、下格子点Aを原点とした座標系に変換し、下格子点Aから見た下格子点Ai+1の座標として、下格子点の座標を示す配列である下格子点2[i]に格納し、格納した個数をカウントする。同様に、前記求めた角度[i][j]から、ステップS22、24にて設定された変数i,jに対応する角度[i+j][-j+1]と角度[i+j][-j]とを抽出し、これらの差分を走査線iと走査線i+1とのなす角度として角度を示す配列である角度2[i]に格納し、格納した個数をカウントする(ステップS26)。
そして、ステップS28で、変数jを1だけインクリメントし、ステップS24からステップS28の処理を、変数jが−n+1から+nに変化するまで繰り返す。
変数jが−n+1から+nに変化すると、ステップS30で変数iを1だけインクリメントし、ステップS22からステップS30の処理を、変数iが0からNに変化するまで繰り返す。
上記ステップS22からステップS30の処理が終了すると、下格子点2[i]には、走査線i,i+1と、これらの走査線以外の走査線の組み合わせにより算出された格子点Ai+1の座標が累算されて格納され、同様に角度2[i]には、走査線i,i+1と、これらの走査線以外の走査線の組み合わせにより算出された走査線i,i+1のなす角度が累算されて格納される。
次に、下格子点2[i]に格納された累算値を、前記カウントしたカウント値で除算することにより平均の下格子点2の座標を求め、また、角度2[i]に格納された累算値を、前記カウントしたカウント値で除算することにより平均の角度2を求める。また、下格子点2の座標を、時間座標から空間座標の下格子点3に変換する(ステップS32)。尚、時間座標から空間座標への変換は、図7等で説明した方法により行うことができる。
上記の方法により各走査線の下格子点の空間座標及び下格子点を通る走査線方向を精度よく算出することができ、これにより着目領域における局所音速も精度よく算出することができる。
<その他の実施形態>
超音波探触子300から送出される複数の走査線と着目領域との位置関係によっては、屈折のない走査線群が存在しないことが考えられる。この場合には、超音波探触子300から着目領域に向けて出射する走査線のステア角αを、図2に示すように各素子への遅延時間を調整し、着目領域への走査線の入射角を変更する。
このステア角αの調整は、送信回路402から超音波探触子300の素子iに印加する駆動信号を、次式に示す遅延時間Δτだけ遅らせることにより行うことができる。
[数8]
Δτ=(i−1)p・sinα/V
但し、p:素子のピッチ、V:音速(例えば、皮下脂肪等における既知の音速)
また、受信時には、ステア角αの方向の各深さにおいて焦点を形成する様に受信フォーカスを実施し、各格子点の環境音速を求める。ここで、各格子点の環境音速を精度良く求めるために、送信時にもステア角αの方向の各深さに送信焦点を形成するようにフォーカスをかける事が好ましい。
この様にして、着目領域への走査線の入射角を変更する毎に、走査線方向等を算出することにより、屈折のない走査線群又は屈折の小さい走査線群を求めることができる。
また、着目領域を小さくとることにより音速一様でない対象へも適用可能である。各領域において独立に局所音速を求めてもよいが、超音波探触子に近い領域(浅い領域)の結果を活用してもよい。例えば、浅い領域における走査線の屈折小の判定結果を含めて屈折小の走査線群を判定してもよいし、下格子点の位置の時間座標から空間座標への変換において、浅い領域における走査線方向から着目領域の走査線方向への変化が最も少ないような空間座標をとってもよいし、浅い領域から走査線間隔と着目領域の走査線間隔が一致するような空間座標をとってもよい。
また、算出した走査線方向を示す各走査線、下格子点の位置、又は下格子点の位置を接続した線を表示部104に表示させてもよい。
また、<環境音速の算出>で述べたように超音波走査線上のある反射点(格子点)からの受信信号とその格子点における環境音速とは一定の関係にあるため、本発明における「受信信号」は環境音速を含む概念である。また、屈折のない走査線とは、走査線が全く屈折しない場合に限らず、屈折の小さい走査線も含み、要求される局所音速の精度にもよるが、例えば、走査線方向の変化が1度程度以下の走査線をいう。
10…超音波診断装置、100…中央処理装置(CPU)、102…格納部、104…表示部、106…データ解析計測部、200…操作入力部、202…操作卓、204…ポインティングデバイス、300…超音波探触子、302…超音波トランスデューサ(素子)、400…送受信部、402…送信回路、404…受信回路、500…画像信号生成部、502…信号処理部、506…画像処理部、508…画像メモリ、510…D/A変換器、600…再生部

Claims (20)

  1. 超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を出力する複数の素子を含む超音波探触子と、
    前記超音波検出信号に基づいて前記超音波の3つ以上の異なる深さからの各反射の受信信号を取得する受信信号取得手段と、
    前記取得した受信信号に基づいて走査線方向を算出する走査線方向算出手段と、
    を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記受信信号は、前記超音波探触子の複数の素子において受信された信号であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記走査線方向算出手段は、
    前記超音波探触子から送受信される走査線のうちの着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点と、前記第1の走査線と異なる第2の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点との各格子点間の超音波の伝播時間を、前記受信信号取得手段により取得した受信信号に基づいて算出する伝播時間算出手段と、
    前記第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする第1の時間座標上で、前記第2の走査線上の第2の格子点の第2の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する第1の位置算出手段と、
    前記第2の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第2の格子点を原点とし、前記第2の走査線を基準とする第2の時間座標上で、前記第1の走査線上の第1の格子点の第1の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する第2の位置算出手段と、
    前記第1の位置算出手段により算出した前記第2の位置を原点とし、前記第1の時間座標に対して任意の角度だけ回転した第3の時間座標上で、前記第1の走査線上の第1の格子点の第3の位置を座標変換により算出する第3の位置算出手段と、
    前記第2の位置算出手段により算出された前記第1の格子点の第1の位置と、前記第3の位置算出手段により算出された前記第1の格子点の第3の位置との誤差が最小となるときの前記第3の時間座標の回転角を、前記第1の走査線と第2の走査線とのなす角度として算出する角度算出手段と、
    からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記走査線方向算出手段は、n(n:3以上の整数)本の走査線から前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度を(n−1)個算出し、これらの算出した角度の平均を前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度とすることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 前記走査線方向算出手段は、n(n:3以上の整数)本の走査線から前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度を(n−1)個算出し、これらの算出した角度の平均を前記第1の走査線と前記第2の走査線とのなす角度とするとともに、前記第1の走査線上の第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする第1の時間座標上で、前記第2の走査線上の第2の格子点の第2の位置を(n−1)個算出し、これらの算出した第2の位置の平均を前記第2の走査線の第2の格子点の位置とすることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
  6. 前記走査線方向算出手段は、
    前記超音波探触子から送受信される走査線のうちの着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点と、前記第1の走査線と異なる複数本の第2の走査線上の第2の格子点との各格子点間の超音波の伝播時間を、前記受信信号取得手段により取得した受信信号に基づいて算出する伝播時間算出手段と、
    前記第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする時間座標上で、前記第2の走査線上の複数の第2の格子点の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する位置算出手段と、
    前記複数の第2の格子点の位置を結んだ曲線に対して直角に交わる直線の方向を、前記第1の走査線に対する前記第2の走査線の方向とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
  7. 前記伝播時間算出手段は、
    着目する走査線上の上格子点から前記超音波探触子の各素子までの第1の伝播時間を算出する第1の伝播時間算出手段と、
    前記上格子点と前記超音波探触子との間の領域に設定された下格子点から前記超音波探触子の各素子までの第2の伝播時間を算出する第2の伝播時間算出手段と、
    前記超音波探触子の各素子上で、前記算出された第1の伝播時間と第2の伝播時間との時間差が最大となる素子上の時間差を、前記上格子点から下格子点までの超音波の伝播時間として算出する手段と、
    からなることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  8. 前記走査線方向算出手段により算出された複数の走査線方向に基づいて屈折のない2本以上の走査線を抽出する抽出手段と、
    前記抽出した2本以上の走査線の同一の深さの格子点の時間間隔と所定の音速とを乗算して前記2本上の走査線間の空間的な距離を算出する距離算出手段と、
    前記超音波探触子から送信される走査線のうちの屈折のない走査線の前記格子点における走査線間隔と前記距離算出手段により算出された距離とが一致するように前記所定の音速を算出し、この算出した音速に基づいて前記時間座標上の各格子点の位置から空間座標上の位置に変換する変換手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  9. 前記超音波探触子から送受信される走査線のうちの着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点と、前記第1の走査線と異なる複数本の第2の走査線上の第2の格子点との各格子点間の超音波の伝播時間を、前記受信信号取得手段により取得した受信信号に基づいて算出する伝播時間算出手段と、
    前記第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの第1の格子点を原点とし、前記第1の走査線を基準とする時間座標上で、前記第2の走査線上の複数の第2の格子点の位置を、前記伝播時間算出手段により算出した伝播時間に基づいて算出する位置算出手段と、
    前記第1の格子点及び第2の格子点の前記時間座標上の位置を所定の音速に基づいて空間座標上の位置に変換する座標変換手段と、
    前記超音波探触子から送信される前記第1及び第2の走査線に対応する走査線であって屈折する前の走査線上の同一深さの複数の端点と、前記第1及び第2の格子点の前記空間座標上の位置とを接続し、各端点における方向変化の大きさ、又は隣り合う走査線の各端点における方向変化の差の大きさを全走査線に関して積分する積分手段と、
    前記積分手段による積分値が最小となる前記所定の音速を算出し、この算出した音速に基づいて前記時間座標上の各格子点の位置から空間座標上の位置に変換する変換手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  10. 前記着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの着目領域に設定される上格子点と、前記上格子点と前記超音波探触子との間に設定される下格子点と、前記第1の走査線と異なる第2の走査線上の下格子点とを、前記算出された空間座標上の位置に基づいて設定する格子点設定手段と、
    前記下格子点での反射の受信信号に基づいて、該下格子点から前記超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速を算出する環境音速算出手段と、
    前記着目領域における仮定音速を仮定し、前記上格子点から下格子点までの第1の伝播時間を算出する手段と、
    スネルの法則により前記上格子点から下格子点に入射する超音波の入射角と、前記着目領域の仮定音速と前記下格子点と前記超音波探触子との間の領域の環境音速とに基づいて前記下格子点から出射する超音波の出射角を算出する手段と、
    前記下格子点から前記算出した出射角で出射する超音波が入射する前記超音波探触子の素子の位置と該素子に入射するまでの第2の伝播時間とを算出する手段と、
    前記超音波探触子の素子の位置における超音波の受信時刻を、前記第1の伝播時間と第2の伝播時間とを加算して算出する手段と、
    前記上格子点での反射の前記超音波探触子の素子の位置における受信時刻と前記算出した受信時刻との誤差が最小となる前記仮定音速を、前記着目領域における局所音速として判定する局所音速判定手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
  11. 前記着目する第1の走査線上の3つ以上の異なる深さに対応する格子点のうちの着目領域に設定される上格子点と、前記上格子点と前記超音波探触子との間に設定される下格子点と、前記第1の走査線と異なる第2の走査線上の下格子点とを、前記算出された空間座標上の位置に基づいて設定する格子点設定手段と、
    前記上格子点及び下格子点での反射の受信信号に基づいて、各格子点から前記超音波探触子までの領域の平均音速である環境音速を算出する環境音速算出手段と、
    前記上格子点を反射点としたときの第1の受信波を、該上格子点に対応して算出した環境音速に基づいて算出する第1の算出手段と、
    前記着目領域における仮定音速を仮定し、前記上格子点から下格子点までの伝播時間を算出する手段と、
    前記下格子点からの第2受信波を、該下格子点に対応して算出した環境音速及び前記算出した伝播時間に基づいて算出する第2の算出手段と、
    前記第1の算出手段により算出された第1の受信波と前記第2の算出手段により算出された第2の成受信波との誤差が最小となる前記仮定音速を、前記着目領域における局所音速として判定する局所音速判定手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
  12. 請求項8又は9に記載の超音波診断装置において、前記算出された所定の音速を、前記第1の格子点と第2の格子点との間の着目領域における局所音速として取得することを特徴とする超音波診断装置。
  13. 前記超音波の走査線上の深さの異なる第1の格子点及び第2の格子点からの各反射の受信信号に基づいて前記第1の格子点と第2の格子点との間の超音波の伝播時間を算出する伝播時間算出手段と、
    請求項8又は9に記載の前記変換手段により変換された空間座標上の前記第1の格子点及び第2の格子点の位置と、前記伝播時間算出手段により算出した前記第1の格子点と第2の格子点との間の超音波の伝播時間とに基づいて前記第1の格子点と第2の格子点との間の着目領域における局所音速を算出する局所音速算出手段と、
    を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  14. 各走査線についてそれぞれ求めた前記局所音速を平均して前記着目領域の局所音速を算出することを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  15. 前記走査線方向算出手段により算出された複数の走査線方向に基づいて屈折のない複数の走査線を抽出する抽出手段を備え、
    前記抽出された屈折のない複数の走査線についてそれぞれ求めた前記局所音速を平均して前記着目領域の局所音速を算出することを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  16. 前記超音波検出信号の振幅を点の輝度により表す振幅画像を作成する振幅画像作成手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  17. 前記走査線方向算出手段により算出した走査線方向を表示する表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  18. 前記変換手段により変換された空間座標上の前記格子点の位置、又は格子点の位置を接続した線を表示する表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項8から15のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  19. 前記超音波探触子から送受信される走査線のステア角を調整するステア角調整手段を備え、
    前記走査線方向算出手段は、前記ステア角調整手段によりステア角が調整される毎に前記取得した受信信号に基づいて前記走査線方向を算出することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  20. 複数の素子を含む超音波探触子から超音波を被検体に送信するとともに、該被検体によって反射される超音波を受信して超音波検出信号を取得する工程と、
    前記取得した超音波検出信号に基づいて前記超音波の3つ以上の異なる深さからの各反射の受信信号を取得する受信信号取得工程と、
    前記取得した受信信号に基づいて走査線方向を算出する走査線方向算出工程と、
    を含むことを特徴とする超音波診断方法。
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