JP5794863B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂組成物は、一般に耐熱性や耐衝撃性等に優れているため多くの用途に使われている。例えば、電気・電子関係部品、事務機器部品、自動車部品用途、各種外装材及び工業用品等の用途が挙げられる。近年、電気・電子機器及び事務機器等においては、高性能化、小型化及び軽量化に伴い、機器内部で発生する熱により樹脂剛性が低下し、変形や収縮が起こりやすいことが問題視されている。このような変形や収縮が起こると、機器精度の低下が問題となる場合がある。このため、機器内部で発生する熱を効率的に外部へ放散させる放熱対策が重要である。
通常、機器内部の熱を拡散・放熱させる方法としては、熱伝導性の良い金属やセラミックス系の材料を使用する方法や、金属製のヒートシンクや放熱ファンを利用して熱を放散させる方法が用いられている。
一方で、上記機器類の部材として、形状選択の自由度が高く、軽量化及び小型化が容易であり、かつ熱伝導性を有する樹脂組成物の開発が求められており、各種検討がなされている。例えば、熱伝導率の大きい酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、石英、水酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物等を配合した樹脂組成物が検討されている。また、これら以外に樹脂組成物に熱伝導性を付与する材料としては、黒鉛粉末等の粉末状物質、繊維状物質等があり、特許文献1には見掛け密度が0.15g/cm3以下である黒鉛粉末を用いた樹脂組成物が開示されている。
特開2007−031611号公報
しかしながら、電気・電子機器、事務機器の内部部品には熱伝導性だけではなく、高度な難燃性が要求されることが多いため、特許文献1に記載の樹脂組成物では、熱伝導性と難燃性の両方を満足させることは困難である。特許文献1以外の従来の樹脂組成物においても、熱伝導性と難燃性の両立は十分ではない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、熱伝導性及び難燃性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(A)熱可塑性樹脂、(B)黒鉛、(C)難燃剤を特定の割合で配合し、かつJIS R2618に準拠した熱伝導率とUL−94規格の難燃レベルが特定の条件を満たす熱可塑性樹脂組成物とすることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
(A)熱可塑性樹脂100質量部と、
(B)黒鉛10〜200質量部と、
(C)難燃剤5〜50質量部と、を含み、
JIS R2618に準拠した熱伝導率が1.0W/m・K以上であり、かつUL−94規格の難燃レベルがランクV−1以上である熱可塑性樹脂組成物。
〔2〕
前記(A)熱可塑性樹脂として、(i)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(ii)ポリカーボネート系樹脂、又は(iii)ポリカーボネート系樹脂及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)を含有するポリマーアロイからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む〔1〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔3〕
前記(A)熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔4〕
前記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(D)無機充填剤10〜50質量部を更に含む〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔5〕
前記(C)難燃剤として、下記式(I)又は式(II)で表される化合物を含む〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(式中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1及びR2はメチル基を表し、R3及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の整数を表し、n1及びn2は、各々独立に、0〜2の整数を表し、m1、m2、m3及びm4は、各々独立に、0〜3の整数を表す。)
〔6〕
前記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記(B)黒鉛50〜150質量部を含む〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔7〕
前記(B)黒鉛の見掛け密度が0.20g/cm3〜1.20g/cm3である〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔8〕
前記(B)黒鉛の見掛け密度が0.30g/cm3〜1.00g/cm3であり、かつ、前記(B)黒鉛の平均粒子径が50μm〜1000μmである〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔9〕
前記(B)黒鉛の見掛け密度が0.50g/cm3〜0.80g/cm3であり、かつ、前記(B)黒鉛の平均粒子径が300μm〜800μmである〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明によれば、熱伝導性及び難燃性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、
(A)熱可塑性樹脂100質量部と、
(B)黒鉛10〜200質量部と、
(C)難燃剤5〜50質量部と、を含み、
JIS R2618に準拠した熱伝導率が1.0W/m・K以上であり、かつUL―94規格の難燃レベルがランクV−1以上である熱可塑性樹脂組成物である。本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱伝導性及び難燃性に優れる。以下、各成分について説明する。
<(A)熱可塑性樹脂>
本実施形態で用いられる(A)熱可塑性樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることもできる。(A)熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート系樹脂とABS樹脂のポリマーアロイ、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
電気・電子機器及び事務機器の内部部品としては、電気特性、難燃性等に優れていることが好ましい。かかる観点から、(A)熱可塑性樹脂として、(i)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(ii)ポリカーボネート、及び(iii)ポリカーボネートとABS樹脂を含有するポリマーアロイからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの中でも、(i)ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むことがより好ましい。このような成分を含む熱可塑性樹脂組成物は、電気特性及び難燃性が一層優れる傾向にある。
[ポリフェニレンエーテル系樹脂]
フェニレンエーテル系樹脂は、下記式(III)及び/又は式(IV)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体である。
(式(III)及び式(IV)中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基、又はハロゲン原子を表す。但し、R9及びR10は同時に水素ではない。)
ポリフェニレンエーテル単独重合体の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体とは、式(III)及び/又は式(IV)で表される繰り返し単位を主たる繰り返し単位として有する共重合体である。ここでいう主たる繰り返し単位とは、共重合体中に50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含まれる繰り返し単位のことをいう。
ポリフェニレンエーテル共重合体の具体例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。
上記のポリフェニレンエーテル系樹脂の中でも、生産性、機械物性及び難燃性の観点から、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単量体単位を有するポリフェニレンエーテル共重合体、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単量体単位を有するポリフェニレンエーテル共重合体が好ましい。これらの中でも2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単量体単位を有するポリフェニレンエーテル共重合体、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単量体単位を有するポリフェニレンエーテル共重合体がより好ましい。かかるポリフェニレンエーテル共重合体等は、例えば、特開昭63−301222号公報等に記載されているものを用いることもできる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の還元粘度(単位dL/g、クロロホルム溶液、30℃測定)は、機械物性と成形流動性のバランスの観点から、好ましくは0.25〜0.60dL/g、より好ましくは0.35〜0.55dL/gの範囲である。
ポリフェニレンエーテル系樹脂として、その一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を用いることができる。変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は耐加水分解性に優れ、高温・多湿環境下でも優れた衝撃強度を有するため、特に、高温・多湿環境下で用いられる機器類の部材として本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いる場合に好適である。変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、特開平02−276823号公開公報(米国特許5159027号、0035695号)、特開昭63−108059号公開公報(米国特許5214109号、5216089号)、特開昭59−059724号公開公報等に記載されている。変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は、例えば、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下において、ポリフェニレンエーテル系樹脂に不飽和カルボン酸やその誘導体を溶融混練して反応させることによって製造される。あるいは、ポリフェニレンエーテル系樹脂と、不飽和カルボン酸やその誘導体とをラジカル開始剤存在下又は非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させることによって製造される。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等や、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミド等;アクリル酸、メタクリル酸等や、これらモノカルボン酸のエステル、アミド等が挙げられる。
また、飽和カルボン酸であるが、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を製造する際の反応温度でそれ自身が熱分解し、本実施形態で用いる不飽和カルボン酸の誘導体となり得る化合物も用いることができる。具体的にはリンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)熱可塑性樹脂としてポリフェニレンエーテル系樹脂を用いる場合、(A)熱可塑性樹脂としてスチレン系樹脂を更に含むことが好ましい。ここで、スチレン系樹脂とは、スチレン系化合物を、又はスチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な他の化合物とを、ゴム質重合体存在下又は非存在下に重合して得られる(共)重合体をいう。
スチレン系化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点から、スチレンが好ましい。スチレン系化合物と共重合可能な他の化合物の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。共重合可能な他の化合物の使用量は、スチレン系化合物の総量に対して20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。
重合反応に用いるゴム質重合体としては、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム等が挙げられる。これらの中でも、耐熱安定性の観点から、共役ジエン系ゴムとしてポリブタジエン、及びエチレン−プロピレン共重合体ゴムとしてスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。これらの中でも、部分的に水素添加された不飽和度20〜80%のポリブタジエン、1,4−シス結合を90%以上含有するポリブタジエンがより好ましい。ここで、不飽和度及び1,4−シス結合は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。
このようにして得られるスチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、ゴム補強ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、ABS樹脂、及びその他のスチレン系共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱安定性の観点から、ポリスチレンと部分的に水素添加された不飽和度20〜80%のポリブタジエンとの組合せ、ポリスチレンと1,4−シス結合を90%以上含有するポリブタジエンを用いたゴム補強ポリスチレンとの組合せが好ましい。
スチレン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、耐熱性、難燃性及び加工性の観点から、ポリフェニレンエーテル系樹脂100質量部に対して、0〜50質量部の範囲が好ましく、5〜30質量部の範囲がより好ましい。(A)熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂を併用する場合、スチレン系樹脂は、ポリフェニレンエーテル系樹脂の一部を置き換える形で用いられ、スチレン系樹脂の含有量分だけポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は減じられることになる。スチレン系樹脂の含有量が増えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性は向上する傾向にある。スチレン系樹脂の含有量が50質量部以下であると、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性及び難燃性に優れる傾向にある。
[ポリカーボネート系樹脂]
ポリカーボネート系樹脂は、通常使用されるビスフェノールA型ポリカーボネートや、他の二価フェノールを用いて重合された各種のポリカーボネートを用いることができる。ポリカーボネート系樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することもできる。例えば、界面重縮合でポリカーボネート系樹脂を製造する場合は、通常、一価フェノール類の末端停止剤を使用できる。また、ポリカーボネート系樹脂は、3官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネートであってもよいし、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、二価の脂肪族アルコールや脂環族アルコールを共重合させたポリカーボネート共重合体であってもよい。
本実施形態におけるポリカーボネート系樹脂とは、下記式(V)で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
(式中、Arは二価の炭素数5〜200芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンやピリジレンであり、それらは非置換又は置換されていてもよく、あるいはまた、下記式(VI)で表されるものが挙げられる。)
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれアリーレン基である。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表し、それらは非置換又は置換されていてもよく、Yは下記式(VII)のいずれかで表されるアルキレン基、又は置換アルキレン基である。)
(式中、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6アルキル基、炭素数5〜10シクロアルキル基、炭素数6〜30アリール基、又は炭素数7〜31アラルキル基を表し、場合によってハロゲン原子、炭素数1〜10アルコキシル基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数であり、R17及びR18は、各Xについて個々に選択され、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6低級アルキル基、又は炭素数6〜30アリール基を表し、場合によってハロゲン原子、炭素数1〜10アルコキシ基で置換されていてもよく、Xは炭素原子を表わす。)
上記の中でも、下記式(VIII)で表されるものが好ましい一例である。
特に、上記式(VIII)で表される構造を有する繰り返し単位を85モル%以上(ポリカーボネート系樹脂中の全モノマー単位を基準として)含むポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
また、本実施形態に用いることができるポリカーボネート系樹脂は、3価以上の芳香族基を分岐点とする分岐構造を有していてもよい。
本実施形態で用いられるポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常5000〜500000であり、好ましくは10000〜100000であり、より好ましくは13000〜50000、特に好ましくは15000〜30000である。また、本実施形態で使用されるポリカーボネート系樹脂は、分子量が異なる2種以上のポリカーボネート系樹脂を組み合わせて使用することも好ましい。
本実施形態で用いられるポリカーボネート系樹脂は、公知の方法で製造したものを使用することができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とポリカーボネート前駆体と反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)などを反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法又は溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平01−158033号公報(米国特許第4948871号明細書に対応)、特開平01−271426号公報、特開平03−068627号公報(米国特許第5204377号明細書に対応))等に記載の方法により製造された物を用いることができる。
好ましいポリカーボネート系樹脂としては、2価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネート樹脂を挙げることができる。
また、ポリカーボネート系樹脂のフェノール基末端量は、ホスゲン法においては例えば米国特許第4736013号明細書等に記載の方法により、一方、溶融法や固相重合法のようなエステル交換法では、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートのモル比の調整や、特公平07−098862号公報に記載の方法等により調整することが可能である。
また、本実施形態ではポリカーボネート系樹脂が、主鎖に分岐構造を有するポリカーボネート系樹脂であることが、成形加工性を向上させるうえで好ましい。このような分岐構造を有するポリカーボネート系樹脂を得る方法として、3価以上の多価ヒドロキシ化合物を共重合成分として添加する製造方法、例えば、米国特許第4677162号明細書、同第4562242号明細書、ドイツ国特許3149812号公報等に示されている方法もあるが、本実施形態で用いることができる特に好ましい分岐構造を有するポリカーボネート樹脂は、米国特許第5932683号明細書に記載された方法で製造することができる。
[ポリカーボート系樹脂とABS樹脂を含むポリマーアロイ]
(A)熱可塑性樹脂としてポリカーボネート系樹脂を用いる場合、(A)熱可塑性樹脂としてABS樹脂を更に含むことが好ましい。この場合、ポリカーボネート系樹脂とABS樹脂を含むポリマーアロイとすることができる。
ABS樹脂の含有量は、特に限定されないが、耐熱性及び難燃性の観点から、ポリカーボネート100質量部に対して、ABS樹脂の含有量の総量は、0〜50質量部が好ましく、0〜30質量部がより好ましい。このような配合範囲の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性と難燃性の両方がより一層優れる傾向にある。
[ポリブチレンテレフタレート系樹脂]
ポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールのエステル交換反応、又はテレフタル酸とエチレングリコールの直接エステル化反応のいずれで製造されたものでもよい。
[ポリエチレンテレフタレート系樹脂]
ポリエチレンテレフタレート系樹脂としては、ジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールのエステル交換反応によるDMT法、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールの直接重合法のいずれで製造されたものでもよい。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂のいずれの場合においても、重縮合反応時に、テレフタル酸又はそのジアルキルエステルと共に、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸やそれらのジアルキルエステル等の二塩基酸、三塩基酸等や、またそれらのジアルキルエステルを使用することができる。これらの使用量は、テレフタル酸又はそのジアルキルエステル100質量部に対して40質量部以下の範囲であることが好ましい。
また、同じく重縮合反応時に、エチレングリコール、又は1,4−ブタンジオールと共に、他の脂肪族グリコールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール等や、脂肪族グリコール以外に例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の他のジオール類や多価アルコール類を併用することができる。これらジオール類又は多価アルコール類の使用量は、脂肪族グリコール100質量部に対して40質量部以下の範囲であることが好ましい。これらの使用量は、テレフタル酸又はそのジアルキルエステル100質量部に対して40質量部以下の範囲であることが好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量としては、フェノールとテトラクロロエタンの混合溶媒(重量比=50/50)中、30℃で測定される極限粘度で、好ましくは0.5〜1.8であり、より好ましくは0.7〜1.5である。
[ポリフェニレンサルファイド系樹脂]
ポリフェニレンサルファイド系樹脂としては、下記式(IX)で示されるアリーレンサルファイドの繰り返し単位を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上を含む重合体である。

[−Ar−S−] (IX)

(式中、Arはアリーレン基を表す。)
アリーレン基としては、例えばp−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基とは炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基が好ましい。)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基等を挙げることができる。ここでポリアリーレンサルファイド樹脂は構成単位であるアリーレン基が1種のホモポリマーを用いてもよいが、加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を混合したコポリマーを用いてもよい。
これらのポリアリーレンサルファイド樹脂の中でも、p−フェニレンサルファイドの繰り返し単位を主構成要素とするポリフェニレンサルファイド樹脂が、加工性、耐熱性、寸法安定性に優れ、しかも工業的に入手が容易であることから、特に好ましい。また、本発明で用いるポリアリーレンサルファイド樹脂は、320℃における溶融粘度(せん断速度1000/秒)が100〜10000ポイズの中から任意に選ぶ事ができ、更にポリアリーレンサルファイド樹脂の構造は、直鎖状のもの、分岐状のものの何れでもよく、またこれら構造の混合物であっても構わないが、好ましくは直鎖状の構造を持つポリアリーレンサルファイド樹脂である。
〔ポリオレフィン系樹脂〕
本実施形態に用いる熱可塑性樹脂組成物として、ポリオレフィン系樹脂を更に含有することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂を添加することにより、熱可塑性樹脂組成物の成形時の離型性が改良され、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性も向上する。本実施形態に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体あるいはエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、低密度ポリエチレン及びエチレン−プロピレン共重合体である。エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体あるいはエチレン−アクリル酸エステル共重合体は、一般に非晶性又は低結晶性の共重合体である。これらの共重合体には、さらに性能に影響を与えない範囲でその他の単量体が共重合されていてもよい。例えば、エチレンとプロピレン、ブテンあるいはオクテンとの成分比率は、特に限定されないが、通常、ポリオレフィン系樹脂におけるプロピレン、ブテンあるいはオクテンの成分は総量で5〜50モル%である。上記したポリオレフィン系樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR;ASTM D1238に準拠し、シリンダー温度230℃で測定した値)は、分散性の観点から、0.1〜50g/10分が好ましく、0.2〜20g/10分がより好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.1〜6質量部であることがより好ましく、0.5〜2質量部であることが更に好ましい。ポリオレフィン系樹脂の含有量が、0.05質量部以上であると、成形時における離型効果が一層優れる傾向にあり、10質量部以下であると、成形時における剥離の問題がなく機械特性が一層優れる傾向にある。
<(B)黒鉛>
本実施形態で用いられる(B)黒鉛は、特に限定されず、公知のものを用いることもできる。(B)黒鉛の具体例としては、例えば、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、又は石油コークス、石油ピッチ、無定形炭素等を熱処理して得られる人造黒鉛等が挙げられる。これらの中でも好ましくは鱗片状黒鉛である。
(B)黒鉛の含有量は、(A)成分100質量部に対して、10〜200質量部であり50〜150質量部が好ましく、60〜100質量部がより好ましい。(B)黒鉛の含有量が10質量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の熱伝導性が劣り、200質量部を超えると難燃性及び射出成形性が著しく損なわれるため好ましくない。
(B)黒鉛は、見掛け密度の下限は0.16g/cm3以上であることが好ましく、0.20g/cm3以上であることがより好ましく、0.30g/cm3以上であることが更に好ましく、0.50g/cm3以上であることがより更に好ましい。見掛け密度が0.16g/cm3以上であると、難燃性及び取扱い性が一層向上する傾向にあるに。また、(B)黒鉛の見掛け密度の上限は、1.50g/cm3以下であることが好ましく、1.20g/cm3以下であることがより好ましく、1.00g/cm3以下であることが更に好ましく、0.80g/cm3以下であることがより更に好ましい。見掛け密度が1.50g/cm3以下であると、難燃性及び熱伝導性が一層良好になる傾向にある。ここでいう見掛け密度は、JIS K7365により測定することができる。なお、見掛け密度は、例えば、黒鉛の粒子径や形状を適宜制御することにより調整することができ、例えば黒鉛を粉砕して粒子径を制御する方法や、酸やアルカリを用いて処理する方法や、膨張させること等により制御できる(但し、これに限定されない。)。
(B)黒鉛の平均粒子径は、特に限定されないが、50〜1000μmであることが好ましく、100〜900μmであることがより好ましく、300〜800μmであることが更に好ましく、500〜700μmであることがより更に好ましい。(B)黒鉛の平均粒子径が50μm以上であると熱可塑性樹脂組成物中において(B)黒鉛をより均一に分散させることができるため、熱可塑性樹脂組成物の製造時における押出安定性に優れたものとなり、生産性が一層向上するとともに、ハンドリング性も一層向上する。(B)黒鉛の平均粒子径が1000μm以下であると成形品の外観が一層向上する。上記平均粒子径は、JISK0069に記載の乾式ふるい分け試験法に従い、積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%になるときの値を平均粒子径とする。(B)黒鉛の形状は、特に限定されないが、剛性の観点から、鱗片状黒鉛が好ましい。
上記観点から、好適な(B)黒鉛の具体例としては、見掛け密度が0.30g/cm3〜1.00g/cm3であり、かつ、平均粒子径が50μm〜1000μmである黒鉛が挙げられ、より好適な(B)黒鉛の具体例としては、見掛け密度が0.50g/cm3〜0.80g/cm3であり、かつ、(B)黒鉛の平均粒子径が300μm〜800μmである黒鉛が挙げられる。
本実施形態の黒鉛の表面は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物の特性を損なわない限りにおいて、表面処理、例えば、エポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、酸化処理等が施されていてもよい。
(C)<難燃剤>
本実施形態で用いられる(C)難燃剤とは、無機難燃剤、シリコーン化合物、及び有機リン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から選択される。
無機難燃剤としては、合成樹脂の難燃剤として一般的に用いられている、結晶水を含有する水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、ホウ酸亜鉛化合物、スズ酸亜鉛化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としては、オルガノポリシロキサン及びその変性物が挙げられ、常温で液状であってもよいし固体状であってもよい。オルガノポリシロキサンの骨格構造は、線状構造、分岐構造のいずれでもよいが、分子中に三官能性構造や四官能性構造を有することによる分岐構造さらには3次元構造を含むことが好ましい。このような構造を含むことにより、燃焼時にチャーが形成しやすくなり、燃焼性が一層向上する傾向にある。主鎖や分岐した側鎖に存在する置換基は、水素又は炭化水素基であり、好ましくはフェニル基、メチル基、エチル基及びプロピル基であるが、その他の炭化水素基が使用されてもよい。末端結合基は、水酸基、アルコキシ基、炭化水素基のいずれでもよい。
ここでいうシリコーン化合物は、4種のシロキサン単位(M単位:R3SiO0.5、D単位:R2SiO1.0、T単位:RSiO1.5、Q単位:SiO2.0、式中、Rは結合炭化水素基を表す。)のいずれかが重合してなるポリマーである。オルガノポリシロキサンとしては、条件(a)上記の4種のシロキサン単位の総量において、式RSiO1.5で示されるシロキサン単位(T単位)を好ましくは60モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは100モル%以上含有し、かつ、条件(b)シリコーン化合物において、前記Rで表される全シロキサン単位中の炭化水素基の総量の好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上がフェニル基を有するものである。条件(a)及び(b)を満たすオルガノポリシロキサンは、結合基がアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、あるいはその他の変性基で置換された変性シリコーン化合物であってもよい。また、オルガノポリシロキサンを、上記した(D)成分として用いることができるシリカや炭酸カルシウム等の無機充填剤に化学吸着又は物理吸着させた変性物も使用できる。
有機リン化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物等が挙げられる。リン酸エステル化合物は、難燃性を向上する目的で添加されるものであり、難燃剤として一般的に用いられる有機リン酸エステル化合物を用いることができる。
リン酸エステル化合物の具体例としては、トリフェニルフォスフェート、トリスノニルフェニルフォスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルフォスフェート)、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、2,2−ビス{4−[ビス(フェノキシ)ホスホリルオキシ]フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−[ビス(メチルフェノキシ)ホスホリルオキシ]フェニル}プロパン等が挙げられる。さらに、上記以外のリン酸エステル化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系難燃剤、ジフェニル−4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモベンジルホスフォネート、ジメチル−4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモベンジルホスフォネート、ジフェニル−4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモベンジルホスフォネート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、ビス(2、3−ジブロモプロピル)−2、3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、及びビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェートハイドロキノニルジフェニルホスフェート、フェニルノニルフェニルハイドロキノニルホスフェート、フェニルジノニルフェニルホスフェート等のモノリン酸エステル化合物、及び芳香族縮合リン酸エステル化合物等が挙げられる。
これらの中で、加工時のガス発生が少なく、熱安定性等に優れる観点から、芳香族縮合リン酸エステル化合物が好ましい。芳香族縮合リン酸エステル化合物は、一般に市販されているものを用いることもでき、例えば、大八化学工業社製の「CR741」、「CR733S」、「PX200」、ADEKA社製の「FP600」、「FP700」、「FP800」等を用いることができる。
上記の中でも(C)難燃剤としては、耐湿性の観点から、式(I)又は式(II)で表されるリン酸エステル系化合物(縮合リン酸エステル)が好ましく、式(I)で表されるリン酸エステル系化合物(縮合リン酸エステル)がより好ましい。
(式(I)及び式(II)中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1及びR2はメチル基を表し、R3及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の整数を表し、n1及びn2は、各々独立に、0から2の整数を表し、m1、m2、m3及びm4は、各々独立に、0〜3の整数を表す。)
上記式(I)及び式(II)で表される縮合リン酸エステルは、それぞれの分子において、nは1以上の整数、好ましくは1〜3の整数である。
上記式(I)及び式(II)で表される縮合リン酸エステルにおいて、好ましい縮合リン酸エステルは、式(I)におけるm1、m2、m3、m4、n1及びn2が0であって、R3及びR4がメチル基である縮合リン酸エステル;式(I)におけるQ1、Q2、Q3、Q4、R3及びR4がメチル基であり、n1及びn2が0であり、m1、m2、m3及びm4が1〜3の整数である縮合リン酸エステルであって、nが1〜3の整数、特にnが1であるリン酸エステルである。特に、(C)難燃剤中において、かかる縮合リン酸エステルを50質量%以上含有することが好ましい。
これらの芳香族縮合リン酸エステルとしては、熱安定性の観点から、酸価が0.1以下(JIS K2501に準拠して得られた値)の芳香族縮合リン酸エステルが好ましい。
また、ホスファゼン化合物としては、フェノキシホスファゼン及びその架橋体が好ましく、熱安定性の観点から、酸価(JIS K2501に準拠)が0.1以下のフェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、式(X)で示される構造を有するもの等が挙げられるが、環状構造化合物が好ましく、n=3及び4の6員環及び8員環のフェノキシホスファゼン化合物が特に好ましい。
(ここで、R19及びR20は、各々独立に、炭素数1〜20の脂肪族基又は芳香族基を表し、nは3以上の整数である。)
さらに、これらの化合物は、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、−C(CH32−、−SO2−、−S−、及び−O−からなる群より選ばれた架橋基によって架橋されていてもよい。
式(X)で示されるホスファゼン化合物は、公知の化合物であり、例えばJames E. Mark, Harry R. Allcock, Robert West著、”Ino−rganic Polymers” Pretice−HallInternational, Inc., 1992,p61−p140に記載されている。これらホスファゼン化合物を得るための合成例は、特公平03−073590号公報、特開平09−071708号公報、特開平09−183864号公報及び特開平11−181429号公報等に開示されている。例えば、非架橋環状フェノキシホスファゼン化合物の合成においては、H.R.Allcock著、“Phosphorus−NitrogenCompounds“,Academic Press,(1972)に記載の方法に準拠して、ジクロルホスファゼンオリゴマー(3量体62%、4量体38%の混合物)1.0ユニットモル(115.9g)を含む20%クロルベンゼン溶液580gに、ナトリウムフェノラートのトルエン溶液を撹拌下で添加した後、110℃で4時間反応させ、精製後、非架橋環状フェノキシホスファゼン化合物が得られる。
(B)難燃剤の含有量は、必要な難燃性レベルにより異なるが、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であり、5〜30質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましい。(C)難燃剤の含有量が、5質量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の難燃性が劣り、30質量部を超えると、耐熱性に劣る。
<(D)無機充填剤>
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、(D)無機充填剤を更に含むことが好ましい。無機充填剤としては、シリカ、珪藻土、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、珪酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、硫化モリブデン、ホウ酸アルミニウム等が挙げられる。これらは1種単独で用いもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、剛性の観点から、ガラス繊維、ガラスフレーク、タルク、マイカが好ましい。
(D)無機充填剤の含有量は、特に限定されないが、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対し、0〜100質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。
本実施形態に用いる熱可塑性樹脂組成物には、更に他の特性を付与するため、本実施形態の効果を損なわない範囲で、上記した成分以外にも、一般的に使用される他のプラスチック添加剤(例えば、滴下防止剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染顔料、プラスチック用各種無機充填剤等)を添加することができる。滴下防止剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等の燃焼時の滴下防止剤を使用することができ、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染顔料、プラスチック用各種無機充填剤としては、通常汎用されるものを適宜使用することができる。
本実施形態に用いる熱可塑性樹脂組成物には、更に他のポリマーやオリゴマーを添加できる。例えば、耐衝撃改良剤として、水添ブロック共重合体、流動性改良剤としての石油樹脂、テルペン樹脂及びその水添樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂が挙げられる。
[熱可塑性樹脂組成物の特性]
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、JIS R2618に準拠した熱伝導率が1.0W/m・K以上であり、かつUL−94規格の難燃レベルがランクV−1以上である。
(1)熱伝導率
本実施形態の樹脂組成物は熱伝導率が1.0W/m・K以上である。熱伝導率の値はJIS R2628に準拠して測定することができる。具体的には、100mm×100mm×2.0mmの平板を用い、京都電子工業社製「QTM−500」等の熱伝導率測定器を用いてプローブ法にて測定することができる。熱伝導率の向上のためには、熱伝導率の大きい酸化アルミニウムや窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、石英、水酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、あるいは黒鉛粉末等の粉末状物質、繊維状物質等を配合することが知られているが、これらの中で本実施形態の樹脂組成物では黒鉛を用いる。中でも後述の難燃性の観点から、見掛け密度が比較的高い黒鉛を用いることが好ましい。
(2)難燃性
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物はUL−94規格の難燃レベルがランクV−1以上である。難燃レベルは、具体的にはUL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に基づき、1.5mm厚みの射出成形試験片を用いて燃焼試験を行うことにより得ることができる。(A)熱可塑性樹脂の種類に応じて、適した(C)難燃剤を配合することによってより一層高いレベルで達成される。(C)難燃剤を多量に配合すれば、熱可塑性樹脂組成物の難燃性を高めることができるが、前述の熱伝導率との両立が達成されない。本実施形態では、前述の見かけ密度が比較的高い(B)黒鉛を用い、かつ(C)難燃剤を特定量配合することにより、熱伝導性と難燃性のバランスに一層優れる熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、上述した各原料成分を押出機で溶融混練することにより得ることが好ましい。溶融混練の条件は、用いる原料成分の種類によって適宜調整可能である。溶融混練に用いる押出機は、異方向回転又は同方向回転の二軸押出機が好ましい。押出機は押出機の途中に材料を添加できる装置(サイドフィード)及び真空脱揮できるベント口を備えていることが好ましく、複数のサイドフィード及びベント口を備えていることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の原料の配合方法としては、原料を一括して、押出機の上流に添加することもできるが、熱可塑性樹脂を押出機の上流から添加し、黒鉛及び無機充填材をサイドフィードから、難燃剤を黒鉛及び無機充填材とは別のサイドフィードから添加する方法が好ましい。黒鉛及び無機充填材は同じサイドフィードから添加してもよいし、別々から添加してもよい。サイドフィード位置は添加量に従い適宜変更可能である。前述の通り、用いる黒鉛としては見かけ密度の高いものが好ましく、また粒径も比較的大きなものが好ましい。黒鉛をサイドフィードから添加することにより、黒鉛の比較的大きな粒径を組成物中でも維持することができ、熱伝導率と難燃性の両立を達成することができる。液体の難燃剤をサイドフィードする方法は、ギアポンプ、プランジャーポンプ等を使って、押出機のサイドに注入ノズルからフィードする。固体の難燃剤は、押出機の上流側から、他の成分と一緒に供給する、あるいは下流側に設けた供給口よりサイドフィードする。
熱可塑性組成樹脂を溶融混練後には溶融した樹脂から揮発成分や分解物を除去するための真空脱気をすることが好ましい。真空脱気は減圧ベント口を設け−0.08MPaよりも強く減圧することが好ましい。また減圧ベント口は2ヶ所以上設置してもよい。
バレル設定温度は240〜330℃に設定することが好ましい。より好ましくは250〜300℃である。設定温度330℃を超えて設定すると、樹脂温度が高くなり樹脂の劣化が起こる。設定温度240℃以上にすると、ポリフェニレンエーテルが溶融しやすくなるために、機械物性が向上するばかりではなく押出し時のトルクを低くすることができるために、押出機がトルクオーバーによって停止する現象等を効果的に抑制することができる。
ダイ出口から押出される樹脂組成物の温度は380℃未満に制御することが好ましい。樹脂温度が380℃以上になると樹脂の劣化や分解のために、機械物性の低下、熱暴露後の耐衝撃性低下等の問題が起こるため、好ましくは360℃以下、より好ましくは350℃以下にする。樹脂温度を380℃以下抑制するために、樹脂組成物の量比や種類に応じて、未溶融混合ゾーンと溶融ゾーンの長さ、スクリュー構成、バレル設定温度、スクリュー回転数を本願発明の範囲内に調整する必要がある。バレル設定温度を240℃以下にした場合や、スクリュー回転数を低くして、吐出量を多くした場合、ポリフェニレンエーテル粉体が十分に溶融できないため、押出機に負荷がかかり過ぎて、安定した生産が出来ないばかりか未溶融物の発生による機械物性の低下、成形品の表面外観が悪化する問題がある。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、適宜成形することにより成形体とすることができ、パソコン、携帯電話等の電気・電子関係の内部部品;複写機、プリンター等の事務機器の内部部品;TV、ビデオ、プロジェクター、ステレオ等の音響映像機器の内部部品;自動車のシャーシ等に用いられる自動車部品、その他各種外装材及び工業用品等として好適に用いることができる。
本発明を実施例等に基づいてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各成分は以下のものである。
[(A)熱可塑性樹脂]
[ポリフェニレンエーテル系樹脂]
(A−1;PPE)
ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル:旭化成ケミカルズ社製、商品名「ザイロン S201A」、30℃、クロロホルム溶液で測定した、還元粘度が0.48dL/g
[ポリスチレン系樹脂]
(A−2;HIPS)
ハイインパクトポリスチレン:PSジャパン社製、商品名「PSJ−ポリスチレンH9302」
[ポリカーボネート系樹脂]
(A−3;PC)
ポリカーボネート樹脂:帝人化成社製、商品名「パンライトL−1225WP」、粘度平均分子量22,500
(A−4;ABS)
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂:旭化成ケミカルズ社製、商品名「スタイラック A4130」
[ポリオレフィン系樹脂]
(A−5;EP)
エチレン−α−オレフィン共重合体:三井化学社製、商品名「タフマー P−0680J」、MFR 230℃ 0.7g/10分(ASTM D1238)、密度 870kg/m3(ASTM D1505)
[(B)黒鉛]
(B−1)
鱗片状黒鉛(見掛け密度0.53g/cm3、平均粒子径650μm)、なお、見掛け密度は、JISK7365に記載の試験方法に従い測定した。平均粒子径は、JISK0069に記載の乾式ふるい分け試験法に従い、積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%になるときの値を平均粒子径とした。
日本黒鉛社製、商品名「F#1」
(B−2)
鱗片状黒鉛(見掛け密度0.39g/cm3、平均粒子径130μm)
日本黒鉛社製、商品名「F#2」
(B−3)
鱗片状黒鉛(見掛け密度0.30g/cm3、平均粒子径60μm)
日本黒鉛社製、商品名「F#3」
(B−4)
人造黒鉛(見掛け密度0.80g/cm3、平均粒子径350μm)
日本黒鉛社製、商品名「PAG−60」
(B−5)
球状黒鉛(見掛け密度0.55g/cm3、平均粒子径50μm)
日本黒鉛社製、商品名「CGC−50」
(B−6)
鱗片状黒鉛(見掛け密度0.09g/cm3、平均粒子径5μm)
日本黒鉛社製、商品名「J−CBP」
(B−7)
鱗片状黒鉛(見掛け密度0.20g/cm3、平均粒子径19μm)
日本黒鉛社製、商品名「CBP」
(B−8)
薄片化黒鉛(見掛け密度0.10g/cm3、平均粒子径20μm)
日本黒鉛社製、商品名「UP−20」
[(C)難燃剤]
以下のリン酸エステル難燃剤を用いた。
(C−1;CR741)
ビスフェノールA系縮合リン酸エステル:大八化学社製、商品名「CR−741」
以下の式(i)において、n=1である化合物が主成分(液体クロマトグラフィー分析による面積比で約85%)のリン酸エステル難燃剤。
(C−2;CR733S)
レゾルシノール系縮合リン酸エステル:大八化学社製、商品名「CR−733S」
以下の式(ii)で表される化合物が主成分(液体クロマトグラフィー分析による面積比で約70%)のリン酸エステル難燃剤。
(C−3;FP800)
ビフェール系縮合リン酸エステル:ADEKA社製、商品名「アデカスタブ FP−800」
以下の式(iii)において、n=1である化合物が主成分(液体クロマトグラフィー分析による面積比で約85%)のリン酸エステル難燃剤。
[(D)無機充填剤]
(D−1;GFL)
ガラスフレーク:日本板硝子社製、商品名「フレカ REFG−315」、平均粒子径:500μm
(D−2;マイカ)
マイカ:林化成社製、商品名「マスコバイトマイカ MC100」、平均粒子径:60μm
[特性評価方法等]
得られた樹脂組成物の特性評価は、以下の方法及び条件で行った。
(試験片の作製)
得られた樹脂組成物ペレットを100℃で2時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物ペレットから、東芝機械社製、IS−100GN型射出成形機(シリンダー温度を290℃、金型温度を80℃に設定)を用いて試験片を作製した。
(1)熱伝導率
100mm×100mm×2.0mmの平板を用い、JIS R2618に準拠し、京都電子工業社製、「QTM−500」を用いてプローブ法にて熱伝導率を測定した。
(2)難燃性(UL−94)
燃焼試験用試験片を用い、UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に基づき、1.5mm厚みの射出成形試験片を用いて燃焼試験を行った。試験片5本について、接炎を各2回、合計10回行い、消炎時間の平均秒数及び最大秒数を測定し、以下のとおりランク付けした。
(ランク)
5本一組の試験で、合計10回の燃焼時間を測定して、いずれの燃焼時間も10秒以内であり、10回の燃焼時間の合計が50秒以内であり、かつ、滴下物が綿着火をおこさなかったものが「V−0」;いずれの燃焼時間も30秒以内であり、10回の燃焼時間の合計が250秒以内であり、且つ、滴下物が綿着火をおこさなかったものが「V−1」;いずれの燃焼時間も30秒以内であり、10回の燃焼時間の合計が250秒以内であり、かつ、滴下物が綿着火をおこしたものが「V−2」;この評価基準以下のものを「ランク外」とした。
(3)耐熱温度(DTUL)
ISO−15103に準拠して作製した試験片を用い、耐熱性評価として、ISO−75−2に準拠し、1.80Pa下にて測定した。
(4)曲げ弾性率(FM)
ISO−15103に準拠して作製した試験片を用い、ISO−178に準拠し、曲げ弾性率を、2mm/分にて測定した。
(5)離型性
150mm×150mm×3mmの平板に、肉厚3mm、内径3.6mmφのボスがついた成形体を射出成形し、試験片の金型からの離型の善し悪しを目視にて判定した。
離型性の良否評価が良い:○、普通:△、悪い:×の3段階で評価した。
(6)押出安定性(フィード性・噛み込み性)
押出機を用いて、熱可塑性樹脂を溶融混練りする際に、サイドフィードする黒鉛のフィード安定性及び熱可塑性樹脂への噛み込み性を目視にて評価した。
押出安定性の良否評価 良い:○ やや悪い:△ 悪い:×の3段階で評価した。
(7)耐高温高湿性
ISO−15103に準拠して作製した試験片を用い、85℃、相対湿度85%に設定した高温高湿槽内で500時間の熱エージングを実施した後、室温23℃、湿度50%の状態に24時間放置後、ISO−178に準拠し、曲げ強度を測定して、曲げ強度の変化の程度(エージング前の曲げ強度に対する保持率)を算出した。
保持率が75%以上:○、50〜75%:△、50%以下:×の3段階で評価した。
[実施例1]
スクリュー直径40mm、バレル数12、サイドフィーダー及び減圧ベント口付き二軸押出機(ZSK40:Werner Pfleiderer社製)を用いて、各成分を溶融混練し、押出されたストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。なお、前記溶融混練する際の押出機の運転条件は、加熱シリンダーの上流温度を300℃、下流温度を280℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量100kg/時間とし、ベント口から真空脱揮しながら溶融混練した。
表1に示す配合組成として、各成分の供給方法は以下のとおりとした。
まず、(A)成分として、熱可塑性樹脂の総量100質量部に熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.3質量部を配合し、押出機の流れ方向に対して上流側の第1供給口より供給した後に、(B)成分として、黒鉛70質量部を第1供給口より下流側にある第2供給口よりサイドフィーダー使って押出機のサイドに供給した。更に(C)成分とし、難燃剤を第2供給口より下流側の第3(液体)供給口よりギアポンプを使って押出機のサイドに注入ノズルから供給して、樹脂組成物ペレットを得た。得られた樹脂組成物ペレットについては、上記評価法にて評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜7、参考例3、4、6、比較例1〜5]
表1及び表2に示す配合組成とし(D)成分としてガラスフレークを第2供給口と第3供給口の間に第4供給口を設け、サイドフィーダー使って押出機のサイドに供給した以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物ペレットを得て、その評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
[実施例8]
(C)成分として、難燃剤をC−2に変更して、第3供給口より供給した以外は、実施例2と同様の方法にて樹脂組成物ペレットを得て、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
(C)成分として、難燃剤をC−3に変更して、フィード位置を第1供給口とした以外は実施例2と同様の方法にて樹脂組成物ペレットを得て、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例10]
(E)成分として、ポリオレフィンを第1供給口より供給した以外は、実施例2と同様の方法にて樹脂組成物ペレットを得て、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例11]
(D)成分として、ガラスフレークにかえてマイカを第4供給口より供給した以外は、実施例2と同様の方法にて樹脂組成物ペレットを得て、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例12]
(A)成分として、PC及びABSを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物ペレットを得て、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例6]
(C)成分の黒鉛を第1供給口より供給した以外は、実施例3と同様の方法にて樹脂組成物ペレットを得て、その評価を行った。評価結果を表2に示す。
表1及び表2に示すように、本実施例の熱可塑性樹脂組成物は熱伝導性と難燃性に優れることが確認された。特に、実施例10は、離型性、押出し性、及び耐高温高湿性のいずれも優れていることが確認された。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電気・電子関係部品、事務機器部品、自動車部品、その他各種外装材及び工業用品等に適した材料として産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. (A)熱可塑性樹脂100質量部と、
    (B)黒鉛10〜200質量部と、
    (C)難燃剤5〜50質量部と、を含み、
    前記(B)黒鉛の見掛け密度が0.50g/cm 3 〜0.80g/cm 3 であり、かつ、前記(B)黒鉛の平均粒子径が300μm〜800μmであり、
    JIS R2618に準拠した熱伝導率が1.0W/m・K以上であり、かつUL−94規格の難燃レベルがランクV−1以上である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記(A)熱可塑性樹脂として、(i)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(ii)ポリカーボネート系樹脂、又は(iii)ポリカーボネート系樹脂及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)を含有するポリマーアロイからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記(A)熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(D)無機充填剤10〜50質量部を更に含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記(C)難燃剤として、下記式(I)又は式(II)で表される化合物を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    (式中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1及びR2はメチル基を表し、R3及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の整数を表し、n1及びn2は、各々独立に、0〜2の整数を表し、m1、m2、m3及びm4は、各々独立に、0〜3の整数を表す。)
  6. 前記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記(B)黒鉛50〜150質量部を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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