JP5793965B2 - 熱転写両面受像シート - Google Patents
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Description
本発明の熱転写両面受像シートは、基材と、前記基材の一方の面上に、第一の断熱層と、受容層とをこの順に有し、前記基材の他方の面上に、第二の断熱層と、受容層とをこの順に有してなるものである。好ましい態様では、熱転写両面受像シートは、断熱層と受容層の間に、プライマー層や中間層をさらに有してもよい。
本発明における基材は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明における第一の断熱層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性やクッション性を有するものである。本発明における断熱層は、親水性バインダーと、中空粒子とを含むものであり、下記の水性樹脂、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。断熱層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備えることができる。
中空粒子とは中空構造を有する粒子であり、空隙からなるコア部と、空隙を覆うシェル部と、からなるものである。シェル部を構成する材料は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの共重合体などのポリマー、及びこれらの架橋物、又はシリカなどの無機化合物など、特に限定されない。これらの中で、クッション性の観点からは、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの共重合体などのポリマー、又はこれらの架橋物が特に好ましく、アクリル−スチレン共重合化合物、及びその架橋物が、さらに好ましい。
本発明においては、第一の断熱層および後述する第二の断熱層は親水性バインダーを含むものである。親水性バインダーとは、水系溶媒に溶解可能な樹脂のことである。このようなものとして、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、断熱層および中間層等の各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、塗布適性の向上ができる。また、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
本発明における第二の断熱層は、第一の断熱層と同様に、熱転写による画像形成時に加えられた熱が基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性や、クッション性を有するものである。本発明における第二の断熱層は、高架橋中空粒子を含むものである。これによって、第一の断熱層を有する面への印画の際に、第一の断熱層を有する面から圧力・熱を受けた後であっても、第一の断熱層と同等の断熱性を発揮するものである。第二の断熱層は、上述の水性樹脂、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。
本発明において、高架橋中空粒子とは、シェル部が高度に架橋されたポリマーからなる中空粒子のことである。シェル部を構成する材料は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの共重合体などのポリマーの架橋物、である。耐熱性を高める観点からはシェル部を厚くすることが好ましいが、平均粒子径に対するシェル部の厚みが、25%〜35%である事が好ましい。これによって、一方の面と他方の面の熱転写濃度(感度)差を、さらに低減する事ができる。ここでシェル部の厚みとは、平均粒子径から空隙部分の径(内孔径)を差し引いた値である。
MA)(セイコー電子工業(株)製)により測定した値で表して、上記耐熱温度以上を有
していればよい。このような架橋中空粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜5.0μ
m、より好ましくは0.1〜1.0μmである。また、平均中空率は、好ましくは20〜
60%、より好ましくは20〜50%である。このような架橋中空粒子を用いることで、
エンボスを改善することができる。本発明においては、市販の高架橋中空粒子を用いることもでき、例えば、JSR(株)製のSX−866(A)、SX−866(B)、SX−868(A)、などが好ましい。
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。本発明においては、受容層は、熱可塑性樹脂を含むものであり、離型剤を含む事が好ましい。これによって、印画時に熱転写シートとのあいだで熱融着することを防止できる。
熱可塑性樹脂とは、熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容できるポリマーのことである。本発明では、溶剤系樹脂を熱可塑性樹脂として使用できる。これによって、熱可塑性樹脂を分散させた溶剤系溶液を調整し、この溶剤系溶液を使用して熱可塑性樹脂を分散させた、水系分散塗工液を調整する事ができる。
本発明の好ましい態様によれば、受容層は、離型剤をさらに含んでもよい。受容層用塗布液の調製においては、溶剤系溶液に含まれてもよい。離型剤としては、溶剤系シリコーンやフッ素系界面活性剤を挙げることができ、特に溶剤系シリコーンが好ましい。溶剤系シリコーンとしては、ジメチルシリコーン等の各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン、アミド変性シリコーン等を用い、これらを混合して用いたり、各種の反応を用いて重合させて用いたりすることもできる。また、2種以上の離型剤を混合して用いてもよい。このような離型剤を含む水系分散塗布液を用いて受容層を形成することで、印画時に熱転写インクシートと熱転写両面受像シートの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、市販の溶剤系離型剤を用いることもでき、例えば、信越化学工業株式会社製のX−22−163、X−22−173D、X−22−343、X−22−2000、X−22−3000T、KF−101、KF−102、KF−1001、KF−1002、KP―1800U、X−22−4015、X−22−1660B、X−22−160ASD、KF−410等が好ましい。
ことができる。
熱転写両面受像シートの各層の塗布には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、およびカーテンコート等の公知の方法を用いることができ、スライドコートやカーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。
実施例1
熱転写両面受像シート1の作製
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、その一方の面に、下記組成の、第一の断熱層用塗布液1および受容層用塗布液1(水系分散塗布液)を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ12μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、熱転写受像シート(層構成:基材/第一の断熱層1/受容層1)を得た。得られた熱転写受像シートの、他方の面に、第二の断熱層用塗布液1および受容層用塗布液1(水系分散塗布液)を上記と同様にして形成し、熱転写両面受像シート1(層構成:受容層1/第一の断熱層1/基材/第二の断熱層1/受容層1)を得た。この熱転写両面受像シートは、図1に示されるような層構成を有していた。
第一の断熱層用塗布液1の組成
・中空粒子(JSR(株)製、商品名:SX8782(D)、体積平均粒径1.0μm、内孔径0.8μm、中空率50%)
50質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 40質量部
・水性ポリウレタン樹脂(DIC(株)製、商品名:ハイドランAP40)
10質量部
第二の断熱層用塗布液1の組成
・高架橋中空粒子(JSR(株)製、商品名:SX868(B)、体積平均粒径0.5μm、内孔径0.37μm、中空率35%)
70質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 25質量部
・水性ポリウレタン樹脂(DIC(株)製、商品名:ハイドランAP40)
5質量部
受容層用塗布液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45質量部
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL) 2.5質量部
・離型剤(エポキシアラルキル変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製、商品名:X−22−3000T)
2.3質量部
・純水 270質量部
なお、受容層用塗布液1(水系分散塗布液)は、以下のようにして調製した。まず、下記の組成となるように、水系溶液1および溶剤系溶液1を調製した。この水系溶液1と溶剤系溶液1とを、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、溶剤系塩ビ系樹脂を水溶液中に乳化させ、その後、有機溶媒を除去して、水系分散塗布液を調製した。調製した水系分散塗布液の固形分量は、15%であった。この水系分散塗布液が受容層塗布液1の組成となる様に離型剤を配合し、これを受容層用塗布液として用いた。以下、各実施例および比較例においても、同様の方法により受容層用塗布液を調製した。
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL) 2.5重量部
・純水 270重量部
溶剤系溶液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45重量部
・酢酸エチル(溶剤) 450重量部
実施例2
第一の断熱層塗布液1の組成を、下記の第一の断熱層塗布液2とした以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート2を得た。
・中空粒子(JSR(株)製、商品名:SX8782(A)、体積平均粒径1.1μm、内孔径0.9μm、中空率55%)
45質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 45質量部
・水性ポリウレタン樹脂(DIC(株)製、商品名:ハイドランAP40)
10質量部
実施例3
第ニの断熱層塗布液1の組成を、下記の第ニの断熱層塗布液2とした以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート3を得た。
第二の断熱層用塗布液2の組成
・高架橋中空粒子(JSR(株)製、商品名:SX866(A)、体積平均粒径0.3μm、内孔径0.2μm、中空率30%)
80質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 17質量部
・水性ポリウレタン樹脂(DIC(株)製、商品名:ハイドランAP40)
3質量部
比較例1
第ニの断熱層塗布液1の組成を、第一の断熱層塗布液1とした以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート3を得た。
各実施例、及び比較例の熱転写両面受像シートの一方の面に、シチズンシステムズ社製プリンター(製品名:CW−01)にて、シアンの光学濃度が0.5付近、1.0付近となる様に調整したベタパターンを印画した。その後、他方の面に同じ条件で、同じパターンを印画した。なお光学濃度は、分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製、光源:D65、視野角:2°、濃度測定用フィルター:ANSI Status A)で測定した値である。熱転写濃度評価は、一方の面と他方の面に形成された画像濃度を目視にて比較し以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
<評価条件>
◎:画像濃度に差がない。
○:僅かに画像濃度に差がある。
×:画像濃度に差がある。
11 基材
12 第一の断熱層
13 受容層
14 第二の断熱層
15 受容層
Claims (2)
- 基材と、前記基材の一方の面上に、第一の断熱層と、受容層とをこの順に有し、前記基材の他方の面上に第二の断熱層と、受容層とをこの順に有する熱転写両面受像シートにおいて、
前記の第一の断熱層は、親水性樹脂バインダーと、中空粒子とを含み、
前記の第二の断熱層は、親水性樹脂バインダーと、耐熱温度が200℃以上である高架橋中空粒子を含み、
かつ前記の中空粒子は、前記の高架橋中空粒子とは異なるものである、
ことを特徴とする、熱転写両面受像シート。
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