JP5793949B2 - 有機無機複合体、及びその製造方法 - Google Patents

有機無機複合体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビニル基を有する重合性化合物を含む重合性組成物の重合体と金属ナノ粒子とにより形成される有機無機複合体に関し、特に、クロスカップリング反応に対して高活性・高耐久性であり、且つ、反応系内に漏出する金属量の少ない不溶性固体触媒として機能する有機無機複合体、及びその製造方法に関する。
パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、およびレニウムなどの遷移金属を含む触媒による化学反応は、クロスカップリング反応に代表されるように、今日の医薬品製造および液晶・導電材料・色素の合成において最も重要な触媒反応であると認識されている。一般に、これらの遷移金属触媒は高価であるため、繰り返しての使用が求められる。均一系触媒では、反応溶液中に触媒が溶解しているため、反応後触媒を溶液から分離、回収することが容易ではない。したがって、遷移金属触媒を不溶性固体に固定化した状態で使用する不均一系触媒を用いることが検討されている。
繰り返し使用耐久性の高い固定化触媒を開発するための重要な課題として、不溶性担体に固定化された金属成分の反応系内への漏出を効果的に抑制することが挙げられる。反応系内への金属成分の漏出は、触媒の繰り返し使用耐久性に影響を与えるだけでなく、反応生成物への微量金属の混入およびそれに付随する精製コストの上昇などに関わる大きな課題として考えられている。また近年高まっている、地球温暖化の緩和、温室効果ガスの排出抑制を可能とする環境調和型プロセス開発への社会的要請からも、微量金属の回収や廃液の処理が大きな問題となってきている。
そのような状況を背景として、特許文献1では、ガリウム砒素基板などの半導体基板の表面に硫黄を固定化し、これに金属化合物を結合させた後に、有機溶媒中で加熱処理して、金属化合物を定着処理することにより、多数回の繰り返し使用においても触媒活性が低下せず、金属成分の反応系内への漏出が抑制できる基板結合型金属触媒が得られることを報告している。しかしながら、この方法では、半導体基板の調製や硫黄の固定化にMBE(Molecular Beam Epitaxy)などの大がかりな装置や高温条件を必要とし、また、金属の結合とその定着にも溶剤中高い温度にさらす必要がある。
特許文献2では、芳香族側鎖を有する架橋性高分子、2価のパラジウム塩及びアルカリ金属塩を溶媒中で加熱することにより結合させ、冷却・析出させた後、当該高分子を架橋させることにより、クロスカップリング反応に対して、繰り返し使用でき、且つ、金属漏出がほとんど観測されない高分子固定化パラジウム触媒の製法を報告している。この方法では、架橋性高分子の合成に多段階を要すること、および、高分子固定化パラジウム触媒の調製が煩雑であるなどの欠点を有する。
特許文献3では、本発明者らは、ビニル基を導入したデンドリマーまたはポリエチレンイミンを含む重合性組成物をパラジウムなどの金属塩と混合させ、重合反応を行わせることにより、簡便に小粒径の結晶性Pdナノ粒子が担持された固定化金属触媒を得ることができることを報告している。この触媒は金属含有量が高く、クロスカップリング反応に対して高い活性を示し、また容易に回収・再利用が可能であることが示されている。金属成分の反応系内への漏出については、開示されていない。
特開2007-54790号公報 特開2007-61669号公報 特開2010-70753号公報
本発明が解決しようとする課題は、金属含有量が高く、簡便に調製することのできる有機無機複合体を提供することであり、且つ、クロスカップリング反応に対して高活性・高耐久性で、反応系内に漏出する金属量の少ない不溶性固体触媒として機能する有機無機複合体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは種々検討した結果、アミノ基又はウレア結合を有する重合性化合物と、分岐していてもよい炭素数4〜12個のアルキレン基を有する架橋性重合性化合物の重合体中に金属ナノ粒子を包含、若しくは分散させた有機無機複合体が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。ここで、重合体中に含まれるアミノ基、イミノ基、ウレア結合及びアミド結合は、配位結合により金属成分と強く相互作用をすることができるものと推察される。一方、作用機序は明確ではないが、分岐していてもよい4〜12個のアルキレン基を有する架橋性重合性化合物は、重合体の触媒としての活性を大きく損なうことなく、且つ、触媒反応系内に漏出する金属量を著しく低減するために有効に機能しているものと推察される。
即ち、本発明は、重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子との複合体であって、該重合性組成物(A)が、
(1)アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、
(2)分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)と、
を含むことを特徴とする有機無機複合体を提供する。
また、本発明は、上記の有機無機複合体を用いたことを特徴とする触媒を提供する。
また、本発明は、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含む重合性組成物(A)、金属化合物(c)並びに溶剤(M)とを混合した組成物(X)を調製し、該組成物(X)を重合させると同時に金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、溶剤(M)を除去する工程(α−1)を含むことを特徴とする上記の有機無機複合体の製造方法を提供する。
更に、発明は、(1)アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含む重合性組成物(A)並びに溶剤(M)とを混合した組成物(Y)を調製し、該組成物(Y)を重合させた後、溶剤(M)を除去する工程(α−3)、
(2)前記重合体(P)を、金属化合物(c)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(c)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程(α−4)、
(3)前記金属化合物(c)を含む重合体(P)を、還元剤(d)を含む溶液(H)に接触させることにより金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程(α−5)を順次行なう、
ことを特徴とする上記の有機無機複合体の製造方法を提供する。
更に、本発明は、(1)アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含む重合性組成物(A)、金属化合物(c)、還元剤(d)、並びにこれらと相溶する溶剤(Q)とを混合した組成物(Z)を調製し、該組成物中の金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させる工程(α−6)、
(2)前記金属ナノ粒子を含む組成物、及びこれと相溶する溶剤(R)とを混合した組成物(V)を調製し、該組成物(V)を重合させ、金属ナノ粒子を含む重合体(P)を生成し、その後、溶剤(Q)及び(R)を除去する工程(α−7)を順次行う有機無機複合体の製造方法であって、
溶剤(Q)と溶剤(R)が混合された混合溶剤が、該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解または膨潤させないことを特徴とする上記の有機無機複合体の製造方法を提供する。
本発明は、重合性組成物(A)中、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合を有する重合性化合物(a)を任意の割合で用いて重合させ、重合体中に金属ナノ粒子を生成させるため、金属含有量の高い有機無機複合体を提供できる。また、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合を有する重合性化合物(a)、及び、分岐していてもよい炭素数4〜12個のアルキレン基を有する架橋性重合性化合物を含む重合性組成物と、金属化合物を混合し、重合反応と同時に金属の還元反応を行うことにより、金属ナノ粒子を含有する有機無機複合体を簡便に製造できる。このような有機無機複合体を用いることにより、クロスカップリング反応に対して高活性・高耐久性で、反応系内に漏出する金属量の少ない不溶性固体触媒として機能する有機無機複合体を提供できる。また、本発明の有機無機複合体は含有する金属の特徴に応じて、多様な用途に用いることが可能で、燃料電池やその他エネルギー変換材料、発光・蓄光などのオプティカル材料、抗菌・ガスバリアなどの食品包装資材等、使用に際して金属漏出を抑制した機能材料を提供することが可能である。
実施例4で得られた有機無機複合体[P−4]の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例4で得られた有機無機複合体[P−4]の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための要部について説明する。
[有機無機複合体の構造]
本発明の有機無機複合体は、重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子からなる有機無機複合体であって、前記重合性組成物(A)が、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)とを含むことを特徴とする有機無機複合体である。
本発明に用いられるアミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)としては、ラジカル重合性、アニオン重合性、またはカチオン重合性等、任意の化合物であって良い。ただし、この中で、ラジカル重合性を有する化合物が好ましく用いられ、ビニル基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基または、スチリル基が好ましく選択される。アミノ基、イミノ基、ウレア結合及びアミド結合は、有機無機複合体中において、金属との相互作用部位として作用する。アミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、及び、3級アミノ基が任意に用いられるが、3級アミノ基が金属との相互作用以外の副反応を起こしにくいため、好ましく用いられる。そのような重合性化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。
イミノ基を有する重合性化合物は、市販流通する化合物がないため、合成して用いる。合成法に制限はないが、1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物に、アルデヒド基を有する化合物又はケトン化合物を反応させて合成する手法が好ましく用いられる。1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物としては、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。アルデヒド基を有する化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、2−ブタノン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどが挙げられる。
ウレア結合を有する重合性化合物は、市販流通する化合物がないため、合成して用いる。合成法に制限はないが、イソシアナト基とビニル基を有する重合性化合物に、1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物を反応させて合成する手法が好ましく用いられる。イソシアナト基とビニル基を有する重合性化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、4’−ビニルフェニルイソシアネートが挙げられる。1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物としては、特に制限はないが、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミンなどのアルキル鎖を有するモノアミン化合物や、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ドデシレンジアミンなどのアルキレン基を有するジアミン化合物が好ましく用いられる。また、1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物に、イソシアナト基を有する化合物を反応させて合成する手法も好ましく用いることができる。1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物としては、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。イソシアナト基を有する化合物としては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネートなどのアルキル鎖を有するモノイソシアネート化合物や、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキシレンジイソシアネート、ドデシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのアルキレン基を有するジイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
また、1級アミノ基又は2級アミノ基と、3級アミノ基を併せ持つ化合物を用いてイソシアナト基を持つ重合性化合物を反応させると、3級アミノ基とウレア結合を併せ持つ重合性化合物を得ることができる。これらは、本発明において、好ましく用いることができる。そのような例として、アミノ基を有する化合物として、N,N−ジメチルエチレンジアミンやトリス(2−アミノエチル)アミンを用いて、イソシアナト基を有する重合性化合物と反応させて調製した重合性化合物が挙げられ、特に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応させ調製した化合物は有効に用いられる。
前記のウレア結合を含む重合性化合物の合成反応は、例えば、反応に用いる化合物両者を溶剤に溶解し、混合、接触させることにより行うことができる。必要に応じて、触媒を用いることができる。無触媒で反応を行う場合は、反応生成物を溶剤から単離せずに、そのまま後続の有機無機複合体の調製に用いることができる。触媒を用いて前記反応を行った場合は、反応生成物を精製、単離した後、有機無機複合体の調製に用いる。
アミド結合を有する重合性化合物としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−secブチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましく用いられる。また、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸などのカルボキシ基を有する重合性化合物に、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミンなどのアルキル鎖を有するモノアミン化合物や、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ドデシレンジアミンなどのアルキレン基を有するジアミン化合物を反応させて合成した化合物も用いることができる。また、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルアニリンなどの1級アミノ基を有する重合性化合物に、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、アジピン酸などのカルボキシを有する化合物を反応させて用いることができる。
また、本発明の有機無機複合体は、前記アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)が、3級アミノ基及び反応性官能基(Q)を有するデンドリマー(a1)、又は反応性官能基(Q)を有するポリエチレンイミン(a2)と、該反応性官能基(Q)と反応可能な反応性官能基(Q)と、ビニル基とを有する化合物(a3)とを反応して得た化合物であることを特徴とする有機無機複合体である。
デンドリマーとは樹状分岐状の分子であり、分岐の中心であるコアより規則的に逐次分岐された、単分散の分子量を有する分子の総称である。本発明に用いるデンドリマー(a1)は、3級アミノ基及び反応性官能基(Q)を有し、且つ、前記定義のデンドリマーに含まれる分子であれば、特に限定はない。例えば、G. R. Newkome, C. N. Moorefield, F. Vogtle著「Dendrimers and Dendrons: Concepts, Syntheses, Applications」(2001年、Wiley-VCH発行)、J. M. J. Frechet, D. A. Tomalia著「Dendrimers and Other Dendritic Polymers (Wiley Series in Polymer Science)」(2002年、John Wiley & Sons発行)などの文献に記載のデンドリマーを基本構造とする化合物が用いられる。ただし、式(1)で表されるアミドアミン構造、または、式(2)で表されるプロピレンイミン構造を繰り返し単位とするデンドリマーが、好ましく用いられる。
Figure 0005793949
(式(1)中、xは1〜10の整数である。)
Figure 0005793949
(式(2)中、yは1〜10の整数である。)
前記デンドリマーは、アルドリッチ社試薬カタログに記載のデンドリマーなど、試薬として市販されているものを用いることができる。また、適宜、目的に応じて、合成して用いることができる。
試薬として市販されているものとしては、例えば、式(3)で表されるアルドリッチ社製ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーのエチレンジアミンコア第3世代(製品コード412422)、式(4)で表される第4世代(製品コード412449)、式(5)で表される1,6−ジアミノヘキサンコア第4世代(製品コード596965)、式(6)で表されるシスタミンコア第4世代(製品コード648043)、式(7)で表される水酸基末端を有するエチレンジアミンコア第4世代(製品コード477850)、式(8)で表されるカルボン酸末端を有するエチレンジアミンコア第3.5世代のナトリウム塩(製品コード412430)、式(9)で表されるポリプロピレンイミンデンドリマー第1世代(製品コード460699)等がある。
Figure 0005793949
Figure 0005793949
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Figure 0005793949
Figure 0005793949
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式(1)で表されるアミドアミン構造のデンドリマー(a1)の合成方法に特に制限はないが、例えば、特開平7−267879号公報、および、特開平11−140180号公報に記載の方法を用いることができる。まず、コアとなる1級アミノ基を有する化合物に対し、そのアミノ基に2当量のメチルアクリレートを作用させ、マイケル付加反応により、窒素分岐部を有し、且つ、メチルエステル部位を有する化合物へと変換する。次に、メチルエステル部位に対し、1級アミノ基を有するジアミン化合物の一方を反応させてアミド結合を生成し、他方の1級アミノ基を末端に残す。その後、これらのマイケル付加反応とアミド結合生成反応を交互に、任意の回数行うことにより、アミドアミン構造のデンドリマー(a1)を合成することができる。
式(2)で表されるプロピレンイミン構造のデンドリマー(a1)の合成方法に特に制限はないが、例えば、WO−A93/14147号公報、および、WO−A95/2008号公報に記載の方法を用いることができる。まず、コアとなる1級アミノ基を有する化合物に対し、アクリロニトリルを作用させてシアノエチル化する。次に、ニトリル基を触媒の存在下、水素またはアンモニアを用いて1級アミノ基に還元する。その後、これらのシアノエチル化反応とニトリル基の還元反応を交互に、任意の回数行うことにより、プロピレンイミン構造のデンドリマー(a1)を合成することができる。
デンドリマー(a1)のコア構造は、特に限定はないが、アンモニア、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,12−ジアミノドデカン、シスタミンの残基を利用したコア構造が好ましい。
デンドリマーの末端に結合する反応性官能基(Q)は、末端に結合していることが好ましい。そして、後述するビニル基を有する化合物(a3)に含まれる反応性官能基(Q)と反応して、アミノ基及びビニル基を有する重合性化合物(a)を与えることができれば特に制限はないが、1級または2級のアミノ基、水酸基、または、カルボキシ基であることが好ましい。中でも、化学反応性の高さ、および、反応の多様性より、1級または2級のアミノ基が特に好ましい。
デンドリマー(a1)の分子量は300以上が好ましく、特に、1000〜10万が好ましい。本発明の有機無機複合体を触媒として用いる際、前記分子量が300以下であると、デンドリマー(a1)内部の空間を利用するのに不利である。
本発明の有機無機複合体の調製に用いられるポリエチレンイミン(a2)は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。前記ポリエチレンイミン(a2)は、試薬として市販されているものを用いることができる。また、適宜、目的に応じて、市販されているポリエチレンイミン(a2)の末端基を変換して用いることもできるし、また、ポリエチレンイミン(a2)を合成して用いることができる。ポリエチレンイミン(a2)の合成方法に特に制限はないが、例えば、オキサゾリン類のカチオン重合により得たアミド結合を繰り返し単位に有するポリマーを、加水分解して得ることができる。
ポリエチレンイミン(a2)の反応性官能基(Q)は、末端に結合していることが好ましい。そして、後述するビニル基を有する化合物(a3)に含まれる反応性官能基(Q)と反応して、アミノ基及びビニル基を有する重合性化合物(a)を与えることができれば特に制限はないが、1級または2級のアミノ基、水酸基、または、カルボキシ基であることが好ましい。中でも、化学反応性の高さ、および、反応の多様性より、1級または2級のアミノ基が特に好ましい。
ポリエチレンイミン(a2)の重量平均分子量は200以上が好ましく、特に、1000〜10万が好ましい。本発明の有機ポリマー多孔質体を触媒として用いる際、前記重量平均分子量が200以下であると、ポリマー内でポリエチレンイミン(a2)が形成する空間が小さくなり、触媒反応を行うのに不利である。
3級アミノ基含有デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)が有する反応性官能基(Q)と反応可能な反応性官能基(Q)とビニル基とを有する化合物(a3)としては、デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)と反応して、アミノ基及びビニル基を有する重合性化合物(a)を与えることができれば、ラジカル重合性、アニオン重合性、またはカチオン重合性等、任意の化合物であって良い。ただし、この中で、ラジカル重合性を有する化合物が好ましく用いられ、重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、または、スチリル基が好ましく選択される。
また、本発明に用いられる前記反応性官能基(Q)とビニル基を有する化合物(a3)としては、イソシアナト基、エポキシ基、1級または2級アミノ基、水酸基、カルボキシ基、またはカルボン酸塩化物単位を有するビニル基とを有する化合物(a3)が挙げられる。中でも、1級または2級のアミノ基を反応性官能基(Q)として有するデンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)と反応させる場合、イソシアナト基、またはエポキシ基を有し、且つビニル基を有する化合物(a3)、特にイソシアナト基を有し、且つビニル基を有する化合物(a3)が、反応性が高いため好ましく用いられる。
そのような化合物(a3)を例示すると、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、4’−ビニルフェニルイソシアネートの如きイソシアナト基を有する化合物、グリシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基を有する化合物、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルアニリンの如きアミノ基を有する化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ビニルフェノールの如き水酸基を有する化合物、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、(メタ)アクリル酸、4−ビニル安息香酸の如きカルボキシ基を有する化合物、及び、(メタ)アクリル酸塩化物、4−ビニル安息香酸塩化物の如き酸塩化物等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)と、前記化合物(a3)との反応は、例えば、反応に用いる化合物両者を溶剤に溶解し、混合、接触させることにより行うことができる。必要に応じて、触媒を用いることができる。無触媒で反応を行う場合は、反応生成物を溶剤から単離せずに、そのまま後続の有機無機複合体の調製に用いることができる。触媒を用いて前記反応を行った場合は、反応生成物を精製、単離した後、有機無機複合体の調製に用いる。
前記反応において、得られる重合性化合物(a)が、アミノ基及びビニル基を有していれば、任意の割合において、デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)に含まれる反応性官能基(Q)と、ビニル基を有する化合物(a3)に含まれる反応性官能基(Q)を、反応溶液中に仕込むことができる。ただし、金属配位性官能基として作用するアミノ基が少ないとポリマー中の金属含有量が少なくなるため、重合性化合物1分子中にアミノ基を4個以上有することが好ましく、8個以上有することが特に好ましい。また、重合性化合物1分子中にビニル基を多く有すると、重合性組成物中に添加する共重合成分の量を減じることができ、これにより、ポリマー中の相対的アミノ基含有量を増加することができる。したがって、重合性化合物1分子中にビニル基を4個以上有することが好ましく、6個以上有することが特に好ましい。
本発明に用いられる分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)としては、ラジカル重合性、アニオン重合性、またはカチオン重合性等、任意の化合物であって良い。ただし、この中で、ラジカル重合性を有する化合物が好ましく用いられ、ビニル基としては、(メタ)アクリロキシ基、または、スチリル基が好ましく選択される。中でも、炭素数4〜12のアルキレン基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましく、炭素数4〜12のアルキレン基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが特に好ましい。炭素数としては、4〜9であることがより好ましく、4〜8であることが特に好ましい。
重合性化合物(b)は2個以上のビニル基を有する架橋重合性化合物であるため、硬化後の強度に大きな影響を与える。重合性化合物(b)としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレートなどの3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能モノマーが挙げられる。これら重合性化合物(b)は、単独で、又は、2種類以上を混合して用いることもできる。中でも、硬化後の強度が高く、触媒として反応系への金属の漏出をきわめて低く抑えることができることから、炭素数4〜12個までのアルキレン基を有する化合物、特に、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
有機無機複合体のアミノ基又はウレア結合の含有量は、0.01mmol/g〜9.00mmol/gの範囲にあることが好ましく、0.1mmol/g〜9.0mmol/gの範囲にあることが特に好ましい。したがって、これらの含有量を考慮した上で、重合性組成物(A)中に含まれるアミノ基及びビニル基を有する重合性化合物(a)又はウレア結合及びビニル基を有する重合性化合物(b)の量を決定するのが望ましい。
重合性組成物(A)中に含まれる、分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)の量は、得られる有機無機複合体を触媒として用いた際、反応系内に漏出する金属成分を効果的に抑制するために、重合性化合物全成分のうち、25重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。
本発明の有機無機複合体に含まれる金属ナノ粒子は、第一遷移元素、第二遷移元素、第三遷移元素、または、第四遷移元素のいずれかに含まれる元素から選択される1種以上の元素からなる粒子である。ただし、第二遷移元素、または、第三遷移元素に含まれる元素から選択される1種以上の元素からなる粒子が好ましく、その中でも、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、及びレニウムから選択される1種以上である元素からなる粒子が特に好ましい。有機無機複合体中の金属含有量は、0.01mmol/g〜5.00mmol/gの範囲にあることが好ましく、0.05mmol/g〜5.00mmol/gの範囲にあることが特に好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径は、0.1〜100nmの範囲が好ましく、0.5〜10nmの範囲が特に好ましい。
本発明の有機無機複合体が多孔質体である場合、多孔質体の形状は、凝集粒子状又は網目状、孔状などの構造であり、その平均孔径が0.001〜10μmの範囲にあるものが望ましい。また、深さ方向に構造が変化する傾斜構造も形成しうる。多くの利用分野において、表面の孔径が大きく、深くなるほど孔径が小さくなる傾斜構造が好ましい。多孔質体は、その比表面積が5〜2000m/gの範囲にあることを特徴とするが、多孔質体を触媒反応に用いる場合は、50〜2000m/gの範囲にあることが好ましい。
本発明の有機無機複合体は、膜状の形態をとることもできる。その場合、膜厚は1〜100μmの範囲が好ましく、3〜50μmの範囲が特に好ましい。膜厚が1μmよりも薄い場合、触媒として用いる場合、その性能が低下する傾向にあるので好ましくない。なお、有機無機複合体の膜厚は、走査型電子顕微鏡を用いて、その断面の顕微鏡観察により測定することができる。
[有機無機複合体の製造方法]
本発明の有機無機複合体の製造は、下記の4つの方法によって行うことができる。
第1の方法は、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)とを含む重合性組成物(A)、金属化合物(c)、溶剤(M)とを混合した組成物(X)を調製し、該組成物(X)を重合させると同時に金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、溶剤(M)を除去することにより有機無機複合体を製造する方法である(工程(α−1))。
第2の方法は、第1の方法で示した工程(α−1)を行った後、有機無機複合体を還元剤(d)を含む溶液(H)に接触させ、その後、該有機無機複合体を溶液(H)から分離する工程(α−2)を行なう方法である。
第3の方法は、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)とを含む重合性組成物(A)及び溶剤(M)とを混合した組成物(Y)を調製し、該組成物(Y)を重合させた後、溶剤(M)を除去する工程(α−3)、前記重合体(P)を、金属化合物(c)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(c)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程(α−4)、前記金属化合物(c)を含む重合体(P)を、還元剤(d)を含む溶液(H)に接触させることにより金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程(α−5)、を行なう方法である。
第4の方法は、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)とを含む重合性組成物(A)、金属化合物(c)、還元剤(d)、及びこれらと相溶する溶剤(Q)とを混合した組成物(Z)を調製し、該組成物中の金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させる工程(α−6)、前記金属ナノ粒子を含む組成物、及びこれと相溶する溶剤(R)とを混合した組成物(V)を調製し、該組成物(V)を重合させ、金属ナノ粒子を含む重合体(P)を生成し、その後、溶剤(Q)及び(R)を除去する工程(α−7)を順次行う方法である。ただし、この方法では、溶剤(Q)と溶剤(R)が混合された混合溶剤が、該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解または膨潤させないことが必要である。
有機無機複合体を製造する第1〜第4の方法について、詳細に説明する。
方法1では、組成物(X)中、重合性組成物(A)の重合により生成した重合体(P)と溶剤(M)との相溶の程度により、得られる重合体(P)の微細構造が異なる。重合体(P)と溶剤(M)が完全に相溶する場合、重合体(P)は溶剤(M)により膨潤され、溶媒を除去後、得られる有機無機複合体は無孔性となる。一方、重合体(P)と溶剤(M)が部分的に相溶するか、又は非相溶の場合、重合体(P)と溶剤(M)とが相分離状態を生じた場合は、重合体(P)内部や重合体(P)間に溶剤(M)が取り込まれた状態になる。この溶剤(M)を除去することにより、溶剤(M)が占めていた領域が孔となり多孔質体状の有機無機複合体を形成できる。
重合性組成物(A)は、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)のみを以て構成するか、または、該重合性化合物(a)、及び該重合性化合物(b)とともに、それらと共重合して共重合体(P)を形成しうる他の重合性化合物(a’)を含有して構成する。アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)はそれぞれ単独で、または、2種類以上を混合して用いることができる。アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)としては、前記した重合性化合物等を用いることができる。
アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)と共重合して共重合体(P)を形成しうる他の重合性化合物(a’)としては、重合開始剤の存在下または非存在下で重合するものであり、ビニル基を有するものが好ましく、なかでも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物やスチリル化合物が好ましい。また、硬化後の強度も高くできることから、重合して架橋重合体を形成する化合物であることが好ましい。そのために、1分子中に2つ以上のビニル基を有する化合物であることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル系化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドなどの2官能モノマー;トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能モノマーが挙げられる。
分子鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合性のオリゴマーとしては、重量平均分子量が500〜50,000のものが挙げられ、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。
スチリル化合物としては、1,3−ジビニルベンゼンや1,3−ジプロペニルベンゼン等が挙げられる。
これら重合性化合物(a’)は、単独で、又は、2種類以上を混合して用いることもできる。また、粘度の調節を行う目的で、ビニル基を1つ有する重合性化合物、特に、ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル化合物やスチリル化合物などと混合して使用してもよい。
ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸アクリレート、w−カルボキシカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素置換アルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、スルホン酸−2−メチルプロパン−2−アクリルアミド、燐酸エステル基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルクロライド、(メタ)アクリルアルデヒド、スルホン酸エステル基含有(メタ)アクリレート、シラノ基含有(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモニウム基含有(メタ)アクリレート、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
ビニル基を1つ有するスチリル化合物としては、スチレン、プロペニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、および9−ビニルアントラセン等が挙げられる。
金属化合物(c)は、第一遷移元素、第二遷移元素、第三遷移元素、または、第四遷移元素のいずれかに含まれる元素からなる塩、例えば、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、フッ素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、酢酸塩、アセチルアセトナト塩、シュウ酸塩、グルコン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等が好ましく利用できる。中でも、第二遷移元素、または、第三遷移元素に含まれる元素からなる塩が好ましく、その中でも、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、及びレニウムから選択される元素からなる塩が特に好ましい。また、これらの遷移金属の塩素酸塩、酢酸塩、及び硝酸塩が好ましく利用できる。これらの遷移金属化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
重合性組成物(A)と金属化合物(c)を混合して調製する組成物(X)において、重合性組成物(A)中のアミノ基又はウレア結合と、金属化合物(c)中の遷移金属が配位結合を形成して、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)中に金属化合物(c)を取り込むことができる。
溶剤(M)としては、重合性組成物(A)および金属化合物(c)とともに均一な組成物(X)が得られればよい。溶剤(M)は、単一溶剤であっても混合溶剤であってもよく、混合溶剤の場合には、その構成成分単独では重合性組成物(A)または金属化合物(c)と相溶しないものであってもよい。このような溶剤(M)としては、例えば、酢酸エチル、デカン酸メチル、ラウリル酸メチル、アジピン酸ジイソブチルなどの脂肪酸のアルキルエステル類、アセトン、2−ブタノン、イソブチルメチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,1−ジメチル−1−エタノール、ヘキサノール、デカノールなどのアルコール類、および、水などの溶剤が挙げられる。このような溶剤の中でも、単一溶剤として用いる場合は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤や、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1,1−ジメチル−1−エタノールなどの高極性のアルコール類が、前記アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含む重合性組成物(A)と相溶しやすいため、好ましく用いられる。また、多孔質体状の有機無機複合体を得る場合、その比表面積を制御するために、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの高極性溶剤と、それらと相溶するテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の中極性溶剤との混合溶剤も好ましく用いられる。
組成物(X)を重合させた後、溶剤(M)を除去する方法に特に制限はないが、溶剤(M)が揮発性の高い溶剤の場合は、常圧又は減圧により乾燥させることにより行うことができる。溶剤(M)が揮発性の低い溶剤の場合は、組成物(X)の重合により得られた重合物を揮発性の高い溶剤に接触させ、溶剤交換を行った後、常圧又は減圧により乾燥させることにより行うことができる。また、溶剤(M)を除去する際に、重合性組成物(A)中に含まれるアミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と分岐していてもよい炭素数4〜12個までのアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)とその他の重合性化合物のうち、未重合で残存した成分を除去する目的で、該化合物が溶解する溶剤を用いて、洗浄、抽出を行うことも有効である。抽出操作には、ソックスレー抽出器を用いて行うこともできる。
得られる有機無機複合体が多孔質体状の場合、組成物(X)に含まれる重合性組成物(A)の含有量によって、有機無機複合体の孔径や強度が変化する。重合性組成物(A)の含有量が多いほど多孔質体の強度が向上するが、孔径は小さくなる傾向にある。重合性組成物(A)の好ましい含有量としては15〜50質量%の範囲、更に好ましくは25〜40質量%の範囲が挙げられる。重合性組成物(A)の含有量が15質量%以下になると、多孔質体の強度が低くなり、重合性組成物(A)の含有量が50質量%以上になると、多孔質体の孔径の調整が難しくなる。
組成物(X)には、重合速度や重合度などを調整するために、重合開始剤、重合禁止剤、あるいは、重合遅延剤などの各種添加剤を添加してもよい。
重合開始剤としては、重合性組成物(A)を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などが使用できる。例えば、2,2’−アゾビスブチロニトリル、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などのアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの過酸化物系開始剤が挙げられる。また、活性エネルギー線の作用により機能する重合開始剤として、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類、ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンジルケタール類、N−アジドスルフォニルフェニルマレイミドなどのアジドが挙げられる。また、マレイミド系化合物などの重合性紫外線重合開始剤を使用することもできる。また、テトラエチルチイラムジスルフィドなどのジスルフィド系開始剤、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのニトロキシド開始剤、4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン銅錯体−トリクロロ酢酸メチル複合体、ベンジルジエチルジチオカルバメートなどのリビングラジカル重合開始剤を用いることもできる。
重合遅延剤や重合禁止剤は、主に、活性エネルギー線による重合の際に用いることができ、α−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの重合速度の低いビニル系モノマーやtert−ブチルフェノールなどのヒンダントフェノール類などが挙げられる。
可溶性高分子としては、組成物(X)として均一の組成物を与え、かつ、前記の溶剤(M)単独に可溶であれば、制限なく利用することができる。溶剤(M)に可溶であることにより、組成物(X)の硬化後の溶剤(M)の除去操作により容易に硬化塗膜から除去できる。
重合反応は、熱重合法、及び、紫外線や電子線などの照射により行う活性エネルギー線重合法など公知慣用の方法でよい。例えば、前記した熱重合開始剤とともに40〜100℃、好ましくは60〜80℃で10分〜72時間、好ましくは6〜24時間反応させることにより、有機無機複合体を製造することができる。また、各種水銀ランプやメタルハライドランプを用い、250〜3000Wの出力において、室温で、1秒〜2時間、好ましくは10秒〜30分反応させることにより、有機無機複合体を製造することができる。
有機無機複合体を製造する第1の方法においては、組成物(X)の重合する際、同時に、金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成する(工程(α−1))。金属化合物(c)は、重合性組成物(A)の重合反応の際に生じる成長ポリマー鎖末端のラジカルの還元作用により還元され、金属ナノ粒子へ変換される。この方法は、触媒性に優れた結晶面を有する金属ナノ粒子の形成が容易に行うことができるため、好ましく用いられる。また、重合性化合物(a)に含まれるアミノ基の還元作用により、金属が還元される場合もある。活性エネルギー線重合の場合は、前記のベンジルケタール系重合開始剤が、活性エネルギー線照射により生じるケチルラジカルが、金属化合物(b)に対する還元作用があるため、好ましく用いられる。
有機無機複合体を製造する第2の方法は、第1の方法で示した工程(α−1)を行った後、有機無機複合体を還元剤(d)を含む溶液(H)に接触させ、その後、該有機無機複合体を溶液(H)から分離する工程(α−2)を行なう。この工程を行うことにより、第1の方法を行った後、金属化合物(c)が残存している場合はそのすべてを還元して、金属ナノ粒子の生成を促すことができる。
還元剤(d)は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム等のヒドリド系還元剤、ヒドラジン、アスコルビン酸等の公知慣用の還元剤を用いることができる。また、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ヘキサノール等のアルコール類も、還元剤として用いることができる。溶液(H)の調製に用いられる溶剤は、用いる還元剤を溶解させることができ、且つ、前記ポリマーと反応しないものであれば、制限なく用いることができる。例えば、0〜80℃、好ましくは室温〜40℃で1秒〜24時間、好ましくは10秒〜6時間還元反応を行うことにより、有機無機複合体を製造することができる。
有機無機複合体を製造する第3の方法の工程において、組成物(Y)を重合させる工程(α−3)は、金属化合物(c)を共存させないこと以外は、前記の方法1において説明した、組成物(X)を重合させる工程(α−1)の方法に準じて、重合を行い、重合体(P)を調製することができる。
続いて、前記重合体(P)を金属化合物(c)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(c)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程(α−4)を行う。金属化合物(c)については、前記説明したとおりである。溶液(I)の調製に用いられる溶剤は、用いる金属化合物を溶解させることができ、且つ、前記重合体(P)と反応しないものであれば、制限なく用いることができる。0〜80℃、好ましくは室温〜40℃で10分〜24時間、好ましくは30分〜6時間反応させることにより、金属化合物(c)を前記重合体(P)に吸着することができる。
工程(α−5)は、前記の金属化合物を吸着させた重合体(P)を、還元剤(d)を含む溶液(H)に接触させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程である。この工程は、前記の第2の方法で示した方法に準じて行うことができる。
有機無機複合体を製造する第4の方法は、重合性組成物(A)を重合して重合体(P)を形成させる前に、重合性組成物(A)の存在下、金属化合物(c)を還元して金属ナノ粒子を生成させ、その後、得られた金属ナノ粒子を含む溶液を重合して、重合体(P)を形成させることによる、有機無機複合体の製造方法である。
この方法で用いる重合性組成物(A)、金属化合物(c)、及び還元剤(d)は、前記と同様である。溶剤(Q)は、重合性組成物(A)、金属化合物(c)、及び還元剤(d)と相溶することが必要条件である。溶剤(Q)は、単一溶剤であっても混合溶剤であってもよい。また、溶剤(R)は、組成物(Z)中、金属化合物(c)を還元して得た組成物と相溶することが必要条件である。溶剤(R)は、単一溶剤であっても混合溶剤であってもよい。ただし、多孔質体状の有機無機複合体を製造する上で重要なことは、溶剤(Q)と溶剤(R)が混合された混合溶剤が、該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解または膨潤させないことである。このような溶剤(Q)及び(R)としては、例えば、溶剤(M)の説明で挙げた溶剤を選択して用いることができる。
この方法における、組成物(Z)の還元反応は前記の還元剤(d)を用いた還元反応方法に、組成物(V)の重合反応は組成物(X)の重合反応に、及び、該重合反応後の溶剤(Q)及び(R)の除去方法は溶剤(M)の除去方法に、それぞれ準じて行うことができる。
[膜状の有機無機複合体の製造方法]
膜状の形態を有する有機無機複合体の場合、塗工性、平滑性などを向上させる目的で、公知慣用の界面活性剤、増粘剤、改質剤、触媒などを添加することもできる。
膜状の形態を有する有機無機複合体を製造する際に使用できる支持体は、組成物(X)、(Y)、または(Z)によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解などが生じず、かつ、組成物(X)、(Y)、または(Z)を実質的に侵さないものであればよい。そのような支持体としては、例えば、樹脂、ガラスや石英などの結晶、セラミック、シリコンなどの半導体、金属などが挙げられるが、これらの中でも、透明性が高いこと、および、安価であることより、樹脂、または、ガラスが好ましい。支持体に使用する樹脂は、単独重合体であっても、共重合体であっても良く、熱可塑性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い。また、支持体は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成されていても良いし、積層体その他の複合体であっても良い。更に、支持体は、改質剤、着色剤、充填材、強化材などの添加物を含有しても良い。
支持体の形状は特に限定されず、使用目的に応じて任意の形状のものを使用できる。例えば、シート状(フィルム状、リボン状、ベルト状を含む)、板状、ロール状、球状などの形状が挙げられるが、組成物(X)、(Y)、または(Z)をその上に塗布し易いという観点から、塗工面が平面状または2次曲面状の形状であることが好ましい。
支持体はまた、樹脂の場合もそれ以外の素材の場合も、表面処理されていて良い。表面処理は、組成物(X)、(Y)、または(Z)による支持体の溶解防止を目的としたもの、組成物(X)、(Y)、または(Z)の濡れ性向上及び有機無機複合体の接着性向上を目的としたものなどが挙げられる。
支持体の表面処理方法は任意であり、例えば、任意の重合性組成物を支持体の表面に塗布し、重合反応により硬化させる処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理、スルホン化処理、フッ素化処理、シランカップリング剤等によるプライマー処理、表面グラフト重合、界面活性剤や離型剤等の塗布、ラビングやサンドブラストなどの物理的処理などが挙げられる。また、有機無機複合体の素材が有する反応性官能基や前記の表面処理方法によって導入された反応性官能基と反応して表面に固定される化合物を反応させる方法が挙げられる。この中で、支持体としてガラス、または、石英を用いた場合、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートやトリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート等のシランカップリング剤によって処理する方法は、これらのシランカップリング剤の有する重合基が組成物(X)、(Y)、または(Z)と共重合できることより、有機無機複合体の支持体上への接着性を向上させる上で有用である。
組成物(X)、(Y)、または(Z)の支持体への塗布方法は公知慣用の方法であればいずれの方法でも良く、例えば、コーターや噴霧等による塗布方法が好ましく挙げられる。
以上、有機無機複合体の製造に関して説明したが、本発明で用いることができる有機無機複合体の製造方法は前記の例示に限定されるものではない。
[有機無機複合体を用いた触媒反応]
本発明の有機無機複合体を用いた触媒反応について説明する。
本発明の有機無機複合体は、金属ナノ粒子の関与する触媒反応に対して用いることができる。中でも、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、またはレニウムのナノ粒子を利用する触媒反応に用いることが好ましく、特に、パラジウム、または白金のナノ粒子を利用する触媒反応に用いることが好ましい。触媒反応の種類としては、クロスカップリング反応、水素添加反応や酸化反応が挙げられる。中でも、ハロゲン化アリール類のクロスカップリング反応が好ましく、反応例として、Susuki-Miyaura(鈴木−宮浦)反応、Sonogashira(薗頭)反応、Heck反応、Stille反応、Buchwald-Hartwig反応等が挙げられる。その他の好ましい反応例として、アリル位転移反応等が挙げられる。
有機無機複合体を触媒反応に用いる際は、反応原料を溶剤に溶解、または分散させ、有機無機複合体と不均一系で接触させるだけでよい。必要に応じて、補助触媒や添加剤を共存させることができる。反応に用いる溶剤は、反応の種類に応じて、適宜、水、有機溶剤、およびそれらの混合溶剤を選択することができる。
本発明の有機無機複合体は、繰り返しの使用安定性に優れた触媒を提供することができる。ここで言う使用安定性に優れた触媒とは、80℃、24時間での触媒試験において、触媒能力に変化なく、5回以上繰り返し使用可能であることを指し、好ましくは、同条件において、10回以上繰り返し使用可能であることを指す。
また、本発明の有機無機複合体は、固定化された金属成分の反応系内への漏出を効果的に抑制することができる。反応系内に漏出する金属成分は、少なくとも300ppb以下のレベルまで抑制することができ、さらには、100ppb以下まで抑制することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
〔有機無機複合体の調製〕
3級アミノ基を有する重合性化合物であるジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステルDM)150mgを、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略す。)1.40mLに溶解させた。これに、酢酸パラジウムのDMF溶液(0.2mol・L−1)1.60mL(Pd2+当量:320μmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で30分間撹拌した。続いて、これに、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステル1.6HX)(以下、「HX」と略す。)1.74g、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と略す。)20mg、ジエチレングリコールジメチルエーテル(以下、「ジグライム」と略す。)4.0mL、およびDMF6.0mLを加え、組成物[X−1]を調製した。
次に、組成物[X−1]を重合チューブ中に仕込み、窒素ガスを30分間吹き込んだ後、密栓し、70℃で12時間加熱処理を施した。形成された淡黄色固体を重合チューブより取り出した後、ソックスレー抽出器(溶媒:テトラヒドロフラン、およびメタノール)を用いて、未重合成分と溶媒を除去することにより、有機無機複合体[P−1]を調製した。
収量:1.83g、収率:97%.
比表面積(BET簡易法):0.69m/g.
測定装置:フローソープII型流動式比表面積自動測定装置(島津製作所)
試料量:約0.01〜0.03g
前処理:キャリアガス(N/He混合ガス)中で100℃、30分間加熱
金属含有量:0.16mmol/g.
測定装置:示差熱熱重量同時測定装置EXSTAR6000TG/DTA
試料量:約0.05g
測定温度範囲:30〜1000℃
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):2.5nm
装置:透過型電子顕微鏡JEM−2200FS(日本電子)
加速電圧:200kV
画像解析式粒度分布測定ソフトウェア:Macview(マウンテック)
解析対象粒子数:100個以上
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
4−ブロモアセトフェノン0.65mmol、フェニルボロン酸0.86mmol、炭酸カリウム2.0mmol、及び、水3mLを混合して反応液(Y1)を調製した。これに、前記の有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)41.0mg(Pd当量:6.5μmol)を加え、80℃で4時間、反応させた。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−1]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対して誘導結合プラズマ発光分光分析装置ICP−AES(パーキンエルマーオプティマ3300DV)を用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−1]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例2)
〔重合性化合物の合成〕
エチルアミンの2.0mol/Lテトラヒドロフラン(THF)溶液16.1mL(32.2mmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工製、製品名:カレンズMOI)5.0g (32.2mol)のTHF溶液(40mL)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中にウレア結合とビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDCl):δ/ppm 1.12,1.94,3.19,3.48,4.22,4.89,5.12,5.58(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−1]155mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−2]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−2]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−2]を調製した。
収量:1.81g、収率:96%.
比表面積(BET簡易法):0.55m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):2.8nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−2](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−2]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−2]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例3)
〔重合性化合物の合成〕
N,N−ジメチルエチレンジアミン4.6g(5.0mmol)のDMF溶液(10mL)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート7.8g (5.0mmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−2]を得た。重合性化合物[a−2]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.93,2.25,2.42,3.24,3.42,4.16,5.63(ビニル基),6.12(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−2]170mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−3]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−3]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−3]を調製した。
収量:1.80g、収率:95%.
比表面積(BET簡易法):0.72m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.0nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−3](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−3]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−3]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例4)
〔重合性化合物の合成〕
反応性官能基として1級アミノ基を有する第4世代(G4)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(10質量%メタノール溶液、アルドリッチ社製、分子量:14214.4、製品コード:412449)1.14g(8.02μmol、末端1級アミン当量:5.13x10μmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート79.6mg (5.13x10μmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、及び、64個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.35−2.37,2.57−2.59,2.78−2.80,3.25−3.35,3.42,4.16,5.63(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−3]194mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−4]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−4]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−4]を調製した。
収量:1.89g、収率:97%.
比表面積(BET簡易法):0.79m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):2.5nm
透過型電子顕微鏡写真を図1に示す.
形態観察:走査型電子顕微鏡写真を図2に示す.
装置:リアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800(キーエンス)
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−4](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−4]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−4]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例5)
〔重合性化合物の合成〕
反応性官能基として水酸基を有する第4世代(G4)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(10質量%メタノール溶液、アルドリッチ社製、分子量:14277.4、製品コード:477850)570mg(4.0μmol、末端水酸基当量:2.60x10μmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート40mg (2.56x10μmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−4]を得た。重合性化合物[a−4]は、分子中に62個の3級アミノ基、及び、64個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.93,2.36−2.40,2.59−2.61,2.77−2.81,3.28−3.41,3.62,4.17,5.62(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−4]194mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−5]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−5]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−5]を調製した。
収量:1.88g、収率:97%.
比表面積(BET簡易法):0.65m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.5nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−5](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−5]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−5]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例6)
〔重合性化合物の合成〕
2−イソシアナトエチルメタクリレートを79.6mg (5.13x10μmol)用いる代わりに、グリシジルメタクリレートを72mg (5.13x10μmol)用いる以外は、実施例4と同様にして、重合性化合物[a−5]を得た。重合性化合物[a−5]は、分子中に62個の3級アミノ基、及び、64個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.35−2.37,2.57−2.59,2.78−2.80,3.25−3.35,3.42,4.16,5.63(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−5]186mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−6]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−6]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−6]を調製した。
収量:1.85g、収率:95%.
比表面積(BET簡易法):0.70m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.2nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−6](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−6]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−6]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例7)
〔重合性化合物の合成〕
ポリエチレンイミン(平均分子量10,000、和光純薬製、製品コード:164−17821)0.20g(1級アミン当量:1.16mmol、2級アミン当量:2.33mmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート0.54g (3.49mmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−6]を得た。重合性化合物[a−6]は、平均的に、分子中に58個の3級アミノ基、及び、174個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.63,3.22−3.42,4.15−4.22,5.62(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−6]153mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−7]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−7]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−7]を調製した。
収量:1.36g、収率:97%.
比表面積(BET簡易法):0.58m/g.
金属含有量:0.11mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.6nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−7](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−7]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−7]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例8)
〔重合性化合物の合成〕
トリス(2−アミノエチル)アミン0.73g(5.0mmol)のDMF溶液(5.0mL)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート0.23g (15.0mmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−7]を得た。重合性化合物[a−7]は、分子中に3級アミノ基1個、ウレア結合3個及びビニル基3個を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.55,3.15,3.42,4.16,5.62(ビニル基),6.12(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−7]174mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−8]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−8]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−8]を調製した。
収量:1.83g、収率:96%.
比表面積(BET簡易法):0.60m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.4nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−8](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−8]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−8]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例9)
〔重合性化合物の合成〕
反応性官能基として1級アミノ基を有する第1世代(G1)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(20質量%メタノール溶液、アルドリッチ社製、分子量:1429.8、製品コード:412384)0.59g(82.5μmol、末端1級アミン当量:6.63x10μmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート103mg (6.63x10μmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−8]を得た。重合性化合物[a−8]は、分子中に6個の3級アミノ基、8個のウレア結合及び、8個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.34−2.36,2.57−2.60,2.78−2.81,3.25−3.35,3.44,4.17,5.62(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルDM150mgを用いる代わりに、重合性化合物[a−8]192mgを用いる以外は実施例1と同様にして、組成物[X−9]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−9]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−9]を調製した。
収量:1.88g、収率:97%.
比表面積(BET簡易法):0.66m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.0nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−9](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−9]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−9]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例10)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステル1.6BG)1.74gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−10]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−10]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−10]を調製した。
収量:1.87g、収率:96%.
比表面積(BET簡易法):24m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.7nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−10](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−10]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−10]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例11)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステルNP)1.74gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−11]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−11]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−11]を調製した。
収量:1.84g、収率:95%.
比表面積(BET簡易法):11m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.7nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−11](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−11]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−11]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例12)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステル1.9ND)1.74gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−12]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−12]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−12]を調製した。
収量:1.88g、収率:97%.
比表面積(BET簡易法):0.55m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.7nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−12](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−12]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−12]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例13)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステルTMP)1.74gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−13]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−13]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−13]を調製した。
収量:1.85g、収率:95%.
比表面積(BET簡易法):42m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.7nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−13](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−13]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−13]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例14)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトアクリレートPE−4A)1.74gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−14]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−14]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−14]を調製した。
収量:1.82g、収率:93%.
比表面積(BET簡易法):7.2m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.7nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−14](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−14]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−14]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例15)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトアクリレートDPE−6A)1.74gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−15]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−15]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−15]を調製した。
収量:1.80g、収率:92%.
比表面積(BET簡易法):14m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.7nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−15](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−15]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−15]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例16)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、ライトエステルHX1.57g及びエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステルEG)(以下、「EG」と略す。)0.17gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−16]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−16]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−16]を調製した。
収量:1.87g、収率:96%.
比表面積(BET簡易法):1.1m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.4nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−16](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−16]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−16]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例17)
〔重合性化合物の合成〕
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
〔有機無機複合体の調製〕
ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、ライトエステルHX1.31g及びライトエステルEG0.43gを用いる以外は実施例4と同様にして、組成物[X−17]を調製した。
次に、組成物[X−1]を用いる代わりに、組成物[X−17]を用いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行い、有機無機複合体[P−17]を調製した。
収量:1.85g、収率:95%.
比表面積(BET簡易法):25m/g.
金属含有量:0.16mmol/g.
金属ナノ粒子の平均粒径(透過型電子顕微鏡分析):3.4nm
記載のない測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体[P−1](分級サイズ:75〜300μm)を用いる代わりに、有機無機複合体[P−17](分級サイズ:75〜300μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体[P−17]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体[P−17]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(比較例1)
実施例3と同様にして、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する重合性化合物[a−2]を得た。
続いて、ライトエステルHX1.74gを用いる代わりに、ライトエステルEG1.74gを用いる以外は実施例3と同様にして、比較用有機無機複合体[CP−1]を調製した(金属含有量:0.16mmol/g)。
実施例1と同様にして、反応溶液(Y1)に、比較用有機無機複合体[CP−1](分級サイズ:75〜300μm)41.0mg(Pd当量:6.5μmol)を加え、80℃で4時間、反応させた。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
しかしながら、比較用有機無機複合体[CP−1]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は3.5ppmであることが確認された。本比較例では、重合性組成物中に、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含んでいない。そのため、触媒反応において、反応系中への金属漏出が多く確認されたものと推察される。
以上の結果より、実施例3に示した方法により得られた有機無機複合体は、本比較例に示した方法により得られた比較用有機無機複合体[CP−1]と比べ、4−ブロモアセトフェノンのカップリング反応に対して、反応系中への金属漏出を抑制することができる優れた触媒であることは明らかである。
(比較例2)
重合性化合物[a−2]170mgを用いる代わりに、N,N−ジメチルエチレンジアミン63mgを用いる以外は実施例3と同様にして、比較用有機無機複合体[CP−2]を調製した(金属含有量:0.17mmol/g)。
実施例1と同様にして、反応溶液(Y1)に、比較用有機無機複合体[CP−2](分級サイズ:75〜300μm)38.0mg(Pd当量:6.5μmol)を加え、80℃で4時間、反応させた。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、65%の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
しかしながら、反応溶液からろ別した比較用有機無機複合体[CP−2]を、水、及びジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を行った場合、10%の反応率で、4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。本比較例では、ビニル基を有していないアミノ基含有化合物を用いて比較用有機無機複合体[CP−2]を調製したため、アミノ基含有化合物は共有結合により複合体中に固定されてはいない。そのため、1回目の触媒反応、及び、その後の洗浄操作により、初期仕込みの約80%のアミノ基含有化合物と、それに付随して約70%のパラジウムが複合体中から脱離したことが確認された。これが、2回目の触媒反応における反応率低下を引き起こした原因であると推察される。
以上の結果より、実施例3に示した方法により得られた有機無機複合体は、本比較例に示した方法により得られた比較用有機無機複合体[CP−2]と比べ、4−ブロモアセトフェノンのカップリング反応に対して、反応系中への金属漏出を抑制することができる優れた触媒であることは明らかである。
(比較例3)
実施例4と同様にして、重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、64個のウレア結合、及び64個のビニル基を有する。
続いて、ライトエステルHX1.31gを用いる代わりに、2−エチルヘキシルメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステルEH)1.31gを用いる以外は実施例17と同様にして、比較用有機無機複合体[CP−3]を調製した(金属含有量:0.16mmol/g)。
実施例1と同様にして、反応溶液(Y1)に、比較用有機無機複合体[CP−3](分級サイズ:75〜300μm)39.0mg(Pd当量:6.5μmol)を加え、80℃で4時間、反応させた。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、90%の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
しかしながら、比較用有機無機複合体[CP−3]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は5.5ppmであることが確認された。本比較例では、重合性組成物中に、分岐していてもよい炭素数4〜12個のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)は含んでなく、代わりに、分岐していてもよい炭素数4〜12個のアルキレン基を含むが、ビニル基を1個しか含まない重合性化合物を含んでいるのみである。そのため、触媒反応において、反応系中への金属漏出が多く確認されたものと推察される。
以上の結果より、実施例17に示した方法により得られた有機無機複合体は、本比較例に示した方法により得られた比較用有機無機複合体[CP−3]と比べ、4−ブロモアセトフェノンのカップリング反応に対して、反応系中への金属漏出を抑制することができる優れた触媒であることは明らかである。

Claims (13)

  1. 重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子との複合体であって、該重合性組成物(A)が、
    (1)アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、
    (2)分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)と、
    を含むことを特徴とする有機無機複合体。
  2. 前記重合性化合物(a)が、
    (1)3級アミノ基及び反応性官能基(Q)を有するデンドリマー(a1)、又は反応性官能基(Q)を有するポリエチレンイミン(a2)と、
    (2)該反応性官能基(Q)と反応可能な反応性官能基(Q)と、ビニル基とを有する化合物(a3)と、
    を反応して得た化合物である請求項1記載の有機無機複合体。
  3. 前記反応性官能基(Q)が、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基又はカルボキシ基であり、前記反応性官能基(Q)が、イソシアナト基、エポキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、カルボキシ基又はハロゲン化アシル基である請求項2記載の有機無機複合体。
  4. 前記デンドリマー(a1)が、
    式(1)
    Figure 0005793949
    (式(1)中、xは1〜10の整数である。)
    又は式(2)
    Figure 0005793949
    (式(2)中、yは1〜10の整数である。)
    で表される構造を繰り返し単位とする請求項2又は3に記載の有機無機複合体。
  5. 前記重合性化合物(b)が、炭素数4〜12のアルキレン基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の有機無機複合体。
  6. 前記金属がパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、及びレニウムから選択される1種以上からなる金属である請求項1〜5のいずれか1つに記載の有機無機複合体。
  7. 多孔質体構造である請求項1〜6のいずれか1つに記載の有機無機複合体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の有機無機複合体を用いたことを特徴とする触媒。
  9. クロスカップリング反応において使用する請求項8に記載の触媒。
  10. (1)アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含む重合性組成物(A)、金属化合物(c)並びに溶剤(M)とを混合した組成物(X)を調製し、該組成物(X)を重合させると同時に金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、溶剤(M)を除去する工程(α−1)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法。
  11. 前記工程(α−1)を行なった後、該工程(α−1)で得られた有機無機複合体を、還元剤(d)を含む溶液(H)に接触させ、その後、該有機無機複合体を溶液(H)から分離する工程(α−2)を行なう請求項10に記載の有機無機複合体の製造方法。
  12. (1)アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含む重合性組成物(A)並びに溶剤(M)とを混合した組成物(Y)を調製し、該組成物(Y)を重合させた後、溶剤(M)を除去する工程(α−3)、
    (2)前記重合体(P)を、金属化合物(c)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(c)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程(α−4)、
    (3)前記金属化合物(c)を含む重合体(P)を、還元剤(d)を含む溶液(H)に接触させることにより金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程(α−5)を順次行なう、
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法。
  13. (1)アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と、分岐していてもよい炭素数4〜12のアルキレン基及び2個以上のビニル基を有する重合性化合物(b)を含む重合性組成物(A)、金属化合物(c)、還元剤(d)、並びにこれらと相溶する溶剤(Q)とを混合した組成物(Z)を調製し、該組成物中の金属化合物(c)を還元し、金属ナノ粒子を生成させる工程(α−6)、
    (2)前記金属ナノ粒子を含む組成物、及びこれと相溶する溶剤(R)とを混合した組成物(V)を調製し、該組成物(V)を重合させ、金属ナノ粒子を含む重合体(P)を生成し、その後、溶剤(Q)及び(R)を除去する工程(α−7)を順次行う有機無機複合体の製造方法であって、
    溶剤(Q)と溶剤(R)が混合された混合溶剤が、該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解または膨潤させないことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法。
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