JP5786491B2 - Egrクーラー用フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等に設置されるEGRクーラーに用いて好適なフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環装置)は、エンジンから排出される排気ガスの一部をエンジンの吸気系に戻し、空気とミックスさせてエンジンの燃焼室に供給するシステムのことをいう。このEGRは、例えば、ディーゼルエンジンでは、吸気中の酸素濃度を低下することで、燃焼時の最高温度を低くし、窒素酸化物NOxの生成量を減少させることができる。また、ガソリンエンジンでは、吸気中の酸素濃度の低下は、スロットルを絞ったときと同じ状況となるため、スロットルを開いてポンピングロス(エンジンが空気を吸込む時の抵抗)を低減することで、燃費を向上することができる。そのため、近年では、各種自動車のエンジンにEGRが設置されるようになってきている。
しかし、EGR設置による吸気中の酸素濃度の低下は、燃焼が不安定となり易いので、空燃費を精密に制御することが必要となり、エンジン内に送り込む排気ガス量の制御が重要となる。そこで、排気ガスの体積をコントロールするため、排気ガスを一定温度に冷却するEGRクーラーの採用が進んでいる。
このEGRクーラーは、熱交換によって排気ガス温度を低下させるものであり、EGRクーラーの熱交換部材は、一方の面は800℃以上の高温の排気ガスと、他方の面は冷媒(冷却液)と常に接触している状態にある。そのため、EGRクーラーの熱交換部材は、高温での酸化と、加熱・冷却に伴う熱応力歪みを常に繰り返して受けるという厳しい使用環境に置かれている。
このような環境下で使用されるEGRクーラーの素材としては、従来、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼が主に使用されてきた。しかしながら、オーステナイト系ステンレス鋼は、
(1)高価なNiを多量に含有しているため、高価である。
(2)熱膨張係数が高く、製造時、特に溶接やろう付け等において、熱歪みを生じて組立て後の製品が変形したり、部品の寸法精度が悪化したりする。
(3)EGRクーラー内の冷却側には冷却液が流れているものの、排気ガスに直接接する側は高温に曝されるため、鋼板表面に酸化スケールが生成し、そのスケールが剥離しやすい。
という問題がある。
上記の中でも(3)の問題は、排気ガス経路で生成した酸化スケールが剥離し、それがEGRクーラー内に蓄積されると、クーラーの機能低下を引き起こしたり、さらに、剥離したスケールがエンジンにまで到達すると、予期せぬエンジントラブルを引き起こしたりするため、重要な解決課題となってきている。特に近年では、燃費向上、エミッション削減要求に対応するため、排気ガスの温度は高くなる一方であり、このスケール剥離問題の解決は急務である。そこで、酸化スケールの耐剥離性に優れ、かつ、Niを含まない安価なフェライト系ステンレス鋼の開発が望まれている。
EGRクーラーに使用されるフェライト系ステンレス鋼としては、幾つかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、Cr:23.0〜33.0wt%、Mo:0.55〜4.0wt%、C:0.01wt%以下、N:0.015wt%以下、Si:0.4wt%以下、Mn:0.4%wt以下、P:0.03wt%以下、S:0.02wt%以下を基本成分とするスーパーフェライトステンレス鋼が、特許文献2には、質量%で、C:0.03%以下、Mn:0.1〜2%、Cr:10〜25%、Nb:0.3〜0.8%を基本成分とするフェライト系ステンレス鋼が、特許文献3には、質量%で、C:0.03%以下、N:0.05%以下、C+N:0.015%以上、Si:0.02〜1.5%、Mn:0.02〜2%、Cr:10〜22%、Nb:0.03〜1%、Al:0.5%以下を含有し、更に、Tiを適正範囲で添加したフェライト系ステンレス鋼が、また、特許文献4には、質量%で、C:0.03%以下、Si:3%以下、Mn:2%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Cr:11〜30%、Nb:0.15〜0.8%、N:0.03%以下を基本成分とするフェライト系ステンレス鋼が開示されている。しかし、これらの技術は、いずれも熱疲労特性を改善したり、Niろう付け性を改善したりすることを目的とする技術であり、酸化スケールの耐剥離性改善については十分な検討がなされていない。
また、非特許文献1には、耐熱用フェライト系ステンレス鋼において、Mnを高めることで、耐スケール剥離性を著しく改善した自動車のエキゾーストマニホールドに用いるフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
特開2003−222498号公報 特開2009−174040号公報 特開2009−174046号公報 特開2009−299182号公報
奥、中村、植松、「耐熱用フェライト系ステンレス鋼 NSSEM−2の開発」、日新製鋼技報,No.71(1995),p.70、図5
上記非特許文献1では、900℃あるいは1000℃の高温から自然冷却(空冷)することで酸化スケールの耐剥離性を評価している。しかしながら、EGRクーラーの熱交換部材は、一方の面が冷却液に接しているため、急速冷却を受けると考えられる。そこで、発明者らが、Mnを添加した鋼について、高温から急速冷却したときの酸化スケールの耐剥離性を評価したところ、却ってスケール剥離量が増加することが明らかとなった。
また、EGRクーラーの組立ては、一般に、耐高温酸化性や高温強度に優れるNiろう付けで行われるため、EGRクーラー用素材には、Niろう付け性(濡れ性)やろう付け部の強度や靭性に優れることに加えて、排気ガス中のSOやNOxを多く含む凝結水に対する、ろう付け部の耐食性に優れていることが求められる。
そこで、本発明の目的は、高温から急速冷却を受ける場合でも、高温時に生成した酸化スケールが剥離することがなく、かつ、ろう付け部の耐食性にも優れるEGRクーラー用フェライト系ステンレス鋼を提供することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて、酸化スケールの剥離性に及ぼす鋼の成分組成の影響に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、耐スケール剥離性を改善するためには、基本的に酸化スケールの生成量自体を抑制することが必要であること、そのためには、低Mn化した上で、CrとSiの含有量を適正範囲に制御することが有効であること、また、ろう付け部の耐食性を向上するためには、NbでC,Nを十分に固定した上で、MnとSの含有量を適正範囲に制御する必要があることを見出し、本発明を完成させた。
上記知見に基づく本発明は、C:0.02mass%以下、Si:0.3〜2mass%、Mn:0.45mass%未満、P:0.040mass%以下、S:0.001mass%超え0.005mass%以下、Al:0.01〜0.1mass%、N:0.02mass%以下、Cr:14〜30mass%、Nb:0.3mass%以上かつ15(C(mass%)+N(mass%))以上1.0mass%以下、Ti:0.01mass%以下を含有し、かつ、CrとSi、および、MnとSが、下記(1)および(2)式を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるEGRクーラー用フェライト系ステンレス鋼である。

Cr+6Si:18〜30mass% ・・・(1)
Mn×S≦0.0005 ・・・(2)
(ただし、上記式中の元素記号はその元素の含有量(mass%)を示す。)
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.6mass%以下を含有することを特徴とする。
また、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記成分組成に加えてさらに、Mo:2mass%以下を含有することを特徴とする。
本発明によれば、高温から急冷される場合でも酸化スケールの耐剥離性に優れるフェライト系ステンレス鋼を提供することができる。また、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、耐スケール剥離性に優れるだけでなく、多量のNiを含有していないため安価であり、しかも、ろう付け性やろう付け部の耐食性にも優れているので、EGRクーラーに好適に用いることができる。
まず、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
上述したように、EGRクーラーの熱交換部分は、排気ガスと接する面は高温に加熱されるが、その反対面は冷却液によって冷却されている。そのため、例えば、エンジンが停止した時等には、排気ガスと接する面は、高温状態から急速冷却されるものと考えられる。そして、鋼表面に生成した酸化スケールは、素材との間の熱膨張係数の違いから大きな熱歪みを生じ、剥離を引き起こす。
そこで、非特許文献1の技術は、上記スケール剥離の問題を、Mnを0.8mass%以上添加し、素材と酸化スケールCrの界面にMnCrを生成させることによって熱歪みを緩和するとともに、鋼素地表面の凹凸を大きくすることによって、スケールの剥離を抑制している。しかし、Mnは、酸化スケールの生成を助長する元素であり、Mn添加により厚く生成する酸化スケールは、EGRクーラーの使用環境下では必ずしも十分な耐剥離性を有していない可能性がある。
そこで、発明者らは、酸化スケールを生成させた後の冷却条件(冷却速度)を変えて、酸化スケールの耐剥離性を調査した。
実験は、表1に示した成分組成の異なる3種類の鋼板から、板厚:1.5mm×幅:20mm×長さ:40mmの試験片を採取し、各試験片を大気雰囲気中で、950℃×100hr加熱して試験片表面に酸化スケールを生成させた後、冷却速度を、
(i)自然冷却(空冷)する場合と、
(ii)アルゴンガスを10L/minで吹き付けて急冷する場合、
の2水準に振り分けて冷却した。
その後、各試験片の表面を目視観察し、スケール剥離の痕跡有無を確認すると共に、冷却時に剥離した酸化スケールを回収して、その質量を測定し、単位表面積当たりの剥離量を求め、剥離の痕跡がなくかつスケール剥離量が1.0mg/cm以下のものを耐スケール剥離性が良(○)、剥離の痕跡が視認されるおよび/またはスケール剥離量が1.0mg/cm超えのものを耐スケール剥離性が劣(×)と評価した。なお、各水準とも、n数を2として行い、1つでも上記×に該当するものは、×と評価した。
Figure 0005786491

上記試験の結果を、表1中に併記した。この結果から、従来のSUS304鋼やSUS430LX鋼では、空冷、急冷条件のいずれの場合でも、耐スケール剥離性が劣る(×)こと、また、SUS430LXにMnを1.0mass%添加した鋼は、空冷条件では耐スケール剥離性が良好(○)ではあるものの、急冷条件では耐スケール剥離性が劣(×)るという結果が得られた。
上記の結果は、酸化スケールの生成量を増大させるMn添加は、EGRクーラーのように急速冷却されて大きな熱応力が発生する使用環境では、耐スケール剥離性を改善する効果が小さいこと、したがって、耐スケール剥離性を改善するには、酸化スケールの生成自体を抑制するのが最も有効であることを示している。そこで、発明者らは、高温酸化雰囲気における酸化スケールの生成量を低減するべく検討を重ねた結果、CrとSiの含有量を、後述する関係式を満たして含有させてやる必要があることを見出した。
また、発明者らは、ろう付け部の耐食性が低下する原因について調査した。その結果、ろう付け部の耐食性の低下は、ろう付け時の加熱によりCとNが鋼中のCrと結び付くことでCr欠乏層が生じて粒界腐食を生じること、および、MnとSは、MnSを形成して孔食等の起点となることに起因すること、したがって、ろう付け部の耐食性を向上させるには、Nbを所定量以上添加してC,Nを十分に固定した上で、MnとSの含有量(mass%)の積(Mn×S)を所定値以下に制御する必要があることを見出した。
以下、本発明のフェライト系ステンレス鋼が有すべき成分組成について具体的に説明する。
C:0.02mass%以下
Cは、ろう付け後の冷却時にCrと結合してCr欠乏層を形成し、耐粒界腐食性を害したり、Nbと結合して鋼中に添加されたNbを消費したり、鋼の溶接性や加工性に悪影響を及ぼしたりする成分であるため、低いほど望ましい。そこで、本発明では、Cは0.02mass%以下とする。好ましくは、0.005mass%以下である。
Si:0.3〜2mass%
Siは、鋼の脱酸材として添加されるが、高温酸化特性を改善すると共に、生成した酸化スケールの耐剥離性を改善するのに極めて有効な成分でもあるため、本発明では必須の添加元素として0.3mass%以上含有させる。スケールの耐剥離性をより改善するためには0.5mass%以上が好ましく、さらに好ましくは0.8mass%以上である。しかし、2mass%を超える添加は、鋼を硬質化し、加工性を著しく害するようになるので上限は2mass%とする。
Mn:0.45mass%未満
Mnは、高温酸化雰囲気では、MnCr等の中間酸化物等を生成し、酸化増量を高める元素であり、大きな熱歪みが発生しない空冷程度の冷却速度では、スケールの耐剥離性を改善する効果がある。しかし、酸化スケールと素材との間に大きな熱歪みが発生する急速冷却を受ける場合には、Mnの添加は、却って耐スケール剥離性に悪影響を及ぼす。よって、本発明では、Mnは0.45mass%未満に制限する。好ましくは0.30mass%以下、より好ましくは0.25mass%以下である。
P:0.040mass%以下
Pは、1100℃程度の温度で行われるNiろう付け後の冷却時に粒界に濃縮し、耐食性を低下させる有害な成分であるため、低いほど望ましく、本発明では0.040mass%以下とする。好ましくは0.030mass%以下である。
S:0.001mass%超え0.005mass%以下
Sは、MnとMnSを形成し、耐食性に悪影響を及ぼす成分であり、低いほど望ましく、本発明では0.005mass%以下とする。しかし、Sの過剰な低減は、製鋼コストの上昇を招くので、下限は0.001mass%超えとする。
Al:0.01〜0.1mass%
Alは、脱酸材として添加される成分である。また、溶接ビード表面を強固なAl酸化膜で覆い、外部からの酸素の侵入を遮断する効果があるため、0.01mass%以上添加する必要がある。しかし、0.1mass%超える添加は、上記酸化膜によってNiろうの濡れ性が低下するようになるので、0.1mass%を上限とする。
N:0.02mass%以下
Nは、Cと同様、ろう付け後の冷却時にCrと結合してCr欠乏層を形成し、耐粒界腐食性を害したり、Nbと結合して鋼中に添加されたNbを消費したり、鋼の溶接性や加工性に悪影響を及ぼしたりする成分であるため、低いほど望ましい。そこで、本発明では、Nは0.02mass%以下とする。
Cr:14〜30mass%
Crは、ステンレス鋼としての耐食性を確保するため、14mass%以上の添加を必要とする。しかし、30mass%を超える添加は、加工性を害するようになる。よって、Crは14〜30mass%の範囲とする。好ましくは15〜23mass%の範囲である。
Nb:0.3〜1.0mass%、かつ、Nb≧15(C+N)
Nbは、炭窒化物を形成してろう付け時の加熱による結晶粒の粗大化を抑制して鋼の強度、靭性を確保したり、鋼の高温強度を高めたりするのに有用な元素であり0.3mass%以上の添加を必要とする。しかし、1mass%を超える添加は、鋼が脆化するので好ましくない。よって、Nbは0.3〜1.0mass%の範囲とする。
なお、Nbは、上述した効果の他に、CやNを固定し、Crと結合してCr欠乏層が形成され、鋭敏化するのを抑制することにより、ろう付け後の粒界腐食を防止する効果がある。斯かる効果を得るためには、Nbは15(C+N)以上(ただし、C,Nはmass%)添加する必要がある。好ましくは25(C+N)以上、さらに好ましくは50(C+N)以上である。
Ti:0.01mass%以下
Tiは、Nbと同様、C,Nを固定する効果のある元素であるが、易酸化成分でもあるため、ろう付け時に強固な酸化皮膜を形成してろう付け性、特に、Niろうの濡れ性を著しく低下させる。そのため、Tiは低いほど望ましく、本発明では上限を0.01mass%とする。好ましくは0.005mass%以下である。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記成分組成を満たしていることの他に、CrとSiおよびMnとSが、下記(1)式および(2)式を満たして含有していることが必要である。
Cr+6Si:18〜30mass% ・・・(1)
EGRクーラーの使用環境のように、950℃程度の高温から急冷を受ける際の酸化スケールの耐剥離性をより改善するためには、CrとSiを、(Cr+6Si)≧18mass%(ただし、Cr,Siはmass%)を満たして含有させる必要がある。(Cr+6Si)が18mass%未満では、耐酸化性不足のためスケール厚が増大するからである。しかし、(Cr+6Si)が30mass%を超えると、鋼の脆化が著しくなる。よって、本発明では、Cr+6Siは18〜30mass%の範囲とする。なお、1000℃から急冷されるEGRクーラーの場合には、Cr+6Siは20mass%以上が好ましく、22mass%以上がより好ましい。
Mn×S≦0.0005 ・・・(2)
MnおよびSは、MnSを形成し、耐食性に悪影響を及ぼす成分であり、両元素とも、できる限り低減することが望ましい。よって、本発明では、MnとSの含有量(mass%)の積を0.0005以下に制限する。好ましくは、0.0003以下である。
また、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記成分組成に加えてさらに、CuおよびNiのうちから選ばれる1種または2種を下記の範囲で添加することができる。
Cu:0.6mass%以下、Ni:0.6mass%以下
CuおよびNiは、鋼の耐食性を改善する効果があるため添加することができる。しかし、Cu,Niは、いずれも0.6mass%を超えて添加すると、耐食性改善効果が飽和するため、上限は、それぞれ0.6mass%として添加するのが好ましい。
また、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記成分組成に加えてさらに、Moを下記の範囲で添加することができる。
Mo:2mass%以下
Moは、鋼の耐食性向上に大きな効果があるため、必要に応じて添加することができる。しかし、2mass%を超える添加は、加工性が著しく低下するため、上限を2mass%として添加するのが好ましい。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の効果を害しない範囲であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。
なお、本発明のフェライト系ステンレス鋼の製造方法は、鋼の成分組成を上記範囲に制御すること以外は、通常公知のフェライト系ステンレス鋼の製造方法で製造することができ、特に制限はない。
表2に示した成分組成の鋼を溶製し、鋼スラブとした後、熱間圧延し、冷間圧延して板厚:1.5mmの冷延板とし、仕上焼鈍して、冷延焼鈍板とした。その後、これらの冷延焼鈍板から、試験片を採取し、下記の高温酸化試験および耐食性試験に供した。
<高温酸化試験>
上記各冷延焼鈍板から、板厚×幅:20mm×長さ:40mmの試験片を採取し、これらの試験片を、大気雰囲気の炉中で、950℃×100時間保持する高温酸化試験を行った後、試験片を炉外に取り出して、自然冷却(空冷)する、あるいは、10L/分でアルゴンガスを吹き付け冷却(急冷)した後、目視観察でスケール剥離の痕跡有無を確認すると共に、冷却時に剥離したスケールを回収してスケール剥離量を測定した。その結果、スケール剥離の痕跡なし、かつ、スケール剥離量が1.0mg/cm以下のものを、耐スケール剥離性が良好(○)、スケール剥離の痕跡ありおよび/またはスケール剥離量が1.0mg/cm超えのものを、耐スケール剥離性が不良(×)と評価した。なお、試験したn数は、各鋼板とも2とし、1つでも×に該当するものがあれば、×と評価した。
<耐食性試験>
上記各冷延焼鈍板から、板厚×幅:20mm×長さ:40mmの試験片を採取し、これらの試験片に、ろう付け時の熱履歴を模擬して、真空雰囲気下で1100℃×10min加熱後、空冷する熱処理を施した。次いで、これらの試験片をJIS Z2371に準じた中性塩水噴霧試験(NSS)に供した後、試験片表面に生じた錆の発生状況を目視観察し、発錆なしのものを耐食性優(◎)、発錆面積率が10%以下のものを耐食性良(○)、発錆面積率が10%超えのものを耐食性劣(×)と評価した。
Figure 0005786491
上記測定の結果を表2中に併記した。この結果から、本発明の成分組成を満たす鋼は、いずれも耐スケール剥離性および耐食性に優れていることが確認された。
本発明フェライト系ステンレス鋼は、耐スケール剥離性やろう付け性およびろう付け後の耐食性にも優れているので、EGRクーラー用の他、EGRパイプや熱交換器部品にも好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. C:0.02mass%以下、
    Si:0.3〜2mass%、
    Mn:0.45mass%未満、
    P:0.040mass%以下、
    S:0.001mass%超え0.005mass%以下、
    Al:0.01〜0.1mass%、
    N:0.02mass%以下、
    Cr:14〜30mass%、
    Nb:0.3mass%以上かつ15(C(mass%)+N(mass%))以上1.0mass%以下、
    Ti:0.01mass%以下を含有し、かつ、CrとSi、および、MnとSが、下記(1)および(2)式を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるEGRクーラー用フェライト系ステンレス鋼。

    Cr+6Si:18〜30mass% ・・・(1)
    Mn×S≦0.0005
    ・・・(2)
    (ただし、上記式中の元素記号はその元素の含有量(mass%)を示す。)
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.6mass%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載のEGRクーラー用フェライト系ステンレス鋼。
  3. 上記成分組成に加えてさらに、Mo:2mass%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のEGRクーラー用フェライト系ステンレス鋼。
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