JP5785861B2 - 難燃粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は難燃粘着シートに関するものである。詳細には、優れた難燃性と粘着力を兼ね備えた薄膜の難燃粘着シートに関するものである。
電子部品関係や電子機器関連、航空機、原子力発電所など、様々な分野で使用される部材には難燃性が要求されている。これに伴い、これら部材を固定する粘着テープ又はシートにも、UL94規格におけるVTM−0レベルの高い難燃性が求められている。
また、近年、電子部品関係や電子機器関連においては製品の小型化が望まれており、これに関連して、該製品に使用される部材の接合、又は加工時の一時的な接着等に用いられる粘着テープ又はシートの薄膜化も望まれている。
粘着テープまたはシートの難燃性を向上させるためには、一般に、粘着剤組成物に対して各種難燃剤を含有させる方法が採用されている。かかる難燃剤としては、臭素や塩素などを含有するハロゲン系難燃剤が一般的であった。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にハロゲン含有ガスが発生するため、人体や環境に有害であるという問題がある。
そこで、上記問題を解決するべく、非ハロゲン系難燃剤であるリン酸エステル系難燃剤を配合した粘着剤組成物を用いた難燃粘着テープが提案されている(特許文献1、2)。
特許文献1には、基材の少なくとも片面に、リン酸エステル系難燃剤(α)とメラミン系樹脂粒子(β)を含む粘着剤層が設けられてなる難燃性粘着テープであって、該粘着剤層中のベースポリマー100重量部に対して上記(α+β)が45〜250重量部、かつ(α/β)が0.2〜5となるように、リン酸エステル系難燃剤(α)及びメラミン系樹脂粒子(β)が配合されてなる難燃性粘着テープが開示されている。
また、特許文献2には、基材の少なくとも片面に、芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤(α)とリン酸エステル(β)を含む粘着剤層が設けられてなる難燃性粘着テープであって、該粘着剤層中のベースポリマー100重量部に対して上記(α+β)が45〜250重量部、かつ(α/β)が0.3〜3となるように、芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤(α)及びリン酸エステル(β)が配合されてなる難燃性粘着テープが開示されている。
特許3983889号公報 特許3983890号公報
しかしながら、難燃性を向上させるために難燃剤を増量すると、粘着力が著しく低下するという問題がある。特許文献1及び2に開示されたリン酸エステル系難燃剤を用いた難燃性粘着テープにおいても、難燃性と粘着力との良好なバランスを取ることは容易ではない。
また、粘着テープ又はシートの粘着力は、形成される粘着剤層の厚さに依存する。ラベル、テープ等に使用されている粘着シートにおける粘着剤層の厚さは様々な目的に合わせて設定されるが、十分な粘着力を発現させる観点から、該粘着剤層の厚みを7μm以下にすることはあまり行われていない。粘着シートを薄膜化するために粘着剤層の厚みを薄くすると、十分な粘着力を確保することが非常に困難となる。
本発明は、このような背景の下、粘着剤層を薄膜化し、かつ該粘着剤層を構成する粘着剤に難燃剤を含有させた粘着シートにおいても、優れた難燃性と粘着力を両立できる、薄膜の難燃粘着シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、難燃性基材の少なくとも片面に特定範囲の厚みの粘着剤層を有する粘着シートにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤に、該粘着剤層の厚みに対し特定の割合で難燃剤を含有させることで、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[15]を提供するものである。
[1]基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する難燃粘着シートであって、前記基材が、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有し、前記粘着剤層の片面あたりの厚みが0.6μm以上でかつ該粘着剤層の総厚みが7.0μm以下であり、該粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)アクリル系共重合体、(B)ウレタン樹脂、及び(C)難燃剤を含有し、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量が0.1〜40質量%であり、かつ、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量をWc(質量%)、粘着剤層の総厚みをT(μm)とした場合に、[T/Wc]の値が0.07〜0.45である難燃粘着シート。
[2]上記(B)ウレタン樹脂が、(b1)ポリオールと(b2)多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、(b3)鎖延長剤を反応させて得られるものであり、(b3)鎖延長剤が、(b4)水酸基及び/又はアミノ基を2つ有する化合物及び(b5)水酸基及び/又はアミノ基を3つ以上有する化合物を含有し、(b4)成分と(b5)成分とを質量比〔(b4)/(b5)〕で70/30〜100/0の割合で反応させてなるウレタン樹脂である、上記[1]に記載の難燃粘着シート。
[3]基材が、ハロゲン系難燃剤を含有しない基材である、上記[1]又は[2]に記載の難燃粘着シート。
[4]基材が、いずれの難燃剤も含有しない基材である、上記[3]に記載の難燃粘着シート。
[5]基材が、ポリイミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及びポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる基材、及びこれらの樹脂がシートにコートされてなる基材からなる群から選ばれる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の難燃粘着シート。
[6](b1)ポリオールが、重量平均分子量1,000〜3,000のグリコールである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の難燃粘着シート。
[7]粘着剤層を構成する粘着剤が、さらに(D)架橋剤を含有し、かつ(A)アクリル系共重合体が、該(D)架橋剤と反応しうる架橋性官能基を有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の難燃粘着シート。
[8]架橋性官能基が、カルボキシル基及び/又は水酸基である、上記[7]に記載の難燃粘着シート。
[9](D)架橋剤が、イソシアネート系架橋剤である、上記[7]又は[8]に記載の難燃粘着シート。
[10](A)アクリル系共重合体と(B)ウレタン樹脂との質量比〔(A)/(B)〕が、1/99〜40/60である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の難燃粘着シート。
[11](A)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が、30万〜150万である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の難燃粘着シート。
[12](C)難燃剤が、非ハロゲン系難燃剤である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の難燃粘着シート。
[13]非ハロゲン系難燃剤が、リン系難燃剤である、上記[12]に記載の難燃粘着シート。
[14]リン系難燃剤が、25℃で液状のリン系難燃剤である、上記[13]に記載の難燃粘着シート。
[15]前記基材の片面にのみ前記粘着剤層を有する、上記[1]〜[14]に記載の難燃粘着シート。
本発明の難燃粘着シートは、粘着剤層を薄膜化し、かつ粘着剤層を構成する粘着剤に難燃剤を含有させた場合でも十分な粘着力を有する。したがって、本発明によれば、優れた難燃性及び粘着力を兼ね備えた薄膜の難燃粘着シートを提供することができる。
本発明の難燃粘着シートの構成の一態様を示す難燃粘着シートの断面図である。
本発明の難燃粘着シートは、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する難燃粘着シートであり、該難燃粘着シートの構成は、基材の片面又は両面に粘着剤層を有していれば特に限定されない。
図1は、本発明の難燃粘着シートの構成の一態様を示す図である。本発明の難燃粘着シートの構成は、図1(a)のように、基材11の片面に粘着剤層12aを有する難燃粘着シート1aに限らず、図1(b)のように、基材11の片面に形成された粘着剤層12aの上に、更に剥離シート13aが積層された難燃粘着シート1bであってもよい。
また、本発明の難燃粘着シートは、図1(c)のように、基材11の両面に粘着剤層12a、12bを有する難燃粘着シート1cであってもよく、該粘着剤層12a、12bのそれぞれの上に、更に剥離シート13a、13bが積層された難燃粘着シートであってもよい。なお、図1(c)において、剥離シート13a、13bの表示は省略する。
[基材]
本発明の難燃粘着シートに用いられる基材は、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有するものであればよい。本発明において、「UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合」とは、アンダーラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の難燃性試験規格UL94の薄手材料垂直燃焼試験方法に準ずる試験において、VTMランクがVTM−0と判定されるものであることをいう。
このような基材としては、樹脂単体で難燃性を有する樹脂からなる基材、難燃剤を含有させた樹脂からなる基材、上記樹脂がシートにコートされてなる基材、ならびに金属箔等を用いることができる。本発明においては、樹脂製の基材を用いることが好ましい。
樹脂単体で難燃性を有する樹脂としては、ポリエーテルイミド樹脂やポリフェニレンエーテルイミド樹脂等のポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
難燃剤を含有させた樹脂からなる基材に用いられる樹脂としては、上記樹脂単体で難燃性を有する樹脂のほか、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、EVA樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエン樹脂(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、ポリスチレン−ポリカーボネートアロイ樹脂、ポリスチレン−ABSアロイ樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系化合物、メラミン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、グアニジン系化合物等の有機系難燃剤や、アンチモン系化合物、金属水酸化物等の無機系難燃剤が挙げられる。上記難燃剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記した樹脂単体で難燃性を有する樹脂や、難燃剤を含有させた樹脂がシートにコートされてなる基材を用いてもよい。該シートとしては、例えば、シート状のプラスチック、含浸紙等の紙、織布、不織布等が挙げられる。
上記基材のうち、難燃性の観点から、ポリイミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又はポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる基材、又はこれらの樹脂が前記シートにコートされてなる基材であることが好ましい。
また、環境対応の観点から、ハロゲン系難燃剤を実質的に含有しない基材が好ましく、いずれの難燃剤も実質的に含有しない基材を用いることがより好ましい。
本発明の難燃粘着シートに用いられる基材の具体的な製品例としては、ルミラーZV10(商品名、ポリエチレンテレフタレートフィルムにポリイミド樹脂をコートしたフィルム、東レ株式会社製)、トレリナ(商品名、ポリフェニレンサルファイド樹脂フィルム、東レ株式会社製)、ミクトロン(商品名、ポリアラミド樹脂フィルム、東レ株式会社製)、カプトン(商品名、ポリイミド樹脂フィルム、東レ・デュポン株式会社製)、スペリオUT(商品名、ポリエーテルイミド系樹脂フィルム、三菱樹脂株式会社製)、ダイアラミー(商品名、難燃剤含有ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、三菱樹脂株式会社製)等が挙げられる。
また、LAXRONポリカSDB−3(商品名、難燃剤含有ポリカーボネート樹脂フィルム、トキワ電気株式会社製)、サンロイドバリア(商品名、ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム、住友ベークライト株式会社製)、サンロイドエコシートポリカ(商品名、ノンハロゲン難燃剤含有ポリカーボネート樹脂フィルム、住友ベークライト株式会社製)、ウルテム(商品名、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、旭硝子株式会社製)、レキサン(商品名、ポリカーボネート系樹脂シート、旭硝子株式会社製)、バロックス(商品名、ポリブチレンテレフタレート系樹脂フィルム、旭硝子株式会社製)、セフティーフィルム(商品名、ポリエチレン系樹脂フィルム、大井田工業株式会社製)等が挙げられる。なお、これらの製品例に限定されるわけではない。
基材の厚さは、難燃粘着シートの用途に応じて適宜決定されるが、通常は1〜100μmであり、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜80μmである。
[粘着剤層]
本発明の難燃粘着シートは、上記基材の少なくとも片面に粘着剤層を有するものである。
本発明の難燃粘着シートにおいて、難燃性及び粘着力の両立の観点から、粘着剤層の片面あたりの厚みは0.6μm以上であり、かつ該粘着剤層の総厚みは7.0μm以下である。粘着剤層の片面あたりの厚みが0.6μm未満であると十分な粘着力が得られず、また該粘着剤層の総厚みが7.0μmを超えると、十分な難燃性が得られない。
なお、本発明において「粘着剤層の片面あたりの厚み」とは、基材の片面又は両面に設けられる粘着剤層のそれぞれの厚み(図1(a)〜(c)のZ1、Z2の各々)を示し、「粘着剤層の総厚み」とは、基材の片面又は両面に設けられる粘着剤層の合計の厚み(例えば、図1(a)及び(b)ではZ1であり、図1(c)ではZ1+Z2である)を示す。なお、Z1とZ2は同じでもよく、異なっていてもよい。
基材の片面にのみ粘着剤層が設けられる場合は、粘着剤層の片面あたりの厚みは、0.6μm以上であり、好ましくは0.8〜6.0μm、より好ましくは1.0〜5.0μmである。
基材の両面に粘着剤層が設けられる場合は、粘着剤層の片面あたりの厚みは、0.6μm以上であり、好ましくは0.8〜3.5μm、より好ましくは1.0〜3.0μmである。また粘着剤層の総厚みは、7.0μm以下であり、好ましくは0.8〜6.0μm、より好ましくは1.0〜5.0μmである。
また、本発明の難燃粘着シートは、粘着剤層を構成する粘着剤中の(C)難燃剤の含有量が0.1〜40質量%であり、かつ、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量をWc(質量%)、粘着剤層の総厚みをT(μm)とした場合に、[T/Wc]の値が0.07〜0.45であることを特徴とする。[T/Wc]の値が0.07未満であると、十分な粘着力が得られず、0.45を超えると、十分な難燃性が得られない。[T/Wc]の値は、0.08〜0.40であることが好ましく、0.10〜0.35であることがより好ましい。
<粘着剤>
本発明で用いられる粘着剤層を構成する粘着剤は、(A)アクリル系共重合体、(B)ウレタン樹脂、及び(C)難燃剤を含有し、必要に応じて、(D)架橋剤、その他の添加剤、及び有機溶媒等を含有することができる。以下、粘着剤中に含まれる各成分について説明する。
((A)アクリル系共重合体)
本発明で用いられる粘着剤は、(A)アクリル系共重合体を含有する。本発明において、(A)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルが主成分である単量体混合物を原料として、重合反応を経て得られるアクリル系共重合体である。そのため、用いる(A)アクリル系共重合体は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含む。
なお、以下の記載において、例えば「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味し、他の類似用語も同様である。
(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、(A)成分の全構成単位中、好ましくは70〜99.9質量%、より好ましくは80〜99.5質量%、更に好ましくは85〜99質量%、より好ましくは88〜95質量%である。
なお、(A)アクリル系共重合体の共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
上記アクリル系共重合体の主成分モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、2種以上組み合わせて用いる場合、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、アクリル酸ブチルの含有量が、用いる(メタ)アクリル酸エステル中、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
(A)アクリル系共重合体は、上記(メタ)アクリル酸エステルと、架橋性官能基を有する単量体とを含む単量体混合物を重合させてなる、架橋性官能基を有するアクリル系共重合体であることが好ましい。
ここでいう架橋性官能基とは、後述する(D)成分の架橋剤と反応し得る官能基であって、カルボキシ基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。これらの中でも、(D)成分の架橋剤との反応性の観点から、カルボキシ基、水酸基が好ましく、より高い粘着力を得られるという観点から、カルボキシ基がより好ましい。
架橋性官能基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピル等の(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル等が挙げられる。なお、これらの単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、架橋剤との反応性の観点、及び粘着剤層を薄膜化しても十分に高い粘着力を得る観点から、エチレン性不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸がより好ましい。
架橋性官能基を有する単量体の含有量は、粘着剤層を薄膜化した場合でも十分な粘着力を得る観点から、アクリル系共重合体の原料である単量体混合物中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜12質量%である。架橋性官能基を有する単量体の含有量が0.1質量%以上であれば十分な粘着力を得ることができ、20質量%以下であればゲル化を回避することができる。
(A)アクリル系共重合体は、構成単位として、上記以外の単量体(以下、他の単量体という)由来の構成単位を含んでもよい。
他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの単量体混合物から(A)アクリル系共重合体を得る方法は、特に限定されず、溶媒の存在下又は不存在下で、公知の重合方法により行うことができる。用いる溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、重合反応に際し、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤の配合量としては、単量体混合物100質量部に対し、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。
また、重合条件としては、特に限定されないが、重合温度50〜90℃で、反応時間2〜30時間の条件で行われることが好ましい。
このようにして得られる(A)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)としては、粘着性能等の向上の観点から、好ましくは30万〜150万、より好ましくは40万〜100万、更に好ましくは50万〜80万である。30万以上であれば、粘着剤層の凝集力が向上し、十分な粘着力が得られる。また、150万以下であれば、粘着剤層の弾性率が高くなりすぎず、粘着力の低下を抑えることができる。
なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値を意味し、具体的には実施例に記載の方法により測定された値を意味する(以下同じ)。
<(B)ウレタン樹脂>
本発明で用いられる粘着剤は、(B)ウレタン樹脂(以下、「(B)成分」ともいう)を含有する。(B)ウレタン樹脂を含有することで、粘着剤層を薄膜化しても十分に高い粘着力を得ることができる。
本発明において、(A)アクリル系共重合体と(B)ウレタン樹脂との質量比〔(A)/(B)〕は、適度な弾性率を有する粘着剤を得て、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、好ましくは1/99〜40/60、より好ましくは5/95〜30/70、更に好ましくは10/90〜25/75である。(B)成分に対する(A)成分の割合を示す当該質量比が1/99以上であれば、弾性率が低くなりすぎることによる粘着力の低下を回避することができ、40/60以下であれば、弾性率が高くなりすぎることによる粘着力の低下を回避することできる。
本発明で用いられる(B)ウレタン樹脂としては、(b1)ポリオールと(b2)多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、(b3)鎖延長剤を反応させて得られるウレタン樹脂が好ましい。
(b1)ポリオールとしては、分子内に2つ以上の水酸基を有する化合物を用いることができるが、ゲル化抑制の観点から、ジオールを用いることが好ましい。
(b1)ポリオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。なお、これらの(b1)ポリオールは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの(b1)ポリオールの中でも、得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーと(b3)鎖延長剤との反応においてゲル化を抑制する観点から、重量平均分子量1,000〜3,000の中分子量のグリコールが好ましい。
(b2)多価イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの(b2)多価イソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
これらの(b2)多価イソシアネート化合物の中でも、粘着剤としての物性の観点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート及びこれらの変性体から選ばれる1種以上が好ましく、耐候性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート及びこれらの変性体から選ばれる1種以上がより好ましい。
末端イソシアネートウレタンプレポリマーの調製方法としては特に制限されず、例えば、(b1)及び(b2)成分と、必要に応じて添加されるウレタン化触媒と、必要に応じて用いられる溶剤とを反応器に仕込んで反応させる方法等が挙げられる。
(b1)と(b2)成分の配合比は、末端をイソシアネート基とする観点から、NCO基/OH基(モル比)が、好ましくは1.1〜3.0、より好ましくは1.2〜2.5となるように配合して反応させることが好ましい。1.1以上であれば、ゲル化を避けることができるため、増粘する傾向を抑制することができる。一方、3.0以下であれば、末端イソシアネートウレタンプレポリマー中の未反応多価イソシアネート化合物濃度が高くなり過ぎず、後述する(b3)鎖延長剤との反応をスムーズに進行させることができる。
また、使用する(b1)及び(b2)成分の反応性や、(b3)鎖延長剤の配合量によって異なるが、末端イソシアネートウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量(NCO%)は、JIS K1603に準じて測定された値において、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜4質量%である。0.5質量%以上であれば、(b3)鎖延長剤との反応を十分に進行させることができ、12質量%以下であれば、(b3)鎖延長剤との反応を十分に制御することができる。
末端イソシアネートウレタンプレポリマー生成反応において使用される触媒としては、特に制限はないが、3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物、非錫系化合物が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルフィド、トリブチル錫スルフィド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキシド、トリブチル錫エトキシド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロリド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロリド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロリド等のチタン系化合物、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛系化合物、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネート等の鉄系化合物、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系化合物、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系化合物、ナフテン酸ジルコニウム等が挙げられる。
これらの触媒の中でも、DBTDL、2−エチルヘキサン酸錫、テトラブチルチタネートが好ましい。なお、これらの触媒は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
当該反応において用いる触媒の添加量としては、反応性の観点から、(b1)成分100質量部に対して、好ましくは0.0001〜1質量部、より好ましくは0.005〜0.1質量部である。
また、当該反応において必要に応じ用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
当該反応における反応温度は、好ましくは120℃以下、より好ましくは70〜100℃である。120℃以下であれば、アロハネート反応が進行を抑制し、所定の分子量と構造を有する末端イソシアネートウレタンプレポリマーを合成することができ、また、反応速度を十分制御することができる。なお、当該反応における反応時間は、例えば、反応温度を70〜100℃にした場合、好ましくは2〜20時間である。
以上のようにして得た末端イソシアネートウレタンプレポリマーは、(b3)鎖延長剤との鎖延長反応により、ウレタン樹脂となる。
(b3)鎖延長剤は、(b4)水酸基及び/又はアミノ基を2つ有する化合物及び(b5)水酸基及び/又はアミノ基を3つ以上有する化合物を含有し、(b4)成分と(b5)成分とを質量比〔(b4)/(b5)〕で70/30〜100/0の割合で反応させてなるものである。
(b4)成分としては、水酸基及び/又はアミノ基を2つ有する化合物であれば特に制限はないが、粘着力の低下をより防止できる観点から、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、アルカノールアミン、ビスフェノール、芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
(b5)成分としては、水酸基及び/又はアミノ基を3つ以上有する化合物であれば特に制限はないが、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、N−(2−ヒドロキシプロピルエタノールアミン)等のアミノアルコール、テトラメチルキシリレンジアミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
上記(b4)及び(b5)成分におけるアミノ基及び/又は水酸基は、イソシアネート基との反応性の観点から、1級アミノ基、2級アミノ基、又は1級水酸基であることが好ましい。
配合する(b4)成分と(b5)成分との質量比〔(b4)/(b5)〕は、70/30〜100/0であり、好ましくは75/25〜95/5、より好ましくは80/20〜90/10である。(b5)成分に対する(b4)成分の割合を示す当該質量比が70/30以上であれば、粘着剤層を薄膜化しても、粘着力の低下を抑えることができ、また、ウレタン樹脂を得る鎖延長反応の際、ゲル化を回避でき、所望の粘着剤を得ることができる。
鎖延長反応としては、例えば、(1)末端イソシアネートウレタンプレポリマーの溶液を反応器に仕込み、その反応器に鎖延長剤を滴下して反応させる方法、(2)鎖延長剤を反応器に仕込み、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの溶液を滴下して反応させる方法、(3)末端イソシアネートウレタンプレポリマーの溶液を溶剤で希釈した後、その反応器に鎖延長剤を所定量一括投入して反応させる方法が挙げられる。イソシアネート基が徐々に減少するため均一な樹脂を得やすいことから、(1)又は(3)の方法が好ましい。
溶剤としては、前記の末端イソシアネートウレタンプレポリマー生成反応に用い得るものと同様の溶剤を使用することができる。
鎖延長反応における反応温度は、好ましくは20〜80℃である。20℃以上であれば、鎖延長反応を十分な速度で進行させることができる。一方、80℃以下であれば、反応速度を十分に制御することができ、所望の分子量と構造を有するウレタン樹脂が得られる。なお、溶剤存在下で鎖延長反応を行う場合には、反応温度は、溶媒の沸点以下が好ましく、特にMEK、酢酸エチルの存在下では40〜60℃が好ましい。
なお、鎖延長反応における反応時間は、例えば、反応温度を40〜80℃にした場合、好ましくは1〜20時間である。
なお、鎖延長反応の停止のために末端停止剤を使用してもよい。
末端停止剤としては、例えば、イソシアネート基と反応可能な水素を1つだけ有する化合物又はアミノ基を1つだけ有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基と反応可能な水素を1つだけ有する化合物としては、例えば、メタノール、エタノール等のモノオール化合物が挙げられる。
アミノ基を1つだけ有する化合物としては、1級アミノ基又は2級アミノ基を1つだけ有する化合物を使用することができ、例えば、ジエチルアミン、モルホリン等が挙げられる。
1級アミノ基を1つだけ有する化合物は、反応可能な水素を2つ有しているが、1つの反応可能な水素が反応した後に残った反応可能な水素は反応性が低いので、実質的に単官能と同等となる。
末端停止剤の添加量は、鎖延長反応後に残存する末端イソシアネート基の1モルに対して、末端停止剤が1モル以上2モル以下となる割合であることが好ましい。末端停止剤の添加量が1モル以上であれば、停止反応後にイソシアネート基が残らないため、得られるウレタン樹脂が安定である。一方、末端停止剤の添加量が2モル以下であれば、低分子量のウレタン樹脂が少なくなる傾向にある。
(B)ウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1万〜30万、より好ましくは3万〜25万、更に好ましくは5万〜20万である。1万以上であれば、粘着特性、特に粘着保持力が向上する傾向にあるため好ましく、30万以下であれば、ゲル化を回避することができる。
<(C)難燃剤>
本発明で用いられる粘着剤は、本発明の難燃粘着シートの粘着力を維持しつつ難燃性を付与する観点から、(C)難燃剤を0.1〜40質量%含有する。粘着剤中の(C)難燃剤の含有量が0.1質量%未満であると十分な難燃性が得られず、40質量%を超えると粘着力が低下する。上記と同様の観点から、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量は、1〜35質量%が好ましく、2〜35質量%がより好ましく、5〜35質量%がより好ましい。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系化合物、メラミン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、グアニジン系化合物等の有機系難燃剤や、アンチモン系化合物、金属水酸化物等の無機系難燃剤が挙げられる。
環境対応の観点から、(C)難燃剤は、ハロゲン系難燃剤以外の難燃剤、すなわち非ハロゲン系難燃剤であることが好ましい。また、環境対応の観点及び難燃性の観点から、(C)難燃剤はリン系難燃剤であることがより好ましく、粘着剤層における析出が起こりにくいという観点から、液状のリン系難燃剤であることが更に好ましい。なお、本発明において「液状」とは、室温(25℃)において液体であることをいう。
リン系難燃剤としては、ホスファゼン系化合物、ホスフェート系化合物、縮合リン酸エステル等が挙げられる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、環状フェノキシホスファゼン化合物、鎖状フェノキシホスファゼン化合物および架橋フェノキシホスファゼン化合物が挙げられる。
ホスフェート系化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレジルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、2−ナフチルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、1,3−フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)及び1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
市販のリン系難燃剤としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR−733S」、「CR−741」(いずれも縮合リン酸エステル、液状)、「PX−200」(縮合リン酸エステル、固体状)、大塚化学株式会社製の「SPS−100」(ホスファゼン化合物、固体状)等が挙げられる。ここで「固体状」とは、室温(25℃)において固体であることをいう。
上記難燃剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
<(D)架橋剤>
本発明で用いられる粘着剤は、(A)成分として架橋性官能基を有するアクリル系共重合体を用いる場合、凝集力を高めて所望の粘着力を得る観点から、(A)成分中の架橋性官能基と反応しうる架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤及びアミン系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンイソシアネート等の多価イソシアネート化合物が挙げられる。
なお、多価イソシアネート化合物は、上記化合物のトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含むイソシアヌレート型変性体であってもよい。
エポキシ系架橋剤としては、分子中に2つ以上のエポキシ基又はグリシジル基を有するものであれば、特に限定されないが、分子中に2つ以上のグリシジル基を含む多官能性エポキシ化合物が好ましい。
分子中に2つ以上のグリシジル基を含む多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸グリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジ又はトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン等のジグリシジルアミン等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、特に限定されないが、その具体例として、1,1’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、1,1’−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属にアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物等が挙げられる。
アミン系架橋剤としては、ポリアミン、例えば脂肪族ポリアミン(例えばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、エチレンジアミン、N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エタノールアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサ−2−スピロ[5.5]ウンデカン等)ならびにこれらの塩;芳香族ポリアミン(例えばジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
アミノ樹脂系架橋剤としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが、好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、及びメチロール化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
これらの中でも、粘着剤層を薄膜化した場合でも高い粘着力を得る観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。なお、上記の架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
(D)架橋剤の含有量は、粘着剤層を薄膜化しても高い粘着力を得る観点から、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜8質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
<その他の成分>
本発明で用いられる粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤及び濡れ性調整剤等が挙げられる。
[剥離シート]
本発明の難燃粘着シートは、例えば図1(b)に示すように、粘着剤層の上に剥離シートが積層されたものであってもよい。
本発明の難燃粘着シートに用いられる剥離シートとしては、特に制限が無いが、取り扱い易さの観点から、シート基材上に剥離剤を塗布した剥離シートが好ましい。剥離シートは、シート基材の両面に剥離剤が塗布され剥離処理がされたものでもよく、シート基材の片面のみに剥離剤が塗布され剥離処理がされたものでもよい。
剥離シートに用いられるシート基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
剥離シートの厚さは、特に制限はないが、通常20〜200μm、好ましくは25〜150μmである。
剥離シートにおける剥離剤からなる層の乾燥後の厚さとしては、特に限定されないが、剥離剤を溶液状態で塗布する場合は、好ましくは0.01〜2.0μm、より好ましくは0.03〜1.0μmである。剥離シートのシート基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、該プラスチックフィルムの厚さは、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μmである。
[難燃粘着シートの製造方法]
本発明の難燃粘着シートの製造方法は、特に限定されない。例えば、図1(a)に示す難燃粘着シート1aであれば、基材11の一方の面上に、粘着剤を塗布し、乾燥させて粘着剤層12aを形成して作製することができる。また、図1(b)に示す難燃粘着シート1bであれば、剥離シート13aの面上に、粘着剤を塗布し、乾燥させて粘着剤層12aを形成した後、該粘着剤層12a上に、基材11を貼り合わせ、片面粘着シートを作製する。
図1(c)に示す両面難燃粘着シート1cであれば、基材11の一方の面上に、粘着剤を塗布し、乾燥させて粘着剤層12aを形成した後、基材11の他方の面上に、同様に粘着剤を塗布し、乾燥させて粘着剤層12bを形成して作製することができる。
本発明に用いられる粘着剤を塗布する際、基材上に厚みの薄い粘着剤層を形成しやすくするために、粘着剤を有機溶媒で希釈することが好ましい。
用いる有機溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの有機溶媒を配合して、適度な固形分濃度の粘着剤溶液とすることで、薄膜化した粘着剤層を形成することができる。粘着剤溶液の固形分濃度は、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%である。5質量%以上であれば、溶剤の使用量としては十分であり、60質量%以下であれば、粘着剤溶液が適度な粘度となり、該粘着剤溶液を塗布するに際して作業性が良好となる。
なお、上記粘着剤に用いられる前記(A)アクリル系共重合体及び/又は(B)ウレタン樹脂を有機溶媒に含有された状態で用いる場合、同じ有機溶媒を用いて希釈し、上記固形分濃度となるように粘着剤溶液を調製してもよい。
基材上又は剥離シート上に粘着剤層を形成する方法は、特に制限はなく、例えば、上記の有機溶媒を配合した粘着剤(溶液)を公知の塗布方法により形成する方法が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の方法が挙げられる。
また、溶剤や低沸点成分の残留を防ぐと共に、架橋剤が配合されている場合には架橋(反応)を進行させて粘着性を発現するために、基材や剥離シートに塗布した後、加熱処理をすることが好ましい。
加熱処理の温度条件は、好ましくは70〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。加熱処理の処理時間は、好ましくは30秒〜5分間、より好ましくは40〜180秒間である。
[難燃粘着シートの物性]
以上のようにして作製される本発明の難燃粘着シートの常温(23℃、50%RH(相対湿度))での粘着力は、実施例に記載の測定方法において、5.0N/25mm以上のものとなる。
また、上記難燃粘着シートは、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有するものとなる。該難燃性は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
以下の実施例の記載において示された重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製「HLC−8020」を用いて、下記の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた値である。
(測定条件)
カラム:「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
検出器:示差屈折計
製造例1
(アクリル系共重合体溶液の調製)
単量体成分として、アクリル酸ブチル90質量部、及びアクリル酸10質量部、溶剤として、酢酸エチル200質量部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応器に入れ混合した。4時間窒素ガスで脱気を行い、60℃まで徐々に昇温した後、24時間撹拌しながら重合反応を行い、重量平均分子量が65万のアクリル系共重合体を含む酢酸エチル溶液(固形分濃度33質量%)を得た。
製造例2
(ウレタン樹脂溶液(B−1)の調製)
(b1)ポリオールとしてポリプロピレングリコール(重量平均分子量:2,000)100質量部、(b2)多価イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネート10.1質量部(NCO基/OH基(モル比)=1.2)、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.01質量部を混合し、85℃まで徐々に昇温した後に2時間撹拌し、末端イソシアネートウレタンプレポリマーを得た。
得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、トルエン110質量部を加え室温まで除冷した後に、(b3)鎖延長剤として、(b4)1,4−ブタンジオール0.48質量部及び(b5)トリメチロールプロパン0.12質量部を滴下し、70℃まで徐々に昇温した後、2時間撹拌し、重量平均分子量14万のウレタン樹脂のトルエン溶液(B−1;固形分濃度50質量%)を得た。組成等を表1に示す。
製造例3
(ウレタン樹脂溶液(B−2)の調製)
製造例1において、(b3)鎖延長剤として、(b4)1,4−ブタンジオールを0.60質量部とし、(b5)トリメチロールプロパンを用いなかったこと以外は、製造例2と同様にして、重量平均分子量17万のウレタン樹脂のトルエン溶液(B−2;固形分濃度50質量%)を得た。組成等を表1に示す。
実施例1
(難燃粘着シートの作製)
製造例1で得たアクリル系共重合体含有酢酸エチル溶液60.6質量部(固形分20質量部)と、製造例2で得たウレタン樹脂含有トルエン溶液160質量部(固形分80質量部)と、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン株式会社製、商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートの酢酸エチル溶液(固形分75質量%))2.25質量部(固形分)との混合物に、難燃剤として、液状の縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製、商品名「CR−741」)を、粘着剤(アクリル系樹脂とウレタン樹脂と難燃剤の固形分の和)中の含有量が10質量%となるよう添加した。この混合物を、固形分濃度が15質量%となるように酢酸エチルで希釈し、粘着剤組成物の溶液を調製した。
この溶液を、剥離シートである、シリコーン処理された38μmポリエステルフィルム(リンテック株式会社製、商品名「SP−PET381031」)に、乾燥後の粘着剤層の厚さが1.0μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥した後に、基材である、両面にポリイミド樹脂がコートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、商品名「ルミラーZV10#25」、厚み:30μm、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合)に転写し、難燃粘着シートを作製した。
(難燃性評価)
作製した上記難燃粘着シートの剥離シートを剥離し、アンダーラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の難燃性試験規格UL94の薄手材料垂直燃焼試験方法に準ずる試験を行い、VTMランクを判定した。評価に用いた難燃粘着シートのサンプルサイズは50mm×200mmであり、粘着剤層を外側にして試験を行った。
なお、VTMランクの判定基準は下記の通りである。
VTM−0;サンプルの燃焼時間が10秒以内であり、かつ燃焼物又は落下物による脱脂綿の着火が起こらず、更に標線(サンプル下端より125mmの位置)までの燃焼が認められない。
VTM−1;サンプルの燃焼時間が30秒以内であり、かつ燃焼物又は落下物による脱脂綿の着火が起こらず、更に標線までの燃焼が認められない。
VTM−2;サンプルの燃焼時間が30秒以内であり、かつ標線までの燃焼が認められない。
評価結果を表2に示す。なお、表2において、VTM−0に適合したものを「VTM−0」、VTM−0に適合せずVTM−1に適合したものを「VTM−1」、VTM−0ならびにVTM−1に適合せずVTM−2に適合したものを「VTM−2」、VTM−0とVTM−1とVTM−2のいずれにも適合しなかったものを「不合格」とした。
(粘着力試験)
基材として「ルミラーZV10#25」の代わりに25μmポリエステルフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「T−100」)を用いたこと以外は、前記の実施例及び比較例と同様の方法で、粘着力試験用の粘着シートを作製した。
剥離シートを剥離し、23℃、50%RH環境下で、25mm×300mmにカットした上記粘着シートの試験片を被着体(SUS304鋼板)に貼付して、粘着力試験用サンプルとした。JIS Z0237に基づき、貼付24時間後の粘着力を、180°引き剥がし法により、引張り速度300mm/分にて測定した。評価結果を表2に示す。
実施例2〜12及び比較例1〜14
基材及び粘着剤層を表2に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを作製した。また、実施例1と同様の方法で難燃性評価及び粘着力試験を行った。評価結果を表2に示す。
表2より、本発明の実施例1〜12の粘着シートは、優れた難燃性及び粘着力を有する。
一方、比較例1及び10の粘着シートは、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量は本発明の範囲内であるが、[T/Wc]の値が0.07未満であるため粘着力が不十分であった。比較例2,3,5,8の粘着シートは、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量が40質量%を超えるためいずれも粘着力が不十分であった。
比較例4の粘着シートは、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量は本発明の範囲内であるが、[T/Wc]の値が0.45を超えるため難燃性が不十分であった。比較例6,7の粘着シートは、粘着剤層の総厚みが7.0μmを超えるため、いずれも難燃性が不十分であった。
比較例11〜14の粘着シートは、粘着剤層を構成する粘着剤が(A)アクリル系共重合体又は(B)ウレタン樹脂を含有せず、ならびに(C)難燃剤を含有していないため、難燃性と粘着力の両立ができなかった。
本発明によれば、優れた難燃性及び粘着力を兼ね備えた、薄膜の難燃粘着シートを提供することができる。該難燃粘着シートは、携帯型電子機器等の小型電子機器において好適に用いられる。
1a、1b、1c 難燃粘着シート
11 基材
12a、12b 粘着剤層
13a 剥離シート

Claims (15)

  1. 基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する難燃粘着シートであって、
    前記基材が、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有し、
    前記粘着剤層の片面あたりの厚みが0.6μm以上でかつ該粘着剤層の総厚みが7.0μm以下であり、
    該粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)アクリル系共重合体、(B)ウレタン樹脂、及び(C)難燃剤を含有し、
    粘着剤中の(C)難燃剤の含有量が0.1〜40質量%であり、かつ、粘着剤中の(C)難燃剤の含有量をWc(質量%)、粘着剤層の総厚みをT(μm)とした場合に、[T/Wc]の値が0.07〜0.45である難燃粘着シート。
  2. 前記(B)ウレタン樹脂が、(b1)ポリオールと(b2)多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、(b3)鎖延長剤を反応させて得られるものであり、(b3)鎖延長剤が、(b4)水酸基及び/又はアミノ基を2つ有する化合物のみを含有するか、又は、該(b4)及び(b5)水酸基及び/又はアミノ基を3つ以上有する化合物を含有し、(b4)成分と(b5)成分との合計量100に対して、(b4)成分を質量比で70以上100未満、(b5)成分を質量比で0超30以下の割合で反応させてなるウレタン樹脂である、請求項1に記載の難燃粘着シート。
  3. 基材が、ハロゲン系難燃剤を含有しない基材である、請求項1又は2に記載の難燃粘着シート。
  4. 基材が、いずれの難燃剤も含有しない基材である、請求項3に記載の難燃粘着シート。
  5. 基材が、ポリイミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及びポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる基材、及びこれらの樹脂がシートにコートされてなる基材からなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃粘着シート。
  6. (b1)ポリオールが、重量平均分子量1,000〜3,000のグリコールである、請求項1〜5のいずれかに記載の難燃粘着シート。
  7. 粘着剤層を構成する粘着剤が、さらに(D)架橋剤を含有し、かつ(A)アクリル系共重合体が、該(D)架橋剤と反応しうる架橋性官能基を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の難燃粘着シート。
  8. 架橋性官能基が、カルボキシル基及び/又は水酸基である、請求項7に記載の難燃粘着シート。
  9. (D)架橋剤が、イソシアネート系架橋剤である、請求項7又は8に記載の難燃粘着シート。
  10. (A)アクリル系共重合体と(B)ウレタン樹脂との質量比〔(A)/(B)〕が、1/99〜40/60である、請求項1〜9のいずれかに記載の難燃粘着シート。
  11. (A)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が、30万〜150万である、請求項1〜10のいずれかに記載の難燃粘着シート。
  12. (C)難燃剤が、非ハロゲン系難燃剤である、請求項1〜11のいずれかに記載の難燃粘着シート。
  13. 非ハロゲン系難燃剤が、リン系難燃剤である、請求項12に記載の難燃粘着シート。
  14. リン系難燃剤が、25℃で液状のリン系難燃剤である、請求項13に記載の難燃粘着シート。
  15. 前記基材の片面にのみ前記粘着剤層を有する、請求項1〜14のいずれかに記載の難燃粘着シート。
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