本発明は、乳濁液の成分の凍結、例えば水性液体成分の凍結に応答して変色することによって、凍結に暴露されたことを表示するための凍結指示剤に有用な新規の乳濁液をとりわけ提供する。本発明のいくつかの態様は、凍結では変色しないが凍結した乳濁液が解凍するときに変色できる。本発明のいくつかの態様では、凍結によってある変化が色に表れ、凍結した乳濁液が解凍したときにはより大きく変化する。望ましくは、変色は不可逆で、本発明による凍結指示剤は、過去に凍結事象に暴露されたことを確実に伝える。
凍結に暴露されたことを表示するために外観を変化させる分散系を利用する既知の凍結指示剤によって発生する光シグナルは、通常、粒子及び指示剤分散系の液体成分、さらに基礎環境を利用する場合は分散系の基礎環境の光特性との周囲光の相互作用によって発生する。指示剤分散系が関連する光特性は、凍結指示剤の光学的な活性成分の光反射率及び/又は光透過率のそれぞれ又は組み合わせを含む。
上記の既知の指示剤では、凍結で誘導されるシグナルは、分散系の凝固によって発生し、その結果、凍結指示剤の光学的な活性成分が再構成され、凍結前の主な組み合わせと異なる凍結後の光特性の組み合わせが生じる。例えば、凍結前における既知の凍結指示剤分散系の外観は、当該分散系に懸濁された顔料又は他の物質の粒子からの反射によって大部分がもたらされる。分散系の凍結及び凝固後、基礎環境が液体媒体を介して見えるようになることもある。
上記のような既知の凍結指示剤によって発生する指示剤シグナルの光学的特徴は、活性のある凍結指示剤成分に固有の光学特性に通常限定され、凍結による大きな変化はない。
新しい方法で光学的シグナルを発生できる凍結指示剤は、より強い光学的シグナルを発生することが可能になり、いくつかの目的に関して有用であると思われる。
本発明にしたがって、化学的に相互に反応する2以上の反応剤が所望の変色を得るために使用される。本発明の凍結指示剤の態様は、凍結に暴露されたことに応答して化学反応を開始することができる。必要に応じて、1以上の反応剤各々が水中油型の乳濁液で製剤化されてもよい。
光学的シグナルを発生するために変色化学反応を用いることによって、凍結指示剤の1以上の成分に固有の光学的特性が増強され、あるいは“前”と“後”で異なる外見がもたらされ得る。
本発明の一態様は、2つの乳濁液の混合物、又は乳濁液と液体媒体中の固体粒子の分散系との混合物が凝固し、及びその次に融合するという発見を利用し、化学的に反応する2つの物質を引き合わせて相互に反応する状態にする手段を提供する。凍結指示剤成分の凍結は、凝固とその次の融合を引き起こすために用いられる。このように、本発明は、過去に凍結に暴露されたことを示す光学的シグナルを発生するための種々の異なる色を発色する反応の1つを用いる凍結指示剤を提供できる。
本発明の他の態様は、凍結温度に暴露されたことを示す方法を提供する。当該方法は、変色乳濁液の凍結温度への暴露に応答して第1の反応剤と第2の反応剤とを含む変色乳濁液を凝固すること、及び変色乳濁液の凝固に応答して、変色乳濁液の色を変化させるために第1の反応剤を第2の反応剤と不可逆に反応させることを含む。
本発明の例示的な方法の態様にしたがって、上記凍結指示剤は、発色前駆体の分散系又は溶液、例えば油中のロイコ染料を調製すること、及び固体顕色剤の分散系又は顕色剤の油溶液と発色前駆体溶液とを混合することによって製造される。そして、得られた変色乳濁液は、凍結指示剤の活性のある指示成分として用いられる。凍結指示剤中の乳濁液の凍結は、乳濁液を凝固させ、続いて、乳濁液中の溶滴、及びもし存在するなら粒子を融合させる。適切な顕色剤と発色前駆体を用いれば、融合は、続いて反応する顕色剤と発色前駆体とを混合し、強い発色が得られる。
上記変色乳濁液は、凍結に対して様々な光学的シグナルのうちのいずれか1つを発生させるために、本発明の凍結指示剤の態様において、有色の基礎環境及び/又は他の色調整成分と組み合わせることができる。例えば、光学的シグナルは、明るい色から黒色へ、明るい色から暗い色へ、緑色から赤色へ、薄い緑色から濃い赤色へ、緑色から黒色又は濃い灰色へ、及び他の所望の“前”と“後”の色の組み合わせに変化することができる。
本発明による変色乳濁液を含む凍結指示剤は、必要に応じて変色乳濁液の外観を改善するために付加的な光調整成分を含むことができる。当該付加的な光調整成分は、必要に応じて凍結前及び/又は凍結後の変色乳濁液の外観を改善することができる。光調整成分は、変色乳濁液の外来のもの又は変色乳濁液に内在のものである。有用な外来の光調整成分の例は、変色乳濁液と観察者又は視覚装置との間を進む光に、例えば変色乳濁液の周囲を覆うか周囲に広がることでフィルタをかけるように構成されるカラーフィルタである。内在の光調整成分の例は、当該変色乳濁液の1以上の相に溶解又は分散される染料又は顔料のような補助的な着色剤である。
さらなる態様では、本発明は、凍結感受性の溶液、例としてとりわけブリスター型の凍結指示剤において有用な乳濁液を提供し、該ブリスター型の凍結指示剤は、上記凍結感受性の溶液の容器を提供するために基板部分に密閉された半球形状の部分を含む。凍結感受性の溶液は、乳濁液又は分散系の崩壊を介して凍結に対して外観に不可逆な変化を起こすコロイド状の乳濁液又は分散系を含む。必要に応じて、非コロイド状の乳濁液又は分散系が用いられてもよい。必要に応じて、当該乳濁液は、乳濁液の混合による生成物であってもよい。乳濁液は、2以上の異なる相を含み、少なくとも1つの相は、液体であって、例えば水性である通常の液体分散媒に分散される。他の分散された1又は複数の相は、液体又は固体でもよい。
崩壊すると、コロイド状の乳濁液は融合でき、乳濁液の個々の粒子が相互に、及び乳濁液中の他の分散している粒子と合わさり、凍結に暴露されたことを表示する光学的シグナルを提供するために、種々の粒子に含まれる反応剤が相互に反応することができる。シグナルは、色の変化、例えば凍結前にはなかった新たな色相の出現であってもよい。
乳濁液の分散相の1つは、本質的に無色の発色前駆体を含有し、他方の分散相又は他の分散相の1つは、本質的に無色の顕色剤を含有してもよく、発色前駆体と顕色剤とが互いに反応できる、すなわち、反応剤の適切な選択で、発色するために相互に反応でき、非常に濃くなる。また、生じた色は、いくつかの事例で、凍結前の指示剤の色と極めて対照的になり得る。
本発明による変色乳濁液の他の態様では、発色前駆体及び顕色剤のいずれか一方又は双方が明るい色であってもよく、発色前駆体及び顕色剤が相互に反応したときに、反応剤の適切な選択で反応剤が十分に暗い色を発色するように選択され、非常に濃くなる。暗い色は、乳濁液の当初の色と対照的であって、凍結への暴露に関する良好な光学的シグナルをもたらす。
あるいは、一方の分散相に色除去剤を、他方の分散相に色除去剤に感受性のある着色物質を用いることで、暗い色から明るいに変化する凍結指示剤が製剤化され得る。例えば、着色物質は、顕色剤を用いることで可逆的に発色でき、色除去剤は、発色反応を反転させることで着色物質を減色できる。必要に応じて、適切な発色前駆体又は他の発色可能な物質を用いることで、顕色剤は酸性に、色除去剤はアルカリ性にすることができる。
必要に応じて、他の発色反応が用いられてもよい。
さらなる観点では、本発明は、凍結指示剤に用いるための溶液組成物を提供し、当該組成物は、凍結に暴露されたことのシグナルを提供するために凍結で誘導されるコロイド崩壊を利用する。当該溶液組成物は、相溶性だが2つの独立した乳濁液の混合物であってもよい。2つの相溶性乳濁液各々は、1つの反応性化合物又は1対の反応性化合物における他方を含有する溶液である液体の懸濁溶滴を含む。融合によって、反応性化合物は、溶液の外観に高い強度の光学的な変化を与えるために反応でき、その変化は、視覚的に又は適切な光学検出装置で、外部から検出され得る。2つの相溶性乳濁液は、必要に応じてコロイド状であってもよい。また、2つの相溶性乳濁液は、液滴が長期間懸濁されるように安定化され、混合物が凍結したときに不可逆に凝固し、融合する。
本発明のさらなる態様の1つの実施の形態では、1つの乳濁液は、ロイコ染料前駆体の油溶液を水に分散させることで調製され、任意に高せん断の撹拌及び1以上の界面活性剤を用いてもよい。他の乳濁液は、染料前駆体の代わりに染料顕色剤の油溶液を用いて同様に調製される。必要に応じて、適切なロイコ染料前駆体及び適切なロイコ染料顕色剤を用いることで、少なくとも0.4光学密度(“OD”)単位の色濃度の変化が、厚さ1mm以下の層における乳濁液の崩壊で生じる。本発明のいくつかの態様は、厚さ200μm以下であって、少なくとも0.4OD単位の色濃度の変化を崩壊でもたらす崩壊性乳濁液の層を提供する。少なくとも0.4OD単位の光学密度変化は、観察する距離が腕の長さ又は他の都合の良い距離から、特別な観察装置なしで通常の観察者によって識別できる色の変化に相当する。いくつかの事例では、少なくとも0.4OD単位の光学密度の変化は、区別できて、明白である。
本発明のこの観点で用いられる混合乳濁液は、凍結前及び凍結後(又は凍結及び解凍後)に任意の好適な外観を呈してもよい。例えば、最初の外観は、不透明で白色、白色に近い色、明るい色、又は透明であってもよく、必要に応じて開始点は、乳濁液の背後で与えられる基礎環境の光又は色である。発色で赤色又は黒色になる染料前駆体又は他の発色前駆体を選択することによって、凍結で生じる色によってもたらされるシグナルは、関連するホスト製品が品質に問題を有し、ホスト製品が鮮度を損ない、又は安全でないかもしれないことを示すことが理解される。
本明細書で使用される専門用語を以下の段落で説明する。
用語“周囲温度”は、凍結指示剤又は凍結指示剤乳濁液の周囲の環境の温度を意味する。穏やかな及び温暖な気候では、周囲温度は通常年間のほとんどの間、凍結温度を超え、場合によっては、40℃かそれより高温である。冷蔵庫などにおける冬のような条件下、冷凍下などでは、周囲温度は、凍結温度、凍結温度に近い温度又はさらに低い温度である。
用語“室温”は、約20℃から約25℃までの温度として用いられる。もし文脈で特に室温について言及された場合、温度は25℃であると理解される。
用語“凝固する”及び “凝固している”並びに“凝固”などの文法的に変形したものは、ひとつに集合すること、若しくは固まり又は一群を形成すること、動詞の場合、凝固が起こることを意味するものとして本明細書中で使用される。
用語“融合する”及び “融合している”並びに“融合”などの文法的に変形したものは、一体又は1つの生成物に一緒に成長すること、若しくは1つに結合又は接合すること、あるいは全体に統合されることを意味するものとして本明細書中で使用される。本明細書で記載された分散系及び乳濁液の場合、融合は、必ずしもではないが一般には凝固に先行されることが理解される。
用語“凍結温度”は、本明細書で記載されたような水性の凍結指示剤分散媒が氷の結晶を形成する温度を意味するものとして本明細書中で使用される。
用語“有効凝固点”は、分散媒が氷の結晶を形成し始める最高の温度を意味するものとして本明細書中で使用される。
用語“凍結”及び“凍結している”などの文法的に変形したものは、水の凍結を意味するものとして使用される。
乳濁液に関連して本明細書で用いられる用語“油中水型”及び“水中油型”は、そのように言及された乳濁液の構造を一般には意味する。したがって、文脈に言示さない限り、油中水型の乳濁液は、油性液体に分散した水相の溶滴を含むことが通常理解され、水中油型の乳濁液は、水性液体に分散した油相の溶滴を含むことが通常理解される。
変色。本明細書での“変色”又は用語“変色”が文法的に変形したものは、凍結感受性乳濁液を使用する凍結指示剤に関して外部から検出可能な、凍結に起因する凍結感受性乳濁液の光学的特性の任意の変化を含むことが意図される。変色は、適切な手段又は人主体の視覚によって検出され得る。変色は、凍結前の乳濁液の色から凍結後又は凍結及び解凍の後までの変化であってもよい。使用される変色技術に依存して、凍結した、解凍されていない混合物の色は、凍結した、解凍されていない乳濁液内の氷の結晶の存在のために、解凍された乳濁液のそれよりも薄くてもよい。
包含される変色のいくつかの例は、白色、灰色、黒色、赤色、黄色、青色、緑色、紫色、オレンジ色及び茶色、並びにこれらの任意の色合い及び色調のいずれか2つの間での変化である。本発明による凍結指示剤のいくつかの態様は、白色、明るい色又は無色から赤色、黒色又は紫色への変化を用いる。
変色は、色相、色値若しくは彩度、又は色相、色値及び彩度のあらゆる組み合わせにおける変化であってもよい。変色は、凍結前の有色又は無色から、凍結後又は凍結及び解凍の後の有色又は無色のいずれかへの変化であってもよい。例えば、乳濁液は、凍結前の白色又は緑色から凍結後又は凍結及び解凍の後の赤色又は黒色それぞれへ変化してもよい。彩度は、時には“強度”又は“色のさえ”と呼ばれる。“色値”は、時々、明度と呼ばれる。
望ましくは、変色の色相、色値及び/又は彩度における違い又は複数の違いは、凍結に暴露されたことに関して、明らかで、はっきりと異なる、及び明白なシグナルを提供するのに十分である。乳濁液の色は、適切な反射率又は色の基礎環境によって、又は使用された第1の及び第2の反応剤に加えて変色乳濁液中の染料又は他の着色剤を含有することによって補われるか又は改善されてもよい。
光学密度。本明細書で用いられる光学密度“OD”は、試料から反射された入射光の逆数の10を底とするログである。ODは、式
ODλ=log10(I0/I)
で表され、ここで、Iは、試料によって反射される特定の波長λの光の強度であって、I0はそれが試料に入射する前の光の強度である。
ここで、図面の図1及び図2に示された変色乳濁液を説明する。
図1を参照すると、変色乳濁液10は、水又は他の水性溶液である分散媒12を含み、分散媒12には、第1の反応剤相14及び第2の反応剤相16が分散又は分配されている。第1の反応剤相14及び第2の反応剤相16は、粒子として存在し、図1では、それらは、それぞれ番号14及び16で示される。一般に、第1の反応剤相14の個々の粒子は、室温で液体であって、凍結温度でも液体である。また、一般に、第2の反応剤相16の個々の粒子は、本発明の当該態様では、室温でも凍結温度でも固体である。もし相対的に遅い変色の進展を望むなら、第1の反応剤相が半固体であってもよい。通常、図1に示されるような本発明の態様では、第1の反応剤相14の及び第2の反応剤相16の粒子は、完全に分散媒12に包囲されるか又は包まれる。
周囲の凍結条件への暴露を示すように、適切な体積で変色乳濁液10が凍結指示剤に含まれる。凍結指示剤は、凍結温度へのホスト製品の暴露を示すためにホスト製品に関連付けられる。
第1の反応剤相14は、第1の反応剤と疎水性溶媒とを含む。第1の反応剤は、疎水性溶媒に溶解又は分散される固体物質であってもよい。必要に応じて、固体の第1の反応剤は、あるとしたら、関連する条件下で疎水性液体に溶解する域をこえて、第1の反応剤相に過剰な第1の反応剤を含むことで、疎水性液体に溶解又は分散されてもよい。この場合、第1の反応剤は、第1の反応剤相14に溶質及び分散粒子として存在してもよい。
あるいは、第1の反応剤は、液体化合物又は他の液体物質であってもよく、例えば液体は、疎水性物質と混和性であって、分散媒12と非混和性である。本発明のいくつかの態様は、第1の反応剤相として液体の第1の反応剤を使用し、付加的な構成要素として第1の反応剤相に疎水性液体は存在しない。第1の反応剤は、1以上の反応性基質又は組成物を含むこともできる。
本発明による変色乳濁液10の他の態様では、第1の反応剤は、疎水性液体であって、第1の反応剤相14は、第1の反応剤からなり、又はから本質的になり、第1の反応剤相14に付加的な疎水性液体は使用されない。
第1の反応剤は、発色前駆体の化合物又は物質、例えば染料前駆体又は他の適切な反応性物質であってもよい。また、第1の反応剤は、凍結指示剤乳濁液での使用に好適な色を除去する第2の反応剤と反応した結果、色が失われる着色物質であってもよい。第1の反応剤は、油に可溶で、任意には、控えめに水溶性、又はわずかに水溶性あるいは水に完全に不溶であってもよい。
本明細書で引用される発色前駆体は、文脈で示さない限り、無色又は明るい色の物質に加え、有色の及び他の上記適切な反応性物質を含むことが意図される。適切な染料前駆体の1つの例は、ロイコ染料のクリスタルバイオレットラクトンの前駆体形態である。その他適切な発色前駆体が本明細書中に記載される。
もし使用されるなら、疎水性液体は、第1の反応剤のための溶媒として適切な任意の油、例えば、テルフェニル油を含むことができる。その他適切な油及び第1の反応剤物質が本明細書中に記載される。
第2の反応剤相16は、第2の反応剤を含み、該第2の反応剤は、変色又は他の所望するシグナルをもたらすために第1の反応剤と相互に反応できる化合物又は物質である。変色は、発色、又は色の除去、減色若しくは漂白、又は色相の変化であってもよい。発色又は色の除去どちらも、必要に応じて色相の変化が付随して起きてもよい。発色の例は、明るい色又は無色から赤色又は黒色の外観に変化することを含む。色の除去、明るくすることの例は、緑色又は青色から明るい色、白色、灰色又は透明色への変化などである。色相における有用な変化は、緑色から赤色への変化などである。その他有用な変色が本明細書中に記載される。変色は、無色又は実質的に無色である変色乳濁液の他の成分とともに第1の反応剤と第2の反応剤によって、主として、又は完全にもたらされる。
第2の反応剤は、発色の又は色除去の反応生成物を生じさせるために第1の反応剤と反応できる任意の適切な物質を含むことができる。例えば、第1の反応剤が発色前駆体であって、第2の反応剤が発色前駆体の初期の色を変化させる顕色剤であってもよい。第2の反応剤は、疎水性で、油に可溶性であってもよく、かつ必要に応じて、任意には控えめに水溶性又はわずかに水溶性、あるいは水に完全に不溶性であってもよい。
第2の反応剤は、液体化合物又は他の液体物質、例えば疎水性物質と混和性であって、分散媒12と非混和性である。
本発明による変色乳濁液10の他の態様では、第2の反応剤は、疎水性液体であって、第2の反応剤16は、第2の反応剤からなり、又はから本質的になり、第2の反応剤相16に付加的な疎水性液体は使用されない。
本明細書で引用される顕色剤は、文脈で示さない限り、発色又は色除去反応の生成物をもたらすために第1の反応剤と反応できる他の適切な物質を含むことが意図される。
適切な顕色剤のいくつかの例は、種々の有機酸、アルキルフェノール樹脂、フェノール、及びハイドロキノン誘導体などである。本発明による変色乳濁液の一態様は、ロイコ染料前駆体であるクリスタルバイオレットラクトン及び顕色剤であるアルキルフェノール樹脂を使用する。その他適切な第2の活性剤及び第1の反応剤と第2の反応剤と他の有用な組み合わせが、本明細書中に記載される。
第1の及び第2の反応剤のどちらか一方又は双方が、必要に応じて1以上の化合物、又は1以上の物質を含んでもよい。1以上の付加的な反応剤が必要に応じて本発明の変色乳濁液の態様に含有され、例えば、変色反応剤が含有されてもよい。また、第1の及び第2の反応剤の役割が逆転されてもよい。例えば、第2の反応剤が第1の反応剤の代わりに第1の反応剤相で用いられてもよい。また、必要に応じて、第1の反応剤が第2の反応剤の代わりに第2の反応剤相で用いられてもよい。
図1に示された変色乳濁液10の態様では、第2の反応剤相16は、固体粒子からなり、又はから本質的になる。また、固体粒子は、必要に応じて、第2の反応剤のための溶媒を含まず、あるいは第2の反応剤相に存在する他の液体とともに第2の反応剤から実質的に、又は完全になってもよい。あるいは、第2の反応剤相16は、例えば、以下本明細書に記載され、図2に例示されるように、液体粒子からなり、又はから本質的になってもよい。
変色乳濁液10は、液体の第1の反応剤相14、固体の第2の反応剤相16又は反応剤相14及び16の双方のいずれかの粒子を含んでもよい。変色乳濁液10におけるいずれか又はすべての粒子は、必要に応じてコロイド状であってもよい。
本発明による変色乳濁液のいくつかの態様は、第1の反応剤及び第2の反応剤それぞれに加えて、第1の反応剤相及び/又は第2の反応剤相に、液体溶媒又は液体分散媒、例えば疎水性液体を含む。これらの態様のいくつかが本明細書に記載される。しかし、本発明はまた、付加的な液体溶媒又は粒子内に存在する液体分散媒なしで水性液体媒体に分散された第1の反応剤及び第2の反応剤の粒子を含む変色乳濁液の態様を含む。当該態様では、第1の反応剤及び第2の反応剤の一方又は双方は、必要に応じて液体であってもよい。
第1の反応剤相14又は第2の反応剤相16は、室温又は約100℃までの上昇する製剤温度で液体である、あるいは必要に応じて、監視される凍結温度で、固体、望ましくは非結晶質の固体である物質を含んでもよく、当該物質で構成されてもよい。望ましくは、第1の反応剤相14及び第2の反応剤相16の少なくとも一方は、監視される凍結温度で液体である。
クリスタルバイオレットラクトンロイコ染料及びいくつかの同等なロイコ染料は、強く発色する生成物をもたらすために適切な顕色剤と反応できる。変色反応によってもたらされる色の強さにおけるかなりの変化、又は強い色の色相における変化が、限定しないが、特に小さい凍結指示剤において、凍結温度に暴露されたことを表示するのに有用である。
図1に示すように、第2の反応剤相16は、凍結に暴露される前に第1の反応剤相14と混合されていない。望ましくは、第1の反応剤相14における第1の反応剤と第2の反応剤相16における第2の反応剤との反応によって引き起こされる早すぎる発色を避ける又は制限するために、変色乳濁液は、凍結温度より高い周囲温度で第1の反応剤相14の粒子が、好ましくなく第2の反応剤相の粒子と融合することを回避するように構成されてもよい。
変色乳濁液10は、乳濁液の安定性を維持するため、及び第2の反応剤相16との第1の反応剤相14の早すぎる融合を防ぐために、必要に応じて、安定化成分(図1に不図示)を含んでもよい。安定剤成分は、個々の乳濁液を安定化する化合物でもよい。あるいは、安定化成分は、乳濁液を安定化する1以上の化合物でもよい。任意に、安定化成分は、必要に応じて、乳濁液の安定化に関連する付加的な機能性を与える1以上の付加的な化合物又は物質を含んでもよい。
過剰な安定化は、容易に不安定化させず、凍結温度で凝固しない乳濁液をもたらし、それは、凍結指示剤に使用するには適切ではない。いくつかの安定な乳濁液は、崩壊、凝固又は融合なしで凍結され、解凍される。そのため、本発明による凍結指示剤のいくつかの態様では、安定化成分は、高度に安定な乳濁液よりも準安定な乳濁液を提供するように構成される。有用な準安定な乳濁液は、普通の室温及び/又はそれよりある程度高温において安定で、水性分散媒12の凍結で、それでも凝固でき、さらに融合できる。必要に応じて、乳濁液が凍結した場合に乳濁液10の凝固を支援又は促進するために、安定化成分は1以上の濃度感受性化合物を含んでもよい。例えば、安定化成分は、凍結温度での乳濁液の不安定化を促進するために低温不安定化剤を含んでもよい。
使用されるなら、安定化成分は、分散媒12に溶解され、あるいは液体であれば分散媒12と混合される。いくつかの適切な安定化成分が本明細書中に記載される。
変色乳濁液10は、凍結温度への暴露に応答して凝固でき、乳濁液の色を変化させ、凍結に暴露されたことを表示するシグナルを提供する。望ましくは、変色は不可逆であって、乳濁液10は、解凍しても元の色に戻らない。不可逆性は、これまでの凍結温度への暴露の持続的な表示を提供するため有用である。
望ましくは、凍結に応答した乳濁液10の凝固は、第1の反応剤相14に第2の反応剤相16との不可逆な融合を引き起こす。凝固によって、固体である第2の反応剤が液体である第1の反応剤相と接触することで、液体である第1の反応剤相は固体である第2の反応剤粒子の周囲で融合することができる。上記の融合によって、第1の反応剤相中の第1の反応剤と第2の反応剤とが第1の反応剤相と第2の反応剤相との間の界面で相互に反応でき、変色がもたらされる。例えば、第1の反応剤は、第2の反応剤粒子の表面で第2の反応剤と反応できる。
変色乳濁液10は、必要に応じて、1以上の付加的な反応剤、及び/又は他の有用な物質を含んでもよい。
例えば、変色乳濁液10は、必要に応じて、凝固を促進するために氷晶核物質を付加的に含んでもよい。1つの適切な氷晶核物質は、タンパク質に関係する微生物由来の氷晶核物質であって、具体的な例が本明細書に記載される。必要に応じて他の氷晶核物質が用いられ、それも本明細書中に記載される。
さらに、変色乳濁液10は、必要に応じて、1以上の乳化剤又は安定化剤を含んでもよい。乳化剤は、製造の間、成分の乳化を促進するため、すなわち水性液体相への疎水性液体又は固体粒子の分散を促進するために含まれてもよい。安定化剤は、乳濁液が形成された際、乳濁液の維持又は安定化に寄与するために含まれてもよい。いくつかの界面活性剤が乳化及び安定化両方の機能を発揮し、1以上の当該界面活性剤が必要に応じて本発明の変色乳濁液の態様に含まれる。
図1に図示されたような変色乳濁液は、凍結指示剤において新規の変色反応の利用を可能にする。利用可能ないくつかの変色反応は、2つの疎水性の反応剤との間の反応を含む。後者の反応は、色の強さにかなりの変化をもたらし、濃い色若しくは明るい色を発色するか、又は濃い色若しくは明るい色を除去することができる。また、区別できる又は顕著な視覚的変化を凍結指示剤にもたらす手段において、発色又は色を除去する他の変色反応が用いられてもよい。
本発明による変色乳濁液及び凍結指示剤のいくつかの態様は、凍結に暴露されたことを表示する水性分散媒の凍結の始まりによって開始される、強い、濃い又は明るい色、あるいは他の区別できる光学的特性への、又はそれらからの顕著な変色をもたらす様々な反応を可能にする機序を提供する。凍結に応答して強い光学的シグナルを提供するために利用され得る変色反応は、制限された光学的な窓口を有する小型の凍結指示剤を構成するのに有用である。指示剤がある状態のときはあって、他の状態のときではない、すなわち凍結前又は凍結後の強い発色は、小型の凍結指示剤によって発生する指示剤のシグナルの観察を容易にする。
ここで、図1のものと同様の成分に同一の番号が付けられた図2を参照すると、本明細書において明確に指摘されるか、さもなければ当該開示との明らかな違いを除いて、20で示される変色乳濁液の態様は、図1に示された変色乳濁液10に類似する。図2の態様における1つの違いは、26で示される第2の反応剤は、液相を含み、当該液相は第2の疎水性液体中の第2の反応剤の溶液を含むことである。第2の疎水性液体は、第1の反応剤が溶解された疎水性液体と同じであるか、相違するかのいずれかである。当該疎水性液体は、第1の疎水性液体と呼ばれる。
あるいは、もし第2の反応剤が室温で液体であって、凍結温度で融合可能な液体又は十分な半固体であれば、第2の反応剤相26は、第2の反応剤を溶解又は分散させるために用いられる疎水性液体を含まずに、第2の反応剤から本質的になり、又はからなる。
変色乳濁液20のいくつかの形態では、第2の反応剤相26もまた、第2の疎水性液体中に第2の反応剤の溶液に分散された第2の反応剤の粒子を含んでもよい。第2の反応剤相26は、他の疎水性液体、例えば必要に応じて炭化水素希釈剤を含んでもよい。
図2に図示するように、変色乳濁液20は、2つの区別できる疎水性相として、共通の分散媒である分散媒12に分散された第1の反応剤相14と第2の反応剤相26とを含んでもよい。第1の反応剤相14及び第2の反応剤相26の粒子は、完全に分散媒12に取り囲まれるか又は包まれる。
第2の反応剤相16を用いる変色乳濁液10と同様に、変色乳濁液20は、液体である第1の反応剤相14、又は液体である第2の反応剤相26、又は反応剤相14及び26両方のコロイド粒子を含んでもよい。したがって、変色乳濁液20のいくつかの態様は、2つの反応性コロイドを含み、当該反応性コロイドの一方は水性分散媒12に分散した第1の反応剤相14の油性粒子を含み、当該反応性コロイドの他方も水性分散媒12に分散し、第1の反応剤相14の油性粒子と混ざって大部分は分離した第2の反応剤相26の油性粒子を含む。
第2の反応剤相26は、望ましくは凍結に暴露される前に第1の反応剤相14と直接混合されない。第1の反応剤相14及び第2の反応剤相26は、望ましくは分散媒12の層によって一方が他方のものから分離されている粒子又は溶滴それぞれを含む変色乳濁液20の中で、凍結に暴露される前に混合される。
また、望ましくは、第1の反応剤層14における第1の反応剤と第2の反応剤相26における第2の反応剤との間の反応によって引き起こされる早すぎる発色を避ける又は制限するために、変色乳濁液20は、凍結温度より高温で第2の反応剤相の粒子と、第1の反応剤相14の粒子とが認め得るほどに融合することを回避するように構成されることができる。
また、必要に応じて、変色乳濁液20は、変色乳濁液20における第2の反応剤相の液体粒子の分散の安定性又は準安定性の維持に寄与するために、安定化成分(図2に不図示)を含んでもよい。第1の反応剤相14及び第2の反応剤相26のいずれか又は双方が必要に応じて安定化成分を含み得る。後者が安定化されるのであれば、第2の反応剤相26を安定化するために用いられる安定化成分は、第1の反応化剤相14を安定化するために用いられる安定化成分と同じであっても異なってもよい。
変色乳濁液20は、凍結温度に暴露されると凝固し、第1の反応剤相14と第2の反応剤相26との不可逆な融合を導く。この融合は第2の疎水性液体中の第2の反応剤の溶液を、第1の疎水性溶液中の第1の反応剤に溶液に接触させることで、当該2つの反応剤が混合し、相互に反応することを可能にし、変色がもたらされる。変色乳濁液20のいくつかの態様で用いられる液体反応剤の十分な混合は、時には素早い変色の促進に寄与する。
いくつかの事例では、第1の反応剤相及び第2の反応剤相の一方又は双方が、凍結温度又は凍結温度近くでの疎水性液体に対する各反応剤の溶解度を上回る室温濃度で疎水性液体にそれぞれ溶解された第1の反応剤又は第2の反応剤を含む。この場合、第1の反応剤又は第2の反応剤それぞれは、結晶化を始めることがあり、もし存在するのであれば、安定化剤の機能を阻害し、変色乳濁液の凝固を促進する。
凍結指示剤において変色乳濁液20の凝固及び融合で発色する色の強さは、変色乳濁液20の適切な処方によって制御可能ないくつかの因子で決まる。関連ある因子は、第1の及び第2の反応剤の反応によって発色した色の本来の強さ、着色又は色除去した色の質、形成された反応生成物、反応剤の各濃度、及び凍結指示剤における変色乳濁液20の厚さ又は深さなどである。
必要に応じて、変色乳濁液20は、第2の反応剤相26の粒子との第1の反応剤相14の粒子の融合が、関連する変色反応に対してほぼ当量である割合で、第1の反応剤を第2の反応剤と合わせるように構成されてもよい。例えば、変色乳濁液20の調製において、第1の反応剤及び第2の反応剤は、変色反応に応じて適切なモル比で1又は複数の疎水性液体に溶解される。そして、ほぼ同等のサイズの分散相粒子を得るために、分散媒12における第1の反応剤相14及び第2の反応剤相26の分散が起こる。当業者は、例えば約2倍の範囲内で、ほぼ化学量論比が良好な発色をもたらすことに有効であることを理解する。望ましくは、可能ないくつかの場合ではあるが、第1の反応剤に対する第2の反応剤の相対比率は、化学量論比から1桁以上違わない。
また、当業者は、同様の考慮が変色乳濁液10にも当てはまること、及び第1の及び第2の反応剤のほぼ化学量論比が、必ずしもではないが、変色乳濁液10に使用できることを理解する。
凍結温度に暴露されたことに応答してシグナルを提供するために、適切な体積の変色乳濁液10又は20が凍結指示剤に組み入れられる。凍結指示剤は、ホスト製品を監視するために用いられ、過去に凍結温度に暴露されたことの不可逆的な表示を提供する。かなりの変色をもたらす変色乳濁液10又は20の態様は、比較的小さく薄い乳濁液を提供する薄型の、指示剤が少量である小型凍結指示剤での使用に特に好適である。過度に色の弱い乳濁液は、少量の指示剤で用いられた場合、許容できないほどに弱い光学的シグナルを与える。
図3及び4を参照すると、30で示される凍結指示剤は、変色乳濁液20の体積を含有する外被34を支持する基板32を含む。変色乳濁液10又は本明細書に記載された他の適切な凍結指示乳濁液又は分散系が、必要に応じて、変色乳濁液20の代わりに用いられることができ、本明細書で変色乳濁液20としての引用は、文脈に示さない限り、変色乳濁液10又は本発明の他の適切な変色乳濁液の態様を含むことが理解される。
示されたように、外被34は、略円形であってもよい。あるいは、外被34は、あらゆる他の形状、例えば楕円形、六角形、正方形、長方形、帯状又は環状であってもよい。示されたように、外被34は、内壁36と、粘着剤40の輪又は例えば融剤のような他の適切な手段で連結される外壁38とを備える。あるいは、外被34は、1片の密封嚢であってもよい。外被34の内壁36は、基板32に外被34を付属させるように、基板32に接着され、設置され、又は付着されてもよい。また、基板32は、当該基板の不可欠な要素として内壁36を提供してもよい。例えば、内壁36は、層、又はアルミニウム若しくは水蒸気及び水性溶液に対して実質的に不浸透性の他の物質の挿入物を含んでもよく、基質32又は仕切り部材のようなものと一体に形成される。
外被34の外壁38は、必要に応じて、基板32上の外被34の設置面積のほぼ全体を占める透明領域(参照できない)を含む。あるいは、外壁38の透明領域は、より小さい領域を占めるものであってもよい。透明領域は、凍結指示剤30によって発生する光学的シグナル、例えば変色が、適切な装置によって、目視によって、カメラによって、光検出器によって又は他の適切な手段で、外部で受け取られることを可能にする。
任意に、外被34の外壁38は、例えば外壁38上のインク、ラッカー、塗料又は他の適切な膜物質の光調節被覆として、カラーフィルタ41とともに提供される。カラーフィルタ41は、変色乳濁液の外観がフィルタを通して見られるように透明であってもよい。図4において外被34の外壁38に示されているが、カラーフィルタ41は、必要に応じて外被34の内部表面上に膜物質の光調節被覆を含むこともでき、これにより、膜物質が変色乳濁液の性能に不利な影響を与えないようにできる。あるいは、カラーフィルタ41は、外壁38に、あるいは他の適切な乳濁液格納物質又は可視部材に組み入れられた染料、顔料又は他の着色剤で着色された外壁38によって提供され得る。さらに別には、カラーフィルタ41は、有色プラスチックなどで形成される付加的な構造部材を備えることもでき、それは、外壁38に薄層を重ねることができ、あるいは他の手段、例えば変色乳濁液20全体に広がるカバーとして凍結指示剤に含まれ得る。
本発明の一態様では、カラーフィルタ41は緑色がかった透明であって、変色乳濁液20は、凍結前は明るい色で、凍結後は暗い色又は黒色であって、凍結指示剤は、凍結後に、緑色から暗い色又は黒色への変化を示す。実施例4に記載された変色乳濁液は、この目的に対して使用され得る変色乳濁液の例である。暗い、凍結後の色は、視界からカラーフィルタ41の緑色をほとんど、又は完全に覆い隠し、有効な指示シグナルをもたらす。
カラーフィルタ41は、必要に応じて、染料、例えば分散媒12に溶解されたインドシアニングリーンのような透明な緑色染料を含んでもよい。
外被34は、全体的に変色乳濁液20で満たされてもよい。あるいは、必要に応じて、含有される乳濁液が液体又は固体のどちらの状態かを視覚的に示すために、空気又はガスの気泡42が含有量に含まれてもよい。凍結指示剤が傾けられるか振られたときに、乳濁液が凍結していればガスの気泡は動かない。
望ましくは、外被34は、変色乳濁液20からの水蒸気の損失を防ぐために構成され、この結果、凍結指示剤30の早すぎる乾燥及び機能不良を防ぐ。例えば、外被34は、蒸気閉塞物質で変色乳濁液20を全体的に包み込むように構成される。凍結指示剤30の有用な一態様では、外被34の内壁36及び外壁38各々は、蒸気閉塞物質の層を含むか、これによって構成され、蒸気閉塞密閉によって連結される。凍結指示剤30の有用な一態様は、水又は水蒸気を失わないように構成され、凍結指示剤30の所望の寿命、例えば6ヶ月、1年、又は2年などの約3ヶ月から3年の範囲の期間、漏出によって失われる凍結指示剤分散媒の量はほとんどない。
外被34からの液体及び水蒸気の損失を防ぐために用いられ得る光学的な不透明物質は、金属箔又はフィルム、例えばアルミニウムなどを含み、その反射性は、凍結指示剤によって発生する光学的なシグナルへの寄与において光学的に有用である。
外被34から液体及び水蒸気の損失を防ぐために用いられ得る光学的な透明物質は、例えばポリクロロトリフルオロエチレンのようなハロゲン化されたポリオレフィン物質を含む。必要に応じて、ハロゲン化されたポリオレフィン物質の層は、他のポリマー、例えばポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、テレフタル酸ポリエチレン及びエチレン−ビニルアルコールコポリマーのような構造ポリマーで薄層を重ねられることができる。層に重ねることができるいくつかの他のフィルム物質は、必要に応じて、液晶高分子、環状オレフィンポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニリデンなどである。いくつかの好適なフィルム物質がニュージャージー州サマービルのテクニ−プレックス,インクから市販されている。
外被34は、凍結指示剤の所望の有効期間に依存して、様々な水蒸気透過率を有する蒸気閉塞物質を用いる、又は大部分を、あるいは全体を該蒸気閉塞物質で構成され得る。例えば、温度38℃(1000F)及び相対湿度90%で約0.1g/m2/日から温度38℃(1000F)及び相対湿度90%で約1.0g/m2/日未満までの範囲にある水蒸気透過率を有する物質が使用できる。また、必要に応じて、温度38℃(1000F)及び相対湿度90%で約0.1g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する物質が使用できる。
外被34で使用可能なさらに適切ないくつかの蒸気閉塞物質が、米国特許第7,571,695号明細書に開示されており、その開示が引用により本明細書に組み入れられる。
基板32は、例えばラベル又はタグであってもよく、凍結指示剤の外被34の一部となるか、又はそれに含まれてもよい。基板32は、監視されるホスト製品に、又はホスト製品、あるいは複数のホスト製品ユニットのための大量容器に凍結指示剤30を固定するために用いられる。基板32は、感圧接着の層を支えることができ、あるいは凍結指示剤30をホスト製品又は大量容器又はパッケージに付着するための他の適切な手段を備える。必要に応じて、感圧接着の層は、付着の前に剥離可能な裏地で保護されてもよい。また、もしあるなら、基板32を含む凍結指示剤30は、必要に応じて、ホスト製品、大量容器又はパッケージの湾曲した外表面に合うように柔軟性があってもよい。
基板32は、必要に応じて凍結指示剤30の光学的特性に寄与する光学的な基礎環境を、変色乳濁液20に提供することができる。例えば、基板32は、変色乳濁液20に光反射の基礎環境を与える外表面(図示せず)を備えることができる。もし変色乳濁液20が適切な光学的特性を有するなら、基板32は、凍結前後で変色乳濁液20を介して光を反射できる。基板32の外表面によってもたらされる基礎環境は有色であるか、模様又は他のしるしを有するか、あるいは有色で、かつしるしを有する。使用されるなら、しるし及び/又は色は、所望のあらゆる模様又は形態を有することができる。
凍結指示剤30は、外被34内に変色乳濁液20に隣接する参照領域を有し、必要に応じて、凍結指示剤30の最後に類似する外観を有するか、凍結指示シグナルを認識しやすくする他の適切な図形文字を有する。任意に、上記参照領域は、もし使用されるなら、凍結指示剤の基板32に印刷されるか、あるいは塗布されてもよい。
凍結指示剤30のいくつかの態様は、変色乳濁液20のような流体指示剤分散系のための容器を提供する外被34を含む。外被34は、不透明な内壁36と透明な外壁38とを備え、水蒸気及び液体の損失に対抗して密閉され得る。いくつかの態様では、内壁36は、凍結指示剤30の底として説明され、外壁38は、上端として説明される。凍結指示剤30の上記態様の外壁38は、例えば、約0.2mmまでの適切な高さで任意に浮き彫り加工された透明なポリマーフィルムを含んでもよい。内壁36は、ポリマーフィルム及び/又は金属箔を含んでもよく、また、水蒸気に対する強固な障壁であってもよく、任意にその外表面が印刷可能であってもよい。これらの態様では、例えば熱接着、感圧接着又は内壁36と外壁38との間の他の好適な接着を用いることで、望ましくは構造にさらなる厚みを加えることないように、内壁36は、外壁38に密閉されてもよい。必要に応じて、接着は、凍結指示剤分散系の周囲に、閉じた環状に広がってもよい。
変色乳濁液20は、必要に応じて凍結前に透明又は半透明になるよう形成されてもよく、もし存在するなら、基板32に、変色乳濁液20を組み入れた凍結指示剤によって発生する光学的シグナルに加わる背景色及び/又はしるしを与える。変色乳濁液20のいくつかの態様は、適切な粒径になるように乳濁液を調製することによって透明性を与える。例えば、変色乳濁液20のいくつかの態様は、必要に応じて、約50nmから約100nmまでの平均粒径を有する粒子を使用することができ、これは“マイクロエマルション”と言われる。どちらも無色の成分である発色前駆体溶液及び顕色剤溶液を用いることで、乳濁液粒子は、無色にすることができ、このような変色乳濁液20の態様は、透明又は半透明に見える。
変色乳濁液20に係るいくつかの他の態様は、必要に応じてさらに大きいサイズを有する粒子を使用することができる。例えば、このような変色乳濁液の態様は、約700nm又はそれを上回る平均粒径を有し、光散乱のために不透明になる。無色の、白色の又は明るい色の適切な発色前駆体を用いることによって、凍結前には白色又は明るい色に見えて、凍結後に大きく変色する変色乳濁液20が調製される。変色乳濁液20の上記態様は、補足的な顕色剤溶液を用いることができる。発色前駆体溶液との当該顕色剤溶液の凍結で誘導される融合に続いて強い色が発色する。
透明の変色乳濁液20を用いる凍結指示剤30の一態様では、指示剤の最初の外観は、緑色であってもよく、あるいは他の望ましい色又は外観であってもよく、チェック模様又は目盛り又は他の望ましいマークあるいはしるしを有していてもよい。当該外観は、背景に印刷又は他の適切なマークをつけることで得られ、変色乳濁液20を通して視認又は検出可能な基板32の外表面で提供される。背景の周辺領域は、例えば、白色又は金属色のような明るい色によって、上記チェック模様又は他のマークと対照をなす。凍結後に適切な強さの色になるように、又は不透明になるように変色乳濁液20を形成することによって、指示剤が暗い円盤状のものを示し、チェック模様が見えなくなるように指示剤が凍結条件に暴露されたときに、背景のチェック模様の像が発色によって見えなくなる。緑色のチェック模様から暗い若しくは黒色のドット又は円盤状のものに変化することによって、凍結指示剤30の上記態様は、凍結に暴露されたことの明確な、区別できる表示を提供できる。
凍結指示剤30の他の態様は、十分なサイズ、例えば不透明な外観をもたらすために約300nmよりも大きい平均粒径の第1の及び第2の反応剤層14及び16の粒子を用いる。明るい色の第1の及び第2の反応剤を他の無色の又は明るい色の成分とともに用いることで、変色乳濁液20は、不透明になり、明るい色をした初期の外観を有することができる。相互に反応して相対的に激しい又は強い色をもたらす第1の及び第2の反応剤を用いることによって、激しい又は暗い外観が凍結後に得られる。また、凍結指示剤30の上記態様は、凍結に暴露されたことの明確な表示を提供できる。
必要に応じて、分散された反応剤相14及び16のうちのどちらか、又は水性分散媒に溶解若しくは分散されて、混合された少量の緑色染料又は緑色顔料を含有することによって、明るい色に着色された乳濁液20は、緑色に着色されてもよい。緑色の着色剤は、初期の外観によって、関連するホスト製品が高い確実性で凍結温度に暴露されておらず、そのため、この点では安全又は“OK”であることを伝えられるメッセージを強調できる。変色乳濁液20を含む凍結指示剤30が示すことができる他の外観上の変化は、本開示を参照すれば当業者にとって知られるか又は明らかであり、あるいは当技術分野の進展に伴い、この先知られるか又は明らかになる。
凍結指示剤30は、あらゆる所望の大きさであってもよく、必要に応じて、相対的に小さく構成されても、薄い態様であってもよい。例えば、凍結指示剤30は、少量の指示剤、例えば10μl未満、5μl未満又は1μl未満であってもよい。少量の凍結指示剤30の態様は、例えばワクチン瓶、ワクチン注射器及び医薬容器のような高速で大量に処理される小型のパッケージ、箱又は品目に内包する又は使用するのに好適である。
乳濁液の厚さ
凍結指示剤30は、変色乳濁液30が適合するように、外被34にわたって内壁36と外壁38との間の様々な厚さのうちの任意の厚さであればよい。図3及び4に示されるような凍結指示剤の態様は、一見したところの変色乳濁液の2次元の外観を観察者に対して示すために、ホスト製品の表面上で役立つように維持される。横断方向、上記態様では観察方向における外被34の寸法は、本明細書で凍結指示剤30の“厚さ”とされる。望ましくは、凍結指示剤30の乳濁液の厚さは、凍結前後に、明白な指示シグナルを提供するのに十分な色の強さに変化を呈するように変色乳濁液20にとって適切である。一般に、与えられた乳濁液に対して、色の強さは、凍結指示剤の厚さが増加することで増加し得る。凍結指示剤30は、約10mmまで、必要に応じてこれを上回る厚さを有してもよい。
しかし、凍結指示剤30のいくつかの態様は、相対的に薄型であって、相対的に薄い厚さ、例えば約0.5mm未満、約0.3mm未満、約0.2mm未満又は約0.1mm未満の厚さを有する。小さくて、超小型又は小型の態様の凍結指示剤30は、いくつかの凍結指示剤の用途、又はいくらか大量の製造工程における製造、あるいはその双方において有用である。例えば、小さな凍結指示剤は、ラベル又はパッケージ上のその小さな設置面積及び/又は無駄のない製造においてホスト製品への適用に有用である。
小さな凍結指示剤30のいくつかの有用な態様は、約10μm(ミクロン)から約0.3mmまで、例えば約30μm(0.03mm)までの厚さ又は乳濁液の厚さ、あるいは他の適切な乳濁液の厚さを有する。当該凍結指示剤の態様は、凍結に暴露されたことに応答して乳濁液の色が変化するときに明白な光学的シグナルを提供するために、本明細書に記載されるように、適切な強さに着色された乳濁液20を用いてもよい。
例えば、適切な発色前駆体及び適切な顕色剤を用いる変色乳濁液20の態様は、0.2mm未満の乳濁液の厚さから少なくとも0.4OD又は0.5ODの変色をもたらす。本発明の他の態様は、0.1mm未満又は0.05mm未満の乳濁液の厚さから当該変色をもたらす。本発明による変色乳濁液のさらに有用な態様は、凍結に暴露されたことに応答して、0.2mm又はそれ未満の乳濁液の厚さから少なくとも0.2ODの変色をもたらす。変色乳濁液20の上記態様は、必要に応じて適切な顕色剤と合わせて、少なくとも約5重量パーセントの割合でロイコ染料前駆体を使用してもよい。
図4Aに示された、44としての凍結指示剤は、以下の記載から明らかになる変更を伴う図3及び4に示されたものに大体類似する。凍結指示剤44は、上部のブリスター部45と下部の基板部46とを備える。ブリスター部45は、中央の半球体と半球体の周りに広がる周囲のスカートとを備える。中央の半球体は、基板部46とともに指示剤体積47を決定し、指示剤体積47は、凍結応答性の指示剤溶液、例えば本発明の変色乳濁液の態様を含んでもよい。中央の半球体は、合成ポリマーフィルム物質、例えばポリ塩化ビニルで成形されてもよく、平面図では、円形又は他の望ましい形状である。周囲のスカートは、中央の半球体の一部として同じ物質で形成されてもよく、相対的に硬くてもよく、又は十分に柔らかくてもよい。基板部46は長方形であってもよく、又は他の所望の形状を有し、硬くても柔らかくてもよい。任意に、基板部46は、ホスト製品に付着するために、その底面を接着剤で被覆されてもよく、接着剤は、付着の前に保護のための裏地で覆われてもよい。ブリスター部45の周囲のスカートは、任意の適切な手段、例えば熱接着又は接着剤の使用によって基板部45に密閉されてもよい。あるいは、ブリスター部45及び基板46は、1個の部品として形成されてもよい。凍結指示剤44は、必要に応じて、柔らかくてよく、例えば基板部45が半円形又は円形に湾曲し得るように十分に柔らかくてもよい。
ブリスター部45の中央の半球体は、光学的に透き通った、又は透明、あるいは光が透過してもよく、任意に被覆されてよく、又は内部に及び/又は外部に着色インクのような補助的な光調節物質を含んでもよい。例えば、凍結指示剤44は、カラーフィルタ41のようなカラーフィルタを含んでもよい(図4)。
凍結指示剤44は、相対的に小さな構造など、様々な構造での使用に好適である。凍結指示剤44の小さな態様の1つの具体的な例は、ブリスターの直径(又は対応する寸法)が約4mm、ブリスターの高さ(図4Aの垂直寸法)が約0.6mm、及び指示剤の体積が約5μLである。凍結指示剤44のより大きな他の態様は、ブリスターの直径(又は対応する寸法)が約12mm、ブリスターの高さ(図4Aの垂直寸法)が約1.2mm、及び指示剤の体積が約80μLである。
凍結指示剤30の大量製造を容易にするために、使用するなら基板32を含む多数の凍結指示剤30は、必要に応じてシート素材又は連続ウェブ上に配置して製造されてもよい。
凍結指示剤30のような好適な態様の凍結指示剤は、ブリスター包装機又は他の適切な方法を用いて大量に製造できる。このような方法の1つでは、凍結指示剤は、途切れのない長いシート状の剥離裏地、又は例えば自己巻取りロールのようなロール形状に感圧接着で実装された個別の打抜き品として供給されてもよい。凍結指示剤のシート又はロールは、ラベルの貼付けに対応する手段で操作されてもよく、適切に改造された機械式のラベル機器を用いて、好適な表面に貼付けられてもよい。
変色乳濁液20に使用されるいくつかの適切な凍結指示剤の容器が、指示剤分散系を含むものとして、Taylorらの米国特許第7,571,695号明細書に開示されている。上記凍結指示剤は、様々な方法、例えばブリスター包装機で製造され得る。適度な厚さを有する凍結指示剤30の小さな実施の形態は、煩わしいステップと工程の繰り返しによるよりも、必要に応じてブリスターの空洞の回転加工を用いることによって製造されてもよい。
ここで、凍結指示剤に有用な本発明の変色乳濁液の実施の形態を製造するためのいくつかの方法を説明する。本明細書に記載される本発明による方法、又は当該方法の1又は複数のステップは、文脈で示すか示唆しない限り、約20℃から約25℃の範囲にある室温で実施される。本開示を踏まえて当業者にとって知られるか又は明らかなように、あるいは、当技術分野の進展でこの先知られるか又は明らかになるように、多くの場合、方法又は方法のステップで用いられる温度は、例えば10℃又はそれ以上で方法又は方法のステップの結果に不利な影響を与えることなく変更されてもよい。
図5に示すように、例示された方法は、とりわけ変色乳濁液10及び変色乳濁液10に相当する、又は類似する変色乳濁液などの他の変色乳濁液を製造するのに好適である。例示された方法は、第1の反応剤相14を得るために第1の反応剤50のキャリアとして機能し得る疎水性液体52に第1の反応剤50を溶解するステップ51を含む。当該方法は、第1の反応剤乳濁液56を得るために第1の分散媒54に第1の反応剤相14を分散させるステップ55をさらに含む。第1の分散媒は、本明細書に記載された水性分散媒の1つのような水性液体であってもよい。
ステップ55は、適切な装置で第1の反応剤相14と第1の分散媒54との混合液を撹拌することを含み、それは、所望の粒径の第1の反応剤相14の分散粒子を有する第1の反応剤乳濁液56を製造するのに十分な時間をかけてである。適切な撹拌方法及び装置は、本開示を踏まえて、当業者に知られるか又は明らかになる。他の適切な方法及び装置は、本技術分野の進展とともにこの先知られるか又は明らかになるであろう。例えば、適切な撹拌は、高速混合による、超音波処理による又は小さい穴に圧力下で溶液を押し付けることによる高せん断で行うことができる。
また、例示された方法は、第2の反応剤分散系60を得るために、第2の分散媒58に第2の反応剤相16を分散させるステップ59を含む。当該方法は、第1の反応剤乳濁液56に関して記載されたのと同じ手段で第2の分散系を得るために、第2の反応剤相16と第2の分散媒58との混合液を撹拌することを含む。変色乳濁液10を製造するために、第2の反応剤相16は、第2の反応剤の固体粒子を含んでもよい。あるいは、第2の反応剤相16は、疎水性液体に第2の反応剤の溶液を含んでもよい。任意に、第2の反応剤相16は、反応剤相16又は反応剤相16の溶液からなり、又はから本質的になってもよい。
望ましくは、第2の分散媒58は、水性液体であって、第2の分散媒58に用いられる該水性液体は、第1の分散媒54に用いられる水性液体と同一又は異なってもよい。また、望ましくは、第1の及び第2の分散媒は、それらが異なる水性溶媒の場合、相互に混和性である。上述したように、第1の反応剤と第2の反応剤とは、変色をもたらすために相互に反応性であってもよい。
図5に示された方法は、変色乳濁液10を得るために、適切な割合で第2の反応剤分散系60を第1の反応剤乳濁液56と混合するステップ62をさらに含んでもよい。好ましくは、第1の反応剤乳濁液56及び第2の反応剤乳濁液60のいずれか一方の不安定化又は融合を回避するように混合が行われる。割合は、様々な成分の各濃度を考慮して、変色乳濁液10に良好な発色をもたらすように選択される。
記載された方法に従って、第1の分散媒54は、同質の水相をもたらすために第2の分散媒58と混合されてもよい。第1の反応剤乳濁液の粒子又は小胞及び第2の反応剤の固体粒子、第2の反応剤相16に含まれる後者は、当該同質の水相に分散される。そのため、得られた変色乳濁液10は、図1を参照して説明されたような3相系を含む。
変色乳濁液10は、適切な凍結温度、例えば約+2℃から約−5℃までの範囲、又は約0℃から約−2℃までの範囲の温度に対して、凝固で応答する。凝固は、第2の反応剤の粒子との第1の反応剤相14の溶滴の融合がともない、又は続き、当該溶滴及び粒子は、凍結より前に変色乳濁液10に懸濁されている。融合の状態で、第1の反応剤相14の溶滴は、広がって第2の反応剤粒子を湿らせて、第1の反応剤と第2の反応剤との相互の反応を可能にし、乳濁液に色を加えるか色を除去することによって変色乳濁液10の色を変化させる。
図6に示すように、例示された方法は、とりわけ変色乳濁液20及び変色乳濁液20に相当する、又は類似する変色乳濁液などの他の変色乳濁液を製造するのに好適である。明示されていない当該方法の詳細は、適切な限り、図5に例示された方法の記載での詳細な説明に類似することが理解され、さもなければ、本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかになる。
図6に例示された方法は、第1の安定化剤溶液76を形成するために、水性の第1の分散媒72に第1の安定化成分70を溶解するステップ74を含む。
また、当該方法は、適切な疎水性の油82に発色前駆体80を溶解するステップ78を含み、ここで発色前駆体80は可溶性で、油は発色前駆体溶液84を形成するために発色前駆体80のためのキャリアとして機能し得る。
当該方法は、第1の安定化剤溶液76と発色前駆体溶液84とを混合することと、当該混合物を撹拌し、それを乳化し、水性の第1の安定化剤溶液76に油性の発色前駆体溶液84の液体粒子又は溶滴を分散させ、これによって水中油型の乳濁液として発色前駆体乳濁液88を形成するステップ86とをさらに含む。第1の安定化剤70は、発色前駆体乳濁液88を乳化し安定化する機能に関して選択されてもよく、単一の化合物又は複数の化合物を含んでもよい。任意に、第1の安定化成分70は、低温不安定化剤及び/又は付加的な乳濁液の安定性に関連する機能性をもたらす1以上の他の化合物を含んでもよい。
撹拌ステップ86は、例えば特定の処方で用いられる成分に応じて、所望の粒径を得るために十分な強さで及び十分な持続時間の間、乳濁液成分を撹拌することによって、所望のサイズを有する発色前駆体溶液84の油性粒子に、発色前駆体乳濁液88を提供するために実行されてもよい。
さらに、図6に例示された方法は、第2の安定化剤溶液96を形成するために、水性の第2の分散媒92に第2の安定化成分90を溶解するステップ94を含む。
また、当該方法は、適切な疎水性の油102に顕色剤100を溶解するステップ98を含み、ここで、顕色剤100は可溶で、顕色剤溶液104を形成するために、顕色剤100のためのキャリアとして機能し得る。
当該方法は、第2の安定化剤溶液96と顕色剤溶液104とを混合することと、当該混合物を撹拌し、それを乳化し、水性の第2の安定化剤溶液96に油性の顕色剤溶液104の液体粒子又は溶滴を分散させ、これによって水中油型の乳濁液として顕色剤乳濁液108を形成するステップ106とをさらに含む。第2の安定化剤90は、顕色剤乳濁液108を乳化し安定化する機能に関して選択されてもよく、単一の化合物又は複数の化合物の混合物又はブレンドを含んでもよい。第2の安定化剤90は、第1の安定化剤70と異なってもよく、あるいは必要に応じて第1の安定化剤70と異なる割合で用いられてもよく、又は同じでもよい。
撹拌ステップ106は、例えば特定の処方で用いられる成分に応じて、所望のサイズを得るために十分な強さで及び十分な持続時間の間、乳濁液成分を撹拌することによって、所望のサイズを有する顕色剤溶液104の油性粒子を含む顕色剤乳濁液108を得るために実行されてもよい。
ステップ94、98及び106は、示唆しない又は異なる物質が用いられない限り、ステップ74、78及び86に類似する手段で実行されてもよい。
当該方法は、水中油型の乳濁液としての変色乳濁液20を生成するために顕色剤乳濁液108と発色前駆体乳濁液88とを混合するさらなるステップ、ステップ110を含む。望ましくは、混合は、発色前駆体乳濁液88又は顕色剤乳濁液108のいずれか一方の不安定化又は融合を避けるように実行される。発色前駆体乳濁液88及び顕色剤乳濁液108は、得られた混合乳濁液、変色乳濁液20の凍結によって誘導された凝固及び融合の状態で良好な発色を得るために適切な比で混合される。顕色剤乳濁液108に対する発色前駆体乳濁液88の比は、油82又は102それぞれにおける各反応剤の濃度及び乳濁液88又は108それぞれにおける反応剤粒子又は溶滴の濃度に従って、決定又は調整される。
また、望ましくは、発色前駆体溶液84及び顕色剤溶液104の少なくとも一方の分散相成分は、変色乳濁液20の凍結及び凝固後に分散された各溶滴の融合を促進するために、各溶液が変色乳濁液20の予期される凍結温度、例えば−2℃のような約0℃と−5℃との間で液体である。不活性の液体又は希釈剤が、必要に応じて凍結温度での溶液の粘度を低下させるために発色前駆体溶液84又は顕色剤溶液104のいずれか一方に含まれてもよい。
もし使われるなら、本明細書に記載されたように、又は本開示を考慮した当業者に明らかなように、当該方法における適切な任意の段階で、氷晶核物質が成分又は成分の混合物に添加されてもよい。例えば、氷晶核物質112は、発色前駆体乳濁液88と顕色剤乳濁液108との混合の間であるステップ110において添加される。任意に、氷晶核物質112は、もし使われるなら発色前駆体乳濁液88と顕色剤乳濁液108が混合された後で、混合物に添加されてもよい。あるいは、氷晶核物質112は、混合容器に、発色前駆体乳濁液88又は顕色剤乳濁液108が当該容器に添加されている間に添加されてもよい。本発明の一態様では、3つの成分、氷晶核物質112、発色前駆体乳濁液88及び顕色剤乳濁液108が、大体同時に、かき混ぜ又は撹拌されながら混合容器に添加される。
図6を参照して説明される方法に従って、同質の水相を生成するために、第1の分散媒72が第2の分散媒92と混合されてもよい。油性の発色前駆体溶液84の粒子又は小胞及び顕色剤溶液104の粒子又は小胞が当該同質の水相に分散され、凍結温度を上回る温度で分離して維持される。この結果、得られた変色乳濁液20は、図2を参照して説明されたように、3相系を含み得る。変色乳濁液20の水相に分散した固体粒子として存在するのであれば、氷晶核物質112は、第4の相をもたらす。
変色乳濁液20は、適切な凍結温度、例えば約2℃から約−5℃までの範囲で、又は約0℃から約−2℃までの範囲の温度に対して、凝固によって応答する。凝固は、顕色剤溶液104の溶滴との発色前駆体溶液84の溶滴の融合がともない、又は続き、当該各種溶滴は、凍結より前に変色乳濁液20に懸濁されている。融合の状態で、発色前駆体溶液84の溶滴は、顕色剤溶液104の溶滴と混ざることができ、発色前駆体と顕色剤との相互の反応を可能にし、乳濁液に色を加えるか色を除去することによって変色乳濁液20の色を変化させる。
いくつかの事例では、顕色剤と発色前駆体との反応は、一方の反応剤が他方のキャリア溶媒に拡散し、混ざり、反応するのに時間が必要なため、すぐには起こらない。例えば、色の強さが最大になるまでに、時には数分かかる。反応速度は、必要に応じて反応剤溶液の粘度と濃度の設定及び反応剤の性質によって調整できる。
図7に示された方法は、当該方法が油中水型の乳濁液を水中油型の乳濁液に反転することによって発色前駆体乳濁液88を生成することを含むという違いがあるものの、概して図6に示された方法に類似する。また、例示された方法は、類似する態様で顕色剤乳濁液108を生成する。図7に例示された方法は、変色乳濁液20及び変色乳濁液10に相当する、又は類似する変色乳濁液などの他の変色乳濁液を生成するために用いられる。
ここで、図7を参照すると、ここに例示された方法は、発色前駆体84を形成するために疎水性の油80に発色前駆体80と第1の安定化剤70とを溶解させる第1のステップ120を含む。次に第1の分散媒72が2つの段階で発色前駆体84に加えられる。第1段階、撹拌ステップ122では、第1の分散媒72の一部が、油中水型の乳濁液を形成するために、例えばホモジナイザーで適度な速度で混合物を撹拌しながら、ゆっくりと発色前駆体80に加えられる。得られた油中水型の乳濁液は、外観が油性であって、もしあれば疎水性の油80の色を呈する。
第1の分散媒72を添加する遅い速度は、油性の外観から白色への混合物の突然の変化があるまで維持される。変化は油中水型の乳濁液から水中油型の乳濁液、すなわち発色前駆体乳濁液88を生成する反転である。反転は、第1の分散媒72の添加における第1段階で完了する。
第2段階では、用いられた第1の分散媒72の残量が相対的に素早く添加されてもよい。撹拌の速度は、維持されるか調整される。必要に応じて、“ブレーカー”と呼ばれる界面活性剤が、乳濁液の反転を促進させるために、第1の分散媒72に溶解されるか、反転より前に混合物に独立して添加されてもよい。
顕色剤乳濁液108は、顕色剤100、第2の安定化剤90、油102及び第2の分散媒92を用いて、顕色剤溶液104を形成するための溶解ステップ130、油中水型の乳濁液を形成するための撹拌ステップ132及び油中水型の乳濁液を反転し、水中油型の乳濁液、顕色剤乳濁液108を形成するための撹拌ステップ134を介して、同様の方法で調製されてもよい。
図7を参照して本明細書に記載されるように、乳濁液の反転プロセスの使用は、矛盾のない再現性のある方法で発色前駆体乳濁液88及び/又は顕色剤乳濁液108の調製に役立つこともある。いくつかの事例では、当該乳濁液の反転プロセスは、高速ホモジナイザーを使用しなくても十分に実施できる。
次に、変色乳濁液20は、必要に応じて氷晶核物質112の添加を伴って、図6の方法の混合ステップ110に類似する混合ステップ136で発色前駆体乳濁液88及び顕色剤108から形成される。図7に示された方法の他の詳細は、図6に示された方法の詳細に類似するか、又は本開示を考慮して当業者に明らかである。
本発明は、本明細書の図5、図6又は図7を参照して記載されたような方法によって、あるいは本明細書に記載された他の方法によって製造される変色乳濁液を含む。
本発明の変色乳濁液の態様で用いられてもよい様々な成分をここで説明する。本開示を考慮して、当業者に知られるか又は明らかになる、あるいは当技術分野の進展においてこの先知られるか又は明らかになるような他の成分が用いられてもよい。
水性分散媒
本発明の変色乳濁液の態様で用いられる分散媒、例えば分散媒12は、任意の適切な水性液体を含んでもよい。したがって、分散媒は、水及び1以上の他の成分を含んでもよく、あるいは水から構成されるか、又は実質的に構成されてもよい。望ましくは分散媒は、監視される凍結状態に関連する融点を有する。
水及び多くの他の液体は、過冷却になりやすい。過冷却は、水の凝固点を水の融点、すなわち標準気圧において0℃である氷の融点よりも低くする。水の凝固点は、液体相が固体相(氷)に変化する温度であって、融点は、固体相(氷)が液体相に変化する温度である。過冷却は、水の凝固点を−10℃又はそれ未満に押し下げる。
過冷却及び分散媒の凝固点とその融点との間の限られた差に対抗するために、分散媒は、水よりも高い融点を有する水混和性液体、すなわち0℃を上回る温度で融解する液体を含むことができ、必要に応じて分散媒の融点を上げてもよい。例えば、分散媒は、適切な割合の酸化重水素、重水又は酸化重水素と重水との混合物を含んでもよい。
また、過冷却は、必要に応じて、本明細書に記載されたような氷晶核物質を用いることで抑制できる。
明細書中で示さない限り、用語“水”及び“水性”は、“普通の”、一般的な水、式D2O、“重水”としても知られる酸化重水素、部分的に重水、DHO及びこれら形態の水の混合物を含むものとして、本明細書において用いられる。普通の水では、主に存在する水素同位体は、原子番号1のプロチウムである。重水では、主に、又は唯一存在する水素同位体は、原子番号2の重水素である。水の異なる形態間で区別するのが有用であることが明らかなら、用語“軽水”は、本明細書において一般的な、主に存在する水素同位体がプロチウムである普通の水のことであって(ただし、微量の重水素が軽水に存在するこがよく知られている)、用語“重水”は、主に又は完全に酸化重水素である水として用いられる。酸化重水素と軽水との混合物は、水素原子の交換を介して重水素化された水を形成する。
酸化重水素は、3.8℃の融点を有し、軽水は0.0℃の融点を有し、軽水/重水の混合物の凝固点及び融点は、一般には、混合物中の2つの化合物の相対的な割合に関連する。
酸化重水素、重水素化された水又は酸化重水素と重水素化された水との混合物の割合は、少なくとも約10重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又はほぼ100重量%であってもよく、割合は、分散媒の重量に基づく。これらの割合は、酸化重水素と軽水との混合物が水素原子の交換を介して重水素化された水を形成することの理解で解釈される。
必要に応じて、分散媒は、実質的に、又は完全に水から構成されてもよい。また、分散媒は、実質的に、又は完全に酸化重水素から構成されてもよく、すなわち必要に応じて分散媒は、100%の酸化重水素であってもよい。
また、酸化重水素及び重水素化された水は、過冷却の傾向がある。したがって、酸化重水素が存在してもしなくても、分散媒は、必要に応じて水性液体媒体の凝固点と融点との間の差を小さくするために氷晶核物質を含んでもよい。
本発明の凍結指示剤の態様に関する望ましい活性化温度は、分散媒に含まれる酸化重水素の適切な割合を決定することによって、及び分散媒に適切な氷晶核物質を取り入れることによって得られる。例えば、凍結指示剤は、約1.0℃から0.0℃まで、約0℃から−1℃まで、又は約−1℃から約−2℃までの範囲の活性化温度を有してもよい。
本発明の凍結指示剤の態様において有用な分散媒のいくつかの態様は、あらゆる有機液体を欠くか使用していない。本発明の凍結指示剤の態様において有用な分散媒の他の態様は、凍結温度又は凍結温度より高温、例えば、約−10℃から約50℃までの範囲の温度で、分散媒から分離するあらゆる有機液体を欠くか使用していない。
変色反応剤
本発明の実施で有用な変色反応剤は、区別できる又は明白な変色、例えば強い発色の出現又は消失を生じさせるために、本発明の変色乳濁液の態様で使われている条件下で共に反応する共反応剤を含む。凍結指示剤の一度も凍結していない外観と凍結に暴露された外観との間で強い明暗を提供する変色が必要に応じてもたらされる。変色反応は、化学反応、例えばpH誘導の変色であってもよい。あるいは、当該反応は光学的特性の変化、例えば加法混色から減法混色への変化を提供する物理的反応であってもよい。第1の反応剤14及び第2の反応剤16、並びに発色前駆体80及び顕色剤100は、必要に応じて上記共反応剤によって、又は他の適切な物質によって与えられてもよい。
いくつかの適切な変色反応剤は、発色前駆体を含んでもよく、該発色前駆体は、適切な顕色剤又は他の適切な露光剤に暴露されることで光学密度に顕著な変化を示す。当該変化は、例えば凍結前の明るい外観から凍結後の又は凍結及び解凍後の暗い外観への変化でもよい。有用な発色前駆体のいくつかの例は、染料前駆体、例えば無色又は弱い発色状態のロイコ染料の前駆体形態、銀化合物及びいくつかのキノンなどである。これらの発色前駆体のいくつかは、発色した際、薄い乳濁液層で強い色を生じることができ、該乳濁液層は例えば30μm又はそれ未満、あるいは20μm又はそれ未満の厚さを有する。
変色する共反応剤のいくつかの有用な特性は、良好な油溶解性及び低い水溶性などである。また、凍結及び周囲温度で液体状態であることが有益である。
いくつかの染料は、その分子が2つの形態になることが知られており、その一方は無色又は明るい色で、他方は有色、時には強い色である。それら染料は通常、“ロイコ染料”と呼ばれる。用語“ロイコ染料前駆体”は、本明細書でロイコ染料の無色又は明るい色の形態を意味する。いくつかのロイコ染料は、その環境が酸性から塩基性に変化したときに変色することができる。いくつかの他のロイコ染料は、その環境が塩基性から酸性に変化したときに変色することができる。このため、ロイコ染料前駆体は、適切な顕色剤によってロイコ染料の発色した形態に変わることができる。いくつかのロイコ染料は、強い色及び明るい色の前駆体を有する。例えば、無色の又はわずかに黄色のクリスタルバイオレットラクトン前駆体は、酸性の顕色剤を用いることで強い紫色又は暗い青色に変化できる。
本発明の実施において使用可能な変色共反応剤の他の例では、油に可溶な還元剤、本明細書における顕色剤が、本明細書における発色前駆体である無色の銀化合物、例えばラウリン酸銀を、本来の銀に還元し、無色から灰色又は黒色の色調への変色をもたらす。
本発明の実施において使用可能な変色共反応剤のさらなるいくつかの例は、一方では物質の比色定量又はスポット分析で用いられるような水溶性の低い、変色可能で油に可溶な分析用試薬、及び他方では変色をもたらすために当該分析試薬と反応し得る分析対象の物質などである。例えば、分析用試薬2,6−ジブロモキノンクロリミドが、フェノールと相互に反応し、無色から強い青色への変色をもたらす。有用な変色反応剤の付加的な例は、2,3,5,6−テトラクロロシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン及び1,3,3−トリメチル−3−メチレンインドリンなどである。
凍結前に有色であって凍結で誘導された凝固及び融合後に無色か薄い色になる変色乳濁液20で使用可能な変色共反応剤の例は、顕色剤を用いて色を可逆的に発色する着色物質;及び発色反応を戻し、当該着色物質を減色する色除去剤である。適切な上記変色共反応剤がさらに本明細書に記載される。
本発明の実施で用いられる発色前駆体及び顕色剤の限定されない様々な具体的な例が以下で説明される。
発色前駆体
上述のように、本発明の実施で用いられるいくつかの発色前駆体は、有色又は強く発色する化合物又は前駆体化合物の形態に変化する銀の塩及びロイコ染料のような無色の又は薄く着色された物質などである。
発色前駆体として有用ないくつかの銀化合物は、還元性で油に可溶な有機銀化合物、例えばラウリン酸銀、パルミチン酸銀及びミリスチン酸銀のようなカルボン酸銀などである。上記カルボン酸塩のように水溶性が低く油に可溶な有機銀化合物は、有利である。
発色前駆体として有用ないくつかの分析用試薬は、2,6−ジブロモキノンクロリミドなどである。他の適切な分析用試薬は、本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかである。
有用なロイコ染料前駆体の一例は、上述のようにクリスタルバイオレットラクトンなどである。適切なロイコ染料顕色剤での発色において、本明細書に例示されたように、クリスタルバイオレットラクトンは、濃い青色又は紫色を発色する。
有用なロイコ染料前駆体のさらなるいくつかの例は、オハイオ州シンシナティのエメラルドヒルトンデイビスから市販される特殊マゼンタ20、ODB−1並びにODB−2及びノースカロライナ州シャーロットのBASFから市販されるPERGASCRIPT(登録商標)RED I 6Bとされる製品などである。特殊マゼンタ20及びはPERGASCRIPT(登録商標)RED I 6Bは、強いマゼンタ色を生成する。発色前駆体ODB−1及びODB−2は、発色で黒色になる。
2以上の相互に相溶性のある発色前駆体が使用可能である。クリスタルバイオレットラクトンと特殊マゼンタ20の組み合わせは、マゼンタ色から濃い紫色まで変動できる色を発色する。
また、有用な染料前駆体は、トリアリールメタン化合物、ビスフェニルメタン化合物、キサンテン化合物、チアジン化合物、スピロピラン化合物などのラクトン、ラクタム、スルホン、スピロピラン、エステル骨格又はアミド構造を有する十分に無色の化合物などである。
有用なロイコ染料前駆体のいくつかの付加的な具体例は、ベンゾイルロイコメチレンブルー、マラカイトグリーンラクトン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、及びN−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどである。
顕色剤と反応して赤色を発色する有用なロイコ染料前駆体のいくつかの例は、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン及び3,6−ビス(ジエチルアミン)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)−アニリノラクタムなどである。
本発明の変色乳濁液及びその製造において使用できて顕色剤と反応して黒色を発色するロイコ染料前駆体のいくつかの例は、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランなどである。
顕色剤と反応してオレンジ色を発色する有用なロイコ染料前駆体のいくつかの例は、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオランなどである。
さらに有用なロイコ染料前駆体がMidorikawaらの米国特許第6,258,747号明細書の第3欄28行目から第4欄24行目までに開示されており、当該開示は、引用により本明細書に組み入れられ、及びAustinらの米国特許第6,514,909号明細書の第5欄16−61行目に開示されており、当該開示は、引用により本明細書に組み入れられる。
本発明の実施において、上記発色前駆体は単独で、又は2以上の相溶性の化合物と組み合わせて用いられてもよい。
変色乳濁液20における第1の反応剤のように、適切な割合の発色前駆体の組み合わせの使用は、特定の用途のために色を選択することにおいて多様な色を提供できる。例えば、Sandersらの米国特許第4,842,976号明細書は、第12欄47行目から第14欄10行目までに、黄色、シアン色及びマゼンタ色をそれぞれ発色するために顕色剤と反応する様々なロイコ染料の発色前駆体を記載しており、当該開示は引用により本明細書に組み入れられる。よく知られているように、黄色、シアン色及びマゼンタ色の着色剤が広範囲に及ぶ色域を提供するために様々な割合で組み合わせられる。この組み合わせは、本発明の変色乳濁液の態様で使用できる。
凍結での融合を促進するために、本発明の実施で用いられる発色前駆体は、必ずしもではないが、発色前駆体が組み込まれる凍結指示剤の凍結温度で液体又は無定形固体であってもよい。任意に、本発明の実施で用いられる発色前駆体は、0℃又は−5℃あるいは−10℃と同程度に低い温度で液体か無定形固体であってもよい。望ましくは、凍結指示剤が応答しそうな温度で発色前駆体が固体又は固体になりそうな場合、第2の反応剤相16は、液体であってもよい。
必要に応じて、関心のある温度で固体であることが期待される発色前駆体又は他の第1の反応剤物質が、本発明による変色乳濁液に組み込まれる前に、関心のある温度で液体又は半固体状態になるように前処理されてもよい。前処理の上記方法の1つは、2以上の発色前駆体、例えばロイコ染料前駆体を共通の溶媒に溶解することと、油性の液体発色前駆体組成物を生成するために当該溶媒を蒸発させることとを含む。いくつかの事例において、当業者に知られるように、適切な溶媒における染料又は染料前駆体の混合溶液を蒸発させることで調製される染料又は染料前駆体の混合物は、個別に溶解及び蒸発された場合、結晶化できずに、それらは結晶の沈殿物の代わりに油性液体になる。
油性の液体発色前駆体組成物の粘度は、特定の凍結指示剤に関して関心のある範囲の温度で、発色前駆体成分と前駆体混合組成物の性質に依存し、必要以上の実験をせずに決定できる。前駆体組成物は、各成分の任意の適切な割合を有し、例えば2成分混合物の場合、それは前駆体組成物の重量に基づいて約10パーセントから約90パーセントの範囲の割合である。3以上の成分の混合物の場合、前駆体組成物の重量に基づいて約5パーセントから約60パーセントの範囲の各成分の割合が用いられてもよい。
油性の前駆体液体混合物の粘度は通常、他の油性液体のように、温度が下がるにつれて増加する。しかし、室温で処理するのが困難な相対的に粘性の高い混合物は、必要に応じて、例えば約50℃から約90℃までの範囲の温度において適切な乳化剤又は分散系を用いた高温の水性分散媒での分散によって、上昇した温度で乳化されてもよい。冷却すると、前駆体混合物は、均一でない固体よりもむしろ、混合されていない、純粋な発色前駆体出発物質の結晶化によって形成されるようなほぼ球状の粒子を形成することが予期される。第1の反応剤相の球状粒子は、本発明の目的に対して有用であると考えられる。球状粒子は一般に、液体分散媒に確実に分散でき、本発明の凍結指示剤の態様でよく機能する。また、第1の反応剤相の無定形の溶液粒子は、第2の反応剤相の粒子とよく融合すると考えられ、このため、凍結指示剤に組み入れられたときに凍結への早い応答に寄与できる。
顕色剤
本発明の実施の態様における顕色剤として有用な物質又は組成物は、一般に変色をもたらすために発色前駆体と反応し、使用される乳濁液成分と相溶性である。
例えば、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、亜リン酸エステル、ヒドロヒドロキノン、ジメチヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、他のジアルキルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体など、及び2−ヒドロキシプロピオン酸第一鉄のような油に可溶な還元剤が、本発明の実施において有用な銀塩発色前駆体に対する顕色剤として用いられてもよい。水溶性が低く油に可溶な還元剤、例えばシュウ酸及びジアルキルヒドロキノンは、有利である。
また、2,6−ジブロモキノン化合物と反応する顕色剤として用いることができる水溶性の低いいくつかのフェノールは、3−エトキシフェノール;1,2−ジエチル−3−ヒドロキシベンゼン;1,3−ジエチル−2−ヒドロキシベンゼエン;及び2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)などである。
さらに、油に可溶な又は液体の、水溶性の低い一級及び二級アミン、例えば4−ブチルアミンが2,3,5,6−テトラクロロシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオンに対する顕色剤として用いられる。
ロイコ染料前駆体の色は通常、様々な化合物によって発色されてもよく、そのいくつかの例は、フェノール誘導体、有機酸及び酸性白土である。上記化合物及び組成物は、本発明の実施において顕色剤として用いられ、それらは他の乳濁液成分と相溶性である。有用な酸性白土顕色剤の具体的な一例は、FULACOLOR(登録商標)XWであって、英国ウィドネスのロックウッドアディティブズから市販される反応性の酸性ヘクトライト粘土である。
いくつかの事例では、ポリマー樹脂が用いられてもよい。いくつかの有用なポリマー樹脂は、フェノール性樹脂、フェノール−アセチレン樹脂及びフェノール性樹脂の多価金属塩、フェノール−アセチレン樹脂などである。具体的に有用な顕色剤はHRJ2053であって、ニューヨーク州スケネクタディのSIグループから市販される修飾された亜鉛含有アルキルフェノール樹脂である。
本発明の実施において顕色剤として有用な物質のさらなるいくつかの例は、サリチル酸亜鉛、サリチル酸亜鉛樹脂、ビスフェノールAとして知られる4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,7−ジ(ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、4−ヒドロキシエチル安息香酸エステル、4−ヒドロキシジメチルフタル酸エステル、フタル酸モノベンジル、硫化ビス−(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−エチルフェニル)、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、スルホン酸4−ヒドロキシフェニルベンゼン、4−ヒドロキシベンゾイルオキシベンジル安息香酸エステル、ビス−(3−1−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホン、p−tert−ブチルフェノール及びビスフェノールAをベースにしたポリマーなどである。
本発明の実施において顕色剤として有用な物質のさらなるいくつかの例は、Midorikawaらの米国特許第6,258,747号明細書の第4欄25行目から第6欄29行目まで、及びAustinらの米国特許第6,514,909号明細書の第4欄の17行目から第5欄15行目までに見られる。Midorikawaら及びAustinらの各特許明細書の引用された開示は、引用により本明細書に組み入れられる。
必要に応じて、液性の第2の反応剤が本発明の実施で用いられる。本発明による凍結指示剤に有用な温度で液体である疎水性物質であって、ロイコ染料顕色剤でもあるいくつかの例は、液化したハロゲン置換のフェノール;4−ブロモ−2−フルオロフェノール;2−ブロモ−5−フルオロフェノール;2−クロロ−5−フルオロフェノール;2−クロロ−6−メチルフェノール;液化した短鎖アルキルで置換されたフェノール;2−tert−ブチルフェノール;2−n−プロピルフェノール;3−n−プロピルフェノール;液化した短鎖エーテルフェノール;2−イソプロポキシフェノール;及び3メトキシフェノールなどである。
また、使用できる液性の疎水性ロイコ染料顕色剤は、2以上のハロゲン及び/又は短鎖アルキルで置換された、比較的融点の低いフェノールの混合物を含み、それは、融点の低いハロゲン化されたフェノール;2−ブロモフェノール(融点約5℃);2−ブロモ−4−メチルフェノール(融点約16℃);融点の低い短鎖アルキル化フェノール;2−sec−ブチルフェノール(融点約10−12℃);4−n−プロピルフェノール(融点約24℃);2,6−ジイソプロピルフェノール(融点17−18℃);2−イソプロピルフェノール(融点約14−16℃);及び4−n−プロピルフェノール(融点約20−22℃)などである。上記ロイコ染料顕色剤混合物に適切な組成物は、所望の温度で液体であって、本発明の目的に有効な第2の反応剤を提供し、必要以上の実験をすることなしに当業者によって決定され得る。また、当業者は、本発明の実施において使用できる他の適切なロイコ染料混合物を、知っているか又は決めることができる。
最初から有色の変色乳濁液20で使用するための第1の反応剤は、適切な顕色剤との発色前駆体の可逆的な反応の有色生成物であってもよい。当該有色の反応生成物は、有色の該反応生成物が組み入れられ、凍結前に有色の外観であって、必要に応じて激しい又は強い色である変色乳濁液を与える。本発明の上記態様は、第2の反応剤として適切な割合の色除去剤を用いてもよい。色除去剤は、有色の反応生成物を含む第1の反応剤相との色除去剤を含む第2の反応剤相の融合において、任意の適切な手段、例えば顕色剤の影響を弱めることで有色の反応生成物の色を減じることができる。色除去剤は、発色を反転又は薄くすることで顕色剤の影響を弱めることができ、色抑制剤として機能でき、あるいは他の適切な手段で第1の反応剤の色を減じることができる。
いくつかのロイコ染料の発色は、顕色剤に対してシンク又は中和剤を与えることで反転できる。このため、最初から有色の変色乳濁液20で使用するための有用な第1の反応剤は、酸性の顕色剤で変わるロイコ染料であってもよい。当該第1の反応剤と用いるための適切な第2の反応剤の1つは、アルカリ、例えば酸性の顕色剤を中和することで色除去剤として機能する強塩基である。例えば、フェノールフタレインは、酸で発色し、強いピンク色を有し、フェノールフタレイン染料を無色の状態に戻すために、当該酸はアルカリで弱められるか中和されてもよい。
他の発色したロイコ染料、例えばフェノール性化合物で発色したクリスタルバイオレットラクトンは、本発明による最初から有色の変色乳濁液20で使用され、アルカリ性の第2の反応剤で同様に色除去されてロイコ染料の発色が反転する。
色除去反応は、濃度依存性であってもよく、第2の反応剤の濃度は、必要に応じて適切な変色をもたらすように選択される。
第2の反応剤が第2の反応剤相粒子を拡散することを制限又はしないようにすることで、変色乳濁液20の最初から有色の態様の早すぎる減色を防止するために、第2の反応剤は、不溶性アルカリ又は他の適切な不溶物質であってもよい。有用な不溶性アルカリのいくつかの例は、塩基性粘土又は細挽きの不溶な塩基性無機物のような物質などである。任意に、粘土又は無機物は、ポリアミン基で、ポリエチレンイミン基で、陽イオンの官能基で、又は適切な塩基性の性質を有する他の適切な官能基で誘導体化されてもよい。
あるいは、第1の反応剤が発色した発色前駆体の場合、第2の反応剤は、第2の乳濁液との第1の乳濁液の融合及び混合において、発色をもたらすのに不十分になるように顕色剤濃度を低下させた割合で用いられる顕色剤希釈液であってもよい。
発色前駆体又は顕色剤又は発色前駆体及び顕色剤において有用ないくつかの物理的特性は、水に実質的に不溶、例えば、水に不溶又は少しだけ溶けること、及び適切な油又は他の疎水性液体に溶けることである。
2成分の乳濁液が変色乳濁液に用いられるなら、発色前駆体及び顕色剤は、疎水性液体、又は各疎水性液体に同程度の溶解性を有してもよい。
望ましくは、発色前駆体及び顕色剤の物理的特性は、双方ともにそれぞれが分散相中の粒子に実質的に保持され、分散相に認め得るほどには移行しないことである。また、望ましくは、使用されるなら、分散相粒子に存在する油又は他の疎水性液体から分散媒に、界面活性剤又は他の安定化成分によって引き出される又は浸出する反応剤の量は、いずれもほとんどない。これに関連して、かなりの量の反応剤は通常、例えば最初は無色の乳濁液の発色を早めることで、凍結への暴露が起こる前に変色乳濁液の色に不利に影響する量である。少量の着色反応剤の存在は、変色乳濁液が凍結で外観に、例えば薄い色から濃い色のように著しい変化をさらに受ける限り許容される。
望ましくは、使用されるのであれば任意の界面活性剤又は他の安定化成分は、分散媒中の反応剤の、疎水性溶媒を含まない溶滴として、いずれか又は両方の変色反応剤を個別に乳化するよりも、分散媒における疎水性液体、又は仮に2種類の異なる液体が用いられた場合の各疎水性液体を乳化するために機能する。安定化成分の他の望ましい特徴が本明細書に記載される。
色除去剤
本発明の実施において用いられる色除去剤のいくつかの例は、オクタデシルアミン、キノン、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、様々なキアニジンの並びにグアニジンの誘導体、及びKohmuraらの米国特許第3,916,068号明細書に記載された色除去剤のような他の有機アミン誘導体、及び2以上の当該アミンの混合物のような水に不溶で油に可溶なアミンなどである。米国特許第3,916,068号明細書の第3欄24行目から第14欄の38行目までの開示が引用により本明細書に組み入れられ、その際、組み入れられた記載における“本発明”との言及は、米国特許第3,916,068号明細書の各発明を意味し、本明細書に記載された発明を意味しないことが理解される。他の適切な色除去剤は、本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかであって、あるいは当技術分野の進展に伴いこの先知られるか又は明らかになる。
上記色除去剤は、例えばクリスタルバイオレットラクトン、及び本明細書に記載された他のロイコ染料のような発色したロイコ染料、あるいは他の発色した第1の反応剤とともに、変色乳濁液において共反応剤として使用されてもよい。
基礎環境(暴露)色の制御
役立つように、望ましくない基礎環境色の危険を低減するために、使用するのであれば、発色前駆体は、分散媒に不溶又は実質的に不溶なものが選択されてもよい。凍結指示剤が凍結に暴露されることで活性化される前に、分散媒に溶解又は移行した微量の発色前駆体が反応し、凍結指示剤シグナルと混同してしまう基礎環境色が早期に凍結指示剤に発生する。当該基礎環境色は、実際には凍結が起こってないときに、凍結に暴露されたシグナルとして誤解される。顕色剤阻害剤は、必要に応じて、本明細書に記載されたように基礎環境色の発色を制御するために変色乳濁液に含まれてもよい。
いくつかの変色反応剤は、本発明による変色乳濁液の無色又は明るい色の状態において望ましくない基礎環境色を生じさせる混入物を含むことがある。例えば、油に可溶な顕色剤又は油に可溶な発色前駆体において水溶性の混入物が疎水性相から水性分散媒に浸出し乳濁液を変色させる。また、いくつかの水に不溶な反応剤は、仮に第2の油相が存在するなら、本発明の変色乳濁液の態様の水相を介して一方の油相から他方の油相に輸送される水溶性の混入物を含む。上記二次汚染は、発色前駆体の部分的な発色を引き起こし、望ましくない基礎環境色を生じさせる。
この問題に対処し、基礎環境色の形成を抑制するために、顕色剤、発色前駆体又は他の第1の反応剤あるいは第2の反応剤のような固体で水に不溶な反応剤は、当該反応剤が本発明の方法の態様で使用される前に、水溶性混入物又は他の水溶性成分を除去するために温水で洗浄することで処理されてもよい。
例えば、本発明による前処理又は精製は、重量で部を示すと、水に不溶な反応剤1重量部を、約2重量部から約100重量部の水で沸点又は沸点付近の温度にすることと、当該水を廃棄することと、を含む。任意に、混合物は、反応剤の分散を促進するために少量の適切な界面活性剤、例えば約0.01重量部から約0.1重量部までの非イオン性の界面活性剤を含んでもよい。当該方法は、有効になると考えられるまで複数回、例えば1から5回上記洗浄ステップを繰り返すことを含んでもよい。また、当該方法は、最終的に暖かい水−反応剤混合物を反応剤が結晶化するまで冷却すること、反応剤を分離すること、及び乾燥して粉上にすりつぶすことを含んでもよい。当該方法は、基礎環境色の汚染を抑制することを目的に、本明細書に記載されたように変色乳濁液の粉状の反応剤を組み入れることをさらに含んでもよい。
発色前駆体及び顕色剤を利用する変色乳濁液20の態様において基礎環境色の汚染を抑制又は制御する他の方法は、発色前駆体によって起こり得る早すぎる発色を制御するために、第1の反応剤相14において発色前駆体とともに低濃度の顕色阻害剤を用いることである。比較的高い割合の顕色剤が第2の反応剤相16で、又は第2の反応剤相16として用いられてもよく、相が混合するとき、凍結の状態で、顕色剤は、顕色阻害剤を圧倒し、発色反応が進み、凍結への暴露を表示する。
顕色剤阻害剤の任意の適切な割合が用いられてよく、例えば変色前駆体の重量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の範囲の割合である。顕色剤阻害剤の重量の少なくとも約3倍の重量のように、顕色剤阻害剤に対して任意の適切な過剰量の顕色剤が用いられてよく、例えば、顕色剤阻害剤の重量の少なくとも約3倍から約100倍の重量である。
顕色剤阻害剤のいくつかの例は、オクタデシルアミン、キノン、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、様々なキアニジンの並びにグアニジンの誘導体、及びKohmuraらの米国特許第3,916,068号明細書に記載された色除去剤のような他の有機アミン誘導体、及び2以上の当該アミンの混合物などである。他の適切な顕色剤阻害剤は、本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかであって、あるいは当技術分野の進展に伴いこの先知られるか又は明らかになる。
顕色阻害剤を利用して基礎環境色の形成を制御する当該方法は、本明細書に記載された他の基礎環境色の制御方法の代わりに、又は一緒に用いられてもよい。
疎水性液体
様々な疎水性液体が本発明の変色乳濁液の態様で用いられてよく、とりわけ、天然油及び合成油などである。いくつかの有用な疎水性液体は、水と混ざらない、又は混じりあわない傾向にある、又は水を吸収する、あるいは水に対する親和性を欠く。本発明の実施で使用される疎水性液体は、第1の反応剤及び第2の反応剤のいずれとも反応しない疎水性液体である。
いくつかの有用な天然の及び合成の油は、本明細書に記載された1以上の第1の及び第2の反応剤のための溶媒として適切である。
第1の及び第2の反応剤として油に対する良好な溶解性及び低い水溶性を有する染料前駆体及び染料顕色剤又は他の適切な共反応剤を選択することによって、水相における又は一方の反応剤相から水相を介して他方の反応剤相に移行することによる望ましくない発色が制御されてもよく、いくつかの事例では、回避できる。
望ましくは、本発明の実施で用いられる疎水性液体は、変色乳濁液で用いられる1又は複数の反応剤に応じて第1の又は第2の反応剤のいずれかを含む疎水性液体の溶液の凝固点が、凍結指示剤が凍結に暴露されたことを残すか表示することが求められる凝固点よりも低いという物理的性質を有する。
また、望ましくは、疎水性液体は、使用が予想される条件下で揮発性ではなく、例えば約70℃又は他の適切な温度未満で揮発性ではなく、分散媒の凍結温度付近と約70℃又は他の適切な温度との間の温度で液体である。疎水性液体は、必要に応じて、疎水性液体の粘度を減少させるため、又は凍結指示剤30の関連のある凍結温度で固体状態よりはむしろ半固体の又は液体の状態に疎水性液体を維持するために粘度抑制剤を含んでもよい。
いくつかの有用な変色反応剤、例えばロイコ染料及びロイコ染料顕色剤は、油及び疎水性液体に可溶で、水にほんの少しだけ可溶又は不溶である。
第1の反応剤14及び第2の反応剤16の一方又は双方のための溶媒として有用な疎水性液体のいくつかの例は、大豆油、綿美油、亜麻仁油、菜種油、ひまし油、ひまわり油、オリーブ油、キャノーラ油、ピーナッツ油、コーン油及び他の植物油などのテルフェニル油及び植物油である。2以上のこれらの又は他の適切な油の混合物が用いられてよく、各油又は混合物は、他の溶媒又は希釈剤と混合されてもよい。時には種々の異性体の混合物であって市販されて利用可能ないくつかのテルフェニル油は、合理的なコスト、低毒性又は極めて遅い蒸発速度及び高い化学的安定性のような、本発明の凍結指示剤の態様で利用可能な変色反応剤のための溶媒としての使用にそれらを適合させる1以上の特性を有する。適切なテルフェニル油の1つは、ミズーリ州セントルイスのソルティアから製品コードMCS 2811として市販されている。
本発明の実施において有用な疎水性液体のさらなるいくつかの例は、弱い極性油、170℃を上回る、例えば約180℃から約300℃までの沸点を有する弱い極性油、アルキル化されたビスフェニル、モノイソプロピルビフェニル、フタル酸ジオクチル、フマル酸ジブチル、ひまし油、鉱油、ナフテン系鉱油、及び2以上の上記疎水性液体の混合物などである。用語“弱い極性”は、本明細書において、約4未満のハンセンの極性溶解度パラメータを有する油を意味するために用いられる。いくつかの油に関する溶解度パラメータは、例えば、“ハンセン溶解度パラメータ:ユーザーズハンドブック”,C.M.Hansen,2000,CRCプレス,ISBN 0−8493−1525−5に見られる。また、当該引用文献には、引用文献で一覧にされていない溶解度パラメータの評価方法も記載されている。当該方法は、本発明の実施で使用される油の極性溶解度パラメータの決定に用いることができる。
有用な疎水性液体のいくつかの付加的な例は、シリコーン油などである。次の化合物は、本発明の実施において使用され得る適切なシリコーン油のいくつかの例である:シロキサン、ポリシロキサン、及びメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン並びに高度にポリマー化されたメチルポリシロキサンなどの鎖状ポリシロキサン;デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチル水素ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルポリシクロシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのシクロポリシロキサン;フッ素修飾されたシリコーン、ポリエーテル修飾されたシリコーン、アルキル修飾されたシリコーン及びアクリル修飾されたシリコーンなどの修飾されたシリコーン;及びジメチルシロキサン/メチルシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン/メチルシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン/メチルシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン/メチルセチルオキシシロキサンコポリマーなどのシロキサンコポリマー。
疎水性液体は、第1の又は第2の反応剤それぞれの溶解性を改善するため、若しくは第1の又は第2の反応剤相の粘度を増加するため、希釈剤を必要に応じて含んでもよい。当該希釈剤は、変色反応剤の溶媒、又は溶媒混合物、例えば鉱油あるいは脱臭灯油と混和性である任意の適切な液体でもよい。
さらに適切な疎水性液体が、本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかであって、あるいは、当技術分野の進展に伴い、この先知られるか又は明らかになる。
安定化成分
本発明のいくつかの態様は、水相と疎水相の混合物が乳濁状態になることを促すために組成物に乳化剤を含んでもよい。また、本発明のいくつかの態様は、乳濁液が形成されるとすぐに乳濁液が崩壊することを防ぐために安定化剤を使用する。いくつかの物質、例えばいくつかの界面活性剤が両方の機能を発揮し、それらは乳化及び安定化でき、また、使用され得る。
いろいろな利用のために、凍結指示剤は、目的とされるホスト製品が該ホスト製品の“保存可能”期間と呼ばれる間に直面しがちな凍結温度を上回る温度で安定に維持されるべきである。用語“保存可能期間”は、ホスト製品に関連して本明細書で用いられ、ホスト製品がその時間、実際に棚に載せられたかどうかに関わらず、ホスト製品の製造時間又はホスト製品が製造者の管理下を離れてから、ホスト製品の販売又は使用、あるいは他の所望する時点までの期間を意味する。保存及び流通、及び保存設備の保温システム又は配送車のエンジンに近いこと、あるいは日光への暴露などのような保存及び流通の間に起こるかもしれない例外的なことの条件に依存して、40℃、50℃又はそれより高く温度が上昇することがある。目的とするホスト製品に応じて、凍結指示剤は、様々に数日又は数週間、3ヶ月又は6ヶ月、1年、2年あるいはそれより長期間の保存可能期間を有することが要求される。
所望の目的を達成しやすくするために、本発明のいくつかの凍結指示剤の態様は、望ましくは、通常すぐには、すなわち販売又は使用より先に、あるいは他の適切な時点より先に凝固しないにも関わらず、それでもホスト製品の保存可能期間の間の任意の時点で、及び場合によってはその後任意の時点で、凝固し、明確な光学的シグナルをもたらすことによって、凍結に暴露されたことに有効に応答できる。
したがって、変色乳濁液の安定性を維持するために、凍結指示剤30のような本発明の凍結指示剤の態様は、必要に応じて安定化成分を用いることができる。安定化成分は、1以上の安定化化合物を含んでもよく、任意には、例えば乳濁液の低温での不安定化の促進のような付加的な安定化に関連する機能性を与える1又は複数の化合物を含んでもよい。
凍結温度を上回る温度での乳濁液の安定化は、界面活性剤又は他の適切な安定化化合物によって提供される。いくつかの適切な安定化化合物が国際公開第2010/014730号の例えば27ページの6−17行目及び24−28行目に記載されており、その開示全体が引用により本明細書に組み入れられる。
低温での不安定化は、ある高分子量化合物によって、又は濃度応答性の不安定化剤又は凝固剤、例えばイオン性化合物によって、又は凍結によって変色乳濁液の不可逆な凝固を促進し得る1又は複数の他の化合物によってもたらされる。
変色乳濁液が凍結に暴露されたことに応答して凝固及び融合できる限り、任意の適切な安定化成分が変色乳濁液20における第1の反応剤相14又は第2の反応剤相16の液体粒子の分散の安定性又は準安定性を維持するために用いられてもよい。上述のように、使われるのであれば第2の反応剤相16を安定化するために用いられる安定化成分は、使われるのであれば第1の反応剤相14を安定化するために用いられる安定化成分と同じ又は異なってもよい。上記のように、第2の反応剤相16は、必要に応じて、疎水性液体を使用せずに固体粒子単独を含んでもよい。
安定化成分は、必要に応じて、界面活性剤又は界面活性剤の混合物、又は他の適切な安定化化合物を含んでもよい。本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかであって、あるいは、当技術分野の進展に伴い、この先知られるか明らかになるように、他の適切な安定化化合物が用いられてよい。
望ましくは、安定化成分は、第1の反応剤又は第2の反応剤のどちらとも親和性がほとんどないかまったくなく、及び反応もしない。いくつかの界面活性剤物質、例えば陰イオン性の界面活性剤が、あるロイコ染料前駆体に対する顕色剤として機能できる。このため、クリスタルバイオレットラクトン及び特別なマゼンタ20双方は、陰イオン性の界面活性剤によって顕色され得る。上記界面活性剤の使用は、例えば凍結指示剤の凍結前の外観と凍結後の外観との間で明暗の差を小さくすることで凍結指示剤のシグナルの質に不利な影響を与えるので望ましくない。
いくつかの事例で、特定の界面活性剤は、例えば一方又は双方の反応剤と複合体化することで、発色前駆体又は顕色剤が混合しても反応しないようにすることができる。このような事例では、発色した色の強さは、反応剤と比較した界面活性剤の重量割合に対して反比例する。大過剰の上記界面活性剤は発色を妨げるので望ましくない。しかし、少量だが有効量の界面活性剤の使用は乳濁液の形成を可能にし、発色を可能にする。
望ましくは、界面活性剤は、使われるのであれば氷晶核物質の適切な機能への干渉を回避するように選択され、構成される。例えば、使用される界面活性剤の量は、疎水性粒子の表面と水性液体媒体との間の界面にほとんどが保持される割合に制限されてもよく、それは本明細書に記載される単純な形成試験によって、又は他の適切な手段で決定される。あるいは、又はそれに加えて、本発明のいくつかの方法の態様は、水性分散媒に溶解した過剰な界面活性剤を界面に分配するために、乳濁液の粒径を抑制することができ、そうすることで乳濁液の表面積を増加させ得る。粒径は、任意の適切な手段、例えばマサチューセッツ州ニュートンのマイクロフルーイディクスインターナショナル社から市販されるMICROFLUIDIZER(登録商標)高せん断溶液処理装置のような高せん断溶液処理装置を用いて高せん断で混合することで小さくできる。
変色乳濁液20の界面活性剤成分とともに存在するのであれば氷晶核物質との不利な相互作用を避けやすくするために、必要に応じて、乳濁液が完全に調製された後であって、界面活性剤が粒子−分散媒の界面に局在する機会を有するときに、氷晶核物質が乳濁液に組み入れられてもよい。
使われるのであれば、安定化成分は、必要に応じて、1以上の陰イオン性の界面活性剤、陽イオン性の界面活性剤、リン酸界面活性剤、両性イオンの界面活性剤又は非イオン性の界面活性剤、あるいは1以上の陰イオン性の界面活性剤、陽イオン性の界面活性剤、リン酸界面活性剤、両性イオンの界面活性剤又は非イオン性の界面活性剤の混合物を含んでもよい。本明細書で用いられる場合、用語“非イオン性の界面活性剤”は、本技術分野で“非極性”と言われることがある界面活性剤を含む。界面活性剤分子は通常、小型の疎水性の頭及び親水性の長い尾を有する。界面活性剤のイオン記述子は通常、当該分子の疎水性の頭の正味荷電を意味し、“陰イオン性”は、当該分子の頭に、負の荷電の存在を意味し、“陽イオン性”は、正の荷電の存在を意味する。
いくつかの適切な陰イオン性の界面活性剤は、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩又は他の適切な陰イオン基を有する界面活性剤及び2以上の上記陰イオン基の組み合わせを有する界面活性剤などである。有用な陰イオン性の界面活性剤のいくつかの限定されない具体例は、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシル3−モルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ノニルフェノール2−モル硫酸エトキシレートナトリウム、ノノキシノール−4硫酸アンモニウム及びビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどである。有用な陰イオン性の界面活性剤のさらなる限定されない例のいくつかは、ミシガン州ミッドランドのダウケミカル社から商標TRITONとして市販されている、QSシリーズ、CFシリーズ、Xシリーズの界面活性剤などの陰イオン性の界面活性剤;ニュージャージー州クランブリーのローディア社(米国)から商標RHODAPON、RHODACAL又はRHODAFACとして市販されている陰イオン性の界面活性剤;及びニュージャージー州ウェストパターソンのサイテックインダストリーズ社からのAEROSOL(登録商標)OTという陰イオン性の界面活性剤である。本明細書に記載された任意の2以上の陰イオン性の界面活性剤及び/又は任意の適切な陰イオン性の界面活性剤の混合物も使用可能である。
いくつかの適切なリン酸界面活性剤は、レシチン、誘導体化されたレシチン、エトキシレート化及び非エトキシレート化されたモノ−、ジ−又はトリリン酸エステル、エトキシレート化及び非エトキシレート化されたモノ−、ジ−又はトリリン酸エステルのポリマー化誘導体、モノラウリルリン酸カリウム、ジラウリルリン酸ナトリウム、モノミリスチルリン酸ナトリウム、アルコールエトキシレートリン酸エステル及び製品コードH−55として市販されている界面活性剤を含む商標TRITONで市販されているリン酸ポリエーテルエステル界面活性剤などである。
本発明の実施で用いられ得るいくつかの適切な両性イオンの、又は両性の界面活性剤は、ベタイン、ラウリルアミドプロピルジメチルベタイン、ドデシルベタイン、酸化ドデシルジメチルアミン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシネート、サルテイン、ヒドロキシサルテイン、イミダゾリン、アミノアルカノエート、イミノアルカノエート界面活性剤、レシチン、レシチン誘導体及び2以上の上記両性イオンの界面活性剤の混合物などである。
いくつかの適切な陽イオン性の界面活性剤は、第1級、第2級、第3級、及び第4級アミン、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、ポリエトキシ化された牛脂アミン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び2以上の上記陽イオン性の界面活性剤の混合物などである。
いくつかの適切な非イオン性の界面活性剤は、水酸基、エーテル基、ケトン基又はエステル基を有する脂肪族化合物、当該脂肪族化合物のポリマー、親水性のグリセロール、ポリグリセロール、ソルビタン、炭化水素又は脂溶性脂肪アルコール、脂肪酸若しくはイソ脂肪酸部分に1以上のエステル及び/又はエーテル結合を介して結合したポリオキシエチレングリコール部分、脂肪酸エトキシレート、ソルビタンエステル、ソルビタンエステル誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、ポリ(酸化エチレン)及びポリ(酸化プロピレン)のコポリマー、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、0から30molの酸化アルキレンの付加生成物、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、約8から約22の炭素原子を有する直鎖の脂肪アルコールに結合したもの、約12から約22の炭素原子を有する脂肪酸に結合したもの、アルキル基において約8から約15の炭素原子を有するアルキルフェノールに結合したもの、及びソルビタンエステルに結合したものを含む化合物;グリセロールに結合した0から30molの酸化エチレンの付加生成物の(炭素数12−18の)脂肪酸モノ−及びジエステル;約6から約22の炭素原子を有する飽和の及び不飽和の脂肪酸のグリセロールモノ−及びジエステル及びソルビタンモノ−及びジエステル並びに任意にそれらの酸化エチレン付加生成物;ひまし油及び/又は水素化されたひまし油に結合した約15から約60molの酸化エチレンの付加生成物;ポリオル及び、例えばポリリシノール酸ポリグリセロール及びポリ−12−ヒドロキシステアリン酸ポリグリセロールなどのポリグリセロールエステル、液性脂肪酸エステル、エトキシ化(ポリグリセリル−2−ラウリン酸PEG−10)、非エトキシ化(セスキイソステアリン酸ポリグリセリル−2)、(約40mol %)エトキシ化オクチルフェノール、及び(9−10)エトキシ化オクチルフェノールなどである。また、適切な非イオン性の界面活性剤は、ミシガン州ミッドランドのダウケミカル社から商標TERGITOLとして市販されている非イオン性の界面活性剤、TERGITOL(商標)15−S−15などである。また、2以上の上記非イオン性の界面活性剤及び/又は他の適切な非イオン性界面活性剤の混合物が使用されてもよい。
本発明による変色乳濁液に用いられる界面活性剤又は安定化剤の他の群は、乳濁液成分に不溶性で部分的に疎水性表面を有する小さな固体粒子を含む。水に不溶かつ油に不溶ないくつかの粒子は、粒子表面にイオン性の又は極性の官能基が存在するので親水性である。部分的に疎水性の表面は、例えば適切な疎水性物質又は前駆体で粒子を覆うことで提供される。安定化剤粒子は、必要に応じて両性の性質を有してもよい。部分的に疎水性の粒子は、乳濁液の親水性の及び疎水性の液体成分両方によってそれらが部分的に可溶性になるために、乳濁液の安定化剤として機能する。このため、上記粒子は、乳濁液における溶滴の表面に存在する乳濁液相の間の界面に局在でき、相をお互いに分離したまま維持することで乳濁液の安定化を促進する。固体粒子で安定化された乳濁液は、“ピッカーリング”乳濁液として知られていることがある。
したがって、使用されるのであれば安定化剤は、必要に応じて1以上のピッカーリング乳化剤であるか、又はそれを含んでもよい。ピッカーリング乳化剤は、単独で又は他の適切な安定化剤又は不安定化剤物質と組み合わせて用いられてもよい。いくつかの適切なピッカーリング乳化剤は、限定せずに、疎水性に被覆された固体粒子を含み、それは本発明による変色乳濁液で化学的に反応せず、変色乳濁液の水性相及び疎水性相の両方に対して親和性がある。
本発明の実施で有用な“ピッカーリング乳濁液”安定化剤粒子は、望ましくは比較的小さく、例えば約2ミクロン(本明細書では“μm”ともいう)未満あるいは約1μm未満の平均粒径を有する。また、使用される安定化剤粒子は、透明になるように十分に小さくてもよく、例えば約100nm未満又は約50nm未満の平均粒径を有する。変色乳濁液の望ましい外観に干渉する危険性を軽減するために、白色又は無色の安定化剤粒子が用いられてもよい。また、使用される安定化剤は、変色乳濁液中で反応しない。
上記固体安定化成分は、任意の適切な物質、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、結晶シリカ、非晶質シリカ、ケイ酸、炭酸カルシウム、白雲石(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)、ギブサイト(水酸化アルミニウム)、バライト(硫酸バリウム)、ホタル石(フッ化カルシウム)、ヒドロキシアパタイト、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、雲母、ハロイサイト、ヤヌス粒子、1つの粒子に親水性領域と疎水性領域を有する粒子、及び2以上の上記物質の混合物を含んでもよい。いくつかの適切な酸化亜鉛物質が、商品名Zinkoxid neutralとしてニュージャージー州ラスウェイのメルクアンドコインクから、及び商品名NanoXとしてカンザス州カンザスシティのハルクロスケミカルズインから市販されている。
本発明による変色乳濁液の安定化成分で有用な固体粒子は、任意の適切なサイズ、例えば約100ミクロン未満の平均粒径を有してもよい。当該固体粒子は、おおよそ透明になるようなサイズを有し、例えば約100nmを超えない平均粒径を有する。変色乳濁液の外観に好ましくなく干渉する危険性を避けるために、白色又は無色、あるいは明るい色の固体粒子が必要に応じて使用されてもよい。
使用されるのであれば固体安定化剤は、固体安定化成分の被覆粒子によって所望の程度まで疎水性化剤、例えば適切な油で疎水性化されてもよい。あるいは、疎水性化剤は、化学的に粒子表面に結合し、疎水性又は部分的に疎水性の被覆を形成する1又は複数の化合物であって、例えば有機メタレート化合物、ポリシロキサン、又は機能化されたケイ素化合物である。表面に結合する被覆剤のいくつかの例は、有機チタン酸塩、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン、メチル水素ポリシロキサン及びメチルトリメトキシアルキルシランなどである。他の例が、Schlossmanらの米国特許出願公開第2008/0014233号明細書及び米国特許第5,143,722号;第5,756,788号;及び第5,587,148号明細書に見つけることができる。当該特許明細書及び特許出願公開明細書の開示が引用により本明細書に組み入れられる。さらなる例が本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかであって、あるいは、当技術分野の進展に伴い、この先知られるか明らかになる。疎水性化のプロセスは、例えば使用される疎水性化剤の割合を限定することで、又は他の適切な手段で疎水性が制限された粒子を生成するために制御されてもよい。
上述のように、使用されるのであれば、本発明による変色乳濁液における安定化成分は、界面活性剤、又は他の安定化化合物又は物質の混合物などであってもよく、又はそれを含んでもよい。安定化成分の一部が必要に応じてプロセスの異なる段階で変色乳濁液成分に加えられてもよいし、又は安定化成分の全部が一度に加えられてもよい。任意の安定化成分の一部は、プロセスの特定の段階に応じて適切になるように、個々の界面活性剤又は他の安定化材又は不安定化剤であってもよく、又はそれらを含んでもよい。上記界面活性剤の混合物は、1種類の又は複数の種類の界面活性剤、例えば非イオン性及び陰イオン性の界面活性剤、又は非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両イオン性、両性及びピッカーリング乳化剤のような界面活性剤の種類から選択された2以上の他の界面活性剤を用いてもよい。
また、使用されるのであれば、安定化成分は、変色乳濁液20を凍結温度を上回る周囲温度で安定に維持可能な分散媒12における濃度を有してもよく、凍結温度で乳濁液の不可逆な凝固が可能になる。
低温不安定化剤は、利用されるのであれば、凍結温度で凍結指示剤分散系の凝固を促進又は向上するために、温暖な温度での分散系の安定性特性の許容できない低下がなければ、本発明による凍結指示剤での使用に適切な任意の物質を含んでもよい。
本発明による凍結指示剤において低温不安定化剤として有用な物質の一群は、塩などである。例えば、低温不安定化剤は、無機塩、一価の塩、塩化物、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、多価塩、多価塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛及び塩化アルミニウムから選択される塩などであってもよい。必要に応じて他の金属塩が用いられてもよく、例えば元素周期表のグループI−IIIの他の金属の塩、及び例えば硫酸、硝酸、カルボン酸などの他の陰イオンを有する任意の上記金属の塩である。使用されるのであれば、低温不安定化剤は、任意の上記塩の1種単独、又は混合物を含んでもよい。使用される金属又は他の塩は水溶性であってもよく、例えば、水性液体の分散媒に完全に溶解させるために、使用される塩の量に対して十分に水溶性であればよい。
低温不安定化剤は、凍結指示剤に適合する任意の様々な特性を有してもよい。例えば、イオン性の安定化剤を使用する凍結指示剤では、低温不安定化剤は、温度感受性の安定化剤の電荷と反対の電荷を運搬するイオンを含んでよい。例えば、陰イオン性で安定化された乳濁液は、陽イオンによる不安定化に影響を受けやすい。また、陰イオン性で安定化された乳濁液は、1価陽イオンよりも多価陽イオンに対してより感受性が高いので、多価陽イオンが必要に応じて用いられてもよい。同じ考えが、陰イオン性の物質で不安定化される陽イオン性に安定化された乳濁液に適用される。
低温不安定化剤として有用な物質の他の群は、高分子量の化合物、例えばポリマーを含む。適切な高分子量の低温不安定化剤は、陽イオン性の、陰イオン性の、両性イオンの及び荷電していない化合物を含む。これに関連して、本明細書で用いられた場合、用語“高分子量”は、約1,000から約100,000ダルトンまでの範囲の分子量を含む。高分子量の物質は、必要に応じて水溶性で、例えば分散媒12に完全に溶解させるために用いられた不安定化剤の量に関して十分に水溶性であればよい。さらに、高分子量の物質は、必要に応じて合成ポリマーであってもよい。適切な低温不安定化剤は、必要に応じて、2以上の上記高分子量の化合物を含んでもよい。
イオン的に安定した乳濁液に用いられる適切なポリマーの不安定化剤は、乳濁液が有する電荷に反対の電荷を帯び得る。例えば、第4級アンモニウム部分を含むポリマーのような陽イオン性のポリマーが陰イオン性で安定化された乳濁液に対して用いられてもよい。
低温不安定化剤として有用な高分子量物質のいくつかの例は、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、約1,000から約100,000ダルトンまでの範囲の分子量を有するポリアクリル酸、及び任意にそれらは水溶性であって、あるいは、2以上の上記ポリマーの混合物などである。
本明細書に記載された少なくともいくつかの不安定化物質の不安定化作用は、濃度応答性、つまり以下で説明するように、分散媒中の不安定化剤の濃度に依存してもよい。本発明は、これ又はいかなる他の理論によって限定されることを意図していないが、以下の説明は、本発明のいくつかの観点を説明しやすくするために提供される。
変色乳濁液20のような液体媒体における粒子の分散系の安定性は、粒子の表面上の反発電荷によってもたらされると考えられる。本明細書に記載されたように、安定化剤を用いることによって、分散された粒子の表面電荷が増加し、分散系の安定性が増加する。表面電荷が、粒子同士を引き合わせるファンデルワールス力に勝るほど十分な限り、液体媒体中の粒子の分散系又は懸濁液は維持される。
変色乳濁液20のような水性の分散系を含む凍結指示剤において、凍結の始まりでは、氷の結晶が形成し始め、分散媒12の液相から実質的な純水を除去する。もし存在するなら不安定化剤を含む液相中に存在する任意の溶質の濃度が増加する。さらに氷の結晶が形成し、ファンデルワールス力が反発する静電力に勝る不安定化剤の臨界濃度になるまで、不安定化剤の濃度の増加によって表面電荷が弱まり、乳濁液に凝固が起こる。乳濁液の粒子は、一緒になって、若しくは塊又は集まりを形成し、もはや乳濁液全体に均一にならずに分布し、これが融合と言われる。
したがって、乳濁液の融合又は凝固は、比較的高濃度の不安定化剤によって起こり、又は始まり、これは、分散媒中の凍結の進行につれて、氷の結晶として実質的な純水の減少によって誘導され、減少した残りの液体の量において不安定化剤と任意の他の固体が濃縮された状態になる。
変色乳濁液20の事例では、油滴と、場合によっては固体粒子とを含む1又は複数の分散相は、次に凝固の前に分離されたままの各粒子における反応剤同士の変色反応を含む融合が可能になる。不安定化に続いて、粒子を分離している表面構造が壊れ、液相が混ざることができる。
融合は、液体−液体の混合に限らないように思われる。また、融合は、液性の第1の反応剤相14の分散された溶滴と第2の反応剤相16の分散された固体粒子を含む変色乳濁液10のような乳濁液の凍結に応答して起こることがある。この場合、液性の第1の反応剤相14は、第2の反応剤相16の固体粒子の表面を湿らせる。変色乳濁液10の崩壊と凝固で、分散相の粒子の融合につながり、液性の第1の反応剤相14は、液相が融合した第2の反応剤相16の固体粒子に広がり、そして接着剤として機能し、塊又は凝集体になるように固体粒子同士を結合させる。
凝固後、固体粒子は、第1の及び第2の反応剤の変色反応の結果として粒子の表面で形成された(除去された)着色剤とともに3次元構造を保持し得る。この表面反応は、強い視覚的なシグナルを比較的早く、例えば全粒子が反応するのに要する時間より短時間でもたらされる。
1又は複数の安定化化合物の濃度は、必要に応じて凝固が不可逆になるように、凝固した変色乳濁液20が解凍で再構成されるのを防ぐために十分に低く設定される。多くの場合、乳濁液粒子の融合は、再構成をさらに難しくする。変色乳濁液20の場合、完了した変色反応は、戻りそうにない。したがって、乳濁液が再構成して、乳濁液粒子が再分散されるといった起こりそうもない事象においてでも、変色乳濁液20は、その凍結後の外観、凍結事象が発生したことの表示を呈示し続けることができる。
したがって、低温不安定化剤は、使われるのであれば、変色乳濁液20が凍結温度を上回る周囲温度で安定に維持され、凍結温度で乳濁液の不可逆な凝固が可能である濃度で、分散媒12に存在してもよい。
使われるのであれば、安定化成分は、凍結温度より高温での安定性と凍結温度での不安定性の望ましいバランスを得るために、必要に応じて所定の構成の安定化の有効性を評価するための乳濁液安定性試験を用いる所定の実験によって、変色乳濁液20の特定の態様に関して構成されてもよい。
例えば、変色乳濁液が素早く混ざるときに泡立つのを避けるのに十分な界面活性剤の最小の重量割合を決定するために、必要以上の実験を含まない一連の簡単な試験が実行されてもよい。そして、決定された量は、制限された安定性を有する変色乳濁液を得るために適切な形態、例えば約1パーセントから約50%まで減らしてもよい。いくつかの事例で、結果として得られる安定性が制限された変色乳濁液は、準安定で凍結において凝固及び融合できる。当該変色乳濁液は一般に、本発明による凍結指示剤での使用に好適である。他の事例では、凍結温度でのより低い安定性が凝固の促進にとって望ましい。
その結果、本発明のいくつかの態様では、変色乳濁液組成物は、凍結温度又は凍結温度付近での乳濁液の安定性を低下させるために不安定化剤を含み、変色乳濁液が凍結した際の凝固を促進する。凍結に応答した十分な凝固が起こる準安定な変色乳濁液を提供する不安定化剤の適切な割合を決定するために、当該態様に関して、さらなる一連の簡単な試験が、制限された安定性の変色乳濁液で行われてよい。例えば、泡立ちを可能にする不安定化剤の最大の重量割合を決定するために追加的な泡立ち試験が行われてもよい。そして、決定された最大の割合に関連する不安定化剤の適切な割合が変色乳濁液20の態様で用いられ、例えば決定された不安定化剤の最大の割合の約2倍からだいたい半分までの範囲の割合が用いられる。
コロイドの安定性の測定。本発明による変色乳濁液の形成を支援するために、又は製造中の品質管理を支援するために、又は他の目的のために、必要に応じて、変色乳濁液の乳濁成分の安定性が測定されてもよい。
また、必要以上の実験をせずに、望ましい凍結関連の凝固性能に相関する量的なパラメータが決定されてもよい。例えば、乳濁液の電気泳動移動度又はゼータ電位が実験的に、例えばカルシウムイオンに関するコロイド滴定によって決定されてもよく、これは、準安定な混合物を生成するため、及び変色乳濁液の特定の態様に限ったゼータ電位を規定するためである。また、顕微鏡電気泳動、電気泳動光散乱又は電気音響特性評価のような技術、若しくは他の適切な技術が、必要に応じて、本発明の実施で使用される乳濁液の安定性の評価に用いられてもよい。
氷晶核物質
本明細書で上述したように、変色乳濁液20は、過冷却を克服しやすく、及び凍結応答が起こってしまう温度よりも分散媒の融点近くの温度で凍結応答をもたらしやすくするために氷晶核物質を含んでもよい。氷晶核物質は、過冷却の影響を抑え、変色乳濁液の分散媒の実際の凍結温度を上昇させるため、変色乳濁液の融点と凝固点との間の差を小さくする。
本発明の実施で有用ないくつかの氷晶核物質は、次の特性の1以上を備える:約−3℃より低くない温度で通常の軽水における有効性;1μl又は0.5μlの液量で約2重量パーセントより大きくない濃度における有効性;2年かそれ以上の間、冷蔵及び/又は室温で保管後に継続する有効性;30日間50℃の温度に暴露された後の有効性。
適切な氷晶核形成特性を有する任意の物質が、必要に応じて本発明の凍結指示剤の態様で用いられてよい。一般に、氷晶核形成に有用な物質は、水に不溶性又は控えめに水溶性で、氷の結晶構造に類似する結晶構造を有する。氷晶核物質としても知られる有用な氷晶核形成剤は、いくつかの無機結晶及び種々のタンパク性物質を含む。
ヨウ化銀は、広く用いられる無機物質であって、本発明の凍結指示剤の態様で使用できる。使用されるいくつかの他の無機結晶の氷晶核物質は、低温で沈殿するヨウ化銀/臭化銀混合物及び硫化銅などである。使用されてもよい他の適切な無機結晶の氷晶核物質は、本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかであって、あるいは、当技術分野の進展に伴い、この先知られるか又は明らかになる。
本発明の変色乳濁液の態様で使用されてもよいいくつかの有用なタンパク性氷晶核物質は、細胞を含まないタンパク性氷晶核物質、又はシュードモナス(Pseudomonas)種、シュードモナス シリンゲ(syringe)、シュードモナス シリンゲの株、Soらの米国特許第5,489,521号明細書に記載されたシュードモナス シリンゲ(Pseudomonas)の株、シュードモナス フルオレセンス(fluorescens)、シュードモナス コロナファシエンス(coronafaciens)、シュードモナス ピシ(pisi)、エルウィニアス(Erwinias)種、エルウィニア アナナス(ananas)、エルウィニア ヘルビコラ(herbicola)、大腸菌(Escherichia coli)、キサントモナス(Xanthomonas)、氷晶核形成菌類及び氷晶核形成原虫から選択される微生物由来の全細胞タンパク性氷晶核物質などである。本発明の実施での使用に適切な、細胞を含まないタンパク性氷晶核物質は、例えばWightらの米国特許第5,223,412号明細書に記載されたような任意の適切な方法によって、適切な氷晶核形成微生物から調製できる。
本発明の実施で有用なタンパク性氷晶核物質は、氷晶核タンパク質InaZの氷晶鋳型領域に相同な、又は類似する領域を含むか当該領域を構成するアミノ酸配列を有する天然の、合成のおよび組み換えのポリペプチドなどである。氷晶核形成タンパク質InaZのいくつかの関連のある構造上の特徴は、Jung,H−CらのEnzyme Microb.Technol.1998,22:348−354にさらに記載されており、当該開示は、引用によって本明細書に組み入れられる。
雪誘導物質として説明される微生物由来の氷晶核形成物質の1つが本発明の実施における使用に適しており、それはウィスコンシン州ミルウォーキーのジョンソンコントロールインクから市販されている凍結乾燥したタンパク性物質であるSNOMAX(商標)雪誘導剤である(www.johnsoncontrols.com)。供給者による説明では、SNOMAX雪誘導剤の平均組成は、氷晶核形成タンパク質を含む約54重量パーセントのタンパク質を含む、該タンパク質物質は、細菌シュードモナス シリンゲ由来である。SNOMAX雪誘導剤についてのさらなる情報は、www.johnsoncontrols.comから利用可能な“Snomax FAQ’s,”で得ることができ、その開示は引用により本明細書に組み入れられる。
必要に応じて、タンパク性の核形成剤、又は他の生物学的に分解可能な物質を用いる本発明の凍結指示剤の態様は、温度又は他の分解に対して氷晶核物質を安定化するために適切なタンパク質安定化剤を含んでもよい。所望のその寿命の間、凍結指示剤は、比較的高い周囲温度又はタンパク性物質を分解する他の状態に暴露されことがある。
使用可能な適切なタンパク質安定化剤のいくつかの例は、ホルムアルデヒド、ジアルデヒド、炭素原子数が10個未満のジアルデヒド、グリオキサル、グルタルアルデヒド(CHO.CH2CH2CH2.CHO)、アジピンアルデヒド、塩酸グアニジン、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド及びテレフタルアルデヒドなどである。いくつかの他の適切なタンパク質安定化剤は、種々の架橋剤、例えばジブロモアセトン又はビスマレイミドヘキサンのようなチオール特異的架橋剤、及びイソシアン酸塩及びイソチオシアン酸塩のようなアミノ特異的架橋剤などである。
また、必要に応じて、微生物腐敗を防ぐために、タンパク性の氷晶核物質を使用する変色乳濁液に殺生物剤が含まれてもよい。いくつかのタンパク質安定化剤、例えばジアルデヒドは、本明細書に記載されたタンパク質安定化剤の濃度のような十分な濃度で用いられた場合に殺生物剤としても機能する。使用可能な他の殺生物剤は、本開示を考慮して、当業者に知られるか又は明らかになる。
任意の適切な量のタンパク性氷晶核物質が、例えば約1μgから約2mgまで;又は約20μgから約500μgまで;又は約100μgから約250μgまでの重量の所定量の変色乳濁液20で用いられる。
本発明による凍結指示剤の一態様は、直径約3mmで、深さ又は厚さ約1mmで変色乳濁液20に合わせて約0.006μlの体積の円筒を有する外被34を用いる。この凍結指示剤の態様は、約6ng(ナノグラム)のタンパク性氷晶核物質を用いる。様々なこれらパラメータを用いる凍結指示剤の同等な態様が本開示を考慮して当業者に明らかになる。
使われるのであれば、タンパク質安定化剤が任意の適切な割合で利用され、それは例えば変色乳濁液の重量に基づく重量割合で、約0.001パーセントから約2パーセントまで;約0.01パーセントから約1.0パーセントまで;及び約0.05パーセントから約0.5パーセントまでである。変色乳濁液20のいくつかの態様では、タンパク性氷晶核物質の濃度は、変色乳濁液の重量に基づいて、0.1重量パーセント未満である。
さらに、タンパク質安定化剤が使用されるのであれば、タンパク性氷晶核物質に関する以下の安定化剤の比率の1つが利用されてよい:20未満;比率10又はそれ未満;比率4又はそれ未満;比率2又はそれ未満;あるいは比率約0.2から約1.5まで。本明細書で用いられる安定化剤の比率は、変色乳濁液におけるタンパク性氷晶核物質の重量割合に対するタンパク質安定化剤の重量割合の比率であって、当該重量割合は変色乳濁液の重量に基づくものである。低い安定化剤の比率は、必要に応じて、使用可能な適切な安定化をもたらす。使用されるのであれば、タンパク性氷晶核物質の安定化は、当該氷晶核物質の有効性の減少を伴うことがある。凍結指示剤でのタンパク性氷晶核物質及びタンパク質安定化剤の使用に関する付加的な情報は、Smithらの米国特許出願公開第2011/0209658号明細書で得られる。
また、本発明の目的に矛盾のない他の物質が、必要に応じて本発明による凍結指示剤で用いられる凍結指示剤の分散系に含まれてもよい。
本発明は、排他的に、又は実質的に上記成分及び要素を含む変色乳濁液及び凍結指示剤の態様を含む。
成分の割合
本発明の目的に矛盾のない、成分の任意の適切な割合が本発明の実施で用いられてよい。いくつかの適切な割合が以下に記載される。他の適切な割合が本開示を考慮して、当業者に知られるか又は明らかになる、あるいは当技術分野の進展につれてこの先知られるか又は明らかになる。凍結指示剤30の特定の態様の意図された厚み、所望の発色の強さ、及び他のパラメータに応じて、必要以上の実験をせずに、有用な量と割合とが決定される。
採用される割合に関する有用ないくつかの考慮は、必要に応じて、第1の反応剤又は第2の反応剤の一方又は他方が過度に用いられることなどである。また、用いられる任意の安定化成分の量、及び仮に複数の界面活性剤が用いられるなら界面活性剤の適切な相対的な割合が、必要以上の実験を要さずに、適切な特性に関する種々の乳濁液処方の試作を試験又は観察することで決定され得る。
凍結指示剤30のいくつかの態様は、有色の、又は発色した第1の反応剤、例えばロイコ染料前駆体の相対的に高い濃度を採用する。一般に、本発明による変色乳濁液における着色剤の濃度が高ければ高いほど、凍結前後で、所定量の分散された又はコロイド状の着色剤から得られる色が強くなり、所望の色の強さを得るために必要な着色された乳濁液の層が薄くなる。
変色乳濁液の重量に基づいて、変色乳濁液10又は変色乳濁液20のような本発明による変色乳濁液は分散媒12のような分散媒の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約10パーセントから約99.5パーセントまで;約40パーセントから約65パーセントまで;約45パーセントから約55パーセントまで;約45パーセントから約55パーセントまで;及び約20パーセントから約40パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
変色乳濁液の重量に基づいて、変色乳濁液は、第1の反応剤相14のような第1の反応剤相の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.2パーセントから約70パーセントまで;約5パーセントから約40パーセントまで;及び約20パーセントから約35パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
変色乳濁液の重量に基づいて、変色乳濁液は、第2の反応剤相16又は26のような第2の反応剤相の重量に関して、約0.2パーセントから約70パーセントまでの範囲の割合を有してもよい。もし第2の反応剤相が、第2の反応剤の固体粒子で実質的に構成されるのであれば、第2の反応剤相の割合は、約0.1パーセントから約45パーセントまで;約0.5パーセントから約15パーセントまで;又は約1パーセントから約7パーセントまでである。もし第2の反応剤相が、第2の反応剤のための溶媒、例えば疎水性油を含むのであれば、第2の反応剤相の割合は、約1パーセントから約70パーセントまで;又は約10パーセントから約30パーセントまでである。
変色乳濁液の重量に基づいて、変色乳濁液は、第1の反応剤相の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.1パーセントから約35パーセントまで;及び約2パーセントから約8パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
変色乳濁液の重量に基づいて、もし第2の反応剤相が、第2の反応剤のための溶媒、例えば疎水性油を含むのであれば、変色乳濁液は、第2の反応剤相の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.3パーセントから約35パーセントまで;及び約2パーセントから約8パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
変色乳濁液の重量に基づいて、変色乳濁液は、氷晶核物質の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.01パーセントから約5パーセントまで;及び約0.2パーセントから約2パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
変色乳濁液の重量に基づいて、変色乳濁液は、安定化成分の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.1パーセントから約10パーセントまで;約0.5パーセントから約5パーセントまで;及び約1パーセントから約3.5パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
安定化成分の割合は、乳濁液の粒径に影響する。例えば約200nm未満又は約100nmの小さい平均粒径を有する乳濁液は、相対的に安定で製造が容易である。例えば約700nmから約1μm(1000nm)までのより大きい平均粒径を有する乳濁液は、必要に応じて、本明細書に記載されたように逆相乳化処理で製造できる。また、逆相乳化処理は、より小さい平均粒径の乳濁液の製造にも用いられる。このため、乳濁液の粒径は、幅広い区間、例えば約50nmから約2μmの間で変化する。1μm程度の乳濁液の平均粒径、例えば約0.5μmから約2μmまでが光を散乱させて、乳濁液に不透明さ、又は白っぽい外観あるいは色合いを与え、これは、いくつかの事例で、望ましくない基礎環境色を隠すため又は他の目的のために有用である。
乳濁液の粒子が小さいほど、より大きい粒子よりも単位質量あたりの表面積が大きくなり、このため相対的に小さい平均粒径で乳濁液を調製した場合、安定化成分の割合が大きいほど、より大きい粒子と用いられるよりも乳濁液の安定化に寄与する。表面面積の違いは、粒径の2乗に比例し、例えば50nmの平均径と500nmの平均径を有する粒子間の違いは、100倍になる。安定化成分の適切な割合は、本開示から明らかになるように、これらの考察及び他の考察を考慮して選択されてもよい。
分散媒の重量に基づいて、変色乳濁液は、酸化重水素の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0パーセントから約100パーセントまで;約10パーセントから約100パーセントまで;及び約90パーセントから約100パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
分散媒の重量に基づいて、変色乳濁液は、第1の反応剤相の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.2パーセントから約150パーセントまで;約0.5パーセントから約55パーセントまで;及び約30パーセントから約55パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
分散媒の重量に基づいて、変色乳濁液は、第2の反応剤相の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.2パーセントから約150パーセントまで;約0.5パーセントから約55パーセントまで;及び約15パーセントから約55パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
分散媒の重量に基づいて、変色乳濁液は、氷晶核物質の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.01パーセントから約5パーセントまで;及び約0.2パーセントから約2パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
分散媒の重量に基づいて、変色乳濁液は、安定化成分の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.05パーセントから約10パーセントまで;約0.1パーセントから約2パーセントまで;及び約0.5パーセントから約4パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
もしあれば分散媒の残りは、水、すなわち軽水である。
第1の反応剤相の重量に基づいて、変色乳濁液は、第1の反応剤の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.5パーセントから約100パーセントまで;約5パーセントから約40パーセントまで;及び約0.5パーセントから約10パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
第1の反応剤相の重量に基づいて、変色乳濁液は、第1の疎水性液体、例えば疎水性油の重量に関して、必要に応じて次の範囲:及び約10パーセントから約99パーセントまで;約70パーセントから約95パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
第1の反応剤相の重量に基づいて、変色乳濁液は、安定化成分の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.2パーセントから約10パーセントまで;及び約0.5パーセントから約5パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
第1の反応剤相の重量に基づいて、変色乳濁液は、第2の反応剤相の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約5パーセントから約500パーセントまで;約50パーセントから約300パーセントまで;及び約100パーセントから約200パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
第1の反応剤の重量に基づいて、変色乳濁液は、第2の反応剤の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約20パーセントから約800パーセントまで;及び約100パーセントから約500パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
第1の反応剤の重量に基づいて、変色乳濁液は、安定化成分の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約20パーセントから約800パーセントまで;及び約100パーセントから約500パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
第2の反応剤相の重量に基づいて、変色乳濁液は、第2の反応剤の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.5パーセントから約100パーセントまで;約5パーセントから約40パーセントまで;及び約0.5パーセントから約10パーセントまで、の1つの割合を有してもよい。
第2の反応剤相の重量に基づいて、変色乳濁液は、第2の疎水性液体、例えば疎水性油の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約50パーセントから約99パーセントまで;及び約70パーセントから約95パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
第2の反応剤相の重量に基づいて、変色乳濁液は、第2の安定化剤の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.2パーセントから約10パーセントまで;及び約2パーセントから約8パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
発色前駆体乳濁液の重量に基づいて、本発明による変色乳濁液の調製に有用な変色前駆体乳濁液、例えば変色乳濁液88は、安定化成分の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.1パーセントから約10パーセントまで;及び約0.5パーセントから約3パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
発色前駆体乳濁液の重量に基づいて、発色前駆体乳濁液は、発色前駆体の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.1パーセントから約50パーセントまで;及び約0.5パーセントから約5パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
発色前駆体乳濁液の重量に基づいて、発色前駆体乳濁液は、疎水性油の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約10パーセントから約70パーセントまで;及び約40パーセントから約50パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
発色前駆体乳濁液の重量に基づいて、発色前駆体乳濁液は、水性分散媒の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約20パーセントから約70パーセントまで;及び約40パーセントから約50パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。発色前駆体乳濁液は、必要に応じて次の範囲:約0.2:1から約10:1まで;及び約0.5:1から約3:1まで、の一方の安定化成分に対する発色前駆体の重量比を有してもよい。
顕色剤乳濁液の重量に基づいて、本発明による変色乳濁液の調製に有用な顕色剤乳濁液、例えば顕色剤乳濁液108は、安定化成分の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.1パーセントから約10パーセントまで;及び約0.5パーセントから約5パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
顕色剤乳濁液の重量に基づいて、顕色剤乳濁液は、顕色剤の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約0.1パーセントから約50パーセントまで;及び約0.5パーセントから約5パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
顕色剤乳濁液の重量に基づいて、顕色剤乳濁液は、疎水性油の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約2パーセントから約75パーセントまで;及び約40パーセントから約50パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
顕色剤乳濁液の重量に基づいて、顕色剤乳濁液は、水性分散媒の重量に関して、必要に応じて次の範囲:約20パーセントから約95パーセントまで;及び約40パーセントから約50パーセントまで、の一方の割合を有してもよい。
顕色剤乳濁液は、必要に応じて次の範囲:約0.3:1から約10:1まで;及び約0.6:1から約3:1まで、の一方の安定化成分に対する顕色剤の重量比を有してもよい。
本発明による変色乳濁液が採用できる成分の割合のいくつかの例が、3通りの割合例PE1、PE2及びPE3及び実施例1に関して表1に示されている。実施例1の方法は、本明細書において続いて説明される。
表1では、割合を計算するための基準は、基準が適用される割合の行の上の独立した行に示される。括弧で示された割合は、与えられた割合に関して各成分が他の乳濁液成分の要素であることを示している。
表1に示すように、割合例PE1、PE2及びPE3は、本発明の変色乳濁液の態様で用いられる成分のいくつかの具体的な割合を例示する。
本発明による変色乳濁液の調製において有用な発色前駆体乳濁液に使用可能な成分の割合のいくつかの例が、CP1−CP4として識別されるいくつかの発色前駆体乳濁液に関して表1Aに示されている。発色前駆体乳濁液CP1−CP4は、続いて本明細書の実施例3においてより詳細に説明される。表1Aに示された割合は、発色乳濁液の重量(=100)に基づくものである。
本発明による変色乳濁液の調製において有用な顕色剤乳濁液に使用可能な成分の割合のいくつかの例が、CD1−CD3に関して表1Bに示されている。顕色剤乳濁液CD1−CD3は、本明細書の実施例3でより詳細に説明されている。表1Bに示された割合は、顕色剤乳濁液の重量(=100)に基づくものである。
以下では、本発明のいくつかの観点に関する実施に係るいくつかの例示及び限定しない実施例、及び1以上の同等の実施例が説明される。
実施例1:凍結指示剤のための変色乳濁液の調製
以下の実施例では、すべての部は、重量部である。発色前駆体乳濁液を調製するために、1部のクリスタルバイオレットラクトン発色前駆、5部の非イオン性界面活性剤(TERGITOL(登録商標)15−S−15,ミシガン州ミッドランドのダウケミカル)と、及び44部のテルフェニル油(MCS2811,ミシシッピ州セントルイスのソルティア)の混合物が調製され、クリスタルバイオレットラクトンを油に溶解するために約80℃に加熱される。得られた油溶液は、界面活性剤と発色前駆体とを含み、透明で、淡黄色を有し、発色前駆体溶液84の実行できる一態様を例示する。発色前駆体の油溶液の温度は、約80℃に維持される。
50部の蒸留水を含む試験管が60℃又はそれより少し高温に加熱される。ホモジナイザーが加熱された発色前駆体の油溶液に挿入され、温度が約80℃になるまで低速混合から開始される。ここで混合速度は穏やかな速度まで上げられる。約15部の加熱した蒸留水が発色前駆体の油溶液にゆっくり加えられる。混合物が明らかに乳化し、油中水型の乳濁液の形成を示す油性の外観を有する。ホモジナイザーの速度が高速に上げられ、ゆっくりとした水の添加が続けられる。添加の間、混合物が突然、素早く白色に変わり、不透明になり、これは乳濁液の反転を示している。試験管の残りの水が加えられ、熱が除かれ、ホモジナイザーは、混合物が周囲温度付近になるまで低速で操作される。得られた水中油型の乳濁液は、発色前駆体乳濁液88の実行できる一態様を例示する。
顕色剤乳濁液を調製するために、上記発色前駆体の油溶液の調製で用いられたものと同じ界面活性剤と油とを用いて、精製された2.3部の亜鉛含有修飾アルキルフェノール樹脂(HRJ2053,ニューヨーク州シェネクタディのSIグループ)、3.4部の非イオン性界面活性剤及び44.2部のテルフェニル油の混合物が調製される。溶解しやすいように混合物は約80℃に加熱され、顕色剤溶液104の例示的な態様である界面活性剤を含む顕色剤の油溶液が生成する。また、顕色剤の油溶液は明るい黄色で、約80℃に維持される。
50部の蒸留水をさらに含む試験管が60℃又はそれより少し高温に加熱される。ホモジナイザーが加熱された顕色剤溶液に挿入され、温度が約80℃になるまで低速混合から開始される。ここで穏やかな混合が始まる。約15部の加熱した蒸留水が溶液にゆっくり加えられる。混合物が明らかに乳化し、油中水型の乳濁液の形成を示す油性の外観を有する。ホモジナイザーの速度が高速に上げられ、ゆっくりとした水の添加が続けられる。添加の間、混合物が突然、素早く白色に変わり、不透明になり、これは乳濁液の反転を示している。試験管の残りの水が加えられ、熱が除かれ、ホモジナイザーは、混合物が周囲温度付近になるまで低速で操作され、顕色乳濁液108の例示的な態様である顕色剤乳濁液を生成する。
変色乳濁液33を調製するため、上記で調製した33部の発色前駆体乳濁液、1部の凍結乾燥された氷晶核形成剤(SNOMAX(登録商標)雪誘導剤,ウィスコンシン州ミルウォーキーのジョンソンコントロールズインク)及び66部の顕色剤乳濁液が封をされた試験管内で振とうによって混合される。得られた生成物は、ロイコ染料をベースにした変色乳濁液であって、直径約10mmの透明チューブ内で見た場合に、これは不透明で、青白い色又は灰色がかった白色の外観を有し、変色乳濁液20の例示的な態様である。本実施例で記載された成分割合から算出すると、当該乳濁液生成物は、約49.5部の水、44.5部のテルフェニル油、3.1部の非イオン性界面活性剤、1.6部の修飾されたアルキルフェノール樹脂顕色剤、0.3部のクリスタルバイオレットラクトン及び1部の氷晶核物質で構成される組成物を有する。
実験1:凍結指示剤の性能(実施例1の乳濁液)
実施例1で調製された変色乳濁液の凍結に対する応答は、乳濁液を凍結すること及びもしあれば変色を観察することで評価される。乳濁液の1つの試料は、−10℃以下の温度であると推定される冷凍庫に、1時間を超える期間置かれ、そして取り出される。他の試料は、ほぼ室温で凍結しないまま維持される。取り出されたとき、冷凍庫の試料は、直径約10mmの透明チューブ内で見た場合に、冷凍しているように見え、中くらいの青色の外観を有する。中くらいの青色の外観は、凍結していない乳濁液試料の青白い色又は灰色がかった白色の外観と明瞭に異なる。凍結した試料が解凍すると、乳濁液は、分離し、2つの相が見えて、明るい青色で透明な水相の上に中くらいの青色の油性相が浮かぶ。また、解凍した混合物は、中くらいの青色の外観をしており、それは、凍結に暴露される前の乳濁液の青白い色又は白色に近い外観と明らかに異なる。
中くらいの青色の解凍した混合物の液滴が、平らな金属表面上で、青白い色の一度も凍結されていない指示剤の乳濁液の液滴の横に置かれる。各液滴のくさび形プロファイルを作製するために、薄いガラスプレートが一端だけにスペーサーを付けて液滴の上に置かれる。くさびに沿ったいくつかの点で液滴の厚さが算出される。2つの液体は、明らかに異なる外観を有し、それらの厚さが0.04mm以上の場合、0.5m以上の距離で通常の人の観察によってはっきりと識別できる。解凍された試料が受けた凍結への暴露は、凍結されたことがない試料の外観と異なる凍結された試料の外観によって明らかに示される。
実施例2:顕色剤の前処理で調製される乳濁液
実施例2は、水溶性混入物を除去するため、及び望ましくない基礎環境色を減らすために、アルキルフェノール樹脂が使用前に水で前処理されることが異なるものの実施例1を繰り返す。したがって、アルキルフェノール樹脂は、約1:70の重量比の割合で蒸留水と混合され、界面活性剤に対して樹脂が約30:1の重量比の割合で非イオン性界面活性剤と混合される。混合物は沸騰されて樹脂が融解する。水相が捨てられ、当該樹脂の水処理が3回繰り返される。樹脂が水から取り出され、乾燥され、粉状に細かくされ、次に実施例1に記載されたように変色乳濁液の調製に用いられる。
実施例3:さらなる変色乳濁液の調製
実施例3は、表2に示されたそれぞれロイコ染料である各発色前駆体を、実施例1で用いられた発色前駆体の代わりに用いて実施例1を繰り返す。表2の各発色前駆体は、示された各商品名で、オハイオ州シンシナティのエメラルドヒルトンデイビスから市販されている。これらの発色前駆体は、欄見出し“反応剤”における略称によって表2で識別される。また、当該略称は、各反応剤を特定するために、本明細書の表3−7で用いられる。この実施例で調製される対応する有色乳濁液は、乳濁液番号CP1からCP4として識別される。
乳濁液番号CD1、CD2及びCD3で識別される3つの発色前駆体乳濁液は、ロイコ染料顕色剤として表2で略称“HRJ”で特定される、実施例1で用いられた精製された亜鉛含有修飾アルキルフェノール樹脂を用いて調製される。発色前駆体乳濁液CP1からCP4及び顕色剤乳濁液CD1からCD3の重量割合組成と外観が表3に示される。100パーセント(%)までの残りは、蒸留水である。
表3では、見出し“Surf.”は界面活性剤を示し、“Dev.”は顕色剤を示し、“Prec.”は発色前駆体を示し、“MCS”は実施例1で用いられたテルフェニル油を示し、“React:Surf. ratio”は界面活性剤に対する反応剤の比を示す。すでに示したように、当該実施例(実施例3)におけるすべてのパーセンテージ、部及び割合は、重量による。表3の最後の列は、本実施例で調製された発色前駆体乳濁液又は顕色剤乳濁液各々の色と安定性を示す。
乳濁液の外観は、少なくとも2週間、室温で保存した後で観察される。その結果が表3の最後の列に記載されている。すべての乳濁液は白色又はクリームの白色、すなわちほぼ白色で、少し不透明である。2週間の保存後、7つの乳濁液のうち、融合し又は視覚的に変化するものはないが、おそらく相対的に大きい粒子のために、2つはわずかな沈殿が見られた。このようなわずかな沈殿は、商用的に悪い影響を有するとはみなされない。
乳濁液CD3、CP2及びCP4それぞれの粒径分布は、マルヴァーン ゼータ−サイザーを用いて測定される。各乳濁液の分布には、それぞれ0.87μm、1.0μm及び1.5μmで示される単峰性のピーク分布が見られる。
通常の室温で12ヶ月の保存後、乳濁液CP3を除くすべての乳濁液が凝固又は融合していない。しかし、いくつかは沈殿が生じていた。乳濁液CP3は、部分的に凝集していた。
表4において3A−3Dを割り振られた4つの変色乳濁液が、表4に示された発色前駆体乳濁液1部と、表4に示された顕色剤乳濁液2部とを混合することで調製される。混合物3DのpHは、ほぼ中性である。
相対的に中性のpH、例えば約pH6から約pH8までの範囲のpHを有することは、本発明の変色乳濁液の態様にとって都合がよい。相対的に中性のpHは、例えば封じ込められた物質又は混入した空気との望ましくない化学反応性の恐れが少ないことを意味し、より酸性、又はより塩基性のpHを有する変色乳濁液よりも長い潜在的な保存可能期間又は製品寿命を有する。
実験2:凍結指示剤の性能(実施例3の乳濁液)
実施例3で調製された各変色乳濁液が、乳濁液の凍結によるその凍結への応答及び実験1で記載された方法に従って何らかの変色が観察されるかを評価するために試験された。凍結前(一度も凍結されていない)及び凍結後の各乳濁液の外観が表5に記載され、さらに続けて説明される。
一度も凍結されていない変色乳濁液3A−3Dは、不透明で少しだけ基礎環境色:乳濁液番号3A(CVL)では青白い色;乳濁液番号3D(SM20)では淡いピンク色及び乳濁液番号3B(ODB−1)と3C ODB−2ではそれぞれ薄い灰色を呈する。融合する乳濁液はない。それぞれは少しだけ沈殿する。基礎環境色が出現するときの時間及び1年時間が経過した試料に対する基礎環境色の強さが表4Aに示される。
試験された試料の中で、発色前駆体ODB−1を含む乳濁液3Bは、乳濁液3A、3C及び3Dよりも遅い発色であって、1時間後の相対的な基礎環境色は少なかった。
凍結すると、各変色乳濁液は色がより暗くなり、油性の外観を示す。解凍後、各乳濁液は、凍結していない同等の各試料よりも色が顕著により濃い。60分間そのまま置くと、各乳濁液は、融合した相と残りの乳濁液粒子を含む上清とに分離する。各事例で、凍結された試料と対応する一度も凍結されていない試料との間の光学的な差は明白で、特別な観察装置がなくても、メートル程度の距離で、肉眼でも容易にわかる。
表5に示したように、乳濁液番号3Aは、淡いピンク色から赤色への凍結で誘導された色の変化を示す。乳濁液番号3B及び3Cそれぞれは、明るい灰色から暗い、ほとんど黒色の外観への変化を示す。これらの色及び変色は、安全及び安全でない外観のいくつかの慣習と一致しており、ホスト製品を受け入れられることの可能性又は受け入れられないことの可能性を示すのに有用である。したがって、乳濁液3A−3Dの1つを組み入れた凍結指示剤が潜在的に安全で、新しく、又は受け入れられる一度も凍結していない状態を示すとき及び同じ凍結指示剤が潜在的に安全ではなく、新しさを失い、又は凍結した結果受け入れられない状態であるときを、消費者又は他の者は困難なく理解できる。
通常の室温で12ヶ月の保存後、4つすべての変色乳濁液3A−3Dは、凝固及び融解していないままであるが、いくつかは沈殿を生じる。撹拌によって再懸濁すると、乳濁液は、それらの最初の状態から変わらないようになる。この示された12ヶ月後の安定性は、変色乳濁液を用いる当該凍結指示剤が同等の保存条件下で12ヶ月の保存可能期間を有すること、及び状況次第ではより長い保存可能期間を有することを示唆する。
凍結指示剤のシグナルによって伝えられる情報の理解を促すために、本発明のいくつかの凍結指示剤の態様は、慣例的に理解される安全である及び安全でないの表示に対応する変色を呈示する。当該表示は、例えば安全である又は“OK”を示す白色、白っぽい色又は他の明るい外観あるいは緑色及び関連するホスト製品の潜在的に安全でない又は受け入れられない状態を示す赤色、黒色又は暗い灰色を含む。実施例3に記載された1つの凍結指示剤の態様である乳濁液3Dは、凍結後、白っぽい色(淡いピンク色)から、表5に示すように、赤色、マゼンタ色への変化を示す。実施例3の乳濁液3B及び3Cは、明るい色から暗い色への変化を示す。
以下の実施例、実施例4では、凍結前の緑色から、乳濁液が凍結された後に暗い灰色又は黒色への変化をもたらす凍結指示剤に関する変色乳濁液を説明する。
実施例4:緑色から黒色の凍結指示剤
実施例3が、発色前駆体ODB−1を用いる発色前駆体乳濁液4A及び顕色剤HRJを用いる顕色剤乳濁液4Bを別々に調製するために、繰り返される。表6に示された成分の割合が用いられる。
発色前駆体乳濁液4A及び顕色剤乳濁液4Bの両方は、白っぽい色であって安定である。次に等量の乳濁液4A及び4Bが実施例1に記載されたように混合され、変色乳濁液4Cを生成する。変色乳濁液4Cは、調製時には明るい灰色を有している。凍結すると、色が暗い灰色に変化する。凍結によって色が強くなり、放置後、乳濁液は、黒い油とほとんど透明な上清に分離する。このため、凍結、解凍、放置後は、変色乳濁液4Cは、上述のように見た場合、黒い外観を有する。
再構成されたSNOMAX(登録商標)氷晶核物質が、変色乳濁液4Cに対して乾燥物の重量で約1重量%の割合で添加される。透明なポリ塩化ビニル膜で形成された3mmの直径を有する7μlのブリスターが当該乳濁液で満たされ、水抵抗性の粘着テープで密閉される。ブリスターの湾曲した表面は、透明な緑色のインクで被覆されており、該緑色のインクは、明るい色で凍結していない乳濁液からの反射によって見える透明な緑色の被覆としての明るい緑色の外観をブリスターに与える光フィルタを提供する。凍結後、ブリスターは黒色を有し、もしあれば少しだけ緑色も含む。融解したとき、指示剤は黒色に見え、緑色はもはや見えない。ブリスターの外観は、人の目で普通に見られる。
実施例5:比較的見られる凍結で誘導される融合
実施例4が、発色前駆体ODB−1を用いる発色前駆体乳濁液5A及び顕色剤HRJを用いる顕色剤乳濁液5B、及び乳濁液5A及び5Bの混合物を用いる変色乳濁液5Cを別々に調製するために繰り返される。表7に示された成分の割合が用いられる。実施例4で用いられた等量の割合ではなく、これらの成分と素早く基礎環境色を発色する変色乳濁液5Cを調製するために、かなり過剰な顕色剤HRJが発色前駆体ODB−1に混合される。用いられる界面活性剤は、AEROSOL(登録商標) TR−70という陰イオン性の界面活性剤であって、割合は、オーブンで乾燥した重量を基準にする。
発色前駆体乳濁液5Aは、明るい灰色を有し、顕色剤乳濁液5Bは、クリーム色を有する。乳濁液5A及び5Bの両方は、明らかに安定している。1重量部の乳濁液5Aが、変色乳濁液5Cを生成するために、実施例1に記載されたように4重量部の乳濁液5Bと混合される。変色乳濁液5Cは、調製された当初は明るい灰色を有しているが、約2時間のうちに暗くなり、暗い灰色になる。変色乳濁液5Cの独立した0.4mlの試料が0.6mlのポリプロピレンチューブに入れられる。2分間の混合の間、色は明るい灰色のままで、2つの試料のうち最初の1つが、−8℃での氷/塩/水を含む水槽に浸けられる。試料中の水が凍るため、第1の試料が相対的に早く凍結し、暗くなり、ほとんどの水が凍ったとき色が黒色になる。凍結した試料はくすんだ外観を有する。
混合後1時間で、第2の試料の基礎環境色がよく発色し、試料は暗い灰色になる。次に、第2の試料が−8℃での氷/塩/水を含む水槽に浸けられる。また、当該試料は、素早く凍結し、凍結時に第1の試料が凍結したときの外観と類似する外観を有する。解凍すると、2つの試料は見分けがつかなくなり、それぞれ灰色の分散をまき散らした黒い油のまだらな外観を有する。
かなり過剰な顕色剤、及び実施例5で用いられた特定の成分の組み合わせ(変色前駆体ODB−1及び顕色剤HRJ)は、乳濁液として乳濁液5Cを生成し、該乳濁液は、試料が室温に置かれると相対的に素早く、すなわち約2時間で基礎環境色を発色する。これに対し、調製後すぐに凍結された試料は、凍結に暴露されて数分以内に黒色に変化することは、当該試料の変色が他の要因で起こるよりもむしろ凍結で誘導されることを示唆している。
本発明による凍結指示剤のいくつかの態様は、相対的に短い間、例えば凍結温度又は所望のより低い温度への1時間以内の暴露で、凍結で誘導される間違いようのない外観の変化を示す。また、本発明は、より短い時間、例えば15分又は5分又は約30分未満の他の時間の暴露後に、次の試料から次の試料へと矛盾なく、確実な凍結で誘導される間違いようのない外観の変化をもたらす大量生産された凍結指示剤を含む。
利益
本発明のいくつかの態様は、ブリスター型の凍結指示剤における凍結感受性溶液として有用な変色乳濁液を含み、それは、活性化に対して強い変色を示し、少ない量で機能し、長期間、凍結感受性を維持できる。
また、本発明に態様は、任意に通常の室温よりも高くなった温度での安定性を含む長期間の安定性、及び凍結状態での融合の一貫性のある特性を有する凍結指示剤で有用な変色乳濁液を提供する。いくつかの事例で、これらの特性は、適切な暴露の後に視覚的に評価され得る。
さらに、本発明は、凍結指示剤において活性のある成分として有用な凍結感受性の変色乳濁液を提供し、それは、強い色及び/又は明確な又は劇的な変色を示し、色を形成する広範囲の反応剤から処方され得る。
ホスト製品
本発明による凍結指示剤は、凍結感受性のホスト製品で、ホスト製品の凍結温度への暴露の可能性を示すために一般に用いられる。ホスト製品は、本明細書に記載された凍結感受性の製品、Taylorらの特許文献に記載せれた他の凍結感受性の製品、又は本開示を考慮して当業者に知られるか又は明らかな、あるいはこの先知られるか又は明らかになる本発明の凍結指示剤の態様で監視するのに適したものを含む任意の凍結感受性の製品である。
適切なホスト製品のいくつかの例は、ワクチン、医薬及び食品などである。適切なホスト製品のさらなるいくつかの例は、凍結で傷みやすいヘルスケア製品、例えばワクチン、薬剤、医薬、製剤、生物製剤、高分子製剤、医療機器、予防薬、ワクチン瓶、傷みやすい生物学的又は他の凍結感受性のヘルスケア製品を含有する注射、治療用途、培養、器官及び他のヒト又は動物の体の一部、血液及び傷みやすい血液製品;診断用の装置、キット及び凍結で傷みやすいものを含む成分;産業利用されるための凍結感受性の生物学的物質;ラテックス塗料などを含む凍結感受性の産業製品;及び凍結感受性の食料製品、果実、トリュフ、高級食肉、魚及びその感覚刺激性の品質が凍結によって損なわれる他の食料製品などである。
本発明は、ホスト製品に関連する、本発明による凍結指示剤を有する凍結感受性のホスト製品を含む。
凍結指示剤は、凍結指示剤がホスト製品の周囲温度に近い状態に暴露され得る任意の適切な手段でホスト製品に関連付けられてもよい。例えば、凍結指示剤は、結び目又は他の適切な手段で凍結指示剤を支持する接着剤物質によって、ホスト製品に、又は包装、箱あるいはホスト製品又はホスト製品の複数ユニットを含む他の容器に付けられてもよい。また、ホスト製品に凍結指示剤を関連付ける、又は付けるいくつかの適切な手段で、本発明の実施で使用できるものがTaylorらの特許文献に記載されている。
本発明の凍結指示剤の態様は、各技術的特徴が相互に両立しない、又は組み合わせることに反する記載が明細書にない限り、任意の技術的特徴又は添付の請求項の1つに記載された特徴と、他の任意の請求項に記載された技術的特徴との組み合わせを含む。
組み込まれる開示
本明細書内で特別に参照されたすべての米国特許明細書、米国特許出願公開明細書、すべての外国の又は国際特許公報、すべての他の文献及びすべての未発表の特許出願明細書の開示全体が、その全体において、本明細書に引用により組み入れられる。本明細書において本発明の説明で用いられた用語の意味と、他の文献から引用により組み入れられたものでの使われ方との間で不一致があった場合、本明細書で用いられた意味が優先することが意図される。
用語“含む”、“有する”、“含有する”、及びこれらの文法的な変形は、制限がなく、付加的な記載されていない要素又は方法のステップを排除しないものとして理解される。
説明のいたるところで、組成物の構成、装置の構成、システム又は工程は、特定の成分又は要素、又は工程の場合は特定のステップを、有する、含有するあるいは含むとして記載される場合には、本発明による組成物の構成、装置の構成、システム又は工程は、記載された成分、要素又はステップで実質的に構成され、又はそれらから構成されることが考えられる。
本明細書では、要素又は成分が、一覧若しくは記載された要素又は成分の群に含まれる及び/又はから選択されると記載された場合、当該要素又は成分は記載された要素又は成分の任意の1つであるか、又は記載された要素又は成分の2以上から選択されてもよい。
文脈で示さない限り、本明細書における単数形の使用は、複数形を含むことを意図する。加えて、用語“約”が定量値の前に用いられた場合、特に記載がない限り、その特定の定量値自体が含まれることが意図される。
プロセスに関して、記載されたプロセスが実行可能である限り、ステップの順番、又はいくつかの動作を実行する順番は重要でないことが理解される。さらに、明細書中に示唆がない限り、2以上のステップ又は動作が同時に行われてもよい。加えて、本明細書に記載されたいずれの割合も、文脈で示さない限り、関連のある組成物の重量に基づく重量割合であることが理解される。
上記詳細な説明は、先行する背景技術及び発明の要約説明を考慮して、及びそれらを組み合わせて読まれるものであり、ここで、当業者にとって明らかなように、本発明の実施に関して、若しくは本発明の変形、選択肢又は有用な態様に関して、あるいは本発明の態様の利用も説明されるか又は提案され、かつ、それは本発明の説明から切り離せない部分を含む。本明細書の背景又はどこかで引用されたあらゆる文献の、本発明の分野と大きく異なる分野が、本発明の1又は複数の分野に似ていることは認められない。
本発明の説明は、当業者に明らか又は明らかになるように、本発明の目的と適合性がない、又はそれに反する、要素の群又は組み合わせを除き、本発明の種々の要素、および、ある場合、本明細書もしくは図面において説明される種々の方法、製品、組成物、システム、装置、計器、観点、実施の形態、実施例のうちの任意の1つ以上において、開示、暗示、もしくは示唆される代替物を含む、それらの開示又は示唆された代替物の組み合わせを含むものとして理解され、かつ本発明の要素又は本発明の可能な実施の任意の他に書かれた、もしくは例示された組み合わせ又は群を含むことが理解される。
本発明は、本明細書に記載された実施例及び態様、本発明あるいは個々に記載された実施例又は態様に係る精神又は必須の特性を具現化する他の特定の形態を含む。上記実施例及び態様は、すべての点において、本明細書で記載される本発明の例示を目的としている。本発明又は本明細書に記載された発明の実施例又は態様に係る多くのかつ様々な変形が、上記記載を考慮して、関連する分野における当業者にとって明らかで、あるいは技術の進展に伴い明らかになることが理解されるべきである。当該変形は、本発明又は本明細書に記載された発明の精神と範囲内であるものとして考慮される。
本出願は、2010年9月30日に出願された仮出願番号第61/388,297号に対する優先権を主張し、あらゆる目的のために引用によってその開示全体が本明細書に組み入れられる。