JP5782671B2 - 撥水性離型薄膜形成方法 - Google Patents

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本発明はプラズマ化学気相成長法(PE-CVD法)によりプラスチック基材上に炭素含有珪素化合物膜を形成させる撥水性離型薄膜形成方法及び撥水性離型積層フィルムに関するもので、具体的には有機珪素化合物を蒸着原料とし、蒸着時に酸素原子を含まないガス雰囲気下、プラスチック基材をTg以下に冷却保持した状態で、プラズマ化学気相成長を行い、炭素含有有機珪素化合物の薄膜をプラスチック基材上に成膜することを特徴とする撥水性離型炭素含有有機珪素化合物薄膜形成方法及び撥水性離型積層フィルムに関する。
紙やフィルムに離型性のある材料を積層、あるいは基材自体が離型性を有する材料を用いたいわゆる離型積層フィルム又はシートは、粘着テープ、感光剤のセパレーターフィルムといったものから、真空成形、多層プリント基板製造などのインモールド成形時に使用する剥離フィルム、電子部品キャリア、セラミックシート、炭素繊維プリプレグなどの工程紙として製造工程にも広く使用されている。
そして、離型積層フィルム又はシートの具体的な利用面から求められる性能としては、例えば、FPCやフラットケーブルなどの工程で、ヒートプレス加工の際に用いられるセパレートフィルムには、耐熱性並びに適度な離型性とクッション性、母材への非転移性が求められる。また、コストメリットとして、繰り返し耐性や低価格性、廃棄のたやすさも重要である。
こうした要求性能に対し、主に離型積層フィルム又はシートとして利用されているものとして、シロキサン結合による主骨格を有するシリコーン材料により離型性を付与する場合は、優れた離型性、低表面エネルギー、コーティング加工可能であるが、長期間の大気暴露により重剥離化(表面特性が劣化する)が促進される、シリコーンの転写が発生する場合がある等の点で問題がある、フッ素系材料を用いた場合は、耐熱、耐薬品、柔軟性、繰り返し耐久性、防汚性、耐候性などに優れた物性、性能を有するものの、高価であり、廃棄処理上の有毒ガスの発生、複合加工の困難性などの点で問題があり、またポリオレフィン樹脂によるシート、フィルムを用いた場合は、耐熱、安価、柔軟性といった利点があり、離型性とコストのバランスがとれているが、高ヘイズや、耐熱性に劣るなどの面で工業的な利用性という点で劣ることが知られている。
特に近年は、多機能化、微細化する電子機器の製造工程においては離型工程材料のクリーン性や耐熱、寸法安定性などが必要不可欠となっている。さらには、環境対応の観点から、使用後の離型材料の処理による環境負荷の低減も重要な機能の一つに数えられるようになっている。
こうした離型材料として、具体的には、ポリエチレンテレフタレート上に離型層としてシリコーンを積層したシリコーン積層体(特許文献1)があり、すぐれた離型性を有する一方、長時間大気暴露された場合、重剥離化が促進され、表面特性が変化してしまうものであり、また、離型層のシリコーンが剥離時に転移してしまうものであった。
基材上に離型層としてフッ素化合物を形成させるもの、又はフッ素樹脂そのものを離型層として使用するもの(特許文献2、3)があり、フッ素化合物自体の材料価格が高いことに加え、焼却時に有害なフッ化ガスが発生するといった問題や、外の基材と積層することが難しく、複合材料の作成が難しいものである。
また、ポリオレフィンを使用して離型性を発揮させたもの(特許文献4、5)があり、オレフィン系の材料は低価格で加工性にも優れる一方、耐熱性に劣るため、あまり高温での成型には使用できないものである。このようにいろいろと問題があるものであった。
積層方法もウェットコーティング以外の方法として、ドライコーティング法として蒸着方法を使用する方法も提案されている。
蒸着法の場合、極めて薄い膜が得られるため、組み合わせる基材の物性、例えば表面形状やヤング率、厚みといった機能を保持したまま離型性を付加できるといったメリットがある。また、薄膜のため、離型層にフッ素材料を使用しても、焼却時のフッ化物の発生量は極めて少ないものとなる。
例えば、常圧下グロー放電プラズマによる大気圧プラズマ中にフッ素ガスを添加して表面処理する方法により離型性を付与するもの(特許文献6)があるが、大気圧プラズマは大量の成膜ガスを使用するため、ヘリウムやフッ素化合物ガスなど高価なガスを使用する場合は工業的に不利となる。また、大面積化した場合、放電の制御と均一性を保持することが難しい。
また、基材上にいったん炭素化合物を積層させた後、フッ素プラズマガスを接触させて反応させる方法(特許文献7)を提案しているが、2段階の反応になり工業的には効率が悪いといわざるを得ない。また、プラスチック材料を使用する場合において、Tgを超える温度になった場合、基材の変形や不純物の溶出が生じ、蒸着膜の欠陥が生じる場合がある。
基材上に環状のフッ素化芳香族化合物を使用して、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン薄膜を積層させる方法(特許文献8)を提案しているものもある。離型性に加え、硬度に優れる薄膜が得られるメリットがあるが、主な成膜材料が高価なフッ素化芳香族化合物であるため、大面積化した場合は工業的には不利である。また、比較的融点の低いプラスチック材料に高温下で蒸着した場合、基材の変形、低分子量物質のブリードにより蒸着膜に欠陥が生じる場合がある。
基材上に形成する離型層が、珪素酸化物の連続蒸着膜層からなり、かつ珪素酸化物の連続蒸着膜層中には、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類あるいは2種類以上からなる化合物を少なくとも1種類以上を含有し、かつ、炭素原子含有量が、5原子%以上である離型積層フィルム又はシートの製造法(特許文献9)を提案している。この製法は有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスに酸素ガス等を必要とするもので、モノマーガスと酸素ガスとが化学反応して酸化珪素化合物を形成し、その反応生成物が、基材の一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む酸化薄膜を形成するものである。
しかし、酸素ガスと有機珪素化合物との反応により有機珪素化合物中のCH3基及び又はC25基とが反応し、メチル基やエチル基が消失したり、中間的な反応生成物(例えば、CH3OH、HCHOなど)が生成されたり、材料自体あるいは酸素が排気されたりするなど、化学式どおりにならず、思いどおりの性能の膜を形成するまでに至っていなかった。
Si原子とCH3基及び/又はC25基を含むモノマー材料と酸素ガスを含む混合ガスを、モノマー材料100重量部に対して酸素ガスが10重量部〜1000重量部の割合で、真空蒸着槽内に導入し、CVD法によりCH3基及び/又はC25基が残存したSiO2膜の薄膜を基材上に形成する方法及びコンピュータディスプレイのような表示部材を提案し、汚れがあると目立つ表面に防汚性コーティングとして使用できる蒸着膜の形成方法(特許文献10)が知られている。
特許第2846155号公報 特開2007−119640号公報 特開平8−186141号公報 特許第2619034号公報 特開2006−257399号公報 特許第2957068号公報 特公平2−29749号公報 特開2007−213715号公報 特開2002−210860号公報 特開平11−256339号公報
プラズマ化学気相成長法(PE-CVD法又はCVD法又はプラズマCVD法ということがある)によりプラスチック基材上に炭素含有珪素化合物膜を形成させてなる撥水性離型積層フィルムの製造方法において、分子内にSi−O結合を含有する有機珪素化合物を蒸着原料とし、酸素を含まないガス雰囲気下、プラスチック基材をTg以下に冷却保持した状態で前記有機珪素化合物ガスをプラズマ化学気相成長させ、撥水性を有する炭素含有有機珪素化合物膜をプラスチック基材上に成膜することを特徴とする撥水性離型薄膜形成方法及び撥水性離型積層フィルムに関するものである。
従来の塗工により離型層を形成する場合、離型積層フィルム又はシートの離型性を維持しつつ、制御された撥水性を有する離型性層を調製することは困難とされ、また、蒸着法にしても、CVD法により作製したSiOx膜は撥水性が高くなく、均質でかつ均一な撥水性離型層として安定的に確実に低コストで薄膜形成するには未だ至っていない。
本発明は、上記のような従来技術の状況を鑑みてなされたものであり、均質で均一な撥水性と離型性を同時に発現できる撥水性離型薄膜を制御下、安定かつ確実に低コストで簡単に提供するとともに、従来技術の問題点をも解消した撥水性離型薄膜形成方法及び撥水性離型積層フィルムを提供するものである。
本発明は、酸素を加えると撥水性が低下するという知見を基に、原因が、有機珪素化合物材料が酸素の存在により分子内のSi−C結合のCが酸素と結合してCO2として失われることでSi−C結合が減少し、撥水性が低下するためであるとの知見、及び有機珪素化合物を蒸着材料とし、CVD法による蒸着膜を形成するためには、モノマー材料のほかに酸素ガスを導入する必要があるという知見に基づき、鋭意研究した結果、驚くべきことに酸素ガス、酸素原子の存在しないガス雰囲気下でプラズマCVD法により有機珪素化合物をプラズマ気相成長させることにより、撥水性と離型性を示す蒸着膜が形成できるという知見を基に本願発明に至ったものである。
本発明者らは、PE−CVD法により炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を成膜する方法を鋭意検討した結果、プラズマ化学気相成長法(PE−CVD法)によりプラスチック基材上に炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成する撥水性離型薄膜形成方法において、分子内にSi−O結合を含有する有機珪素化合物を蒸着原料とし、前記有機珪素化合物ガスの蒸着時にモノマー以外のガスとして酸素原子を含まない雰囲気下、より具体的には、希ガスと前記蒸着モノマー材料の混合ガス又は希ガスを用いることなく、蒸着モノマー単独の原料、あるいは希ガスを除く不活性気体と蒸着モノマー材料の混合ガスの原料を、プラスチック基材をTg以下に冷却保持した状態でプラズマ化学気相成長させることにより、炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜をプラスチック基材上に成膜することで、高速にかつ90°以上の水接触角を有する撥水性が付与され、かつ離型性にも優れた蒸着膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明において、加圧状態、通常、3Paの酸素のない状態下でプラズマCVD法により蒸着を行うことにより、副反応が起きず、蒸着される有機珪素化合物中のSi−C結合が確実に高濃度に維持でき、かつSi−C結合の濃度が制御可能であり、表面状態を確実にコントロールできる。また、撥水性の原因となる有機成分を高濃度に含む高炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜がプラスチック基材と化学的に結合して形成されるので、Si−C結合に起因する撥水性と、蒸着膜とプラスチック基材とがしっかり結合した撥水性炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜により離型層が転移しない、撥水性と離型性を兼ね備える撥水性離型積層フィルムを制御下で確実に歩留まりよく、製造することができる。
さらに、PE−CVD法はプラスチック基材、特に耐熱性の低い材料や一般の物理蒸着では蒸着困難な低表面エネルギーの材料にも強固に密着した膜を形成可能であるから、任意のプラスチック材料を選択し、透明な撥水膜を形成させることが可能である。これにより、求められる機械物性やコストに合わせて種々の基材を選択することができることとなり、設計自由度が極めて高い製造方法として利用できるメリットがある。
従来の方法では、炭素含有量は有機珪素化合物/酸素比で制御可能ではあったが、酸素と有機珪素化合物との化学反応が単純に進まず、多くの副反応が生じ、制御下で安定的に所望の性能を有する有機珪素化合物の蒸着膜が形成できなかったものを、本発明は、酸素原子を含まない不活性ガスと有機珪素化合物だけのガス組成物のみを蒸着材料とすることにより、反応系として単純であり、副反応も生じない条件下で有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成することができるようになった。
さらに本発明の方法において、CVD法の反応条件として、反応原料が有機珪素化合物のみであり、ガス雰囲気は希ガス等の酸素原子を含まない不活性ガス又は希ガスと希ガス以外の不活性ガス、例えば窒素を加えるだけのガス組成物のみであるので、CVD蒸着条件のみを制御対象とする単純な系であり、所望の表面状態(撥水性、離型性、接触角、剥離強度など)を有する蒸着膜を、制御可能な蒸着条件を制御するだけで確実に形成できる。また、蒸着膜の厚み、適用幅等も基材の搬送速度などを制御することで所望に応じて変化させることができる。
本発明の酸素不存在下(無酸素状態下)でPE−CVD法により有機珪素化合物を蒸着モノマー原料とした有機珪素化合物膜を成膜する方法と得られた有機珪素化合物の蒸着膜としての優位性は、PET、ポリオレフィンなど蒸着可能な基材フィルムであれば、特に、材料を選ばず、何でもよく、撥水性離型積層フィルム又はシートを確実に制御して製造することができる方法であるので、設計自由度が極めて高く、所望の物性、性能のものを安価に製造することができる。
その上、本発明の方法によれば、例えば、表面凹凸の基材を使用すれば、基材と同様の表面に凹凸のある撥水性離型積層フィルム又はシートも作成可能となり、多種多様な製品を作り出すことができる。
有機珪素化合物をPE−CVD法により無酸素雰囲気下で珪素蒸着膜を形成した場合、有機珪素化合物中の炭素含有量が大きい膜が形成可能であり、エチル基(−CH2−CH3)、メチル基(−CH3)が末端として残り、Si−OH基が少なくなることで、極めて低い表面自由エネルギーをとることとなり疎水性の膜を得ることができる。
本発明の有機珪素化合物から有機珪素化合物蒸着膜を成膜する方法では、シリコーン離型剤を塗布した離型コート品と異なり、ドライプロセスのため、有機珪素化合物の成膜に使用する量が極めて少なく、基材フィルムと化学結合を形成するため密着性に優れ、離型積層フィルム又はシートとして使用した際に離型層である有機珪素化合物の有機珪素化合物蒸着膜の剥離による転移性は極めて低く、ほとんど見られない。
そして、本発明の方法による有機珪素化合物の蒸着膜は、有機成分を含有する有機珪素
化合物の蒸着膜であり有機無機系薄膜(ハイブリッド)といえるもので、経時変化や温湿度変化に強く、表面状態が安定した膜が形成でき、また、巻き取り加工が可能であり、大面積かつ安価に作成可能である。さらに、本発明の有機珪素化合物の蒸着膜自体の毒性もなく、リサイクル可能であり、燃焼による廃棄を行っても有害ガスがほとんど発生しないというメリットがある。
本発明に係る撥水性離型フィルムを示す概略的断面図 プラズマ化学気相成長装置の概略的断面図
本発明は、有機珪素化合物の連続蒸着膜が有機成分を含有し、その有機成分の含有量すなわち炭素含有量を制御することにより形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜が離型性を有し、撥水性が制御された状態で形成できるようにした撥水性離型薄膜形成方法及び撥水性離型積層フィルムである。
本発明は、本発明の撥水性離型薄膜形成方法によれば、撥水性炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜の厚みがナノメートルレベルからマイクロメートルレベルまで正確に任意の膜厚レベルで制御して形成することが可能であり、離型性が維持でき、かつ転移性もほとんどなく、しかも、撥水性をも制御可能である安定的に連続蒸着膜を形成することができる。
本発明は、有機珪素化合物の蒸着により形成される炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜を成膜する技術としてCVD法を利用することで、供給される反応系に関与する材料を少なくし、制御しやすい状態で離型層表面の離型性を維持しつつ高い撥水性を任意に制御した離型層を形成することができる方法を提供できる。
また、本発明の離型積層フィルム又はシートにおいては、離型層に求められる離型性及び撥水性に加えて、省資源、省エネあるいは廃棄処理をも考慮し、基材フィルムと離型層との間に化学結合が形成され、優れた密着性が発揮されるものとするため、CVD法により有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成することから、ハロゲン系元素を含有せず、被離型材と離型層との剥離力が小さく、基材フィルムと離型層とは密着性に優れ、かつ剥離しにくく、離型層の離型性を長期に維持できるものである。
上記の本発明について、以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
本発明にかかる撥水性炭素含有有機珪素化合物蒸着膜を有する撥水性離型積層フィルム及び撥水性薄膜形成方法についてその層構成の一例を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかる撥水性炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する撥水性離型積層フィルムについてその層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明にかかる炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜を有する撥水性離型積層フィルムとしては、図1に示すように、基材1と、該基材1の一方の面に設けた有機珪素化合物の連続膜蒸着膜(2a)とからなるものである。
蒸着膜2aである撥水性離型層を形成するプラズマ化学気相成長法は、例えば、図2に示すようなプラズマ化学気相成長蒸着装置を用い、真空チャンバ内で基材フィルムをプラズマ化学気相成長する雰囲気下に順次送り出し、巻き取り式のプラズマ化学気相成長方式を適用し、連続的に撥水性離型薄膜形成することができるものである。
本発明に係る撥水性離型薄膜形成方法は、広範な用途に利用できる撥水性離型フィルム又はシートが製造できるものである。
本発明で用いる基材フィルムは又はシートは、用途に応じ、基材フィルム又はシートに求められる物性、性能に適合するプラスチック材料を選択し、かつその表面粗さ、基材の厚み、表面凹凸形状など用途に応じた基材性状を設定、選択することにより決まるものである。
本発明にかかる撥水性離型薄膜形成方法及びその薄膜形成方法により製造された撥水性離型積層フィルムにおいて、使用する材料、方法等について説明する。
撥水性離型積層フィルム又はシートの基材は、本発明において、一般的には、プラスチック基材、紙及びその処理紙が用いられる。プラスチック基材として使用できる材料としては、具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、(ポリ(メタ)アクリル系樹脂)、(ポリカーボネート系樹脂、)ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂等の各種樹脂フィルムないしシートを挙げることができる。なかでも、耐熱性、機械的性質、寸法安定性、密着性、価格等の点から、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシートあるいは紙又は機能処理した紙が好ましい。また、基材として、上記の2種以上の樹脂を用いて2層以上の積層フィルム又はシートであってもよい。
本発明のフィルム又はシートの製造法として、特に限定されるものではなく、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、インフレーション法等の従来から一般に知られているフィルム又はシートの製法を適宜採用して製造することができる。また、2種以上の樹脂を使用して多層成膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、成膜化する前に混合して成膜化する方法等により、多層化してもよい。
さらに、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラ方式等を利用して1軸ないし2軸延伸処理してもよい。
本発明の基材において、フィルム又はシートの厚さとしては、特に限定されないが、10〜100μm、より好ましくは20〜50μm程度が好ましい。基材の厚みが離型層の厚みに対する比率が薄くなると、離型層を形成する際、基材の寸法安定性の低下や、CVD法処理又は塗工などの製造時の温度、気流、支持状況などの製造状況の影響を受け易く、基材フィルム又はシートの平坦性や平滑状態の維持に支障を来す恐れがある。厚みが100μmを超えると材料の浪費となり、資源及び環境のコストが高くなる。
本発明において、基材フィルム又はシートの成膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、表面粗さなど離型層の形成に影響を及ぼさない範囲で選択、添加することができる。
本発明における一般的な添加剤としては、離型積層フィルム又はシートの基材として必要な機能を維持するため、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等を使用することができる。
本発明において、基材フィルム又はシートの表面に、離型層を構成する有機珪素化合物の連続蒸着膜との密接着性を向上させるため、必要に応じて、予め、所望の表面処理をすることができる。上記表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を施すことができる。
基材フィルム又はシートと離型層を構成する有機珪素化合物の連続蒸着膜層との密接着性を改善するための方法として、プラズマCVD法により形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜と基材との密接着性が低下しない限りにおいて、例えば、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を形成することもできる。上記の前処理のコ−ト材としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂等を使用することができる。
本発明の薄膜形成方法は、分子内に酸素原子を有する有機珪素化合物の蒸着原料モノマーガスを含有するガス組成物を使用し、所定のCVD法の条件下、プラズマ化学気相成長法により有機珪素化合物の連続蒸着膜を所定の搬送速度で送られるプラスチック基材の一方の面に化学気相成長させて形成するものである。
本発明の方法では、ガス組成物の供給量を変更するだけで形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜中に、有機珪素化合物に起因する炭素原子を有する有機成分を含有し、かつ、Si−C結合の含有量を調整してなる均一な撥水性を有する離型層を形成することができ、本発明にかかる撥水性離型積層フィルム又はシートを確実に簡単に製造することができる。
なお、蒸着モノマーと酸素ガスの混合比率に関連して得られる形成された炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜の水に対する接触角及びジヨードメタンに対する接触角について得られた結果は以下の表1のとおりです。ジヨードメタンは接触角の変化が小さく、測定には向いていないので、本発明では水接触角について測定した。酸素を多くするほど、水に対する接触角は減少し、無酸素状態では、一般的に撥水性と認められる90°以上の値が得られた。
Figure 0005782671
本発明において、重要なことは有機珪素化合物の連続蒸着膜の離型層中に、C−H結合又はSi−C結合を有する化合物、蒸着原料のモノマーである有機珪素化合物やそれらの誘導体などの有機成分を残した状態で化学結合等によって蒸着膜を形成することであり、特に、CH3基及び/又はC25基を残すようにCVD法で形成することであり、結果、有機成分が膜表面に配列し、その有機成分の含有する密度により水接触角すなわち表面自由エネルギーが変わるものの、均一な撥水性及び離型性を示す炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜が形成できることである。
有機珪素化合物の連続蒸着膜層に含有する化合物としては、特に、CH3部位を持つハイドロカ−ボンを基本構造とするものを多く含有するものが撥水性離型層として好ましいものである。
本発明の方法では、形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜中に、ガス組成物の供給量を任意に変更するだけで有機珪素化合物に起因する炭素含有の有機成分を確実に含有し、かつSi−C結合の含有量が所定値をとることができる均一で十分な撥水性を有する離型層を形成することができ、また本発明にかかる優れた撥水性離型積層フィルム又はシートを製造することができる。
本発明で、撥水性離型を示すのは、Siに結合したメチル基又はエチル基に由来することから、Si−C結合を含む有機珪素化合物を材料に用いる必要がある。そして、Si−C結合をどの程度蒸着膜中に残す又は形成させることができるかにより撥水性の程度が決まってくる。したがって、蒸着法として、物理蒸着法の場合、一酸化珪素を蒸発させて、酸素を供給して酸化珪素を成膜することから、二酸化炭素、メタンガスなどを添加してもSi−C結合は形成できないことから、撥水性の蒸着膜はできないので、本発明のようにCVD法で成膜し、メチル基又はエチル基を膜中に導入する必要がでてくることになる。
そこで、本発明の離型層を形成する有機成分を含有する有機珪素化合物薄膜を形成するために使用する有機珪素化合物としては、メチル基或いはエチル基を含み、且つSiを主鎖とする、次のようなモノマー材料、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン(MTMOS)、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。また、これらの1種又は2種以上を含むものであってもよい。
撥水性を有する有機珪素化合物の蒸着膜を形成するモノマー材料には、上記の例に係わらず、Si原子とCH3基及び/又はC25基を含む有機珪素化合物で、常温で適当な蒸気圧を持ち、CVD法を実施することが可能な材料であれば、どのような材料でも構わない。
本発明においては、有機珪素化合物として、特に、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラエトキシシラン(TEOS)又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を原料として使用することが、その取り扱い性、形成された有機珪素化合物の蒸着膜の撥水性等の特性から、特に、好ましい。
CVD法により撥水性が付与された有機珪素化合物の蒸着膜を形成するためには、Si原子とCH3基及び/又はC25基を含む有機珪素化合物におけるCH3基及び/又はC25基をCOx、H2Oなどを生成させ、失わせない必要があることは上記したとおりである。
したがって、ガス組成物は、上記のモノマー材料のほかのガス成分として、通常の蒸着法において行っているような酸素ガスを供給することを止め、無酸素状態にする必要がある。また、蒸着法で通常使用される酸化性を持つガス、例えばオゾンガスや笑気ガス(N2O)などの使用も止めることが必要である。撥水性は、CH3基及び/又はC25基の存在量で制御可能であり、酸素供給源がガス成分の有機珪素化合物中の分子内酸素原子含有量のみの制御で可能となる。
モノマーガスのほかにモノマー蒸気を効率よく真空チャンバ内に導入するためのガス(キャリアーガス)やプラズマを発生させたり、プラズマを増強させたりする目的のガスを増強して導入することも必要に応じて使用される。
キャリア−ガスとして、アルゴンガスまたはヘリウムガス等の希ガス、又は窒素ガス、あるいはそれらの混合ガスなどの不活性ガスを含有させることができる。
プラズマ発生装置には、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、または、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができる。
さらに、プラスチック基材にプラズマ化学気相成長を適用する方法としては、一般的には、プラズマ発生装置内でロール状のプラスチック基材を巻き取りながら、あるいはプラズマ発生装置内をプラスチック基材が通過することにより、プラスチック基材上にプラズマ化学気相成長させ、有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成し、撥水性離型薄膜を形成する方法及び撥水性離型積層フィルム又はシートを製造することができる。
本発明にかかる撥水性離型積層フィルム又はシートを構成する基材としては、離型積層フィルム又はシートを構成する基本素材となること、更に、基材フィルムに離型層を構成する有機成分を含有する有機珪素化合物の連続蒸着膜層を設けることから、機械的、物理的及び化学的性質等において優れた性質を有し、特に、強度を有し、強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、すでに前記したようなプラスチック材料を用いることができる。
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスがプラズマ状態により基材プラスチックと化学反応し、その反応生成物が、基材の一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む連続蒸着膜を形成したものである。通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される珪素酸化物を主体とする連続蒸着膜であって、有機珪素化合物の連続蒸着膜としては、透明性の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1〜2の数を表す。)で表される珪素酸化物を主体とし、撥水性及び離型性の観点から有機成分を含有するものである。
有機珪素化合物の連続蒸着膜は、前記珪素酸化物を主体とし、これに、有機成分を少なくとも1種類化学結合等により含有する連続蒸着膜からなるもので、有機成分としては、例えば、C−H結合を有する化合物、Si−C結合を有する化合物、または、原料の蒸着モノマーガスである有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有するように形成したものである。
具体例を挙げると、CH32部位を持つハイドロカ−ボンを挙げることができる。上記以外でも蒸着過程の条件等を変化させることにより、有機珪素化合物の連続蒸着膜層中に含有される有機成分の種類、量等を変化させることができる。
上記有機成分が有機珪素化合物の連続蒸着膜中に含有する含有量としては、当業界において、水接触角が90°以上あれば一般的には撥水性であるとされており、90°以上の水接触角を有する蒸着膜となるように有機成分の含有量を制御する。撥水性を示す有機成分の含有量とすることにより、撥水性と離型性を有し、プラスチック基材との密着性に優れた積層フィルムができる。
有機成分の含有量は、原料となる蒸着モノマーの有機珪素化合物により変わってくると考えて差し支えなく、撥水性及び離型性を容易に制御できることになる。炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜における炭素を含有する密度及び平面的な広がりの密度分布を有機珪素化合物の分子構造から予測し、制御することも期待できる。一般的には、有機成分の含有量が0.1〜80%位、好ましくは、5〜60%位が望ましいものである。含有率が、0.1%未満であると、有機珪素化合物の連続蒸着膜層の離型性が低下し、あるいは、その耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げ等により、擦り傷、クラック等が発生し易く、その安定性を維持することが困難になり、また、80%を越えると、離型性、蒸着膜の密着性も低下して好ましくない。
CVD法によりメチル基及び/又はエチル基を導入する条件は、前記した材料を使用することに加え、Si原子とCH3基及び/又はC25基を含む有機珪素化合物からなるモノマー材料と希ガスとの組成比を、モノマー材料100重量部に対して希ガス30〜100重量部とすることである。希ガスが10重量部未満だとSiO2膜を形成することができず、また低酸素条件下での酸素ガスが10重量部を超えるとSiO2膜の中にメチル基又はエチル基が含まれなくなり、撥水性が失われるので好ましくない。
また、蒸着膜が撥水性を発揮するためには、少なくとも10Å以上の撥水性コーティング膜の厚みが必要である。撥水性コーティング膜の厚みが10Å未満だと連続した蒸着膜として存在しなくなる。
本発明においては、有機珪素化合物の連続蒸着膜において、上記有機成分の含有量が有機珪素化合物の連続蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより有機珪素化合物の連続蒸着膜の表面においては、上記有機成分により離型性及び耐衝撃性等を高められ、他方、樹脂フィルムとの界面においては、上記有機成分の含有量が少なく、−SiO−による化学結合が基材フィルムとの間で形成されるために、基材フィルムと珪素酸化物の連続蒸着膜との密着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
本発明において、離型層を構成する有機珪素化合物の連続蒸着膜層中の有機成分の含有比C/Siは、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用いて分析する方法を利用して、有機珪素化合物の連続蒸着膜層の元素分析を行うことより求めることができ、C/Si比により離型層の特性(物性)を確認することができる。
離型層を構成する有機珪素化合物の連続蒸着膜中に含有される、有機成分の含有量によりC/Si比が変動するものであって、有機珪素化合物の連続蒸着膜中に炭素原子含有量が少なくなるとC/Si比は低下することになるので、結果的に、撥水基であるメチル基(CH3 )等の存在が少なくなることを意味し、離型性が低下するという理由により好ましくない。また、炭素原子含有量が多くなるとC/Si比が大きくなり、膜の硬度、強度等が低下し、剥がれ落ちる現象が生じるという理由により好ましくないものである。
本発明において、有機珪素化合物の連続蒸着膜の膜厚としては、蒸着膜が炭素含有有機珪素化合物であり、有機・無機の複合的な性質を有する膜であり、無機酸化物膜ほどの剛性がなく、膜が柔軟なため膜厚2nm〜400nmの範囲であれば特に問題はない。具体的には、その膜厚としては、5〜200nmが好ましく、膜厚が200nm、更には、400nmより厚くなると、剛性を増すため膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、膜厚が5nm以下であると、蒸着膜の平面密度が低下して基材フィルムが表面に露出することとなり、剥離性が低下し、離型層自体が被離型材へ付着し、離型層が剥離する可能性が増加する。さらに、2nm未満であると、離型層として離型性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
蒸着膜の膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、測定することができる。また、上記の有機珪素化合物の連続蒸着膜層の膜厚を変更するには、蒸着時の条件として連続蒸着膜の層の体積速度を大きくすること、すなわち、有機珪素化合物の蒸着モノマーガスを多くすること及び基材の搬送速度を遅くすることにより、膜厚を厚くすることができ、また、蒸着する速度を遅くすることにより膜厚を薄くすることができる。
本発明の低温プラズマ化学気相成長法による有機珪素化合物の連続蒸着膜層の形成法について、プラズマ化学蒸着装置の一例を用いて説明する。
図2は、上記有機珪素化合物の連続蒸着膜層をプラズマ化学気相成長法により形成する際に用いる低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
本発明においては、プラズマ化学気相成長装置11の真空チャンバ12内に配置された巻き出しロール13から基材1を繰り出し、該基材1は補助ロール14を介して所定の速度で冷却・電極ドラム15周面上に搬送する。ガス供給装置16、17及び原料揮発供給装置18等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物の蒸着用モノマーガス等を供給し、蒸着用混合ガス組成物を調製しながら原料供給ノズル19を通して真空チャンバ12内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、上記冷却・電極ドラム15の周面上に搬送された基材1の上に、グロー放電プラズマ20によって発生したプラズマを照射して、有機珪素化合物の連続蒸着膜層を成膜化する。なお、冷却・電極ドラム15は、真空チャンバ12の外に配置されている電源21から所定の電力を印加する。また、冷却・電極ドラム15の近傍には、マグネット22を配置してプラズマの発生を促進している。
そして、有機珪素化合物の連続蒸着膜の層を形成した基材1は、所定の巻き取りスピードで補助ロール23を介して巻き取りロール24に巻き取って、本発明にかかる有機珪素化合物の連続蒸着膜層をプラズマ化学気相成長法により形成した基材とするものである。なお、図中、25は真空ポンプを表す。
上記の例示は、プラズマ化学気相成長法の一例を示すものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、有機珪素化合物の連続蒸着膜層としては、有機珪素化合物の連続蒸着膜層の1層だけではなく、その2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する有機珪素化合物も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した有機珪素化合物の連続蒸着膜層を構成することもできる。
原料を供給する原料揮発供給装置18は、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置16、17から供給される希ガス、不活性ガスあるいは酸素ガス等と混合させ、この混合ガスは原料供給ノズル19を介して真空チャンバ12内に導入されるもので、混合ガス中の有機珪素化合物、希ガス、及び不活性ガス等の含有量は、有機珪素化合物の連続蒸着膜層に求める性質に応じて任意の組成で変更することができる。本発明では、酸素ガスは用いないので、ガス供給装置からは、希ガスとしてHe又は不活性ガスとしてN2が供給される。
プラズマの生成については、冷却・電極ドラム15に電源21から所定の電圧が印加され、真空チャンバ12内の原料供給ノズル19の開口部と冷却・電極ドラム15との近傍でグロー放電プラズマ20が生成する。このグロー放電プラズマ20は、混合ガスの中の1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、基材1を一定速度で搬送することで、グロー放電プラズマ20が、冷却・電極ドラム15周面上の基材1の上に、有機珪素化合物の連続蒸着膜層を形成するものである。
本発明において、真空チャンバ内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torrに調整する。また、基材1の搬送速度は、形成する有機珪素化合物の連続蒸着膜層の膜厚、密度、生産性等に関係し、通常は10〜500m/min、好ましくは、20〜100m/minに調整することが好ましい。また、プラズマ発生電圧は、形成する有機珪素化合物の連続蒸着膜層の膜厚、密度、生産性等に関係し、特に、有機珪素化合物との反応あるいは有機珪素化合物の分解を生じないマイルドな条件下、通常5〜20kwに調整することが好ましい。
上記のプラズマ化学気相成長装置11を用いた有機珪素化合物の連続蒸着膜の層の形成は、プラスチック基材1の上にプラズマ化した有機珪素化合物の原料ガスを式SiOX の形で連続蒸着膜状に形成されるので、有機珪素化合物の蒸着膜は、緻密で隙間の少ない、
可撓性に富む連続蒸着膜層となる。また、プラズマにより基材1の表面が清浄化され、基材1の表面に極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜層と基材1との結合が形成され、密着性が高いものとなるという利点を有する。従って、有機珪素化合物の連続蒸着膜層は、基材との密着性に優れ、更に、膜厚の均一性も高い。また、有機珪素酸化物の蒸着膜は真空中で成膜化することからその表面に塵埃等が付着することはなく、有機珪素化合物基本骨格のSi−O結合が連鎖して蒸着膜を形成することから、分子鎖中に均一にSi−C結合が配置され、均一な撥水性及び離型性を有する優れた特性を有する蒸着膜が形成されるものである。
本発明において、有機珪素化合物の連続蒸着膜層の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torrに調整することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素の蒸着膜を形成する時の真空度1×10-4〜1×10-5Torrに比較して低真空度であることから、基材1を原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度が安定しやすく、成膜プロセスが安定するものである。
本発明の撥水性離型積層フィルム又はシートを工程紙に使用することにより、積層フィルム又はシートの表面離型層は、シリコーン樹脂を離型剤とする離型積層フィルム又はシートに比して、離型層の厚みをオングストローム単位の厚みで形成することができ、かつ無機材料系の有機珪素化合物の連続蒸着膜からなることから、離型積層フィルム又はシートの廃棄処理に際し環境を悪化、破壊するような原因物質を発生させない。
また、CVD法により有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成することから基材フィルムとの密着性に優れかつナノオーダーの膜厚みで優れた離型性を有する離型積層フィルム又はシートが得られることから、塗工型の離型積層フィルム又はシートに見られるような離型層の製品への転移が起きず、製品の後処理、製品の品質管理などの面で優れ、歩留まりも向上し、かつ撥水性離型積層フィルム又はシートの使用期間が長くなり、製造コストも低減できる。
本発明を以下の実施例に基づいて説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本発明における実施例は、下記測定方法を用いて各種測定を行い、評価した。以下に実施例の物性値の測定方法及び評価方法を説明する。
(測定方法)
(1)炭素含有量の測定
X線光電子分析装置(島津製作所製ESCA3400)を使用し、最表面から深さ方向に3.0nmイオンエッチングし、エッチングされた離型層を構成する有機珪素化合物の蒸着膜の元素分析から炭素含有率をC/Si比により算出した。
(2)水接触角の測定
製造した撥水性離型積層フィルム又はシートの撥水性離型層表面の撥水性を評価するため、作成した撥水性離型積層フィルム又はシートの表面に対する水の接触角及びジヨードメタンの接触角を、接触角試験機(協和界面科学株式会社製:CA−DT型)装置を用いて、異なる場所で5回測定を実施し、5回の平均値を以て各接触角の測定値を求めた。JISにおける濡れ張力として、JIS K 6768に定義された濡れ指示薬による方法でも測定したが、微量なメチル基及び/又はエチル基の含有量の評価をするには精度的に不十分であった。
(3)剥離強度の測定
試料調製:製造した撥水離型性積層フィルム(12μm)の離型層側と貼り合わせ用基
材として50μm厚未延伸ポリエチレンフィルム(出光ユニテック製LS−722CN)のコロナ放電処理面とを、ウレタン系接着剤として、酢酸エチル:ロックペイント製アドロックRU−77:脂肪族イソシアネート(ロックペイント製:H−7)=30:10:1を乾燥後の塗布量が4.0g/m2となるようにコート(4μm)して貼り合わせ、剥離強度試験としてORIENTIC TENSILON RTC−1310Aを用い、試験片として15mm巾に切り出した積送品を剥離速度50mm/minにてT字剥離を行い、剥離強度を測定した。
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
基材として、厚さ12μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製の「P60」)の片面にコロナ処理を施したものを用い、該2軸延伸ポリエステルフィルムを巻取り式PE−CVD法蒸着装置の繰り出し側に、コロナ処理面が被蒸着面となるように設置し、その後、該基材フィルムを巻き出し、巻上げ張力を1.4N/mに設定し、巻き取り式PE−CVD法蒸着装置の容器を密閉し、排気ポンプを稼動させて減圧するとともに、蒸着ドラムの冷却装置の出口側温度を0℃に冷却した。
装置内圧力をキャパシタンスマノメーターにより測定し、0.5Paに到達した段階で、蒸着モノマーとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を採用し、HMDSOは常温で液体状態であるので、液体状態で流量を計量し、その供給ラインの流量を1600sccm(standard cc/min、1atm、0℃あるいは、25℃など一定温度で規格化されたsccmを意味する。) に、また、装置内の雰囲気ガスとしてヘリウムを用い、その供給ラインの流量を800sccmに、それぞれ設定し、PE−CVD法蒸着装置の真空チャンバ内へ供給し、PE−CVD法蒸着装置の容器内の圧力を5.0Paに調整した。
上記のとおりPE−CVD法蒸着装置を設定し、蒸着装置の動作が安定化した後、下記PE−CVD法の蒸着条件として、印加電圧:40KHzの交流電源8kW、フィルムの搬送速度:30m/min、成膜圧力:5.0Pa、基材保持温度:0℃で、ヘキサメチレンジシロキサンを蒸着原料としたプラズマ化学気相成長を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ放電処理面に施し、厚さ10nmの有機珪素化合物の蒸着膜を成膜し、炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する撥水性離型積層フィルムを製造した後、基材フィルムの搬送を停止させ、捲き取り部の撥水性離型積層フィルムを回収し、所定の物性測定を実施した。
(蒸着条件)
基材: 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面: コロナ放電処理
蒸着材料: ヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)
雰囲気ガス: Heガス
導入ガス比: HMDSO:He=1600:800[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧: 40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力: 5.0[Pa]
基材保持温度: 0℃
(実施例2)
前記蒸着材料としてHMDSOの2量体のもの、雰囲気ガスとして窒素ガス、導入ガス比をTEOS:N2=800:800[sccm]としたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相成長による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定して、炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する撥水性離型積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材: 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面: コロナ放電処理
蒸着材料: ヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)の2量体
雰囲気ガス: 窒素ガス
導入ガス比: HMDSO(2量体):He=800:800[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧: 40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力: 5.0[Pa]
基材保持温度: 0℃
(実施例3)
前記蒸着材料としてテトラエトキシシラン、導入ガス比をTEOS:He=1600:1600[sccm]としたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相成長による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する撥水性離型積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面: コロナ放電処理
蒸着材料: テトラエトキシシラン(TEOS)
雰囲気ガス: Heガス
導入ガス比: TEOS:He=1600:1600[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧: 40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力: 5.0[Pa]
基材保持温度: 0℃
(比較例1)
プラズマ化学気相成長膜が成膜される基材フィルムの基材保持温度を100℃としたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相成長による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い、有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材: 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面: コロナ放電処理
蒸着材料: ヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)
雰囲気ガス: Heガス
導入ガス比: HMDSO:He=1600:800[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧: 40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力: 5.0[Pa]
基材保持温度: 100℃
(比較例2)
前記蒸着材料として、ヘキサメチレンジシロキサンと酸素ガスの混合ガスに、雰囲気ガスとして、ヘリウムガスと酸素ガスの混合ガスを、それぞれ供給し、その導入ガス比をHMDSO:O2:He:O2=800:800:800:100[sccm]とし、酸素過剰状態にしたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相成長による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い有機珪素化合物
の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材: 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面: コロナ放電処理
蒸着材料: ヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)+酸素ガス
雰囲気ガス: Heガス+酸素ガス
導入ガス比: (HMDSO:O2):(He:O2)=800:800:800:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧: 40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力: 5.0[Pa]
基材保持温度: 0℃
(比較例3)
前記蒸着材料として、ヘキサメチレンジシロキサンと酸素ガスの混合ガスに、雰囲気ガスとして、ヘリウムガスと酸素ガスの混合ガスをそれぞれ供給し、その導入ガス比をHMDSO:O2:He:O2=800:2700:800:100[sccm]とし、比較例2よりさらに酸素過剰状態にしたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相成長による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い、有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材: 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面: コロナ放電処理
蒸着材料: ヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)+酸素ガス
雰囲気ガス: Heガス+酸素ガス
導入ガス比: (HMDSO:O2):(He:O2)=800:2700:800:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧: 40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力: 5.0[Pa]
基材保持温度: 0℃
上記各実施例及び比較例に記載された方法により得られた炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムに対して、水接触角及び剥離強度を前記測定方法により測定し、それぞれの積層フィルムの評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
水接触角及び剥離強度
Figure 0005782671
(結果の評価)
実施例と比較例と比較して、無酸素雰囲気の条件下の方が優れた撥水性及び離型性を示す蒸着膜が得られ、酸素が過剰な雰囲気であるほど撥水性、離型性が低下することがわかる。また、蒸着時の有機珪素化合物の濃度は、実施例1と3から特に関係しないものと思われる。また、実施例1又は3と実施例2の比較及び比較例に見られる有機珪素化合物のメチル基、エチル基の種類、それらの1分子中の濃度、配置などが変わると、撥水性の程度が変わるものと思われる。有機珪素化合物中のメチル基、エチル基などの有機成分の存在量が多くなる(C/Si比が大きくなる)と、メチル基やエチル基の疎水性基が増え、表面自由エネルギーが低下することに関係しているためであると考えられ、有機珪素化合物の種類により撥水性の制御が容易に行えるものと思われる。また、無酸素雰囲気下では有機珪素化合物の種類により剥離強度に差が出てくることも明らかとなり、十分な離型性を有するものであるので、撥水性の制御の容易さと併せ、安定した撥水性離型性の蒸着膜が形成できることが期待される。また、実施例1と比較例1を比較することで基材保持温度により撥水性及び離型性の面で明らかに大きな影響がみられ、基材フィルムのガラス転移温度以下の寸法安定な条件下で蒸着膜を形成することが均一でかつ均質な撥水性離型層を得るため必要であることが分かる。
本発明によれば、効率よく、かつ低コストで物性的に優れた撥水性離型積層フィルムを正確に制御して安定的に製造できる。得られた撥水性離型層は、撥水撥油性、防汚性、剥離性、低摩擦性、耐薬品性等に優れたものであり、本発明の撥水性離型積層フィルムは、各種複合材料の製造時、FPC、多層プリント基板製造時、粘着用セパレートフィルム、感光剤用離型積層フィルム又はシート、電子材料・機能性材料用工程紙などの離型積層フィルム又はシート用途に用いることができる。
A:キャリアシート(離型フィルム又はシート)
1:基材
2(2a):離型層、有機成分含有有機珪素酸化物蒸着膜
11:プラズマ化学気相成長装置
12:真空チャンバ
13:巻き出しロール
14、23:補助ロール
15:冷却・電極ドラム
16、17:ガス供給装置
18:原料揮発供給装置
19:原料供給ノズル
20:グロー放電プラズマ
21:電源
22:マグネット
24:巻き取りロール
25:真空ポンプ

Claims (3)

  1. プラズマ化学気相成長法(PE-CVD法)によりプラスチック基材上に炭素含有有機珪素化合物膜を形成させてなる撥水性離型積層フィルムにおける撥水性離型薄膜形成方法において、
    分子内にSi−O結合を含有する有機珪素化合物を蒸着原料とし、酸素を含まないガス雰囲気下、プラスチック基材をTg以下に冷却保持した状態で前記有機珪素化合物ガスをプラズマ化学気相成長させ、撥水性を有する炭素含有有機珪素化合物膜をプラスチック基材上に成膜することを特徴とする撥水性離型薄膜形成方法。
  2. 酸素を含まないガス雰囲気が、希ガス又は希ガス以外の不活性ガスの存在するガス雰囲気下であることを特徴とする請求項1に記載の撥水性離型薄膜形成方法。
  3. 炭素含有有機珪素化合物膜表面に対する水の接触角が90°以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水性離型薄膜形成方法。
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