JP5781407B2 - 熱伝導性コンパウンド - Google Patents

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Description

本発明は、耐ブリード性に優れた熱伝導性コンパウンドに関する。
電子機器に使用されている半導体部品の中には、コンピューターのCPU、ペルチェ素子、LED、インバーター等の電源制御用パワー半導体など使用中に発熱をともなう部品がある。
これらの半導体部品を熱から保護し、正常に機能させるためには、発生した熱をヒートスプレッダーやヒートシンク等の放熱部品へ伝導させ放熱する方法がある。熱伝導性コンパウンドは、これら半導体部品と放熱部品を密着させるように両者の間に塗布され、半導体部品の熱を放熱部品に効率よく伝導させるために用いられる。
熱伝導性コンパウンドは、液状炭化水素やシリコーン油やフッ素油等の基油に、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの金属酸化物や、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物や、アルミニウムや銅などの金属粉末等、熱伝導率の高い充填剤が多量に分散されたコンパウンド状組成物である。粉末である充填剤をコンパウンド状にするために基油成分が必要であるが、熱伝導性コンパウンドを塗布後または使用中、液体成分の滲み出しを生じる、いわゆるブリードが起こり、コンパウンド状の保持が難しくなったり、また分離した液体成分が電子機器の内部を汚損したりなどの可能性が考えられる。
これらを解決するために、特定のチクソ剤を配合したり(特許文献1参照)、特定のポリオルガノシロキサンを使用したり(特許文献2参照)する手法が試みられている。
WO2006/132253 特開2008−31336
本発明は、優れた耐ブリード性を有する熱伝導性コンパウンドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、特定の金属セッケンを用いることで、耐ブリード性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)無機粉末充填剤を75〜97質量%、(B)非シリコーン系基油を2〜24質量%、(C)総炭素数12〜34であるアルミニウムセッケンを0.15〜2.5質量%、(D)(ポリ)グリセリルエーテル0.05〜1.5質量%含有し、液体成分の含有量に対する(C)成分の割合が、1〜10質量%であることを特徴とする熱伝導性コンパウンドを提供するものである。
また、本発明は、上記熱伝導性コンパウンドにおいて、さらに(E)炭素数10〜19の不飽和脂肪酸を0.05〜1質量%含有することを特徴とする熱伝導性コンパウンドを提供するものである。
本発明の熱伝導性コンパウンドは、耐ブリード性に優れている。従って、本発明の熱伝導性コンパウンドは、実用上極めて有用である。
本発明の熱伝導性コンパウンドは、(A)無機粉末充填剤、(B)非シリコーン系基油、(C)総炭素数12〜34であるアルミニウムセッケン、(D)(ポリ)グリセリルエーテル、所定割合で含有する。
(A)無機粉末充填剤
本発明に用いられる(A)成分の無機粉末充填剤は、基油より高い熱伝導率を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、無機窒化物、金属、ケイ素化合物、カーボン材料などの粉末が好適に用いられる。本発明の無機粉末充填剤の種類は1種類であってもよいし、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記の無機粉末充填剤は、電気絶縁性を求める場合には、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカ、ダイヤモンドなどの、半導体やセラミックなどの非導電性物質の粉末が好適に使用でき、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、シリカの粉末がより好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウムの粉末が特に好ましい。これらの無機粉末充填剤をそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。また、電気絶縁性を求めず、より高い熱伝導性を求める場合には、金属アルミニウム、金属銅などの金属粉末や、グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素材料粉末が好適に使用でき、金属粉末がより好ましく、金属アルミニウムの粉末が特に好ましい。また、金属粉末や炭素材料粉末を上記の非導電性物質の粉末と組み合わせて用いることもできる。
また、上記無機粉末充填剤は、細粒のみを用いる場合は平均粒径0.15〜3μmの無機粉末を用いることが好ましい。平均粒径を0.15μm以上とすることで、無機粉末充填剤の表面積に対する液体成分の割合のバランスがよく、より高いちょう度を得ることができる。一方、平均粒径を3μm以下とすることで、最密充填をしやすくなり、より高い熱伝導率とすることができ、また離油もしづらくなる。また、細粒としては、平均粒径の異なる2種類以上の無機粉末を組み合わせてもよい。
細粒のみを用いる場合よりも高い熱伝導性が必要な場合は、細粒と粗粒を組合わせてもよい。但し、細粒のみを用いる場合、熱伝導率は細粒と粗粒を組合わせた場合よりもやや低くなるが、高いちょう度のため薄膜化しやすくなるので、実装時の放熱性能を一層高めることができるという利点がある。
細粒と粗粒を組み合わせる場合には、上記の細粒と、平均粒径5〜50μmの粗粒の無機粉末を組み合わせることができる。この場合には、粗粒の平均粒径を50μm以下とすることで塗膜を薄くし、実装時の放熱性能を一層高めることができる。一方、粗粒の平均粒径は5μm以上とすることでより高い熱伝導率を得やすくできる。
無機粉末充填剤を細粒と粗粒の組み合わせとする場合、粗粒としては、平均粒径の異なる2種類以上の無機粉末の組み合わせとすることもできる。この場合にも、熱伝導率と実装時の放熱性能の観点から、それぞれの粗粒の平均粒径は5〜50μmであることが好ましい。
なお、本発明において、無機粉末充填剤の平均粒径はレーザー回折散乱法(JIS R 1629に準拠)により測定した粒度分布の体積平均径として算出できる。
また、細粒と粗粒の無機粉末充填剤を組み合わせる場合の質量比は、20:80〜85:15の範囲で混合するのが好ましい。粗粒を2種類以上組み合わせる場合には粗粒同士の質量比は特に限定されないが、この場合にも細粒の質量比を無機粉末充填剤のうち20%〜85%の範囲にするのが好ましい。細粒と粗粒の配合比を上記範囲とすることで、無機粉末充填剤の表面積と液体成分の量のバランスから、高いちょう度を得ることができる。また、粗粒と細粒のバランスが最密充填に適しており、離油もしづらくなる。
(A)成分の含有量は、熱伝導性コンパウンドの全量に対して75〜97質量%であるが、含有量が高いほど熱伝導性に優れる。(A)成分の含有量は75〜97質量%であり、好ましくは78〜95質量%である。また、細粒だけの場合、(A)成分の好ましい含有量は75〜95質量%であり、より好ましくは78〜90質量%であり、細粒と粗粒を組み合わせた場合、(A)成分の好ましい含有量は80〜97質量%であり、より好ましくは85〜95質量%である。75質量%未満では熱伝導性が低くなったり、また離油を生じ液体成分の滲み出しを生じたりすることがある。一方、(A)成分の含有量が97質量%を越えるとちょう度が低くなり十分な塗布性を保てなくなったり、熱伝導性コンパウンドが調製できなくなったりする。
(B)基油
本発明に用いられる(B)成分の非シリコーン系基油としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油などの炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステルなどが挙げられ、炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油が好ましく、更に合成炭化水素油、エステル系基油、エーテル系基油が好ましい。表面張力の低いシリコーン系基油以外の基油を用いることで、基油の分離を少なくすることができる。基油は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
鉱油としては、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤抽出、溶剤脱ロウ、水素化精製、水素化分解、ワックス異性化などの精製手法を適宜組み合わせて精製したもので、150ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストック、高粘度指数基油などが挙げられる。鉱油は、高度に水素化精製された高粘度指数基油が好ましい。
合成炭化水素油としては、例えば、エチレンやプロピレン、ブテン、及びこれらの誘導体などを原料として製造されたアルファオレフィンを、単独または2種以上混合して重合したものが挙げられる。アルファオレフィンとしては、炭素数6〜14のものが好ましく挙げられる。具体的には、1−デセンのオリゴマーであるポリアルファオレフィン(PAO)や、1−ブテンやイソブチレンのオリゴマーであるポリブテン、エチレンとアルファオレフィンのコオリゴマー等が挙げられる。また、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等を用いることもできる。
エステル系基油としては、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。
ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4〜36の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4〜26の一価アルコール残基が好ましい。
ポリオールエステルとしては、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4〜26のモノカルボン酸残基が好ましい。
また、上記以外にも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2,4−ジエチル−ペンタンジオール等の脂肪族二価アルコールと、直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸とのエステルも用いることができる。直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸としては、炭素数4〜30の一価の直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸が好ましい。
エーテル系基油としては、ポリグリコールやフェニルエーテルなどが挙げられる。
ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
フェニルエーテルとしては、アルキル化ジフェニルエーテルや、(アルキル化)ポリフェニルエーテルなどが挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。
熱伝導性コンパウンドは発熱部に塗布されるため、長時間高温にさらされる。このため、基油としては熱酸化安定性に優れることが望ましい。上記基油の中では、合成系基油が好ましく、合成炭化水素油、エステル系基油、エーテル系基油が好ましい。これらの基油のうち、特に熱酸化安定性に優れるものとして、合成炭化水素油では、ポリアルファオレフィン、エステル系基油では、ポリオールエステル、エーテル系基油ではフェニルエーテルが好ましい基油として用いられる。さらにこれらの基油のうち、ポリアルファオレフィン、ポリオールエステルを組み合わせて用いると、(C)成分であるアルミニウムセッケンを溶解させやすくなり、ブリード量が小さくなる傾向にある。
また、ちょう度が高くなりやすく、十分な塗布性を保てる傾向にある。
基油中のポリオールエステルの割合は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
基油の動粘度は、40℃で10mm/s〜600mm/sであることが好ましい。40℃における動粘度を10mm/s以上とすることで、高温下での基油の蒸発や離油などが抑制される傾向にあるため好ましい。また、40℃における動粘度を600mm/s以下とすることで高いちょう度を得やすくなるため好ましい。
(B)成分の含有量は、熱伝導性コンパウンドの全量に対して2〜24質量%であり、3〜22質量%が好ましく、4〜19質量%がより好ましい。(B)成分の含有量を2質量%以上とすることで、ちょう度が高くなりやすく、十分な塗布性を保てる傾向にある。また、熱伝導性コンパウンドを調製しやすくなる傾向にある。(B)成分の含有量を24質量%以下とすることで、ちょう度が高くなりすぎず、熱伝導性コンパウンドが流れ出ることや、離油による熱伝導性の低下を抑制できる傾向にあるため好ましい。
(C)アルミニウムセッケン
本発明に用いられる(C)成分のアルミニウムセッケンは、金属アルミニウムと脂肪酸からなる。
脂肪酸の部分は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、また、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪酸の炭素数は特に制限はないが、好ましくは6〜25であり、より好ましくは7〜23であり、更に好ましくは7〜20であり、最も好ましくは7〜13である。
また、(C)成分に含まれる脂肪酸の炭素数の総数は、12〜34であり、より好ましくは12〜30であり、更に好ましくは12〜25であり、特に好ましくは12〜20であり、最も好ましくは12〜17である。
(C)成分に含まれる脂肪酸の炭素数の総数を12以上とすることで、アルミニウムセッケンが基油成分へ溶解しやすくなる。(C)成分に含まれる脂肪酸の炭素数の総数を34以下とすることで、アルミニウムセッケンにより構築される網目構造の大きさを、保持したい液体成分と比較して適度な大きさとし、液体成分を保持しやすくなると推測される。
脂肪酸としては、飽和脂肪酸として、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などが挙げられ、不飽和脂肪酸として、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸などが挙げられ、好ましくは、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸などが挙げられる。
アルミニウムセッケンとしては、モノ(脂肪酸)アルミニウムセッケン、ジ(脂肪酸)アルミニウムセッケン、トリ(脂肪酸)アルミニウムセッケンが挙げられるが、ジ(脂肪酸)アルミニウムセッケンが好ましい。なお、ジ(脂肪酸)アルミニウムセッケン、トリ(脂肪酸)アルミニウムセッケンの場合、上記脂肪酸1種とからなるアルミニウムセッケンでもよいし、上記脂肪酸2種以上とからなるアルミニウムセッケンでもよい。
アルミニウムセッケンの好ましい例としては、ジ(2−エチルヘキサン酸)アルミニウム、モノ(ステアリン酸)アルミニウムなどが挙げられる。
(C)成分の含有量は、熱伝導性コンパウンドの全量に対して0.15〜2.5質量%であり、好ましくは0.2〜2.0質量%であり、更に好ましくは0.5〜2.0質量%である。(C)成分の含有量を0.15質量%以上とすることで、アルミニウムセッケンが網目構造を形成し、液体成分を保持しやすくなり、耐ブリード性が得られやすい傾向にある。(C)成分の含有量を2.5質量%以下とすることで、高いちょう度を得やすい傾向にある。
また、液体成分の含有量に対する(C)成分の割合は、1〜10質量%であり、好ましくは1.5〜9質量%であり、より好ましくは2〜8.5質量%であり、さらに好ましくは2.5〜7質量%である。なお、ここでいう液体成分とは、組成物中を構成する成分のうち、(A)無機粉末充填剤を除いた成分の合計を示している。液体成分の含有量に対する(C)成分の割合を1質量%以上とすることで、耐ブリード性が得られやすい傾向にある。これは、アルミニウムセッケンが網目構造を形成し、液体成分を保持しやすくなるためであると推測される。液体成分の含有量に対する(C)成分の割合を10質量%以下とすることで、高いちょう度を得やすい傾向にある。
また、(C)成分を添加する手法として、基油成分に先に添加して溶解させる方法、基油成分と無機粉末充填剤とを混練し、コンパウンド状になったところに添加する方法などが挙げられる。(C)成分を添加し、混練する段階の温度は、20〜150℃であり、好ましくは20〜140℃であり、より好ましくは20〜100℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。加熱することによって、耐ブリード性が向上することがある。なお、(C)成分を添加し混練する段階とは、(C)成分を溶解させた基油成分と無機粉末充填剤とを混練する段階、または、(C)成分を添加し混練する段階を表す。
(D−1)(ポリ)グリセリルエーテル
本発明に用いられる(D)成分の(ポリ)グリセリルエーテルは、一般式(1)で表わされる化合物である。
Figure 0005781407
(式中、Rは炭素数8以上の炭化水素基を表し、mはグリセリンの重合度を表す係数であって、1以上の数である。)
一般式(1)において、Rは炭素数8
以上の炭化水素基を表し、例えば、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられ、好ましくは炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基である。Rの炭素数は、8〜30が好ましく、10〜26がより好ましく、12〜22がさらに好ましい。また、一般式(1)において、mはグリセリンの重合度を表す係数であって、1以上の数であり、好ましくは1〜5の数である。なお、mが1以上の場合は、mは平均値である。mが5を越えると基油への溶解性が悪くなる。
本発明に用いられる(D)成分は、(ポリ)グリセリルエーテルあり、(ポリ)グリセリルエーテル1種でもよく、(ポリ)グリセリルエーテル2種以上でもよい。
本発明に用いられる(D)成分の含有量は、熱伝導性コンパウンドの全量に対して0.05〜1.5質量%であり、好ましくは0.06〜1.0質量%であり、より好ましくは0.07〜0.8質量%であり、特に好ましくは0.25〜0.8質量%である。(D)成分の含有量を0.05質量%以上とすることで、無機粉末充填剤の表面に吸着して基油との親和性を向上させることにより、無機粉末充填剤の充填量を増加させ熱伝導性を向上させたり、ちょう度を高めて塗布性を向上させたりする働きがある。また、(D)成分を含有することによって、前述のアルミニウムセッケンが網目構造を形成しやすくなると推測され、それによって耐ブリード性を向上させる傾向にあり、耐ブリード性向上剤としての機能を有する。(D)成分の含有量を1.5質量%以下とすることで、熱伝導性コンパウンドの耐熱性の低下を防ぐ傾向にある。
(E)炭素数10〜19の不飽和脂肪酸
本発明には、さらに(E)成分の不飽和脂肪酸を用いてもよい。(E)成分は、炭素数10〜19であり、好ましくは12〜19であり、直鎖であっても、分岐鎖をもっていてもよい。不飽和結合の数は、1以上あればよい。上限は、4以下であり、好ましくは3以下である。不飽和脂肪酸としては、デセン酸、ウンデセン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。(E)成分の不飽和脂肪酸は、1種を用いてもよいし、2種以上の混合物を用いてもよい。炭素数を10〜19とすることで、前述のアルミニウムセッケンが網目構造を形成しやすくなると推測され、耐ブリード性を向上させる傾向にある。
本発明に用いられる(E)成分の含有量は、熱伝導性コンパウンドの全量に対して0.05〜1質量%であり、好ましくは0.08〜0.9質量%であり、更に好ましくは0.2〜0.9質量%である。(E)成分の含有量を0.05質量%以上とすることで、前述のアルミニウムセッケンが網目構造を形成しやすくなると推測され、耐ブリード性を向上させる傾向にある。(E)成分の含有量を1質量%以下とすることで、熱伝導性コンパウンドの耐熱性の低下を防ぐ傾向にある。
(F)その他の添加剤
本発明の熱伝導性コンパウンドには必要に応じて、(F)成分として、その他の公知の添加剤を適宜配合することができる。これらの添加剤としては、例えば、酸化防止剤としてはフェノール系、アミン系、イオウ・リン系等の化合物が、さび止め剤としてはスルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩等の化合物が、腐食防止剤としてはベンゾトリアゾールおよびその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物が、分散剤としては、コハク酸イミド等の化合物が、増粘剤・増ちょう剤としてはポリブテン、ポリメタクリレート、脂肪酸塩、ウレア化合物、石油ワックス、ポリエチレンワックス、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。これらの添加剤の配合量は、通常の配合量であればよい。
本発明の熱伝導性コンパウンドの不混和ちょう度は200以上であれば使用可能であるが、塗布性、拡がり性、付着性などの点から220〜400であることが好ましい。
本発明の熱伝導性コンパウンドの製造に関しては、均一に成分を混合できればその方法にはよらない。一般的な製造方法としては、乳鉢、プラネタリーミキサー、2軸式押出機などにより混練を行い、グリース状にした後、さらに三本ロールにて均一に混練する方法がある。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。実施例及び比較例に用いた各成分について以下に示す。
(A−1)酸化亜鉛1 平均粒径:0.2μm(レーザー回折散乱法)
(A−2)酸化亜鉛2 平均粒径:0.6μm(レーザー回折散乱法)
(A−3)酸化亜鉛3 平均粒径:11μm(レーザー回折散乱法)
(B−1)ポリアルファオレフィン(1−デセン−オリゴマー) 40℃動粘度:47mm/s
(B−2)ペンタエリスリトールと炭素数8及び10のモノカルボン酸とのエステル 40℃動粘度:32mm/s
(B−3)トリメチロールプロパンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸(モノカルボン酸)とのエステル 40℃動粘度:126mm/s
(B−4)ネオペンチルグリコールと炭素数12〜18の飽和脂肪酸(モノカルボン酸)とのエステルとトリメチロールプロパンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸(モノカルボン酸)とのエステルの混合 40℃動粘度:430mm/s
(C−1)ジ(2−エチルへキサン酸)アルミニウム 総炭素数:16
(C−2)モノステアリン酸アルミニウム 総炭素数:18
(C‘−3)ジステアリン酸アルミニウム 総炭素数:36
(C‘−4)ジステアリン酸亜鉛 総炭素数:36
(D−1)(ポリ)グリセリルモノオレイルエーテル
一般式(1)においてmが1であるモノグリセリルモノオレイルエーテル92重量%と、重合度2〜5のポリグリセリルモノオレイルエーテルの混合物であり、mの平均値は2.4である。
(D−2)エルカ酸
(E)炭素数14〜18の不飽和脂肪酸(不飽和結合の数:1)の混合物
(F−1)その他添加剤1 アミン系酸化防止剤 ジオクチルジフェニルアミン
(F−2)その他添加剤2 12−ヒドロキシステアリン酸3〜5分子重合体
なお、表中の液体成分中の(C)%とは、組成物中を構成する成分のうち、(A)成分の無機粉末充填剤を除いた成分の合計を100質量部とし、そのうちの(C)成分のアルミニウムセッケンの占める割合を質量%として示したものである。
熱伝導性コンパウンドの調製は、以下の調製方法に準拠して行った。
(調製方法1)基油に(C)成分のアルミニウムセッケンも含めた各種添加剤を溶解したものを無機粉末充填剤とともにプラネタリーミキサーに入れた。30分混練を行いよく混合し、コンパウンド状とした。その後、三本ロールによる混練を1〜3回実施して熱伝導性コンパウンドを調製した。
(調製方法2) 基油に(C)成分以外の各種添加剤を溶解したものを無機粉末充填剤とともにプラネタリーミキサーに入れた。コンパウンド状になったところへ(C)成分を添加、30分混練を行いよく混合した。その後、三本ロールによる混練を1〜3回実施して熱伝導性コンパウンドを調製した。
表中、調製方法の段落の1は調製方法1、2は調製方法2を示している。金属セッケン添加時の温度は表中に示す。
得られた熱伝導性コンパウンドを用いて、以下に示す性能を評価した。
不混和ちょう度は、JIS−K2220に準拠して不混和ちょう度を測定した。不混和ちょう度の値が大きいほど熱伝導性コンパウンドが軟らかくなり、逆に小さいほど硬くなる。
熱伝導率は、京都電子工業(株)製迅速熱伝導率計QTM−500により室温(25℃)にて測定した。
耐ブリード性は、ADVANTEC社製No.5A、直径100mmのろ紙の中央部分に、直径18mm、厚さ2mmの円柱状(≒0.51mm)に熱伝導性コンパウンドを塗布、80℃の恒温槽に72h放置後の液体成分のにじみだし分の縦横の直径の平均(mm)をブリード量として評価した。ブリード量が小さいほど耐ブリード性に優れていることを表している。なお、ろ紙をはみ出したものは>100mmとした。ブリード量は、70mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましく、50mm以下が更に好ましく、40mm以下が特に好ましい。
Figure 0005781407
Figure 0005781407
Figure 0005781407
Figure 0005781407
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実施例1〜11は、耐ブリード性に優れ、かつ高い不混和ちょう度を有している。
一方、液体成分中の(C)成分の割合が小さい比較例1はブリード量が多く、耐ブリード性が劣り、(C)成分の割合が大きい比較例2は不混和ちょう度が小さく、塗布性に劣る。また、比較例3は、比較例1、2と比べて組成物中の(A)成分の割合が多く液体成分が少ないものの、(C)成分を含有しないためブリード量が多い。(D)成分を含有しない比較例4は、実施例4と比べて不混和ちょう度が小さく、ブリード量も多い。(C)成分を有するが(D)成分を有さない比較例5、(C)成分として総炭素数12〜30のアルミニウムセッケンの代わりに総炭素数36のジステアリン酸アルミニウムを有する比較例6、7、(C)成分として総炭素数12〜30のアルミニウムセッケンの代わりに総炭素数36のジステアリン酸亜鉛を含有する比較例8は、いずれも耐ブリード性に劣る。

Claims (2)

  1. (A)無機粉末充填剤を75〜97質量%、(B)非シリコーン系基油を2〜24質量%、(C)総炭素数12〜34であるアルミニウムセッケンを0.15〜2.5質量%、(D)(ポリ)グリセリルエーテル0.05〜1.5質量%含有し、液体成分の含有量に対する(C)成分の割合が、1〜10質量%であることを特徴とする熱伝導性コンパウンド。
  2. さらに(E)炭素数10〜19の不飽和脂肪酸を0.05〜1質量%含有する請求項1に記載の熱伝導性コンパウンド。
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