JP5781407B2 - 熱伝導性コンパウンド - Google Patents
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Description
これらの半導体部品を熱から保護し、正常に機能させるためには、発生した熱をヒートスプレッダーやヒートシンク等の放熱部品へ伝導させ放熱する方法がある。熱伝導性コンパウンドは、これら半導体部品と放熱部品を密着させるように両者の間に塗布され、半導体部品の熱を放熱部品に効率よく伝導させるために用いられる。
これらを解決するために、特定のチクソ剤を配合したり(特許文献1参照)、特定のポリオルガノシロキサンを使用したり(特許文献2参照)する手法が試みられている。
また、本発明は、上記熱伝導性コンパウンドにおいて、さらに(E)炭素数10〜19の不飽和脂肪酸を0.05〜1質量%含有することを特徴とする熱伝導性コンパウンドを提供するものである。
本発明に用いられる(A)成分の無機粉末充填剤は、基油より高い熱伝導率を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、無機窒化物、金属、ケイ素化合物、カーボン材料などの粉末が好適に用いられる。本発明の無機粉末充填剤の種類は1種類であってもよいし、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
細粒と粗粒を組み合わせる場合には、上記の細粒と、平均粒径5〜50μmの粗粒の無機粉末を組み合わせることができる。この場合には、粗粒の平均粒径を50μm以下とすることで塗膜を薄くし、実装時の放熱性能を一層高めることができる。一方、粗粒の平均粒径は5μm以上とすることでより高い熱伝導率を得やすくできる。
なお、本発明において、無機粉末充填剤の平均粒径はレーザー回折散乱法(JIS R 1629に準拠)により測定した粒度分布の体積平均径として算出できる。
本発明に用いられる(B)成分の非シリコーン系基油としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油などの炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステルなどが挙げられ、炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油が好ましく、更に合成炭化水素油、エステル系基油、エーテル系基油が好ましい。表面張力の低いシリコーン系基油以外の基油を用いることで、基油の分離を少なくすることができる。基油は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4〜36の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4〜26の一価アルコール残基が好ましい。
ポリオールエステルとしては、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4〜26のモノカルボン酸残基が好ましい。
ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
フェニルエーテルとしては、アルキル化ジフェニルエーテルや、(アルキル化)ポリフェニルエーテルなどが挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。
また、ちょう度が高くなりやすく、十分な塗布性を保てる傾向にある。
基油中のポリオールエステルの割合は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
本発明に用いられる(C)成分のアルミニウムセッケンは、金属アルミニウムと脂肪酸からなる。
脂肪酸の部分は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、また、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪酸の炭素数は特に制限はないが、好ましくは6〜25であり、より好ましくは7〜23であり、更に好ましくは7〜20であり、最も好ましくは7〜13である。
(C)成分に含まれる脂肪酸の炭素数の総数を12以上とすることで、アルミニウムセッケンが基油成分へ溶解しやすくなる。(C)成分に含まれる脂肪酸の炭素数の総数を34以下とすることで、アルミニウムセッケンにより構築される網目構造の大きさを、保持したい液体成分と比較して適度な大きさとし、液体成分を保持しやすくなると推測される。
アルミニウムセッケンの好ましい例としては、ジ(2−エチルヘキサン酸)アルミニウム、モノ(ステアリン酸)アルミニウムなどが挙げられる。
一般式(1)において、Rは炭素数8
以上の炭化水素基を表し、例えば、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられ、好ましくは炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基である。Rの炭素数は、8〜30が好ましく、10〜26がより好ましく、12〜22がさらに好ましい。また、一般式(1)において、mはグリセリンの重合度を表す係数であって、1以上の数であり、好ましくは1〜5の数である。なお、mが1以上の場合は、mは平均値である。mが5を越えると基油への溶解性が悪くなる。
本発明には、さらに(E)成分の不飽和脂肪酸を用いてもよい。(E)成分は、炭素数10〜19であり、好ましくは12〜19であり、直鎖であっても、分岐鎖をもっていてもよい。不飽和結合の数は、1以上あればよい。上限は、4以下であり、好ましくは3以下である。不飽和脂肪酸としては、デセン酸、ウンデセン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。(E)成分の不飽和脂肪酸は、1種を用いてもよいし、2種以上の混合物を用いてもよい。炭素数を10〜19とすることで、前述のアルミニウムセッケンが網目構造を形成しやすくなると推測され、耐ブリード性を向上させる傾向にある。
本発明の熱伝導性コンパウンドには必要に応じて、(F)成分として、その他の公知の添加剤を適宜配合することができる。これらの添加剤としては、例えば、酸化防止剤としてはフェノール系、アミン系、イオウ・リン系等の化合物が、さび止め剤としてはスルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩等の化合物が、腐食防止剤としてはベンゾトリアゾールおよびその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物が、分散剤としては、コハク酸イミド等の化合物が、増粘剤・増ちょう剤としてはポリブテン、ポリメタクリレート、脂肪酸塩、ウレア化合物、石油ワックス、ポリエチレンワックス、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。これらの添加剤の配合量は、通常の配合量であればよい。
本発明の熱伝導性コンパウンドの製造に関しては、均一に成分を混合できればその方法にはよらない。一般的な製造方法としては、乳鉢、プラネタリーミキサー、2軸式押出機などにより混練を行い、グリース状にした後、さらに三本ロールにて均一に混練する方法がある。
(A−2)酸化亜鉛2 平均粒径:0.6μm(レーザー回折散乱法)
(A−3)酸化亜鉛3 平均粒径:11μm(レーザー回折散乱法)
(B−2)ペンタエリスリトールと炭素数8及び10のモノカルボン酸とのエステル 40℃動粘度:32mm2/s
(B−3)トリメチロールプロパンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸(モノカルボン酸)とのエステル 40℃動粘度:126mm2/s
(B−4)ネオペンチルグリコールと炭素数12〜18の飽和脂肪酸(モノカルボン酸)とのエステルとトリメチロールプロパンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸(モノカルボン酸)とのエステルの混合 40℃動粘度:430mm2/s
(C−2)モノステアリン酸アルミニウム 総炭素数:18
(C‘−3)ジステアリン酸アルミニウム 総炭素数:36
(C‘−4)ジステアリン酸亜鉛 総炭素数:36
一般式(1)においてmが1であるモノグリセリルモノオレイルエーテル92重量%と、重合度2〜5のポリグリセリルモノオレイルエーテルの混合物であり、mの平均値は2.4である。
(D−2)エルカ酸
(F−1)その他添加剤1 アミン系酸化防止剤 ジオクチルジフェニルアミン
(F−2)その他添加剤2 12−ヒドロキシステアリン酸3〜5分子重合体
(調製方法1)基油に(C)成分のアルミニウムセッケンも含めた各種添加剤を溶解したものを無機粉末充填剤とともにプラネタリーミキサーに入れた。30分混練を行いよく混合し、コンパウンド状とした。その後、三本ロールによる混練を1〜3回実施して熱伝導性コンパウンドを調製した。
(調製方法2) 基油に(C)成分以外の各種添加剤を溶解したものを無機粉末充填剤とともにプラネタリーミキサーに入れた。コンパウンド状になったところへ(C)成分を添加、30分混練を行いよく混合した。その後、三本ロールによる混練を1〜3回実施して熱伝導性コンパウンドを調製した。
表中、調製方法の段落の1は調製方法1、2は調製方法2を示している。金属セッケン添加時の温度は表中に示す。
不混和ちょう度は、JIS−K2220に準拠して不混和ちょう度を測定した。不混和ちょう度の値が大きいほど熱伝導性コンパウンドが軟らかくなり、逆に小さいほど硬くなる。
熱伝導率は、京都電子工業(株)製迅速熱伝導率計QTM−500により室温(25℃)にて測定した。
一方、液体成分中の(C)成分の割合が小さい比較例1はブリード量が多く、耐ブリード性が劣り、(C)成分の割合が大きい比較例2は不混和ちょう度が小さく、塗布性に劣る。また、比較例3は、比較例1、2と比べて組成物中の(A)成分の割合が多く液体成分が少ないものの、(C)成分を含有しないため、ブリード量が多い。(D)成分を含有しない比較例4は、実施例4と比べて不混和ちょう度が小さく、ブリード量も多い。(C)成分を有するが(D)成分を有さない比較例5、(C)成分として総炭素数12〜30のアルミニウムセッケンの代わりに総炭素数36のジステアリン酸アルミニウムを有する比較例6、7、(C)成分として総炭素数12〜30のアルミニウムセッケンの代わりに総炭素数36のジステアリン酸亜鉛を含有する比較例8は、いずれも耐ブリード性に劣る。
Claims (2)
- (A)無機粉末充填剤を75〜97質量%、(B)非シリコーン系基油を2〜24質量%、(C)総炭素数12〜34であるアルミニウムセッケンを0.15〜2.5質量%、(D)(ポリ)グリセリルエーテルを0.05〜1.5質量%含有し、液体成分の含有量に対する(C)成分の割合が、1〜10質量%であることを特徴とする熱伝導性コンパウンド。
- さらに(E)炭素数10〜19の不飽和脂肪酸を0.05〜1質量%含有する請求項1に記載の熱伝導性コンパウンド。
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