JP5780248B2 - 切削工具、その製造方法および切削品の製造方法 - Google Patents

切削工具、その製造方法および切削品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、切削性や生産性の向上を図れる切削工具とその製造方法に関する。また効率的な製造を可能とする切削品の製造方法に関する。
精度を要求される機械部品等には、鋳物や金属素材などの被削材を切削した切削品が用いられる。切削品の品質や生産性等を向上させるためには、切削性の改善が不可欠である。特に近年、加工の高効率化のために高速切削がなされ、また環境負荷の低減のために切削液を用いないドライ切削や極微量な切削液を供給して切削を行うMQL(Minimum Quantity Lubrication)を実現するため、非常に高い切削性が要求されている。
切削性の良否は、被削材に接して大きな機械的負荷や熱的負荷を受ける切削工具に大きく依存している。そこで切削工具の形態、特に切削性に大きな影響を与えるすくい面に関する種々の提案がなされている。これに関連する記載が、例えば下記の特許文献や非特許文献にある。
特開2009−113120号公報 特開2009−202283号公報
平成21年度『大阪大学工業会賞』受賞研究「微細表面構造を有する高機能切削工具の開発に関する研究」 2011年度精密工学会春季大会シンポジウム資料「切削における工具面の摩擦と潤滑」 2011年度精密工学会秋季大会 学術講演論文No.G08「微細表面構造を有する高機能切削工具の開発に関する研究」
上述の特許文献1、2及び非特許文献1、2は、突出したセグメント、うねり、溝、ピット等をすくい面に設けた切削工具を用いて切削加工を行うことを提案している。しかし、いずれの場合も、すくい面にDLC膜を形成した切削工具により、切削液の存在する環境下(ウエット環境下)で切削を行うことを前提としているに過ぎない。つまり、DLC膜による効果と切削液の保持効果(油溜まり効果)とが複合したものと考えられる。
また、非特許文献3は、超硬製基材におけるドライ加工の効果を述べているが、切屑排出方向に対して形成方向が限定された垂直溝テクスチャに関するものである。このような切削工具を用いても切削抵抗力の低減効果は小さく、切削性の向上等は望めない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、ウエット環境下は勿論ドライ環境下でも、またDLC膜等がない場合でも、切削性や生産性の向上を図れる切削工具およびその製造方法を提供することを目的とする。また、切削品の効率的な生産を可能とする切削品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、切削時に排出される切屑と切削工具のすくい面との接触状態に着目することにより、被膜や切削液がない状況でも、切削性の向上を図れる新たな表面テクスチャを有するすくい面を見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《切削工具》
(1)本発明の切削工具は、先端にある切れ刃で切削されて生じた被削材の切屑が接触し得る接触表面上の少なくとも一部に、凹凸模様状の表面テクスチャを設けたすくい面を備える切削工具であって、前記表面テクスチャは、前記切屑の排出方向に断続した凹部を有すると共に該凹部がドット状の窪みからなるドット型テクスチャであり、該窪み一つあたりの大きさを指標する窪み径は5〜300μmであり、該表面テクスチャ全面から該凹部を除いた残面の該表面テクスチャ全面に対する面積割合である切屑接触面積率が9〜90%であることを特徴とする。
(2)本発明の切削工具によれば、DLC膜等の被膜や切削液などに依存するまでもなく、優れた切削性が得られる。このため、高品質な切削を効率的に行うことが可能となり、切削品の生産性が向上し得る。しかも本発明の切削工具によれば、必ずしも切削液等を用いなくても、切削抵抗力の低減や工具寿命の長期化等を図れるため、環境負荷の小さい低コストな切削が可能となる。
ところで、本発明の切削工具が厳しいドライ環境下でも良好な切削性を発揮する理由は必ずしも定かではない。現状では次のように考えられる。切削は、切削工具の切れ刃が被削材に高圧で接触しつつ、高速で相対移動することにより進行する。この切削に伴い生じる高温の切屑は、切れ刃に連なるすくい面の少なくとも一部と接触しつつ排出される。この切屑の排出性が切削性に影響する。
本発明の場合、切屑と接触するすくい面には、切屑排出方向に断続した凹部からなり、切屑とすくい面の接触割合を指標する切屑接触面積率が特定範囲に制限された表面テクスチャが形成されている。この表面テクスチャにより、切屑とすくい面の間には単位面積当りの空間体積(空気層)が1.0×10−3mm/mm〜1.0×10−2mm/mmとなる適度な空気層が形成される。これにより切削時に発生した熱(切削熱)によって高温となった切屑も効率的に冷却される。この冷却により切屑は、例えばカール半径の小さい流れ型切屑等となって、すくい面から分離される。そして切屑と切削工具(特にすくい面)との間の摩擦や接触長さ等が減少し、すくい面上における切屑の凝着も抑止される。その結果、切屑はスムーズに排出されるようになり、切屑厚さや切削抵抗力の小さい良好な切削性が達成されたと考えられる。このような傾向は、特に表面テクスチャがドット状の窪み(凹部)からなるドット型テクスチャである場合に顕著である。
なお、本発明の切削工具は、ドライ環境下だけではなく、当然にウエット環境下(貧潤滑環境下を含む。)でも高い切削性を発揮し得る。また、本発明の切削工具の場合、耐摩耗性、低摩擦性等に優れた種々の被膜(例えばDLC膜)は必要ないが、そのような被膜を形成してもよいことはいうまでもない。
《切削工具の製造方法》
(1)上述した切削工具は、その製造方法を問わないが、例えば次のような本発明の製造方法により得られる。すなわち、先端にある切れ刃に連なる平滑なすくい面の少なくとも一部に高エネルギービームを照射して、凹凸模様状の表面テクスチャを形成するテクスチャ形成工程を備え、上述した本発明の切削工具が得られることを特徴とする切削工具の製造方法である。
(2)さらに本発明の製造方法は、平滑なすくい面に表面テクスチャを形成する場合に限らず、表面テクスチャを有する切削工具を切削加工した後に回収して再生する場合にも適用可能である。すなわち本発明は、先端にある切れ刃で切削されて生じた被削材の切屑が接触し得る接触表面上の少なくとも一部に凹凸模様状の表面テクスチャを設けたすくい面を有する切削工具を、使用後に回収する回収工程と、該回収した切削工具のすくい面上の少なくとも一部へ高エネルギービームを照射して、該すくい面上に凹凸模様状の表面テクスチャを形成するテクスチャ形成工程と、を備えることを特徴とする切削工具の製造方法としても把握できる。
なお、ここでいうテクスチャ形成工程は、回収した切削工具に既成の表面テクスチャ上に行っても良いし、それとは別の領域に新規な表面テクスチャを形成してもよい。既成の表面テクスチャを再生する場合、上述のテクスチャ形成工程は、切削工具の表面テクスチャを再生させるテクスチャ再生工程となる。
《切削品の製造方法》
さらに本発明は、上述した切削工具や各製造方法により得られた切削工具を用いて被削材を切削した切削品を得る切削工程を備えることを特徴とする切削品の製造方法としても把握できる。
《その他》
(1)本明細書でいう「切削性」は、主分力や背分力等の切削抵抗力の大小、切屑厚さの大小、すくい面上における切屑の凝着の有無などにより指標される。この切削性は、被削材の切削加工面の良否、工具寿命の長短、生産性などに反映される。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
試料No.A13に係る溝型テクスチャの表面を観察した顕微鏡写真である。 その切屑排出方向の表面粗さを示す測定結果である。 試料No.A16のフェムト秒パルスレーザにより形成された表面テクスチャを観察した顕微鏡写真である。 試料No.C11に係る並列配置のドット型テクスチャの表面を観察した顕微鏡写真である。 その切屑排出方向の表面粗さを示す測定結果である。 試料No.B15に係る交互配置のドット型テクスチャの表面を観察した顕微鏡写真である。 試料No.A13 に係る切削試験後の溝型テクスチャを観察した顕微鏡写真である。 試料No.B15 に係る切削試験後のドット型テクスチャを観察した顕微鏡写真である。 試料No.C11 に係る切削試験後のドット型テクスチャを観察した顕微鏡写真である。 試料No.D0 に係る切削試験後の平滑な(テクスチャなし)すくい面を観察した顕微鏡写真である。 切屑接触面積率が異なる各試料について、切削試験後のすくい面を観察した顕微鏡写真である。 ドット型テクスチャに係る切屑接触面積率と切屑接触長さの関係を示すグラフである。 溝型テクスチャに係る溝幅と切削性の関係を示すグラフである。 溝型テクスチャに係る切屑接触面積率と切削性の関係を示すグラフである。 溝型テクスチャの形成に用いるレーザの種類と切削性の関係を示すグラフである。 切削速度と切削性の関係を示すグラフである。 切れ刃マージンと切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャに係る窪み径と切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャに係る窪み深さと切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャに係る切屑接触面積率(窪み径:14μm)と切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャに係る切屑接触面積率(窪み径:30μm)と切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャに係る切屑接触面積率(窪み径:50μm)と切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャに係る切屑接触面積率(窪み径:100μm)と切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャに係る切屑接触面積率(窪み径:300μm)と切削性の関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャの形態とドライ環境下における切削性との関係を示すグラフである。 ドット型テクスチャの形態とウエット環境下における切削性との関係を示すグラフである。 被削材をステンレス鋼としたときの各種の切削性(切削速度:122m/min)を示すグラフである。 被削材をステンレス鋼としたときの各種の切削性(切削速度:216m/min)を示すグラフである。 溝型テクスチャに係るパターンの説明図である。 交互配置されたドット型テクスチャに係るパターンの説明図である。 並列配置されたドット型テクスチャに係るパターンの説明図である。 その並列配置されたパターンの一例を示す説明図である。 その交互配置されたパターンの一例を示す説明図である。 その交互配置されたパターンの別例を示す説明図である。 長形型テクスチャに係るパターンの説明図である。 切削試験の様子を示す模式図である。 その切削部分を拡大した模式図である。 破線溝状のドット型テクスチャに係る切屑接触面積率と切削性の関係を示すグラフである。 切削距離と切削性の関係を示すグラフである。 切削試験後のすくい面のEPMA像である。 それを拡大したEPMA像である。
本明細書で説明する内容は、本発明の切削工具のみならず、その製造方法および切削品の製造方法にも適宜該当し得る。製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。そして上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《表面テクスチャ》
(1)凹部と切屑接触面積率
本発明に係る表面テクスチャは、切屑が接触し得るすくい面の表面(接触表面)上に設けた凹部からなり、全体として凹凸模様状となっている。表面テクスチャの凹部は、切れ刃で被削材が切削されて生じた切屑が排出される方向に、断続した状態となっている。このため、その切屑排出方向に連続した凹部からなる溝などは除かれる。
なお、切屑排出方向は、切削の種類、切削条件等により異なり得るため、一概に特定することは困難である。もっとも、切れ刃近傍で観れば、切屑排出方向は、切れ刃の延在方向(適宜「切れ刃方向」という。)に対して、ほぼ垂直な方向といい得る。
凹部の具体的な形態は問わないが、例えば、孤立した凹部からなる窪みや長穴(溝)等がある。凹部の深さ方向の断面形状は、半円状、方形状、逆三角形状等のいずれでもよい。
表面テクスチャ内における凹部の割合は、切屑がすくい面に接触し得る表面の面積率である切屑接触面積率で指標される。具体的には、表面テクスチャ全面に対して、そこから凹部を除いた残面の面積割合として求まる。
なお、本明細書でいう「面積」は表面積ではなく、基準面上の投影面積である。基準面は、表面テクスチャの形成前のすくい面または表面テクスチャの周囲にあるすくい面である。基準面における各面積は、孤立した凹部からなる窪み等の縦横寸法とその凹部により挟まれた部分の間隔とを測定して、任意面積におけるテクスチャ個数分の面積を算出して確定される。凹部か否かは、対象面を画像処理し、基準面を閾値とした二値化により判定できる。
この際、表面テクスチャ全面の面積は、表面テクスチャの形成領域(適宜「テクスチャ域」という。)の面積である。テクスチャ域は、凹部の最外部に接する接線により包囲された領域として確定される。また、残面の面積は、その表面テクスチャ全面積から凹部の合計面積を除いて求められる。残面と凹部の境界は、断面上における基準面と凹部の交点により判定され、基準面上におけるその境界内が凹部となる。
本発明に係る切屑接触面積率は9〜90%さらには10〜75%であると好適である。切屑接触面積率が過大では凹部が過少となって表面テクスチャによる切削性の向上が図れない。
(2)ドット型テクスチャ
本発明に係る表面テクスチャの好例として、凹部がドット状の窪みからなるドット型テクスチャについて説明する。ドット型テクスチャを構成する窪みの形状は、円、楕円、長円形、多角形等のいずれでもよく、配列は問わず、窪みは規則的に配列されていても不規則的に配列されていてもよい。また窪み間隔は、縦方向または横方向に、それぞれ同一でも異なっていてもよい。さらに溝の場合と同様に、窪み毎に窪みの形態(形状、サイズ等)が同一でも異なっていてもよい。窪み全てが同形態であると、表面テクスチャの形成が容易となり好ましい。
ところで、表面テクスチャは、全面から窪みを除いた残面が切屑の排出方向(実質的に切れ刃方向に垂直)に不連続となっていると好適である。これにより高温な切屑の冷却性が向上し、切屑がすくい面上から分離し易くなり得る。このような窪みの配置方法として、例えば、窪みの配列を切屑排出方向に沿って交互にずらして配置する交互配置(図17A参照)がある。窪みを交互配置とすると、窪みを単に並列的に配置(図17B参照)するよりも、切屑の分離性、耐凝着性等が向上し得る。
交互配置の形態も種々考えられる。例えば、基準面における開口が略円形な窪み(円形窪み)を考えると、その窪み径:Dと、切屑排出方向に垂直な方向(適宜「横方向」という)における窪みの最短周縁間距離(横周縁間距離):Aとの間に0≦A≦Dという関係があると好ましい。さらに切屑排出方向(適宜「縦方向」という)における窪みの最短周縁間距離(縦周縁間距離):Lとの間に(√3 −1)D≦L≦Dという関係があると好ましい。なお、それぞれの周縁間距離は基準面に開口した窪み径と窪み径の中心を結ぶ直線上の基準面における長さを測定して確定される。
円形窪みからなるドット型テクスチャの場合、窪み径は5〜300μm、14〜400μmさらには30〜300μmであると好ましい。窪み径が過小では切削性の向上を図れず、窪み径が過大では切屑接触部における摩擦が増加し、また切削抵抗力および切屑厚さも増大して好ましくない。
ドット型テクスチャに係る窪み深さは問わないが、窪み深さが過小では切削性の向上を図れず、窪み深さを過大にしても切削性はある程度までしか向上しない。窪み深さは、窪み径に応じて適宜設定されればよく、例えば、1〜20μmさらには2〜10μm程度であると好ましい。
ドット型テクスチャの場合、切屑接触面積率は9〜90%であると好ましい。特に円形窪みからなるドット型テクスチャの場合、本発明者の研究によると、切屑接触面積率は9.6〜80.4%さらには10〜70%であると好ましい。
ちなみに、溝型テクスチャよりもドット型テクスチャの方が切削性が良い。これはテクスチャ域における切削熱の放熱性の相違に依ると考えられる。すなわち、表面テクスチャの凹部を窪みとすることにより、空間体積(空気層)が1.0×10−3mm/mm〜1.0×10−2mm/mmとなり、切屑の冷却性が促進され易い。こうした状況で生じた切屑は、カール半径がより小さくて、すくい面から分離され易くなる。また被削材(切屑)と切削工具(すくい面)の間の摩擦等も小さくなる。こうしてドット型テクスチャの方が溝型テクスチャよりも切削性が向上したと考えられる。
また、ドット型テクスチャは、窪みがどのような形態であっても点在した状態となっているため、指向性が少なく、マクロ的に観れば等方的な形態となっている。このためドット型テクスチャによれば、切屑排出方向が仮に一定でなくても、切屑排出方向が切削性に及ぼす影響は小さくなる。つまり、切れ刃に垂直な方向へ流れない切屑の排出性もコントロールし易くなる。そこでドット型テクスチャは、切屑排出方向が変化し易い複雑な切削加工に好適である。またドット型テクスチャであれば、切れ刃(刃先)が湾曲した複雑な切削工具(例えばドリル、エンドミル等)にも形成が容易である。
ドット型テクスチャの窪み形状は上述した円形状に限らず、楕円状、長円状、方形状、多角形状等のいずれもでもよい。それら窪みの配置は、並列配置でも交互配置でもよい。ドット型テクスチャの窪みを長円状とした一例を図18に示す。このような表面テクスチャをまとめて長形型テクスチャという。図18に示すように、基準面上の開口した窪みについて、縦方向(切屑排出方向)の最長幅:D、横方向(切屑排出方向に垂直な方向)の最長幅:W、横方向の最短周縁間距離(横周縁間距離):A、縦方向の最短周縁間距離(縦周縁間距離):Lとすると、例えば、5μm<D<500μm、D<W≦25D、0≦L≦6D、0<A≦Wであると好ましい。このような長溝状の窪み深さは2D以内で、空間体積(空気層)は1.0×10−3mm/mm〜1.0×10−2mm/mmであると好ましい。
ちなみに、窪みは、種々の形状が混在したものでもよいし、領域毎に異なる形状となっていてもよい。例えば、本発明に係る表面テクスチャは、前述したドット型テクスチャと長形型テクスチャが組合せまたは融合された混合表面テクスチャでもよい。
ところで、ドット型テクスチャは、切削性の向上を安定的に図る観点から、疎らに大きな窪みが点在する状態よりも、適切な大きさの窪みが適切に配列または分布している状態が好ましい。このような配列状態は、一概に規定し難いが、上述した切屑接触面積率を前提としつつ、例えば、ドット型テクスチャを構成する窪み一つ一つの大きさ(窪み径や空間体積)を所定範囲内とすることにより規定できる。具体的には、窪み一つあたりの大きさ(基準面上における二次元的な大きさ)を指標する窪み径を前述した範囲内としたり、窪みの一つあたりの空間体積を1.0×10−8〜1.0×10−2mm、2.0×10−8〜1.5×10−3mmさらには3.9×10−8〜3.5×10−3mmとすることにより、各窪みの配列状態(分布状態)を間接的に規定できる。ちなみに、各窪みが円柱状であるとすると、窪み径(D):5μmで窪み深さ(h):2μmである窪み一つの空間体積:3.9×10−8 mm、窪み径(D):300μmで窪み深さ(h):50μmである窪み一つの空間体積:3.5×10−3mmである。
ここで、ドット型テクスチャを構成する各窪みの表面における二次元的な形状が円形状でない場合、厳密にいうと前述した「窪み径」によってその大きさを規定できない。しかし、本明細書では便宜的に、円形状以外の窪みであっても、その二次元的な大きさを「窪み径」により指標する。この場合、「窪み径」は切屑排出方向における各窪みの最大周縁距離とする。従って、窪みが円形状以外の長円形状、長方形状、破線溝状等でも、前述したDを窪み径とする。
また本明細書でいう窪み深さは、基準面上の周縁からの最大深さとする。また本明細書でいう各窪みの空間体積は、その窪み径を直径とし、窪み深さを高さとする円柱の体積として算出する。
(3)その他
表面テクスチャは、切れ刃の近傍に設けた凹部からなるため、テクスチャ域が切れ刃に近接し過ぎると、直線的な切れ刃の維持や刃先強度の確保が困難となる。そこで切削性を考慮しつつ、テクスチャ域を刃先から少し離す(オフセットさせる)と好ましい。つまり、テクスチャ域の切れ刃側の周縁と刃先の間に、15〜300μm程度のマージン(切れ刃マージン)を設けると好ましい。
ちなみに、表面テクスチャ(特に窪み)に係る数値限定は、すくい面上で切屑が主に接触し得る接触領域について評価すればよい。この接触領域は、切削工具のノーズ曲部(R部)と切削幅相当の切れ刃を含むすくい面上で、切れ刃マージン(通常15〜300μm)も含む面内である。特にそのような接触領域内から切屑が主に接触する部分を抽出した1×1mm角領域について、上記の数値限定を検討すればよい。
なお、一つの窪みに関する数値限定範囲内への帰属を、多数の窪みに関するデータから特定する際は、上述した角領域における各窪みに関するデータ(数値)を相加した平均値とする。この際、実際に加工された窪みを微視的に観察すると、各窪みは幾何学的な理想形状とは当然になっていないため、画像処理を用いて各数値(最大値)を判定する。
また本明細書でいう交互配置は、種々の形態が考えられるため一概に規定し難いが、例えば、上述した接触領域内において、切屑排出方向に対して切屑が接触する窪み(ドット穴)間における切屑断続接触長さ(隣接する窪みの周縁間距離)が500μm以下、より好ましくは200μm以下で分布する窪み(ドット穴)の配置とすることができる。要するに交互配置は、切屑が切屑排出方向にすくい面と長く接触しないように、規則的または不規則的に窪み(ドット穴)が分布した配置である。
《切削工具》
本発明に係る切削工具は、その種類を問わず、切削方法に適したものが適宜選択される。切削工具は、単刃工具でも多刃工具でもよい。単刃工具は、旋削加工、平削り加工、中ぐり加工、形削り加工等に用いられる。多刃工具は、穿孔加工、フライス加工、リーマ加工、ボブ加工、ブローチ加工等に用いられる。切削工具の一例として、バイト、ドリル、エンドミル等が代表的である。
切削工具(特に切れ刃に連なるすくい面部分)の材質も問わず、加工方法や被削材の特性に応じて適宜選択される。その一例として、高速度鋼(ハイス)、炭化タングステン(WC)とバインダーであるコバルト(Co)とを含む混合物を焼結した超硬合金、ダイヤモンド、CBN等がある。また切れ刃やすくい面などは、耐摩耗性、摺動性、低摩擦化等に有効なDLC膜、TiN膜等でコーティングされていてもよい。
《被削材》
本発明に係る被削材は、その形態を問わない。被削材は、棒状、ブロック状、管状等いずれでも良く、その加工履歴や加工段階も問わない。また被削材は、その材質がいずれでも良く、鉄系材料(ステンレス鋼等)でも活性金属材料でもよい。活性金属材料として、アルミニウム系、チタン系、マグネシウム材料、銅系材料などがある。中でも、一般的に多用される一方で、切削時に凝着を生じ易く加工し難いアルミニウム合金を本発明に係る被削材とすると特に好ましい。なお、本明細書でいう「X系材料」とは、元素Xに係る純金属、合金および複合材を意味する。
《切削環境》
本発明の切削工具によれば、切削部分の冷却や潤滑を行う切削液が供給されるウエット環境下の切削(ウエット切削)は勿論、そのような切削液が供給されないドライ環境下の切削(ドライ切削)も行うことができる。従って本発明の切削工具は、切削液を用いずに切削するドライ切削用として好適である。
なお、ウエット切削の場合、本発明に係る表面テクスチャは、切削熱を逃して切屑の流れや離脱、分離を制御(切屑排出制御)を行うと共に切削液を保持する液溜まり効果も発揮し得る。このため切削液の供給が乏しいMQLなどの貧潤滑下の切削にも、本発明の切削工具は十分に対応可能である。
《切削工具の製造方法》
(1)本発明に係る表面テクスチャは、すくい面の少なくとも一部に高エネルギービームを照射することにより形成され得る。高エネルギービームを用いると、その照射域の軌跡に応じて凹部ひいては表面テクスチャが形成され、微細な凹部も高精度に形成され得る。また、平面に限らず種々の曲率をもつ曲面からなるすくい面にも、曲線状(直線状を含む)や斑点状の凹部からなる表面テクスチャが高自由度で形成され得る。また高エネルギービームの出力密度、ビーム径、焦点等を調整することにより、凹部の幅や深さを任意に調整可能であり、二次元的な形態に留まらず三次元的な形態の表面テクスチャも高自由度で形成可能である。
高エネルギービームには、例えばレーザ、電子ビーム等があるが、特に短パルス幅のパルスレーザが好適である。パルスレーザを用いると、照射域外への熱拡散や基材(切削工具の刃部)への熱的影響を抑制しつつ、出力密度(フルエンス)の高いレーザを被処理部(すくい面)へ照射できる。パルスレーザのパルス幅は、例えば、1〜100nsさらには5〜50nsであると好ましい。パルス幅が過大では凹部の形成に必要なフルエンスが得難くなり、パルス幅が過小では所望する凹部を効率的に形成できない。
パルスレーザのフルエンスは、例えば0.1MW/cm〜3GW/cmであると好ましい。フルエンスは凹部の深さに影響し、過小では所望する深さの凹部が得難くなり、フルエンスが過大では基材への熱的影響が大きくなり好ましくない。ちなみに、フルエンスはレーザ出力をレーザスポット面積で除して求まる。
パルスレーザの波長は、短いほど基材におけるレーザ吸収率が高くなり好ましいが、過小では雰囲気ガスにおけるレーザ吸収が多くなり好ましくない。そこでパルスレーザの波長は、赤外域より短く、さらには可視域よりも短い紫外域(近紫外域を含む)内であると好ましい。具体的にいうと、パルスレーザの波長は190〜700nmさらには320〜400nmあると好ましい。
このようなパルスレーザの具体例として、例えば、F(波長157nm)、ArF(波長193nm)、KrF(波長248nm)、XeCl(波長308nm)、XeF(波長351nm)等のエキシマ(励起二量体)を利用したエキシマレーザ、短波長を発振できるYAGレーザなどがある。
パルスレーザの発振周波数は、例えば1〜100kHzさらには10〜50kHzであると好ましい。発振周波数が過小では走査速度も低くせざるを得ず、表面テクスチャを効率的に形成できない。発振周波数が過大になると、一般的にフルエンスが低下し、均一的な凹部の形成が困難となる。
パルスレーザの焦点位置は、パルス光の照射範囲に影響する。焦点位置は、表面テクスチャが形成されるすくい面の最表面上でも、その最表面から少しずれたところでもよい。なお、パルスレーザの照射面は、平滑(例えば0.01〜1Rzjis程度の鏡面状)であると、レーザ光の散乱を抑止できて好ましい。また、レーザを照射する雰囲気は、不活性ガス中でも真空中でも、さらには大気中でもよい。
(2)本発明に係るテクスチャ形成工程は、単独でなされる場合の他、被削材を切削して切削品を得る切削工程を含む工場内または加工ライン内で併せてなされてもよい。テクスチャ形成工程と切削工程を同工場等で一体的に行うことにより、コンパクトで少量生産に対応した効率的な加工ラインの実現が可能となる。また切削工程のみならずテクスチャ形成工程も内製化することにより、切削加工に係る技術情報(ノウハウ)の秘匿が容易となる。また表面テクスチャ形成に要する切削工具の搬出や搬入に係る工数も削減でき、生産効率の向上や生産コストの低減も図れる。なお、このようなテクスチャ形成工程の導入は、コンパクトで低コストなレーザ加工装置を用いることにより実現可能である。
(3)本発明に係るテクスチャ形成工程は、未使用の切削工具のすくい面に対して行っても、使用後の回収された切削工具のすくい面に対して行ってもよい。具体的には、例えば、新品のスローアウェイチップや一体工具(ドリル,エンドミル等)のすくい面に表面テクスチャを形成してもよいし、それら工具を使用後に再研摩等した再生工具のすくい面に表面テクスチャを形成してもよい(テクスチャ再生工程)。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製作》
(1)先ず、表面テクスチャが形成されていない市販の切削チップ(住友電工株式会社製 ハードメタル H1)を用意した。この切削チップ(適宜「ブランクチップ」という。)はK種超硬合金(JIS B4053)からなり、アルミニウム合金製の被削材に対応している。
(2)ブランクチップの(主)切れ刃から連なるすくい面の所定領域(接触表面上の一部)に、パルスレーザ(高エネルギービーム)を照射して、表1Aおよび表1B(両表を併せて適宜「表1」という。)に示す種々の表面テクスチャを有する試料を製作した(テクスチャ形成工程)。なお、各表に示したテクスチャの諸元値は狙い値であって実測値ではないが、少なくとも本明細書の記載に沿ってテクスチャを形成する限り、狙い値と実測値に大差はなく、図3Bの如くその誤差は±1μm程度である。
用いたパルスレーザは、パルス幅がナノ秒レベルであるナノ秒パルスレーザと、パルス幅がフェムト秒レベルであるフェムト秒パルスレーザである。各試料の表面テクスチャは、基本的にナノ秒パルスレーザを用いて形成したが、一部の比較試料の表面テクスチャは、既述した特許文献2(特開2009−202283号公報)の記載を参照しつつ、フェムト秒パルスレーザを用いて形成した。各レーザの照射は表3に示す条件下で行い、いずれの場合も大気雰囲気中で行った。
この際、パルスレーザの焦点位置は、ブランクチップの最表面とした。レーザを照射した際に散乱が発生することを防止するために、その最表面(照射面)は予め鏡面研磨しておいた(表面粗さRmax(JIS)で0.1μm)。これにより所望パターンの表面テクスチャが高精度に形成されるようになった。
こうして形成した表面テクスチャのパターンは、連続した凹部(溝)からなる溝型テクスチャ(図16参照)と、ドット状の凹部(窪み)からなるドット型テクスチャ(図17Aおよび図17B参照)である。溝型テクスチャに係る試料では、それぞれの溝幅(D)、その間隔(縦周縁間距離:L)およびピッチ(P)を種々変更した。ドット型テクスチャに係る試料では、それぞれの窪み径(D)、縦方向の間隔(縦周縁間距離:L)および横方向の間隔(横周縁間距離:A)を種々変更した。そしてドット型テクスチャについては、窪みを並列配置した試料(図17B参照)と、交互配置(図17A参照)した試料を製作した。なお、いずれの試料も、同一試料中における縦周縁間距離(L)または横周縁間距離(A)は一定とした。
並列配置の一例として、窪みを最密に配置したパターン(A=L=0)を図17Cに示した。この並列配置パターン(図17C)の横方向に並ぶ中央の窪み列を、全体的に横方向へD/2だけシフトした交互配置パターンを図17Dに示した。また交互配置の一例として、窪みを最密に配置したパターン(A=0、L=√3D−D)を図17Eに示した。
ちなみに、真円状の窪みからなるドット型テクスチャを考えると、図17Aに示した交互配置パターンでA=D、L=3Aとしたときの(理論)切屑接触面積率は80.4%となる。これは図17Bに示した並列配置パターンでA=L=Dとしたときの切屑接触面積率に等しい。交互配置パターンでA=L=Dとすると、切屑接触面積率はさらに減少して60.7%となる。また図17Cに示した並列配置パターンの切屑接触面積率は21.5%となる。これは図17Dに示した交互配置パターンの切屑接触面積率に等しい。さらに図17Eに示した交互配置パターンの切屑接触面積率は9.6%となり、ドット型テクスチャ中で最小となる。
ところで、溝型テクスチャの溝は、レーザをすくい面上に照射しつつ、直線状に連続移動(走査)させることにより形成した。この操作を繰り返すことにより、所望数の平行な溝からなる溝型テクスチャが形成された。ドット型テクスチャの窪みは、レーザをすくい面上の所定位置で単発的に照射して形成した。レーザの移動と照射を他の所定位置でも繰り返すことにより、所望数の窪みからなるドット型テクスチャが形成された。
表面テクスチャの形成領域(テクスチャ域)は、切れ刃の延在方向(切れ刃方向)の一辺(3.5〜5mm)と、それに垂直な方向(切屑排出方向)の一辺(2〜5mm)とからなる方形状とした。このテクスチャ域と切れ刃(すくい面の先端、刃先)の間には、切れ刃の直線性と刃先強度を確保するため、特に断らない限り20μmの切れ刃(刃先)マージンを設けた(図1A参照)。但し、フェムト秒パルスレーザを用いた試料では、テクスチャ域を5mm角の正方形状とし、切れ刃マージンは設けなかった(図2参照)。
《表面テクスチャ》
(1)観察
一部の試料のすくい面に形成された表面テクスチャを光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した様子を図1A、図2、図3Aおよび図4に示した。また図1Aおよび図3Aに示した試料の表面テクスチャの表面粗さをレーザ顕微鏡で測定し、得られた各表面テクスチャの深さ方向の変化をそれぞれ図1Bおよび図3Bに示した。
(2)測定
各試料のすくい面に形成された表面テクスチャの諸元を、既述した方法に基づいて測定または算出した。その結果を表1に併せて示した。表1に示した溝幅または窪み径:D、縦間隔(縦周縁間距離):Lおよび横間隔(横周縁間距離):Aは、前述したよう図16、図17Aおよび図17Bに示した各距離を既述の方法に基づき実測し、算出した値である。また、切屑接触面積率の算出に必要なテクスチャ域の特定、そのテクスチャ域の面積および各凹部(溝、窪み)を除く残面積の測定等も既述した方法により行った。それらに基づき、各試料の切屑接触面積率を算出して、表1に併せて示した。
《切削試験》
(1)主分力および背分力
上述した方法により製作した各種の切削チップ(ブランクチップを含む)を用いて切削試験を行った。この切削試験の概要を図19Aおよび図19Bに模式的に示した。被削材Wには、特に断らない限りアルミニウム合金(JIS A6063/H18)からなる引き抜き管材(外径φ50mm×内径φ46mm)を用いた。
この被削材Wを旋盤(株式会社森精機製作所社製 MR−1000G)のチャック(図略)に取り付け、上述した切削チップCを先端にセットしたバイトホルダーHを、旋盤の刃物台(図略)に固定した。この刃物台には、図示しない切削分力動力計(キスラー社製 9257A)を取り付けた。これにより切削時に発生する切削抵抗力(主分力Fmおよび背分力Fb)の測定が可能となる。この旋盤を稼動させて、二次元切削を行い、主分力Fmおよび背分力Fbを測定した結果を表1に併せて示した。
なお、この二次元切削は、特に断らない限り切削速度(V):216m/min、切削幅:2mm(被削材の厚み分)、切込み量(送り量):0.1mm/rev(1回転あたり0.1mm)、切削距離:235.6mとした。なお、切削雰囲気は、特に断らない限り完全ドライ環境としたが、一部の比較試料についてはウエット環境とした。完全ドライ環境は、切削前に、バイトホルダー(切削チップCを含む)Hと被削材Wの表面をヘキサンで脱脂して実現した。ウエット環境は、切削前に、バイトホルダーHと被削材Wの表面に、不水溶性切削油剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製ユニカットテラミDS5)を刷毛で塗布して実現した。
いずれの切削試験でも、切削工具である切削チップCの切れ刃(刃先)Ceで被削材Wの端面が切削され、切屑Scが生じ、この切屑Scが切削チップCのすくい面Sr上に形成された表面テクスチャTに接触しつつ排出される点は共通であった。
(2)切屑厚さ
各切削チップCで二次元切削を行った際に排出された切屑Scの厚さをポイントマイクロメータで測定した。その結果を表1に併せて示した。
(3)凝着性
切削試験後の各切削チップCに係る表面テクスチャTの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡で観察した一部を、図5A〜図5Dと図6Aに示した。
《評価》
〈表面テクスチャの表面性状〉
(1)切削試験前
図1A、図3Aおよび図4からわかるように、ナノ秒パルスレーザを用いることにより、凹部の境界が明確で所望する形態の表面テクスチャが得られることが確認された。一方、図2からわかるように、フェムト秒パルスレーザを用いて形成した従来の表面テクスチャ(試料No.A16)は、各溝が非常に微細で溝の形態が安定していなかった。
図1Bおよび図3Bからわかるように、ナノ秒パルスレーザを用いて形成した表面テクスチャの凹部(溝、窪み)は、いずれも深さが安定しておりほぼ一定となっていることが確認された。さらに、レーザ加工した凹部の周囲には、高さ1〜3μm程度の僅かに盛り上がった部分(バリ)が生じることもわかった。但し、このバリは切削性に殆ど影響を与えず、実際に切削加工を行うと除去されることが確認されている。
(2)切削試験後
図5Bから明らかなように、切屑排出方向に連続した凹部が形成されていない表面テクスチャの場合、つまり切屑排出方向に断続的な凹部からなる表面テクスチャの場合、図5Dに比べて、切削試験後も被削材(切屑)の凝着が少ないことがわかる。ちなみに、図5Bと図5Dに示したSEM像を画像処理(二値化処理)して、それぞれのすくい面における被削材(アルミニウム合金)の凝着量を調べた。その結果、図5Bに係る凝着量は面積率で60.9%であったが、図5Dに係る凝着量は面積率で82.5%であった。このことからも、すくい面に表面テクスチャを設けることにより、被削材の凝着が大幅に低下することが確認された。
逆に、図5Cから明らかなように、所定間隔毎で一つの切屑排出方向に配列された凹部からなる表面テクスチャの場合、その凹部の周囲にある切屑排出方向に沿った連続的な表面(残面)に、被削材(切屑)が連続的に凝着することがわかった。さらに図5Dから明らかなように、表面テクスチャのない場合、すくい面の全面に、切屑排出方向に沿った連続的な凝着が観察された。従って、被削材のすくい面における凝着を抑制して切削性の向上を図る上で、いずれの切屑排出方向にも断続的(不連続的)に凹部が交互に配置された表面テクスチャをすくい面に設けると好ましいことがわかった。
図6Aに示した観察結果から測定した切屑接触長さと切屑接触面積率の関係を図6Bに示した。切屑接触長さは、切屑排出方向における接触表面内の最大凝着長さを測定して算出したものである。これら図6Aおよび図6Bから明らかなように、ドット型テクスチャ(窪み径:30μm)の場合、切屑接触面積率が大きくなるほど、被削材の凝着が多くなっている。また後述するが、図13B(窪み径:30μm)に示すように、切屑接触面積率が小さいほど切削性がよいこともわかっている。これらを併せて考えると、すくい面(特に表面テクスチャ)における凝着性と切削工具の切削性との間には切屑接触面積率をパラメータとした相関がある。そして本発明では、その切屑接触面積率を適切な範囲内に設定したことにより、凝着性と切削性の両方が大きく改善されたといえる。
〈溝型テクスチャ〉
(1)表1に示す結果に基づき、溝型テクスチャの溝幅と完全ドライ環境下における切削性との関係を図7に示した。表面テクスチャを形成していない試料No.D0(溝幅:0μm)を除き、図7に示した試料No.A11、A13およびA15の切屑接触面積率は全て75%である。
図7からわかるように、溝型テクスチャを設けることにより、切屑厚さが急減した。また、溝幅が2μm以上になると、主分力および背分力(両者を合わせて適宜「切削抵抗力」という。)が共に大幅に低下した。
ちなみに、切屑排出方向(切れ刃方向に垂直な方向)に溝が形成された溝型テクスチャを有する切削チップを用いて切削試験を行った場合、主分力、背分力および切屑厚みのいずれも、ほとんど低減しないことは確認済みである。このことから、切削性の向上には、切屑排出方向に連続した溝からなる溝型テクスチャではなく、切屑排出方向に断続した溝からなる溝型テクスチャが有効であることがわかる。
(2)表1に示す結果に基づき、溝型テクスチャの切屑接触面積率と切削性の関係を図8に示した。表面テクスチャを形成していない試料No.D0を除き、図8に示した試料No.A12〜14の溝幅は全て5μmである。
図8からわかるように、溝型テクスチャを設けることにより、切屑厚さが大幅に低減した。また切屑接触面積率が60〜85%のときに、主分力および背分力が共に大幅に低減し、切削性が向上した。
(3)表1に示す結果に基づき、表面テクスチャの形成に用いたレーザの種類と切削性の関係を図9に示した。図9に示したナノ秒パルスレーザ加工した試料は、前述した溝幅:5μm、切屑接触面積率:75%の溝型テクスチャを有する試料No.A13である。
図9からわかるように、フェムト秒パルスレーザ加工した従来の溝型テクスチャを有する試料No.A16でも、レーザ加工していない試料No.D0に対して、切削性が多少向上した。しかし、その程度は僅かであった。
従って、フェムト秒パルスレーザで形成された従来の溝型テクスチャでは、完全ドライ環境における切削性の向上は、殆ど望めない。また、フェムト秒パルスレーザを用いると、基材(ブランクチップ)への熱的影響を小さくしつつ微細な加工が可能であるが、ナノ秒パルスレーザで加工した場合と同様な大きさの表面テクスチャを形成するには長時間を要し、加工効率が悪いと思われる。
〈円形状のドット型テクスチャ〉
(1)先ず、ドット型テクスチャを有する試料No.B19とすくい面が平滑な試料No.D0を用いて、アルミニウム合金管材(外径φ100mm×内径φ94mm)を切削して切削速度と切削性の関係を調べた。この結果を図10に示した。図10から明らかなように、切削速度に拘わらず、すくい面に表面テクスチャを設けることにより切削性が向上した。つまり、すくい面に表面テクスチャを設けた場合に、切削速度が切削性に及ぼす影響は小さいことが確認できた。
(2)次に、ドット型テクスチャを有する試料No.B20を用いて、切れ刃マージンと切削性の関係を調べた。この結果を図11に示した。図11から明らかなように、切れ刃マージンが少なくとも300μm程度までなら、切れ刃マージンの大小に拘わらず、すくい面に表面テクスチャを設けることにより切削性が向上した。つまり、すくい面に表面テクスチャを設けた場合に、切れ刃マージンが切削性に及ぼす影響は小さいことが確認できた。
(3)表1に示す結果に基づき、ドット型テクスチャの窪み径と完全ドライ環境下における切削性との関係を図12Aに示した。表面テクスチャを形成していない試料No.D0を除き、図12Aに示した試料No.B13、B14、B18、B42、B43、B44およびB45の切屑接触面積率は9.6%〜55.8%である。図12Aからわかるように、ドット型テクスチャを設けることにより、窪み径に拘わらず切屑厚さが急減した。そのうち、窪み径が30〜300μmのときに切削抵抗力が大幅に低下した。
(4)表1に示す結果に基づき、ドット型テクスチャの窪み深さと完全ドライ環境下における切削性との関係を図12Bに示した。図12Bに示したドット型テクスチャを有する試料は、試料No.B20(窪み径:30μm、切屑接触面積率:63.5%)をベースにして、窪み深さを種々変更したものである。図12Bからわかるように、ドット型テクスチャを設けることにより、窪み深さに拘わらず切削性が大幅に向上した。つまり、窪み深さが切削性に及ぼす影響は小さいことがわかった。
(5)表1に示す結果に基づき同様に、ドット型テクスチャの切屑接触面積率と切削性の関係を図13A〜図13Eに示した。表面テクスチャを形成していない試料No.D0を除き、図13A〜図13Eの各図に示した各試料の窪み径は、順に14μm、30μm、50μm、100μmおよび300μmである。
これらから明らかなように、ドット型テクスチャの切屑接触面積率が90%以下さらには85%以下となるとき、窪み径の大小に拘わらず、切削性の大幅な向上が観られた。特に窪み径が30〜100μmのとき、切屑接触面積率の低下と共に切削性が顕著に向上した。
〈窪み配置と切削環境〉
表1に示す結果に基づき、ドット型テクスチャのパターンと切削性の関係を図14Aおよび図14Bに示した。図14Aは完全なドライ環境下で切削試験を行った場合であり、図14Bはウエット環境下で切削試験を行った場合である。表面テクスチャを形成していない試料No.D0および試料No.D1を除き、各図に示した試料No.B15および試料No.C11〜C13はいずれも、窪み径:14μm、切屑接触面積率:61.5%である。
交互配置の場合、並列配置の場合よりも、切削抵抗力と切屑厚さが共に小さくなり、切削性に優れることが明らかとなった。この傾向はドライ環境下でもウエット環境下でも同様であった。
また、並列配置の場合はドライ環境下でもウエット環境下でも切削性に大差なかったが、交互配置の場合はドライ環境下よりもウエット環境下で切削性がより向上した。これは、交互配置された窪みの方が、並列配置された窪みよりも、液溜まり性に優れるためと考えられる。
〈被削材とすくい面の表面処理〉
先ず、表面テクスチャが形成されていない市販の超硬製切削チップ(住友電工株式会社製ハードメタル ST20E)と、すくい面がTiAlN/AlCrN積層被膜でコーティングされた市販の超硬製切削チップ(住友電工株式会社製ハードメタル AC510U)を用意した。これら切削チップ(適宜「ブランクチップ」という。)は、ステンレス鋼製の被削材に対応している。各ブランクチップのすくい面に、表2Aに示す交互配置したドット型テクスチャを形成した。この表面テクスチャの形成は、ナノ秒パルスレーザを用いて既述した方法により行った。
被削材にステンレス鋼(JIS SUS304)製の溶接丸管(外径φ50mm×内径φ46mm)を用いて、既述した方法で切削試験を行った。なお、切削速度は122m/minまたは216m/minとした。こうして得られた結果を表2Aに併せて示すと共に図15Aおよび図15Bに示した。
これらの結果から、被削材が鋼材でも、表面テクスチャを設けることにより切削性の向上(特に背分力の低減)が図られることが確認できた。もっとも、ステンレス鋼はアルミニウム合金の場合よりも表面テクスチャによる効果はさほど大きくななかった。被削材がステンレス鋼の場合、凝着よりも耐チッピング性が重要となり、被膜もその観点に基づいて形成されているためと考えられる。
〈空間体積〉
ドット型テクスチャの場合、切屑接触面(テクスチャ域)の単位面積あたりにできる凹部の空間(空間体積)は、前述したように1.0×10−3〜1.0×10−1mm/mmさらには9.0×10−3〜4.5×10−2mm/mmであると好ましい。
例えば、ドット型テクスチャを構成する窪みが半球面状であるとすると、窪み径:5μm、切屑接触面積率:85%、窪み深さ:2μmのときの空間体積は1.8×10−4mm/mm となる。同様に、窪み径:300μm、切屑接触面積率:9%、窪み深さ:50μmのときの空間体積は2.3×10−2mm/mmとなる。
〈破線溝状のドット型テクスチャ〉
上述した円形状のドット型テクスチャに替えて、図18に示すような破線溝状(長円状)のドット型テクスチャをすくい面に形成した切削チップを複数用意して、前述した場合と同様にアルミニウム合金管材をドライ切削した。これにより得られた各試料に係る表面テクスチャと切削性の関係を表2Bに示した。また、各試料に係る切屑接触面積率と切削性の関係を図20に示した。
ドット型テクスチャを構成する窪みが破線溝状であっても、円形状の場合と同様な傾向を示すことがわかった。特に破線溝状のドット型テクスチャの場合、切屑接触面積率を90%以下さらには60%以下とすることにより、優れた切削性が得られることがわかった。
〈切削距離と切削性〉
試料No.B43に示したドット型テクスチャ(窪み径:100μm、切屑接触面積率:9.6%)を有する切削チップを用いて、上述した場合よりも切削距離が長い切削試験を行い、各切削距離毎の切削性を測定した。この結果を図21に示した。なお、図21中で最小の切削距離は15.7mである。図21から明らかなように、ドット型テクスチャを設けた切削チップは、切削距離が10倍(235.6m→2356m)に伸びても、良好な切削性を安定して発揮し、耐久性にも優れることがわかった。
〈すくい面の表面性状〉
上述した切削試験(切削距離:2356m)後の試料No.B43に係る切削チップのすくい面を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)で観察した写真を図22Aおよびその拡大写真である図22Bに示した。これらから明らかなように、切削後の切屑接触面領域(窪み周縁から外方に向かう領域)において、Coが濃化(逆にCは薄化)していることがわかる。このような表面性状がすくい面上に現れる理由は現状定かではないが、
この表面性状が少なくとも超硬合金製切削チップに係る優れた切削性や耐久性に何らかの影響を及ぼしている可能性はあり得る。
T 表面テクスチャ
C 切削チップ(切削工具)
Cr すくい面
Ce 切れ刃
H バイトホルダー
Sc 切屑
W 被削材
Fm 主分力
Fb 背分力

Claims (13)

  1. 先端にある切れ刃で切削されて生じた被削材の切屑が接触し得る接触表面上の少なくとも一部に、凹凸模様状の表面テクスチャを設けたすくい面を備える切削工具であって、
    前記表面テクスチャは、前記切屑の排出方向に断続した凹部を有すると共に該凹部がドット状の窪みからなるドット型テクスチャであり、
    該窪み一つあたりの大きさを指標する窪み径は5〜300μmであり、
    該表面テクスチャ全面から該凹部を除いた残面の該表面テクスチャ全面に対する面積割合である切屑接触面積率が9〜90%であることを特徴とする切削工具。
  2. 切削液を用いずに切削するドライ切削用である請求項1に記載の切削工具。
  3. 刃先と前記窪みの切れ刃側の周縁との間に、該窪みが形成されていない15〜300μmのマージンを有する請求項1または2に記載の切削工具。
  4. 前記ドット型テクスチャは、前記窪みを除いた残面が前記切屑の排出方向に不連続となっている請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具。
  5. 前記ドット型テクスチャは、隣接する前記窪みを交互にずらして配置してなる請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
  6. 前記ドット型テクスチャは、単位面積当たりの空間体積が1.0×10−3mm/mm〜 1.0×10−2mm/mmである請求項〜5のいずれかに記載の切削工具。
  7. 前記窪みの一つあたりの空間体積は1.0×10−8〜1.0×10−2mmである請求項〜6のいずれかに記載の切削工具。
  8. 炭化タングステン(WC)とバインダーであるコバルト(Co)とを含む混合物を焼結した超硬合金からなり、Coが前記凹部の周縁近傍に濃化している請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具。
  9. 前記被削材は、活性金属材料からなる請求項1〜8のいずれかに記載の切削工具。
  10. 先端にある切れ刃に連なる平滑なすくい面の少なくとも一部に高エネルギービームを照射して、凹凸模様状の表面テクスチャを形成するテクスチャ形成工程を備え、
    請求項1〜9のいずれかに記載の切削工具が得られることを特徴とする切削工具の製造方法。
  11. 先端にある切れ刃で切削されて生じた被削材の切屑が接触し得る接触表面上の少なくとも一部に凹凸模様状の表面テクスチャを設けたすくい面を有する切削工具を、使用後に回収する回収工程と、
    該回収した切削工具のすくい面上の少なくとも一部へ高エネルギービームを照射して、該すくい面上に凹凸模様状の表面テクスチャを形成するテクスチャ形成工程とを備え
    請求項1〜9のいずれかに記載の切削工具が得られることを特徴とする切削工具の製造方法。
  12. 前記テクスチャ形成工程は、前記切削工具の表面テクスチャを再生させるテクスチャ再生工程である請求項11に記載の切削工具の製造方法。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法により得られた切削工具を用いて被削材を切削した切削品を得る切削工程を備えることを特徴とする切削品の製造方法。
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