JP5774875B2 - 殺虫剤組成物及び殺虫方法 - Google Patents

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Description

この発明は、殺虫剤組成物及び殺虫方法に関し、さらに詳しくは、殺虫効果に優れるにもかかわらず樹木への負荷が小さく注入作業性にも優れた殺虫剤組成物及び殺虫方法に関する。
樹木の成長を阻害し、樹木を枯死させる害虫を防除又は駆除は、従来、害虫に活性を有する殺虫剤を樹木に散布することで、行われていた。
しかし、殺虫剤を均一に散布することは困難であり、必ずしも所期の殺虫効果が得られないことがあった。また、土壌に散布した殺虫剤又は木材に散布した殺虫剤が土壌に移行して、土壌又は地下水等を汚染する等の環境汚染が懸念される。さらに、公園、学校又は市街地等に植栽されている樹木又は街路樹に殺虫剤を散布すると、周辺住民、通行人等に対する薬害等も懸念される。
このような問題点を解消する方法として殺虫剤を直接樹木に投与する方法がある。例えば、特許文献1には「以下の工程:(a)樹木の樹幹をドリルで穿孔する工程、(b)工程(a)において穿孔した孔から浸透性殺虫剤を注入する工程、及び(c)工程(b)において浸透性殺虫剤を注入した孔を塞ぐ工程、を包含する樹木の害虫防除方法」が記載されている。
また、特許文献2には「樹幹注入用組成物の有効量を樹木類の樹幹に注入し、樹体内及び葉に分散させることにより、食葉性、吸汁性及び穿孔性の害虫を駆除することからなることを特徴とする害虫から樹木類への加害を防止するための方法」が記載されている(請求項6)。さらに、この方法に使用できる樹幹注入用組成物として「ネオニコチノイド系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分とすることを特徴とする害虫から樹木類への加害を防止するための樹幹注入用組成物」が請求項1に記載されている。
特開2001−192301号公報 特開2005−255566号公報
特許文献1の方法は、浸透性殺虫剤をそのまま樹木に注入するので殺虫剤の注入完了までに長時間を要し、特に1株当りの注入薬量が多くなるほど殺虫剤の注入時間は長くなる。特許文献2の方法は比較的注入時間を短縮できることがあるが、有機溶剤及び界面活性剤を含有する樹幹注入用組成物を用いると注入時間は必然的に長くなってしまう。このように殺虫剤の注入時間が長くなると、例えば、注入容器などを設置する作業、及び、注入容器などを回収する作業等が必要になって注入作業性に劣ることがある。
ところで、特許文献2の樹幹注入用組成物は樹体内での分散性を改善して有効成分を樹幹流に溶解させるために「有機溶剤だけでなく界面活性剤」を含有している(特許文献2の0018欄、実施例欄等)。ところが、樹幹注入用組成物に有機溶剤及び/又は界面活性剤を含有させると、この樹幹注入用組成物を注入した樹木に葉の変色又は落葉等の薬害が生じることがある(例えば、特許文献2の表5及び0038欄等)。
この発明は、殺虫効果に優れるにもかかわらず樹木への負荷が小さく注入作業性にも優れた殺虫剤組成物及び殺虫方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、全質量に対して、5000〜250000ppmの殺虫成分と、10〜50質量%の炭素数1〜4のアルコールと、0.1〜10質量%のHLBが12〜20であるポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とを含有する殺虫剤組成物であり、
請求項2は、前記炭素数1〜4のアルコールが脂肪族アルコールである請求項1に記載の殺虫剤組成物であり、
請求項3は、前記炭素数1〜4のアルコールは、モノアルコールを含む請求項1又は2に記載の殺虫剤組成物であり、
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺虫剤組成物を樹体内に注入する殺虫方法であり、
請求項5は、前記樹体に穿孔された注入孔1個当たり0.1〜5.0mLの前記殺虫剤組成物を注入する請求項4に記載の殺虫方法である。
この発明に係る殺虫剤組成物は、全質量に対して、5000〜250000ppmの殺虫成分と、10〜50質量%の炭素数1〜4のアルコール(以下において、「低級アルコール」と称することがある。)と、0.1〜10質量%のHLBが12〜20であるポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とを含有している。また、この発明に係る殺虫方法はこの発明に係る殺虫剤組成物を樹体内に注入する。そして、この発明に係る殺虫剤組成物が樹体に少量注入されれば高濃度の殺虫成分を樹体に速やかに浸透させて樹木に大きな負荷をかけることなく殺虫成分の効能を十分に発揮させることができる。

したがって、この発明によれば、殺虫効果に優れるにもかかわらず樹木への負荷が小さく注入作業性にも優れた殺虫剤組成物及び殺虫方法を提供することができる。
この発明に係る殺虫剤組成物は、樹木を害する害虫に活性を有する殺虫成分と低級アルコールとシリコーン系界面活性剤とを含有している。したがって、この発明に係る殺虫剤組成物は殺虫成分と低級アルコールとシリコーン系界面活性剤とを含有する殺虫剤と称することができる。
前記殺虫成分は、樹木を害する害虫に対して活性を有する成分であれば特に限定されず、例えば、ネオニコチノイド系化合物、有機リン系化合物などの殺虫活性を有する化合物が挙げられる。したがって、この発明に係る殺虫剤組成物は、殺虫成分として、ネオニコチノイド系化合物、有機リン系化合物などの殺虫活性を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。
ネオニコチノイド系化合物としては、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフラン、アセタミプリド、イミダクロプリドなどが挙げられる。
有機リン殺虫性化合物としては、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラチオン、メチダチオン、プロチオホス、アセフェート、トリクロルホンなどが挙げられる。
この殺虫成分は、この発明に係る殺虫剤組成物は特に公園、学校又は市街地等に植栽されている樹木又は街路樹に好適に注入されるので、このような樹木又は街路樹に寄生する害虫に対する活性を有するのが好ましく、このような殺虫成分として、クロチアニジン、ジノテフラン、フェニトロチオン、ダイアジノン、アセフェート、トリクロルホンなどが挙げられる。
この殺虫成分は、使用目的、注入対象樹木に寄生する害虫などに応じて適宜の成分が選択されるが、液状の殺虫成分を含有するこの発明に係る殺虫剤組成物は極めて速やかに樹木に浸透すなわち吸収されるので、浸透時間の短縮に特に着目するのであればこの発明に係る殺虫剤組成物に含有される殺虫成分は液状であるのが好ましい。
この殺虫成分は、この発明に係る殺虫剤組成物の全質量に対して5000〜250000ppmの質量割合で含有されている。この発明に係る殺虫剤組成物は速やかに樹体内に浸透するから殺虫成分を前記範囲の高濃度で含有することができる。この発明において、殺虫剤組成物中の殺虫成分の含有率が5000ppm未満であると殺虫成分の薬効が十分に発揮されない場合があり、一方、250000ppmを越えると注入対象木に縮葉、落葉、注入部の癒合阻害などの薬害が発生する場合がある。この発明において、効果、薬害、注入量の削減の観点から、殺虫剤組成物中の殺虫成分の含有率は、殺虫剤組成物の全質量に対して10000〜250000ppmであるのが好ましく、50000〜200000ppmであるのが特に好ましい。
この殺虫成分として殺虫成分を含有する市販の薬剤を用いる場合には、薬剤中の殺虫成分の濃度を考慮して殺虫成分の殺虫剤組成物中の含有率が前記範囲内になるように、市販の薬剤の使用量すなわち含有率が決定される。例えば、市販の薬剤は、殺虫剤組成物の全質量に対して0.5〜25質量%、好ましくは5〜20質量%の含有率で、低級アルコール及びシリコーン系界面活性剤と混合される。
低級アルコールは、炭素数が1〜4のアルコールであるのが好ましく、炭素数が1〜4の脂肪族アルコールであるのがさらに好ましく、樹体内への浸透速度が速い点で炭素数が1〜4の脂肪族モノアルコールであるのが特に好ましい。したがって、この発明において、低級アルコールは、好ましくは炭素数が1〜4のアルコールを含んでおり、さらに好ましくは炭素数が1〜4の脂肪族アルコールを含んでおり、樹体内への浸透速度が速い点で特に好ましくは炭素数が1〜4の脂肪族モノアルコールを含んでいる。炭素数が1〜4のアルコールとしては、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが挙げられる。炭素数が1〜4のアルコールは、樹体内への浸透速度が速い点で、メチルアルコール、エチルアルコールであるのが好ましく、エチルアルコールが特に好ましい。すなわち、この発明において、低級アルコールは、メチルアルコール、エチルアルコールを含むのが好ましく、エチルアルコールを含むのが特に好ましい。
この低級アルコールは、この発明に係る殺虫剤組成物の全質量に対して10〜99.8質量%の割合で含有されている。この発明において、殺虫剤組成物中の低級アルコールの含有率が10質量%未満であると殺虫剤組成物の注入速度すなわち浸透速度を十分に改善できない場合があり、一方、99.8質量%を越えると殺虫成分と同様に注入対象木に縮葉、落葉、注入部の癒合阻害などの薬害が発生する場合がある。この発明において、殺虫剤組成物中の低級アルコールの含有率は、注入速度の向上及び注入対象木への安全性の観点から、殺虫剤組成物の全質量に対して10〜50質量%であるのが好ましく、10〜20質量%であるのが特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤は、特に限定されないが、水に溶解しやすく樹体内への浸透速度が速く、樹木への負荷も小さい点で親水性のシリコーン系界面活性剤であるのが好ましい。したがって、この発明において、シリコーン系界面活性剤は親水性のシリコーン系界面活性剤を含んでいるのが好ましい。親水性のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、アミン変性シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤などが好適に挙げられ、浸透速度に加えて取扱性にも優れ、この発明の目的をよく達成できる点で、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が特に好適に挙げられる。アミン変性シリコーン系界面活性剤は、主鎖又は側鎖がアミン化合物で変性されたシリコーン系界面活性剤であり、例えば、モノアミン、ジアミン、特殊アミンなどのアミン化合物で変性されたシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。また、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤は、主鎖又は側鎖がポリエーテルで変性されたシリコーン系界面活性剤であり、例えば、アラルキル、フロロアルキル、長鎖アルキル、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル、長鎖アルキル・アラルキル、フェニルで変性されたシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
このようなアミン変性シリコーン系界面活性剤としては、具体的には、モノアミン変性シリコーン系界面活性剤(商品名「KF−868」、信越化学工業株式会社製)、モノアミン変性シリコーン系界面活性剤(商品名「KF−865」、信越化学工業株式会社製)およびジアミン変性シリコーン系界面活性剤(商品名「KF−859」、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。また、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、具体的には、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「X−22−4515」、HLB5、信越化学工業株式会社製)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF−353」、HLB10、信越化学工業株式会社製)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF−642」、HLB12、信越化学工業株式会社製)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF−640」、HLB14、信越化学工業株式会社製)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF−354L」、HLB16、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
この発明において、親水性のシリコーン系界面活性剤は、例えば、HLBが5〜20、好ましくは12以上のシリコーン系界面活性剤と別言することもできる。ここで、HLBは、親水親油バランスとも称され、グリフィン法によって測定される値である。
シリコーン系界面活性剤は、この発明に係る殺虫剤組成物の全質量に対して0.1〜10質量%の割合で含有されている。この発明において、殺虫剤組成物中のシリコーン系界面活性剤の含有率が0.1質量%未満であると殺虫剤組成物の注入速度すなわち浸透速度を十分に改善できない場合があり、一方、10質量%を越えると殺虫成分と同様に注入対象木に縮葉、落葉、注入部の癒合阻害などの薬害が発生する場合がある。この発明において、殺虫剤組成物中のシリコーン系界面活性剤の含有率は、注入速度の向上及び注入対象木への安全性の観点から、殺虫剤組成物の全質量に対して0.5〜5質量%であるのが好ましく、0.5〜2質量%であるのが特に好ましい。
この発明に係る殺虫剤組成物は、殺虫成分、低級アルコール及びシリコーン系界面活性剤の外に、必要に応じて、安定剤、pH調整剤、被膜形成剤、水、シリコーン系界面活性剤以外の界面活性剤、低級アルコール以外の溶剤などを含有していてもよい。必要に応じて含有される成分は、この成分、殺虫成分、低級アルコール及びシリコーン系界面活性剤の合計が100質量%となる割合で、含有される。
安定剤は、この発明に係る殺虫剤組成物に含まれていると製剤の安定性及び分散性を保持することができるので、好適に含有される。安定剤としては、例えば、BHT、DBHQ、トコフェロールなどの酸化防止剤が主として挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、酸、アルカリ及びその塩などが挙げられ、前記被膜形成剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤以外の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤などを挙げることができる。前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルなどが挙げられる。前記アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸、高級脂肪酸塩などを挙げることができる。カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン類、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などを挙げることができる。
低級アルコール以外の溶剤としては、殺虫成分を溶解することができる限り特に制限がなく、親水性溶剤であっても親油性溶剤であってもよい。
親水性溶剤すなわち水と混和する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールなどのグリコール類、前記グリコール類のエステル類及び前記グリコール類のエーテル類、前記グリコール類の誘導体、前記グリコール類のエステル類の誘導体、前記グリコール類のエーテル類の誘導体、シクロヘキサノン、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのカルボン酸エステル類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、グリセリン、グリセリンのエステル誘導体、グリセリンのエーテル誘導体、N−メチルピロリドンなどのピロリドン類、アセトニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル類などを挙げることができる。
親油性溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びベンジルアルコールなどの芳香族化合物、へキサンなどの環状脂肪族炭化水素、パラフィン系、ケトン系、エステル系、グリコール系などの高沸点溶剤、菜種油、大豆油、オリーブ油、魚油、肝油、ラノリンのような動植物性油脂、オレイン酸、ラノリン酸、及びパルミチン酸などの脂肪酸、前記脂肪酸の誘導体などを挙げることができる。
この発明に係る殺虫剤組成物は、全質量に対して10〜99.8質量%の低級アルコールと全質量に対して0.1〜10質量%のシリコーン系界面活性剤と全質量に対して5000〜250000ppmの高濃度で殺虫成分を含有する原液の形態であってもよく、また、殺虫成分、低級アルコール及びシリコーン系界面活性剤それぞれが全質量に対して前記含有率となるように適宜に希釈された希釈溶液であってもよい。すなわち、この発明に係る殺虫剤組成物は、原液として存在し、またその原液を希釈してなる希溶液として存在することができる。さらに、この発明に係る殺虫剤組成物は、乳剤、フロアブル、マイクロエマルション、エマルションオイルインウォータ、サスポエマルションの形態であってもよい。この発明に係る殺虫剤組成物は、現場での取扱性及び施行容易性の点で、これらの中でも原液又は希釈溶液の形態が好ましい。
この発明に係る殺虫剤組成物は、液状の形態である場合に原液のまま使用されることができ、また所定の割合に希釈された希釈液又は水和剤として使用されることもできる。
この発明に係る殺虫剤組成物は、液状の形態である場合に、樹木に対して、散布、塗布、株元施用、潅注処理、樹幹注入などにより投与されることができる。この発明に係る殺虫剤組成物を樹木に対してどのように投与するかは、使用状況に応じて、又は、樹木の状態に応じて適宜に決定することができる。
この発明に係る殺虫方法は、この発明に係る殺虫剤組成物を樹木に投与、散布又は注入することができる投与方法、散布方法又は注入方法であればよい。この発明に係る殺虫剤組成物の好適な処理方法つまり使用方法としては、ドリルなどを用いて樹木に開けた注入用の穴(以下、注入穴と称することがある。)に、又は、害虫が樹木に開穿した穿孔に、すなわち樹体内に、この発明に係る殺虫剤組成物を注入する方法が挙げられる。このようにこの発明に係る殺虫剤組成物を注入穴又は穿孔に注入すると、殺虫成分が樹全体に拡散し、その殺虫成分に害虫が接触又は殺虫成分を害虫が摂取することにより、これら害虫を防除又は駆除できる。このとき樹木に開けられる注入穴数は、樹木の胸高直径を基準にして決定される樹木1本当りの注入量及び注入穴1つ当りの注入量に応じて適宜に設定され、例えば、胸高直径20〜50cmの樹木1本当りの注入穴数は5〜16個とされる。注入穴は、通常、処理する樹木の葉(加害部位)よりも下方に、例えば、根元又は地表から10〜50cmまでの高さに穿孔され、その直径、深さ及び穿孔角度についてはこの発明に係る殺虫剤組成物を注入できる程度に適宜に設定され、例えば、直径は2〜10mm、深さは1〜10cm、穿孔角度は水平面に対して30〜60°に設定される。
いずれの形態により、また、どのような施用態様であれ、この発明に係る殺虫剤組成物は、樹木の胸高直径を基準にして投与量すなわち注入量が決定され、例えば、胸高直径が20〜50cmの樹木の場合には、この発明に係る殺虫剤組成物中の殺虫成分が投与対象又は注入対象となる樹木1本当り2〜5000mgとなるように、投与されるのが好ましい。この場合は、注入穴数は5〜16個に設定されるので、注入穴1個当りの注入量は0.5〜1250mgとなり、20〜4000mgとするのが好ましい。このとき1注入穴当りの投与量は極めて少量の0.1〜5.0mLとなる。
この発明に係る殺虫剤組成物を適用することにより害虫を防除又は駆除できる樹木としては、山林樹、公園、学校又は市街地等に植栽されている樹木又は街路樹などが挙げられ、具体的には、例えば、マツ、スギ、ヒノキなどの山林樹、サザンカ、ツバキ、サクラ、ケヤキ、プラタナス、ヤシ、デイゴ、カエデ、カシ類、モクセイなどの樹木又は街路樹を挙げることができる。
この発明に係る殺虫剤組成物を適用することにより防除又は駆除できる害虫としては、山林樹及び樹木又は街路樹などに寄生する害虫であれば特に限定されず、例えば、コガネムシ類、ケムシ類、ミノムシ類などの食害性害虫、アブラムシ類、カイガラムシ類、ロウムシ類、ダニ類などの吸汁性害虫、カミキリムシ類、キクイムシ類、ゾウムシ類などの穿孔性害虫、チャドクガ、アメリカシロヒトリ、マツカレハなどの食葉性害虫などの害虫を挙げることができる。
このように、この発明に係る殺虫剤組成物は、殺虫成分と低級アルコールとシリコーン系界面活性剤とを所定の質量割合で含有しているから、山林樹及び樹木又は街路樹などに寄生する害虫をこれらの樹木に大きな負荷をかけることなく効果的に防除又は駆除できる。また、この発明に係る殺虫剤組成物は、樹木への高い吸収性を有しているものの、殺虫成分を高濃度で含有しているから樹木1本当りの注入量を大幅に低減でき、その結果、注入時間を大幅に短縮できると共に例えば「ノズルつき透明プラスチックアンプル」などの注入装置を後日回収する必要もなくその場で注入作業が完了し、高い注入作業を実現できる。
(試験例1)
殺虫剤組成物に含有される溶剤が殺虫剤組成物の浸透性に与える影響を調べた。具体的には、加害樹種ツバキの生木樹幹部(地表から15〜30cmの高さ)に木工用ドリルで開けた直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴に、第1表に示す殺虫剤組成物No.1〜13をマイクロピペッターにて1.0mL注入し、殺虫剤組成物1.0mL全量がツバキの生木に完全に浸透するまでの浸透時間を測定した。その結果を第1表に示す。なお、ジノテフラン液剤は三井化学アグロ株式会社の市販品であり、10質量%のジノテフランを含有する液剤である。殺虫剤組成物No.1におけるジノテフラン含有率は100000ppmで殺虫剤組成物No.2〜13におけるジノテフラン含有率は80000ppmであった。
Figure 0005774875
第1表に示されるように、メチルアルコール、エチルアルコール及びiso−プロピルアルコールの低級アルコールを溶剤として含有する殺虫剤組成物No.4〜6は30min以下という短時間で速やかにツバキの生木樹幹部に浸透することが分かった。これに対して、ジノテフラン液剤単独の殺虫剤組成物No.1、蒸留水を含む殺虫剤組成物No.2、蒸留水及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む殺虫剤組成物No.3及び低級アルコール以外の溶剤を含む殺虫剤組成物No.7〜13は浸透に早くても25min、通常60minを超える時間を要した。
(試験例2)
サクラ(ソメイヨシノ、樹齢3年)の生木樹幹部の地表から50cmの地点に木工用ドリルで開けた直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴4個それぞれに、1注入穴当りのジノテフラン注入量が80mgとなるように、第1表に示す殺虫剤組成物No.1〜13をマイクロピペッターで1.0mL注入した。このようにして各殺虫剤組成物を注入したサクラ生木の薬害の有無を注入後1ヶ月、2ヶ月及び3ヶ月の時点で目視にて評価した。これらの結果を第2表に示す。
Figure 0005774875
第2表に示されるように、低級アルコールを溶剤として含有する殺虫剤組成物No.4〜6はいずれの時点においても薬害が発生しやすいとされるサクラ生木に薬害が確認されなかったのに対して、低級アルコール以外の溶剤を含有する殺虫剤組成物No.7〜13の一部、特に浸透が比較的速やかであったシクロヘキサノンを含有する殺虫剤組成物No.9はサクラ生木に薬害が確認された。
(試験例3)
殺虫剤組成物に含有される界面活性剤が殺虫剤組成物の浸透性に与える影響を調べた。具体的には、加害樹種ツバキの生木樹幹部(地表から15〜30cmの高さ)に木工用ドリルで開けた直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴に、第3表に示す殺虫剤組成物No.21〜30をマイクロピペッターにて1.0mL注入し、殺虫剤組成物1.0mL全量がツバキの生木に完全に浸透するまでの浸透時間を測定した。その結果を第3表に示す。なお、ジノテフラン液剤は三井化学アグロ株式会社の市販品であり、殺虫剤組成物それぞれにおけるジノテフラン含有率は80000ppmであった。
なお、第3表において、ポリエーテル変性シリコーンオイル*1は商品名「KF−640」(HLB 14、信越化学工業株式会社製)であり、ポリエーテル変性シリコーンオイル*2は商品名「X−22−4515」(HLB 5、信越化学工業株式会社製)であり、モノアミン変性シリコーンオイル*3は商品名「KF−868」(信越化学工業株式会社製)である。
Figure 0005774875
第3表に示されるように、界面活性剤を含有しない殺虫剤組成物No.21及び22、並びに、農薬等に一般的に使用される界面活性剤を含有する殺虫剤組成物No.23〜27は浸透に早くても20分以上、大部分は30分以上を要した。これに対して、シリコーン系界面活性剤を含有する薬剤組成物28〜30は浸透に10分以下の短時間で、特にHLBが14又は5のポリエーテル変性シリコーンオイルを含有する殺虫剤組成物No.28及び29は浸透に10秒又は5分という極めて短時間で速やかにツバキの生木樹幹部に浸透することが分かった。
(試験例4)
殺虫剤組成物に含有されるシリコーン系界面活性剤の含有率が殺虫剤組成物の浸透性に与える影響を調べた。加害樹種ツバキの生木樹幹部(地表から15〜30cmの高さ)に木工用ドリルで開けた直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴に、第4表に示す殺虫剤組成物No.41〜46をマイクロピペッターにて1.0mL注入し、殺虫剤組成物1.0mL全量がツバキの生木に完全に浸透するまでの浸透時間を測定した。その結果を第4表に示す。なお、ジノテフラン液剤は三井化学アグロ株式会社の市販品であり、殺虫剤組成物それぞれにおけるジノテフラン含有率は80000ppmであった、また、試験例4においては、ジノテフラン濃度(殺虫剤組成物中の含有率)を80000ppmに一定にするため、その他の成分として蒸留水を必要に応じて第4表に示す含有率で含有させた。
Figure 0005774875
第4表に示されるように、シリコーン系界面活性剤を0.1〜10質量%含有する殺虫剤組成物No.41〜46はいずれも浸透に1分以下という短時間で速やかにツバキの生木に浸透することが分かった。また、殺虫剤組成物中のシリコーン系界面活性剤の含有率が多くなると浸透時間が短縮される反面、その浸透促進効果が鈍くなることも分かった。
(試験例5)
殺虫剤組成物に含有される殺虫成分を種々の成分に代えて殺虫剤組成物の浸透性を調べた。具体的には、加害樹種ツバキの生木樹幹部(地表から15〜30cmの高さ)に木工用ドリルで開けた直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴に、第5表に示す殺虫剤組成物No.51〜57をマイクロピペッターにて1.0mL注入し、殺虫剤組成物1.0mL全量がツバキの生木に完全に浸透するまでの浸透時間を測定した。その結果を第5表に示す。なお、試験例5においては、殺虫剤組成物No.57を除いて、殺虫成分の成分濃度(殺虫剤組成物中の含有率)を80000ppmに一定にするため、各液剤にその他の成分として蒸留水を第5表に示す含有率で添加した。第5表において、ポリエーテル変性シリコーンオイル*1は商品名「KF−640」(HLB 14、信越化学工業株式会社製)であり、ジノテフラン液剤は三井化学アグロ株式会社の市販品を、アセタミプリド液剤は日本曹達株式会社の市販品を、アセフェート液剤は住友化学園芸株式会社の市販品を、チアメトキサム液剤は井筒屋化学株式会社の市販品をそれぞれ用いた。このチアメトキサム液剤はチアメトキサムを4.0%(40000ppm)含有する特許文献2の樹幹注入用組成物に相当する薬剤である。
Figure 0005774875
第5表に示されるように、殺虫成分としてジノテフラン(ジノテフラン乳剤)、アセタミプリド(アセタミプリド液剤)及びアセフェート(アセフェート液剤)のいずれを用いても低級アルコール及びシリコーン系界面活性剤を含有する殺虫剤組成物No.51、53及び55は、低級アルコール及びシリコーン系界面活性剤を含有しない殺虫剤組成物No.52、54、56及び57に比して浸透時間が大幅に短縮され、浸透時間が1分以内という極めて短時間で浸透することが分かった。
(試験例6)
サクラ(ソメイヨシノ、樹齢10年)の生木樹幹部の地表から0.5mの地点に木工用ドリルで開けた直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴3個それぞれにチアメトキサム液剤(井筒屋化学株式会社製)又は第5表における殺虫剤組成物No.51を注入した。チアメトキサム液剤(チアメトキサム含有率40000ppm)はその使用液量(農林水産省登録第22050号)に従って1注入穴当りのチアメトキサム注入量が2400mgとなるように、各注入穴に60mLを専用ボトルで自然圧によって注入した。殺虫剤組成物No.51(ジノテフラン含有率80000ppm)は1注入穴当りのジノテフラン注入量が80mgとなるように、各注入穴にマイクロピペッターで1.0mL注入した。これらの殺虫剤組成物の全量がサクラの生木に完全に浸透するまでの浸透時間を各注入穴について測定し、その平均浸透時間を求めた。また、各殺虫剤組成物が注入穴に完全に浸透するか否かの注入成功率を求めた。さらに、このようにして各殺虫剤組成物を注入したサクラ生木の薬害の有無を注入後1ヶ月及び3ヶ月の時点で生木の葉(第6表において「葉」と表記する)及び注入穴について目視で評価した。この評価は、チアメトキサム液剤を注入するサクラの生木1本において3回反復試験し、また殺虫剤組成物No.51を注入するサクラの生木1本において3回反復試験した。これらの結果を第6表に示す。
Figure 0005774875
第6表に示されるように、殺虫剤組成物No.51は注入量が1.0mLと極めて少量で23秒というきわめて短時間で即座にサクラ生木に浸透し、注入成功率が100%でサクラの葉及び注入穴のいずれの時点においても薬害が確認されなかった。これに対して、チアメトキサム液剤は注入量が60mLと多く平均で10分の浸透時間を要し、注入後3ヶ月の時点でサクラの葉に薬害が確認された。
(試験例7)
サクラ(ソメイヨシノ、樹齢10年)に代えてツバキ(ヤブツバキ、樹齢10年)を処理対象木としたこと以外は基本的に試験例6と同様にして、ツバキに対する浸透時間、注入成功率及び薬害を評価した。
Figure 0005774875
第7表に示されるように、チアメトキサム液剤は注入量が60mLと多く平均で6分の浸透時間を要したのに対して、殺虫剤組成物No.51は注入量が1.0mLと極めて少量で12秒というきわめて短時間で即座にツバキ生木に浸透し、注入成功率が100%でツバキの葉及び注入穴のいずれの時点においても薬害が確認されなかった。
(試験例8)
サクラ(ソメイヨシノ、樹齢10年)に代えてカエデ(イロハモミジ、樹齢20年)を処理対象木としたこと以外は基本的に試験例6と同様にして、カエデに対する浸透時間、注入成功率及び薬害を評価した。
Figure 0005774875
第8表に示されるように、チアメトキサム液剤は注入量が60mLと多く平均で10分の浸透時間を要したのに対して、殺虫剤組成物No.51は注入量が1.0mLと極めて少量で13秒というきわめて短時間で即座にカエデ生木に浸透し、注入成功率が100%でカエデの葉及び注入穴のいずれの時点においても薬害が確認されなかった。
(試験例9)
胸高直径を測定したツバキ生木を9本選定して、これらを、第5表における殺虫剤組成物No.52(ジノテフラン液剤と蒸留水とを含有する組成物)を注入する第1グループ、第5表における殺虫剤組成物No.51を注入する第2グループ及び無処理の第3グループに3本ずつ3グループに群分けした。第1グループ及び第2グループのツバキ生木6本それぞれの生木樹幹部の地表から0.5m地点に直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴3個を木工用ドリルで開けた。第1グループの各ツバキ生木の注入穴それぞれに1注入穴当りのジノテフラン注入量が80mgとなるように1.0mLの殺虫剤組成物No.52をマイクロピペッターで注入した。また、第2グループの各ツバキ生木の注入穴それぞれに1注入穴当りのジノテフラン注入量が80mgとなるように1.0mLの殺虫剤組成物No.51をマイクロピペッターで注入した。
殺虫剤組成物No.52及び殺虫剤組成物No.51の全量がツバキ生木に完全に浸透するまでの浸透時間(平均値)を各ツバキ生木について算出した。また、殺虫剤組成物No.52及び殺虫剤組成物No.51が注入穴に完全に浸透するか否かの注入成功率を求めた。さらに、殺虫剤組成物No.52及び殺虫剤組成物No.51を注入した15日後及び30日後にツバキ生木の主幹部及び副幹部におけるチャドクガに対する防除効果又は駆除効果を確認した。チャドクガに対する防除効果又は駆除効果は、具体的には、ツバキ葉に寄生しているチャドクガ幼虫の殺虫率(%)で評価した。さらに、殺虫剤組成物No.52及び殺虫剤組成物No.51を注入した1ヵ月後及び3ヶ月後の時点でツバキ生木の薬害の有無を生木全体(第9表において「樹全体」と表記する)及び注入穴について目視で評価した。これらの結果を第9表に示す。
Figure 0005774875
第9表に示されるように、殺虫剤組成物No.52は注入量が1.0mLであったにもかかわらず50〜73分もの浸透時間(平均値)を要したのに対して、殺虫剤組成物No.51は10秒以下というきわめて短時間で即座にツバキ生木に浸透した。また、殺虫剤組成物No.51は注入成功率が100%で殺虫剤組成物No.52と同等の注入成功率を発揮することが分かった。さらに、殺虫剤組成物No.52を注入した第1グループのツバキ生木におけるチャドクガに対する防除効果又は駆除効果は30日を経過しても安定せず遅効性が確認されたのに対して、殺虫剤組成物No.51を注入した第2グループのツバキ生木におけるチャドクガに対する防除効果又は駆除効果は15日後でも安定した即効性が確認された。また、殺虫剤組成物No.52及び殺虫剤組成物No.51の注入1ヵ月後及び3ヶ月後の時点でツバキの生木全体及び注入穴のいずれの時点においても薬害が確認されなかった。
(試験例10)
胸高直径を測定したツバキ生木を2本選定して、これらを、第5表における殺虫剤組成物No.52(ジノテフラン液剤と蒸留水とを含有する組成物)を注入する第1グループ、及び、第5表における殺虫剤組成物No.51を注入する第2グループに群分けした。第1グループ及び第2グループのツバキ生木2本それぞれの生木樹幹部の地表から0.5m地点に直径8mm、深さ5cm、角度45°の注入穴4個を木工用ドリルで開けた。第1グループのツバキ生木の注入穴それぞれに1注入穴当りのジノテフラン注入量が80mgとなるように1.0mLの殺虫剤組成物No.52をマイクロピペッターで注入した。また、第2グループのツバキ生木の注入穴それぞれに1注入穴当りのジノテフラン注入量が80mgとなるように1.0mLの殺虫剤組成物No.51をマイクロピペッターで注入した。
第1グループ及び第2グループのツバキ生木のジノテフランの樹体内濃度を地表から直上に1.0m及び2.0mの地点でドリルにて木片(主幹部及び副幹部)を採取し、高速液体クロマトグラフィーにて測定した。具体的には、ツバキ生木において、地上高1.0m及び2.0mの地点における主幹部及び副幹部を分析部位として殺虫剤組成物No.52又は殺虫剤組成物No.51の注入15日後及び注入30日後に各分析部位におけるジノテフランの樹体内濃度を測定した。その結果を第10表に示す。
Figure 0005774875
第10表に示されるように、殺虫剤組成物No.51を注入したツバキ生木においては、いずれの分析部位においても、またいずれの時点においてもジノテフランの樹体内濃度が殺虫剤組成物No.52を注入したツバキ生木のジノテフランの樹体内濃度よりも高くなっており、殺虫剤組成物No.51は殺虫剤組成物No.52よりも殺虫成分であるジノテフランが高い樹体内移行性を示し、ツバキ生木に広範に移行することが分かった。
この発明に係る殺虫剤組成物及び殺虫方法は、高濃度の殺虫成分を迅速に直接投与すなわち注入できるので、樹体に速やかに浸透して樹木に大きな負荷をかけることなく害虫を効果的に防除又は駆除できる。この発明に係る殺虫剤組成物及び殺虫方法は、特に、公園、学校又は市街地等に植栽されている樹木又は街路樹に寄生する害虫を、周辺住民、通行人等に対する薬害等を懸念することなく、防除又は駆除できる。

Claims (5)

  1. 全質量に対して、5000〜250000ppmの殺虫成分と、10〜50質量%の炭素数1〜4のアルコールと、0.1〜10質量%のHLBが12〜20であるポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とを含有する殺虫剤組成物。
  2. 前記炭素数1〜4のアルコールが脂肪族アルコールである請求項1に記載の殺虫剤組成物。
  3. 前記炭素数1〜4のアルコールは、モノアルコールを含む請求項1又は2に記載の殺虫剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺虫剤組成物を樹体内に注入する殺虫方法
  5. 前記樹体に穿孔された注入孔1個当たり0.1〜5.0mLの前記殺虫剤組成物を注入する請求項4に記載の殺虫方法。
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