JP5769228B2 - 銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法 - Google Patents

銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法 Download PDF

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本発明は、銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の方法で得られた銀ナノワイヤーの表面に、ナノメートルサイズの粒子径を有するマグネタイト粒子を効果的に形成させることにより、磁性と導電性を両立させた銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法に関するものである。
磁性材料として、マグヘマタイト(γ−Fe23:三酸化二鉄)は、フェライト[MO・Fe23(Mは2価の金属イオン)]の製造原料や、それ自体が磁性体として、種々の磁石や電子材料等に使用されている。また、強磁性体である、マグネタイト(Fe34:四酸化三鉄)は、磁気テープや磁気ディスクや磁気ドラム等に塗布する磁性材料として使用されている。近年、このような磁性材料を有する機能性高分子化合物が様々な分野で利用されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
一方、導電材料として、金属中で最も導電性が高いことで知られている銀は、近年バルクだけの特性ではなく、サイズ効果、あるいは結晶形態をコントロールして、光学材料や電子材料等への応用が積極的に研究されている(例えば、非特許文献2参照)。その中でも、アスペクト比が高く、少ない添加量でのネットワーク形成に有効なナノワイヤーやナノロッドのような異方性フィラーは、複合材料のフィラーとして効果的である(例えば、非特許文献3参照)。
これら、2種の磁性、導電性を両立するような複合粒子については、特許文献2において、金属微粒子として磁性を有する材料を選定しているが、最も導電性の高い銀を用い、且つコンポジット材料として効果が得られやすい針状形態を有した結晶物として、マグネタイトのような磁性材料とを複合した材料については、これまで知られていない。
特開平8−12895号公報 特開平8−325098号公報
Nano Technology. 21, 085707(2010) Mater. Lett., 60, 834(2006) J. Appl. Phys., 106, 124310(2009)
本発明は、このような状況下になされたもので、導電性と磁性の両方の性質を示すと共に、その形態としてアスペクト比が高く、ワイヤー状である磁性・導電材料を効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、先に、特定の方法で得られた塩化銀を含む前駆体と、単糖類からなる還元剤とを、水媒体中において、所定の温度で加熱処理すること(ハイドロサーマル法とも云う)により、フロー式粒子像分析装置を用いた画像解析による測定において、平均(最大垂直長/最大長)比が、0.65程度以下になるような形状を有する異方性の銀ナノワイヤーを効率よく製造する方法を見出し、特許を出願した(特願2009−114671号明細書)。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、上記製造方法で作製し得る平均直径が特定の範囲にある銀ナノワイヤー表面に、平均粒子径が特定の範囲にあるマグネタイト粒子を形成させることにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)平均直径が20〜800nmの範囲にある銀ナノワイヤー表面に、平均粒子径が5〜500nmの範囲にあるマグネタイト粒子を形成させることを特徴とする、磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法、
(2)銀ナノワイヤーが、塩化銀を含む前駆体と、単糖類からなる還元剤とを水媒体中において、130〜200℃の温度で加熱処理するハイドロサーマル法により得られたものである上記(1)項に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法、
(3)銀ナノワイヤーを水系溶媒に分散して得られる銀ナノワイヤー水系分散液中に、第一鉄塩を添加し、次いで130〜200℃の温度で加熱処理するハイドロサーマル法により、前記銀ナノワイヤー表面にマグネタイト粒子を形成させる、上記(1)又は(2)項に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法、
(4)銀ナノワイヤーが、表層部にカルボキシル基を有する有機層が形成されてなるものである、上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法、
(5)第一鉄塩を、銀ナノワイヤー1質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で用いる、上記(3)項に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法、
(6)銀ナノワイヤー水系分散液中に、さらにアルカリ剤を、第一鉄塩に対するモル比が1〜15の範囲になるように添加する、上記(3)又は(5)項に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法、及び
(7)アルカリ剤がヒドラジン及び/又はヒドラジン誘導体である、上記(6)項に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、特定の方法で得られた銀ナノワイヤーの表面に、ナノメートルサイズの粒子径を有するマグネタイト粒子を効果的に形成させることにより、磁性と導電性を両立させた銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法を提供することができる。
本発明の方法で得られた銀/マグネタイト複合ワイヤーは、特に磁性、導電性、熱伝導性、電磁波シールド性材料などにおいて、少量の添加でネットワークを形成しうるフィラーとして有用である。
実施例1で得られた銀/マグネタイト複合ワイヤーの電界放出型走査電子顕微鏡写真図である。 比較例1で得られた材料の電界放出型走査電子顕微鏡写真図である。
本発明の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤー(以下、単に「銀/マグネタイト複合ワイヤー」と略称することがある。)の製造方法は、平均直径が20〜800nmの範囲にある銀ナノワイヤー表面に、平均粒子径が5〜500nmの範囲にあるマグネタイト粒子を形成させることを特徴とする。
一例としては、塩化銀を含む前駆体と、単糖類からなる還元剤とを水媒体中において、130〜200℃の温度で加熱処理するハイドロサーマル法により得られた銀/ナノワイヤーを用いる方法や、該銀ナノワイヤーを水系溶媒に分散して得られる水系分散液中に、第一鉄塩と、好ましくはアルカリ剤を添加し、次いで130〜200℃の温度で加熱処理するハイドロサーマル法により、前記銀ナノワイヤー表面にマグネタイト粒子を形成させる方法が挙げられる。
[銀ナノワイヤー水分散液の調製]
本発明の銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法においては、まず、銀ナノワイヤーを作製し、その水系分散液を調製する。
本発明における銀ナノワイヤーの作製方法においては、下記の方法で調製した塩化銀を含む前駆体と、単糖類からなる還元剤とを、水媒体中において、130〜200℃の温度で加熱処理する(ハイドロサーマル法)。
(塩化銀を含む前駆体の調製)
前記銀ナノワイヤーは、フロー式粒子像分析装置を用いた画像解析による測定における、平均(最大垂直長/最大長)比が0.65以下であることが好ましく、以下の手順により形成することができる。
まず以下に示す方法により、塩化銀を含む前駆体を調製する。
すなわち、濃度0.01〜0.10モル/L程度の銀塩水溶液と、濃度0.10〜0.70モル/L程度の塩素含有物水溶液とを、銀塩と塩素含有物のモル比が1:1〜1:7程度になるように用い、かつ前記の銀塩水溶液と塩素含有物水溶液との合計量に対して、新たに水媒体を3〜10体積倍程度加えることにより、塩化銀を含む前駆体を調製する。
前記銀塩水溶液としては、得られる銀ナノワイヤーにおける異方性などの性状の観点から、硝酸銀水溶液が好ましく、またその濃度は0.01〜0.05モル/Lの範囲が好ましい。
前記塩素含有物水溶液としては、得られる銀ナノワイヤーにおける異方性などの性状の観点から、アルカリ金属塩化物水溶液が好ましく、さらに塩化ナトリウムがより好ましく、また塩酸も好ましく用いられる。また、その濃度は、0.10〜0.5モル/Lの範囲が好ましい。
さらに、得られる銀ナノワイヤーにおける異方性などの性状の観点から、前記銀塩と塩素含有物のモル比は1:2〜1:5の範囲が好ましく、また、新たに加える水媒体の量は、前記の銀塩水溶液と塩素含有物水溶液との合計量に対して、4〜7体積倍が好ましい。
本発明においては、このようにしてコロイド状の塩化銀が生成された分散液が調製される。この分散液を前駆体とし、該前駆体液と、単糖類からなる還元剤とを、130〜200℃の温度で加熱処理すること(ハイドロサーマル法)により、異方性の銀ナノワイヤーを製造する。
(単糖類)
塩化銀に対する還元剤として用いられる単糖類としては特に制限はなく、例えばグルコース、フルクトース、キシロース、ソルボース、ガラクトースなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、得られる銀ナノワイヤーにおける異方性などの性状の観点から、グルコース及び/又はフルクトースが好ましい。
また、当該単糖類の使用量は、還元剤としての効果の観点から、前記銀塩水溶液中の銀塩と当該単糖類とのモル比が1:1〜1:10になるような量が好ましく、1:1.5〜1:5になるような量がより好ましい。
(加熱処理条件)
本発明においては、前記のコロイド状塩化銀を含む前駆体液と単糖類からなる還元剤とを混合して、130〜200℃の温度で加熱処理する。この温度が130℃未満では、塩化銀の金属体への還元が進行しにくく、一方200℃を超えると還元された金属体の再融着が進行するため、得られる銀ナノワイヤーの径が大きくなる傾向がある。
好ましい加熱処理温度は、使用する単糖類の分解温度近辺であり、例えば単糖類としてグルコースを使用する場合には、150〜200℃の範囲の温度が好ましく、フルクトースを使用する場合には、130〜180℃の範囲の温度が好ましい。
反応装置としては、耐圧密閉容器を用い、反応圧力は自発圧力でよい。反応時間は反応温度などに左右され、一概に定めることはできないが、通常20〜72時間程度で充分である。
このようにして得られた反応液に、遠心分離などの固液分離手段を施したのち、固相を水洗処理することにより、目的の異方性の銀ナノワイヤーを取得することができる。
(銀ナノワイヤーの性状)
得られる異方性の銀ナノワイヤーの平均直径及び平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)写真により求めることができ、平均直径は、通常20〜800nm程度、平均長さは、通常20〜100μmであり、平均アスペクト比(平均長さ/平均直径)は50〜250程度である。
また、得られるナノワイヤーが銀であることは、X線回折(XRD)により、確認することができる。
また、当該銀ナノワイヤーは、通常その表層部に上記還元剤由来と思われる厚さ数10nm程度のカルボキシル基を有する有機層が形成されており、したがって後述のマグネタイト粒子を当該銀ナノワイヤー表面に形成させる際に、該カルボキシル基とその相互作用により、上記マグネタイト粒子が効果的に、当該銀ナノワイヤー表面に形成される。なお、カルボキシル基の存在は、X線光電子分光分析(XPS)により確認することができる。
本発明においては、このようにして得られた銀ナノワイヤーから、平均直径が20〜800nm、好ましくは100〜500nmの範囲にある銀ナノワイヤーを選択し、水系溶媒に分散することにより、銀ナノワイヤー水系分散液を調製する。この水系分散液は、超音波を用いて調製することが好ましい。この際、銀ナノワイヤー水系分散液の濃度は、銀ナノワイヤーの分散性を良好にすると共に、該銀ナノワイヤー表面へのナノメートルサイズのマグネタイト粒子を均質に形成させる観点から、0.01〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、0.05〜0.10質量%の範囲にあることがさらに好ましい。水系溶媒には蒸留水が好ましく用いられる。
本発明の銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法においては、前述のようにして調製された銀ナノワイヤー水系分散液中に、マグネタイトの原材料としての第一鉄塩、好ましくはさらにアルカリ剤が添加され、130〜200℃程度の温度で5〜10時間程度加熱処理(ハイドロサーマル法)される。
[第一鉄塩]
第一鉄塩としては、水溶性塩であるものが好ましく、例えば硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、塩化第一鉄、酢酸第一鉄などが挙げられる。これらは無水物であってもよく、水和物であってもよい。また、これらの第一鉄塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該第一鉄塩は、銀ナノワイヤー水系分散液中に、銀ナノワイヤー1質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.7〜7.0質量部の割合で添加され、室温、好ましくは20〜30℃程度の温度において、1時間以上撹拌することにより、第一鉄塩を含む前駆体を調製することが望ましい。撹拌時間が1時間未満の場合には、銀ナノワイヤー表面に存在するカルボキシル基との相互作用が充分に発揮されず、銀ナノワイヤー表面以外へのマグネタイト粒子の形成が増加する。
また、第一鉄塩の量が上記の範囲にあれば、銀ナノワイヤー表面にマグネタイト粒子が均一に形成し、得られる銀/マグネタイト複合ワイヤーは、導電性と磁性とが両立したものとなる。
[アルカリ剤]
本発明の銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法においては、前記第一鉄塩を含む銀ナノワイヤー水系分散液中に、さらに前記アルカリ剤を添加する方法を採用することができる。
このアルカリ剤としては、反応系のpHを7以上に保持し得ると共に、還元機能を有する化合物が好適である。このような化合物としては、特にヒドラジン及び/又はヒドラジン誘導体が好ましく、ヒドラジン誘導体としては、例えばメチルヒドラジンやフェニルヒドラジンなどを挙げることができる。
その他、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素化合物、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸化合物、ヒドロキシルアミン、アミンボラン類なども用いることができる。
アルカリ剤として、ヒドラジンやその誘導体以外の還元機能を有する化合物を用いる場合、反応系のpHを7以上に保持するために、必要に応じて水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を添加してもよい。なお、この場合、pH11以下に抑えることが肝要である。pHが11を超えると、形成されるマグネタイト粒子が、粒径10nm以下の結晶性の悪い粒子を含む粒度分布の低いものとなる。
本発明において、アルカリ剤としてヒドラジンを用いた場合には、下式のようにヒドラジンが酸化剤及び還元剤として働き、ヒドラジンを添加することでFe2+をFe3+へ酸化させることが可能となり、Fe34を形成することが可能となる。
酸化反応 N24+2H2O+2e-→2NH3+2OH-
還元反応 N24+4OH-→N2+4H2O+4e-
この場合、アルカリ剤であるヒドラジンの使用量は、第一鉄塩に対するモル比が1〜15となる量であることが好ましい。なお、溶液中のpHが7より低い場合には、α−酸化第二鉄やゲーサイトがマグネタイト中に混在し、マグネタイトの純度が低下する。
また、特開2004−182526号公報に記載されているような、Fe3+とFe2+が混在した水溶液に、アルカリを添加し、加熱熟成してFe34を共沈法により形成することも可能である。
このようにして、平均直径が20〜800nmの範囲にある銀ナノワイヤー表面に、平均粒子径が5〜500nmの範囲にあるマグネタイト粒子を形成させてなる、導電性と磁性の両方を備えた銀/マグネタイト複合ワイヤーを得ることができる。
当該銀/マグネタイト複合ワイヤーは、特に導電性、熱伝導性、電磁波シールド性材料などにおいて、少量の添加でネットワークを形成し得るフィラーとして有用である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1
テフロン製内筒へ30mlの脱イオン水を入れ、これに銀塩原料として0.02モル/L硝酸銀水溶液5mlと塩素含有物として0.2モル/L塩化ナトリウム水溶液1.0mlを滴下し、単糖の還元剤としてグルコースを0.4ミリモル添加した。その後、テフロン製内筒をステンレス製の耐圧反応器へ入れた後、160℃にて24時間反応させた。さらに、得られた反応液を遠心分離機[(株)久保田製作所製、機種名「卓上小型遠心機」](40000rpm、40分間)により沈殿物を取り出して純水で洗浄し、遠心分離、洗浄の工程を3回繰り返した。
その後、得られた沈殿物をSEM観察にて確認したところ、直径50〜500nm程度(平均直径284nm)のナノワイヤー構造を有する物質を確認することができた。さらに得られた沈殿物のXRD回折を確認したところ、得られたものが銀であることが確認された。また、ナノワイヤー構造を有する物質の表面をXPS分析したところ、カルボキシル基の存在が確認された。
実施例1
製造例1で得られた銀ナノワイヤー20.0mgを、蒸留水30g中に添加し、超音波処理を約5分間行い、銀ナノワイヤー水系分散液を調製した。その後、該水系分散液に、硫酸第一鉄七水和物(FeSO4・7H2O)14.0mgを添加して1時間撹拌した。さらに、アルカリ剤としてヒドラジン一水和物(和光純薬工業(株)製、80質量%)16.0mgを添加して、5分間撹拌した。このときの反応系のpHは9であった。次いで、このものを耐圧容器へ投入し、150℃雰囲気下にて7時間反応させた。
反応終了後のサンプルを遠心分離機にかけて沈殿物を採取し、蒸留水で数回洗浄したものを、試験用サンプルとした。
実施例2
実施例1において、硫酸第一鉄七水和物の添加量を55.6mgに変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、試験用サンプルを作製した。
比較例1
実施例1において、製造例1で得られた銀ナノワイヤーの代わりに、市販の銀パーティクル20.0mgを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、試験用サンプルを作製した。
実施例1、実施例2及び比較例1で作製した試験用サンプルについて、下記の試験1、試験2、試験3及び試験4を実施した。その結果を第1表に示す。
<試験1:形態観察>
電界放出型走査電子顕微鏡[日立製作所(株)製、機種名「S−5000型」]を用いて、電子顕微鏡像を撮影した。
<試験2:複合ワイヤーの材質の確認>
X線回折装置[理学(株)製、機種名「RU200B型」]を用いてX線回折(XRD)を行い、銀及びマグネタイトであることを確認した。
<試験3:複合ワイヤー表面の確認>
X線光電子分光分析[(株)島津製作所製、機種名「KRATOS AXIS−ULTRA DLD」]によりX線光電子分光分析(XPS)を行い、カルボキシル基の有無を確認した。X線にはMgKα線(1256.6eV、10mA、15kV)を用いた。
<試験4:磁石への吸着性>
10mlガラス製スクリュー管(φ18mm)へ作製した複合ワイヤー0.01gとイソプロピルアルコール(IPA)5gを添加し、超音波処理を5分間行い、懸濁溶液を作製した。その後、スクリュー管側面下部に(株)マグファイン製ネオジム磁石(φ20.5mm×9mm<厚み>、磁束密度;281mT)を固定し、懸濁しているフィラーが磁石へ引き寄せられる否かを確認した。また、磁石を固定して1分後の上澄み液をスポイトにて採取し、紫外−可視−近赤外分光光度計[日立製作所(株)製「U−3500」]を用いて、UV−VIS測定を行い、上澄み液の550nmにおける透過率を測定した。銀/マグネタイト複合ワイヤーの磁石への吸着性が強いほど、上澄み液中の銀/マグネタイト複合ワイヤー濃度が低くなり、該透過率が高くなる。
本発明の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法は、特定の方法で得られた銀ナノワイヤーの表面に、ナノメートルサイズの粒子径を有するマグネタイト粒子を効果的に形成させることにより、磁性と導電性を両立させた銀/マグネタイト複合ワイヤーを効率よく製造する方法である。
本発明の方法で得られた銀/マグネタイト複合ワイヤーは、特に磁性、導電性、熱伝導性、電磁波シールド性材料などにおいて、少量の添加でネットワークを形成しうるフィラーとして有用である。

Claims (7)

  1. 平均直径が20〜800nmの範囲にある銀ナノワイヤー表面に、平均粒子径が5〜500nmの範囲にあるマグネタイト粒子を形成させることを特徴とする、磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法。
  2. 銀ナノワイヤーが、塩化銀を含む前駆体と、単糖類からなる還元剤とを水媒体中において、130〜200℃の温度で加熱処理するハイドロサーマル法により得られたものである請求項1に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法。
  3. 銀ナノワイヤーを水系溶媒に分散して得られる銀ナノワイヤー水系分散液中に、第一鉄塩を添加し、次いで130〜200℃の温度で加熱処理するハイドロサーマル法により、前記銀ナノワイヤー表面にマグネタイト粒子を形成させる、請求項1又は2に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法。
  4. 銀ナノワイヤーが、表層部にカルボキシル基を有する有機層が形成されてなるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法。
  5. 第一鉄塩を、銀ナノワイヤー1質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で用いる、請求項に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法。
  6. 銀ナノワイヤー水系分散液中に、さらにアルカリ剤を、第一鉄塩に対するモル比が1〜15の範囲になるように添加する、請求項3又は5に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法。
  7. アルカリ剤がヒドラジン及び/又はヒドラジン誘導体である、請求項6に記載の磁性を有する銀/マグネタイト複合ワイヤーの製造方法。
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