JP5767795B2 - ブタジエンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブタジエン(以後、ブタジエンと表記)の製造方法に関する。
n−ブテンと酸素の接触酸化脱水素反応によりブタジエンを製造する方法はよく知られており、その酸化脱水素反応に用いられる触媒は多数提案されている。
化学工業において重要な反応は、ガス−固体といった二相が関わる不均一反応であり、アンモニア合成、エチレンオキサイド合成、石油の接触分解などが工業的に酸化物触媒を用いた不均一反応として知られている。
酸化物触媒が用いられる反応方式には、固定層、流動層及び移動層がある。これらの内、固定層反応方式は、ガスの流動状態が押し出し流れに近く、反応収率を高くできるという利点を活かし、工業的に多く採用されている。ところが、固定層反応方式は伝熱性が低く、除熱や加熱が必要な発熱反応や吸熱反応には不向きであり、特に酸化反応のような激しい発熱反応では、温度が急激に上昇し制御困難に陥り、反応が暴走する恐れがあるという問題がある。さらに、こうした急激な温度上昇によって、触媒がダメージを受け、早期に劣化してしまうという問題もある。
これに対し、流動層反応方式は、反応器内を触媒粒子が激しく流動することで(1)伝熱性が高く、大きな発熱や吸熱を伴う反応時も反応器内温度をほぼ均一に保ち、過度の反応進行を抑制できる、(2)エネルギーの局所蓄積が抑制されるため、爆発範囲内の原料ガスを反応させることが可能で、原料濃度を高めて生産性を向上させられる、という利点がある。従って、流動層反応方式は強度の発熱反応である炭化水素の酸化脱水素反応に適した反応方式である。例えば、ブテンからブタジエンを合成する酸化脱水素反応は、約30kcal/molの発熱反応である。
以上のような流動層反応方式の有利な点が知られているにも拘らず、一般にブテンをブタジエンに転化する場合、固定床触媒を用いた例が記載されたものが多い。これは、目的生成物であるブタジエンの反応性が非常に高いため、反応器出口に到達するまでに反応器内で燃焼分解を受け易いという問題が、生成物が触媒に接触してしまう流動層反応方式において一層顕著になってしまうためであると推察される。これに対し、特開2010-120933号には、特定の金属を含む触媒を使用し、反応器温度、反応器出口ガス中の酸素濃度を特定の範囲にすることで、流動層反応により炭素数4以上のモノオレフィンからジオレフィンを製造する方法が開示されている。
特開2010-120933号
流動層反応によるブタジエン製造を工業的に実施する場合、反応ガスの精製工程には、急冷塔と呼ばれる装置に導入して急速に冷却する工程が含まれる。急冷を含む精製の各工程における問題点は、実験室的な規模で検討しても把握できない場合が多い。そのため本発明者は、工業的な規模にスケールアップした場合に生じる課題が想定できる規模で流動床反応器と急冷塔を用いて反応ガスの急冷を行った結果、急冷塔ボトム(塔底)抜出液に固体の析出があること、急冷塔からの流出ガス中に固形分が含まれていることが判り、急冷塔を安定に運転することが困難であることが判った。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、流動層反応器内で、触媒にn−ブテンを接触させて製造したブタジエンを含む反応ガスを急冷塔において急冷する工程において、急冷塔を特定の構造とし、加えて、急冷塔の循環液をアルカリ性にすることで、急冷塔ボトム抜出液の固体の析出、及び急冷塔からの流出ガスに含まれる固形分を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 流動層反応器内で、触媒にn−ブテンを接触させて生成したブタジエンを含む反応ガスを急冷する工程を有するブタジエンの製造方法であって、2区画以上の急冷塔を使用し、各区画で循環液を循環させ、前記急冷塔の循環液がIa族の水酸化物、及びアンモニアから選ばれる少なくとも1種を含むブタジエンの製造方法。
[2] [1] に記載のブタジエンの製造方法において、前記急冷塔の最下段区画の抜出液のpHを7〜8にする方法。
[3] 前記急冷塔の最下段より上部の区画段の循環液のpHを7.2〜9に制御する[1] 又は[2] に記載のブタジエンの製造方法。
[4] 前記急冷塔が3区画以上の多段急冷塔であり、最下段区画の上部に設けられた区画段の循環液のpHを7.5〜8.5に制御する[1] 〜[3] のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
[5] 前記循環液がナトリウムを含む[1] 〜[4] のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
[6] 前記急冷塔の各区画でそれぞれ独立に循環液のpHを制御する[1] 〜[5] のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
[7] 前記触媒が、Mo、Bi、及びFeを含む酸化物を担体に担持した触媒である[1] 〜[6] のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
本発明によると、急冷塔ボトム抜出液の固体の析出、及び、急冷塔からの流出ガスに含まれる固形分を抑制できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[1] ブタジエンの製造方法
(1)原料
原料は、炭素数4のモノオレフィンであるn−ブテンであり、具体的には、1−ブテン、2−ブテンが該当する。1−ブテンと2−ブテンの比率には特に制限が無く、1−ブテンは0〜100質量%、2−ブテンは100〜0質量%の範囲で任意に用いることができる。また、2−ブテンにはトランス体とシス体があるが、この比率もそれぞれ100〜0質量%、0〜100質量%の範囲で任意に用いることができる。この原料は、i−ブテンを含むことも出来る。このi−ブテンはn−ブテンに対して10質量%以下、好ましくは0.1〜6質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%である。また、この原料はn−ブタン、i−ブタン、炭素数が3以下の炭化水素、炭素数が5以上の炭化水素を含んでいても良く、n−ブテンの濃度は40質量%以上、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上の原料を用いることが好ましい。この原料は、例えば、ナフサ熱分解で副生するC4留分からブタジエンを抽出した残留成分や重油留分の流動接触分解(FCC)で副生するC4留分、エチレン又はエタノ−ルの接触転化反応で副生するC4留分などからi−ブテンをTBA、MTBE、ETBE、2量化反応による炭素数8の化合物とする方法により分離することで得ることができる。また、n−ブタンの脱水素反応又は酸化脱水素反応により得られるn−ブテン、また、エタン熱分解やエタノールの脱水反応により得られるエチレンの接触転化反応で副生するn−ブテンなどを使用することができる。このエタノールはバイオマス由来のエタノールも好適な原料として使用することが出来る。
流動床反応器に供給する原料混合ガス中のn−ブテン濃度は、ブタジエンの生産性の観点で、少なくとも2容量%以上が好ましく、触媒への負荷を抑える観点で30容量%以下が好ましい。より好ましくは3〜25容量%、更に好ましくは5〜20容量%である。n−ブテンの濃度が高いと触媒に反応生成物やコークの析出が増加し、触媒の劣化による触媒寿命が短くなる傾向にある。また、n−ブテンの濃度が低いとブタジエンの製造量が少なく、実際上の利点がない。
原料混合ガスはパラフィン、水、スチーム、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素等を含んでいてもよい。パラフィンの例として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンを挙げることができる。更に、反応生成物から目的生成物であるブタジエンを分離した後、回収した未反応ブテンの少なくとも一部を流動層反応器にリサイクルすることもできる。原料混合ガス中は水を30容量%以下で、好ましくは20容量%以下、更に好ましくは10容量%以下で含むことも好ましい態様の一つである。
(2)反応器
n−ブテンの酸化脱水素反応によるブタジエンの製造は、流動層反応方式で行われる。
流動層反応器は、反応器内にガス分散器・内挿物・サイクロンをその主要構成要素として有し、触媒を流動させつつ、原料であるガスと接触させる構造である。流動床ハンドブック(株式会社培風館刊、1999年)等に記載の流動層反応器であれば使用可能であるが、特に気泡流動層方式の反応器が適している。発生する反応熱の除熱は反応器に設置した冷却管を用いて行う。この冷却管は濃厚層及び希薄層に配置され、目的の温度を実現する為に操作されるのが好ましい。
(3)反応条件
n−ブテンと酸素が反応に供される。酸素源としては通常、空気を用いるが、酸素を空気と混合するなどして酸素濃度を高めたガス、又は空気と窒素、ヘリウム、反応生成ガスからブタジエン、n−ブテン、n−ブタン、i−ブタンなどの炭化水素化合物を分離した後のガスなどを混合して酸素濃度を低めたガス、また、酸素分離膜などを用いた分離方法により製造した酸素濃度を高めたガス、又は、酸素濃度を低めたガスなどを用いることもできる。n−ブテンに対する酸素のモル比は0.5〜1.5(空気/n−ブテン比として2.5〜7.5)とするのが好ましく、より好ましくは0.6〜1.3(空気/n−ブテン比として3.0〜6.5)の範囲である。
反応に供するガスが上記の比率となる限り、n−ブテンと酸素の導入方法は限定されない。触媒を充填した反応器へ、n−ブテンを含むガスと、空気又は酸素濃度を高めたガス又は酸素濃度を低めたガスを予め混合して導入しても良いし、それぞれ独立して導入してもよい。反応に供するガスは反応器に導入した後に所定の反応温度に昇温することもできるが、連続して効率的に反応させるために、通常は予熱して反応器に導入する。
流動床反応器の濃厚層の温度は320〜400℃であり、希薄層の温度は濃厚層の温度に対して−50〜+20℃で制御するのが好ましい。濃厚層温度を320℃以上にすることで、濃厚層温度を維持し易く、モノオレフィンの転化率を保って、安定に運転を継続できる。濃厚層温度を400℃以下にすることで生成した共役ジオレフィンの燃焼分解を抑制することができる。流動床反応器の濃厚層の好ましい温度は330〜390℃であり、更に好ましくは340〜380℃である。ブタジエンの製造反応は発熱反応であるので、流動床反応器の濃厚層及び希薄層の温度を上記の範囲となるように、冷却管による反応熱の除去、又は、加熱装置による給熱、供給する原料ガスの余熱などにより制御する。
反応圧力は0.01〜0.4MPa/Gが好ましく、より好ましくは0.02〜0.3MPa/G、更に好ましくは0.03〜0.2MPa/Gである。原料混合ガスと触媒との接触時間は0.5〜20g・sec/ccが好ましく、より好ましくは1〜10g・sec/ccである。
生成したブタジエンを含むガスは、反応器出口から流出する。反応器出口ガス中の酸素濃度は、反応器内における目的生成物の分解や二次反応に影響するので、本発明の範囲に制御することが重要である。反応器出口ガス中の酸素濃度は、反応器に供給する原料ガスであるn−ブテンの量、酸素供給源となるガスの量、反応温度、反応器内の圧力、触媒量、反応器に供給する全ガス量などを変更することによって、調整することができる。好ましくは、反応器に供給する酸素供給源となるガス、例えば、空気の量を制御することによって制御する。
反応器出口ガス中の酸素濃度を0.05〜1.5容量%に維持することにより、反応器内における触媒の還元及び目的生成物の分解を有効に防止でき、安定に目的生成物を製造できる。反応器出口ガス中の酸素濃度は、熱伝導型検出器(TCD)を備えたガスクロマトグラフィーで測定することができる。
(4)急冷工程
急冷塔は2区画以上を有する多段急冷塔であり、3段以上の区画を有するものが好ましい。
急冷塔の循環液は、Ia族、IIa族及びアンモニアから選ばれる少なくとも1種を含む。循環液はこれらの元素の単体を含んでもよいし、化合物を含んでもよいし、金属塩を含んでもよい。循環液は一般的には水溶液である。
急冷塔の最下段抜出液のpHは7〜8に制御するのが好ましい。Ia族、IIa族及びアンモニアから選ばれる少なくとも1種を含有する量を調整することで、抜出液のpHを制御することができる。Ia族、IIa族及びアンモニアから選ばれる少なくとも1種のうち好ましいのは、ナトリウム、カリウム、及びアンモニアであり、より好ましくはナトリウムである。
急冷塔の最下段区画より上部の区画段の循環液のpHは7.2〜9にするのが好ましく、7.5〜8.5に制御することより好ましい。最下段、最下段より上段のいずれにおいても、各区画には空塔、トレイ又は充填物を充填することができる。
循環液の噴霧にはスプレーノズルを用いるのが好ましい。スプレーノズルの個数や配置は、循環液とガスの接触等を考慮して適宜決定すれば良い。
[2]触媒
(1)構造
流動層反応により比較的高い収率でブタジエンを得る観点で、酸化物を担体に担持した触媒は、担体と、Mo、Bi及びFeを含むのが好ましい。Mo、Bi及びFeの組成は合目的な酸化物を形成するように調節されており、この酸化物中の格子酸素によって、n−ブテンからブタジエンの酸化脱水素反応が行われると考えられる。一般に、触媒中の格子酸素が酸化脱水素反応に消費されると、酸化物中に酸素空孔が生じる結果、反応の進行に伴って酸化物の還元も進行し、触媒活性が失活していくので、触媒活性を維持するためには、還元を受けた酸化物を速やかに再酸化することが必要である。Mo、Bi及びFeを含む酸化物は、n−ブテンからブタジエンの酸化脱水素反応に対する反応性に加え、気相中の酸素を解離吸着して酸化物内に取り込み、消費された格子酸素の再生を行う再酸化作用にも優れていると考えられる。従って、長期にわたって反応を行う場合でも、格子酸素の再酸化作用が維持され、触媒は失活することなく、n−ブテンからブタジエンを安定に製造できるものと考えられる。
Mo、Bi及びFeを含む酸化物を担体に担持した触媒を、流動層方式によるブタジエンの製造に用いると、生成物であるブタジエンの燃焼分解や二次反応による含酸素化合物の生成の抑制に有利で、高い収率でブタジエンを得ることができる。詳細は不明ではあるがその理由として、(1)触媒の酸性度が好適であるため、触媒上におけるブタジエンの燃焼分解や二次反応が低い、(2)生成したブタジエンに対する反応活性点の吸着能が小さいため、ブタジエンは生成した後、反応活性点において分解や反応を受ける前に速やかに脱離する、などが考えられる。
Mo、Bi及びFeが合目的な酸化物を形成し易いためのこれらの組成比は、Moの原子比12に対するBiの原子比p、Feの原子比qが、0.1≦p≦5、0.5≦q≦8であると考えられる。
酸化物がMo、Bi及びFe以外の金属を含有する場合、実験式:
Mo12BiFe
(式中、Aはニッケル及びコバルトから選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアルカリ金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素、Cはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、Dは少なくとも1種の希土類元素、Eはクロム、インジウム及びガリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、p、q、a、b、c、d、e、及びxはそれぞれモリブデン12原子に対するビスマス、鉄、A、B、C、D、E及び酸素の原子比を表し、0.1≦p≦5、0.5≦q≦8、0≦a≦10、0.02≦b≦2、0≦c≦5、0≦d≦5、0≦e≦5であり、xは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
で表されるのが好ましい。本明細書中、「実験式」は、当該式に含まれる金属の原子比と、その原子比及び酸化数の総計に応じて要求される酸素とからなる組成を表す。様々な酸化数をとりうる金属を含む酸化物において、酸素の原子数を特定することは実質的に不可能であるため、酸素の数は形式的に「x」で表すこととしている。例えば、Mo化合物、Bi化合物及びFe化合物を含むスラリーを調製し、それを乾燥及び/又は焼成して酸化物を得る場合、スラリーに含まれる金属の原子比と、得られる酸化物中の金属の原子比とは実質的に同じと考えてよいので、スラリーの仕込み組成式にOを付加したものが、得られる酸化物の実験式である。なお本明細書中、上述のスラリーの仕込み組成のように、意図的にコントロールした成分とその比率を表す式を「組成式」と呼ぶので、上述の例の場合、実験式からOを除いたものが「組成式」である。
A、B、C、D及びEで表される成分の役割は限定的ではないが、Mo、Bi及びFeを必須成分とする酸化物触媒の分野では、概ね次のように推定されている。すなわち、A及びEは触媒の活性を向上させ、B及びCはMo、Bi及びFeを含む合目的な酸化物の構造の安定化させ、Dは酸化物の再酸化という影響を与えると考えられている。p、q、a、b、c、d、eが好ましい範囲であると、これらの効果が一層高いと期待できる。
上記組成式において、より好ましい組成としては、0.1≦p≦0.5、1.5≦q≦3.5、1.7≦a≦9、0.02≦b≦1、0.5≦c≦4.5、0.02≦d≦0.5、0≦e≦4.5であり、さらに好ましい組成としては、Bがルビジウム、カリウム又はセシウム、Cがマグネシウム、Dがセリウムであり、0.15≦p≦0.4、1.7≦q≦3、2≦a≦8、0.03≦b≦0.5、1≦c≦3.5、0.05≦d≦0.3、0≦e≦3.5である。Aがニッケル、Bがルビジウム、カリウム又はセシウム、Cがマグネシウム、Dがセリウムの場合、共役ジオレフィン収率がより高く、かつその燃焼分解が良好に抑制され、また触媒に対して還元劣化に対する耐性を付与することができる傾向がある。
担体は、担体と酸化物の合計に対して30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%の範囲で有効に用いることができる。Mo、Bi及びFeを含有する酸化物を含む担持触媒は、公知の方法、例えば原料スラリーを調製する第1の工程、該原料スラリーを噴霧乾燥する第2の工程、及び第2の工程で得られた乾燥品を焼成する第3の工程を包含する方法によって得ることができる。担体は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアが好ましく、より好適な担体はシリカである。シリカは他の担体に比べ不活性な担体であり、目的生成物に対する触媒の活性や選択性を低下させることなく、触媒と良好な結合作用を有する。加えて、酸化物を担体に担持することによって、粒子形状・大きさ・分布、流動性、機械的強度といった、流動層反応に好適な物理的特性を付与することできる。
(2)製造方法
原料スラリーを調製する第1の工程、該原料スラリーを噴霧乾燥する第2の工程、及び第2の工程で得られた乾燥品を焼成する第3の工程からなる、触媒の製造法の好ましい態様について、Mo、Bi及びFeを含む触媒を例にとって説明する。
第1の工程では、触媒原料を調製して原料スラリーを得るが、モリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、コバルト、アルカリ金属元素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、マンガン、希土類元素、クロム、インジウム、ガリウムの各元素の元素源としては、水又は硝酸に可溶なアンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、有機酸塩などを挙げることができる。特にモリブデン源としてはアンモニウム塩が、ビスマス、鉄、ニッケル、アルカリ元素、マグネシウム、亜鉛、マンガン、希土類元素、各元素の元素源としては、それぞれの硝酸塩が好ましい。上述の通り、酸化物の担体としてシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化物を用いることができるが、好適な担体としてはシリカが用いられ、シリカ源としてはシリカゾルが好ましい。シリカゾルの不純物に関して、好ましくは、ケイ素100原子当たり0.04原子以下のアルミニウムを含むシリカソゾルを用い、さらに好ましくは、ケイ素100原子当たり0.02原子以下のアルミニウムを含むシリカゾルを用いる。原料スラリーの調製は、水に溶解させたモリブデンのアンモニウム塩をシリカゾルに添加し、次に、ビスマス、希土類元素、鉄、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、マンガン、アルカリ元素の各元素の硝酸塩を水又は硝酸水溶液に溶解させた溶液を加えることによって行うことができる。このようにして、原料スラリーを調製することができる。その際、上記の添加の順序を変えることもできる。
第2の工程では、上記の第1工程で得られた該原料スラリーを噴霧乾燥して、球状粒子を得る。原料スラリーの噴霧化は、通常工業的に実施される遠心方式、二流体ノズル方式及び高圧ノズル方式等の方法によって行うことができるが、特に遠心方式で行うことが望ましい。次に、得られた粒子を乾燥するが、乾燥熱源としては、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。乾燥機入口の温度は100〜400℃、好ましくは150〜300℃である。
第3の工程では、第2の工程で得られた乾燥粒子を焼成することで所望の触媒を得る。乾燥粒子の焼成は、必要に応じて150〜500℃で前焼成を行い、その後500〜700℃、好ましくは520〜700℃の温度範囲で1〜20時間行うのが好ましい。焼成は回転炉、トンネル炉、マッフル炉等の焼成炉を用いて行うことができる。触媒の平均粒子径は40〜70μmであり、触媒粒子の90%以上の粒子が20〜100μmの範囲に分布していることが好ましい。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。実施例及び比較例において、反応成績を表すために用いたn−ブテン転化率、ブタジエン選択率及び収率は次式で定義される。
n−ブテン転化率(%)=(反応したn−ブテンのモル数)/(供給したn−ブテンのモル数)*100
ブタジエン選択率(%)=(生成したブタジエンのモル数)/(反応したn−ブテンのモル数)*100
ブタジエン収率(%)=(生成したブタジエンのモル数)/(供給したn−ブテンのモル数)*100
流動層反応器として、内径0.6m、高さ17mで内部に2段型のサイクロンと高さ方向に対してほぼ均等に4段に分けて設置した複数の冷却管を有する炭素鋼製の反応器を用いた。急冷塔は内径0.5m、高さ3.75mのSUS304製で1段及、2段及び3段の区画を有するものを用いた。
反応温度は濃厚層の温度は流動床下部から0.25m〜0.5mの位置に設置した熱電対4点による測定値の平均値とし、希薄層温度はサイクロン入口(流動床下部から16.0m)と同一高さに設置した熱電対の測定値を採用した。
接触時間は次式で定義される。
接触時間(g・sec/cc)=W/F*3.6*273.15/(273.15+T1)*(P*1000+101.325)/101.325
式中、Wは触媒充填量(kg)、Fは原料混合ガス流量(m3/Hr、NTP換算)、T1は濃厚層の温度(℃)、Pは反応圧力(MPa/G)を表す。
出口酸素の分析は、ガスクロマトグラフィー(GC−8A(島津製作所製)、分析カラム:ZY1(信和化工製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:75℃一定、TCD設定温度:80℃)を用いて行った。
ブテン及び1,3−ブタジエンの分析は、ガスクロマトグラフィー(GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:HP−ALS(J&W製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:ガス注入後、100℃で8分間保持した後、10℃/分で195℃になるまで昇温し、その後195℃で40分間保持、TCD・FID(水素炎イオン検出器)設定温度:250℃)用いて行った。
(実施例1)
(a)触媒の調製
組成がMo12Bi0.60Fe1.8Ni5.00.09Rb0.05Mg2.0Ce0.75で表される酸化物を、50質量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30質量%のSiO2を含むシリカゾル183.5kgをとり、16.6質量%の硝酸41.3kgに5.9kgの硝酸ビスマス〔Bi(NO・5HO〕、6.6kgの硝酸セリウム〔Ce(NO・6HO〕、14.7kgの硝酸鉄〔Fe(NO3)3・9H2O〕、29.3kgの硝酸ニッケル〔Ni(NO・6HO〕、10.4kgの硝酸マグネシウム〔Mg(NO・6HO〕、0.18kgの硝酸カリウム〔KNO〕及び0.15kgの硝酸ルビジウム〔RbNO〕を溶解させた液を加え、最後に水86.1kgに42.7kgのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4HO〕を溶解させた液を加えた。得られた原料調合液を噴霧乾燥器に供給し、入口空気温度約250℃、出口温度約140℃で乾燥させた。該調合液の噴霧化は、乾燥器上部中央に設置された皿型回転子を備えた噴霧化装置を用いて行った。得られた粉体は、電気式回転炉で空気雰囲気下約350℃で1時間の前焼成の後、590℃で2時間焼成して触媒を得た。この触媒調製を繰り返して必要量の触媒を製造した。尚、製造した触媒の平均粒子径は50.5μmであった。
(b)ブタジエン製造反応
(a)得られた触媒500kgを、前述の反応器に充填し、モル比組成が1−ブテン/空気/窒素=1/5.6/バランスの原料混合ガス(1−ブテン濃度=8容量%)を供給し、接触時間は3.0g・sec/cc、濃厚層の温度T-1=355℃、希薄層の温度T2=355℃(T2−T1=0℃)、反応圧力P=0.05MPa/Gの条件で反応を行った。この時、1−ブテンの転化率は99.2%、ブタジエンの選択率は87.0%、ブタジエン収率は86.3%、出口酸素濃度は1.1容量%であり、この反応ガスを2段の区画を有する急冷塔に導き、最下段抜出液温が75℃、急冷塔からの排出ガス温度は35℃、2段目の循環液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加して循環液のpHを8として最下段区画からの抜出液のpHを7.2として運転を継続したが、特に問題もなく、7日間にわたり安定に運転することができた。
(実施例2)
急冷塔として3段の区画を有する急冷塔を用い、2段目の循環液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加して循環液のpHを7.7、3段目の循環液には工業用水を添加し、最下段区画からの抜出液のpHを7.3とした以外は実施例1と同様にして運転を継続したが、特に問題もなく、7日間にわたり安定に運転することができた。
(比較例1)
急冷塔として1段の区画を有する急冷塔を用い、循環液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加して最下段区画からの抜出液でもある循環液のpHを7.2とした以外は実施例1と同様にして運転を継続したが、最下段区画からの抜出液に一部固形物が見られ、また、急冷塔のガス抜出ラインの差圧が経時的に上昇してきた為、3日目に反応を停止した。

Claims (7)

  1. 流動層反応器内で、触媒にn−ブテンを接触させて生成したブタジエンを含む反応ガスを急冷する工程を有するブタジエンの製造方法であって、2区画以上の急冷塔を使用し、各区画で循環液を循環させ、前記急冷塔の循環液がIa族の水酸化物、及びアンモニアから選ばれる少なくとも1種を含むブタジエンの製造方法。
  2. 請求項1に記載のブタジエンの製造方法において、前記急冷塔の最下段区画の抜出液のpHを7〜8にする方法。
  3. 前記急冷塔の最下段より上部の区画段の循環液のpHを7.2〜9に制御する請求項1又は2に記載のブタジエンの製造方法。
  4. 前記急冷塔が3区画以上の多段急冷塔であり、最下段区画の上部に設けられた区画段の循環液のpHを7.5〜8.5に制御する請求項1〜3のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
  5. 前記循環液がナトリウムを含む請求項1〜4のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
  6. 前記急冷塔の各区画でそれぞれ独立に循環液のpHを制御する請求項1〜5のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
  7. 前記触媒が、Mo、Bi、及びFeを含む酸化物を担体に担持した触媒である請求項1〜6のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
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