JP5764680B2 - 突入電流防止装置 - Google Patents
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Description
ところが、リチウムイオン電池は、常用領域と危険領域とが非常に近接しているため安全性に問題があり、過充電、過放電、過電流などから電池を保護するため、電池自体に各種保護回路が設けられている。そして、安全性確保の観点から、僅かでも異常が発生した場合にはこれらの保護回路が直ちに作動するように設計されており、電気機器の電源投入時に突入電流が発生すると、リチウムイオン電池の保護回路がすぐに作動して電源が落ちるようになっている。
このため、リチウムイオン電池を電源とした場合には、電源投入時に発生する突入電流によって、電気機器側はこの突入電流に耐え得る性能を備えているにもかかわらず、電池側の保護回路が作動して電気機器への電力供給が遮断されてしまうという問題がある(図4参照)。
しかしながら、このような方法では電気機器に対してオーバースペックとなるリチウムイオン電池を使用せざるを得ず、物理的にも経済的にも無駄が生じるという問題がある。
この発明は、負荷であるランプと電源との間に可変抵抗機構を介在させ、この可変抵抗機構の抵抗値を、電源投入直後から所定時間の間、定常時よりも高い抵抗値となるようにすることで、突入電流の発生を抑制できるようにしている。可変抵抗機構としては、サーミスタを用いたり、電源投入後所定時間経過後に作動するスイッチと固定抵抗とを並列接続して構成することが開示されている。
この発明によれば、電源投入後所定時間が経過するまでの間だけ抵抗値を高くすることにより突入電流の発生を抑制することができるので、リチウムイオン電池の保護回路が突入電流によって作動することがなく、容量の大きなリチウムイオン電池を用いる必要がない。
加えて、可変抵抗機構としてサーミスタを用いた場合には、定常状態で通電している機器の電源を落とした直後に電源を再投入すると、サーミスタは温まった状態で抵抗値が低くなっているために突入電流の発生を防止することができず、また、可変抵抗機構をタイマースイッチと固定抵抗とを並列接続して構成した場合には、回路が複雑化するという問題もある。
また、前記制御手段としては、電源スイッチによる電源投入後、前記誘導性負荷が定常状態に至るまでの間前記スイッチング素子のオン・オフをチョッパ制御で行う制御プログラムが格納されたマイコンやデジタルICが考えられる。このチョッパ制御は、前記電源スイッチの投入により開始され、誘導性負荷が定常状態に至るまでの間行われる。
すなわち、所定時間の経過によって誘導性負荷が定常状態に至ったかどうかを判断する場合、使用する誘導性負荷に応じて当該誘導性負荷が定常状態に至るまでの時間を前記制御プログラムに予め設定しておき、当該設定時間が経過するとチョッパ制御を終了するようにする(請求項1)。
他方、負荷電流の状態によって誘導性負荷が定常状態に至ったかどうかを判断する場合、スイッチイング回路の1次側又は2次側には電流検出手段を接続し、この電流検出手段で検出した電流値を前記スイッチング回路の制御手段に入力し、前記制御手段が前記電流値に基づいて誘導性負荷が定常状態に至ったか否かを判断する。この場合、前記制御プログラムには使用する誘導性負荷の定常状態の電流値を予め設定しておき、この設定電流値と前記電流検出手段で検出された電流値とを前記制御手段で比較し、前記電流検出手段で検出された電流値が設定電流値に到達した場合にチョッパ制御を終了するようにする(請求項2)。
スイッチング素子のオン・オフの1サイクルにおけるオン・オフ時間の比が徐々にオン時間が長くなる設定としては、例えば、オン時間を一定に固定しつつ時間の経過とともにオフ時間を徐々に短くしていく設定や、オン・オフのデューティ比を徐々にオン時間が長くなるようにする設定が考えられる。
誘導性負荷である直流モーター1を備えた電気機器と、この電気機器の電源となるリチウムイオンバッテリー2との間には、直流モーター1への電力供給のオン・オフを行う電源スイッチ3が接続されている。そして、この電源スイッチ3と直流モーター1との間にはスイッチング回路4が接続されている。
スイッチング素子41としては、例えば、トランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタなどの低電圧、低消費電力でスイッチング制御が可能な半導体素子を用いることができる。
この制御プログラムには、使用する直流モーター1が定常状態に至るまでの時間t1と、チョッパ制御によるスイッチング素子のオン・オフの1サイクルにおけるオン・オフ時間の比が徐々にオン時間が長くなるように設定されている。
電源スイッチ3により電源が投入されると、前記制御プログラムが起動してスイッチング素子41のチョッパ制御が開始され、接続される直流モーター1に応じて設定された時間t1が経過するまでの間、予め設定されたオン・オフの制御パターンに従ってスイッチング素子41をチョッパ制御する。直流モーター1に応じて設定された時間(定常状態となるまでの時間)t1が経過するとチョッパ制御が終了し、その後は電源スイッチ3が開かれるまで(電源スイッチ3がオフにされるまで)スイッチング素子41のオン状態が継続される。
ここで、スイッチング素子41のオン・オフの1サイクルにおけるオン時間とオフ時間の比が徐々にオン時間が長くなるような設定としては、オン時間を一定にしておきながらオフ時間を徐々に短くしていく方法(図2の電圧パターンa)と、オン・オフのデューティ比を徐々にオン時間が長くなるようにする方法(図2の電圧パターンb)とがある。
このように、突入電流の発生を防止することができるので、直流モーター1の電源としてリチウムイオンバッテリー2を用いる場合にあっても、バッテリー側の過電流保護回路を考慮する必要がなく、使用する直流モーター1に応じた適切な容量のリチウムイオンバッテリーを使用することができる。
第1の実施例の構成とは、スイッチング回路4の2次側に電流検出手段5を接続し、この電流検出手段5で検出した電流値I1がスイッチング回路4の制御手段であるマイコン42に入力されるようにした点、マイコン42に格納される制御プログラムには、使用する誘導性負荷の定常状態の電流値ISが設定されるとともに、電流検出手段5で検出された電流値I1と前記設定電流値ISとを比較して、前記検出電流値I1が設定電流値ISに到達した場合にチョッパ制御を終了するプログラムが組んである点で差異がある。その他の構成は第1の実施例と同様である。
なお、誘導性負荷に流れる電流値I1を検出するための電流検出手段5は、スイッチング回路4の1次側に接続し、制御手段であるマイコン42に入力することもできる(図は省略)。
2 リチウムイオンバッテリー
3 電源スイッチ
4 スイッチング回路
41 スイッチング素子
42 マイコン(制御手段)
5 電流検出手段
Claims (3)
- リチウムイオンバッテリーを駆動電源とする誘導性負荷と前記誘導性負荷への電力供給用の電源スイッチとの間に、スイッチング素子とこのスイッチング素子のオン・オフ制御をチョッパ制御で行う制御プログラムが格納された制御手段とを備えたスイッチング回路が接続され、
前記制御プログラムには、前記誘導性負荷が定常状態に至るまでの時間が設定され、この設定時間が経過するとチョッパ制御を終了するプログラムが組み込まれ、
前記制御手段は、前記制御プログラムに基づいて前記電源スイッチによる電源の投入から前記誘導性負荷が定常状態に至るまでの間、前記スイッチング素子をチョッパ制御して前記誘導性負荷の実質電圧値の上昇を抑制するものとした、
突入電流防止装置。 - リチウムイオンバッテリーを駆動電源とする誘導性負荷と前記誘導性負荷への電力供給用の電源スイッチとの間に、スイッチング素子とこのスイッチング素子のオン・オフ制御をチョッパ制御で行う制御プログラムが格納された制御手段とを備えたスイッチング回路が接続され、
前記スイッチング回路の1次側又は2次側には電流検出手段が接続され、この電流検出手段で検出された電流値が前記スイッチング回路の制御手段に入力され、
前記制御プログラムには、前記誘導性負荷の定常状態の電流値I S が設定されるとともに、前記電流検出手段で検出された電流値I 1 と前記設定電流値I S とを比較して前記検出電流値I 1 が前記設定電流値I S に到達した場合にチョッパ制御を終了するプログラムが組み込まれ、
前記制御手段は、前記制御プログラムに基づいて前記電源スイッチによる電源の投入から前記誘導性負荷が定常状態に至るまでの間、前記スイッチング素子をチョッパ制御して前記誘導性負荷の実質電圧値の上昇を抑制するものとした、
突入電流防止装置。 - チョッパ制御によるスイッチング素子のオン・オフの1サイクルにおけるオン・オフ時間の比は、徐々にオン時間が長くなるようにした、
請求項1又は2に記載の突入電流防止装置。
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