JP5761909B2 - 原子炉容器補修工法 - Google Patents
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Description
しかしながら、水中環境下での補修作業では全ての機器を防水仕様の設計とする必要があり、防水仕様とすることで機器の容積及び質量が増加し取扱いが困難となる。
また、使用した機器は冷却水に含まれる放射線に曝されるため引き上げ後に除染作業が必要となってしまう。
このため、近年、原子炉容器の管台内部での検査作業を気中環境で行う方法が提案されている(特許文献1)。
即ち、特許文献1の段落[0005]には「原子炉容器の側面に設けられている管台と、同管台に接続されている出、入口管との溶接部をUT検査する原子炉容器の管台溶接部のUT検査方法において、少なくとも管台の下方位置まで冷却水を排水した状態の原子炉容器内に、管台の位置に合わせた開口部を側面に有す架台を設置し、次に、前記開口部から管台内に円筒状の遮蔽体を挿入設置した後、管台内にUT検査装置を挿入して前記溶接部をUT検査することを特徴とするものである。」と記載されている。
本実施例の原子炉容器補修工法は、図1に示す有底筒状の架台10を使用するものであり、この架台10は、図2に示す耐震サポート11と、図3に示す円筒容器12と、図4に示す上部プラットホーム13と、図5に示す下部プラットホーム14とから構成される。
5段の円筒容器12は、プラットホーム13,14よりも僅かに小径であり、原子炉容器20の上方へと鉛直方向に立設されている。本実施例の図1、図7中では、円筒容器12を5段に設定しているが、円筒容器は複数で構成されていれば良く、これに限定されるものではない。
最上段の円筒容器12には耐震サポート11が装着されている。耐震サポート11には、吊込用フックが11aが周方向に等間隔で複数箇所設けられている。
図6は、原子炉1の内部において、上部構造体である上壁、及び、内部構造体である炉心構造物が取り外され、上部が開口した原子炉容器20を示している。炉内構造物はキャビティ内に仮置されている。また、図6は、キャビティ内満水状態を示し、原子炉容器20は冷却水2により覆われている。
なお、最上段の円筒容器12は冷却水2の水位より高く、冷却水2は最上段の円筒容器12を乗り越えて架台10内に流入しないので、気中環境は維持される。
原子炉容器20の側面には、入口管台21及び出口管台22が少なくとも一組設けられ、入口管台21から内部に冷却水2を取り込むことが可能であるとともに、出口管台22から冷却水2を排出することが可能となっている。
原子炉容器20のフランジシート面20aとフランジ13bとの間には、2重のO−リング3が介装され、更に、図9に示すように、原子炉容器20のフランジシート面20aに対してフランジ13bを緊密に締結する水中締結部40が周方向等配で複数の上蓋用ネジ孔の位置に設けられている。水中締結部40については、後述する。
円形状のアクセス窓14cは、図1、図5では省略されているが、図6に示すように、架台10を冷却水中に吊り込む際には、略板状の蓋体23をアクセス窓開閉装置24により内側から装着して密閉されている。
また、上部プラットホーム13と円筒容器12との間、円筒容器12同士の間においても同様である。
そのため、プラットホーム13,14及び複数段の円筒容器12を接続してなる架台10を冷却水中に浸漬させても、周囲に満たされた冷却水2が接続部から架台10の内部に漏洩してしまうことがない。
従って、原子炉容器20内に溜まっている冷却水2を配管51を介してポンプ50により汲み上げて原子炉容器20の外部に排出することが可能である。これより、原子炉容器20内の水位を管台21,22より下げることが可能となっている。
なお、円筒容器と原子炉容器内水抜き・水位計設備を一体化することにより、円筒容器・プラットホームを原子炉容器に設置すると、直ちに炉内の水抜きを可能となる。
尚、管台21,22の内径下端までの冷却水は、管台21,22に接続された図示しないポンプ又はドレーン配管より水抜きをすることができる。
水中締結部40は、原子炉容器20のフランジシート面20aから垂直上向きに固定されたピン41を備え、このピン41の上端部には太径の頭部41aが形成される。このピン41は、上蓋開放後に原子炉容器20に上蓋をボルトで固定するためのネジ孔(スタッドボルトホールプラグ)を利用して取り付けるものである。
フランジ13b及び楔部43には、ピン41の頭部41aよりも太い孔部46が連通して形成され、図11に示すように、架台10を一体として吊り込む際に、この孔部46をピン41の頭部41aが上向きに貫通する。一方、テーパキー44には、ピン41の頭部41aより狭く、ピン41の本体自体よりも幅広な溝部44cが形成されている。
更に、図13に示すように、クランプシリンダ45でテーパキー44を図中矢印で示すようにフランジ13bに沿って水平に押し込むと、テーパキー44は矢印で示す通り、楔部43のテーパ面に沿って斜め上方に摺動し、テーパキー44の上面がピン41の頭部41aに当接し、ピン41には図中矢印で示すように上下方向に引張力(軸力)が発生する。
その反力として、ピン41が固定されるフランジシート面20aに対してフランジ13bを下向きに押え付ける力が発生し、上部プラットホーム13が原子炉容器20のフランジシート面20aに対して緊密に締結されることになる。
連結治具30は、図14に示すように、両端に逆ねじが切られた胴体31と、この胴体31の両端に螺着されたロッド32,33とからなり、一方のロッド32はキャビティ壁9に取付金具34を介してピン結合され、他方のロッド33は耐震サポート11の取付金具35を介してピン結合されている。
従って、胴体31を回転させることにより、胴体31の両端に螺着されたロッド32,33が接近する方向又は離反する方向に移動するため、ターンバックル30を介してキャビティ壁9と耐震サポート11との間に作用する張力を調整することができる。
尚、耐震サポートとキャビティ壁面を適切な張力で連絡することにより、地震等の揺れが発生した場合でも水圧による曲げ応力を受けても、円筒の揺れを抑制し隙間の発生を防ぎ、水漏れを防ぐことになる。
管台遮蔽手段70は、管台21,22とアクセス窓14cとの間の隙間を埋めるように設けられる円筒状の部分遮蔽71と、この部分遮蔽71の内側に形成され管台21,22と等しい内径を持つ円筒状のノズル遮蔽72とから構成される。
管台遮蔽手段70を、原子炉容器管台21,22の端面と下部プラットホーム14の間に設置したので、炉内への異物の落下が防止され、更には、管台21,22への人/装置のアクセスが容易となった。
管台遮蔽手段70は、部分遮蔽71及びノズル遮蔽72による2重の遮蔽としたのは、放射能に対する十分な遮蔽のための厚さを確保するためである。
シール本体部60は、管台21,22の内径よりも小さい外径に設定された略円盤状のシールプラグ62と、シールフラグ62の外周面に嵌め込まれたインフラートシール63と、シールプラグ62に放射状に複数設けられ、径方向外周側に向かって進退可能な固定用ジャッキ64と、管台21,22の内面を走行させるためにキャスタ65とを有する。
また、インフラートシール63は、シールプラグ62の外周面との間に空間を有しており、圧縮空気を供給することで外周側に膨張し、これにより管台21,22の内部に配置されたシールプラグ62と管台21,22の内面との間の隙間を封止することができる。
シールプラグ62は、放射能を遮蔽する機能を有する遮蔽付シールプラグである。
案内部61は、管台21,22の内部に挿入可能な略棒状の部材で、先端に設けられた接続部67と、管台21,22の内面を走行させるためのキャスタ68をと有する。
シール本体部60には、案内部61の接続部67と対応して被接続部69が設けられていて、接続部67と被接続部69とで互いに着脱可能に構成されている。
このように原子炉容器管台21,22内に遮蔽付シールプラグ62を取付けることにより、人のアクセスを可能とすると共に、異物の管台21,22の奥への侵入防止を図った。
同様に、円筒容器12も複数段に接続されていたため、複数個に分割でき搬入を容易化できたが、これに限るものではなく、一体型とすることもできる。
更に、プラットホーム13,14と円筒容器12とは接続されていたため、それぞれに分割でき搬入が容易化できたが、格納容器への搬入の支障がなければ、一体型とすることもできる。つまり、架台10は一体型としても良い。
(1)先ず、架台10となるプラットホーム13,14及び円筒容器12をO−リング等のシーリングを介して接続し、更に、下部プラットホーム14のアクセス窓14cを蓋体23にて封止する。
(2)次に、カウンターウェイト80を下部プラットホーム14内に設置する。なお、原子炉容器20は、上部構造体である上壁、及び、内部構造体である炉心構造物が取り外され、炉内構造物はキャビティ内に仮置されている。キャビティ内満水状態であり、原子炉容器20は冷却水2により覆われている。
(6)一方、架台10の最上段に設置される耐震サポート11と張力調整可能な連結治具30にてキャビティ壁9に4箇所連結する。これにより、キャビティ壁9からの架台10に対して一定の張力を周方向に作用させるので、原子炉容器20に設置される架台10が安定することとなる。
(8)原子炉容器20内の水位が管台21,22よりも下がったら、下部プラットホーム14のアクセス窓14cから蓋体23を取り外し、アクセス窓14cと管台21,22との間の隙間を塞ぐ管台遮蔽手段70を取り付け、管台21,22内に遮蔽付シールプラグ62を取付ける。
11 耐震サポート
12 円筒容器
13 上部プラットホーム
14 下部プラットホーム
20 原子炉容器
21 入口管台
22 出口管台
30 連結治具
40 水中締結部
50 ポンプ
60 シール本体部
70 管台遮蔽手段
80 カウンターウェイト
Claims (5)
- 冷却水で覆われた原子炉容器に対し、内部が気中環境のまま有底筒状の架台を前記冷却水中に吊り込み、前記架台の下部を前記原子炉容器内に設置して、前記有底筒状の架台の内部に気中環境を作り、前記原子炉容器の補修を行う原子炉容器補修工法において、
前記架台は、前記原子炉容器の内部に設置されるプラットホームと、前記プラットホーム上に接続されて前記原子炉容器の上方へと立設される円筒容器とから構成され、
前記円筒容器の最上部には耐震サポートが装着されると共に前記耐震サポートは張力調整可能な連結治具にて周辺構造物と周方向に等間隔に複数箇所で結合され、
前記連結治具は、両端に逆ねじが切られた胴体と、前記胴体の両端に螺着された二つのロッドからなり、一方の前記ロッドは前記周辺構造物に取付金具を介してピン結合され、他方の前記ロッドは前記耐震サポートに取付金具を介してピン結合され、
前記プラットホームは、前記原子炉容器の内径よりも小さい外径を有する略円筒容器状の側壁と、前記側壁の下端を閉塞する底板とからなり、前記側壁には前記原子炉容器の側面に設けられる管台と連通するアクセス窓が形成され、前記アクセス窓は蓋体を装着して密閉可能となり、
前記プラットホームは、前記側壁の上端から外周側に張り出して前記原子炉容器の上縁に支持されるフランジを備え、前記原子炉容器の上縁と前記フランジとの間にはシーリングが介装され、
前記原子炉容器の上縁に対して前記フランジを緊密に締結するための水中締結部が周方向等配に設けられ、前記水中締結部は、
前記原子炉容器の上縁に垂直上向きに固定され、上端部に太径の頭部が形成されたピンと、
前記フランジの上面に形成された楔部と、
前記楔部のテーパ面上に摺動自在に配置されたテーパキーと、
前記テーパーキーに一端側が接続されると共に他端側が前記フランジに連結されたクランプシリンダとから構成され、
更に前記フランジ及び前記楔部には、前記ピンの前記頭部よりも太い孔部が連通して形成され、前記孔部は前記ピンの前記頭部が上向きに貫通する一方、
前記テーパキーには、前記ピンの頭部より狭く、前記ピンの本体自体よりも幅広な溝部が形成されている
こと特徴とする原子炉容器補修工法。 - 前記架台には、当該架台を前記冷却水中に吊り込む際に発生する浮力を打ち消すカウンターウェイトが設置されることを特徴とする請求項1記載の原子炉容器補修工法。
- 前記アクセス窓と前記管台との間の隙間を塞ぐ管台遮蔽手段が設けられること特徴とする請求項1記載の原子炉容器補修工法。
- 前記管台を閉塞する遮蔽付シールプラグが設けられること特徴とする請求項1記載の原子炉容器補修工法。
- 前記プラットホームには、前記原子炉容器内の冷却水を前記原子炉容器外に排出するためポンプ及びそのための配管が備えられることを特徴とする請求項1記載の原子炉容器補修工法。
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